薬物乱用のない社会を

依存性や習慣性があり、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する物として、覚醒剤、大麻、ＭＤＭＡ、コカイン、ヘロイン、向精神薬等があり、これらの取扱いが法令により禁止又は制限されています。

平成30年度版

警察庁

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　 規制されている主な薬物

◆形状・俗称等

　主に無色又は白色の結晶性粉末ですが、氷砂糖のような結晶体のものもあります。　俗に「覚醒剤」、「クスリ」、「Ｓ（エス）」、「スピード」、「白」と呼ばれており、「ヤーバー」と呼ばれる錠剤型のものもあります。

◆使用方法

　覚醒剤の水溶液を注射する方法が一般的ですが、覚醒剤をアルミホイル上に載せて加熱したり、パイプを用いて加熱したりして気体となった白い煙を吸う方法もあります。

◆作用

　神経を興奮させ、眠気や疲労感がなくなり、頭がさえたような感じになります。　しかし、効果が切れると、激しい脱力感、疲労感、倦怠感に襲われます。　覚醒剤は、特に依存性が強く、使用を続けると、“壁のしみが人の顔に見える”、“他人の話が自分の悪口に聞こえる”、“他人に狙われる”、“殺される”などといった幻覚や妄想が現れるほか、時には錯乱状態になって、発作的に他人に暴行を加えたり、殺害したりするなど、凶悪粗暴な行動をとることもあります。　また、一度に大量の覚醒剤を摂取すると、急性中毒により、死に至る場合があります。

◆形状・俗称等

　乾燥大麻（「マリファナ」、茶色又は草色）、大麻樹脂（「ハシッシュ」、「ガンジャ」、暗緑色の棒状又は板状）、液体大麻（「ハシッシュオイル」、 暗緑色又は黒色の油状）があります。

◆使用方法

　通常は、乾燥した葉を、きざみタバコのようにして、キセルやパイプ等を使用して吸煙しますが、食物に混ぜて飲んだり食べたりすることもあります。

◆作用

　酒に酔った感覚や手足に麻痺が現れるとともに、視覚、聴覚、味覚、触覚の感覚が鋭敏になります。　また思考が分裂して、現在、過去、未来の観念が混乱して、感情が不安定になったりします。このため、興奮状態に陥って、暴力や挑発的な行為を行うなど、無責任な衝動的行為を行うようになります。

結晶状の覚醒剤

大麻草

錠剤型覚醒剤「ヤーバー」

乾燥大麻

覚醒剤

大麻

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◆形状・俗称等

　コカインは、南米産のコカの木の葉を原料とした薬物で、無色の結晶又は白色の結晶性粉末で、麻薬として規制されています。◆

◆使用方法

　鼻粘膜からの吸引のほか、経口による方法で乱用されます。

◆作用

　神経を興奮させる作用があり、乱用を続けると、幻覚等の症状が現れたり、大量に摂取することで呼吸困難により死亡することもあります。

コカイン粉末

◆形状・俗称等

　MDMAは、化学的に合成された麻薬であり、本来は白色結晶性の粉末ですが、様々な着色がされ、文字や絵柄の入った錠剤やカプセルの形で密売され、俗に「エクスタシー」、「X（バツ、エックス）」等と呼ばれることもあります。

◆使用方法

　通常は、錠剤等を服用しますが、砕いて服用したり、注射や座薬のように使用されることもあります。

◆作用

　幻影、幻聴、幻想等、視覚、聴覚を変化させる作用や、血圧や体温を上昇させるなどの興奮作用があり、強い精神的依存性があります。

ＭＤＭＡ

MD

MA

（合成麻薬）

コカイン

◆種類

　向精神薬は、中枢神経に作用して、精神機能に影響を及ぼす物質で、その作用によって鎮静剤系と興奮剤系の２つに大別されます。

◆作用

　向精神薬は、そのほとんどが医薬品として流通しているように、医療上有用ですが、医療目的から逸脱して使用すると、依存するようになり、中毒症状や使用の中断により、心身への障害が生じます。

向精神薬トリアゾラム（鎮静剤系）

向精神薬

医薬品医療機器法に

規定する指定薬物

(注)　正確な法律名は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

　「指定薬物」とは、中枢神経系の興奮、抑制又は幻覚の作用を有し、かつ人体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物として、厚生労働大臣が指定したものをいいます。　指定薬物及びこれを含有する物は、医薬品医療機器法（注）において、製造、輸入、販売、所持、使用、購入、譲受等が禁止されており、平成30年４月１日現在、2,373種類の薬物が指定されています。

