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平成29年度 春学期 金曜3時限 12-109
管理工学科3年生向け 分野1 選択科目
e-ビジネスソフトウェア論
山口 高平(やまぐち たかひら)
居室:7-303(5月以降14-501に移動予定)
電話:045-566-1614 (内線42673)
E-mail: [email protected]
WWW: http://www.yamaguti.comp.ae.keio.ac.jp/
1
授業計画 ①4/7 ICTの変遷
②4/14 第1世代eビジネスSW+ビジネス方法特許
③4/21 WWW3技術要素
※第4回以降、ノートPCを使います。
④4/28 HTML+CSS
⑤5/12 JavaScript 1回目
⑥5/19 JavaScript 2回目
5/26 休講予定(学会出張) 6/2 休講(4学期精度の試験) ⑦6/9 JavaScript 3回目
※COM実験(JavaScript演習) ⑧616 JavaScript 4回目
⑨6/23 ゲストスピーカ 大澤哲也氏(三ツ輪産業) ⑩6/30 検索エンジン
⑪7/7 検索連動型広告
⑫714 ビッグデータ、AIサービス
⑬7/21 ゲストスピーカ 八木晃二氏(元野村総研、専修大学) 2
成績評価,講義資料
①レポート1回(1/3,HTML+CSS+JAVAスクリプト演習) ②期末テスト(2/3,持込無し,記述式問題中心) ※講義関連情報はすべて下記URLに掲載 (講義スライド(前日までに),レポート,スケジュール等) http://www.yamaguti.comp.ae.keio.ac.jp
3
ICT
④データ
多様化
大規模化 ,
多更新化
ビッグデータ
①H/W
高速化,
大容量化
(ギガとテラ)
⑤高度化
クラウドサービス化,
ソーシャル化,
人工知能
②S/W
複雑化,
大規模化(メガ)
③NW ブロードバンド
全世界に普及
ICT(情報通信技術)の変遷
人・組織・社会
4
eビジネスと生活様式・社会構造の変化
• SNS:Twitter、Facebook、LINE、Instagram
• 音楽配信
• 動画配信
Ustream→IBM Cloud Videoへ
• AdTech
• FinTech
• まとめサイト問題
• シャアリングエコノミー
Uber:Car-Free Living
(自動車を持たない生活) Airbnb:民泊
5
NEW
コンピュータのH/W構成
CPU+メインメモリ 入力装置
キーボード
補助記憶装置
HDD, SSD,
USBメモリ
出力装置
ディスプレイ
プリンター
計算 データの
記憶・更新
6
1976年 日本の最初のマイコンTK80 http://ja.wikipedia.org/wiki/TK-80
C
P
U
ROM
1KB
入力装置
16進キーパッド
出力装置
7セグメントLED
RAM 1KB
8080A トランジスタ数6000 7
①-1 CPUの高性能化 • コンピュータのH/W=中央演算処理装置(CPU)
+主記憶装置(メインメモリ)+補助記憶装置+入力装置+出力装置
• CPU: Central Processing Unit
1990年代前半: 300MHz →スーパーコンピュータ(数千万円)
現在:10万円程度のデスクトップパソコン
インテルCore i7(6コア)3GHz
ムーアの法則
1.5年でトランジスタ集積度が2倍
1971年: 4040プロセッサー
トランジスタ数 2300個
2011年: 210×210×210=10億個
もうすぐムーアの法則が成立
しなくなる?なぜ?
CPU開発の歴史:インテルミュージアム
http://www.intel.com/jp/intel/museum/index.htm 8
①-2 メインメモリ(主記憶装置)
CPUが直接アクセスできる記憶装置(通常はRAM)
①RAM(Random Access Memory)読み書き自由
②ROM(Read Only Memory)読み取り専用
メモリアドレス:CPUがデータを読み書きするメモリ上
の物理的位置識別子
アドレス空間:メモリアドレスによってアクセス可能な範囲
32bitCPU→アドレス空間サイズは 232 =4GB
メインメモリの価格の推移
http://www2s.biglobe.ne.jp/~sakharov/research/graph.html
9
①-3-1 HDD(Hard Disk Drive)の大容量化と廉価
※10年間のGB単価の大凡減少傾向(正確ではありません)
2000年(1000円),2001年(400円),2002年(200円)
2003年(150円), 2004年(120円),2005年(100円)
2006年(60円) , 2007年(50円) , 2008年(20円)
2009年(10円) ,2012年(5円)
Z(ゼタ) :10垓倍, E(エクサ) :100京倍,
P(ペタ):1,000兆倍, T(テラ) :1兆倍, G(ギガ) :10億倍,
M(メガ) :100万倍, K(キロ) :1,000倍
※1956年:世界最古のIBMのHDD,5MB
※代表的なHDD
3.5インチHDD:デスクトップパソコン
2.5インチHDD:ノートパソコン。省電力,耐衝撃や
耐振動性に優れている。カーナビやゲーム機
1.8インチ:小型ノートパソコン,iPod
ディスク(プラッタ)を高速回転させ
アームの先に取り付けられた
磁気ヘッドによりデータのR/W
10
①-3-2 HDDの普及と利用拡大
※HDDベンダーのシェア:
Western Digital 31.3%,Seagate 30.3%,HGST 17.2%,
東芝 10.9%,Samsung 10.3%
※昔は大企業しかDBを持てなかったが,中小企業,個人レベルでTB単位のデータを蓄積・分析可能
※データマイニング(大量データから規則性の発見)
①米国ウォールマートが購入された商品分析
日曜日,既婚若者男性,購入商品組合せ
缶ビール-(?)
