2
50 26 姿姿2020年1月16日 朝日新聞掲載 2020116 © 朝日新聞社2020 50 姿1 2 3 4 5 50 =20点 10点×2 100点 30点 20点 10点 20点 49 *冬 ふゆ 冬の植物が枯 れた風 ふう けい *近 きん えん ここでは、近い関 かん けい *交 こう ざつ こと なる品 ひん しゅ と受 じゅ ふん などする。 *双 そう ほう 両方。 *和 そう 着物姿 すがた *人気を博 はく した よい評 ひょう ばん を得 た。 *奢 しゃ 度を越 えた贅 ぜい たく *象 しょう ちょう ちゅう しょう てき なものを、具 たい てき なも のや言葉などで表すこと。 *飢 きん さく で食 しょく りょう などが不 そく する。 *一 いっ はい に対する農 のう みん らの反 はん らん *太 たい へい よう せん そう 日本軍 ぐん と米 べい えい などの連 れん ごう こく ぐん の間の戦 せん そう *豪 ごう しゅう オーストラリア。 *太平の世 平和な世の中。 *世 じょう 世の中の事 じょう *妖 よう じょ なまめかしく美しい女 じょ せい *漱 そう せき なつ そう せき 。明 めい 時代の作家。 *嫣 えん ぜん 美しい人がほほえむ様子。 *凜 りん りりしくきりっとした様子。 *いてつく こお りつく。

49...49 *冬 ふゆ 枯 が れ 冬の植物が枯 か れた風 ふう 景 けい。*近 きん 縁 えん ここでは、近い関 かん 係 けい。*交 こう 雑 ざつ

  • Upload
    others

  • View
    3

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 49...49 *冬 ふゆ 枯 が れ 冬の植物が枯 か れた風 ふう 景 けい。*近 きん 縁 えん ここでは、近い関 かん 係 けい。*交 こう 雑 ざつ