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　薬物乱用の弊害と法規制

薬物乱用による精神・身体への弊害　覚醒剤を始めとする薬物の使用により、一時的に頭がさえる、神経が興奮するというような感覚を得たように感じられることがありますが、精神や身体には次のような様 な々障害が生じ、精神と身体が破壊されます。

◆身体への有害性

　身体の有害性として、血圧上昇や脳血管疾患、心疾患、肝機能障害等の発症のほか、注射器の使い廻しによるＡＩＤＳ（エイズ）、肝炎の感染や皮膚の損傷等があげられます。

◆精神への有害性

　精神の有害性として、意識障害のほか、薬物の効き目が切れると脱力感や疲労感に襲われ、幻覚、妄想といった症状が引き起こされたり、常軌を逸した行動や発作的に半狂乱の状態に陥ることなどがあり、覚醒剤精神病等の精神疾患に罹患することもあります。

◆乱用方法の差異

　乱用の方法について、覚醒剤を火であぶり煙を吸引する方法や、大麻を食べ物に混ぜて摂取する方法等によると害が少ないといった謝った情報もありますが、どのような摂取方法であっても薬物乱用は身体・精神に有害です。

◆依存性・耐性

　規制される薬物は、脳内の中枢神経系に作用することから、薬物の効果が切れた時の苦痛から逃れるため、薬物による効果を強く求めるようになる「依存性」が形成されます。　また、薬物を繰り返し使用しているうちに同じ量では効かなくなる「耐性」も生じます。　「一度だけ」という好奇心や遊びのつもりでも、薬物の依存性と耐性によって、使用する量や回数はどんどん増える悪循環に陥り、自分の意思ではやめることができなくなります。　さらに、使用するのをやめて長期間経った後にも、突然、幻覚や妄想等の精神障害が現れるフラッシュバック（再燃現象）が起こることがあります。

社会に与える影響　規制薬物等を使用すると、その薬理作用から幻覚、妄想等の精神障害に陥り、殺人、強盗、放火等の凶悪な犯罪や重大な交通事故等を引き起こすことがあります。　また、薬物の購入資金を得るための窃盗等の犯罪も発生しています。

注　　射　　痕

交　通　事　故 放　　火

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覚醒剤の所持、使用　（覚せい剤取締法）　（単純所持）　１０年以下の懲役　（営利目的）　１年以上の有期懲役　情状により５００万円以下の罰金を併科

大麻の所持　（大麻取締法）　（単純所持）　５年以下の懲役　（営利目的）　７年以下の懲役　情状により２００万円以下の罰金を併科

麻薬（コカイン、ＭＤＭＡ等合成麻薬、ＬＳＤ等）の所持（麻薬及び向精神薬取締法）　（単純所持）　７年以下の懲役　　（営利目的） １年以上１０年以下の懲役、情状により３００万円以下の罰金を併科

罰則の一例

注１：本表の数値には、各薬物に係る麻薬特例法違反の検挙件数・人員の数値を含む。注２：本表の薬物事犯は、覚醒剤事犯、大麻事犯、麻薬及び向精神薬事犯及びあへん事犯をいい、犯罪統計による。

薬 物 乱 用 に 関 す る 法 規 制

各種薬物事犯の検挙人員の推移（平成25年から平成29年）

　薬物乱用は乱用者本人のみならず、家族や友人等の周囲の人、更には社会全体に害悪を及ぼす重大な犯罪です。　覚醒剤、麻薬等を使用、所持するなどの行為は、法律により禁止されており、違反者には重い刑罰が科せられます。

区分 年次 H25 H26 H27 H28 H29覚醒剤事犯 10,909 10,958 11,022 10,457 10,113大麻事犯 1,555 1,761 2,101 2,536 3,008

麻薬及び向精神薬事犯

MDMA 等合成麻薬 105 62 45 38 42コカイン 46 61 86 142 177ヘロイン 20 5 3 0 9その他 307 250 264 232 181

