93
artnership ursing ystem 平成25年11月5日 副病院長・看護部長 橘 幸子 徳島大学看護部PNS研修会 看護職の働き方を変えるPNS

看護職の働き方を変えるPNS Partnership Nursing …cdss.hosp.med.tokushima-u.ac.jp/cdss2/system/data/...Partnership Nursing System(PNS) 1.看護師の経験の差を互いに補い、均等な看護サービスを提供

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Partnership Nursing System

平成25年11月5日

副病院長・看護部長 橘 幸子

徳島大学看護部PNS研修会

看護職の働き方を変えるPNS

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2

本日の内容 福井大学医学部附属病院の概要

PNSが生まれた背景

現状の看護

・ 現行看護の問題点

PNSの概要

勤務の実際

PNS成功のカギ

PNS導入・定着のために

・ パートナーシップ・マインド

PNSの成果

PNS導入時期の混乱:初期の混乱と1年後の看護師の反応

患者の反応

実習学生の反応

医療安全面から

まとめ

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3

<概 要>

1983年10月1日 開院

定床 :600床

総合周産期母子医療センター

(NICU6床、GCU6床、MFICU3床)

平均在院日数:15.4日

病床稼働率:87.0% (平成24年度)

職員数 :約1400名(看護職員660名) (平成25年4月)

最高・最新の医療を安心と信頼の下で

平成19年6月

7対1入院基本料算定開始

<理念>

人にやさしい看護

<看護部理念>

福井大学医学部附属病院

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勤務形態

12時間二交代勤務 一般病棟:4人夜勤体制

(7対1入院基本料算定以降)

日 勤 8:30~17:15

(実労働時間7時間45分 休憩1時間)

長日勤 8:30~21:30

(実労働時間11時間45分 休憩45分+30分)

夜 勤 20:30~翌朝9:30

(実労働時間11時間30分 休憩60分+30分)

多様な勤務時間と早出3パターン・遅出9パターン

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5

● ● ●

● ●

● ●

10

15

平成

15年

16年

17年

18年

19年

20年

21年

22年

23年

退 職 率

● : 全退職率

● : 新卒者退職率

7対1看護

看護総合力育成体制

PNS導入

24年

平成22年度

全国平均 常勤看護師 11.0%

新卒看護師 8.1%

福井県 常勤看護師 6.9%

新卒看護師 4.2%

4.3%

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6

PNSが生まれた背景

ある病棟の現状

・毎日のようにある手術・検査・処置

・休憩時間も不十分

・手術患者を受け持ったら何時に帰ることが

できるかわからない

・・・日勤は20時?長日勤は0時越え、夜勤

はお昼近く・・・ ・殺伐とした状況で会話もまばら

・ただ無言で仕事を黙々とこなす毎日

・7対1になっても全く変わらない現状

だから、冷たくて、恐くて人気のない病棟だった

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重い負担

精神的重圧 オカレンス

発 生

ある夜勤の出来事(4人夜勤:1年目・3年目・ベテラン2名)

検査予定の患者が腹痛を訴えている

受け持ち患者+検査目的の一泊入院患者を担当

つらい胸の内

患者の状態が

徐々に変化

・当直医に連絡、

指示あり施行

・3年目Nsと相談

何度も訪室し様子観察していたが、

ベテランには相談せず

患者は重篤な状態となる

家族に病状説明

看護師長同席

家族:驚愕、立腹

師長を罵倒

二度とこんな

思いをしたくない

・1人で患者を

看ることの限界

・経験知の差による

観察の限界

看護体制の限界

看護師2人でやろう!

パートナーシップを

絶対はじめよう!

