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1 平成21419埼玉県歯科医師会 「歯科医療に関する講演会」

平成21年4月19日 埼玉県歯科医師会 「歯科医療に関する講演 …『新薬の年間調剤費の自然増への影響調査』総括 (平成20年3月~平成21

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平成21年4月19日埼玉県歯科医師会「歯科医療に関する講演会」

2

国民医療費と歯科医療費  (億円)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

s37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

国民医療費

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

歯科医療費

総額(億)

国民医療費と歯科医療費  (億円)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

s37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

国民医療費

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

歯科医療費

総額(億)

歯科(億)

差額診療撤廃

8020運動推進特別事業

PⅠⅡ

訪問歯科診療老人保健教育・相談

小泉骨太改革

健康日本21口腔と全身

(出典:東京歯科大学社会歯科学研究室 石井拓男・都道府県歯科医師会専務理事連絡協議会:平成18年11月20日)

老人医療費無料化

介護保険法

老人保健法

介護予防

健康増進法

S61年 H7年薬価差益による医科との格差

小中学生齲蝕罹患90%を切る

90

80

73.8

75.5小学生昭和10年約70%

小中学生齲蝕罹患90%を切る

3

1.国家の経済政策の転換

「大きな政府から小さな政府へ」

「    官   から  民   へ」

「 市場  に任せる」

「大きな政府」の大きさとは社会保障に対する国の負担

「聖域なき構造改革」

医療費削減政策の根拠

4

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1960-65年

65-70年

0 100診察 投薬 注射 入院

1件当たり医療費の増加に対する診療行為別寄与率

(単位:%)

80-83年

83-90年

0% 20% 40% 60% 80% 100%

手術 麻酔

放射線治療処置画像診断在宅療法

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

70-75年

75-80年

理学療法 検査

5

国民医療費の増加率の要因分析

1980

81

82

83

84

85

119,805

128,709

138,659

145,438

150,932

160,159

9.4

7.4

7.7

4.9

3.8

6.1

0.8

0.7

0.7

0.7

0.6

0.7

1.0

1.0

1.2

1.1

1.2

1.4

0.0

1.2

-0.1

-1.1

-2.0

1.1

7.5

4.3

5.8

4.2

4.0

2.8

年度金額(億円)

増加率(%)

人口増人口構造の高齢化

診療報酬改定増

その他の増

国民医療費 増加率の要因分析

『新薬の年間調剤費の自然増への影響調査』総括

(平成20年3月~平成21年1月)

日本歯科医師会医療課集計 平成21年2月

内用薬 26品目

外用薬 5品目

注射薬 18品目

 合計 49品目

 

予測販売価格(単位:億円)

初年度額

ピーク時 年平均上昇額

①平均年度(単位:年)

②金 額 ②÷①

合 計

新薬品目数

391.6 7.41 3388.6 432.7

7

歯科医療経営の現状

図.収支差額のヒストグラム

中央値平均値

平成18年では、平成8年に比較し数値の高い方に裾が広い分布である。収支差額の高い歯科診療所と低い歯科診療所の乖離が大きくなる傾向にある。

診療所数

平成8年 (正規分布)

最頻値

中央値

平均値

平成18年 (正規分布しない)

診療所数

8

(分析・日本歯科総合研究機構)

 収支差額の中央値である107万円を超えるか超えないかに影響を与える因子

説明変数 オッズ比

医薬品の支出に占める割合 1.068

技工委託費の支出に占める割合 1.056

1日当たり平均患者数 1.054

給与費の支出に占める割合 1.035

歯科材料費の支出に占める割合 1.040

保険診療収入の医業収入に占める割合

0.973

開設者の年齢 0.964

説明変数 オッズ比

常勤歯科技工士数 1.477

常勤歯科衛生士数 1.323

医薬品の支出に占める割合 1.045

技工委託費の支出に占める割合

1.044

1日当たり平均患者数 1.034

給与費の支出に占める割合 1.024

その他の診療費の医業収入に占める割合

1.016

平成18年

 収支差額の中央値である141万円を超えるか超えないかに影響を与える因子

平成8年

平成8年では、収支差額に歯科技工士や衛生士の数(マンパワー)の因子が強く影響していたが、平成18年ではその傾向が見られない。 9

(分析・日本歯科総合研究機構)

10

再分配政策としての医療

11

生産物市場(財・サービス)

家計 生産要素市場政府

医療サービス

支払い

疾病

賃金

<必要原則>

<貢献原則>社会保障給付

財・サービス

社会保障

<貢献原則>

「 ? 」(生活にレベルあり)

保険外併用療養

「特に選定療養」

「評価療養」

理念

「生命に軽重はない」

市場と再分配の役割(混合経済の仕組み)

政府による消費と投資

再分配コントロールする中心とルール(規制)

市場

自由な取引しかし医療は?

