101
4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受信機の技術仕様調査 4.1. 調査対象の受信機 既に運用されている GPS、 GLONASS 及び SBAS の信号に加え、実用化に向けて整備されつつあ る Galileo、Compass 及び実験中にあるわが国の QZSS の信号受信も可能とするマルチ GNSS 対応 受信機がすでに製品化されている。 インターネットホームページ及び GPS-WORLDGPS RECEIVER SURVEY 2011 などから各社の主力 製品と考えられる、マルチ GNSS 対応受信機を選択した。 受信機の選択基準は、 測量用ユーザー受信機であること 将来的なマルチ GNSS の対応が可能な受信機であること 静止測量、RTK 測量のいずれにも対応できること 各社の比較的新しい製品であること とした。 4.1.1. JAVAD社製受信機 調査対象としたJAVAD社製受信機を表 4-1に示す。 4-1 JAVAD 社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T 概略仕様 寸法:W: 109 mm x H: 35 mm x D: 141 mm 質量:401 g 3周波 GNSS 受信機 最大2GB の内蔵メモリ、シリアル/USB/イーサ ネット等の豊富なインターフェース、最大 100Hz まで位置・生データが出力可能、といっ た豊富なオプションを搭載可能な、3周波 GPS/GLONASS/Galileo 受信機。 オプションで QZSS(準天頂衛星)にも対応可能。 信号処理チャンネル数:216 国土地理院1級認定取得済 http://www.gnss.co.jp/products/m=1 4-1

4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

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4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受信機の技術仕様調査

4.1. 調査対象の受信機

既に運用されている GPS、 GLONASS 及び SBAS の信号に加え、実用化に向けて整備されつつあ

る Galileo、Compass 及び実験中にあるわが国の QZSS の信号受信も可能とするマルチ GNSS 対応

受信機がすでに製品化されている。

インターネットホームページ及び GPS-WORLDGPS RECEIVER SURVEY 2011 などから各社の主力

製品と考えられる、マルチ GNSS 対応受信機を選択した。

受信機の選択基準は、

・ 測量用ユーザー受信機であること

・ 将来的なマルチ GNSS の対応が可能な受信機であること

・ 静止測量、RTK 測量のいずれにも対応できること

・ 各社の比較的新しい製品であること

とした。

4.1.1. JAVAD社製受信機

調査対象としたJAVAD社製受信機を表 4-1に示す。

表 4-1 JAVAD 社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

外 観 概略仕様

寸法:W: 109 mm x H: 35 mm x D: 141 mm 質量:401 g

3周波 GNSS 受信機 最大2GB の内蔵メモリ、シリアル/USB/イーサ

ネット等の豊富なインターフェース、最大

100Hz まで位置・生データが出力可能、といっ

た豊富なオプションを搭載可能な、3周波

GPS/GLONASS/Galileo 受信機。 オプションで QZSS(準天頂衛星)にも対応可能。

信号処理チャンネル数:216 国土地理院1級認定取得済 http://www.gnss.co.jp/products/m=1

4-1

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受信機名称 ALPHA-G3T

外 観 概略仕様

寸法:W: 148 mm x H: 85 mm x D: 35 mm 質量:448 g

バッテリ内蔵型・世界最小クラス 3周波 GNSS 受信機 バッテリ内蔵型で最長約10時間の連続使用が

可能な、世界最小クラスの 3 周波

GPS/GLONASS/Galileo 対応受信機。オプショ

ンで QZSS(準天頂衛星)にも対応可能。 信号処理チャンネル数:216

受信機名称 TRIUMPH-1 外 観 概略仕様

寸法:W:178 mm x H:96 mm x D:178 mm 質量:1.7 kg

アンテナ一体型 3 周波 GNSS 受信機 メモリ、バッテリ内蔵型で最長約20時間の連

続使用が可能な、3 周波

GPS/GLONASS/Galileo 対応受信機。アンテナ

を含み UHF, GSM/CDMA2000, 及び Bluetooth/WiFi の通信機能を内蔵するオール

インワンタイプの受信機。外部バッテリ、外部

アンテナの使用も可能。 信号処理チャンネル数:216

受信機名称 TRIUMPH-VS

外 観 概略仕様

寸法:W:178 mm x H:109 mm x D:178 mm 質量:1.7 kg

革新的なデザイン、機能、操作性をもった多機

能型小型 3 周波 GNSS 受信機 タッチスクリーン型カラー液晶画面による優し

い操作性を持ち、2つのデジタルカメラ機能、

コンパス・傾斜計・レベル機能、メモリ・バッテリ

を内蔵した、世界初の多機能型高性能3周波

GNSS 受信機。 GPS/GLONASS/Galileo、オプ

ションで QZSS(準天頂衛星)にも対応可能。 信号処理チャンネル数:216

4-2

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4.1.2. Leica社製受信機

調査対象としたLeica社製受信機を表 4-2に示す。

表 4-2 Leica 社製受信機 受信機名称 GX1230+GNSS

外 観 概略仕様

寸法:186mm x 89mm 質量:1.12kg

3 周波、GPS/GLONASS/Galileo/Compass、測

地用、RTK 受信機 スタティック, 短縮スタティック, キネマティ

ック, オン・ザ・フライ, GPS/GLONASS/Galileo /Compass 対応 コード, 搬送波データ出力/記録 RTK, 後処理解析、DGPS/RTCM 標準, 測量, 測地, RTK 用アプリケーション 移動局または基準局として使用可能 信号処理チャンネル数:120

受信機名称 GS15 Professinal

外 観 概略仕様

寸法:196 mm x 198 mm 質量:1.34 kg

3周波 GNSS 受信機 4 つの衛星システム全ての GNSS 衛星からの信

号受信が可能

GPS/GLONASS/Galileo/Compass/SBAS 対応:

信号処理チャンネル数:120

4-3

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4.1.3. Trimble社製受信機

調査対象としたTrimble社製受信機を 表 4-3に示す。 表 4-3 Trimble 社製受信機

受信機名称 R8 GNSS 外 観 概略仕様

寸法:19cm ×11 .2cm 質量:1 .34kg (内部バッテリを含む)

最新の TRIMBLE R-TRACK テクノロジ 新しい CMRx 通信プロトコル 幅広い GNSS サポート

GPS/GLONASS/Galileo 移動局としてだけではなく基準局としての使用

も可能。 信号処理チャンネル数:220 国土地理院1級認定取得

受信機名称 BX982

外 観 概略仕様

寸法:261 mm x 140 mm x 55 mm 質量:1.6kg

ION で Trimble に推薦された受信機で BD982ボードを使用した汎用の GPS、GLONASS Galileo 対応の GNSS 受信機 移動局、基準局としての使用も可能 受信部は 2 重系で構成されており、2 個のアン

テナを接続することによりヘディングセンサー

としても機能する。 信号処理チャンネル数:220

4-4

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4.1.4. TOPCON社製受信機

調査対象としたTOPCON社製受信機を表 4-4に示す

表 4-4 TOPCON 社製受信機 受信機名称 GR-3

外 観 概略仕様

寸法:156.6×225×156.6mm 質量:1.8kg

アンテナ一体型 3 周波 GNSS 受信機 アンテナ、バッテリ、Bluetooth®、パケット通

信 モ ジ ュ ー ル を 内 蔵 し た 一 体 型

GPS/GLONASS 対応受信機。受信機にはデー

タを記録するための SD カードスロットを備

えており、スタティックおよびキネマティック

による後処理測量とリアルタイムキネマティッ

ク(RTK)測量とに対応することが可能。 GPS, GLONASS , GALILEO, SBAS 信号処理チャンネル数:72

受信機名称 GR-5

外 観 概略仕様

寸法:156.6×225×156.6mm 質量:1.8kg

アンテナ一体型 3 周波 GNSS 受信機 次世代 RTK GPS のシステム GR-3 の上位機種でチャンネル数を増加し追尾

衛整数を増加させた受信機。新しいアンテナは

特に低仰角の感度を向上。 アンテナ、バッテリ、Bluetooth®、パケット通

信 モ ジ ュ ー ル を 内 蔵 し た 一 体 型

GPS/GLONASS 対応受信機。受信機にはデー

タを記録するための SD SD/SDHC カードス

ロットを備えており、スタティックおよびキネ

マティックによる後処理測量とリアルタイムキ

ネマティック(RTK)測量とに対応することが

可能。 GPS, GLONASS , GALILEO, SBAS QZSS への拡張性 216 チャンネル

4-5

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4.1.5. NovAtel社製受信機

調査対象としたNovAtel社製受信機を表 4-5に示す。

表 4-5 NovAtel 社製受信機 受信機名称 DL-V3

外 観 概略仕様

寸法:185 x 162 x 76 mm 質量:1.3 kg

NovAtel の DL-V3 は、移動局、基準局の双方

に適用するよう設計された多目的高機能受信

機。 OEMV-3 カードを組込んだもの。 製品は GPS, GLONASS,SBAS に対応したもの

であるが,OEM6 カードにより GALILEO など

他のシステムにも対応可能という代理店の情報

により対象受信機とした。 GPS, GLONASS, SBAS, ( GALILEO) 信号処理チャンネル数:72

4-6

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4.2. 受信可能な信号

調査対象受信機が受信可能な信号をメーカ毎に表で示す。受信可能とは、最低限度擬似距

離や搬送波位相の観測データが得られることを意味するが、機種やメーカが異なれば、それ

らの測位演算における利用方法などには相違があることに留意が必要である。

4.2.1. JAVAD社製受信機

JAVAD社製受信機の受信可能信号を表 4-6に示す。

表 4-6 JAVAD 社製受信機受信信号一覧 JAVAD 受信機 DELTA

-G3T ALPHA

-G3T TRIUMPH

-1 TRIUMPH

-VS 受信信号 GPS L1 ○ ○ ○ ○

GPS L2 ○ ○ ○ ○

GPS L2C ○ ○ ○ ○

GPS L5 ○ ○ ○ ○

GLONASS L1 ○ ○ ○ ○

GLONASS L2 ○ ○ ○ ○

GLONASS L3 - - - ○

Galileo GIOVE-A ○ ○ ○ ○

Galileo GIOVE-B ○ ○ ○ ○

Galileo E1 ○ ○ ○ ○

Galileo E5A ○ ○ ○ ○

Galileo E5b - - - -

Galileo E5(Alt-BOC) - - - -

Galileo E6 - - - -

Compass - - - -

SBAS ○ ○ ○ ○

QZSS L1 ○*1 ○*1 ○*1 ○*1 L2C ○*1 ○*1 ○*1 ○*1 L1C ○*1 ○*1 ○*1 ○*1 L5 ○*1 ○*1 ○*1 ○*1 LEX - - - -

チャンネル数 216 216 216 216

*1 QZSS 信号受信

LEX を除いて他の信号はアップデートにより受信可能

http://www.javad.com/jgnss/javad/news/pr20101029.html

4-7

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4.2.2. Leica社製受信機

Leica社製受信機の受信可能信号を表 4-7に示す。

表 4-7 Leica 社製受信機受信信号一覧 Leica 受信機 GS-15

Professinal GX1230+GNSS

受信信号 GPS L1 ○ ○

GPS L2 ○ ○

GPS L2C ○ ○

GPS L5 ○ ○

GLONASS L1 ○ ○

GLONASS L2 ○ ○

GLONASS L3 - -

Galileo GIOVE-A ○ ○

Galileo GIOVE-B ○ ○

Galileo E1 ○ ○

Galileo E5a ○ ○

Galileo E5b ○ ○

Galileo E5(Alt-BOC) ○ ○

Galileo E6 - -

Compass ○*1 ○*1

SBAS ○ ○

QZSS L1 - -

L2C - -

L1C - -

L5 - -

LEX - -

チャンネル数 120 120

※1 Compass に対するメーカのコメント:Compass の信号は最終決定されていませんが、テス

ト信号をテスト環境で受信することを確認しています。信号構造の変更の可能性は残されてお

り、ライカジオシステムズ社は Compass への完全対応を保証はしていません。

4-8

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4.2.3. Trimble社製受信機

Trimble社製受信機の受信可能信号を表 4-8に示す。

表 4-8 Trimble 社製受信機受信可能信号一覧 Trimble 受信機 R8 GNSS BX982 受信信号 GPS L1 ○ ○

GPS L2 ○ ○

GPS L2C ○ ○

GPS L5 ○ ○

GLONASS L1 ○ ○

GLONASS L2 ○ ○

GLONASS L3 - -

Galileo GIOVE-A ○ ○

Galileo GIOVE-B ○ ○

Galileo E1 - ○

Galileo E5a - ○

Galileo E5b - ○

Galileo E5(Alt-BOC) - ○

Galileo E6 - -

Compass - -

SBAS ○ ○

QZSS L1 - -

L2C - -

L1C - -

L5 - -

LEX - -

チャンネル数 220 220

4-9

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4.2.4. TOPCON社製受信機

TOPCON社製受信機の受信可能信号を表 4-9に示す。

表 4-9 TOPCON 社製受信機受信可能信号一覧 TOPCON 受信機 GR-5 GR-3 GGDN 受信信号 GPS L1 ○ ○

GPS L2 ○ ○

GPS L2C ○ ○

GPS L5 ○ ○

GLONASS L1 ○ ○

GLONASS L2 ○ ○

GLONASS L3 - -

Galileo GIOVE-A ○ ○

Galileo GIOVE-B ○ ○

Galileo E1 ○ ○

Galileo E5a ○ ○

Galileo E5b - -

Galileo E5(Alt-BOC) - -

Galileo E6 - -

Compass - -

SBAS ○ ○

QZSS L1 ○*1 -

L2C - -

L1C - -

L5 - -

LEX - -

チャンネル数 216 72

*1 QZSS 対応可能という回答を得たが信号種類についての情報なし。

4-10

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4.2.5. Novatel社製受信機

NovAtel社製受信機の受信可能信号を表 4-10に示す。

表 4-10 NovAtel 社製受信機受信可能信号一覧 NovAtel 受信機 DL-V3 受信信号 GPS L1 ○

GPS L2 ○

GPS L2C ○

GPS L5 ○

GLONASS L1 ○

GLONASS L2 ○

GLONASS L3 -

Galileo GIOVE-A ○*1 Galileo GIOVE-B ○*1 Galileo E1 ○*1 Galileo E5a ○*1 Galileo E5b ○*1 Galileo E5(Alt-BOC) ○*1 Galileo E6 -

Compass ○*1 SBAS ○

QZSS L1 -

L2C -

L1C -

L5 -

LEX -

チャンネル数 72(129)

*1 必要であれば対応可能という代理店の回答を得た。

()内は Galileo 対応時のチャンネル数

4-11

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4.3. 保存データ容量および内部メモリと記録フォーマット

受信機のみでデータを保存するために、メモリを受信機基板上に設置しているタイプ(メ

モリの着脱不可)と、可搬可能な SD カード、CF カードあるいは USB 機器などの媒体に記

録する 2 種のタイプがある。 また内部メモリを有する受信機であっても、SD カード、USB 機器への記録も可能とする

タイプも存在する。 メモリに保存するデータのフォーマットについては基本的に自社の提供するポストプロセ

スで用いる処理プログラムで読み込みが出来れば問題ないことから各社独自のフォーマット

としているメーカが多く、基本的に非公開扱いとされている。

4.3.1. JAVAD社製受信機

JAVAD社製受信機の保存データ容量等を表 4-11に示す。

表 4-11 JAVAD 社製受信機の保存データ容量等一覧表 受信機 保存データ容量 内部メモリ DATA FORMAT

DELTA-G3T 2048MB (最大)

0 MB(標準) 2048MB(最大)

JPS FORMAT(非公開)

1 Hz, 5Hz, 10Hz, 20Hz, 50Hz & 100Hz ALPHA-G3T 256MB

(最大) 0 MB(標準) 256MB(最大)

TRIUMPH-1 2048MB (最大)

256 MB(標準)

2048MB(最大)

JPS FORMAT(非公開)

5Hz, 10Hz, 20Hz, 50Hz & 100Hz

TRIUMPH-VS 2048MB (最大)

2048MB(最大) JPS FORMAT(非公開)

最大 100Hz 保存データの

RINEX などへ

の変換

JPS2RIN というソフトで JPS FORMAT から以下の RINEX への

変換ができる。 RINEX 2.xx (including 2.10/2.11/2.12) RINEX 3.0 RINEX 3.01

ソフトは JAVAD 社のホームページからダウンロードが可能。 http://javad.com/jgnss/products/software/jps2rin.html

4-12

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4.3.2. Leica社製受信機

Leica社製受信機の保存データ容量等を表 4-12に示す。

表 4-12 Leica 社製受信機の保存データ容量等一覧表

受信機 保存データ容量 内部メモリ DATA FORMAT GX1230

+GNSS 容量 256MB で : 記録間隔 15 秒 L1+L2 データ収集時

約 2,000 時間

記録間隔 60 秒 L1+L2 データ収集

約 8,000 時間

コ ー ド 付 き で 約

360,000 点の RTK ポ

イントデータ

内部メモリー (オプション): 256MB コンパクトフラ

ッシュカード: 256MB-1GB

•Leica LDB (非公開)

•RINEX

GS15 Professinal

1 GB は GPS と

GLONASS (8+4 衛星)

データを 15 秒間隔で

280 日間記録できる容

着脱 SD カード: 1 GB

Leica GNSS 生データ

RINEX データ

20 Hz まで

保存データの

RINEX などへ

の変換

Leica Geo Office Softwareというソフトで変換が可能なようであるが

明確な情報は得られていない。 ソフトは以下の Leica 社のホームページからダウンロードが可能。た

だし、ユーザー登録が必要。 http://www.leica-geosystems.com/en/page_catalog.htm?cid=3081

4-13

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4.3.3. Trimble社製受信機

Trimble社製受信機の保存データ容量等を表 4-13に示す。

表 4-13 Trimble 社製受信機の保存データ容量等一覧表 Trimble

受信機 保存データ容量 内部メモリ DATA FORMAT R8 GNSS 生データ40 .7日間

分(約 1 .4MB/日)、平均 14衛星のデー

タを 15秒間隔で記

録した場合

57MB 独自フォーマット Trimble.DAT(非公開)

BX982 50MB 50MB Memory Available with Special Option *IONでの情報に

よる

非公開

保存データの

RINEX などへ

の変換

Convert To Rinex というソフトで以下の RINEX に変換ができる。

RINEX 2.10, 2.11 RINEX 3.00 ソフトは Trimble 社のホームページからダウンロードが可能。 http://www.trimble.com/trimblerinex_ts.asp

4-14

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4.3.4. TOPCON社製受信機

TOPCON社製受信機の保存データ容量等を表 4-14に示す。

表 4-14 TOPCON 社製受信機の保存データ容量等一覧 受信機 保存データ容量 内部メモリ DATA FORMAT

GR-5 2GB 32GB(SDHC 使用

時)

SD/SDHC Memory Card 2GB

TPS(トプコン独自) RTCM2.3/3 CMR CMR+ NMEA Binex

GR-3 GGDN 1GB SD Memory カード

15 秒間隔、L1/L2、

7 衛星で 53 時間

オンボードメモリ

8MB

保 存 デ ー タ の

RINEX などへの

変換

トプコン独自の TPS ファイルは TOPCON LINK あるいは

TPS2RIN というソフトで Rinex 2.10 へ変換ができる。 ソフトは以下のトプコン社のホームページからダウンロードが可

能。ただし、登録が必要。 http://www.topconpositioning.com/products/software/updaters-and-utilities/utilities TOPCON LINK の マ ニ ュ ア ル は 以 下 で 参 照 で き る 。

http://www.midwestsurveyors.com/downloads/topconlinkman.pdf

4-15

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4.3.5. Novatel社製受信機

NovAtel社製受信機の保存データ容量等を表 4-15に示す。

表 4-15 NovAtel 社製受信機の保存データ容量等一覧 Novatel

受信機 保存データ容量 内部メモリ DATA FORMAT DL-V3 約 138 日分

(CFカード 2GBの時)

CF カード Novatel 独自フォーマッ

ト(公開) RAW データ

保 存 デ ー タ の

RINEX などへ

の変換

処理ソフト Convert4(受信機付属)で RINEX 2.10 への変換が

可能 後処理ソフト GrafNav で RINEX 3.00 への変換が可能

4-16

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4.4. リアルタイムデータ配信プロトコルの有無

4.4.1. JAVAD社製受信機

JAVAD社製受信機の有するリアルタイムデータ配信プロトコルを表 4-16に示す。

表 4-16 JAVAD 社製受信機リアルタイムデータ配信プロトコル一覧 受信機 配信プロトコル 配信データ FORMAT

DELTA-G3T RS232 460.8 kbps RS422 460.8 Kbps USB 2.0 480 Mbps Ethernet 10BASE-T/100BASE-TX CAN(Controller Area Network)

RTCMSC104 Ver. 2.x and 3.xNMEA 0183 Ver. 2.x and 3.0 1 Hz, 5Hz, 10Hz, 20Hz, 50Hz & 100Hz

ALPHA-G3T 1x RS232 460.8 kbps USB 2.0 12 Mbps Bluetooth V1.1 Class 2

RTCMSC104 Ver. 2.x and 3.xNMEA 0183 Ver. 2.x and 3.0 1 Hz, 5Hz, 10Hz, 20Hz, 50Hz & 100Hz

TRIUMPH-1 RS232 460.8 kbps USB 2.0 480 Mbps Ethernet 10BASE-T/100BASE-TX Wi-Fi (IEEE 802.11b/g) Bluetooth V2.0+EDR Class 2

RTCMSC104 versions 2.x and 3.x NMEA 0183 versions 2.x and 3.0 10Hz, 20Hz, 50Hz & 100Hz

TRIUMPH-SV Wi-Fi (IEEE 802.11b/g) Bluetooth V2.0+EDR Class 2 supporting SPP Slave and Master Profiles Ethernet 10BASE-T/100BASE-TX USB 2.0

RTCMSC104 Ver. 2.x and 3.xNMEA 0183 versions 2.x and 3.0 Up to 100Hz

4-17

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4.4.2. Leica社製受信機

Leica社製受信機の有するリアルタイムデータ配信プロトコルを表 4-17に示す。

表 4-17 Leica 社製受信機リアルタイムデータ配信プロトコル一覧 受信機 配信プロトコル 配信データ FORMAT

GX1230+GNSS RS232 USB

Leica 独自フォーマット Leica、Leica4G(非公開)

