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平成 27 年度 東京大学大学院情報学環 教育部シラバス

平成27年度 東京大学大学院情報学環 教育部シラバ …...情報技術論講義Ⅱ(ICTサービスデザイン論) 新井田 統 講 師 (株式会社KDDI研究所)

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平成 27 年度

東京大学大学院情報学環

教育部シラバス

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特別演習 III(教育部概論)

大島まり教授、馬場章教授、中村周吾准教授

田中淳教授、原田至郎准教授、上條俊介准教授

夏学期 火曜日 4時限(2単位)

講 義 概 要

まず、ユニークな特性を持つ教育部というプログラムの歴史を跡づけ、そこで研究生に

なるということの意義を確認する。

そのうえで、情報学環を構成する多様な研究者が、おおむね 2回ずつそれぞれの専門領域

について概説する。なお、下記には学際情報学府における各研究者の所属コースが記されて

いるが、講義のなかでコース全体の概説するわけではなく、あくまで各自の専門領域につい

ての講義となる。

情報学環、および教育部の全体像を理解してもらうために 2013 年度にはじめて開講され

た授業。1年生はなるべく履修してほしい。

講師毎に A4用紙 1枚のコメント・レポートを提出(合計 6回)。出席とそれらの内容を総

合的に勘案して成績評価する。

参 考 文 献

・各講師が適宜、紹介、説明する。

講義の構成とスケジュール

第 1週 4/14 上條 俊介 (オリエンテーション)

第 2週 4/21 大島 まり (先端表現情報学コース)

第 3週 4/28 大島 まり (先端表現情報学コース)

第 4週 5/12 馬場 章 (文化・人間情報学コース)

第 5週 5/19 馬場 章 (文化・人間情報学コース)

第 6週 5/26 中村 周吾 (総合分析情報学コース)

第 7週 6/2 中村 周吾 (総合分析情報学コース)

第 8週 6/9 田中 淳 (社会情報学コース)

第 9週 6/16 田中 淳 (社会情報学コース)

第 10週 6/23 原田 至郎 (アジア情報社会コース)

第 11週 6/30 原田 至郎 (アジア情報社会コース)

第 12週 7/7 上條 俊介 (まとめ)

第 13週 7/14 予備日

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情報技術論講義Ⅱ(ICTサービスデザイン論)

新井田 統 講 師

(株式会社 KDDI 研究所)

小林 亜令 講 師

(株式会社 KDDI 研究所)

夏学期 火曜日 6時限(2単位)

講 義 概 要

高度情報化社会の発達により、ICT サービスの利用者は極めて多様な行動を取るように

なった。そのような中では、新規技術の導入による機能の追加よりも、体験価値を向上させ

ることが求められる。しかし、提供者と利用者はそれぞれ異なる文化をもつコミュニティに

所属しており、両者の間の溝が、利用行動の多様化に伴いサービス開発の課題として顕在化

してきている。このため、提供者・利用者の双方の立場に立って考えられる方法論を身につ

けることが望まれている。

本講義では、通信事業を例に上記の課題の解消に向けて行われている活動について解説

するとともに、サービス設計の方法論について学ぶ。更に、フィールドワークや企業研究者

へのインタビューを行い、提供者と利用者の間に生まれた溝について議論する。

参 考 文 献

『誰のためのデザイン?-認知科学者のデザイン原論』,D.A.ノーマン,新曜社 『「行動観察」の基本』,松波晴人,ダイヤモンド社 『インクルーシブデザイン 社会の課題を解決する参加型デザイン』,ジュリア・カセム他

学芸出版社 講義の構成とスケジュール

第 1週 ICTサービスデザインの課題(座学)

第 2週 ヒューマンセンタードデザイン(座学)

第 3週 行動観察・ヴァーチュアル・エスノグラフィー概要(座学)

第 4週 調査設計(座学とグループワーク)

第 5週 ビッグデータ(座学)

第 6週 セキュリティ(座学)

第 7週 ウェアラブルコンピューティング,AR(座学)

第 8週 ユーザ参加型サービス設計(座学)

第 9週 開発者インタビュー(グループワーク)

第 10週 調査データ共有(グループワーク)

第 11週 課題抽出(グループワーク)

