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2014年、 世界経済の課題と米国経済の見通し
2013年12月
チーフエコノミスト、Blu Putnam
エコノミスト、Samantha Azzarello
© 2013 CME Group. All rights reserved. © 2013 CME Group. All rights reserved.
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2
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世界情勢
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• 2013年の世界情勢を振り返る - 2012年末に特に注目されていた懸念材料 •米国で目前に迫った財政の崖 •欧州の政府債務危機による財政緊縮と景気後退 •日本の新たな景気刺激策 •中国経済がハードランディングする可能性
- 結果 •米国は財政の崖を回避 •欧州経済は、まだ成長段階には入っていないものの、底入れの様相
•日本円は数カ月の下落を経て安定へ •中国経済はハードランディングを回避して減速、 新指導部への移行が円滑に進む
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概要
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• 世界情勢 の今後 - 2014年の新たな注目点 •欧州経済の成長には、EU規模で銀行システムの資本を強化する改革が必要。しかしリーダー不在のため、 改革の道筋は、不透明である。
•大陸欧州に比べ、英国の経済は堅調。2014年には •利上げの予測も。両者の景気回復傾向がこのまま 継続すれば英ポンドは対ユーロで強含みとなる可能性がある。
•日本では、4月の消費税率引き上げが大きな障害 となる見込み。
•中国は改革を推進すると表明、さらなる市場原理の 導入で経済の自由化が加速する。
•世界のエネルギー市場は、イラン外交の行方を見守る姿勢。また北米産の供給増による長期的影響を見極めようとしている。
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概要
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ユーロ圏および英国
-8%
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6%
2005 2007 2009 2011 2013 2015
Ann
ual A
vera
ge P
erce
ntag
e Ch
ange
Source: Bloomberg Professional.
Real GDP Growth:UK Compared to the Euro-Zone Countries
UK
Euro-Zone
Projected
英国とユーロ圏諸国の 実質GDP成長率を比較
前年比
英国
ユーロ諸国
予測
出所:ブルームバーグプロフェッショナル
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日本
-10%
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2010 2011 2012 2013 2014 2015
Real
GD
P, Q
uart
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Source: Bloomberg Professional
Japan: Real GDP
Projected
Sales Tax Increase Arrives in April 2014
日本の実質GDP 実質
GD
P(前期比年率)
予測
2014年4月に消費税率の引き上げ
出所:ブルームバーグプロフェッショナル
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新興国市場 の世界への影響力
BRIC4大国(ブラジル、ロシア、インド、中国)が牽引し、それまで10年にわたり目覚ましい成長を遂げてきた新興国経済が減速した。その理由として明らかなのが次の2つである。
ひとつは、先進工業国(日本、欧州諸国、米国など)に比べて、経済の足腰が弱いことだ。2008年の金融危機で、新興国の輸出成長力に 大きなブレーキが掛かったままである。
もうひとつは、高度成長期(2003~2010年)の好調の波では、すべてが上げ潮に乗ったものの、波が引くとBRIC各国で深刻かつこれまでとは全く異なる構造的問題があらわになったことだ。経済成長の鈍化、 さらには構造的問題が世界の投資家にリスク要因として映り、2013年には新興国の通貨および株式に強い逆風となった。
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BRIC諸国
BRIC諸国の平均実質GDP成長率が減速
実質
GD
P成長率(前年比)
推定値 予測値
BRIC諸国にはブラジル、ロシア、インド、中国が含まれる。 出所:ブルームバーグプロフェッショナルの実質GDPデータより、
CME Researchが成長率と予測値を集計
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新興国通貨