CMR, CMR+ RTCM V2.1/2.2/2.3/3.0/3.1 NMEA 0183 V3.00 RTK 移動局は Leica Spider の

i-Max/Max フォーマット、仮想基

準点(VRS)、面補正パラメータ

(FKP)による基準局ネットワー

クに完全対応

GS15 Professinal RS232 Lemo USB / RS232 Lemo UART シリアル /USB (着脱式内部 RTK デバ

イス用) Bluetooth ® ポート、

Bluetooth ® v 2.00 + EDR、 クラス 2

無線モデム CDMA 電話モデム

Leica 独自フォーマット Leica、Leica4G(非公開)

CMR, CMR+

RTCM V2.1//2.3/3.0/3.1 NMEA 0183 V 2.20

4-18

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4.4.3. Trimble社製受信機

Trimble社製受信機の有するリアルタイムデータ配信プロトコルを表 4-18に示す。

表 4-18 Trimble 社製受信機リアルタイムデータ配信プロトコル一覧 受信機 配信プロトコル 配信データ FORMAT

R8 GNSS 3線シリアル(7ピンLemo) RS-232 (Dsub9 ピン) 2 .4GHz 通信ポート

(Bluetooth ® ) 7 搭載 RTK および VRS 観測用モ

デムのための外付け携帯

電話をサポート

CMR+ CMRx RTCM 2 .1/2 .3/3 .0/3 .1 1Hz、2Hz、5Hz、10Hz、と 20Hz 16 種類の NMEA 出力、GSOFおよび RT17 出力。BINEX およ

び搬送波スムージングをサポー

BX982 USB CAN RS232 Ethernet

10BaseT/100BaseT networks HTTP (web GUI) NTP Server NMEA, GSOF, CMR over

TCP/IP or UDP NTripCaster, NTripServer, NTripClient mDNS/uPnPService discovery Dynamic DNS eMail alerts Network link to Google Earth Support for external modems via PPP

CMR+ CMRx RTCM 2 .1/2 .3/3 .0/3 .1 Navigation outputs ASCII: NMEA-0183 Trimble GSOF 1Hz,2Hz,5Hz,10Hz,20&50Hz

4-19

Page 20: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4.4.4. TOPCON社製受信機

TOPCON社製受信機の有するリアルタイムデータ配信プロトコルを表 4-19に示す。

表 4-19 TOPCON 社製受信機リアルタイムデータ配信プロトコル一覧 受信機 配信プロトコル 配信データ FORMAT

GR-5 シリアルポート USB Bluetooth 内蔵無線機 内蔵携帯モデム

TPS(トプコン独自) RTCM2.3/3 CMR CMR+ NMEA Binex

GR-3 GGDN シリアルポート USB Bluetooth 内蔵無線機 内蔵携帯モデム

TPS(トプコン独自) RTCM2.3/3 CMR/ CMR+ Binex NMEA

4-20

Page 21: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-21

4.4.5. Novatel社製受信機

NovAtel社製受信機の有するリアルタイムデータ配信プロトコルを表 4-20に示す。

表 4-20 NovAtel 社製受信機リアルタイムデータ配信プロトコル一覧 受信機 配信プロトコル 配信データ FORMAT

DL-V3 シリアル

RS-232

USB、

Ethernet

Bluetooth

RTCM CMR CMR+ NMEA RTCA DO-217

Page 22: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

JAVAD 社の受信機仕様を表 4-21 に示す。

表 4-21 JAVAD 社受信機仕様一覧 受信機メーカ 受信機 受信可能な

信 号 保存データ量 内部メモリ リアルタイム

データ配信

プロトコル(I/F)

データ

フォーマット

(配 信)

フォーマット

(保存データ)

市場価格 クロック

ドリフト補正

コンタクトポイント 備 考

JAVAD DELTA-G3T GPS GLONASS Galileo SBAS QZSS

2G(最大) 0 MB(標準) 2GB(最大)

CAN RS232 RS422 USB 2.0 Ethernet

RTCM NMEA

非公開 Code and Carrier

WEB $27,858

情報得られず 測位衛星技術 (株) http://www.javad.com/jgnss/ products/receivers/alpha.html

ALPHA-G3T GPS GLONASS Galileo SBAS QZSS

256MB (最大)

0 MB(標準) 256MB(最大)

RS232 USB 2.0 Bluetooth

RTCM NMEA

非公開 Code and Carrier

WEB $20,488

TRIUMPH-1 GPS GLONASS Galileo SBAS QZSS

2GB(最大) 256 MB(標準) 2GB(最大)

RS232 USB 2.0 Ethernet Wi-Fi Bluetooth

RTCM NMEA

非公開 Code and Carrier

WEB $31,950

TRIUMPH-VS GPS GLONASS Galileo SBAS QZSS

2GB(最大) 256 MB(標準) 2GB(最大)

Wi-Fi Bluetooth Ethernet USB 2.0

RTCM NMEA

非公開 Code and Carrier

WEB $35,300

DELTA-G3T ALPHA-G3T TRIUMPH-1 TRIUMPH-VS

JAVAD 社受信機の情報源 http://www.gnss.co.jp/

http://www.javad.com/jgnss/products/receivers/alpha.html

4-22

Page 23: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

Trimble 社の受信機仕様を表 4-22 に示す

表 4-22 Trimble 社受信機仕様一覧 受信機メーカ 受信機 受信可能な

信 号 保存データ量 内部メモリ リアルタイム

データ配信

プロトコル(I/F)

データ

フォーマット

(配 信)

フォーマット

(保存データ)

市場価格 クロック

ドリフト補正

コンタクトポイント 備考

Trimble R8 GNSS GPS GLONASS: Galileo SBAS:

生データ 40 .7日 間 分 ( 約

1 .4MB/日)、 平均 14 衛星の

データを 15 秒

間隔で記録し

た場合

57MB 3 線シリアル (7ピンLemo)。RS-232 Bluetooth

CMR+ CMRx RTCM NMEA GSOF RT17 BINEX

非公開 DAT Trimble 独自

318 万円 情報得られず ニコン・トリンブル社

BX982 は BD982 カ ードを Enclose した製品

BX982 GPS GLONASS Galileo SBAS

右記の通り 50MB Memory Available with Special Option

USB CAN Ethernet RS232

CMR CMR+ CMRx RTCM NMEA

国内未発売 要望があれば

対応できる

Steering On/Off の設 定可

R8 GNSS BX982 Trimble 社受信機の情報源

http://www.nikon-trimble.co.jp/survey/index.html http://www.trimble.com/survey/GNSS-Surveying-Systems.aspx

4-23

Page 24: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

TOPCON 社の受信機仕様を表 4-23 に示す。

表 4-23 TOPCON 社受信機仕様一覧 受信機メーカ 受信機 受信可能な

信 号 保存データ量 内部メモリ リアルタイム

データ配信

プロトコル(I/F)

データ

フォーマット

(配 信)

フォーマット

(保存データ)

市場価格 クロック

ドリフト補正

コンタクトポイント 備 考

TOPCON GR-5 GPS GLONASS Galileo SBAS

2GB 32GB(SDHC 使

用時)

SD/SDHC Memory Card

シリアルポート USB Bluetooth 内蔵無線機 内蔵携帯モデム

TPS(非公開)

RTCM CMR CMR+ Binex NMEA

同左

非公開 株式会社 トブコン トプコン独自の

TPS ファイルは

TOPCON LINKというソフトで

Rinex 等への変換

が可能。 GR-3 GPS

GLONASS Galileo SBAS

1GB SD Memory Card

シリアルポート USB Bluetooth 内蔵無線機 内蔵携帯モデム

TPS(非公開)

RTCM CMR CMR+ Binex NMEA

同左 260-350 万円

構成による。

非公開

GR-5 GR-3

TOPCON 社受信機の情報源 http://www.topcon.co.jp/positioning/products/product/gnss/ http://www.topconpositioning.com/products/gps/receivers

4-24

Page 25: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

Leica 社の受信機仕様を表 4-24 に示す。

表 4-24 Leica 社受信機仕様一覧 受信機メーカ 受信機 受信可能な

信 号 保存データ量 内部メモリ リアルタイム

データ配信

プロトコル

(I/F)

データ

フォーマット

(配 信)

フォーマット

(保存データ)

市場価格 クロック

ドリフト補正

コンタクト

ポイント

備 考

Leica GX1230+GNSS

GPS GLONASS Galileo Compass* SBAS

容量 256MB のとき: ・記録間隔 15 秒

L1+L2 データ収集時 約 2,000 時間

・記録間隔 60 秒 L1+L2 データ収集時 約 8,000 時間

・コード付きで約

360,000 点の RTK ポ

イントデータ

内部メモリー (オプション): 256MB コンパクトフラッ

シュカード: 256MB-1GB

RS232 USB

Leica 独自 Leica Leica 4G (非公開)

CMR CMR+ RTCM NMEA

Leica 独自 Leica LDB

(非公開) RINEX

標準価格

(税別)

270 万円

http://www.ys2000.ne

t/

leica/gps1200.html

スイス本社の

決済を要する

(公開は出来

ない)

Leica Japan

GS15 Professinal

GPS GLONASS Galileo Compass* SBAS

1 GB は GPS GLONASS (8+4 衛星)データを 15 秒間隔

で 280 日間記録できる

容量

着脱 SD カード:

1 GB RS232 USB Bluetooth 無線モデム CDMA 電話

モデム

Leica GNSS 生デ

ータ RINEX

*Compass の信号は最終決定されていませんが、テスト信号をテスト環境で受信することを確認。信号構造の変更の可能性は残されており、ライカジオシステムズ社は Compass への完全対応を保証はされていませ

ん。

GX1230+GNSS GS15

Leica 社受信機の情報源 http://www.leica-geosystems.co.jp/jp/GPSGNSS_4224.htm http://www.leica-geosystems.us/en/Leica-Viva-GS10-GS15_86596.htm

4-25

Page 26: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-26

NovAtel 社の受信機仕様を表 4-25 に示す。

表 4-25 NovAtel 社受信機仕様一覧

受信機メーカ 受信機 受信可能な 信 号

保存データ量 内部メモリ リアルタイム

データ配信

プロトコル(I/F)

データ

フォーマット

(配 信)

フォーマット

(保存データ)

市場価格 クロック

ドリフト補正

コンタクトポイント 備 考

NovAtel DL-V3 GPS GLONASS Galileo* Compass* SBAS

約 138 日分 (CF カード

2GB の時)

CF カードスロ

ット

シリアル

USB

Ethernet

Bluetooth

RTCM CMR CMR+ NMEA RTCA DO-217

NovAtel 独自

フォーマット

(公開) RAW データ 受信機付属の

ソ フ ト で

RINEXへの変

換が可能

OPEN 価格

受信機は

ON/OFFの設

定可能

(株)アムテックス Galileo, Compassはボード交換によ

り対応可能

http://www.novatel.com/products/gnss-receivers/oem-receiver-boards/oem6-receivers/ http://www.novatel.com/products/gnss-receivers/enclosures/dl-v3/

NovAtel 社受信機の情報源

http://www.amtechs.co.jp/

DL-V3

Page 27: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

表 4-26 に各社受信金の受信可能な信号一覧を示す。

表 4-26 各社受信機の受信可能な信号一覧 受信機メーカ JAVAD Leica Trimble TOPCON NovAtel

受信機型式 受信信号

DELTA -G3T

ALPHA -G3T

TRIUMPH -1

TRIUMPH-VS

GX1230+GNSS

GS-15 Professinal

R8 GNSS BX982 GR-5 GR-3 GGDN DL-V3

GPS L1 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

GPS L2 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

GPS L2C ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

GPS L5 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

GLONASS L1 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

GLONASS L2 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

GLONASS L3 - - - ○ - - - - - - -

Galileo GIOVE-A ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○*4 Galileo GIOVE-B ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○*4 Galileo E1 ○ ○ ○ ○ ○ ○ - ○ ○ ○ ○*4 Galileo E5a ○ ○ ○ ○ ○ ○ - ○ ○ ○ ○*4 Galileo E5b - - - - ○ ○ - ○ - - ○*4 Galileo E5(Alt-BOC) - - - - ○ ○ - ○ - - ○*4 Galileo E6 - - - - - - - - - - -

Compass - - - - ○*2 ○*2 - - - - ○*4 SBAS ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

QZSS L1 ○*1 ○*1 ○*1 ○*1 - - - - ○*3 - -

L2C ○*1 ○*1 ○*1 ○*1 - - - - - - -

L1C ○*1 ○*1 ○*1 ○*1 - - - - - - -

L5 ○*1 ○*1 ○*1 ○*1 - - - - - - -

LEX - - - - - - - - - - -

チャンネル数 216 216 216 216 120 120 220 220 216 72 72(129)

*1 QZSS信号はソフトウエアアップデートにより受信可能 http://www.javad.com/jgnss/javad/news/pr20101029.html *2 Compass に対するメーカ Leica 社のコメント

Compass の信号は 終決定されていませんが、テスト信号をテスト環境で受信することを確認しています。信号構造の変更の可能性は残されており、ライカジオシステムズ社は Compass への

完全対応を保証はしていません。

*3 QZSS 対応可能という回答を得たが信号種類についての情報は得られていない。 *4 ボード入れ替えで対応。OEM3 を OEM6 へ。()内チャンネル数は Galileo 対応時のチャンネル数。

4-27

Page 28: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-28

4.5. データフォーマット

4.5.1. CMR/CMR+フォーマット

4.5.1.1. 概 要 CMR(Compact Measurement Record)は RTK 測位に必要な基準局から移動局へのデータ

伝送のために Trimble 社によって開発されたプロトコル[1]である。 高精度 RTK 測位ユーザのために、RTCM は SC-104 version 2.1 にて、メッセージタイプ

18~21 を定義した。しかし、RTCM メッセージはフレームの構成上、データ効率が悪くまた

データリンクでの圧縮アルゴリズムの導入も困難であった。また他の受信機メーカでも CMRと類似のプロトコルを有していたが、基準局と移動局の受信機メーカで、他社製品を採用する

ことができないなど、ユーザにとって不便な点があった。 このため、トリンブル社は RTCM version 2.1 の欠点を補い、他のメーカが採用することに

より、ユーザの利便性を向上すべく 1996 年にフォーマットを公開(Compact Data Transmission Standard for High-Precision GPS)し、結果として多数のメーカがこのフォー

マットをサポートしている。 CMR+は、公開はされていないが、Trimble 社から他社へ移籍した技術者などによって情報

が伝えられるなどにより、このフォーマットをサポートしているメーカも存在する。

Compact Measurement Record (CMR)フォーマットはパケット構成で、L1 及び L2 の擬似

距離及び搬送波位相用のメッセージタイプと基準局の位置と解説メッセージを持つ。 CMRフォーマットはメッセージプロトコルと観測データに対する圧縮及び復元(解凍)ア

ルゴリズムを含む。すべてのCMRメッセージは以下の順で送信され、メッセージ本体(Data Block)は、6 バイトのフレームヘッダーとテイルとの間に挟まれている。(図 4-1 参照)

・ パケット開始の ID ・ メッセージタイプ ・ メッセージ長 ・ CMR メッセージ ・ チェックサム ・ パケット終了の ID

RTK 測位のために以下の三つのメッセージタイプが定義されている。 ・ 観測データ(Measurements)(Message Type 0):

L1 と L2 の搬送波位相及び擬似距離観測量 ・ 基準局位置 (Reference Station Location)(Message Type 1):

WGS84 座標系による基準局(Reference Station)位置及びアンテナオフセット ・ 基準局の説明(Reference Station Description)(Message Type 2):

テキストによる基準局名と情報

Page 29: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-29

STX

Status

Type

Length

Data Block

Checksum

ETX

PacketHeader

(4Bytes)

PacketTail

(2Bytes)

1

2

3

4

5

6

n-2

n-1

n

Byte

Data Block(n-6 Bytes)

PacketFrame

(6Bytes)

Data Header(6 Bytes)

Data Body(n-12 Bytes)

ver./STN.ID

Type/SVcount

Clk Status

Clk Offset

Epoch Time

Data Packet Data(CMR Message) Block

1

2

3

4

5

6

Byte

n-8

n-7

n-6

パケット開始ID

パケット終了ID

図 4-1 CMR メッセージの構造

観測データは通常 1 秒周期で送信され、基準局の位置及び説明は 10 秒周期で(同時ではな

く交互に)送信される。 各データブロックはヘッダー部とデータ部に分けられ、ヘッダー部にはメッセージバージョ

ン番号、局識別、メッセージタイプ、エポック時刻等の情報が含まれる。 観測データは 2400 ボーで送信可能なように、データの圧縮が行われている。RTK 測位では

基準局と移動局の距離は(このフォーマットが作成された当時は)10km 程度であり、擬似距

離はほぼ同じものが観測できるため、すべての範囲を送信する必要はなく、時間に換算して

1ms(299,792.458 m)の範囲を送信している。また搬送波位相の変化は擬似距離の変化とほ

ぼ一致しているため、擬似距離からのオフセットを送信すれば、搬送波位相の情報を復元する

ことができる。したがって、擬似距離及び搬送波位相の観測データはすべて L1 の擬似距離か

らの差分を送信する。 L1 擬似距離を基準に搬送波位相の情報を正しく伝えることができるよう、擬似距離観測デ

ータと搬送波の差は搬送波位相の単位(サイクル)で送信する。擬似距離と搬送波位相とは、

L1 C/A コードの場合、 擬似距離 299,792.458 (m) = 1 (ms) = 1023 (chip) = 1,575,420.000 (cycle)

の関係で結ばれており、擬似距離、搬送波位相の単位を共通の“サイクル”とすることで、図 4-2 のような形でデータを送信しても、搬送波位相観測データの少数部分の情報(絶対値)を

損なうことがない。(データ受信側で再生することができる) また時刻についても同様に基準局と移動局はいずれも独自に GPS 時刻を得ているため、デ

ータ伝送の遅延によって誤りを生ずる恐れのない範囲の時刻情報を送信すればよく、エポック

時刻として GPS 時刻の 240 秒の剰余の値のみを送信する。

Page 30: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-30

表 4-27 送信される観測データ

観測データ CMR フォーマット送信データ 備 考 L1 擬似距離 1ms の範囲内で送信 図 4-24-2 ① L1 搬送波位相 L1 擬似距離とのオフセット成分 図 4-24-2 ② L2 擬似距離 L1 擬似距離とのオフセット成分 図 4-24-2 ③ L2 搬送波位相 L1 擬似距離とのオフセット成分 図 4-24-2 ④

0

n ms

L1擬似距離観測デ ータ

L2擬似距離観測デ ータ

①送信されるL1擬似距離観測データ

③②

L2擬似距離

L2搬送波位相

L1搬送波位相

L1擬似距離

n(整数)msこの部分は送信されない

図 4-2 送信される観測データの抽出

4.5.1.2. パケットヘッダー、パケットテイルの詳細 各データ(データヘッダー+データ本体)は 表 4-28 に示す 6 バイトのパケットヘッダー及

びパケットテイルの間で送信される。

表 4-28 CMR のパケット定義

パラメータ バイト数 内 容

パケット ヘッダー

STX 1 送信開始 (0x02)

ステータス 1 ステータスバイト (0x00)

タイプ 1 CMRメッセージタイプ:

0 – 観測データ; 1 – 基準局位置; 2 – 基準局情報

長さ 1 メッセージ長(バイト)

データヘッダー 6

データ本体 定義による 以下で定義した CMR メッセージデータ

パケット

テイル

チェックサム 1 チェックサム:(Status + Type + Length + Data Block)

mod 256

ETX 1 送信の終了

チェックサムが設けられているが、移動局で正しいデータが受信できることを保障するよう、

さらに適当な誤り検出の手法を用いることはデータリンク側の責任である。

Page 31: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-31

4.5.1.3. 観測データ (Message Type 0) CMR観測データはヘッダー部とデータ部に分けられる。ヘッダー部は観測エポック毎に送信

され、観測時刻、データ部に含まれる衛星数等の情報を持つ。データ部は、基準局で観測され

ている衛星数分繰り返される。

観測データのヘッダー部の内容を 表 4-29 に、データ部の内容を 表 4-30 に示す。また、L2データ部の内容を 表 4-31 に示す。L2 データ部はデータ部の直後に続く。

表 4-29 観測データ ヘッダー構造

項 目 ビット数 範 囲 単 位 スケールファクタ

内 容

バージョン

番号

3 0 - 7 - バージョン番号。現在Version 3まで定義されている。

4000SSE受信機の中には、0、1及び2を出力するものがあり、

以下に示すように、クロックオフセットパラメータの扱いに

影響を与える。

局識別 5 0 - 31 - 基準局ID

メッセージ

タイプ

3 0 - 7 - メッセージタイプ。

観測データはタイプ0(ゼロ)である。

衛星数 5 0 - 31 - 以下の観測データ中に含まれる衛星の数

エポック

時 刻

18 0 -

240,000 ミリ秒 GPSデータ観測タイミング(エポック時刻)の240秒の剰余。

単位はミリ秒で、18ビットの符号なし整数の型で送信され

る。

移動局は自身で概算時刻を把握しているため、240秒以下の

不確定性は受信機自身で排除できることを想定している。

クロックバ

イアス有効

2 0 - 3 0 – 無効

3 – 有効

基準局受信機のクロックオフセットが有効か無効かを示す

クロック

オフセット

12 +/- 0.5

ミリ秒

500

ナノ秒

Version 0-2:クロックオフセットは0~1msの間に維持され、

送信前に0.5msが差し引かれる

Version 3:クロックオフセットは-0.5から+0.5msの範囲で与

えられる。

クロックを GPS 時刻に一致させようとする受信機はクロッ

クオフセットパラメータをゼロとなるようにしなければな

らない 合 計 48

MSB LSB

15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0

Version Station ID Type Number of SVs

---------------------------------------------- Epoch Time --------------------------------------------------

-------- ClkState ------------------------------- Clock Offset --------------------------------

