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1 2 3 4 5 [コース1]データ収集 [コース2]データ蓄積 [コース3]データ分析 [コース4]データ利活用
4-1:オープンデータの利活用
総務省 ICTスキル総合習得教材
【概要版】 eラーニング用
[コース4]オープンデータ・ビッグデータ利活用事例
本講座の学習内容(4-1:オープンデータの利活用)
日本政府の「オープンデータ基本方針」におけるオープンデータの定義を説明します。 国際的なオープンデータの普及活動の取り組み、オープンデータの利点を紹介します。 オープンデータを用いたビジネス事例をタイプ別に紹介します。
座学
日本政府の「オープンデータ基本方針」におけるオープンデータの定義を把握する。
国際的なオープンデータの普及活動、オープンデータの利点を理解する。
オープンデータを活用したビジネスの事例をタイプ別に把握する。
[1]日本政府のオープンデータ政策
【講座構成】
[2]オープンデータに関する国際的な取り組み
[3]オープンデータを活用したビジネス事例
【学習のゴール】
【講座概要】
オープンデータに関するウェブサイト 国、自治体を中心に様々なオープンデータ関連サイトを運営しています。
この講座では、「オープンデータとは何か?」「どのように活用していけるのか?」を説明します。
オープンデータカタログサイト(DATA.GO.JP) 東京都オープンデータカタログサイト
金沢市の画像オープンデータサイト 静岡市(しずみち info)
https://shizuokashi-road.appspot.com/ http://open-imagedata.city.kanazawa.ishikawa.jp/
http://opendata-portal.metro.tokyo.jp/www/index.html http://www.data.go.jp/
国や自治体が運営するオープンデータカタログサイトを利用すると、様々なオープンデータを検索、入手することができます。
静岡市が運営する「しずみち info」では、道路通行規制情報をオープンデータとして提供しています。 金沢市では画像に特化したオープンデータのウェブサイトを運営しています。
導入部
「オープンデータ基本指針」におけるオープンデータの定義 オープンデータの条件として「二次利用可能なルール」「機械判読への適性」「無償利用」を挙げています。 内閣官房に設置された高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)では2017年5月に「オープンデータ基本方針」を定めました。
① 営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの ② 機械判読に適したもの ③ 無償で利用できるもの
②の機械判読とは『コンピュータプログラムが自動的にデータを加工、編集等できること』を指しています。
「オープンデータ基本方針」におけるオープンデータの定義は下記の通りです。
[1]日本政府のオープンデータ政策
3つ全ての条件を満たすデータがオープンデータ
• 2012年7月の「電子行政オープンデータ戦略」以降、日本政府はオープンデータの取り組みを進めてきました。 • 2016年5月の「新たなオープンデータの展開に向けて」では、[オープンデータ2.0]として、それ以前は政府部門の公共データを念頭においていたオープンデータ関連政策を、民間部門を包含すること、「課題解決型のオープンデータの推進」への方針転換が示されました。
• 「オープンデータ基本方針」は過去の取り組みを踏まえた上で、国、地方公共団体、事業者が公共データの公開及び活用に取り組む上での基本指針を定めています。
「オープンデータ基本方針」において『「機械判読に適した度合」には、人手をどれだけ要さずに、コンピュータがデータを再利用できるかにより、いくつかの段階がある。』と記載しています。
• e-StatにてExcel形式で公開されている公的統計データもオープンデータの一つと言えます。
機械判読への適性とデータ公開の重要性 「機械判読への適性」は段階的な指標であり、5段階の指標が示されています。 総務省のウェブサイトやその出典となった「5★オープンデータ」では「オープンデータの5つの段階とデータ形式」として、オープンデータのレベルを示しています
「5 ★ オープンデータ」は機械判読の重要性をレベルで示しつつも、仮に1段階目であっても二次利用可能な形でファイルを公開することを推奨しています。
オープンデータの5つのレベルとデータ形式
PDFや画像データ(jpeg等)は、一般にコンピュータプログラムによる判読や加工が困難であるため、オープンデータの5段階の1段階目に位置づけられています。
[1]日本政府のオープンデータ政策
段階 名称 概要 1段階目 OL:Open License オープンライセンス 2段階目 RE : Reusable 編集・改訂が可能 3段階目 OF : Open Format ソフトウェアを問わないフォーマット 4段階目 URI : Uniform Resource Identifier 外部からリンクが可能 5段階目 LD : Linked Data 外部へのリンクがある
【出典】 5 ★ オープンデータ http://5stardata.info/ja/
Excelファイルのような特定のソフトウェアを使えば編集可能なファイルは5段階の第2段階、CSVのような様々なソフトウェアに読み込めるデータは5段階の第3段階に該当します。 4段階目の「URI」は外部のデータからも特定可能か、5段階目の「LD」は外部のデータへのリンクがあるかに関する基準です
• 他のファイルとの関係やデータの位置が確定しているデータであれば、他のファイルから当該ファイルを探し出せる可能性があります。