②10年前,日本のスーパーマーケットで,
右図の商品配置は非常識?
kpi
11
①-3-3 新しい補助記憶装置 フラッシュメモリ
• フラッシュメモリ:書換え可能,電源切ってもデータが消えない(不揮発性)記憶装置の総称。以下の3種類が代表的。
• Flash SSD (Solid State Drive): 入出力企画がHDDと同じフラッシュメモリ,
高速(物理駆動部がないからSeek Timeが早い),
静か(音,振動),低発熱,省電力→高級ノートPC
(※HDDをSSDに交換すると立ち上げ時間が数分の1になる。
でも,まだ高い。SSDは256GBで5万円。HDDなら2TBで1万円。)
• USBメモリ(Universal Serial Bus) :USBコネクターに接続可能な大容量フラッシュメモリ
(2000年: 16MB~128MB,2002年: 256MB,2003年: 512MB,2004年: 1GB,
2005年: 2GB~4GB,2006年: 8GB,2007年: 16GB,2008年: 32GB~64GB,
2009年: 128GB,2012年:256GB)
• SD(Secure Digital)メモリカード:携帯電話,デジカメなどに利用
SDカード, miniSDカード, microSDカードに分類
松下電器産業、SanDisk社、東芝の3社が共同開発
12
Q1: 1GB SDメモリで音楽何曲?
Q2:1TB HDD で映画何本?
Q1:1GB SDメモリで音楽(5分)何曲保存?
音質:ビットレート128kbsとする。
1GB=1000MB=1000000KB=8000000kb
8000000(kb)/128(kbs)=62500(秒)≒1042(分)
1042 / 5 = 約208曲
Q2:1TB HDDで映画(1.5時間)何本保存?
映像ビットレート:8mbs
1TB=1000GB=1000000MB=8000000mb
8000000(mb)/(8(mbs)×60×90)=約185本 13
② S/Wの大規模化→社会資本
• コンピュータが理解可能な言語⇒プログラミング言語 アセンブリ言語,FORTRAN,COBOL,PL/1,LISP, C, C++, JAVA, Ruby, JAVAスクリプト, PHP….(ネット普及でスクリプト系隆盛)
• OSの高機能化
• 組み込みSW(車,家電,改札口)の大規模化 →テストが間に合わない.社会問題.
