12
安曇地区 奈川地区 梓川地区 旧松本市 四賀地区 面積 403.03km 2 人口 1,660 人 世帯数 764 世帯 面積 90.22km 2 人口 4,815 人 世帯数 1,942 世帯 面積 117.61km 2 人口 776 人 世帯数 350 世帯 面積 265.82km 2 人口 206,027 人 世帯数 89,492 世帯 面積 42.39km 2 人口 12,948 人 世帯数 4,567 世帯 波田地区 面積 59.40km 2 人口 15,664 人 世帯数 5,909 世帯 本市の再生可能エネルギー期待可採量、市民や事業者へのアンケート調査及び事業者等へのヒアリン グ調査により把握した再生可能エネルギーの導入状況・導入意欲等について、以下に示します。また、こ れらの調査の結果から整理される本市の特徴と課題を以下に整理します。 1 再生可能エネルギー期待可採量 再生可能エネルギーの期待可採量推計に関する結果の概要を以下に示します。(期待可採量の推計方 法や詳細な結果データは巻末の参考資料「1 期待可採量の推計方法」を参照) エネルギーの種類 利用の仕方 太陽光 発電 太陽熱 熱利用 風力 発電 小水力 発電 バイオマス 熱利用・発電 地熱 発電 温度差熱 熱利用 表2-1 対象とした再生可能エネルギー 資料:松本市の人口・世帯数 平成 27 年 10 月分 【推計の対象】 期待可採量は、本市を6地区(旧松本市、四賀地区、安曇地区、奈川地区、梓川地区、波田地区)に 区分し推計しました。 推計の対象とした再生可能エネルギーは以下のとおりです。 図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 本市の特徴と課題 16

2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

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Page 1: 2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

安曇地区

奈川地区

梓川地区

旧松本市

四賀地区

面積 403.03km 2

人口 1,660 人

世帯数 764 世帯

面積 90.22km2

人口 4,815 人

世帯数 1,942 世帯

面積 117.61km 2

人口 776 人

世帯数 350 世帯

面積 265.82km 2

人口 206,027 人

世帯数 89,492 世帯

面積 42.39km2

人口 12,948 人

世帯数 4,567 世帯

波田地区

面積 59.40km2

人口 15,664 人

世帯数 5,909 世帯

 本市の再生可能エネルギー期待可採量、市民や事業者へのアンケート調査及び事業者等へのヒアリン

グ調査により把握した再生可能エネルギーの導入状況・導入意欲等について、以下に示します。また、こ

れらの調査の結果から整理される本市の特徴と課題を以下に整理します。

1 再生可能エネルギー期待可採量 再生可能エネルギーの期待可採量推計に関する結果の概要を以下に示します。(期待可採量の推計方

法や詳細な結果データは巻末の参考資料「1 期待可採量の推計方法」を参照)

エネルギーの種類 利用の仕方太陽光 発電太陽熱 熱利用風力 発電

小水力 発電バイオマス 熱利用・発電

地熱 発電温度差熱 熱利用

表2-1 対象とした再生可能エネルギー

資料:松本市の人口・世帯数 平成 27 年 10 月分

【推計の対象】

◦期待可採量は、本市を6地区(旧松本市、四賀地区、安曇地区、奈川地区、梓川地区、波田地区)に

区分し推計しました。

◦推計の対象とした再生可能エネルギーは以下のとおりです。

図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図

本市の特徴と課題第 章2

16

Page 2: 2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

【推計結果(市全体の特性)】

◦本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

発電(2,655,396ギガジュール)、温度差熱利用(805,678ギガジュール)、バイオマス熱利用

(575,097ギガジュール)、太陽熱利用(436,145ギガジュール)、地熱発電(210,093ギガジュー

ル)、小水力発電(169,655ギガジュール)、風力発電(10,456ギガジュール)の順となっています。

◦期待可採量のうち、最も大きい太陽光発電が全体の約55パーセントを占めており、最も小さい

風力発電は全体の約0.2パーセントとなっています。

0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000 2,500,000 3,000,000

太陽光発電

太陽熱利用

風力発電

小水力発電

バイオマス熱利用・発電

地熱・バイナリー発電

温度差熱利用

期期待待可可採採量量[GJ]