0.85
0.95
1.05
1.15
1.25
1.35
1ドル当たりの新興国通貨
(2
01
3年1月1日を1とする)
新興国通貨を1ドル当たりに指数化
(基準日:2013年1月1日)
出所:ブルームバーグ プロフェッショナル (BRL、 INR、 RUB、MEXA)よりCME Economicsが計算
ロシア
インド
ブラジル
MSCI新興国通貨指数
米ドルに対して価値が下落
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ブラジル
数百万の人々が貧困から抜け出し、中間所得者層が広がるなか、政府による公共サービス(教育から治安、電気水道まで)への期待も 高まってきた。ところがブラジルでは、こうしたサービスの大半が 立ち遅れたままである。基本的な公共サービスがどれも不足しているなか、政府は来るサッカーワールドカップやオリンピックに相当額の支出をしているため、政治的混乱が広がっている。
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BRIC諸国が直面する構造的問題
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ブラジル
-4
-2
0
2
4
6
8
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前年同期比(%)
ブラジルの実質GDP成長率
出所:ブルームバーグプロフェッショナル(BZGDYOY)
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ロシア
実質的にエネルギー輸出企業集団と化しているロシア政府の歳入は、世界の石油・ガス業界とほとんど運命をともにしている。北米産を はじめ世界で石油・ガスの生産が拡大しており、まだ石油価格は 下げていないが、ひとたび価格が崩れれば、ロシア経済は極めて脆い。経済の多角化を促すため、世界貿易機関(WTO)に加盟したものの、そうした取り組みが、海外からの直接投資の増加に全く現れていない。ロシア国内での所有権や契約執行について深刻な懸念があるからだ。
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BRIC諸国が直面する構造的問題
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ロシア
ロシアの商品輸出総額(米ドル)
(単位:
10億ドル)
輸出収入が横ばいのまま
出所:ロシア連邦中央銀行の主要経済指標(2006~2013年)
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インド
インド政府は燃料や食糧に対し、年間合計で国内総生産(GDP)の 数パーセントにおよぶ補助金を交付している。こうした補助金が 経常収支の赤字を助長し続けた。インドは最大の金輸入国でもある。補助金の削減には、ほとんど進展がなかったものの、金については 需要抑制のため輸入関税を引き上げた。インドの資本規制はかなり 厳しく、それが海外からの直接投資を阻んでいる。そのため、それで経常赤字を補うのは難しい。つまり、経常赤字を補てんするには、 弱い通貨という代償を払うものの、それで短期的な資本流入を招く しかない。
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BRIC諸国が直面する構造的問題
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インド
-6%
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0%
2%
4%
対G
DP比
インドの経常収支(対GDP比)
出所:ブルームバーグプロフェッショナル(ENCAIN)
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中国
中国の新指導部では、過去30年にわたる政府主導のインフラ投資 モデルが今後じり貧に陥ることを認識しており、内需主導の成長 モデルへと構造転換を図っている。この構造転換が順調に進むかは、消費者や企業が、より需給を反映した価格(価格の伸縮性)を享受 できるように価格決定プロセスを改善し、資源や資本をより効率良く配分できるかにかかっている。また、あらゆる産業部門で、国際市場と強いかかわりを持つ国内市場が開放されていなければ、その価格 決定プロセスは大きな欠陥を抱えることになる。新指導部は、将来的な成果を得るには、支配力をある程度手放す必要があると理解して いるようだ。今後、人民元の自由化、そして市場開放による国際的 連携の強化が加速していくと思われる。
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BRIC諸国が直面する構造的問題
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中国
-40%
-20%
0%
20%
40%
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2009 2010 2011 2012 2013
増減率
中国の輸出伸び率(前年比)
出所:ブルームバーグプロフェッショナル(CNFREXP$)
中国の主要輸出地域の多くが景気停滞または低成長
上昇トレンドか?