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パートナーシップ <定義>

「相互の特性の認識・尊重」を基礎として、

相互に「対等関係」のもとで、「協調・協働」

していくこと。つまり両者が互いに対等の

当事者であることを認め合うこと

パートナーシップ:協力関係・協働・提携

(総務省2000年)

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パートナーシップ:協力関係・協働・提携

・立場の異なる組織や人々が明確な目的の基に対等な関係を

結び、それぞれの得意分野を活かしながら協力し合うこと

・持ち味や得意分野の異なる者が、パートナシップを組むことで、

それぞれの持ち味を活かし合理的な課題解決の枠組みを作る

互いの特性・能力を活かす

(シナジー効果)

相乗効果

の期待 互いの資源の共有

補完

1+1=2にも4にもなる

パートナーシップは組織の本質

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現状の看護がかかえる問題点

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受け持ち体制

1人で複数の患者を受け持ち、自己完結型でその日を終わらせる体制

重い負担

精神的重圧

超過勤務

+

蓄積疲労

オカレンスの発生

精神的疲弊

モチベーションの低下 離 職

今の看護体制は、

何十年も変わらない

1人で悪戦苦闘の毎日

受け持ちと日によって違う患者を受け持つ

患者の変化に

気づくことが遅れる

早朝出勤

長引く病気休暇 抑うつ状態

適応障害

うつ気分

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自己完結型の看護

看護師1人ひとりが独立した存在として、1人で行動し、

自己が保有する専門知識で問題を解決し意思決定を行う。

看護師の経験や力量に合わせて患者を選択

問題を解決し意思決定を下すまでの

時間は看護師によって異なる。

時間差

モチベーション低下 オカレンス

身体的疲労

精神的疲弊 人間関係の軋轢

個人生活

患者は

おいてきぼり

???

しかし、

経験によって

状況判断に差

が出る看護

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1.学校で教科書から学ぶ

2.実習・体験から経験的に学ぶ

3.患者と接して仕事の中で学ぶ

4.ベテランの先輩から指導を受ける

5.院外・院内の研修会で学ぶ

6.雑誌や学会などの新しい知識を吸収する

7.新しい知識を実践して気がつく

8.新人指導をしながら逆に教えられる

9.チームをまとめる際に養われる

10.リーダーとして判断する

獲得する段階

看護実践で必要とされる知識(看護の知)

新人時代

ベテラン看護師への道中

大串正樹:ナレッジマネジメントより改編

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2人で協働することの意味

経験を重ねる 看護師としての能力を身につける

・数年の経験しかない

のに 高い技術を身

につける人

・勉強熱心な人

・長い経験はあるが

今一つの人

・勉強嫌いの人

・新人看護師

技術はどんどん進化

歴然とした差

知識として身につけていない新たな事態に

直面した時、正しい判断を下せるか

自己完結型の看護の限界

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看護師の経験に関わらず1人で複数の患者を受持つ

受持ち患者は担当看護師にお任せ状態

経験によって患者の観察・状況判断に差が出ている

経験によって業務内容・終業時間に大きな差がある

1人ひとりの看護師の業務状況・内容が掴み難い

始業時間前から出勤し、終業時間は遅い

おまけに

コミュニケーション能力が不足している

若い看護師に対する指導やサポートが行き届かない

現行看護体制の問題点

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看護界の

悪循環

1人で複数を

受け持つ

自己完結型看護

看護師の力量で

左右される看護

不安・不満

疲弊・忙しい

忙しい

離職の増加

病院の悪評

人手不足

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PNSの概要

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看護師が安全で質の高い看護を共に提供すること

を目的とし、2人の看護師がよきパートナーとして、

対等な立場で、互いの特性を活かし、相互に補完し

協力し合う看護提供方式。

2人の看護師は、毎日の看護ケアを始め、委員会

活動、病棟内の係の仕事に至るまで、1年を通じた

パートナーとして、その成果と責任を共有する。

パートナーシップ・ナーシング・システム

Partnership Nursing System(PNS)

定義

『責任』と『やりがい』を2人で分かち合う新たな看護提供方式

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パートナーシップ・ナーシング・システムの特徴

Partnership Nursing System(PNS)

1.看護師の経験の差を互いに補い、均等な看護サービスを提供

2.業務を効率化し、超過勤務(残業)を削減

2人1組でベッドサイドケアの実践により安全な医療を提供

新人看護師の知識・技術の習得スピードの向上

ベッドサイドで記録記載により、記録のための超過勤務(残業)削減

勤務時間管理により効率的な業務の実践

勤務時間管理により看護のやりがい感、達成感の向上

(公平な)

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パートナーの選び方

みんなの前で、自分で決める

自薦、他薦で決める

他人や看護師長による押しつけはダメ!

