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1 2016.7.1 外来化学療法室三木作成

2016.7.1 外来化学療法室三木作成 - Tokushima Ucdss.hosp.med.tokushima-u.ac.jp/cdss2/system/data/...オルフィス CV Kit(住友ベークライト) ⑧ パワーポートMRI

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2016.7.1

外来化学療法室三木作成

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上大静脈の下部1/3辺りまで挿入

皮下埋め込み型CVポート

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内頸静脈

鎖骨下静脈

正中皮/尺側皮/橈側皮静脈

対象となる血管

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末梢静脈が細く脆弱なため、血管確保が困難な場合。

オキサリプラチン、ゲムシタビン、ビノレルビンなど血管への刺激が強く、末梢からの投与が困難な場合。

末梢静脈からの投与では、血管外漏出のリスクが高いと判断された場合

大腸癌レジメンのFOLFOXやFOLFIRIなど、在宅での持続静脈注射が必要な場合。

オキサリプラチン (85mg/㎡)

(レボホリナートカルシウム (200mg/㎡)

5FU (2400mg/㎡) 持続静注

5FU (400mg/㎡)

急速静注

5HT3受容体拮抗剤 デキサメタゾン

ベバシズマブ (5mg/kg)

46時間

ベバシズマブ+FOLFOX

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◇ポート内腔は円筒状のスペースがあり、シリコンの蓋 (セプタム)で覆われたタンク状の形態

◇タンク内が薬液で満たされ、カテーテルを通って血管内へと到達するシステム

◇ポートの穿刺耐用回数は22Gで1000回~2000回

チャンバー

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通常の

注射針での穿刺は禁忌

針は通常22Gを使用。

針の長さは、ポートの高さと皮膚の厚みから適切なサイズを選ぶ

通常19mm

通常の針 翼付フューバー針

シリコンを 削り取る

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1)オープンエンドタイプ

カテーテル先端が常時

開口している

2)グローションタイプ

カテーテル先端付近側面に

開閉式スリットがある。

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ヘパリンロックが不要

グローションカテーテルのしくみ

カテーテル先端のバルブが 圧によって開閉する

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逆血:可能

採血:可能

ロック:生食ロック可能

造影剤:可能

*造影剤自動注入器を使用し高圧注入(最大注入圧力300psi内)できる

逆血:可能

採血:可能

ロック:生食ロック可能

逆血:可能

採血:可能

ロック:オープンエンドである

が生食ロック可能

逆血:可能

採血:可能

ロック:生食ロック可能

オルフィス CV Kit(住友ベークライト)

パワーポートMRI isp(メディコン) PU セルサイトポート(東レ)

BARDポートTi(メディコン)

当院でSPD登録されているCVポート 2016.4月現在

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ポートの種類 カテーテル形状と確認方法

PU セルサイトポート(東レ) オープンエンド(ヘパリン不要・逆血可能

バードポートTi(メディコン) グローション(ヘパリン不要・逆血可能)

パワーポートMRI isp(メディコン) グローション(ヘパリン不要・逆血可能)

オルフィスCVKIT(住友ベークライト) グローション(ヘパリン不要・逆血可能)

バイタルポート(クック) オープンエンド(ヘパリン必要 逆血可能)

オルカ CVキットカテーテル

(住友ベークライト) グローション(ヘパリン不要・逆血不可)

BARD MRIポート(メディコン) *ヘパリン要・不要あり。そのつど業者へ確認

逆血可能

バードスリムポート(メディコン) オープンエンド(ヘパリン必要・逆血可能)

Dewx(テルモ) オープンエンド(ヘパリン不要・逆血可能)

