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経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 (産業・業務部門の省エネ促進に向けた 省エネ法関連制度等のあり方に関する調査) 調査報告書 (公開版) 平成 29 2 みずほ情報総研株式会社

平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

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経済産業省

資源エネルギー庁

省エネルギー課 御中

平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

(産業・業務部門の省エネ促進に向けた

省エネ法関連制度等のあり方に関する調査)

調査報告書

(公開版)

平成 29年 2月

みずほ情報総研株式会社

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目次

I. 調査の概要 ............................................................................................................................................. 1

1 調査の背景と目的 ................................................................................................................................. 1

2 調査内容 ................................................................................................................................................ 2

2.1 業務部門のベンチマーク制度の導入拡大 ...................................................................................... 2

2.2 特定事業者に関する制度の見直し ................................................................................................. 2

2.3 エネルギー小売事業者に関する措置 ............................................................................................. 2

2.4 コミッショニングの活用方法の検討 ............................................................................................. 3

II. 調査内容の詳細 .................................................................................................................................... 4

1 業務部門のベンチマーク制度の導入拡大 ............................................................................................. 4

1.1 背景・論点 ..................................................................................................................................... 4

1.2 業務部門の各業種におけるベンチマーク制度の検討 .................................................................... 5

2 特定事業者に関する制度の見直し ...................................................................................................... 28

2.1 水素の原油換算係数を検討する背景 ........................................................................................... 28

2.2 電気の原油換算係数の算出方法................................................................................................... 28

2.3 水素の原油換算係数の素案 .......................................................................................................... 29

2.4 総括 .............................................................................................................................................. 35

3 エネルギー小売事業者に関する措置 .................................................................................................. 36

3.1 はじめに ....................................................................................................................................... 36

3.2 検討経過 ....................................................................................................................................... 36

3.3 問題意識 ....................................................................................................................................... 38

3.4 調査・検討事項 ............................................................................................................................ 39

3.5 まとめと今後の方向性 ................................................................................................................. 81

4 コミッショニングの活用方法の検討 .................................................................................................. 84

4.1 コミッショニングに関する有識者ヒアリング ............................................................................. 84

4.2 コミッショニング実施事例の分析 ............................................................................................... 85

4.3 コミッショニングの費用対効果・省エネ効果 ............................................................................. 86

4.4 コミッショニングの定義 ............................................................................................................. 87

5 Appendix ............................................................................................................................................. 89

5.1 現地調査時アンケート票 ............................................................................................................. 89

5.2 定期報告対象事業者アンケート票 ............................................................................................... 98

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1

I.調査の概要

1 調査の背景と目的

総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会に

おいて、約1年間にわたり、部門ごとの省エネルギーの取組を一層加速するための検討が

行われ、平成 27 年 8 月に同小委員会の取りまとめが行われた。この取りまとめにおいて、

産業及び業務部門について、以下の 3 点が省エネ法執行の方針として示された。

①ベンチマーク制度による省エネの徹底

②メリハリのついた省エネ法規制体系への転換

③小売電気事業者による省エネの促進

加えて、平成 28 年 2 月には「エネルギー革新戦略 中間とりまとめ」において、省エネ

支援ビジネスの市場拡大や民間企業のノウハウの活用による省エネの促進を実現する方針

が示され、建築物の省エネについては、民間企業がコミッショニングの手法を参考として、

自律的に設備のオーバースペックに関する課題に対応することを促進すべく、検討を進め

ることとされた。

本事業では、上記の推進・実現に貢献することを目的として、次項に示す調査・検討を

行った。

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2

2 調査内容

2.1 業務部門のベンチマーク制度の導入拡大

省エネ法は、事業者に対して適切な省エネ取組の実施を義務付ける法律であり、事業者

は年間の省エネ取組を定期報告として提出し、国が取組状況を評価することとなっている。

評価基準の一つとして、エネルギー消費原単位を年平均 1%以上低減することがあり、取組

が著しく不十分である場合には、国による指導や立入検査、指示、公表、命令、罰則が課

されることとなっている。その一方で、省エネ法には、「既に相当程度省エネ取組を進めて

きた事業者にとって、「年平均 1%以上低減」を維持することが困難」、「既に相当程度省エ

ネ取組を進めてきた優良事業者が適正に評価されない」、「同業他社との取り組み水準に関

する比較ができない」といったことが課題として挙げられている。この点を踏まえ、事業

者の省エネ取組を評価するもう一つの物差しとして、「ベンチマーク制度」の導入が議論さ

れることとなった。「ベンチマーク制度」とは、特定の業種・分野について、当該業種に属

する事業者の省エネ状況を業種内で比較可能な指標(ベンチマーク指標)を設定し、事業

者の省エネ努力を可視化するとともに、省エネ取組みが他者と比較して進んでいるか遅れ

ているかを明確にし、非常に進んでいる事業者を評価するとともに、遅れている事業者に

は更なる努力を促すための制度である。

今年度は業務部門における制度の導入拡大に向けた検討を実施した。

2.2 特定事業者に関する制度の見直し

特定事業者に関する諸制度の中で、今年度は省エネ法の定期報告書の報告対象エネルギ

ーに水素を加える場合の原油換算係数について初期検討を実施した。

燃料電池自動車の市販により、水素をエネルギーとして供給する形態がマーケットベー

スで現実化しつつある。水素は、製造方法によっては、原料として化石燃料を利用するた

め、省エネ法の理念から考えた場合には、熱や電力と同様、「燃料を起源とする」エネルギ

ーと考えることができる。また、水素パイプラインが整備されない場合、供給には液化も

しくは圧縮が必要となるケースも考えられることから、これらを熱や電力の供給時のロス

に相当するものとして検討する必要がある。

以上を踏まえ、今後の水素のエネルギー供給にあたり、法律上の扱い、原油換算係数を

整理することが必要と思われる。本項では、今後の検討の基礎的情報として水素の製造に

おいて消費される化石燃料について整理し、原油換算係数の素案を作成した。

2.3 エネルギー小売事業者に関する措置

エネルギーミックスにおける 2030 年度までの省エネ目標 5,030 万 kl のうち、家庭部門

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では 1,160 万 kl の省エネを目指すこととしており、家庭部門を含む需要家の省エネはエネ

ルギーミックス全体の達成を左右する重要な要素となっている。今後、エネルギー小売市

場の全面自由化に伴い、エネルギー供給事業者が家庭部門などの小口消費者の省エネ取組

に与える影響が大きくなることから、省エネに関してその社会的責任を果たすために、エ

ネルギー供給事業者へ求められる取組のあり方について検討が必要となっている。

また、エネルギー供給事業者に対して、消費者への情報提供を求めている省エネ法の現

行制度において、エネルギー供給事業者に関する諸制度の改正に合わせ、制度の見直し等

の必要性についての検討が必要である。

上記の課題認識の下、本業務ではエネルギー小売事業者の省エネガイドライン検討会を

設置し、具体的には以下の 3 点について調査・検討を行った。

(1)電気事業者による消費者の電気需要平準化の取組に資する措置のあり方

(2)エネルギー供給事業者による消費者の省エネに資する情報提供のあり方

(3)エネルギー小売事業者による省エネ製品・サービスのあり方

2.4 コミッショニングの活用方法の検討

コミッショニングとは、建築物や設備の新設・改修の際に企画、設計、施工及び運用の

各段階において、第三者的な立場から助言や必要な性能確認を行い、本来の性能を実現す

るためのプロセスとされている。

設備の導入においては、オーナー、設計者、メーカー、施工業者などの導入に関わる各

主体が設けた裕度の積み重ねにより、機器が過剰性能になる可能性があることが指摘され

ている。また、各主体は自身の専門分野については詳しいものの、全体を通じた最適化の

ための知見を十分に有していないことも多いことが課題となっている。

その様な状況を解決し、より一層の省エネに寄与する可能性があるコミッショニングに

ついて、その効果と定義について検討を行った。

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4

II.調査内容の詳細

1 業務部門のベンチマーク制度の導入拡大

1.1 背景・論点

ベンチマーク制度は、特定の業種・分野について、当該業種に属する事業者の省エネ状

況を業種内で比較できる指標(ベンチマーク指標)を設定し、省エネの取組が他社と比較

して進んでいるか遅れているかを明確にし、非常に進んでいる事業者を評価するとともに、

遅れている事業者には更なる努力を促すための制度である。

平成 27 年 11 月の「未来投資に向けた官民対話」において、「製造業向けの産業トップラ

ンナー制度(ベンチマーク制度)を、本年度(平成 27 年度)中に流通・サービス業(業務

部門)へ拡大し、3年以内(平成 30 年度中)に全産業のエネルギー消費の7割に拡大する。」

との方針が総理より打ち出された。これを受け、平成 27 年度に引き続いて業務部門におけ

るベンチマーク制度の対象業種拡大に向けた検討を実施した。

図 1 未来投資に向けた官民対話における業務部門へのベンチマーク制度の拡大方針1

1 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会

工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案)

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5

業務部門におけるベンチマーク制度の対象業種の拡大については、平成 27 年度にコンビ

ニエンスストア業について総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科

会 省エネルギー小委員会 工場等判断基準ワーキンググループ(以下、工場等判断基準

WG)で審議を行い、平成 28 年4月より制度が開始されたところである。

平成 28 年度は、これまで検討を進めてきたホテル、百貨店、スーパー、貸事務所、ショ

ッピングセンターのうち、ホテル及び百貨店について、工場等判断基準 WG においてベン

チマーク制度導入に係る審議が行われた。

1.2 業務部門の各業種におけるベンチマーク制度の検討

ベンチマーク制度導入には①対象事業、②ベンチマーク指標、③目指すべき水準、の設

定が必要であり、ホテル及び百貨店のベンチマーク制度について、以下の通りとなった。

1.2.1 ホテルにおけるベンチマーク制度

①対象事業

日本標準産業分類における「旅館・ホテル(7511)」(主として短期間(通例、日を単位

とする)宿泊等を一般公衆に提供する営利的な事業所)のうち、旅館業法における営業許

可において「ホテル営業」として許可を得ているものであって、以下の基準を満たすホテ

ルをベンチマーク対象のホテルとすることとした。

ホテル業のベンチマーク指標の検討では、(一社)日本ホテル協会加盟ホテルのデータを

サンプルとして用いていることから、ベンチマーク対象ホテルの基準(前述)を設定し、

同協会加盟ホテルと同業態のホテルを対象とした。

ホテルの業態は、一般的にシティホテル、リゾートホテル、ビジネスホテルに分類され

るが、明確な定義は存在しない。他方で、主にビジネスホテルに分類されるような宿泊に

特化したホテルは、経営効率化の観点から、宿泊客1人当たりの占有面積が小さく、食事

の提供は必ずしも行われるわけではない。、宿泊客の滞在時間も比較的短いという特徴があ

ることから、他の業態のホテルと同一の指標で適切な評価をすることは困難である。

【ベンチマーク対象ホテルの基準】※(一社)日本ホテル協会の入会基準を一部引用

ホテル業のベンチマーク制度では、以下の2つの基準を満たすホテルをベンチマーク対象

のホテルとする。

15 ㎡以上のシングルルームと 22 ㎡以上のツインルーム(ダブルルーム等2人室

以上の客室を含む)の合計が客室総数の 50%以上あること。

朝、昼、夕食時に食事を提供できる食堂があること。

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図 2 ホテルのベンチマーク制度の対象範囲2

全国のホテル・旅館のエネルギー消費量の合計に占める、今回のベンチマーク制度の対

象事業者(主にシティホテルとリゾートホテル)のエネルギー使用割合は 26%である。こ

のうち、ホテル協会会員のカバー率は 57%である。

今回対象外となった 22%(主にビジネスホテル等と旅館)については、今後ベンチマー

ク制度の対象業種拡大に向けて検討していくこととした。

図 3 (一社)日本ホテル協会のカバー率3

②ベンチマーク指標

2 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会

工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案) 3 同上

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ホテルは 365 日 24 時間稼働しており、施設の規模、サービス、客室稼働状況等はそれぞ

れ異なっている。エネルギー消費の特徴としては、空調熱源、熱搬送の他に、給湯や照明・

コンセントの割合が大きい。

図 4 ホテルにおける用途別エネルギー消費割合4

部門別のエネルギー消費原単位は、宿泊・共用部門よりも飲食・宴会部門の値が大きい。

表 1 ホテルにおける部門別のエネルギー消費原単位5

対象部門 原単位の平均値

(GJ/㎡)

全部門 2.7

宿泊・共用部門 2.0

飲食・宴会部門 8.3

※全部門=宿泊・共用部門+飲食・宴会部門

飲食・宴会部門は厨房等のバックヤードも含む。

また、同じ規模のホテルであっても、従業員の数や、宿泊客数が多くなるとエネルギー

使用量は大きくなる。

これらを踏まえ、ホテルのベンチマーク指標については、事業者間で省エネ状況を客観

的に評価できる共通の指標であって、規模、サービス、稼働状況等のホテルによって異な

4 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会

工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案) 5 同上

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8

る要素を考慮することが可能であり、かつ、事業者が受け入れやすい指標とするために、

次の4つの方針の下で検討を進めた。

表 2 ホテル業のベンチマーク指標を検討する際の観点と方針6

観点 方針

1 稼働率の変動により、ベンチマーク評価

が、有利・不利とならないようにする

数式に含める要素として、稼働要因(宿

泊客数、飲食・宴会利用客数、客室稼働

率等)を重視

2 事業者が容易にベンチマーク指標値を

算出できるものとする

情報収集等、事業者にとって過度な負担

がかかる要素は候補から除外 (例:食

堂・宴会場のバックヤード面積、エネル

ギー使用機器の能力や台数等)

3 式が直感的に分かりやすい

複雑な式を回避し、わかりやすい算式を

採用(例:対数や累乗根等を含むものを

回避)

4 統計指標として問題がない 一般的に決定係数や t 値等の水準が問

題無いと思われるものを候補に含める

これらの方針に従って、規模、サービス、稼働状況等の多様な要素を考慮することが可

能な「重回帰式(ある項目を複数要素に分解して説明するもの)」を採用したベンチマーク指

標を検討した。

規模、サービス、稼働状況等の要素が異なるホテルについて、重回帰式によって各ホテ

ルの標準的なエネルギー使用量を予測し、エネルギー使用量の予測値と実績値を用いてベ

ンチマーク指標の値を算出することで、各ホテルを横並びで評価することが可能となる。

6 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会

工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案)

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9

図 5 ホテル業のベンチマーク指標のイメージ7

(一社)日本ホテル協会が実施した会員企業に対するアンケート調査を分析した結果、

標準的なホテルのエネルギー使用量の予測値を算出するための重回帰式として、7つの説

明変数で構成される以下の数式が得られた。

この数式の決定係数(R2)は 0.893 となっており、十分な大きさであると言える。

図 6 ホテルのエネルギー使用量を予測するための重回帰式8

複数の対象ホテルを所有している事業者については、以下の計算例のとおり、ホテルご

とに算出したベンチマーク指標の値をホテルごとのエネルギー使用量により加重平均した

値を事業者としてのベンチマーク指標の値とする。

7 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会

工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案) 8 同上

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10

図 7 事業者のベンチマーク指標の値の計算例9

一般的に屋内駐車場のエネルギー使用量は少ないが、この重回帰式では説明変数として

屋内駐車場面積を採用した。これは検討の過程において、事業者から「なるべく多様な要

素を考慮すべき」との指摘があり、さらに屋内駐車場面積を加えた場合に最も決定係数が

高くなることから、屋内駐車場面積を説明変数として採用することは適当であると考えら

れる。

図 8 屋内駐車場面積の説明変数の優位性10

③目指すべき水準

ホテル業のベンチマーク制度の目指すべき水準は、0.723 に設定することが適当である。

本水準は、各年度の特異性を排除するために震災後の 2012 年~2015 年の過去4年分のア

9 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会

工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案) 10 同上

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11

ンケートデータを用いて検討を行い、事業者ごとに算出したベンチマーク指標の値を上位

から並べて 15%となる水準を目指すべき水準としている。これは、昨年度の工場等判断基

準ワーキンググループにおいて産業部門の目指すべき水準の見直しを行った際と同様の手

法である。

表 3 ホテル業のベンチマーク指標において目指すべき水準11

1.2.2 百貨店におけるベンチマーク制度

本年度の工場等判断基準 WG において審議・承認されるに至った百貨店のベンチマーク

制度について、本委託事業では 2016 年 5 月に開催された中部百貨店協会環境問題策会議

(於:名古屋)及び中国・四国百貨店協会環境問題対策会議(於:岡山)に出席し、協会

会員企業からベンチマーク制度に関する意見を収集した。

以下では、第三回工場等判断基準 WG にて承認された百貨店のベンチマーク制度の内容

について記載する。

①対象事業

日本標準産業分類における「百貨店・総合スーパー(5611)」(衣、食、住にわたる各種

の商品を小売する事業所で、その事業所の性格上いずれが主たる販売商品であるか判別で

きない事業所であって、従業者が常時 50 人以上のものをいう。ただし、従業者が常時 50

人以上であっても衣、食、住にわたらない事業所は主たる販売商品によって分類する。)に

該当し、かつ、商業統計に用いる「業態分類表」に従い、セルフ方式を不採用の業態をベ

ンチマーク対象の百貨店とする。

11 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員

会工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案)

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12

表 4 百貨店業界の規模(2015 年 12 月末現在)12

※業界全体の規模は、経済産業省「商業動態統計」による百貨店。

※「商業動態統計」による百貨店売上高に対する当協会加盟百貨店の売上高の割合は 90.5%

②ベンチマーク指標

百貨店におけるエネルギー使用の特徴として、エネルギー種別でみると、電力が全体の

81%と大半を占めており、続いて、ガスが 13%、地域冷暖房が6%、重油が 0.1%となっ

ている。

また、用途別エネルギー消費割合では、空調、照明・コンセントがそれぞれ 40%を占めて

いる。その理由として、商品ディスプレイ用の照明を多く使用していることや通年冷房を

行っていることが挙げられる。

図 9 百貨店の用途別エネルギー消費割合の例13

百貨店業のベンチマーク指標を検討するに当たって、省エネ法の定期報告書の中で用い

られているエネルギー消費原単位と、重回帰式について、それぞれの利点と課題を整理し

た。

12 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員

会工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案) 13 同上

空調40%

給湯・調理3%

照明・コンセント40%

動力10%

冷凍・冷蔵5%

その他2%

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13

表 5 ベンチマーク指標案の利点と課題14

これらの利点と課題を踏まえ、本ワーキンググループでは、エネルギー使用量との相関

の強さによって、百貨店の規模要因、稼働要因、その他の要因をそれぞれ定量的に反映で

きることから、ベンチマーク指標として「重回帰式」を採用することが適当であると判断

した。

重回帰式の説明変数の候補を、「規模要因」、「稼働要因」、「その他の要因」に分類し、エ

ネルギー使用量との相関を分析した結果、規模要因としては「延床面積」、稼働要因として

は「売上高」がエネルギー使用量との相関が強いことが確認された。

なお、稼働要因としては、来店人数についても説明変数の候補として検討したが、人数

計測装置(パッサーカウンター)はすべての店舗に設置されているわけではない。また、

設置している店舗であっても、設置されていない入口もあり、新たに設置するとなると多

くの設備投資が必要となる。さらに、人数計測装置が設置されている店舗であっても、精

度上、正確に測定できないなどの問題があったため、説明変数として来店人数を候補とは

しなかった。

その他の要因として、地域性、建築時期等も説明変数の候補として検討したが、エネル

ギー使用量との相関は弱かった。

14 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員

会工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案)

