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宅建・管業 2018年度 宅建試験に出る 「区分法の規約・集会」レジュメ VU18149 0 002221 181490

2018年度 宅建試験に出る 「区分法の規約・集会」レジュメLEC東京リーガルマインド 複写・頒布を禁じます。 1 第 講 一 区分所有法とは

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宅建・管業

2018年度

宅建試験に出る

「区分法の規約・集会」レジュメ

VU18149

0 0 0 2 2 2 1 1 8 1 4 9 0

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宅宅建建試試験験にに出出るる

「「区区分分法法のの規規約約・・集集会会」」レレジジュュメメ

目目 次次

第第11講講

区区分分所所有有法法((全全体体編編))・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

第第22講講

区区分分所所有有法法((各各論論編編~~規規約約とと集集会会))・・・・ 1177

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1

第   講

一 区分所有法とは

区分所有法の学習をする前提として、まず初めに「区分所有法」とは何か、どうしてこ

の法律が制定されたのか、どのような効力を持つのかを理解しておく必要があります。

1 区分所有法の趣旨

マンションをめぐる法律関係は、一戸建ての建物を単独で所有する場合と異なり相当に

複雑なものとなる。そこで、マンションのような区分所有建物をめぐる法律関係の円満な

解決を図って、昭和 37(1962)年に、「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」が

制定された。

11 区区分分所所有有法法((全全体体編編))

管理組合管理組合

区分所有建物区分所有建物

区分区分所有法所有法

管理組合管理組合

区分所有建物区分所有建物

区分区分所有法所有法

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2 マンションと区分所有法

区分所有法は、「マンション法」等と呼称されることもあり、マンションに適用される重

要な法律として一般に認識されている。しかし、区分所有法の適用対象はあくまで「区分

所有建物」であり、一般に呼称されるマンションであっても、同法の適用対象とならない

場合や、逆に、いわゆるオフィスビル、店舗ビル等であっても、同法の適用対象となる場

合がある。

A~Dが一つの

物を区分して所

有し合う。

A~Dが一つの

物の全体を共同

で所有し合う。

区分所有 共有

Aが一つの物の

全体を排他的に

所有する。

単独所有

AA

ABCD B

C D

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【区分所有法の全体像】

第1章 建物の区分所有

<第1節 総則>

・「区分所有」「専有部分」「共用部分」「敷地」

「区分所有者の団体」等、区分所有法上の

重要な概念を規定。

・区分所有者の権利義務等を規定。

<第2節 共用部分等>

・共用部分に関する規定。

<第3節 敷地利用権>

・敷地に関する規定。

第2章 団地

<第4節 管理者>

・法人格を有しない管理組合の代表者である

管理者に関する規定。

<第5節 規約及び集会>

・マンションの基本ルールである、規約の定

め方等を規定。

・マンションの 高意思決定機関である集会

の手続に関する規定。 <第6節 管理組合法人>

・管理組合の法人化手続や、組織、運用に関

する規定。

<第7節 義務違反者に対する措置>

・マンションの共同利益に反する者に対する

ペナルティのための措置を規定。 <第8節 復旧及び建替え>

・マンションの再生に関する規定。

・2棟以上の建物で構成される団地に関する規定

・一章の規定のうち、団地に関わるものが準用され

ている。

区分所有法の各規定に違反した場合の罰則を規定。

第3章 罰則

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【区分所有建物の全体構造】

・法定共用部分

(専有部分以外の建物の部分

・・・Ex.廊下・階段・エレベーター室)

(専有部分に属しない建物の附属物

・・・Ex.電気配線・水道配管等)

・規約共用部分

(規約による共用部分

・・・Ex.201 号室を集会室にする場合)

敷地

・法定敷地

(建物が所在する土地)

・規約敷地

(規約により建物の敷地とされた土地

・・・Ex.駐車場・テニスコート等)

・みなし規約敷地

(分筆・一部滅失の場合)

