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-1- <事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱い)小学校第6学年 ~ 一人一人の楽曲に対する感じ方を大切にし、音楽を特徴付けている要素と曲想とのかかわりに 気を付けて聴いたり、器楽表現したりする力をつけるアプローチ~ 本題材は、学習指導要領B鑑賞(1)イ「主な旋律の変化や対照,楽曲全体の構成,音楽を特 徴付けている要素と曲想とのかかわりに気を付けて聴くこと」とA表現(3)イ「音色の特徴を 生かして,旋律楽器及び打楽器を演奏すること」を指導する事例である。ここでは、表現と鑑賞 の活動を、同一楽曲(「木星」ホルスト作曲)で展開する。学習内容は、鑑賞の活動において、 一人一人の曲に対する感じ方を大切にし、音楽を特徴付けている諸要素をもとに主な旋律の特徴 をつかんで聴くとともに、表現活動においてその旋律の特徴を生かした合奏を工夫して演奏する ことをねらいとしている。 題材の目標 ○楽曲の構成を理解して聴き、曲想の変化を感じ取って聴くことができるようにする。 ○曲想の変化や楽器の音色を感じ取りながら、表現を工夫することができるようにする。 題材設定の意図 本題材では、一人一人の感じ方を大切にし、曲を分析的に聴き、楽曲を特徴付けている要素を感 じ取って聴くことができるようにしたい。また、楽曲全体の構成について理解させ、音楽を特徴付 けている要素と曲想の関わりに気を付けて聴き、音楽を味わって聴くことができることをねらいと している。 表現活動においては、楽曲を特徴付けている要素を感じ取り、曲想に合った演奏の仕方を工夫す ることとしている。 主な教材 管弦楽組曲「惑星」から「木星」 作曲:グスターヴ・ホルスト ボストン交響楽団 指揮:小澤征爾 1979年12月 アメリカ 録音 合奏曲「木星」 作曲:グスターヴ・ホルスト 編曲:長谷部匡俊 イギリスの作曲家、ホルスト(1874~1934)が作った管弦楽組曲「惑星」の中の1曲で ある。この組曲は全部で7曲からなり、「木星」は、第4曲である。標題音楽の形をとっているが、 ホルストは「これらの曲は惑星の占星術的な意義が着想のきっかけとなっているが、同じ名の神話 とは何の関係もない。」と語っている。この曲は、オーケストラの響きがたいへん豊かである。 曲の特徴は、アレグロ・ジョコーソ、ハ長調、4分の2拍子。三部形式。第1部はホルンを中心 に演奏される第1主題、リズミカルな第2主題、民族舞踊風の第3主題で構成されている。第2部 は、弦・ホルンが第4主題の親しみやすい民謡風のメロディを演奏する。第3部は4つの主題が再 現され、fff の力強いコーダを以て曲を終える。合奏曲「木星」は第2部の主旋律の部分を扱った

<事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱 …¼œ事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱い)小学校第6学年 ~一人一人の楽曲に対する感じ方を大切にし、音楽を特徴付けている要素と曲想とのかかわりに

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Page 1: <事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱 …¼œ事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱い)小学校第6学年 ~一人一人の楽曲に対する感じ方を大切にし、音楽を特徴付けている要素と曲想とのかかわりに

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<事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう 」(5時間扱い)小学校第6学年