表 4-30 観測データ データブロック構造

Page 32: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-32

項 目 ビット数 範 囲 単 位 スケールファクタ

内 容

衛星番号 5 0 - 31 - 擬似雑音符号番号(PRN)による識別

Pコード /

CAコードフラ

グ

1 0, 1 0 – CAコード

1 – Pコード

L1又はL2帯で追尾中のコードの種別を示す

L1 位相デ

ータ有効

1 0, 1 0 – 無効

1 – 有効

位相データの有効性を示す。有効なときのみ位相データを使

用すること

L2データ

の有無

1 0, 1 “0”:L1データのみ

“1”:この後に表 4-314-31 に示すL2データが続く

CAコード

擬似距離

24 0 – 221 L1

サイクル

1/8 L1

サイクル

L1擬似距離は、1/8 L1サイクル(約2.5cm)単位、光速1ミ

リ秒(299792.458 m)のモジュロで送信される(訳注:0~

1575420L1サイクル。距離換算約300km)

キャリア-

コード

20 +/- 219

(1/256

L1 cycles)

1/256 L1

サイクル

コード観測データを基準としたキャリア位相データ

キャリア位相は1/256 L1サイクルで量子化され、+/- 219の。

範囲で送信される

SNR 4 0 - 15 LSBは2

SNRカウン

トに相当

信号対雑音

サイクルスリップ

カウント

8 0 - 255 - この衛星にサイクルスリップが生じたとき、カウントアップ

する

移動局は、観測エポックの間でカウントが増加した場合はサ

イクルスリップが生じたものとしなければならない

合 計 64

MSB LSB 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0

------^---- SV ----------- P/C Ph L2 ---------------- Pseudorange ------------------ -------------------------------------------- Pseudorange (cont) ------------------------------------------

------------------------------------------- Carrier – Code ------------------------------------------------- ----------------------- ----- SNR ------- ---------------- Cycle Slip Count ---------

Page 33: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-33

表 4-31 観測データ L2 データブロック構造

項 目 ビット数 範 囲 単 位 スケールファクタ

内 容

L2 コード

利用可能

(A)

1 0, 1 0 – コード

利用不可

1 – 利用可

秘匿されたL2コードを追尾する能力を有する受信機はL2コ

ードデータが得られることを示すために、このフラグをセッ

トする

(訳注:セミコードレス追尾などによりP(Y)信号を受信でき

る場合は”1”となる)

P-コード /

クロス相関

(B)

1 0, 1 0 – Pコード

1 – クロス相関

L2で収集したコードデータのタイプを示す。コードに関する

情報がない場合、このビットは無視される

(約注:PコードはL2帯の信号のみで追尾を行っている場

合。クロス相関はL1帯の信号も利用している場合のこと。ク

ロス処理を行うとC/N0を約3dB向上させることができる)

コード有効

(C)

1 0, 1 0 – 無効

1 – 有効

L2コード情報の有効性を示す

位相有効

(D)

1 0, 1 0 – 無効

1 – 有効

L2位相情報の有効性を示す

全位相

(E)

1 0, 1 0 – 半波長

1 – 全波長

L2位相データの波長を示す。スクエアリングによってL2搬送

波を追尾している受信機はこのフラグをクリアしなければ

ならない

(訳注:スクエアリング処理は受信機内部で、擬似雑音符号

を発生させる必要がない反面、反面追尾性能が劣る。初期の

測量用受信機に良く利用された)

予約 3 - - -

L2距離-

L1距離

16 +/- 215

センチメータ

1 センチメータ L1距離観測値を基準としたL2距離。整数のセンチメータ単位

で放送

L2搬送波-

L1コード

20 +/-219

(1/256

L2サイクル)

1/256

L2サイクル

L1コード観測値を基準としたL2搬送波位相観測値

L2搬送波-L1コードの単位は、L2全波長の1/256であり、半

波長データではL2半波長の1/256である

L2 SNR 4 0 - 15 LSB=2SNR

カウント

L1 SNRと同様に定義されたL2の信号対雑音比

L2サイクル

スリップ回数

8 0 - 255 - L2サイクルスリップ回数は受信機で積算されたサイクルス

リップの回数 合 計 56

MSB LSB 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0

A B C D E Reserved ------------- L2 – L1 Range ------------------- ----------------------------------------------------- ---------- L2 Phase minus L1 Code -------- --------------------------------------------------------------------------------- -- ----- SNR -------

----------- L2 Cycle Slip Count ---------

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4-34

4.5.1.4. 基準局位置情報 (Message Type 1) 基準局位置情報はヘッダー部とデータ部に分けられる。ヘッダー部には、ステーション ID、

バッテリー残量低下フラグ、メモリ残量低下フラグ等の、ステータス情報が含まれる。データ

部には基準局のアンテナ位相中心座標、基準点(グランドマーク)とアンテナ位相中心とのオ

フセット等が含まれる。 基準局位置情報のヘッダー部の内容を 表 4-32 に、データ部の内容を 表 4-33 に示す。

表 4-32 基準局位置情報 ヘッダー構造

項 目 ビット数 範 囲 単 位 スケールファクタ

内 容

バージョン

番 号

3 0 - 7 - バージョン番号。

局識別 5 0 - 31 - 基準局ID

メッセー

ジタイプ

3 0 - 7 - メッセージタイプ。

基準局位置情報はタイプ1である。

バッテリ

ー残量低

下フラグ

1 0, 1 0–正 常

1-低電圧

ユーザに基準局受信機のバッテリー残量が低下しているこ

とを警告する

メモリ残

量低下フ

ラグ

1 0, 1 0-正 常

1-残 少

基準局のメモリの残量が少なくなった(例えば残量が15分

未満になった)ことを警告する。

予 約 1 - - -

L2 フラグ 1 0, 1 0 – L2なし

1 – L2あり

L2データの有無を示す。

予 約 1 - - -

エポック

時 刻

18 0 –

240,000

ミリ秒 GPSデータ観測タイミング(エポック時刻)の240秒の剰余。

単位はミリ秒で、18ビットの符号なし整数の型で送信され

る。

移動局は自身で概算時刻を把握しているため、240秒以下の

不確定性は受信機自身で排除できることを想定している。

移動状態 2 0 - 3 0 – 不明

1 – 静止

2 – 移動

基準局が静止しているか、移動しているかを示す。通常、

基準局は静止しているが、規格上は静止している場合と移

動している場合の両方を表現できるようにしている。

予 約 12 - - - 合 計 48

MSB LSB 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0

Version Station ID Type Bat Mem Rd(※) L2 Rd(※) ----------------------------------------------- Epoch Time ----------------------------------------------------

------- Motion ----------------------------------- Reserved ----------------------------------

※Rd:Reserved

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4-35

表 4-33 基準局位置情報 データブロック構造

項 目 ビット 数

範 囲 単 位 スケールファクタ

内 容

ECEF X 34(1サイン) +/- 8589934592 ミリメータ 基準アンテナ位相中心のWGS84 X座標

アンテナ高 14(1サイン) +/- 8192 ミリメータ 基準点からアンテナ位相中心までの高さ

ECEF Y 34(1サイン) +/- 8589934592 ミリメータ 基準アンテナ位相中心のWGS84 Y座標

東オフセット 14(1サイン) +/- 8192 ミリメータ 基準点からアンテナ位相中心までの東方向のオフセッ

ECEF Z 34(1サイン) +/- 8589934592 ミリメータ 基準アンテナ位相中心のWGS84 Z座標

北オフセット 14(1サイン) +/- 8192 ミリメータ 基準点からアンテナ位相中心までの北方向のオフセッ

位置座標

精度

4 0 - 15 以下のテー

ブル参照

アンテナ位相中心の三次元位置座標の精度

予 約 4 - - - 合 計 152

MSB LSB 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0

------------------------------------------------ ECEF X -----------------------------------------------------

------------------------------------------------ ECEF X (cont) ---------------------------------------------

------- ---------------------------------------- Antenna Height --------------------------------

------------------------------------------------ ECEF Y -----------------------------------------------------

------------------------------------------------ ECEF Y (cont) ---------------------------------------------

------- --------------------------- Antenna Offset (East) ------------------------------------- ------------------------------------------------ ECEF Z -----------------------------------------------------

------------------------------------------------ ECEF Z (cont) --------------------------------------------- ------- -------------------------- Antenna Offset (North) ------------------------------------

Position Acc Reserved

精度パラメータ アンテナ座標精度 精度パラメータ アンテナ座標精度

0 未 知 8 1 m 1 5 km 9 50 cm 2 1 km 10 10 cm 3 500 m 11 5 cm 4 100 m 12 1 cm 5 50 m 13 5 mm 6 10 m 14 1 mm 7 5 m 15 正確

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4-36

4.5.1.5. 基準局情報(Message Type2) 基準局情報は、基準局名の詳細をあらわすことができる。基準局情報のヘッダー部は、メッ

セージタイプを除いて、基準局位置情報(MessageType1)と同一である。表 4-34 に基準局

情報のデータブロックの内容を示す。

表 4-34 基準局情報 データブロック構造

項 目 バイト 数

範 囲 単 位 スケールファクタ

内 容

レコード長 1 0 - 255 - 基準局情報データの長さを定義する。

備考(Remark)フィールドの長さが異なることにより、

この項が必要となる。

局識別(短) 8 ASCII 文字列 - 短縮した局識別/名称。名称は右詰めとし、文字のな

い部分はヌルキャラクタで埋める

COGOコード 16 ASCII 文字列 - ユーザが基準局位置を別称(Feature code)で送信す

るときに利用できるよう準備されている

局識別(長)

番 号

50 ASCII 文字列 - 詳細な基準局名。

合 計 75

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4-37

4.5.2. BINEXフォーマット

BINEX(Binary Exchange)[2]は主に GPS/GLONASS/SBAS の研究用のためのバイナリフ

ォーマットで、RINEX をはじめとする現存する情報の殆どと、今後生じるであろう次世代

GNSS 関連の情報やメタデータをカプセル化することが可能なように設計されている。 BINEX は UNAVCO と Ashtech、Javad、Leica、Topcon、Trimble のような受信機メーカ

が、共同で開発した仕様である。 設計目標として、以下のような項目が挙げられている。

・ 二つの BINEX ファイルは、例えば UNIX の cat コマンドや DOS の copy /b コマン

ド等により、新たな BINEX ファイルとして結合できる ・ BINEX ファイルは一つ以上の BINEX レコードから構成される ・ 殆どの BINEX レコードは広範囲のサブレコードを含むことができる ・ レコードのデータはビッグエンディアン、リトルエンディアンのどちらにも対応で

きる ・ BINEX のパーサーやリーダーはビッグエンディアン、リトルエンディアンが混在し

ても処理できる ・ 各レコードは 1~12 バイトの CRC データを有する。CRC バイト数はレコード長に

依存する。 ・ 個別の BINEX レコードはファイルを逆方向に処理することもできる ・ BINEX の全ての時刻タグは少なくとも 1980 年から 3000 年の間で有効である ・ 現状の RINEX、SINEX、SP3、IONEX 等の、GPS/GLONASS/SBAS コミュニテ

ィで用いられている全ての ASCII フォーマットをカプセル化できる ・ 拡張性に富んでいる

BINEXの二種類のレコード構造を 表 4-35 と 表 4-36 に示す。表 4-35 のレコード構造は

BINEXファイルを順方向に読むことを想定しているのに対し、表 4-36 のレコード構造は、順

方向、逆方向のいずれでも容易に読むことができるように設計されている。

表 4-35 順方向読み取り可能レコード(forward readable record)のレコード構造 内 容 バイト数

先頭同期バイト。レコードのリトル/ビッグエンディアンを示すビットを含む 1 byte レコード識別(record ID) 1-4 bytes レコードメッセージ長 1-4 bytes レコードメッセージ長のバイト単位の XOR の結果(拡張 CRC の場合のみ) [1-4 bytes] レコードメッセージ n bytes チェックサムまたは CRC (レコード識別、レコードメッセージ長、レコードメッセージ本体の部分)

1-16 bytes

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4-38

表 4-36 逆方向読み取り可能レコード(revese readable record)のレコード構造 内 容 バイト数

先頭同期バイト。レコードのリトル/ビッグエンディアンを示すビットを含む 1 byte レコード識別(record ID) 1-4 bytes レコードメッセージ長 (メッセージバイト数) 1-4 bytes レコードメッセージ長のバイト単位の XOR の結果(拡張 CRC の場合のみ) [1-4 bytes] レコードメッセージ n bytes チェックサムまたは CRC (レコード識別、レコードメッセージ長、レコードメッセージ本体の部分)

1-16 bytes

逆レコードメッセージバイト数。以下の合計バイト数を逆バイト順で記述

・ 先頭同期バイト

・ レコード識別

・ レコードメッセージ長

・ レコードメッセージ

・ チェックサム又は CRC

1-4 bytes

リトル/ビッグエンディアンを示すビットを含む終了同期バイト 1 byte

逆方向読み込み可能レコード(reverse readable record)のレコード構造

逆方向読み込み可能レコードのレコード構造 図 4-3 に示す。

先頭同期バイト

レコ トー ゙識別

レコ トー゙バイト数

レコ トー ゙XOR

Checksum/CRC

逆レコ トー゙バイト数

この間の合計

1

1~4

1~4

n

1~16

Byte 数

レコードメッセージ(n byte)

Byte

n

1~4

終了同期バイト1

サフ ゙レコ トー ゙識別1~4

1~4

終了同期バイト

直前のレコ トー゙

BINEXレコ トー ゙

逆方向に読む場合、 終了同期バイトを検出後、 逆レコード バイト数を 知る ( 他とは逆のバイト順で記録されているため、 ↑方向 に読み出す )ことで 自身の先頭同期バイト の位置を 容易に 知ることができる

先頭同期バイト直後のレコ トー゙

レコードメッセージ(n byte)

レコードメッセージ中にさらに詳細に仕様を分類するためにサブレコード識別を付加することができる

図 4-3 逆方向読み込み可能レコードのレコード構造

レコード識別は先頭同期バイトの直後に置かれ、サブレコード識別はレコードメッセージ

の先頭に置かれる。レコードを逆方向から読み出す場合、終了同期バイトの検出後、逆レコ

ードバイト数を読み出すことにより、容易にレコードの先頭同期バイトの位置を知ることが

できる。

レコードメッセージ中にさらに詳細に

仕様を分類するためサブレコード識別

を付加することができる、

逆方向に読む場合、終了同期バイトを検出後、逆レコードバイト

数を知る(他とは逆のバイト順で記録されているため、↑方向に

読み出す)ことで、当該レコードの先頭同期バイトの位置を容易

に知ることができる

拡張 CRC が採用されている場合のみ

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4-39

BINEXには、表 4-35 に示した順方向読み取り可能レコード、表 4-36 に示した逆方向読み

取り可能レコードという二種類のレコード構造に加え、必要とされるCRCのレベルによって、

通常CRCモデルと拡張CRCモデルと呼ばれるさらに二つの(サブ)レコード構造が存在する。

拡張CRCレコード構造は、1~4 バイト長のレコード長データの排他的論理和を、レコードメ

ッセージ長フィールドの直後に置いている。さらに、全体のレコードに対して拡張したCRCを付与することで、より安全で信頼の置けるレコード構造となっている。 同期バイト

BINEX は順方向読み取り可能レコード/逆方向読み込み可能レコードの 2 つの基本構造、

通常 CRC モデル/拡張 CRC モデルという2つの CRC モデル、さらにビッグエンディアン

/リトルエンディアンという 2 つのバイトオーダがあるが、これらの識別は同期バイトによ

って行われる。逆方向読み込み可能レコードには、先頭同期バイトに加えて、終了同期バイ

トが存在する。 表 4-37 に順方向読取可能レコードの先頭同期バイトを、表 4-38 に逆方向読み取り可能

レコードの先頭同期バイトをそれぞれ示す。また、表 4-39 に逆方向読み取り可能レコード

の終了同期バイトを示す。

表 4-37 順方向読取可能レコードの先頭同期バイト CRC エンディアン 同期バイト

通常 拡張 ビッグ リトル

○ ○ 0xC2 = [11000010] ○ ○ 0xE2 = [11100010] ○ ○ 0xC8 = [11001000] ○ ○ 0xE8 = [11101000]

表 4-38 逆方向読取可能レコードの先頭同期バイト CRC エンディアン 同期バイト

通常 拡張 ビッグ リトル

○ ○ 0xD2 = [11010010] ○ ○ 0xF2 = [11110010] ○ ○ 0xD8 = [11011000] ○ ○ 0xF8 = [11111000]

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4-40

表 4-39 逆方向読取可能レコードの終了同期バイト

CRC エンディアン 同期バイト 通常 拡張 ビッグ リトル

○ ○ 0xB4 = [10110100] ○ ○ 0xB0 = [10110000] ○ ○ 0xE4 = [11100100] ○ ○ 0xE0 = [11100000]

レコード識別

レコード識別に 1~4 バイトの符号なし BINEX 整数法を用いることで、229≒約 5 億のレ

コードタイプを定義することが可能である。さらに、1 バイトのサブレコード識別を定義す

れば、レコード識別とサブレコード識別の組み合わせにより、3×1017 ものレコードを定義

することができる。 1 バイトのレコード識別(0~127)は RINEX、IONEX、SP3、SINEX などの公共用(public

domain)のレコードのために予約されている。複数バイトのレコード識別(128~536870911)は独自の用途(private use)に割り当てられており、要求に応じて 4 レコード

識別ずつ払い出されることになっている。これら独自用途に開発されたレコード識別は、後

に一般的な用途にも有用だと思われる場合には、必要なドキュメントを整備して公共用のレ

コード識別領域に移すことができる。

現時点で独自用(private use)として割り当てられているレコード識別を 表 4-40 に示す。

表 4-40 独自用レコード識別割当 レコード識別 割 当 先 0x80 - 0x87 COSMIC/UCAR 0x88 – 0xA7 Ashtech Precision Products 0xA8 – 0xAF Topcon Positioning Systems 0xB0 – 0xB3 GPS Solutions, Inc 0xB4 – 0xB7 NRCan for IGS Real-Time Working Group GNSS development 0xB8 – 0xBF JPL

レコードメッセージ長

レコードメッセージ長の値は、レコードメッセージ長に続くレコードメッセージの長さ

(バイト数)である。レコードメッセージ長も 1~4 バイトの符号なし BINEX 整数法で与

えられ、4 バイトを使えば各レコードは 0.5 ギガバイトまで可能となるが、殆どのレコード

ではレコードメッセージ長フィールドには 1 または 2 バイト使用すれば十分である。

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4-41

レコードメッセージ

レコードメッセージ長の直後がレコードメッセージである。各レコードメッセージのフォ

ーマットはそれぞれの仕様による。 チェックサムまたは CRC

各レコードはレコード識別、レコードメッセージ長、レコードメッセージから生成された

レコードチェックサムを含む。どのタイプのチェックサムを用いるかはメッセージ長と標準

CRC と拡張 CRC のいずれを採用するかによって決定される。 標準CRCの生成方法を 表 4-41 に、拡張CRCの生成方法を 表 4-42 に示す。

表 4-41 標準 CRC 生成方法

バイト数 生 成 方 法

0~127 1 バイトチェックサム 全バイトの 8ビット排他的論理和

128~4095 2 バイト CRC (生成多項式:X16+X

12+X

5+1)

4096~1048575 4 バイト CRC (生成多項式:X32+X

26+X

23+X

22+X

16+X

12+X

11+X

10+X

8+X

7+X

5+X

4+X

2+X

1+1)

1048576 以上 16 バイト CRC:128 ビット MD5 チェックサム

表 4-42 拡張 CRC 生成方法

バイト数 生 成 方 法 0~127 2 バイト CRC (生成多項式:X

16+X

12+X

5+1)

128~1048575 4 バイト CRC (生成多項式:X32+X

26+X

23+X

22+X

16+X

12+X

11+X

10+X

8+X

7+X

5+X

4+X

2+X

1+1)

1048576 以上 16 バイト CRC:128 ビット MD5 チェックサム

逆レコードバイト数

逆方向読み出しが可能なレコードの場合、レコードバイト数を先頭にあるものとは逆順に

記録する。(バイトの順序のみが逆で、ビットの順序は同じ)

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4-42

時刻スタンプ

分解能の必要性に応じて多種の時刻スタンプをそれぞれのBINEXレコード、BINEXサブ

レコードで用いることができる。時刻は 1980 年 1 月 6 日からで、GPS時刻に一致している。

全ての“分”は標準の 60 秒の分に一致している。時刻を符合なし 4 バイト整数で分単位で

表した場合、8166 年以上の範囲をあらわすことができる。個別の用途による時刻の要求で、

秒は無視あるいは 表 4-43 に示す方法で与えることができる。

表 4-43 秒以下の時刻表現方法 表現方法 分解能 備 考

1-byte second (uint1) 0.25 s 1 = 0.25 s で、0~239(59.75 秒)の範囲 2-byte second (uint2) 1 ms 1 = 0.001 s で、0~59,999. 秒の範囲 4-byte second (uint4) 20 ns 1 = 0.00000002 s 5-byte second 0.1 ns 初のバイトの 6 ビットは整数の秒を示し、残りの

34 ビットが 0.1ns 単位で秒未満の値を示す 6-byte second 0.25 ps 初のバイトの 6 ビットは整数の秒を示し、残りの

42 ビットが 0.25ps 単位で秒未満の値を示す 8-byte second (real8) 0~60 秒未満を 8 バイト浮動少数点で示す

公共レコードの例

表 4-44 にすでに割当られた公共レコードを示す。レコードそれぞれの詳細内容は表中の

URLなどで記載されている。

表 4-44 公共用レコード識別割当 レコード識別 割 当 先

0x00 = 0 サイト、モニュメント、マーカー、基準点のセットアップ メタデータ (http://binex.unavco.org/binex_record_00.html)

0x01 = 1 GNSS 航法情報 (navigation information) (http://binex.unavco.org/binex_record_01.html)

0x02 = 2 一般化した GNSS データ (generalized GNSS data)(0x7F を参照) 0x03 = 3 一般化した補助サイトのデータ (0x7E を参照)

0x7D = 125 受信機内部状態のプロトタイプ (http://binex.unavco.org/binex_record_7d.html)

0x7E = 126 補助サイトのデータプロトタイプ (http://binex.unavco.org/binex_record_7e.html)

0x7F = 127 GNSS データプロトタイプ (http://binex.unavco.org/binex_record_7f.html)

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4-43

表 4-44 中、受信機からの観測データに も関連すると考えられるものは、0x7F(GNSSデータプロトタイプ)で、表 4-45 に示す 0x00~0x05 までのサブレコードが存在する。