第 12週 ワークショップ(グループワーク)

第 13週 最終発表会

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メディア・ジャーナリズム論文献講読Ⅳ

(科学をめぐる概念分析)

北田 暁大 教 授

夏学期・水曜日・4時限(2単位)

講 義 概 要

本講義では、ダンジガー『心を名づけること』(勁草書房)の精読を通して、概念分析も

しくは言説分析と呼ばれる社会学的方法論を習得することを目的とする。「科学」は何らか

のカテゴリーを作りだし、そのカテゴリーに基づいて何らかの現象を計量的に分析する。ダ

ンジガーの書は、態度変容、パーソナリティ、知能に関して「なにが、いかにして数え上げ

られるべきなのか」をめぐる歴史的な経緯をたどった心理学の社会史である。科学的実戦に

おいて「測定する」とはいかなる営みなのかを本書を精読しつつ考察していくこととしたい。

参 考 文 献

・カート・ダンジガー『心を名づけること』(上、下)勁草書房【必須】 ・イアン・ハッキング『知の歴史学』岩波書店 ・スティーヴン・グールド『人間の測りまちがい』河出書房新社 ・酒井ほか編『概念分析の社会学』ナカニシヤ出版

講義の構成とスケジュール

第 1 週 ガイダンスおよび輪読の順番の決定

第 2 週~第 12 週 『心を名づけること』購読 第 13 週 総括討論

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情報社会論講義 I(デジタルメディアと教育の未来像)

箕輪 貴 講 師

(NHK出版)

夏学期 水曜日 6時限(2単位)

講 義 概 要

急速に進化する社会の中で、いま児童、生徒、学生にどんな技能、どんな知識を身につけ

ることが求められているのでしょうか。

近年、デジタルネットワークが情報基盤となりつつある社会において、教育のあらゆる局

面(学校、家庭、社会)で同時多発的に 新しい学びのメディアが登場しています。この講

座では、NHKの学校放送番組をはじめ教育メディアが果たしてきた役割と現状、さらに今後

現場に導入されるデジタルメディアの可能性について考えていきます。

まず近未来の社会を生きるために必要な「技能」と「知識」を考察します。そしてメディ

アごとにコンテンツ、サービス、システム等の特性を確認し、学習者にもたらす成果を展望

します。

必要に応じてメディア企業のプロデューサー、ディレクター、エディター、デザイナーを

ゲストに招き、最新の情報を共有しながら授業を進めます。

参 考 文 献 1.「10年後の教室(Kindle版)」山内祐平 著 日経パソコン

2.「テレビ的教養 」佐藤卓巳 著 NTT出版

3.「教育×破壊イノベーション 教育現場を抜本的に変革する」

クレイトン・クリステンセン他 著 翔泳社

4.「ポスト・ヒューマン誕生」レイ・カーツワイル 著 NHK出版

講義の構成とスケジュール 第1週 KEYNOTE ~教育の未来像を探る~

第2週 近未来のプロフェッショナル(1) ~新しい肩書・新しい職業~

第3週 近未来のプロフェッショナル(2) ~メディア企業が求める人材~

第4週 学校放送 ~教室とメディアとの遭遇~

第5週 Eテレ ~教育番組を企画・編成する~

第6週 NHK for School ~教室の情報化を支援する~

第7週 NHK Creative Library ~次世代の表現力を育成する~

第8週 モバイル学習 ~スマフォアプリと学びのスタイル~

第9週 デジタルテキスト ~(UI+UX)×α= ID の方程式~

第10週 電子書籍 ~新しい教養体系を構築する~

第11週 MOOCs ~教育プラットフォームの最先端~

第12週 近未来のプロフェッショナル(3) ~地域社会とメディア表現~

第13週 近未来プのロフェッショナル(4) ~2045年の職業を考える~

第14週 NEXT WORLD ~Singularityと教育の未来像~

※ゲストスピーカーの都合によりスケジュールを変更する可能性があります。

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情報社会論研究指導Ⅳ(マスメディアと政治)

前田 幸男 准教授

夏学期 木曜日 5時限(4単位)