~ 一人一人の楽曲に対する感じ方を大切にし、音楽を特徴付けている要素と曲想とのかかわりに

気を付けて聴いたり、器楽表現したりする力をつけるアプローチ~

本題材は、学習指導要領B鑑賞(1)イ「主な旋律の変化や対照,楽曲全体の構成,音楽を特

徴付けている要素と曲想とのかかわりに気を付けて聴くこと」とA表現(3)イ「音色の特徴を

生かして,旋律楽器及び打楽器を演奏すること」を指導する事例である。ここでは、表現と鑑賞

の活動を、同一楽曲(「木星」ホルスト作曲)で展開する。学習内容は、鑑賞の活動において、

一人一人の曲に対する感じ方を大切にし、音楽を特徴付けている諸要素をもとに主な旋律の特徴

をつかんで聴くとともに、表現活動においてその旋律の特徴を生かした合奏を工夫して演奏する

ことをねらいとしている。

1 題材の目標

○楽曲の構成を理解して聴き、曲想の変化を感じ取って聴くことができるようにする。

○曲想の変化や楽器の音色を感じ取りながら、表現を工夫することができるようにする。

2 題材設定の意図

本題材では、一人一人の感じ方を大切にし、曲を分析的に聴き、楽曲を特徴付けている要素を感

じ取って聴くことができるようにしたい。また、楽曲全体の構成について理解させ、音楽を特徴付

けている要素と曲想の関わりに気を付けて聴き、音楽を味わって聴くことができることをねらいと

している。

表現活動においては、楽曲を特徴付けている要素を感じ取り、曲想に合った演奏の仕方を工夫す

ることとしている。

3 主な教材

管弦楽組曲「惑星」から「木星」 作曲:グスターヴ・ホルスト

ボストン交響楽団

指揮:小澤征爾

1979年12月 アメリカ 録音

合奏曲「木星」 作曲:グスターヴ・ホルスト

編曲:長谷部匡俊

イギリスの作曲家、ホルスト(1874~1934)が作った管弦楽組曲「惑星」の中の1曲で

ある。この組曲は全部で7曲からなり、「木星」は、第4曲である。標題音楽の形をとっているが、

ホルストは「これらの曲は惑星の占星術的な意義が着想のきっかけとなっているが、同じ名の神話

とは何の関係もない。」と語っている。この曲は、オーケストラの響きがたいへん豊かである。

曲の特徴は、アレグロ・ジョコーソ、ハ長調、4分の2拍子。三部形式。第1部はホルンを中心

に演奏される第1主題、リズミカルな第2主題、民族舞踊風の第3主題で構成されている。第2部

は、弦・ホルンが第4主題の親しみやすい民謡風のメロディを演奏する。第3部は4つの主題が再

現され、fff の力強いコーダを以て曲を終える。合奏曲「木星」は第2部の主旋律の部分を扱った

Page 2: <事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱 …¼œ事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱い)小学校第6学年 ~一人一人の楽曲に対する感じ方を大切にし、音楽を特徴付けている要素と曲想とのかかわりに

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曲である。3パートに分かれた曲で、楽器は自由に選択できる編曲である。

本題材の学習では、鑑賞と表現の関連を図った学習を進めるための教材として「木星」を用意し

た。「木星」(管弦楽組曲「惑星」)は、オーケストラの響きも味わいながら、強弱、速さ、主な旋

律の反復、対照などについて聴き取ることができる曲であり、曲想の変化を感じ取って、曲の構成

について学習を進めていく上で適した教材である。鑑賞曲「木星」で聴き取ったことをもとに、合

奏曲「木星」では、曲想を生かした演奏の仕方を工夫するために、楽器の選択をしたり、奏法の基

礎を再確認しながら、楽しんで合奏に取り組むことができる教材である。

4 題材の評価規準

【題材の評価規準及び学習活動における具体の評価規準】

ア 音楽への関心・意欲・態度 イ 音楽的な感受や表現の工夫 ウ 表現の技能 エ 鑑賞の能力

歌唱

器楽 ○ ○ ○

創作

鑑賞 ○ ○ ○

題 曲想の変化に関 楽曲全体の構成に注目 音楽を特徴付けて 主な旋律の変化や

評材 心を持ち、進んで し、音楽表現のよさや工 いる要素を生かし 対照、楽曲全体の構

価の 聴いたり演奏した 夫を感じ取ったり、それ て、きれいな音色で 成や音楽を特徴付け

規 りしようとしてい らを生かして表現の仕方 楽器を演奏してい ている要素を気を付

準 る。 を工夫したりしている。 る。 けて聴き、曲想全体

を味わって聴く。

学 ①指揮をしたり、 ①楽曲構成の中心となる ①正しい奏法で間違 ①楽曲構成の中心と

具習 体を動かしたり 主な旋律の特徴を感じ えずに演奏し、流 なる主な旋律に親

体活 メモを取ったり 取っている。 れに乗ってみんな しみ、楽曲全体の

の動 しながら、進ん ②3つのパートを通して と合わせて合奏し 曲想や、その変化

評に で音楽を聴こう 楽曲全体に流れる曲想 ている。 に気付きその曲の

価お としている。 を感じ取ったり、音楽 ②互いの音を聴きな 音楽表現のよさや

規け ②楽器の特徴を生 を構成している要素を がら、工夫して演 美しさを味わいな

準る かした音色の楽 感じ取ったりして音楽 奏することができ がら聴く。

器を選び、進ん を工夫して表現してい る。 ②曲想の変化を感じ

で楽器の練習に る。 取って聴き、楽曲

取り組もうとし 全体の構成をとら

ている。 え曲全体を味わっ

て聴く。

Page 3: <事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱 …¼œ事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱い)小学校第6学年 ~一人一人の楽曲に対する感じ方を大切にし、音楽を特徴付けている要素と曲想とのかかわりに