表 4-45 0x7F データプロトタイプのサブレコード一覧

レコード識別 概 要 0x7F – 0x00 JPL が低軌道衛星のための地上局(fiducial site)で使用する

Ashtech Z-12 受信機の 1 秒間隔のデータの収録と転送の補強のた

めに準備したもの。 0x7F – 0x01 UCAR Cosmic プロジェクトとの協同開発によるもので、GPS/気

象データのサポートのための 高レートの搬送波線形結合データの保存に適する

0x7F – 0x02 Trimble 4700 のファームウエアを UCAR Suominet project.で使用

するために開発されたもの 0x7F – 0x03 Trimble 社の NetRS 受信機を EarthScope Plate Boundary

Observatory project で使うために開発された。GPS、GLONASS、SBAS、Galileo、Beidou、QZSS をサポートする

0x7F – 0x04 トリンブル社と EarthScope Plate Boundary Observatory project.に使用する NetRS 受信機のファームウエアのために開発された

0x7F – 0x05 当初トリンブル社の NetR8 受信機のために開発された。その後当

初のものから、拡張された

0x7F-0x03 が QZSS をサポートしていることが注目される。その他いずれも仕様は公開さ

れており、要求に合えば、他の受信機でこれ等のフォーマットを利用することが可能である。

0x7F-0x05 サブレコードの内容 表 4-45 に示すように、このレコードはTrimble社のNetR8 のために開発されたもので、 ・ 各エポックのデータが独立している ・ GPS、GLONASS、SBAS、QZSS に対応し、追尾衛星の数は1~64 である ・ データの分解能は、

時刻タグ :1ms C/N0 :0.1dB-Hz 分解能の 10 ビットで 0~102.1dB-Hz の範囲 擬似距離 :0.001m (RINEX 同等) 位 相 : 0.02mm (RINEX の 10 倍) ドップラー :1/256Hz (RINEX の 1/4 倍)の分解能を有する

などの特徴を持つ。 サブレコードの構造を 図 4-4 に示す。

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4-44

サブレコード識別 (0x05)

時刻タグ

衛星数+フラグ

受信機クロックオフセット

システム時刻ヘッダー

システム時刻オフセット #1

衛星識別

衛星システム+観測データ数

観測コード

観測フラグ(0)~(3)

C/N0

距  離

位  相

ドップラー

スリップカウント

衛星#1 観測データ

衛星#n 観測データ

衛星#1 観測データ#1

衛星#1 観測データ#m

各衛星のデータ

各観測コード のデータ

システム時刻オフセット #k

システム時刻ヘッダーでシステム時刻オフセットデータの数(k)を指定

図 4-4 0x7F-0x05 サブレコードの構造

システム時刻オフセット、衛星数、各衛星の観測コードの数はレコードごとに設定するこ

とができる。図 4-4 中の各データの概要を 表 4-46 に示す。

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4-45

表 4-46 0x7F-0x05 のデータ概要 データ 内 容

サブレコード識別 = 0x05 時刻タグ

(6 byte) 1980 年 1 月 6 日からの経過時刻(分)を示す 4 バイトのデータと、分未満

の時刻をミリ秒の分解能で示す 2 バイトのデータでエポックの時刻を示す 衛星数+フラグ

(1 byte) 下位 6 ビットは追尾衛星数-1 の数( 大 64 衛星)を表し、上位 2 ビットは

システム時刻オフセット及び受信機クロックオフセット情報の有無を示す 受信機クロックオフセット

(0 or 3 byte) 受信機クロックオフセットを 1ns の分解能で示す。クロックの±1ms ジャ

ンプを示すフラグも含まれている システム時刻ヘッダー

(0 or 1byte) 下位 4 ビットで、時刻の基準となるシステムを表し、上位 4 ビットで、ヘ

ッダーに続くシステム時刻オフセットデータの数(0~15)を示す システム時刻オフセット

(0 or 4xn byte) 時刻基準となるシステムと、他のシステム間の時刻オフセットを示す。デー

タはヘッダーで定められた数を繰り返す 各衛星のデータ(衛星数(1~64)分存在する)

衛星識別 (1 byte)

CDMA の場合 PRN 番号で、GLONASS の場合はスロット番号で、衛星を

指定する 衛星システム +観測データ数

(1 byte)

bits 0-3 : 衛星システム識別 bits 4-6 : 観測データ数( 大 7) bit 7: 1 = 衛星アンヘルス

観測データ(観測データ数( 大 7)分存在する) 観測コード

(1 byte) 下位 4 ビットで、観測データの周波数と信号を示す。QZSS も定義済み Bit 5:サイクルスリップの有無、Bit 7:観測フラグの有無 を示す

観測フラグ(0)~(3) (0 or 1 byte each)

観測データに関する詳細な情報が含まれている (0)~(3)のフラグはそれぞれ独立、観測フラグ(0)は必ず存在する

C/N0 (1 byte) 信号 C/N0 を 0.0~102.0 dB-Hz の範囲で分解能 0.4 dB-Hz で示す 距 離

(5,3 or 2 byte) この衛星の基準となるデータの場合は 5 バイトを使用し、0~37bit で 1mm分解能で 0~274877.906944 km.の距離を示す 38,39bit は 0.4dB 分解能の C/N0 の 0.4dB 未満の値を 0.1dB 単位で示す。

基準のデータでない場合は、2 または 3byte を使用する 位 相

(3 byte) 観測フラグ(0)で、拡張デルタフラグが立てられていた場合、0.02mm の分

解能で-167.77216 ~ 167.77215 m 、0.1mm の分解能で -838.8608 ~838.8607 m の範囲を示す

ドップラー (0 or 3 byte) 1/256Hz の分解能で、-32768 ~32767 Hz の範囲を示す. スリップカウント

(0,1 or 2 byte) サイクルスリップの回数を示す

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4-46

4.5.3. NMEA 0183 フォーマット

NMEA 0183[3]は舶用機器相互間のデータ通信のために 1983 年に米国海洋電子機器協会

(NMEA:National Marine Electronics Association)によって導入された。簡単な ASCIIによるシリアルデータ通信プロトコルで、一つのトーカーから、一つ又は複数のリスナーに

4800 ビット/秒で送信するセンテンスを定義したものであり、それゆえにネットワークを構

成することはできない。 NMEA 0183 ではプロトコル(センテンス)と併せて、ハードウエアの仕様も定義している。

NMEA 0183 はセンテンスと呼ばれる ASCII キャラクタを用いた文字列で送信されるため、

その内容はテキストとして表示や印刷が可能で、可読性に優れている反面、データ利用効率の

面では劣る。

センテンスは以下のフォーマットを持つ。

$yyXXX , ………………………..*xx<0D><0A>

センテンスは常に“$”で開始され、続く 2 文字(yy)はこのデータを送信した機器の識別

を示す(トーカーID)。GPS 機器であれば“GP”で、超音波測深機(depth sounder)であれ

ば、“SD”である。 その次の 3 桁の“XXX”はセンテンスのデータ種別(センテンス ID)を示す。例えば“GGA”

は GPS による測位結果を示し、“DBT”は送受波器からの深度(Depth Below Transducer)を示す。 以降は”、“(カンマ)で区切られたいくつかのデータが続く。 データの内容はセンテンスごとに定義されており、トーカーが定義されたデータを出力する

ことができない場合は、当該データの場所にはなにも出力しない(ヌルフィールドと呼ばれ、

カンマが 2 個連続する。ヌルキャラクタを挿入するのではない) データの直後は“*”(アスタリスク)で、その後 2 文字のチェックサムがある。

チェックサムは”$“及び”*“を除いたセンテンスの排他的論理和である。 センテンスは<0D><0A>(CR+LF)で終了する。 センテンスの長さは“$”を除き、チェックサムまで。 長 80 文字である GPSに関連するデータ(トーカーID=”GP”)として、表 4-47 に示すものがある。 表 4-47 中、太字で示したものは、測量用受信機からも出力されることがある。表 4-48、表 4-50、 表 4-51 にはセンテンスの詳細を示す。

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4-47

表 4-47 NMEA 0183 の GPS 関連データ(トーカーID=”GP”)の例

センテンス 内 容 $GPAAM Waypoint Arrival Alarm $GPALM GPS Almanac Data $GPAPA Autopilot format "A" $GPAPB Autopilot format "B" $GPASD Autopilot System Data $GPBEC Bearing & Distance to Waypoint, Dead Reckoning $GPBOD Bearing, Origin to Destination $GPBWC Bearing & Distance to Waypoint, Great Circle $GPBWR Bearing & Distance to Waypoint, Rhumb Line $GPBWW Bearing, Waypoint to Waypoint $GPDBT Depth Below Transducer $GPDCN Decca Position $GPDPT Depth $GPFSI Frequency Set Information $GPGGA Global Positioning System Fix Data $GPGLC Geographic Position, Loran-C $GPGLL Geographic Position, Latitude/Longitude $GPGRS GPS Range Residuals $GPGSA GPS DOP and Active Satellites $GPGST GPS Pseudorange Noise Statistics $GPGSV GPS Satellites in View $GPGXA TRANSIT Position $GPHDG Heading, Deviation & Variation

$GPHDT Heading, True $GPHSC Heading Steering Command $GPLCD Loran-C Signal Data $GPMSK Control for a Beacon Receiver $GPMSS Beacon Receiver Status $GPMTA Air Temperature (to be phased out) $GPMTW Water Temperature $GPMWD Wind Direction $GPMWV Wind Speed and Angle $GPOLN Omega Lane Numbers $GPOSD Own Ship Data $GPR00 Waypoint active route (not standard) $GPRMA Recommended Minimum Specific Loran-C Data $GPRMB Recommended Minimum Navigation Information $GPRMC Recommended Minimum Specific GPS/TRANSIT Data $GPROT Rate of Turn $GPRPM Revolutions

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4-48

センテンス 内 容 $GPRSA Rudder Sensor Angle $GPRSD RADAR System Data $GPRTE Routes $GPSFI Scanning Frequency Information $GPSTN Multiple Data ID $GPTRF TRANSIT Fix Data $GPTTM Tracked Target Message $GPVBW Dual Ground/Water Speed $GPVDR Set and Drift $GPVHW Water Speed and Heading $GPVLW Distance Traveled through the Water $GPVPW Speed, Measured Parallel to Wind $GPVTG Track Made Good and Ground Speed $GPWCV Waypoint Closure Velocity $GPWNC Distance, Waypoint to Waypoint $GPWPL Waypoint Location $GPXDR Transducer Measurements $GPXTE Cross-Track Error, Measured $GPXTR Cross-Track Error, Dead Reckoning $GPZDA UTC Date / Time and Local Time Zone Offset $GPZFO UTC & Time from Origin Waypoint $GPZTG UTC & Time to Destination Waypoint

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4-49

GPALM センテンスの例

GPALMセンテンスは衛星の健康状態、週番号を含む 1 衛星分のアルマナックデータで、

航法メッセージ中のデータビットを 4 ビットを 16 進数 1 文字(0~9,A~F)で表しており、

大 32 メッセージある。存在するメッセージ数(Total number of message logged)と自身

のメッセージ番号(Current message number)も送信される。詳細を 表 4-48 に示す。

$GPALM,17,17,28,653,00,3EAF,87,0D68,FD30,A10CAB,6EE732,525880,6DC5A8,009,005,*37

表 4-48 GPALM センテンスの詳細 Field Structure Field Description Symbol Example

1 $GPALM センテンス識別 $GPALM 2 # msg 全メッセージ数 x.x 17 3 msg # 現在のメッセージ数(この場合 17 は 終) x.x 17 4 PRN 衛星番号 0~32 xx 28 5 GPS wk GPS 週番号 x.x 653 6 SV hlth アルマナック中の 8bit の衛星ヘルス情報 hh 00 7 ecc 離心率 e, eccentricity hhhh 3EAF 8 alm ref time 基準時刻 toa, almanac reference time hh 87 9 incl angle 軌道傾斜角 (sigma)i, inclination angle hhhh 0D68

10 omegadot 昇交点時間変化率 OMEGADOT, rate of right ascension

hhhh FD30

11 rt axis 軌道長半径平方根 (A)1/2, root of semi-major axis

hhhhhh A10CAB

12 omega 近地点引数 omega, argument of perigee hhhhhh 6EE732 13

long asc

node 週の初めにおける昇交点軽度 (OMEGA)o,longitude of ascension node

hhhhhh 525880

14 Mo 基準時刻平均近店角 Mo, mean anomaly c hhhhhh 6DC5A8 15 af0 クロックパラメータ af0, clock parameterc hhh 009 16 af1 クロックパラメータ af1, clock parameterc hhh 005 17 *xx チェックサム *hh *37 18 [CR][LF] センテンスターミネータ [CR][LF]

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4-50

表 4-48 の 7 項から 16 項は軌道情報(アルマナック)及びクロックのパラメータで、こ

れを文字列から数値化し、”INTERFACE SPECIFICATION IS-GPS-200 Revision D”中の

Table 20-VI. Almanac Parametersで示された係数を乗じてNMEAフォーマットの文字列か

ら各パラメータの値に換算した例を 表 4-49 に示す。

表 4-49 軌道情報数値化例

パラメータ ビット数 係 数 データ例 文字列 数 値 係数乗算後

ecc 16 1 / 221 3EAF 16047 0.007652 -

alm ref time 8 212 87 135 552960 (seconds) incl angle 16 1 / 219 0D68 3432 0.006546 (semi-circles) omegadot 16 1 / 238 FD30 64816 2.36E-07 (semi-circles/sec)rt axis 24 1 / 211 A10CAB 10554539 5153.583 (√meters) omega 24 1 / 223 6EE732 7268146 0.866431 (semi-circles) (OMEGA)0 24 1 / 223 525880 5396608 0.643326 (semi-circles) M0 24 1 / 223 6DC5A8 7194025 0.857595 (semi-circles) af0 11 1 / 220 009 9 8.58E-06 (seconds) af1 11 1 / 238 005 5 1.82E-11 (sec/sec)

軌道傾斜角(incl angle)は基準の傾斜角 0.30 (semi-circles.)からの差分を示している。

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4-51

GPGGA センテンスの例

GPGGAセンテンスは測位結果と関連するデータを含む。緯度、経度は度(整数)+分(実

数)で示すが、分の小数部桁数には制限がないため、任意の精度のデータを出力することが

できる。詳細を 表 4-50 に示す。

$GPGGA,220147.50,5106.7194489,N,11402.3589020,W,1,08,0.9,1080.406,M, -16.271, M,,,*48

表 4-50 GPGGA センテンスの詳細 Field Structure Field Description Symbol Example

1 $GPGGA センテンス識別 $GPGGA 2 utc

UTC 時刻

hh(時)mm(分)ss.ss(秒)

hhmmss.ss 220147.50

3 lat 緯 度 (DDmm.mm) llll.ll 5106.7194489 4 lat dir N:北緯、S:南緯 a N 5 lon 経 度 (DDDmm.mm) yyyyy.yy 11402.3589020 6 lon dir E:東経、W:西経 a W 7 GPS qual GPS 測位状態

0 = 未測位または無効

1 = GPS 測位

2 = ディファレンシャルGPS測位

4 = RTK 測位(整数部初期化済)

5 = RTKフロート解(整数部未初期化)

6 = 推測航法(Dead reckoning)

7 = 手動入力

8 = シミュレーション

x 1

8 # sats 視野内衛星数 (0~12) xx 08 9 hdop 水平精度劣化度 x.x 0.9

10 alt 平均海面からのアンテナ高さ x.x 1080.406 11 a-units アンテナ高さの単位 (M:meters) M M 12 undulation ジオイド高 x.x -16.271 13 u-units ジオイド高の単位 (M:meters) M M 14 age DGPS 補正データ経過時間(単位:秒) xx ,, 15 stn ID ディファレンシャル基地局識別番号

(0000~1023) xxxx ,,

16 *xx チェックサム *hh *48 17 [CR][LF] センテンスターミネータ [CR][LF]

3.緯度、5.経度共、データの整数部は 2 または 3 桁の度と 2 桁の分からなる。小数部は分単

位のデータの小数部で、NMEA では必要に応じ桁数を増減させることができる。小数点以下 2桁で、赤道付近で緯度・経度方向とも 18.5m の分解能を得ることができる。例では小数点以

下 7 桁あり、この場合の分解能は 0.2mm となり、測量や RTK 測位などにも十分に使用でき

る。

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4-52

GPGLL センテンスの例 GPGLLは測位結果と時刻(UTC)を含む。センテンスの内容を 表 4-51 に示す。

$GPGLL,5106.7198674,N,11402.3587526,W,220152.50,A,*1B

表 4-51 GPGLL センテンスの詳細

Field Structure Field Description Symbol Example 1 $GPGLL センテンス識別 $GPGLL 2 lat 緯 度 (DDmm.mm) llll.ll 5106.7198674 3 lat dir N:北緯、S:南緯 a N 4 lon 経 度 (DDDmm.mm) yyyyy.yy 11402.3587526 5 lon dir E:東経、W:西経 a W 6 utc

UTC 時刻

hh(時)mm(分)ss.ss(秒) hhmmss.ss 220152.50

7 data status 測位状態

A:データ有効、 V:データ無効 A A

8 *xx チェックサム *hh *1B 9 [CR][LF] センテンスターミネータ [CR][LF]

NMEA 0183 は現在IEC 61162 の規格となっている。関連を 表 4-52 に示す

表 4-52 IEC 規格と NMEA 規格の関係 IEC 61162-1 Single talker and multiple listeners (Also known as NMEA 0183) IEC 61162-2 Part 2: Single talker and multiple listeners, high-speed

transmission IEC 61162-4 Part 4: Multiple talkers Multiple listeners (Also known as

Lightweight Ethenet)

IEC 規格の制定は引き続き NMEA が行う。

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4-53

4.5.4. RINEXフォーマット

4.5.4.1. 概 要 RINEX version 1 は欧州における GPS 活動 EUREF 90 で使用する 4 つの異なったメーカ

の 60 台以上の受信機のデータの交換のためにベルン大学にて開発された。 このフォーマットはバイナリ形式に比べ記録スペースが多く必要ではあるが、より配布の柔

軟性を持たせるために ASCII 文字列を使用している。 RINEXファイルは基本的には受信機が出力するバイナリファイルをASCII文字列に変換し

たものである。

RINEXにはを観測データファイル(OBSERVATION DATA FILE)、航法メッセージデータ

ファイル(NAVIGATION MESSAGE FILE)、気象データファイル(METEOROLOCICAL DATA FILE)などが存在する。RINEXファイルの構成を 図 4-5 に示す。 各ファイルはヘッダー部とデータ部からなる。ヘッダー部はファイル全体に関する情報を含

み、ファイルの先頭に置かれる。各ファイルは一行が 大 80 桁の文字列からなる複数のレコ

ードで構成されている。 ヘッダー部中のレコードの 61~80 桁はヘッダーラベルで、この部分で当該レコードの内容

を識別することができる。ヘッダーラベルは必須で、正確に仕様書の記述や例に示すとおりの

ものでなければならない。ヘッダー部の終了を示すレコードのラベルは“END OF HEADER”

である 観測データファイルの場合、測位システムや観測データの種類がヘッダー部で定められ、追

尾中の衛星の個数や衛星番号の情報はデータ部に収められている。

ヘッダー部

データ部

レコード (80桁 ASCII 文字列)

20 文字のラベル

(観 測データ)ファイル

ヘッダー部でデータ部の内容を定義

END OF HEADER

RINEX レコード

図 4-5 RINEX ファイルの構成

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4-54

4.5.4.2. RINEX version 2[4]

RINEX Version 2(初版)は 1990 年のオタワに於ける Second International Symposium of Precise Positioning with the Global Positioning system に於いて提案され、承認された。改

訂(revision)の理由は ・ GLONASS や SBAS など GPS 以外のシステムの利用の可能性を加えた ・ AS(Anti-spoofing)データの扱いに対するもの ・ 気象データの正確な利用のために、センサーの記述や位置の記録が追加されたこと ・ IGS は RINEX ファイルの圧縮に国土地理院の畑中氏の開発した圧縮手法を使用するこ

とを決め、ファイル名のつけ方のリストに圧縮ファイルの名前を含めた ・ GPS週番号は1024週のロールオーバーの影響を受けないこととし、1023から1024.1025

と続くものとした ・ GLONASS 衛星識別を“アルマナック番号”にあいまいさがあるため、“スロット番号”

に置き換え、明確にした などである。Version 2 にはいくつかのサブバージョンが存在する

Version 2.10 1999 年 7 月発行[5] 変更点は、 ・ 観測データのヘッダーファイル中の 初の観測時間の分解能を 1μ秒から 0.1μ秒とした。 ・ 整数(秒)でないサンプリング周期を可能とした ・ “RINEX VERSION / TYPE”が 初のレコードであることなどいくつかの条件を除き、

ヘッダーレコードの順序を自由とした ・ 観測コードとして、SNR または信号強度を示す S1 及び S2(L1、L2 の搬送波に関して

受信機から出力される値)を追加した ・ 気象ファイルに新たな観測データ(ZD、ZT)を加えた などである。

Version 2.11 2004 年 10 月発行[6]

GPS の新たな観測データと Galileo に対応した、以下の軽微な変更である。 ・ Galileo のシステムコードに“E”を割り当てた ・ Galileo のシステム時刻のコードを“GAL”とした ・ Galileo と GPS の新たな信号に周波数コードを割り当てた ・ L2C 信号の観測コードに“C2”を割り当てた

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4-55

Version 2.12 2009 年 6 月発行[7] ・ 位相サイクルシフト対応

L2 P(Y)信号とL2C信号のように、同一周波数で異なった種類の信号を追尾した場合、

1/4 サイクル(あるいは他の値)異なる場合がある。この位相差の影響を除くため、観

測データのヘッダーファイルに“SYS / PHASE SHIFT”レコードを設け、補正情報

を記載することが可能なようにした ・ BOC 追尾対応

Galileo の L1 信号は MBOC と呼ばれる変調方式が採用されている。この信号は BOC信号としても追尾可能であるため、BOC 信号として追尾している旨を示すフラグを追

加した ・ GPS L1C、L2C、L1(C/A) GLONASS G1(SA)、G2(SA)及び Compass に新たな観測コ

ードを定義した ・ Compass のシステムコードを“C”とした ・ Galileo の航法メッセージデータファイルは RINEX version 3.01 で規定したものを利用