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中国
中国の実質GDP成長率(10年ごとの推移)
年平均実質
CD
P成長率
予測値
出所:ブルームバーグプロフェッショナルの世界銀行実質GDP指数(WRGDCHIN)より、CME Economics Researchが計算
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米国経済の見通し
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• 金融不況の後遺症 - レバレッジの解消にようやくカタがつく
• 財政および規制政策 - 障害となる要因は解消へ
• 通貨政策 - 量的緩和の終了、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標はゼロに据え置き、政策の効果が出始める
• エネルギーブーム - 重大な政策決定が下される可能性があるが、全体的には好調を維持
• 2014年米国経済予測 - 2014年米国実質国内総生産(GDP)= 3.5% - 2014年内の米国のコアインフレ率= 1.7% - 2014年内のFF金利の誘導目標= 0.25%
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米国経済の見通し
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レバレッジの解消にようやくカタがつく
- 金融危機からの回復は、概して難しい。景気循環的な持ち 直しよりも時間を要する。
- 米企業は、概ね2011年中に収益を回復。
- 米国の消費者の大半が、2012年中にレバレッジの解消を 終える。
- 多くの州政府および地方自治体が、2013年まで歳入と ともに経費を増やそうとしなかった。
- 米国金融システムの健全性からいえば、景気が持ち直して から最も良い状態で2014年を迎えた。
- 2014年の米国経済は、雇用者数がさらに増加し、失業率が下半期に6.5%を下回る状態にある。
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米国金融システムの健全性
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米国の企業収益
$0
$1
$2
1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013
(単位:兆ドル)
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(CPATAX)
米企業の在庫評価調整・資本減耗調整済の
税引後利益(GDPベース)
企業収益は比較的早期に回復
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米国の労働市場
100,000
103,000
106,000
109,000
112,000
115,000
118,000
2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015
民間部門雇用者数(単位:千人)
出所:セントルイス連邦銀行経済統計データベース(USPRIV)
米国の民間部門雇用者数
民間部門雇用者数は、 前回の景気後退期よりも 落ち込んだものの、前回の回復期と変わらない堅調さで伸びている。
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米国の消費者信用
$0
$1
$2
$3
$4
1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013
(単位:兆ドル)
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(TOTALSL)
消費者信用(証券化を含む)
消費者のレバレッジ解消は、すでに終了
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米国の労働市場
20,500
21,000
21,500
22,000
22,500
23,000
23,500
2003 2005 2007 2009 2011 2013
政府の雇用者数(単位:千人)
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(USGOVT)
米国の連邦政府、州政府および
地方自治体の雇用者数
国勢調査員の雇用(2010年)
量的緩和が州政府や地方自治体の 財政健全化に貢献することは なかった。雇用は歳入に合わせて 調整するものであり、ようやく 適切なレベルになった。
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米国の労働市場
0.00%
3.25%
6.50%
9.75%
13.00%
Perc
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nem
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Civ
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Lab
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orce
Source: St. Louis Federal Reserve Bank "Fred" Database (UNRATE)
US Civilian Unemployment Rate
The Fed first referenced a 6.5% rate threshold in Dec-2012. In Feb-2013 we issued a projection that we would reach the6.5% rate in the summer of 2014. We are still on track.
米国の失業率
民間労働力の失業率
FRBが初めて失業率6.5%程度を政策の目安に置いたのが2012年12月。現在のところ、2013年2月に私たちが「2014年夏に失業率が6.5%に達するだろう」と指摘した とおりの展開である。
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(UNRATE)
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米国の労働市場
0
50
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150
200
250
300
350
2011 2012 2013 2014
月次(単位:千人)
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(PAYEMS)
米国の新規非農業部門雇用者数
(最終値、月次)
月次の雇用統計には波がある。だが、不調な期間があっても、 反発する力がある。政府機関での雇用減少という障害もなくなり、回復傾向は2014年から2015年にかけて加速するだろう。
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米国の労働市場
-2%
-1%
0%
1%
2%
3%
4%
5%
前年同期比
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(CLF16OV)
米国の労働力人口増加率