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14

表 6 説明変数候補とエネルギー使用量との相関15

※相関係数の絶対値が大きいほどエネルギー消費量との関係が強い

これらの分析を基に、相関係数の絶対値が大きい「延床面積」と「売上高」を説明変数

として採用し、下記の重回帰式が得られた。

この重回帰式の決定係数(R2)は 0.9625 となっており、十分な大きさであると言える。

図 10 エネルギー使用量を予測するための重回帰式16

なお、複数の対象店舗を所有している事業者は、店舗ごとに算出したベンチマーク指標

の値を店舗ごとのエネルギー使用量により加重平均し、得られた値を事業者としてのベン

チマーク指標の値とする。

15 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員

会工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案) 16 同上

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15

③目指すべき水準

事業者ごとに算出したベンチマーク指標の値を上位から並べて 15%となる水準である

0.792 を目指すべき水準として設定するのが適当である。

表 7 百貨店業のベンチマーク制度において目指すべき水準17

1.2.3 その他の業種の検討状況

(1)食料品スーパーにおけるベンチマーク制度

①検討のプロセス

今年度の検討のプロセスは下図の通りであった。

ベンチマーク指標の検討に先立ち、各種文献等を元に食料品スーパーのエネルギー消費

量に影響を与えるものとして大きく下記の 5 項目が存在するとの仮説を設定した。また、

本仮説について有識者ヒアリングを実施し、妥当性に問題が無いことを確認した。

17 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員

会工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案)

事前検討

・文献調査の実施・食料品スーパーのエネルギー使用に関する仮説策定・有識者ヒアリングの実施・アンケート票(案)の作成

実地調査

・食料品スーパーのエネルギー使用状況に関する実態把握(6~7月、3事業者5店舗を訪問)・訪問事業者によるアンケート票(案)への回答・調査と仮説検証に基づきアンケート票(案)を精査

アンケート調査

・246事業者に回答依頼状を送付(8月19日~)

指標策定・アンケート結果を元に、指標(案)を策定・関係4協会と調整

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16

表 8 食料品スーパーのエネルギー消費量に影響を与える要素に関する仮説

項目 要素 情報収集後の用途

(a)規模 ・延床面積

・売場面積

・原単位の分母を検討する

際に使用

(b)形態・構造

・独立建屋 or テナントとしての入居

・(独立建屋の場合)

自社のみ or 他テナント入居

・断熱性能

・フロアー数

・ベンチマーク指標を区分

ごとに設定する必要の有

無を検討する際に使用

(c)設備

・冷凍冷蔵機器(容量、温度帯、等)

・空調機器(方式、容量、等)

・照明機器(方式、容量、等)

・店内厨房の有無

・BEMS の導入有無

・ベンチマーク指標を重回

帰式にて設定する際の検

討に使用

・ベンチマーク指標案の検

証に使用

(d)稼働

・営業時間

・来店人数

・従業員数

・売上高

・販売商品種類

・原単位の分母を検討する

際に使用

(e)地域 ・立地地域(寒冷地域、温暖地域、等)

・ベンチマーク指標を区分

ごとに設定する必要の有

無を検討する際に使用

その上で、現地調査及びアンケート調査においてこれらの情報を重点的に収集し、ベン

チマーク指標原単位または重回帰式の検討を進めた。

現地調査では、エネルギーの使用実態を店舗内の見学やヒアリングを通じて把握すると

ともに、事前に策定したアンケート票(Appendix 参照)への事業者による回答を通じて、

情報収集を行うこととした。

続いて、現地調査の結果を元にアンケート票を精査し、質問運目の削減を図った上で、

省エネルギー法の定期報告書提出事業者(合計 246 事業者)を対象にアンケート調査を実

施した。最終的に 40 事業者 107 店舗から回答を得て、そのうち、有効回答は 89 店舗であ

った。

②ベンチマーク指標(案)

アンケート回答を元に今年度検討したベンチマーク指標(案)は下記の通りである。

(ア)対象事業

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17

・商業統計調査における業態分類表の「食料品スーパー」に該当するもの。

・セルフ方式/食が70%以上/売場面積が 250 ㎡以上。

(イ)ベンチマーク指標

店舗の活動量(売上高、営業時間、来店客数)の影響が大きいと考えられるため、床面

積あたりのエネルギー消費量では公平な評価は難しい。

図 11 延床面積とネルギー使用量の相関18

原単位によるベンチマーク指標の設定が困難であったことから、資源エネルギー庁及び

みずほ情報総研より「規模要因」、「稼動要因」、「設備要因」を考慮した4つの重回帰式(案)

を関連 4 協会に提案した。具体案は下記の通りであるが、いずれの指標(案)も決定係数

が高くベンチマーク指標として採用することに問題ない状況であった。

18 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員

会工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案)

延床面積

2015年度エネルギー消費量

(売場+バックヤード)

◆ ①省エネ型店舗■ ②通常店舗

[m2]

[GJ] ↑来店客数:2.8倍↑売上げ :1.1倍↑営業時間:1.7倍

↑来店客数:1.3倍↑売上げ :2.0倍↑営業時間:1.1倍

活動量

活動量

Page 22: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

18

図 12 食料品スーパー業のベンチマーク指標における重回帰式(案)19

これに対して、第3回工場等判断基準WGにおいて各協会から下記の意見が述べられた。

<日本チェーンストア協会>

・協会としては案(3)が良い。

・売上高は大きく変動するため変数としては適さない。

・会員各社に賛同が得られるよう、引き続き、慎重に議論していきたい。

<一般社団法人日本スーパーマーケット協会>

・説明会参加企業24社にアンケートを実施し19社から回答いただき、その内10社は

案(3)が良いとの意見。

・決定後は会員企業への通知、委員会での説明、アンケートの実施等で周知に努める。

<一般社団法人新日本スーパーマーケット協会>

・協会としては案(3)が良い。

・少ない変数でベンチマークを算出可能できるのであれば、多くの変数を使う必要はない

・自店舗営業時間のみを稼働要因とするのが公平であり適切といえる

<オール日本スーパーマーケット協会>

・協会としては案(3)が妥当であると考える。

・売場の冷ケースのみならず、バックヤード内にある冷蔵設備の坪数を反映した指標が望

まれる。

19 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員

会工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案)

案(1)

(1)規模要因 (2)稼働要因 (3)設備要因

決定係数0.960

案(2)決定係数

0.966

案(3)決定係数

0.958

総延床面積×

1.130

売上高×

2.527+

総延床面積×

1.130

売上高×

2.313+ +

+

冷ケース尺数×

5.136

+

案(4)決定係数

0.962

冷ケース尺数×

8.362+

総延床面積×

2.214

冷ケース尺数×

5.884

冷ケース尺数×

5.389+

自店舗営業時間×

0.513+

自店舗営業時間×

0.612

総延床面積×

1.973

年間来店客数×

0.005

+

Page 23: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

19

(ウ)目指すべき水準

ベンチマーク指標の決定に至らなかったため、目指すべき水準の検討・設定は次年度以

降に持ち越すこととした。

③今後の進め方

上述の重回帰式案(3)(変数:総延床面積、営業時間、冷ケース尺数)を第一候補とし

て、検討を継続していく。具体的には、質問項目を簡素化した上で事業者へのアンケート

調査を再度実施し、回答サンプル数を増やして重回帰式案の妥当性の検証を行っていく。

上記プロセスを経た上で、4 協会の意見を集約し、平成 29 年度の工場等判断基準 WG への

提起、承認を目指す。

(2)貸ビル業におけるベンチマーク制度

①検討のプロセス

従来より、貸ビル業においては原単位をはじめとする統計解析的な手法によるベンチマ

ーク指標の設定が困難な業種が存在するため、一般財団法人省エネルギーセンターの「エ

ネルギー消費目標値算定ツール(ECTT)」を活用して、ECTT をベースとした業務用ビル

に関する省エネポテンシャル推計ツールの開発を行い、当該結果に基づく業務用ビルのベ

ンチマーク指標の設定手法について検討を進めてきた。

本年度の主な検討経緯は下表に示す通りであった。

日付 会合等 内容

~2016 年 7 月 - ベンチマーク指標案の検討、省エネポ

テンシャル推計ツールの改良。

2016 年 7 月 14 日 ベンチマーク制度説明会

(東京第一回) ・協会会員向けの説明会。第一部にて、

意思決定者向けに制度の概要を説

明。第二部では、実務担当者向けに

ツールの具体的操作方法について説

明するとともに、アンケートを実施

し、ツールを使用した感想や改善要

望等を集約。

2016 年 7 月 28 日 ベンチマーク制度説明会

(名古屋)

2016 年 7 月 29 日 ベンチマーク制度説明会

(大阪)

2016 年 8 月 1 日 ベンチマーク制度説明会

(東京第二回)

②ベンチマーク指標(案)

現時点におけるベンチマーク指標(案)は下記の通りである。

(ア)対象事業

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20

日本標準産業分類の貸事務所業(6911)のうち、貸店舗業、貸倉庫業を除くもの。

・ベンチマーク対象事業者

貸事務所業の年間のエネルギー使用量が 1,500kl 以上の事業者とする。

・ベンチマーク評価範囲

「事務所」+「共用部」をベンチマーク評価範囲として、複合用途ビルにおけるホテルや

店舗等の事務所以外の用途は評価対象範囲外。

(イ)ベンチマーク指標

貸事務所業は様々な業種のテナントが入居するため、テナントの活動量に影響されず、

省エネ努力が正しく反映されるよう、また、事業者の省エネ行動に繋がる指標を設定する

ため、省エネポテンシャル推計ツールにより推計された省エネポテンシャル(省エネ余地)

の値を用いるベンチマーク指標を検討した。

図 13 ツールによる省エネポテンシャルの推計イメージ20

省エネポテンシャル推計ツールの入力に要する工数について、収集した情報を初めてツ

ールに入力するケースでは、事務所単一用途ビルの場合、小規模ビルで約 6 時間、大規模

ビルで約 10 時間の工数が見込まれる。2 回目以降は、小規模ビルで約 0.5 時間、大規模ビ

ルで約 1 時間。設備改修した場合、小規模ビルで約 1.5 時間、大規模ビルで約 3 時間程度

と想定される。

20 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員

会工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案)

Page 25: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

21

表 9 省エネポテンシャル推計ツールの入力に要する工数

2016 年 7~8 月に東京、名古屋、大阪の3会場でベンチマーク制度の説明会を実施した

(参加事業者数:計 109 社) 。第一部では、意思決定者向けにベンチマーク制度の概要に

ついて説明し、第二部では実務担当者向けに省エネポテンシャルツールの具体的操作方法

について説明を行った。また、参加者に対して、ベンチマーク制度に関するアンケートを

実施し、省エネポテンシャルツールを使用した感想や、改善要望などを集約した。

アンケートでは、主に 2 点について多くの意見が寄せられ、それぞれ下記の対策を取る

こととした。

表 10 アンケートにて得られた主な意見とその対策

内容 対策

課題1

入力作業の負荷が大きい:意見総数 52

・入力項目が多いため、必要な項目を絞るべき。

・入力項目を図面から読み取るのが難しく、設計会社、

施工会社への確認が必要。

・標準値を活用するなど、個別に入力する項目を減ら

して欲しい。

①標準(デフォルト)値

を活用し、入力項目を

大幅削減する。

課題2

テナントに関する情報取得が困難:意見総数 21

・テナントのレイアウト変更まで把握できない。(規

約の見直しも必要)

・テナントの営業日数、時間、空調時間、温度設定の

把握は困難。

・大規模ビルはテナント数も多く、情報取得には多く

の時間がかかる。

②テナント情報は取得

可能なものとし、入力

作業も簡素化する。

項目 単位全ビル平均(9棟)

小規模ビル平均(4棟)

大規模ビル平均(5棟)

延床面積 [㎡] 56,571 6,925 122,767

階数 [-] 16.3 8.5 26.7

部門数 [-] 45.9 24.3 74.7

(1) 建物情報入力

(1)-1 建物情報(簡易入力) [h] 0.6 0.5 0.7

(1)-2 建物情報(詳細入力) [h] 0.9 0.8 1.0

(1)-3 建築物全体省エネルギー対策・節電対策 [h] 0.6 0.6 0.5

(2) 部門別情報入力

(2)-1 部門情報(簡易入力) [h] 2.8 1.6 4.3

(2)-2 部門情報(詳細入力) [h] 2.4 2.0 3.0

(2)-3 部門別全体省エネルギー対策・節電対策 [h] 0.5 0.5 0.5

(2)-4 部門別営業日数 [h] 0.6 0.6 0.5

合計 [h] 8.3 6.6 10.5

Page 26: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

22

上表に示した対策①について、対策を検討する前は入力項目が合計 81 項目あった(9 項

目はデフォルト値採用)。その中で、省エネポテンシャル推計結果に与える影響が小さい項

目の削減を検討した結果、省エネポテンシャルの推計精度に大きな影響を与えることなく、

28 項目の入力を削減し、デフォルト値(全事業者が同一の固定値を使用)を採用すること

とした(重複していた 1 項目を別途削除)。これにより、入力時間ベースで作業負荷の約 35%

が削減可能と見込まれる。

図 14 入力項目の削減に係る検討結果

対策①のポイントとして、標準的な貸事務所ビルでは、照明・コンセント原単位(W/m2)

に大きな差がないと考えられ、事業者が通常、把握していないテナント情報であることか

ら、デフォルト値に固定することとした。また、外壁長さの入力は作業負荷が大きいが、

検証の結果、デフォルト値(室形状を正方形とみなした一辺)を設定・代用しても、省エ

ネポテンシャル推計値に与える影響は小さいことが判明し、負荷低減に大きく寄与した。

続いて、対策②のテナント情報の入力についてだが、テナント部の部門として事務室・

会議室・電算室を仮定し、想定される部門別床面積比率を元に、加重平均した「テナント

部原単位」を新規に設定することとした。部門別情報を詳細に入力した場合と上記原単位

で代用した場合を比較した結果、省エネポテンシャル推計値の精度に大きな影響は見られ

なかった。また、中継シートの活用によるデータのインポート機能の追加による入力負荷

削減も検討し、これらによって入力時間ベースでの作業負荷は、対策①の 35%に 19%が加

算され、合計で 54%削減可能と見込まれることとなった。

入力項目 25 ⇒ 11

入力項目 1

入力項目 15 ⇒ 10

入力項目 9 ⇒ 1

入力項目 1

入力項目 1 ⇒ 0

合計 52

入力項目 29 ⇒ 28

(デフォルト項目 9)

重複項目の削除

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23

図 15 テナント情報の入力に係る検討結果

対策②のポイントとして、新規に設定する「テナント部原単位」は、業態の違いによっ

て「24 時間稼動テナント」と「それ以外のテナント」の 2 つを検討した。電算室は内部機

器負荷が大きく、空調機の運転時間・日数が事務室より長いが、床面積比率が小さいため、

省エネポテンシャルへの影響は小さい。なお、省エネ対策の有無が異なる場合は、集約せ

ずに当該エリアを個別に入力する必要がある。

加えて、ツールのシステム構成についても改良を行った。入力項目の削減とともに、中

継シートの活用によるデータのインポート機能の追加、デフォルト値の採用によって、入

力負荷は大幅に低減している。

<現状>各フロア毎に部門情報を入力

事務室

会議室

電算室

●事務室・床面積・在室人数・照明原単位・コンセント原単位・室内設定温度・営業時間

●会議室・床面積・在室人数・照明原単位・コンセント原単位・室内設定温度・営業時間

●電算室・床面積・在室人数・照明原単位・コンセント原単位・室内設定温度・営業時間

<対策後>

事務室

会議室

電算室

●事務室、会議室、電算室の想定面積比率を元に原単位を設定。※業態の違いによって2つの原単位を

検討(次スライドに記載)。

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24

図 16 ツールのシステム構成の修正

これらの改良の後、引き続き入力が必要なテナント情報は下表の通りとなっており、こ

れらの情報の取得・入力可否を慎重に検討する必要がある。

表 11 テナント関連情報として入力が必要な項目一覧

(ウ)目指すべき水準

ベンチマーク指標の決定に至らなかったため、目指すべき水準の検討・設定は次年度以

降に持ち越すこととした。なお、導入初年度はデータ取得のため、目指すべき水準は設定

せず、2 年目より目指すべき水準を設定することとする。

4-1.共用部

4-2.テナント部

修正前 修正後

入力負荷削減の検討

担当者間で作業を分担し、データをインポートすることが可能に

1.建物情報(簡易)

3.建物全体省エネ対策

4.部門情報(簡易)

2.建物情報(詳細)

5.部門情報(詳細)

6.部門別省エネ対策

7.部門別営業日数

3.部門情報

2.建物全体省エネ対策

1.建物情報

5.部門別営業日数

4.部門別省エネ対策

5-1.共用部

5-2.テナント部

3-1.共用部

3-2.テナント部

中継シート中継シート

中継シート

分類 入力項目 備考

■建築情報

階 各テナント部の階を選択

部門 「24時間稼動テナント」、「それ以外のテナント」のいずれかを選択

室名 各テナント企業名を入力

部門床面積 各テナント部の床面積

外壁有無 各テナント部の方位別外壁の有無選択(地階除く)

■熱源方式 熱源機種 各テナント部の熱源機種(主熱源設備、ビルマルチ、空冷PACなど)

■空調方式 空調方式熱源機種が主熱源設備の場合の各テナント部の空調方式空調機、空調機+ファンコイルなど

■燃料種別給湯燃料種別 各テナント部の給湯燃料種別(電気、ガスなど)

調理燃料種別 各テナント部の調理燃料種別(電気、ガスなど)

■省エネ対策 省エネ対策 各テナント部の省エネ対策29項目の有無

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25

③今後の進め方

引き続き、主に下記 2 点が検討事項として挙げられ、更なるツールの改良等を進めてい

く必要がある。

・省エネポテンシャル推計ツールの入力作業負荷のさらなる軽減。

・区分所有ビルの評価方法の検討。

(3)ショッピングセンターにおけるベンチマーク制度

①対象事業

ショッピングセンターには業種の定義がなく、ショッピングセンター自体は小売業であ

るが、ディベロッパーとして見ると不動産賃貸業となる。なお、日本ショッピングセンタ

ー協会は下記の通りに定義している。

・ショッピングセンターとは、一つの単位として計画、開発、所有、管理運営される商

業・サービ ス施設の集合体で、駐車場を備えるものをいう。その立地、規模、構成

に応じて、選択の多様性、利便性、快適性、娯楽性等を提供するなど、生活者ニーズ

に応えるコミュニ ティ施設として都市機能の一翼を担うものである。

・SC 取扱い基準

SC は、ディベロッパーにより計画、開発されるものであり、次の条件を備えること

を必要とする。

1.小売業の店舗面積は、1,500 ㎡ 以上であること。

2.キーテナントを除くテナントが 10 店舗以上含まれていること。

3.キーテナントがある場合、その面積がショッピングセンター面積の 80%程度

を超えないこと。但し、その他テナントのうち小売業の店舗面積が 1,500 ㎡以

上である場合には、この限りではない。

4.テナント会(商店会)等があり、広告宣伝、共同催事等の共同活動を行ってい

ること。

※主な用語の説明は下記の通り。

・ディベロッパー:

当該 SC にかかる「所有」「開発」「管理」のうち、主として「開発」を担当するもの。

・キーテナント:

当該 SC の商圏・客層を決定する大きな影響力を持つ大型小売店舗。

例)百貨店、総合スーパー、衣料品中心の大型スーパー、食料品中心の大型スーパ

ー、ホームセンター、ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店、生活

協同組合

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26

また、オープンモール、クローズドモール、都市型モール、地下型モールなど多様な店

舗形態があり、形態によってエネルギー使用実態が異なると考えられる。なお、ショッピ

ングセンターのエネルギー消費量の内訳は下記の通りとなっており、空調と照明・コンセ

ントで全体の 80%を占めていることが分かる。

図 17 ショッピングセンターの年間エネルギー消費量の内訳(%)21

入居しているテナントの業種別比率は、物販:64.5%、飲食:18.1%、サービス:17.4%

となっており、飲食テナントが約 2 割存在することから、それらのテナントが保有する業

務用冷蔵庫や厨房機器等もエネルギー使用量に一定の影響力を持つと考えられる。

図 18 2015 年時点の入居テナント業種の比率(%)22

②ベンチマーク指標

床面積×営業時間あたりのエネルギー使用量を検討してきたが、屋内駐車場の扱い、営業

21 資源エネルギー庁「各種商品小売業における省エネルギー実施要領」(平成 20 年 3 月) 22 日本ショッピングセンター協会

空調, 34

照明・コン

セント, 46

動力, 20

物販, 64.5

飲食, 18.1

サービス,

17.4

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27

時間の定義など課題がある。

図 19 ショッピングセンターのベンチマーク指標(案)23

③今後の進め方

現地調査やアンケート調査の実施によって、ショッピングセンターの構造やエネルギー

使用に関する実態等を把握し、ベンチマーク指標(案)を検討していく必要があると考え

られる。

23 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員

会工場等判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案)

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28

2 特定事業者に関する制度の見直し

特定事業者に関する諸制度の中で、本項では省エネ法の定期報告書の報告対象エネルギ

ーに水素を加える場合の原油換算係数の設定について検討した内容を整理して記載する。

2.1 水素の原油換算係数を検討する背景

燃料電池自動車の市販により、水素をエネルギーとして供給する形態がマーケットベー

スで現実化しつつある。水素は、使用時に直接化石燃料を消費するエネルギーではないが、

製造方法によっては、原料として石油や天然ガス(都市ガス)等の燃料を利用するため、

省エネ法の理念から考えた場合には、熱や電力と同様、「燃料を起源とする」エネルギーと

考えることができる。また、水素パイプラインが整備されない場合、供給には液化もしく

は圧縮が必要となるケースも考えられることから、これらを熱や電力の供給時のロスに相

当するものとして検討する必要がある。

以上より、今後の水素のエネルギー供給にあたり、国内の化石燃料消費へ与える影響を

検討した上で、法律上の扱い、原油換算係数を整理することが必要と思われる。以下では、

今後の検討の基礎的情報として水素の製造において消費される化石燃料について整理し、

原油換算係数の素案を提示する。

2.2 電気の原油換算係数の算出方法

水素の原油換算係数案を検討・算定するにあたって、はじめに現行の省エネ法における

電気の原油換算係数の算定方法を整理する。

電気の原油換算係数を算定するにあたっては、発電効率、総合損失率(所内率、送配電

損失率、変電所所内損失率)を踏まえて需要端熱効率が考慮されている。詳細にはそれぞ

れ下表に示す通りである。なお、総合損失率は下記にて算出される。

総合損失率 = 1 - 使用電力量/発受電電力量 × 100%24

24 電気事業連合会

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29

表 12 現行の省エネ法施行規則における電力の原油換算係数において考慮されている値

昼間 夜間

発電効率 40.44% 41.92%

総合損失率 10.7% 7.5%

所内率 4.6% 4.3%

送配電損失率 6.3% 3.2%

変電所所内損失率 0.13% 0.13%

需要端熱効率 36.10% 38.78%

一次エネルギー換算値

(MJ/kWh) 9.97 9.28

昼間電力を例に取り、算定の過程を具体的に示すと下記の通りとなる。

3.6 MJ/kWh ÷ 0.4044 ÷ (1 - 0.107)

= 9.97 MJ/kWh

ポイントは、二次エネルギーとしての電気の生産効率(発電効率)と発電所で発生した

電力が需要家に送電されるまでの損失を考慮している点である。水素の原油換算係数を検

討する際には、この考え方に倣い、同様の要素が考慮されたものとすべきと考えられる。

2.3 水素の原油換算係数の素案

水素の原油換算係数を検討する際の論点として主に下記があり、素案を作成するにあた

ってはそれぞれ下表の方針とした。

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30

表 13 水素の原油換算係数を検討する際の論点と対応

論点 対応

水素製造方法別のエネルギー消費(化石

燃料消費)の整理

現状の製造方法として頻繁に見られる「都市ガス

改質」と「固体電解質水電解」について検討。

原油換算係数の設定方法(製造方法ごと

に設定、水素ミックスとして設定)

現状では水素需給が多くないため、水素ミックス

ではなく、個別水素製造方法に限定して検討。

「原料」の消費と「燃料」の消費の整理

○都市ガス改質

・原料:都市ガス

・燃料:改質、圧縮(又は液化)に消費する電気

○水電解

・原料:水

・燃料:電解、圧縮(又は液化)に消費する電気

オフサイト型 25水素の供給に係る液

化・圧縮に要するエネルギー消費の検討

圧縮及び液化に必要なエネルギー消費量につい

て検討。

輸送に係るエネルギー消費の取扱い

現行の省エネ法における電気の原油換算係数の

考え方に倣い、輸送に消費するエネルギーは対象

範囲外。

主要なプロダクトの副生として生産さ

れるケースの取扱い 検討の対象範囲外。

再生可能エネルギーにより生産される

ケースの取扱い 検討の対象範囲外。

上表に示す通り、現状の水素の製造方法としては、「都市ガス改質」「固体電解質水電解」

の 2 つの方法が頻繁に見られる。現時点では水素需給が多くないことから水素ミックスは

検討せず、個別水素製造方法に限定することとする。以下にそれぞれの水素製造プロセス

フロー(いずれもオンサイトとする)及び原油換算係数を算出する際の検討対象範囲を示

す。

25 他の場所で製造した水素をステーションまで輸送してタンクに貯蔵しておき、そこから

直接燃料電池車に充填するシステム。

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31

図 20 都市ガス改質(オンサイト)の製造プロセスフロー

図 21 水電解(オンサイト)の製造プロセスフロー

下記では特に、「都市ガス改質」と「水電解」の場合を取り上げ、水素の原油換算係数の

素案を提示する。

試算の前提となる水素の発熱量は下記を用いた。なお、発熱量には、燃焼によって生じ

る水分子のもつ潜熱(凝縮時に放出=600kcal/kgH2O)を含めた高位発熱量(Higher

Heating Value:HHV)と含めない低位発熱量(Lower Heating Value:LHV)がある。

省エネ法における熱量には HHV が用いられていることから、以下では HHV を用いて検討

を行う。

表 14 水素の発熱量26

発熱量

気体 HHV 12.8 MJ/Nm3

LHV 10.8 MJ/Nm3

液体 HHV 10.1 MJ/l

LHV 8.5 MJ/l

26 理科年表

採掘 精製・液化粗天然ガス

国外輸送(海上)

LNG

改質都市ガス 圧縮(又は液化)貯蔵

水素 圧縮(又は液化)水素

検討範囲

都市ガス製造

電解水 圧縮(又は液化)貯蔵

水素 圧縮(又は液化)水素

検討範囲

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32

2.3.1 都市ガス改質

初めに、「都市ガス改質」による水素製造におけるエネルギー消費量等は下記の通りとな

っている。

表 15 都市ガス改質による水素製造におけるエネルギー消費量等

項目 値

都市ガス消費量 0.33 Nm3-CG/Nm3-H227

改質効率 80%28

改質時の電力消費量 0.22 kWh/Nm3-H229

圧縮時の電力消費量 0.67 kWh/Nm3-H230

液化時の電力消費量 0.97 kWh/Nm3-H231

なお、圧縮時の電力消費量は、自動車に 70MPa で圧縮充填するケースを想定しており、

内訳は下表の通りである。

表 16 圧縮時の電力消費量の構成機器別内訳32

構成機器 電力消費量

(kWh/ Nm3-H2)

改質・精製ユニット 0.22

圧縮機ユニット(80MPa) 0.28

その他(ユーティリティー、プレクール) 0.18

合計 0.67

27 新エネルギー・産業技術総合開発機構[2003]:「水素利用国際クリーンエネルギーシス

テム技術(WE-NET)第Ⅱ期研究開発 タスク 1 システム評価に関する調査・研究」、

NEDO-WE-NET- 0201 28 同上 29 石油産業活性化センター、日本自動車研究所、エンジニアリング振興協会、日本ガス協

会[2011]:「燃料電池システム等実証研究(第 2 期 JHFC プロジェクト)報告書」 30 同上 31 エネルギー総合工学研究所、岩谷産業、川崎重工業、関西電力、清水建設、三菱重工業、

千代田化工建設[2009]:「水素製造・輸送・貯蔵システム等技術開発 次世代技術開発・

フィージビリティスタディ等 技術シナリオに関するフィージビリティスタディ等研究

開発 水素キャリアに応じたフィージビリティスタディ」、平成 20 年度新エネルギー・産

業技術総合開発機構委託事業 32 石油産業活性化センター、日本自動車研究所、エンジニアリング振興協会、日本ガス協

会[2011]:「燃料電池システム等実証研究(第 2 期 JHFC プロジェクト)報告書」

Page 37: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

33

原油換算係数を算定する際に考慮するプロセスフロー・要素は下図の通りとする。

図 22 都市ガス改質による水素製造プロセスフロー

以上を踏まえて、都市ガス改質時の水素の原油換算係数を下記の通りに試算する。

2.3.2 水電解

続いて「水電解」による水素製造における電力消費量及び電解効率は下記の通りである。

なお、圧縮時及び液化時の電力消費量は、前述の都市ガス改質時に用いた値と同様とする。

改質(効率:80%)

都市ガス0.33Nm3-CG

/Nm3-H2

圧縮貯蔵水素

1 Nm3-H2

圧縮水素1 Nm3-H2

0.22kWh/Nm3-H2 0.67kWh/Nm3-H2

改質(効率:80%)

都市ガス0.33Nm3-CG

/Nm3-H2

液化貯蔵水素

1 Nm3-H2

液化水素1 Nm3-H2

0.22kWh/Nm3-H2 0.97kWh/Nm3-H2

●圧縮水素を製造する場合

●液化水素を製造する場合

(都市ガス改質時の水素の原油換算係数)

=水素(気体)の発熱量(HHV)÷改質効率÷ 1 -

= 12.8 MJ/Nm3-H2÷0.80÷ 1 -0.67 kWh/Nm3-H2×9.97 MJ/kWh

12.8 MJ/Nm3-H2+0.67 kWh/Nm3-H2×9.97 MJ/kWh

= 24.35 MJ/Nm3-H2

圧縮時の電力消費量の原油換算値

製造した水素の発熱量(HHV)+圧縮時の電力消費量の原油換算値

●圧縮水素を製造する場合

●液化水素を製造する場合

(都市ガス改質時の水素の原油換算係数)

=水素(液体)の発熱量(HHV)÷改質効率÷ 1 -

= 12.8 MJ/Nm3-H2÷0.80÷ 1 -0.97 kWh/Nm3-H2×9.97 MJ/kWh

12.8 MJ/Nm3-H2+0.97 kWh/Nm3-H2×9.97 MJ/kWh

= 28.07 MJ/Nm3-H2

液化時の電力消費量の原油換算値

製造した水素の発熱量(HHV)+液化時の電力消費量の原油換算値

Page 38: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

34

表 17 水電解による水素製造における電力消費量及び電解効率

項目 値

電解時の電力消費量 3.7kWh/Nm3-H233

電解効率(LHV) 96%34

原油換算係数を算定する際に考慮するプロセスフロー・要素は下図の通りとする。

図 23 水電解による水素製造プロセスフロー

以上を踏まえて、水電解時の水素の原油換算係数を下記の通りに試算する。

33 日本自動車研究所[2011]:「総合効率と GHG 排出の分析 報告書」 34 日本自動車研究所[2011]:「総合効率と GHG 排出の分析 報告書」に記載の電解効率

(LHV):81%を元に、下記の通りに算出。

12.8 MJ/Nm3-H2/(3.7kWh/Nm3-H2×3.6MJ/kWh)=0.961

電解(効率:96%)水 圧縮貯蔵

水素1 Nm3-H2

圧縮水素1 Nm3-H2

3.7kWh/Nm3-H2 0.67kWh/Nm3-H2

電解(効率:96%)

水 液化貯蔵水素

1 Nm3-H2

液化水素1 Nm3-H2

3.7kWh/Nm3-H2 0.97kWh/Nm3-H2

●圧縮水素を製造する場合

●液化水素を製造する場合

(水電解時の水素の原油換算係数)

=水素(気体)の発熱量(LHV)÷電解効率÷ 1 -

= 12.8 MJ/Nm3-H2÷0.96÷ 1 -0.67 kWh/Nm3-H2×9.97 MJ/kWh

12.8 MJ/Nm3-H2+0.67 kWh/Nm3-H2×9.97 MJ/kWh

= 20.20 MJ/Nm3-H2

圧縮時の電力消費量の原油換算値

製造した水素(LHV)の発熱量+圧縮時の電力消費量の原油換算値

●圧縮水素を製造する場合

Page 39: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

35

2.4 総括

上記の通り、「都市ガス改質」及び「水電解」の 2 つを検討対象の水素製造方法として取

り上げ、原油換算係数を試算した。その結果、原油換算係数の値は 20~28 MJ/Nm3-H2 と

なり、水素の熱量 12.8MJ/Nm3-H2 よりも大きなエネルギーが必要となることが分かった。

また、製造方法によって原油換算係数の値が異なることも分かり、多様に存在する製造方

法それぞれについて検討をしていく必要があると考えられる。

今後、省エネ法において水素を取り扱うために原油換算係数を検討する際には、特に下

記の点について、引き続き議論が必要であると考えられる。

・製造方法別に係数を設定するか、水素ミックスの係数とするか

・主要なプロダクトの副生として水素が生産されるケースの取り扱い

・再生可能エネルギーによって水素が生産されるケースの取扱い

●液化水素を製造する場合

(水電解時の水素の原油換算係数)

=水素(液体)の発熱量(HHV)÷電解効率÷ 1 -

= 12.8 MJ/Nm3-H2÷0.96÷ 1 -0.97 kWh/Nm3-H2×9.97 MJ/kWh

12.8 MJ/Nm3-H2+0.97 kWh/Nm3-H2×9.97 MJ/kWh

= 23.39 MJ/Nm3-H2

液化時の電力消費量の原油換算値

製造した水素(HHV)の発熱量+液化時の電力消費量の原油換算値

Page 40: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

36

3 エネルギー小売事業者に関する措置

3.1 はじめに

資源に乏しい我が国は、安全性の確保を大前提に、経済性、気候変動の問題に配慮しつ

つ、エネルギー供給の安定性を確保しなければならない。

こうしたエネルギー基本計画の考え方を踏まえ、平成 27 年7月に策定されたエネルギー

ミックスにおいては、省エネルギーは石油危機後並の効率改善(エネルギー効率を35%

程度改善)を実現し、原油換算で 5,030 万 kl 程度の省エネルギーを達成するという野心的

な目標が示された。

同年 8 月にはエネルギーミックスの目標達成に向けて、省エネルギー小委員会において

「総合資源エネルギー調査会省エネルギー小委員会 取りまとめ」が取りまとめられたとこ

ろである。

当該取りまとめの中では、エネルギー供給事業者に関する必要な措置として、電力小売

事業者による省エネの促進が以下の通り位置付けられている。

今後、自由化に伴い、エネルギー供給事業者が家庭部門などの小口消費者の省エネ取組

に与える影響が大きくなることから、省エネに関してその社会的責任を果たすために、エ

ネルギー供給事業者へ求められる取組の在り方について検討が必要となっている。

エネルギー供給事業者に対して、消費者への情報提供を求めている省エネ法の現行制度

において、エネルギー供給事業者に関する制度の改正に合わせ、消費者が引き続き適切な

省エネに取り組めるように、制度の見直しを含めた必要な措置を講じるべく、海外におけ

る類似制度の分析等を通じて検討を進めるべきである。

この取りまとめ内容を受け、制度の見直しを含めた必要な措置について検討を進めるべく、

エネルギー小売事業者の省エネガイドライン検討会を開催した。

3.2 検討経過

平成 28 年度内に開催した検討会の概要は下表の通りであった。

Page 41: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

37

表 18 エネルギー小売事業者の省エネガイドライン検討会 開催概要

日付 議題

第 1 回 平成 28 年 7 月 15 日

(1)議事の取扱い

(2)検討会の審議事項について

(3)電気需要の平準化に資する取組のあり方

(4)消費者の省エネに資する情報提供のあり方

(5)消費者に対する省エネ製品・サービスのあり方

(6)エネルギー小売事業者の取組状況

(7)今後の予定

第 2 回 平成 28 年 9 月 5 日

(1)第1回検討会における議論の整理

(2)電気の小売全面自由化後の状況

(3)都市ガス事業者の現状

(4)中間取りまとめに向けて

第 3 回 平成 28 年 11 月 28 日

(1)第2回検討会における議論の整理

(2)電気需要平準化に資する取組と省エネサービスに

資する取組

(3)中間取りまとめ(案)

また、委員・オブザーバー名簿は下記の通りであった。

Page 42: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

38

(座長)

村越 千春 株式会社住環境計画研究所 最高顧問研究員

(委員)

大石 美奈子 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員

協会 代表理事(副会長)

杉浦 淳吉 慶応義塾大学文学部 教授

田辺 新一 早稲田大学理工学術院創造理工学部 教授

西尾 健一郎 一般財団法人電力中央研究所社会経済研究所 主任研究員

(オブザーバー)

秋山 一也 株式会社エネット 経営企画部長

内海 隆宏

江口 高充

一般社団法人日本ガス協会 業務部長(第2、3回)

東京電力パワーグリッド株式会社 経営企画室副室長(第3回)

勝田 実 電気事業連合会 業務部長

佐藤 美紀 株式会社東急パワーサプライ 政策担当グループ長

下宮 慎平

寺腰 直明

株式会社カカクコム ビジネス企画部マネージャー

北陸電力株式会社 リビング営業部リビング営業総括チーム統括

(第3回)