旧松本市

四賀地区

安曇地区

奈川地区

梓川地区

波田地区

【推計結果(6地区別特性)】

◦地区別では、旧松本市(3,231,942ギガジュール)、安曇地区(756,566ギガジュール)、四賀地

区(405,202ギガジュール)、波田地区(226,434ギガジュール)、梓川地区(169,682ギガジュー

ル)、奈川地区(72,693ギガジュール)の順に大きく、旧松本市の期待可採量が他地区に比べ4

倍以上多くなっています。

※ジュール(J)は、熱量や電気量の単位で、1ギガジュール(GJ)は109ジュールとなります。期待可採量の総量は、平成24年度(2012年度)の本市のエネルギー需要量(電気・熱)の約40パーセントに相当します。

表2-2 地区ごとの再生可能エネルギー期待可採量分布割合単位:%

エネルギー種 旧松本市 四賀地区 安曇地区 奈川地区 梓川地区 波田地区 市域全体太陽光発電 62.0 93.8 5.2 57.5 50.1 46.1 54.6太陽熱利用 11.7 2.5 0.5 4.3 10.6 10.3 9.0風力発電 0.2 0.5 0.0 0.1 0.3 0.2 0.2小水力発電 0.7 0.6 3.0 20.5 24.4 29.1 3.5

バイオマス熱利用・発電 16.2 1.6 0.7 3.7 10.6 8.7 11.8地熱発電 0.0 0.0 27.8 0.0 0.0 0.0 4.3温度差熱利用 9.2 1.1 62.8 13.9 4.0 5.6 16.6期待可採量合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

※ 端数処理の都合上、計算が合わない場合があります。

図2-2 各地区の再生可能エネルギー特性

17

Page 3: 2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

単位:GJエネルギー種 旧松本市 四賀地区 安曇地区 奈川地区 梓川地区 波田地区 小計

太陽光発電

住宅系 一戸建 308,958 10,736 3,200 2,077 21,271 27,639 373,882 集合住宅(長屋・共同住宅) 909,939 690 2,248 639 9,912 19,108 942,535

非住宅系

庁舎 本庁舎 939 0 0 0 0 0 939 支庁舎 0 160 194 25 241 423 1,042

文化施設公民館 8,568 0 154 0 288 300 9,310 体育館 3,755 218 331 301 345 497 5,447 その他文化施設 3,432 49 46 0 125 349 4,001

学校

幼稚園 1,926 0 0 0 0 0 1,926 小・中学校 30,502 1,814 3,698 1,884 1,814 1,884 41,597 高校 24,820 0 0 0 0 2,057 26,877 大学 87,042 0 0 0 0 0 87,042 その他の学校 1,637 0 0 0 0 409 2,046

医療施設 病院 7,787 487 0 0 0 487 8,760 上水施設 浄水場 0 170 29 8,857 189 273 9,518

下水処理施設 浄化センター 14,172 500 224 0 0 2,768 17,664 農業集落排水 118 0 433 0 0 0 551

道の駅 1,091 0 1,416 0 0 0 2,507 観光施設 492 612 933 802 197 78 3,113 デイサービス施設 355 42 39 0 45 0 480

業務用 施設

工場 669 42 5 24 71 28 837 倉庫 460 21 6 14 32 38 571 事務所 43,946 567 852 238 1,245 1,661 48,509

未利用地 最終処分場 0 0 0 0 833 691 1,524 耕作放棄地 553,968 364,101 25,627 26,910 48,398 45,712 1,064,716

太陽光発電小計 2,004,574 380,208 39,436 41,769 85,006 104,403 2,655,396 太陽熱利用 378,024 9,934 3,742 3,158 18,019 23,268 436,145

太陽熱利用小計 378,024 9,934 3,742 3,158 18,019 23,268 436,145

風力発電 陸上風力 0 1,892 0 0 0 0 1,892 小規模風力 7,220 226 75 57 448 538 8,563

風力発電小計 7,220 2,118 75 57 448 538 10,456 小水力 発電

22,326 2,290 22,716 14,909 41,432 65,983 169,655 小水力発電小計 22,326 2,290 22,716 14,909 41,432 65,983 169,655