附属の建物 ・・・ 規約 ⇒ 規約共用部分

(Ex.物置小屋・自転車小屋等)

建物

共用部分

区分所有権の目的となる建物の部分

(構造上・利用上の独立性) 専有部分

法定敷地 規約敷地

法定共用部分

(共用設備) 法定共用部分

(外壁)

専有部分

(303 号室)

規約共用部分

(管理人室)

規約共用部分

(集会所等)

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二 専有部分の所有と管理・共用部分の所有と管理

区分所有法においてその中心となるのは、建物の共用部分をいかに管理するかという問

題です。共用部分が誰の所有に属し、これをいかに管理していくか、その原則となると

ころを確認しましょう。

1 専有部分の所有と共用部分の所有関係

(1) 専有部分の所有と共用部分と共有

専有部分は、区分所有権の目的となる部分であり、原則として、各区分所有者それぞ

れの単独所有となる。

これに対して、共用部分は各区分所有者の共有に属する。従って、区分所有者は共用

部分について、共有持分権(持分権)を有する。

(2) 共用部分の共有関係

① 全体共用部分

原則 区分所有者全員の共有に属する。

例外 規約により、一部の区分所有者又は管理者を所有者とすることができる

(管理所有)。

② 一部共用部分

原則 共用すべき一部の区分所有者の共有に属する。

例外 規約により、区分所有者全員又は一部の区分所有者、管理者を所有者とす

ることができる(管理所有)。

(3) 管理所有

本来、共用部分等の管理を行うのは区分所有者全員である。しかし、現実には区分所

有者全員による管理というのは困難である。むしろ、管理を円滑に行うためには、一定

の範囲の管理行為について特定の者に権限を与えてしまうことが合理的である。そこで、

一部の区分所有者又は管理者を共用部分の所有者とし、その管理を行わせることができ

るようにしている(管理所有)。この所有者を管理所有者という。

【ワンポイント】管理所有は、全体共用部分についても、一部共用部分についても定められる。

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(4) 共用部分の持分の割合

各区分所有者は共用部分を共有し、それぞれ共有持分権を有している。

共用部分の共有者である各区分所有者が、その持分に応じて共用部分の負担をし、又

は共用部分から生じる利益を収取する。

なお、この持分権の割合は、原則として各共有者の有する専有部分の床面積の割合に

よる。

2 共用部分の管理方法

(1) 共用部分の管理

種類 意味 方法

保存行為 物の滅失・損傷を防止し、その現

状を維持するための行為

各共有者が単独ですることができ

る。

管理行為 保存行為・変更行為以外の管理に

関する行為 普通決議

変更行為

物の形状

又は

効用を変える行為

軽微変更

重大変更 特別決議

(区分所有者の定数だけは、規約でその

過半数まで減じることができる)

【ワンポイント】

「普通決議」・・・原則として、区分所有者及び議決権の各過半数で決する決議。

「特別決議」・・・区分所有者及び議決権の各4分の3以上で決する決議。。

(2) 重大変更と軽微変更

共用部分の変更のうち、形状又は効用の著しい変更を伴わないものを軽微変更といい、

形状又は効用の著しい変更を伴うものを重大変更という。

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3 共用部分の処分の制限

(1) 専有部分と共用部分の持分の不可分性

専有部分を購入した者が、共用部分について別途売買契約を結んだり、あるいは区分

所有者がエレベーターの共有持分権だけを売却したりすることは、通常考えられない。

そこで、区分所有法は専有部分と共用部分を不可分とし、以下のような2つの制限を

設けた。

① 共用部分の持分の従属性

共用部分の持分は、専有部分の処分に従う。すなわち、専有部分を処分するとそれ

に伴って共用部分の持分も処分される。

② 専有部分と共用部分の持分に関する分離処分禁止の原則

共用部分の共有者(区分所有者)は、原則として共用部分の持分を専有部分から分

離して単独に処分することはできない。

(2) 専有部分と敷地利用権の分離処分禁止の原則

マンションを処分する場合、原則として、専有部分と敷地利用権を分離して処分する

ことが禁じられている。これは、専有部分と敷地利用権を別々に処分すると、権利関係

もマンションの登記記録も複雑となり、マンションの一室を買い受けようとする者など、

外部の人間が一見しただけでは、権利関係が分からなくなるからである。

処分(譲渡等)

