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0 1. プログラムの概要 1 2. プログラム実施に向けた教育体制の整備 3 3. プログラム立案の背景 6 4. 取組の内容 8 5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況 15 9. 「学習の手引き」(専門科目抜粋) 24 10.環境薬学領域実習の改変‐環境・分析系実習書の作成‐ 167 おわりに 172

4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

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0

目 次

1. プログラムの概要 1

2. プログラム実施に向けた教育体制の整備 3

3. プログラム立案の背景 6

4. 取組の内容 8

5. 取組の実施体制及び実施計画 11

6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13

7. --- 14

8. 取組の実施状況 15

9. 「学習の手引き」(専門科目抜粋) 24

10.環境薬学領域実習の改変‐環境・分析系実習書の作成‐ 167

おわりに 172

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1. プログラムの概要

1-1.申請の概要

申請の形態 単 独 設 置 形 態 国 立

大学・短期大学・

高等専門学校名 大阪大学

所 在 地 〒565‐0871 大阪府吹田市山田丘1番1号

設 置 者 名 国立大学法人大阪大学

学長の氏名 鷲田 清一

申 請 区 分 教育方法の工夫改善を主とする

取組 取 組 期 間 平成20年度 ~ 22年度

食 と 環 境 の 安 全 安 心 を 担 う 薬 学 人 材 養 成 教 育 取組名称

全角20

字以内

副題(サブタイトル)

統合型教育体制の整備による食と環境の安全・安心を確保できる

環境薬学領域の人材育成

取組学部等 薬学部

教養教育 ○ 専門基礎 ○ キャリア 外国語 体験活動

職業教育 ICT 成績評価 初年次教育 補習教育

高大連携 FD・SD 地域活性化 知的財産 ○ 環境教育 申請の分類

その他( )

キーワード

(5つ以内)

食と環境の安全・安心の確保、統合型教育体制の構築、

環境薬学教育の高度化及び実質化、社会的ニーズに対応できる人材養成

ふ り が な こばやし もとまさ

取 組 担 当 者 小林 資正

所属部署名

及び職名 薬学研究科・研究科長

住所(勤務先等) 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1番6号

e-mailアドレス [email protected]

ふ り が な かねだ こうぞう

事 務 担 当 者 金田 幸三

所属部署名

及び職名 薬学研究科・教務係長

住所(勤務先等) 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1番6号

e-mailアドレス [email protected]

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2

1-2.取組の概要

大学教育の大きな使命は、社会的ニーズに対応できる人材養成にある。薬学には『人類の健康の維持・増進に

広く貢献できる人材の養成』が求められており、こういったニーズに応える人材養成を達成するためには、薬物

治療を中心とした医療薬学教育と同時に、予防薬学、いわゆる衛生化学や公衆衛生学といった“環境薬学教育”

の充実が非常に重要である。例えば、最近輸入食品や食材の有害物質や病原微生物による汚染が問題になってお

り、また、新興・再興感染症の脅威や院内感染による重症患者数の拡大も懸念される。さらに、内分泌かく乱物

質による生活環境の汚染も今後も厳しく監視する必要がある。年々高まる国民の健康への関心は、単にがんなど

の疾病治療や生活習慣病の予防に留まらず、こういった食や環境の汚染による健康被害にまで広がりつつあり、

これらの安全・安心を確保するための対策が強く望まれている。

国民のニーズである食と環境の安全・安心を確保し、健全な生活を保証するためには、衛生化学や公衆衛生学、

さらには最新の分析化学を基盤とした“高度なリスクマネージメント”を実施する体制を整備・充実することに

よって、健康被害を引き起こす様々な危険因子を未然に察知し、これを排除する有効な対策を講じる必要がある。

したがって、今後の薬学教育においてはこういった“高度なリスクマネージメント”を担うことができる人材、

すなわち、“環境薬学領域における高い課題探究能力・問題解決能力と優れた実践的技能を持つ薬学研究者及び

薬剤師”の養成が求められる。

大阪大学では、環境薬学を薬学の重要な教育研究領域と位置付け、平成4年に大学院独立専攻として「環境生

物薬学専攻」を設置し、また平成10年の大学院重点化ではこれを「生命情報環境科学専攻」に改組・発展させ

ることにより、他大学に先んじて環境薬学教育研究体制の整備を図ってきた。

そこで本取組では、こういった大阪大学における充実した環境薬学教育研究体制を基盤として、上記のような

社会的ニーズに対応できる人材養成を達成するために、下記のような学部における領域別統合型教育体制を構築

し、これを基盤として環境薬学教育の高度化及び実質化を図るプログラムを実施する。

本取組で実施する教育改革は、以下の通りである。

(1) 領域別統合型教育体制の構築

1) 講義・演習・実習の再編成による領域別統合教育システムの確立

2) 各統合領域におけるシラバスの整備及びテキストの作成

3) 成績評価の明確化

(2) 環境薬学教育の高度化及び実質化を図るプログラムの実施

1) PBL(problem-based learning)チュートリアル教育の導入

2) 外部講師による最新の専門教育の実施

3) 最新機器を使用した分析実習の実施

4) 外部関連機関と連携した体験型学習の実施

まず、統合型教育体制を構築することにより、学生の学習に対するモチベーションを向上させることが可能と

なり、学部教育全体において高い教育効果が期待できる。次に、この教育体制を基盤として、環境薬学教育の高

度化及び実質化を図ることにより、学生の課題探究能力や問題解決能力、さらには社会的ニーズに応えるための

使命感の涵養と、関連分野・部門の最前線で活躍するために必要な実践的技能の修得を目指す。

本取組は、環境薬学領域研究室の教員とカリキュラム検討小委員会委員を中心に構成される質の高い大学教育

推進GP運営委員会(以下、運営委員会)により企画・運営を行い、「統合型教育体制」については、薬学研究科

全教員が参画することにより構築を進め、また「環境薬学教育の高度化及び実質化を図るプログラム」について

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は、環境薬学領域研究室の教員及び本プログラムで採用した特任教員が中心となって実施する。

本取組の対象は、平成20年度に入学した薬科学科(4年制・64名)と薬学科(6年制・26名)とし、学年進行

に合わせて3年間実施する。また、得られた成果については、平成22年度以降に入学した学生に対して提供し、

その教育効果の検証を行う。また、取組実績については各年度末に作成する報告書によって公開し、これをもと

に有識者による外部評価を実施する。さらに、学生による評価及び教員による自己評価を行ない、これらの評価

結果をもとに、運営委員会の主導により、本取組における教育プログラムのさらなる改善を図る。なお、

本取組は補助が終了する平成23年度以降も継続して実施し、さらに教育効果向上に向けた改善を行な

うことによって、薬学部教育における発展的な定着化を図る。

2.プログラム実施に向けた教育体制の整備

2-1.大阪大学の教育理念

大阪大学は、研究拠点大学として最高の研究を推進し、その研究に基づいて最良の教育を提供している。これ

により社会が求め社会から信頼される人間を育成することが、大阪大学としての最大の社会的責任であり、この

責任を果たすことにより、さらに優れた大学へと発展する拡大再生産の過程を実現している。

大阪大学が掲げる三つの教育目標は、「教養」、「デザイン力」及び「国際性」である(下図)。すなわち大阪大

学では、教養、デザインとコミュニケーションの能力、

国際社会に生きるための知識と感性、優れた外国語運

用能力、問題を複眼的に見る資質、現場を重視する実

践的姿勢などを“育てる”大阪大学独自の個性あふれ

る教育を推進し、地域社会と国際社会に貢献する多様

な分野の指導的人間の養成を目指す。

本取組は、今や我が国だけでなく国際的なニーズと

も言える、食と環境の安全・安心の確保に貢献できる

薬剤師および薬学研究者の養成を目指すものであり、

先に述べた大阪大学の教育理念に基づいた優れた人材

養成教育の一つとして位置づけられるものである。

2-2.大阪大学薬学部における人材教育の目的

大阪大学薬学部は、平成18年度から始まった薬学教育制度改革により、それまでの総合薬学科1学

科(定員80名)から、4年制の薬科学科(定員55名)と6年制の薬学科(定員25名)の2学科の併置

へ移行した。それぞれの学科における人材養成の目的は薬学部規程に明記し、さらに、以下のように

アドミッションポリシーとして公開している。

(1) 薬科学科のアドミッションポリシー 『薬科学科は、“生命・健康・環境を分子や物質に注目し総合的に科学する”を最大の目標としています。薬

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科学科は21世紀の生命科学、創薬科学、環境薬学等の領域で国際的に活躍しうる人材の育成を目指して、課題

探求型・問題提起型の教育に力点を置いています。そのために、次のような人を求めています。』

・ 創造性豊かで、何事を行うにも意欲的に取り組むことができる人

・ 論理的、かつ柔軟な思考力とそれを支える幅広い基礎知識、およびその展開能力を備えた人

・ 生命にかかわる仕事に携わるものに相応しい倫理観と豊かな人間性を持った人

・ 生命科学の基礎となる化学・生物学・物理学などに興味を持ち、それらの基礎がしっかりしている人

・ 旺盛な科学的探究心を持ち、将来は大学院へ進学して生命科学、創薬科学、社会・環境薬学の研究に打

ち込もうという熱意のある人

学部教育において、薬科学科で学生に修得させるべき能力と将来活躍すべき分野・部門については、以下の通

り、学部案内に明記し公開している。

・ 基礎薬学、創薬科学、環境・衛生薬学、基礎医療薬学に関する講義に加え、基礎実習、特別実習などの

授業科目を幅広く受講し、論理的かつ柔軟な思考力と研究者精神を滋養する。また、将来ヒトの健康に

関わる仕事に携わる人材に相応しい倫理観を育てる。

・ 課題探究と問題提起の実践は各研究室に配属される4年次の特別実習を通して行ない、さらに大学院に

進むことにより一層の充実を図る。従って、薬科学科を卒業した学生の進路としては、大学院での研究

活動を経た後に、研究、教育、産業、行政などの分野で国際的に活躍することを視野に入れた選択が可

能になる。

・ 薬学のカバーする領域は21世紀を迎えて益々高度化かつ多様化しており、ヒトの疾病治療を目的とす

る医薬品はもちろん、動植物を対象とした薬品、検査・診断薬、食品、化粧品など薬学出身者の基礎知

識が求められる場は益々広がってゆくと予想される。また、産業界や国公立の研究・行政機関などにお

いて、ライフサイエンス、新規医薬品の創成、環境安全性確保など人類の健康に幅広く貢献可能な人材

の育成を薬科学科は目指す。薬科学科に入学し定められた期間内に所定の単位を取得し卒業した者には、

薬科学士の称号が授与される。

・ 薬剤師法により、平成29年度までの入学者に限って、大学を卒業した後、大学院修士課程を修了し、6

年制学部・学科卒業者と同等以上の能力を持つだけの学習をしたと厚生労働大臣が個別に認める場合に

は、薬剤師国家試験の受験資格が与えられる。

(2) 薬学科のアドミッションポリシー

『薬学科は“薬物による疾患の克服により人類の福祉と健康に貢献する”を最大の目標としています。薬学科

は、創薬研究から投薬に至るまで幅広い見識を持ち患者に還元できる薬の専門家(薬剤師と医療薬学の研究者)

の育成を目指した教育に力点を置いています。そのために、次のような人を求めています。』

・ 創造性豊かで、何事を行うにも意欲的に取り組むことができる人

・ 論理的、かつ柔軟な思考力とそれを支える幅広い基礎知識、およびその展開能力を備えた人

・ 医療現場に立つものに相応しい倫理観と豊かな人間性を持った人

・ 生命科学の基礎となる化学・生物学・物理学などに興味を持ち、それらの基礎がしっかりしている人

・ 医療の発展を通して社会に貢献しようとする気概を持ち、将来は大学院へ進学してさらに高度な医療薬

学研究に打ち込もうという熱意のある人

学部教育において、薬学科で学生に修得させるべき能力と将来活躍すべき分野・部門については、以下の通り、

学部案内に明記し公開している。

・ 薬学科では、基礎薬学、創薬科学、環境・衛生薬学に始まり、医療薬学に関する専門科目を重点的に受

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講する中で、さらに6ヶ月間にわたる病院実習等を経験する。これらの教育を通して、社会が求める医

療人としての責任感を芽生えさせ、高い倫理観と豊かな人間性を育てる。

・ このような高度専門教育とともに、学部の後半では各研究室に配属され長期課題研究に取組む。長期課

題研究では課題探求・問題提起の能力を滋養し、創造性と科学的探究心を持つと同時に社会が求める医

療人として使命を果たせる薬の専門家(薬剤師)の育成とともに医療薬学の研究者養成を目指す。

・ 21世紀を迎え、ライフサイエンスやバイオテクノロジーの進展によりインテリジェントな医薬品が考

案されている。薬学科では、このような高度化された医薬品を含め様々な医薬品を疾患の予防と治療・

健康増進に安全有効活用できる人材の育成を目指しており、薬学科の出身者は医療機関など医療の現場

はもちろん、医療薬学の研究や医薬・保健行政に携わることが期待される。

・ さらに高い見識と人間的魅力を持ち合わせた指導力のある人材育成を目指す大学院医療薬学専攻(仮称)

に進学し、そこでの研究活動を発展させる道が用意されている。

・ 薬学科に入学し6年一貫教育の中で定められた期間内に病院実習等を含め所定の単位を取得し卒業した

者には、薬学士の称号が授与されます。薬学科を卒業した者には薬剤師国家試験の受験資格が与えられ

る。

本取組は、上記の両学科におけるアドミッションポリシーや学習目標に準じて、4年制学科については薬学研

究者としての立場で、6年制学科については薬剤師の立場で、それぞれ食と環境の安全・安心に貢献できる人材

の育成を目指す。

2-3.大阪大学薬学部における教育体制の現状

(1) シラバスと成績評価

学生に全開講科目のシラバスを明示し、授業目的、到達目標、授業内容、成績評価基準、関連する科目及び予

め履修することが望ましい科目等、学習に関する詳しい情報を提供している。また、進級・卒業認定については、

要件となる単位数を学年ごとに周知し、またクラス担任等が適宜履修指導することにより、これらを徹底してい

る。

こういった教育体制において、統合型教育体制を整備し、領域ごとに複数教員による評価基準設定や成績評価

を行なうことにより、さらに成績評価や進級・卒業認定に関する信頼性を向上させることができ、質の高い教育

が達成できると考えられる。

(2) ファカルティ・ディベロップメントの実施 大阪大学薬学部・薬学研究科では、定期的に教育に関するファカルティ・ディベロップメント(FD)を実施している。また、平成18年度に開始された薬学教育制度改革については、新たに実施体制を整備しなければならない共用試験や長期実務実習に関する情報提供と、薬学部内での改革推進を目的として、複数回の説明会及び

意見交換会を開催している。これらについては教員の出席率は極めて高く、教員間の情報の共有化が達成されて

いる。

本取組で実施する薬学教育制度改革に合わせた統合型教育体制の導入については、その準備として、領域ごと

のワーキンググループによる詳細なシラバスの見直し作業を行ってきた。これにより、学習目標の明確化と授業

の計画や内容に関する詳細な情報提供を可能とし、学生の学習に対するモチベーションの向上を目指している。

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(3) 自己点検・評価等の実施体制・展開と評価結果の反映

毎年、学部教育と大学院教育に分けて、中期目標・中期計画に対する達成度について多角度からの詳細な自己

点検・自己評価を実施している。また、これとは別に有識者をアドバイザリーボードとして教育内容の充実度や

人材養成の達成度について外部評価を受けている。

こうした自己評価や外部評価の結果及び学生による授業評価の結果について、学務会議を中心に検討すること

によって具体的な改善策を立案し、これを次年度及び長期的展望に立った薬学教育に関する目標の策定に反映さ

せている。このように学部・大学院教育に関するPDCAサイクルを確立しており、継続的に教育体制・制度や内

容の改善・充実に努めている。

3.プログラム立案の背景

3-1.環境薬学教育に対する社会的ニーズ

薬学教育に対する社会的ニーズは「健康の維持・増

進に貢献できる人材養成」にあるが、近年、高齢化社

会の到来や生活習慣病患者数の増加、さらには、国民

のクオリティーオブライフ(QOL)の向上に対する強い

関心から、さらに、「多様化・高度化する医療に対応で

きる医療人としての薬剤師」、すなわち、医療薬学領域

の専門的知識・技能と、医療人としての倫理観・使命

感を持った高度な薬剤師の養成が求められるようになっ

た。こういったニーズに応えるために薬学教育制度改

革が行われ、平成18年度から始まった6年制導入によって、全国の薬学部において教育制度改革による医療薬学

教育の充実、特に病院や薬局で活躍できる高度な薬剤師の養成に重点を置いた取組が行われている(上図)。

大阪大学薬学部でもこれまでの4年制1学科(総合薬学科)から6年制(薬学科)と4年制(薬科学科)の2

学科併置へ移行した。両学科では、1年次の共通教養教育と2、3年次の基礎薬学教育を共通に履修し、4年次

以降は各学科の人材養成の目標に合わせた学部教育を行なう。まず薬学科では、創薬から投薬に至るまでの医療

人としての見識を持つ薬の専門家(薬剤師・医療薬学研究者)の養成を目的として、学内外の医療系部局・機関

との連携を強化し、高度かつ実践的な医療人教育を提供している。一方薬科学科では、大学院進学を前提に、創

薬科学や環境薬学領域の研究者養成を目的とした研究教育を行っている。

しかし、国民の健康への関心は年々高まり、高度な医療への期待にとどまらず、食や環境の安全・安心に対す

る強い不安が示されるようになった。例えば、食品汚染による健康被害や、ダイオキシン等の内分泌かく乱物質、

いわゆる環境ホルモンによる汚染、新興感染症や、結核などの再興感染症の流行、院内感染症の蔓延など、食と

環境を脅かす多くの問題が発生しており、輸入加工食品への農薬混入による健康被害や新型インフルエンザの大

流行は、記憶に新しい。

このような国民の健康に対する不安を解消し、健全な生活を保証するためには、食と環境の安全・安心を確保

するための有効な方策を講じる必要があるが、食品や食材の多くを輸入に依存しなければならない我国の食料事

情や、未だ環境ホルモンの有効な除去技術が確立されていない現状、さらに多くのヒトと大量の物資が日夜世界

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中を巡る現代の国際社会情勢を考えれば、これらの問題の原因を根本的に正すことは容易ではない。例えば、こ

ういった問題が発生する原因の一つである地域や国による不統一な食や環境の安全・安心に関する法規制につい

ても、長期的な視野に立った国際協調が必要であり、長い時間を要すであろう。したがって、こういった現状で

は、我が国において“高度なリスクマネージメント”体制を整え、食や環境を危険に曝す可能性のある様々な因

子を網羅的に探索・解析し、これを排除あるいは回避するための有効な対策を講じることによって、健康被害を

未然に防ぐことが最も有効な対策と言える。

食と環境の安全・安心の確保は、衛生化学や公衆衛

生学、分析化学などを主要な教育研究領域として、我

が国の世界に誇る衛生的な社会環境の確立に貢献して

きた“薬学”が主導的な立場で担うべき使命である。

したがって大学は、環境薬学教育のさらなる高度化及

び実質化に早急に取組むことにより、食と環境の“高

度なリスクマネージメント”を担うことができる優れ

た薬学研究者や薬剤師を養成し、“食と環境の安全・安

心を確保できる人材”として衛生試験所や検疫機関、

行政機関や研究機関等の最前線へ輩出しなければなら

ない(右図)。

3-2.6年制薬学教育の現状と大阪大学のこれまでの環境薬学教育研究の実績

(1) 6年制薬学教育の現状

平成18年度から全国的に開始された6年制薬学教育における大きな特徴は、医療薬学教育や医療人としての態

度教育の充実・高度化に重点を置いたモデル・コアカリキュラムに準拠した教育の実施と、病院及び薬局での長

期実務実習を課すことにある。したがって、6年制薬学教育では、これまでの基礎薬学中心の教育だけではなく、

医療薬学、臨床薬学に及ぶ広範なカリキュラムが組まれ、さらに課題探究能力や問題解決能力の涵養といった深

いレベルでの知識教育や、医療人としての技能・態度に関する実践的な教育も実施される。しかし、6年制薬学

教育のモデル・コアカリキュラムにおける環境薬学は、従来の衛生化学や公衆衛生学に関する教育内容が踏襲さ

れており、関連法規や公定法の暗記と言った比較的浅いレベル(想起)の知識教育がほとんどである。また、技

能教育も手分析による衛生・環境試験など古典的技法の修得の域を出ない。さらに、食と環境の安全・安心を担

う薬学研究者や薬剤師としての使命感の涵養といった態度教育も十分とは言えない。したがって、こういった医

療人教育に重点が置かれた6年制薬学教育体制のもとでは、環境薬学教育のさらなる高度化及び実質化による“食

と環境の安全・安心を確保できる人材”の養成は難しいと考えられる。

(2) 大阪大学における環境薬学教育研究の実績

大阪大学では、環境薬学を創薬科学と並ぶ重要な薬学教育研究領域と位置づけ、これまで他大学に先んじて体

制・組織の整備を図ってきた。まず、平成4年には大学院独立専攻として「環境生物薬学専攻」を設置すること

により3研究室を新設し、平成10年の大学院重点化の際には、これを「生命情報環境科学専攻」へ改組・発展さ

せて、環境薬学領域を4研究室に増設した。このように、大阪大学では充実した環境薬学教育研究体制をすでに

構築しており、6年制薬学教育の開始にともない策定した2学科併置の新カリキュラムでも、3年次までに履修

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8

する基礎薬学科目として10科目(12単位)の環境薬学領域の講義を配している。これらの科目では、薬学教育モ

デル・コアカリキュラムを十分にカバーし、さらに各担当教員の研究実績を基盤とした発展的な内容を加え、演

習によって知識の定着化を図ることにより、両学科の学生に対して非常に充実した教育を提供している。また3

年次の基礎実習では、環境薬学領域教員が基礎薬学系及び生物系実習として環境薬学領域の技能教育の指導を担

当しており、特に衛生試験法に関する実習は充実している。さらに、6年制学科の学生については、長期課題研

究として4年次から6年次までの3年間、4年制学科の学生については、4年次の卒業研究に加えて大学院修士

課程での2年間、環境薬学領域の4研究室に所属する

ことにより、環境毒性学、環境微生物学、環境衛生学、

環境情報解析学、環境分析化学等の最先端の学術研究

を通して、さらに専門性の高い研究企画・推進能力を

持つ環境薬学研究者の養成を行っている。このような

長年にわたる環境薬学領域に重点を置いた教育研究に

より、多数の優れた環境薬学研究者が養成され、多く

の教育研究機関や企業等において指導的な立場で活躍

している(右図)。

そこで本取組では、このような本学における充実し

た環境薬学教育研究体制を基盤として、学部における

統合型教育体制の構築により学習目標とプロセス、成績評価の明確化を図り、さらにこれを基軸として、課題探

究・問題解決能力及び実践力の養成に有効な教育プログラムを実施することにより、環境薬学教育の高度化及び

実質化を目指す。

(3)本取組により期待される成果

こういった取組の成果として、薬科学科と薬学科の学生に対して共通の高度かつ実践的な環境薬学教育を提供

できれば、食と環境の“高度なリスクマネージメント”を担うことができる優れた人材、すなわち、食と環境を

まもる衛生試験機関や検疫機関、リスクマネージメントを統括する関連行政機関等の最前線で、新たに発生する

食や環境を脅かす様々な問題に対して、迅速かつ精密な情報解析、網羅的な原因分析や影響評価、さらには的確

な対応策の策定と実施を主導することにより、食と環境の安全・安心を確保できる薬学研究者や薬剤師の養成を

達成することが可能となる。したがって本取組は、大阪大学が目指す両学科における人材養成の目的をさらに発

展的に拡大するものであり、その成果は、我国における食と環境に関する高度なリスクマネージメント体制の確

立と充実、ひいては国民の食と環境の安全・安心の確保に大きく貢献することが可能となる。

4.取組の内容

4-1.実施プログラムの内容

本取組では、食と環境の“高度なリスクマネージメント”を担うことができる優れた薬学研究者や薬剤師を養

成し、“食と環境の安全・安心を確保”に貢献するために、下記のような領域別統合型教育体制を構築し、これ

を基軸とした環境薬学教育の高度化及び実質化を図るためのアドバンス的な教育プログラムを実施する。

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(1)領域別統合型教育体制の構築

1) 講義・演習・実習の再編成による領域別統合教育システムの確立

2) 各統合領域におけるシラバスの整備及びテキストの作成

3) 成績評価の明確化

(2)環境薬学教育の高度化及び実質化を図るプログラムの実施

1) PBL(problem-based learning)チュートリアル教育の導入

2) 外部講師による最新の専門教育の実施

3) 最新機器を使用した分析実習の実施

4) 外部関連機関と連携した体験型学習の実施

4-2.領域別統合型教育体制の構築

(1) 大阪大学における現行の6年制薬学教育対応カリキュラム

平成18年度から開始した6年制薬学教育に対応したカリキュラムでは、薬科学科(4年制学科)、薬学科(6

年制学科)共に、主に2から3年次に薬学専門科目の講義や演習、基礎実習を履修する。その後、薬科学科は4

年次に卒業研究を実施し、薬学科は4年次から6年次にかけて、長期課題研究、実務実習事前学習、実務実習、

医療薬学領域科目及び大学院修士課程開講科目を履修する。薬学教育モデル・コアカリキュラムの内容は、上記

の薬学専門科目と医療薬学領域科目で履修でき、一方、実務実習モデル・コアカリキュラムの内容は、4年次以

降の実務実習事前学習及び実務実習で履修できるように構成されている(下図)。

このように、本学における現行のカリキュラムは6

年制薬学教育の指針に準拠しており、また個々の科目

のシラバスは、大阪大学の学務情報システムの基準に

したがって作成し公開されている。また、卒業要件や

履修方法等については、学生便覧に明記し、これを冊

子として学生に配布している。しかし、2から3年次

に履修する薬学専門科目については、異なった領域の

講義や演習、基礎実習がアラカルト的に分散しており、

当該科目の薬学教育における位置づけや科目相互の関

連性に関する説明が学生に対して十分に行われている

とは言い難い。またシラバスの内容については、学習目標や学習方略に関する書式が統一されておらず、成績評

価についても方法や基準が明示されていない科目が多い。

したがって、前述の大阪大学の教育理念に基づき、教育の目的を達成することにより優秀な人材を養成・輩出

するためには、学生に対して、学習の指針・手引きとなる学習目標や学習方略、成績評価方法等を明示し、さら

に系統的な学習を促す手法を講じることにより、学習に対するモチベーションの維持・向上を図る必要がある。

特に、本取組の目的である、食と環境の“高度なリスクマネージメント”を担うことができる優れた薬学研究者

や薬剤師の養成を達成するためには、こういった高い教育効果か期待できる体制の整備が必須である。

(2) 領域別統合型教育体制の構築とシラバスの整備

そこで本取組では、まず薬学専門教育について領域別統合型教育体制の構築を図る。具体的には、上記の両学

科共通の薬学専門科目と薬学科学生が4年次以降に履修する医療薬学領域科目を薬学全体の教育目標とそれぞれ

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の科目の学習目標を勘案して、物理化学領域、有機化学領域、生物薬学領域、環境薬学領域及び医療薬学領域の

5領域に再編成する。

それぞれの領域については、薬学専門教育における位置づけ、領域として達成すべき学習目標、領域内の科目

間の関連性について解説を加える。

各領域に分類された科目については、

・ 学習目標については、一般目標(GIO)と到達目標(SBOs)に分けて明示する。

・ 到達目標については、薬学教育モデル・コアカリキュラムとの対応を示す。また予習や自己学習の指針

として、簡単な解説やキーワードを加える。

・ 各回の授業について、学習方法、場所、人的資源、物的資源等を記載した学習方略(授業計画)を明示

する。

・ 成績評価については、下記(3)のように明確化を図る。

・ 当該科目の領域内での位置づけや、領域内の他の科目との関連性を解説する。

・ 担当教員の連絡先やオフィスアワーについても記載する。

(3)成績評価の明確化

成績評価は、合否判定を目的とする総括的評価と、学習過程の改善を目的とする形成的評価に分ける。

総括的評価については、全ての科目について、学習目標に対する妥当性や、客観性、信頼性が高い評価方法及

び評価基準を設定し、さらに効率性や特異性、透明性を十分考慮した“厳正な評価”を実施する。また、評価方

法及び評価基準は学生に予め周知し、教育効果の向上を図る。将来的には、GPAの採用等、科目単位ではなく領

域単位で総括的評価を行う手法についても検討を行う。

形成的評価については、個々の学生の学習到達度を的確に測定することにより、学生の学習意識、学習方法等

の改善や、学習目標、学習方略、場合によっては総括的評価の方法・基準の改善に資する。科目ごとに、学習目

標、学習方略に合わせた適当な方法を設定する。

(4)「学習の手引き」の作成

上記のような新たに構築する領域別統合型教育体制の内容については、学内での統一的な書式が求められるシ

ラバスへの記載は困難であるので、別途、シラバスの内容も含む「学習の手引き」を作成し、これに記載する。

「学習の手引き」は、年度の始めに学生及び教員に配布し、学生に対してはガイダンスを実施することにより周

知を図る。

4-3.環境薬学教育の高度化及び実質化を図るプログラムの実施

(1) 環境薬学領域の統合型教育体制

本取組の中心となる環境薬学領域の統合型教育体制では、まず第Ⅳから第Ⅵセメスターに分散している環境薬

学領域の10科目の講義を安全管理学、食品安全学、環境安全学の3小領域に再編成する。次に演習は、PBLチュー

トリアル教育として、それぞれの講義の中に効果的に配する。また他領域項目と混在している実習は、新たに環

境・分析実習として再編成し、実践的技能教育の充実を図る。

(2)PBLチュートリアル教育の導入

これまで講義中心であった科目にPBLチュートリアル教育を導入する。本取組では、各科目における学習目標

に合わせて、講義内容を基礎情報として、食や環境の安全・安心に関わる特定の課題やシナリオを設け、5から

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10名の少人数グループによる情報収集、討論及び発表・質疑応答を行なう。食と環境の安全・安心を確保するた

めには、これらを脅かす直接的な要因だけではなく、社会的背景や、経済的あるいは国際的な要因についても詳

しく解析し、それぞれの状況・条件に合わせた最適な対処方法を提言することが重要であるので、課題探求能力

や問題解決能力の涵養に有効と言われるPBLチュートリアル教育は、非常に有効な学習方法として期待できる。

(3) 外部講師による最新の専門教育の実施

衛生試験機関や検疫機関等の食や環境の安全・安心に関わる業務を行っている研究員や職員による講義と討論

を行なう。同時に、特別講義として学内外に公開することにより、情報提供の機会とする。これにより、関連機

関の最前線で活躍するために必要な知識を修得することが可能となり、また食や環境の安全・安心に関する行政

の動向や法規則、事件・事故に関する最新の情報を得ることができる。

(4)最新機器を使用した分析実習の実施

新たに統合した環境薬学系実習(3年次履修)において、学内で既に整備している関連分析機器及び新規に購

入を予定している分析機器を用いた食品試料や環境試料の分析実験を行う。この取組を通して、関連機関の最前

線で活躍するために必要な実践的な技能を修得する。実際には、食品添加物や環境試験に記載されている物質に

加えて、一部の環境ホルモンや毒性が問題になっている農薬等についても、検体からの抽出法や精製方法、分析

方法について実習する。

(5)外部関連機関と連携した体験型学習の実施

食と環境の安全・安心に関連する衛生試験機関や検疫機関等に出向いて、参加型体験学習を行う。この取組で

関連機関での最新分析技術を体験し、また最前線で活躍する薬学研究者や薬剤師と接することにより、環境薬学

を学習するためのモチベーションの向上を図り、さらに社会的ニーズに応えるための使命感を涵養する。

5.取組の実施体制及び実施計画

5-1.取組の実施体制

(1)取組の企画・運営体制

大阪大学では、6年制薬学教育導入にともな

う教育制度改革を円滑に行うために、平成18年

に実践薬学教育研究センターを設置した。統合

型教育体制の構築の準備として、本センターの

教員が委員長を務めるカリキュラム検討小委員

会において、全科目のシラバスの内容とモデル・

コアカリキュラムへの準拠について見直し作業

を行ってきた。

本取組の企画・運営は、実践薬学教育研究センターの教員、カリキュラム検討小委員会委員に、環

境薬学領域の4研究室の教員11名及び新たに採用した特任教員を加え、新たに質の高い大学教育推進

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プログラム運営委員会(以下、運営委員会)を組織し、これにあたる(上図)。領域別統合型教育体

制の構築は、カリキュラム検討小委員会委員が中心となり、薬学研究科所属の全教員が参画して各領

域の再編成に向けた作業を実施する。また、環境薬学教育の高度化及び実質化を図るプログラムは、環境

薬学領域4研究室の教員及び特任教員が中心となって実施する。さらに、大学院の学生をTAとして

採用し、プログラムの補助業務にあたらせることにより、プログラムの円滑な実施と学生自身の指導

能力の向上を図る。

(2)取組の評価体制

本取組の実施状況及び成果に関する評価は、運営委員会、科目担当教員(自己評価)及び学生によ

る評価を実施する。評価項目としては、統合型教育の達成度(内容の充実度、科目間の整合性、学習

効果、学生のモチベーション等)、テキスト等の教材の妥当性、教員の取組の度合い、時間配分の適

合性等があげられる。

また年度末には報告書を作成し、これをもとに、学外の薬学教育プログラムに詳しい大学教員1名

及び環境薬学が専門の大学教員1名を評価委員とする外部評価を受ける。

上記の評価結果については、運営委員会において検討を行い、改善すべき点については、具体的な

対応策を策定する。年度始めにFD研修会を開催し、教育効果の高いプログラム実施に向けた討論を

実施し、改善策の定着化を試みる。

取組期間終了時には、最終成果報告会を実施し、これに外部評価委員を招いて直接評価を受ける。

これを最終報告書の評価結果と合わせて運営委員会で精査・検討し、取組終了後の発展的継続に関す

る具体的な計画の立案に反映させる。

5-2.取組の実施計画

本取組は、平成20年度に入学した学生(新制度3

期生)の学年進行に合わせて実施する(右図)。

(1)領域別統合型教育体制の構築

領域別統合型教育体制の構築については、取組

が開始される平成20年度後期からカリキュラム小

委員会を中心に、薬学研究科専任教員が担当する

専門科目の「学習の手引き」の作成に着手した。

これは、平成22年度4月上旬までに編集を行ない、学生への配布を行う。ただし、環境薬学領域につ

いては、平成21年度から高度化及び実質化を図るプログラムを実施するため、平成20年度中に第1版

に相当する「学習の手引き」原案の作成を完了する。本件については平成21年度に改訂を行い、他の

科目と合わせて平成22年度4月に学生に配布する。さらに、平成22年度には基礎実習、実務実習に関

する「学習の手引き」や、研究科外の教員や非常勤講師による科目、薬学科の5、6年次履修科目及

び大学院修士課程履修科目の「学習の手引き」を作成し、本取組の最終成果とする。

環境薬学領域については、各科目で使用している教材について平成22年度中に検討を行い、これら

を編集することによって統一テキストの作成を目指す。本テキストについては、さらに改訂を重ね、

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将来的には環境薬学領域のモデルテキストとしての普及を図る。