キーワード:違いを活かす

所属部署の看護師

全員が集まる場所

で決定する

性格

仕事のやり方

考え方

趣味

年齢

ルールは崩さない

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副師長をコアとしたグループ編成

PNS

○○副師長 グループ

教育 担当 ○○ ○○ ○○ ○○ ○○

5組の

パートナー

○○副師長 グループ

記録・福利 担当 ○○ ○○ ○○ ○○ ○○

○○副師長 グループ

業務 担当 ○○ ○○ ○○ ○○ ○○

5組の

パートナー

5組の

パートナー

・年間を通してお互いの

活動を補完し協力しな

がらグループ活動を行う

補完の四重構造

・パートナーを副看護

師長3人のグループ

に分ける

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個人

パートナー

グループ

他のグループ

補完

補完 補完

補完

補完の四重構造

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用語の説明

パートナー:1年を通じて、看護ケアや病棟内外の割

り当てられた業務を補完し合う2名の看

護師(原則2名)

ペ ア :毎日の看護ケアを行う2名一組のそれぞ

れの 看護師のこと

グループ:副看護師長をコアとした何組かのパート

ナーの集まり

チーム:毎日の看護ケアを行う2名一組の看護師

のこと

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日勤のメンバーで基本的に5ペアを作る

長日勤

長日勤

長日勤

長日勤

日勤

日勤

日勤

日勤

日勤

原則、年間のパートナーと組む。

同じ副看護師長グループでペアを組む

いない場合は、別の副看護師長グループと組む

日勤

Bチーム

Cチーム

Dチーム

Eチーム

Aチーム

日勤

日勤

看護師長

遅出

遅出

リーダー

日勤の補完

長日勤の補完

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チーム

チーム

チーム

チーム

チーム

長日勤

長日勤

長日勤

長日勤

日 勤

日 勤

日 勤

日 勤

日 勤

日 勤

日勤勤務者の再編 リシャッフル

午後14時ごろ 日勤リーダーは、業務の進行状況を各チームに確認する 業務内容、量を把握しチームの再構成(リシャッフル)を行う 例えば AチームとCチーム BチームとDチーム 互いに協力し補完し合って定時終業を目指す。 そして、消化できなかった業務は、すべて補完者に移行(委任)する。

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A チーム

チーム

チーム

チーム

チーム

長日勤

長日勤

長日勤

長日勤

日 勤

日 勤

日 勤

日 勤

日 勤

日 勤

長日勤

長日勤

長日勤

長日勤

日 勤

日 勤

日 勤

日勤帯 夜勤帯

日 勤

日 勤

日 勤

リシャッフル

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<日勤>

補完体制の構築

看護業務の不十分な部分を補い確実なものにすること

21:30 12:45

21:30

<長日勤>

8:30

8:30

17:15

9:45 18:30

8:30 17:15

9:30

<夜勤>

20:30

補完

補完

補完

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マネジメント能力の育成

自分が担当する勤務時間の時間管理

患者の把握とペアで行っている業務の把握

ペアの業務の進捗状況によって業務調整

時間毎に変化する病棟の状況に応じて、

補完体制を整える(調整・配置)

すべてのペアの業務が定時終了することを

目標としてマネジメント

リーダーの役割

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29

マネジメント能力の育成

リーダーの育成

看護師長とリーダーのパートナーシップ

看護師長の管理観の伝承・伝授

看護師長・リーダーの人となりを知る機会

次期管理者の見極め

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30

マネジメント能力の育成

自分が担当する勤務時間の時間管理

患者情報とスケジュールを把握し、患者ラウンドを行う

患者にとって最良の看護を行うために、ラウンド開始前や

ラウンド中の実践場面においても意見を述べ合う

受持ち担当患者のすべての看護業務について、

情報共有し、相談・調整しながら業務を進める

リアルタイムに看護記録を記載をする

定められた勤務時間内に業務が終了するようペアで

調整する

ペア間で起きた出来事は、すべての面においてその責任と

成果を共有する

ペアの役割

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勤務の実際

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朝の申し送り前

リーダーは

重症者の情報収集

ペアは

受持ち患者にご挨拶

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朝の申し送り場面

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ラウンド開始

そして医師が残った

スタッフルーム

OP後のBさんを

最初に行こうか

そうですね

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ペアが別々で得た情報を交換

うまく話していたね

次はAさんだね

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ラウンド風景

一年生と3人でペア

だからよろしく!