バイオマス熱利用・発電

未利用系

未利用系木質バイオマス

林地残材 国有林 16 7 301 52 9 5 390 民有林 132 71 70 67 15 40 395

切捨て間伐材 国有林 148 63 2,795 483 85 51 3,626 民有林 1,228 658 648 625 141 367 3,667

タケ 国有林 11 5 200 35 6 4 259 民有林 88 47 46 45 10 26 262

果樹せん定枝 7,137 31 0 0 4,597 1,567 13,333

農業 残さ

稲わら 17,039 500 0 11 3,305 2,138 22,993 麦わら 2,365 17 0 0 497 0 2,878 稲作残さ・もみ殻 2,390 70 0 2 464 300 3,226 その他農業残さ 14,753 28 0 566 2,325 5,517 23,189

廃棄物系

廃棄物系木質バイオマス

国産材製材廃材 9,526 476 476 0 0 953 11,431 外材製材廃材 1,539 77 77 0 0 154 1,846 建築廃材 18,779 379 131 78 827 1,130 21,324 新・増築廃材 4,065 82 28 17 179 245 4,616

畜産廃棄物

乳用牛ふん尿 920 58 0 0 575 230 1,783 肉用牛ふん尿 2,091 0 0 306 153 510 3,061 豚ふん尿 1,650 0 0 0 0 0 1,650 鶏ふん尿 2,123 1,592 0 0 0 0 3,716

汚泥下水汚泥 122 1 1 0 0 5 129 し尿 105 0 0 0 0 0 105 集落排水汚泥 4 0 14 0 0 0 17

可燃ごみ 296,488 0 0 0 0 0 296,488 家庭用ちゅうかいごみ (41,188) (0) (0) (0) (0) (0) (41,188)事業用ちゅうかいごみ 32,160 0 0 0 0 0 32,160 せん定枝

公園せん定枝 2,507 0 0 0 159 3 2,669 街路樹せん定枝 87 3 2 1 4 10 108 家庭用せん定枝 105,484 2,131 736 437 4,646 6,345 119,780

バイオマス熱利用小計 522,956 6,297 5,525 2,724 17,997 19,598 575,097 地熱発電 地熱発電 0 0 208,201 0 0 0 208,201

バイナリー発電 0 0 1,892 0 0 0 1,892 地熱発電小計 0 0 210,093 0 0 0 210,093

温度差 熱利用

温泉熱利用 145,142 1,038 473,922 9,272 0 3,611 632,985 地中熱 126,052 2,546 880 523 5,551 7,583 143,135 下水処理水 306 1 1 0 0 11 319 工場排水 25,343 772 176 281 1,229 1,439 29,239

温度差熱利用小計 296,843 4,357 474,979 10,075 6,780 12,644 805,678 期待可採量合計 3,231,942 405,202 756,566 72,693 169,682 226,434 4,862,519

表2-3 本市の再生可能エネルギー期待可採量

※家庭用ちゅうかいごみは可燃ごみに含んでいるため、合計値から除外しています。

本市の特徴と課題第2章

18

Page 4: 2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

2 アンケート調査によって把握した導入状況・導入意向 市民及び事業者アンケート調査から把握した再生可能エネルギーの導入状況や、意向に関する結果の

概要を以下に示します。(アンケート調査方法や結果データは巻末の参考資料「2 本市における再生可

能エネルギーの状況」を参照)

【調査対象と回収率】

◦アンケート調査は、市民と市内の事業者を対象としています。市民は、住民台帳から無作為に抽出し

た1,000人、事業者は無作為に抽出した500社です。

◦アンケートの回収率は、市民が約45パーセント、事業者が約49パーセントです。

【導入状況・導入意向】

◦「既に導入している」及び「導入検討中」の再生可能エネルギーは、市民と事業者ともに太陽光発電が

約20 〜 30パーセントであり、それ以外の再生可能エネルギーは10パーセント以下となっています。

◦「導入する予定がない」との回答は、市民では約37パーセント以上を、事業者では約61パーセント

以上を占めています。「導入するかわからない」との回答は、市民が約36パーセント以上、事業者が

約11パーセント以上となっています。

◦「導入する予定がない」及び「導入するか分からない」理由としては、市民・事業者ともに「初期投資

が大きい」以外では「導入メリットが分からない」の割合が高いという結果でした。

表2-4 回収結果

区分 調査対象者数 有効回収数 有効回収率市民 1,000 人 445 人 44.5%

事業者 500 社 244 社 48.8%

太陽光発電 (n=435)

太陽熱利用自然循環型太陽熱温水器

太陽熱利用強制循環型ソーラーシステム

(n=401)