成績評価の明確化については、上記の「学習の手引き」に記載すべく、平成20年度中に各領域・各科目に

おいて評価方法及び評価基準を設定する。平成21年度及び平成22年度には、実際に設定した評価方法

及び評価基準を用いた成績評価を実施し、問題点がある場合は改善を行い、平成22年度のシラバス及

び学生に配付予定の「学習の手引き」に記載する。これにより、成績評価の明確化を定着させ、厳正な

評価を担保する。

(2)環境薬学教育の高度化及び実質化を図るプログラムの実施

PBLチュートリアル教育については、平成20年度に必要な備品を購入することにより実施体制を整備し、平成

20年度入学生の第Ⅳセメスター(平成21年後期)の配当科目から実施する。また、トライアルとして、

平成19年度入学生を対象に、第Ⅴセメスター(平成21年度前期)の配当科目でも一部実施する。

外部講師による最新の専門教育は、平成20年度から平成21年度にかけて実施計画を立て、招聘する講師を決定

し、一部については平成21年度の第Ⅳセメスターの講義から実施する。

環境薬学系実習については、平成21年度に基礎実習の再編成作業に着手し、平成20年度入学生が基

礎実習を開始する第Ⅴセメスター(平成22年度前期)から実施する。最新機器を使用した分析実習につ

いては、平成20年度に新たに分析機器を購入し、食品試料や環境試料を対象とした分析条件の設定を実施する。

平成21年度については、環境薬学領域の4研究室の教員が担当する現行の基礎実習の中で、トライアルとして、

一部を実施する。外部関連機関と連携した体験型学習については、平成21年度に実施計画を立て、受け入れ機関

を決定し、平成22年度から実施する。平成21年度中に上記の最新機器を使用した分析実習や外部関連機関と連携

した体験型学習を含めた環境薬学系実習の実施内容を決定し、実習書の作成、機器使用マニュアルの作

成及び備品・消耗品の準備等を完了する。

本取組終了時には、環境薬学教育の高度化及び実質化を図るプログラムの達成状況に関する評価結果をも

とに、プログラム全体及び個々のプログラムの課題や問題点の改善を行い、本プログラムの定着化を図る。

6.取組終了後のプログラムの発展・定着化

本取組は、上記の各年次の実施計画表にも示したように、プログラム終了後の平成23年度以降も継

続して実施する。領域別統合型教育体制は年度ごとの見直しにより改善を重ね、「学習の手引き」や

テキスト、評価方法や評価基準の改訂・改良を行なう。これにより、取組終了時には最終成果として

教育効果の高い教育プログラムを完成させ、定着化を図る。

また、“食と環境の安全・安心を確保できる人材”を養成するためには、学部教育にとどまらず、大学院教育

や社会人教育への展開を図り、環境薬学教育のさらなる高度化と実質化を実現させる必要がある。これについて

は、平成21年度に文部科学省・組織的な大学教育改革推進プログラム「健康環境リスクマネージメント専門家育

成」が採択されたので、本取組における学部教育と有機的に連携させて実施することによって、大学院における

環境薬学教育及び社会人教育の充実を目指す。具体的には、我が国にとどまらず、国際的な視点に立ったリスク

マネージメント体制を構築するために、海外からの留学生や研修生の受け入れや、海外での学生のインターンシッ

プや調査研究、さらには啓発教育活動等が可能な国際交流プログラムなどを開発・実施する予定である。

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7.---

8.取組の実施状況

8-1.領域別統合型教育体制の構築

領域別統合型教育体制の構築については、平成20年度12月から運営委員会を中心に「学習の手引き」

の作成に着手し、薬学研究科専任教員が担当する2年次から4年次学生が対象となる専門科目につい

ては、すでに作成が終了した。また各科目については、下記の項目の記載を行った。これらの「学習

の手引き」については、本報告書の9.専門科目の「学習の手引き」に記載した。

なお、本来はシラバス自体を改訂する予定であったが、現行のシラバスは大阪大学全体の学務情報

システムに掲載されるため、今回の改訂内容を反映することはできない。そこでシラバスについては、

記載事項である概要・目的(一般目標に相当)や授業計画(到達目標に相当)及び成績評価について

本「学習の手引き」への記載内容との反故がないように、各教員に改訂を求めた。

本「学習の手引き」は、平成22年度4月上旬に第1版として配付する。さらに、平成22年度には取

組実施計画に従って、基礎実習、実務実習や、研究科外の教員や非常勤講師による科目分、薬学科の

5、6年次履修科目及び大学院修士課程履修科目分を追加し、最終的には全履修科目に対する「学習

の手引き」を完成させ、本取組の最終成果とする。

成績評価の明確化については、運営委員会により評価方法・評価基準に関する検討を行い、「学習の手引き」

に統一的な記載を行うこととした。また、合否決定を目的とする総括的評価と、学習過程の改善を目的とする形

成的評価を分けて表記することとし、「学習の手引き」に反映し、学生への周知を可能にした。

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8-2.環境薬学教育の高度化及び実質化を図るプログラムの実施

(1)PBLチュートリアル教育の導入

PBLチュートリアル教育については、環境薬学領域教員が担当する下記の7科目において実施した。なお、本

取組の対象となる平成20年度入学生は、すでに1年次の薬学概論(早期体験学習)においてPBLチュートリアル

教育を体験しているため、導入的な説明は行わず、各科目で個々に実施した。学生は非常に積極的に取

り組み活発な議論が行われた。

なお、健康管理学で実施したPBLチュートリアル教育については、以下詳しく紹介する。

1)平成21年度に環境薬学科目及び関連科目実施したPBLチュートリアル教育

A)健康管理学

① 担当教員:平田收正、伊藤徳夫、原田和生、松浦秀幸、吉川友章

② 実施日:2009年5月18日(月)、5月25日(月)、6月1日(月)

③ テーマ:最近問題になっている感染症の予防や治療において薬剤師及び薬学出身者が果たすべき役割。

④ 実施方法:

・ 予め肺結核、エイズ、インフルエンザについて書籍、インターネットなどを用いて最新情報を調査し、レポート作成

・ レポートを元にした小グループ討論と成果のまとめ

・ 発表および質疑

B)毒性学

① 担当教員:堤 康央、伊藤徳夫、吉川友章

② 実施日:2009年6月1日(月)、6月8日(月)、6月15日(月)

③ テーマ:化学物質・医薬品のリスク調査/解析・リスク評価・リスク管理

④ 実施方法:

・ 化学物質・医薬品の安全性問題に関するテーマの調査(自習)

・ テーマに関する小グループでの討論と成果作成

・ 発表(フリーソフトOpenOfficeを使用)および質疑

C)健康情報学

① 担当教員:高木達也、川下理日人、岡本晃典

② 実施日:2009年6月3日(水)

③ テーマ:混合診療の問題に関して、後期高齢者医療制度に関して、日本の医療保険制度に関して、

介護制度、日本と海外の保険制度、今回の新型インフルエンザの問題に関して、少子高齢化問題、

小児科・産婦人科医療の問題、小児の脳死臓器移植問題について、世界の難民問題と薬剤師

④ 実施方法:

・ 上記テーマに関するWeb等を利用した各自調査(自習)

・ テーマに関する小グループでの討論と成果作成

D)実施科目:基礎セミナー(環境と化学物質)

① 担当教員:高木達也、川下理日人、岡本晃典

② 実施日:2009年6月12日(金)、6月19日(金)、6月26日(金)、7月3日(金)

③ テーマ:環境と化学物質、レアメタル問題、地球温暖化、リサイクルにおける現状と問題、

環境中(水、大気、食品)の有害微生物、グリーンケミストリー

④ 実施方法:

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・ 上記テーマに関するWeb等を利用した各自調査(自習)

・ テーマに関する小グループでの討論と成果作成

・ 発表(パワーポイント使用)

E)環境安全学

① 担当教員:平田收正、原田和生、松浦秀幸

② 実施日:2009年11月6日(金)

③ テーマ:環境ホルモンによる健康被害をなくしたい。対策を講じる上での課題・問題点は何か。

④ 実施方法:

・ KJ法による問題の抽出と整理

・ 小グループ討論による最優先課題の決定

・ 解決に向けたマスタープランの作成と提言

F)食品安全学

① 担当教員:堤 康央、吉川友章

② 実施日:2010年1月15日(金)、1月22日(金)

③ テーマ:食のリスクマネジメント・リスクコミュニケーション・リスクリテラシー

④ 実施方法:

・ 食の安全性問題に関するテーマの調査(自習)

・ テーマに関する小グループでの討論と成果作成

・ 発表(フリーソフトOpenOfficeを使用)および質疑

G)機能食品学

① 担当教員:平田收正、原田和生、松浦秀幸

② 実施日:2010年1月27日(水)

③ テーマ:食の安全・安心を確保したい。対策を講じる上での課題・問題点は何か。

④ 実施方法:

・ KJ法による問題の抽出と整理

・ 小グループ討論による最優先課題の決定

・ 解決に向けたマスタープランの作成と提言

2)健康管理学で実施したPBLチュートリアル教育

【目的】

最近問題になっている感染症について、その成因や症状,最近の動向について調査し、その予防や治療におい

て薬剤師および薬学出身者が果たすべき役割について考察する。

【日程】

・5月11日:学生に対して感染症(肺結核、エイズ、インフルエンザ)について各自書籍、インターネット

などで最新情報を調査し、レポートを作成するように指示。

・5月18日:レポートを元にしたスモールグループディスカッション(SGD)、結果のまとめ、発表原案作成

・5月25日:発表スライド作成

・6月1日 :発表及び質疑

【グループ分け】

受講者(約80名)を10グループに分ける

【実施場所】

SGD : 本館3階第4講義室 (1-3班)

2号館3階セミナー室(4-6班)

本館4階第5講義室 (7-10班)

発表 : 本館4階大講義室

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【発表項目】

・原因病原菌および感染経路

・現在の世界および日本における感染の動向

・症状

・予防法

・治療法

・今後の対策(自分の考え,特に薬剤師及び薬学出身者の役割について)

【発表形式】

・発表5分、質疑応答4分、交代1分(計10分)

・発表は班番号順に行う

・次演者は前演者の発表後すぐに開始できるよう準備しておく。

・スライドのファイルは前もって発表用PC(念のため2台準備)に保存しておく。

【PCおよびUSBメモリーの扱い】

・ノートPC1台およびUSBメモリー1個を各班に貸し出す。

・PCはCBT演習用のものを使用する。

・プレゼンはOpenOfficeのプレゼンテーションソフトを使用する(Power Pointと互換性がある)。

・PCは講義毎に回収する。

・USBメモリーは5月18日~6月1日までの期間学生に貸し出す。

・最終日USBメモリーにプレゼンファイルを保存した状態で回収し、このファイルも評価の対象とする。

・5/18, 25のSGDの際にはハブおよびLANケーブルを準備し,インターネットを使用できる状況にする。

・PCおよびUSBメモリーに関しては、使用後にTrend Micro社のHPで無償のオンラインウイルススキャン

を行い,感染の有無をチェックする。

【教員の対応】

・受講学生はすでに何回かPBL、小グループ討論を経験済みである。従って、成果のまとめ、プレゼンの準備

などはできる限り学生自身の力で進行させるようにする。

・何らかの事情でディスカッション、成果のまとめ、準備が滞っている場合は補助する。

・学生がPC,、OpenOfficeの使用の仕方に戸惑っている場合は補助する。

・発表・質疑の聴衆として参加する。

【小グループ討論の様子】

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【発表の様子】

【発表スライド(抜粋)】

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(2)外部講師による最新の専門教育の準備

環境薬学領域教員が担当する科目で、合計4名の外部講師による講演を実施した。いずれも国立研究所、厚生

労働省、大学及び製薬企業において、関連領域の第一線で指導的な立場で活躍されている講師であり、目的とす

る最新情報の提供及び使命感の涵養において、教育効果の高い講義であった。平成22年度については、これらの

講演・講義を継続して実施すると共に、他の環境薬学領域科目についても積極的に外部講師の講演・講義を取り

入れる予定である。

1)平成21年度に環境薬学科目及び関連科目実施した外部講師による講演・講義

A)毒性学

① 担当教員:堤 康央、伊藤徳夫、吉川友章

② 実施日:2009年6月29日(月)

③ 講師氏名・所属・役職:

米谷民雄・日本食品衛生学会理事長・静岡県立大学教授・前国立医薬品食品衛生研究所食品部長

④ 演題:薬学における食品および食品添加物に対する毒性学、安全科学概論

⑤ 内容:

当該講義は、薬学部薬学科(6年制コース)および薬科学科(4年制コース)の3回生を対象としたものであ

り、薬学領域における食品・食品添加物の安全性問題と、その解決に向けた取組を基礎研究から行政対応まで

を概説するものである。

B)毒性学

① 担当教員:堤 康央、伊藤徳夫、吉川友章

② 実施日:2009年7月6日(月)

③ 講師氏名・所属・役職:

紀平哲也・富山県庁/厚生労働省・リーダー/課長補佐

④ 演題:リスクマネージメントに向けた毒性学研究への期待・要望

⑤ 内容:

当該講義は、薬学部薬学科(6年制コース)および薬科学科(4年制コース)の3回生を対象としたものであ

り、薬害問題など、薬学領域における医薬品の安全性問題と、レギュラトリーサイエンスに代表されるその解

決に向けた取組を概説するものである。

C)食品安全学

① 担当教員:堤 康央、吉川友章

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② 実施日:2010年1月8日(金)

③ 講師氏名・所属・役職:

吉岡靖雄・臨床医工学融合研究教育センター・講師

④ 演題:食の安全・安心の確保に向けた安全性研究の現状と今後

⑤ 内容:

当該講義は、薬学部薬学科(6年制コース)および薬科学科(4年制コース)の3回生を対象としたものであ

り、BSE問題や食物アレルギー問題、遺伝子組換え植物問題など、食の安全性領域における最新の話題とこれ

らに対する安全性研究を概説するものである。

D)医薬品開発学

① 担当教員:高木達也、清水良、川下理日人

② 実施日:10月19日(月)、10月26日(月)

③ 講師氏名・所属・役職:

清水良・田辺三菱製薬株式会社・経営戦略部主幹

④ 演題:製薬企業における医薬品開発の実際

⑤ 内容:

製薬企業における新規医薬品開発に関して、目標の設定から承認申請に至るまで。

(3)最新機器を使用した分析実習の準備

環境薬学系実習については、平成21年度に行った基礎実習の見直し作業により、「環境・分析系実

習Ⅰ及びⅡ」に再編成となった。すなわち、これまで基礎薬学実習に組み込まれていた分析実習及び

物理化学実習と、生物系Ⅱ及び生物系Ⅲに組み込まれていた環境薬学領域の実習を統合し、他の実習

項目と共に再編成することによって、これまで「基礎薬学実習」、「化学系実習」、「生物系実習Ⅰ」、「生

物系実習Ⅱ」及び「生物系実習Ⅲ」によって構成されていた基礎実習を、「基礎薬学実習」、「化学系実習」、

「生物系実習Ⅰ」、「生物系実習Ⅱ」、「環境・分析系実習Ⅰ」及び「環境・分析系実習Ⅱ」とした。これに

ともなって、実習書もこのような構成に編集し直した。

実習の内容については、全体にモデル・コアカリキュラムに準拠した内容にすることを目的として

見直し作業を進めている。このうち既に改変が必要なことが明らかになった項目については、平成21

年度から順次変更を行ない、実習時にトライアル的に実施することにより、その円滑な実施に向けた

検証を行った。

特に、新たに「環境・分析系実習Ⅱ」に組み込まれた衛生試験法に関する実習については、これまで

基礎実習で実施されていなかったモデル・コアカリキュラムの技能のSBOが数項目あることから、本

取組では新たに高速液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーを購入し、これらに相当す

る農薬及び食品添加物の検出試験を実施できるように検討を行った。具体的には、平成21年度の実習

前に分析条件に関する詳細な検討を行い、さらに実習においてトライアル的に実施することにより、

円滑かつ教育効果の高い実施に向けて検証を行った。その結果、モデル・コアカリキュラムが求める

内容を十分に満たす検出試験が行えることが明らかになった。そこで平成22年度からは、これらの項

目を「環境・分析系実習Ⅱ」の衛生試験法として正式に実施する。さらにこれらの機器は、ビスフェノー

ルAなどの環境ホルモンの一部、メタミドホスなど毒性が強い農薬の一部など、最近話題になっている有害物質

の微量高感度分析が可能であり、衛生試験にとどまらず、食と環境の安全・安心を確保できる人材養成に非常に

有効であると考えられる。そこで、今後もこういった分析機器、さらには別途薬学研究科において整備された高

性能の分析機器を用いた食品や環境試料の高度分析技能教育の充実を図る予定である。

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23

これらの基礎実習の改変については、本報告書の、10.環境薬学領域実習の改変‐環境・分析系実習書の作成‐、

に記載した。

(4)外部関連機関と連携した体験型学習の準備

外部関連機関における体験型学習については、平成21年度に厚生労働省の医薬基盤研究所や国立医薬品食品衛

生研究所と連携して実施する予定であり、具体的なプログラムを立案した。また、大阪府内の浄水場や排水・し

尿処理場や、食品企業の排水処理施設等における体験型学習、見学学習も企画しており、いずれも平成22年度か

ら実施する予定である。

8-3.報告書の作成と外部評価

本取組については、各年度末に報告書を作成する。初年度にあたる平成20年度は、取組の背景、目

的及び実施計画と、各プログラムの実施状況に関する報告書を作成した。

本年度の取組の実施状況及び成果に関する評価は、下記の2名の外部評価委員に評価を依頼した。

評価結果については運営委員会において検討し、平成21年度以降の実施計画の改善に反映させる。

・ 昭和大学薬学部薬学教育推進センター 戸部 敞 教授

・ 摂南大学薬学部微生物学教室 渡部 一仁 教授

8-4.情報の公開

本取組に関する情報、実施状況及び得られた成果については、専用のホームページで公開してい

る(http://www.phs.osaka-u.ac.jp/situnotakai/Good_Practice/Top_page.html)。

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24

9.「学習の手引き」 (専門科目の抜粋)

平成 21 年度に作成した薬学研究科専任教員が担当する科目部分の「学習の手引き」(抜粋)を以下

に掲載する。本「学習の手引き」には、教育理念やアドミッションポリシー、各領域の教育の目的、各

領域の科目間の関連を示した図、モデル・コアカリキュラムの各 SBOs とそれぞれの科目での教育目

標との対応表等があるが、これらを含めた「学習の手引き」はあらためて 4 月初旬に編集・印刷するの

で、ここでは割愛する。

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25

学習の手引き

(抜 粋)

薬学導入講義

・ 薬学概論(第Ⅱセメスター)

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26

薬学概論(Introduction Pharmaceutical Sciences)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 八木清仁(06-6879-8195, [email protected], 本館4階438)

<オフイスアワー:火曜日午後0時30分から1時>

平田收正(06-6879-8236, [email protected], 本館2階230)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

上島悦子(06-6879-8251, [email protected], 本館2階242)

<オフイスアワー:火曜日午後3時から4時>

相本太刀夫(06-6879-8239,[email protected],2号館3階306)

<オフイスアワー:月曜日午後1時30分から4時45分>

岡本禎晃(06-6879-8250, [email protected], 本館2階228)

<オフイスアワー:火曜日午後3時から4時>

学内講師(医学部)

外部講師(厚生労働省・大学・製薬関連企業)

・単位数:2 ・履修対象:1年生(薬科学科:必修、薬学科:必修) ・セメスター:II

・曜日・時限:木曜・3時限 ・場 所:特別講義室など

(2)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬学は、疾病の予防や治療、健康の増進、環境の保全など、人の健康の維持・増進に関わる様々な領域で大き

な役割を果たしている。本科目では、早期体験学習として、医療現場、公立研究機関、企業などの見学、薬学研

究科内の研究室における体験型見学実習、こういった機関で活躍する本学卒業者による講義などを通して、薬学

で学ぶことの重要性を認識し、さらに医療人として将来果たすべき使命を自覚する。加えて、課題探求型小グルー

プ討論および成果発表により、コミュニケーション及びプレゼンテーションの能力向上を図る。

【授業の概要】

・ 医療機関や薬学関連の研究機関、関連企業、研究科内の研究室の見学実習を行う。 ・ 不自由体験学習を行う。

・ 医学部、行政、医療機関、企業等で活躍する研究者、本学卒業者による講義を聴講する。

・ 設定された課題について自己学習、小グループ討論及びの成果発表を行う。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

医療現場における薬剤師の果たすべき役割や業務や医療人としての使命感・倫

理観について説明する。

1)

<解説・キーワード> 大阪大学医学部附属病院の薬剤部や病棟、保険薬局の見学を

通して、医療現場における薬剤師業務について体験的に学習する。保健学科の

協力により不不自由体験学習を行う。

A(1)【先端医療と生命倫

理】1)、A(2)【社会の期

待】1), 2)、A(2)【医療

行為に関わる心構え】2)、

4)、5)、A(2)【患者の気

持ちに配慮する】1)-4)、

B(2):1), 2)

薬学関連領域における薬学研究者の果たすべき役割や使命感について説明する。 2)

<解説・キーワード> 医薬基盤研究所などの公立研究機関や研究科内の研究室の見

学を通して、創薬研究の最前線における薬学研究者の業務について体験的に学

習する。

A(2)【研究活動に求めら

れる心構え】2)、A(2)【医

薬品の創製と供給に関わ

る心構え】1)、B(2):3)

患者や障害者に対する配慮の重要性について体験する。 3)

<解説・キーワード> 不自由体験学習を行う。

A(3)【患者の気持ちに配

慮する】1), 2), 5)

4) 製薬会社や食品会社等における薬剤師及び薬学研究者の果たすべき役割や使命感 A(2)【研究活動に求めら

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27

について説明できる。

<解説・キーワード> 製薬会社や食品会社等の研究所や工場の見学を通して、医薬

品や機能性食品等の開発及び製造における薬学研究者及び薬剤師の業務につい

て体験的に学習する。

れる心構え】2)、A(2)【医

薬品の創製と供給に関わ

る心構え】1)、B(2):3)

社会における薬学研究者や薬剤師の貢献について理解し、指導的立場で社会貢

献することに対する使命感を涵養する。

5)

<解説・キーワード> 行政、医療機関、企業等で活躍する本学卒業者による講義を

通して、薬学研究者や薬剤師の社会貢献について考える。

A(2)【研究活動に求めら

れる心構え】2)、A(2)【医

薬品の創製と供給に関わ

る心構え】1)、B(2):3)

能動的学習と小グループ討論・成果発表によって課題探究能力・問題解決能力及びコミュ

ニケーション能力を涵養する。

6)

<解説・キーワード> 糖尿病等の症例について自己学習(調査)、小グループによる

討論と全体での成果発表を行うことにより、能動的な学習方法を身につける。

A(1)【先端医療と生命倫

理】1)、A(2)【自己学習・

生涯学習】1), 2)、A(3)

【コミュニケーション】

2), 3)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1)-5) 講 義 特別講義室 八木 プリント 90

2-4 6) PBL 特別講義室など 上嶋・岡本 プリント, PC, WBなど 90x3

5-8 1),2),4) 見学・

体験学習

学外関連機関・

研究科内研究室 平田・相本・上島

・岡本 プリント 90x4

9-12 5) 講 義 特別講義室 学内講師(1名)

外部講師(4名) プリント 90x4

13 3) 体験学習 医学部保健学科 上島・岡本

保健学科教員

プリント,

不自由体験器具など

90

14,15 6) PBL 特別講義室など 上島・岡本 プリント, PC, WBなど 90x2

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・毎回レポート提出課し、この提出の有無及び内容によって成績評価を行なう(100%)。

・出席は成績に加味しないが、全回出席を必要とし、原則として3回以上欠席した場合は不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・講義・見学・演習に関するレポートの内容について適宜質疑応答を行ない、知識や情報の定着化を図る。

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28

学習の手引き

(抜 粋)

環境薬学・情報薬学領域

(1) 安全管理学小領域

・薬学統計学(第Ⅳセメスター)

・毒性学(第Ⅴセメスター)

・病原微生物学(第Ⅴセメスター)

・健康情報学(第Ⅴセメスター)

・健康管理学(第Ⅵセメスター)

(2) 環境安全学小領域

・基礎微生物学(第Ⅳセメスター)

・環境微生物学(第Ⅴセメスター)

・生存基盤学(第Ⅴセメスター)

・環境安全学(第Ⅵセメスター)

(3) 食品安全学小領域

・機能食品学(第Ⅳセメスター)

・食品安全学(第Ⅵセメスター)

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薬学統計学(Pharmaceutical Statistics )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 高木達也(06-6879-8243, [email protected], 本館5階544)

<オフイスアワー:火曜日午後1時から3時>

岡本晃典(06-6879-8242, [email protected], 本館5階540)

<オフイスアワー:火曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:Ⅳ

・曜日・時限:金曜・1時限 ・場 所:大講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

環境薬学に限らず、あらゆる薬学分野の調査、研究結果の考察、解析には、生物統計学の利用が必要不可欠である。数理統

計学に関しては、既に、1年次に「統計学B-1」として学習済みであるが、確率統計の基礎だけでは、実際のデータ解析には

不十分である。この講義では、検定、推定の初歩から、多重比較、多変量解析、時系列解析までを学び、実際の解析に応用で

きるだけの知識の獲得を目指す。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として必要な統計学に関する知識を習得し、実際に正しい統計的データ処理が行えるように、また、

論文を読んでどのような統計処理が行われているか知ることが出来るように学習する。重要なのは、統計処理に関する細かな

知識、計算方法を記憶することではなく、統計学を概念的に把握し、目の前に置かれたデータに関し、データの統計的解析で、

何を知るときにどのような手法を用いるべきかを選択できること、或いは、誤った手法を用いないように、言わば哲学的に統

計学を把握することである。

【授業の概要】

薬剤師および薬学出身者として、何故、統計学が必要な知識であるかを学び、統計学の基本的な考え方について把握する。

最初に、確率分布について復習し、統計的有意差検定の基本的な考え方を学ぶ。その延長として、多重比較とは何か、何故

多重比較が必要か、通常の有意差検定を繰り返して用いてはいけないのは何故かについて学ぶ。

次に、多変量解析法とその意義について学ぶと共に、医薬学データへの応用例を学ぶ。

その後、Advance な手法~データマイニング法や計算機集約型統計解析法を知ると共に、その意義について学ぶ。最後に、

生存時間解析と薬剤経済学について学ぶ。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

何故薬学に統計学が必要か 1)

<解説・キーワード> 記述統計学、推測統計学

C-17(5) 【生物統計の基礎】1)

確率分布の復習 2)

<解説・キーワード> 正規分布、T分布、F分布、χ2分布

C-17(5) 【生物統計の基礎】1)

有意差検定の概念と帰無仮説 3)

<解説・キーワード> 帰無仮説、対立仮説

C-17(5) 【生物統計の基礎】1)

平均値の検定、平均値の差の検定 4)

<解説・キーワード> Studentのt検定、Welchのt検定、ベーレンス=フィッシャー問題

C-17(5) 【生物統計の基礎】3)

分散の検定、比率の検定 5)

<解説・キーワード> F検定、χ2検定

C-17(5) 【生物統計の基礎】4)

ノンパラメトリック検定の概念と実際 6)

<解説・キーワード> Wilcoxonの順位和検定、マン=ホイットニーのU検定

C-17(5) 【生物統計の基礎】2,3)

多重比較はなぜ必要か 7)

<解説・キーワード> 多重比較、Bonferroni 法、Tukey 法、Dunnett 法、Williams 法、分散

C-17(5) 【生物統計の基礎】6)

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30

分析

多変量解析法(1)外的基準のある場合の方法 8)

<解説・キーワード> 重回帰分析、最小二乗法、ロジスティック回帰

C-17(5) 【生物統計の基礎】7)

多変量解析法(2)外的基準のない場合の方法 9)

<解説・キーワード> 主成分分析、クラスター分析、独立成分分析、因子分析

C-17(5) 【生物統計の基礎】7)

ベイズ統計学の考え方と実際 10)

<解説・キーワード> ベイズの定理、ベイジアン統計

データマイニングとその手法 11)

<解説・キーワード> ニューラルネットワーク法、Kernel諸法、樹形モデル

計算機集約型統計解析法 12)

<解説・キーワード> Bootstrap法、Cross-Validation法

生存時間曲線と生存時間解析 13)

<解説・キーワード> Kaplan-Meier曲線、ログランク法

C-17(5) 【臨床への応用】5)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1-10 1)-10) 講 義 大講義室 高木 電子媒体の資料, 教科書 90

11-13 11)-12) 講 義 大講義室 岡本 電子媒体の資料, 教科書 90

14 13) 講 義 大講義室 高木 電子媒体の資料, 教科書 90

15 14) 試 験 大講義室 高木・岡本 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・試験の結果と出席点で合否判定する。

・出席評価を10%、試験による評価を90%とする。

・原則として全体で5回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・講義の中で、無記名の試験的調査を行い、理解が不十分だと思われる事項について、再度講義する。

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毒性学(Toxicology)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 堤 康央(06-6879-8230, [email protected], 2号館3階301)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

伊藤徳夫(06-6879-8231, [email protected], 2号館3階302)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

吉川友章(06-6879-8232, [email protected], 2号館3階303)

<オフイスアワー:水曜日午後1時から3時>

外部講師3名(未定)

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:V

・曜日・時限:月曜・1時限 ・場 所:大講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

「毒性学」は、「食品安全学」、「健康管理学」、「病原微生物学」、「健康情報学」と共に、安全管理学小領域を構成

する授業である。「生物科学概論A(Ⅱセメスター)」、「生物科学概論B(Ⅲセメスター)」の履修により、生命

科学に関する基礎知識を修得することによって理解が深まる。また本科目の受講により、アドバンス科目の「毒

性学特論(毒性学特別講義)」に関して、より高い学習効果が期待できる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として、ヒト健康環境の確保および安全で質の高い社会環境の確保の観点から必要と

なる、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品・食品添加物、農薬、ナノマテリアル、環境化学物質、微生物といっ

た生体異物の安全性評価、さらには安全性確保に必要な考え方、方法、技術を理解し、修得する。またハザードとリ

スク、リスクアセスメントやリスクマネージメント、リスクコミュニケーション、リスクリテラシーの重要性に

ついて学ぶ。

【授業の概要】

薬学における毒性学(Toxicology)は、医薬品を含めた生体異物の安全性や有害性を科学的に考究することで、

ヒトの健康環境や社会環境を確保しようとする学問である。毒性学のカバーする範囲は広大であり、薬剤師およ

び薬学出身者として、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品・食品添加物、農薬、ナノマテリアル、環境化学物質、

微生物といった生体異物のヒトや環境に対する不都合な作用を回避・解決し、安全を高度に保障していくために

も、毒性学の基礎を身につけることは必要不可欠となる。本講義では、生体異物の毒性発現機構、生体の防御反

応、毒性試験、および安全性評価などに関する基本的知識、および考え方を修得すると共に、ハザードとリスク、

リスクアセスメントやリスクマネージメント、リスクコミュニケーション、リスクリテラシーについて学ぶこと

を目的とする。

尚、これらに関する基本的技能に関しては基礎実習を通して学ぶこととする。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

毒性学概論:薬害問題などを例に、薬学における毒性学の意義、さらには代表的な薬毒

物について学び、医薬品・医薬部外品・化粧品・食品・食品添加物・農薬・ナノマテリ

アル・環境化学物質といった生体異物の安全性評価と安全性確保の重要性に関して理解

を深める。

1)

<解説・キーワード> 生体試料の取り扱い、中毒原因物質、試験法

C-2(3)【薬毒物の分析】

1-2)

2) 生体と薬毒物(動態):生体異物の毒性発現(機能障害)は、生体異物固有の活性(毒性)

とその体内動態(トキシコキネティクス)に大きく依存しており、リスク評価にはハザー

ドと曝露実態との解析動態が重要であることを理解し、ハザードとリスク、リスクアセ

C-12(1)【化学物質の代

謝・代謝的活性化】1-3)

Page 33: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

32

スメントについて学ぶ。

<解説・キーワード> トキシコキネティクス

生体と薬毒物(代謝的解毒と代謝活性化):発がん性物質などの代謝的活性化などを例に、

体内に取り込まれた生体異物の第一相・第二相代謝反応が、解毒あるいは毒性発現(活

性化)に寄与することを学ぶ。

3)

<解説・キーワード> 代謝的解毒、代謝活性化

C-12(1)【化学物質の代

謝・代謝的活性化】1-3)

毒性の発現(変異原性と発がん性):変異毒性(遺伝毒性)や発がん性(がん原性)、さ

らにはこれら(特殊)毒性の試験法、発がんメカニズムについて理解を深める。

4)

<解説・キーワード> 毒性試験法、Ames試験、がん遺伝子、がん抑制遺伝子

C-12(1)【化学物質によ

る発がん】1-4)

毒性の発現(生殖発生毒性):催奇形性や次世代影響を初めとする生殖発生毒性について

学ぶと共に、刺激性・炎症性、免疫毒性と光毒性に関して紹介する。またこれらに関し

ての主な毒性試験法について理解する。

5)

<解説・キーワード> 毒性試験法、生体防御因子、閾値、無毒性量(NOAEL)、安全摂取量

C-12(1)【化学物質の毒

性】1-8)、C-12(1)【化

学物質による中毒と処

置】1)

器官毒性(1):肝毒性を中心に、血液系、循環器系(心毒性など)に特異的な毒性反応

を惹起する薬毒物について理解する。

6)

<解説・キーワード> 毒性試験法、生体防御因子、ナノマテリアル

C-12(1)【化学物質の毒

性】1-8)、C-12(1)【化

学物質による中毒と処

置】1)

器官毒性(2):腎毒性を中心に、呼吸器系に特異的な毒性反応を惹起する薬毒物について

理解する。

7)

<解説・キーワード> 毒性試験法、生体防御因子

C-12(1)【化学物質の毒

性】1-8)、C-12(1)【化

学物質による中毒と処

置】1)

器官毒性(3):神経毒性を中心に、皮膚系、内分泌に特異的な毒性反応を惹起する薬毒物

について理解する。

8)

<解説・キーワード> 毒性試験法、生体防御因子、ナノ毒性

C-12(1)【化学物質の毒

性】1-8)、C-12(1)【化

学物質による中毒と処

置】1)

医薬品の副作用各論(1):種々医薬品の副作用と有害事象を学ぶことで、医薬品の主作

用と副作用(有害作用)、毒性との関連を理解する。

9)

<解説・キーワード> 副作用、有害事象、高機能化医薬品(安全・安心)

C-13(1)【薬の副作用】

1-2)

医薬品の副作用各論(2):医薬品の安全性予測・確保を目指したトキシコジェノミクス

や個別化医療の現状と今後の展開について理解する。

10)

<解説・キーワード> 健康環境、オーダーメード医療、トキシコプロテオミクス

C-13(1)【薬の副作用】

1-2)

化学物質の毒性各論(1):重金属や農薬、ナノマテリアルといったハイテク材料、医薬部

外品・香粧品等に利用される新旧素材の急性・慢性毒性について学ぶ。

11)

<解説・キーワード> 化審法、閾値、無毒性量(NOAEL)、安全摂取量

C-12(1)【化学物質の毒

性】1-8)、C-12(1)【化

学物質による中毒と処

置】1)

化学物質の毒性各論(2):ダイオキシン類などを例に内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)

の毒性、予防策を学ぶと共に、アスベストなどの種々環境因子の毒性発現に関して理解

を深める。

12)

<解説・キーワード> 内分泌撹乱物質、予防、環境毒性

C-12(1)【化学物質の毒

性】1-8)、C-12(1)【化

学物質による中毒と処

置】1)

有害作用・副作用の予測とその対応:有害化学物質による人体影響を防ぐための法的規

制(化審法など)、代表的な中毒原因物質の解毒処置法について理解を深め、安全性予測

のためのバイオマーカー研究や、リスクマネージメントやリスクコミュニケーション・

リスクリテラシーの重要性を学ぶ。

13)

<解説・キーワード> 解毒処置、検査法、化審法

C-12(1)【化学物質によ

る中毒と処置】1)、

C-14(1)【症候と臨床検

査値】1-4)

Page 34: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

33

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1,4) 講 義 大講義室 堤 参考書, プリント 90

2 2) 講 義 大講義室 伊藤 参考書, プリント* 90

3 3) 講 義 大講義室 伊藤 参考書, プリント* 90

4 5), 6) 講 義 大講義室 堤 参考書, プリント* 90

5 7), 8) 講 義 大講義室 堤 参考書, プリント* 90

6~7 9), 10) 講 義 大講義室 堤・外部講師 参考書, プリント 90

8 11), 12), 13) 講 義 大講義室 堤・外部講師 参考書, プリント 90

9~10 11), 12), 13) 講 義 大講義室 堤・外部講師 参考書, プリント 90

11~15

(5回)

1)~13) PBL** 大講義室 堤・伊藤・吉川

TA 10名

参考書, プリント* 90

[注意事項]

*:毒性学の最先端の潮流を体験してもらうために、必要に応じて最新の英語文献に関する解説を行う。

**:PBLでは、少人数グループに分かれ、毒性学領域での課題について、議論し、発表し、質疑応答を行う。

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない

・参考書: 1) C.D. Klaassen編『キャサレット&ドール トキシコロジー:The Basic Science of Poisons

第6版』(サイエンティスト社)、2) 佐藤哲男・上野芳夫編『毒性学 改訂第3版』(南江堂)、3)

吉田武美・竹内幸一編『NEW 医薬品の安全性学』(廣川書店)、4) 日本薬学会編『スタンダード薬

学シリーズ 8.健康と環境』

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・全講義期間の中間および最後に、計2回の論述形式の試験を行う(それぞれ35%ずつ、計70%)。

・PBLを実施し、最後にレポートを課す(計30%)。

・原則として全体で4回以上欠席した場合は、不合格とする。

・出席状況を加味し、必要に応じて補講あるいは再試験・レポート作成を行う。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・必要に応じて、各回の講義の終了前に、出席点呼を兼ね、講義内容に関する10分間の小テストあるいは小

レポートを課す。この結果から講義の理解度を把握し、以後の授業に反映させる。

Page 35: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

34

病原微生物学(Clinical Microbiology )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 那須正夫(06-6879-8171, [email protected], 本館5階535)

<オフイスアワー:木曜日午後12時から2時>

山口進康(06-6879-8172, [email protected], 本館5階530)

<オフイスアワー:金曜日午前10時から12時>

外部講師2名(大阪大谷大学薬学部・谷佳津治、 大阪大学微生物病研究所・湯通堂満寿夫)

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:必須) ・セメスター:Ⅴ

・曜日・時限:月曜・4時限 ・場 所:大講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

「病原微生物学」は、「毒性学」、「健康情報学」、「健康管理学」と共に、安全管理学小領域を構成する授業である。

本講義では、「基礎微生物学(第Ⅳセメスター)」で習得した知識をもとに、医療上問題となる病原微生物に関す

る発展的な知識を修得することが可能である。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者としてヒトとその集団の健康の確保・維持に貢献するために、病原微生物および感染

症、食中毒に関する知識を修得する。

【授業の概要】

人類の歴史は病原微生物との戦いでもあり、現在においても感染症は我々の健康にとって脅威となっている。

本講義では、病原微生物とヒトとの関わりを理解する。さらに、今後の感染症の予防と制御戦略を考察する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

健康と微生物について、説明する。 1)

<解説・キーワード> ヒトの健康において微生物が果たす役割、また病原微生物とヒトとの

関わりについて、理解する。

C-8(4)【細菌】5)

代表的な細菌感染症と細菌毒素の作用を説明する。 2)

