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1 2017 年度大統領予算案 遠藤 2016 2 9 日、2016 10 月にはじまる 2017 会計年度に関する大統領予算案が発表された。本稿 においては、同予算案に記された研究開発関連の内容について、大統領府の管理予算室(Office of Management and Budget: OMB)、科学技術政策室(Office of Science and Technology Policy: OSTP)、 そして各省・機関が発表した資料に基づき、取りまとめた。 目次 1.大統領予算案・・・・・・・・1 5.エネルギー省・・・・・・・・・・12 2.国立科学財団・・・・・・・・4 6.商務省国立標準技術局・・・・・・13 3.国立保健研究所・・・・・・・7 参考:関連各予算文書のウェブサイト・14 4.航空宇宙局・・・・・・・・11 1.大統領予算案 1-1.大統領予算案の発表 大統領予算案は、大統領府の管理予算室(OMB)のウェブページにおいて関連文書が掲載されている が、このメインページの予算案の概略についての説明においては、最初に 2017 年度予算案が「我々の経 済的、財政的な進歩の上に構築された(Building on our economic and fiscal progress)」予算であると し、雇用の成長と経済の拡大、財政問題の前進、より強力となった経済といった認識が記され、財政面の 責任を維持しつつ経済成長のための投資を行う性格のものである説明されている。そして、それに続く 章立てにおいては、「より良い未来を築くためのイノベーション(Innovation to forge a better future)」 との表題により、「研究開発に優先順位を付す(Prioritizing Research and Development)」など研究・ イノベーション関連の諸項目が掲載されており、予算項目の中でも研究開発予算が相対的にオバマ政権 における注目度が高いことが推測される。 科学技術政策室(OSTP)が発表した研究開発予算関連の文書のうち、「ファクトシート-大統領 2017 年度予算は米国のイノベーションに投資する:研究開発、イノベーション、および科学技術工学数学教 育」においては、2017 年度研究開発予算総額が 1520 億ドルで、対前年度 60 億ドル、4 パーセント増で あること等の説明に加え、以下のとおり関連予算のポイントが列挙されている。 我々の世界水準の科学と研究への関与の継続(Continuing our commitment to world-class science and research裁量的予算と義務的予算の組み合わせによって国立科学財団(NSF)に 80 億ドル近く、エネルギー省 科学室に 57 億ドル近くを配分し、クリーンエネルギー、気候科学、情報技術、生命科学を含む全ての分 野の科学工学の画期的な研究や世界を主導する施設を支援する。また、NIST 研究室に 8 2600 万ドル を配分する。これら 3 つの基礎研究機関への資金配分は、2016 年度に対し 9 億ドルの増である。 ---------------------------------------------------------------------------- 「米国の科学政策」ホームページ 2016 2 14 日掲載、2 21 一部修正(3 ページ「研究開発予算の 概略」の表に注釈を追加)

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2017年度大統領予算案

遠藤 悟

2016年 2月 9日、2016年 10月にはじまる 2017会計年度に関する大統領予算案が発表された。本稿

においては、同予算案に記された研究開発関連の内容について、大統領府の管理予算室(Office of

Management and Budget: OMB)、科学技術政策室(Office of Science and Technology Policy: OSTP)、

そして各省・機関が発表した資料に基づき、取りまとめた。

目次

1.大統領予算案・・・・・・・・1 5.エネルギー省・・・・・・・・・・12

2.国立科学財団・・・・・・・・4 6.商務省国立標準技術局・・・・・・13

3.国立保健研究所・・・・・・・7 参考:関連各予算文書のウェブサイト・14

4.航空宇宙局・・・・・・・・11

1.大統領予算案

1-1.大統領予算案の発表

大統領予算案は、大統領府の管理予算室(OMB)のウェブページにおいて関連文書が掲載されている

が、このメインページの予算案の概略についての説明においては、最初に 2017年度予算案が「我々の経

済的、財政的な進歩の上に構築された(Building on our economic and fiscal progress)」予算であると

し、雇用の成長と経済の拡大、財政問題の前進、より強力となった経済といった認識が記され、財政面の

責任を維持しつつ経済成長のための投資を行う性格のものである説明されている。そして、それに続く

章立てにおいては、「より良い未来を築くためのイノベーション(Innovation to forge a better future)」

との表題により、「研究開発に優先順位を付す(Prioritizing Research and Development)」など研究・

イノベーション関連の諸項目が掲載されており、予算項目の中でも研究開発予算が相対的にオバマ政権

における注目度が高いことが推測される。

科学技術政策室(OSTP)が発表した研究開発予算関連の文書のうち、「ファクトシート-大統領 2017

年度予算は米国のイノベーションに投資する:研究開発、イノベーション、および科学技術工学数学教

育」においては、2017年度研究開発予算総額が 1520億ドルで、対前年度 60億ドル、4パーセント増で

あること等の説明に加え、以下のとおり関連予算のポイントが列挙されている。

○ 我々の世界水準の科学と研究への関与の継続(Continuing our commitment to world-class science

and research)

裁量的予算と義務的予算の組み合わせによって国立科学財団(NSF)に 80億ドル近く、エネルギー省

科学室に 57億ドル近くを配分し、クリーンエネルギー、気候科学、情報技術、生命科学を含む全ての分

野の科学工学の画期的な研究や世界を主導する施設を支援する。また、NIST研究室に 8億 2600万ドル

を配分する。これら 3つの基礎研究機関への資金配分は、2016年度に対し 9億ドルの増である。

---------------------------------------------------------------------------- 「米国の科学政策」ホームページ 2016年 2月 14日掲載、2月 21一部修正(3ページ「研究開発予算の概略」の表に注釈を追加)

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○ イノベーションへの投資(Investing in innovation)

安全関連予算としては、国防省科学技術プログラムに 125 億ドル、国防先端プログラム庁(DARPA)

に 30億ドル配分する。民生サイバーセキュリティー研究開発に 3億 1800万ドル配分する。宇宙関連の

能力向上として、大統領の地球とその先のイノベーションと科学的発見の構想を支援するために NASA

に 190 億ドル配分する。産業の未来に向けてとして「全米戦略的コンピューティングイニシアチブ

(National Strategic Computing Initiative)」を支援するため、エネルギー省(DOE)に 2億 8500万

ドル、NSFに 3300万ドル配分する。

○ 米国民の健康の改善(Improving Americans’ health)