(n=399)

木質ペレットストーブ (n=401)

薪ストーブ (n=405)

小型風力発電 (n=398)

地中熱利用ヒートポンプ (n=398)

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

有効回答者数(n=398~435)に占める割合

12.6%

2.5%

2.5%

0.0%

0.0%

0.0%

10.8%

5.5%

4.8%

4.0%

4.7%

2.5%

2.8%

40.2%

49.9%

49.9%

55.6%

54.3%

55.8%

51.5%

36.3%

42.1%

42.9%

40.4%

38.8%

41.7%

45.7%

既に導入している 導入を検討中(条件次第) 今後も導入する予定はない 導入するかわからない(考えていない)

2.2%

図2-3 再生可能エネルギーの導入状況・導入意向(市民アンケート結果)

19

Page 5: 2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

【事業参加、寄付意向】

◦共同発電所の取組参加意向は、市民では約63パーセント、事業者では約52パーセントとなっていま

す。また、小水力発電所に対する市民の寄付に対しては、「寄付してもよい」の回答が約32パーセント

ありました。

◦ 共同発電事業の取組みも合わせ、市民及び事業者の再生可能エネルギー事業への参加の意思が一定程

度確認できます。

18

再生可能エネルギーの導入状況・導入意向(事業者アンケート結果)

小水力発電事業への寄付金意向(市民アンケート結果)

1.寄付してもよい

32.9%2.興味・関心は

あるので、詳しい

話を聞いてから

判断したい

36.1%

3.あまり興味・

関心はない

24.0%

4.その他

7.0%

①3千円まで

36.2%

②5千円まで

25.5%

③1万円まで

31.9%

④3万円まで

5.0%

⑤3万円以上

1.4%

11.0%

0.0%

0.9%

0.4%

0.0%

1.4%

0.9%

0.9%

0.5%

12.3%

5.9%

6.4%

3.1%

4.1%

4.1%

2.3%

4.1%

4.9%

60.2%

73.5%

74.5%

83.4%

78.1%

77.8%

80.9%

78.7%

83.5%

16.5%

20.5%

18.2%

13.0%

17.8%

16.7%

15.9%

16.3%

11.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

太陽光発電

(n=236)

太陽熱利用 自然循環型太陽熱温水器

(n=219)

太陽熱利用 強制循環型ソーラーシステム

(n=220)

風力発電(小型風力発電含む)

(n=223)

太陽光+小型風力ハイブリッド(街路灯)

(n=219)

バイオマス発電、バイオマス熱利用、バイオマス燃料

(n=221)

廃棄物発電、廃棄物熱利用、廃棄物燃料

(n=220)

温度差エネルギー

(工場排熱や地中熱等と外気との温度差等)

(n=221)

小水力発電

(n=206)

有効回答者数(n=206~236)に占める割合

既に導入している 導入を検討中(条件次第) 今後も導入する予定はない よく分からない

18

再生可能エネルギーの導入状況・導入意向(事業者アンケート結果)

寄付してもよい

32.9%

興味・関心は

あるので、詳しい

話を聞いてから

判断したい

36.1%

あまり興味・

関心はない

24.0%

その他

7.0%

3千円まで

36.2%

5千円まで

25.5%

1万円まで

31.9%

3万円まで

5.0%3万円以上

1.4%

11.0%

0.0%

0.9%

0.4%

0.0%

1.4%

0.9%

0.9%

0.5%

12.3%

5.9%

6.4%

3.1%

4.1%

4.1%

2.3%

4.1%

4.9%

60.2%

73.5%

74.5%

83.4%

78.1%

77.8%

80.9%

78.7%

83.5%

16.5%

20.5%

18.2%

13.0%

17.8%

16.7%

15.9%

16.3%

11.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

太陽光発電

(n=236)

太陽熱利用 自然循環型太陽熱温水器

(n=219)

太陽熱利用 強制循環型ソーラーシステム

(n=220)

風力発電(小型風力発電含む)

(n=223)

太陽光+小型風力ハイブリッド(街路灯)

(n=219)

バイオマス発電、バイオマス熱利用、バイオマス燃料

(n=221)

廃棄物発電、廃棄物熱利用、廃棄物燃料

(n=220)

温度差エネルギー

(工場排熱や地中熱等と外気との温度差等)