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• 米政府の財政赤字は、ブッシュ政権2期目に、当時のポールソン財務長官が金融安定化策として1兆ドル規模の緊急要請をしたことで、急激に拡大した。
• 財政赤字は、2009年に1兆4000億ドル(対GDP比10%)に達したところでピーク となり、2013年は6800億ドル(対GDP比4%)となった。そして2014年の財政赤字は「わずか」5000億ドル(対GDP比3%)になるとみている。
• 赤字削減が、税収の大幅増(2013年は前年比8%増)と安定した歳出(2013年は前年比で実質横ばい)によって進んでいる。
• 金融規制政策は、2010年ドッド=フランク金融改革法によって、かなり複雑になった。同法は1000ページ近い法律と1万4000ページに及ぶ新しい規則と規制から成り、現在もさらに追加されている。
• 2010年医療保険制度改革法(オバマケア)の施行は、前途多難な船出となった。
• 新しい規則・規制がもたらす弊害、そして財政赤字削減がもたらす弊害が大きかったのは、2011年から2013年にかけてであり、2014年は、その影響が収まっていくだろう。とはいえ、引き続き経済成長の足かせとなる。
• 米議会では、予算および債務上限をめぐる駆け引きで瀬戸際政策が続いており、経済 活動に悪影響をもたらす可能性が高い。しかし、2014年第1四半期に、この不透明な状況が解決すれば(少なくとも米議会にとっては)都合が良いことに、11月の中間選挙後となる2015年第1四半期まで、この問題が再浮上することはないだろう。
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米国の財政および規制政策
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米国の財政政策
-12.00%
-9.00%
-6.00%
-3.00%
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3.00%
米政府財政収支(対名目
GD
P比)
出所:過去データは セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(FYFSSGDA188S)、
2013~2015年はCME Economicsの推定値
米政府の財政収支(対GDP比)
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米国の財政政策
$0.0
$0.5
$1.0
$1.5
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年間税収額(単位:兆ドル)
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(W006RC1Q027SBEA)
米政府の税収
政府税収の伸びは前年比8%超
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米国の財政政策
$0.0
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$1.0
$1.5
$2.0
$2.5
$3.0
$3.5
$4.0
$4.5
年間支出額(単位:兆ドル)
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(FGEXPND)
米政府の経常支出
政府支出が以前のように 増えなくなった
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• 大恐慌の研究を専門とするバーナンキ教授によって、米連邦準備制度理事会(FRB)は確たる
出口計画もないまま量的緩和策を導入した。そしてバトンは雇用市場の専門家であるイエレン
博士に手渡された。FRBは2014年中に量的緩和を終わらせるであろう。
• FRB議長のイエレン博士は、バーナンキ前議長の量的緩和実験から生じる、予測不可能な、
いかなる結果に見舞われても、FRBを指揮していかなければならない。そこには量的緩和に
よって膨張したFRB資産の含み損処理もある。
• 定量分析によると、債券利回りが量的緩和によって2012年および2013年上旬に100
ベーシスポイント低下したものの、2013年5月にバーナンキ議長が量的緩和の縮小について
言及し始めると、即座に上昇に転じた。量的緩和は結局のところ新規雇用を生まなかったと
考えられる(雇用問題は、州政府および地方自治体にあった。先のグラフを参照いただき
たい)。したがって、量的緩和がなくても労働市場には、ほとんど変化がない。ただし、
2014年に量的緩和が終了すれば、債券市場では当然、値動きやリスクが増大し、価格に
織り込まれることになる。そのため、株式市場でいくらか難しい局面が生じるかもしれない。
34
米国の金融政策 ―― バーナンキ時代の終焉
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• イエレン博士は懸命かつ柔軟な姿勢で、完全雇用の促進と物価の安定という2つの任務に
あたるだろう。まず始めに、デフレのリスクとして、長期失業や失業期間、未活用の労働資源
に注目すると思われる。したがって博士は、コアインフレ率が2%未満(FRB公認の長期的
目標値)である限り、断固とした態度でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標をゼロ近く
に維持し、少なくともコアインフレ率が2.5%を超えるのを確認するまでは、利上げを行わ
ないだろう。
• かつてジョン ・メイナード・ ケインズ教授が主張したとおり、金融政策は金融不況からの
回復を刺激する特効薬ではないと考える。低金利で治癒できない回復プロセスに必要なのは、
レバレッジの解消なのだ。
• またミルトン・フリードマン教授がいうように、金融政策は効果が出るのに時間がかかり、
その効果は予測がつかないと考える。そのうえで注意したい点が2つある。まず、レバレッジ
解消による景気回復が、実質的に2013年中に終わったと考えていないことだ。したがって、
インフレ圧力が現れるのは2015年以降になるだろう。もうひとつは、ノーベル賞を受賞
したロバート・マンデル氏を支持するグローバルエコノミストとして、米ドルが相当下落
しないかぎり、インフレ圧力は抑えられると予想されることだ。現在のところ米ドルは、
明らかなトレンドが見られず(弱い円は例外)、安定した状態にある。
35
金融政策: イエレン、ケインズ、フリードマン、マンデル
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米国経済の見通し
0.00%
3.25%
6.50%
9.75%
13.00%
Perc
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Civ
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Lab
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orce
Source: St. Louis Federal Reserve Bank "Fred" Database (UNRATE)
US Civilian Unemployment Rate
The Fed first referenced a 6.5% rate threshold in Dec-2012. In Feb-2013 we issued a projection that we would reach the6.5% rate in the summer of 2014. We are still on track.