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5 指導と評価の計画(5時間扱い)

ねらい ・主な学習活動 具体の評価規準 ◎評価方法 ・教師のかかわり

ねらい 曲想の変化を感じ取って聴く。

・「はじめましょう」のあい ・明るい学習の雰囲気作りをする。

さつを発声に気を付けて歌

う。

・木星の第2部の1部分を聴 ・意欲付けを図る。

く。

・全曲を通して聴く中から第 ア① ・全曲を通して聴く際に、第2部を意識さ

2部を聴き取る。 【7-1で紹介】 せて聴かせる。

◎曲を聴いた反応や表情、発言などをとら

える。

・第1部を聴き、曲の感じを ィ① ・主なふしの特徴を確認し、第1部を聴い

つかむ。 【7-2で紹介】 て曲の感じをつかませる。

◎動作、発言、鑑賞の記録などをとらえる。

一 ・第2部を聴き、曲の感じを ィ① ・民族舞踊風の曲の雰囲気をつかませる。

次 つかむ。 【7-2で紹介】 ・曲の感じを自由に発表し合えるような雰

囲気をつくる。

二 ◎動作、発言、鑑賞の記録などをとらえる。

間 ・第3部では、1から4の主 ィ① ・音楽を特徴付けている要素を感じ取って

題がどのように出てくるか 【7-2で紹介】 聴かせる。

予想し、ふしの特徴に気を ◎動作、発言、鑑賞の記録などをとらえる。

つけて全曲を通して聴く。

・木星の副題を知る。 ・次時への意欲付けを図る。

・「木星」の曲全体を味わっ エ①楽曲の中心 ・ふしの特徴を感じ取り、曲の構成に気を

て聴く。 となる主な旋律 付け、味わって聴かせる。

の特徴に親し

み、楽曲全体の

曲想やその変化

に気付きその音

楽表現のよさや

美しさを味わい

ながら聴く。

・「木星」の曲の構成を理解 エ②曲想の変化 ・曲の構成を確認させ、オーケストラの響

して聴き、曲想の変化を感 を感じ取って聴 きを味わいながら、曲想の変化を感じ取

じ取り味わって聴く。 き、楽曲全体の って聴かせる。

Page 4: <事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱 …¼œ事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱い)小学校第6学年 ~一人一人の楽曲に対する感じ方を大切にし、音楽を特徴付けている要素と曲想とのかかわりに

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構成をとらえ曲 ◎表情、動作、鑑賞の記録などをとらえる。