生物医学研究については、国立保健研究所(NIH)に 2016年度に比べ 10億ドル増の 331億ドルを配

分し、NIH と食品薬物庁(FDA)による新たながん関連研究活動である「全米がんムーンショット

(National Cancer Moonshot)」に 7億 5500万ドル、複数機関による「BRAINイニシアチブ(BRAIN

Initiative)」のNIH分として 1億 9500万ドル配分する。健康福祉省(HHS)の各機関による「個別化

医療イニシアチブ(Precision Medicine Initiative)」には 3億 900万ドル配分する。

○ 雇用の創造に結びつく製造業におけるイノベーションのペースの加速(Accelerating the pace of

innovation in manufacturing to create jobs)

先進製造に関しては、「先進製造全米戦略計画(National Strategic Plan for Advanced Manufacturing)」

の沿った形で 20 億ドルの連邦政府研究開発支出を行うが、これには、45 の製造イノベーション研究所

の全米ネットワークが含まれる。

○ よりクリーンな米国へのエネルギーに向けた展開(Moving toward cleaner American energy)

クリーンエネルギーに関しては、2015年のパリ気候サミット(COP21首脳会議)における「ミッショ

ンイノベーション(Mission Innovation)」に基づき、今後 5年間でクリーンエネルギー研究開発への連

邦政府投資を倍増するために、2017年度予算では、77億ドル配分する。

○ 気候変動に対する行動(Taking action on climate change)

人間に起因する、また、自然のプロセスとしての地球変動とそれによる影響の理解、評価、予測、対応

の能力改善を目的とした 13の連邦政府機関による研究活動である「米国地球変動研究プログラム(U.S.

Global Change Research Program: USGCRP)」に 28億ドル配分し、オバマ政権の「気候アクションプ

ラン(Climate Action Plan)」を支援する。

○ 未来の世代のための農業研究の拡充(Growing agriculture research for future generations)

農業の課題と機会に対応するための科学技術の重要性への認識に基づき、農務省(USDA)の「農業食

品研究イニシアチブ(Agriculture and Food Research Initiative)」の競争的研究グラントに 2016年度

の額を倍増させる 7億ドル配分する。

○ 児童生徒学生への科学技術工学数学の技能の備え(Preparing students with STEM skills)

「連邦政府科学技術工学数学教育 5 か年戦略計画(Federal STEM Education Five-Year Strategic

Plan)」に基づき、2016 年の水準を維持する 30 億ドルを STEM 教育プログラムに配分する。全米の学

校でのコンピューター学習事業である大統領の「全ての人々へのコンピューター科学(Computer Science

for All)」イニシアチブにより、州に 40億ドル、直接地域に 1億ドル配分する。

○ 民間部門の研究開発の支援(Supporting private-sector R&D)

民間部門研究開発に対する連邦政府の誘因として 2015 年 12 月に恒久化した「研究・実験減税

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(Research and Experimentation (R&E) Tax Credit)」について簡素化し拡大する。

1-2.研究開発予算の概略

大統領予算案における研究開発活動の額は、1523億 3300万ドルで、前年度の歳出予算法の額に対し、

4.2%、61億 9500万ドルの増となっている。各省・機関の額は以下のとおり。

2015年度実績

2016年度予算法

2017年度予算案

対前年度増減

国防省(Defense) 65,547 70,872 72,825 1,953 2.8%

健康福祉省(Health and Human Services) 30,453 31,942 32,714 772 2.4%

エネルギー省(Energy) 14,354 14,405 17,160 2,755 19.1%

航空宇宙局(NASA) 12,145 12,410 12,043 -367 -3.0%

国立科学財団(National Science Foundation) 5,944 6,117 6,529 412 6.7%

農務省(Agriculture) 2,452 2,674 2,923 249 9.3%

商務省(Commerce) 1,524 1,913 1,888 -25 -1.3%

退役軍人省(Veterans Affairs) 1,178 1,220 1,252 32 2.6%

内務省(Interior) 863 981 1,082 101 10.3%

運輸省(Transportation) 885 924 1,065 141 15.3%

国土安全保障省(Homeland Security) 919 579 585 6 1.0%

環境保護庁(Environmental Protection Agency) 523 516 530 14 2.7%

患者中心のアウトカム研究信託基金(Patient-Centered

Outcome Trust Fund)

396 472 530 58 12.3%

国際開発庁(U.S. Agency for International Development) 250 275 287 12 4.4%

スミソニアン研究所(Smithsonian Institution) 246 250 270 20 8.0%

教育省(Education) 279 242 248 6 2.5%

その他(Other) 320 346 402 56 16.2%

研究開発予算計(Total R&D) 138,278 146,138 152,333 6,195 4.2%

基礎研究(Basic Research) 31,854 33,510 34,485 975 2.9%

応用研究(Applied Research) 34,178 35,439 38,361 2,922 8.2%

開発(Development) 69,719 74,466 76,704 2,238 3.0%

施設・機器 Facilities and Equipment) 2,527 2,723 2,783 60 2.2%

(単位:100万ドル)

注:エネルギー省予算では、国際標準および政府機関の基準に適合させるために事務運営経費が追加的に計上されている。

これにより研究開発予算は 20~30億ドルの増額となっているが、この増分を除いた額は表示されていない。

1-3.連邦研究開発重点事項

管理予算室(OMB)による予算書の分析的観点の「第 19章 研究開発」の「Ⅰ.連邦政府研究開発の

優先順位(I. Priorities for Federal Research and Development)」においては、重点事項の記載がある

が、その項目は次のとおりである。

○ よりクリーンな米国のエネルギーへの転換(Moving toward Cleaner American Energy)

○ 地球気候変動とそのインパクトの理解と対応(Understanding and Responding to Global Climate

Change and Its Impacts)

○ 我々の惑星の観測(Observing our Planet)