• IOT Industrie4.0 マスカスタマイゼイション
• アプリケーションの大規模化 銀行オンラインシステム=巨大土木事業
14
良いSWとは?(1)
• 信頼性(十分にテストされ常に正しく動作する):2007.10.12 自動改札トラブル 260万人影響 http://it.nikkei.co.jp/business/column/aruga_gyokai.aspx?n=MMIT0z000016102007
• 高性能,ハイパフォーマンス(短時間で処理可能)
• 保守性(他人が継承可能)
• 拡張性(仕様変更に容易に対処できる) 2005.11.1 東証システムダウン 取引完全停止 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20051111/224404/
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良いSWとは? (2)
• 移植性
他のマシンへ移植が用意
• 規模性(Scalability) アクセス数が10万件から100万件に急激に
増えてもシステムダウンしない
• 安全性(Security) 暗号アルゴリズム
16
10年間の大規模システム障害の例
• 航空機(2016.3.22):ANAにおいて、シスコ製スイッチの世界初のバグによりDBサーバーがダウン。7万人に影響。
• 銀行(2011.3.14~10日間):みずほ銀行ATMで、義援金の振り込みがある口座に集中した。夜間の義援金の振り込みバッチ理が、上限値(23年間未更新)を超えて異常停止。
100万件影響。
• 鉄道(2007.10.12):首都圏の自動改札機(日本信号製)がダウン。ホストサーバーから送られるネガデータが、バグによって受理不能となり、自動改札サーバーがダウン。270万人に影響。
• 証券(2005.11.1):東京証券取引所で、売買取引量を増やすためのシステム更新作業で、新旧システムが混在し、障害が発生。午前中の取引が全面停止。
17
③ インターネット概要
インターネット: Inter(相互の)+net(ネットワーク) TCP/IPにより,世界中のネットワーク
同士を相互に接続した世界最大の
コンピュータネットワーク
(Webとは異なるが、最近は同義で
使われるケースも多い)
バックボーン: ISP(通信事業者、プロバイダー)間を結ぶ
大容量基幹通信回線
国内バックボーン:下記参照
国際バックボーン:日米400GPS(NTT)
http://www.ocn.ne.jp/business/
bocn/backbone/
Internet Service
Provider
サーバー
ユーザ:クライアント
18
プロトコルとアドレス
IP(Internet Protocol)アドレス
コンピュータの住所のようなもの
→インターネット上での電子機器識別番号
IPv4枯渇問題 IPv4(1981-)は32ビット。232=約40億個のアドレス
パソコン以外の電子機器,スマートフォン等が急増。日本では2011年4月15日に枯渇し、ISPの手持ちアドレスを割当てるが、2012年中に完全枯渇。
新しいOSのパソコンは移行済み。
問題は古いパソコン
プロトコル: コンピュータ間通信規約
OSI参照モデル(7階層) 7: HTTP, 4:TCP, 3:IP
(IPv4:Internet Protocol version 4)
19
パケット通信 パケット: ヘッダー(送信先アドレス、順番) 本体(情報)
パケット伝送: テキスト、音声、画像、動画、
いかなるデータも細かく分割し、
パケット単位で伝送され、
到着先で、組み立てられる。
回線交換(音声):伝送路を確保して
音声データを送信。高品質。無駄が
多い。迂回できない。
パケット通信(データ): 効率的な伝送路の利用。
迂回可能。従来は通信品質が
悪かったが、最近は改善。 20
④ビッグデータの時代
インターネットに保存されているデータ量は?
2011年:1 ZB, 2013年:4 ZB, 2020年:40ZB?
http://www.emc.com/leadership/digital-
universe/2014iview/executive-summary.htm
Z(zeta:ゼタ)=10の21乗
E(exa:エクサ)=10の18乗
P(peta:ペタ)=10の15乗
T(tera:テラ)=10の12乗
G(giga:ギガ)=10の9乗
M(mega:メガ)=10の6乗
K(kilo:キロ)=10の3乗
2009年度
流通情報量 7.6 ZB
消費情報量 0.29 EB (0.004%のみ利用。99.996%はスルー) 総務省「情報流通インデックス研究会」報告書の公表(平成21年7月13日) http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/16188.html
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Google のデータセンタ
外観は巨大な工場のよう
内部には
大量のコンピュータ
全部で 2250 万台という噂
(サーバの日本国内
市場規模は 50 万台)
電力使用量
2 億 6 千万ワット
22
ビッグデータ:3Vから4Vの時代へ
大容量 Volume
多様性 Variety
多頻度 Velocity
Big Data
業務価値 Value
・データを重ねるだけ ではValueに繋がらない
・異種データ(人の発信データと装置発信データ)を紐付ける仕掛けが必要
23
4/14はここから
⑤-1 高度化(クラウドサービス)
※クラウドサービス:ユーザが資源(HW,SW,プラットフォーム)を所有せず
インターネット(雲:クラウドと比喩する)を通して資源を借りる.