あへん事犯 9 24 3 6 12合計 12,951 13,121 13,524 13,411 13,542

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トピックスⅠ 大麻の危険性

大 麻 を 巡 る 情 勢

大麻に関する調査結果

大麻の有害性・依存性

　大麻事犯の検挙人員は、平成26年以降増加を続け、平成29年は統計を取り始めて以降最多を記録しており、特に若年層における大麻の乱用が問題となっています。　近年、インターネット上において大麻の有害性を否定する情報が流され、大麻に対する警戒心の低下が懸念されますが、大麻は人体へ悪影響を及ぼすほか、暴力団等による栽培事犯も検挙されるなど、大麻が犯罪組織の資金源ともなっています。　よって、大麻を乱用することによる人体や社会への悪影響と危険性を正しく認識する必要があります。

　警察庁では、平成29年の一定時期に大麻取締法で検挙された者のうち、違反態様が単純所持のものを対象に調査を行い、回答を得た535人分のデータを集約しました。

◆初めて使用した経緯

　大麻を初めて使用した経緯は、誘われて（63.7%）が、自分から求めて（22.6%）を上回り、更に、初めて使用した年齢が若いほど誘われて使用する比率が高いという結果が見られました。

◆精神への有害性と依存性

　大麻の成分である「ＴＨＣ（テトラヒドロカンナビノール）」は、脳内の記憶等を司る海馬に影響し、不安やパニック等のほか、精神疾患を発症させるリスクを上昇させるなど中枢神経に影響を及ぼし、青少年期の乱用は、特に記憶力や精神運動能力の低下等の影響を受けやすいとされています。　大麻の乱用により、いらだち、不安、不眠、うつ等の禁断症状が出現して、依存症になるおそれがあり、青少年期の乱用は更にリスクが高いとされています。

◆身体への有害性

　大麻にはタバコと同様に発がん物質が含まれており、気管支炎や肺機能低下等呼吸器系へ影響を与えるほか、胎児にもがん発症リスクの上昇等の影響があるとされています。

※これらの大麻に係る有害性や依存性は、世界保健機構（ＷＨＯ）等においても報告されています。

◆危険（有害）性の認識

　 覚 醒 剤に対 する危 険（ 有 害 ）性の認 識 がある者（72.7%）に比較して、大麻の危険（有害）性の認識がある者（30.8%）の割合が低く、大麻の危険（有害）性を軽視している者が多いことも明らかになりました。　年齢層別で最も危険（有害）性の認識が低いのは、20歳代（70.8%）でした。

大麻及び覚醒剤に対する危険（有害）性の認識の比較

大麻を初めて使用した経緯

誘われて341人（63.7%）

自分から求めて121人（22.6%）

その他73人（13.6%）

暴力団等による大麻工場

全くない6人 1.1%

全くない144人26.9%

あまりない37人6.9%

あまりない200人37.4%

あり219人40.9%

あり120人22.4%

大いにあり170人31.8%

大いにあり45人8.4%

不明103人19.3%

不明 26人 4.9%

覚醒剤

大麻

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植物片 粉末（パウダー）

危険ドラッグの販売方法

危険ドラッグの検挙人員（平成25年から平成29年）

危険ドラッグの法規制　危険ドラッグは「合法ハーブ」、「お香」、「アロマ」等と称して販売されていますが、これらには麻薬や指定薬物等の違法な薬物が含まれている例もあり、使用、所持等は犯罪となります。　危険ドラッグは、覚醒剤、麻薬、大麻等規制薬物の化学構造に似せて作られており、規制薬物と同等以上の作用を有する成分を含むものも多く、極めて危険です。

　危険ドラッグの対策に一定の効果が見られる一方、薬物密売組織等は、インターネットを利用して、危険ドラッグをはじめ、違法な薬物を販売している状況にあります。また、デリバリー型販売も確認されるなど、その販売・流通ルートの更なる巧妙化・潜在化を強めています。

　危険ドラッグの法規制と実態

　

麻薬及び向精神薬取締法違反麻薬（ジアセチルモルヒネ以外）の所持、施用→ ７年以下の懲役

医薬品医療機器法違反指定薬物の所持、使用→３年以下の懲役　若しくは３００万円以下の罰金又は併科

インターネット型販売 デリバリー型販売

配達商品在中↓

37894010

9016098

492

148

960126

758

56

578

3652

729

116

　関係機関と連携した危険ドラッグの販売・流通ルートの壊滅に向けた取組や広報啓発活動等の強化により、これまで実態が把握されていた販売店舗が全て閉鎖となり、検挙人員も減少するなど、対策に一定の効果が見られます。