○ 未来の先進製造と産業の促進(Promoting Advanced Manufacturing and Industries of the Future)

○ 生命科学、生物学および神経科学のイノベーションを通した米国民の健康の改善(Improving

Americans’ Health through Innovation in Life Science, Biology, and Neuroscience)

○ 科学技術を通した我が国家・国土の安全保障の強化(Strengthening Our National and Homeland

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Security through Science and Technology)

○ 情報技術と高性能コンピューティングにおける革新(Innovating in Information Technology and

High-Performance Computing)

○ 海洋および北極のより高度な管理運用への知見の提供(Informing Better Stewardship of the Ocean

and the Arctic)

○ 未来の世代のための農業研究の伸長(Growing Agriculture Research for Future Generations)

○ 宇宙における我々の能力の拡大(Expanding Our Capabilities in Space)

○ ナノテクノロジー研究開発(Nanotechnology R&D)

○ 研究室から市場への障壁の橋渡し(Bridging the Barriers from Lab-to-Market)

○ 科学・技術・工学・数学教育を通した我々の児童生徒学生の技能の備え(Preparing Our Students

with Skills through Science, Technology, Engineering, and Mathematics (STEM) Education)

2.国立科学財団(NSF)

2-1.項目別予算案

国立科学財団(National Science Foundation: NSF)の 2017年度予算案の額は、79億 6402万ド(対

前年度比 6.7%、5億 53万ドル増)である。各項目別の予算案の額は次のとおり(新規の義務的予算を含

む)。

2015年

度実績

2016年

度見込み

2017年度裁量的予算案 2017年

度義務

的予算

2017年度予算案計

予算案 対前年度比

増減

予算案 対前年度比

増減

% %

研究及び関連事業 6,041.57 6,033.65 6,079.43 45.78 0.8 346.01 6,425.44 391.79 6.5

教育・人材資源 886.33 880.00 898.87 18.87 2.1 53.99 952.86 72.86 8.3

主要機器・施設建設 144.76 200.31 193.12 -7.19 -3.6 - 193.12 -7.19 -3.6

機関運営・配分資金管理 306.56 330.00 373.02 43.02 13.0 - 373.02 43.02 13.0

国家科学審議会 4.15 4.37 4.38 0.01 0.2 - 4.38 0.01 0.2

監査官室 14.60 15.16 15.20 0.04 0.3 - 15.2 0.04 0.3

合計 7,397.97 7,463.49 7,564.02 100.53 1.3 400.00 7,964.02 500.53 6.7

(単位:100万ドル)

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また、「研究及び関連事業」の各局レベルの予算額は次のとおりである。

2015年

度実績

2016年

度見込み

2017年度裁量的予算案 2017年

度義務

的予算

2017年度予算案計

予算案 対前年度比

増減

予算案 対前年度比

増減

% %

生物科学 736.19 744.17 745.73 1.56 0.2 44.79 790.52 46.35 6.2

コンピューター情報科学工学 932.98 935.82 938.43 2.61 0.3 56.37 994.80 58.98 6.3

工学 923.53 916.19 946.41 30.22 3.3 56.32 1,002.73 86.54 9.4

工学(SBIR、STTR除く) 746.42 727.63 744.74 17.11 2.4 44.73 789.47 61.84 8.5

工学のうち SBIR、STTR 177.11 188.56 201.67 13.11 7.0 11.59 213.26 24.70 13.1

地球科学 1,319.04 1,318.54 1,319.56 1.02 0.1 79.27 1,398.83 80.30 6.1

数学・物理科学 1,376.32 1,349.15 1,355.06 5.91 0.4 81.39 1,436.45 87.30 6.5

社会・行動・経済科学 276.19 272.20 272.41 0.21 0.1 16.36 288.77 16.57 6.1

国際科学工学 48.46 49.10 49.10 - - 2.95 52.05 2.95 6.0

統合事業 427.46 447.06 451.30 4.24 0.9 8.56 459.86 12.80 2.9

米国極地研究委員会 1.41 1.43 1.43 - - - 1.43 - -

研究及び関連事業計 6,041.57 6,033.65 6,079.43 45.78 0.8 346.01 6,425.44 391.79 6.5

(単位:100万ドル)

2-2.重点事業等

NSFによる予算案文書の概略の箇所においては、重点事業、NSF の部門横断資金配分、全 NSF優先

事業、教育と科学技術工学数学労働力、主要研究機器施設建設、組織の卓越性のそれぞれについて以下の

ような簡単な説明が記されている。

○ 2017年度重点事業(FY 2017 Major Emphases)

2017年度予算案においては、「クリーンエネルギー研究開発」と「若手研究者支援を中心とした中核事

業」という二つの分野を重点とするとしている。

「クリーンエネルギー研究開発」においては、2015年のパリ気候サミット(COP21 首脳会議)におけ

る「ミッションイノベーション(Mission Innovation)」に基づき、NSFにおいては対前年度 37.9%、1

億 4077 万ドル増の 5 億 1222 万ドルを「クリーンエネルギー研究開発(Clean Energy R&D)」として

支出するとしている。

「中核事業」に関しては、単年度の 4 億ドルの新たな義務的予算が基盤的な好奇心に導かれた研究の

ために支出されるとし、研究グラントの新規採択数が 9,300件から 10,100件と 800件増となることによ

り採択率が 1%増の 23%になると見込まれるとしている。

○ 2017年 NSFの部門横断資金配分(FY 2017 Cross-Foundation Investments)

NSFの各部門を越えた資金配分としては、以下の事業が紹介されている。

・脳の理解(Understanding the Brain: UtB):NSFの現行の認知科学および神経科学研究を支援し、

オバマ政権の BRAINイニシアチブに貢献するものとして実施されるもので、予算額は対前年度 3.6%、

531万ドル減の 1億 4162万ドルとなっている。

・リスクとレジリエンス(Risk and Resilience):厳しい自然や人為的な事象による生命、社会、経済へ

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の影響を低減させるための予測可能性、リスク評価を改善し、備えを高めるための資金配分として、対