(n=221)

小水力発電

(n=206)

有効回答者数(n=206~236)に占める割合

1.既に導入している 2.導入を検討中(条件次第) 3.今後も導入する予定はない 4.よく分からない

図2-4 再生可能エネルギーの導入状況・導入意向(事業者アンケート結果)

図2-5 小水力発電事業への寄付金意向(市民アンケート結果)

本市の特徴と課題第2章

20

Page 6: 2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

18

再生可能エネルギーの導入状況・導入意向(事業者アンケート結果)

小水力発電事業への寄付金意向(市民アンケート結果)

1.寄付してもよい

32.9%2.興味・関心は

あるので、詳しい

話を聞いてから

判断したい

36.1%

3.あまり興味・

関心はない

24.0%

4.その他

7.0%

①3千円まで

36.2%

②5千円まで

25.5%

③1万円まで

31.9%

④3万円まで

5.0%

⑤3万円以上

1.4%

11.0%

0.0%

0.9%

0.4%

0.0%

1.4%

0.9%

0.9%

0.5%

12.3%

5.9%

6.4%

3.1%

4.1%

4.1%

2.3%

4.1%

4.9%

60.2%

73.5%

74.5%

83.4%

78.1%

77.8%

80.9%

78.7%

83.5%

16.5%

20.5%

18.2%

13.0%

17.8%

16.7%

15.9%

16.3%

11.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

太陽光発電

(n=236)

太陽熱利用 自然循環型太陽熱温水器

(n=219)

太陽熱利用 強制循環型ソーラーシステム

(n=220)

風力発電(小型風力発電含む)

(n=223)

太陽光+小型風力ハイブリッド(街路灯)

(n=219)

バイオマス発電、バイオマス熱利用、バイオマス燃料

(n=221)

廃棄物発電、廃棄物熱利用、廃棄物燃料

(n=220)

温度差エネルギー

(工場排熱や地中熱等と外気との温度差等)

(n=221)

小水力発電

(n=206)

有効回答者数(n=206~236)に占める割合

既に導入している 導入を検討中(条件次第) 今後も導入する予定はない よく分からない

コラム3 市民参加型共同発電

組みです。市民の寄付や出資を基にした資金を使用し、

太陽光発電や風力発電等を実施する市民参加型共同発

電はヨーロッパを中心に広がってきました。

 国内の取組みとして、山梨県都留市では、小水力発

電「元気くん」による市民参加型共同発電が実施されて

います。この事業では、5年利付国債の利率に0.1パー

セント上乗せした「つるのおんがえし債」を市民に公募

し、これを建設費に充て事業を実施しています。

 その他にも、飯田市では、市民の出資等を基とした太

陽光発電が実施されています。事業主体である「おひ

さま進歩エネルギー㈱」に市民が出資し、太陽光発電

を設置するもので、市民は出資会社から利益分配金を

得ることができます。

 市民参加型共同発電は本市においても関心が高く、

普及啓発の足掛かりとして活用が期待されます。

 再生可能エネルギーの取組みが活発化する中で、近年、市民参加型共同発電の取組みにも注目

が集まっています。

 市民参加型共同発電とは、市民が資金を出し合い、再生可能エネルギー発電設備を設置する取

都留市「元気くん1 号機」

飯田市の市民参加型共同太陽光発電

資料:国土交通省国土政策局「平成 25年度再生可能エネルギーの活用による地域活性化に関する調査事例集」

21

Page 7: 2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

3 ヒアリング調査によって把握した導入状況・導入意向等 市内の事業者等に実施したヒアリング調査から把握した再生可能エネルギー導入の取組み、課題や普

及の方策等について、結果の概要を以下に示します。(ヒアリング結果は巻末の参考資料「2 本市におけ

る再生可能エネルギーの状況」を参照)