<解説・キーワード> コレラや赤痢、腸管出血性大腸菌などの主要な細菌感染症について概

説し、その特徴や毒素の作用を理解する。

C-8(4)【細菌毒素】1)

代表的なウイルスの構造と増殖過程を説明する。 3)

<解説・キーワード> 主要な病原ウイルスの構造や感染様式・増殖様式などの特徴について

概説する。

C-8(4)【ウイルス】1)

ウイルスの分類法について概説する。 4)

<解説・キーワード> 主要な病原ウイルスの分類法について概説する。

C-8(4)【ウイルス】2)

代表的な動物ウイルスの培養法、定量法について概説する。 5)

<解説・キーワード> ウイルスの培養法、定量法

C-8(4)【ウイルス】3)

ウイルス感染症と免疫応答とのかかわりについて説明する。 6)

<解説・キーワード> ワクチンや抗生物質の限界など、ウイルス感染症の治療上の問題点に

ついて学び、基礎的な知識を身につける。

C-10(2)【免疫応答のコ

ントロール】2)

主なDNAウイルス、RNAウイルス、レトロウイルスの特徴と引き起こす疾患について説明

する。

7)

<解説・キーワード> エイズウイルスや肝炎ウイルス、がんウイルスなどの主要なウイルス

感染症について概説し、その特徴を理解する。

C-10(3)【代表的な感染

症】1), 2), 3)

8) 主な細菌、真菌、寄生虫の特徴と引き起こす疾患について説明する。 C-10(3)【代表的な感染

Page 36: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

35

<解説・キーワード> 主要な細菌感染症、真菌感染症、寄生虫症等について概説し、その特

徴を理解する。

症】4), 5), 6), 7), 8),

9), 10), 11), 12), 13)

代表的な細菌性・ウイルス性食中毒を列挙し、それらの原因となる微生物の性質、症状、

原因食品等について説明する。

9)

<解説・キーワード> 国内外で発生している主要な細菌性・ウイルス性食中毒、また今後問

題となる可能性がある新たな食中毒について概説し、その特徴を理解する。

C-11(1)【食中毒】2)

現代における感染症の特徴と動向について説明する。 10)

<解説・キーワード> 日和見感染、輸入感染症などの原因微生物や特徴、現状と対策につい

て概説する。

C-11(3)【感染症の現

状・予防】1)

新興感染症および再興感染症、母子感染、性行為感染症について説明する。 11)

<解説・キーワード> 新興感染症、再興感染症、性行為感染症等の原因微生物や特徴、現状

と対策について概説する。

C-11(3)【感染症の現

状・予防】2), 4), 5)

感染症の分類の根拠とこれらに属する代表的な感染症について説明する。 12)

<解説・キーワード> 新興・再興感染症の出現やバイオテロリズム対策などで、改正が進め

られている感染症法について、理解を深める。

C-11(3)【感染症の現

状・予防】3)

予防接種について概説する。 13)

<解説・キーワード> 予防接種とその効果

C-11(3)【感染症の現

状・予防】6)

主な感染症を列挙し、その病態と原因を説明する。 14)

<解説・キーワード> 主要な感染症について、その原因微生物や特徴、対策について説明す

る。

C-14(5)【感染症】1)

代表的な抗ウイルス薬を列挙し、作用機序等を説明する。 15)

<解説・キーワード> ウイルス感染症の治療薬について学び、基礎的な知識を身につける。

C-14(5)【抗ウイルス薬】

1), 2)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(8回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

2 2), 8), 10)-11), 14) 講 義 大講義室 谷 PC, 資料 90

3 12) 講 義 大講義室 谷 PC, 資料 90

4 9) 講 義 大講義室 谷 PC, 資料 90

5 3)-5), 7) 講 義 大講義室 湯通堂 PC, 資料 90

6 6), 14) 講 義 大講義室 湯通堂 PC, 資料 90

7 13), 15) 講 義 大講義室 湯通堂 PC, 資料 90

8 10), 11) 自 習 大講義室 山口 資料 -

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:Brock “Biology of Microorganisms” Benjamin-Cummings (2008年、12版)。

平松敬一、中込治「標準微生物学」医学書院(2009年、10版)。

斎藤肇、新居志郎、大西克成 他「エッセンシャル微生物学」医歯薬出版(1995年、4版)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・全講義終了後に期末試験を行なう(100%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するために、プレテストを

行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

Page 37: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

36

健康情報学(Health Informatics )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 高木達也(06-6879-8243, [email protected], 本館5階544)

<オフイスアワー:火曜日午後1時から3時>

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:V

・曜日・時限:水曜・1時限 ・場 所:大講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

私たち一人一人の健康は、他の人々の健康とは切り離して考えられない。また、社会福祉のあり方とも密接に

関わっている。現在日本人の平均寿命が国際的に見ても最高水準に達している理由の一つが、極めて低水準な乳

幼児死亡率にあることは論を待たない。しかし、日本人の健康が守られるようになってきたのは、決して古い話

ではないのも又事実である。日本人の健康は、統計的に見て、歴史的にどう推移してきたのか、他国と比べてど

ういう状況にあるのか、健康情報に関わる統計的数字は、日本が置かれた国際環境、自然環境~感染症を含めて

~とどのような関係にあるのか。中福祉中負担という日本の社会福祉、健康行政のあり方と共に、環境行政のあ

り方と、健康とは切っても切り離せない関係にある。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者としてヒトとその集団の健康の維持・増進に貢献するために、健康に関わる統計量、

社会福祉の現状について、その国際的、歴史的観点からの考察を行える力を養う。

【授業の概要】

薬剤師および薬学出身者としてヒトとその集団の健康の維持・増進に貢献するためには、日本人が過去、どの

ような疾病史を持つのか、出生率や死亡率などの統計量から見て、特に近代、日本人の健康はどう推移してきた

のか。それは、自然環境、社会環境とどのような関わりを持っているのか、種々の統計量の定義を用いて考察す

る。

まず、人口動態を表す統計量について学び、国勢調査やその他の調査結果を踏まえ、日本人の疾病史について

学ぶと共に、未来の人口、出生率などの予測について考察する。

次に、各国の社会保険制度、厚生行政について比較検討しながら学び、日本の保健医療体制について議論する。

更に、大規模災害時における医療体制について、特にトリアージ、医薬品の供給体制について学び、近い将来起

きるであろう大規模災害時の薬学者、薬剤師の行動のあり方について議論する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

人口統計と人口動態、人口静態、出生に関する様々な指標について説明する。 1)

<解説・キーワード> 国勢調査とその意義、人口動態、人口静態、粗出生率、合計特殊出生

C11(2)【保健統計】1-3)

死亡、疾病に関する様々な指標について説明する。 2)

<解説・キーワード> 死亡率、罹患率、有病率、期間有病率、年齢調整死亡率、乳幼児死亡

C11(2)【保健統計】4-5)

生命表と人口の将来予測について説明する。 3)

<解説・キーワード> 生命表、人年法

C11(2) 【健康と疾病をめぐる日本の現状】2)

疾病史について説明する。 4)

<解説・キーワード> 死因別死亡率の変遷、疾病史

C11(2) 【健康と疾病をめぐる日本の現状】1)

日本の健康保険制度について概説し、海外の医療行政との比較を行う。 5)

<解説・キーワード> 健康保険、後期高齢者医療制度

C18(2) 【医療保険】1-4)

6) 災害医療について、特に薬剤師、薬品企業の役割を中心に説明する。

Page 38: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

37

<解説・キーワード> 非常薬学、トリアージ

これからの日本の保健行政のあり方について討議する。 7)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(7回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1-6 1)-6) 講 義 大講義室 高木 電子媒体の資料 90

7 PBL 大講義室 高木 90

(6)教科書・参考書

・教科書・参考書:特に指定しない。

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・講義終了後、WebCTを利用してレポートを提出。レポートにより合否を判定する。

・出席評価を10%、レポートによる評価を90%とする。

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・レポートはコメントをつけて、WebCT上で返却する。

Page 39: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

38

健康管理学(Health Management )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 平田收正(06-6879-8236, [email protected], 本館2階230)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

伊藤徳夫(06-6879-8231, [email protected], 2号館3階302)

<オフイスアワー:火曜日午後1時から3時>

原田和生(06-6879-8235, [email protected], 本館3階347)

<オフイスアワー:木曜日午後1時から3時>

松浦秀幸(06-6879-8235, [email protected], 本館3階347)

<オフイスアワー:水曜日午後1時から3時>

外部講師1名(未定)

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:VI

・曜日・時限:月曜・5時限

・場 所 第1講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

「健康管理学」は、「毒性学」、「病原微生物学」、「健康情報学」と共に、安全管理学小領域を構成する授業である。

「基礎微生物学(第Ⅳセメスター)」、「環境微生物学(第Ⅳセメスター)」及び「病原微生物学(第Ⅴセメスター)」

の履修により、微生物、病原微生物に関する基礎知識を修得し、さらに「毒性学(第Ⅳセメスター)」の履修によ

り、化学物質の毒性に関する基礎知識を修得することにより、本科目の理解が深まり、高い学習効果が期待でき

る。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として、ヒトとその集団の健康の維持・増進に貢献するために、栄養と健康、現代社会

における疾病とその予防に関する基礎知識を修得する。

【授業の概要】

薬剤師および薬学出身者としてヒトとその集団の健康の維持・増進に貢献するためには、現代社会における様々

な疾病について、その発生要因やとその予防・治療法に関する基礎知識を修得しなければならない。そこで本授

業では、代表的な感染症、生活習慣病や職業病などの成因や最近の動向について解説し、その予防や治療におい

て薬剤師および薬学出身者が果たすべき役割について考える。

まず講義により、WHOの機能や疾病の予防に関する基礎的な知識、さらには感染症、生活習慣病や職業病な

どの様々な疾病に関する基礎知識を学習する。これらを基に、PBLチュートリアル教育によって、疾病予防に

おいて薬剤師および薬学出身者が果たすべき役割について、情報の収集・整理と、発表・討論を行ない、課題探

究能力や問題解決能力の養成と、健康に貢献する医療人としての使命感の涵養を図る。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

健康と疾病の概念の変遷について概説する。 1)

<解説・キーワード> 高齢化社会の到来にともなった疾病構造の変化、健康寿命をいかに伸ばせるか。

健康日本21。

C11(3)【健康とは】1)

世界保健機構(WHO)の沿革、憲章、組織、活動内容について説明する。 2)

<解説・キーワード> 新興・再興感染症に対する国際的取り組み、 我が国のWHOに対する貢献、

専門家諮問部会

C11(3)【健康とは】2)

疾病の予防(一次、二次、三次予防)、健康増進法の意義について説明する。 3)

<解説・キーワード> 健康日本21の法的基盤となる健康増進法、予防法の分類と目的

C11(3)【疾病の予防とは】

1)

Page 40: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

39

疾病の予防における予防接種の意義と問題点について説明する。 4)

<解説・キーワード> ワクチンの種類、法で定められた予防接種と任意の予防接種の違い、

一類疾病と二類疾病、予防接種にともなう健康被害とその救済

C11(3)【疾病の予防とは】

2)

新生児マススクリーニングの意義とその代表的な検査項目について説明する。 5)

<解説・キーワード> 新生児マススクリーニングの対象疾患、アミノ酸代謝異常、糖の代謝

異常、内分泌疾患

C11(3)【疾病の予防とは】

3)

予防接種法と結核予防法について説明する。 6)

<解説・キーワード> 現在利用可能な予防接種、予防接種法、結核予防法、定期予防接種と

対象疾患、ワクチンの分類と対象疾患

C11(3)【感染症の現状・

予防】6)

現代における感染症の特徴と動向について説明する。 7)

<解説・キーワード> 日和見感染症、院内感染症、国際感染症

C11(3)【健康とは】1)

新興感染症、再興感染症の動向について具体例をあげて説明する。 8)

<解説・キーワード> 代表的な新興感染症とその原因病原体・症状・予後、代表的な再興感

染症とその原因病原体・症状・予後

C11(3)【感染症の現状・

予防】2)

感染症の分類(一類から五類)の根拠とこれらに属する代表的な感染症の原因病原体、

感染経路、症状および予防法について説明する。

9)

<解説・キーワード> 一類から三類感染症の原因病原体・症状・感染経路、代表的な四類お

よび五類感染症の原因病原体・症状・感染経路

C11(3)【感染症の現状・

予防】3)

母子感染の概念、原因病原体およびその予防法について説明する。 10)

<解説・キーワード> 母子感染の動向、TORCH症候群、母子感染の予防

C11(3)【感染症の現状・

予防】4)

性行為感染症の原因病原体およびその予防法について説明する。 11)

<解説・キーワード> 性行為感染症の概念・動向・種類・対策 ・予防と治療

C11(3)【感染症の現状・

予防】5)

代表的な生活習慣病の原因、症状および最近の動向について説明する。 12)

<解説・キーワード> 生活習慣病の定義・動向、代表的な生活習慣病の分類・原因、肥満の

動向

C11(3)【生活習慣病と予

防】1)

代表的な生活習慣病のリスク因子(食生活、喫煙など)について説明する。 13)

<解説・キーワード> 代表的な生活習慣病の危険因子、生活習慣と生活習慣病、喫煙と生活

習慣病、生活習慣病の予防対策

C11(3)【生活習慣病と予

防】2),3)

代表的な職業病の原因、症状および防止対策について説明する。 14)

<解説・キーワード> 化学的および物理的要因による職業病、職業病の予防、作業環境の改

C-11(3)【職業病と予防】

1)

疾病の予防における薬剤師及び薬学出身者の役割について、情報を収集・整理すし、SGD

において発表・討論する。

15)

<解説・キーワード> 設定された課題および自由選択課題について、自己学習によって情報

を収集し、これをSGDにおいて全員で発表・討論を行なう。

C-11(3)【疾病の予防と

は】4)

16) 疾病の予防における薬剤師及び薬学出身者の役割について、発表して討論する。

<解説・キーワード> グループでまとめた結果を全体で発表し、教員も含めて全員で討論す

る。

C-11(3)【疾病の予防と

は】4)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(7回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1)-6) 講 義 第1講義室 平田 参考書, プリント 90

2 7)-8) 講 義 第1講義室 原田 参考書, プリント 90

3 9)-11) 講 義 第1講義室 伊藤 参考書, プリント 90

4 13),14) 特別講義 第1講義室 外部講師 参考書, プリント 90

Page 41: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

40

- 15) 自 習*1 - - PC, 資料*2 -

5-7 13),14) PBL 第1講義室

第2講義室

セミナー室

平田, 伊

藤,原田,

松浦,

TA10名

参考書,

プリント, PC

SGD:90 発表・討

論:90x2

[注意事項]

*1: 自習は4回目と5回目の授業の間に行い、授業回数に含めない。

*2: 指定課題については、国際的動向を探るために、関連する英語の文献調査を課す。

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:スタンダード薬学シリーズ/日本薬学会編 8.「健康と環境」

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・4回目の講義終了後に論述形式の試験を行なう(70%)。

・7回目のPBL終了後にレポート提出を課す(30%)。

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するために、15分間のプレ

テストを行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

・2~4回目の講義の開始時に、前回の講義内容に関する10分間の小テストを行なう。その後、正

解を伝え簡単な解説を行ない、自己採点させ回収する。この結果から講義の理解度を把握し、以

後の授業に反映させる。

Page 42: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

41

基礎微生物学(Microbiology)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 那須正夫(06-6879-8171, [email protected], 本館5階535)

<オフイスアワー:木曜日午後12時から2時>

山口進康(06-6879-8172, [email protected], 本館5階530)

<オフイスアワー:金曜日午前10時から12時>

馬場貴志(06-6879-8173, [email protected], 本館5階530)

<オフイスアワー:木曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:IV

・曜日・時限:金曜・2時限 ・場 所:大講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

「基礎微生物学」は、「環境微生物学」、「生存基盤学」、「環境安全学」と共に、環境安全学小領域を構成する授業

である。微生物に関する内容については、「環境微生物学(第Ⅴセメスター)」において環境中・生態系における

微生物に関する発展的な知識を、「病原微生物学(第Ⅴセメスター)」において医療上問題となる病原微生物に関

する発展的な知識を修得することが可能である。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者としてヒトとその集団の健康の確保・維持に貢献するために、微生物および感染症に

関する基礎知識を修得する。

【授業の概要】

微生物は、有機物の合成・分解を通じて、物質・エネルギー循環の根幹を担うことで、生態系の恒常性維持に

大きく寄与している。また、有用物質の生産や発酵などで我々の生活に深く関与している。一方、ある種の微生

物はヒト等に疾患をもたらす病原微生物であり、人類の歴史は病原微生物との闘いでもあった。本講義では、微

生物の生物学的位置、滅菌・殺菌法、微生物の検出・同定法、感染症など微生物学の基礎について説明し、さら

にヒトと微生物との関係について考える。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

ヒトと微生物の関係、生態系の中での微生物の役割について説明する。 1)

<解説・キーワード> 微生物学を学ぶにあたり、ヒトと微生物の関係を総括し、概要を理解する。

C-8(4)【総論】1)

原核生物と真核生物の違いを説明する。 2)

<解説・キーワード> 原核生物と真核生物の生物学的な違いについて概説する。

C-8(4)【総論】2)

細菌の構造と増殖機構を説明する。 3)

<解説・キーワード> 微生物の生物学的な特徴について、理解する。

C-8(4)【細菌】1)

細菌の系統的分類について説明し、主な細菌を列挙する。 4)

<解説・キーワード> 微生物の分類について、理解する。

C-8(4)【細菌】2)

グラム陽性菌と陰性菌、好気性菌と嫌気性菌の違いを説明する。 5)

<解説・キーワード> 微生物の分類および生物学的な特徴について、理解する。

C-8(4)【細菌】3)

マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、スピロヘータ、放線菌についてその特徴を説明

する。

6)

<解説・キーワード> リケッチア、クラミジア、マイコプラズマ等の細胞の構造、増殖様式など

の特徴について概説し、他の細菌との共通点や違いを理解する。

C-8(4)【細菌】4)

腸内細菌をはじめとする常在細菌の役割について説明する。 7)

<解説・キーワード> ヒトの健康にかかわる常在細菌について、その量や身体部位による細菌種

C-8(4)【細菌】5)

Page 43: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

42

の違い、生体への影響について、概説する。

微生物の遺伝子伝達(接合、形質導入、形質転換)について説明する。 8)

<解説・キーワード> 遺伝子伝達

C-8(4)【細菌】6)

代表的な細菌毒素の作用を説明する。 9)

<解説・キーワード> 細菌毒素

C-8(4)【細菌毒素】1)

代表的なウイルスの構造と増殖過程を説明する。 10)

<解説・キーワード> ウイルスの特徴や生態系における位置づけを概説する。

C-8(4)【ウイルス】1)

ウイルスの分類法について概説する。 11)

<解説・キーワード> ウイルスの分類

C-8(4)【ウイルス】2)

ウイルスの培養法、定量法について概説する。 12)

<解説・キーワード> ウイルスの培養法、定量法

C-8(4)【ウイルス】3)

主な真菌の性状について概説する。 13)

<解説・キーワード> 真菌

C-8(4)【真菌・原虫・

その他の微生物】1)

主な原虫、寄生虫の生活史について説明する。 14)

<解説・キーワード> 原虫、蠕虫

C-8(4)【真菌・原虫・

その他の微生物】2)

滅菌、消毒および殺菌の概念を説明する。 15)

<解説・キーワード> 様々な物理的および化学的滅菌・消毒法と、細菌・芽胞形成菌・ウイルス

などに対する適用範囲について、学ぶ。

C-8(4)【滅菌と消毒】

1)

細菌の検出・同定に用いる代表的な方法について説明する。 16)

<解説・キーワード> 微生物を検出・同定するための基礎的な手法(培養法、非培養法)を学ぶ。

C-8(4)【検出方法】4)

RNAの逆転写と逆転写酵素について説明する。 17)

<解説・キーワード> 逆転写酵素

C-9(6)【遺伝子のク

ローニング技術】5)

細菌、ウイルス、寄生虫などの感染症と免疫応答とのかかわりについて説明する。 18)

<解説・キーワード> 感染から発症にいたる病原体と宿主の関係、および感染症成立の要因につ

いて、概説する。

C-10(2)【免疫応答の

コントロール】2)

主な DNA ウイルス、RNA ウイルス、レトロウイルスの特徴と引き起こす疾患について説明す

る。

19)

<解説・キーワード> DNAウイルス、RNAウイルス、レトロウイルス

C-10(3)【代表的な感

染症】1), 2), 3)

グラム陽性菌およびグラム陰性菌の細菌学的特徴とそれが引き起こす代表的な疾患について

説明する。

20)

<解説・キーワード> グラム陽性球菌、グラム陰性球菌、グラム陽性桿菌、グラム陰性桿菌

C-10(3)【代表的な感

染症】4), 5), 6), 7)

ヘリコバクター・ピロリ菌が引き起こす代表的な疾患について説明する。 21)

<解説・キーワード> ヘリコバクター・ピロリ菌

C-10(3)【代表的な感

染症】8)

抗酸菌の細菌学的特徴とそれが引き起こす代表的な疾患について説明する。 22)

<解説・キーワード> 抗酸菌

C-10(3)【代表的な感

染症】9)

スピロヘータ、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアの細菌学的特徴とそれが引き起こ

す代表的な疾患について説明する。

23)

<解説・キーワード> スピロヘータ、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア

C-10(3)【代表的な感

染症】10)

真菌の生物学的特徴とそれが引き起こす代表的な疾患について説明する。 24)

<解説・キーワード> 真菌

C-10(3)【代表的な感

染症】11)

代表的な原虫、寄生虫が引き起こす疾患について説明する。 25)

<解説・キーワード> 原虫、蠕虫

C-10(3)【代表的な感

染症】12)

プリオン感染症について概説する。 26)

<解説・キーワード> プリオン

C-10(3)【代表的な感

染症】13)

院内感染について、発生要因、感染経路、原因微生物、およびその防止策を概説する。 27)

<解説・キーワード> 院内感染、耐性菌

C-10(3)【感染症の予

防】1)

Page 44: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

43

食中毒の種類を列挙し、発生状況を概説する。 28)

<解説・キーワード> 主要な食中毒について、その原因、現状と対策について概説する。

C-11(1)【食中毒】1)

代表的な細菌性・ウイルス性食中毒を列挙し、それらの原因となる微生物の性質、症状、原

因食品等について説明する。

29)

<解説・キーワード> 主要な細菌性・ウイルス性食中毒について、その原因微生物や特徴、現状

と対策について説明する。

C-11(1)【食中毒】2)

食中毒の原因となる自然毒を列挙し、概説する。 30)

<解説・キーワード> 微生物以外が原因となる食中毒の特徴、現状と対策について概説する。

C-11(1)【食中毒】3)

代表的なマイコトキシンを列挙し、それによる健康障害について概説する。 31)

<解説・キーワード> 真菌が原因となる食中毒の特徴、現状と対策について概説する。

C-11(1)【食中毒】4)

感染成立の三要因(病因、環境要因、宿主要因)について説明する。 32)

<解説・キーワード> 感染から発症にいたる病原体と宿主の関係、および感染症成立の要因につ

いて、説明する。

C-11(2)【疫学】2)

現代における感染症の特徴と動向について説明する。 33)

<解説・キーワード> 日和見感染、輸入感染症などの原因微生物や特徴、現状と対策について概

説する。

C-11(3)【感染症の現

状・予防】1)

新興感染症および再興感染症について説明する。 34)

<解説・キーワード> 新興感染症、再興感染症の原因微生物や特徴、現状と対策について概説す

る。

C-11(3)【感染症の現

状・予防】2)

感染症の分類の根拠とこれらに属する代表的な感染症について説明する。 35)

<解説・キーワード> 感染症法の変遷とその理由について、概説する。

C-11(3)【感染症の現

状・予防】3)

母子感染する疾患について概説し、その予防対策について説明する。 36)

<解説・キーワード> 垂直感染と水平感染

C-11(3)【感染症の現

状・予防】4)

性行為感染症を列挙し、その予防対策と治療について概説する。 37)

<解説・キーワード> 性行為感染症

C-11(3)【感染症の現

状・予防】5)

予防接種について概説する。 38)

<解説・キーワード> 予防接種とその効果

C-11(3)【感染症の現

状・予防】6)

主な感染症を列挙し、その病態と原因を説明する。 39)

<解説・キーワード> 主要な感染症について、その原因微生物や特徴、対策について説明する。

C-14(5)【感染症】1)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

2 2)-5) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

3 15) 講 義 大講義室 山口・馬場 PC 90

4 16) 講 義 大講義室 馬場・山口 PC 90

5 7) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

6 32), 39) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

7 9), 20)-21), 33)-35) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

8 22), 26), 36)-38) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

9 27) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

10 28)-31) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

11 13)-14), 24)-25) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

12 6), 23) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

13 10)-12), 17) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

Page 45: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

44

14 8), 18)-19) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

15 29), 39) 自 習 大講義室 山口・馬場 資料 -

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:平松敬一、中込治「標準微生物学」医学書院(2009年、10版)。

斎藤肇、新居志郎、大西克成 他「エッセンシャル微生物学」医歯薬出版(1995年、4版)。

Brock “Biology of Microorganisms” Benjamin-Cummings (2008年、12版)。

篠田純男、那須正夫、黒木広明、三好伸一「環境衛生の科学」三共出版(2001年)。

菊川清見、那須正夫「食品衛生学 ‐「食の安全の科学」‐」南江堂(2004年)。

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・出席点(10%)。

・全講義終了後に期末試験を行なう(90%)。なお、期末試験においては、自習内容に関する範囲からも出題す

る。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・4回目の講義時に、それまでの講義内容に関する15分間の小テストを行なう。その後、正解を

伝え簡単な解説を行ない、自己採点させ回収する。この結果から講義の理解度を把握し、以後の

授業に反映させる。

・11回目の講義時に、それまでの講義内容に関する15分間の小テストを行なう。その後、正解を

伝え簡単な解説を行ない、自己採点させ回収する。この結果から講義の理解度を把握し、以後の

授業に反映させる。

Page 46: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

45

環境微生物学(Environmental Microbiology )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 那須正夫(06-6879-8171, [email protected], 本館5階535)

<オフイスアワー:木曜日午後12時から2時>

山口進康(06-6879-8172, [email protected], 本館5階530)

<オフイスアワー:金曜日午前10時から12時>

馬場貴志(06-6879-8173, [email protected], 本館5階530)

<オフイスアワー:木曜日午後1時から3時>

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:Ⅴ

・曜日・時限 月曜・4時限

・場 所 大講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

「環境微生物学」は、「基礎微生物学」、「生存基盤学」、「環境安全学」と共に、環境安全学小領域を構成する授業

である。本講義では、「基礎微生物学(第Ⅳセメスター)」で習得した知識をもとに、環境中・生態系における微

生物に関する発展的な知識を修得することが可能である。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として、健康と環境の関係を理解し、また環境保全に貢献するために、環境中の微生

物に関する知識を修得する。

【授業の概要】

微生物は、地球上に誕生した最初の生命体として、大気や土壌等、今日の地球環境を創り出した。また様々な

有用物質の生産に役立つとともに、その巧みな環境適応能力を生かし、環境修復にも用いられつつある。本講義

では、環境中における微生物の機能や動態について説明する。また水処理や環境修復などにおける微生物の利用

について述べる。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

生態系の中での微生物の役割について説明する。 1)

<解説・キーワード> 環境中および生態系における微生物の機能や動態について、概説する。

C-8(4)【総論】1)

微生物の遺伝子伝達(接合、形質導入、形質転換)について説明する。 2)

<解説・キーワード> 微生物間の遺伝子伝播の様式と、それにともなう環境への適応につい

て、概説する。

C-8(4)【細菌】6)

細菌の検出・同定に用いる代表的な方法について説明する。 3)

<解説・キーワード> 環境微生物学分野における様々な手法について学ぶ。

C-8(4)【検出方法】4)

地球環境の成り立ちにおいて、微生物が果たした役割について説明する。 4)

<解説・キーワード> 地球環境の創成と微生物

C-12(2)【地球環境と生

態系】1)

環境の改変が微生物生態系にどのような変化を与え、我々の生活に影響するのかを学ぶ。 5)

<解説・キーワード> 環境・生態系と微生物

C-12(2)【地球環境と生

態系】2)

環境微生物学における新たな分野(宇宙微生物学等)について、概説する。 6)

<解説・キーワード> 環境微生物学における新たな展開

C-8(4)【総論】1)

環境保全における微生物の役割について、概説する。 7)

<解説・キーワード> 環境保全、上水道、下水道、排水処理

C-12(2)【水環境】2), 3),

5)

Page 47: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

46

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(8回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1), 4) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

2 3) 講 義 大講義室 山口・馬場 PC 90

3 3) 講 義 大講義室 山口・馬場 PC 90

4 5) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

5 2) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

6 7) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

7 6) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

8 1),4) 自 習 大講義室 那須・山口 PC 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:Brock “Biology of Microorganisms” Benjamin-Cummings (2008年、12版)。

篠田純男、那須正夫、黒木広明、三好伸一「環境衛生の科学」三共出版(2001年)。

菊川清見、那須正夫「食品衛生学 ‐「食の安全の科学」‐」南江堂(2004年)。

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・全講義終了後に期末試験を行なう(100%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・各講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するために、プレテストを行なう。

この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

Page 48: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

47

生存基盤学(Environmental Scie nce)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 那須正夫(06-6879-8171, [email protected], 本館5階535)

<オフイスアワー:木曜日午後12時から2時>

山口進康(06-6879-8172, [email protected], 本館5階530)

<オフイスアワー:金曜日午前10時から12時>

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:Ⅴ

・曜日・時限:水曜・1時限 ・場 所:大講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

「生存基盤学」は、「基礎微生物学」、「環境微生物学」、「環境安全学」と共に、環境安全学小領域を構成する授業

である。本講義では、生態系に関する知識、また様々な地球環境問題の現状とその解決策に関する知識を修得す

ることが可能である。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として地球環境問題の解決および環境保全に貢献するために、環境科学に関する知識

を修得する。

【授業の概要】

総合健康科学である薬学においては、「健康」を「病」の対立概念としてのみとらえるのではなく、生活環境、

さらには地球環境・生態系の健全性、安全性の確保にまで発展させる必要がある。そして、人類の生存基盤であ

る地球環境を次世代に継承するためには、生態系を理解する必要がある。本講義では、生態系の成り立ち、物質

循環の基礎をマクロとミクロの両面から説明する。また水環境および大気環境に関する理解を深めることを目的

とする。さらに今日の地球環境問題などについて説明し、これからのヒトと環境の関係について考える。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

地球環境の成り立ちについて説明する。 1)

<解説・キーワード> 地球誕生から生命の出現、現在までの地球の歴史を振り返り、生態系

がどのようにして構成されてきたのかを学ぶ。

C-12(2)【地球環境と生

態系】1)

生態系の構成員を列挙し、その特徴と相互関係、物質循環について説明する。 2)

<解説・キーワード> 生態系における炭素、窒素、リンなどの循環様式と、その過程におけ

る生物の役割について、概説する。

C-12(2)【地球環境と生

態系】2)

生態系における水の循環、水環境問題と水環境保全について説明する。 3)

<解説・キーワード> 生活の基盤である水の環境中における循環様式と、水環境問題の現状

と問題解決のための取組みについて、概説する。

C-12(2)【地球環境と生

態系】4)、C-12(2)【水

環境】1), 2), 3), 5),

6), 8)

環境の変化がヒトの健康に与える影響について、概説する。 4)

<解説・キーワード> 環境変化とヒトの健康

C-12(2)【地球環境と生

態系】4)、C-12(2)【水

環境】8)、C-12(2)【大

気環境】2)

地球規模の環境問題の成因、人に与える影響について説明する。 5)

<解説・キーワード> 地球温暖化、酸性雨、人口増加、食料危機、環境ホルモン、環境問題

の社会的背景

C12(2)【地球環境と生態

系】4)

生物的環境修復技術について説明する。 6)

<解説・キーワード> バイオレメディエーション、生物機能、環境修復・再生、砂漠緑化

C12(2)【地球環境と生態

系】2),4)

Page 49: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

48

人の健康と環境の関係を人が生態系の一員であることをふまえて討議する。 7)

<解説・キーワード> 生物の多様性と生態系、野生生物の絶滅、薬学人としての取組み

12(2)【地球環境と生態

系】3)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(8回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

2 3) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

3 2) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

4 4) 講 義 大講義室 那須・山口 PC 90

5 5),6) 講 義 大講義室 平田 PC 90

6-7 7) PBL 平田・原田・松浦

・TA10名

参考書,

プリント, PC

SGD:90 発表・討論

:90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:篠田純男、那須正夫、黒木広明、三好伸一「環境衛生の科学」三共出版(2001年)。

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・全講義終了後に期末試験を行なう(100%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するために、プレテストを

行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

Page 50: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

49

環境安全学(Environmental Risk Management )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 平田收正(06-6879-8236, [email protected], 本館2階230)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

原田和生(06-6879-8235, [email protected], 本館3階347)

<オフイスアワー:木曜日午後1時から3時>

松浦秀幸(06-6879-8235, [email protected], 本館3階347)

<オフイスアワー:水曜日午後1時から3時>

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:VI

・曜日・時限:金曜・1時限 ・場 所:大講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

「環境安全学」は、「基礎微生物学」、「環境微生物学」、「生存基盤学」と共に、環境安全学小領域を構成する授業

である。「基礎微生物学(第Ⅳセメスター)」と「環境微生物学(第Ⅴセメスター)」の履修により、環境・生態系

における微生物の役割に関する基礎知識を修得し、さらに「生存基盤学(第Ⅵセメスター・前期)」の履修により、

生態系の成り立ちやこれを構成する生物の役割、さらに様々な環境問題に関する基礎知識を修得すれば、ヒトの

健康と環境との関連性について十分な薬学的知識が得られ、本科目の理解が深まり、高い学習効果が期待できる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として、ヒトの健康と密接な関係がある生態系や生活環境を健全に維持することによ

りヒトの健康の維持・増進に貢献するために、生態系の成り立ちやそれを構成する生物の役割、さらにはヒトの

健康を脅かす様々な環境因子に関する基礎知識を修得する。

【授業の概要】

ヒトの健康は、環境中に存在する様々な環境ストレスによって大きな影響を受ける。したがって、ヒトの健康

を維持するためには、健全な環境を確保することが重要である。そこで本授業では、こういった環境ストレスの

中から、有害化学物質や物理的ストレスを取り上げ、そのヒトの健康に対する影響、さらには法的な規制につい

て講述し、これらのストレスによる健康被害を回避するために、薬剤師および薬学出身者が果たすべき役割につ

いて考える。

まず講義により、化学物質の環境内動態や健康に悪影響を与える物理化学的ストレスについての基礎知識を学

習する。さらに、環境問題の解決に向けた科学的基礎知識を得るために、化学物質の製造や使用、廃棄に関する

規制や法令、環境保全対策としての環境基準やリスクアセスメントなどについても学習する。これらを基に、P

BLチュートリアル教育によって、生態系や生活環境の健全な維持により、ヒトの健康に貢献するために、薬剤

師および薬学出身者が果たすべき役割について、情報の収集・整理と、発表・討論を行ない、課題探究能力や問

題解決能力の養成と、環境の健全性とヒトの健康の維持に貢献できる薬学人としての使命感の涵養を図る。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

毒性試験の結果評価に用いられる用語の定義を具体的な事例をあげて説明する。 1)

<解説・キーワード> 用量・反応関係、閾値、無影響量、無毒性量

C12(1)【化学物質の毒

性】5)

化学物質環境内動態(分布、移動、蓄積、分解)と安全摂取量について説明する。 2)

<解説・キーワード> 一日許容摂取量、耐容一日摂取量、安全係数、不確実係数、実質安全

C12(1)【化学物質の毒

性】6)

食物連鎖を介した化学物質の生物濃縮について説明する。 3)

<解説・キーワード> 生態系における食物連鎖を介した化学物質の生物濃縮についての例示、

環境ホルモン、重金属、農薬

C12(2)【地球環境と生態

系】5)

Page 51: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

50

有害化学物質による人体影響を防ぐための法規制(化審法など)について説明する。 4)

<解説・キーワード> 化審法、環境基本法、循環基本法、薬事法、食品衛生法、農薬取締法、

毒物及び劇物取締法、GLP、GCP、労働安全衛生法、特定化学物質、監視化学物質

C12(1)【化学物質の毒

性】7)

非電離放射線の分類と生体への影響について説明する。 5)

<解説・キーワード> 非電離放射線の定義と分類、電波が生体に及ぼす影響、可視光線が生

体に及ぼす影響

C12(1)【非電離放射線の

生体への影響】1)

紫外線の分類と生体に及ぼす影響について説明する。 6)

<解説・キーワード> 紫外線の定義と分類、紫外線の生体に及ぼす影響、突然変異、活性酸

素、PUVA療法

C12(1)【非電離放射線の

生体への影響】2)

赤外線の分類と生体に及ぼす影響について説明する。 7)

<解説・キーワード> 赤外線の定義と分類、赤外線の生体に及ぼす影響、温室効果

C12(1)【非電離放射線の

生体への影響】3)

環境中に存在する主な放射性核種(天然、人工)とヒトの健康への影響について説明す

る。

8)

<解説・キーワード> 代表環境中に存在する放射性核種、確率的影響と確定的影響、直接作

用と間接作用

C12(2)【地球環境と生態

系】7)

室内環境の安全性を評価するための指標とその測定方法について説明する。 9)