巻口 守男 エネチェンジ株式会社 副社長

3.3 問題意識

エネルギーミックスにおける 2030 年度までの省エネ目標 5,030 万 kl のうち、家庭部門

では 1,160 万 kl の省エネを目指すこととしており、家庭部門を含む需要家の省エネはエネ

ルギーミックス全体の達成を左右する重要な要素となっている。

今後、エネルギーの小売全面自由化の中で多様な製品・サービスが登場し、需要家のエネ

ルギーの使い方は大きく変化することになると考えられることから、自由化環境下におい

てもエネルギー小売事業者と需要家の両者が適切に省エネを推進できる環境整備が必要と

なる。特に、電気については本年4月より自由化されたことから、来年4月より自由化が

予定されているガスに先行した検討が必要となる。

上記を踏まえ、本検討会では以下の3点について調査・検討を行った。

・電気事業者による消費者の電気需要平準化の取組に資する措置のあり方

・エネルギー供給事業者による消費者の省エネに資する情報提供のあり方

・エネルギー小売事業者による省エネ製品・サービスのあり方

Page 43: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

39

3.4 調査・検討事項

初めに、電力小売全面自由化後の状況を概観すると、平成 28 年 7 月 6 日現在、登録小売

電気事業者は 303 社(みなし小売電気事業者 10 社を除く)に上っている。最大需要電力の

見込みが1万 kW を下回る小規模事業者が全体の約6割を占め、本社所在地は約4割が東

京、三大都市圏以外に本社を置く事業者は 27%となっている。

図 24 登録小売電気事業者の最大需要電力の見込み35

図 25 登録小売電気事業者の本社所在地36

35 資源エネルギー庁

10万kW

以上

26社

(9%) 1万~10

万kW

87社

(29%) 1,000~

1万kW

166社

(55%)

1,000k

W

未満

24社

(8%)

北海道

15社

(5%)

東北

11社

(4%)

東京都

125社

(41%)

関東(東京

都以外)

41社

(13%)

中部

16社

(5%)

近畿

41社

(14%)

北陸

1社

(0%)

中国

17社

(6%)

四国

4社

(1%)九州

32社

(11%)

三大都市圏以外の事業者(27%)

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40

3.4.1 電気事業者による電気需要平準化に資する措置のあり方

(1) 検討方針

省エネ法では、電気事業者(小売電気事業者、一般送配電事業者及び特定送配電事業者

のうち省令で定める要件に該当する者を除く)に対し、消費者の電気需要平準化の取組に

資する措置の実施に関して、計画の作成・公表の義務を規定している。

上記を踏まえ、以下の3つの観点で自由化後の各事業者の対応状況を調査し、今後ガイ

ドライン等の策定を検討するに当たって考慮すべき事項等について検討することとした。

①小売事業における電気料金及びその他供給条件等の整備

②送配電事業における見える化機器の整備

③送配電事業における情報提供環境の整備

(2) 調査内容

① 小売事業における電気料金及びその他供給条件等の整備

電気需要の平準化に向けて電力小売事業者が実施している電気料金メニューに関する取

36 資源エネルギー庁

(参考)省エネ法該当箇所

(計画の作成及び公表)

第八十一条の七 電気事業者(経済産業省令で定める要件に該当する者を除く。次項にお

いて同じ。)は、基本方針の定めるところに留意して、次に掲げる措置その他の電気を

使用する者による電気の需要の平準化に資する取組の効果的かつ効率的な実施に資す

るための措置の実施に関する計画を作成しなければならない。

一 その供給する電気を使用する者による電気の需要の平準化に資する取組を促すため

の電気の料金その他の供給条件の整備

二 その供給する電気を使用する者の一定の時間ごとの電気の使用量の推移その他の電

気の需要の平準化に資する取組を行う上で有効な情報であって経済産業省令で定める

ものの取得及び当該電気を使用する者(当該電気を使用する者が指定する者を含む。)

に対するその提供を可能とする機能を有する機器の整備

三 前号に掲げるもののほか、その供給する電気の需給の実績及び予測に関する情報を提

供するための環境の整備

2 電気事業者は、前項の規定により計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表しな

ければならない。これを変更したときも、同様とする。

Page 45: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

41

組及びその他の取組について調査を実施した。

(ア)電気料金メニューに関する取組

旧一般電気事業者 10 社が、時間帯別電灯、時間帯別・季節別電灯、蓄熱調整契約等の電

気平準化に資する料金メニューを提供している一方、今年4月の新規参入事業者について

は、比較サイトに情報掲載のある約 50 社中、電気平準化に資する時間帯別電灯等の料金メ

ニューの提供はごくわずかに留まっている。

旧一般電気事業者によって提供されている電気平準化に資する料金メニューの主な例は

下記に示す通りである。

図 26 電気平準化に資する料金メニューの主な例37

上記に加えて、北陸電力(株)は「節電とくとく電灯」、「節電とくとくプラン [くつろ

ぎナイト 12 附帯割引プラン]」と呼ばれる節電割引メニューを導入している。これは、広く

37 各電力会社のホームページを元に作成

時間帯別電灯 時間帯別・季節別電灯

夜間~早朝(例:23時~翌7時)の料金単価を昼間に比して低く設定し、同時間帯の電気使用を促すもの。

ピーク電力対策を目的として、季節や時間帯により異なる料金を設定するもの。夏季の昼間に特に高い電気料金を設定するケースが多い。

蓄熱調整契約

夜間蓄熱式機器やオフピーク蓄熱式電気温水器の一定量以上の使用を条件に契約するもの。

夜間:20円78銭

昼間:32円14銭

23時

7時

例)東京電力エナジーパートナー 夜トク8

例)関西電力季時別電灯PS(ピークシフト)

23時

7時16時

13時

夜間:13円10銭

ピーク:60円70銭(7~9月の平日のみ)

オフピーク:23円91銭~35円00銭

オフピーク:23円91銭~35円00銭

例)中国電力 電化Styleコース

21時

9時

ナイトタイム:14円60銭

デイタイム:32円8銭(夏季)30円6銭(夏季以外)

※加入条件:電灯需要(最大需要容量6kVA未満)または電灯需要(契約電力6kW以上)の適用範囲に該当し、電気給湯機等(1kVA以上の夜間蓄熱式機器またはオフピーク蓄熱式電気温水器)を使用

ホリデータイム:14円60銭

<平日> <休日>

Page 46: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

42

一般の需要家を対象として、同社より知らされた日時(例:7~9 月の 13~16 時)に節電

すると、節電実績に応じて電気料金が割り引かれるものである。

節電量を算定するに当たってのベースラインとなる「基準電力量」は、節電実施日の前

平日 5 日間のうち、13~16 時の使用電力量が多い 4 日間の平均使用電力量となっており、

これより、節電実施日の 13~16 時の平均使用電力量である「実績電力量」を差し引いて節

電量が算出される。

節電割引メニューのイメージは下図の通りである。

図 27 節電割引のイメージ38

また、割引単価は、下表の通りとなっている。

表 19 節電割引メニューの割引単価39

メニュー名称 割引単価

節電とくとく電灯

13~16時(3時間)の 1時間平均節電電力量 1kWhにつき 129.60

円 割引

※3時間合計の節電電力量1kWh に換算した場合 43.20 円の割

引に相当

節電とくとくプラン

[くつろぎナイト 12

附帯割引プラン]

13~16時(3時間)の 1時間平均節電電力量 1kWhにつき 194.40

円 割引

※3時間合計の節電電力量1kWh に換算した場合 64.80 円の割

引に相当

38 北陸電力(株) 39 同上

(A-B)節電電力量

の節電電力量に割引単価を乗じ、節電割引額を算定

節電時間帯(13~16時)

(A)基準電力量(節電実施日の前平日5日間のうち、

13~16時の使用電力量が多い4日間の平均使用電力量)

(B)実績電力量(節電実施日の13~16時の

平均使用電力量)

節電割引額 = 節電電力量 × 割引単価

Page 47: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

43

加えて、下図に示す「出かけて節電」を節電割引メニューに組み合わせることで、電気

料金の割引のみならず、ポイント付与や商品割引等の特典を受けることも可能となってお

り、更なるピークシフト効果が期待される仕組みとなっている。

図 28 「出かけて節電」の概要40

また、平成 21 年度から 23 年度に東京電力と関西電力管内の約 900 世帯を対象に実施さ

れた負荷平準化機器導入効果実証事業を元に、時間帯別料金(Time of Use:TOU)が省エ

ネ等に与える影響について調査を行った。

本実証実験では、TOU によって約 10%のピークカットが継続的に可能であることが明ら

かになっており(電力使用量の見える化効果を除く)、また、一日の電力消費量ベースでも

約4%の削減が確認されている。

上記より、TOU は電気の需要平準化に一定の効果をもたらす可能性があると考えられ、

その普及拡大が重要であることが示唆される。

40 北陸電力(株)

会員需要家

協力企業様・団体様

クーポン

<パソコン・携帯利用者

<スマートフォン利用者>(印刷)

(画面メモ)

③ クーポンを提示された会員に特典を付与

② クーポンを取得し、エアコン、テレビなどを消して実施日時に外出

<メール内容>・実施日時・クーポンが掲載されたURL

① 会員へ実施日時までにメールで通知

<特典内容>・ポイント付与・商品割引 等

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44

表 20 負荷平準化機器導入効果実証事業の概要41

事業内容 一般家庭等にスマートメーターを設置した上で、需要家が

TOU を採用した場合のピークカット効果を検証

事業者 東京電力、関西電力

参加世帯 関東約 600 世帯、関西約 300 世帯

(単身世帯は対象から除外)

料金体系

休日 ・終日:22 円/kWh

平日 ・ピーク時間帯(13~16 時):44 円/kWh

・それ以外の時間帯:19.1 円/kWh

表 21 実証事業において確認されたピークカット効果42

関東 関西

平均値 9.1% 10.7%

効果の分布 3.4%~13% 9.6%~15%

(イ)その他の取組

電気の需要平準化に向けて、時間帯別料金等の電気料金メニューの提供以外の取組を進

めている事業者も存在する。

(株)東急パワーサプライは、グループ内の鉄道事業者や商業施設と連携して電気の需

要平準化に取り組んでいる。一つ目は東急パワーサプライの契約者が朝7時までに東急各

駅の自動改札機から入場すると、東急ポイントを付与する取組である。契約者は貯まった

ポイントを東急グループのスーパーや沿線の商業施設等で使用することが可能となってい

る。契約者に早起きを促すことで電車の混雑緩和とともに、電力使用ピークのシフトにも

繋がる効果が期待される。二つ目の取組は、電力需要が増加する夏季に外出を促し、涼し

いところに集まって節電する、いわゆる「クールシェア」の取組である。例えば、気温が

35 度以上となる日に東急電鉄を利用して外出した場合に東急ポイントを付与する、また、

夏季の昼間に東急グループ施設を利用した場合に無料で各種サービスを提供するといった

取組が行われている。

41 資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会

第6回省エネルギー小委員会 42 同上

Page 49: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

45

また、(株)エネットは、法人を対象とするデマンドレスポンスサービスを展開している。

実施イメージは下図の通りとなっており、エネットからの節電要請に対応して契約者が節

電を実施した場合、節電量に応じてインセンティブが提供される仕組みとなっている。こ

の他にも、予め決められたデマンドレスポンスプログラムに応じて契約者の設備をエネッ

トが直接制御するサービスやコージェネレーションシステムを活用したデマンドレスポン

スプログラムも提供されている。

図 29 エネットの法人向けデマンドレスポンスサービスの概要43

上記のように、時間帯別料金等の電気料金メニューの提供以外にも電気の需要平準化に

効果があるクールシェアやデマンドレスポンスといった取組が進められており、これらが

電気の需要平準化に資する有効な取組であると評価できるようにしていくことが必要であ

ると考えられる。

② 送配電事業における見える化機器の整備

本項では、旧一般電気事業者によるスマートメーターの設置・導入に関する取組につい

て調査を行った。

高圧部門(工場等)では、2016 年度までに全数がスマートメーター化され、低圧部門に

ついては東京電力管内では平成 32 年度末まで、日本全体では平成 36 年度末までに導入を

完了する計画になっている。各電力会社の導入計画は、低圧・高圧について下表の通りと

なっている。

また、全ての電力会社は、Home Energy Management System(HEMS)の設置等に

伴いスマートメーターの設置を希望する需要家や、小売全面自由化後、小売事業者の切替

43 (株)エネット

①節電要請

②節電実施

③インセンティブ

〔kWh〕

8時 13時 17時

①エネットが節電を要請(日時の指定)

③節電量に対して、エネットが契約者へインセンティブを提供

基準値(ベースライン)

②契約者が節電を実施

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46

えを希望する需要家に対しては、スマートメーターへの交換を遅滞なく行うことを表明し

ている。

図 30 各電力会社のスマートメーター導入計画44

表 22 各年度末のスマートメーター導入台数(2016年7月時点)45

(設置台数(~2015年度)・設置予定台数(2016年度~))

44 資源エネルギー庁 45 同上

北海道 東北 東京 中部 北陸 関西 中国 四国 九州 沖縄

高圧導入完了

2016

年度末

完了 完了2016

年度末

完了2016

年度末

2016

年度末

2016

年度末

完了2016

年度末

低圧

本格導入開始

開始済

開始済

開始済

開始済

開始済

開始済

開始済

開始済

開始済

開始済

導入完了

2023

年度末

2023

年度末

2020

年度末

2022

年度末

2023

年度末

2022

年度末

2023

年度末

2023

年度末

2023

年度末

2024

年度末

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47

③ 送配電事業における情報提供環境の整備

資源エネルギー庁電力・ガス事業部が公表している「系統情報の公表の考え方」の中に、

電力の需給状況に関する情報提供の考え方が記載されている。これに基づき、一般送配電

事業者は自社のホームページにおいて「でんき予報」という名称でエリア需給の予報・実

績に関する情報を公表している。主な提供情報は下表に示す通りであり、各事業者間でほ

ぼ共通している状況である。

表 23 でんき予報における一般送配電事業者の主な提供情報46

翌日予報

・ピーク時供給力

・予想最大需要

・ピーク時予備率、使用率 等

当日予報・実績

・ピーク時供給力

・予想最大需要

・ピーク時予備率、使用率

・需要実績(5分間値、1時間値)等

これに加え、電力広域的運営推進機関は全国の合計及びエリア毎の電力需給予報・実績

をホームページで公表している。一例として、当日実績とピーク時供給力、今後の予測値、

節電をお願いしたい時間帯といった情報が下図のような形で開示されている。

図 31 電力広域的運営推進機関による情報提供のイメージ

46 資源エネルギー庁「系統情報の公表の考え方」(平成 28 年4月改訂)

0

1000

2000

3000

4000

5000

0:0

0

3:0

0

6:0

0

9:0

0

12:0

0

15:0

0

18:0

0

21:0

0

万(

kW

)

当日実績(万kW)

ピーク時供給力

予測値(万kW)

節電をお願いしたい

時間帯

Page 52: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

48

3.4.2 エネルギー供給事業者による消費者の省エネに資する情報提供のあり方

(1) 検討方針

省エネ法では、エネルギー供給事業者に対して、消費者の省エネに資する情報提供に関

する努力義務を規定し、その具体的内容は指針で規定されている。この指針を新規参入者

へ周知すべく、既存事業者の取組事例について調査を実施した。以降ではその結果を整理

して記載する。

なお、今後必要に応じて、小売全面自由化に合わせた当該規定の見直しの必要性を検討

していく。

(2) 調査内容

本項では、国内外の電気事業者及び政府関係機関による情報提供に関する取組、また、

欧州・日本の電気料金比較サイトや国内の都市ガス事業者による情報提供の取組事例につ

いて調査を行った。

(参考)一般消費者に対するエネルギーの供給の事業を行う者が講ずべき措置に関する

指針 該当箇所

1 一般消費者に対するエネルギーの供給の事業を行う者(以下「エネルギー供給事業者」

という。)は、可能な範囲内で、次に掲げる一般消費者が行うエネルギーの使用の合

理化に資する情報を提供するよう努めなければならない。

(1) 一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報の提供

(2) 一般消費者の過去一年間の月別のエネルギーの使用量及び使用料金に関する情

報の提供

(3)エネルギー消費機器の使用方法の工夫によるエネルギーの使用量の削減量及び使

用料金の削減額の目安等の提供

(4) エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギー消費性能、当該

機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供

(5) 前各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギー使用量の目安等、

エネルギー供給事業者の創意により実施する一般消費者が行うエネルギーの使用

の合理化に資する情報の提供

2 エネルギー供給事業者のうち、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第一

項第二号に規定する一般電気事業者であってその供給区域内における電力量計の取付

数が百万個を超えるもの及びガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第二条第二項

に規定する一般ガス事業者であってその供給区域内におけるガスメーターの取付数が

百万個を超えるものは、一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の

提供の実施状況について、毎年、公表するように努めなければならない。

Page 53: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

49

① 電気事業者による情報提供の事例

旧一般電気事業者 10 社は、前述の指針が求める情報提供項目(1)~(5)全てに対応

しており、「(5)(中略)エネルギー供給事業者の創意により実施する(中略)情報の提

供」については、下表に示す事例が存在する。

表 24 旧一般電気事業者の創意による情報提供(指針の(5)に相当)の例47

分類 内容

省エネシミュレーション

・類似世帯との比較

・省エネ効果シミュレーション

・環境家計簿

・家庭エコ診断

・メール・電話による省エネ相談

省エネ関連制度

・トップランナー制度の紹介

・「しんきゅうさん」※の紹介

・住宅省エネラベルの紹介

その他 ・省エネレシピ

・子供向け省エネ情報

※省エネ製品買換ナビゲーションシステム

一方、自由化後に参入した事業者の中には、旧一般電気事業者に比べて提供情報が少な

い事業者が存在している。下表に記載の通り、旧一般電気事業者と同様に情報提供が充実

している事業者も一部で見受けられるものの、多くは「前年同月のエネルギー使用量」と

「過去1年間の月別のエネルギーの使用量及び使用料金」の二点の情報提供のみに留まっ

ている傾向が見られた。

47 会員サイト等にログインせずに確認できる公開情報を元に作成

Page 54: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

50

表 25 新規参入事業者の情報提供に対する取組状況48

事業者

指針が求める情報提供項目

(1) (2) (3) (4) (5)

エネルギー系

A社 ○ ○

B社 ○ ○

C社 ○ ○ ○

D社 ○ ○

交通系 E社 ○ ○

通信系

F社 ○ ○ ○ ○ ○※

G社 ○ ○

※類似家庭との電気使用量比較

② 電力の小売営業に関する指針

本項では、「電力の小売営業に関する指針」について、その目的及び遵守すべき事業者を、

本検討会にて検討・策定するガイドラインと比較しながら整理するとともに、それぞれの

位置付けについて概説する。

(ア)目的

「電力の小売営業に関する指針」は、「小売の全面自由化に伴い、様々な事業者が電気事

業に参入することを踏まえ、関係事業者が電気事業法(昭和 39 年法律第 170 号)及びその

関係法令を遵守するための指針を示すとともに、関係事業者による自主的な取組を促す指

針を示すものであり、これによって、電気の需要家の保護の充実を図り、需要家が安心し

て電気の供給を受けられるようにするとともに、電気事業の健全な発達に資することを目

的とするもの」となっている。

一方で、本省エネガイドライン検討会では、エネルギーの使用の合理化等に関する法律

(昭和 54 年法律第 49 号)及びその関係法令に基づき、自由化環境下においても需要家が

適切に省エネを推進できる環境整備を目的として、ガイドラインの検討・策定を行うこと

としている。

48 会員サイト等にログインせずに確認できる公開情報を元に作成

Page 55: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

51

(イ)遵守すべき事業者

「電力の小売営業に関する指針」を遵守すべき主たる関係事業者は、小売電気事業者及

びその媒介・取次・代理業者であり、登録特定送配電事業者及びその媒介・取次・代理業

者については、本指針では記載していないが、その小売供給及びその小売供給に関する契

約の締結の媒介等に関しては、本指針を同様に遵守することが求められる。

省エネガイドライン検討会では、電気事業者、エネルギー供給事業者、エネルギー小売

事業者を対象として、制度の見直しを含めた必要な措置を検討することとしている。

③ 海外における情報提供の事例

(ア)海外における省エネ関連制度

海外における情報提供の取組を整理するに当たっては、その前提となっている省エネ関

連制度について調査することが必要である。ここでは、特に欧州の状況について整理を行

った。

(Ⅰ)欧州

欧州連合(EU)は、2020 年に向けて一次エネルギー供給を 20%削減する目標を設定し

ている。その達成に向けて、欧州省エネ指令(Directive 2012/27)の第 7 条は各メンバー

国にエネルギー供給事業者に対する省エネ義務制度の策定を求めている。

義務の内容は、「エネルギー供給事業者が 2014 年 1 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日まで