前年度 4.9%、200万ドル増の 4315万ドルが計上されている。

・食料・エネルギー・水システムの結合のイノベーション(Innovation at the Nexus of Food, Energy,

and Water System: INFEWS):食料、エネルギー、水の相互関連性についての理解、設計、モデル化

を目的とした学際的研究事業で、対前年度 27.7%、1350万ドル増の 6218万ドルが計上されている。

・工学科学における多様性のための全国的な人口に比して少数派となっている学習者コミュニティーの

参画(NSF INCLUDES):科学技術工学数学(STEM)活動分野において、十分な活動が行われてい

ない、あるいは人口に比して少数派となっている人々を対象とした全国的なイニシアチブで、対前年度

3.2%、50万ドル増の 1600万ドルが計上されている。

○ 2017年度の現行の全NSF 規模優先事業(FY 2017 Ongoing NSF-Wide Priorities)

現行の全NSFのプログラムについては、以下について記されている。

2015年度

実績

2016年度

見込み

2017年度

予算案

対前年度比増減

額 率

サイバーによるマテリアル、製造、スマートシ

ステム(CEMMSS) 269.83 256.30 257.12 0.82 0.3%

21 世紀科学工学教育のためのサイバー基盤フ

レームワーク(CIF21) 157.04 132.42 100.07 -32.35 -24.4%

NSFイノベーション部隊(I-Corps) 26.19 30.00 30.00 - -

生物学・数学・物理学のインターフェイスにお

ける研究(BioMaPS) 35.47 31.31 29.81 -1.50 -4.8%

持続性のための科学、工学、教育(SEES) 183.01 74.73 52.48 -22.25 -29.8%

安全で信頼性のあるサイバースペース(SaTC) 124.71 129.75 149.75 20.00 15.4%

(単位:100万ドル)

上記の他、「米国の南極における活動(U.S. activities in the Antarctic)」に 2350万ドル配分すること

や、「天文学および天体物理学(astronomy and astrophysics)」の施設への資金配分、2017年に終了す

る CIF21 の後継事業である「全米戦略的コンピューティングイニシアチブ(National Strategic

Computing Initiative (NSCI))」も予算案のハイライトとして記載されている。

○ 教育と科学技術工学数学労働力(Education and STEM Workforce)

以下のプログラムが記載されている(( )内の額は 2017年度予算案の額)。

・サイバー部隊:奉仕のための奨学金プログラム(The CyberCorps: Scholarship for Service (SFS)

program):7000万ドル

・全ての人々のためのコンピューター科学(Computer Science for All (CS for All)):2000万ドル

・学部科学技術工学数学教育の改善イニシアチブ(The Improving Undergraduate STEM Education

(IUSE) initiative):1億 900万ドル

・先進技術教育プログラム(Advanced Technological Education (ATE) program):6600万ドル

・大学院研究フェローシッププログラム(The Graduate Research Fellowship (GRF) program):3億

3216万ドル

・NSF研究トレイニーシッププログラム(NSF Research Traineeship (NRT) program):5863万ドル

○ 主要研究機器施設建設(Major Research Equipment and Facilities Construction)

主要研究機器施設予算に関しては、以下の 1件の新設と 2件の建設の継続が紹介されている。

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7

・リージョナルクラス研究船舶(Regional Class Research Vessel (RDRV))の新造:1億 600万ドル

・Daniel K. Inouye太陽望遠鏡(Daniel K. Inouye Solar Telescope)の建設継続:2000万ドル

・大型シノプティックサーベイ望遠鏡(Large Synoptic Survey Telescope)の建設継続:6712万ドル

○ 組織の卓越性(Organizational Excellence)

職員に関しては、フルタイム換算で 2016年度と同じ 1442人が計上されている。また、13%増となっ

ている機関運営配分資金管理(Agency Operations and Award Management: AOAM)の資金項目につ

いては、本部移転、給与手当、情報・安全関連の負担についての増分の説明が記されている。

3.国立保健研究所(NIH)

3-1.予算総額

国立保健研究所(National Institutes of Health: NIH)の 2017年度予算案の額はプログラムレベルで

8億 2500万ドル増の 331億 3634.9万ドルである。

2015年度実績 2016年度歳出予算法 2017年度予算案 対前年度増減

プログラムレベル 303億 1134.9万ドル 323億 1134.9万ドル 331億 3634.9万ドル 8億 2500.0万ドル増

裁量的授権予算 294億 4634.9万ドル 313億 8134.9万ドル 303億 1386.0万ドル 10億 6748.9万ドル減

労働・健康福祉授権

予算 293億 6900.0万ドル 313億 400.0万ドル 302億 3651.1万ドル 10億 6748.9万ドル減

注:裁量的授権予算は、プログラムレベルの予算から義務的予算及び他の予算からの流用を差し引いた額であ

る。また、労働・健康福祉授権予算は裁量的授権予算から内務省授権予算分を差し引いたものである。

3-2.重点テーマ

NIHの予算案資料(概略)においては、重点テーマとして以下の具体的な取り組みが示されている。

テーマ 1:発見の基盤:基礎研究(Foundation for Discovery: Basic Research)

NIH はそのリソースの半分以上を基礎生物医学研究にしているが、基礎研究は最終的に重要なブレー

クスルーをもたらす基盤的な知識を産み出すものであり、民間部門においてその大半の研究費がトラン

スレーショナル研究や臨床研究に支出される中において、NIH の基礎研究支出は国家の研究活動全体の

バランスにおいて重要であるとし、以下の項目を示している。

・顕微鏡の進歩(Advances in Microscopy)

・BRAINイニシアチブ(BRAIN Initiative)

・ヒト胎盤プロジェクト(Human Placenta Project)

テーマ 2:個別化医療の期待(The Promise of Precision Medicine)

2015年にオバマ大統領が発表した個別化医療イニシアチブ(Precision Medicine Initiative: PMI)に

基づき、ゲノミクスの進歩による科学面における機会、電子的な保健の記録の幅広い導入、保健関連のモ

バイル技術、大規模な生命医学データセットを分析するコンピュテーショナルツールの拡大を通した疾

病の治療と診断の新たな時代の展開のために NIH が多機関の PMI を主導するとし、以下の項目を示し

ている。

・全米研究コホート(National Research Cohort)