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13:00

お昼のカンファレンスと

リシャッフル

15:15~10分程度

長日勤への申し送り

その後4人が2人ずつの

ペアになって業務確認

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PNSの成果

定時になったね お疲れ様!

17:15 日勤の業務終了

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20:15ごろ

夜勤者の登場

それぞれが受持ちの情報収集

ペア間で情報交換

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夜勤のラウンド

PCは各自1台ずつ

必要時ペアで行動

3人夜勤の場合

・1人をリーダーとして

戦略を立てる

3人で別々に

2人でペアになって

1人は単独で

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Cさんの呼吸は変化なかったです

よかった、

ありがとう

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PNS成功のカギ

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経験の中に考える習慣作り

経験を通じて経験の質を高める

・同じ実践を繰り返していても成長はない

・1人ひとりの患者に応じた実践が必要

・実践の中で自らが主体的に関わっていく

・対話を通じて判断のポイントを示す

・異なるケースを説明する

2人で協働することの意味

日常業務の中の暗黙知の獲得

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記憶に残る教え方とは・・・

「聞いたことは、忘れる。見たことは、覚える。

やったことはわかる」 (老子)

教えたとき

• 聞いて見たとき

• 見たとき

体験した時

• 話し合ったとき

10% • 聞いたとき

15%

20%

40%

80%

90%

吉田新一郎;効果10倍の教える技術、PHS新書、2007

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46

実践

安心・安全

他部署での実践に

よって獲得し必要と

され蓄積された知識

学生時代に得た知識

ベテランの技術 補完

補完

個人の経験によって獲得された身体的・ 経験的な言語に表わせない知識は伝達や共有が困難 実践を通してのみ伝達が可能 伝達・共有するためには対話や共通の経験が不可欠

ベテランの知識

新人看護師

看護師

熟練看護師

実践によって獲得し

必要とされ蓄積され

蓄積された知識

PNSの価値

ベテランと協働

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・パートナーシップは単純でも簡単でもない

従来の序列的関係を排除した、高度に洗練された

対人関係技術とコミュニケーション技術を要する

複雑な過程

・・・だから、なんちゃってPNSはつぶれる!