※交通関係法令違反及びその他法令違反には、規制薬物及び指定薬物が検出されなかった事件を含む。

H25 H26 H27 H28 H29

その他法令違反

交通関係法令違反

麻薬及び向精神薬取締法違反

指定薬物に係る医薬品医療機器法違反

指定薬物が検出

麻薬が検出

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　薬物乱用者の手記覚醒剤乱用者（30歳代、男性）～安易なきっかけで始めた覚醒剤が破滅を招く～

　私が初めて覚醒剤を使ったのは、２年くらい前のことです。　私の実家は町工場を経営しており、私は幼い頃から、将来は父の跡を継いで職人になることを夢見ていました。　しかし、繁華街で水商売をしている男と仲良くなったことをきっかけに夢を忘れてしまい、夜の街で仕事をして生活するようになりました。　そうしたところ、水商売仲間から「これをやれば嫌なことを忘れられる」、「疲れもとれるよ」と言われ、勧められたものが覚醒剤でした。　見せられた覚醒剤は，映画やテレビで見たことがある白い結晶でした。　私も子どもの頃から、「覚醒剤は強い中毒性がある」、「ダメぜったい」などという広報啓発のＣＭを見ていたので，覚醒剤を使うことに抵抗がありました。　しかし，仲間から意気地なしだとか、怖いのかなどと馬鹿にされることが嫌で強がってしまい、覚醒剤をガラスパイプで炙って使ってしまいました。

　そんなある日の夕刻、警察のガサ入れがあり、私は逮捕されました。　テレビ番組などで留置場という存在は知っていましたが、まさか自分自身が入るとは夢にも思わず、独房生活を約２ヶ月過ごしました。　逮捕をきっかけに、覚醒剤はこれが最後だ、もう二度と同じ事は繰り返さないと心に誓い、執行猶予判決を受けて社会に戻り、家族も私のことを迎え入れてくれました。　しかし、それから約１年後、私はまた同じ過ちを繰り返しました。　ある日、顔見知りの密売人とばったり出会い、覚醒剤を見せられたことで、それまで拒絶していた覚醒剤の記憶や感覚が舞い戻ってきました。　　　　最初は覚醒剤を拒絶しましたが、私の心は大きく揺れ、私は覚醒剤の誘惑に負け、密売人が差し出す覚醒剤を手に取り、再び使ってしまいました。　一度欲望に負けると抵抗感はなくなり、私は再び覚醒剤を使い続けるようになりましたが、覚醒剤の罪で２度目の逮捕という憂き目にあいました。 　２回目の逮捕で、父は心労から病に倒れ、家族にも１回目以上に迷惑をかけてしまいました。　この２回目の逮捕により、私は刑務所に入ることになりました。　今だから言えますが、覚醒剤をやっていて何一つ良いことはありませんでした。高揚感も快感も一時のものですし、すぐにまたよりひどい疲労感と脱力感が襲ってきます。　覚醒剤を使うことで残るのは後悔だけですが、失うものはお金や仕事、家族の信頼など人生そのものでした。　この文章を読んだ皆様は、絶対に覚醒剤に手を出さないでください。

　初めて覚醒剤を使った感覚は、フワッとした感じがして何とも言えないもので、強い高揚感が脳から体中を駆け巡るようでした。　その高揚感は、これまでの人生で味わったことのない衝撃的なもので、以降この感覚を得るため、覚醒剤を買って使い続けました。　ところが、覚醒剤は一時の高揚感と快感を感じることはできるものの、数時間経つと効き目は薄れ、ひどい疲れをまとめて感じるようになり、その疲れを吹き飛ばして高揚感を得るため、更に覚醒剤を使い続けるようになりました。　働いた疲れを吹き飛ばすため、給料の多くを覚醒剤につぎ込み、そしてまた働くという不毛な生活が続きました。　覚醒剤を使っていた時期、私は一時の高揚感のほか、警察に捕まることはないだろうかという不安感にもさいなまれていましたが、知人の「注射器ではなく炙りなら警察にばれにくい」などという気休めを信じ、覚醒剤をやめようとはしませんでした。　こうして、私の生活にとって覚醒剤は欠かせないものとなりました。