講 義 概 要

マスメディアにおける政治報道、並びに、報道と政権との関係について、近年出版されて

いる新書等を手がかりに議論します。事前に報告者を決めた上で、報告・討論を行う演習の

形式で授業を行います。薄めの新書であれば、一週間に一冊程度の速度で進めますので、担

当が割り当てられた週については、それなりの時間が準備に必要となりますからご注意下

さい。

可能であれば、新書の著者、新聞記者、あるいは政治家を招いてのセミナーを織り交ぜた

いと考えています。

参 考 文 献

逢坂 巌『日本政治とメディア - テレビの登場からネット時代まで』中公新書 2014 年。

佐々木 隆『シリーズ日本の近代 - メディアと権力』中公文庫 2013 年(1999 年)。

蒲島 郁夫・竹下 俊郎・芹川 洋一『メディアと政治 改訂版』有斐閣 2010 年。

講義の構成とスケジュール

第 1週 導入・説明

第 2週 輪読1

第 3週 輪読2

第 4週 輪読3

第 5週 セミナー(著者-交渉中)

第 6週 輪読4

第 7週 輪読5

第 8週 輪読6

第 9週 セミナー(政治家-交渉中)

第 10 週 輪読7

第 11 週 輪読8

第 12 週 輪読9

第 13 週 セミナー(新聞記者-交渉中)

上記はあくまで素案であり、正式なものは第1回目に提示する。

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情報産業論講義Ⅴ(広告コミュニケーションビジネス論)

勝野 正博 講 師 (株式会社博報堂 DY メディアパートナーズ メディア環境研究所)

中杉 啓秋 講 師 (株式会社博報堂 DY メディアパートナーズ メディア環境研究所)

夏学期 木曜日 6時限(2単位)

講 義 概 要

「広告とは○○であるⅢ」

皆さんにとって“広告”とは、どのような存在でしょうか?

本講義は、デジタルイノベーションや経済のグローバル化で変わる生活者のコミュニ

ケーションや広告クリエイティブ、そしてメディア環境の現状等、今のマーケティング・コ

ミュニケーション領域で起こっている事象を、第一線で活躍する担当者から学びます。

受講生は、先端の知識に触れ、インサイトを探し、新しいアイデアを考え発表する事を通

じて、広告ビジネスの「イマとコレからを実感する」ことを目指します。

皆さんと会える日を楽しみにしています。

参 考 文 献

・ 業界人間ベム 横山隆一(デジタルインテリジェンス代表取締役)

http://g-yokai.com/

・ 現代の平賀源内に会いに行こう 須田伸 facebook執行役員マーケティング本部長

http://www.advertimes.com/author/suda_shin/

講義の構成とスケジュール

第 1週 Keynote「広告ビジネスのイマとコレから」

第 2週 広告ビジネス基礎① メディアとクリエイティブ

第 3週 広告ビジネス基礎② デジタル化・グローバル化で変わる広告ビジネス

第 4週 メディア環境の変化① メディア定点・メディアライフ調査より

第 5週 メディア環境の変化② Media Extension

第 6週 生活者の変化① 生活者発想とは?

第 7週 生活者の変化② 生活動力 2015 Dual Life

第 8週 広告ビジネスのイマ「Big Data」

第 9週 広告ビジネスのイマ「Contents」

第 10週 広告ビジネスのコレから「Internet of Things, Wearable Media 」

第 11週 広告ビジネスのコレから「Creativity, Story Telling」

第 12週 ワークショップ“2020年 東京オリンピックと広告(仮)”

第 13週 発表

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メディア・ジャーナリズム論実験実習Ⅳ

(社会をみつめるドキュメンタリーを制作する)

水島 宏明 講 師

(法政大学)

夏学期 金曜日 5・6時限(4単位)