<解説・キーワード> 室内の物理的環境、室内の化学的環境、室内の生物的環境

C12(2)【室内環境】1)

室内環境とヒトの健康、室内環境保全に対する配慮、室内環境のヒトへの影響(シック

ハウス症候群など)について説明する。

10)

<解説・キーワード> 室内環境と健康、室内環境の保全、受動喫煙の防止、シックハウス症

候群、化学物質過敏症

C12(2)【室内環境】2)-4)

廃棄物の分類とその処理法、およびその問題点と対策について説明する。 11)

<解説・キーワード> 廃棄物の種類と区分、廃棄物の処理責任、廃棄物処理の問題点と対策、

容器包装リサイクル法、循環型社会形成推進基本法

C12(2)【廃棄物】1),2)

医療廃棄物の種類と適切な処理について説明する。 12)

<解説・キーワード> 医療廃棄物の定義、感染性廃棄物の分類、感染性廃棄物の管理と処理

体制

C12(2)【廃棄物】3)

マニフェスト制度の目的と内容について説明する。 13)

<解説・キーワード> マニフェスト制度の目的、マニフェストの運用の実際

C12(2)【廃棄物】4)

PRTR法の目的と内容について説明する。 14)

<解説・キーワード> PRTR法の定義・目的、MSDS制度、対象となる物質、対象となる事業者

C12(2)【廃棄物】5)

典型七公害とその現状、および四大公害の原因と症状について説明する。 15)

<解説・キーワード> 典型七公害、四大公害、水俣病とイタイイタイ病、四日市喘息、公害

の現状、公害対策

C12(2)【環境保全と法的

規制】1)

環境基本法の理念について説明する。 16)

<解説・キーワード> 環境基本法制定の背景、環境基本法の内容、環境基本計画、環境モニ

タリング、環境基準

C12(2)【環境保全と法的

規制】2)

環境汚染(大気、水質)を防止するための法規制について説明する。 17)

<解説・キーワード> 大気汚染防止法、自動車 NOx・PM 法、水質汚濁防止法、下水道法、規制を受ける物質

12(2)【環境保全と法的

規制】3),4)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(8回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1)-4) 講 義 第1講義室 平田 参考書, プリント 90

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51

2 5)-10) 講 義 第1講義室 平田 参考書, プリント 90

3 11)-14) 講 義 第1講義室 原田 参考書, プリント 90

4 15)-17) 特別講義 第1講義室 外部講師 参考書, プリント 90

5 1)-17) 自 習* - - PC, 資料*1 -

6-8 1)-17) PBL 第1・第2講義室

セミナー室

平田・原田・

松浦・TA10名

参考書,

プリント, PC,

SGD:90 発表・討論

:90x2

[注意事項]

*1: 指定課題については、国際的動向を探るために、関連する英語の文献調査を課す。

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:スタンダード薬学シリーズ/日本薬学会編 8.「健康と環境」

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・ 5回目の自習終了後にレポート提出を課す(30%)。

・ 8回の講義終了後に期末試験を課す(70%)。

・ 原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するために、15分間のプ

レテストを行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

・2~4回目の講義の開始時に、前回の講義内容に関する10分間の小テストを行なう。その後、

正解を伝え簡単な解説を行ない、自己採点させ回収する。この結果から講義の理解度を把握し、

以後の授業に反映させる。

Page 53: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

52

機能食品学(Applied Food Science )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 平田收正(06-6879-8236, [email protected], 本館2階230)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

原田和生(06-6879-8235, [email protected], 本館3階347)

<オフイスアワー:木曜日午後1時から3時>

松浦秀幸(06-6879-8235, [email protected], 本館3階347)

<オフイスアワー:水曜日午後1時から3時>

・単位数:1 ・履修対象:2年生(薬科学科:選択、薬学科:必須) ・セメスター:Ⅳ

・曜日・時限:水曜・2時限 ・場 所:第1講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

「機能食品学」は、「食品安全学」と共に、食品安全学小領域を構成する授業である。本科目は、生物薬学領域の

科目である「生物化学Ⅰ(第Ⅲセメスター)」の履修および「生物化学Ⅱ(第Ⅳセメスター)」との同時履修によ

り、糖、脂質、タンパク質などの栄養素や生体成分の機能や代謝経路に関する知識を修得すれば、本科目の理解

が深まり、高い学習効果が期待できる。また、本科目では、「食品安全学(第Ⅵセメスター)」を履修する上で必

要な、食品や栄養素に関する基礎知識を修得することができる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として、食品や機能性食品の適正な管理や摂取を主導することによりヒトの健康の維持・

増進に貢献するために、食品中の栄養素の生体内での役割や吸収・代謝、機能性食品の分類や規制、遺伝子組換

え食品の安全性に関する基礎知識を修得する。

【授業の概要】

食品を介したバランスの良い栄養素の摂取は、健康維持のために重要である。また疾病治療に際しては、患者

の病態や治療計画に合わせた栄養の補給や制限が必要となる。したがって、薬剤師および薬学出身者が国民の健

康維持・増進に貢献するためには、食品中の様々な栄養素の役割を熟知し、状況に応じてその摂取を適切に管理

する能力を養わなければならない。そこで本授業では、まず健康の維持・増進に必要な種々の栄養素三大栄養素

の生体内での役割と動態ついて講述する。また、最近注目されている保健機能食品や遺伝子組換え食品の代表的

な商品について解説し、今後これらの安全性を高めるための方策について考える。

まず講義により、三大栄養素である糖質、脂質、タンパク質や、ビタミン、ミネラルなどの生体内での役割と、

その吸収、代謝、さらにはその過不足によって起こる障害ついて学習する。また、保健機能食品や遺伝子組換え

食品について、代表的な商品を取り上げてその有効性・有用性と、問題点に関する知識を修得し、これらを基に、

遺伝子組換え食品がヒトや生態系へ及ぼす悪影響について、情報の収集・整理と、発表・討論を行ない、薬剤師

および薬学出身者としてこれらの安全性確保のために果たすべき役割についての考察し、課題探究能力や問題解

決能力の養成を図る。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

食品の健康維持、疾病治療における重要性について説明する。 1)

<解説・キーワード> ヒトの健康の維持・増進における食品の重要性、食品と医薬品の違い

C11(1)【栄養素】1)-8)

食品中の栄養素の機能(三大栄養素、ビタミン、ミネラルなど)について説明する。 2)

<解説・キーワード> 糖質・脂質・タンパク質、ビタミンの分類と種類、ミネラルの種類、食

物繊維の定義と機能、栄養素の過不足によって起こる疾病

C11(1)【栄養素】1)

代表的な栄養素の消化、吸収および代謝について説明する。 3)

<解説・キーワード> 三大栄養素の消化・吸収・代謝、共通の代謝経路

C11(1)【栄養素】2)

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53

脂質の運搬・代謝を担う血漿リポタンパク質の分類と機能について説明する。 4)

<解説・キーワード> リポタンパク質の機能、キロミクロン、VLDL、LDL、HDL

C11(1)【栄養素】3)

タンパク質の栄養価(生物価、アミノ酸価など)について説明する。 5)

<解説・キーワード> 必須アミノ酸と非必須アミノ酸、生物的評価方法、生物価、科学的評価

方法、制限アミノ酸、アミノ酸価

C11(1)【栄養素】4)

エネルギー代謝にかかわる基礎代謝量および呼吸商について説明する。 6)

<解説・キーワード> 基礎代謝量の定義、呼吸商の定義と求め方、タンパク質の呼吸商

C11(1)【栄養素】5)

栄養素の栄養所要量の意義について説明する。 7)

<解説・キーワード> 食事摂取基準の定義と規定されるエネルギー量、推定エネルギー必要量

の定義、食事摂取基準の定義と規定されるエネルギー量

C11(1)【栄養素】6)

日本における栄養摂取の現状と問題点について説明する。 8)

<解説・キーワード> 日本人の栄養摂取の現状と問題点、主要な栄養素の過不足

C11(1)【栄養素】7)

栄養素の過不足による主な疾病の症状について説明する。 9)

<解説・キーワード> 栄養障害の原因、脂質摂取の過不足と疾病、食物繊維の疾病予防機能

C11(1)【栄養素】8)

機能性食品の定義と分類について具体例をあげて説明する。 10)

<解説・キーワード> 食品の機能(一次~三次)、保健機能食品制度、特定保健用食品の成分・

審査・表示、栄養機能食品、特別用途食品

C11(1)【食品の品質と管理】

9)

特定保健用食品について具体例をあげて説明する。 11)

<解説・キーワード> 特定保健用食品の例示、成分の有効性、科学的根拠の実証

C11(1)【食品の品質と管理】

9)

遺伝子組換え食品について具体例をあげて説明し、その問題点を討議する。 12)

<解説・キーワード> 遺伝子組換え植物の作出方法、遺伝子組換え食品の現状、遺伝子組換え

食品の安全性、遺伝子組換え植物の生態系への影響

C11(1)【食品の品質と管理】

10)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(7回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1)-3) 講 義 第1講義室 平田 参考書, プリント 90

2 4)-6) 講 義 第1講義室 平田 参考書, プリント 90

3 7)-9) 講 義 第1講義室 原田 参考書, プリント 90

4 10)-12) 特別講義 第1講義室 松浦 参考書, プリント 90

- 12) 自 習*1 - - PC, 資料*2 -

5-7 12) PBL 第1講義室

第2講義室

セミナー室

平田・原田・

松浦・

TA10名

参考書,

プリント, PC

SGD:90 発表・討論

:90x2

[注意事項]

*1: 自習は4回目と5回目の授業の間に行い、授業回数に含めない。

*2: 指定課題については、国際的動向を探るために、関連する英語の文献調査を課す。

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:スタンダード薬学シリーズ/日本薬学会編 8.「健康と環境」

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・4回目の講義終了後に論述形式の試験を行なう(70%)。

・7回目のPBL終了後にレポート提出を課す(30%)。

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

Page 55: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

54

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するために、15分間のプ

レテストを行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

・2~4回目の講義の開始時に、前回の講義内容に関する10分間の小テストを行なう。その後、

正解を伝え簡単な解説を行ない、自己採点させ回収する。この結果から講義の理解度を把握し、

以後の授業に反映させる。

Page 56: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

55

食品安全学(Food Safety Science/Food Risk Management )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 平田收正(06-6879-8236, [email protected], 本館2階230)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

堤 康央(06-6879-8230, [email protected], 2号館3階301)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

吉川友章(06-6879-8232, [email protected], 2号館3階303)

<オフイスアワー:水曜日午後1時から3時>

原田和生(06-6879-8235, [email protected], 本館3階347)

<オフイスアワー:木曜日午後1時から3時>

外部講師1名(未定)

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:VI

・曜日・時限:金曜・1時限 ・場 所:第1講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

「食品安全学」は、「毒性学」、「健康管理学」、「病原微生物学」、「健康情報学」と共に、安全管理学小領域を構成

する授業である。「生物科学概論A(Ⅱセメスター)」、「生物科学概論B(Ⅲセメスター)」の履修により、生命

科学に関する基礎知識を修得することによって理解が深まる。また本科目の受講により、アドバンス科目の「毒

性学特論(毒性学特別講義)」、「応用環境生物学特別講義」に関して、より高い学習効果が期待できる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

食中毒をはじめとする食品を介した種々の健康被害を例に、食品の品質管理および衛生管理の重要性を学ぶと

共に、その予防法や対処策について理解を深め、薬剤師および薬学出身者として、国民の健康維持・増進に必須

となる基礎力を修得する。

【授業の概要】

近年、国民の健康維持・増進に対する意識が急速に高まり、中でも食の安全についての関心は高い。食品の安

全は、変質、自然毒やカビ毒、繁殖する微生物、添加物、化学物質による汚染等によって脅かされる。従って、

食の安全性確保には、適切な品質管理および衛生管理を行う必要がある。このような管理を通して国民の健康維

持・増進に貢献することは、薬剤師および薬学出身者が果たす重要な業務の一つであり、今後その重要性は益々

高まると予想される。そのため本講義は、このような食の安全に基づいたヒトの健康確保を担う基礎力の養成を

目的としている。

尚、これらに関する基本的技能に関しては基礎実習を通して学ぶこととする。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

序論:食品管理の重要性および食品を介した健康被害 1)

<解説・キーワード> 食品の安全性と衛生管理などに関する基本的知識と技能を修得するた

め、食品による健康被害に実例を学び、その予防、管理の重要を理解する。

C-11(1)【食品の品質と

管理】1-7)

食品が変質する機構とその試験法および防止法 2)

<解説・キーワード> 食品の腐敗・褐変機構や油脂の変敗機構について学ぶと共に、その試

験法の概略や防止法について理解を深める。

C-11(1)【食品の品質と

管理】1-7)

食品成分由来の発がん物質とその生成機構 3)

<解説・キーワード> 食品成分由来の発がん物質の種類や生成メカニズムを学び、その安全

対策について理解を深める。

C-11(1)【食品の品質と

管理】1-7)

4) 食品添加物 C-11(1)【食品の品質と

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56

<解説・キーワード> 食品添加物の種類や用途、安全性について学ぶと共に、その使用に関

する法的規制と問題点に関して理解を深める。

管理】1-7)

食中毒の種類とその原因:細菌性、ウイルス性食中毒 5)

<解説・キーワード> 食中毒の原因となる細菌やウイルスの特徴、食中毒症状、予防法につ

いて学ぶと共に、その発生状況やBSE等に関する理解を深める。

C-11(1)【食中毒】1-5)

食中毒の種類とその原因:動物性、植物性食中毒 6)

<解説・キーワード> 魚毒や貝毒、植物毒、キノコ毒に加え、かびが産生する有毒物質(カ

ビ毒:マイコトキシン)について学び、自然毒の症状や発症機構、予防法、対処法につ

いて理解を深める。

C-11(1)【食中毒】1-5)

食中毒の種類とその原因:化学性食中毒 7)

<解説・キーワード> 化学物質(重金属、残留農薬など)による食品汚染について学び、毒

性発現機構やその症状、防止対策についての理解を深める。

C-11(1)【食中毒】1-5)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(8回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1)-4) 講 義 第1講義室 平田 参考書, プリントト* 90

2 1)-4) 講 義 第1講義室 原田 参考書, プリントト* 90

3, 4 1)-4) PBL

**

第1講義室 平田・原田・

TA 10名

参考書, プリントト* 90

5 5)-7) 講 義 第1講義室 堤・外部講師 参考書, プリントト* 90

6 5)-7) 講 義 第1講義室 堤 参考書, プリントト* 90

7, 8 5)-7) PBL** 第1講義室 堤・吉川・

TA 10名

参考書, プリントト** 90

[注意事項]

*: 食品安全学の最先端の潮流を体験してもらうために、必要に応じて最新の英語文献に関する解説を行う。

**: PBL では、少人数グループに分かれ、食品安全学領域での課題について、議論し、発表し、質疑応答を行

う。

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:スタンダード薬学シリーズ/日本薬学会編 8.「健康と環境」

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・全講義期間の最後に、論述形式の試験を行なう(計70%)。

・4, 8回目のPBL終了後にレポート提出を課す(15%ずつで計30%)。

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

・出席状況を加味し、必要に応じて補講あるいは再試験・レポート作成を行う。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・必要に応じて、各回の講義の終了前に、出席点呼を兼ね、講義内容に関する10分間の小テストあるいは小

レポートを課す。この結果から講義の理解度を把握し、以後の授業に反映させる。

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57

学習の手引き

(抜 粋)

物理化学領域

・物理化学Ⅰ(第Ⅲセメスター)

・分析化学Ⅰ(第Ⅲセメスター)

・無機化学(第Ⅳセメスター)

・分析化学Ⅱ(第Ⅳセメスター)

・物理化学Ⅱ(第Ⅴセメスター)

・最先端機器分析化学(第Ⅴセメスター)

・放射化学(第Ⅵセメスター)

Page 59: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

58

物理化学Ⅰ(Physical Chemistry I )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 大久保忠恭(06-6879-8223, [email protected], 本館2階215)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

吉田卓也(06-6879-8222, [email protected], 本館2階210)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:III

・曜日・時限:火曜・4時限 ・場 所:大講義室

(2)物理系薬学教育の中での位置付け

「物理化学Ⅰ」は、「物理化学Ⅱ」、「分析化学Ⅰ」、「分析化学Ⅱ」と共に、物理領域の基幹を構成する授業であ

り、「無機化学」、「放射化学」、「最先端機器分析化学」へと発展する。「分子化学A」、「化学熱力学」の履修により

物理化学、分析化学に関する基礎知識を修得することによって、理解が深まる。本講義の内容は「実践化学Ⅰ 物

理化学」において、演習形式で学ぶ。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬学および薬科学出身者として薬学分野における物理化学的現象を理解するために、数学的記述の理解とイメー

ジ化を行い汎用的な基礎知識を修得する。

【授業の概要】

物理化学は物質の構造、状態、変化に関する化学の法則や理論の基礎をなすものであり、量子力学、熱力学、

統計力学の3つの理論を主軸として展開されている。また、物理化学的研究により化学的事象の基本原理を明ら

かにする過程で、様々な法則や原理を実際の問題に適用して解決に導く普遍的な方法論を示してきた。さらに、

物理化学は薬学の基礎であり、実践的化学としても薬学の教育研究に重要な位置を占めている。物理化学Ⅰでは

有機化学、生命科学などを研究する上の基礎となる物理化学の理論、方法論を概説する。化学結合、分子間相互

作用、原子・分子、物理平衡、分光分析法、核磁気共鳴スペクトルについて、薬学の視点をもった内容とする。

物理化学の各主題は相互に関連しており、系統立った学習こそが後に良い連関となって学問体系の習得につなが

る。本講義の内容は物理化学Ⅱへと発展する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

量子力学:粒子と波動 黒体輻射・光電効果・コンプトン散乱の結果から電磁波の粒子

と波動の2重性を把握し、ハイゼンベルグの不確定性原理に至る考えを理解する。

1)

<解説・キーワード> 散乱および干渉について説明できる。不確定性原理について概説でき

る。

C-1(1)【原子・分子】7)

F(3)【量子化学入門】3)

量子力学:シュレーディンガー方程式 ボーアの水素原子モデル・ドブロイの物質波か

らシュレーディンガーの波動方程式を導出し、ボルンの波動関数の解釈を理解する。

2)

<解説・キーワード> 波動方程式について概説できる。

C-1(1)【原子・分子】1)

F(3)【量子化学入門】2)

量子力学:分子の振動・回転 1次元井戸型ポテンシャル内の粒子の並進運動とトンネ

ル効果、調和振動と零点エネルギー、回転運動と球面調和関数について学び原子・分子

の基本的な量子力学的計算を理解する。

3)

<解説・キーワード> 原子軌道の概念、量子数の意味について概説できる。

C-1(1)【原子・分子】1)

F(3)【量子化学入門】1)

4) 量子力学:水素類似原子 水素原子の波動方程式の解から原子軌道(AO)の概念と主量

子数、方位量子数、磁気量子数の意味を把握し、パウリの原理とフントの法則から原子

内の電子配置を理解する。

C-1(1)【原子・分子】1)

F(4)【物質の基本概念】

3)-5)

Page 60: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

59

<解説・キーワード> 電子のスピンとパウリの排他原理について説明できる。原子の電子配

置について説明できる。

化学結合:VB法とMO法 原子価結合(VB)法と分子軌道(MO)法の概念を理解

し水素分子イオンへ適用して共有結合の形成機構に関する量子力学的根拠を学ぶ。

5)

<解説・キーワード> 化学結合の成り立ちについて説明できる。分子軌道の基本概念を説明

できる。

C-1(1)【化学結合】1),3)

化学結合:多原子分子 多原子分子のMO法の結果から混成軌道の概念を理解し、MO計

算におけるヒュッケル近似をπ電子共役系に適応して共鳴構造のエネルギー安定化につ

いて学ぶ。

6)

<解説・キーワード> 共役や共鳴の概念を説明できる。軌道の混成について説明できる。

C-1(1)【化学結合】2)

化学結合:分子間力 双極子‐双極子相互作用・イオン‐双極子相互作用・誘起双極子

相互作用の定式化を行い、分散力・疎水性相互作用・水素結合の概念を理解する。

7)

<解説・キーワード> 静電相互作用、ファンデルワールス力、双極子間相互作用、分散力、

水素結合、電荷移動、疎水性相互作用について例を挙げて説明できる。

C-1(1)【分子間相互作用】

1)-7)

中間まとめ 筆記試験を行い量子力学・量子化学の知識と技能に対する理解度の評価を

行い、習熟度に応じた指導を行う。

8)

<解説・キーワード>

分子分光学:物質と光 原子・分子による電磁波の吸収と放射に関するランベルト・ベー

ルの法則、遷移双極子モーメントについて学び、遷移の選択律とスペクトルの関係を理

解する。

9)

<解説・キーワード> 分子の分極と双極子モーメントについて説明できる。電磁波の性質お

よび物質との相互作用を説明できる。

C-1(1)【原子・分子】1)

分子分光学:各種分光法 可視及び紫外分光法、赤外分光法、ラマン分光法の基礎原理

を理解し、分子の対称性とスペクトルの関係を学ぶ。

10)

<解説・キーワード> 分子の振動、回転、電子遷移について説明できる。偏光および旋光性

について説明できる。

C-1(1)【原子・分子】2),4)

分子分光学:磁気共鳴 磁場中での核スピン及び電子スピンの挙動を定式化し核磁気共

鳴(NMR)及び電子スピン共鳴(ESR)の原理を理解する。またフーリエ変換分光

法の基礎を学ぶ。

11)

<解説・キーワード> スピンとその磁気共鳴について説明できる。

C-1(1)【原子・分子】3)

溶液論:相平衡 熱力学を用いて、示強性状態量と示量性状態量、化学ポテンシャルと

ギブズ由由エネルギーを理解する。また相律の概念を理解して混合溶液の相平衡と相図

を把握する。

12)

<解説・キーワード> 相平衡と相律、相変化に伴う熱の移動(Clausius-Clapeyronの式など)

について説明できる。

C-1(3)【物理平衡】1)-3)

溶液論:溶液平衡と束一的性質 理想溶液とラウールの法則、非理想溶液とヘンリーの

法則について理解する。また理想溶液の束一的性質(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下)

を把握する。

13)

<解説・キーワード> 代表的な状態図(一成分系、二成分系、三成分系相図)について説明

できる。

C-1(3)【物理平衡】4),5)

反応次数と速度定数について理解し、微分型速度式から積分型速度式を導出する。代表

的な複合反応(可逆反応、平行反応、連続反応など)の特徴を把握する。

14)

<解説・キーワード> 微分型速度式を積分型速度式に変換できる。

C-1(4)【反応速度】1)-5)

まとめ 筆記試験を行い分子分光学・溶液論の知識と技能に対する理解度の評価を行

い、習熟度に応じた指導を行う。

15)

<解説・キーワード>

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60

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1-7 1)-7) 講 義 大講義室 大久保・吉田 参考書, プリント 90

8 8) 自 習 大講義室 大久保 プリント 90

9-14 9)-14) 講 義 大講義室 大久保・吉田 参考書, プリント 90

15 15) 自 習 大講義室 大久保 プリント 90

(6)教科書・参考書

・教科書:生命薬学テキストシリーズ:「物理化学」上巻、桐野豊編、共立出版

・参考書:アトキンス「物理化学第6版」上、下巻、東京化学同人

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・7回目(中間)の講義終了後に論述形式の試験を行ない、量子力学・量子化学の知識と技能に関する授業内容

の理解度を評価する(30%)。

・15回目の講義終了後に論述形式の試験を行ない、分子分光学・溶液論の知識と技能に関する授業内容の理

解度を評価する(30%)。

・計8回のレポート課題作成を課して、学習度を評価する(40%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するために、10 分間のプレテストを

行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

・講義の終了後、適宜計8回のレポート課題作成を課して、次回の講義時に正解を伝え簡単な解説を行ない、

この結果から講義の学習度を把握し、以後の授業に反映させる。

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61

分析化学 I(Analytical Chemistry I )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 宇野公之(06-6879-8205, [email protected], 本館5階 510)

<オフィスアワー:月曜日正午から午後1時>

青山 浩(06-6879-8206, [email protected], 本館5階 501)

<オフィスアワー:火曜日正午から午後2時>

山下 沢(06-6879-8208, [email protected], 本館5階 506)

<オフィスアワー:水曜日正午から午後2時>

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:III

・曜日・時限:金曜・3時限 ・場 所:第1講義室

(2)物理系薬学教育の中での位置付け

「分析化学I」は、「分析化学 II」、「最先端機器分析化学」、「生物分析化学」とともに、分析化学小

領域を構成する授業である。化学熱力学、分子化学Aで学んだ化学平衡の知識をベースに、各種医薬

品の化学的特性に着目した分析手法について理解を深める。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として医薬品の管理・開発に貢献するために、医薬品の化学的性質に基づ

く分析手法に関する基礎知識を修得する。

【授業の概要】

本講義では、溶液中における物質の状態と化学平衡、およびそれらの理解に基づく医薬品の化学的

分析法について概説する。生体内における物質の状態および相互変換過程を熱力学的に解析するため

に必要な溶液化学的基礎概念を理解するとともに、それらの概念に基づく日本薬局方収載医薬品をは

じめとする各種化学物質の基盤的分析法の基礎知識を修得することを目的とする。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

容量分析の基礎となる化学平衡論、及び容量分析に関わる単語や濃度の定義につ

いて学ぶ。

1)

<解説・キーワード> 濃度単位、標準液

C-1(3)【溶液の化学】

3)

中和滴定の理論的基礎となる酸塩基平衡の概念について学ぶ。 2)

<解説・キーワード> 化学平衡、酸塩基の定義

C-2(1)【酸と塩基】1)

酸塩基平衡の概念に基づき酸・塩基の緩衝作用について学び、pH の計算法や pH

に依存した分子形の変化について理解する。

3)

<解説・キーワード> pH の計算、緩衝液

C-2(1)【酸と塩基】

2)3)4)5)6)

中和滴定の原理と、代表的な薬局方収載医薬品の容量分析法について学ぶ。 4)

<解説・キーワード> 中和滴定、酸塩基平衡

C-2(2)【容量分析】1)

非水滴定の原理と、代表的な薬局方収載医薬品の容量分析法について学ぶ。 5)

<解説・キーワード> 非水滴定、水平化

C-2(2)【容量分析】2)

錯体・キレート生成平衡の概念と錯体の安定性、及びキレート滴定の理論的基礎

について学ぶ。

6)

<解説・キーワード> 錯形成、キレート平衡

C-2(1)【各種の化学平

衡】1)【容量分析】3)

沈殿滴定の理論的基礎となる溶解度の概念と各種難溶性塩の性質について学ぶ。 7)

<解説・キーワード> 溶解度、溶解度積、水酸化物、硫化物

C-2(1)【各種の化学平

衡】2)

8) 沈殿滴定の原理と、代表的な薬局方収載医薬品の容量分析法について学ぶ。 C-2(2)【容量分析】4)

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62

<解説・キーワード> 沈殿滴定、局方収載医薬品

酸化還元滴定の理論的基礎となる電位と酸化還元平衡、及び電池の概念について

学ぶ。

9)

<解説・キーワード> 酸化還元電位、電気滴定

C-1(3)【電気化学】

2)3)4)

酸化還元滴定の原理について学ぶ。 10)

<解説・キーワード> 酸化還元滴定、酸化還元平衡

C-2(1)【各種の化学平

衡】3)4)

酸化還元滴定を用いた代表的な薬局方収載医薬品の容量分析法について学ぶ。 11)

<解説・キーワード> 酸化還元滴定、局方収載医薬品

C-2(2)【容量分析】

5)6)

日本薬局方収載医薬品の容量分析法について学び、測定原理を理解する。 12)

<解説・キーワード> 中和滴定、非水滴定、キレート滴定、沈殿滴定、酸化還元滴定

C-2(2)【定量の基礎】

4)【容量分析】7)

重量分析を用いた薬局方収載医薬品の定量分析法について学ぶ。 13)

<解説・キーワード> 揮発・抽出・沈殿法

C-2(2)【定量の基礎】

3)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15 回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第1講義室 宇野・山下 参考書 90

2 2) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

3 3) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

4 3) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

5 4),12) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

6 5),12) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

7 6),12) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

8 7) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

9 7) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

10 8),12) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

11 8),12) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

12 9),10) 講 義 第1講義室 宇野・青山 参考書 90

13 11),12) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

14 11),12) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

15 13) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:パートナー分析化学I/斉藤・千熊・山口・萩中編

スタンダード薬学シリーズ2/日本薬学会編 II.化学物質の分析

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・最終日に期末試験を行なう(100%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するため、合否判定に関係

しないプレテストを行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

(8)特記事項

・医薬品の定量分析の根底に流れている化学的原理を理解してほしい。

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63

無機化学(Inorganic Chemistry )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 宇野公之(06-6879-8205, [email protected], 本館5階 510)

<オフィスアワー:月曜日正午から午後1時>

伊藤徳夫(06-6879-8231, [email protected],2号館3階 302)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:IV

・曜日・時限:木曜・2時限 ・場 所 :第1講義室

(2)物理系薬学教育の中での位置付け

「無機化学」は、物理学・化学・生物学にまたがる広範な範囲を持つ授業科目である。金属元素の電

子状態に関する知識をベースに、無機医薬品や金属元素と生体との関わりについて理解を深める。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として医薬品の管理・開発に貢献するために、無機医薬品や金属元素の化

学的性質を理解した上で、それらの生理活性や毒性に関する知識を修得する。

【授業の概要】

無機化学は、周期表に載っている全ての元素を取り扱う学問分野であり、化学を学ぶ上で必要不可

欠の科目である。薬学において、錯体や触媒は重要な物質であり、これらの諸性質・合成法を無機化

学では講義する。また、金属元素の持つ生理活性や毒性についても無機化学において学ぶ。本講義で

は、各元素の諸性質を縦糸に、元素の生理活性を横糸とした構成で、無機化学の基礎を学ぶものであ

る。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

各種元素の性質を理解するのに必要な、量子論に基づく原子軌道の記述について

学ぶ。

1)

<解説・キーワード> 量子論、波動方程式、原子軌道、共鳴積分

C-1(1)【化学結合】

1)2)3)4)

各種分子の性質を理解するのに必要な、混成軌道を含めた分子軌道の概念につい

て学ぶ。

2)

<解説・キーワード> 混成軌道、原子価、分子軌道

C-1(1)【化学結合】

1)2)3)4)、C-6(1)【生

体内で機能する錯体・

無機化合物】2)3)

金属元素を中心とする各種無機化合物の性質について学ぶ。 3)

<解説・キーワード> 配位結合、配位子、結晶場理論、配位子場理論、σ錯体、π錯

体、逆供与

C-4(1)【無機化合物】

1)2)3)4)

金属錯体の構造・物性・反応性に関わる物理的背景について学ぶ。 4)

<解説・キーワード> 立体化学、物性と反応、電子状態、磁気的性質

C-4(1) 【 錯 体 】

1)2)6)7)

代表的な無機イオンの定性反応と日本薬局方収載医薬品の純度・確認試験法につ

いて学ぶ。

5)

<解説・キーワード> 無機イオン、系統分析、純度試験、確認試験

C-2(2)【定性試験】

1)2)3)

日本薬局方収載無機医薬品の定量分析法、及び重量分析法について学ぶ。 6)

<解説・キーワード> 重量分析

C-2(2)【定量の基礎】

3)

生物を構成する元素とそのはたらきについて概要を学ぶ。 7)

<解説・キーワード> 金属イオン、金属錯体、生体の構成元素、必須微量金属

C-6(1)【生体内で機能

する錯体・無機化合物】

1)

Page 65: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

64

生体機能と金属元素/イオンおよび関与する生体反応/分子について学ぶ。 8)

<解説・キーワード> イオンチャネル、金属の膜輸送、金属含有タンパク質

C-6(1)【生体内で機能

する錯体・無機化合物】

1)

金属元素の毒性について学ぶ。 9)

<解説・キーワード> 重金属中毒、生体防御因子

C-12(1)【化学物質の

毒性】3)

医薬品としての無機化合物および金属を含む医薬品について学ぶ。 10)

<解説・キーワード> 無機医薬品、金属含有医薬品、重金属中毒の解毒

C-4(1)【無機化合物】

5)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15 回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

2 1) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

3 2) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

4 2) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

5 3) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

6 3) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

7 4) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

8 5) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

9 5) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

10 6) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

11 7) 講 義 第1講義室 伊藤 参考書 90

12 8) 講 義 第1講義室 伊藤 参考書 90

13 8) 講 義 第1講義室 伊藤 参考書 90

14 9) 講 義 第1講義室 伊藤 参考書 90

15 10) 講 義 第1講義室 伊藤 参考書 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:パートナー分析化学I/斉藤・千熊・山口・萩中編

生物無機化学/Lippard S. J. & Berg J. M.著、松本他訳

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・10 回目の講義終了後に中間試験を行なう(67%)。

・最終日に期末試験を行う(33%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するため、合否判定に関係

しないプレテストを行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

(8)特記事項

・無機化学の理解が有機化学や生物化学、さらには生物学的現象の理解を助ける。多彩な原子価を

持ち、多種多様な活性を示す無機化合物のおもしろさを伝えたい。

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65

分析化学 II(Analytical Chemistry I I)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 宇野公之(06-6879-8205, [email protected], 本館5階 510)

<オフィスアワー:月曜日正午から午後1時>

青山 浩(06-6879-8206, [email protected], 本館5階 501)

<オフィスアワー:火曜日正午から午後2時>

山下 沢(06-6879-8208, [email protected], 本館5階 506)

<オフィスアワー:水曜日正午から午後2時>

・単位数:1 ・履修対象:2年生(薬科学科:選択、薬学科:必須) ・セメスター:IV

・曜日・時限:水曜・2時限 ・場 所:大講義室

(2)物理系薬学教育の中での位置付け

「分析化学 II」は、「分析化学I」、「最先端機器分析化学」、「生物分析化学」とともに、分析化学小

領域を構成する授業である。化合物の物性に関する知識をベースに、各種医薬品の物理化学的特性に

着目した分離分析法について理解を深める。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として医薬品の管理・開発に貢献するために、医薬品の物理的性質に基づ

く分析手法に関する基礎知識を修得する。

【授業の概要】

合成反応溶液や血液、尿などの生体試料から目的物質を精製したり、それらを選択的かつ高感度に

定量するためには、各種の分離分析技術が必要である。本講義では、それら分析法の基本概念ならび

に適用について概説する。クロマトグラフィーや電気泳動の原理を理解するとともに、薬学研究者及

び薬剤師に不可欠な生体・生理活性物質の分離分析法に関する基礎知識を修得することを目的とする。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

クロマトグラフィーの基本概念を理解するため、分配平衡について学ぶ。 1)

<解説・キーワード> 分離機構、分離分析

C-2(1)【各種の化学平

衡】5)

吸着・分配の定義とその分離機構、並びに分離法の実際について学ぶ。 2)

<解説・キーワード> 吸着、分配、TLC

C-2(2)【クロマトグラ

フィー】1)-3)

イオン交換の理解とその分離機構、並びに分離法の実際について学ぶ。 3)

<解説・キーワード> イオン交換

C-2(1)【各種の化学平

衡】6)、C-2(2)【クロ

マトグラフィー】

1)-3)

サイズ排除の概念とその分離機構、並びに分離法の実際について学ぶ。 4)

<解説・キーワード> 分子ふるい

C-2(2)【クロマトグラ

フィー】1)-3)

HPLC の仕組みと医薬品の分離・定量法、ならびに TDM を含めた臨床への応用に

ついて学ぶ。

5)

<解説・キーワード> 液体クロマトグラフ法、TDM

C-2(2)【クロマトグラ

フ ィ ー 】 1)-3) 、

C-13(5)【TDM】1)

ガスクロマトグラフィーの分離機構、及び各種検出器の原理と特徴について学ぶ。 6)

<解説・キーワード> TCD、FID、ECD、GC/MS

C-2(2)【クロマトグラ

フィー】1)-3)

各種クロマトグラフィーの特徴と分離機構について学ぶ。 7)

<解説・キーワード> 分配、吸着、イオン交換、サイズ排除、HPLC、GC

C-2(2)【クロマトグラ

フィー】1)-3)

8) 電気泳動の原理と実際、並びに薬学領域における応用について学ぶ。 C-2(3)【分析技術】4)

Page 67: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

66

<解説・キーワード> ゾーン・キャピラリー電気泳動

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(8回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 大講義室 宇野、山下 参考書 90

2 2),7) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

3 3),7) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

4 4),7) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

5 5),7) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

6 6),7) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

7 8) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

8 8) 講 義 大講義室 宇野、青山 参考書 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:パートナー分析化学 II/山口・升島・斉藤・能田編

薬学の機器分析学第2版/財津編

スタンダード薬学シリーズ2/日本薬学会編 II.化学物質の分析

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・最終日に期末試験を行なう(100%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するため、合否判定に関係

しないプレテストを行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

(8)特記事項

・分離分析を支える物理化学的原理を理解してほしい。

Page 68: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

67

物理化学Ⅱ(Physical Chemistry II )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 大久保忠恭(06-6879-8223, [email protected], 本館2階215)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

吉田卓也(06-6879-8222, [email protected], 本館2階210)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:V