冬ふゆ

枯が

れの庭を濃こ

い紅

べに

色いろ

の花で

飾かざ

るツバキ。晩

ばん

秋しゅう

から咲さ

くサザ

ンカと混

こん

同どう

されることもままあ

る。花が首からポトリと落ちれ

ばツバキ、花びらが散ち

るのがサ

ザンカ。そんな見分け方をむか

し祖そ

母ぼ

に教わった▼﹁ツバキとサザンカ

はもともと近

きん

縁えん

。交

こう

雑ざつ

や改

かい

良りょう

によって双

そう

方ほう

の特

とく

徴ちょう

をあわせ持つものもあって園

えん

芸げい

家でも迷

まよ

います﹂と話すのは国立歴

れき

史し

民みん

俗ぞく

博はく

物ぶつ

館かん

︵千葉県佐さ

倉くら

市︶の青木隆

たか

浩ひろ

准じゅん

教きょう

授じゅ

︵50︶。企き

画かく

展てん

﹁冬の華

はな

サザンカ﹂

を26日まで開

かい

催さい

中だ▼ツバキを見ると、

何とはなしに和わ

装そう

の女

じょ

性せい

を連

れん

想そう

する。

﹁①散ち

り際

ぎわ

が侍

さむらい

の首切りを思わせる﹂

と嫌

きら

った人もいたようだ。それでも江え

戸ど

時代を通じ、ツバキやサザンカは園

えん

芸げい

物としてツツジやボタンと並

なら

ぶ爆

ばく

発はつ

的てき

②人気を博

はく

したという▼華

はな

やかで人目を

引くその花は、時に奢

しゃ

侈し

の象

しょう

徴ちょう

とも目さ

れる。飢き

饉きん

や一

いっ

揆き

が頻

ひん

発ぱつ

して幕

ばく

府ふ

が引き

締し

めると、表から姿

すがた

を消した。太

たい

平へい

洋よう

戦せん

争そう

中も伐

ばっ

採さい

命めい

令れい

が出た。戦

せん

後ご

には米国や

豪ごう

州しゅう

などで流行し、日本でも人気が復

ふっ

活かつ

する。太平の世に愛

あい

され、世せ

情じょう

が厳

きび

しい

時には忘

わす

れられる。③時代を映

うつ

す鏡

かがみ

のよ

うな花である▼ツバキから妖

よう

女じょ

を連

れん

想そう

たのは漱

そう

石せき

である。﹃草

くさ

枕まくら

﹄で主人公の

洋画家が﹁人を釣つ

り寄よ

せて、しらぬ間に、

嫣えん

然ぜん

たる毒

どく

を血

けっ

管かん

に吹ふ

く。欺

あざむ

かれたと悟

さと

つツ

た頃

ころ

は既

すで

に遅

おそ

い︵略

りゃく

︶あの花の色は唯

ただ

の赤ではない﹂と論

ろん

じた▼こちら想

そう

像ぞう

力りょく

乏とぼ

しく、妖

よう

女じょ

を思い浮う

かべたことはな

いが、寒さに耐た

えて凜

りん

と咲さ

くその姿

すがた

は目を奪

うば

われる。④いてつく朝に映は

る花である。

2020年1月16日 朝日新聞掲載

2020・1・16

© 朝日新聞社2020

合計

100点

1

2

3

4

5点×4=20点

5点×6=30点

10点×3=30点

20点

侍さむらい

か妖よ

女じょ

次の意味や説せつ

明めい

を表す言葉を本文中から探さが

して書きましょう。

たびたび起こること

  

        

木を山から切り出すこと

 

         

ー①「散ち

り際ぎわ

」の特とく

徴ちょう

を、簡かん

単たん

に説せつ

明めい

しましょう。

(例れ

)花の形のまま、花びらの付つ

け根から落ち

る。

ー②「人気を博はく

した」理由を、「から。」に続つづ

くように、9字で書き

抜ぬ

きましょう。

                  

から。

ー③「時代を映うつ

す鏡かがみ

のような花」と筆者が述の

べる理由を、簡かん

単たん

説せつ

明めい

しましょう。

(例れ

)平和な時代に愛あ

され、世せ

情じょう

が厳き

しくなる

と奢し

侈し

の象し

ょう

徴ちょう

として栽さ

培ばい

されなくなるから。

ー④「いてつく朝に映は

える花」であると筆者が述の

べる理由につい

て、50字程て

度ど

でまとめましょう。

(例れ

)冬ふゆ

枯が

れの庭で寒さに耐た

え、濃こ

い紅べ

色いろ

の花

がきりっとした様子で咲さ

いている姿す

がた

が、目を

奪うば

われるほど美しいから。( 

字)

12345

50

=20点10点×2

100点

30点

20点

10点

20点

49

*冬ふゆ

枯が

れ 冬の植物が枯か

れた風ふう

景けい

。*近きん

縁えん

 ここでは、近い関かん

係けい

。*交こう

雑ざつ

 異こと

なる品ひん

種しゅ

と受じゅ

粉ふん

などする。*双そう

方ほう

 両方。*和

装そう

 着物姿すがた

。*人気を博

はく

した よい評ひょう

判ばん

を得え

た。*奢しゃ

侈し

 度を越こ

えた贅ぜい

沢たく

。*象

しょう

徴ちょう

 抽ちゅう

象しょう

的てき

なものを、具ぐ

体たい

的てき

なものや言葉などで表すこと。*飢

饉きん

 不ふ

作さく

で食しょく

糧りょう

などが不ふ

足そく

する。*一いっ

揆き

 支し

配はい

に対する農のう

民みん

らの反はん

乱らん

。*太たい

平へい

洋よう

戦せん

争そう

 日本軍ぐん

と米べい

英えい

などの連れん

合ごう

国こく

軍ぐん

の間の戦せん

争そう

。*豪ごう

州しゅう

 オーストラリア。*太平の世 平和な世の中。*世

情じょう

 世の中の事じ

情じょう

。*妖よう

女じょ

 なまめかしく美しい女じょ

性せい

。*漱そう

石せき

 夏なつ

目め

漱そう

石せき

。明めい

治じ

時代の作家。*嫣えん

然ぜん

 美しい人がほほえむ様子。*凜りん

 りりしくきりっとした様子。*いてつく 凍

こお

りつく。

見み

頃ごろ

を迎む

えたツバキ

華はな

やかで人目を引く 頻ひ

発ぱつ

伐ばっ

採さい

Page 2: 49...49 *冬 ふゆ 枯 が れ 冬の植物が枯 か れた風 ふう 景 けい。*近 きん 縁 えん ここでは、近い関 かん 係 けい。*交 こう 雑 ざつ