の期間において、最終需要家へのエネルギー販売量を 2010~2012 年の平均と比較して毎年

1.5%削減すること」となっている。但し、エネルギー供給事業者に対する義務制度のみな

らず、その他の政策的措置によるエネルギー供給量の削減も認められている。

Page 56: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

52

表 26 欧州省エネ指令(Directive 2012/27)の第 7 条の概要

義務の内容

エネルギー供給事業者は、2014 年 1 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの

期間において、最終需要家へのエネルギー販売量を 2010~2012 年の平均

と比較して毎年 1.5%削減することが必要。

達成に向けた

方策

省エネ義務制度や下記に示すその他の政策的措置を各国にて検討・実施。

<その他の主な政策的措置>

・エネルギー又は CO2 に対する税制度

・省エネ技術の適用に向けた金融措置

・省エネ技術の適用に向けた規制、自主的

制度

・製品・サービスのエネルギー効率改善に向けた

標準・規範の設定

・エネルギーラベル制度

・省エネ技術の適用に向けた研修・教育制度

上記の欧州省エネ指令第 7 条を受けて、フランスはエネルギー小売事業者に対する省エ

ネ義務制度を導入している一方、ドイツは、省エネ義務制度以外の手法(補助制度等)に

よる目標達成を推進している。

以下では、フランス・ドイツがそれぞれ進めている取組について概説する。

(Ⅱ)フランス

同国は、2006 年にホワイト証書と呼ばれる省エネ義務制度を導入し、移行期間等を経て

現在は第 3 期間(2015~2017 年)の 2 年目にあたる。また、第 3 期間の省エネ目標量は、

7,000 億 kWh(約 2,333 億 kWh/年)に設定されている。

義務対象者は電気、ガス、暖房用燃料、自動車用燃料等の供給事業者約 2,000 社となっ

ており、省エネ取組の実施対象 セクターは、EU-ETS の対象設備を除く全セクターとなっ

ている。

各事業者の目標値は、前年の市場シェアに応じて割り当てられ、削減義務を負う事業者

は自ら省エネ対策を実施して証書を獲得するだけではなく、他事業者との証書取引が可能

となっている。

Page 57: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

53

図 32 ホワイト証書の実施スキーム

また、省エネ量算定時のベースラインは当該製品・技術の市場普及度合いを考慮して設

定され、証書の過剰発行を回避している。加えて、導入製品・技術の耐用年数全体の累積

省エネ量に対して発行され、将来における省エネ量は年率 4%で割引かれることとなってい

る。

図 33 省エネ量算定時のベースラインの考え方

セクター別の証書発行割合を見ると、住宅用建築を対象とするものが 76%を占める。ま

た、2014 年に発行された証書の約 95%は、事前に定められた算出式によって「みなし値」

で省エネ量を算出する「Standardised action」という方法に由来する。同方法に基づく技

術別証書発行割合は上位 10 技術で全体の約 66%を占めており、家庭部門では、暖房・温水

機器の更新、断熱対策の実施件数が多い状況となっている。

行政当局●証書の発行●証書取引市場

の監視●義務量の設定●証書の発行●罰金の決定

その他事業者

●対策の実施

義務を負う事業者●証書の確保●対策の実施

証書取引市場

販売販売

購入

(対策前) (市場における普及レベル)

(対策後)

エネルギー消費量

証書発行対象

Page 58: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

54

図 34 セクター別ホワイト証書発行割合(2006 年 7 月~2014 年 5 月)49

表 27 Standardised action に基づく技術別ホワイト証書発行割合(2014 年)50

技術・対策名称 全体に占める

割合(%)

個別式凝縮ボイラー 15.29%

屋根の断熱(家庭用建築) 9.63%

壁の断熱 7.21%

集中式凝縮ボイラー 6.28%

個別式木材燃焼暖房装置 5.87%

屋根の断熱(商業用建築) 4.88%

個別式低温ボイラー 4.57%

高断熱窓 4.33%

集中式凝縮ボイラー(エネルギー効率保証契

約付) 3.84%

49 ENSPOL「Energy Saving Policies and Energy Efficiency Obligation Scheme D2.1.1

Report on existing and planned EEOs in the EU - Part I Evaluation of existing

schemes」を元に作成 50 同上

家庭用建築

76%

商業用建築

13%

産業

7%

電力系統・

熱導管ネッ

トワーク

2%

運輸

1%

農業

1%

Page 59: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

55

(Ⅲ)ドイツ

ドイツは、EEO 制度は導入しておらず、欧州委員会によって承認された規制強化や補助・

融資制度等の代替措置を通じて、欧州省エネ指令で定められた削減目標を達成するとして

いる。これらの政策は、2014 年に閣議決定されたエネルギー効率国家行動計画(NAPE)

の枠組みの中で定められている。

ドイツが採用している代替措置には、主に法規制、省エネ投資融資・補助プログラム、

情報・アドバイス提供プログラムの 3 つがある。

表 28 代替措置の主な内容51

分類 主な内容

法規制 ・ビルの所有者および不動産開発事業者に対し、

ビルを新築する際に再エネ使用義務を課すもの。

補助金・融資

・政府所有の開発銀行(Development bank)である KfW

が、省エネ投資に対する融資プログラムを提供

・再エネやヒートポンプ導入に対する補助金の提供

情報・アドバイス

提供プログラム

・家庭向け省エネ診断

・エネルギーマネジメントシステム(EMS)導入にか

かる補助金の提供

51 「Communication from the German Federal Government to the European

Commission pursuant to Article 7 of Directive 2012/27/EU of the European

Parliament and of the Council of 25 October 2012 on energy efficiency」より作成

Page 60: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

56

図 35 2014-2020 年の想定削減量(PJ)52

(イ)米国 オーパワー

(Ⅰ)事業概要

オーパワーは、BtoBtoC(消費者向けサービスを行う事業者を顧客とする業態)とし

て、エネルギーデータの解析による情報提供事業をエネルギー供給事業者に対して展開し

ており、電力の見える化情報の提供に行動心理学やマーケティング手法を取り入れること

によって前年度比2~3%の電力消費量の削減効果を3年以上に渡って達成している。

サービス提供スキーム及び紙媒体による需要家への情報提供の例は下記の通りである。

図 36 オーパワーのサービス提供スキーム

52 「Communication from the German Federal Government to the European

Commission pursuant to Article 7 of Directive 2012/27/EU of the European

Parliament and of the Council of 25 October 2012 on energy efficiency」より作成

20,

4%

382.95,

84%

55.8,

12% ①法規制

②補助金・融資

③情報・アドバイス

提供プログラム

電力会社名で見える化情報を提供

各種媒体(紙、ウェブ、SNS等)を通じて効果的に情報を提供。

電気事業者

・契約・需要家情報の共有

需要家のエネルギー使用状況等の解析結果

最終需要家

電力消費量の削減効果

オーパワー

Page 61: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

57

図 37 紙媒体による情報提供の例53

(Ⅱ)実証事業

オーパワージャパン株式会社は、株式会社 住環境計画研究所及び北陸電力株式会社と共

同で経済産業省資源エネルギー庁「平成 27 年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

(エネルギー使用状況等の情報提供による家庭の省エネルギー行動変容促進効果に関する

調査)」を実施しており、ここではその結果について概要を整理する。

同実証は、北陸電力㈱の管轄地域を調査対象地域に設定し、一般家庭を対象としたエネ

ルギー使用状況等の情報提供を行い、消費者の意識・行動変容の共通点や差異を評価する

ものであった。

53 英・内閣府、エネルギー気候変動省等「Behavior Change and Energy Use」

近隣や省エネ世帯との比較情報

スマイルマークによる分かりやすい表示

省エネアドバイスの提供

Page 62: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

58

図 38 実証事業の概略と実施体制54

実証事業の調査報告書によると、結果は主に3点にまとめられている。一点目は省エネ

ルギー効果に関するものである。下図に示す通り、レポート送付から2ヶ月後で 1.2%の省

エネルギー効果が発現し、仮に月次の省エネルギー効果が 1.2%で維持された場合、2万世

帯の年間の省エネ効果は、約 226 万 kWh/年になると推計される。

54 (株)住環境計画研究所「平成 27 年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(エネ

ルギー使用状況等の情報提供による家庭の省エネルギー行動変容促進効果に関する調査)

結果概要(2016 年 5 月)

Page 63: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

59

図 39 レポート送付による省エネルギー効果55

2点目は、需要家に行動変容をもたらす要因に関する点であり、「よく似た家庭との電力

消費量の比較が行動変容を促進」するとされている。レポート送付世帯の8割が受領を認

知し、そのうち9割がレポートを閲覧した。レポート送付世帯は、省エネルギー行動の実

施頻度と省エネルギー意識が向上し、よく似た家庭(同じ契約容量・料金メニューで近隣

に居住)より電気を多く使用していることを示された世帯ほどレポートに強く反応し、省

エネルギー行動につなげる傾向が見られた。

図 40 レポートの認知度・閲覧状況56

55 (株)住環境計画研究所「平成 27 年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(エネ

ルギー使用状況等の情報提供による家庭の省エネルギー行動変容促進効果に関する調査)

結果概要(2016 年 5 月) 56 同上

Page 64: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

60

3点目は、電力会社に対する評価についてだが、レポート送付世帯の 1/3 が、電力会社

のイメージが良くなったと回答している。

図 41 レポート受領による電力会社のイメージ変化57

また、需要家による省エネ行動の変化に属性の違いの影響は見られず、事業者の顧客エ

ンゲージメントが重要であるとのことであった。下図に示す通り、「電力会社が電気代や電

気使用量を削減できるようサポートしてくれると思う」と考えている人ほど、省エネ行動

を起こしたと回答している割合が高くなっており、いかに電力会社に対してポジティブな

印象を抱いてもらうかが、省エネ行動の促進には重要であることが示唆される。

57 (株)住環境計画研究所「平成 27 年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(エネ

ルギー使用状況等の情報提供による家庭の省エネルギー行動変容促進効果に関する調査)

結果概要(2016 年 5 月)

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61

図 42 電力会社に対する印象と省エネ行動について58

(ウ)英国 ガス電力市場規制庁(Ofgem)

英国では、電力自由化後に各事業者の電気料金メニューが複雑化したために需要家にと

って比較・検討が困難となり、電力小売事業者を切り替えた(スイッチングした)ところ、

かえって電力料金が増加するという事例が多発した。これを受け、英・Ofgem は需要家の

声をもとにして、電力使用量や料金メニュー等に係る情報を分かりやすく需要家に提供す

ることをエネルギー供給事業者に求めている。

請求書、年次報告、営業ツール(広告媒体等)等を対象媒体とし、提供情報は「年間電

力使用量」、「翌1年間の推定支払額」、「料金メニュー総合単価(TCR)」、等である。

58 (株)住環境計画研究所「平成 27 年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(エネ

ルギー使用状況等の情報提供による家庭の省エネルギー行動変容促進効果に関する調査)

結果概要(2016 年 5 月)

18.58% 16.81%29.05%

81.42% 83.19%70.95%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

サポートしてくれてない どちらでもない サポートしてくれている

省エネ行動起こした 省エネ行動していない

Q:電力会社は電気代や電気使用量を削減できるようサポートしてくれると思いますか?

(n=113) (n=345) (n=296)

+10%

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62

図 43 Scottish Southern Energy 社の年次報告の例59

(エ)英国のエネルギー供給事業者

英国では、エネルギー供給事業者にスマートメーターとともに In-Home Display(宅内

見える化端末)の導入・設置を義務付けている。エネルギー使用の見える化による需要家

の省エネ取組を促進。導入が義務化されているため、基本的に需要家の初期費用はゼロで

あるが、最低機能要件を超える付加機能を備える機器を有料で販売している事業者も存在

している。

59 Ofgem の資料を元に作成

年間電力使用量

翌1年間の推定支払額

メニュー変更提案

従量料金

基本料金年間電力使用量

翌1年間の推定支払額

TCR(料金メニュー総合単価)

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63

図 44 英国のエネルギー供給事業者による情報提供の事例60

④ 電気料金比較サイトによる情報提供の事例

ここでは、電気料金比較サイトによる情報提供の取組について、欧州と日本に分けて整

理する。

60 各社ホームページを元に作成

事業者 機器名称 主な提供情報・機能 価格 機器等のイメージ

SSESmart Energy Tracker

・エネルギー使用状況(量、金額)・省エネ機会・省エネ目標の設定・省エネ目標に対する進捗状況

無料

EDF Energy

Smart Meter Displays

・エネルギー使用状況(現在、過去7日間、前月)

・電力使用状況の時間あたりコスト・エネルギー料金関連情報・エネルギー使用情報に基づくカーボンフットプリント

無料

E.ON Energy

Saving Energy Toolkit

・家庭内のエネルギー使用状況・月ごとの料金比較・エネルギー多消費用途・類似家庭との比較情報・省エネアドバイス・省エネ目標の設定・使用状況レポートの発行

無料

Smart Energy Display

・エネルギー使用状況(金額換算)・エネルギー使用状況(日、週、月、年単位)

・1日あたりの使用量上限の設定・使用量上限に対する残量・使用レベルを3色で表示(赤=高、黄=中、青=低orゼロ)

無料

Scottish Power

TREC Energy Monitor

・エネルギー使用量(リアルタイム、日次、月次)

・エネルギー消費量(金額換算)

£31.99

EnviREnergy Monitor

・時間、温度・エネルギー消費量(リアルタイム)・前日の時間帯別エネルギー消費量(7~15時、15~19時、19~23時)・消費量(kWh)の累積表示(前日、過去7日間、過去30日間)

・エネルギーコスト(日次、月次)

£44.99

Page 68: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

64

(ア)欧州

2012 年、欧州エネルギー規制者評議会(CEER)は、需要家が中立で客観的、比較可能

な料金メニュー情報にアクセスできていないために自由化後の市場にて十分な便益が得ら

れていない、との認識の下、料金比較サイトに関するガイドラインを公表した。

表 29 CEER より公表された料金比較サイトのガイドライン61

独立性

・料金比較サイトの小売事業者からの独立性。

・料金比較サイトの運営事業者による自己規制+規制当局による監視。

・規制当局等による自主的な認証、または、強制力を持つ規制。

・(民間サービスが無い場合)規制当局者等自らによる料金比較サイトの設

立・運営。

透明性 ・運営方法、資金源、株式保有者の情報公開。

網羅性

・全料金メニューが比較可能であることが理想だが、網羅されていない可能

性も明示すること。

・顧客の選好に応じたフィルタリングも提供されるべき。

明快、わかり

やすさ

・電気料金が最初の結果表示画面に明示されるべき。年間支払額、または、

kWh 単価、割引も含む。

・料金メニューの特徴の明示。固定料金か変動料金か、等。

・追加情報の明示。顧客満足度やグリーン電力であるか、等。

正確性 ・最新情報への更新、提示。

ユーザーフ

レンドリー

・標準的な電力消費パターン、または顧客の消費量の推計値に基づく、電気

料金の提示。

アクセスの

容易性

・インターネット以外の情報提供チャネル

・Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)への適合※

エンパワー

メント

・料金比較サイトに対する顧客の認知度と信頼、プロモーションや認証表示、

等。

・サービス向上。例えば、電力価格の構成に関する情報提供、等。

・一貫した、標準的な用語・言語の使用。

※WCAG:W3C(World Wide Web Consortium, http://www.w3.org/)が定める、特に身

61 電力中央研究所「欧州における家庭用電気料金メニューの多様化の現状と課題」を元に

作成

Page 69: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

65

体障害者のウェブコンテンツへのアクセスを容易にするためのガイドライン。

欧州諸国において、比較サイトの運営主体は公的機関(規制当局を含む)、民間事業者の

いずれの場合も存在している。情報の提供義務の有無も、国によって異なる状況となって

いる。英国やドイツのように民間事業者が運営する場合には、供給者からの独立性の担保

が重要である。

Page 70: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

66

表 30 主な欧州諸国の料金メニュー比較サイトの現状62

国 運営者 主な比較サイト 供給者からのデータ提供の義務 利用者が入力する主な情報

英国 民間事業者

・UKPower.co.uk

・uSwitch.com

・SimplySwitch

・energyhelpline 等

・法的義務なし

・郵便番号、メータータイプ、支払い方法、年間消

費量(kWh)等

・現在の料金メニューと年間支払額、あるいは、電

気・ガス利用や住宅の状況等

ドイツ 民間事業者 Veribox 等

・法的義務なし

・供給者がツールの重要性を考

慮し、自主的に情報を提供

・郵便番号

・年間消費量(kWh)、または、家族人数

フランス

公的機関及びエ

ネルギーオンブ

ズマン

Energi-Info

・法的義務なし

・供給者がデータを提供し、運

営者が監視

・登録した共有者はすべての料

金メニューをサイト上で公

・実績消費量

・実績支払額(上記が不明な場合。規制料金を基準

に消費量を逆算)

・平均的な消費量を元に推計(実績消費量、実績支

払額のいずれも不明な場合)

62 電力中央研究所「欧州における家庭用電気料金メニューの多様化の現状と課題」、CEER「Price Comparison Tools: case studies

Annex 1 to CEER Draft advice on Price Comparison Tools」等を元に作成

Page 71: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

67

国 運営者 主な比較サイト 供給者からのデータ提供の義務 利用者が入力する主な情報

オースト

リア 公的機関 Tarifkalkulator

・法的義務なし

・供給者が運営者に情報を提

供、またはサイトのアカウン

トを取得後、自身で情報を入

・郵便番号

・年間消費量(kWh)(不明な場合、家族人数(電気)、

住宅の広さ(ガス)から推計)

イタリア 公的機関

TravaOfferte

(民間事業者が運営

するサイトも別途存

在)

・法的義務なし(ただし、サイ

トに参加した場合は 情報タ

提供義務が発生)

・送配電料金及び税額は運営者

が入力

・実績消費量(不明な場合、家族人数・電気製品数

等から推計)

スウェー

デン 公的機関

elpriskollen

(民間事業者が運営

するサイトも別途存

在)