・対がん個別化医療イニシアチブ(Precision Medicine Initiative for Oncology)

・個別化医療の現在の進歩の実装(Enabling Current Advances in Precision Medicine)

テーマ 3:健康の改善のためのビッグデータ・テクノロジーの利用(Applying Big Data and Technology

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to Improve Health)

大規模で複雑なデータセットの最適化により研究者が未だ明らかになっていない疾病に関連する遺伝

子、環境、行動に関する知見を得ることが出来るものであり、生物医学とコンピューティングの交点に位

置づけられるバイオインフォーマティクスの手法は、基礎研究への新たな洞察や、疾病の診断予防治療

への新たな戦略などをもたらすものであるとし、以下の項目を示している。

・ビッグデータイニシアチブ(Big Data Initiative)

・モバイルヘルス:健康と保健研究の改善のためのモバイル技術の梃入れ(mHealth: Leveraging Mobile

Technology to Improve Health and Health Research)

・国立医学図書館の未来(The Future of the National Library of Medicine)

テーマ 4:人々の信頼を得るための業務運営(Stewardship to Inspire Public Trust)

NIH は、米国民から提供されたリソースを用い効率的、効果的な業務運営を行う責任があることを認

識しているとし、以下の項目を示している。

・優先順設定の最適化とリソースの配慮された配分(Optimize Priority Setting and Carefully Marshal

Resources)

・連携を通した NIHの優先順位づけの向上(Enhance NIH Prioritization Through Partnerships)

・生物医学労働力の強化と維持(Strengthen and Sustain the Biomedical Workforce)

・グラント受領者に対する事務的負担の軽減(Reduce Administrative Burden to Grantees)

結論

結論においては以下の 7つの段落において NIHの支援の成果等について書かれている。

・毎年、NIHの予算の約 83パーセントは 57,000件以上の研究とトレーニングのグラントとして配分さ

れ、11パーセントは NIH内部プログラムの実施に支出されている。

・NIH が資金配分を行った研究は、米国民の寿命を延ばし健康を改善するだけでなく、費用効率の高い

治療・予防戦略・臨床指針によるヘルスケア支出の削減により米国経済に利益をもたらしている。

・健康の改善による経済的利益は莫大であり、1970年から 2000年までの間の平均余命の伸びは 95兆ド

ル(年 3兆 2000億ドル)の経済価値を生み出したと見積もられる。

・全ての州の研究者が、NIH の資金配分を受けており、2012 年には全米 50 州において 40 万人の雇用

を支援し、また、間接的には数百万人の雇用を提供している。

・米国の対 GDP比研究開発支出は 1992年の第 2位から、現在、イスラエル、スウェーデン、フィンラ

ンド、日本、韓国、スイス、台湾、デンマーク、ドイツに次ぐ 10位となっているが、生物医学研究につ

いては依然として世界最大の公的部門による生物医学研究への資金配分国となっており、2011年には公

的部門と民間部門において 1170億ドルを医学研究に支出している。

・米国の医学研究投資の各年の伸び率は、米欧亜の主要国との比較において最低の 1パーセントである。

・世界全体の生物医学研究投資の拡大は科学と健康のために好ましい傾向であるが、歴史的に見ると研

究に投資した国がその見返りを最も多く得ることから、NIH は今後も生物医学研究活動のリーダーであ

り続けなければならない。

3-3.研究予算額および支援件数等

研究プロジェクト、センター、トレーニンググラント等のそれぞれの予算額と件数は以下のとおりで

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ある。

2015年度実績 2016年度見込み 2017年度予算案 対前年度増減

研究プロジェクト

非競争的 [件数] 112億 1952.3万ドル

[23,261件]

117億 7002.8万ドル

[23,367件]

125億 3052.6万ドル

[24,608件]

7億 6049.8万ドル増

[1,241件増]

事務的追加[件数] 1億 9350.0万ドル

[1,595 件(外数)]

1億 8345.1万ドル

[1,538件 (外数)]

1億 5388.2万ドル

[1,282件 (外数)]

2956.9万ドル減

[256件減 (外数)]

競争的計 [件数] 43億 1069.8万ドル

[9,540件]

50億 6300.8万ドル

[10,753件]

46億 5959.6万ドル

[9,946件]

4億 341.2万ドル減

[807件減]

競争的のうち更

新 [件数]

9億 1938.2万ドル

[1,771件]

11億 478.6万ドル

[2,080件]

10億 3059.9万ドル

[1,908件]

7418.7万ドル減

[172件減]

競争的のうち新

規 [件数]

33億 6839.5万ドル

[7,737件]

39億 4289.1万ドル

[8,639件]

36億 1729.6万ドル

[8,011件]

3億 2559.3万ドル減

[628件減]

競争的のうち追

加[件数]

2292.1万ドル

[32件]

1533.1万ドル

[34件]

1170.0万ドル

[27件]

363.0万ドル減

[7件減]

SBIR/STTR [件数] 7億 1795.1万ドル

[1,578件]

8億 448.7万ドル

[1,720件]

8億 6261.6万ドル

[1,886件]

5812.9万ドル増

[166件増]

研究プロジェクトグ

ラント合計 [件数]

164億 4167.2万ドル

[34,379件]

178億 2097.3万ドル

[35,840件]

182億 662.0万ドル

[36,440件]

3億 8564.6万ドル増

[600件増]

研究センター計 [件

数]

26億 6306.4万ドル

[1,333件]

26億 4481.1万ドル

[1,381件]

25億 8922.4万ドル

[1,354件]

5558.7万ドル減

[27件減]

その他研究 [件数] 18億 272.2万ドル

[6,238件]

20億 1092.4万ドル

[6,747件]

20億 8376.2万ドル

[6,856件]

7283.8万ドル増

[109件増]

研究グラント総計

[件数]

209億 745.8万ドル

[41,950件]

224億 7670.9万ドル

[43,968件]

228億 7960.5万ドル

[44,650件]

4億 289.6万ドル増

[682件増]

Ruth L. Kirschstein

トレーニングアワー

個人アワード [件

数]

1億 3697.9万ドル

[3,161件]