講 義 概 要

社会や人々の日常の断面を切り取って、社会問題や社会の変化、人間の生き方などの「普

遍的なテーマ」に通じるドキュメンタリー(映像作品)をつくる。 テレビやネットの記者やディレクターらがおこなっている映像作品づくりを実践し、取

材力、表現力、さらに映像ジャーナリズムのリテラシーを高めることを目的にする。 テーマの設定、背景の調査、取材対象となる人物や現場の発見、交渉、撮影、編集、

ナレーション原稿の作成などの実践を学び、最終的には一人ずつ10分〜15程度の映像

作品を制作することを目標にし、「地方の時代映像祭」などのコンクールに出品する。 現場での撮影などの「取材」は基本的に「授業外」の作業とし、授業は主として進行状況

や映像の確認、学生同士の議論や助言をおこなう場とする。

参 考 文 献

「社会の今を見つめて TV ドキュメンタリーをつくる」(大脇三千代・岩波ジュニア新書) 「ビデオカメラで行こう」(白石草・七つ森書館)

講義の構成とスケジュール

第 1週 イントロダクション「映像作品を分析する」

第 2週 ビデオカメラと編集用パソコンの使い方(講習会)

第 3週 企画ニュースの分析と企画書、構成表を書く

第 4週 企画ニュースをつくる (1)現場を取材する

第 5週 企画ニュースをつくる (2)編集し、作品を完成させる

第 6週 ドキュメンタリーを企画する (1)俯瞰の視点

第 7週 ドキュメンタリーを企画する (2)接近の視点

第 8週 ドキュメンタリーを撮影する (1)

第 9週 ドキュメンタリーを撮影する (2)

第 10週 ドキュメンタリーを編集する (1)

第 11週 ドキュメンタリーを編集する (2)

第 12週 ナレーション原稿

第 13週 作品の仕上げとコンクールへの出品

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情報社会論実験実習Ⅲ

(東京メディア・ビオトープ)

水越 伸 教 授

冬学期 月曜日 4・5時限(4単位)

7回で終了の予定

講 義 概 要

ラジオ、Zine、ケーブルテレビなど、地域に根ざした小さなメディアに注目し、履修者

自らがメディアをつくることを通じて、メディアとコミュニケーションに関する基本的な

思想を体得する。

水越研究室などで進められているプロジェクトに参加し、上記のようなメディア実践活

動をおこなう。

講義と実践を合わせ、2コマ通しておこない、7回で終了の予定。

グループワークをおこない、地域連携活動に発展する可能性があるため、原則として毎

回出席できることが履修条件。

成績評価は出席(30%)、グループワークのパフォーマンス(30%)、成果物の評価(20%)、

そして期末レポート(20%)を総合的に勘案しておこなう。

参 考 文 献

水越伸『改訂版 21 世紀メディア論』放送大学教育振興会、2014.

講義の構成とスケジュール

第 1週 オリエンテーション

オリエンテーション

第 2週 小さなメディアをデザインする(講義)

小さなメディアをデザインする(講義)

第 3週 グループワーク

グループワーク

第 4週 グループワーク

中間とりまとめ

第 5週 グループワーク

グループワーク

第 6週 グループワーク

最終発表

第7週 まとめ

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メディア・ジャーナリズム論講義Ⅶ

(「共感のジャーナリズム・2」(人を動かす発信の可能性を探る))

高橋 美佐子 講 師

(株式会社朝日新聞出版)

冬学期 月曜日 6時限(2単位)

講 義 概 要

犬が人間を嚙むのは想定内だが、人間が犬を嚙めばニュースになる。これはマスメデ

ィアで働く私が、新聞記者になりたてのころに教わった「記事になるかどうか」の判断基準

だ。一方、「共感のジャーナリズム」という考え方がある。これは私が尊敬する亡き先輩が

唱えた概念で、メディアは読者と共に考え、対話しながら発信する必要があると説く。つま

り双方向性に強くこだわる。私は20年以上、全国紙に記事を書き、現在は週刊誌の副編集

長として、「暮らしの現場」からの発信を心がけている。そこには冒頭の判断基準である〝

驚き〟の要素は少ないが、語られる何げない言葉はたくましく本質的だと感じる。目線が低

く、弱さに寄り添い、迷う心をさらけだし、議論を巻き起こす。私はそこにこそ「共感のジ

ャーナリズム」が宿ると考える。担い手はメディア係者以外にも、社会や時代と向き合いな

がら各界で活躍する人々だ。多彩な顔ぶれのゲストを講義に招きつつ、それぞれの現場の事

例を通じ「共感のジャーナリズム」の可能性を探る。

参 考 文 献

講義の構成とスケジュール

詳細スケジュールは授業初回でお知らせます。

第 1週

第 2週

第 3週

第 4週

第 5週

第 6週

第 7週

第 8週

第 9週

第 10週

第 11週

第 12週

第 13週

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情報産業論文献講読Ⅲ(情報社会と法)