PNSの価値

PNSは単なる看護方式ではなく、

継続教育の一環である

PNSは単なる看護方式ではなく、

人材育成のツールである

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PNSの成功のために

1.質の高い実践的な日常業務

・実践の中に省察(reflection)を取り入れる

単なる振り返りではなく、クリティカルシンキング

実践を批判的にとらえ単に振り返るだけではなく、

創造的に解決策を見出す。過去の経験が豊富で

あればある程、参照する知識にも多様性が生まれる

・暗黙知の獲得

質の高い日常業務の実践から豊かな暗黙知が得られる。

無意識な実践による獲得は不可能

「どうあるべきか」「どうするべきか」

一度獲得した知識は即座に実践に活用可能、

これの積み重ねにより、業務の効率化は確実に向上

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PNSの成功のために

2.知の共有と協働

・パートナーとの「現状認識」→「判断」 → 「知識の実践」 →

「省察」・・・新たな経験の積み重ね→実践の多様性

⇒教育的な実践…多様な視点からのオカレンスの防止

・共同:業務分担して並行して作業を進める

・連携:同じ業務を一緒に実践しながら長所や得意分野を

活かす

・協働:互いに工夫し合いながらお互いの殻を破って、それ

ぞれの能力を超えたより大きな力を発揮する

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PNSの成功のために

3.対立を乗り越える

・知識の実践:直面する矛盾や価値観の相違から生まれる

対立は不可避

・十分な相互理解、コミュニケーションによる情報や知識の

共有

・「妥協」を超えた新たな知識の創造

・感情的な対立にならないように、互いに認め合う姿勢

・違いを活かして、互いの良い部分を引き出す

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PNSの成功のために

4.看護記録を勤務時間内に書く

・これまでの習慣からの脱却

固定観念の

排除

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52

PNSの導入・定着のために

パートナーシップ・マインド

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53

看護部の取り組み

PNS説明会・・全看護師対象

PNS推進委員会・・各病棟から1名選出

委員が各病棟をラウンド

人事交流・・・PNS開発病棟で体験

パートナーシップマインド研修・・年1回

全看護師が対象

DVDへ

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54

PNSを全体目標としてから浮上した問題

全部署導入2年目に浮上:

部署によりパートナーとの仕事の仕方や関わり方に差があり、

PNSの形式をとっていても、スタッフにより中身の伴わない

PNSになっている

全ての看護師がパートナーシップ・マインドを持ち続けることが、PNSの定着につながる

あなたはあっち!

私はこっち!

記録まだ書くの

遅いね!さっさとして!

ケアは後から

まとめてしよう!

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55

パートナーシップ・マインドとは

パートナーシップ成功のカギ : 「心の持ち様」

パートナーシップとは「共に何事かを成す仲間との、

信頼に基づく対等な関係」

パートナーシップとは、

人間の働き方、人間の関係性のひとつの形態

広く受け入れられるかどうかは「人の心」「人の意識」

に大きく依存する

パートナーシップの3つの心:「自立・自助の心」

「与える心」 「複眼の心」 橋口 寛:パートナーシップ・マネジメント、ゴマブックス株式会社、

P132~133.2008

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56

PNSの定着を促すための重要ポイントは

『パートナーシップ・マインド』である。

PNSという仕組みがあっても働く人たちの

「マインド」が変わらなければPNSを成功に

導くことはできない。

パートナーシップを構成する全ての看護職員が、

各部署で働くお互いの人を良く知る。

お互いの意図や人となりを良く知り、職場の活性化 を図ることが必要

パートナーシップ・マインドとは

“研修が必要”

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複眼の心

パートナーマインドとは

他者に依存するのではなく、

1人のプロフェッショナルとして

自らの頭で考え、自らを助ける心の

もち様である。

与える心

自立・自助の心

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58

• 他人の思惑や評価を気にせず、事の善し悪しの

判断基準を心に持つ

自立・自助の心

与える心 ・ 相手に求める心を捨て、与える心を育てる

ことからスタート

裸眼の心 ・ 視座を変え、角度を変えてモノを見れば、

それは違う価値を持つ

自分・相手を過信しない

お互い異なった目で確認するからこそ

ミスを未然に防ぐことができる

重要な要素はパートナーシップマインド

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59

パートナーシップ・マインド研修

新 人 : パートナーの役割と補完

3年目 : 新人看護師のパートナーとなることが

できる段階

「フレッシュパートナー研修」

4年目以上 : マインドを損なう事例と模範事例

DVDを見よう

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60

パートナーシップ成功の条件

1.価値観と情報を共有すること

2.パートナーシップ・マインドを持つこと

3.価値(アウトプット)に注力すること

先に与える:価値提供を先に考えるアウトプット志向の

発想を持つこと

Give&Takeではなく、Give&Given 感謝の心

どちらが上でも下でもない。対等な関係

両者の絆は、両者に生まれる「信頼感」 情報を抱え込むことはパートナーシップを損なう

すべての情報を徹底的に共有する

自立・自助の心(セルフ・ヘルプ) まず与える心(バリューファースト) 「複眼」の心(マルチ・ビューポイント)

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61

PNSの効果

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看護の可視化・伝承・伝授

安心・安全な看護の実践

教育効果

人材育成

看護記録をリアルタイムで記載できる

患者からのセクハラの抑止

超過勤務の削減

ワークライフ・バランスの実現

離職率の低下

病棟の活性化

ナースコールの減少

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63

看護実践の中でベテラン・中堅

から若手・新人看護師への知識

の循環・伝承が可能になる

看護の可視化・伝承・伝授

術後患者さんのラウンド おなかの音を聞いてみて!