することとした ・ 航法メッセージデータファイルのヘッダー中の時刻に関する 3 つのレコードを“TIME

SYSTEM CORR”レコードに統一した ・ 電離層補正データのレコードを Galileo の航法メッセージデータファイルで用いられて

いる“IONOspheric CORR”レコードに統一した などの変更を行った。 現在利用されているのは殆どが version 2.10 以降と考えられるため、以下ではこれらについ

て解説する。

JAXA殿ではversion 2.12 をベースにQZSSのシステムコードを“J”とすること及び観測

コードについて、QZSSをRINEXに含めるよう提案[8]を行っている。(表 4-56、表 4-58、表 4-59、表 4-62 参照)

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4-56

データフォーマットの定義

version 2.X には 終的に 1. 観測データファイル (”O”:Observation Data File) 2. 航法メッセージファイル (”N”:Navigation Message File) 3. 気象データファイル (”M”:Meteorological Data File) 4. GLONASS 航法メッセージファイル(”G”:GLONASS Navigation Message File) 5. GEO 航法メッセージファイル (”H”:GEO Navigation Message File) 6. Galileo 航法メッセージファイル (”L”:Galileo Navigation Message File) 7. SBAS 放送データファイル (”B”:SBAS Broadcast Data File) 8. 衛星及び受信機クロックデータファイル

(”C”:Satellite and Receiver Clock Date File) の 8 種のファイルが含まれ、1~6 までの6種についてヘッダー及びデータのレコードが定

義されている。7. SBAS 放送データと8.クロックデータファイルの仕様は RINEX の仕様

とは別に、それぞれ ftp://igscb.jpl.nasa.gov/igscb/data/format/geo_sbas.txt ftp://igscb.jpl.nasa.gov/igscb/data/format/rinex_clock.txt

から得ることができる。 1. 観測データファイル(Observation Data File)及び 2. 航法メッセージファイル

(Navigation Message File)について、ヘッダー部及びデータ部に含まれるレコードの種

類(オプションは含まず)とその内容を 表 4-53 に示す。詳細は仕様書の”APPENDIX: RINEX VERSION 2.12 FORMAT DEFINITIONS AND EXAMPLES”に記載されている。

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4-57

表 4-53 RINEX version 2.12 フォーマット定義 ラベル・観測データ 内 容

観測データファイル ヘッダー部 RINEX VERSION / TYPE フォーマットバージョン、衛星システムの情報

PGM / RUN BY / DATE ファイルを作成したプログラムの名称等 MARKER NAME アンテナマーカーの名称 OBSERVER / AGENCY 観測者/機関 REC # / TYPE / VERS 受信機の名称及び内部ソフトウエアのバージョン ANT # / TYPE アンテナの型式及び番号 APPROX POSITION XYZ マーカーの概略位置(WGS84) ANTENNA: DELTA H/E/N アンテナのマーカーからのオフセット # / TYPES OF OBSERV ファイル中の異なった観測データの数 TIME OF FIRST OBS 初の観測データの時刻 SYS / PHASE SHIFT 位相シフト補正に関するデータ END OF HEADER ヘッダーファイル終了

データ部 EPOCH/SAT or EVENT FLAG

エポック及びイベントデータ

OBSERVATIONS 観測データ、ロスオブロック、信号強度(1 行 5 組)

航法メッセージファイル ヘッダー部 RINEX VERSION / TYPE

PGM / RUN BY / DATE END OF HEADER

データ部 PRN / EPOCH / SV CLK 衛星番号、衛星クロックパラメター BROADCAST ORBIT – 1 IODE、Crs、Delta n、M0 BROADCAST ORBIT – 2 Cuc、e (Eccentricity)、Cus、sqrt(A) BROADCAST ORBIT – 3 Toe、Cic、OMEGA、CIS BROADCAST ORBIT – 4 I0、Crc、omega、OMEGA DOT BROADCAST ORBIT – 5 IDOT、Code on L2、GPS Week #、L2P flag BROADCAST ORBIT – 6 SV accuracy、SV health、TGD、IODC BROADCAST ORBIT – 7 メッセージ送信時刻、有効時間

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4-58

表 4-54 に 6 種のファイルに含まれるレコードの一覧を示す。

表 4-54 各ファイルレコード一覧(1/2) 1. 観測データファイル ヘッダー部 ・ RINEX VERSION / TYPE

・ COMMENT *** ・ MARKER NUMBER *** ・ REC # / TYPE / VERS ・ APPROX POSITION XYZ ・ WAVELENGTH FACT L1/2 *** ・ # / TYPES OF OBSERV ・ TIME OF FIRST OBS ・ RCV CLOCK OFFS APPL *** ・ # OF SATELLITES *** ・ END OF HEADER

・ PGM / RUN BY / DATE ・ MARKER NAME ・ OBSERVER / AGENCY ・ ANT # / TYPE ・ ANTENNA: DELTA H/E/N ・ WAVELENGTH FACT L1/2 *** ・ INTERVAL *** ・ TIME OF LAST OBS *** ・ LEAP SECONDS *** ・ PRN / # OF OBS ***

・ SYS / PHASE SHIFT V2.12 で追加 データ部 ・ EPOCH/SAT or EVENT FLAG ・ OBSERVATIONS

2. 航法メッセージファイル ヘッダー部 ・ RINEX VERSION / TYPE

・ COMMENT *** ・ ION BETA *** ・ LEAP SECONDS ***

・ PGM / RUN BY / DATE ・ ION ALPHA *** ・ DELTA-UTC: A0,A1,T,W *** ・ END OF HEADER

・ TIME SYSTEM CORR *** V2.12 で追加 データ部 ・ PRN / EPOCH / SV CLK ・ BROADCAST ORBIT – 1~-7

3. 気象データファイル ヘッダー部 ・ RINEX VERSION / TYPE

・ COMMENT *** ・ MARKER NUMBER *** ・ SENSOR MOD/TYPE/ACC ・ END OF HEADER

・ PGM / RUN BY / DATE ・ MARKER NAME ・ # / TYPES OF OBSERV ・ SENSOR POS XYZ/H

データ部 ・ EPOCH / MET

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4-59

表 4-54 各ファイルレコード一覧(2/2) 4. GLONASS 航法メッセージファイル ヘッダー部 ・ RINEX VERSION / TYPE

・ COMMENT *** ・ LEAP SECONDS ***

・ PGM / RUN BY / DATE ・ CORR TO SYSTEM TIME *** ・ END OF HEADER

データ部 ・ PRN / EPOCH / SV CLK ・ BROADCAST ORBIT – 1~-3 5. 静止衛星航法メッセージファイル (version 2.10 ~) ヘッダー部 ・ RINEX VERSION / TYPE

・ COMMENT *** ・ LEAP SECONDS ***

・ PGM / RUN BY / DATE ・ CORR TO SYSTEM TIME *** ・ END OF HEADER

・ D-UTC A0,A1,T,W,S,U *** V2.11 追加 ・ TIME SYSTEM CORR *** V2.12 で定義

CORR TO SYSTEM TIME *** は削除 データ部 ・ PRN / EPOCH / SV CLK ・ BROADCAST ORBIT – 1~-3

6. GALILEO 航法メッセージファイル (version 2.10 ~) ヘッダー部 ・ RINEX VERSION / TYPE

・ COMMENT *** ・ TIME SYSTEM CORR ***

・ PGM / RUN BY / DATE ・ IONOSPHERIC CORR *** ・ END OF HEADER

データ部 ・ SV / EPOCH / SV CLK ・ BROADCAST ORBIT – 1~-7

***:オプション

観測データの基本的な定義

GPS 観測データは時刻、搬送波位相、擬似距離の三つの基本的なデータを含む。 ・時 刻

時刻は観測を行ったタイミングの受信機時刻であり、位相、距離ですべての衛星について

同じである。単一のシステムのデータファイルの場合、そのシステムの時刻を用い、それ以

外は開始時刻ヘッダーレコードで実際の時間を示す。当初 GPS 時刻のみであったが、後に

GLONASS 及び Galileo 時刻が追加された。 ・擬似距離

擬似距離は、受信機と衛星のクロックオフセット(対流圏遅延などの他のバイアスを含む)

衛星アンテナから受信機アンテナまでの距離である。

擬似距離=距離+C *(受信機クロックオフセット-衛星クロックオフセット +他のバイアス)

そのため、擬似距離は受信機と衛星の時計の影響を受ける。擬似距離はメータ単位で記録す

る。

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4-60

・搬送波位相

全波長で観測した搬送波の位相である。スクエアリング型の受信機で観測した半波長の位

相は全波長に換算し、関連のフラグを立てなければならない。 搬送波位相の変化は擬似距離と同じ向きで、エポック間の観測値はサイクルの整数部を含

め連続していなければならない 受信機内部では衛星と受信機間の距離が増加傾向にあると、ドップラー周波数は負となり、

多くの場合、表 4-55 に示すように、搬送波位相も減少傾向で、擬似距離と逆の方向に変化

する。RINEXではこれを同一方向に変化するように換算しなければならない。

表 4-55 擬似距離と搬送波位相の変化 衛星受信機間

の距離 受信機内部 RINEX

擬似距離 搬送波位相 擬似距離 搬送波位相 増 加 増 加 減 少 増 加 増 加 短 縮 減 少 増 加 減 少 減 少

観測データは、対流圏や衛星クロックオフセットなど、外部の要因によって補正してはな

らない。(信号処理部から出力されたデータをそのまま用いる)また同一システムの同一周

波数での信号の相違による(例:L2C 信号と P/(Y)コードから得た搬送波位相の 90 度の違い)

搬送波位相の整合についても定められている。 受信機若しくは変換ソフトが実時間で得られた受信機クロックオフセット dT(r) を用い

て観測データの調整を行う場合は、擬似距離、搬送波位相、観測時刻の一貫性は以下のよう

に三つの観測量に適用することにより、維持しなければならない Time(corr) = Time(r) - dT(r) (観測時刻の補正) PR(corr) = PR(r) - dT(r)*c (擬似距離の補正) phase(corr) = phase(r) - dT(r)*freq (搬送波位相の補正)

・ドップラー周波数

追加の観測データとしてのドップラー周波数シフトの極性は、接近する衛星について正で

ある。

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4-61

ファイル名

ファイル名の付け方は 表 4-56 に記載する方法を推奨する。

表 4-56 推奨されるファイル名(ssssdddf.yyt)の付け方 フィールド 内 容 記載内容

ssss 局名称 4 文字 ddd 初のレコードの年内の日付 1~365

f ファイルの順序 一日毎のファイル:f = “0” 時間毎のファイル: 1st hour 00h – 01h:f = “a” 2nd hour 01h – 02h:f = “b” ・・・ 24th hour 23h – 24h:f = “x”

yy 年 西暦年下二桁 t ファイルタイプ O:観測データファイル

N:GPS 航法メッセージファイル M:気象データファイル G:GLONASS 航法メッセージファイル L::Galileo 航法メッセージファイル H:SBAS 航法メッセージファイル B:SBAS 放送データファイル(別資料) C:クロックファイル(別資料) Q:QZSS 航法メッセージファイル *1

*1:JAXA 殿提案中

高レートのデータは 15 分毎に 1 ファイルとし、表 4-57 に示すファイル名を推奨する。

表 4-57 推奨されるファイル名(ssssdddhmm.yyo)のつけ方(高レートデータ) フィールド 内 容 記載内容

ssss 局または LEO 受信機/アンテナ

の識別 4 文字

ddd 年内の日付 1~365 h 時刻 1st hour:“a”,

2nd houre:”b” : :

24thhour:”x” mm 時間内の開始分 00、15、30、45 yy 年 西暦年下二桁 o 観測データファイル

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4-62

ファイルの拡張子の付け方は 表 4-58 を推奨する。

表 4-58 推奨するファイル拡張子 File Types uncompressed compressed

All platforms UNIX VMS DOS O:観測データファイル .yyO .yyO.Z .yyO_Z .yyY D:観測データ(畑中圧縮) . .yyD .yyD.Z .yyD_Z .yyE N:GPS 航法メッセージファイル .yyN .yyN.Z .yyN_Z .yyX G:GLONASS 航法メッセージファイル .yyG .yyG.Z .yyG_Z .yyV L::Galileo 航法メッセージファイル .yyL .yyL.Z .yyL_Z .yyT H:SBAS 航法メッセージファイル .yyH .yyH.Z .yyH_Z .yyU B:SBAS 放送データファイル(別資料) .yyB .yyB.Z .yyB_Z .yyA M:気象データファイル .yyM .yyM.Z .yyM_Z .yyW C:クロックファイル(別資料) .yyC .yyC.Z .yyC_Z .yyK Q:QZSS 航法メッセージファイル *1 .yyQ .yyQ.Z .yyQ_Z .yyJ

*1:JAXA 殿提案中

衛星番号識別

衛星番号の識別は、表 4-59 に示すシステム識別と衛星番号を組み合わせた 3 文字“ann”で行う。

JAXA 殿は QZSS のシステム識別を”J”、衛星番号を PRN-192 とするよう提案している。

表 4-59 衛星番号識別 a:システム識別 nn:衛星番号

G GPS PRN R GLONASS slot number S SBAS payload PRN-100 E Galileo PRN C Compass PRN J QZSS *1 PRN-192 (PRN 番号 マイナス 192)

*1:JAXA 殿提案中

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4-63

観測コード

Version 2 の各サブバージョンで観測コードが定義されている。 Version 2.10 の観測コードを 表 4-60 に示す。

表 4-60 Version 2.10 観測コード一覧 システム 周波数帯 周波数 コード識別

擬似距離 搬送波位相 ドップラー 信号強度 GPS L1 1575.42 C1,P1 L1 D1 S1

L2 1227.60 P2 L2 D2 S2 GLONASS G1 1602+k*9/16 C1,P1 L1 D1 S1

G2 1246+k*7/16 P2 L2 D2 S2 SBAS L1 1575.42 C1 L1 D1 S1

Version 2.11 の観測コードを 表 4-61 に示す。

表 4-61 Version 2.11 観測コード一覧 システム 周波数帯 周波数 コード識別

擬似距離 搬送波位相 ドップラー 信号強度 GPS L1 1575.42 C1,P1 L1 D1 S1

L2 1227.60 C2,P2 L2 D2 S2 L5 1176.45 C5 L5 D5 S5

GLONASS G1 1602+k*9/16 C1,P1 L1 D1 S1 G2 1246+k*7/16 C2,P2 L2 D2 S2

Galileo E2-L1-E1 1575.42 C1 L1 D1 S1 E5a 1176.45 C5 L5 D5 S5 E5b 1207.140 C7 L7 D7 S7 E5a+b 1191.795 C8 L8 D8 S8 E6 1278.75 C6 L6 D6 S6

SBAS L1 1575.42 C1 L1 D1 S1 L5 1176.45 C5 L5 D5 S5

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4-64

Version 2.12 の観測コードを 表 4-62 に示す。

表 4-62 Version 2.12 観測コード一覧 システム 周波数帯 コード

チャンネル 周波数 RINEX 2 コード

擬似距離 搬送波 ドップラー 信号強度

GPS L1 P,Y 1575.42 P1 L1 D1 S1 C/A CA LA DA SA L1C CB LB DB SB

L2 P,Y 1227.60 C2,P2 L2 D2 S2 L2C CC LC DC SC

GLONASS G1 HA 1602+k*9/16 P1 L1 D1 S1 SA CA LA DA SA

G2 HA 1246+k*7/16 P2 L2 D2 S2 SA CD LD DD SD

Galileo E2-L1-E1 1575.42 C1 L1 D1 S1 E5a 1176.45 C5 L5 D5 S5 E5b 1207.140 C7 L7 D7 S7 E5a+b 1191.795 C8 L8 D8 S8 E6 1278.75 C6 L6 D6 S6

SBAS L1 1575.42 C1 L1 D1 S1 L5 1176.45 C5 L5 D5 S5

Compass E2 I/Q C2 L2 D2 S2 E5b I/Q C7 L7 D7 S7 E6 I/Q C6 L6 D6 S6

以下 JAXA 殿による QZSS 対応への提案 QZSS L1 C/A 1575.42 CA LA DA SA

L1 L1C 1575.42 CB LB DB SB L2 L2C 1227.60 CC LC DC SC L5 I/Q 1176.45 C5 L5 D5 S5 LEX S/L 1278.75 C6 L6 D6 S6

GPS C2: CA+(P2-P1) Pseudorange based on C/A(L1) and differenceP2-P1 or Y2-Y1

GLONASS SA: Based on standard accuracy code. HA: Based on high accuracy code

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4-65

データ例 表 4-53 の観測データファイルヘッダー部に含まれる① RINEX VERSION / TYPE、② REC # / TYPE / VERS及びデータ部中の③ OBSERVATIONSレコードのフォーマットを図 4-6 に示す。

Version O(Observation Data)

Satellite Systemex . G:GPS

11XF9.2 A1 19X A1 19X A20

RI N EX VERS ION / TYPE2. 12

FORMAT

文字列

A20 A20 A20 A20FORMAT

文字列 REC # / TYPE / VER SReceiver number type version

FORMAT

文字列

F14.3 I1I1 F14.3 I1 I1 F14.3 I1I1 F14.3 I1I1 F14.3 I1 I1

Observation

LLI

Signal strength

Observation Observation Observation

LLI

Signal strength

LLI

Signal strength

LLI

Signal strength

LLI

Signal strength

Observation

1 11 21 31 41 51 61 71 80文字数

① RINEX VERSION / TYPE

② REC # / TYPE / VERS

③ OBSERVATIONS

図 4-6 Version 2.12 のヘッダ、データの文字列の例 図に示すように、レコードのフォーマットは厳密に定められている。 観測データヘッダー部の一部を 図 4-7 に、その内容に従ったデータ部の例を 図 4-8 に示す。

5 種の観測タイプを含む P1:L1 擬似距離(HA)、L1:L1 搬送波、

L2:L2 搬送波、P2:L2 擬似距離(HA)、L5:L5 搬送波

1 2 3 4 5 6 7 8

12345678901234567890123456789012345678901234567890123456789012345678901234567890

5 P1 L1 L2 P2 L5 # / TYPES OF OBSERV

18.000 INTERVAL

2005 3 24 13 10 36.0000000 TIME OF FIRST OBS

END OF HEADER

観測間隔:18.000 秒

最初の観測時刻 2005 年 3 月 24 日 13 時 10 分 36.000 秒

ヘッダー部の終了

図 4-7 RINEX version 2.X ヘッダー部の一部の例

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4-66

2005 年 3 月 24 日 13 時 36.0…秒 Epoch Flag:OK

4 衛星(G12,G09,G06,E11)のデータ

受信機クロックオフセット

1 2 3 4 5 6 7 8

12345678901234567890123456789012345678901234567890123456789012345678901234567890

05 3 24 13 10 36.0000000 0 4G12G09G06E11 -.123456789

23629347.915 .300 8 -.353 23629364.158

20891534.648 -.120 9 -.358 20891541.292 -.120 9

20607600.189 -.430 9 .394 20607605.848

.324 8 .178 7

P1:L1 擬似距離(HA) L1:L1 搬送波 L2:L2 搬送波 P2:L2 擬似距離(HA) L5:L5 搬送波

信号強度 (データの順序はヘッダー部で定義)

データは G12、G09、G08、E11 の順

図 4-8 RINEX version 2.X データファイルの例

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4-67

4.5.4.3. Version 3.00 / 3.01 その後 Galileo や GPS の新たな(特に同じ周波数で、異なった観測データが得られる)周

波数/信号に対応するため、より柔軟で、詳細な観測コードを定義する必要が生じたこと、ま

た複数の衛星システムのデータが混在するファイルの扱いを改善する必要が生じたため、これ

らに対応する大規模な変更を含む version 3.00[9]を発行した。 Version 3.00 ではデータ部のレコード構造も大幅に変更され、80 桁の制限も取り除いてい

る。 Version 3.01[10]は、L2 P(Y)信号と L2C 信号のように、同一周波数で異なった種類の信号を

追尾した際に生じる 1/4 サイクルの相違の扱いを明確にしたものである。また、GPS の L1C信号や、Compass にも対応した。

JAXA殿ではversion 3 をベースにQZSSのシステムコードを“J”とすること及び観測コー

ドについて、QZSSをRINEXに含めるよう提案[11]を行っている。(表 4-67 参照)

RINEX version 3 は以下の三つの ASCII のファイルタイプから構成される。 1. 観測データファイル (Observation data File) 2. 航法メッセージファイル (Navigation message File) 3. 気象データファイル (Meteorological data File)

それぞれのファイルはヘッダー部とデータ部からなる。ヘッダー部はファイルの先頭にあっ

て、ファイル全体の情報を含む。ヘッダーレコードでは 61~80 桁目にヘッダーラベルが記載

されていなければならない。

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4-68

データフォーマットの定義

1.観測データファイル(Observation Data File)、2. 航法メッセージファイル(Navigation Message File)、3. 気象データファイル(Meteorological data File)のヘッダー及びデータ

に含まれるレコードの種類を 表 4-63 に示す。詳細は仕様書の” APPENDIX: RINEX FORMAT DEFINITIONS AND EXAMPLES”に記載されている.