いくじなし

本人が刑務所で途方に暮れ、父親が倒れるイメージ

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覚醒剤乱用者（30歳代、女性）～覚醒剤の恐ろしい依存性と再起への誓い～　私は、覚醒剤取締法違反でこれまで２度逮捕されています。　１度目は、結婚していたころ、当時の夫と一緒に覚醒剤を使用したところ体調が悪くなり、病院で覚醒剤を使っていることが発覚して逮捕されました。　その時は、立っていられずに倒れ、体中が震えて筋肉が強張ったりと、死ぬのではないかと怖くなるくらい苦しい思いをしたため、「あんなもの何が良いんだ！覚醒剤なんて大嫌い！」と思いました。　この事件は初犯だったこともあり、執行猶予の判決を受けて早期に社会復帰して、夫とも離婚しました。　それから、飲食店の経営を始め、仕事と子育てで毎日充実した日 を々過ごしていました。　しかし、数年して子供も成長し、お店も軌道に乗り始めると、毎日の疲れからいろいろな不満を抱えるようになりました。　子供は成長とともに私の言うことを聞かなくなり、お店では、私と考えが異なるスタッフとの間で、トラブルになることがありました。

　これが覚醒剤の本当の恐ろしさで、中毒性です。　私は着実に、覚醒剤の世界の住人になっていきました。　そんな時、突然警察が家に来て、その瞬間、生意気ながらも成長していく子供や何年もかけて築いた店の信用、私の大切な人達とのつながりが壊れて消えていく音がしました。　自分の人生を考えた時、大切な子供とお店のために頑張ってきたはずなのに、つらいからと覚醒剤に手を出して、結局覚醒剤で大切なものを失い、これから待っているだろう世間からの待遇を思うと、絶望しました。　ところが、私が社会に戻ると、子供達やお店を守ってくれたスタッフが待ってくれていました。　私は、本当は恵まれていたことに気付くと、多くの人を裏切ってしまい、本当に馬鹿なことをしたと心の底から反省しました。　そして、何があっても二度と覚醒剤に手を出さないと心に誓いました。　これからの生活で、また覚醒剤の魔力に惑わされる日があるかもしれませんが、本当に大切なものを失わないため、精一杯努力すると誓います。

　当時の私は、親として、経営者として、何事も完璧にこなさなければならないというプレッシャーを感じ、子育てと経営がうまくいかない現実からくるいらだちが限界に達していました。　そんな時、優しい顔をして私に近付いてきたのが覚醒剤でした。　不思議なもので、私が過去に覚醒剤で逮捕されたことなど周りには知られていないはずなのに、なぜか、覚醒剤と関わりある人が近寄ってきました。　これが、覚醒剤の世界の情報網なのかもしれません。　とても疲れていた私は、「壊れかけた自分を救ってくれるのは覚醒剤かもしれない。」と思うようになりました。　初めて逮捕された時、あれほど苦しい思いをしたのに、あんなに覚醒剤を憎んだのに、何かに頼りたい一心で、私は再び覚醒剤に手を出してしまいました。　心の中では「私は中毒者じゃない。」、「やめようと思えばすぐにやめられる。」と常に思っていました。　警察に捕まるのが怖く、しばらく覚醒剤を使わなかった時期もありましたが、しばらくするとまた、体や脳が覚醒剤を求めていました。　そんな私を見透かしたように、また私を覚醒剤の世界へ引きずり込む人が近付いてきました。

　薬物乱用者の手記

覚醒剤により体がけいれんして病院で治療を受けるイメージ

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「運び屋」として利用されないために

トピックスⅡ 携帯密輸の現状　　

密 輸 入を 巡 る 情 勢　覚醒剤の密輸入事犯は増加しており、押収量も前年に引き続き1,000㎏を超えるなど、引き続き我が国に大量の覚醒剤が流入していると考えられます。　また、航空機の利用客が覚醒剤を所持品等に隠匿して密輸入する携帯密輸入事犯の検挙件数は、平成29年は大幅に増加し、密輸入の主要な手口となっています。　密輸入については、所持罪や使用罪等と比較しても重い罰則が定められています。

　海外の薬物犯罪組織は、国内の薬物密売に関与する暴力団等とネットワークを構築して、我が国に薬物を密輸しています。携帯密輸の手口のほとんどは、「運び屋」（注）による事件で、薬物犯罪組織は組織と関係のない旅行客を運び屋に勧誘することもあります。　運び屋にならない、されないために、海外へ渡航する際は次の点に気をつけてください。　

覚醒剤密輸入事犯の検挙状況及び押収量の推移（平成 25 年から平成 29 年）区分 年次 H25 H26 H27 H28 H29検挙件数（件） 119 150 73 82 126