教育効果・人材育成

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64

力仕事を2人で協力

肉体的負担が減る

患者も安心

安全を提供できる

効率よく仕事が進む

患者・看護師にとって、安心で安全な看護展開

効率的で安心・安全な看護の実践

2人でやろうね 2人3脚

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65

協働体制で補完

リアルタイムな

看護記録の記載

2人3脚

2人3脚

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リアルタイムな看護記録記載の必要性

従来の記載方法

・メモや記憶に頼って記載

・主に勤務時間外に記載

PNSによる記載方法

・記載時間までカルテは白紙

・メモを転記することでミスが

生じる可能性

・口頭による情報伝達のみ

(電話連絡)

・情報の携帯

・患者のそばで観察しながら

最新情報を記載

・情報を即時記載

・メモの転記によるリスクの回避

・口頭による情報伝達が不要

・申し送り時間の短縮

・カルテ閲覧による情報提供

患者の情報を正確に捉え医療チームとして

情報共有が可能

電子カルテのメリットを共有

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67

西3 8:30~17:15の記録

0

50

100

150

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350

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

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12000

西3

全体

西4 8:30~17:15の記録

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0

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12000

西4

全体

PNSの導入が進んでいない病棟

消化器外科病棟

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西3 20:30~9:30の記録

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0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

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西3

全体

西4 20:30~9:30の記録

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0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

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西4

全体

PNSの導入が進んでいない病棟

消化器外科病棟

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全看護単位でPNS導入&クラウド化 H21.9月 A病棟~PNS導入

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0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

平成18年

19年

20年

21年

22年

23年

24年

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

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6.0

7.0

8.0

超過勤務時間の推移

総時間数: 1人当たり/月平均:●

時間 時間

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PNS

PNS

PNS

PNS

7:1

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東病棟7階 ナースコール件数と平均応答時間(秒)

3月末2Wと4月末2Wの比較

0

100

200

300

400

500

600

3/17(日)

3/18(月)

3/19(火)

3/20(水)

3/21(木)

3/22(金)

3/23(土)

3/24(日)

3/25(月)

3/26(火)

3/27(水)

3/28(木)

3/29(金)

3/30(土)

4/14(日)

4/15(月)

4/16(火)

4/17(水)

4/18(木)

4/19(金)

4/20(土)

4/21(日)

4/22(月)

4/23(火)

4/24(水)

4/25(木)

4/26(金)

4/27(土)

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

件数(一般)

件数(センサー)

平均応答時間

合計 6039 件 合計 2312 件

1日平均 431.4 件 1日平均 165.1 件

平均応答時間 15.6 秒 平均応答時間 10.3 秒

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PNS導入初期

PNS導入時期の混乱

PNS導入病棟の看護師へのインタビューより

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74

PNS導入初期の看護師の反応

皆がパニック、どうしてPNSをするのかわからない

何をするにも一緒だから、

今まで1人でやってき たことが倍手間がかかる

俺流、わたし流のことができない

受け持ちが倍になる、大変という感覚

指示を“倍”確認しないといけない

先輩が責任をとらならいといけない

先輩はペアのしたことを

全部確認したくなる(任せられない)

相手が若く知らないことが多いと思うと負担感がある

同じ指示の確認を2人が別々にしてしまう

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PNS導入1年後

PNS導入時期の混乱

PNS導入病棟の看護師へのインタビューより

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PNS導入1年後の看護師の反応

すごく良いシステム、安心で心強いシステム

指導もその場ですぐ出来る

定時に業務が終わる

後輩の色んな見方や患者対応が丁寧なのがわかった

先輩は初心に帰る、後輩に質問された時、意外と知らない自分に気づき、家に帰って勉強する気持ちになる

先輩に謙虚な気持ちや向上心が芽生える

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PNS導入1年後の看護師の反応

1年間のパートナーとは、本当に何でも話せて頼りになる存在だと気がつく。1年が過ぎてパートナーを解消してもその人のことは気になる

看護師同士のコミュニケーションが増し、病棟全体が親子のような兄弟のような感覚になる:活気づく

先輩であろうと後輩であろうと感謝の気持ちになる。相手を思いやる気持ちになる

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患者の反応

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方法

1.調査対象

分析対象 2012年8月~9月に退院した

入院患者 680名

回収数 599名 回収率88%

有効回答数 523名 有効回答率76.9%

2.調査方法 無記名自記式アンケート調査 退院が決定した患者に、回答の仕方と倫理的配慮に ついて説明して看護師長(または代行)が調査票を 配布し、退院日までに、回収箱に投函してもらった