・法的義務あり

・運営者は情報確認、修正要請

を実施

・質問への回答

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68

また、英・Ofgem は、比較サイトのエネルギー供給事業者からの独立性の確保や料金メ

ニュー情報の提供方法等の要件を定めた比較サイトの「Confidence Code」を策定・公表し

ている。任意制度だが、2016 年8月現在、12 事業者を Confidence Code に基づき認証し

ている。定められている要件の例及び認証マークの表示例を下記に示す。

表 31 英国の Confidence Code が定める要件の例63

独立性・公平性 ・エネルギー供給者からの独立性。

・特定の事業者に偏らない、公平な情報の提供。

料金・価格の比較 ・選択可能な全料金メニューの網羅的な開示。

・各メニューに対する Tariff Information Label の表示。

監督・管理 ・比較サイトの監督・管理。

・独自の料金メニューデータベース及び計算機の使用。

支払方法 ・消費者への料金の支払方法に関する情報の提供。

結果表示 ・単一ページにて最低 10 種類の比較結果の表示。

品質・情報案内 ・消費者の意見を取り込む形での供給者評価の実施。

・消費者の省エネ推進に資する情報の表示。

正確性・情報更新 ・価格情報の正確性の確保、最新情報である旨の宣言。

・新料金メニューが登場した際の速やかな反映。

監査・監視 ・第三者の年次監査及び Ofgem の内部監査への適合。

苦情対応 ・苦情等への対応窓口の設置、運用。

63 Ofgem 「Confidence Code – code of practice for online domestic price comparison

services」を元に作成

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69

図 45 Ofgem の認証マークの表示例64

(イ)日本

日本の電気料金比較サイトによる情報提供については、本検討会にオブザーバーとして

参加したエネチェンジ(株)及び(株)カカクコムの取組状況を整理して記載する。

エネチェンジ(株)による情報提供の特徴の一つとして、小売事業者の切り替えによる

電気代の削減幅の大小に留まらず、8つの「こだわりポイント」を指標として数値化し、

評価に組み入れている点が挙げられる。指標の具体例としては、下図に示す通り、電気の

見える化サービスの充実度や再生可能エネルギーの活用等がある。

64 energyhelpline

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70

図 46 エネチェンジ(株)が料金プランを評価する際に考慮する8つの指標65

また、電気料金プランの比較シミュレーションやメディアとしての情報発信、メールマ

ガジン等でのお客様フォローといったオンラインでの情報提供とともに、オフラインでの

施策も実施されている。例えば、講演活動や電力自由化に係るアンバサダーの育成、学校

の開校等があり、これらを通じて地域や情報量の格差を埋める取組が進められている。な

お、エネチェンジ(株)は前述した英・Ofgem が策定している Confidence Code を参考に

自主的に要件を設け、事業を運営している。

(株)カカクコムは、電気料金の比較サービスを 2016 年1月より本格的に開始しており、

セット割引やポイント還元の試算に対応するとともに、一部小売事業者の料金メニューに

ついては電源構成に関する情報開示にも取り組んでいる。

65 エネチェンジ(株)

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71

図 47 (株)カカクコムによるセット割引・ポイント還元(左)、及び電源構成(右)に

関する情報の提供イメージ66

「常にユーザーファーストに考え、ユーザーの選択・意思決定に必要な情報、有益な(ニ

ーズの高い)情報があれば随時拡充」していくことが基本方針となっており、消費者と小

売事業者のマッチングプラットフォームとしてのサービスが提供されている。

⑤ 都市ガス事業者による情報提供の事例

電気に加えて、来年 4 月に自由化されるガス市場におけるエネルギー供給事業者も本検

討会の検討対象であることから、都市ガス事業者の情報提供の取組についても情報収集を

実施した。

初めに、都市ガス事業者の事業規模は下表に示す通りとなっており、私営ガス事業者の

約 8 割が中小事業者、都市ガス事業者の 9 割以上が従業員数 300 人以下である。

66 (株)カカクコム

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72

表 32 資本金・従業員数別一般ガス事業者数67

大手 4 社による情報提供の取組としては、検針票及び会員向け WEB ページにおいて、前

年同月の使用量が掲載されている。また、会員向け WEB ページでは、過去 1 年間の月別の

エネルギーの使用量・使用料金も確認可能となっている。

図 48 東京ガスによる検針票における情報提供事例68

その他、ホームページや機器カタログを通じて、高効率ガス機器や機器の使用方法につ

いての情報が提供されている。

67 日本ガス協会「ガス事業便覧 平成 27 年版」 68 東京ガス(株)

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73

図 49 大阪ガスによる機器の使用方法に関する情報提供事例69

都市ガス事業者による情報提供について検討を行う際には、事業者規模として中小事業

者の比率が高いこと、また、都市ガスは一次エネルギーであるために負荷平準化による省

エネ効果を生み出すことが難しく、きめ細かなデータ取得の必要性が低いことを考慮する

必要があると考えられる

3.4.3 エネルギー小売事業者による省エネ製品・サービスのあり方

(1) 検討方針

エネルギー小売事業者が省エネに訴求した営業行為を適切に行えるよう、また、省エネ

に効果がある省エネ製品・サービスが広く需要家に提供されるよう、省エネ製品・サービ

スのあり方について調査・検討を実施した。

今後、スマートメーター等の機器整備や電気の取引環境整備によって、エネルギー小売

事業者が提供する製品・サービスは多様化すると見込まれる中で、消費者に省エネ行動を

促す省エネ製品・サービスにはどのようなものが考えられるのかについて、類型化して整

理しておくことは重要である。省エネ製品・サービスの類型化を通じて、消費者が省エネ

製品・サービスを選択する際の参考となる情報を整備し、比較サイト等を活用した情報提

供の可能性についても検討を実施した。

(2) 調査内容

本項では、電力小売事業者及びその他関連事業者による省エネ製品・サービスの提供事

例について調査を行った。加えて、英国における省エネ関連製品・サービスの提供事例に

69 大阪ガス(株)

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74

ついても整理を行っている。

省エネ製品・サービスの提供に当たっては、スマートメーターで計測した電力使用量等

のデータの活用が一つの重要な鍵となる。スマートメーターで計測したデータの通信ルー

トとして、「A ルート」、「B ルート」、「C ルート」の3つが存在する。電力会社と小売事業

者や第三者(民間事業者)をつなぐ C ルートを開放することで、第三者によるスマートメ

ーターのデータを活用した新サービスが創出・展開される可能性があり、第三者に実際に

提供される情報の種類、粒度はサービスごとに異なると考えられる。

表 33 スマートメーター及び関連システムの全体像70

一方で、C ルートの開放に当たっては、個人情報保護への配慮が欠かせない。電力等の使

用情報は、個人情報保護法上の個人情報に該当すると考えられ、当該情報の取扱について

は、電力会社に限らず民間事業者は法律上の各種義務を負う。例えば、電力会社等の保有

する個人情報は本人の同意を得ることなく第三者に提供されることは認められていない

(第三者提供の制限)。また、本人の同意を前提として電力会社が保有する個人情報が第三

者に提供されたとしても、第三者も個人情報取扱事業者としての義務を負う。

70 経済産業省 第 15 回スマートメーター制度検討会 資料3「スマートメーターの導入促

進に伴う課題と対応について」を元に作成

(スマートメーターと電力会社)

(スマートメーターと建物の中)

(電力会社と小売事業者

及び第三者)

図 スマートメーター及び関連システムの全体像

第三者への公開

エネルギーの見える化、省エネアドバイス、デマンドレスポンス、見守りサービス、等の展開

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75

図 50 個人情報取扱事業者としての義務の範囲71

現行の個人情報保護制度上、電力会社等から第三者へのメーター情報の提供は需要家同

意の上で可能である(本人への情報提供はもちろん可能)。個人情報保護制度上、第三者へ

の情報提供には「本人の同意」が必要であり、個人情報の取扱については、個人認証や情

報漏洩防止等のセキュリティー対策も十分に措置される必要がある。

71 経済産業省 第5回スマートメーター制度検討会 資料3「スマートメーターの情報の

取扱について」

・消費者の同意が無ければ事業者Aは事業者Bに対して保有する個人情報を提供することはできない(同意があった場合でも提供の義務は無い)。

・本人同意を前提に事業者Bが事業者Aから個人情報の提供を受けた場合、事業者Bにも個人情報取扱事業者としての義務が発生。

(参考)個人情報保護法該当箇所

個人情報の定義(第2条)

この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に

含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの

(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができ

ることとなるものを含む。)をいう。

個人情報取扱事業者の義務

一定規模以上の民間事業者は、個人情報の取扱に関して以下のような義務を負っている。

・利用目的による制限 ・適正な取得

・安全管理措置 ・第三者提供の制限

・開示・訂正・利用停止等

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76

図 51 本人の同意の取得及び本人認証の方法72

また、「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」

(平成 26 年 12 月 12 日厚生労働省・経済産業省告示 第4号)では、本人の同意を得てい

る事例として、下記が挙げられている。

① 電力小売事業者による省エネ製品・サービスの提供事例

電力小売事業者が実施しているサービスとして、電気料金の値引きやポイントによる経

済的インセンティブの付与、省エネ機器の普及に向けた提案・販売・リースが挙げられる。

72 経済産業省 第5回スマートメーター制度検討会 資料3「スマートメーターの情報の

取扱について」

「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」

(平成 26 年 12 月 12 日厚生労働省・経済産業省告示 第 4 号)

本人の同意を得ている事例

Ⅰ 同意する旨を本人から口頭又は書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっ

ては認識することができない方式で作られる記録を含む。)で確認すること。

Ⅱ 本人が署名又は記名押印した同意する旨の申込書等文書を受領し確認すること。

Ⅲ 本人からの同意する旨のメールを受信すること。

Ⅳ 本人による同意する旨の確認欄へのチェック。

Ⅴ 本人による同意する旨のウェブ画面上のボタンのクリック。

Ⅵ 本人による同意する旨の音声入力、タッチパネルへのタッチ、ボタンやスイッチ等に

よる入力。

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77

表 34 電力小売事業者による省エネ製品・サービスの提供事例73

サービス種別 対象 事業者名 内容

経済的イ

ンセンテ

ィブ

ポ イ ン

ト付与 家庭

東急パワーサプ

ライ

電力需要がピークとなる昼間時間帯に電車

を利用する、また系列の百貨店やスーパーに

行くことでポイントを付与。

エネット

NTT ファシリテ

ィーズ

電力不足が予想される時間帯に節電すると、

ポイントを還元。

ク ー ポ

ン配信

家庭 東急パワーサプ

ライ

系列のクールシェアスポットで利用可能な

クーポンを配信。

家庭

北陸電力 需給逼迫時に、協力店で利用可能なクーポン

をメールで配布。

エネット

NTT ファシリテ

ィーズ

電力不足が予想される時間帯に提携施設で

利用可能なクーポンを配信。

省エネ

機器の

普及

提案 業務 リコージャパン 電力小売の契約者に対し、LED 照明やエアコ

ン等の省エネ機器の導入を提案。

販売 家庭 東京ガス

ガス器具販売店「東京ガス ライフバル」に

おいて、冷蔵庫・洗濯機等の大型省エネ家電

を販売。

リース 家庭

関西電力 エコキュート、IH クッキングヒーター、ル

ームエアコンをリース。

中国電力 エコキュート、IH クッキングヒーターをリ

ース。

業務 関西電力 空調・給湯・厨房・受電設備等をリース。

② その他関連事業者による省エネ製品・サービスの提供事例

その他関連事業者が実施しているサービスとしては、クーポンの配信、HEMSデータ

や用途別エネルギー使用量の推計値を用いた省エネアドバイス等が挙げられる。

73 各社のホームページ、プレスリリース等を元に作成

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78

表 35 その他関連事業者による省エネ製品・サービスの提供事例74

サービス種別 対象 事業者名 内容

経済的イン

センティブ

クーポン

配信 家庭

三井不動産・東

電力ピーク時間帯に系列の商業施設で利

用可能なクーポンをHEMSのモニター

画面に配信し、電力需要の抑制を促進。

省エネ

機器の普及

省エネア

ドバイス

家庭

パナソニック

HEMS 管理アプリを通じて、省エネに取

り組む方法や省エネに資する機器更新を

アドバイス。

積水ハウス HEMS のモニター画面を利用して、省エ

ネに取り組む方法をアドバイス。

家庭

( 電 力

小売)

凸版印刷

独自のエネルギー消費量推定法を用いて

HEMS を導入していない家庭のエネルギ

ー使用量を推計。電力小売事業者に対し

て、エネルギー使用量の推計値や省エネア

ドバイスに関する情報を提供し、需要家向

けサービスの実施を支援。

HEMS導

入支援

家庭

( 電 力

小売)

NTT 東日本

電力小売事業者に対して、電力の見える化

等の HEMS 機能、家電遠隔操作や見守り

サービス等を割安に提供。提供サービスの

付加価値向上を目指す事業者を支援。

③ 英国における省エネ関連製品・サービスの提供事例

英国のエネルギー供給事業者は、先に示したエネルギーの見える化サービスに加え、暖

房機器制御ツールの提供、給湯・暖房機器等の販売・設置・保守等サービスを展開してい

る。

以下では、3社による暖房機器制御ツールの概要を整理した。

74 各社のホームページ、プレスリリース等を元に作成

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79

表 36 英国における省エネ関連製品・サービスの提供事例75

事業社名 商品名 機能 価格

Centrica

/British

Gas

Hive Active

HeatingTM

・暖房・給湯制御(モバイル端末による入・

切の操作)

・位置情報に基づくアラームの通知

・暖房・給湯スケジュールの設定

・凍結防止(室温7℃以下となった際に自

動運転)

・休暇モードの設定

・本体:£249

(アップグレード

時は£99 が追加)

Scottish

Power

Scottish

Power

Connect

・暖房制御(外出先から入・切の操作)

・運転スケジュールの設定(室温調節する

時間帯、好みの室温(上限/下限)等を設定

可能)

・休暇モードの設定

・Scottish Power の

顧客

-設置費用:£80

-月次費用:£5

・顧客以外

-設置費用:無料

-月次費用:£12.69

RWE

npower

Nest

Thermostat

・外出時にモバイル端末から操作可能

・学習機能により、スケジュール設定不要

・省エネ行動時のアイコン表示

・季節に応じた設定温度の調整

・暖房の運転履歴の表示

・本体:£129

・設置費:£70~

④ 電力等のデータの活用による新規サービスの拡大に資する IoT プラットフォーム

東京電力パワーグリッド(株)は(株)日立製作所、パナソニック(株)とともに、住

宅内の電気の使用状況や温度などの情報を収集・蓄積・加工することのできる IoT プラッ

トフォームの構築に関する共同実証試験を開始している。

オープンプラットフォームを構築することで様々なサービス事業者が蓄積データを利用

可能であることや、見える化アプリによって スマートフォンで手軽に電気の使用状況を確

認可能であることが特徴として挙げられる。また、住宅内の電気使用状況を家電製品の種

類ごとに分解するディスアグリゲーション技術と環境センサーを組み合わせることで、ビ

ッグデータによる B2B2C 型の新サービスが展開可能になる。

75 各社ホームページを元に作成

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80

展開が見込まれる具体サービスには下図に示す通り、「見守り サービス」、「家電製品サ

ポートサービス」、「電気使用状況見える化サービス」等がある。

図 52 IoT プラットフォーム構築によって展開が見込まれる具体サービス76

実証試験は、2016 年 11 月~2017 年 3 月において、東京都を中心とした関東エリアの約

100 戸の住宅を対象にして、分電盤周辺等に家電製品の種類ごとの電気使用の変化をリアル

タイムに検知するための専用の電力センサー及び住宅内の温度などを測定する環境センサ

ーを設置し、センターシステムにおいてデータを収集蓄積・加工するプラットフォームを

構築することとなっている。

76 東京電力パワーグリッド(株)

③ 3

① 1

見守りサービス

② 2

サポート

電力

e t c .

・使い過ぎ

・消し忘れ

予兆診断・買い換え提案等

急な変化

【使用料全体】

・家電製品の種類ごと 【分離データ】

【エアコン】 【テレビ】

【洗濯機】 【冷蔵庫】

【平常時】

【予兆発見】

etc.....

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81

図 53 共同実証試験の概要77

なお、従来の HEMS(Home Energy Management System)は省エネなどを主目的とし

た B2C サービスであったことと比べ、本プラットフォームは複数宅からデータを収集・蓄

積することによって、サービス事業者による B2B2C サービスの提供が可能となる。

3.5 まとめと今後の方向性

3.5.1 まとめ

本検討会における調査及び議論の内容を踏まえ、省エネ法及びその関係法令で規定され

ている情報提供等の義務をより効果的なものとするためのガイドラインの策定等を今後検

討するに当たって留意すべき事項は以下の通りである。

なお、検討に当たっては、エネルギー小売の自由化の状況や海外における取組等も踏まえ

つつ、エネルギーの種類やエネルギー供給事業者の規模によって有効な情報等が異なるこ

とにも留意しながら、事業者に過度な負担を課すことのないよう、官民が協力して検討を

進めていく必要がある。

<電気需要平準化の取組に資する措置について>

・ピークシフト、ピークカットの手法として、時間帯別料金に加え、ポイント付与やデマ

ンドレスポンスと組み合わせた電気需要平準化の取組も展開され始めていることから、

「電気料金その他の供給条件」に捉われない手法の有効性についても検討していく必要

がある。

<省エネに資する情報提供について>

77 東京電力パワーグリッド(株)