・曜日・時限:金曜・2時限 ・場 所:大講義室

(2)物理系薬学教育の中での位置付け

「物理化学Ⅱ」は、「物理化学Ⅰ」、「分析化学Ⅰ」、「分析化学Ⅱ」と共に、物理系薬学領域の基幹を構成する授

業であり、「無機化学」、「放射化学」、「最先端機器分析化学」へと発展する。「物理化学Ⅰ」、「分析化学Ⅰ」の履

修により物理化学、分析化学に関する基礎知識を修得することによって、本講義の理解が深まる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬学および薬科学出身者として薬学分野における物理化学的現象を理解するために、数学的記述の理解とイメー

ジ化を行い創薬分野での応用例に発展させる。

【授業の概要】

物理化学は物質の構造、状態、変化に関する化学の法則や理論の基礎をなすものであり、量子力学、熱力学、

統計力学の3つの理論を主軸として展開されている。また、物理化学的研究により化学的事象の基本原理を明ら

かにする過程で、様々な法則や原理を実際の問題に適用して解決に導く普遍的な方法論を示してきた。さらに、

物理化学は薬学の基礎であり、実践的化学としても薬学の教育研究に重要な位置を占めており、合理的薬物設計

(rational drug design) の基本をなしている。物理化学Ⅱでは生命現象を支配している物理法則を理解し、

生命を物理、化学の視点から理解する。生物物理化学ないしは薬物物理化学と一般に呼ばれている内容のうち主

に原子・分子、物質の移動、分光分析法、X線結晶解析、生体分子の立体構造、相互作用について物理化学 I

の講義の延長上で講義する。物理化学的現象を理解する上で欠かせない数学的記述は化学および自然現象へのイ

メージ化に努める。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

統計熱力学:ボルツマン分布とエントロピー エントロピーに関するボルツマンの式

を導出してマクロな熱力学量とミクロな状態数の関係を理解し、ボルツマン分布を導出

して統計熱力学の基礎を理解する。

1)

<解説・キーワード> エネルギーの量子化とボルツマン分布について説明できる。

C-1(2)【総論】3)

統計熱力学:気体分子と分配関数 ボルツマン分布より気体の状態方程式とマクスウェ

ルの速度分布を導出して、系の分配関数と熱力学的諸量の関連について理解する。

2)

<解説・キーワード> ファンデルワールスの状態方程式について説明できる。気体の分子運

動とエネルギーの関係について説明できる。

C-1(2)【総論】1),2)

統計熱力学:高分子鎖と弾性 柔らかい鎖状高分子の統計的取扱い手法を学び 3 次元

自由鎖及び束縛鎖の両末端間距離の統計分布を導出し、高分子のエントロピー弾性につ

いて理解する。

3)

<解説・キーワード> 流動と変形(レオロジー)の概念を理解し、代表的なモデルについて

説明できる。また、高分子の構造と高分子溶液の性質について説明できる。

C-1(2)【総論】3)

C-16(1)【製剤材料の物

性】1),2)

Page 69: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

68

輸送過程:拡散と自己相関関数 輸送過程の基本概念を把握し、拡散現象の統計力学

的意味、拡散に制御された反応、自己相関関数とパワースペクトル密度について学ぶ。 4)

<解説・キーワード> 拡散および溶解速度について説明できる。

C-1(4)【物質の移動】1)

輸送過程:粘性と沈降 流動現象の統計力学的意味と超遠心による沈降現象を学び、

沈降平衡法や密度勾配法と分子量の関係を理解する。また、電気泳動法の基礎に関して

も理解する。

5)

<解説・キーワード> 流動現象および粘度、沈降現象について説明できる。

C-1(4)【物質の移動】

2),3)

界面化学:界面と吸着 表面張力と界面張力の概念を理解し微小液滴の化学ポテンシャ

ルを導出して界面現象を理解する。またギブズ吸着式、ラングミュア吸着式を導出して

吸着現象を理解する。

6)

<解説・キーワード> 界面における平衡、吸着平衡について説明できる。

C-1(3)【物理平衡】6),7)

C-16(1)【分散系】1)

界面化学:コロイド粒子 界面コロイド化学の基礎を理解し、親水コロイドと疎水コ

ロイドの性質や疎水コロイドの安定性を学ぶ。またコロイド粒子の光散乱についても理

解する。

7)

<解説・キーワード> 界面の性質、代表的な界面活性剤の種類と性質について説明できる。

C-1(3)【物理平衡】6)

C-16(1)【分散系】 2)

中間まとめ 筆記試験を行い統計熱力学・界面化学の知識と技能に対する理解度の評価

を行い、習熟度に応じた指導を行う。

8)

<解説・キーワード>

構造生物学:蛋白質の構造 蛋白質の階層的構造と高次構造の特徴を把握する。また、

立体構造形成原埋を理解し高次構造予測法や高次構造解析法について学ぶ。

9)

<解説・キーワード> 蛋白質の立体構造、折りたたみ過程について概説できる。

C-3(2)【立体構造】1)-4)

C-3(1)【分光分析法】2)

構造生物学:核酸の構造 核酸の化学構造と 2 重らせん構造を理解して 3 重らせん構

造、十字型構造、超らせん構造を学ぶ。また核酸の高次構造及び相互作用解析手法につ

いても学ぶ。

10)

<解説・キーワード> 核酸の立体構造を規定する相互作用について、具体例を挙げて説明で

きる。

C-3(2)【立体構造】5)

C-3(1)【分光分析法】

5),6)

構造生物学:蛋白質・核酸の機能 蛋白質・核酸の動的挙動の特徴と相互作用解析手

法について学ぶ。酵素反応およびその拮抗阻害と非拮抗阻害の機構について把握する。

また、アロステリック効果について学び、核酸と蛋白質および薬剤との相互作用様式を

理解する。

11)

<解説・キーワード> 生体分子間相互作用、生体分子‐医薬品相互作用における立体構造的

要因の重要性を、具体例を挙げて説明できる。

C-3(2) 【 相互作用】

1),2),4)

生体膜:構造と膜表面電位 生体膜の基本構造、膜の非対称構造、動的構造について

学び単一脂質2分子膜及び混合脂質2分子膜の構造と相転移を理解する。

12)

<解説・キーワード> 膜電位と能動輸送について説明できる。

C-3(2)【立体構造】6)

C-1(3)【電気化学】6)

生体膜:イオン透過 生体膜を横切る物質の輸送機構の基本知識を学び拡散による受

動輸送とイオンチャネルによる能動輸送を理解する。また膜表面電位の影響についても

学ぶ。

13)

<解説・キーワード> イオンの輸率と移動度、イオン強度について説明できる。

C-3(2)【相互作用】3)

C-1(3)【溶液の化学】

5),6)

X線結晶解析 結晶の対称性と空間群の関係について理解し、X線回折データより電

子密度を導出する方法について学ぶ。

14)

<解説・キーワード> 結晶構造と回折現象について説明できる。

C-1(1)【原子・分子】8)

C-3(1)【X線結晶解析】

1),2)

Page 70: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

69

まとめ 筆記試験を行い構造生物学・生体膜の知識と技能に対する理解度の評価を行

い、習熟度に応じた指導を行う。 15)

<解説・キーワード>

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1-7 1)-7) 講 義 大講義室 大久保・吉田 参考書, プリント 90

8 8) 自 習 大講義室 大久保 プリント 90

9-14 9)-14) 講 義 大講義室 大久保・吉田 参考書, プリント 90

15 15) 自 習 大講義室 大久保 プリント 90

(6)教科書・参考書

・教科書:生命薬学テキストシリーズ:「物理化学」上、下巻、桐野豊編、共立出版

・参考書:アトキンス「物理化学第6版」上、下巻、東京化学同人

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・8回目(中間)の講義終了後に、論述形式の試験を行ない、統計熱力学・界面化学の知識と技能に関する授業

内容の理解度を評価する(30%)。

・15回目(期末)の講義終了後に、論述形式の試験を行ない、構造生物学・生体膜の知識と技能に関する授業

内容の理解度を評価する(30%)。

・計8回のレポート課題作成を課して、学習度を評価する(40%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するために、10 分間のプレテストを

行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

・講義の終了後、適宜計8回のレポート課題作成を課して、次回の講義時に正解を伝え簡単な解説を行ない、

この結果から講義の学習度を把握し、以後の授業に反映させる。

Page 71: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

70

最先端機器分析化学(Analytical Chemistry with Modern Instruments )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 宇野公之(06-6879-8205, [email protected], 本館5階 510)

<オフィスアワー:月曜日正午から午後1時>

青山 浩(06-6879-8206, [email protected], 本館5階 501)

<オフィスアワー:火曜日正午から午後2時>

山下 沢(06-6879-8208, [email protected], 本館5階 506)

<オフィスアワー:水曜日正午から午後2時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:V

・曜日・時限:月曜・3時限 ・場 所:大講義室

(2)物理系薬学教育の中での位置付け

「最先端機器分析化学」は、「分析化学I」、「分析化学 II」、「生物分析化学」とともに、分析化学

小領域を構成する授業である。物理化学Iで学んだ量子力学、分子分光学の知識をベースに、各種医

薬品の物理的特性に着目した機器分析法について理解を深める。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として医薬品の管理・開発に貢献するために、医薬品の物理的性質に基づ

く機器分析に関する最先端の知識を修得する。

【授業の概要】

医薬品の創製や病因・病態の診断には、生体高分子の構造解析、生体高分子と化学物質の相互作用

解析、さらには細胞・組織レベル等での生命現象のダイナミックな解析等が不可欠である。本講義で

は、創薬および臨床診断において利用されている最先端機器の測定原理を理解することを目的として、

MRI、質量分析および各種分光分析等における解析の現状について概説する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

光を用いた分析法の基礎となる電磁波の性質とエネルギーの概念について学ぶ。 1)

<解説・キーワード> 電場と磁場、エネルギー準位

C-1(1)【原子・分子】

1)2)

分子の振動にともなう分極と双極子の変化、及び振動エネルギーを測定する赤外

吸収・ラマン効果の理論と応用について学ぶ。

2)

<解説・キーワード> 基準振動、特性吸収、選択律、共鳴ラマン効果

C-1(1)【原子・分子】

4)5)、C-3(1)【分光

分析法】3)

分子の電子遷移と紫外可視吸収に関する理論と応用について学ぶ。 3)

<解説・キーワード> 吸光度、π電子共役

C-1(1)【原子・分子】

5)、C-3(1)【分光分

析法】1)6)

電磁波の偏光と旋光分散ならびに円二色性の理論と応用について学ぶ。 4)

<解説・キーワード> 偏光、旋光度、異常分散

C-1(1)【原子・分子】

5)6)、C-3(1)【分光

分析法】5)

分子の電子遷移とケイ光、リン光との関係について学ぶ。 5)

<解説・キーワード> 励起・発光、ケイ光プローブ

C-1(1)【原子・分子】

5)、C-3(1)【分光分

析法】2)6)

核スピンと核磁気共鳴の関係について学ぶ。 6)

<解説・キーワード> ゼーマン効果、核スピン、化学シフト、カップリング、NOE

C-1(1)【原子・分子】

3)5)、C-3(1)【核磁

気共鳴スペクトル】1)2)

画像診断で用いられる MRI の理論と応用について学ぶ。 7)

<解説・キーワード> MRI、イメージング

C-2(3)【分析技術】

7)

8) 電子スピン共鳴法の理論と応用について学ぶ。 C-1(1)【原子・分子】

Page 72: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

71

<解説・キーワード> 電子スピン、異方性 3)5)、C-3(1)【分光

分析法】4)

臨床検査で汎用される酵素や抗体を用いた分析法の理論と応用について学ぶ。 9)

<解説・キーワード> 酵素反応、抗体、RIA、EIA

C-2(2)【定量の基礎】

5)、C-2(3)【分析技

術】1)2)3)

質量分析法の原理と特徴、及び生体分子への応用について学ぶ。 10)

<解説・キーワード> EI、CI、FAB、MALDI、ESI、TOF、四重極、プロテオミクス

C-3(1)【質量分析】

1)2)

原子吸光、発光分析法の原理と特徴、およびその応用について学ぶ。 11)

<解説・キーワード> 原子吸光、発光分析

C-2(2)【金属元素の

分析】1)2)

生体分子間相互作用を調べるための各種測定装置の原理と応用について学ぶ。 12)

<解説・キーワード> SPR、QCM

C-1(1)【原子・分子】

7)、C-2(3)【分析技

術】5)、C-3(1)【相

互作用の解析法】1)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15 回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 大講義室 宇野・山下 参考書 90

2 2) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

3 2) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

4 3) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

5 4) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

6 5) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

7 6) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

8 6) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

9 7) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

10 8) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

11 9) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

12 10) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

13 10) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

14 11) 講 義 大講義室 宇野 参考書 90

15 12) 講 義 大講義室 宇野・青山 参考書 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:パートナー分析化学 II/山口・升島・斉藤・能田編

薬学の機器分析学第2版/財津編

スタンダード薬学シリーズ2/日本薬学会編 II.化学物質の分析

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・最終日に期末試験を行なう(100%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するため、合否判定に関係

しないプレテストを行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

(8)特記事項

・各種機器分析法の物理的原理とその適用について理解してほしい。

Page 73: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

72

放射化学(Radiochemistry)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 宇野公之(06-6879-8205, [email protected], 本館5階 510)

<オフィスアワー:月曜日正午から午後1時>

青山 浩(06-6879-8206, [email protected], 本館5階 501)

<オフィスアワー:火曜日正午から午後2時>

山下 沢(06-6879-8208, [email protected], 本館5階 506)

<オフィスアワー:水曜日正午から午後2時>

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:必修) ・セメスター:VI

・曜日・時限:水曜・2時限 ・場 所:第1講義室

(2)物理系薬学教育の中での位置付け

「放射化学」は、その一部が分析化学小領域に属しつつ、物理学・化学・生物学にまたがる広範な範

囲を持つ授業である。放射線の性質に関する知識をベースに、薬学領域における放射線を利用した各

種測定や診断技術について理解を深める。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として医薬品の使用・開発に貢献するために、放射線の物理・化学・生物

学的性質の理解に基づく測定・診断に関する基礎知識を修得する。

【授業の概要】

放射性同位元素は、薬学領域における研究に対して重要なツールとなっている。事実、細胞内部に

おける生物学的現象の理解から医薬品体内動態の解明に至る広い研究領域において、放射性同位元素

は必要不可欠な研究手段を与えている。また、臨床の場では PET をはじめとする放射線を利用した診

断技術により疾病の早期発見が可能となってきており、放射性診断薬の重要性がますます増している。

このように、研究・臨床の場面で薬学出身者が放射線にかかわる機会は多くなっていくと考えられる。

一方で、放射線の取り扱いには被曝というリスクが絶えずつきまとう。本講義では、放射線を安全に

取り扱い、その特性を十分利用するための基礎事項について学ぶ。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

放射線の特性を理解するため、原子構造と放射壊変、及び放射性核種

と電離放射線の基本的な物理的性質について学ぶ。

1)

<解説・キーワード> 放射壊変、線量、放射平衡

C-1(1)【放射線と放射

能】1)2)3)4)

放射線の物理的性質に基づいたそれらの検出・測定法について学ぶ。 2)

<解説・キーワード> 電離、シンチレーション、補正

C-1(1)【放射線と放射

能】5)

放射性物質を利用した薬学領域における様々な実験・測定技法につい

て学ぶ。

3)

<解説・キーワード> 標識、同位体希釈法、放射分析、放射化分析

C-2(3)【分析技術】9)

放射性物質を利用した各種医薬品・診断薬について学ぶ。 4)

<解説・キーワード> in vivo 診断薬、in vitro 診断薬

C-2(3)【分析技術】8)、

C-18(1)【放射性医薬

品】1)2)

放射線を利用した医療分野における各種画像診断法について学ぶ。 5)

<解説・キーワード> X 線 CT、PET、MRI

C-2(3)【分析技術】

7)8)

6) 放射線が人体に与える影響、及び放射性物質を安全に取り扱うための

各種手法と関連法令について学ぶ。

C-12(1)【電離放射線

Page 74: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

73

<解説・キーワード> 被爆、しゃへい、放射線障害防止法 の生体への影響】

1)2)3)4)5)6)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(8回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第1講義室 宇野・青山 参考書 90

2 2) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

3 2) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

4 3) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

5 3) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

6 4) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

7 5) 講 義 第1講義室 宇野 参考書 90

8 6) 講 義 第1講義室 宇野・山下 参考書 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:NEW 放射化学・放射薬品学/佐治・関編

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・最終日に期末試験を行なう(100%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するため、合否判定に関係

しないプレテストを行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

(8)特記事項

・放射線という物理的現象と化学や生物学といった学問領域との関係を理解してほしい。

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74

学習の手引き

(抜 粋)

有機化学領域

・有機化学Ⅰ(第Ⅱセメスター)

・有機化学Ⅱ(第Ⅲセメスター)

・実践化学Ⅰ(第Ⅲセメスター)

・有機化学Ⅲ(第Ⅳセメスター)

・実践化学Ⅱ(第Ⅳセメスター)

・有機医薬化学(第Ⅴセメスター)

・天然物学(第Ⅴセメスター)

・生物有機化学Ⅱ(第Ⅴセメスター)

・有機合成化学(第Ⅵセメスター)

・精密合成化学(第Ⅵセメスター)

・生物有機化学Ⅰ(第Ⅵセメスター)

・薬用植物学(第Ⅶセメスター)

Page 76: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

75

有機化学 I(Organic Chemistry I )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 藤岡弘道(06-6879-8225, [email protected], 本館4階412)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

前川智弘(06-6879-8226, [email protected], 本館4階413)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:1年生(薬科学科:必修、薬学科:必修) ・セメスター:II

・曜日・時限:木曜・2時限 ・場 所:大講義室

(2)有機化学教育の中での位置付け

環境物質の生体への影響を考える際、物質の構造からその反応性や安定性などを考察できる力を持つことは非

常に重要である。有機化学は、まさにこれらの諸問題を取り扱う力を身につけるべく教育を行うが、なかでも「有

機化学 I」はその最も基本を学習する。ここで学んだ内容は、「有機化学 II(第 III セメスター)」、「有機化学

III(第IVセメスター)」へと引き継がれ、学部有機化学の全体像を習得すると共に、「実践化学I(第IIIセメ

スター)」、「実践化学II(第IVセメスター)」、さらに「有機医薬化学(第Vセメスター)」、「精密合成化学(第

VIセメスター)」、「有機合成化学(第VIセメスター)」などの受講によってその理解が深まる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として化学物質(医薬品および生体物質を含む)の基本的な反応性を理解するために、

有機化学反応における諸反応・諸現象を理論的に理解・解釈し、応用できる基礎力を修得する。

【授業の概要】

有機化学は医薬品等の合成や製造の研究に携わる者のみならず、すべての薬学領域の学習者にとって基礎的か

つ必須の学問である。また、有機化学の最近の進歩は有機化学反応を理論的に理解することを可能にした。有機

化学I、II、IIIの講義は、有機化学における諸反応あるいは諸現象を理論的に理解し、解釈し、かつ応用する

ための基礎力の養成や目的として開講させる。その中で有機化学Iでは、時に理論的な基礎知識、立体化学、並

びに有機電子論について概説する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

有機化学概論 1)

<解説・キーワード> 有機化学とはどのような学問分野か‐歴史的展望、有機化学の役割、

有機分子の構造式

C-4(1)【基本事項】1),2)

有機化合物に特徴的な反応、有機化合物の種類と命名法‐官能基 2)

<解説・キーワード> 基本的な有機化学反応、化合物の分類、命名法、官能基について

C-4(1)【化学物質の基本

的性質】2),5) C-4(2)【ア

ルカン】1),C-4(3)【概説】

1),2)

有機分子の結合 3)

<解説・キーワード> 分子オービタルと結合、混成オービタル、結合核、結合エネルギーと

結合距離

C-4(1)【化学結合】1)-3)

分子の形(1) 4)

<解説・キーワード> 幾何異性体、非環式化合物の配座

C-4(1)【有機化合物の立

体 構 造 】

1),2),6),7),C-4(2)【ア

ルカン】3)

5) 分子の形(2) C-4(3)【有機化合物の立

Page 77: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

76

<解説・キーワード> 環式化合物の配座、キラリティーと光学活性 体構造】1)-7),C-4(2)【ア

ルカン】4)-7)

構造、反応性、および有機化学的変換(1) 6)

<解説・キーワード> 酸および塩基、酸性度および塩基性度

C-4(1) 【基本事項】

6),C-4(3)【官能基の酸性

度・塩基性度】1)-3)

構造、反応性、および有機化学的変換(2) 7)

<解説・キーワード> 共鳴法、共鳴と互変異性

C-4(1)【基本事項】3)

有機反応の速度と機構 8)

<解説・キーワード> 反応機構(電子の動き)、中間体、遷移状態

C-4(1)【感染症の現状・

予防】4),7)-9),

カルボニル基に対する求核付加(1) 9)

<解説・キーワード> カルボニル基の反応性、求核体としてのシアン化物イオン、酸素、硫

黄および水素陰イオン

C-4(3)【アルデヒド・ケ

トン・カルボン酸】1)

カルボニル基に対する求核付加(2) 10)

<解説・キーワード> 求核体としての炭素(有機金属化合物)

C-4 (3) 【アルデヒド・

ケトン・カルボン酸】1)

カルボニル基に対する求核付加(3) 11)

<解説・キーワード> カルボニル基のα‐炭素原子(エノラート陰イオン)、付加と脱水(ア

ルドール反応)、求核体としての窒素原子、カルボニル類似体に対する求核付加

C-4 (3) 【アルデヒド・

ケトン・カルボン酸】1)

カルボニル基上の求核置換反応(1) 12)

<解説・キーワード> カルボン酸とその誘導体の反応性、求核体としての水素陰イオンおよ

び炭素(有機金属化合物)

C-4 (3) 【アルデヒド・

ケトン・カルボン酸】2),3)

カルボニル基上の求核置換反応(2) 13)

<解説・キーワード> エノラート陰イオンのアシル化(Claisen反応)

C-4 (3) 【アルデヒド・

ケトン・カルボン酸】2),3)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 大講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

2 2) 講 義 大講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

3 3) 講 義 大講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

4 4) 講 義 大講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

5 5) 講 義 大講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

6 6) 講 義 大講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

7 7) 講 義 大講義室 前川 教科書,参考書, プリント 90

8 8) 講 義 大講義室 前川 教科書,参考書, プリント 90

9 9) 講 義 大講義室 前川 教科書,参考書, プリント 90

10 1)-9) 中間試験 大講義室 藤岡・前川 90

11 10) 講 義 大講義室 前川 教科書,参考書, プリント 90

12 11) 講 義 大講義室 前川 教科書,参考書, プリント 90

13 12) 講 義 大講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

14 13) 講 義 大講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

15 1)-13) 期末試験 大講義室 藤岡・前川 90

[注意事項]

(6)教科書・参考書

・教科書:パイン有機化学[I](第5版、廣川書店)

・参考書:ウォーレン有機化学(上)(東京化学同人)

Page 78: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

77

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・9回目の講義終了後に論述形式の試験を行う(40%)。

・14回目の講義終了後に論述形式の試験を行う(50%)。

・出席点を加味する(10%)。

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・3,9,12,14回目の講義の後半に、これまでの講義内容に関する10分間の小テストを行なう。その

後、正解を伝え簡単な解説を行い、自己採点させ回収する。この結果から講義の理解度を把握し、以後の授

業に反映させるとともに学生に復習を促す。

Page 79: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

78

有機化学 II(Organic Chemistry II )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 好光健彦(06-6879-8213, [email protected], 本館5階514)

<オフイスアワー:金曜日午後1時から2時>

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:III

・曜日・時限:火曜・3時限 ・場 所:大講義室

(2)有機化学教育の中での位置付け

「有機化学II」では、「有機化学I・有機化学III」と共に基礎的な有機化学の知識の取得を目的とし、主に飽和

炭素上の求核置換反応、脱離反応、不飽和炭素に対する求電子付加反応、共役化合物に対する付加反応に関する

講義を行う。本講義は、「実践化学・有機医薬化学・有機合成化学・精密合成化学・生物有機化学」のような、

より高度な応用有機化学を理解するための基礎となる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として医薬品を分子レベルで正しく理解し、使用するために、医薬品を構成する有機物

質の性質や反応性に関する基礎知識を修得する。

【授業の概要】

薬剤師および薬学出身者として医薬品を正しく理解し、使用するためには、医薬品を広く構成する有機物質の

性質や反応性に関する基礎知識を修得しなければならない。そこで本講義では、主に脂肪族有機化合物の性質や

反応、官能基が有機化合物に与える効果に関して解説し、薬剤師および薬学出身者として備えておくべき有機化

学の基本的知識を学習する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

有機ハロゲン化合物を例にとり、二種の求核置換反応(SN2/SN1 反応)の反応機構と生成

物の立体化学の相違について説明する。この回の講義では有機ハロゲン化合物の性質と

反応ならびにカルボカチオンの級数と安定性に関する理解を深めるとともに、絶対配置

の表示法や電子の動きを示す矢印の使い方を習得する。

1)

<解説・キーワード> 飽和炭素上での求核置換反応:二分子求核置換・一分子求核置換反応

と立体化学

C-4(1)【基本事項】9)、

C-4(3)【有機ハロゲン化

合物】1)、2)

反応基質の構造、求核剤の反応性や溶媒の影響など、求核置換反応に影響するさまざま

な因子について説明する。これに関連して、良い脱離基とは何か、共役酸と共役塩基、

炭素の混成軌道、共鳴式の考え方など基本的な事項についても触れる。

2)

<解説・キーワード> 飽和炭素上での求核置換反応:求核置換反応に影響するさまざまな因

C-4(3)【有機ハロゲン化

合物】2)、【官能基の酸

性度・塩基性度】

アルコールを有機ハロゲン化合物に導く反応、エーテルに導く反応(Williamson エーテ

ル合成法)を紹介するとともに、チオール、アミンやアジド、リンなど、さまざまなヘ

テロ求核剤による求核置換反応の例を示す。ここでは、有機ハロゲン化合物やエーテル

の代表的な合成法、さらに、アルコール類、エーテル類、アミン類、チオール類の性質

と反応に関する知識を習得する。

3)

<解説・キーワード> 求核置換反応の応用

C-4(3)【アルコール・

フェノール・チオール】、

【エーテル】、【アミン】

4) ハロヒドリンの分子内求核置換反応によるエポキシド形成とその反応性、さらに、酸性

条件下で起こるアルコールの転位反応に関して実例を挙げながら説明する。これにより、

エーテル類の代表的な性質と反応に関する理解を深めるとともに、オキシラン類の閉開

環における立体特異性と位置選択性に関する知識を習得する。

C-4(3)【有機ハロゲン化

合物】、【アルコール・

フェノール・チオール】

Page 80: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

79

<解説・キーワード> 求核置換反応の応用、隣接基関与、競合する脱離・転位反応、

水素化アルミニウムヒドリドを例にとり、ヒドリド求核剤、グリニャール反応剤やリチ

ウムアセチリドなどの炭素求核剤の性質と反応に関して説明する。

5)

<解説・キーワード> 求核置換反応の応用、ヒドリド、有機金属反応剤

C-4(3)【有機ハロゲン化

合物】2)

有機ハロゲン化合物を例にとり、E2、E1 の脱ハロゲン化水素の反応機構の相違について

説明する。

6)

<解説・キーワード> 脱離反応:種々の脱離反応と反応機構

C-4(3)【有機ハロゲン化

合物】3)

E2反応と立体化学の関係ならびに脱離の方向性(Saytzeff則とHofmann則)について説

明する。

7)

<解説・キーワード> 脱離反応:脱離と立体化学

C-4(3)【有機ハロゲン化

合物】3)、C-5(1)官能基

の導入・変換

アルケンへの臭素のトランス付加を例にとり、ハロゲンの付加と立体化学について説明

する。また、アルケンへのハロゲン化水素の付加反応の位置選択性(マルコフニコフ則)、

ハロエーテルの生成と位置選択性についても説明する。

8)

<解説・キーワード> 不飽和炭素に対する求電子的付加:ハロゲンの付加と立体化学

C-4(2)【アルケン・アル

キンの反応性】2)

酸性条件下でのアルケンの水和反応とヒドロホウ素化‐酸化反応を対比させながら、そ

れぞれの付加の位置ならびに立体選択性に関して説明する。

9)

<解説・キーワード> 不飽和炭素に対する求電子的付加:水和反応とヒドロホウ素化‐酸化

反応、マルコフニコフ則

C-4(2)【アルケン・アル

キンの反応性】1)、3)、

C-5(1)官能基の導入・変

換【位置および立体選択

性】

接触水素添加反応やエポキシ化、ジヒドロキシル化反応などアルケンに対するさまざま

なシン型付加反応の反応機構について説明する。

10)

<解説・キーワード> 不飽和炭素に対するシン付加反応:接触水素添加、エポキシ化、ジヒ

ドロキシル化反応

C-4(2)【アルケン・アル

キンの反応性】1)

オゾン分解によるアルケンの酸化的解裂反応、、カルベン付加、ラジカル付加反応などア

ルケンに対するさまざまな反応を紹介する。

11)

<解説・キーワード> 不飽和炭素に対するさまざまな付加反応:オゾン分解、カルベン付加、

ラジカル付加

C-4(2)【アルケン・アル

キンの反応性】6)

ブタジエンに対する臭素の付加を例にとり、共役ジエンへのハロゲンの付加反応の特徴

について説明する。

12)

<解説・キーワード> 共役化合物に対する付加反応:1,2-付加と1,4-付加

C-4(2)【アルケン・アル

キンの反応性】5)

代表的な共役ジエンであるシクロペンタジエンと無水マレイン酸の付加反応を例にとり、

Diels-Alder反応の特徴を説明する。

13)

<解説・キーワード> 共役化合物に対する付加反応:ペリ環状反応、Diels-Alder反応と立体

化学

C-5 (2)【炭素骨格の構

築法】1)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

2 2) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

3 3) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

4 4) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

5 5) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

6 1)-5) 中間試験 大講義室 好光 90

7 6) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

8 7) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

Page 81: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

80

9 8) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

10 9) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

11 10) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

12 11) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

13 12) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

14 13) 講 義 大講義室 好光 参考書, プリント 90

15 6)-13) 期末試験 大講義室 好光 90

(6)教科書・参考書

・教科書:パイン有機化学(I)および(II)

・参考書:ボルハルト・ショアー現代有機化学(上)(下)(第4版、化学同人)、ウォーレン有機化学(上)

(下)(東京化学同人)、有機化学基礎の基礎 100 のコンセプト 山本嘉則編著(化学同人)、知っておきた

い有機反応 日本薬学会編(東京化学同人)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・6回目および15回目の講義時間に論述形式の試験を行なう(各50%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・本講義は、教科書(パイン有機化学)とともに、講義担当者が各種参考書をもとに作成したプリントを併用

して行う。このプリントには、学習者が講義内容をどの程度理解できたかを確認する指標となる問題が随所に設

定されている。学習者の学習効率を高めるために、これらの設問に対する詳しい解答および解説を作成・配布す

る。

Page 82: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

81

実践化学 I(Practical Chemistry I )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 張 功幸(06-6879-8201, [email protected], 本館3階315)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から3時>

兒玉哲也(06-6879-8202, [email protected], 本館3階318)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から3時>

荒井雅吉(06-6879-8217, [email protected], 本館3階303)

<オフィスアワー:金曜日午後1時から2時>

古徳直之(06-6879-8216, [email protected], 本館3階302)

<オフィスアワー:金曜日午後1時から2時>

好光健彦(06-6879-8213, [email protected], 本館5階514)

<オフィスアワー:金曜日午後1時から2時>

小島直人(06-6879-8212, [email protected], 本館5階514)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から3時>

前川智弘(06-6879-8226, [email protected], 本館4階413)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

村井健一(06-6879-8227, [email protected], 本館4階414)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

大久保忠恭(06-6879-8223, [email protected], 本館2階215)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

吉田卓也(06-6879-8222, [email protected], 本館2階210)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:必修、薬学科:必修) ・セメスター:III

・曜日・時限:金曜・4時限 ・場 所:第1講義室、第2講義室

(2)化学教育の中での位置付け

医薬品などの化学物質を扱う上で、その物質の構造からその反応性や安定性などを考察できる力を持つことは

非常に重要である。物理化学・有機化学は、まさにこれらの基本的知識を取り扱う力を身につけるべく教育を行

うが、学んだ知識が生かせなければ、実際に社会に出てから通用しない。本実践化学Iの講義により、これまで

「有機化学 I」「有機化学 II」、「物理化学 I」で学んできた知識をより深く身につけると共に、実践的な内容を

学習することで、より専門的な知識を習得するための基礎力を身につける

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として化学物質(医薬品および生体物質を含む)の基本的な反応性・性質を理解するた

めに、化学における諸反応・諸現象を理論的に理解・解釈し、応用できる基礎力を修得する。

【授業の概要】

本講義の前半では、有機化学I、IIで学んだ酸・塩基、互変異性、共鳴理論、電子の移動による化学反応の理

論的解明、立体化学、配置カルボニル基の付加および置換反応の基礎を、問題解明型形式で反復学習し、その理

解を深める。後半では、分子化学A、化学熱力学、物理化学Ⅰで学んだ物理化学の中核をなす量子力学、熱力学、

統計熱力学及び構造化学について基礎的な概念及び解法を体験的学習を併用して習熟し、物理化学的見方を化学

一般に具体的に適用する能力を取得する。さらに、薬学の基礎である物理化学の様々な法則や原理を実際の問題

に適用して解決に導く普遍的な方法論を理解して、実践的化学としての技能を磨く。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

1) 矢印の使い方、共鳴(1) C-4(1) 【 基 本 事項】

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82

<解説・キーワード> 有機化学を電子の動きで表現する場合に最も重要な矢印の使い方、さ

らには電子の動きを支配する誘起効果、共鳴効果等を理解し、有機化学の基礎的な知識

を学ぶ。

3)-5),9),C-4(2)【芳香族

化合物の反応性】1)

矢印の使い方、共鳴(2) 2)

<解説・キーワード> 1 回目に引き続き、矢印の使い方、誘起効果、共鳴効果等を繰り返し

学習しその理解を深める。

C-4(1) 【 基 本 事項】

3)-5),9),C-4(2)【芳香族

化合物の反応性】1)

酸性度、塩基性度 3)

<解説・キーワード> 化合物の性質(反応性)を知る上で重要な酸性度、塩基性度について

理解を深める。

C-4(1) 【 基 本 事項】

3)-7),9),C-4(2)【芳香族

化 合 物 の 反 応 性 】

1),C-4(3)【官能基の酸性

度・塩基性度】1)-3)

立体化学(立体配置と立体配座) 4)

<解説・キーワード> 化合物の三次元構造を理解し、その基本である立体配置と立体配座に

関する理解を深める。

C-4(1)【有機化合物の立体

構造】1),2),6),7)

立体化学(キラリティと光学活性) 5)

<解説・キーワード> 特に医薬品における重要な問題であるキラリティと光学活性について

絶対配置の決定法、光学純度算出法、立体配置の表現法などの基礎的知識の理解を深め

る。

C-4(3)【有機化合物の立体

構造】1)-7)

カルボニル基に対する求核付加 6)

<解説・キーワード> カルボニル基への様々な求核種(水素求核種、炭素求核種、酸素求核

種、窒素求核種、硫黄求核種)の付加反応、さらにはWittig反応について学習し、基礎

的理解を深める。

C-4(1)【基本事項】9)

C-4(3)【アルデヒド・ケト

ン・カルボン酸】1)

C-5(2)【炭素骨格の構築

法】4)

カルボニル基上の求核置換反応 7)

<解説・キーワード> カルボン酸およびカルボン酸誘導体(酸無水物、エステル、酸ハロ

ゲン化物、アミド)に対する種々の求核置換反応について学習し、基礎的理解を深める。

C-4 (3) 【アルデヒド・ケ

トン・カルボン酸】2),3)

熱力学 8)

<解説・キーワード> 熱力学第一法則、第二法則を式を用いて理解し、代表的な物理変化、

化学変化に伴う熱・仕事量・エンタルピー・エントロピーを計算できる技能を磨く。

分子対称 9)

<解説・キーワード> 分子や分子集合体の対称性の概念を理解し、対称分子の模型等を通し

て対称要素・対称操作を学び点群の基礎的知識を把握する。

量子力学 10)

<解説・キーワード> 原子・分子を理解する上での基本であるシュレディンガー方程式の計

算を行い、原子軌道・分子軌道の概念と量子数の意味についての理解を深める。

統計熱力学 11)

<解説・キーワード> 分子運動とエネルギーの関係について理解し、エネルギーの量子化と

ボルツマン分布の導出を行い統計熱力学の計算ができる技能を習熟する。

構造生物学 12)

<解説・キーワード> 統計熱力学と構造生物学を組み合わせて、生体高分子の動的挙動と相

互作用様式の基礎的概念について学ぶ。

溶液と界面化学 13)

<解説・キーワード> 浸透圧、沸点上昇、凝固点降下等の溶液の束一的性質に関連する理想

溶液の性質と概念を実例を通じて学ぶ。

Page 84: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

83

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講義・演習 第1・第2講義室 前川・村井 参考書, プリント 90