酒井 麻千子 助 教

冬学期 火曜日 5時限(2単位)

講 義 概 要

米国の情報法・知的財産法学者であるローレンス・レッシグの『コモンズ』(原著: The

Future of Ideas)を輪読する。本書は、アメリカの情報通信産業やコンテンツ産業を題材

に、インターネットにおける様々な法規制の現状と今後のあり方について問う内容となっ

ている。受講者の間で輪読箇所を分担し、担当者はできるだけ原著を参照しつつレジュメを

作成して報告を行うとともに、自らの知的背景を生かした知見を提示することを求める。

参 考 文 献

・ローレンス・レッシグ(著)、山形浩生(訳)『コモンズ –ネット上の所有権強化は技術革

新を殺す』(翔泳社、2002年)

・Lawrence Lessig, The Future of Ideas: The Fate of the Commons in a Connected

World, Random House, 2001.

( http://www.the-future-of-ideas.com からダウンロード可能)

講義の構成とスケジュール(仮)

第 1週 イントロダクション

第 2週 第1章 「フリー」/第 2章 構成部品:「コモンズ」と「層」

第 3週 第 3章 電線上のコモンズ

第 4週 第 4章 ワイヤードされた者たちのコモンズ

第 5週 第 5章 無線のコモンズ/第 6章 コモンズの教訓

第 6週 第 7章 現実空間での創造性

第 7週 第 8章 インターネットからのイノベーション

第 8週 第 9章 旧 vs. 新/第 10章 電線—ひいてはコード層—をコントロール

第 9週 第 11章 ワイヤードされた者—ひいてはコンテンツ層—をコントロール(前)

第 10週 第 11 章 ワイヤードされた者—ひいてはコンテンツ層—をコントロール(後)

第 11週 第 12 章 ワイヤレス—ひいては物理層—をコントロール

/第 13 章 何が起きているんだろうか

第 12週 第 14 章 alt. commons/第 15章 オーリンにはわかっている

第 13週 まとめと討論

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メディア・ジャーナリズム論講義 VI

(テレビ・ドキュメンタリーの現場から)

原 一郎 講 師

(株式会社テレビ朝日)

冬学期 火曜日 6時限(2単位)

講 義 概 要

「テレビ・ドキュメンタリーの現場から」

この講義では、テレビ朝日系列で放送された調査報道や震災報道、人間ドキュメントなど

様々な映像作品を上映しながら、テレビ・ドキュメンタリーの可能性や限界、

テレビジャーナリズムが果たすべき役割について考える。

参 考 文 献

特にありません

講義の構成とスケジュール

第 1週 イントロダクション

第 2週 作品上映とディスカッション

~ 第 11 週

第 12週 企画書プレゼンと企画検討

~ 第 13 週

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情報産業論実験実習Ⅱ

(言葉ベースの「伝える」仕事、その原理と実際と応用)

石島 裕之 講 師

(筑摩書房)

冬学期 水曜日 6時限(4単位)

講 義 概 要

本や雑誌を刊行することが「出版」だと思われがちだが、publishing の「publ」が「人々」

を意味することからも分かるように、「出版」にはもっと広い意味があるのではないか。「出版」

を「情報の共有を促す行為」として捉え直してみたら、どうだろうか。本講義ではこの観点か

ら、狭い意味での「出版」のみならず、広い意味での「出版」にも焦点を当てることで、「出版」

についての理解を、皆さんとともに深められるようにしたい。

参 考 文 献

大澤聡『批評メディア論――戦前期日本の論壇と文壇』(岩波書店,2014)