電力 電力 PLC ロ

を 事

見える化

データ蓄積・加工

戸建住宅集合住宅

Page 86: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

82

・需要家は日々、大量の情報に接しており、省エネに関わる重要な情報を見過ごしてしま

う可能性がある。そのため、需要家への省エネ情報の提供の際には、ただ単に情報を提

示するだけでなく、需要家の視点に立った情報の整理や、需要家のエネルギー情報等を

分析した上で省エネ情報をフィードバックすることなど、需要家の理解を深めるための

工夫が必要である。その際、世代間ギャップや情報格差によって理解の度合いが異なる

場合もあることに留意する必要がある。

・紙での情報提供から電子機器を活用した情報提供に移行することにより、需要家に対し

てより詳細な省エネ情報の提供が可能となる一方で、その移行によって省エネ情報の取

得が困難になる需要家も存在する。そのような情報提供媒体の特性に留意した上で、特

性に応じた省エネ情報の提供を行うこと、また、提供される省エネ情報は、分かりやす

さと内容の充実等のバランスを意識したものにすることが必要である。

・需要家に対して、短期的な利益だけではなく、長期的又は社会全体の利益についても考

えてもらえるような情報提供、例えば、電源構成や発電効率等に基づいて電気の選択が

可能となるような情報提供は化石燃料の削減にも資するため、省エネの観点からも有効

である。その際、常時バックアップ制度については、電力の小売営業に関する指針と整

合的となるよう配慮が必要である。

・需要家のエネルギー情報を第三者に提供し、その情報を活用した第三者が提供する省エ

ネサービスの促進を検討すべきである。ただしその際、需要家のエネルギー情報を第三

者へ提供することによる情報セキュリティー及び個人情報に関する課題、システム構築

等に係るコスト負担問題についての検討が同時に必要となる場合がある。

・比較サイト等の需要家と直接的に接点を持つ第三者による省エネ情報の提供について、

需要家の省エネを進める観点からはそれらの活用も重要である。他方で、比較サイト等

の第三者の提供する情報が恣意性を持つなどして需要家を混乱させることがないように、

省エネ情報の提供の中立性や客観性などの視点が重要になる。

<省エネ製品・サービスについて>

・幅広い需要家の省エネ行動につながる料金メニューが検討されるべきである。その際、

電気使用量の多い需要家だけではなく、電気使用量が少ない需要家にとっても魅力的な

料金メニューを充実させる必要がある。

・省エネ製品・サービス市場を健全に発展させていくために、省エネ効果を誇大に謳うよ

うな製品・サービスは排除しつつ、ベストプラクティスを共有できる環境整備が必要で

ある。

・事業者の創意工夫を喚起し、消費者に省エネ行動を促す省エネ製品・サービスの充実を

図ることは、省エネの観点からも民間ビジネスの拡大の観点からも重要である。その際、

国が、省エネ製品・サービスの類型化を行うなどして、消費者が省エネ製品・サービス

を選択する際の参考となる情報を整備することについて引き続き検討が必要である。

Page 87: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

83

3.5.2 今後の方向性

上記のまとめの内容を踏まえ、エネルギーミックスの目標を達成するために、需要家に

よる省エネ投資拡大を通じた省エネ深掘りのための手法について検討するとともに、エネ

ルギーの小売全面自由化後においても需要家が適切に省エネを推進できる環境を整備する

べく、来年度以降も本検討会において、ガイドラインの策定等の検討を継続していくこと

とする。

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84

4 コミッショニングの活用方法の検討

コミッショニングとは、建築物や設備の新設・改修の際に企画、設計、施工及び運用の

各段階において、第三者的な立場から助言や必要な性能確認を行い、本来の性能を実現す

るためのプロセスとされている。

設備の導入においては、オーナー、設計者、メーカー、施工業者などの導入に関わる各

主体が設けた裕度の積み重ねにより、機器が過剰性能になる可能性があることが指摘され

ている。また、各主体は自身の専門分野については詳しいものの、全体を通じた最適化の

ための知見を十分に有していないことも多いことが課題となっている。

その様な状況を解決し、より一層の省エネに寄与する可能性があるコミッショニングに

ついて、その効果と定義について検討を行った。

4.1 コミッショニングに関する有識者ヒアリング

コミッショニングが導入される経緯や、その効果、費用、運用時における取組、コミッ

ショニングが効果的な属性について、特定非営利活動法人 建築設備コミッショニング協会

へのヒアリングを行った。主な内容は下表の通りである。

表 37 有識者の意見

項目 ヒアリング結果

導入経緯

・米国ではコミッショニングが進んでいるが、LEED という建築物の環境

性能評価システムで高スコアを獲得するためにはコミッショニングの

実施が必須となっていることが大きい。

導入効果

・コミッショニングの省エネ効果を算定・測定する方法として、例えば、

既築の建造物を対象にした事例を積み上げて、それらを参考とすること

が考えられる。既築のみならず、新築の場合にも事例を元にして算定が

出来るようになるかもしれない。

・コミッショニングは、各フェーズが適切に実施されているかどうかを確

認するためのプロセス。コミッショニングを実施した場合と実施しなか

った場合を比較する、という考え方自体がナンセンス。

導入費用

・米国では設計費が全体コストの約 8%で、コミッショニング費用は 1~

3%程度と言われている。日本は米国よりも全体コストに占める設計費

の比率が小さく、約 3%。コミッショニング費用が設計費よりも大きく

はなりえないので、全体コストの約 0.5%程度となっている。

Page 89: 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 …経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー課 御中 平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業

85

4.2 コミッショニング実施事例の分析

平成 28年度エネルギー使用合理化等事業者支援補助金における採択事業者とそのコミッ

ショニング事業者に対して、コミッショニングが導入される経緯や、その効果、費用、運

用時における取組、コミッショニングが効果的な属性についてヒアリングを実施した。

表 38 補助事業者とコミッショニング事業者の意見

項目 補助事業者 コミッショニング事業者

導入経緯

・省エネには以前より取り組んで

はいたが成果の検証が自社のみ

ではできなかったところ、電力会

社よりコミッショニングの提案

があった。

・コミッショニングという名称で

実施したのは初めてだが、別工場

の冷凍機の更新時に省エネコン

サルという名称で実施したこと

がある等、同じようなスキームは

既に実施していた。

導入効果

・効果が予想通り出る、予想以上

に見込める運用方法のアドバイ

スを受けることができたが、運

用前の現時点ではわからない。

・コミッショニングの意義は、自

社や協力会社では対応できない

専門性の高いアドバイスをもら

えることにある。

導入費用

・コミッショニング費用は調査段

階については補助事業者、対策

実施段階はESCO事業者が負担

した。

・コミッショニングの適正価格は、

協力会社への発注費用は工事全

体の 15~16%であり、設計や管

理費用が無いと考えると 10%程

度が妥当ではないか。

・施工までは最低でも週1回の管

理が必要であり、その後は月1

回の管理を行う。1 年 4,5 カ月

の間、週に 1 回技術者を派遣す

るといくらになるかというの

が、コストの目安ではないか。

・ただし、補助事業の場合、申込

み期間が短いこともあり、その

期間にオーナーの社内決裁が通

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項目 補助事業者 コミッショニング事業者

る額でないと請けられないた

め、少額で着手している。

運用段階の

取組

・コミッショニングを行うことで、

最適運用パターンの知見が自社

に残る。特に、機器の故障時や

メンテナンス等で一部を休ませ

ている場合の最適運用パターン

も把握できることから、省エネ

に対する信頼性が向上する。

コミッショ

ニングが有

効な属性

・自社や協力会社では対応できな

い分野はコミッショニングを行

う意味がある。

・照明等、オーナーでも運用が分

かる対策と比べ、制御が複雑な

大型熱源等の専門性がもとめら

れるもので効果が大きい。年間

を通じた運転方法や工場の特

性、機器台数や運転順序を踏ま

えた機器選定は専門的な知見を

有する。

4.3 コミッショニングの費用対効果・省エネ効果

現時点では、補助事業の採択者が運用段階に入っておらず、定量的な評価は困難である。

将来的に運用段階に入った場合も、コミッショニング実施前の設計性能での機器運用を同

時に行うことはできないため、ベースラインのエネルギー消費量を実測できない点には留

意が必要である。

今後、運用段階も含めた実施事例が多数存在するようになった場合には、以下の様な観

点から費用対効果・省エネ効果を評価することが望ましいものと考えられる。

・既設:機器更新前後の運用データとの比較

・新設:コミッショニング実施前のスペック、運用条件で運用した場合の推計値との比

較、もしくは、蓄積した既設の機器更新事例の中から機器性能等の条件が類似

した事例の条件をベースラインとした比較。

現時点では、設計や運用方法に省エネ余地があることが多いため、コミッショニングは

省エネにつながるものと考えられる。一方で、設計や運用時の省エネ対策が十分に実施さ

れている場合は、コミッショニングの費用対効果は悪くなるものと考えられる。

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その様な場合であっても、コミッショニングを行うことで、設計や運用等が最適であっ

たと把握した上で運用することに意味があるものと考えられ、必ずしも費用対効果や省エ

ネ効果の観点から評価することが正しい訳ではない可能性もあることから、定性的な評価

方法の検討も必要なものと考えられる。

4.4 コミッショニングの定義

前項までの議論を踏まえ、コミッショニングの定義について検討を行った。

平成 28 年度エネルギー使用合理化等事業者支援補助金において、コミッショニングは以

下の様に定義されている。

コミッショニング(性能検証)とは、建築物やその設備について企画から設計、施工、

運用までの各段階において中立的な立場から発注者への助言や必要な確認を行い、引き渡

し時には機能性能試験を実施して設備の適性な運転・保守が可能な状態であることを検証

する等して、発注者の要求(省エネ、コスト削減、快適性等)どおりの品質を実現するた

めに、設計者や工事請負者以外の第三者が実施する一連の公正な作業をいう。

また、コミッショニングのスキームは以下の様に定義されている。

コミッショニングを建築物の改修に取り入れる場合、コミッショニング事業者は他の関

係者以外の第三者の立場として助言・確認等を行いながら、発注者の要件を満たす最適な

改修案となるように主導し、改修後は性能を確認する。

本調査にて分析した事例は、運用段階に至っていないことから企画から運用までの一貫

した評価は行えていない。また、機器更新による省エネ効果を除く、コミッショニング単

体での省エネ効果を定量的に評価できていない。一方で、定性的にはコミッショニングの

実施が省エネにつながったものと考えられる。

今後、より一層の省エネを促すためには、“効果的な”コミッショニングの普及を目指す

ことが重要であるものと考えられる。しかし、現時点では、検討を行うのに十分なコミッ

ショニング実施事例がある訳ではない。

以上を踏まえ、先ずは、コミッショニングの定義を広くとらえ、コミッショニングの認

知度を向上させ、補助事業も含めた実施事例を増やすということも考えられるのではない

か。その場合、上述の定義やスキームを以下の様に変更することが望ましいものと考えら

れる。

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表 39 現在の考え方と改正案とその理由

現在の考え方 改正案 理由

企画から設計、施工、

運用までの各段階に

おいて

企画から設計、施工、

運用までのいずれか

または各段階におい

現時点では様々な段

階での実施事例を収

集することが重要。

事例を蓄積すること

で、効果的なコミッシ

ョニングはどの段階

で行うべきか評価可

能となるため。

コミッショニング事

業者は他の関係者以

外の第三者の立場と

して

(削除) コミッショニング事

業者が発注者の要件

を満たす最適な改修

案となるように主導

することが重要であ

り、必ずしも他の関係

者からの第三者性が

必要ではないため。

また、専門的な立場か

らの助言は、必ずしも

発注者のみが受益者

ではないものと考え

られ、他の関係者が費

用負担することも考

えられるため。

ただし、十分な実施事例が得られたのちには、再度コミッショニングの効果を検証し、

より良い定義を考える必要があるものと考えられる。

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5 Appendix

5.1 現地調査時アンケート票

貴店舗情報を記入してください。

項目 ご回答記入欄 備考他

貴店舗名

郵便番号〒

住所

TEL

FAX

回答者の部署

回答者の氏名

メールアドレス

1.アンケート項目

 ください。なお、アンケート項目には一部専門的な内容が含まれますので、必要に応じ 各部門のご担当者にお問い合わせいただきますようお願いいたします。

A  建物に関する項目B 稼動状況に関する項目C  設備・機器に関する項目D  エネルギー使用に関する項目E  省エネ取り組みに関する項目

・回答を記入していただく欄には、2種類の色が付いております。この色の欄は基本的に全員の方に回答をお願いする項目です。この色の欄は該当する場合に回答をお願いする項目です。

・自由記述の回答欄については、枠内に収まらなくても結構です。

2.ご回答の提出について ・アンケート回答提出先:

E-mailへの添付による回答のご提出先:●●●

   ※●●●が受信します

 (Email送信が不可能な場合のみ)

  郵送及びFAXによる回答のご提出先:

 郵送:●●●

  FAX:●●●

・回答期限: 2016年●月●日(●)まで

3.お問合せ先について ・お問合せ先:●●●   TEL:●●●   FAX:●●●

食品スーパーのエネルギー使用状況等に係るアンケート調査

・アンケートは大きく以下の5項目に分かれております。各項目について、お分かりになる範囲でご回答

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■設問A 建物に関する項目

・以下の項目の直近の情報をご回答ください。

分類 質問項目 備考 回答チェック

立地 立地環境 ×

竣工年月(西暦) 年 月 ×

増改築、設備改修の実施年月(西暦、実施した場合のみ記入) 年 月 ×

増改築、設備改修の主な内容 ←具体的な内容をご記入ください。 ×

屋根の断熱構造←該当する仕様がない場合は、選択肢の中から最も近いと思われる仕様をご記入ください。

×

外壁の断熱構造 ←同上 ×

窓ガラスの断熱構造 ←同上 ×

総延床面積(※総延床面積=売場面積+バックヤード面積)

m2 ×

売場面積 m2←「食品売場」と「非食品売場」の合計をご記入ください。

×

 上記のうち、食品売場の面積 m2←正確な値が不明な場合は、概算値をご記入ください。

×

(他テナントが入居している場合)テナントの業種

←入居している主なテナントを記入してください。(複数回答可。例:クリーニング、生花店、ベーカリー、等)

×

テナントの占有面積1.

m2

←面積の実数値又は総延床面積に占める比率のどちらでも結構です。単位を選択の上、ご記入ください。正確な値が不明な場合は、概算値をご記入ください。

×

食品売場の天井の高さ m ←概算値でも結構です。 ×

地上階数 階 ×

地下階数 階 ←地下階が無い場合には、「0」とご記入ください。 ×

竣工年月(西暦) 年 月 ←入居している建物についてご記入ください。 ×

立地場所 ×

(上記にて「2.その他」を選択した場合)具体的な立地環境

←立地環境を具体的にご記入ください。 例)駅ビルに入居、建物の地下に入居、等

×

総延床面積(※総延床面積=売場面積+バックヤード面積)

m2 ×

売場面積 m2←「食品売場」と「非食品売場」の合計をご記入ください。

×

 上記のうち、食品売場の面積 m2←正確な値が不明な場合は、概算値をご記入ください。

×

(他テナントが入居している場合)テナントの業種

←入居している主なテナントを記入してください。(複数回答可。例:クリーニング、生花店、ベーカリー、等)

×

テナントの占有面積

←複数のテナントが入居している場合、各テナントの面積を合算してください。なお、面積の実数値又は総延床面積に占める比率のどちらでも結構です。単位を選択の上、ご記入ください。正確な値が不明な場合は、概算値をご記入ください。

×

食品売場の天井の高さ m ←概算値でも結構です。 ×

地上階数 階←入居している建物全体ではなく、食品スーパーについてご記入ください。

×

地下階数 階←入居している建物全体ではなく、食品スーパーについてご記入ください。地下階が無い場合には、「0」とご記入ください。

×

建物概要

回答欄

(1)上記の「立地環境」に関する質問において「1.」または「2.」を選択した場合、下記の項目にご回答ください。

(2)上記の「立地環境」に関する質問において「3.」または「4.」を選択した場合、下記の項目にご回答ください。

建物概要

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■設問B 稼動状況に関する項目

・以下の項目の直近の情報をご回答ください。

備考 回答チェック

年間営業日数(自店舗) 日/年 ×

営業時間(自店舗、通常営業時) ~ ←24時間営業の場合には「00:00~00:00」とご記入ください。 ×

年間営業日数(他テナント) 日/年 ×

営業時間(他テナント、通常営業時) ~ ←24時間営業の場合には「00:00~00:00」とご記入ください。 ×

一日平均客数(平日) 人/日 ×

一日平均客数(土日祝) 人/日 ×

店舗従業員数(正社員) 人 ×

店舗従業員数(パート・アルバイト) 人←パート・アルバイトの従業員数については、一日あたりの総労働時間を8時間で割った人日計算でご記入ください。

×

年間売上高 百万円 ×

売上高構成比

①青果 % ×

②水産 % ×

③畜産 % ×

④冷凍食品 % ×

⑤惣菜 % ×

⑥その他食品 % ×

⑦非食品 ×

合計 % ×

冷房 ℃ ×

暖房 ℃ ×

厨房 ×

空調 設定温度

店内厨房の有無

←商品カテゴリーについては、自社のカテゴリー分類に準拠してください。 また、貴店舗において売上が無い商品カテゴリーについては「0」と記入いただき、売上高構成比の合計が100%となるようにしてください。

質問項目 回答欄

売上

従業員

営業

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■設問C 設備・機器に関する項目

○設問C-1 空調設備・機器

冷房A

単位暖房B

単位冷房

D=A×C暖房

E=B×C冷房

F暖房G

冷房H=D/F

単位暖房

I =E/G単位 冷房 暖房

注釈

設置している空調設備の熱源燃料種別をドロップダウンリストから選択してください。「その他」の場合には、具体名称を直接入力してください。

設置している空調方式をドロップダウンリストから選択してください。(参考)・個別分散方式:パッケージ型空調機、ビルマルチエアコンなど。フロン冷媒を室外機と室内機の間に循環して冷暖房するもの。・セントラル方式:冷凍機、ヒートポンプ、ボイラで冷水や温水を製造し、ポンプで空調機へ移送し、空調機から冷風や温風を吹いて冷暖房するもの。寒冷地のパネルヒーター(直接暖房)も含む。

設置している空調機器をドロップダウンリストから選択してください。

設置している空調設備・機器の製造事業者を入力してください。

設置している空調設備・機器の品番を入力してください。

定格冷房能力をご記入ください。

単位を選択または記入してください。

定格暖房能力をご記入ください。

単位を選択または記入してください。

「個別分散」の場合は、室内機と室外機の台数を数えてください。「セントラル」の場合は、冷凍機やヒートポンプ、ボイラの台数を数えてください。

パケージ型空調機の室内機容量は記入不要です。

パケージ型空調機の室内機容量は記入不要です。

効率が判りましたらご記入ください。室内機のCOPは記入不要です。

効率が判りましたらご記入ください。室内機のCOPは記入不要です。

効率が判りましたらご記入ください。

単位を選択または記入してください。

効率が判りましたらご記入ください。

単位を選択または記入してください。

記 空調 電気 個別分散 パッケージ型室外機 15 kW 18 kW 2 30 36 3.0 3.0 10 kW(電気) 12 kW(電気) 4320 2160

入 電気 個別分散 パッケージ型室内機 3 kW 3.6 kW 10 - - - - - - - - 4320 2160

例 電気 冷凍機 70 kW - kW 2 140 - 3.5 - 40 kW(電気) - - 4320 2160

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1 #DIV/0! #DIV/0!