表 4-63 各ファイルレコード一覧

1. 観測データファイル

ヘッダー部 ・ RINEX VERSION / TYPE ・ COMMENT *** ・ MARKER NUMBER *** ・ OBSERVER / AGENCY ・ ANT # / TYPE ・ ANTENNA: DELTA H/E/N ・ ANTENNA: PHASECENTER ***・ ANTENNA: ZERODIR AZI *** ・ CENTER OF MASS: XYZ *** ・ SIGNAL STRENGTH UNIT *** ・ TIME OF FIRST OBS ・ RCV CLOCK OFFS APPL *** ・ SYS / PCVS APPLIED *** ・ SYS / PHASE SHIFTS ・ LEAP SECONDS *** ・ PRN / # OF OBS ***

・ PGM / RUN BY / DATE ・ MARKER NAME ・ MARKER TYPE ・ REC # / TYPE / VERS ・ APPROX POSITION XYZ ・ ANTENNA: DELTA X/Y/Z *** ・ ANTENNA: B.SIGHT XYZ *** ・ ANTENNA: ZERODIR XYZ ***・ SYS / # / OBS TYPES ・ INTERVAL *** ・ TIME OF LAST OBS *** ・ SYS / DCBS APPLIED *** ・ SYS / SCALE FACTOR *** ・ GLONASS SLOT / FRQ # *** ・ # OF SATELLITES *** ・ END OF HEADER

データ部 ・ EPOCH record ・ Special records

・ OBSERVATION records ・ Cycle slip records

2. 航法メッセージファイル(GPS, GALILEO, GLONASS, SBAS)

ヘッダー部 ・ RINEX VERSION / TYPE ・ COMMENT *** ・ TIME SYSTEM CORR *** ・ END OF HEADER

・ PGM / RUN BY / DATE ・ IONOSPHERIC CORR *** ・ LEAP SECONDS ***

データ部 ・ SV / EPOCH / SV CLK ・ BROADCAST ORBIT – 1~-7

3. 気象データファイル

ヘッダー部 ・ RINEX VERSION / TYPE ・ COMMENT *** ・ MARKER NUMBER *** ・ SENSOR MOD/TYPE/ACC ・ END OF HEADER

・ PGM / RUN BY / DATE ・ MARKER NAME ・ # / TYPES OF OBSERV ・ SENSOR POS XYZ/H

データ部 ・ EPOCH / MET

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4-69

観測コード

GPS や Galileo の新たな信号構造では、一つのコードに複数のチャンネルがあり、これらの

単独または組み合わせにより、一つのコードから複数の観測データが得られるようになった。

2チャンネル信号は I 相と Q 相成分からなり、3チャンネル信号は A,B,C 成分の組み合わ

せからなる。さらに E5a と E5b を同時追尾する広帯域追尾も可能になっている。これらの

実際の信号の詳細を維持しつつ、観測コードを短く保つために、観測コードの長さは version 2 までの 2 文字から、信号属性を示す一文字を増やして 3 文字とした。 観測コード”tna”は 表 4-64 に示すように、三つの部分からなる。

表 4-64 観測コードの表記方法 t 観測データタイプ “C” = 擬似距離、“L” = 搬送波位相、

“D” = ドップラー周波数、“S” = 信号強度 n バンド/周波数 1, 2,…,8 a 属性 追尾モードまたはチャンネル I, Q, 等

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4-70

表 4-64 従い決定されたGPS及びGLONASSの信号コード一覧を 表 4-65 に示す。

表 4-65 GPS 及び GLONASS 信号コード一覧 システム 周波

数帯

周波数 キャリア / コード 観測コード

擬似距離 搬送波 ドップラー 信号強度

GPS

L1 1575.42

C/A C1C L1C D1C S1C

L1C (M) C1S L1S D1S S1S

L1C (L) C1L L1L D1L S1L

L1C (M+L) C1X L1X D1X S1X

P C1P L1P D1P S1P

Z-tracking and similar

(AS on) C1W L1W D1W S1W

Y C1Y L1Y D1Y S1Y

M C1M L1M D1M S1M

codeless -- L1N D1N S1N

L2 1227.60

C/A C2C L2C D2C S2C

L1(C/A)+(P2-P1)

(semi-codeless) C2D L2D D2D S2D

L2C (M) C2S L2S D2S S2S

L2C (L) C2L L2L D2L S2L

L2C (M+L)1 C2X L2X D2X S2X

P C2P L2P D2P S2P

Z-tracking and similar

(AS on) C2W L2W D2W S2W

Y C2Y L2Y D2Y S2Y

M C2M L2M D2M S2M

codeless -- L2N D2N S2N

L5 1176.45

I C5I L5I D5I S5I

Q C5Q L5Q D5Q S5Q

I+Q C5X L5X D5X S5X

GLON-

ASS

G1

1602+k*9/

16

k=-7...+12

C/A C1C L1C D1C S1C

P C1P L1P D1P S1P

G2 1246+k*7/

16

C/A (GLONASS M) C2C L2C D2C S2C

P C2P L2P D2P S2P

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4-71

Galileo、SBAS及びCompassの信号コードを 表 4-66 に示す。

表 4-66 Galileo、SBAS 及び Compass の信号コード一覧 システム 周波

数帯

周波数 キャリア / コード 観測コード

擬似距離 搬送波 ドップラー 信号強度

Galileo

E1 1575.42

A PRS C1A L1A D1A S1A

B I/NAV OS/CS/SoL C1B L1B D1B S1B

C no data C1C L1C D1C S1C

B+C C1X L1X D1X S1X

A+B+C C1Z L1Z D1Z S1Z

E5a 1176.45

I F/NAV OS C5I L5I D5I S5I

Q no data C5Q L5Q D5Q S5Q

I+Q C5X L5X D5X S5X

E5b 1207.140

I I/NAV OS/CS/SoL C7I L7I D7I S7I

Q no data C7Q L7Q D7Q S7Q

I+Q C7X L7X D7X S7X

E5

(E5a+E

5b)

1191.795

I C8I L8I D8I S8I

Q C8Q L8Q D8Q S8Q

I+Q C8X L8X D8X S8X

E6 1278.75

A PRS C6A L6A D6A S6A

B C/NAV CS C6B L6B D6B S6B

C no data C6C L6C D6C S6C

B+C C6X L6X D6X S6X

A+B+C C6Z L6Z D6Z S6Z

SBAS

L1 1575.42 C/A C1C L1C D1C S1C

L5 1176.45

I C5I L5I D5I S5I

Q C5Q L5Q D5Q S5Q

I+Q C5X L5X D5X S5X

Compass

E1 1589.74 ? ? ? ? ?

E2 1561.098

I C2I L2I D2I S2I

Q C2Q L2Q D2Q S2Q

I+Q C2X L2X D2X S2X

E5b 1207.14

I C7I L7I D7I S7I

Q C7Q L7Q D7Q S7Q

I+Q C7X L7X D7X S7X

E6 1268.52

I C6I L6I D6I S6I

Q C6Q L6Q D6Q S6Q

I+Q C6X L6X D6X S6X

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4-72

JAXA殿が提案中のQZSSの信号コードを 表 4-67 に示す。

表 4-67 QZSS の信号コード(JAXA 殿提案中) システム 周波

数帯

周波数 キャリア / コード 観測コード

擬似距離 搬送波 ドップラー 信号強度

QZSS

L1

1575.42

C/A C1C L1C D1C S1C

L1C(D) *1 C1S L1S D1S S1S

L1C(P) *2 C1L L1L D1L S1L

L1C(D+P) C1X L1X D1X S1X

L2 1277.60

L2C(M) *1 C2S L2S D2S S2S

L2C(L) *3 C2L L2L D2L S2L

L2C(M+L) C2X L2X D2X S2X

L5 1176.45

I C5I L5I D5I S5I

Q C5Q L5Q D5Q S5Q

I+Q C5X L5X D5X S5X

LEX 1278.75

S *1 C6S L6S D6S S6S

L *3 C6L L6L D6L S6L

S+L C6X L6X D6X S6X

*1:データチャンネル

*2:パイロットチャンネル

*3:データ無し

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4-73

観測データヘッダーファイルの一部の例を 図 4-9 に、そのヘッダーファイルの内容に従った

データファイルの内容の例を 図 4-10 に示す。 G:GPS 5:5 種の観測データ C1C:L1 C/A 擬似距離 L1W:L1 搬送波

L2W:L2 搬送波 C1W:L1 擬似距離 S2W:L2 信号強度

R:GLONASS 2:2 種の観測データ C1C:G1 C/A 擬似距離 L1C:G1 C/A 搬送波

E:Galileo 2:2 種の観測データ L1B:E1B 搬送波 L5I:E5a I 搬送波

S:SBAS 2:2 種のデータ C1C:L1 C/A 擬似距離 L1C:L1 C/A 搬送波

1 2 3 4 5 6 7 8

12345678901234567890123456789012345678901234567890123456789012345678901234567890

G 5 C1C L1W L2W C1W S2W SYS / # / OBS TYPES

R 2 C1C L1C SYS / # / OBS TYPES

E 2 L1B L5I SYS / # / OBS TYPES

S 2 C1C L1C SYS / # / OBS TYPES

18.000 INTERVAL

DBHZ SIGNAL STRENGTH UNIT

2006 03 24 13 10 36.0000000 GPS TIME OF FIRST OBS

END OF HEADER

信号強度の単位 dB-Hz 観測間隔:18.000 秒

最初の観測時刻 2006 年 3 月 24 日 13 時 10 分 36.000…秒 GPS 時刻による

図 4-9 ヘッダー部の一部の例

観測(エポック)時刻 Epoch Floag 0:OK データを得た衛星数:5 受信機クロックオフセット

GPS 衛星(PRN)番号 06,09,12 の観測データ

(データ内容はヘッダ部の”SYS/#/OBS TYPES”で定義)

1 2 3 4 5 6 7 8

12345678901234567890123456789012345678901234567890123456789012345678901234567890

> 2006 03 24 13 10 36.0000000 0 5 -0.123456789012

G06 23629347.915 .300 8 -.353 4 23629347.158 24.158

G09 20891534.648 -.120 9 -.358 6 20891545.292 38.123

G12 20607600.189 -.430 9 .394 5 20607600.848 35.234

E11 .324 8 .178 7

S20 38137559.506 335849.135 9

Galileo 衛星番号 11 の観測データ SBAS 衛星(PRN)番号 120 の観測データ

図 4-10 データファイルの例

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4-74

4.5.5. RTCM SC-104 フォーマット

4.5.5.1. 概 要 Radio Technical Commission for Maritime Services (RTCM)によって作られた規格で、大別

すると

・RTCM SC-104 version 2.X

・RTCM SC-104 version 3.X

・Networked Transport of RTCM via Internet Protocol (Ntrip)

の三種類に分類できる。現在RTCMで発行している規格書は表 4-68のとおりである。

表 4-68 RTCM 規格書一覧

Networked Transport of RTCM via Internet Protocol (Ntrip) – Version 2.0 with Amendment 1,( 2011年 6 月 28 日) Networked Transport of RTCM via Internet Protocol (Ntrip) Version 1.0 with Amendment 1 Differential GNSS (Global Navigation Satellite Systems) Services - Version 3 + Amendments 1, 2, 3, 4, and 5 (2011 年 7 月 1 日) Differential GNSS (Global Navigation Satellite Systems) Service, Version 2.3 with Amendment 1 (2010 年 5 月 21 日) Differential GNSS (Global Navigation Satellite Systems) Service, Version 2.2 Differential Navstar GPS Service, Version 2.1 Differential Navstar GPS Service, Version 2.0

Networked Transport of RTCM via Internet Protocol (Ntrip)はネットワーク上でのプロト

コルの規格であり、直接受信機が扱うものではないため、今回の調査の範囲外とする。 改版の主な理由を表 4-69に示す。

表 4-69 改版の主な理由

Version 改版理由

RTCM-2.0 擬似距離ディファレンシャルGPS測位用 (DGPS)

RTCM-2.1 擬似距離+搬送波位相補正によりRTK測位に対応

RTCM-2.2 2.1にGLONASS対応データ追加

RTCM-2.3 2.2にアンテナ定義データ追加

RTCM-3.0 ネットワークRTKとGNSS対応を可能とした

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4-75

4.5.5.2. Version 2.X

RTCM SC-104 version 2.0は1990年1月1日に、DGPSアプリケーションのための擬似距離補

正情報のために定められた。

データ構造は、GPS衛星から50BPSで放送されるGPS航法メッセージを基本に設計され、

30ビット1ワードの構成、パリティのアルゴリズム、データの第一ワードのテレメトリワード、

第二ワードのハンドオーバーワードの構成が同じである。

Version 2.Xでは三つのデータタイプ(タイプ1~3)と独自のフォーマットのための一つの

タイプ(タイプ59)が定義されている。RTCM SC-104 vbersion 2.Xのデータタイプを表 4-70に示す。

表 4-70 RTCM SC-104 version 2.X のデータタイプ

タイプ 内 容 タイプ1 擬似距離補正(PRC)、擬似距離変化率補正(RRC)、データ発行(IOD)、

ユーザディファレンシャル距離誤差(UDRE)などのディファレンシャル補

正に必要な情報 タイプ2 衛星航法データの変化に伴う擬似距離及び擬似距離変化率の差を補正する

ためのデータ タイプ3 基準局の地球中心、地球固定座標による位置 タイプ59 任意のフォーマットでデータを送信できる独自メッセージ

衛星から50BPSのレートで送信されるGPS航法メッセージは1ワードが30ビットからなり、

テレメトリワードとハンドオーバーワードが各ページの 初の2ワードである。各ワードは6

ビットのパリティビットを含む。同様に、RTCM Version 2メッセージは図 4-11に示すように、

2あるいはそれ以上の30ビットのワードからなる。

テレメトリワード DATA 24 bitWord 1

Word 2

Word 3

Word n+2

ハンドオーバーワ トー゙

データワ トー ゙ 1

データワ トー ゙ n

ヘッダ

1 ワード = 30 bit

PARITY 6bit

PARITY 6bit

PARITY 6bit

PARITY 6bit

DATA 24 bit

DATA 24 bit

DATA 24 bit

図 4-11 RTCM version 2 のメッセージ構造

各メッセージの先頭2ワードはプリアンブル、メッセージタイプ、局識別などのヘッダー情

報を含む。30ビットのうち、24ビットはデータで、6ビットはパリティに充てられる。ヘッダ

ーの情報はメッセージタイプごとに異なる。

ワードの大きさ、パリティチェックアルゴリズムはGPSの航法メッセージに用いられているも

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4-76

のと同じである。

ヘッダーのあとのメッセージは可変長である。メッセージ長は、ヘッダー中のデータワード

数で決められる。いくつかの特定のメッセージ長は固定である。

データリンクは基準局から移動局/ユーザ局へ情報を運ぶ。

RTCM version 2.3のフォーマット仕様によれば、シリアルデータ送信はANSI X3.15及びX3.16

の8ビットによるものとされている。結果として、30ビットワードは8ビットフォーマットで与

えられなければならない。RTCM version 2では特殊な6 of 8フォーマットが用いられている。

各バイトはGPSワードからの6ビットと、残りの2ビットは”0”と”1”で埋められる。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

プリアンブル(PREAMBLE)

メッセージ タイプ(MESSAGE TYPE)

局識別(STATION I.D.)

パリティ(PARITY)

0 1 1 0 0 1 1 0 MSB LSB MSB LSB

送信先頭ビット 送信最終ビット

各メッセージ第一ワード

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

修正Zカウント(MODIFIED Z-CO UNT)

シーケンス番号

データワード数(NO . OF

DATA WDS)

パリティ(PARITY)

MSB LSB

各メッセージ第 二ワード

局健康(STSTION HEALTH)

図 4-12 RTCM version 2 メッセージヘッダーの内容

標準の8ビットバイトはANSI X3.16に記述されている。この規格では 初のデータビットは

LSBが送信されるよう指示されている。しかし、RTCMはMSBが 初に送信されるように決め

られている。

このため、メッセージデータを6 of 8 フォーマットに変換する際にはビットの順序を入れ替

える必要がある。(詳細はRTCM SC104 2.3の第5章に記載されている)

RTCM 2.0はネットワーク基準局からのデータはサポートしないため、Geo++は”FKP”として

知られている基準局ネットワークからの補正パラメータを独自フォーマットのタイプ59で送

信している。

19992年にRTK測位に適用できるようにするため搬送波位相通信ワークグループがRTCM

version 2.0を改訂するために設立され、搬送波位相情報のために変更が奨励された(1992年)。

RTCM version 2.0は1994年に擬似距離と搬送波位相の観測生データ(タイプ18、19)及び補

正データ(タイプ20、21)のRTKメッセージを送信できるよう、version 2.1に更新された。

Version 2.2はGLONASSディファレンシャル補正情報(タイプ31)を含め、1998年に発行され

た。

タイプ31はDGPS補正のタイプ1と同等である。しかし、タイプ18-21は完全に以前のバージョ

ンと同じものではない。

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4-77

RTCM version 2.3(RTCM 2001)はアンテナ記述、アンテナシリアル番号(Type 23)基準局

のアンテナ基準点のECEFによる座標(ARP)、オプションのアンテナ高さ(Type 24)のよ

うなメッセージを加えて定義された。

加えてRTK、ラジオビーコン放送、ロラン-Cの使用などに関するいくつかのメッセージが導

入された。

表 4-71にversion 2.Xで定義されているメッセージと追加された版を示す。

表 4-71 Version 2.X で定義されているメッセージ一覧

メッセージタイプ 追加された版 内 容 1 Differential GPS Corrections 2 Delta Differential GPS Corrections 3 GPS Reference Station Parameters 4 Reference Station Datum 5 GPS Constellation Health 6 GPS Null Frame (データの穴埋め用) 7 DGPS Radiobeacon Almanac 8 Pseudolite Almanac 9 GPS Partial Correction Set

10 P-Code Differential Corrections 11 C/A-Code L1, L2 Delta Corrections 12 Pseudolite Station Parameters 13 Ground Transmitter Parameters 14 GPS Time of Week 15 Ionospheric Delay Message 16 GPS Special Message 17 GPS Ephemerides 18 v2.1 RTK Uncorrected Carrier Phases 19 v2.1 RTK Uncorrected Pseudoranges 20 v2.1 RTK Carrier Phase Corrections 21 v2.1 RTK/Hi-Accuracy Pseudorange Corrections 22 Extended Reference Station Parameters 23 v2.3 Antenna Type Definition Record 24 v2.3 Reference Station: Antenna Reference Point (ARP) Parameter

25-26 Undefined 27 Extended Radiobeacon Almanac

28-30 Undefined 31 v2.2 Differential GLONASS Corrections 32 v2.2 Differential GLONASS Reference Station Parameters 33 v2.2 GLONASS Constellation Health 34 v2.2 GLONASS Partial Differential Correction Set (N > 1)

GLONASS Null Frame (N ≤ 1) 35 v2.2 GLONASS Radiobeacon Almanac

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4-78

メッセージタイプ 追加された版 内 容 36 v2.2 GLONASS Special Message 37 GNSS System Time Offset

38-58 Undefined 59 Proprietary Message

60-63 Multipurpose Usage

4.5.5.3. Version 3.X

RTCM version 2.Xは多くの市販の受信機に導入され、ディファレンシャルや、単独の基準局

によるRTKに幅広く利用されている。しかし、RTCM SC104 version 2.Xには限界がある。ま

ず、各ワードは24ビットのデータと6ビットのパリティの30ビットのワードの構成は非効率な

メッセージのエンコーディングのため、帯域波場を無駄にしている。

パリティの計算のために直前のワードを参照するこのため、各メッセージが独立したもので

はない。またRTCM version 2.XではGPS L2やL5などの新しい信号やGalileoやCompassなどの

新しいシステムを導入するには十分な柔軟性を有していない。加えてRTCM version 2.3では新

しいネットワークRTKの概念を導入することは困難であった。

RTCM SC-104 version 3.はこれらの問題の解決のために作られた。メッセージフレームの構

造はversion 2.Xと全く異なるもので、表 4-72に示すように、プリアンブル8ビット(固定パタ

ーン)+予約6ビット+メッセージ長10ビット+可変長メッセージ+CRCデータ24ビットから構

成される。

可変長メッセージは整数バイト数(ビット数が8の倍数)でなければならず、データが不足

する場合は、8の倍数になるまで、ビットを埋める必要がある。

表 4-72 RTCM version 3 フレーム構造

プリアンブル 予約 メッセージ長 可変長メッセージ CRC

8ビット 6ビット 10ビット バイトの整数倍のビット数 24ビット

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4-79

データは表 4-73に示すようにグループ化されている。

表 4-73 データのグループ化とメッセージタイプ

グループ名 サブグループ名 メッセージタイプ

観測データ

Observations

GPS L1 1001、1002

GPS L1/L2 1003、1004

GLONASS L1 1009、1010

GLONASS L1/L2 1011、1012

局座標 (Station Coordinates) 1005、1006

アンテナ情報 (Antenna Description) 1007、1008

ネットワークRTK補正

(Network RTK Corrections)

ネットワーク補助局データメ

ッセージ

1014

電離層補正データ差分 1015

Geometric Correction

Differences

1016

Combined Geometric and

Ionospheric Correction

Differences

1017

付加情報

(Auxiliary Operation Information)