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オープンエンドタイプ グローションタイプ

ポートを長期間 使用しない場合

4週に1回程度、ヘパリン加生理食塩水5mlを 陽圧フラッシュロックする

4週に1回程度、生理食塩水5mlを注入する

薬液注入後の抜針時 10mlの生理食塩水で注入

後、ヘパリン加生理食塩水5mlを陽圧フラッシュロックする

10mlの生理食塩水を注入する

血液逆流時 20mlの生理食塩水で注入

後、ヘパリン加生理食塩水5mlを陽圧フラッシュロックする

20mlの生理食塩水を注入する

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*陽圧フラッシュロックとは

オープンエンドでは、抜針時に陰圧になり、血液がカテーテル内に引き込まれる。そのためへパリン加生食を注入し、そのまま圧をかけながらクランプをする

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◎いずれも10cc以上のシリンジを使用

10ml以下のシリンジでは、 ポートチャンバー内や接続部を過圧し、 ポート本体やシステムを破損させる可能性がある。

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セプタムの中心に確実に刺入

不適切な穿刺

コツっという

手ごたえを感じるまで刺入

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*セプタム中央に垂直にチャンバーの底部まで針を刺す。

*底部にコツッと当たる手応えがあれば、それ以上押し進めな

い(針先がめくれることで、抜針時出血することがある) *血液を逆流させ、血管内に入っていることを確認する。

*どうしても逆血確認ができない場合、生理食塩水注入と自然

滴下が良好であれば投与可能であるが、合併症の可能性も

考え医師へ報告しておく。

*逆血確認後は生理食塩水20mlでパルシングフラッシュする。

*生理食塩水注入時、違和感、疼痛、抵抗、ポート周囲の

腫脹の有無を観察し、必ず自然滴下の状態を確認する。

*穿刺部位は可能な限り毎回ずらし皮膚損傷を避ける。

パルシングフラッシュとは 2mlくらい「押す」・「止める」を、数回繰り返して注入する方法。 このことでポート内、カテーテル内に乱流を発生させより高い洗浄効果を発揮する

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グローションカテーテルの逆血確認方法

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①まず2mlほどゆっくり吸引する

②吸引をとめ、グローションバルブが 開くのをしばらく(5秒ほど)待つ

③再びゆっくり吸引してみる

*それでも逆血が出来ない場合 最初に、2~3ml生理食塩水をゆっくり注入してみる

①~③を行う 次に

逆血が不良な場合に考えられること フィブリンシースの形成、カテーテルピンチオフ、カテーテル破損、断裂、閉塞、血管壁に カテーテルがあたっている、セプタムの底の血栓貯留、針やカテーテルの位置異常

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*抜針前に、ポート周囲の発赤や、腫脹、疼痛などの

異常がないか確認する。

*ヘパリン加生理食塩水の注入が必要なときは、必ず

陽圧フラッシュロックを行う。

*抜針後、少量出血がみられたら、しばらくアルコール

綿やガーゼでおさえ、止血確認後にカット判を貼る。

*穿刺部位に異常がなく、抜針後2時間経過していれ

ば、入浴可能。カット判も不要。

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*日本では明確な規定はなく、各病院のプロトコールまかせが現状である(1~2回/週が多い)。

米国では、ONS(Oncology Nursing Society)・INS(Infusion Nursing Society)ガイドラインに基づき、

刺したまましばらく留置し点滴する場合には、

1週間に1回交換となっている。

*間欠的に点滴投与する場合は、朝・夕でもその都度穿刺する。

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*早期合併症(ポート造設から初回使用までに発生) ①気胸②カテーテル誤留置③空気塞栓④大血管損傷

*遅発性合併症(CVポート長期使用で発生)

①カテーテル機能不全(カテーテルピンチオフ、フィブリンシース、カテーテル内血栓形成、カテーテルの屈曲など)

②血栓性静脈炎、静脈血栓症 ③薬液の皮下漏出 ④皮膚障害 ⑤感染 ⑥ポートの反転

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カテーテルピンチオフ カテーテルが鎖骨と第一肋骨の間に挟み込まれるために

生じるカテーテルの閉塞および損傷

ピンチオフエリアでは カテーテルが静脈内

ピンチオフエリアで カテーテルが直接 挟まれている

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*ポート挿入時、鎖骨下静脈からの穿刺時にピンチオフエリアに カテーテルが直接挟まれないよう遠位側よりアプローチする