うち航空機利用 96 121 44 41 84検挙人員（人） 160 176 96 97 153

うち暴力団構成員等 30 25 19 11 14うち外国人 119 135 72 73 120

覚醒剤の密輸入押収量（㎏） 816.1 448.0 394.6 1,428.4 1,073.4

覚醒剤が隠匿されたスーツケース スーツケースに隠匿された覚醒剤

覚醒剤密輸入の罰則（単純輸入）→１年以上の有期懲役

（営利目的）→無期若しくは３年以上の懲役、　情状により 1,000 万円の罰金　を併科

※航空機等を利用して薬物を密輸する役割を担う者をいい、薬物犯罪組織とつながりの薄い者がこれに当たることが多い。

□不用意に他人から荷物やお土産を預からない知人の紹介、元同僚、学校時代の先輩・後輩、恋愛関係を利用するなど、あらゆる人間関係を利用して薬物を運ばせようと近付いてきます。知人・友人の誘いであっても注意が必要です。

□「運ぶだけで報酬」といううまい話に乗らない犯罪組織は、薬物とは打ち明けず、運べば多額の報酬を払うと言って荷物を預けようとすることもありますが、そんなうまい話はありません。他人から預かった荷物でも、自分の携行品の中身については責任を問われます。　

「知らなかった」、「分からなかった」ではすまされません。

□「１回だけなら捕まらない」と安易に考えない密輸入はたとえ１回だけでも重罪です。安易な考えは禁物です。

平 成 3 0 年 度 版 　 薬 物 乱 用 の な い 社 会 を

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薬物乱用問題に関する相談電話

迷わず相談窓口へ

北海道

札幌 警察相談センター 011-241-9110

函館 警察相談センター 0138-51-9110

旭川 警察相談センター 0166-34-9110

釧路 警察相談センター 0154-23-9110

北見 警察相談センター 0157-24-9110

青 森 警察安全相談電話 017-735-9110

岩 手 警察安全相談電話 019-654-9110

宮 城 銃器・覚醒剤110番 022-266-1074

秋 田 警察相談専用電話 018-864-9110

山 形 覚醒剤相談 023-635-1074

福 島 警察安全相談 024-525-3311

東 京 銃器・薬物ホットライン 03-3593-7970

茨 城 覚せい剤 110番 029-301-7979

栃 木 県民相談室 028-627-9110

群 馬 警察安全相談 027-224-8080

埼 玉 けいさつ総合相談 048-822-9110

千 葉 相談サポートコーナー 043-227-9110

神奈川 警察総合相談 045-664-9110

新 潟 けいさつ相談室 025-283-9110

山 梨 薬物 110番 055-228-8974

長 野 警察安全相談 026-233-9110

静 岡 ふれあい相談室 054-254-9110

富 山 警察相談専用電話 076-442-0110

石 川 警察安全相談電話 076-225-9110

福 井 覚醒剤相談電話 0776-21-4618

岐 阜 警察安全相談室 058-272-9110

愛 知 警察安全相談 052-953-9110

三 重 警察安全相談電話 059-224-9110

滋 賀 県民の声 110番 077-525-0110

大 阪 覚せい剤 110番 06-6943-7957

兵 庫 覚醒剤 110番 078-361-0110

京 都 覚醒剤 110番 075-451-7957

奈 良 覚せい剤 110番 0742-33-1818

和歌山 覚せい剤相談電話 073-425-4615

鳥 取 薬物 110番 0857-26-3774

島 根 覚せい剤相談電話 0852-27-4697

岡 山 覚醒剤 110番 086-233-7867

広 島 覚せい剤・麻薬相談電話 082-227-4989

山 口 総合相談室 083-923-9110

徳 島 覚醒剤追放ダイヤル 088-653-4444

香 川 警察総合相談電話 087-831-0110

愛 媛 警察相談専用電話 089-931-9110

高 知 銃器薬物相談電話 088-822-1074

福 岡 薬物 110番 092-641-4444

佐 賀 警察相談室 0952-26-9110

長 崎 薬物１１０番 0120-110-874

熊 本 拳銃・覚醒剤相談電話 096-384-4444

大 分 覚せい剤相談コーナー 097-537-8918

宮 崎 銃器・覚せい剤110番 0985-20-1074

鹿児島企業対象暴力・けん銃・薬物相談電話

099-255-0110

沖 縄 麻薬 110番 098-862-1483

平成 30 年４月１日現在

編集・発行　警察庁薬物銃器対策課