2 2) 講義・演習 第1・第2講義室 前川・村井 参考書, プリント 90

3 3) 講義・演習 第1・第2講義室 前川・村井 参考書, プリント 90

4 4) 講義・演習 第1・第2講義室 荒井・古徳 参考書, プリント 90

5 5) 講義・演習 第1・第2講義室 荒井・古徳 参考書, プリント 90

6 6) 講義・演習 第1・第2講義室 小島・好光 参考書, プリント 90

7 7) 講義・演習 第1・第2講義室 張・兒玉 参考書, プリント 90

8 1)-7) 中間試験 第1・第2講義室 90

9 8) 講義・演習 第1・第2講義室 大久保・吉田 参考書, プリント 90

10 9) 講義・演習 第1・第2講義室 大久保・吉田 参考書, プリント 90

11 10) 講義・演習 第1・第2講義室 大久保・吉田 参考書, プリント 90

12 11) 講義・演習 第1・第2講義室 大久保・吉田 参考書, プリント 90

13 12) 講義・演習 第1・第2講義室 大久保・吉田 参考書, プリント 90

14 13) 講義・演習 第1・第2講義室 大久保・吉田 参考書, プリント 90

15 8)-13) 期末試験 第1・第2講義室 大久保・吉田 90

(6)参考書

・参考書:パイン有機化学[I](第5版、廣川書店)、ウォーレン有機化学(上)(東京化学同人)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・7回目の講義終了後に論述形式の試験を行う(45%)。

・14回目の講義終了後に論述形式の試験を行う(45%)。

・出席点を加味する(10%)。

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・数人のTAに参加してもらい、出来るだけ多くの学生と対話・指導を行い、問題点や疑問点を拾い上げて以

後の授業に反映させる。

(8)特記事項

・有機化学Iの単位を取得しておくことが望ましい。

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84

有機化学 III(Organic Chemistry III )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 小比賀聡(06-6879-8200, [email protected], 本館3階312)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

張 功幸(06-6879-8201, [email protected], 本館3階315)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

兒玉哲也(06-6879-8202, [email protected], 本館3階318)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:必修、薬学科:必修) ・セメスター:IV

・曜日・時限:火曜・1時限 ・場 所:大講義室

(2)薬学教育の中での位置付け

「有機化学III」は、「有機化学I」、「有機化学II」と共に基礎的な有機化学の知識の取得を目的とする講義であ

る。「有機化学I」、「有機化学II」の内容を十分に理解した上で本講義を履修することにより、内容をより深く理

解できる。また、本講義は、「実践化学」、「有機医薬化学」、「有機合成化学」、「精密合成化学」、「生物有機化学」

のような、より高度な応用有機化学を理解するための基礎となる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として、有機化学に関する知識を有効活用しヒトの健康の維持・増進に貢献するために、

有機化学反応を論理的に理解するための基礎知識を修得する。

【授業の概要】

有機化学は医薬品等の合成や製造の研究に携わる者のみならず、全ての薬学領域の学習者にとって基礎的かつ必

須の学問である。また、有機化学の最近の進歩は、有機化学反応を理論的に理解することを可能にした。有機化学

I、II、 III の講義は、有機化学における諸反応あるいは諸現象を理論的に理解し、解釈し、かつ応用するための基

礎力の養成を目的として開講される。その中で有機化学IIIは、芳香族化合物の反応、有機合成、ラジカル、分

子転位、光化学について概説する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

環状ポリエンの特性を学び、芳香族性(Huckel 則)の概念を理解する。また、代表的な

芳香族化合物について構造と物性を学ぶ。

1)

<解説・キーワード> Huckel則、芳香族化合物、芳香族性、反芳香族性

C-4 (2)【芳香族化合物の

反応性】1),2)

芳香族化合物の求電子置換反応の機構を学び、その反応性および配向性に及ぼす置換基

の効果を定性的、定量的に理解する。

2)

<解説・キーワード> 芳香族化合物の求電子置換反応、付加―脱離機構、配向性

C-4 (2)【芳香族化合物の

反応性】3),4)

芳香族化合物の求電子置換反応のうち、ヘテロ原子を求電子体とする反応(ニトロ化、

ハロゲン化、スルホン化等)及び、炭素求電子体を用いる反応(Friedel-Crafts反応等)

について学ぶ。

3)

<解説・キーワード> 芳香族化合物の求電子置換反応、ニトロ化、ハロゲン化、スルホン化、

Friedel-Crafts反応、アシル化、アルキル化

C-4 (2)【芳香族化合物の

反応性】3),4)

芳香族化合物の代表的な求核置換反応(付加-脱離機構、脱離-付加機構、アリールカチ

オン機構等)について理解を深める。

4)

<解説・キーワード> 芳香族化合物の求核置換反応、ベンザイン、ジアゾニウム塩

C-4 (2)【芳香族化合物の

反応性】5)

5) 多環式芳香族化合物の合成、反応、置換基効果について学ぶ。また、多環式芳香族化合

物の発がん性についても理解する。

C-4 (2)【芳香族化合物の

反応性】3),4)

Page 86: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

85

<解説・キーワード> 多環式芳香族化合物、発がん性物質

複素環式芳香族化合物の芳香族性について学ぶとともに、芳香族化合物の合成法を知る。

さらに芳香族化合物の反応性および配向性について理解する。

6)

<解説・キーワード> 複素環、芳香族性、求電子置換反応

C-6 (1)【生体内で機能す

る複素環】1)、C-6 (2)【医

薬品に含まれる複素環】

1)-5)

合成計画を立案する際のポイントとなるレトロ合成計画や収率の考え方について学ぶ。

さらに、反応のタイプに応じたシントンの分割方法を理解する。

7)

<解説・キーワード> レトロ合成、シントン

C-5 (2)【総合演習】1)

官能基の相互変換の方法、反応の選択性について、保護基の利用、官能基の除去等を学

び、合成計画に対する知識を深める。また、立体化学に関しても考察する。

8)

<解説・キーワード> 反応の選択性、保護基、官能基、立体化学

C-5 (2)【総合演習】1)

身近なラジカルの例を学ぶとともに、ラジカルの特性として重要な事項(ラジカルの生

成、伝搬や反応性、立体化学)について理解する。

9)

<解説・キーワード> ラジカル、連鎖反応、水素引き抜き

C-4 (1)【基本事項】

4),7),9)、 C-4 (2)

ラジカルが関与する代表的反応として、フラグメンテーション、置換反応、付加反応、

酸化・還元反応について学ぶ。

10)

<解説・キーワード> ラジカル、フラグメンテーション

C-4 (2)【アルケン・アル

キンの反応性】3)、C-4 (3)

【有機ハロゲン化合物】

1)、【アルコール・フェノー

ル・チオール】3)

分子転位による炭素骨格の変換について基本的な事項を理解する。また、電子不足原子

への転位反応について機構を学び、ピナコール転位を中心に理解を深める。

11)

<解説・キーワード> 転位反応、電子不足炭素原子への転位、ピナコール転位

C-5 (2)【炭素骨格の構築

法】2)

ピナコール転位以外の電子不足原子への転位反応(Wolff 転位や Hofmann 転位、

Baeyer-Villiger転位等)について学ぶ。さらに、他の分子転位(シグマトロピー転位等)

についても理解する。

12)

<解説・キーワード> 転位反応、電子不足原子への転位、Wolff 転位、Hofmann 転位、

Baeyer-Villiger転位、シグマトロピー転位

C-5 (2)【炭素骨格の構築

法】2)

光化学の基本的な原理を理解し、いくつかの光化学反応について学ぶ。また、蛍光、化

学発光、生物発光の基礎的概念を理解する。

13)

<解説・キーワード> 蛍光、りん光、化学ルミネッセンス、生物発光

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 大講義室 小比賀 教科書, プリント 90

2 2) 講 義 大講義室 小比賀 教科書, プリント 90

3 3) 講 義 大講義室 小比賀 教科書, プリント 90

4 4) 講 義 大講義室 小比賀 教科書, プリント 90

5 5) 講 義 大講義室 小比賀 教科書, プリント 90

6 6) 講 義 大講義室 張 教科書, プリント 90

7 1-6) 講 義 大講義室 小比賀 教科書, プリント 90

8 7) 講 義 大講義室 小比賀 教科書, プリント 90

9 8) 講 義 大講義室 小比賀 教科書, プリント 90

10 9) 講 義 大講義室 兒玉 教科書, プリント 90

11 10) 講 義 大講義室 兒玉 教科書, プリント 90

12 11) 講 義 大講義室 張 教科書, プリント 90

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86

13 12) 講 義 大講義室 張 教科書, プリント 90

14 13) 講 義 大講義室 張 教科書, プリント 90

15 7-13) 講 義 大講義室 小比賀 教科書, プリント 90

[注意事項]

*:有機化学の最先端の潮流を体験してもらうために、必要に応じて最新の英語文献に関する解説を行う。

(6)教科書・参考書

・教科書:第5版 パイン有機化学[II](廣川書店)

・参考書:ウォーレン有機化学上、下(東京化学同人)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・15回目の講義終了後に論述形式の試験を行なう(80%)、さらに出席(20%)を加味して判定を行う。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・必要に応じて、各回の講義の終了前に、出席点呼を兼ね、講義内容に関する小テストあるいは小レポートを

課す。この結果から講義の理解度を把握し、以後の授業に反映させる。

(8)特記事項

・特になし。

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87

実践化学 II(Practical Chemistry II )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 張 功幸(06-6879-8201, [email protected], 本館3階315)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から3時>

兒玉哲也(06-6879-8202, [email protected], 本館3階318)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から3時>

荒井雅吉(06-6879-8217, [email protected], 本館3階303)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から2時>

古徳直之(06-6879-8216, [email protected], 本館3階302)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から2時>

好光健彦(06-6879-8213,[email protected],本館5階514)

<オフィスアワー:金曜日午後1時から2時>

小島直人(06-6879-8212, [email protected], 本館5階514)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から3時>

前川智弘(06-6879-8226,[email protected],本館4階413)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

村井健一(06-6879-8227, [email protected], 本館4階414)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

宇野公之(06-6879-8205, [email protected], 本館5階510)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

青山 浩(06-6879-8206, [email protected], 本館5階501)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

山下沢(06-6879-8208, [email protected], 本館5階502)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:必修、薬学科:必修) ・セメスター:IV

・曜日・時限:木曜・1時限 ・場 所:第1講義室、第2講義室

(2)化学教育の中での位置付け

医薬品などの化学物質を扱う上で、その物質の構造からその反応性や安定性などを考察できる力を持つことは非

常に重要である。物理化学・有機化学は、まさにこれらの基本的知識を取り扱う力を身につけるべく教育を行う

が、学んだ知識が生かせなければ、実際に社会に出てから通用しない。本実践化学IIの講義により、これまで

「有機化学 I」「有機化学 II」、「分析化学 I」で学んできた知識をより深く身につけると共に、実践的な内容を

学習することで、より専門的な知識を習得するための基礎力を身につける

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として化学物質(医薬品および生体物質を含む)の基本的な反応性・性質を理解するた

めに、化学における諸反応・諸現象を理論的に理解・解釈し、応用できる基礎力を修得する。

【授業の概要】

講義の前半(1回~7回)では、生体の機能や医薬品の働きが三次元的な相互作用によって支配されているこ

とを理解するために、生体分子の立体構造、生体分子が関与する相互作用を解析する手法に関する基本的知識を

修得することを目的とする。英語資料『PROTEINS~structure and function~(David Whitford著)』の中から、

6項目の機器分析法を取り上げ、各グループが1項目を担当し、3回の講義で内容をまとめて、最終日(7回目)

にプレゼンテーションを行う。残りの5項目に関しては、他のグループのプレゼンテーションと質疑応答により

理解してレポートを提出する。また種々の化学分析法の基礎知識及び臨床における代表的な分析法を理解するた

めに、演習問題を中心とした3回の講義を行う。これにより各種分析法の理解を深めるだけでなく、英語及びプ

レゼンテーション能力の向上を目指す。

また、後半では、有機化学I、IIで学んだ求核置換反応、脱離反応、付加反応、芳香族化合物やラジカル、分子

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88

転位に関する基礎的知識を深めるとともに問題解決能力、実践能力の育成を目的とし、問題演習を中心にグルー

プ討論形式で講義を行う。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

振動分光スペクトル」、「質量スペクトル」、「円偏光スペクトル」を理解する。 1)

<解説・キーワード> 赤外・ラマン分光スペクトルの原理と、生体分子の解析への応用例につ

いて説明できる。旋光度測定法(旋光分散)、円偏光二色性測定法の原理と、生体分子の解

析への応用例について説明できる。質量分析法の原理を説明でき、生体分子の解析への応

用例について説明できる。

C-3 (1)【分光分析法】

3),5)

C-3 (1)【質量分析】1),2)

「電子スピンスペクトル」、「X線結晶構造解析」、「液体クロマトグラフ分析」を理解する。 2)

<解説・キーワード> 電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定法の原理と、生体分子の解析への

応用例について説明できる。X線結晶解析の原理を概説でき、生体分子の解析への応用例

について説明できる。液体クロマトグラフィーの特徴と分離機構を説明でき、クロマトグ

ラフィーで用いられる代表的な検出法と装置を説明できる。

C-3 (1)【分光分析法】

4)

C-3 (1) 【X線結晶解析】

1),2)

C-2 (2)【クロマトグラ

フィー】1)-3)

1)、2)の項目に関して発表用資料をまとめる。 3)

<解説・キーワード> 代表的な分光スペクトルを測定し、構造との関連を説明できる。

C-1 (1)【原子・分子】

5)

演習問題を中心として「紫外可視吸光分析法」の基礎知識と実践能力の育成を行う。 4)

<解説・キーワード> 紫外可視吸光度測定法の原理を説明し、生体分子の解析への応用例につ

いて説明できる。

C-3 (1)【分光分析法】

1)

演習問題を中心として「蛍光光度法」の基礎知識と実践能力の育成を行う。 5)

<解説・キーワード> 蛍光光度法の原理を説明し、生体分子の解析への応用例について説明で

きる。

C-3 (1)【分光分析法】

2)

演習問題を中心として「原子吸光分析法」、「発光分析法」の基礎知識と実践能力の育成を

行う。

6)

<解説・キーワード> 原子吸光光度法及び発光分析法の原理、操作法および応用例を説明でき

る。

C-2 (2)【金属元素の分

析】1),2)

各グループがプレゼンテーションを行い、他のグループが発表した内容のレポートを提出

する。

7)

<解説・キーワード> 代表的な生体分子(核酸、タンパク質)の紫外および蛍光スペクトルを

測定し、構造上の特徴と関連付けて説明できる。

C-3 (1)【分光分析法】

6)

飽和炭素上での求核置換反応をについて、その反応機構や生成物の立体化学について説明

できる。

8)

<解説・キーワード> SN1機構, SN2機構, 脱離基

C-4 (1)【基本事項】5),9)

C-4 (3)【有機ハロゲン

化物】2)

脱離反応について、その反応機構や生成物の立体化学について説明できる。 9)

<解説・キーワード> E2機構、E1機構、E1cB機構

C-4 (1)【基本事項】5),9)

C-4 (3)【有機ハロゲン

化物】3)

アルケンやアルキンなど不飽和炭素上での求電子付加反応について、反応機構や反応の位

置選択性を説明できる。

10)

<解説・キーワード> syn付加、anti付加、Markovnikov則

C-4 (2)【アルケン・ア

ルキンの反応性】1)̃5),

7)

C-5 (2)【炭素骨格の構

築法】1)

芳香族化合物の性質と反応について説明できる。 11)

<解説・キーワード> Hückel則、芳香族求電子置換反応、芳香族求核置換反応、配向性

C-4 (1)【基本事項】3),9)

C-4 (2)【芳香族化合物

の反応性】1)-5)

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89

多環式および複素環式芳香族化合物の性質と反応について説明できる。 12)

<解説・キーワード> 複素環化合物、芳香族求電子置換反応、芳香族求核置換反応

C-4 (1)【基本事項】9)

C-6 (2)【医薬品に含ま

れる複素環】4),5)

反応活性種としてのラジカルの性質やそれを用いる有機合成反応について説明できる。 13)

<解説・キーワード> ラジカルの安定性, 求核的ラジカル, 求電子的ラジカル, 連鎖反応

C-4 (1)【基本事項】7),

9)

14) 期末試験

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1):グループ 1-6

4):グループ 7-12

講義・演習 第1・第2講

義室

宇野・青山・山下 参考書, プリント 90

2 2):グループ 1-6

5):グループ 7-12

講義・演習 第1・第2講

義室

宇野・青山・山下 参考書, プリント 90

3 3):グループ 1-6

6):グループ 7-12

講義・演習 第1・第2講

義室

宇野・青山・山下 参考書, プリント 90

4 4):グループ 1-6

1):グループ 7-12

講義・演習 第1・第2講

義室

宇野・青山・山下 参考書, プリント 90

5 5):グループ 1-6

2):グループ 7-12

講義・演習 第1・第2講

義室

宇野・青山・山下 参考書, プリント 90

6 6):グループ 1-6

3):グループ 7-12

講義・演習 第1・第2講

義室

宇野・青山・山下 参考書, プリント 90

7 7) 演習 第1・第2講

義室

宇野・青山・山下 参考書, プリント 90

8 8) 講義・演習 第1・第2講

義室

好光・小島 参考書, プリント 90

9 9) 講義・演習 第1・第2講

義室

兒玉・張 参考書, プリント 90

10 10) 講義・演習 第1・第2講

義室

荒井・古徳 参考書, プリント 90

11 11) 講義・演習 第1・第2講

義室

張・兒玉 参考書, プリント 90

12 12) 講義・演習 第1・第2講

義室

張・兒玉 参考書, プリント 90

13 13) 講義・演習 第1・第2講

義室

好光・小島 参考書, プリント 90

14 13) 講義・演習 第1・第2講

義室

小島・好光 参考書, プリント 90

15 8)-14) 期末試験 第1・第2講

義室

前川・村井 90

[注意事項]

(6)参考書

・参考書:パイン有機化学[I](第5版、廣川書店)、ウォーレン有機化学(上)(東京化学同人)、『PROTEINS

~structure and function~(David Whitford著)』

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・前半(1~7回)は、論述形式の演習問題(30%)、及びレポート(40%)、出席点(30%)により評価する。

・後半(8~15回)は、講義終了後に筆記形式の試験を行い、理解度を評価する。

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

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90

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・数人のTAに参加してもらい、出来るだけ多くの学生と対話・指導を行い、問題点や疑問点を拾い上げて以

後の授業に反映させる。

(8)特記事項

・有機化学I, II、分析化学Iの単位を取得しておくことが望ましい。

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91

有機医薬化学(Advanced Organic and Medicinal Chemistry )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 藤岡弘道(06-6879-8225, [email protected], 本館4階412)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

前川智弘(06-6879-8226, [email protected], 本館4階413)

<オフィスアワー:月曜日午後2時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:必修、薬学科:必修) ・セメスター:V

・曜日・時限:火曜・1時限 ・場 所:第1講義室

(2)有機化学教育の中での位置付け

「有機医薬化学」は、「有機化学I(第IIセメスター)」、「有機化学II(第IIIセメスター)」、「有機化学III

(第IVセメスター)」、「実践化学I(第IIIセメスター)」、実践化学II(第IVセメスター)」で学んだ有機化

学的知識を基に第Vセメスターに開講され、医薬品化学を有機化学的側面から学習する。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬学出身者として医薬品に携わっていくうえで薬がどのように作用しているかを理解するために、有機化学か

ら見た医薬品と標的生体分子との相互作用および基盤となるサイエンスと技術に関する基本的な知識を修得する。

【授業の概要】

本講義では創薬化学として、薬を開発するにあたって、どのような化合物をいかにして合成するか、また、ど

のような基礎的分子骨格が、目的とする薬物作用を持つのか?最大の活性を示すためには、どのような分子構造

がよいのか?この重要な問題に対しては、実際に臨床に用いられている薬について、発見の歴史、開発過程、化

学構造と活性の相関、ならびにその合成法について有機化学を中心に論述する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

創薬化学総論(薬の歴史) 1)

<解説・キーワード> 薬の歴史について理解する

C-17(2)【医薬品創製の歴

史】1)

創薬化学総論(開発の手順、薬物分子の設計) 2)

<解説・キーワード> 薬の開発手順や、実際の薬の設計などについて理解する

C-17(2) 【医薬品創製の歴

史】1),【標的生体分子と

の相互作用】1),【スクリー

ニング】1),2), 【リード

化合物の最適化】1)-3)

創薬化学総論(キラル医薬品、含フッ素医薬品) 3)

<解説・キーワード> 薬が効くこと(生物活性)と立体化学、さらには重要なフッ素原子を

含む医薬品について学ぶ

C-17(2) 【標的生体分子と

の相互作用】2)-4),【リー

ド化合物の最適化】1)-3)

有機合成医薬品各論、中枢神経作用薬 4)

<解説・キーワード>中枢神経作用薬を取り上げ、代表的な薬物、その合成法などを学ぶ

C-17(2) 【標的生体分子と

の相互作用】1)-4)

抗ヒスタミン薬、ヒスタミンH2拮抗薬 5)

<解説・キーワード> 抗ヒスタミン薬、ヒスタミン H2 拮抗薬を取り上げ、代表的な薬物、

作用機序、その合成法等を学ぶ

C-17(2) 【標的生体分子と

の相互作用】1)-4)

抗炎症薬、自律神経作用薬 6)

<解説・キーワード> 抗炎症薬、自律神経作用薬を取り上げ、代表的な薬物、作用機序、そ

の合成法等を学ぶ

C-17(2) 【標的生体分子と

の相互作用】1)-4)

降圧薬 7)

<解説・キーワード> 降圧薬を取り上げ、代表的な薬物、作用機序、その合成法等を学ぶ

C-17(2) 【標的生体分子と

の相互作用】1)-4)

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92

利尿薬 8)

<解説・キーワード> 利尿薬を取り上げ、代表的な薬物、作用機序、その合成法等を学ぶ

C-17(2) 【標的生体分子と

の相互作用】1)-4)

代謝疾患治療薬(β‐ラクタム系抗生物質) 9)

<解説・キーワード> 代謝疾患治療薬を取り上げ、代表的な薬物、作用機序、その合成法等

を学ぶ

C-17(2) 【標的生体分子と

の相互作用】1)-4)

抗感染症薬 10)

<解説・キーワード> 抗感染症薬を取り上げ、代表的な薬物、作用機序、その合成法等を学

C-17(2) 【標的生体分子と

の相互作用】1)-4)

抗ウイルス薬 11)

<解説・キーワード> 抗ウイルス薬を取り上げ、代表的な薬物、作用機序、その合成法等を

学ぶ

C-17(2) 【標的生体分子と

の相互作用】1)-4)

抗悪性腫瘍薬 12)

<解説・キーワード> 抗悪性腫瘍薬を取り上げ、代表的な薬物、作用機序、その合成法等を

学ぶ

C-17(2) 【標的生体分子と

の相互作用】1)-4)

合成医薬品開発例 13)

<解説・キーワード> 代表的な合成医薬品を取り上げ、その合成法等を学ぶ

C-17(2) 【標的生体分子と

の相互作用】1)-4)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第1講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

2 2) 講 義 第1講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

3 3) 講 義 第1講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

4 4) 講 義 第1講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

5 5) 講 義 第1講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

6 6) 講 義 第1講義室 藤岡 教科書,参考書, プリント 90

7 1)-6) 中間試験 第1講義室 藤岡・前川 90

8 7) 講 義 第1講義室 前川 教科書 90

9 8) 講 義 第1講義室 前川 教科書 90

10 9) 講 義 第1講義室 前川 教科書 90

11 10) 講 義 第1講義室 前川 教科書 90

12 11) 講 義 第1講義室 前川 教科書 90

13 12) 講 義 第1講義室 藤岡 教科書 90

14 13) 講 義 第1講義室 藤岡 教科書 90

15 1)-13) 期末試験 第1講義室 藤岡・前川 90

(6)教科書・参考書

・教科書:創薬化学(北、平岡監修、東京化学同人)

・参考書:パイン有機化学[I]・[II](第5版、廣川書店)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・6回目の講義終了後に論述形式の試験を行う(40%)。

・14回目の講義終了後に論述形式の試験を行う(50%)。

・出席点を加味する(10%)。

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

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93

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するために、15分間のプレ

テストを行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

・6,12,14回目の講義の後半に、これまでの講義内容に関する10分間の小テストを行なう。その後、

正解を伝え簡単な解説を行い、自己採点させ回収する。この結果から講義の理解度を把握し、以後の授業に

反映させるとともに学生に復習を促す。

(8)特記事項

・有機化学I、II、IIIの単位を取得しておくことが望ましい。

・有機化学の基礎を履修し、将来医療産業界での活躍を希望する学生に焦点を当てた創薬化学の講義である。

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94

天然薬物学(Pharmacognosy)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 小林資正(06-6879-8215, [email protected], 本館3階310)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

荒井雅吉(06-6879-8217, [email protected], 本館3階303)

<オフイスアワー:金曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:V

・曜日・時限:金曜・1時限 ・場 所:大講義室

(2)化学薬学教育の中での位置付け

「天然薬物学」では、分析化学、有機化学の知識を基礎に、主に医薬品として利用されている天然有機化合物

の構造解析に必要な知識を修得し、さらにその起原や生合成、薬理作用を有機化学的視点から理解する。本講義

の履修および「生物有機化学I(第6セメスター)」、「薬用植物学(第7セメスター)」、「薬理学I(第5セメスター)」

の履修により、薬剤師および薬学出身者として必要な天然有機化合物に関する理解が深まる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として必要な天然有機化合物の構造解析法を習得する。また主に医薬品として利用さ

れている天然有機化合物の起源、生合成、薬理作用を有機化学的観点から理解する。

【授業の概要】

植物、動物などが産生する二次代謝産物(天然有機化合物)のうち、主として医薬品として利用されている化

合物の化学構造がどのように決定されたのかを理解することを目的として、機器分析による天然有機化合物の構

造解析法を学習する。また、医薬品として利用されている天然有機化合物を紹介し、それらの起源、生合成、薬

理作用、伝統医学の中での位置づけなどについてもあわせて概説することにより天然薬物の全般的な理解を深め

る。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

紫外-可視分光法および赤外分光法の基本原理、化学物質の構造決定における役割とスペ

クトルの解析法を理解する。

1)

<解説・キーワード> UV スペクトル、IRスペクトル

C-4(4)【総論】1).

【紫外可視吸収スペクト

ル】1).【IRスペクトル】

1).

1H-NMRの基本原理とスペクトルから得られる情報を理解する。 2)

<解説・キーワード> 核磁気共鳴、化学シフト、1H-NMR

C-4(4)【総論】1).【1H NMR】

1),2),4).

誘起効果および異方性効果が起きる要因、化学シフトに及ぼす構造的要因を理解する。 3)

<解説・キーワード> 誘起効果、異方性効果、1H-NMR

C-4(4)【1H NMR】1),2).

スピン-スピン結合およびカップリングパターンと結合定数から得られる化学物質の構造

決定における情報を理解する。

4)

<解説・キーワード> スピン-スピン結合定数、1H-NMR

C-4(4)【1H NMR】1),2).

13C-NMRの基本原理とスペクトルから得られる情報を理解する。 5)

<解説・キーワード> 核磁気共鳴、化学シフト、13C-NMR

C-4(4)【13C NMR】

1),2).

2次元NMRの基本原理とスペクトルから得られる情報を理解する。 6)

<解説・キーワード> H-H COSY, C-H COSY

C-4(4) 【1H NMR】1)-7).

【13C NMR】1),2). C-7(2)

【天然物質の取扱い】2).

質量分析法の種類、基本原理とスペクトルから得られる情報を理解する。 7)

<解説・キーワード> イオン化、分子イオンピーク、フラグメンテーション

C-4(4)【マススペクトル】

1)-6).

Page 96: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

95

鎮痛薬と抗生物質の歴史を理解する。 8)

<解説・キーワード> アヘン、モルヒネ、放線菌、真菌、ペニシリン、ストレプトマイシン

B(4)【薬について】2).

C-7(1)【生薬とは何か】

1),2). C-7(1)【薬用植物】

2), 5). 【生薬成分の構

造と生合成】1), 7). C-7

(2)【シーズの探索】1).

【微生物が生み出す医薬

品】1). C14 (5)

トロンパンアルカロイドを含む代表的な生薬の有効成分の化学構造、生合成、薬理作用

を理解する。

9)

<解説・キーワード> トロパンアルカロイド、アトロピン、コカイン

C-7(1)【薬用植物】2),5).

【生薬成分の構造と生合

成】1),4). C-7(2)【シー

ズの探索】1).

強心配糖体を含む生薬の有効成分の化学構造、生合成、薬理作用について理解する。 10)

<解説・キーワード> 強心配糖体、ジギトキシン、ジゴキシン、Gストロファンチン

C-7(1)【薬用植物】2),5).

【生薬成分の構造と生合

成】1), 2), 3). C-7(2)

【シーズの探索】1).

麻黄およびバッカクに含まれるアルカロイド成分の化学構造、生合成、薬理作用を理解

する。

11)

<解説・キーワード> 麻黄、エフェドリン、バッカク、エルゴタミン、エルゴメトリン

C-7(1)【薬用植物】2),5).

【生薬成分の構造と生合

成】1), 4). C-7(2)【シー

ズの探索】1).

健胃生薬に含まれる有効成分の化学構造、生合成、薬理作用を理解する。 12)

<解説・キーワード> 健胃生薬、センノサイド、ベルベリン、ゲラニイン

C-7(1)【薬用植物】2),5).

【生薬成分の構造と生合

成】1), 5),7). C-7(2)

【シーズの探索】1).

精油成分を含有する生薬の有効成分の化学構造、生合成、薬理作用を理解する。 13)

<解説・キーワード> 精油、メントール、リモネン、カンファー

C-7(1)【薬用植物】2),5).

【生薬成分の構造と生合

成】1), 2),6),7). 【農

薬、香粧品としての利用】

1). C-7(2)【シーズの探

索】1).

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号) 学習方法 場 所 担当者 教材

時間数

(分) 備考

1 1) 講 義 大講義室 小林 教科書 90

2 2) 講 義 大講義室 小林 教科書 90

3 3) 講 義 大講義室 小林 教科書 90

4 4) 講 義 大講義室 小林 教科書 90

5 5) 講 義 大講義室 小林 教科書 90

6 6) 講 義 大講義室 小林 教科書 90

7 7) 講 義 大講義室 小林 教科書 90

8 1)-7) 講 義 大講義室 小林 教科書 90

9 8) 講 義 大講義室 荒井 教科書 90

10 9) 講 義 大講義室 荒井 教科書 90

11 10) 講 義 大講義室 荒井 教科書 90

12 11) 講 義 大講義室 荒井 教科書 90

13 12) 講 義 大講義室 荒井 教科書 90

Page 97: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

96

14 13) 講 義 大講義室 荒井 教科書 90

15 1)-13) 試験 大講義室 小林・荒井 90

[注意事項]

必要に応じて補助プリントを配布する。

(6)教科書・参考書

・教科書:「有機化合物のスペクトル解析入門」岡田 恵次 (化学同人)

「医薬品天然物化学(原書第2版)」Dewick PM著, 海老塚豊 監訳(南江堂)

・参考書:「機器分析のてびきI」泉 美治(化学同人)

(7)成績評価(教育評価)出席および期末試験により評価する

【総括的評価】(合否判定)

・全講義終了後に試験を行なう(90%)。

・出席状況(10%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・学習者の理解度向上と把握のため、適宜問題演習や小テストを行うとともに、その結果を以後の講義に反映

する。

Page 98: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

97

生物有機化学 II(Bioorganic Chemistry II )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 土井健史(06-6879-8158, [email protected], 本館2階220)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から1時30分>

小比賀聡(06-6879-8200, [email protected], 本館3階312)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

張 功幸(06-6879-8201, [email protected], 本館3階315)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

橘 敬祐(06-6879-8164, [email protected], 本館2階201)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から1時30分>

岡田欣晃(06-6879-8164, [email protected], 本館2階201)

<オフイスアワー:月曜日午後2時から4時>

兒玉哲也(06-6879-8202, [email protected], 本館3階318)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:必修) ・セメスター:V

・曜日・時限:火曜・2時限 ・場 所:第1講義室

(2)薬学教育の中での位置付け

「生物有機化学II」は、「有機化学I」、「有機化学II」、「有機化学III」の履修により、有機化学的見地から、生

体関連分子の機能をより深く理解することができる科目である。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸について、これらの生体における機能を有機化学的に理解することを

目的とする。薬剤師および薬学出身者として、生体関連分子の生体内における機能に関する知識を有効活用し、

ヒトの健康の維持・増進に貢献するために、生物有機化学に関する基礎知識を修得する。

【授業の概要】

生体関連分子の生体内における機能を有機化学的見地から理解することを目的とし、立体化学の基礎、および

核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質などの生体関連分子の立体構造と性質、機能について概説する。さらに、

核酸やペプチドの合成法と配列決定法、タンパク質の調製と分離、遺伝子変異と発ガンの分子機構について学習

する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

立体異性体について学び、立体配座と立体配置について理解する。Fischer投影式とNewman投影式で立体配座を表記し、エタンおよびブタンの立体配座と安定性について理解する。

1)

<解説・キーワード> 立体異性体、立体配座、立体配置

C-4(1)【有機化合物の立

体構造】1),6),7)

キラリティーと光学活性、エナンチオマーとジアステレオマー、ラセミ体とメソ化合物

について理解する。また、絶対配置の表示法を学び、中心性キラリティー、軸性キラリ

ティー、面性キラリティーを説明できることを目指す。

2)

<解説・キーワード> キラリティー、光学活性、エナンチオマー、ジアステレオマー、絶対

配置

C-4(1)【有機化合物の立

体構造】2)-5)

アミノ酸の構造と性質:アミノ酸の構造(化学構造、立体構造、イオン構造)の特徴に

ついて学び、それぞれのアミノ酸の構造に基づいた性質を理解する。

3)

<解説・キーワード> アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸

C-9 (1)【アミノ酸】1)

4) ペプチドの構造と性質:ペプチドの構造(化学構造、立体構造、イオン構造)の特徴に C-6 (2)【生体分子を模倣

Page 99: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

98

ついて学び、ペプチドの構造に基づいた性質を理解する。ペプチドの一次構造決定法、

Fmocアミノ酸を用いた固相ペプチド合成法について学ぶ

<解説・キーワード> アミノ酸、ペプチド

した医薬品】2)

タンパク質の構造と性質:タンパク質の立体構造の特徴について学び、タンパク質の構

造に基づいた性質を理解する。タンパク質に見られる分子内、分子間相互作用について

学び、その性質を理解する。

5)

<解説・キーワード> ペプチド、タンパク質

C-3 (2)【立体構造】1)-4)、

【相互作用】4)、C-9 (3)

【タンパク質の構造と機

能】2)

タンパク質工学:タンパク質の調製と分離

遺伝子の発現によるタンパク質の調製と分離法について学ぶ。変異を導入したタンパク

質の作製法について学び、その応用について理解する。

6)

<解説・キーワード> 転写、翻訳、タンパク質工学

C-9 (2)【転写と翻訳のメ

カニズム】4)、C-9(3)【タ

ンパク質の取扱い】2)

タンパク質工学:構造と機能

タンパク質工学を用いた構造研究、機能研究について学び、その応用について理解する。 7)

<解説・キーワード> タンパク質工学、構造予測

【タンパク質の構造と機

能】1)-3)

DNAや RNAの構造の基礎となるヌクレオシドの化学構造について、糖の構造や核酸塩基の構造を中心に学び、DNAとRNAの類似点や相違点を理解する。

8)

<解説・キーワード> ヌクレオシド、核酸塩基、糖、リン酸ジエステル結合、水素結合

C-6 (1)【生体分子の化学

構造】4)、C-6 (1)【生体

内で機能する複素環】

1)-2)

ヌクレオシド、ヌクレオチドの化学合成について学ぶとともに、オリゴヌクレオチドの

自動合成(ホスホロアミダイト法)に関する知識を深める。

9)

<解説・キーワード> ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド

C-6 (2)【生体分子を模倣

した医薬品】4)、C-9 (2)

【ヌクレオチドと核酸】

2)-3)

Watson-Crick塩基対について学び、DNAの二重らせん構造について理解を深める。また、DNAやRNAの化学的性質を理解する。

10)

<解説・キーワード> DNA、RNA、アンチセンス法

C-6 (1)【生体分子の化学

構造】4)、C-9 (2)【ヌク

レオチドと核酸】2),3)

DNA塩基配列の決定法:化学反応、酵素反応を利用したDNA塩基配列決定法の原理を学ぶ。

11)

<解説・キーワード> 塩基配列決定法、マクサムギルバート法、ジデオキシ法、PCR、電気泳動、

C9 (2)【転写と翻訳のメ

カニズム】1)、(6)【遺伝

子のクローニング技術】

4)-6)

機能性核酸:高次構造と機能

核酸の高次構造による機能発現について学ぶとともに、その応用について理解する。

12)

<解説・キーワード> リボザイム、アプタマー、機能性RNA

C-6 (2)【生体内分子と反

応する医薬品】1)-2)、C-9

(2)【遺伝情報を担う分

子】1)-3),5)-6)

自然界で起こる遺伝子の変異、人工的に起こる遺伝子の変異について学ぶ。遺伝子の変

異によって生じる病態について理解する。

13)

<解説・キーワード> トランジション、トランスバージョン、ゆらぎ、突然変異誘発剤

C-6 (2)【生体内分子と反

応する医薬品】1)-2)、C-9

(2)【遺伝子の複製・変

異・修復】2)-3)、C-9 (2)

【遺伝子多型】1)

発癌と制癌の分子機構について学ぶ。癌遺伝子について理解を深めるとともに、制癌剤

の開発について学習する。

14)

<解説・キーワード> 化学発癌、制癌剤、インターカレーター、マイナーグルーブ、癌遺伝

子、分子標的薬

C-12 (1)【化学物質によ

る発がん】1)-4)、C-14 (5)

【抗悪性腫瘍薬】1)-8)、

C-17 (3) 【ゲノム情報の

創薬への利用】4)

(5)授業計画(学習方略)

Page 100: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

99

授業回数

(13回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第1講義室 小比賀 参考書, プリント 90

2 2) 講 義 第1講義室 小比賀 参考書, プリント 90

3 3) 講 義 第1講義室 小比賀 参考書, プリント 90

4 4) 講 義 第1講義室 岡田 教科書, プリント 90

5 5) 講 義 第1講義室 岡田 教科書, プリント 90

6 6) 講 義 第1講義室 橘 教科書, プリント 90

7 7) 講 義 第1講義室 橘 教科書, プリント 90

8 1)-7) 講 義 第1講義室 小比賀・橘

・岡田

教科書, プリント 90

9 8) 講 義 第1講義室 張 教科書, プリント 90

10 9) 講 義 第1講義室 張 参考書, プリント 90

11 10) 講 義 第1講義室 張 参考書, プリント 90

12 11) 講 義 第1講義室 兒玉 教科書, プリント 90

13 12) 講 義 第1講義室 兒玉 教科書, プリント 90

14 13)-14) 講 義 第1講義室 小比賀 教科書, プリント 90

15 8)-14) 講 義 第1講義室 小比賀・張

・兒玉

教科書, プリント 90

[注意事項]

*:生物有機化学の最先端の潮流を体験してもらうために、必要に応じて最新の英語文献に関する解説を行う。

(6)教科書・参考書

・教科書:相本・赤路 著「生体分子の化学」化学同人

・参考書:菅原 監訳「マクマリー生物有機化学 有機化学編 生化学編」丸善

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・8、15回目の講義終了後に論述形式の試験を行なう(それぞれ40%ずつ、計80%)、さらに出席(20%)を加

味して判定を行う。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・必要に応じて、各回の講義の終了前に、出席点呼を兼ね、講義内容に関する小テストあるいは小レポートを

課す。この結果から講義の理解度を把握し、以後の授業に反映させる。

(8)特記事項

・特になし。

Page 101: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

100

有機合成化学(Synthetic Organic Chemistry )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 田中徹明(06-6879-8510, [email protected], 本館5階 512)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から2時>

好光健彦(06-6879-8513, [email protected], 本館5階 514)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から3時>

小島直人(06-6879-8512, [email protected], 本館5階 514)

<オフィスアワー:月曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:VI

・曜日・時限:水曜日・1時限 ・場 所:第1講義室

(2)化学系薬学教育の中での位置付け

有機化学 I-III で基礎を一通り学んだ後、創薬研究・生命科学研究への応用に向けて、欲しいものを作る(合

成する)ことができるように実用的でより高度な有機合成化学の知識・手法などを習得する。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

より高度な有機合成化学の知識の習得とその実際的な応用力を身につける。

【授業の概要】

より実用的な有機合成化学の知識の習得とその実際的な応用力を身につけさせることを目的として行う。前半で

は、基礎的な有機化学の知識を有する学生を対象に生物活性天然有機化合物、生体関連物質や医薬品の合成に必

要な有機合成化学への応用力を身につけるように反応の本質、機構などをより深く理解することを目的とする。

後半では、酸化・還元反応の最近の進歩、多様な化合物が得られる転位反応、および、その複素環化合物合成へ

の応用などを通じて電子の多彩な動きを理解すると共に有機化学反応の反応機構的理解を深めつつ,有機合成化

学への応用力を身につけさせることを目的とする.