全体を味わって

聴く。

・ホルストの「惑星」につい ・「惑星」の種類や副題などについて知ら

て詳しく知る。 せる。

・第一曲目の「火星」を聴く。 ・「惑星」の中の1曲である「火星」を聴

く場合も、「木星」で聴き進めていった

方法で聴いていくようにする。

・主なふしに気付かせ、曲の特徴をつかま

せる。

ねらい 曲想の変化や楽器の音色を感じ取りながら、表現を工夫したりする。

・①~③の各パートの旋律を ・旋律を覚えて歌うことができるようにす

「ラ」や「ル」などで口ず る。

さむ。

・楽器を選んで、自分の好き ・一人で演奏しても、友だちと合わせて演

なパートを演奏する。 奏してもよいことにする。

・グループごとに担当する楽 ア②楽器の特徴 ・音色や音量のバランスを考えて、楽器を

器を決める。 を生かした音色 選ぶようにすると良いことを助言する。

の楽器を選び進 ◎ 個人練習の様子、パート別練習の様子

・互いの響きや音色、音量の んで楽器の練習 を観察する。

第 バランスなどを考えながら に取り組もうと

二 練習する。 している。

・グループで合わせて練習す ウ①正しい奏法 ・楽器の奏法に気を付けながら、スムーズ

三 る。 で間違えずに演 に演奏できるよう練習時間を確保する。

時 奏し、流れに乗 ・流れに乗って演奏できるよう、拍の流れ

間 ・グループごとに互いの演奏 ってみんなと合 やテンポに注意するよう助言する。

を聴き合い、感想を発表し わせて合奏して ・グループの活動がしやすいように、場所

合う。 いる。 や参考にする音源などを用意する。

◎グループ活動の様子、楽器の演奏の様子

を聴取・観察する。

・グループごとに、音色や音 イ②3つのパー ・旋律の流れや音色、音のバランスに気を

のバランスに気を付けて、 トを通して楽曲 付けて練習を進めていくよう助言する。

更に練習する。 全体に流れる曲

想を感じ取った

り、音楽を構成

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している要素を

感じ取ったりし ◎グループ活動の様子、楽器の演奏の様子

て音楽を工夫し を聴取・観察する。

て表現してい

る。

・工夫した合奏を発表し、聴 ウ②互いの音を ・曲想を生かしながら、工夫したところを

き合う。 聴きながら、工夫 伝えてから演奏するようにする。

して演奏すること ・発表を聴いて、その感想やよかったとこ

ができる。 ろを述べて、互いのよさを認め合えるよ

うにする。

◎グループ活動の様子や発表の様子を聴取

・観察する。

6 本時の学習(1/5時)

(1) 目 標

○曲想の変化を感じ取って聴くことができようにする。

(2) 展 開

学習内容 ・ 学習活動 ・教師の働きかけ ◎学習活動における具体の評価規準

☆個に応じた指導の工夫

1 音楽の雰囲気作り ・口形に気を付けて歌えている児童を賞賛する。

・「はじめましょう」のあいさ ・発声や発音に気を付けて、響きのある声で歌えるよう助言

つを歌う。 する。

2 本時の学習の確認

・「木星」の曲の主旋律の一部 ・「木星」(管弦楽組曲「惑星」)の第2部の主旋律の一部分

分を聴く。 を聴き、鑑賞への意欲付けを図る。

・「木星」(管弦楽組曲「惑星」) ・はじめに聴いたのは、オーケストラで演奏されている「木

の全曲を聴くことを知る。 星」の曲の1部分であることを確認し、本時の学習におい

ては全曲を通して聴き、「木星」(管弦楽組曲「惑星」)を

全体的に味わうことを知らせる。

3 「木星」(管弦楽組曲「惑星

の曲の鑑賞。 ・第2部の主旋律の部分(主なふし4)が出てきたところで

①全曲を聴く中から第2部の主 挙手(パー)をしすぐに下ろし、第4主題の部分が終わっ

旋律の部分(主なふし4)を たら再び挙手 (グー)をしすぐおろして、曲を聴くよう

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聴き取る。 に指示する。

・曲が長いので、指揮をしたり、体を動かしたりしながら聴

いてよいことを知らせる。

◎指揮をしたり、体を動かしたり、メモを取った

りしながら、進んで音楽を聴こうとしている。

アー① (表情、動作、鑑賞の記録、発言)

・曲の構成をつかむ。 ・大きく分けて3つの部分から成り立っていることを、曲

の構成図を提示して知らせ、曲の構成をつかませる。

※曲の構成をわかり

やすくするために

色分けをした。

・主になる旋律を知る。 ・第1部には主なふし1、主なふし2、主なふし3があり

第2部の歌の部分は主なふし4であることを押さえる。

②第1部の主なふしの特徴を確 ・主な旋律の動き、曲の速さ、強弱、リズム、拍子などの

認する。 楽曲を特徴付けている要素や楽器の音色などを全員で確

認し、曲の特徴をつかませる。

主なふし1 主なふし1 シンコペーションのリズム、速い

主なふし2 主なふし2 リズミカル、強弱

主なふし3 主なふし3 3拍子のリズム、楽器の移り変わり

※オルガンで主なふし1・2・3のメロディを確認する ※シンコペーションのリズムを手拍子で確認する。

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・近くによって掲示したカードを見て確認させ、ともだち

の感じ取ったことをつかませる。

◎楽曲構成の中心となる主な旋律の特徴をとらえて感

じ取っている。ィー①(動作、発言、鑑賞の記録)