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考察

★PNSに関する多くの項目が患者満足度影響要因として抽出

PNSは患者満足度に大きく貢献する

★患者はPNSに対し

『自分のことを2人の看護師が担当してくれている』から

●必要時、すぐに対応してくれる

●点滴や薬の確認を2人でしっかりしてくれる

●何回も病室に来てくれる

●検温時、話が弾む

●自分の状態を2人で確認してもらえる

ことを特に期待していると考えられる

さらなるPNSの向上⇒常にこれらのことを重要視して検討

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患者満足度に影響するPNSに関する要因:全体

患者

満足度

点滴や薬などの確認を、2人でし

てくれていると思うと安心した

担当者が2人いること

で、必要時、迅速に対応してくれた

担当者が2人いるこ

とで、看護師は何回も病室に来てくれた

担当者が2人いることで、検温時、話が弾んだ

担当者が2人いることで、自分の状態を2人で確認してもらえ、安心した

担当者が2人いることで、言ったことがうまく伝達されていないことがあった

7領域

6領域

5領域

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実習学生の反応

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実習学生のPNSからの学び、感想

新人看護師さんが本当に生き生きとしていて、すごく魅力的に

感じた。わからないことがあっても生き生きと働くことができる

のは、サポートしてくれる人、協力してくれる人の存在がある

からなのだと感じた

先輩、後輩の距離が近く、同僚というより仲間という印象が

強かった

副師長を中心にグループが作られることによって、ペアを組む

人が同じグループ内にいるので、信頼関係を築きやすい

コミュニケーションを取りやすい環境につながり、相談しやすい

環境も生まれる

タイムリーな情報交換という看護師同士のコミュニケーションに

より、看護師のコミュニケーション力が向上する

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PNSで重要だと感じた点

看護師同士の情報共有、コミュニケーション

お互いを信頼する

何をするか、何を考えているか声に出す

協力や助け合い

小さな疑問を1人で考えようとせず、みんなの意見を取り入れる

常に新しい情報や正確な情報を共有する

相談、確認(やってくれているだろうと思いこまない)

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85

医療安全の面から

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看護部の年度別オカレンス件数・影響レベルの推移

H22 H23 H24

0 1 2 3a 3b 4b 5

H22

H23

H24

0 1 2 3a 3b 4b 5 その他

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3a

3b

4b

部署別年度別オカレンス件数・影響レベルの推移

A B C D E F G H I J K L

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内服・処方オカレンス

3a

3b

4b

2年目 1年目 4年目 3年目 6年目 5年目 8年目 7年目 10年目 9年目

若者の不安(離職につながる)

医療事故を起こさないか

医療事故を起こすかもしれない

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ま と め

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90

PNS構築の上で重要なこと:ルールは崩さない

1.年間パートナーを選ぶ

2.副看護師長(主任)を中心にして、

パートナー同士でグループを作る

3.グループメンバーを中心にして毎日のペアを組む

4.毎日のペアの編成は補完性の原理を守る

5.看護師長のリーダーシップとぶれない姿勢

6.病院・看護部の支援(人的・物的)

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91

看護師の安心感

WLBの実現

看護の可視化

看護の伝承

看護の伝授

人材育成 教育効果

安全な看護の提供

患者満足度の増加

オカレンス(ひやり・ハッと)の減少

ナースコールの減少

超過勤務の減少

看護の魅力を創造するPNS

記録のリアルタイム記載 セクハラ抑止

マグネットホスピタルの実現

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看護現場のイノベーション

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パートナーシップ・ナーシング・システムは

自己完結型の看護 二人三脚の看護

日本の看護システムとして定着し

看護師の労働環境を一新する

従来の序列的関係を排除した

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お疲れさまでした

パートナーシップ・マインドを忘れないで!