(4)学習の到達目標

到達目標

モデル・コアカリキュラム対応

多環形成反応(Diels-Alder反応の応用)(1)について概説する。 1)

<解説・キーワード> 位置選択性、立体選択性(エンド則)などを支配する要因を学ぶ。電子求引

性、供与性置換基。π電子軌道の2次的相互作用。

C5(2)【炭素骨格の構

築法】1) 【位置お

よび立体選択性】

1),2)

多環形成反応(Diels-Alder反応の応用)(2)について概説する。 2)

<解説・キーワード> retro-Diels-Alder 反応、inverse-Diels-Alder反応、不斉Diels-Alder 反

C5(2)【炭素骨格の構

築法】1) 【光学活

性化合物】1)

小員環形成反応、隣接基関与 3)

<解説・キーワード> 光および熱[2+2]環化反応、シクロプロパン化反応、カルベン、Simmons-Smith

反応、フェノニウムイオン

C4(2)【アルカン】4)

(3) 【官能基の酸性

度、塩基性度】2,3)

隣接基関与、立体選択的還元反応(1) 4)

<解説・キーワード> チオニウムイオン、アンモニウムイオン、π電子関与、Wilkinson錯体、Birch

還元、

C5(2)【炭素骨格の

構築法】2) C4(1)

【錯体】1,2,6)

立体選択的還元反応(2)、官能基選択的還元反応(1) 5)

<解説・キーワード> ハイドロボレーション、ボラン試薬、アート錯体

C5(2)【位置および

立体選択性】1),2)

6) 官能基選択的還元反応(2) C5(2)【位置および

Page 102: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

101

<解説・キーワード> ヒドリド還元試薬、1,2-および1,4-還元、立体選択性、立体障害 立体選択性】1),2)

【光学活性化合物】

1)

官能基選択的酸化反応(1) 7)

<解説・キーワード> 立体選択的エポキシ化、不斉エポキシ化、オゾン分解、Swern酸化

C5(1)【官能基の導

入・変換】4,7,9)

官能基選択的酸化反応(2) 中間試験 8)

<解説・キーワード> Dess-Martin酸化、Wacker 酸化 他

C5(1)【官能基の導

入・変換】4,7,9)

転位反応(1) 9)

<解説・キーワード> 酸による転位、カチオンを経る転位、転位の方向、転位のしやすさ

C5(2)【炭素骨格の

構築法】2)

転位反応(2) 10)

<解説・キーワード> Beckmann転位、Baeyer-Villiger転位と天然物合成への応用

C6(2)【医薬品に含

まれる複素環】2)

転位反応(3) 11)

<解説・キーワード> ケテンおよびイソシアナートを経る転位と応用

C5(1)【官能基の導

入・変換】8,9,10)

転位反応(4) 12)

<解説・キーワード> Favorskii転位とその方向,Wittig-[1.2]および[2.3]転位

C5(2)【炭素骨格の

構築法】2)

転位反応(5) 13)

<解説・キーワード> シグマトロピー転位、Cope転位、Claisen転位および類似反応

C5(2)【炭素骨格の

構築法】2)

転位反応(6) 14)

<解説・キーワード> 転位反応を利用した天然物合成

C5(2)【総合演習】

1,2)

転位反応(7) 15)

<解説・キーワード> 転位反応を利用した天然物合成、期末試験

C5(2)【総合演習】

1,2)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1-8 1)-8) 講 義 第1講義室 田中 参考書, プリント 90

8 中間試験 第1・第2講義室 田中・好光・小島 90

9-15 9)-15) 講 義 第1講義室 田中 参考書, プリント 90

15 15) 期末試験 第1・第2講義室 田中・好光・小島 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:有機合成のロジック(化学同人)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・中間試験および期末試験の平均点で評価。

・出席はとるが、特に評価の対象とはしない。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・有機化学 I-III で既習内容の復習を兼ねて、特に反応機構の習得を目標に、適宜指導しながら黒板に反応

式を書かせ理解を深めさせる。

Page 103: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

102

精密合成化学(Fine Organic Chemistry )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 田中徹明(06-6879-8210, [email protected], 本館5階512)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から2時>

藤岡弘道(06-6879-8225, [email protected], 本館4階412)

<オフイスアワー:月曜日午後2時から3時>

小島直人(06-6879-8212, [email protected], 本館5階514)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:VI

・曜日・時限:火曜・1時限 ・場 所:第1講義室

(2)有機化学教育の中での位置付け

3年次前半までに有機化学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの講義を通じて有機化学の基礎的な知識を習得してきた。本講義は「有

機合成化学」と共に、より実用的な有機合成化学の知識の習得を目的としている。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

現代有機合成化学の理解において必要となる炭素-炭素結合形成反応における立体化学の制御法・不斉合成法

並びに遷移金属触媒反応に関する知識を習得する。

【授業の概要】

本講義の前半では、有機合成化学において最も基本的かつ重要な炭素-炭素結合形成反応であるアルドール反

応を中心に、立体化学の制御法・不斉合成法を習得し、後半では、近年、無機と有機の学際領域として著しい発

展を見せ、現代の合成化学において必須のものとなっている遷移金属錯体に焦点を当て、その有機合成化学への

応用、更には有機合成において汎用される有用な合成手法について紹介する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

カルボアニオン生成に及ぼすpKaや塩基性度を説明する。 1)

<解説・キーワード> カルボアニオン、ルイス酸、塩基

C-4(1)【基本事項】3),5),

C-4(3)【アルデヒド、ケ

トン、カルボン酸】1),

C-5(2)【炭素骨格構築法】

3)

基本的なアルドール反応、反応性を説明する。 2)

<解説・キーワード>アルドール反応、反応性

C-5(2)【炭素骨格構築法】

4)

化合物の立体化学(トレオ、エリトロ)とアルドール反応の遷移状態モデルについて説

明する。

3)

<解説・キーワード>立体化学、トレオ、エリトロ、遷移状態モデル

C-4(1)【有機化合物の立

体構造】3),

C-4(2)【アルカン】6),7),

C-5(2)【炭素骨格構築法】

4)

実際の反応を通じてアルドール反応の立体化学を説明する。 4)

<解説・キーワード>ジアステレオマー、幾何異性

C-4(1)【有機化合物の立

体構造】3), C-5(2)【炭

素骨格構築法】4)

不斉補助基を組み込んだ不斉アルドール反応を説明する。 5)

<解説・キーワード>不斉補助基、不斉アルドール反応、エナンチオマー

C-4(1)【有機化合物の立

体構造】5), C-5(2)【炭

素骨格構築法】 4),

C-5(2)【光学活性化合物】

Page 104: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

103

1)

不斉触媒を用いる不斉アルドール反応を説明する。 6)

<解説・キーワード>不斉触媒、不斉アルドール反応

C-5(2)【炭素骨格構築法】

4), C-5(2)【光学活性化

合物】1)

遷移金属錯体の構造を18電子則に基づいて説明する。 7)

<解説・キーワード> 18電子則、配位子

C-4(1)【無機化合物】2)

遷移金属触媒反応における素反応を説明する。 8)

<解説・キーワード> 酸化的付加、挿入、β水素脱離、トランスメタル化、還元的脱離

C-4(1)【基本事項】5)

酸化的付加に続く挿入反応によって進行する触媒反応について説明する。 9)

<解説・キーワード> Heck反応、一酸化炭素の挿入反応

C-5(2)【炭素骨格の構築

法】4)

酸化的付加に続くトランスメタル化反応によって進行する触媒反応について説明する。 10)

<解説・キーワード> 玉尾反応、根岸反応、鈴木-宮浦反応、Still 反応、檜山反応、薗頭反

C-5(2)【炭素骨格の構築

法】4)

パラジウム触媒を用いる求核置換反応について説明する。 11)

<解説・キーワード> アリール化反応、芳香族アミンの合成

C-4(2)【芳香族化合物の

反応性】5)

2価パラジウム錯体を用いる酸化反応について説明する。 12)

<解説・キーワード> Wacker酸化

C-5(1)【官能基の導入・

変換】7)

メタセシス反応の基本的な反応機構について説明する。 13)

<解説・キーワード> ホモメタセシス反応、クロスメタセシス反応

C-5(1)【官能基の導入・

変換】1)

閉環メタセシスについて説明する。 14)

<解説・キーワード> 環状化合物の合成

C-5(2)【炭素骨格の構築

法】4)

エンインメタセシス・アルキンメタセシスについて説明する。 15)

<解説・キーワード> 共役ジエンの合成、閉環メタセシス

C-5(2)【炭素骨格の構築

法】4)

不飽和化合物の還元反応について説明する。 16)

<解説・キーワード> 不均一系水素化反応、均一系水素化反応、位置選択的及び官能基選択

的還元反応

C-5(2)【位置および立体

選択性】2)

遷移金属触媒反応の天然物合成への応用について説明する。 17)

<解説・キーワード> 天然物合成への応用

C-5(2)【炭素骨格の構築

法】4)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(7回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第1講義室 藤岡 プリント 90

2 2) 講 義 第1講義室 藤岡 プリント 90

3 3) 講 義 第1講義室 藤岡 プリント 90

4 4) 講 義 第1講義室 藤岡 プリント 90

5 5) 講 義 第1講義室 藤岡 プリント 90

6 6) 講 義 第1講義室 藤岡 プリント 90

7 6) 講 義 第1講義室 藤岡 プリント 90

8 7)-8) 講 義 第1講義室 小島 プリント,参考書 90

9 9)-10) 講 義 第1講義室 小島 プリント,参考書 90

10 11)-12) 講 義 第1講義室 小島 プリント,参考書 90

11 13) 講 義 第1講義室 田中 プリント,参考書 90

12 14)-15) 講 義 第1講義室 田中 プリント,参考書 90

13 16) 講 義 第1講義室 田中 プリント,参考書 90

Page 105: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

104

14 17) 講 義 第1講義室 田中 プリント,参考書 90

15 17) 講 義 第1講義室 田中 プリント,参考書 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:有機合成のための遷移金属触媒反応

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・7回目及び15回目の講義終了後に論述形式の試験を行なう(70%)。

・出席回数(30%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・8~10回目の講義中に、講義内容に関する問題演習を行い、受講学生に回答させる。この結果から講義の

理解度を把握し、以後の講義に反映させる。

Page 106: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

105

生物有機化学 I(Bioorganic Chemistry I )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 小林資正(06-6879-8215, [email protected], 本館3階310)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

古徳直之(06-6879-8216, [email protected], 本館3階302)

<オフイスアワー:金曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:VI

・曜日・時限:火曜・2時限 ・場 所:第1講義室

(2)化学薬学教育の中での位置付け

「生物有機化学I」は、「薬用植物学(第6セメスター)」、「天然薬物学(第5セメスター)」及び「生物有機

化学 II(第 5 セメスター)」の履修により、生体関連分子の機能および医薬品として重要な天然有機化合物の生

合成、生物活性を化学的視点から理解することができる講義である。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として必要な生体関連分子の機能および天然有機化合物の生合成や生物活性を有機化

学的観点から理解する。

【授業の概要】

生体および生命現象を有機化学的見地から理解し、考察することは薬学出身者に求められる重要な能力の一つ

である。また、植物や微生物が生産する天然有機化合物は医薬品もしくはその原料として幅広く利用されており、

重要な地位を占めている。本講義では、糖質や脂質、ステロイドなどの生体関連分子や、医薬品、抗生物質など

に利用される生物活性天然物について、その生合成経路をもとに分類し、生合成の機構や構造的特徴を中心に学

習することで、有機化学的側面から理解を深める。また、代表的な生物活性天然物については、活性発現のメカ

ニズムや、天然物の構造をもとにした新たな医薬品分子設計などについても紹介する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

単糖類の名称と化学構造をもとに、有機化合物の平面構造、立体構造ならびに絶対構造

についての概念とコンホメーションや化学的性質について理解する。

1)

<解説・キーワード> 単糖、アノマー効果、変旋光

C-4(1)【有機化合物の立

体構造】1)-6). C-6(1)【生

体分子の化学構造】2).

C-9(1)【糖質】1),2).

天然に存在する単糖類ならびに多糖類の種類を知り、それらの生物学的な活性と役割に

ついて理解する。

2)

<解説・キーワード> オリゴ糖、多糖、グリコシド

C-6(1)【生体分子の化学

構造】2). C-9(1)【糖質】

3).

シキミ酸経路、酢酸-マロン酸経路、メバロン酸経路など、種々の天然薬物(二次代謝産

物)が生合成される経路の概要を理解する。

3)

<解説・キーワード> 二次代謝産物、生合成

C-7(1)【生薬成分の構造

と生合成】1).

メバロン酸経路の生合成過程の詳細、天然薬物として重要なテルペノイド化合物につい

て理解する。

4)

<解説・キーワード> イソプレノイド、メバロン酸、HMG-CoA

C-7(1)【生薬成分の構造

と生合成】1),2).

モノテルペン、セスキテルペン類の化学構造と生合成、それに関連する香料や代表的な

活性天然化合物について理解する。

5)

<解説・キーワード> 精油、ピレスロイド、Wagner-Meerwein転位

C-7(1)【生薬成分の構造

と生合成】1),2).【農薬、

香粧品としての利用】1).

6) ジテルペン、トリテルペン類の化学構造と生合成、生物活性を有する代表的なジテルペ

ンおよびトリテルペン化合物について理解する。

C-7(1)【生薬成分の構造

と生合成】1),2).

Page 107: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

106

<解説・キーワード> ジベレリン、強心配糖体、サポニン

天然薬物として重要なステロイド化合物やステロイドホルモンの生合成およびその生物

活性・生理活性を理解する。

7)

<解説・キーワード> ステロイド、ホルモン

C-6(2)【生体分子を模倣

した医薬品】3). C-7(1)

【生薬成分の構造と生合

成】1),2),3). C-9(1)【脂

質】4).

天然に存在する脂質の種類と基本構造、生合成および生体内における役割を理解する。 8)

<解説・キーワード> 酢酸-マロン酸経路、脂肪酸、リン脂質

C-3 (2)【立体構造】1),

6). C-6 (1)【生体分子の

化学構造】5). C-8(2)【細

胞膜】1),2). C-9(1)【脂

質】1)-4).

プロスタノイド類の化学構造と生合成およびそれらの生理作用について理解する。 9)

<解説・キーワード> 必須脂肪酸、アラキドン酸、プロスタグランジン

C-9 (1)【オータコイドな

ど】1)-3).

水溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミンの構造と生体内での働きについて、化学的側面か

ら理解する。

10)

<解説・キーワード> ビタミン、補酵素、生合成

C-9 (1)【ビタミン】1)-3).

C-6 (1)【生体内で機能す

る複素環】1), 3).【化学

から観る生体ダイナミク

ス】1).

天然に存在するフェニルプロパノイド系化合物の化学構造と生合成を知り、生物活性を

有する代表的なフェニルプロパノイドを理解する。

11)

<解説・キーワード> リグナン、精油、クマリン

C-7 (1)【生薬成分の構造

と生合成】1),6).

天然物に存在するアセトゲニン系化合物の生合成を知り、生物活性を有する代表的なア

セトゲニン類を理解する

12)

<解説・キーワード> フラボノイド、タンニン

C-7 (1)【生薬成分の構造

と生合成】1),5).

主にトロパンアルカロイド、イソキノリン型アルカロイド、インドール型アルカロイド

等の天然に存在するアルカロイド類の化学構造と生合成ならびに生物活性について理解

する。

13)

<解説・キーワード> コカイン、モルヒネ、フィゾスチグミン

C-7 (1)【生薬成分の構造

と生合成】1),4).

主にキノリン型アルカロイド、キサンチン誘導体等の天然に存在するアルカロイド類の

化学構造と生合成ならびに生物活性について理解する。

14)

<解説・キーワード> キニーネ、カンプトテシン、カフェイン

C-7 (1)【生薬成分の構造

と生合成】1),4).

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号) 学習方法 場 所 担当者 教材

時間数

(分) 備考

1 1) 講 義 第1講義室 小林 教科書 90

2 2) 講 義 第1講義室 小林 教科書 90

3 3) 講 義 第1講義室 小林 教科書 90

4 4) 講 義 第1講義室 小林 教科書 90

5 5) 講 義 第1講義室 小林 教科書 90

6 6) 講 義 第1講義室 小林 教科書 90

7 7) 講 義 第1講義室 小林 教科書 90

8 8) 講 義 第1講義室 古徳 教科書 90

9 9) 講 義 第1講義室 古徳 教科書 90

10 10) 講 義 第1講義室 古徳 教科書 90

11 11) 講 義 第1講義室 古徳 教科書 90

Page 108: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

107

12 12) 講 義 第1講義室 古徳 教科書 90

13 13) 講 義 第1講義室 古徳 教科書 90

14 14) 講 義 第1講義室 古徳 教科書 90

15 1)-14) 試験 第1講義室 小林、古徳 90

[注意事項]

必要に応じて補助プリントを配布する。

(6)教科書・参考書

・教科書:「医薬品天然物化学(原書第2版)」Dewick PM著, 海老塚豊 監訳(南江堂)

・参考書:「有機化合物のスペクトル解析入門」岡田 恵次 (化学同人)

(7)成績評価(教育評価)出席および期末試験により評価する。

【総括的評価】(合否判定)

・全講義終了後に試験を行なう(90%)。

・出席状況(10%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・学習者の理解度向上と把握のため、適宜問題演習や小テストを行うとともに、その結果を以後の講義に反映

する。

Page 109: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

108

薬用植物学(Chemistry and Biology of Medi cinal Plants )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 小林資正(06-6879-8215, [email protected], 本館3階310)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

高橋京子(06-6879-8160, [email protected], 薬園管理棟2階Y-107)

<オフイスアワー:水曜日午前10時半から11時半>

・単位数:2 ・履修対象:4年生(薬科学科:選択、薬学科:必須) ・セメスター:Ⅶ

・曜日・時限:水曜・4時限 ・場 所:第1講義室

(2)化学薬学教育の中での位置付け

「薬用植物学」は、有機化学、生物薬学と共に、医療薬学小領域を構成する授業である。有機化学、生物薬学に

関する内容については、「生物有機化学Ⅰ(第6セメスター)」、「天然薬物学(第5セメスター)」及び「基礎実

習化学Ⅰ(第8セメスター)」の履修により、有用植物成分、機器分析に関する基礎知識を修得することによっ

て理解が深まる。医療薬学に関する内容については、「臨床薬効評価学(第 4 セメスター)」、「薬理学 I(第 5

セメスター)」及び「生命/情報科学特論(第4セメスター)」の履修により、漢方薬理学、相互作用に関する基礎

知識を修得することによってEBM(Evidence based medicine)に基づく漢方薬治療への理解が深まる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として、①薬として用いられる動物・植物・鉱物由来の生薬の基本的性質を理解するた

めに、それらの基原、性状、含有成分、生合成、品質評価、生産と流通、歴史的背景などについての基本的知識

を修得する。②医薬品開発における天然物の重要性と多様性を理解するために、自然界由来のシーズ(医薬品の

種)に関する基本的知識とを修得する。③現代医療で使用される生薬・漢方薬について理解するために、漢方医

学の考え方、代表的な漢方処方の適用、薬効評価法についての基本的知識を修得する。

【授業の概要】

薬用植物は、現代においても漢方方剤中の構成生薬として、また医薬品の製造原料としての高い価値を保って

いる。このように漢方薬に配剤もしくは医薬品原料として用いられている薬用植物・動物・鉱物由来の生薬の基

原、薬用部位、薬効、薬効成分、同定、品質評価、生産、流通、歴史的背景についての基本的知識を理解する。

漢方薬は本来の全人的医療に加え、西洋医学の補完的な医療としても応用されている。医療における生薬・漢

方薬の役割を薬学の視点で学び、その実践的応用に役立つ基本的知識・技能の修得を目指す。難解な漢方的概念

や漢方薬理学では、漢方専門医によるDVD映像や生薬資料を活用する。これらを基に、科学的エビデンス存在を

例示しながら EBM(Evidence based medicine)漢方について考察する。五感を活かした体験を通じて理解力の向

上とWHOが推進する生薬のプライマリケア(セルフメディケーションを含む)に貢献する医療人としての使命感

の涵養を図る。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

代表的な生薬を列挙し、その特徴を説明できる。 1)

<解説・キーワード> アヘン、マオウ、カンゾウ、ダイオウ、ロートコン、ジギタリス

C-7(1)【生薬とは】1)

生薬の歴史について概説できる。 2)

<解説・キーワード> ギリシャ本草、ガレヌス製剤、医薬典範、神農本草経、本草網目

C-7(1)【生薬とは】2)

生薬の生産と流通について概説できる。 3)

<解説・キーワード> 育種、輸入生薬、ワシントン条約、カルス栽培

C-7(1)【生薬とは】3)

代表的な薬用植物の学名、薬用部位、薬効などを列挙できる。 4)

<解説・キーワード> 基原植物、変種、品種、処方

C-7 (1)【薬用植物とは】

2)

5) 代表的な生薬の産地と基原植物の関係について、具体例を挙げて説明できる。 C-7(1)【薬用植物とは】

Page 110: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

109

<解説・キーワード> カンゾウ、ダイオウ、センナ、アロエ、オウレン、オウバク 3)

代表的な薬用植物に含有される薬効成分を説明できる。 6)

<解説・キーワード> マオウ、ニンジン、ブシ、ケイヒ、カッコン、ロートコン

C-7 (1)【薬用植物とは】

5)

動物、鉱物由来の医薬品について具体例を挙げて説明できる。 7)

<解説・キーワード> バッカク、ブクリョウ、ゴオウ、センソ

C-7 (1)【植物以外の医

薬資源】1)

日本薬局方の生薬総則および生薬試験法について説明できる。 8)

<解説・キーワード> 全形生薬、切断生薬、粉末生薬、確認試験

C-7(1)【生薬の同定と品

質評価】1)

生薬の同定と品質評価法について概説できる。 9)

<解説・キーワード> 基原植物、異物、乾燥減量、灰分、酸不溶灰分、エキス含量

C-7(1)【生薬の同定と品

質評価】5)

シーズの探索に貢献してきた伝統医学、民族植物学を例示して概説できる。 10)

<解説・キーワード> アユルベーダ医薬、ユナニー医薬、和漢薬

C-7(2)【シーズの探索】

2)

医薬原料としての天然物質の資源確保に関して問題点を列挙できる。 11)

<解説・キーワード> ワシントン条約、育種、栽培、カルス培養

C-7(2)【シーズの探索】

3)

漢方医学の特徴について概説できる。 12)

<解説・キーワード> 心身一如、システム論理的病態認識、漢方方剤、患者の評価

C-7(3)【漢方医学の基

礎】1)

漢方薬と民間薬、代替医療との相違について説明できる。 13)

<解説・キーワード> 伝統医学、代替・相補医療、統合医療、生薬のグローバル化

C-7(3)【漢方医学の基

礎】2)

漢方薬と西洋薬の基本的な利用法の違いを概説できる。 14)

<解説・キーワード> 薬性・薬味、作用の多様性、随証治療、未病

C-7(3)【漢方医学の基

礎】3)

漢方処方と「証」との関係について概説できる。 15)

<解説・キーワード> 漢方医学の基本的理論「八綱弁証」「六病位」「気血水」「五臓」

C-7(3)【漢方医学の基

礎】4)

代表的な漢方処方の適応症と配合生薬を説明できる。 16)

<解説・キーワード>補剤・瀉剤、EBM(Evidence based medicine)漢方、

C-7(3)【漢方医学の基

礎】5)

漢方処方に配合されている代表的な生薬を例示し、その有効成分を説明できる。 17)

<解説・キーワード> 漢方薬の特徴を現代医療的視点から説明。気剤・血剤・水剤、漢方薬

理学

C-7(3)【漢方医学の基

礎】6)

漢方エキス製剤の特徴を煎液と比較して列挙できる。 18)

<解説・キーワード> 漢方エキス製剤の開発の歴史、製剤化の課題、品質評価管理

C-7(3)【漢方医学の基

礎】7)

代表的な疾患に用いられる生薬および漢方処方の応用、使用上の注意について概説でき

る。

19)

<解説・キーワード> 東西医薬品併用療法、テーラーメード医療、

C-7 (3)【漢方処方の応

用】1)

漢方薬の代表的な副作用や注意事項を説明できる。 20)

<解説・キーワード> 漢方方剤レベルでの相互作用研究の取り組みと実践的応用の可能性を

学ぶ。相互作用、生薬の品質(異物同名品)

C-7 (3)【漢方処方の応

用】2)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(14回)

到達目標

(番号) 学習方法 場 所 担当者 教材

時間数

(分) 備考

1 1)-2) 講 義 第1講義室 小林 プリント, 参考書 90

2 3)-4) 講 義 第1講義室 小林 プリント, 参考書 90

3 5)-6) 講 義 第1講義室 小林 プリント, 参考書 90

4 7)-8) 講 義 第1講義室 小林 プリント, 参考書 90

5 9)-10) 講 義 第1講義室 小林 プリント, 参考書 90

6 10)-11) 講 義 第1講義室 小林 プリント, 参考書 90

7 10)-11) 講 義 第1講義室 小林 プリント, 参考書 90

8-9 12) 講 義 第1講義室 高橋 参考書, DVD,プリント 90

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110

10 13),14) 講 義 第1講義室 高橋 参考書, DVD, プリント,資料*1 90

11 13),14) 特別講義 第1講義室 外部講師*2 参考書, プリント, 資料*1 90

12 15) 講 義 第1講義室 高橋 参考書, DVD, プリント 90

13 16),17) 講 義 第1講義室 高橋・

TA 2~3名

参考書, DVD, プリント, 資料*1 90

14 18)-20) 講 義

第1講義室

高橋・

TA 2~3名

参考書, プリント, 資料*1 90

[注意事項]

*1: 生薬標本資料、漢方薬、ハーブを体験する。五感で理解する。

*2: 和漢薬関連企業の医薬品情報、実践応用関係者を計画中である。

(6)教科書・参考書

・教科書:未定(候補):「薬学生のための漢方医薬学」山田陽城、花輪壽彦、金成俊編(南江堂)

・参考書:スタンダード薬学シリーズ/日本薬学会編 3.「化学系薬学」Ⅲ自然が生み出す薬物

「薬学生のための漢方医薬学」山田陽城、花輪壽彦、金成俊編(南江堂)

「生薬学概論」難波恒雄、津田喜典 編(南江堂)

「医薬品天然物化学(原書第2版)」Dewick PM著, 海老塚豊 監訳(南江堂)

(7)成績評価(教育評価)期末試験、レポートおよび出席により評価する

【総括的評価】(合否判定)

・全講義終了後に試験を行なう(80%)。

・特別講義終了後にレポート提出を課す(20%)。

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・8回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するために、15分間のプレ

テストを行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

・9~12回目の講義の開始時に、前回の講義内容に関する10分間の小テストを行なう。その後、正

解を伝え簡単な解説を行ない、自己採点させ回収する。この結果から講義の理解度を把握し、以

後の授業に反映させる。

・9~14回目の講義の後半に、30分間程度の五感活用タイムを設定し漢方薬配合生薬を学ぶ。この結果から講

義の理解度と応用力を把握するとともに、授業への興味に反映させる。

Page 112: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

111

学習の手引き

(抜 粋)

生物薬学領域

・生物化学Ⅰ(第Ⅲセメスター)

・生物化学Ⅱ(第Ⅳセメスター)

・生命・情報科学特論(第Ⅳセメスター)

・免疫学Ⅰ(第Ⅴセメスター)

・生命情報薬学(第Ⅴセメスター)

・生理学Ⅱ(第Ⅴセメスター)

・免疫学Ⅱ(第Ⅵセメスター)

・遺伝子工学(第Ⅵセメスター)

Page 113: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

112

生物化学 I(Biochemistry I)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 八木清仁(06-6879-8195, [email protected], 本館4階438)

<オフイスアワー:火曜日午後0時30分から1時>

平田收正(06-6879-8236, [email protected], 本館2階230)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:Ⅲ

・曜日・時限:火曜・2時限 ・場 所:大講義室

(2)生物薬学教育の中での位置付け

「生物化学 I」は、「生物科学概論 A(第Ⅱセメスター)」, 「 生物科学概論 B(第Ⅲセメスター)」、「生物化学

Ⅱ(第Ⅳセメスター)」、と共に、生物系基礎領域を構成する授業である。生体内での代謝全般を講義すること

によって第IVセメスター以降の専門科目履修において必要な知識を修得することができる。また疾患に関連す

る基礎代謝を学ぶことにより薬物の作用機構についての理解を深めることができる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

生物薬学領域の学問を学ぶ上で必要な細胞内の基本的な代謝反応とその制御機構、および酵素反応速度論につい

て基礎知識を修得する。

【授業の概要】

代謝反応は生命現象の根幹をなすものでありその異常は直接疾病に結びつく場合が多い。したがって薬学領域

に於いては細胞内の基本的代謝反応の本質を理解しておく必要がある。糖、脂質をはじめとする哺乳類の代謝経路

を中心に講述し基礎的な機構を理解させるとともに調節に関わる因子についても言及する。また植物および微生

物にみられる窒素固定についても概説する。生命活動は、酵素反応の複雑なネットワークによって営まれている。

生命現象の制御の仕組みを理解する有力な手段となる酵素反応速度論、とくに、酵素阻害など薬学分野における速

度論の応用について講述する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

解糖系とグリコーゲン代謝について概説する。 1)

<解説・キーワード> 解糖系、グリコーゲン代謝を司る酵素とその制御機構

C-9(4)【ATPの産生】2),

【飢餓状態と飽食状態】

1)

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体とクエン酸回路について説明する。 2)

<解説・キーワード> クエン酸回路の異化代謝および同化代謝における意義

C-9(4)【ATPの産生】3)

電子伝達と酸化的リン酸化について説明する。 3)

<解説・キーワード> ATP合成に関わる因子と制御機構、ATP産生阻害物質

C-9(4)【ATPの産生】4, 8)

ペントースリン酸経路と糖新生について説明する。 4)

<解説・キーワード> 解糖系以外の糖代謝経路、グルコースーアラニンサイクルとCoriサイ

クル

C-9(4)【ATPの産生】9),

飢餓状態と飽食状態】2)

プリン、ピリミジンヌクレオチドの生合成について説明する。 5)

<解説・キーワード> de novo合成経路とサルベージ経路、リボヌクレオチドの化学構造

C-9(2)【ヌクレオチドと

核酸】1)

デオキシリボヌクレオチドの生合成について説明する。 6)

<解説・キーワード> リボヌクレオチドレダクターゼの反応と調節機構、抗がん剤のターゲッ

トとなるチミジル酸シンターゼ

C-9(2)【ヌクレオチドと

核酸】1)

プリン、ピリミジンヌクレオチドの分解について説明する。 7)

<解説・キーワード> アデノシンデアミナーゼの遺伝的欠損による重症複合免疫不全症、尿

C-9(2)【ヌクレオチドと

核酸】1)

Page 114: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

113

酸蓄積による疾病

ヌクレオチド補酵素の生合成について説明する。 8)

<解説・キーワード> ビタミンから補酵素を合成する経路、ニコチンアミド補酵素、フラビ

ン補酵素、CoA

C-9(2)【ヌクレオチドと

核酸】1)

脂質の化学構造と分類、生体内での機能について説明する。 9)

<解説・キーワード> 脂肪酸、トリアシルグリセロール、糖脂質、リン脂質、ステロイド、

エネルギーの貯蔵、生体膜成分、生物活性物質

C-9(1)【脂質】1), 2)

脂質の消化と輸送について説明する。 10)

<解説・キーワード> 膵液リパーゼ、胆汁酸、キロミクロン、リポプロテインリパーゼ

C-9(4)【栄養素の利用】

1)

C-9(3)【酵素以外の機能

タンパク質】2)

脂質の分解経路(エネルギー生産系)と合成経路について説明する。 11)

<解説・キーワード> 脂肪酸のβ酸化、アシル-CoA デヒドロキナーゼ、エネルギー収支、ア

シルキャリアタンパク質(ACP)、アセチル-CoAカルボキシラーゼ、ミトコンドリアと細胞

C-9(1)【脂質】3), 4)

C-9(4)【ATPの産生】5)-7)

脂質の代謝調節及びそのエネルギー代謝における重要性について説明する。 12)

<解説・キーワード> 短期調節と長期調節、インスリンとグルカゴンによる調節、アセチル

-CoAカルボキシラーゼ、絶食の影響、

C-9(4)【ATPの産生】5)-7)

C-9(4)【飢餓状態と飽食

状態】2)-7)

アミノ酸化学構造と分類、生体内での機能について説明する。 13)

<解説・キーワード> 必須及び非必須アミノ酸、生体内窒素化合物の生合成原料

C-9(1)【アミノ酸】1), 2)

アミノ酸の分解経路(エネルギー生産系)と生合成経路について説明する。 14)

<解説・キーワード> 脱アミノ、尿素サイクル、エネルギー収支、糖新生、ケト原性アミノ

酸、糖原性アミノ酸

C-9(4)【飢餓状態と飽食

状態】2), 8)

アミノ酸を原料として合成される生理活性を持つ物質の生合成経路と機能について説明

する。アミンやグルタチオンの生合成経路についても紹介する。

15)

<解説・キーワード> グルタチオン、生理活性アミン、ヘム

C-9(5)【ホルモン】2)

C-9(5)【オーターコイド

など】4)

C-9(5)【神経伝達物質】

4)

酵素の特性、活性調節機構及び活性に影響を与える因子について説明する。 16)

<解説・キーワード> 酵素活性の単位、温度、pH、フィードバック阻害、阻害剤、活性化物

C-9(3)【酵素】1)-3), 5)

酵素反応速度論について説明する。Michaelis-Menten 式の導き方を解説し、さら 17)

<解説・キーワード> Michaelis-Mentenの式、最大反応速度、Km値、Lineweaver-Burkの式、

拮抗阻害、非拮抗阻害、反拮抗阻害

C-9(3)【酵素】4)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(14回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 大講義室 八木 プリント 90