❶ 再生可能エネルギーの導入状況・導入意向

【小水力発電】

・土地改良区では、農業用水路の改修及び維持管理費用の農家負担を軽減させるために、用水路を利用した

発電事業を実施しています。

・再生可能エネルギー関連の民間企業が、安曇地区及び奈川地区等において砂防ダム等を活用した小水力発

電事業を計画しています。それらの発電事業では、設備の維持管理で地域の雇用を創出するとともに、地域

活性化に資する取組み等を行うこととなっています。

【調査対象】

◦ ヒアリング対象は、平成27年(2015年)に市内で開催された市民勉強会「地域エネルギーを考えるワー

クショップ」の参加者及び既に再生可能エネルギー事業に取り組んでいる事業者から選定しました。

◦ ヒアリングした業種は、再生可能エネルギー導入の多様な主体を考慮し、下表に示すように農業関連、

林業関連、建設業、再生可能エネルギー関係、電気ガス業、NPO等、教育機関及び金融機関の8業種

としています。

◦ 再生可能エネルギー種別ごとに、地域活性化に資する取組みが進められています。

◦ 今後積極的に取り組みたいとの意向も示されています。

表2-5 ヒアリング対象

業種 ヒアリング対象 会社等の所在地区市民勉強会 地域エネルギーを考えるワークショップ -農業関連 梓川土地改良区 旧松本市

林業関連 松本広域森林組合 安曇野市民間企業 旧松本市

建設業 民間企業 四賀地区

再生可能エネルギー 民間企業(地熱関連) 旧松本市民間企業(小水力、木質バイオマス) 安曇地区

電気ガス業 中部電力(株)松本営業所 旧松本市NPO等 自然エネルギーネットまつもと -教育機関 信州大学 旧松本市

金融機関 八十二銀行 旧松本市松本信用金庫

本市の特徴と課題第2章

22

Page 8: 2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

❷ 再生可能エネルギーの普及方策の意見

【木質バイオマス利用】

・森林組合では、バイオマスチップ等の資源の供給元として事業に参加する意向があります。

・薪ボイラーを扱う意向を有する再生可能エネルギー関連の民間企業があります。また、地域の木材を収集、

保管及び供給する「木の駅プロジェクト」のような取組みを行いたいと考えている地域等が存在します。

【地熱発電・温度差熱利用】

・再生可能エネルギー関連の民間企業が、平成25年(2013年)から安曇地区で地熱発電を計画してい

ましたが、開発条件が整わず、平成28年(2016年)に断念しました。

【共通】

・再生可能エネルギーの導入には、市民の意識醸成が必要であり、再生可能エネルギー導入の担い手と

なる人材育成の取組みや地域のローカルベンチャーを興したい人を支援する取組みが必要との意見が

あります。

【小水力発電】

・小水力発電の水資源利用には、河川・水路管理者との水利権等の協議調整が必要となり、設備導入ま

での調査や計画に、時間や費用を要するケースが多々あります。また、電力開発の実績が少ない地元

企業にとって、導入コストが高額であることが普及の妨げになっています。そこで、小水力発電事業

を地域の新産業として導入を促進するためには、調査・計画時の費用を支援する取組みや制度等が必

要との意見があります。

【木質バイオマス利用】

・間伐材や林地残材の搬出は、補助金なしでは採算が合わないのが現状です。間伐材や林地残材の木質

バイオマス資源の活用には、補助金等の支援がなくても持続するシステムや取組みが必要との意見が

あります。また、木を使用するには、コストがかかるものであるとの市民の意識改善も必要です。

・熱需要の確保と、災害時に自立した熱源として利用可能な、バイオマスボイラーの公共施設への導入

が効果的との意見があります。

◦ 再生可能エネルギーの導入促進には、人材育成や市民の意識の改善・醸成が必要との意見があります。

◦ 地域の活性化に寄与する再生可能エネルギー事業を検討している市民や地元企業等に対して、事業費

の支援等、導入促進のための取組みが求められています。

◦ 再生可能エネルギーの需要確保や災害時に自立したエネルギー源としての導入が効果的との意見があ

ります。

23

Page 9: 2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

4 本市の特徴と課題

❶ 本市の特徴

ア 豊富で地域特性を有する再生可能エネルギーのポテンシャル 本市は、内陸性気候で日照時間が長く、太陽光発電のポテンシャルが高いという特徴があります。ま

た、梓川、奈良井川、薄川、女鳥羽川等の多くの河川が流れ、水田や果樹地等へのかんがい用水も整備

されており、小水力発電の候補地も豊富です。

 期待可採量と導入意向が認められる再生可能エネルギーは、旧松本市では太陽光発電、太陽熱利用、

バイオマスや温度差熱利用、四賀地区では太陽光発電、太陽熱利用、バイオマス、安曇地区では小水力

発電、地熱・バイナリー発電、奈川地区では小水力発電、梓川地区では太陽光発電、太陽熱利用、小水

力発電、波田地区では太陽光発電、太陽熱利用、小水力発電、バイオマス、温度差熱となり、地域ごとに

特性が確認できます。再生可能エネルギーの地産地消及び普及促進には、あらゆる場面で、地域特性に

応じた再生可能エネルギーの活用を検討することが効果的です。(本市に適する再生可能エネルギーの

選定方法は巻末の参考資料「 3 本市に適する再生可能エネルギーの考察」を参照)