講義の構成とスケジュール

第1週 まずは「現場」の話、そして皆さんのことを知る一助としてのアンケート

第2週 いわゆる「出版」には未来がない? ―― 各種媒体を視野に入れて

第3週 「企画」というプロジェクト(その1)―― 価値の創造へ

第4週 「技術」としての編集(その1)―― テキストと格闘する

第5週 「企画」というプロジェクト(その2)―― マーケットのただ中から

第6週 「技術」としての編集(その2)―― テキストにかたちを与える

第7週 それぞれの企画を「会議」の場で検討してみる ―― 意見交換の効用と弊害

第8週 仲介者としての「編集」を複眼的に 【ゲスト予定】

第9週 どんな事情で自主規制? ―― 公共財としての「出版」へ 【ゲスト予定】

第10週 紙であれ、ネットであれ ―― メディアと言葉、その未来 【ゲスト予定】

第11週 何にしても意匠がないと―― 視覚情報とデザインと 【ゲスト予定】

第12週 そうはいっても利益にならないと ―― ヘイト本でも売れればいい?【ゲスト予定】

第13週 「面白い」と「つらい」のはざまで ―― 終わりの始まり、のために

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情報技術論 研究指導 II(情報と交通(演習))

中野 公彦 准教授

冬学期 木曜日 5・6時限(4単位)

講 義 概 要

2020 年に向けて,自動運転の実用化が期待されている。また米国では一部の州で Google

による自動運転車が公道走行を認可されている。一方で,地方部では過疎高齢化,公共交

通衰退など,移動には地域較差が大きく,経済発展にも直結する.ICT発展の先の社会はど

こへ行くのか?文理の枠を超えた学際的議論と将来を担う幅広い人材の育成が重要である。

人とモノの移動,すなわち交通,これに ICTの考えを入れて次世代化を考えるのが,ITS

(Intelligent Transport System)である。本演習では,この ITS 分野に関する最先端の

研究開発状況について,各分野に渡る教員・研究者からの話題提供に対して活発な議論を

行うとともに,特に関心を持った教員の研究室に入り,そこでの研究をベースにあるべき

次世代社会への提案を考え,そのプレゼンテーションを行うことで,情報技術の社会に果

たす役割についてより理解を深めることを目指す。

参 考 文 献

講義の構成とスケジュール

第 1週 ガイダンス(本演習の概要と進め方)

第 2~5週 各関係分野の教員・研究者から話題提供,および議論

1週につき 2名程度の教員・研究者から話題提供および議論

(機械,情報,交通,人間,ビジネス,地方自治,地域活性化など)

第 5週の最後に配属希望調査を行う.

(原則として希望に沿って配属を行いますが,特定研究室に集中が

あった場合などには希望に沿えないこともあります)

第 6~12週 各配属研究室にて演習を行う.

なお,演習場所は原則として駒場 IIキャンパスになる予定.

第 13週 成果発表会 (生産技術研究所にて)

以上

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メディア・ジャーナリズム論講義Ⅷ

(体験的メディア・ジャーナリズム論) 水谷 典雄 講 師

(新聞研究所・社会情報研究所・情報学環同窓会副会長)他

冬学期 金曜日 17:00~20:00(2単位)

10月23日(金)~12月4日(金)までの7回

(※日程は変更することがあります)

講 義 概 要

三年目となった、東大新聞研・社会情報研・大学院情報学環教育部の同窓会メンバーによ

る講義を企画・実施する。

各回を担当する放送局・新聞社・出版社・デジタルメディアなどに職業として関わってき

た各世代の OB・OGたちは、それぞれの体験の中で考え、培ってきた自らのメディア/ジャ

ーナリズム論を展開することになるが、それはとりもなおさずリアリティに富んだ職業論

となるはずである。現代社会を支える最大の基盤であるコミュニケーションの仕事の現場

について知ることは、将来メディアの世界に進むことを考えている人にもそうでない人に

も、有益な体験となると確信している。

今年度は、国際的なメディア・ジャーナリズムに重きを置く予定である。また、研究生間

のディスカッションに加え、講師による対論形式の小シンポジウムも想定している。

昨年度・一昨年度の履修者も再度履修可とするので、一人でも多くの研究生の主体的参加

を期待している。

参 考 文 献

講義の構成とスケジュール

(各回の内容・講師陣は、9月中に発表します)

※講義時間は17:00~20:00とします。

※各回リアクションペーパーを配布、原則として前半終了時に質問・意見等を記入してもら

った上で回収し、後半の講義ではそれを踏まえて意見交換を行います。

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