システムパラメータ 1013

衛星エフェメリス情報 1019

ユニコードテキスト情報 1020

独自情報 (Proprietary Information) 現時点 4088 - 4095

RTCM 10403.1 Table 3.1-1. RTK Message Groups

データの観測タイミングはGNSSシステム時刻に同期させる(クロックステアリング)こと

が推奨され、できない場合は、クロックオフセット相当分観測データを補正しなければならな

い。

表 4-74に一般的な動作におけるデータの更新周期を示す。

表 4-74 一般的な動作時のデータ更新周期

グループ名 メッセージタイプ 更新レート

観測データ 1004 1Hz

局情報 1005 or 1006 RTKの一般的な値

アンテナ情報 1007 or 1008 RTKの一般的な値

ネットワークRTK 補助局データ 1014

ネットワークRTK 電離層補正差分 1015 10秒周期

ネットワークRTK GPS Geometric

Correction

Difference

1016 10秒周期

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4-80

メッセージタイプ1003は擬似距離及び搬送波位相観測データによる2周波GPS RTKメッセ

ージである。

タイプ1003は64ビットのGPS RTKヘッダーと各衛星101ビットのデータ本体を持つ。デー

タビット数がバイト単位にならない場合は、ビットを埋めなければならない。

ある時刻に10衛星のデータが得られた場合、送信される全ビット数は表 4-75で計算される

表 4-75 10 衛星分の観測データ送信に必要なビット数 内 容 必要ビット数

プリアンブル 8 bits

予約 6 bits

メッセージ長 10 bits

データ本体 10 satellites x 101 bits + 6 (fill bits) = 1016 bits

CRC パリティ 24 bits

合 計 1128 bit = 141 bytes

10衛星のGPS RTKメッセージ送信のために、141バイトが必要となる。10衛星という同等の

条件で、RTCM 2.3での必要な送信ビット数を表 4-76に示す。

表 4-76 RTCM 2.3 で 10 衛星の観測データ送信に必要なビット数 内 容 必要ビット数

Message Type 18 for carrier phase for L1

ヘッダー 2ワード = 60 bits

観測時刻 1ワード = 30 bits

データ本体 2ワード(60 bits)x 10衛星 = 600 bits

タイプ18合計 690 bits

Message Type 19 for pseudo-range for CA code

ヘッダー 2ワード = 60 bits

観測時刻 1ワード = 30 bits

データ本体 2ワード(60 bits)x 10衛星 = 600 bits

タイプ19合計 690 bits

Message Type 18 for carrier phase for L2

ヘッダー 2ワード = 60 bits

観測時刻 1ワード = 30 bits

データ本体 2ワード(60 bits)x 10衛星 = 600 bits

タイプ18合計 690 bits

Message Type 19 for pseudo-range for P code

ヘッダー 2ワード = 60 bits

観測時刻 1ワード = 30 bits

データ本体 2ワード(60 bits)x 10衛星 = 600 bits

タイプ19合計 690 bits

総合計ビット(バイト)数 2760 bits = 345 bytes

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4-81

表 4-75と表 4-76の比較により、RTCM version 3.0がRTCM version 2に比較して、大幅にバン

ド帯の要求を減少させていることが分かる。

RTCM version 3.0はL1とL2の補正を発散と非発散の項:電離層による搬送波位相補正差分

(Ionospheric Carrier Phase Correction Difference)と幾何学的搬送波位相補正差分(Geometric

Carrier Phase Correction Difference)は、これらを独立して送信した場合と比べ、 大80%もバ

ンド帯を減少させることを可能としている。

RTCM version 3.0はパリティチェックのために可変長メッセージの 後にCRCを付加してい

る。このパリティアルゴリズムも各メッセージに24ビットしか必要としないため、30ビットご

とに6ビットを必要とするRTCM version 2.3と比べて送信データの効率の改善となっている。

さらに、ランダムエラー、バーストエラーに対する未検出の誤りの率をビット誤りの率が0.5

以下の全てのチャンネルで、2-24=5.96x10-8とすることができた。詳細はRTCM version 3.0(RTCM,

2004a)に記載されている。

メッセージタイプと内容

RTCM version 3.0は運用面から見ると、柔軟なフォーマットである。メッセージタイプは異

なったグループに纏められている。

各グループの異なったタイプは類似の情報を含んでいる。このため、メッセージタイプは混在

することが可能で、放送スループットの節約が可能である。

例えば、DGNSSのサービスプロバイダは帯域を も少なくするために、GPS観測グループか

ら、単独周波数(L1)観測データとしてタイプ1001を選択することも、2周波数(L1及びL2)

用にタイプ1004を選択することも可能である。

これはアンテナ基準点やGLONASS観測データのような他の群でも同じである。表 4-77~表 4-80には各グループと対応するメッセージを示す。RTCM version 3はversion 2の制限を乗り越

えているが、コンパチブルではない。

表 4-77 観測データグループ、GPS サブグループのメッセージ

タイプ 内 容

1001 L1帯のみのGPS RTK観測データ

1002 拡張L1帯GPS RTK観測データ 信号C/N比(CNR)、全msの擬似距離観測データを含む

1003 L1及びL2帯のGPS RTK観測データ

1004 拡張L1及びL2帯GPS RTK観測データ 信号C/N比(CNR)、全msの擬似距離観測データを

含む

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4-82

表 4-78 局座標グループのメッセージ

タイプ 内 容

1005 RTK基準局アンテナ基準点のECEF XYZ座標

1006 RTK基準局アンテナ基準点のアンテナ高を含むECEF XYZ座標

表 4-79 アンテナ情報グループのメッセージ タイプ 内 容

1007 アンテナの情報

1008 アンテナの情報とシリアル番号

表 4-80 観測データグループ、GLONASS サブグループのメッセージ

タイプ 内 容

1009 L1帯のみのGLONASS RTK観測データ

1010 拡張L1帯GLONASS RTK観測データ 信号C/N比(CNR)、全msの擬似距離観測データを含

1011 L1及びL2帯のGLONASS RTK観測データ

1012 拡張L1及びL2帯GLONASS RTK観測データ 信号C/N比(CNR)、全msの擬似距離観測デー

タを含む

Version 2.Xと 3.Xとは、フォーマットは異なるが、送信するデータ内容は相互に同等のもの

を有している。表 4-81 にこれらの関連を示す。

表 4-81 version 2.X と version 3.0X の対応 バージョン RTCM 2.0 RTCM 2.1 RTCM 2.2 RTCM 2.3 RTCM 3.0 メッセージ タイプ

Type 1 Type 1 Type 1 Type 1 Type 1001 Type 2 Type 2 Type 2 Type 2 Type 1002 Type 3 Type 3 Type 3 Type 3 Type 1003 Type 59 Type 59 Type 59 Type 59 Type 1004 Type 1 Type 1 Type 18 Type 1005 Type 2 Type 2 Type 19 Type 1006 Type 3 Type 3 Type 20 Type 1007 Type 59 Type 59 Type 21 Type 1008 Type 31 Type 23、24 Type 10013

対応 システム

GPS GPS GPS+GLONASS

GPS+GLONASS

GPS+GLONASS

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4-83

メッセージタイプ 1002 の内容 メッセージタイプ 1002 は観測データグループの GPS サブグループ中の GPS L1 拡張 RTK

のメッセージである。GPS サブグループ共通のヘッダー(固定長)とメッセージタイプ 1002固有の衛星観測データ(衛星数で長さが異なる)からなる。 観測データグループGPSサブグループ(タイプ 1001~1004)のヘッダーの構成を 表 4-82 に

示す。

表 4-82 タイプ 1001~1004 メッセージヘッダーの構成 データ項目

(DATA FIELD) データ番号

(DF NUMBER) データ型 ビット数

メッセージタイプ (例:“1002”= 0011 1110 1010) DF002 uint12 12 基準局識別 DF003 uint12 12 GPS エポック時刻 (TOW) DF004 uint30 30 GNSS(観測)同期フラグ DF005 bit(1) 1 データ観測衛星数 DF006 uint5 5 ダイバージェンスフリーのスムージングの表示 DF007 bit(1) 1 GPS スムージング間隔 DF008 bit(3) 3

合 計 64

ヘッダーに続く各衛星の観測データの構成を 表 4-83 に示す。

表 4-83 タイプ 1002 各衛星の観測データの構成

データ項目 (DATA FIELD)

データ番号 (DF NUMBER)

データ型 ビット数

GPS 衛星識別 DF009 uint6 6 GPS L1 コード表示 DF010 bit(1) 1 GPS L1 擬似距離 DF011 uint24 24 GPS L1 搬送波 – L1 擬似距離 DF012 int20 20 GPS L1 ロック時間 DF013 uint7 7 GPS L1 擬似距離上位整数部 DF014 uint8 8 GPS L1 CNR DF015 uint8 8

合 計 74

メッセージタイプ 1004 の内容 メッセージタイプ 1004 は観測データグループのGPSサブグループ中のGPS L1、L2 拡張

RTKのメッセージで、ヘッダーはタイプ 1002 と共通である。タイプ 1004 固有の観測データ

の構成を 表 4-84 に示す。

Page 84: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-84

表 4-84 タイプ 1004 各衛星の観測データの構成 データ項目

(DATA FIELD) データ番号

(DF NUMBER) データ型 ビット数

GPS 衛星識別 DF009 uint6 6 GPS L1 コード表示 DF010 bit(1) 1 GPS L1 擬似距離 DF011 uint24 24 GPS L1 搬送波 – L1 擬似距離 DF012 int20 20 GPS L1 ロック時間 DF013 uint7 7 GPS L1 擬似距離上位整数部 DF014 uint8 8 GPS L1 CNR DF015 uint8 8 GPS L2 コード表示 DF016 bit(2) 2 GPS L2-L1 擬似距離差分 DF017 int14 14 GPS L2 搬送波 – L1 擬似距離 DF018 int20 20 GPS L2 ロック時間 DF019 uint7 7 GPS L2 CNR DF020 uint8 8

合 計 125

メッセージタイプ 1010 の内容 メッセージタイプ 1010 は観測データグループの GLONASS サブグループ中の GLONASS

L1 拡張 RTK のメッセージで、GLONASS サブグループ共通のヘッダー(固定長)とメッセ

ージタイプ 1010 固有の衛星観測データ(衛星数で長さが異なる)からなる。 観測データグループGLONASSサブグループ(タイプ 1009~1012)のヘッダーの構成を 表

4-85 に示す。

表 4-85 タイプ 1009~1012 メッセージヘッダーの構成 データ項目

(DATA FIELD) データ番号

(DF NUMBER) データ型 ビット数

メッセージタイプ (例:“1009”=0011 1111 0001) DF002 uint12 12 基準局識別 DF003 uint12 12 GLONASS エポック時刻 (tk) DF034 uint27 27 GNSS (観測)同期フラグ DF005 bit(1) 1 GLONASS データ観測衛星数 DF035 uint5 5 GLONASS ダイバージェンスフリースムージングの表示 DF036 bit(1) 1 GLONASS スムージング間隔 DF037 bit(3) 3

合 計 61

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4-85

ヘッダーに続く各衛星の観測データの構成を 表 4-86 に示す。

表 4-86 タイプ 1010 各衛星の観測データの構成 データ項目

(DATA FIELD) データ番号

(DF NUMBER) データ型 ビット数

GLONASS 衛星識別 (スロット番号) DF038 uint6 6 GLONASS L1 コード表示 DF039 bit(1) 1 GLONASS 周波数チャンネル番号 DF040 uint5 5 GLONASS L1 擬似距離 DF041 uint25 25 GLONASS L1 搬送波 – L1 擬似距離 DF042 int20 20 GLONASS L1 ロック時間 DF043 uint7 7 GLONASS L1 擬似距離上位整数部 DF044 uint7 7 GLONASS L1 CNR DF045 uint8 8

合 計 79

メッセージタイプ 1012 の内容 メッセージタイプ 1012 は観測データグループのGLONASSサブグループ中のGLONASS

L1、L2 拡張RTKのメッセージで、ヘッダーはタイプ 1010 と共通である。タイプ 1012 固有

の観測データの構成を 表 4-87 に示す。

表 4-87 タイプ 1012 各衛星の観測データの構成 データ項目

(DATA FIELD) データ番号

(DF NUMBER) データ型 ビット数

GLONASS 衛星識別 (スロット番号) DF038 uint6 6 GLONASS L1 コード表示 DF039 bit(1) 1 GLONASS 周波数チャンネル番号 DF040 uint5 5 GLONASS L1 擬似距離 DF041 uint25 25 GLONASS L1 搬送波 – L1 擬似距離 DF042 int20 20 GLONASS L1 ロック時間 DF043 uint7 7 GLONASS Integer L1 擬似距離上位整数部 DF044 uint7 7 GLONASS L1 CNR DF045 uint8 8 GLONASS L2 コード表示 DF046 bit(2) 2 GLONASS L2-L1 擬似距離差分 DF047 uint14 14 GLONASS L2 搬送波 – L1 擬似距離 DF048 int20 20 GLONASS L2 Lock time Indicator DF049 uint7 7 GLONASS L2 CNR DF050 uint8 8

合 計 130

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4-86

データの詳細 メッセージ中のデータのフォーマットや内容はデータ番号“DFXXX“として詳細に定義さ

れている。表 4-82から表 4-87で使用されているデータ番号についてその内容を表 4-88~表 4-92 に示す。

表 4-88 データ番号別の内容詳細(1 / 5) データ番号 内 容 DF002 名 称 メッセージタイプ

データ型/データ範囲 uint12 / 0-4095 DF003 名 称 基準局識別

データ型/データ範囲 uint12 / 0-4095 基準局の識別はサービスプロバイダによって決定される。これによって、データと基準局の

関連付けが可能となり、必要な情報と不要な情報の区別を行うこともできる DF004 名 称 GPS エポック時刻(TOW)

データ型/データ範囲 uint30 / 0-604,799,999 ms 分解能 1ms 土曜日の夜/日曜日の朝を始まりとするミリ秒単位の GPS 週内時刻(TOW:Time Of Week)によって、エポック時刻を示す

DF005 名 称 GNSS (観測)同期フラグ データ型/データ範囲 bit(1) このフラグが“0”の場合、同一のエポックで観測されたデータがこれ以上ないことを示し、

データ解読後すぐに処理を開始することができる。“1”の場合、次のメッセージには異な

ったエポック時刻による観測データが含まれていることを示す ここでの“同期”はデータが相互に 1μ秒以内の差で観測されたことを意味する

DF006 名 称 GPS 処理信号数 データ型/データ範囲 uint5 / 0~31 処理が行われた GPS 衛星信号の数。基準局の可視衛星の数と同じである必要はな

い DF007 名 称 GPS ダイバージェンスフリースムージング表示

データ型/データ範囲 bit(1) “0”:ダイバージェンスフリーのスムージングが使用されていない “1”:ダイバージェンスフリーのスムージングが使用された ことを示す

DF008 名 称 GPS スムージング間隔 データ型/データ範囲 bit(3) / 仕様書[10]中の Table 3.4-4 に記載 基準局において、搬送波位相を用いて擬似距離をスムージングするための積算(平均をとる)

期間を示す。ダイバージェンスフリーのスムージングの場合は衛星が追尾できている全期間

で連続して行うことができる DF009 名 称 GPS 衛星識別

データ型/データ範囲 uint6 GPS衛星は 1から 32のPRNコード番号を用いる。32以上はFAAのWAASのようなSBAS衛星用に予約されている。SBAS の PRN 番号は 120 から 138 で、RTCM version 3 では

40 から 58 が割り当てられている。SBAS の PRN 番号はこの値に 80 を加えることにより

求めることができる

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4-87

表 4-89 データ番号別の内容詳細(2 / 5) データ番号 内 容 DF010 名 称 GPS L1 コード表示

データ型/データ範囲 bit(1) 基準局で追尾している衛星のコードを表示する。 “0”:C/A コード、“1”:P(Y)コードを示す

DF011 名 称 GPS L1 擬似距離 データ型/データ範囲 uint24 / 0~299,792.46 m 分解能 0.02 m 基準局で追尾している GPS L1 の擬似距離の m 単位で、1ms に相当する距離(299,792.458 meters)未満の値。全範囲の擬似距離データは、

GPS L1 擬似距離(DF011)+擬似距離上位整数部(DF014) で求める。擬似距離上位整数部はユーザ受信機での計算あるいは拡張データセットに含まれ

る GPS L1 擬似距離上位整数部(DF014)を解読することで得られる DF012 名 称 GPS L1 搬送波 – L1 擬似距離

データ型/データ範囲 int20 / ± 262.1435 m 分解能 0.0005 m L1 搬送波観測データの決定に必要な情報で、搬送波はここでは擬似距離と同じ方向に変化

するものと定義している。搬送波位相は擬似距離と比較し、高い分解能を有するため、メッ

セージの長さを短くするためにこのデータが準備されている 動作開始及びサイクルスリップの後は搬送波の整数部分は L1 擬似距離に出来るだけ近く

(1/2 L1 サイクル以内)なるように決定する。全範囲の GPS L1 搬送波位相の計算方法は、

(DF011 の項で計算方法を示した)全範囲の擬似距離+(GPS L1 搬送波 – L1 擬似距離) である。ビットパターンが 80000h のとき、L1 搬送波が無効で、DF011 は L2 観測値の計

算のみに用いられることを示す DF013 名 称 GPS L1 ロック時間

データ型/データ範囲 uint7 基準局の受信機が衛星信号を連続してロックした時間を示す。観測サイクルの期間中にサイ

クルスリップが発生した場合、ロック時間はゼロにリセットされる。詳細は仕様書[10]中の

Table 3.4-2 参照 DF014 名 称

データ型/データ範囲 uint8 / 0-76,447,076.790m 分解能 299,792.458m 全擬似距離を 299,792.458m で除した結果の整数部で、時間に換算すれば、1ms の桁の情

報である。GPS L1 擬似距離(DF011)は 1ms 未満の値で、この二つのデータから全範囲

の擬似距離データを求めることができる DF015 名 称 GPS L1 CNR

データ型/データ範囲 uint8 / 0-63.75 dB-Hz 分解能 0.25 dB-Hz 観測した衛星信号の CN 比を dB-Hz で示す。“0”の場合は CN 比が計算されていない

DF016 名 称 GPS L2 コード表示 データ型/データ範囲 bit(2) 基準局で処理されている GPS L2 コードを示す。 0;C/A または L2C コード 1:P(Y) コード直接:軍用の受信機のように、P(Y)コードを直接受信している場合 2:クロスコロレーションによる P(Y) コード受信 3:独自の方法で L2 擬似距離を L2P(Y)信号のみで観測する場合

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4-88

表 4-90 データ番号別の内容詳細(3 / 5) データ番号 内 容 DF017 名 称 GPS L2-L1 擬似距離差分

データ型/データ範囲 int14 / ± 163.82 m 分解能 0.02m メッセージ長を減らすため、GPS L2 擬似距離は全範囲ではなく、GPS L2-L1 擬似距離差

分を送信している。受信機では以下の方法で、GPS L2 擬似距離を求めなければならない GPS L2 擬似距離=GPS L1 擬似距離(全範囲)+GPS L2-L1 擬似距離差分

DF018 名 称 GPS L2 搬送波 – L1 擬似距離 データ型/データ範囲 int20 / ± 262.1435 m 分解能 0.0005 m L2 搬送波位相決定に必要な情報で、搬送波はここでは擬似距離と同じ方向に変化するもの

と定義している。高い分解能を有するため、メッセージの長さを短くするためにこのデータ

が準備されている。動作開始及びサイクルスリップの後は L2 搬送波の整数部分は L1 擬似

距離に出来るだけ近く(1/2 L1 サイクル以内)なるように決定する 全範囲の GPS L2 搬送波位相の計算方法は (DF011 の項で計算方法を示した)全範囲の擬似距離 + GPS L2 搬送波-L1 擬似距離 である

DF019 名 称 GPS L2 ロック時間 データ型/データ範囲 uint7 / 基準局の受信機が衛星信号を連続してロックした時間を示す。観測サイクルの期間中にサイ

クルスリップが発生した場合、ロック時間はゼロにリセットされる。データの詳細は仕様書

[10]中の Table 3.4-2 参照 DF020 名 称 GPS L2 CNR

データ型/データ範囲 uint8 / 0-63.75 dB-Hz 分解能 0.25 dB-Hz 基準局で観測した GPS L2 衛星信号の CN 比を dB-Hz で示す “0”の場合は CN 比が計算されていない

DF035 名 称 GLONASS 処理信号数 データ型/データ範囲 uint5 / 0~31 処理が行われた GLONASS 衛星信号の数。基準局の可視衛星の数と同じである必

要はない DF036 名 称 GLONASS ダイバージェンスフリースムージング表示

データ型/データ範囲 bit(1) “0”:ダイバージェンスフリーのスムージングが使用されていない “1”:ダイバージェンスフリーのスムージングが使用された ことを示す

DF037 名 称 GLONASS スムージング間隔 データ型/データ範囲 bit(3) / 仕様書[10]中の Table 3.4-4 に記載 基準局において、搬送波位相を用いて擬似距離をスムージングするための積算(平均をとる)

期間を示す。ダイバージェンスフリーのスムージングの場合は衛星が追尾できている全期間

で連続して行うことができる

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4-89

表 4-91 データ番号別の内容詳細(4 / 5) データ番号 内 容 DF038 名 称 GLONASS 衛星識別 (スロット番号)

データ型/データ範囲 uint6 / 0-63 1~24 で示される GLONASS 衛星識別は衛星のスロット番号(衛星の軌道平面と軌道平面

内の位置を示す)である。“0”はスロット番号が不明であることを示す。32 以上は FAA の

WAAS のような SBAS 衛星用に予約されている GLONASS-M 衛星の場合は常にスロット番号は既知であり、“0”になることはない

DF039 名 称 GLONASS L1 コード表示 データ型/データ範囲 bit(1) “0”:C/A Code;、“1”:P Code

DF040 名 称 GLONASS 周波数チャンネル番号 データ型/データ範囲 uint5 / 0-20 GLONASS 衛星の周波数を識別する周波数チャンネル番号。スロット番号と組み合わせる

ことにより、ユーザはアルマナックを用いなくとも衛星の周波数を知ることができる “0”=チャンネル番号 -7、“1”= -6、“20”= +13 を示す

DF041 名 称 GLONASS L1 擬似距離 データ型/データ範囲 uint25 / 0-599,584.92 m 分解能 0.02 m 基準局で追尾している GPS L1 の擬似距離の m 単位で、2ms に相当する距離(599,584.916 meters)未満の値 全範囲の擬似距離データは、

GLONASS L1 擬似距離+擬似距離上位整数部 で求める。擬似距離上位整数部はユーザ受信機での計算あるいは拡張データセットに含まれ

る GLONASS L1 擬似距離上位整数部(DF044)を解読することで得ることができる DF042 名 称 GLONASS L1 搬送波 – L1 擬似距離

データ型/データ範囲 int20 / ± 262.1435 m 分解能 0.0005 m L1 搬送波観測データの決定に必要な情報で、搬送波はここでは擬似距離と同じ方向に変化

するものと定義している。搬送波位相は擬似距離と比較し、高い分解能を有するため、メッ

セージの長さを短くするためにこのデータが準備されている。 動作開始及びサイクルスリップの後は搬送波の整数部分は L1 擬似距離に出来るだけ近く

(1/2 L1 サイクル以内)なるように決定する。全範囲の GLONASS L1 搬送波位相の計算

方法は (DF041 の項で計算方法を示した)全範囲の擬似距離

+(GLONASS L1 搬送波 –GLONASS L1 擬似距離) である ビットパターンが 80000h のときは、低信号レベルで一時的にキャリア追尾が失われたとき

など搬送波観測データが無効であることを示す。しかしコード追尾は可能である DF043 名 称 GLONASS L1 ロック時間

データ型/データ範囲 uint7 / 仕様書[10]中の Table 3.4-2 参照 基準局の受信機が衛星信号を連続してロックした時間を示す。観測サイクルの期間中にサイ

クルスリップが発生した場合、ロック時間はゼロにリセットされる

Page 90: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-90

表 4-92 データ番号別の内容詳細(5 / 5) データ番号 内 容 DF044 名 称 GLONASS L1 擬似距離上位整数部

データ型/データ範囲 uint7 / 0-76,147,284.332m 分解能 599,584.916m GLONASS L1 全擬似距離を 599,584.916m(2ms に相当する距離)で除した結果の整数部