IaaS(イアース、Infrastructure as a Service):
従来HaaS.サーバ自体をネット経由で利用する。
SaaS(サース、Software as a Service):メール、グループウェア、ゲーム
などのSWアプリケーションをネット経由で利用する
PaaS(Platform as a Service、パース):SWアプリケーションを稼働させるミ
ドルウェア(DBMSなど)をネット経由で利用する
利点:例えば、高負荷時期に合わせた大規模HWを購入すると、通常時は
無駄が多くなる。負荷に合わせてHW規模を動的に変化できれば、コストが
削減できる。ある企業では3割コスト削減されたと報告されている。
24
⑤-2 高度化(ソーシャルメディア)
25
http://smmlab.jp/?p=39593 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whi
tepaper/ja/h27/html/nc242220.html
⑤-3 知能サービス
コンシェルジェ
サービス
知識
サービス
ゲーム AI
操作・運転
サービス
対話ロボット
サービス
26
インターネットの普及状況
総務省 情報通信白書 平成28年度版
27
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/wh
itepaper/ja/h28/html/nc252110.html
主な情報通信機器の普及状況(世帯)
28
インターネットの利用者数及び人口普及率の推移
29
インターネット利用端末の種類(平成26年末)
30
世代/世帯別インターネット利用率及び利用頻度
31
(世代別)インターネット利用目的/用途
32
ソーシャルメディアの利用目的(成人)
33
クラウドサービスの利用内訳
34
クラウドサービスを利用する理由
35
クラウドサービスを利用しない理由
36
第1世代のe-ビジネス
1995-2000
マーケットの期待(過熱)度の変化 情報通信関連の東証株価指数の推移
ネットビジネス1
AOL(草分け的存在)
→1990年代始め:小さなパソコン通信会社(ハードの会社) →1995年:加入者200万人(ショッピングサイトの提供) →1998年:ネットスケープ社買収 →2000年:タイム・ワーナー社(TIME, CNN, ワーナーブラザーズ)と対等合併(世紀の結婚),会員2000万人,世界最大メディア(時価総額1630億ドル)
→ITバブル崩壊,巨額損失,不正経理... →2009年:タイム・ワーナー社との合併解消(時価総額25億ドル) ○チャット(会員同士が自由にコミュニケーション)
→巨大な井戸端会議場 →世界最大のショッピングモール
ネットビジネス2 • インターネットの普及に伴って、ドット.コム.カンパニー (ネット上でのサービス・流通事業を行う新興企業群)が続出
• Amazon.com: →1994年創業byジェフ・ベゾス(34歳、金融関係から転身) →書籍は知らない。でも、店舗維持コストの巨大さに目を付ける。 店舗をなくせば、その分、よりよいサービスが実現できる?
→最大書店でも20万タイトル →300万タイトル。最大4割引を実現。 →リコメンデーション機能(ユーザ指向のプッシュセールス) コミュニティ ワンクリックオーダー(一度種々の情報を登録すれば、次回以降はマウスを ワンクリックで注文できる仕組み。ビジネスモデル特許)
・Amazon.co.jp(2000~2012) 1994-2002 赤字,2003- 黒字。
売上高 連結: 245億900万ドル(2009年12月期)
営業利益 連結: 11億2,900万ドル(2009年12月期)
Amazon.comの利益率は10%以下.最近2%と高くない.
日本の大規模書店よりはいいが,日本の小売業並み
大規模ビジネスであるが,薄利多売.
最近のamazon.comビジネスモデル EC事業+クラウド事業+AI事業
• 2016年の年間(1~12月)の 売上高は1,359億8,700万ドル(約15兆円)、 純利益は23億7,100万ドル、 営業利益は41億8,600万ドル(約4500億円、3%)
売上高 売上高構成比 営業利益
北米 262億ドル 60% 8.2億ドル
海外 140億ドル 32% -4.8億ドル
AWS 35億ドル 8% 9.3億ドル
2016年第4四半期の売上と売上高構成比率と営業利益 (アマゾン発表資料)
Voice First Device
ネットビジネス3
• Priceline.com →1997年設立、ジェイ・ウォーカー氏(現代のエジソン) →航空券・ホテル予約等をユーザ希望価格で購入することを支援 →マーケットメイク(B2C)型のネットビジネス(手数料を収益) →逆オークション(ビジネスモデル特許) →市場原理に基づいて、ユーザが価格を設定する世界を実現 →値段の設定と権限が供給者からユーザへ →「情報の非対称性」がインターネットによって崩壊していく!
• 楽天市場(日本の最大仮想商店街)
• ネットバブルor(成功するネットビジネスは1/10)
• ニューエコノミ (米国経済の年間4~5%GDP成長率はeビジネスが牽引)
eビジネスの変遷 (ドッグイヤー→マウスイヤー)
• ピュアプレイヤー(ネット上の専業小売、1995~)
• ブリック&モルタル→クリック&モルタル(1997~) 大手書店バーンズ&ノーブル社がamazon.com に対抗してバーンズ&ノーブル.コム社を設立。 amazon.com の
ビジネスモデルを真似る。
・ ピュアプレイヤーの反撃(ビジネスモデル特許)(1998~)19
99年9月、 amazon.comがバーンズ&ノーブル社を特許侵害で提訴→数週間後、シアトル連邦地裁がバーンズ&ノーブル社を仮処分。クリスマス商戦に打撃。
・クリック&モルタルとテクノロジーベンチャーとの連携 (1999~)バーンズ&ノーブル社とマイクロソフト社との提携