所有者A 所有者B

従属性共有持分

共有持分

専有部分

専有部分

処分(譲渡等)

所有者A 所有者B

従属性共有持分

共有持分

専有部分

専有部分専有部分

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三 区分所有者の義務

共同生活を円滑に行うために、各区分所有者が相互に負うべき義務があります。それが

「共同の利益に反する行為をしてはならない」という義務です。そして、その義務に反

している者がいる場合には、その是正措置も必要となります。

1 共同の利益に反する行為

本来、区分所有者は、専有部分については自由に使用・収益・処分することができるは

ずである。しかし、それを無制限に認めると、マンションの構造上、他の区分所有者の生

活に支障をきたすことがある。

そこで、区分所有法において、区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管

理又は使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないとされている。

そして、このような義務は占有者にも同様にあてはまる。占有者も、区分所有者と同じ

く建物を使用するので、他の区分所有者に迷惑をかけるおそれがあるからである。

2 共同利益に反する行為をする者に対する措置

共同利益に反する行為をする区分所有者に対しては、他の区分所有者は、①行為の停止

等、②専有部分の使用禁止、③区分所有権及び敷地利用権の競売、の各請求をすることが

できる。また、区分所有者の共同利益に反する行為をする占有者に対しては、①行為の停

止等の請求のほか、④引渡し請求をすることができる。

相手方 訴訟の提起 決議 弁明の機会

①行為の停止等

の請求

区分所有者

占有者

しない 不要 不要

する 普通決議

②使用禁止請求 区分所有者

必要 特別決議 必要 ③競売請求

④引渡し請求 占有者

【ワンポイント】「弁明の機会」とは、当該措置により不利益を受ける者の言い分を聞く機会のことをいう。

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四 管理の主体

マンションは、原則として区分所有者全員により共同で管理をします。そこで、区分所

有者の全員の意思を決定し、全員が管理を行うための団体を構成する必要があります。

これが管理組合です。

1 管理組合

(1) 管理組合とは

区分所有者全員で構成される団体を管理組合という。管理組合は、区分所有者が複数

存在すれば、特に設立手続を踏まえることなく当然に構成される。そして、区分所有者

は当然に管理組合の構成員(組合員)となり、任意に脱退することはできない。

また、管理組合は、区分所有建物が全部滅失したり、又は建物の区分所有関係が単独

所有や共有に移行して廃止された場合には消滅する。

(2) 管理者

区分所有者が多数居住するマンションでは、管理を組合員全員で共同して行うことは

事実上困難である。また、区分所有者が自己の所有する建物の管理に無関心である場合

も少なくない。こうした背景から、一定の管理権限を特定の者に与え、この者に管理を

委ねることによって円滑な管理の実現を図る制度がつくられた。これが管理者の制度で

ある。

「管理者」とは、区分所有建物、敷地及び附属施設の管理を行うために選任された者

をいう。管理者は、一定範囲の管理行為について、区分所有者らに代わり、区分所有者

らのために区分所有建物の管理に必要な事務を処理する業務を担当する。

【ワンポイント】管理者は、集会の決議によって選任される。

管 理 組 合

管 理 者

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2 管理組合法人

(1) 管理組合の法人化

管理組合は、集会の特別決議により法人化することができる。そのメリットは、以下

のとおりである。

① 代表者個人名義ではなく、管理組合法人名義で不動産登記等をすることができる。

② 団体財産と個人財産の区別が明確化される。

③ 法人登記がなされることにより、組合法人の組織内容が公示され、取引の安全を

図ることができる。

(2) 理事と監事

管理組合法人には、必ず理事と監事を置かなければならない。理事は、管理組合法人

を代表してその業務を執行する。一方、監事は、こうした理事の業務執行の状況や管理