イ 地域活性化に資する再生可能エネルギー事業の意欲的な挑戦 本市では、地域活性化に資する再生可能エネルギー導入の取組みが行われています。一例として、土

地改良区では農業用水路を活用した小水力発電事業により、用水路の改修や維持管理費等の負担軽減

に資する取組みを進めています。また、市内の事業者等が小水力発電や地熱発電による雇用創出や地

域の活性化等を検討しています。

 今後は、これらの地域の取組みを支援するとともに、新たな産業として雇用創出や人材交流等の地域

活性化に資する再生可能エネルギーの活用や取組みを広げていくことが重要です。

表2-6 期待可採量と導入意向が認められる再生可能エネルギー

エネルギー種 旧松本市 四賀地区 安曇地区 奈川地区 梓川地区 波田地区太陽光 ◎ ◎ ◎ ◎太陽熱 ◎ ◎ ◎ ◎風力

小水力 ○ ○ ◎ ○バイオマス ◎ ◎ ◎

地熱・バイナリー ◎温度差熱 ◎ ◎

◎:期待可採量と導入意向が認められるエネルギー(計画が進められているエネルギーを含む。)○:計画が進められているエネルギー

本市の特徴と課題第2章

24

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ウ 再生可能エネルギー事業に対する市民参加の期待

 アンケート調査から、市民と事業者の共同発電事業への参加意向が50パーセント以上あり、地域の

再生可能エネルギーの事業化に向けて、市民や事業者の支援が期待されます。

エ 各主体が連携・協力した再生可能エネルギー地産地消への取組み 本市では、市民や事業者、金融機関、学識経験者、市民団体、行政等の多様な主体が参加している市

民勉強会(地域エネルギーを考えるワークショップ)において、それぞれの立場で再生可能エネルギー

の地産地消に対する意見交換や政策立案への参加等、事業化を支援する意欲的な取組みが行われてい

ます。

 更に、再生可能エネルギーの飛躍的な普及拡大には、将来を見据え、産官学民が連携し、新しい技術

の調査や研究開発に取り組んでいくことが必要です。

事業者市 民

利益にかかわらず、

地域貢献のため、

参加したい

7.0%

資産運用として

利益が出そうなら、

参加したい

28.1%

利益がなくても

出資額が回収できる

ならば、参加したい

18.0%

事業に不安が

あるので、参加は

見合わせたい

24.6%

興味がないので、

参加しない

17.1%

その他

5.3%利益にかかわらず、

環境負荷低減のため、

参加したい

12.3%

資産運用として

利益が出そうなら、

参加したい

26.7%

利益がなくても

出資額が回収

できるならば、

参加したい

23.9%

事業に不安が

あるので、参加は

見合わせたい

19.6%

興味がないので、

参加しない

12.3%

5.2%

その他

資料:自然エネルギーネットまつもとホームページ

図2-6 共同発電事業への参加や寄付の参加の意向

図2-7 市民勉強会の様子

25

Page 11: 2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

❷ 本市の課題

ア 多様な再生可能エネルギーの導入促進 本市において、太陽光発電は最も大きい期待可

採量となっていますが、安定的な電力供給を考慮す

ると、小水力発電や地熱発電といった変動の少ない

電源の確保も重要です。また、エネルギー需要量の

半分が熱と言われており、熱需要には熱エネルギー

で供給することが最も効率的です。

 本市には多様な再生可能エネルギーが賦存して

0

50

100

150

200

250

2005 2010 2015

法人化していない経営体

地方公共団体・財産区

法人経営体

(経営体)

(年)

55%

9%

3%

12%

4%

17%太陽光発電

太陽光発電

太陽熱利用

太陽熱利用

小水力発電

小水力発電

バイオマス熱利用バイオマス熱利用

地熱発電

地熱発電

温度差熱利用

温度差熱利用

(人)