国際NPOネットワークにおけるオープンデータの取り組み オープンデータの取り組みは日本のみならず、世界的な広がりを持っています。 Open Knowledge International(OKI)は、オープンデータの価値を社会に開放することで、社会課題を解決を目指す国際的なNPOネットワークです。
[2]オープンデータに関する国際的な取り組み
OKIは40カ国以上の国際的なネットワークを持ち、日本においてはOpen Knowledge Foundation Japanが加盟組織となっています。
OKIは「オープンデータ」を「誰でも、どのような目的であっても、自由に利用、改変、再配布できるデータ」と定義しています。より詳細な定義は下記の表の条件を満たすデータをオープンデータと呼んでいます。
主要な特徴 説明
利用、アクセスできる データ全体が複製のための適正価格で利用可能であり、インターネットでの無償ダウンロードができることが望ましい。また、データは利便性が高く、改変可能な形式でなければならない。
再利用、再配布ができる データは再利用と再配布が可能な形式で提供され、他のデータと統合した再配布が可能であること。また、機械判読が可能であること。
誰でも使える 分野、個人、グループで差別せず、誰にでも、利用可能、再配布可能であること。 【出典】 WHAT IS OPEN? (Open Knowledge International) https://okfn.org/opendata/
Open Knowledge Internationalにおけるオープンデータの定義
• 日本の「オープンデータ基本方針」が無償利用を強調している一方で、OKIでは改変した再配布できることを強調するなど、ニュアンスが異なる部分もあります。
オープンデータの重要性は世界的にも認知されており、国際的な取り組みも進んでいます。
データがオープンであることの利点 OKIはオープンデータの利点として、容易に他データと組み合わせて使うことができる相互運用性(interoperability:インターオペラビリティ)を挙げています。
相互運用性があるデータであれば、同種のデータを集めて規模(スケール)を拡大して利用したり、異なる種類のデータを組み合わせて範囲(スコープ)を拡大して利用することができます。
相互運用性のあるデータであれば、複数のデータを組み合わせるマッシュアップによってデータ全体の価値を高めることができます。
【例】 規模(スケール)を拡大した利用:複数の小地域データを集めた広域データに関するデータ利用 範囲(スコープ)を拡大した利用:地図データ、交通網データ、地価データを組み合わせたデータ利用
+ • 複合した分析 • 新たなサービス
OKIでは”オープン”の定義を明確にした理由として、「相互運用性(interoperability)」の重要性を挙げています。 「相互運用性(interoperability)があるデータ」とは、「容易に他のデータと組み合わせて利用できるデータ」を指しています。
相互運用性(interoperability)によって可能になる分析
地図データ 路線図データ
[2]オープンデータに関する国際的な取り組み
オープンデータビジネスの 3 タイプ オープンデータを利用するビジネスは、3つのタイプに分けることができるとされています。
「オープンデータ利活用ビジネス事例集」によれば、オープンデータを活用したビジネスは、「付加価値型」「新価値創造型」「プラットフォーム型」の3種に大別できるとしています。
タイプ 特徴 主な担い手企業
付加価値型 •既存ビジネスの価値を高めるためにオープンデータを利用する •データの加工は可視化などが主であり複雑な処理はしない •競合相手もオープンデータを自由に利用できるため、既存ビジネスの優劣を極端に変えることはない
市場のリーダー
新価値創造型
•オープンデータを含む多様なデータをかけ合わせ、高度な分析によって未来を予測する
•価値を生み出す源泉は新しく開発したアルゴリズムや分析モデル •オープンデータはアルゴリズムや分析モデルを開発する際にも利用される
スタートアップ
プラットフォーム型 •特定の領域のデータを大量に集め、プラットフォーム化する •集めたデータを利用しやすく提供することで最初の価値を生み出す •データの利用状況や利用者の状況を分析することで、さらに新しい価値を生み出していく
スタートアップ
【出典】 オープンデータ利活用ビジネス事例集(オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構) http://www.vled.or.jp/results/opendata_business_usecases.pdf
[3]オープンデータを活用したビジネス事例
オープンデータビジネスの3つのタイプ
オープンデータビジネスの事例 3種のオープンデータビジネスの事例を示します。
NAVITIMEでは「各自治体が公開する避難場所情報」をオープンデータとして利用し、地図表示やルート検索ができるようにしています。
NAVITIMEの避難所の表示 GEEOの予測不動産価格の表示 各地域の広報誌を読めるマイ広報誌
新価値創造型 の事例 GEEOでは「人口や住宅・土地に関する公的統計」をオープンデータとして活用して、不動産販売価格の予測サービスを提供している。
付加価値型の事例 マイ広報誌では「自治体の広報誌」をオープンデータとして活用して、インターネット配信サービスを提供している。
プラットフォーム型の事例
オープンデータの公開、利活用を推進することで、新たなビジネスが生まれてきています。
[3]オープンデータを活用したビジネス事例
【出典】NAVITIME(株式会社ナビタイムジャパン) https://www.navitime.co.jp/
【出典】GEEO(株式会社おたに) http://geeo.otani.co/JPN
【出典】マイ広報誌(オープン・コーポレイツ・ジャパン)https://mykoho.jp/