*ピンチオフの徴候を早期に発見する

臨床的徴候 ・血液の吸引が困難 ・注入に抵抗がある

・吸引や注入が体位によって 影響を受ける

座位から仰臥位になる、 上肢を挙上する、 ポートが留置されている逆の方へ 向く などの動作により、 生理食塩水の注入がスムーズに なればピンチオフを疑い、 医師へ報告し、胸部X線を撮る。

*上肢を挙上することにより鎖骨と第一肋骨間が広がる

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グレード 重症度 奨励する対応策

グレード0 変形なし 様子観察

グレード1 カテーテル内腔の狭窄はないが、変形が認められる

ピンチオフが進行していないか1~3か月に1回、胸部X線撮影を行う

グレード2 カテーテル内腔の狭窄があり変形が認められる

カテーテルの抜去を考慮する

グレード3 カテーテルが破損もしくは断裂

直ちにカテーテルを抜去する

カテーテルの変形:G2

放射線学的徴候 ・胸部X線像のグレード1あるいは2の変形がある

カテーテルピンチオフのグレード

ピンチオフによる 破損部からの漏出

メディコン提供

島田安博大腸がん準化学療法の実際 2006金原出版より

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フィブリンシース

血栓性静脈炎・静脈血栓症

・好酸性物質と炎症性細胞から構成される蛋白質のコートで、さや状にカテーテル の表面を覆う。 ・カテーテル全体を覆うようになると、カテーテル先端から注入された薬剤が フィブリンシースを伝わり、皮下まで逆流する現象が起きる。 ・逆血や注入ができない場合や注入はできるが逆血ができない場合に疑われる。 ・造影CT検査にて診断する。

・カテーテル先端の位置異常、カテーテル径、挿入手技、血小板数などがリスク 要因となる。 ・留置部から末梢の腫脹や浮腫、静脈の怒張、疼痛などの症状が出現する。 ・肺塞栓の併発を予防するため早期に造影CTで診断する。 ・ポートから採血後十分フラッシュせず放置したり、オープンエンドカテーテルでは、 抜針時に血液がカテーテルに引き込まれることも血栓の原因となるため、 必ず陽圧ロック後に抜針する。

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不完全な針先の位置

(最も多い)

ポートとカテーテル

接続部の離断

カテーテルの破損や断裂

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1.穿刺時は生理食塩水で確認後、薬剤を投与する。 2.確実な穿刺と固定を行う。 ①手順は正しいか? ②逆血を確認できるか? ③生理食塩水の注入はスムーズか? ④自然滴下は良好か? 3.CVポートの場合、自然滴下確認後、輸液ポンプを使用するため、 腫脹や疼痛など血管外漏出の兆候がないか綿密に観察する。 4.血管外漏出時は、末梢静脈投与時と同様、漏出時ガイドライン に基づき対処する。 5.漏出の原因がポートやカテーテルにある場合、再投与せず 造影検査で損傷を確認後ポートは抜去する。

*逆血確認

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皮膚障害 皮下ポケットの感染や、創傷治癒遅延、同一部位の穿刺から 皮膚の潰瘍、ポートの露出が起こる ・ポート挿入時に皮下の厚さに注意する(皮膚が薄いと露出しやすい) ・セプタムの穿刺部位を毎回ずらす(痂皮形成やセプタム損傷を避ける)。

・22G以上の太い針は使用しない。 ・アバスチンなど、創傷治癒遅延が副作用にある場合、ポート 造設後、ある程度期間をあけて投与しなければならない。 ・皮膚の観察がしやすい固定の工夫(透明のドレッシング剤等)