1億 4984.0万ドル

[3,346件]

1億 5414.2万ドル

[3,411件]

430.2万ドル増

[65件増]

機関アワード [件

数]

6億 2103.8万ドル

[12,429件]

6億 8059.0万ドル

[12,850件]

6億 9450.7ドル

[13,010件]

1391.6万ドル増

[160件増]

研究トレーニング計

[件数]

7億 5801.7万ドル

[15,590件]

8億 3043.0万ドル

[16,196件]

8億 4864.9万ドル

[16,421件]

1821.8万ドル増

[225件増]

研究開発契約 [件数] 28億 2754.4万ドル

[2,238件]

29億 1524.3万ドル

[2,263件]

31億 7338.6万ドル

[2,281件]

2億 5814.2万ドル増

[ 18件増]

所内研究 [件数] 34億 1035.4万ドル

[6,912件]

35億 8187.8万ドル

[6,956件]

36億 1455.8万ドル

[6,956件]

3268.1万ドル増

[ 増減なし ]

所長室(枠外) (14億 1373.4万ドル) (15億 7120.0万ドル) (17億 1620.0万ドル) (1億4500.0万ドル増)

所長室のうち共

通基金(枠外) (5億 4563.9万ドル) (6億 7563.9万ドル) (7億 7563.9万ドル) (1億 0.0万ドル増)

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3-4.研究所・センター別予算案

各研究所・センター別の予算案の額は次のとおりである。

研究所・センター等

2015年度

実績

2016年度

予算法

2017年度

予算案 対 2016

年度増減

国立がん研究所(NCI) 4,953,028 5,213,509 5,893,509 13.0%

国立心臓肺血液研究所(NHLBI) 2,995,865 3,113,533 3,113,533 0.0%

国立歯頭顔研究所(NIDCR) 397,700 413,396 413,396 0.0%

国立糖尿病消化腎臓病研究所(NIDDK) 1,899,140 1,966,310 1,966,310 0.0%

国立神経疾患・卒中研究所(NINDS) 1,604,607 1,695,180 1,695,180 0.0%

国立アレルギー感染症研究所(NIAID) 4,417,558 4,715,697 4,715,697 0.0%

国立総合医科学研究所(NIGMS) 2,372,301 2,512,437 2,512,437 0.0%

国立小児保健発達研究所(NICHD) 1,286,869 1,338,348 1,338,348 0.0%

国立眼科研究所(NEI) 676,764 707,998 707,998 0.0%

国立環境保健科学研究所(NIEHS) 744,682 770,882 770,882 0.0%

国立老化研究所(NIA) 1,197,523 1,598,246 1,598,246 0.0%

国立関節炎骨格皮膚疾病研究所(NIAMS) 521,528 541,662 541,662 0.0%

国立難聴・コミュニケーション障害研究所(NIDCD) 405,207 422,936 422,936 0.0%

国立精神衛生研究所(NIMH) 1,433,651 1,518,673 1,518,673 0.0%

国立薬物乱用研究所(NIDA) 1,015,705 1,050,550 1,050,550 0.0%

国立アルコール乱用依存研究所(NIAAA) 447,153 467,445 467,445 0.0%

国立看護研究所(NINR) 140,852 145,912 145,912 0.0%

国立ヒトゲノム研究所(NHGRI) 498,677 513,227 513,227 0.0%

国立生物医学イメージング・生物工学研究所(NIBIB) 327,243 343,506 343,506 0.0%

国立マイノリティー保健・医療格差研究所(NIMHD) 270,969 280,680 280,680 0.0%

国立補完・統合保健センター(NCCIH) 124,062 129,941 129,941 0.0%

国立トランスレーショナル科学推進センター

(NCATS) 632,710 685,417 685,417 0.0%

Fogarty国際センター(FIC) 67,634 70,117 70,117 0.0%

国立医学図書館(NLM) 337,324 395,684 395,684 0.0%

建物・施設 128,863 128,863 128,863 0.0%

所長室(OD) 1,413,734 1,571,200 1,716,200 9.2%

プログラムレベル合計 30,311,439 32,311,349 33,136,349 2.6%

(単位:1,000ドル)

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4.航空宇宙局

航空宇宙局(NASA)の予算案は、裁量的予算に 190億 2510万ドル、また、別に義務的予算として 7

億 6300万ドルが計上されている。

2015年度運用計画

2016年度歳出法

2017年度 2018年度想定

2019年度想定

2020年度想定

2021年度想定

大統領 予算案

義務的 予算

NASA合計(NASA Total) 18,010.2 19,285.0 19,025.1 763.0 18,826.6 19,399.9 19,879.9 20,367.5 科学(Science) 5,243.0 5,589.4 5,600.5 298.0 5,408.5 5,516.7 5,627.0 5,739.6

地 球 科 学 ( Earth Science )

1,784.1 - 2,032.2 60.0 1,989.5 2,001.3 2,020.9 2,047.7

惑 星 科 学 ( Planetary Science)

1,446.7 - 1,518.7 128.0 1,439.7 1,520.1 1,575.5 1,625.7

宇宙物理学(Astrophysics) 730.7 - 781.5 85.0 761.6 992.4 1,118.6 1,192.5

James Web 宇宙望遠鏡( James Webb Space Telescope)

645.4 620.0 569.4 - 533.7 304.6 197.2 149.8

太陽物理(Heliophysics) 636.1 - 698.7 25.0 684.0 698.3 714.8 723.9 飛行(Aeronautics) 642.0 640.0 790.4 155.9 846.4 1,060.1 1,173.3 1,286.9 宇 宙 技 術 ( Space Technology)

600.3 686.5 826.7 136.1 704.4 718.5 732.9 747.5 探査(Exploration) 3,542.7 4,030.0 3,336.9 173.0 3,529.7 4,081.7 4,243.6 4,261.7

探 査 シ ス テ ム 開 発( Exploration Systems Development)

3,211.5 3,680.0 2,859.6 173.0 2,922.5 3,061.6 3,092.2 3,142.3

探 査 研 究 開 発( Exploration Research and Development)

331.2 350.0 477.3 - 607.2 1,020.1 1,151.4 1,119.5

宇宙オペレーション(Space Operations)