米国の失業率
民間労働力の失業率
FRBが初めて失業率6.5%程度を政策の目安に置いたのが2012年12月。現在のところ、2013年2月に私たちが「2014年夏に失業率が6.5%に達するだろう」と指摘した とおりの展開である。
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(UNRATE)
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米国経済の見通し
0%
2%
4%
6%
Year
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Source: St. Louis Federal Reserve Bank "Fred" Database (PCRPILFE, Personal Consumption Expenditure Price Index less Food & Energy)
No Inflation Pressure in Sight(US Core Inflation, Less Food & Energy)
The Fed may wait until core inflation surpasses 2.5% before increasing the target federal funds rate.
インフレ圧力は見られず(食料と エネルギーを除いた米国型コアインフレ率)
前年比
FRBは、コアインフレ率が2.5%を超えるまで、 FF金利の誘導目標を切り上げないだろう。
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(PCRPILFE=Personal Consumption Expenditure Price Index less Food & Energy)
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FRBの財務状況
$0
$1
$2
$3
$4
US$
Tri
llion
s
Source: Federal Reserve Bank of St. Louis FRED Database
Composition of Federal Reserve Assets
Other
MBS
UST 10+ Years
US Treasuries Less Than
FRB資産構成
兆ドル
その他
10年以上の米国債
10年未満の米国債
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース
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FRBの財務状況
$0
$100
$200
$300
$400
$500
$600
$700
(単位:
10億ドル)
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース(TREAS10Y)
FRBの米国債保有高(残存期間10年以上)
量的緩和の終了?
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FRBの政策指針、透明性、信用性
QE縮小 時間軸政策
•国債
•不動産担保証券(MBS)
•FF金利の低水準 維持を断言
•データに基づいて判断
•失業率とインフレ目標を柔軟に適応
FRBの 信用性
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米国のインフレおよび債券利回り
0%
2%
4%
6%
8%
10%
12%
14%
16%
18%
1962 1966 1970 1974 1978 1982 1986 1990 1994 1998 2002 2006 2010 2014
出所:セントルイス連邦準備銀行経済統計データベース
米国のコアインフレ率と10年債利回り
10年物米国債利回り
米国のコアインフレ率
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米国株
0
500
1,000
1,500
2,000
1992 1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013
US
S&P5
00 In
dex
Source: Bloomberg Professional (SPX)
US S&P500 Index
QuantitativeEasing
HousingExpansion
TechRevolution
米S&P500株価指数
IT株ブーム
住宅ブーム
量的緩和
米S
&P
50
0株価指数
出所:ブルームバーグプロフェッショナル(SPX)
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米国株
0%
10%
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1992 1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013
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Source: Date from Bloomberg Professional (SPX).Volatility Calculations by CME Economics.