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・貴店舗に設置している各種設備・機器について、以下の項目をご記入ください。

設備容量計(kW) 定格COP・効率 定格エネルギー消費量

用途 熱源燃料種別 空調方式 空調機器

・各行に一設備・機器の情報をご記入いただき、必要に応じて行を追加して下さい。

空調

年間稼動時間(h)

当該設備が、冷房及び暖房でそれぞれ稼働している年間のおおよその時間数をご記入ください。

設備・機器製造事業者

企業名 品番

定格能力・出力台数C

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○設問C-2 照明設備・機器

注釈

設置している照明設備の種類をドロップダウンリストから選択してください。「その他」の場合には、具体名称を直接入力してください。

設置している照明設備の光源をドロップダウンリストから選択してください。「その他」の場合には、具体名称を直接入力してください。

設置している照明設備・機器の製造事業者を入力してください。

設置している照明設備・機器の品番を入力してください。

ランプの型式W 照明器具の台数をご記入ください。

記 天井照明 Hf蛍光灯 40W 2灯用 30 300 9000 3000

入 スポットライト LED照明 13W 個 10 25 250 3500

2

品番

照明

当該設備が、稼働している年間のおおよその時間数をご記入ください。

用途 種類 光源

仕様

台数(台)B

設備容量計(W)A×B

年間稼動時間

型式 灯数設備容量(W)

A (h)

設備・機器製造事業者

企業名

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○設問C-3 冷凍・冷蔵設備・機器

ショーケース機器長さ

数値 A 単位 B 数値 単位 (尺)

注釈

設置している冷凍機とショーケース機械構造をドロップダウンリストから選択してください。(参考)・空冷一体型冷凍機:圧縮機と凝縮器が一体のもの・空冷セパレート型冷凍機:圧縮機と凝縮器が分離しているもの・ショーケース別置型:ショーケースと冷凍機が別置きのもの。・ショーケース内蔵型:ショーケースに冷凍機が内蔵されているもの。

ショーケースの形状をドロップダウンリストから選択してください。

平均陳列室内温度をドロップダウンリストから選択してください。

設置している冷凍・冷蔵設備・機器の製造事業者を入力してください。

設置している冷凍・冷蔵設備・機器の品番を入力してください。

定格冷凍冷蔵能力をご記入ください。

単位を選択または記入してください。

効率の数値をご記入ください。ショーケース別置型は記入不要です。

ショーケース別置型は記入不要です。

単位を選択または記入してください。

記 空冷セパレート型冷凍機 冷凍中温(-15℃) 250 kW 5 1250 2 125 kW 8000

入 ショーケース別置型(オープンタイプ) 卓上形 冷凍中温(-15℃) 50 kW 25 - 2.5 12 kW 8000 150

例 ショーケース内蔵型(クローズドタイプ) 三面ガラス式 冷蔵中温(8℃) 30 kW 8 240 2.5 12 kW 8000 100

3

冷凍・冷蔵

定格エネルギー消費量 年間稼動時間

(h)

当該設備が、稼働している年間のおおよその時間数をご記入ください。

用途 冷凍機及びショーケースの構造 ショーケース形状 温度帯

定格冷凍冷蔵能力 台数(台)設備・機器製造事業者

企業名 品番

定格冷凍冷蔵能力計 (kW)

A×B定格COP

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○設問C-4 その他設備・機器

数値 単位 (台)

例)厨房機器・設備

例)換気機器・設備

例)自動販売機

用途 大区分 中区分 小区分

定格エネルギー消費量(kW)

その他設問C-1~C-3に該当しない用途で、貴店舗において多くエネルギーを使用している機器があれば、ご記入ください。

設備・機器製造事業者

企業名 品番

定格エネルギー消費量計

(kW)

年間稼動時間

(h)

台数

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■設問D エネルギー使用に関する項目

○設問D-1 エネルギー使用量の実績

数値 熱量GJ 数値 熱量GJ 数値 熱量GJ 数値 熱量GJ 数値 熱量GJ

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

(  ) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

GJ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

GJ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

GJ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

GJ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

GJ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

夏期・冬期における電気需要平準化時間帯

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

0.0 0.0 0.0 0.0

#### #### #### ####

○設問D-2 エネルギー計測対象面積

  1.売場のみ   2.売場とともにバックヤードも含む  3.売場及びバックヤードとともにその他(専用駐車場、等)も含む

ご回答欄 その他記入欄

○設問D-3 部門別のエネルギー使用量内訳

○設問D-4 エネルギー使用量の変動理由

(記載例)・(2011~2012年度)景気変動により来客が減少した。・(2012~2013年度)店舗の改装を行ったため、客数や営業時間が減少した。・(2013~2014年度)高効率機器の導入等、省エネを図ったため電力量が減った。・(2014~2015年度)暖冬のため、ガス使用量が減った。

・設問D-1でご回答いただきました2011~2015年度に使用したエネルギーについて、部門別の使用量の内訳(比率)をご回答ください。 なお、正確な内訳が分からない場合は概算の数値をご記入いただき、各年度に置いて合計が「100%」となるようにしてください。

部門 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度

売場

・設問D-1にでご回答いただきました2011~2015年度に使用したエネルギーについて、各年度の使用量の増減の理由として考えられるものがあれば、下欄にご記入下さい。

バックヤード

その他

合計 0%

・各種のエネルギー使用量を赤枠内にご記載ください。

※省エネ法定期報告書のフォーマットをそのまま活用していますので、定期報告の値を転記して頂くことが可能です。

原油(コンデンセートを除く。)

原油のうちコンデンセート(NGL)

揮発油

× ×

2013年度 2014年度 2015年度2012年度

石炭

無煙炭

ナフサ

灯油

石油ガス

可燃性天然ガス

×回答チェック × ×

A重油

石炭コークス

B・C重油

石油コークス

エネルギーの種類 単位

2011年度

使用量

液化石油ガス(LPG)

石油系炭化水素ガス

石油アスファルト

対前年度比(%)

原油換算kl

昼間買電

夜間買電

上記以外の買電

自家発電

液化天然ガス(LNG)

その他可燃性天然ガス

原料炭

一般炭

コールタール

コークス炉ガス

使用量 使用量 使用量使用量

・設問D-1でご回答いただいたエネルギー使用量の計測対象範囲は以下のいずれに該当するでしょうか? なお、「3.」を選択した場合、「その他記入欄」に売場及びバックヤード以外の計測対象範囲を具体的にご記入ください。

その他の燃料

燃料及び熱

電気

合 計GJ

軽油

(        )

電気事業者

その他

前年度原油換算kl

小計

小計

0% 0% 0% 0%

高炉ガス

産業用蒸気

産業用以外の蒸気

温水

冷水

転炉ガス

都市ガス

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■設問E 省エネ取り組みに関する項目

・貴店舗における省エネ取り組みの実施状況についてご回答ください。

分類 質問項目 回答チェック

来店客及び従業員の快適性を損なわない範囲での空調設定温度の緩和 ×

季節に応じた外気導入量の適正化 ×

利用状況に応じた空調温度の変更 ×

空調機スイッチへの空調範囲の表示 ×

余熱利用による早目の空調機器の停止 ×

営業前後の厨房換気の不要時停止 ×

機器効率の低下防止に向けた空調・換気フィルタの定期的な清掃・交換 ×

風除室の設置 ×

日本工業規格に準じた照度の設定 ×

照明スイッチへの点灯範囲の表示 ×

照明の点灯範囲の細分化 ×

営業前後の売場における不要照明の停止 ×

バックヤードにおけるこまめな消灯 ×

不要照明の間引き ×

スポット照明の照射位置の調整 ×

看板照明点灯時間の季節別管理 ×

ランプ等の定期的な清掃・交換 ×

高輝度天井照明による棚照明の消灯 ×

冷凍冷蔵ショーケースの適正温度の表示・管理 ×

冷凍冷蔵ショーケース内の収納物品位置の表示 ×

ショーケースナイトカバーの使用 ×

冷気吹出・吸込口の陳列物の整理 ×

ショーケース除霜装置の設定管理・変更 ×

平形ショーケースへのスライド扉の取付 ×

室外機への気化散水器の取付 ×

外壁・屋根の高断熱化 ×

高断熱ガラス・サッシの導入 ×

自ら入手可能な情報に基づく把握 ×

関連他者からの情報を加えて把握 ×

エネルギー使用量の前年度との比較 ×

過去のデータに基づくエネルギー使用に関する傾向の把握 ×

エネルギー消費量の見える化機器(Building Energy ManagementSystem (BEMS)等)の導入

×

再生可能エネルギーの導入 ×

(上記において「1. 実施している」を選択した場合)再生可能エネルギーによる年間発電量

kWh/年←種類を選択

×

エネルギー使用状況の把握

再生可能エネルギー

回答欄

空調

照明

冷凍・冷蔵

断熱

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98

5.2 定期報告対象事業者アンケート票

貴社情報をご記入下さい。

項目 回答欄 備考

貴社名

郵便番号

住所

TEL

FAX

回答者の部署

回答者の氏名

メールアドレス

1.アンケート対象・本アンケート調査は、経済産業省の商業統計業態分類表(平成26年)において定められた下記条件に該当 する「食料品スーパー」が対象です。  -セルフ方式を採用  -「専門スーパー」の中で、取扱商品のうち「食」が占める割合が70%以上  -売場面積が250㎡以上・貴社が運営している店舗の中から3~5店舗をお選びいただき、設問にご回答ください。・可能な限り規模(総延床面積等)や立地条件(自社所有の建物又はテナントとして入居等)等が異なる店舗 を対象として選定いただき、ご回答ください。・1ファイルにつき、1店舗の情報をご記入ください。

2.アンケート項目

・なお、アンケート項目には一部専門的な内容が含まれますので、必要に応じ各部門のご担当者にお問い合わ せいただきますようお願いします。

A  建物に関する項目B 稼動状況に関する項目C  設備・機器に関する項目D  エネルギー使用に関する項目E  省エネ取り組みに関する項目

・回答を記入していただく欄には、2種類の色が付いています。この色の欄は基本的に全員の方に回答をお願いする項目です。この色の欄は該当する場合に回答をお願いする項目です。

 E-mailへの添付によってご提出いただく場合は、自由記述欄の回答が枠内に収まらなくても結構です。郵送 及びFAXにてご提出いただく際には、お手数ですが、ご回答内容が判読可能な形でご記入ください。

3.ご回答の送付先・回答送付先:

E-mailへの添付による送付先:[email protected]

 (E-mailの送信が不可能な場合のみ)

 郵送及びFAXによる送付先:

 郵送:〒101-8443 東京都千代田区神田錦町2-3

    みずほ情報総研(株) 環境エネルギー第2部 環境エネルギー政策チーム

FAX:03-5281-5466

※郵送及びFAXの場合、「事務局用」シートの印刷・送付は不要です。

・回答期限: 2016年9月7日(水)まで

4.お問合せ先・みずほ情報総研(株) 環境エネルギー第2部 環境エネルギー政策チーム 羽島(はじま)、河西(かわにし) TEL:03-5281-5457(月~金曜日 10~17時)  FAX:03-5281-5466 

食料品スーパーのエネルギー使用状況等に係るアンケート調査

・アンケートは大きく以下の5項目に分かれております。各項目について、お分かりになる範囲でご回答ください。

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99

■回答対象店舗の情報を以下にご記入ください。

項目

店舗名

郵便番号

住所

TEL

■設問A 建物に関する項目

・以下の項目の直近の情報をご回答ください。

分類 質問項目

店舗形態

(上記にて「1.自社所有の建物」を選択した場合)他テナントの有無

(上記にて「2.テナントとして入居」を選択した場合)他テナントの有無

竣工年月(西暦) 年 月

増改築、設備改修の実施年月(西暦、実施した場合のみ記入) 年 月

 増改築、設備改修の主な内容

総延床面積 m2

売場面積 m2

 上記のうち、食品売場の面積 m2

(他テナントが入居している場合)他テナントの業種

回答欄

回答欄

立地

(1)上記の「店舗形態」に関する質問において「1.自社所有の建物で営業」を選択した場合、下記の項目にご回答ください。

建物概要

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100

■設問B 稼動状況に関する項目

・以下の項目の直近の情報をご回答ください。

備考 回答チェック

年間営業日数(自店舗) 日/年 ×

営業時間(自店舗、通常営業時) ~ ←24時間営業の場合には「00:00~00:00」とご記入ください。 ×

年間営業日数(他テナント) 日/年←複数のテナントが入居している場合には、代表的な年間営業日数をご記入ください。

×

営業時間(他テナント、通常営業時) ~←24時間営業の場合には「00:00~00:00」とご記入ください。複数のテナントが入居している場合には、代表的な営業時間をご記入ください。

×

一日平均客数 人/日 ←概算値でも結構です。 ×

店舗従業員数(正社員) 人 ×

店舗従業員数(パート・アルバイト) 人←パート・アルバイトの従業員数については、一日あたりの総労働時間を8時間で割った人日計算でご記入ください。

×

年間売上高 百万円 ←概算値でも結構です。 ×

売上高構成比

①青果 % ×

②水産 % ×

③畜産 % ×

④冷凍食品 % ×

⑤惣菜 % ×

⑥その他食品 % ×

⑦非食品 % ×

合計 0 % ×

冷房 ℃ ×

暖房 ℃ ×

厨房 ×

空調 設定温度

店内厨房の有無

←商品カテゴリーについては、貴社のカテゴリー分類に準拠してください。貴店舗において売上が無い商品カテゴリーについては「0」と記入いただき、売上高構成比の合計が100%となるようにしてください。

また、下記の入力例に従って、ご記入ください。例)①青果の構成比が30%の場合、当該欄に「30」と入力。  (「0.3」と入力しないでください)

質問項目 回答欄

売上

従業員

営業

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101

■設問C 設備・機器に関する項目

・以下の項目の直近の情報をご回答ください。

備考 回答チェック

×

×

%←インバータ化割合が30%の場合、当該欄に「30」と入力してください。(「0.3」と入力しないでください) 以下の設問においても同様としてください。

×

LED % ←天井照明のうち、LEDを採用した器具台数割合をご記入ください。 ×

LED以外 ←LED以外を使用している場合、その種類を選択してください。 ×

LED % ←スポット照明のうち、LEDを採用した器具台数割合をご記入ください。 ×

LED以外 ←LED以外を使用している場合、その種類を選択してください。 ×

LED %←ショーケース照明のうち、LEDを採用した器具台数割合をご記入ください。

×

LED以外 ←LED以外を使用している場合、その種類を選択してください。 ×

ショーケースの尺数

①青果 尺 (参考)温度帯:5℃~10℃ ×

②日配、乳製品、惣菜、ビール 尺 (参考)温度帯:2℃~8℃ ×

③鮮魚、精肉 尺 (参考)温度帯:-2℃~2℃ ×

④冷凍魚、冷凍肉用 尺 (参考)温度帯:-10℃~-7℃ ×

⑤冷凍食品、アイスクリーム 尺 (参考)温度帯:-22℃~-18℃ ×

⑥その他 尺 ←その他商品を陳列するショーケースの尺数をご記入ください。 ×

合計 0 尺 ←①~⑥にご記入いただきますと、自動計算されます。

尺 ×

バックヤードにおける冷凍冷蔵倉庫の有無 ×

台 ×

台 ←冷凍機(圧縮機)内蔵型ショーケースは含めないでください。 ×

kW ←冷凍機(圧縮機)内蔵型ショーケースは含めないでください。 ×

% ←冷凍機(圧縮機)内蔵型ショーケースは含めないでください。 ×

回答欄

  内、冷凍機(圧縮機)内蔵型ショーケースの尺数計

ショーケース照明

エネルギー種別

空調方式

パッケージ型空調機(屋外機)のインバータ化割合

質問項目

(別置型ショーケース、クーリングユニットについて)冷凍機(圧縮機)のインバータ化割合

空調設備

照明設備

冷凍冷蔵設備

(別置型ショーケース、クーリングユニットについて)冷凍機(圧縮機)の総台数

(別置型ショーケース、クーリングユニットについて)冷凍機(圧縮機)の総冷凍冷蔵容量(出力)

天井照明

スポット照明

 (冷凍冷蔵倉庫がある場合) クーリングユニットの設置台数

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102

■設問D エネルギー使用に関する項目

○設問D-1 エネルギー使用量の実績

 なお、対象は自店舗のエネルギー使用量のみとし、テナント分は除いてご記入ください。もしテナント分を除外することが難しい場合は必ず、

 設問D-2の「その他記入欄」にテナントの業種等の具体的な内容、設問D-3に「その他」が占める比率をご記入ください。

数値 熱量GJ 数値 熱量GJ 数値 熱量GJ 数値 熱量GJ 数値 熱量GJ

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

kl 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

t 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千m3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

(  ) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

GJ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

GJ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

GJ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

GJ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

GJ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

夏期・冬期における電気需要平準化時間帯

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

千kWh 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

0.0 0.0 0.0 0.0

#DIV/0! #DIV/0! #DIV/0! #DIV/0!

○設問D-2 エネルギー計測対象面積

  1.自店舗の売場のみ  2.「1.」とともに自店舗のバックヤードも含む   3.「1.」、「2.」とともにその他(専用駐車場、テナント分等)も含む

ご回答欄 その他記入欄

○設問D-3 部門別のエネルギー使用量内訳

% % % % %

% % % % %

% % % % %

0 % 0 % 0 % 0 % 0 %

○設問D-4 エネルギー使用量の変動理由

・設問D-1でご回答いただいたエネルギー使用量の計測対象範囲は以下のいずれに該当するでしょうか? なお、「3.」を選択した場合、「その他記入欄」に売場及びバックヤード以外の計測対象範囲やテナントの業種等を具体的にご記入ください。

その他の燃料

燃料及び熱

電気

合 計GJ

軽油

(        )

電気事業者

その他

前年度原油換算kl

小計

小計

高炉ガス

産業用蒸気

産業用以外の蒸気

使用量

温水

冷水

転炉ガス

都市ガス

使用量

液化石油ガス(LPG)

石油系炭化水素ガス

石油アスファルト

使用量 使用量 使用量

コールタール

石炭コークス

対前年度比(%)

原油換算kl

昼間買電

夜間買電

上記以外の買電

自家発電

コークス炉ガス

B・C重油

石油コークス

エネルギーの種類 単位

石炭

無煙炭

ナフサ

灯油

石油ガス

可燃性天然ガス

A重油

液化天然ガス(LNG)

その他可燃性天然ガス

原料炭

一般炭

・各種のエネルギー使用量を赤枠内にご記載ください。

※省エネ法定期報告書のフォーマットをそのまま活用していますが、下記では事業者単位ではなく店舗単位のデータをご記入ください。

原油(コンデンセートを除く。)

原油のうちコンデンセート(NGL)

揮発油

× ×

2013年度 2014年度 2015年度2012年度

×回答チェック × ×

2011年度

(記載例)・(2011~2012年度)景気変動により来客が減少した。・(2012~2013年度)店舗の改装を行ったため、客数や営業時間が減少した。・(2013~2014年度)高効率機器の導入等、省エネを図ったため電力量が減った。・(2014~2015年度)暖冬のため、ガス使用量が減った。

・設問D-1でご回答いただきました2011~2015年度に使用したエネルギーについて、部門別の使用量の内訳(比率)をご回答ください。なお、正確な 内訳が分からない場合は概算の数値をご記入いただき、各年度において合計が「100」%となるようにしてください。

部門 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度

売場

・設問D-1にでご回答いただきました2011~2015年度に使用したエネルギーについて、各年度の使用量の増減の理由として考えられるものがあれば、下欄 にご記入下さい。

バックヤード

その他

合計

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■設問E 省エネ取り組みに関する項目

・貴店舗における省エネ取り組みの実施状況についてご回答ください。

分類 質問項目 回答チェック

来店客及び従業員の快適性を損なわない範囲での空調設定温度の緩和 ×

季節に応じた外気導入量の適正化 ×

利用状況に応じた空調温度の変更 ×

空調機スイッチへの空調範囲の表示 ×

余熱利用による早目の空調機器の停止 ×

営業前後の厨房換気の不要時停止 ×

機器効率の低下防止に向けた空調・換気フィルタの定期的な清掃・交換 ×

風除室の設置 ×

日本工業規格に準じた照度の設定 ×

照明スイッチへの点灯範囲の表示 ×

照明の点灯範囲の細分化 ×

営業前後の売場における不要照明の停止 ×

バックヤードにおけるこまめな消灯 ×

不要照明の間引き ×

高輝度天井照明による棚照明の消灯 ×

スポット照明の照射位置の調整 ×

看板照明点灯時間の季節別管理 ×

ランプ等の定期的な清掃・交換 ×

調光機能付き機器の導入 ×

冷凍冷蔵ショーケースの適正温度の表示・管理 ×

冷凍冷蔵ショーケース内の物品収納位置の表示 ×

ショーケースナイトカバーの使用 ×

冷気吹出・吸込口の陳列物の整理 ×

ショーケース除霜装置の設定管理・変更 ×

平形ショーケースへのスライド扉の取付 ×

室外機への気化散水器の取付 ×

外壁・屋根の高断熱化 ×

高断熱ガラス・サッシの導入 ×

自ら入手可能な情報に基づく把握 ×

関連他者から提供される情報を加えた把握 ×

エネルギー使用量の前年度との比較 ×

過去のデータに基づくエネルギー使用に関する傾向の把握 ×

エネルギー消費量の見える化機器(Energy Management System等)の導入

×

再生可能エネルギーの導入 ×

(上記において「1. 実施している」を選択した場合)再生可能エネルギーによる年間発電量

kWh/年←種類を選択

×

エネルギー使用状況の把握

再生可能エネルギー

回答欄

空調

照明

冷凍・冷蔵

断熱