4,625.5 5,029.2 5,075.8 - 4,912.8 4,529.7 4,540.1 4,697.6

スペースシャトル(Space Shuttle)

7.7 - 0.0 - 0.0 0.0 0.0 0.0

国際宇宙ステーション( International Space Station)

1,524.8 - 1,430.7 - 1,554.7 1,536.8 1,539.3 1,585.2

宇 宙 輸 送 ( Space Transportation)

2,254.0 - 2,757.7 - 2,475.0 2,118.7 2,144.4 2,213.9

宇宙・飛行支援(Space and Flight Support (SFS))

839.0 - 887.4 - 883.2 874.1 856.4 898.6 教育(Education) 119.0 115.0 100.1 - 102.1 104.1 106.2 108.3 安全・セキュリティー・ミッションサービス( Safety, Security, and Mission Services)

2,754.6 2,768.6 2,836.8 - 2,893.6 2,951.5 3,010.4 3,070.6

センター管理運営(Center Management and Operations)

2,023.7 - 2,017.7 - 2,058.1 2,113.5 2,155.6 2,198.8

機関管理運営( Agency Management and Operations)

730.9 - 819.1 - 835.5 838.0 854.8 871.8

建設・環境コンプライアンス・回復(Construction and Environmental and Compliance Restoration)

446.1 388.9 419.8 - 390.2 398.0 406.0 414.1

施設建設(Construction of Facilities)

374.4 - 328.0 - 297.9 303.8 310.1 317.9

環境コンプライアンス・回復 ( Environmental Compliance and Restoration)

71.7 - 91.8 - 92.3 94.2 95.9 96.2

監 査 官 室 ( Inspector General)

37.0 37.4 38.1 - 38.9 39.6 40.4 41.2

(単位:100万ドル)

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5.エネルギー省(DOE)

5-1.科学室(SC)

エネルギー省科学室(Office of Science: SC)の 2017年度予算案の額は、裁量的予算と義務的予算を

合わせた総額が対前年度 6.1 パーセント増の 56 億 7206.9 万ドルである。項目別の内訳は以下のとおり

である。

2015 年度予算法

2015 年度実行額

2016 年度予算法

2017 年度予算案

対前年度比増減額

対前年度比増減率

先端科学コンピューティング研究( Advanced Scientific Computing

Research)

541,000 523,411 621,000 663,180 42,180 6.8%

基礎エネルギー科学(Basic Energy

Sciences) 1,733,200 1,682,924 1,849,000 1,936,730 87,730 4.7%

生 物 ・ 環 境 研 究 ( Biological and

Environmental Research) 592,000 572,618 609,000 661,920 52,920 8.7%

融合エネルギー科学(Fusion Energy

Sciences) 467,500 457,366 438,000 398,178 -39,822 -9.1%

高エネルギー物理学(High Energy

Physics) 766,000 745,232 795,000 817,997 22,997 2.9%

核物理学(Nuclear Physics)

595,500 580,744 617,100 635,658 18,558 3.0%

教師・科学者労働力開発(Workforce

Development for Teachers and

Scientists)

19,500 19,500 19,500 20,925 1,425 7.3%

科学研究室基盤(Science Laboratories

Infrastructure) 79,600 79,600 113,600 130,000 16,400 14.4%

セーフガード・安全(Safeguards and

Security) 93,000 93,000 103,000 103,000 0 0.0%

科学プログラム運営(Science Program

Direction) 183,700 183,700 185,000 204,481 19,481 10.5%

SBIR(科学室分)

0 132,905 0 0 0 -

科学室小計(Subotal, Science)

5,071,000 5,071,000 5,350,200 5,572,069 221,869 4.1%

SBIR/STTR(DOE分)

0 65,075 0 0 0 -

前年度差額による減額(Recession of

Prior Year Balances) -3,262 -3,262 -3,200 0 3,200 -100.0%

科学室裁量予算小計(Total, Science

(Discretionary Funding)) 5,067,738 5,132,813 5,347,000 5,572,069 225,069 4.2%

大学グラント(義務的予算)(University

Grant (Mandatory Funding)) 0 0 0 100,000 100,000 -

科学室義務的予算小計(Total, Science

(Mandatory Funding)) 0 0 0 100,000 100,000 -

科 学 室 予 算 合 計 ( Total, Science

Appropriation) 5,067,738 5,132,813 5,347,000 5,672,069 325,069 6.1%

(単位:1000ドル)

5-2.先端研究プロジェクト庁‐エネルギー(ARPA-E)

先端研究プロジェクト庁‐エネルギー(ARPA-E)の 2017年度予算案の額は裁量的予算と義務的予算

を合わせた額が 5億ドルで、その内訳は次のとおりである。

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13

2015 年度予算法

2015 年度実行額

2016 年度予算法

2017 年度予算案

対前年度比増減額

対前年度比増減率

ARPA-E裁量的予算(Advanced Research

Projects Agency – Energy (Discretionary

Funding))

ARPA-E プ ロ ジェクト( ARPA-E

Projects) 252,000 252,000 261,750 318,000 56,250 21.5%

プログラム運営(Program Direction) 28,000 28,000 29,250 32,000 2,750 9.4%

小計(Subtotal, ARPA-E) 280,000 280,000 291,000 350,000 59,000 20.3% 前年度差額による減額(Recession of

Prior Year Balances) -18 -18 0 0 0 -

ARPA-E 裁量的予算計(Total, ARPA-E

(Discretionary Funding)) 279,982 279,982 291,000 350,000 59,000 20.3%

ARPA-E 信託(義務的予算)(Advanced

Research Projects Agency – Energy

Trust (Mandatory Funding))

0 0 0 150,000 150,000 -

ARPA-E合計(Total, ARPA-E)

279,982 279,982 291,000 500,000 209,000 71.8%

(単位:1000ドル)

6.商務省国立標準技術局(NIST)