2010

2015

2020

2025

2030

2035

2040

2045

2050

2055

2060 (年)

250,000

240,000

230,000

220,000

210,000

200,000

190,000

180,000

170,000

160,000

松本市推計値

000,000

000,000

0

50

100

150

200

250

2005 2010 2015

法人化していない経営体

地方公共団体・財産区

法人経営体

(経営体)

(年)

55%

9%

3%

12%

4%

17%太陽光発電

太陽光発電

太陽熱利用

太陽熱利用

小水力発電

小水力発電

バイオマス熱利用バイオマス熱利用

地熱発電

地熱発電

温度差熱利用

温度差熱利用

(人)

2010

2015

2020

2025

2030

2035

2040

2045

2050

2055

2060 (年)

250,000

240,000

230,000

220,000

210,000

200,000

190,000

180,000

170,000

160,000

松本市推計値

000,000

000,000

いるにもかかわらず、太陽光発電以外の再生可能エネルギーの導入は低調であることから、多様な再生

可能エネルギーの導入促進が求められます。

 また、現在の技術や枠組みでは導入が難しい再生可能エネルギーも存在しますが、こうした分野の技

術進歩は著しいことから、産官学民が協力し、最新情報を共有するとともに、現在技術の応用や将来技

術の実証実験の中で可能性を探る必要もあります。

イ 再生可能エネルギーの導入によって地域に資源や経済が循環する仕組みづくり 小水力発電や地熱発電、木質バイオマス、温泉熱などの再生可能エネルギーが多く賦存する地域は、

人口減少や高齢化、既存産業の衰退がより進んでいます。これらの地域では、地域に人が住み続けるこ

とができる産業の支援、育成が強く求められています。

 例えば、重油や灯油など化石燃料を利用するボイラーを木質バイオマスボイラーに転換すると、産油

国に流れていた燃料代が地域に還元されます。

 再生可能エネルギーを生かし、地域の産業を活性化するためには、単に再生可能エネルギーが導入

されるのではなく、地域内で資源や経済が循環する仕組みをつくることが必要です。また、人材を育成

したり、資源や情報等のやりとりの中で市街地との交流を図ることも重要です。

資料:超少子高齢型人口減少社会における松本市の人口推計※社人研:国立社会保障・人口問題研究所

資料:長野農林水産統計年報(農林水産省)

図2-9 人口推移と将来推計

図2-8 再生可能エネルギー期待可採量の割合

図2-10 本市の林業経営体数の推移

本市の特徴と課題第2章

(人)

2010

2015

2020

2025

2030

2035

2040

2045

2050

2055

2060(年)

松本市推計値

250,000

240,000

230,000

220,000

210,000

200,000

190,000

180,000

170,000

160,000

150,000

226,226

201,878

26

Page 12: 2章 本市の特徴と課題...図2-1 本市の調査市域(6地区)の区分図 第2章 本市の特徴と課題 16 【推計結果(市全体の特性)】 本市の期待可採量の総量は、4,862,519ギガジュールです。エネルギー種別ごとでは、太陽光

ウ 災害時に使用できる自立・分散型の再生可能エネルギーの導入 東日本大震災と原子力発電所の事故以降、自立・分散型エネルギーシステムの導入等による災害に

強く環境負荷の小さい地域づくりが望まれています。長野県内には、地震の危険度が高いとされている

「糸魚川-静岡構造線活断層帯」があり、中北部区間(安曇野市明科〜茅野市)の地震発生確率が今後

30年以内に13 〜 30パーセントと予測されています。

 東日本大震災の教訓から、寒冷地に位置する本市では、災害時のエネルギー確保が望まれますが、自

立・分散型エネルギーの導入が進んでいない状況にあります。そこで、災害時でも使用できる再生可能

エネルギーの導入促進に向け、指定避難所等へ導入を図っていくことが重要です。

項目 地震発生確率(%)今後30年以内 13 〜 30今後50年以内 20 〜 50今後100年以内 40 〜 70

・ 同区内の最新活動時期 約 800 〜 1200 年前・ 同区内の平均活動間隔 約 600 〜 800 年程度

資料:糸魚川-静岡構造線断層帯の長期評価(第二版)(地震調査研究推進本部)

表2-7 糸魚川-静岡構造線活断層帯(中北部区間)の地震発生確率

27