④第3部では、どのような演奏 ・予想通りの曲の展開であったかどうかみんなで確かめ、

であるか予想し、第 1部・第 曲の全体の構成について押さえる。

2 部で学習したふしの特徴を ・もう1度構成図を振りかえさせる。

確かめながら全曲を聴く。 ・第 1部・第 2部で学習したふしの特徴を振り返らせ、ふしの特徴を確かめながら、全曲を聴かせる。

◎楽曲構成の中心となる主な旋律の特徴をとらえて感

じ取っている。ィー①(動作、発言、鑑賞の記録)

5 本時のまとめ ・次時は「木星」をゆったりとした気持ちで曲全体を味わ

・次時は「木星」の曲全体を味 って聴くことを知らせる。

わって聴いたり、「木星」以 ・「木星」以外の惑星についても知らせ、その中から聴く

外の曲を聴くことを知る。 ことを知らせる。

7 指導と評価の実際例

~観察・発言、鑑賞の記録を中心とした評価方法の工夫(第一次の評価場面から)~

【7-1】○学習活動 全曲を聴き、曲の感じをつかむ。

◇評価規準 アの①:指揮をしたり、体を動かしたり、メモを取ったりしながら、進んで音楽を聴

こうとしている。

◇評価方法 表情や動作、学習カードなどを手がかりとする

Cと判断される状況への働きかけ

・音楽にのれない児童に対しては、教師の方で指揮のまねをして音楽にのらせたり、教師も表

情豊かに聴いている様子がわかるよう示す。

Aと判断するキーワード

□的確で曲想にあった動作 □曲の要素に関する言葉の記録

・初めて聴く曲であるが、いつ第2部ののメロディが出てくるかわくわくした気持ちで、体で拍

子をとりながら聴いていたり、指揮をしながら聴いたりしている姿、また、楽曲を特徴付けて

いる要素に気付いた発言をした姿や学習カードの記録が考えられる。

【7-2】○学習活動 主なふしの特徴を確認して曲を聴き、曲の感じをつかむ。

◇評価規準 ィの①:楽曲構成の中心となる主な旋律の特徴をとらえて感じ取っている。

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◇評価方法 手拍子や指揮をとる様子、発言や学習カードなどを手がかりとする。

Cと判断される状況への働きかけ

・何を中心に聴いてよいかわからない児童に対しては、教師の方から何に1番心を動かされた

か問い、それでもつかめない児童に対しては、「速さとか強弱はどうかな」とやや聴く範囲

を限定して聴いてあげるようにし、安心して聴き深めていくことができるような配慮を行う。

Aと判断するキーワード

□正しいリズム打ちや指揮の動作 □旋律の特徴についての気付き

・A と判断する児童の姿の例として、シンコペーションのリズムを正しく打ったり、民族舞踊風のメロディにのって体を動かしたり、3拍子のリズムを感じながら拍子を取ったり指揮をした

りする姿や、旋律の特徴を的確にとらえて発表したり、記録したりしている姿が考えられる。

8 観点別評価の進め方

【音楽への関心・意欲・態度】

学習活動における 具体的な評価方法

具体の評価規準 Cと判断される状況への働きかけ Aと判断するキーワード

アの① 【7-1に前掲】

アの② 【具体的な評価方法】 個人練習の様子、パート別練習の様子を観察する。

楽器の特徴を生

かした音色の楽器 【Cと判断される状況への働きかけ】

を選び、進んで楽 ・なかなか活動に取り組めない場合は、階名を楽譜に書くよう指示し、一緒

器の練習に取り組 に階名で歌い、曲の感じをつかませてから練習に取り組ませる。できないと

んでいる。 ころなどは、指使いを指導し、少しずつできるところをふやすようにし、で

きたときには称賛し努力を認める。

【Aと判断するキーワード】 □進んで練習 □良い音色

自分の担当する楽器を間違えずに演奏し、良い音を出そうと自分の演奏をよく聴いて集中して

練習したり、他の友だちに練習を促すような発言をし、進んで練習したりする姿をAとしたい。

【音楽的な感受や表現の工夫】

イの① 【7-2に前掲】

イの② 【具体的な評価方法】グループ活動の様子、楽器の演奏の様子を聴取・観察

3つのパートを する。

通して楽曲全体に 【Cと判断される状況への働きかけ】

流れる曲想を感じ 楽譜どおり演奏することがまずは大事なことであるが、演奏できないとこ

取ったり、音楽を ろがある場合は、一緒に吹いたりしてあげて少しでも演奏できるようにする。

構成している要素 その際、強く演奏するところを探させ、そこだけでも良いから間違えずにし

を感じ取ったりし っかり演奏するよう助言し、演奏の工夫につなげていく。

て音楽を工夫して

表現している。 【Aと判断するキーワード】□的確な強弱や速度、楽器の特徴を生かした音

色、バランスのとれた音量 □自主的な練習

Page 10: <事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱 …¼œ事例4> 題材名「曲想を感じ取ろう」(5時間扱い)小学校第6学年 ~一人一人の楽曲に対する感じ方を大切にし、音楽を特徴付けている要素と曲想とのかかわりに