商務省標準技術局(National Institute of Standard and Technology: NIST)の裁量的予算の 2017年

度案は、対前年度比 5050 万ドル、5.2%増の 10 億 1450 万ドルである。各予算項目別の額は以下のとお

り。なお、これとは別に義務的予算として、全米製造イノベーションネットワーク(National Network

for Manufacturing Innovation)に 18億 9000万ドル、研究施設建設(Construction of Research Facilities)

に 1億ドル計上されており、これを含めた総予算規模は 30億 450万ドルである。

2016年度

予算法

2017年度

予算案

対前年度増減

予算額 増減率

科学技術研究サービス(Scientific and Technical Research and

Services-STRS) 690.0 730.5 40.5 5.9%

産業技術サービス(Industrial Technology Services- ITS) 155.0 189.0 34.0 21.9%

研究施設建設(Construction of Research Facilities- CRF) 119.0 95.0 -24.0 -20.2%

国立標準技術局(NIST)裁量的予算合計 964.0 1,014.5 50.5 5.2%

(単位:100万ドル)

上記予算項目の内容は次のとおりである。

○ 科学技術研究サービス(Scientific and Technical Research and Services-STRS)

STRS歳出予算のNIST研究室(NIST Laboratories)プログラムにより企業、大学、他の連邦政府機

関による以下のような活動を行う施設に配分されるもので、2017年度予算案においては、これら施設の

新設、改修、維持等の支援のため 7億 3050万ドルが計上されている。

‐基礎および関連の計測ユニット、国際標準、較正サービス、認証標準物質のための科学的な支援・実証

‐産業と商業の間の製品やサービスの効率的な商業化と交換を支援するためのテスト手法や検証された

データの開発にかかる基礎および応用研究の公平な専門性とリーダーシップ

‐関連する適合のための測定やテストの手法を含めた製品やサービスに関する技術的・性能面の要求を

Page 14: 2017 年度大統領予算案 - endostr.la.coocan.jpendostr.la.coocan.jp/sci-ron.2017budget.pdf · 国土安全保障省(Homeland Security) 919 579 585 6 1.0% 環境保護庁(Environmental

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定義する標準や仕様の、合意を基盤とした開発のための専門性と支援

‐米国の研究コミュニティーに世界水準の中性子測定を提供する NIST 中性子センター(NIST Center

for Neutron Research: NCNR)、および世界水準のナノスケールの測定・製造の手法と技術へのアク

セスを提供することによる発見から製造に至る米国のナノテクノロジーの活動を支援する NIST ナノ

スケール科学技術センター(NIST Center for Nanoscale Science and Technology)を通した材料科学、

ナノテクノロジーの発見、製造、その他急激に発展する分野のイノベーションを支援するユニークで先

端的な施設

○ 産業技術サービス(Industrial Technology Services- ITS)

・Hollings製造拡張連携プログラム(Hollings Manufacturing Extension Partnership: MEP)

2017年度予算案は、2016年度比 1200万ドル増の 1億 4200万ドルで、うち 100万ドルはインフレ調

整分である。

MEPは、米国の製造業者に技術、リソース、産業の専門家へのアクセスを提供することを目的とした

連邦政府‐州政府‐企業の連携プログラムで、製造基盤の競争力を強化するため地域の製造コミュニテ

ィーと協働する 58のMEPセンター(MEP Centers)により構成されている。

MEPは 2013年にプログラム効率化のための戦略的計画を開始し、翌 2014年以降、MEPセンターを

完全なオープン化された複数年の競争的手順を導入した制度改善を実施し、非常に小規模な地方のスタ

ートアップ製造業に焦点を絞り、また、現物ではなく資金による州政府および地域の参加者による連邦

政府資金のマッチング手順に改めるといった取り組みが行われている。この取り組みは 20の州において

完了し、2017年まで継続するとされている。

・全国製造イノベーションネットワーク(National Network for Manufacturing Innovation: NNMI)

NNMI 予算は、産業関連の問題解決のため、企業と大学のために効果的な製造研究基盤を設置するこ

とを目的とした全国製造イノベーションネットワークプログラム(National Network for

Manufacturing Innovation Program)に対する連邦政府資金配分である。NNMI研究所においては、企

業、大学、政府が連携し既存のリソースに梃入れし、協働し、また、資金配分において協力することによ

り製造イノベーションを発展させ商業化を加速させようとしている。

NNMI の 2017 年度予算案の額はプログラム実施のための裁量的予算として 4700 万ドルが計上され

ている。この内訳は 4200万ドルが産業界から提案されたトピックの 3つの研究所の新設、また、残りの

500 万ドルが商務省および他の連邦政府機関により設置された研究所の効率的な調整のための支出とな

っている。また、これとは別に義務的予算として、2025 年度までの間資金配分される 45 の研究所のネ

ットワークに 19億ドルが計上されている。

○ 研究施設建設(Construction of Research Facilities- CRF)

2017 年度予算案の額は約 9500 万ドルで、うち 4000 万ドルの基盤的資金は引き続き放射線物理学ビ

ル(Radiation Physics Building 245)の複数年度の改修、近代化に支出される。

参考:関連各予算文書のウェブサイト

大統領府管理予算室(OMB)

https://www.whitehouse.gov/omb/budget

大統領府科学技術政策室(OSTP)

Page 15: 2017 年度大統領予算案 - endostr.la.coocan.jpendostr.la.coocan.jp/sci-ron.2017budget.pdf · 国土安全保障省(Homeland Security) 919 579 585 6 1.0% 環境保護庁(Environmental

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https://www.whitehouse.gov/administration/eop/ostp/rdbudgets

国立科学財団(NSF)

http://www.nsf.gov/about/budget/fy2017/index.jsp

国立保健研究所(NIH)

https://officeofbudget.od.nih.gov/

航空宇宙局(NASA)

http://www.nasa.gov/news/budget/index.html

エネルギー省(DOE)

http://energy.gov/budget-performance

http://energy.gov/cfo/downloads/fy-2017-budget-justification

商務省国立標準技術局(NIST)

http://www.nist.gov/public_affairs/presidents-fy2017-budget-request-for-nist-supports-high-performance-

computing-biomanufacturing.cfm

http://www.osec.doc.gov/bmi/budget/FY17CBJ/NIST%20FY%202017%20CBJ%20508.pdf