DF045 名 称 GLONASS L1 CNR データ型/データ範囲 uint8 / 0-63.75 dB-Hz 分解能 0.25 dB-Hz 基準局で観測した GLONASS L1 信号の CN 比を dB-Hz で示す。 “0”の場合は CN 比が計算されていない

DF046 名 称 GLONASS L2 コード表示 データ型/データ範囲 bit(2) 基準局で処理されている GLONASS L2 コードを示す。 0;C/A コード、1:P コード、2,3 は予約

DF047 名 称 GLONASS L2-L1 擬似距離差分 データ型/データ範囲 int14 / ± 163.82 m 分解能 0.02m メッセージ長を減らすため、GLONASS 擬似距離は全範囲ではなく、GLONASS L2-L1 擬似距離差分を送信している。受信機では以下の方法で、GLONASS L2 擬似距離を求めなけ

ればならない GLONASS L2 擬似距離=GLONASS L1 擬似距離(全範囲)+GLONASS L2-L1 擬似距

離差分 DF048 名 称 GLONASS L2 搬送波 – L1 擬似距離

データ型/データ範囲 int20 / ± 262.1435 m 分解能 0.0005 m 全範囲の GLONASS L2 搬送波位相の計算方法は (DF041 の項で計算方法を示した)全範囲の GLONASS 擬似距離 + GLONASS L2 搬送波-L1 擬似距離 である

DF049 名 称 GLONASS L2 ロック時間 データ型/データ範囲 uint7 / 基準局の受信機が衛星信号を連続してロックした時間を示す。観測サイクルの期間中にサイ

クルスリップが発生した場合、ロック時間はゼロにリセットされる。データの詳細は仕様書

[10]中の Table 3.4-2 参照 DF050 名 称 GLONASS L2 CNR

データ型/データ範囲 uint8 / 0-63.75 dB-Hz 分解能 0.25 dB-Hz 基準局で観測した GLONASS L2 信号の CN 比を dB-Hz で示す。 “0”の場合は CN 比が計算されていない

Page 91: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-91

4.5.7. メッセージ別の擬似距離及び搬送波位相データの精度比較

擬似距離及び搬送波位相データの精度の比較を 表 4-93 に示す。BINEXについては、受信機

のデータ転送に使用される可能性を有するものを例として挙げた。

表 4-93 擬似距離及び搬送波位相データの精度 データ 分解能等 備 考

CMR/CMR+ 擬似距離 ビット数:24 分解能 :1/8 L1 cycle

範 囲 :0~< 299,792.458 (m)

搬送波位相 L1 コード-L1/L2 キャリア ビット数:20、分解能 :1/256 L1/L2 cycle範 囲 :±219 (cycle)

RTCM SC-104 v2 擬似距離 ビット数:32 分解能 :0.02 (m)

範 囲 :0~85,899,345.92 (m)

搬送波位相 ビット数:32 分解能 :1/256 (cycle)≒0.74(mm)(L1)

RTCM SC-104 v3 L1 擬似距離 (Type 1001)

ビット数:24 分解能 :0.02 (m) 範 囲 :0~299,792.46 (m)

フォーマット:DF011

L1搬送波位相 (Type 1001)

ビット数:20 分解能 :0.0005 (m) 範 囲 :±262.1435 (m)

L1 PhaseRange – L1 Pseudorange フォーマット:DF012

RINEX V2 擬似距離 フォーマット :F14.3 単 位 :m

分解能 :0.001(m)

搬送波位相 フォーマット :F14.3 単 位 :Cycle 分解能 :0.001(Cycle)≒0.19(mm)

RINEX V3 擬似距離 フォーマット :F14.3 単 位 :m

分解能 :0.001(m)

搬送波位相 フォーマット :F14.3 単 位 :Cycle 分解能 :0.001(Cycle)≒0.19(mm)L1

BINEX 0x7F サブレコード 02

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4-92

データ 分解能等 備 考 擬似距離 CA、CA-P1、CA-P2

単 位 :m 分解能 :0.001(m)

RINEX と同一の分解能

搬送波位相 L1(CA) or L1(P1)、L1(CA)-L2(P2)*77/60 or L1(P1)-L2(P2)*77/60 単 位 :L1 cycle 分解能 :0.0001 (L1 cycle) (L1 ドップラー分解能 0.001Hz)

RINEX の 10 倍の分解能

BINEX 0x7F サブレコード 03 擬似距離 分解能 :0.001(m)

RINEX と同一の分解能

搬送波位相 分解能 :0.02 (mm) (ドップラ分解能 1/256 Hz)

RINEX の 10 倍の分解能

BINEX 0x7F サブレコード 05 擬似距離 単 位 :m 分解能 :0.001(m)

RINEX と同一の分解能

搬送波位相 単 位 :mm 分解能 :0.02(mm)

RINEX の 10 倍の分解能

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4-93

4.6. 将来に向けての技術動向調査

4.6.1. 市販受信機の変遷

本調査の対象とした測量用受信機は、GNSS 受信機(受信モジュール)に測量業務に必要な

アプリケーションやユーザインタフェースを付加したものである。 過去から現在に至る受信モジュールの比較により受信機自体の技術の変遷を見ることができ

る。以下では Trimble 社を例に技術動向を纏める。 Trimble社は 1980年代半ばから2周波対応の高精度測位用GPS受信機を市場に提供しおて

おり、その後 OEM 向けに、受信機の部分を基板の形で販売してきた。現在は、OEM 基板の

販売は Pacific Crest 社に移管されている。(日本国内ではニコントリンブル社が販売を担当) 現時点入手可能な受信機の例を 表 4-94 に示す。

表 4-94 現時点で入手可能な Trimble 社の受信機の例 機種名 BD950 BD960 BD970 BD982 BD920

発売時期 2003 年 1 月 2007 年 10 月 2009 年 9 月 2010 年 3 月 2011 年 8 月 寸法(mm) 100x80x17 100x106.7x12.7 100x60x11.6 100x84.9x11.6 51x41x7 体積(cm3) 136 135.5 69.6 98.5 14.6 消費電力(W) 1.5W 2.1W 1.5W 2.1W Typ. 1.3W Ch 数 24 72 220 220x2 220 追尾衛星数 12 24 44 測 位 更 新

(MAX) 20Hz 20Hz 50Hz 50Hz 20Hz

GPS 受信信号

L1C/A L1P(Y) L2P(Y)

L1C/A L1P(Y) L2P(Y)

L2C L5

L1C/A L1P(Y)

L2P(Y) L2C L5

L1 C/A L2E L2C L5

L1C/A L1C

L1P(Y) L2P(Y)

L2C SBAS 受信信号

SBAS-L1 SBAS-L1 SBAS-L1 SBAS-L5

SBAS-L1 SBAS-L5

SBAS-L1

GLONASS 受信信号

- NA - L1C L1P L2C L2P

L1C L1P L2C L2P

L1C L1P L2C L2P

L1C L2C

Galileo 受信信号

- NA - - NA - –GIOVE-A GIOVE-B:

GIOVE-A GIOVE-B

GALILEO: Disabled

E1

QZSS 受信信号

L1 C/A, SAIFL2C

RTK 初期化時間

Typ. < 30 s Typ. < 10 s Typ. < 10 s Typ. < 10 s Typ. < 10 s

Page 94: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-94

表中で も古い BD-950 は 2003 年の発売、 新の BD-920 は 2011 年の発売で、8 年間の進

歩を見ることができる。 受信信号は BD-950 では GPS と SBAS のみで、追尾衛星数は 12、信号処理チャンネルは

24 と 1 衛星あたり、L1、L2 にそれぞれ 1 チャンネルを割り当てての追尾を行う。

L1 帯アナログ

L2 帯アナログ

SAW Filte r

SAW Filte r

信号処理回  路

L1:12 L2:12ch.(ASIC)

CPU

ROM/RAM

TCXO Power Supply

I/O Port

アンテナ

電 源

図 4-13 BD-950 の構成(推定)

BD-960 では GPS の L2C 及び L5 の受信機能と、GLONASS の L1 及び L2 信号の受信機能

が導入され、チャンネル数は一挙に 3 倍の 72 チャンネルとなった。追尾衛星数は倍の 24 衛

星である。 BD-970 では Galileo の信号受信が可能となった。但し、Galileo の商用への利用は EU の承

認を必要とするため、実験衛星である– GIOVE-A と GIOVE-B を挙げるに止め、すでに備わ

っている Galileo 運用段階の信号受信機能は“Disabled”としている。 Galileo の受信機能が加わったため、信号処理チャンネルの数はさらに増加したが、過去の延

長線上で予想される値(百数十チャンネル)を大きく上回る 220 チャンネルとなった。8 年間

でチャンネル数はほぼ 10 倍に達した。一方消費電力はこの間殆ど差はない。 チャンネル数と合わせて大きく変化したものが寸法・体積で、体積はほぼ十分の一となった。

ハードウエアの構成として、BD950 ではアナログ回路(ほぼディスクリート)+信号処理回

路(ASIC)+CPU の構成と推定され、アナログ部は市販の GPS 用の ASIC をそのままある

いは多少の改修を加えて利用していたようである。 BD970 では信号処理回路に大きな変革があり、チャンネル数が一挙に約 3 倍の 220 チャン

ネルとなり、信号処理 ASIC に世代交代があった。その後の新製品はチャンネル数が 220 のも

のが殆どである。 信号処理チャンネル数を一挙に 3 倍にできたのは、回路のデジタル信号処理回路のクロック

周波数上昇と、回路規模を大きく増すことなくチャンネル数を増やすことができる多重化(マ

ルチプレックス)、さらにハードウエアでコード追尾ループとキャリア追尾ループに必要な処

理のほぼ全てが可能となったためと推測している。 BD920 では QZS の L1 C/A、L1 SAIF、L2C 信号の受信が可能となったが、L5 の受信はで

きない。他の追尾信号の種類やチャンネル数は BD970 と同じである。しかし、体積が一挙に

五分の一になっている。BD920 の写真からは、それまではデジタル信号処理回路と CPU は別

のパッケージであったものが一つに収められ、電源等の周辺の回路を除くとほぼアナログ

ASIC とデジタル回路(信号処理回路及び CPU、メモリを含む)の構成になっていることが推

Page 95: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-95

定できる。

L1 帯アナログ

L2 帯アナログ

SAW Filter

SAW Filter

信号処理回路(220ch)

CPUROM・RAM

TCXO Power Supp ly

I/O Port

アンテナ

電 源

図 4-14 BD-920 の構成(推定)

注目すべきはその取り付け方法で、それまでの受信モジュールは全て基盤をビスなどでケー

スなどに固定した上で、電源や信号の接続はコネクタを経由して行うものであったが、BD910では受信モジュールを直接主基板上に半田付けすることが可能となっている。 このような受信モジュールは1周波受信機では一般的なもので、ようやく多周波 GNSS 受信

機も同じレベルに到達したといえる。 因みに、1周波受信機で搬送波利用分野で良く利用される u-blox 社の 1 周波受信機の場合、

すでにアナログ回路、デジタル信号処理回路、CPU、メモリなどの1チップ化は完了しており、

TCXO や SAW フィルタを加えることで受信モジュールを実現できる。多周波受信機も技術的

にはこの方向を目指して研究・開発が進むものと考えられる。

u-blox LEA-6T Trimble BD-910

図 4-15 BD-910 と u-blox 6T の外観 1周波数のモジュールの場合、民生用の機器で大量に消費される(LEA 6T は搬送波位相の

データが得られるため、この範疇には入らない)ため、その価格は、多周波受信機と比較して

驚くほど安価で、モジュールの形で 400 円程度から、チップのみであれば、200 円程度と推定

できる。多周波受信機の場合、価格の低下は今後の市場規模の拡大に待つ必要がある。

Page 96: 4. マルチGNSS解析技術等の開発にむけたGNSS受 …ª¿査対象としたJAVAD 社製受信機を表 4-1に示す。 表 4-1JAVAD社製受信機 受信機名称 DELTA-G3T

4-96

4.6.2. 現存受信機メーカ

今回調査対象とした受信機メーカは全て海外のメーカである。多周波 GNSS 受信機を開発

することができる技術は国内では見出すことができない。これは多周波 GNSS 受信機のみで

はなく、桁違いに市場の大きな1周波数の民生用受信機でも同じ状況で、現在国内の市場(携

帯電話を除く)は、ほぼ Sirf(米国)、MediaTek(台湾)、u-blox(スイス)の三社で分け合

っている。 このような状況の下、QZSS では LEX や L1C という新たな形式の信号を送信しているが、

評価を行うための受信機の開発は海外の技術に頼らざるを得ない状況のようであるである。 今回の調査対象としたTrimble社、Javad社、Leica社、Topcon社、NovAtel社はいずれもが

GNSS受信機の事業が社の中核を成すかあるいはGNSS受信機が事業発展にとって大きな要因

となりうるメーカである。これらの受信機メーカにとってGNSS受信機は企業の存続を左右す

るものであり、今後も精力的に、さらなる機能・性能の向上と低価格化を目指して新製品の研

究・開発を進めるであろう。表 4-94 に示すBD920 はその一つの成果である。

4.6.3. ベンチャー的存在の受信機メーカ

前項の 後に記載したように先行メーカの優位性は強まるようにもみえる一方で、 近いく

つか注目すべき動きがある。それはベンチャー的な企業の出現で、例として Hemisphere 社と

DataGrid 社を挙げることができる。以下に、両社の概要および開発している製品の例を記述

する。

(1)Hemisphere 社(http://www.hemgps.com/index.html)

カナダのカルガリに本社を置く Hemisphere 社は、カナダでディファレンシャル GPS用のビーコン受信機を販売してきた CSI 社が、米国において GPS を利用した農業用のガ

イダンスシステムを 20 年以上にわたり販売してきた C.F.S 社を買収したのち 2007 年に

社名を変更した会社である。従業員は 250 名で、日本をはじめ、世界各地に拠点がある。

注目すべきは、主力市場で、2010 年度の決算では売上 56 百万 US$のうち、約 78%に

あたる 44 百万 US$を農機用のガイダンスや自動操舵装置などの販売により農業分野で上

げている。Trimble 社が売上 1294 百万 US$の約 25%を Agriculture、Mapping and GIS、Utilities からなる Field Solution 市場であげていることと比較しても、Hemisphere 社の

農業分野の比率が非常に高いことがわかる。これは C.F.S 社が古くから農業用のガイダン

スシステムで大きなシェアを有していたことを考えると納得できる。

受信機を作ることとなった理由として、OEM 受信機の調達先と市場での競合関係とな

ることを避ける意味もあるが、より価格面の問題を重視し、自社で開発することによりシ

ステム全体のコストダウンを図り、競争力の強化を目指したのではないだろうか。 Hemisphere 社の製品は当初はほぼ農業用のみであったが、現在では、測量用の受信機

も製作している。例を図 4-14 に示す。

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4-97

図 4-16 Hemisphere 社の測量用受信機の例(A321 型)と内蔵されている GNSS 受信機

(【出展】A321:http://www.outbackguidance.com/Store/tabid/388/ProductID/723/Default.aspx

Eclipse II受信機(内蔵受信機):http://www.hemgps.com/dl/EclipseII%20Data%20Sheet.pdf )

内蔵されている受信機はEclipse II GNSS受信機で、仕様の一部を 表 4-95 に示す。 価格は 4.4 項で調査した受信機メーカと比較すると、機能・性能上劣る面があるが、安

価であり、A321 型受信機のネットを通じての購入では、基本構成で 7,495US$である。

表 4-95 Eclipse II GNSS 受信機仕様(一部) (【出展】http://navtechgps2.intuitwebsites.com/EclipseII_Data_Sheet.pdf )

Receiver Type: GNSS L1 & L2 RTK with carrier phase Channels: 12 L1CA GPS

12 L1P GPS 12 L2P GPS (with subscription code) 12 L2C GPS (with subscription code) 12 L1 GLONASS (with subscription code) 12 L2 GLONASS (with subscription code) 3 SBAS or 3 additional L1CA GPS 1 L-Band

SBAS Tracking: 3 Update Rate: 10 Hz standard, 20 Hz available Timing (1PPS) Accuracy 20 ns

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(2)DataGrid社(http://www.datagrid.se/?page_id=2&lang=en)

DataGrid 社は米国フロリダ大学の Bo Gustafson 教授により、 高の機材を GNSS 業

界に、高い精度を GIS ユーザに提供することを使命として、1999 年に設立された恐らく

も若い GNSS 受信機メーカである(氏は現在も大学の教授を兼任している)。同社は欧

州とアフリカにも拠点を有している。 先行メーカのように品揃えは豊富ではないが、何よりも測量用受信機として安価である

こと、そしてアンテナが軽量であることを特長としている。製品に使われている GPS 受

信機(DGRx:OEM 仕様の受信基板)の価格は 2007 年の時点でも米国国内において末端

価格が$700~$800 とのことであり、4.4 項中の各社の価格と比較しても、機能・性能は

見劣りするものの、一桁違う価格設定となっている。 アンテナも安価で、位相中心の校正なしのもので$800 程度、校正を施したもので$1600

とのことであった。アンテナは測量に従事する人の負担を軽減するために極めて軽量化さ

れており、わずか 270g である。

(http://www.datagrid.se/wp-content/uploads/2007/10/2007014agnss-a_flyer-x100.pdf)

アンテナ素子の構造は不明であるが、プリント基板 1 枚で作られており、軽量化と価格

低減を実現しているようである。

表 4-96 にDGRxの仕様の一部を示す。

表 4-96 DGRx仕様(一部)(出

展:http://www.datagrid.se/wp-content/uploads/2007/09/dgrx_eng_eng-us1.pdf)

受信信号の基本は GPS と GLONASS L1/L2 の 2 周波で、他の信号や L5 周波数帯の信

号受信はオプションあるいは今後の対応となるようであるが、現時点では実用上問題はな

いものと思われる。Correlation channels は 336 と記載されているが、これは 近の 200を越える信号処理チャンネル数に、仕様書上対抗するために記載したものであって、336の異なった信号の同時追尾が可能という意味ではないようである。

受信機の写真を 図 4-17 に示す。基板上にカスタムASICが見られず、信号処理回路は

FPGA上に構成し、CPUとして汎用のDSPを利用するなど、全て市販品を組み合わせて作

られていることがわかる。アナログ部はシールドカバーで覆われているが、内部はデジタ

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ル部同様市販部品で構成されている。他社製品の多くは少なくとも信号処理回路はカスタ

ムASIC化し、さらに 近はTrimble社のBD920 に見られるように、信号処理回路とCPUを一つのASICに纏めていると推定される受信機までもが出現している。カスタムASICを

利用することにより、受信機の寸法は大幅に小さくなり、さらに消費電流も削減できるな

どの効果が期待できるが、半面開発費用はデバイスメーカーに支払う費用のみでも億単位

となるなど、受信機の価格低下を阻む一つの要因でもあった。

図 4-17 DataGrid 社受信機写真 (出展:http://www.datagrid-international.com/Pdf%20files/d3004_dgrx.pdf)

DataGrid 社の受信機によって、商品を実現するためにカスタム ASIC が必ずしも必要

ではないことが証明されたことになり、資金は潤沢ではないが、技術力やアイデアが豊富

にあるベンチャー企業や研究者にとって、市場参入も夢ではなくなりつつあることが実感

できるのではないだろうか。

FPGA XILINX(SPARTAN)

256 kbit SRAM

アンテナ接続用 コネクタ

アナログ部 シールドカバー

CPU (DSP)

電源及びデータ 入出力用コネクタ

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4.6.4. 利用者側からのニーズ

受信機モジュールを購入する側の用途としては、測量と RTK が殆どと見られ、要望は先ず

コストダウンである。新たな形式の信号については、現在ようやく GLONASS の必要性が認

識されはじめた段階であり、実際に利用することができない Galileo については購入者側から

の要望は強いものではない。(受信機の価格が上昇するなら、Galileo 対応は不要) 測量分野では短基線(概 10km 以下)の場合1周波の GPS L1 C/A 信号のみで十分満足な結

果を得ている。理由としては、 ・ 短基線の場合、複数周波数の線形結合による解は雑音成分が多くなること ・ 多周波数の観測で除くことができる電離層の影響は、殆ど無視できること ・ 対流圏の影響が大きいが、これに対しては1周波数、多周波受信機いずれも受信信号の処

理では影響を除くことができないこと が挙げられる。 一方 RTK 測位においては、GLONASS の必要性は認識されている(仕様上も標準的なもの

となりつつある)ものの、多くは初期化の段階で利用するのみで、一旦初期化が終了すれば、

その後は GPS L1 C/A 信号のみを用いて測位を行うようである。 GNSS の多システム、多周波数に対応することが受信機の技術の大きな流れであるが、利用

者にとってのメリットはどのようなものかが現時点では明確ではないようである。

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4.7. 参考資料

[1] Compact Data Transmission Standard for High-Precision GPS http://gpsd.googlecode.com/files/Trimble-CMR.pdf

[2] BINEX 資料 http://binex.unavco.org/binex.html

[3] NMEA 資料 The NMEA 0183 Information sheet http://www.nmea.org/content/nmea_standards/nmea_083_v_400.asp

[4] RINEX: The Receiver Independent Exchange Format Version 2 ftp://igscb.jpl.nasa.gov/pub/data/format/rinex2.txt

[5] RINEX: The Receiver Independent Exchange Format Version 2.10 ftp://igscb.jpl.nasa.gov/pub/data/format/rinex210.txt

[6] RINEX: The Receiver Independent Exchange Format Version 2.11 ftp://igscb.jpl.nasa.gov/pub/data/format/rinex211.txt

[7] RINEX: The Receiver Independent Exchange Format Version 2.12 ftp://igscb.jpl.nasa.gov/pub/data/format/rinex212.txt

[8] RINEX ver2-base QZSS Extension (Version 1.00) http://qz-vision.jaxa.jp/USE/is-qzss/RINEXv2_QZSSext_NC.pdf

[9] RINEX version 3.00 RINEX The Receiver Independent Exchange Format Version 3.00 http://igscb.jpl.nasa.gov/igscb/data/format/rinex300.pdf

[10] RINEX version 3.01 RINEX The Receiver Independent Exchange Format Version 3.01

http://igscb.jpl.nasa.gov/igscb/data/format/rinex301.pdf

[11] RINEX ver3-base QZSS Extension (Version 1.00) http://qz-vision.jaxa.jp/USE/is-qzss/RINEXv3_QZSSext_NC.pdf