組合法人の財産状況を監査する。

管 理 組 合 法 人

監 事理 事 監査

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五 マンションの(管理)規約

マンションの管理運営や権利関係については、区分所有法に様々な規定が設けられてい

ます。しかし、実際の管理運営や権利関係は、住む人やその人達の考え方、建物・設備

の状況、周りの環境など、各マンションによって異なります。そのため、それぞれのマ

ンションの状況に応じた、独自のルールが必要です。

1 規約で定めることのできる事項

① 建物・その敷地・附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項

② 区分所有法で個別に規約で定めることができると規定されている事項

2 管理規約の設定

規約の設定・変更・廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会

の決議(特別決議)によってする。

規約は、専有部分・共用部分・敷地・附属施設につき、これらの形状・面積・位置関係・

使用目的・利用状況・区分所有者が支払った対価・その他の事情を総合的に考慮して、区

分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。

【ワンポイント】衡平が図られていない規約は無効となる。

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六 管理組合の集会

多数の区分所有者の意見を適切に集約し、多数決によって全体の意思を確認し、それを

実際の管理に反映させる。これが集会の果たす役割です。集会は、管理組合の最高意思

決定機関なのです。

1 集会の開催手続

集会の招集通知は、原則として会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を

示して、各区分所有者に発しなければならない。

さらに、集会において、一定の重要な議題について決議しようとする場合には、集会の

招集通知には、議案の要領(決議の内容についての案を要約したもの)をも通知しなけれ

ばならない。

2 議決権

各区分所有者の議決権は、原則として共用部分の持分の割合による。

【ワンポイント】「共用部分の持分割合」は、原則として専有部分の床面積の割合による。

3 決議事項の要件

決議事項は、区分所有者及び議決権の各過半数の賛成で決するのが原則である(普通決

議)。しかし、一定の重大な問題を決める場合には、各4分の3以上、又は各5分の4以上

といった特別多数による決議が要求される場合もある(特別決議)。

4 占有者の意見陳述

占有者は議決権を有しないので、集会において議決権を行使することはできない。しか

し、占有者が会議の目的事項について利害関係を有する場合には、集会に出席し、意見を

述べることができる。

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七 復旧・建替え

今日、老朽化するマンションが急激に増大していく中で、マンションの復旧や建替えに

関する社会的関心が高まっています。復旧と建替えの意義を正しく理解し、その法的な

手続について、それぞれの相違点に注意しながら学習していきましょう。

1 復旧

(1) 建物の一部が滅失した場合の復旧等

火災・地震・水害等の偶発的な事故や朽廃などにより、マンションの一部が滅失した

場合、建物の復旧が必要となる。

この点について区分所有法は、①滅失した部分が専有部分か共用部分か、②共用部分

の滅失の場合には、さらに滅失が小規模なものか大規模なものか、というように分けて

規定している。

(2) 専有部分が滅失した場合の復旧

滅失した専有部分の復旧は、その専有部分の区分所有者が単独で、かつ自己の費用で

行うことができる。

(3) 共用部分が滅失した場合の復旧

(a) 小規模滅失(建物価格の2分の1以下に相当する部分の滅失)

原則 各区分所有者は、単独で復旧することができる。

例外

集会において、

① 復旧の決議(普通決議)

② 建替え決議

以上のいずれかが成立した場合には、各区分所有者はその決議に拘束さ

れ、単独では復旧工事に着手することはできなくなる。

(b) 大規模滅失(建物価格の2分の1を超える部分の滅失)