冬ふゆ

枯が

れの庭を濃こ

い紅

べに

色いろ

の花で

飾かざ

るツバキ。晩

ばん

秋しゅう

から咲さ

くサザ

ンカと混

こん

同どう

されることもままあ

る。花が首からポトリと落ちれ

ばツバキ、花びらが散ち

るのがサ

ザンカ。そんな見分け方をむか

し祖そ

母ぼ

に教わった▼﹁ツバキとサザンカ

はもともと近

きん

縁えん

。交

こう

雑ざつ

や改

かい

良りょう

によって双

そう

方ほう

の特

とく

徴ちょう

をあわせ持つものもあって園

えん

芸げい

家でも迷

まよ

います﹂と話すのは国立歴

れき

史し

民みん

俗ぞく

博はく

物ぶつ

館かん

︵千葉県佐さ

倉くら

市︶の青木隆

たか

浩ひろ

准じゅん

教きょう

授じゅ

︵50︶。企き

画かく

展てん

﹁冬の華

はな

サザンカ﹂

を26日まで開

かい

催さい

中だ▼ツバキを見ると、

何とはなしに和わ

装そう

の女

じょ

性せい

を連

れん

想そう

する。

﹁①散ち

り際

ぎわ

が侍

さむらい

の首切りを思わせる﹂

と嫌

きら

った人もいたようだ。それでも江え

戸ど

時代を通じ、ツバキやサザンカは園

えん

芸げい

物としてツツジやボタンと並

なら

ぶ爆

ばく

発はつ

的てき

②人気を博

はく

したという▼華

はな

やかで人目を

引くその花は、時に奢

しゃ

侈し

の象

しょう

徴ちょう

とも目さ

れる。飢き

饉きん

や一

いっ

揆き

が頻

ひん

発ぱつ

して幕

ばく

府ふ

が引き

締し

めると、表から姿

すがた

を消した。太

たい

平へい

洋よう

戦せん

争そう

中も伐

ばっ

採さい

命めい

令れい

が出た。戦

せん

後ご

には米国や

豪ごう

州しゅう

などで流行し、日本でも人気が復

ふっ

活かつ

する。太平の世に愛

あい

され、世せ

情じょう

が厳

きび

しい

時には忘

わす

れられる。③時代を映

うつ

す鏡

かがみ

のよ

うな花である▼ツバキから妖

よう

女じょ

を連

れん

想そう

たのは漱

そう

石せき

である。﹃草

くさ

枕まくら

﹄で主人公の

洋画家が﹁人を釣つ

り寄よ

せて、しらぬ間に、

嫣えん

然ぜん

たる毒

どく

を血

けっ

管かん

に吹ふ

く。欺

あざむ

かれたと悟

さと

つツ

た頃

ころ

は既

すで

に遅

おそ

い︵略

りゃく

︶あの花の色は唯

ただ

の赤ではない﹂と論

ろん

じた▼こちら想

そう

像ぞう

力りょく

乏とぼ

しく、妖

よう

女じょ

を思い浮う

かべたことはな

いが、寒さに耐た

えて凜

りん

と咲さ

くその姿

すがた

は目を奪

うば

われる。④いてつく朝に映は

る花である。

2020年1月16日 朝日新聞掲載

2020・1・16

© 朝日新聞社2020

合計

100点

1

2

3

4

5点×4=20点

5点×6=30点

10点×3=30点

20点

侍さむらい

か侍じ

女じょ

次の意味や説せつ

明めい

を表す言葉を本文中から探さが

して書きましょう。

たびたび起こること

  

        

木を山から切り出すこと

 

         

ー①「散ち

り際ぎわ

」の特とく

徴ちょう

を、簡かん

単たん

に説せつ

明めい

しましょう。

(例れ

)花の形のまま、花びらの付つ

け根から落ち

る。

ー②「人気を博はく

した」理由を、「から。」に続つづ

くように、9字で書き

抜ぬ

きましょう。

                  