権丈善一「医療年金問題の考え方 ‐再分配政策の政治経済学Ⅲ‐」(慶應義塾大学出版会)より (大久保による改変)

理念自由診療

12

今回の診療報酬改定について

診療報酬改定の仕組み

13

厚労省厚労省 財務省財務省

経済財政諮問会議

経済財政諮問会議政府政府自民党

与党

自民党与党

中医協中医協

日歯日歯 対策本部対策本部支援チーム

支援チーム

対立医療制度改革

(メタボリックシンドローム、後期高齢者医療制度)

医療費削減策

(保険免責制、総枠管理、混合診療)

医療費削減反

支持

改定率決定

(基本方針)

骨太の方針(2006年に社会保障費1兆1千億円を5年間抑制⇒財政再建)

(戦略方針)

医療課医療課

(データ等細目の支援)

14

今後の展望

15

歯科保健・医療の意義の確立口腔機能の維持・増進によって、「食」と「会話」という人間の生活の根幹に関わる「生きる力」を支援する生活の医療。

生活を

守る医療

生命を

守る医療

病院 地域・職場・学校

医師・歯科医師

医師会・歯科医師会

国・行政・都道府県・行政

国民の生命 健康

診療所

16

スポンジブラシスポンジブラシ

口唇口唇

重症新生児への口腔ケア重症新生児への口腔ケア

分泌物分泌物

舌苔舌苔

栄養チューブ栄養チューブ

挿管チューブ挿管チューブ

17

子どもの口腔ケアをする母子どもの口腔ケアをする母

17

18

19

「食」 と 「生命」ルドルフ・シェーンハイマーの実験(イメージ)

重チッ素を含んだエサを与えると

解剖してみると

さらに普通のエサを与えて解剖してみると

20

健康寿命の延伸に寄与するか

「8020コホート研究等より、明らかになったこと」

21咀嚼機能喪失(咬合崩壊)が身体的健康悪化に寄与する相対危険度

0

12

8

4

20以上10~

191~9

0並

不良 or なし良好

相対危険度

P<0.01

義歯の状態歯数

P<0.05

有意差なし相対危険度

P<0.001

10

6

20

12

8

4

10

6

2

21

歯周病とがんのコホート研究

22

2008年6月号 Lancet Oncology男性の医療従事者における歯周病、歯の喪失とがん

のリスク前向きコホート研究

年齢40~75歳の男性(医療従事者:半分が歯科医師)48,375人を対象

1986年から2004年1月31日まで追跡研究2年ごとに調査票を送付調査期間中央値17.7年

歯周病のない群 VS 歯周病のある群 で比較すると

がんになるリスク 1.14倍◎がんの発生部位:肺がん1.36、腎がん1.49、膵がん1.54、血液がん

1.30◎歯周病のある・なしが、がんのリスクに、値は小さいが統計的に無視できないほどの差を生んでいる。 歯周病は、がんのなりやすさと関係する免疫システムの指標となるかもしれないし、がんのなりやすさに直接的に影響しているのかもしれな22

表2 喪失歯数群別の死亡率比(n = 20,959)

0-4

n 16,954

観察人年 41,611

死亡者数 88

死亡率比1a

1.00

(95%信頼区間) (1.13 -2.32) (1.25 -2.60)

死亡率比2b

1.00

(95%信頼区間) (1.13 -2.40) (1.14 -2.52)

死亡率比3c

1.00

(95%信頼区間) (1.12 -2.44) (1.13 -2.56)

a)性・年齢を調整

b)性・年齢・喫煙習慣・飲酒習慣・BMI・精神的健康度・激しい運動・

睡眠時間を調整

c)性・年齢・喫煙習慣・飲酒習慣・BMI・精神的健康度・激しい運動・

睡眠時間・糖尿病既往・高脂血症既往・収縮期血圧を調整

2,423

5,673

62

1,582

3,740

102

5-14 15-28

喪失歯数Trend p

0.002

0.010

0.012

1.62

1.64

1.66

1.80

1.70

1.70

(厚生労働科学研究:若井らの報告)

23

日数 0

90

120

210

240

300

390

510

600

690

810

900

990

0.84

0.86

0.88

0.9

0.92

0.94

0.96

0.98

1

歯科医師無

歯科医師有

かかりつけ歯科医師の有無と累積生存率との関連・先行研究

2001年多摩市高齢者13,066人多摩市・多摩市歯科医会・東京都立大学協働調査 

2001年多摩市高齢者13,066人多摩市・多摩市歯科医会・東京都立大学協働調査 

累積生存率

累積生存率

24

平成21年2月27日(金) 毎日新聞朝刊18面平成21年2月27日(金) 毎日新聞朝刊18面

26

おわりに「すべての課題を解決する万能のボタンはない」

「使命と誇りをもつものだけが前を向いて歩くことができる」

歯科医師会の存在意義の基盤は

     「可与共学、未可与適道、可与適道、                 未可与立、可与立、未可与権」

与に共に学ぶべきも、未だ与に道に適くべからず。

与に道に適くべきも、未だ与に立つべからず。与に立つべきも、未だ与に権るべからず。

「会員が生涯を通して共に学びあう仲間」