集会の特別決議により、復旧をすることができる。

【ワンポイント】大規模滅失の復旧決議をした集会の議事録には、その決議について、各区分所有者の賛否を

記載しなければならない。

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2 建替え

(1) 建替えとは

建替えとは、既存の建物を取り壊し、新たな建物を建築することをいう。

(2) 建替え決議

集会において、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、

かつ、当該建物の敷地若しくはこれと重なる部分のある土地(敷地の一部の土地又は当

該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地)に新たに建物を建築する旨の決議(建替

え決議)をすることができる。

【ワンポイント】建替え決議によらない場合は、区分所有者全員の同意が必要となる。

(3) 建替え決議のための集会の招集手続

建替え決議のための集会を招集する場合、招集通知は、集会の会日より少なくとも2

月前に発しなければならない。

また、会日の1月前までに説明会を開いて通知事項について説明をしなくてはならな

い。

【ワンポイント】団地にけるマンションの建替えについては、①団地の中の一部についてのみ建替える場合と、

②団地内建物の全部を一括して建替える場合の手続がそれぞれ規定されている。

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八 団地

区分所有者の共有物である共用部分等を、区分所有者全員で管理するために管理組合が

形成されます。同様に、異なる建物所有者の共有物が存在する場合には、これを建物所

有者全員で管理するために団地管理組合が形成されます。区分所有法にいう「団地」の

概念は、一般に理解されている「団地」とは意味が異なります。ここは正確に理解をし

ておいて欲しいところです。

1 団地とは何か

区分所有法の「団地」の規定は、以下a、bの要件を2つとも満たす場合に適用

される。

a 1団地(区画)内に数棟の建物があること

b その区画内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む)がそれらの建物

の所有者(区分所有建物にあっては区分所有者)の共有に属すること

団地規定が適用される場面を図にしてみると、次のようになる。

【団地規定の適用】

=共有部分

集会所

① 区分所有建物・敷地共有 ② 区分所有建物・

附属施設(集会所)共有

④ 戸建て建物と

区分所有建物が混在・敷地共有

③ 戸建て建物・

附属施設(集会所)共有

集会所

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【ワンポイント】共有に属する土地又は附属施設がなく、建物、土地及び附属施設のいずれもが単独所有に属

している場合は、一般には団地と呼ばれていても、区分所有法上の、団地規定の適用はない。賃貸用公営アパ

ートがその例である。団地というと一般には区分所有建物の集まりがイメージされるが、戸建て建物が集まる

場合でも区分所有法の団地規定の適用がある。

【具体例】

① 甲地をA棟・B棟の所有者が共有⇒AとBからなる団地関係成立

② 通路をA棟・B棟・C棟の所有者が共有⇒A、B、Cからなる団地関係成立

③ 立体式駐車場をC棟・D棟の所有者が共有⇒CとDからなる団地関係成立

2 団地における重要な用語

(1) 団地建物所有者

団地建物所有者とは、団地が成立する場合の、土地又は附属施設を共有する団地内の

建物の所有者(区分所有建物では区分所有者)をいう。

(2) 団地管理組合

団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物(区分所有建物)の管理を行う団体

であり、団地内の建物所有者の全員で当然に構成される。

この団地管理組合では、①集会を開き、②規約を定め、③管理者を置くことができる。

【ワンポイント】一団地に数棟の建物があり、かつ共有の敷地又は附属施設があれば、これらは団地建物所有

者相互によって管理しなければならない関係が生じる。そこで、敷地や附属施設を核として団地関係が成立し、

これに対する管理団体が当然に存在するということになる。区分所有建物の管理組合も当然に成立することと

比較してほしい。

丙地D棟

立体式駐車場

通 路

甲地

A棟 B棟

乙地 C棟

丙地D棟

立体式駐車場

通 路

甲地

A棟 B棟

乙地 C棟

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17

第   講

【区分所有法~規約~】

■ 規約の設定・変更・廃止の手続

決議要件

区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議(特別

決議)によってすることを要する。

⇒ 規約で別段の定めをすることはできない。

一部の区分所有者

の権利に特別な

影響を及ぼす場合

「特別な影響を受ける区分所有者の承諾」+特別決議が必要

■ 公正証書による規約の設定

分譲業者等の 初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、あらかじめ下記

①から④までの事項について、規約を設定することができる。

① 規約共用部分に関する定め

② 規約敷地に関する定め

③ 専有部分と敷地利用権の分離処分を可能とする定め

④ 区分所有者が数個の専有部分を有する場合における、各専有部分に係る敷地利用権の割合

の定め

22 区区分分所所有有法法((各各論論編編~~規規約約とと集集会会))