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強弱記号、速度記号に気付き、それを生かした演奏を意識して練習に取り組んでいる。また、

みんなで合わせたときの音のバランスや各パートの音色の統一を考えて、自分で他の音をよく聴

きながら演奏している姿をAとする。

【表現の技能】

ウの① 【具体的な評価方法】グループ活動の様子、楽器の演奏の様子を聴取・観察

正しい奏法で間 する。

違えずに演奏し、 【Cと判断される状況への働きかけ】

流れに乗ってみん 楽譜どおり演奏することがまずは大事なことであるが、演奏できないとこ

なと合わせて合奏 ろがある場合は、一緒に吹いたりしてあげて少しでも演奏できるようにする。

している。 一緒に吹いてあげるときには、必ず教師の音を聴いて演奏するよう助言する。

【Aと判断するキーワード】□正しい奏法 □流れに乗った演奏

自分の担当するパートの旋律が間違えずに正しく演奏できる。グループのみんなと合わせても

間違えずに演奏し、相手の音を聴きながら、流れに乗ってスムーズに演奏できる姿をAとする。

ウの② 【具体的な評価方法】グループ活動の様子、発表の様子を聴取・観察する。

互いの音を聴き

ながら、工夫して 【Cと判断される状況への働きかけ】

演奏することがで グループでの演奏の時、曲想に気を遣わず音を出していた場合、ここでの

きる。 曲想作りのめあてを再度確認させ、どういう演奏をしたらよいか教師が手本

を示す。なかなか範奏に近付けなくても、繰り返し練習することにより、少

しずつ上達して聴けばよいことを話す。

【Aと判断するキーワード】□曲想を生かした演奏

速さに常に気を付け、強弱の場所をしっかり把握して演奏している。友だちの演奏をよく聴き

みんなで合わせようとする心構えや態度が見られ、一つにまとまった演奏をしようとしている姿

をAとする。

【鑑賞の能力】

エの① 【具体的な評価方法】表情や動作、発言の様子、鑑賞の記録などを手がか

楽曲構成の中心 りとする。

となる主な旋律に 【Cと判断される状況への働きかけ】

親しみ、楽曲全体 曲の感じがつかめない児童には、第1部で学習した曲の特徴をつかむため

の曲想や、その変 のポイントになる言葉を示し、曲の感じをつかませるようにする。

化に気付きその曲

の音楽表現のよさ 【Aと判断するキーワード】 □旋律の特徴についての気づき

や美しさを味わい □音楽用語を用いた記述

ながら聴いてい 聴こえてくる音に十分耳を傾けてじっくり聴き、旋律、速さ、強弱、リズ

る。 ム、楽器の音色などふしの特徴をつかむためのポイントに着目して聴き、

鑑賞後の感想がねらいにそった聴き方になっている時の姿が考えられる。

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音楽鑑賞カード6年 組( )

管弦楽組曲「惑星」 作曲者

より

☆第1部の主なふし1・2・3の特徴をつかもう。 ◎○△ ◎○△

主なふし ふしの特徴 感じ取れ ふしの特徴 感じ取れ

ましたか ましたか

主なふし1 シンコペーションのリズム 速いテンポ

第 (2回)

1 主なふし2 リズミカルなふし 強弱

(2回)

主なふし3 3拍子のリズム 楽器の音色の移り変わり

(6回)

☆第2部の主なふし4の特徴をつかもう。

聴く方法

1.第1部で曲をくわしく聴き取った方法を参考にして、第2部は自分で聴き進めていこう。

2.ふしの特徴について感じ取ったことをカードにまとめてみよう。

3.カードに記入できたら、前の黒板に掲示しよう。

☆第3部はどのような演奏か予想し、ふしの特徴を確かめながら全曲を通して聴こう。