S&P500 Historical Volatility米S&P500のヒストリカルボラティリティ
日次変化率(約1カ月間の指数加重
平均値)の標準偏差を年率換算
出所:ブルームバーグプロフェッショナル(SPX)のデータより、 CME Economicsがボラティリティを計算
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米ドル
0
30
60
90
120
150
180
米ドル実効レート(
19
67年以降はドル指数)
出所:ブルームバーグプロフェッショナル(DXY)
FX市場の推移
ブレトン ウッズ体制、金ドル本位制
米ドル下落、 インフレの1970年代
強い米ドル、 FRB議長に ボルカー氏
プラザ合意、ルーブル合意によって米ドル下落
ユーロに通貨統合、ディスインフレ
ゼロ金利政策
グリーンスパンFRB議長、金利1%へ
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• 米国のエネルギー生産ブームは2005~2006年に始まった。2014年現在、米国の原油生産量と天然ガス産出量は、どちらも2005~2006年の水準を40%上回る と予想されている。
• このエネルギーブームが米国経済を支え、金融危機後の実質GDPを0.5%伸ばしたと推計している。今後3~7年、米国の経済活動は、このエネルギーによる恩恵を受けることになる。
• 石油生産量の増加によって、輸入量が減少した。
• 天然ガスの産出量が増え、石炭に代わる電力向け燃料となっている。そのため 2006年以降、石炭の輸出量が2倍に増加している。
• インフラの不備で在庫が滞留した結果、興味深い価格スプレッドが2つ生じた。 ひとつは、ブレント原油と軽質スイート原油(WTI)のスプレッドである。 つまり世界価格と米国・カナダ産の原油価格にズレが出たわけだ。もうひとつは、WTIと天然ガスの英熱量(BTU)のスプレッドである。天然ガスがかなり割安だ。このBTUギャップによって、公共交通機関から肥料工場や発電所などの施設に至るまで、天然ガスのさらなる利用が促されるだろう。
• 重大な政策決定が下される可能性がある。キーストーンパイプライン計画が承認 されれば、米国では雇用が増加し、撤回されれば、カナダドルが難しい局面に陥るだろう。また、米国産天然ガスの輸出が解禁されれば、雇用の増加と液化施設の 増設があり、欧州と日本ではガス価格が低下し、ロシアではエネルギー税の歳入が減少し、米国ではエネルギーの完全な自給自足がやや後退することになる。
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米国のエネルギーブーム
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石炭
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
160,000
年間(単位:千米トン)
出所:輸出データは 米国商務省国勢調査局月次報告EM 545より
米国の石炭輸出入量
輸出
輸入
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ブレント原油とWTI原油の価格スプレッド
-$20
-$10
$0
$10
$20
$30
$40
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 20131バレル当たりの価格スプレッド(ブレント-
WTI)
ブレント-WTIスプレッド
出所:ブルームバーグ プロフェッショナル(USCRWTIC、EUCRBRDT)のデータより、CME Economicsがスプレッドを算出
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WTI原油と米国産天然ガスのBTUギャップ
-200%
0%
200%
400%
600%
800%
1000%
2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014
米国産天然ガス1ドル当たりと
WTI原油1ドル当たりの
BTUのギャップ
出所: ブルームバーグ プロフェッショナル(USCRWTIC、NGUSHHUB)
WTI原油と米国産天然ガスのBTUギャップ
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天然ガス
$0
$2
$4
$6
$8
$10
$12
$14
$16
$18
$20
1M
Btu当たりの天然ガス価格(単位:米ドル)
出所:ブルームバーグ プロフェッショナル(NGUSHHUB、NGIMGEP2、LNGJLNJP)
天然ガス価格(米国、 ドイツ、日本)
米国
ドイツ
日本
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• 2014年米国の実質国内総生産(GDP) =3.5%
• 2014年内の米国のコアインフレ率 =1.7%
• 2014年内のFF金利の誘導目標 =0.25%
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米国経済の見通し
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• 金融不況の後遺症 - レバレッジの解消にようやくカタがつく
• 財政および規制政策 - 障害となる要因は解消へ
• 通貨政策 - 量的緩和の終了、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標はゼロに据え置き、政策の効果が出始める
• エネルギーブーム - 重大な政策決定が下される可能性があるが、全体的には好調を維持
• 2014年米国経済予測 - 2014年米国の実質国内総生産(GDP)= 3.5% - 2014年内の米国のコアインフレ率= 1.7% - 2014年内のFF金利の誘導目標= 0.25%
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米国経済の見通し