から。

ー③「時代を映うつ

す鏡かがみ

のような花」と筆者が述の

べる理由を、簡かん

単たん

説せつ

明めい

しましょう。

(例れ

)平和な時代に愛あ

され、世せ

情じょう

が厳き

しくなる

と奢し

侈し

の象し

ょう

徴ちょう

として栽さ

培ばい

されなくなるから。

ー④「いてつく朝に映は

える花」であると筆者が述の

べる理由につい

て、50字程て

度ど

でまとめましょう。

(例れ

)冬ふゆ

枯が

れの庭で寒さに耐た

え、濃こ

い紅べ

色いろ

の花

がきりっとした様子で咲さ

いている姿す

がた

が、目を

奪うば

われるほど美しいから。( 字)

12345

50

=20点10点×2

100点

30点

20点

10点

20点

49

*冬ふゆ

枯が

れ 冬の植物が枯か

れた風ふう

景けい

。*近きん

縁えん

 ここでは、近い関かん

係けい

。*交こう

雑ざつ

 異こと

なる品ひん

種しゅ

と受じゅ

粉ふん

などする。*双そう

方ほう

 両方。*和

装そう

 着物姿すがた

。*人気を博

はく

した よい評ひょう

判ばん

を得え

た。*奢しゃ

侈し

 度を越こ

えた贅ぜい

沢たく

。*象

しょう

徴ちょう

 抽ちゅう

象しょう

的てき

なものを、具ぐ

体たい

的てき

なものや言葉などで表すこと。*飢

饉きん

 不ふ

作さく

で食しょく

糧りょう

などが不ふ

足そく

する。*一いっ

揆き

 支し

配はい

に対する農のう

民みん

らの反はん

乱らん

。*太たい

平へい

洋よう

戦せん

争そう

 日本軍ぐん

と米べい

英えい

などの連れん

合ごう

国こく

軍ぐん

の間の戦せん

争そう

。*豪ごう

州しゅう

 オーストラリア。*太平の世 平和な世の中。*世

情じょう

 世の中の事じ

情じょう

。*妖よう

女じょ

 なまめかしく美しい女じょ

性せい

。*漱そう

石せき

 夏なつ

目め

漱そう

石せき

。明めい

治じ

時代の作家。*嫣えん

然ぜん

 美しい人がほほえむ様子。*凜りん

 りりしくきりっとした様子。*いてつく 凍

こお

りつく。

見み

頃ごろ

を迎む

えたツバキ

華はな

やかで人目を引く 頻ひ

発ぱつ

伐ばっ

採さい

2020年1月16日 朝日新聞掲載

2020・1・16

© 朝日新聞社2020

解答解説

侍さむらい

か妖よ

女じょ

49

1辞じ

書しょ

でも意味を確かく

認にん

しておきましょう。

2「散ち

り際ぎわ

」の特とく

徴ちょう

については、第1段だん

落らく

「花が首からポトリと落ち」ることが紹しょう

介かい

され

ています。「侍さむらい

の首切りを思わせる」散ち

り方で

あったことも同時におさえておきましょう。

 「人気」である理由について、第4段だん

落らく

「華はな

やかで人目を引くその花」と、花の特とく

徴ちょう

触ふ

れて述の

べられています。第3段だん

落らく

にあるよ

うに、「江え

戸ど

時代を通じ……爆ばく

発はつ

的てき

な人気を博はく

した」花ですが、戦せん

争そう

になると、別べつ

の見方が

されることにも注目しましょう。

 

第4段だん

落らく

に、「太平の世に愛あい

され……忘わす

34

られる」と、ツバキやサザンカの特とく

徴ちょう

につい

て述の

べられています。華はな

やかな花が「奢しゃ

侈し

象しょう

徴ちょう

」とされ、戦せん

争そう

中などでは栽さい

培ばい

されにく

くなるのです。平和な時代になると、また栽さい

培ばい

されるようになるので、「時代を映うつ

す鏡かがみ

のよ

う」だというのです。

 「いてつく朝」とは、冬の寒い朝のことです。

ツバキやサザンカは第1段だん

落らく

にあるように、

「冬ふゆ

枯が

れの庭を濃こ

い紅べに

色いろ

の花で飾かざ

る」ものであ

り、第6段だん

落らく

にあるように、「寒さに耐た

えて凜りん

と咲さ

くその姿すがた

」が美しい花だと筆者が考えて

いることを読み取りましょう。

5