ポートの露出 ポート挿入部皮下出血

軽度の発赤・びらん程度・・・軟膏処置で様子観察 潰瘍形成、ポート露出・・・ポート抜去

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感染 ポート造設時や管理上での清潔操作が

不十分な場合に感染のリスクが高くなる。

*早期発見と対処 ・感染の徴候を観察する 局所症状:CVポート挿入部周辺の皮膚の発赤、腫脹、疼痛など 全身症状:発熱など ・抗菌剤投与、ポート周囲の感染では、直ちにポートの抜去を行う。

*予防 ・清潔操作の徹底 ・処置時の手洗い、手袋の着用 ・穿刺部の十分な消毒→アルコール綿(イソジンでも可)で2回消毒を 行い、皮脂等の汚れを十分に落とす。消毒後は手で触らないこと。 ・穿刺部位の清潔な環境を保持する ・クローズドシステムの使用

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皮下ポケットが大きすぎる場合などに、まれにポートが反転(上下さかさま)していることがある。

手触りでポートが反転していないかを確認する。

穿刺時に針が刺入できない場合には、無理に押し進めない。

用手的に整復(医師)できることがほとんどである。

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薬液注入中は、薬液注入量、ポートの周囲の発赤や腫脹、 痛みなどがないか、皮膚の状態の観察を行う。 輸液ポンプの閉塞アラームが鳴った時は、すぐに再開する のではなく、①ルートの閉塞がないか②刺入部の観察(針の 固定状況や腫脹・疼痛の有無)③自然滴下はあるかを確認 し、自然滴下がなければ、逆血確認と生理食塩水でスムー ズに注入できるかを確認する。 異常を認めたら医師へ速やかに報告する。 1回/週の針の交換時(持続連日投与の場合)や薬液を 注入していない場合にも、定期的に皮膚の観察を行い、 患者にも異常な感覚がないかなどの確認をする。

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ポートの仕組み

ポートを埋め込む目的

ポートの管理について

・穿刺している間の清潔保持の必要性

・日常生活での注意

埋め込み側の腕の激しい運動は避ける

ポート部に圧力を加えたり、こすらない

・発赤、疼痛、腫脹などのポート周囲の観察

・発熱、息切れなどの全身状態に注意する

緊急に連絡が必要な場合について

・ポート周辺の皮膚の異常、発熱、穿刺針の事故抜針など

*患者シミュレーション も必要。

患者記録カードを 常に携帯してもらう

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①親指と一差し指の関節内側でウイングの 両サイドを把持

②ウイングの両サイドを締め付ける

③パチっとウイングを完全にたたみこむ

① ② ③

フューバー針の抜針方法

外来化学療法室

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患者教育 「患者用パンフレット」

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*点滴終了抜針後、いつ入浴できますか? 抜針後2時間経過し、皮膚に異常がなければ入浴可能。 *ポートからの採血は可能ですか? 逆血可能なタイプのポートであれば採血可能。生理食塩水で洗浄後、 ポートタンクの内容物を吸引し、2~3mlの血液を捨て、その後の血液 を採取する。採血後は生理食塩水20mlで十分カテーテルを洗浄する。 ただし血栓形成や感染の機会にもなるため、末梢静脈からの採血が 望ましい。 *薬剤投与時のルートには、フィルターは必要ですか? 細菌のトラップやガラス片など微小異物、薬剤配合変化により生じた沈 殿物を捕捉するためインラインフィルターを使用する。ただし、フィル ター使用禁止と添付文書に明示されている薬剤には使用しない。 *ポートを留置している腕での血圧測定や採血は可能ですか? できれば留置していない側の上肢で血圧測定や採血を実施する。 やむ負えない場合、ポート留置側での血圧測定は可能。 採血は、ポート留置部位より下部の血管を選ぶ。

CVポートに関してよくある質問

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ポートの構造や用途を十分理解した上で取り扱う。 ポートを取り扱うにあたって熟練したスキルを持つ。 合併症についての理解を深め、合併症予防の観点で エビデンスに基づきケアを行う。 合併症のほとんどが透視、造影検査を必要とするもの であり、緊急性を要するものが多いことから、早期発見、 早期診断と早期対応が不可欠である。