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■ 規約の作成・保管・閲覧

規約の作成 規約は、書面または電磁的記録によって作成しなければならない。

規約の保管

管理者あり 管理者が保管する。

管理者なし

規約または集会の決議の定めにより、次の者が保管する。

① 建物を使用している区分所有者

② その代理人

利害関係人の

閲覧請求

原則 規約の閲覧を拒めない。

⇒規約で閲覧を制限することは許されない。

例外 正当な理由がある場合は拒める。

保管場所 建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

本規定を

準用する事項

① 集会の議事録

② 書面決議の合意書面

【区分所有法~集会~】

■ 集会の招集

集会の招集権者

管理者あり

原則 管理者

例外

(管理者が招集

しない場合)

区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有する者

は、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を

請求することができる(少数区分所有者の集会招集請求権)。

⇒この定数は規約で減ずることができる。

管理者なし

区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有する者は、

集会の招集をすることができる(少数区分所有者の集会招集権)。

⇒この定数は規約で減ずることができる。

招集義務

管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない。

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■ 招集の通知

手続

原則 集会の招集通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を

示して、各区分所有者に発しなければならない。

例外 ① 招集期間は、規約で伸縮することができる。

② 区分所有者全員の同意があるときは、招集通知は不要である。

専有部分

が共有の

場合

原則 専有部分が数人の共有に属する場合には、議決権を行使すべきと定められた

者1人に通知すれば足りる。

例外 議決権を行使すべきと定められた者がいないときは、共有者の1人に通知す

れば足りる。

あて先

通知

あり

区分所有者が管理者に対して集会の通知を受ける場所を通知していた場合

には、通知していた場所に通知する。

通知

なし

集会の通知を受ける場所を通知していなかった場合には、区分所有者の所有

する専有部分が所在する場所に通知する。

掲示に

よる通知

①建物内に住所を有する区分所有者、または、②管理者に対して通知場所を通知し

ていない区分所有者に対する通知については、規約で定めをすれば、建物内の見や

すい場所に掲示してすることができる。

重要な

決議事項

の場合

集会において次の決議をしようとする場合、集会の招集通知には、会議の目的たる

事項だけでなく、議案の要領(決議の内容についての案を要約したもの)について

も、通知しなければならない。

① 共用部分の重大変更

② 規約の設定・変更・廃止

③ 建物の大規模滅失の場合の復旧

④ 建替え

⑤ 団地規約の設定についての各棟の承認

⑥ 団地内建物の建替え承認決議

⑦ 団地内の複数建物の一括建替え承認決議に付する決議

⑧ 団地内の複数建物の一括建替え決議

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■ 議事

決議要件

普通決議 区分所有者および議決権の各過半数の賛成

特別決議 区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成

建替え決議 区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成

議決権の

行使方法

原則 区分所有者自ら集会に出席して行使する。

例外

① 集会に出席せずに、書面により議決権を行使することもできる。

⇒区分所有者は、規約または集会の決議により、書面に代えて、電磁的

方法によって議決権を行使することができる。

② 代理人を選任して行使することもできる。

書面・

電磁的

方法に

よる決議

集会において決議すべきものとされた事項について、区分所有者全員の承諾がある

ときは、書面または電磁的方法による決議をすることができる。

⇒区分所有者全員の書面または電磁的方法による合意があったときは、書面または

電磁的方法による決議があったものとみなされる。

合意書面等の

保管・閲覧 規約の保管・閲覧と同様

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