2 2) 講 義 大講義室 八木 プリント 90

3 3) 講 義 大講義室 八木 プリント 90

4 4) 講 義 大講義室 八木 プリント 90

5 5) 講 義 大講義室 八木 プリント 90

6 6) 講 義 大講義室 八木 プリント 90

7 7) 講 義 大講義室 八木 プリント 90

8 8) 講 義 大講義室 八木 プリント 90 中間試験

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114

9 9),10) 講 義 大講義室 平田 プリント 90

10 11) 講 義 大講義室 平田 プリント 90

11 12) 講 義 大講義室 平田 プリント 90

12 13) 講 義 大講義室 平田 プリント 90

13 14),15) 講 義 大講義室 平田 プリント 90

14 16) 講 義 大講義室 平田 プリント 90

15 17) 講 義 大講義室 平田 プリント 90 期末試験

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:ヴォート生化学(東京化学同人)、Essential 細胞生物学(南江堂)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・8回目の講義終了後に論述形式の中間試験を行なう(50%)。

・15回目の講義終了後に論述形式の期末試験を行なう(50%)。

・原則として全体で6回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1-7回の講義終了後小テストを行い学生の理解度を確認し以後の講義に反映させる。

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115

生物化学Ⅱ(Biological Chemistry II )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 水口裕之(06-6879-8185, [email protected], 本館3階336)

<オフイスアワー:月曜日午後0時30分から1時>

形山和史(06-6879-8187, [email protected], 本館3階335)

<オフイスアワー:月曜日午後0時30分から1時>

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:選択、薬学科:必須) ・セメスター:IV

・曜日・時限:月曜・2時限 ・場 所:大講義室

(2)薬学教育の中での位置付け

「生物化学Ⅱ」は、「生物科学概論A、B」及び「生物化学I」と関連する授業である。本講義によりタンパク質や

遺伝子の生体内における機能、およびそれらの解析技術に関する基本的知識が修得できる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として必要なタンパク質や遺伝子の生体内における機能とそれらの解析技術などに関す

る知識を習得させることを目標とする。

【授業の概要】

タンパク質は生体機能に必須な役割を果たしている。生体内の様々な機能タンパク質に注目し、タンパク質の役

割をミクロ及び細胞や組織レベルのマクロな視点から講述する。また、近年ヒトやマウスのゲノムが明らかにさ

れ、役割不明の遺伝子が持つ機能に注目が集まっている。そこで遺伝子導入や遺伝子破壊を動物に行なう手法や、

タンパク質の取扱法にもふれ、タンパク質の機能解析を行なう際の基本を講述する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

一次から四次までタンパク質が取りうる構造とその特徴について概説し、様々な立体構

造を取り、多様な機能を有するタンパク質について理解を深める。

1)

<解説・キーワード> タンパク質の構造、タンパク質の機能

C9(3)タンパク質の構造

と機能(1-3)

エドマン分解法、質量分析法によるアミノ酸配列決定法の原理について概説し構造解析

法について理解を深める

2)

<解説・キーワード> タンパク質の構造解析、アミノ酸配列決定法

C9(3)タンパク質の取扱

い(3)

前駆体タンパクの切断、糖鎖付加、ジスルフィド交換反応、脂質付加、リン酸化、アセ

チル化、ユビキチン化について概説し翻訳語修飾について理解を深める。

3)

<解説・キーワード> タンパク質の翻訳語修飾、

C6(1)化学から観る生体

ダイナミクス(1-3)

酵素-基質複合体形成、活性化、切断反応時に関与するアミノ酸について概説し、酵素反

応機構について理解を深める。

4)

<解説・キーワード> 酵素反応とアミノ酸残基、酵素-基質複合体形成、酵素反応機構

C6(1)化学から観る生体

ダイナミクス(1-3)

ノックアウトマウス、トランスジェニックマウスの作製法、各種遺伝子導入技術の原理、

RNA干渉等を概説し、特定のタンパク質の機能を解析する手法について理解を深める。

5)

<解説・キーワード> タンパク質機能の解析技術、遺伝子組換え動物、遺伝子導入法

C9 (6)遺伝子機能の解析

技術(3)

イオンチャネル連結型、Gタンパク連結型、酵素連結型受容体について概説し細胞内外の

情報や物質の授受に必要なタンパク質について理解を深める。

6)

<解説・キーワード> 受容体、チャネル

C9(3)酵素以外の機能タ

ンパク質(1-5)

7) 酸素を運搬するヘモグロビン、金属運搬タンパク、脂質運搬タンパク、各種トランスポー

ターを例に挙げて概説し、物質の輸送を担うタンパク質の構造と機能について理解を深

める。

C9(3)酵素以外の機能タ

ンパク質(1-5)

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116

<解説・キーワード> 運搬体、トランスポーター、物質の輸送

血漿リポタンパク質の種類、構造、代謝、機能について概説を行い、その異常に伴い発

症する動脈硬化症について説明を行う。

8)

<解説・キーワード> 血漿タンパク、動脈硬化症

C9(3)酵素以外の機能タ

ンパク質(1-5)

細胞増殖の情報、アポトーシスの情報を伝達するタンパク質(細胞内シグナル伝達系)

について概説する。続いて細胞骨格を形成する役割を果たすタンパク質の種類と機能に

ついて概説する

9)

<解説・キーワード> 細胞内情報伝達、細胞骨格、細胞内シグナル伝達系

C8(2)細胞間コミュニ

ケーション(1-2)

シナプスの種類と伝達の仕組み、神経伝達物質と受容体、筋収縮の分子機構を概説し、

神経系、筋収縮の調節機構について理解を深める。

10)

神経・節の調節、シナプス、神経伝達物質、筋収縮

C8 (3)神経・筋の調節機

構(2-4)

細胞周期と体細胞分裂、アポトーシスとネクローシスについて概説し、体細胞分裂の機

構に関して理解を深める。

11)

<解説・キーワード> 細胞周期、体細胞分裂、アポトーシス、ネクローシス

C8(2)細胞の分裂と死

(1-4)

癌の定義、癌原遺伝子と癌抑制遺伝子、癌細胞の性質を概説し正常細胞と癌細胞の差異

について理解を深める。

12)

<解説・キーワード> 癌、癌原遺伝子、癌抑制遺伝子

C8(2)細胞の分裂と死

(1-4)

コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンなどの細胞外マトリクス、カドヘリンなど

の接着因子について概説し、細胞間コミュニケーションの分子機構に関して理解を深め

る。

13)

<解説・キーワード> 細胞間コミュニケーション、細胞外マトリクス、接着分子

C8(2)細胞間コミュニ

ケーション(1-2)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(16回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1-13) 講 義

全体のイント

ロダクション

大講義室 水口 プリント 90

2 1) 講 義 大講義室 水口 プリント 90

3 2) 講 義 大講義室 水口 プリント 90

4 3) 講 義 大講義室 水口 プリント 90

5 4) 講 義 大講義室 水口 プリント 90

6 5) 講 義 大講義室 水口 プリント 90

7 6) 講 義 大講義室 形山 プリント 90

8 7) 講 義 大講義室 形山 プリント 90

9 8) 講 義 大講義室 水口 プリント 90

10 9) 講 義 大講義室 水口 プリント 90

11 10) 講 義 大講義室 水口 プリント 90

12 11) 講 義 大講義室 水口 プリント 90

13 12) 講 義 大講義室 水口 プリント 90

14 13) 講 義 大講義室 水口 プリント 90

15 1-13) 総合討論 大講義室 水口・形山 プリント 90

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117

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:エッセンシャル細胞生物学、ヴォート生化学、細胞の分子生物学

スタンダード薬学シリーズ3化学系薬学II、4生物系薬学I,II

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・ 15回目の講義終了後に論述形式の試験を行なう(80%)。

・ 原則として全体で5回以上欠席した場合は、不合格とする(出席点 20%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・講義期間中に少なくとも2回の小テストあるいは総合討論を行い受講者の理解度を把握し、講義内容の吟味、

進行度合いの調節などに反映していく。

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118

生命・情報科学特論(Bioinformatics Problem -Based Learning )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 上島悦子(06-6879-8251, [email protected], 本館2階242)

<オフイスアワー:火曜日午後3時から4時>

大久保忠恭(06-6879-8223, [email protected], 本館2階215)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

吉田卓也(06-6879-8222, [email protected], 本館2階210))

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

高木達也(06-6879-8243, [email protected], 本館5階538))

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

岡本晃典(06-6879-8242, [email protected], 本館5階540))

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

岡田直貴(06-6879-8176, [email protected], 本館4階407)

<オフイスアワー:月曜日午後2時から3時>

渡利彰浩(06-6879-8198, [email protected], 本館4階444)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から2時>

形山和史(06-6879-8187, [email protected], 本館3階335)

<オフイスアワー:火曜日午後3時から4時>

深田宗一朗(06-6879-8193, [email protected], 本館3階344)

<オフイスアワー:月曜日午後12時から13時>

吉川友章(06-6879-8232, [email protected], 2号館3階303)

<オフイスアワー:水曜日午後1時から3時>

新谷紀人(06-6879-8182, [email protected], 本館4階428)

<オフイスアワー:水曜日午後5時から6時>

向洋平(06-6879-8178, [email protected], 本館4階402)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から3時>

吾郷由希夫(06-6879-8168, [email protected], 本館1階101室)

<オフイスアワー:木曜日午後1時から5時>

原田和生(06-6879-8235, [email protected], 本館3階347)

<オフイスアワー:金曜日午前10時から12時>

橘敬祐(06-6879-8164, [email protected], 本館2階201)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から1時30分>

岡田欣晃(06-6879-8164, [email protected], 本館2階201)

<オフイスアワー:月曜日午後2時から4時>

馬場貴志(06-6879-8173, [email protected],本館5階530)

<オフイスアワー:木曜日午後1時~2時>

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:Ⅳ

・曜日・時限:火曜・2時限 ・場 所:薬学部講義室・工学部情報教育室

(2)薬学教育の中での位置付け

「生命・情報科学特論」は、PBL(Problem Based Learning=問題基盤型学習)、生命科学、情報科学の3つで構

成されており、生物系薬学・生命科学・バイオインフォマティックスに関する知識・技能・態度を幅広く修得す

ることができる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として、生物系薬学・生命科学・バイオインフォマティックスの基礎的知識を基にヒト

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119

の健康維持・増進に貢献するために、生命科学および情報科学に関連する問題解決能力を修得する。

【授業の概要】

本授業はPBL、生命、情報科学の3つで構成される。

【PBL】PBL(Problem Based Learning=問題基盤型学習)とは受講者が少人数のグループに分かれ、その時点で

持っている知識を総動員して、グループで討論することを通し、与えられた課題やテーマに潜む問題を発見し、

問題解決を試みるという学習法である。PBLでは、生物系薬学・生命科学の専門性について取り上げる。

【生命】生物系薬学・生命科学の研究がどの様に展開され、どの様に公表されて完結するかを、科学論文を題材

に学習する。科学論文を読み、その論文内容(解明したい疑問に対してどのような仮説を立て、どのような実験

を組み、得られた結果をどのように解釈したか)を理解するまでのプロセスを経験する。また、科学論文の検索

方法を学び、さらにプレゼンテーションのための資料作成とプレゼンテーションを経験する。

【情報科学】バイオインフォマティックスや医薬品に関する情報を探索・解析し,その理解と評価を行う.その際,

少人数クラスの演習形式で実際に各自でコンピューターを使用してインターネットを利用したデータベース等の

情報探索と関連するソフトウェアによる各種データの解析を行う.その後,前半の演習の内容に準じて、得られた

解析データの評価を行い妥当性について把握する.本項目の内容は薬学統計学へと発展する.

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

生物系薬学・生命科学の研究者に学ぶ。 1)

<解説・キーワード> 他の研究者の意見を理解し、討論する能力を身につける。

A-(2)【研究活動に求めら

れるこころ構え】3

専門看護師に学ぶ。 2)

<解説・キーワード> 病院における薬剤師および他の医療スタッフの業務を見聞し、その重

要性について自分の意見をまとめる。

B-(2) 1)

チームとして問題点に取り組み、グループで話し合い、その結果をまとめ、発表の準備

を行う。

3)

<解説・キーワード> 医療に関わる諸問題から、自ら課題を見出し、それを解決する能力を

醸成するとともに、チーム医療の意義を体感する。

A-(2)【自己学習・生涯学

習】1)

グループごとに発表を行い、全体討論を行う。 4)

<解説・キーワード> 医療の担い手として、社会のニーズに常に目を向け、対応する方法を

提案し、ふさわしい態度を習得する。

A-(2)【社会の期待】1, 2,

3)

生命特論の講義目的と進行予定について説明する。また科学論文が作成からどのような

過程を経て出版に至るかや、科学論文の構成についても概説する。さらに題材とする科

学論文の概要を紹介し、読解を進める科学論文を選択する。

5)

<解説・キーワード> 科学論文、先端生命科学

A-(2)【研究活動に求めら

れるこころ構え】1、【自

己学習、生涯学習】1、

C-15(1)【EBM】1, 2

論文のデータベース検索法について講義する。さらに担当TAとの少人数形式により、選

択した論文や参考論文の科学的背景と科学技術用語の理解を深める。

6)

<解説・キーワード> インターネット検索、データベース検索、先端生命科学

C-15(1)【データベース】

2, 3)、【総合学習】1, 2)

担当TAとの少人数形式により、題材科学論文の実験データ(図,表等)の解釈と科学的

意義の理解を深める。

7)

<解説・キーワード> 実験データ(Evidence)の解釈、科学的論理思考、先端生命科学

A-(2)【自己学習・生涯学

習】1)、C-15(1)【データ

ベース】2, 3)、【収集・

評価・加工・提供・管理】

1, 3)、【総合学習】1, 2)

読解した科学論文のデータや科学的意義をプレゼンテーションするための構成について

検討し、資料の作成を行う。

8)

<解説・キーワード> 文献情報の抽出・整理、プレゼンテーション

C-15(1)【収集・評価・加

工・提供・管理】1, 3)、

【総合学習】1, 2)

作成した資料を用いたプレゼンターションと、質疑応答を経験する。

<解説・キーワード> プレゼンテーション、科学的論理思考、先端生命科学、討論

9)

A-(2)【研究活動に求めら

れるこころ構え】1, 2、

B-(1)【現代社会と薬学と

Page 121: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

120

の接点】1)、C-15(1)【収

集・評価・加工・提供・

管理】1, 3)、【総合学習】

1, 2)

バイオインフォマティックス 情報生物科学(バイオインフォマティクス)が分子生

物学及び医薬品の開発に果たした役割と意義について理解し、コンピューターを用いた

実践的演習で学習するための基本事項と様々なデータの統計学的解析手法と評価法の基

礎を学ぶ。

10)

<解説・キーワード> 身近な医薬品を日本薬局方などを用いて調べる。実験値を用いた計算

および統計処理ができる。

B-(1)【総合演習】2)

C2-(2)【定量の基礎】1)

蛋白質の2次構造予測 アミノ酸・ポリペプチドのαへリックス及びβシート形成

傾向を理解し、蛋白質の2次構造に関与する各種因子を学ぶ。その後、蛋白質のアミノ

酸配列データから適切なソフトウェアにより2次構造予測を行い、予測法の妥当性につ

いて評価を行う。

11)

<解説・キーワード> タンパク質の一次、二次、三次、四次構造を説明できる。

C9-(3)【タンパク質の構

造と機能】2)

系統樹作成・ホモロジー解析 様々な生物由来の蛋白質のアミノ酸配列及びDNA配列

から相同配列を同定・比較する手法を学び、適切なソフトウェアにより系統樹を作成し、

またホモロジー解析を行う。得られた結果の比較検討から分子レベルでの進化を理解す

る。

12)

<解説・キーワード> タンパク質の主要な機能を列挙できる。

C9-(3)【タンパク質の構

造と機能】1)

コード領域予測・マルチプルアライメント ゲノムのDNA配列を同定・解析する

手法を学び、適切なソフトウェアにより蛋白質コード領域(ORF)を同定する。また、

様々な配列のアミノ酸配列及びDNA配列のマルチプルアライメンを行い、配列モチー

フと機能の関係を理解する。

13)

<解説・キーワード> コンピューターを用いて特徴的な塩基配列を検索できる。

C9-(6)【遺伝子のクロー

ニング技術】7)

医薬品情報解析 薬学領域での医薬品情報データに対する標準的な推定・検定方法の

基礎を理解し、実際にコンピューターを用いて具体的な数値データから有意な情報を効

率的に取り扱う生物統計処理技術を体験的に修得する。

14)

<解説・キーワード> 主な二群間の平均値の差の検定法(t-検定等)について、適用できる

データの特性を説明し実施できる。χ2検定の適用できるデータの特性を説明し、実施で

きる。最小二乗法による直線回帰を説明でき、回帰係数の有意性を検定できる。

C15-(5)【生物統計の基

礎】3, 4, 5)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義・

チュートリアル・

課題研究

大講義室・第4講義室

・セミナー室

上島 プリント,

参考書

90 PBL系

2 2) 講 義、SGD 特別講義室・第4講義室

・セミナー室

上島 プリント, 資料* 90 PBL系

3 3) SGD 第4講義室・セミナー室 上島 プリント,資料* 90 PBL系

4 4) 発表・討論 特別講義室 上島 プリント 90 PBL系

5 5) 講 義・

チュートリアル・

課題研究

第1・第2・第3・特別

講義室・セミナー室など

岡田(直)他

教員11名

TA40名

プリント, 資料* 90 生命系

Page 122: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

121

6 6) 講 義・

チュートリアル・

課題研究

第1・第2・第3・特別

講義室・セミナー室など

岡田(直)他

教員11名

TA40名

プリント, イン

ターネット,

資料*

90 生命系

7 7) 講 義・

チュートリアル・

課題研究

第1・第2・第3・特別

講義室・セミナー室など

岡田(直)他

教員11名

TA40名

プリント, イン

ターネット,

資料*

90 生命系

8 8) 講 義・

チュートリアル・

課題研究

第1・第2・第3・特別

講義室・セミナー室など

岡田(直)他

教員11名

TA40名

プリント, イン

ターネット,

資料*

90 生命系

9, 10 9) SGD 第1・第2・第3・特別

講義室・セミナー室など

岡田(直)他

教員11名

TA40名

プリント 90x2 生命系

11 10) 講義・演習 工学部・GSEコモンウエ

スト2階

大久保・

吉田・高木・

岡本

インターネッ

ト, 電子資料

90 情報系

12 11) 講義・演習 工学部・GSEコモンウエ

スト2階

大久保・

吉田・高木・

岡本

インターネッ

ト, 電子資料

90 情報系

13 12) 講義・演習 工学部・GSEコモンウエ

スト2階

大久保・

吉田・高木・

岡本

インターネッ

ト, 電子資料

90 情報系

14 13) 講義、演習 工学部・GSEコモンウエ

スト2階

大久保・

吉田・高木・

岡本

インターネッ

ト, 電子資料

90 情報系

15 14) 講義、演習 工学部・GSEコモンウエ

スト2階

大久保・

吉田・高木・

岡本

インターネッ

ト, 電子資料

90 情報系

[注意事項]

*: 題材科学論文には内容および論理構成が平易かつ明瞭な英語論文を使用し、関連する邦文参考書やインター

ネットを科学論文読解のための資料として適宜使用する。

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:Essential 細胞生物学(南江堂)、細胞の分子生物学(ニュートンプレス)ほか

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・PBL系4/15、生命系6/15、情報系5/15の比率で評価する。

・原則として全体で4回以上欠席した場合は、不合格とする。

・PBL系は、出席60%、レポート課題30%、プレゼンテーション10%で評価する。

・生命系は出席60%、プレゼンテーション40%で評価する。

・情報系は、出席40%、レポート課題60%で評価する。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・グループ内の討論、発表準備、演習において、各グループに1名以上の教員・TAを配し、学生達の理解度・

学習度に応じた個別指導を行い学習効果の向上を果たす。また、プレゼンテーションの質疑応答には充分な時間

を確保し、先導的な薬剤師・薬学研究者として重要な多元的視点からの討論を教員・TAも含めて行い、統合的

な把握力の向上を果たす。

Page 123: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

122

免疫学Ⅰ(Immunology Ⅰ)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 辻川和丈(06-6879-8191, [email protected], 本館3階345)

<オフイスアワー:月-金曜日午後0時から1時30分>

深田宗一朗(06-6879-8193, [email protected], 本館3階344)

<オフイスアワー:月曜日午後0時から1時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:必修、薬学科:必修) ・セメスター:Ⅴ

・曜日・時限:木曜・2時限 ・場 所:大講義室

(2)生物薬学教育の中での位置付け

免疫学は、「生理学」「生物化学」「微生物学」と共に、基礎生命科学領域を構成する重要な学問である。「免疫

学Ⅰ」では、すでに履修した「生物科学概論」「生理学」「生物化学」「基礎微生物学」を基礎に、生体防御システ

ムとその破綻が原因となる免疫疾患について理解を深めていく。よって「免疫学Ⅰ」の学習内容は、生命科学お

よび医療薬学の学習の基礎を築くとともに、薬学研究者、薬学技術者のみならず、薬剤師を目指す学生にとって

必要不可欠な知識となる。なお、より高度で最新の研究成果については、後期に開講する「免疫学Ⅱ」(選択科

目)で授業する。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

免疫学は生命科学の中でも特に重要な分野に成長している。免疫反応は、自己と非自己とを明確に識別して働

く生体反応である。本講義では、免疫反応にかかわる組織・細胞・分子・遺伝子などの役割、自己・非自己の識

別機構、免疫応答機構、さらにはアレルギー反応の発現機構について、生物化学的、分子生物学的知識を基礎に

理解する。

【授業の概要】

免疫系は自己と非自己を明確に識別し、自己を守り非自己を排除する。ではどのような機構で自己と非自己とを

識別するのだろう?その機構を明確に説明したのが「選択説」である。選択説がもつ意味を十分に理解すること

は免疫学の発展形を理解する上で極めて重要である。さらに、自己と非自己を識別し、非自己を排除する中心的

な役割を果たすのがT細胞であり、またB細胞が産生する抗体である。T細胞やB細胞は「クローン性」を持つ。

この「クローン性」は、遺伝子再構成と呼ばれるT細胞とB細胞にのみ起こる特殊な遺伝子組み換え機構による。

また、主要組織適合性抗原は、T細胞が自己と非自己を識別するために必要なもっとも重要な分子群である。「免

疫学Ⅰ」ではこれら免疫応答の巧妙なしくみを理解することを目的とする。さらに後期に開講する高度な免疫系

の制御機構の理解を目指す「免疫学Ⅱ」の基礎を築く。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

免疫学の概念、歴史的背景の変遷について概説する。 1)

<解説・キーワード> 免疫学の歴史、免疫現象の特性、自己と非自己

抗体の多様性、免疫理論の展開、クローン選択説について説明する。 2)

<解説・キーワード> 免疫現象の特性、自己と非自己、骨髄腫、クローン選択説

C-10 (1)【生体防御反応】

1)~6)

抗体の化学、抗体の構造と機能について説明する。 3)

<解説・キーワード> クラス、サブクラス、抗体とB細胞

抗体の化学、抗体の構造と機能について説明する。 4)

<解説・キーワード> アロタイプ、イディオタイプ、補体結合能

抗体の遺伝子、遺伝子再構成について説明する。 5)

<解説・キーワード> V遺伝子、DJ遺伝子断片、遺伝子再構成、対立遺伝子排除

C-10 (1)【分子レベルで

見た免疫のしくみ】1)~

5)

6) 免疫系の組織と細胞について説明する。 C-10 (1)【免疫を担当す

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123

<解説・キーワード> 胸腺、骨髄、リンパ節、脾臓、T細胞、B細胞、マクロファージ、樹

状細胞、多型核白血球、好中球、好酸球

る組織・細胞】1)~4)

自然免疫と補体について説明する。学習の到達度の確認を行う。 7)

<解説・キーワード> 補体、生体のバリアー、PAM、TLR

C-10 (1)【生体防御反応】

1)~3)

主要組織適合性抗原の種類、性状、遺伝様式について説明する。 8)

<解説・キーワード> MHCクラスⅠ分子、クラスⅡ分子、抗原提示細胞

主要組織適合性抗原の抗原提示機能について説明する。 9)

<解説・キーワード> MHCクラスⅠ分子、クラスⅡ分子、抗原提示細胞

T細胞抗原受容体分子の遺伝子、T細胞分化、T細胞活性化について説明する。 10)

<解説・キーワード> T細胞抗原受容体、遺伝子再構成、胸腺内T細胞分化

サイトカインの種類、性状、機能について説明する。 11)

<解説・キーワード> サイトカイン、ケモカイン、多能性と重複性

C-10 (1)【分子レベルで

見た免疫のしくみ】1)~

6)

Ⅰ型アレルギーの発症機構、制御手法について説明する。 12)

<解説・キーワード> Ⅰ型アレルギー、アナフラキシー、ヒスタミン、肥満細胞(マスト細

胞)

Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型アレルギーの発症機構、制御手法について説明する。 13)

<解説・キーワード> 即時型アレルギー、遅延型アレルギー、ツベルクリン反応

代表的な免疫調節薬、免疫抑制薬について説明する。 14)

<解説・キーワード> 免疫調節薬、免疫抑制薬

C-10 (2)【免疫系が関係

する疾患】1)~2)

C-10 (2) 【免疫応答のコ

ントロール】

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(16回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 大講義室 辻川 PC, 教科書 90

2 2)-5) 講 義 大講義室 辻川 教科書 90

3 2)-5) 講 義 大講義室 辻川 教科書 90

4 2)-5) 講 義 大講義室 辻川 教科書 90

5 2)-5) 講 義 大講義室 辻川 教科書 90

6 1)-5) 講 義

中間テスト 大講義室 辻川

教科書,

映像DVD 90

7 6)-7) 講 義 大講義室 深田 教科書, プリント 90

8 6)-7) 講 義 大講義室 深田 教科書, プリント 90

9 8)-10) 講 義 大講義室 深田 教科書, プリント 90

10 8)-10) 講 義 大講義室 深田 教科書, プリント 90

11 8)-10) 講 義 大講義室 深田 教科書, プリント 90

12 11)-14) 講 義 大講義室 辻川 教科書, プリント 90

13 11)-14) 講 義 大講義室 辻川 教科書, プリント 90

14 11)-14) 講 義 大講義室 辻川 教科書, プリント 90

15 1)-14) まとめ 大講義室 辻川 教科書, PC 90

(6)教科書・参考書

・教科書: 免疫学 ベーシック薬学教科書シリーズ10(化学同人)

・参考書: 免疫学イラストレイテッド(南江堂)

・参考書: スタンダード薬学シリーズ「生物系薬学Ⅲ」(東京化学同人)

(7)成績評価(教育評価)

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124

【総括的評価】(合否判定)

・6回目の講義終了後に、学習の到達度を判定するための小試験を行う(20%)。

・15回目の講義(まとめ)終了後に期末試験を課す(60%)。

・出席を評価に加味する(20%)。

・原則として、全体で4回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1回目の講義の開始時に、学習者の免疫学に関する予備知識を把握するために、15 分間のプレテストを行

なう。この予備知識調査を授業内容に反映させる。

・6回目に行う中間テストは学習の到達度を判定にも利用し、復習を含め以後の授業に反映させる。

Page 126: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

125

生命情報薬学(Biopharmaceutical Science )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 土井健史(06-6879-8158, [email protected], 本館2階220)

<オフイスアワー:月曜日午後13時から13時30分>

櫻井文教(平成22年4月1日赴任予定につき未定)

<オフイスアワー:平成22年4月1日赴任予定につき未定>

近藤昌夫(06-6879-8196, [email protected], 本館4階439)

<オフイスアワー:月曜日午後0時から2時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:必須) ・セメスター:V

・曜日・時限:木曜・1時限 ・場 所:大講義室

(2)薬学教育の中での位置付け

「生命情報薬学」は、「生物科学概論A」、「生物化学Ⅰ」と共に、小領域を構成する授業である。「生物科学概論A

(Ⅱセメスター)」、「生物化学 1(第Ⅲセメスター)」の履修により、生化学、分子生物学、分子遺伝学に関す

る基礎知識を修得することによって理解が深まる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として、薬物の作用メカニズムに関する知識を有効活用しヒトの健康維持・増進に貢献

するために、生化学、分子生物学、分子遺伝学に関する基礎知識を修得する。

【授業の概要】

薬学の基本的命題のひとつである薬物の作用メカニズムを知るためには生命現象の分子機構をまず学ぶ必要があ

る。本講義は、第Ⅲセメスターまでに開講されている生物科学概論Aや生物化学Iなどとあわせて生化学・分子

生物学・分子遺伝学の基礎を理解することを目的とする。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

細胞の構造、機能、進化について学び、その多様性を理解する。原核生物と真核生物、

単細胞生物と多細胞生物について学ぶ。

1)

<解説・キーワード> 細胞、核、細胞質、原核生物、真核生物、ミトコンドリア、葉緑体

C-8(2)【細胞と組織】1,

2)、【細胞内小器官】1),

C-8(4)【総論】2)

DNAの構造について学び、その機能を理解する。真核生物の染色体構造を学び、遺伝子発

現機構におけるその役割を理解する。

2)

<解説・キーワード> DNA、遺伝子、塩基対、ヒストン、クロマチン、染色体、テロメア

C-9(2)【ヌクレオチドと

核酸】1-3)、【遺伝情報

を担う分子】2-5)

遺伝的変動の生成における基本メカニズムについて学び、進化の過程における変化を理

解する。ゲノムの解明の意義について理解する。

3)

<解説・キーワード> 生殖系列、変異、転移因子、系統樹、一塩基多型

C-8(4)【総論】2)、C-9(2)

【遺伝情報を担う分子】

1, 3, 5, 6) 【転写と翻

訳のメカニズム】3) 【遺

伝子の複製・変異・修復】

2) 【遺伝子多型

】1)

遺伝子発現のあらましを学び、転写スイッチの働くしくみを理解する。真核細胞におけ

る特定の細胞型を作り出す分子機構を理解する。

4)

<解説・キーワード> プロモーター、エンハンサー、リプレッサー、アクチベーター、クロ

マチン

C-9(2)【遺伝情報を担う

分子】1-5)、【転写と翻

訳のメカニズム】1-3)

5) RNAの構造について学び、その機能を理解する。RNAの機能と生命の起源について理解す C-9(2)【ヌクレオチドと

Page 127: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

126

る。

<解説・キーワード> RNA、スプライシング、リボザイム、RNA世界

核酸】3)、【遺伝情報を

担う分子】2, 6) 【転写

と翻訳のメカニズム】3)

mRNA の情報に基づき、タンパク質が生合成される過程について学び、細胞がゲノムを読

み取り、遺伝子発現する仕組み、さらには分子生物学のセントラルドグマについて理解

を深める。

6)

<解説・キーワード> セントラルドグマ、mRNA、tRNA、リボソーム

C-9(2)【遺伝情報を担う

分子】1, 5)、【転写と翻

訳のメカニズム】1-5)

細胞が膨大な遺伝情報を正確に複写し、複雑多様な環境の中でも秩序を維持できる仕組

みについて学び、細胞が遺伝的に全く同一な 2 個の細胞を創り出す機構について理解を

深める。

7)

<解説・キーワード> 遺伝子、DNA、染色体、複製

C-9(2)【転写と翻訳のメ

カニズム】1, 5)、【遺伝

子の複製・変異・修復】

1)

損傷を受けたDNAを修理する精巧な仕組みを学んだうえで、個体差などを一例に、DNA複

製や修復がうまく働かず、DNAに永続的な変化が生じる現象について理解を深める。

8)

<解説・キーワード> DNA修復、変異、遺伝子多型

C-9(2)【遺伝子の複製・

変異・修復】1-3)、【遺

伝子多型】1)

環境に応じて、細胞が遺伝情報を変化させる巧妙な仕組みを学び、生物種の多様性と進

化について理解を深める。

9)

<解説・キーワード> 組換え、レトロウイルス、遺伝子多型

C-9(2)【転写と翻訳のメ

カニズム】1-4)、【遺伝

子の複製・変異・修復】

1-3)、【遺伝子多型】1)

ヒトゲノム等を詳細に眺め、SNPs 等に着目することで、遺伝的変化を生じる分子機構に

ついて学び、生命の驚異的な多様性、起源、進化について理解を深める。

10)

<解説・キーワード> 遺伝的変動、系統樹、ヒトゲノム、創薬

C-9(2)【遺伝子の複製・

変異・修復】2)、【遺伝

子多型】1)、C-17(3)【ゲ

ノム情報の創薬への利

用】1)

環境等の外部シグナルに応じて、原核生物が遺伝子発現を調整する機構を学び、原核生

物が遺伝情報を巧みに操る仕組みを理解する。

11)

<解説・キーワード>原核細胞、核酸、RNA、DNA、転写、翻訳

C-8(4)【総論】2)、

C-9(2)【ヌクレオチドと

核酸】2, 3)、【遺伝情報

を担う分子】1, 2, 5)、

【転写と翻訳のメカニ

ズム】1, 2, 4, 5)

環境等の外部シグナルに応じて、真核生物が遺伝子発現を調整する機構を学び、真核生

物の多様性、多機能性について理解を深める。

12)

<解説・キーワード>真核細胞、核酸、RNA、DNA、転写、翻訳

C-8(4)【総論】2)、C-9(2)

【ヌクレオチドと核酸】

2, 3)、【遺伝情報を担う

分子】1-6)、【転写と翻

訳のメカニズム】1-4)

プラスミド、組換えDNA、制限酵素などについて学び、遺伝子組換えの原理を理解する。 13)

<解説・キーワード>制限酵素、ライゲーション、PCR、クローニング

C-9(2)【ヌクレオチドと

核酸】2, 3)、【遺伝情報

を担う分子】1, 2, 5)、

C-9(6)【遺伝子操作の基

本】1)、【遺伝子のスク

リーニング技術】1)

DNAを操作し目的とする組換えDNAを作製するまでの流れを学ぶ。さらに、宿主ーベクター

系を中心に、組換えDNA実験の安全性に関する理解を深める。

14)

<解説・キーワード>遺伝子組換え実験、クローニング、PCR、DNAライブラリ、宿主ーベクター

C-9(6)【遺伝子操作の基

本】1, 2, 4, 5)、【遺伝

子のクリーニング技術】

1-3, 5, 6)

15) 膨大な遺伝情報を網羅的、包括的に解析する方法を学び、システム生物学に関する理解

を深める。

C-9(6)【遺伝子解析技

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127

<解説・キーワード>ゲノム、バイオインフォマテイクス、ゲノム創薬 術】1, 4)、C-17(3)【ゲ

ノム情報の創薬への利

用】2, 4、【疾患関連遺

伝子】2)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 大講義室 土井・石本 教科書, プリント 90

2 2) 講 義 大講義室 土井・石本 教科書, プリント 90

3 3) 講 義 大講義室 土井・石本 教科書, プリント 90

4 4,5) 講 義 大講義室 土井・石本 教科書, プリント* 90

5 1-5) 総合討論 大講義室 土井・石本 教科書, プリント* 90

6 6) 講 義 大講義室 櫻井 教科書, プリント 90

7 7) 講 義 大講義室 櫻井 教科書, プリント 90

8 8) 講 義 大講義室 櫻井 教科書, プリント 90

9 9, 10) 講 義 大講義室 櫻井 教科書, プリント* 90

10 6-10) 総合討論 大講義室 櫻井 教科書, プリント* 90

11 11) 講 義 大講義室 近藤 参考書, プリント 90

12 12) 講 義 大講義室 近藤 参考書, プリント 90

13 13) 講 義 大講義室 近藤 参考書, プリント 90

14 14, 15) 講 義 大講義室 近藤 参考書, プリント* 90

15 11-15) 総合討論 大講義室 近藤 参考書, プリント* 90

[注意事項]

*: 生化学、分子生物学、分子遺伝学の最先端の潮流を体験してもらうために、必要に応じて最新の英語文献に

関する解説を行う。

(6)教科書・参考書

・教科書:Essential細胞生物学(南江堂)

・参考書:細胞の分子生物学(教育者)ほか

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・5、10、15回目の総合討論終了後に論述形式の試験を行う(それぞれ1/3ずつ、計100%)。

・原則として全体で4回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・必要に応じて、1、6、11 回目の講義の開始時に、学習者の授業内容に関する予備知識を把握するために、

15分間のプレテストを行なう。この結果を反映して、学生の予備知識に合わせた授業を実施する。

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128

生理学 II(Physiology II)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 辻川和丈(06-6879-8191, [email protected], 本館3階345)

<オフイスアワー:月-金曜日午後0時から1時30分>

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:必須) ・セメスター:V

・曜日・時限:火曜・3時限 ・場 所:第1講義室

(2)生物薬学教育の中での位置付け

人体は、複雑で高度な生命活動を営んでいる。その生命活動の理(ことわり)を知ることは、疾患の発症機序

を解き明かし、医薬品の作用を理解し、さらには創薬研究を進める上で必要不可欠となる。「生理学Ⅱ」では、「生

理学I」とともにこの生命活動の理(生理)を習得する。「生理学」を習得するためには、生体構成分子、細胞の

構成や機能に関する知識が必要不可欠である。これらの基礎的知識は、「生物化学概論A」、「生物化学概論B」

の履修による習得できる。さらに「生物化学I」、「生物化学Ⅱ」、「遺伝子工学」とともに「免疫学I」や「免疫学II」

を履修することにより、より高度な理解を深め、発展させることができる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

健康な生命活動と、その破綻による病気の発症を理解するために、ホルモンによる人体の構成要素である分子、

細胞、組織、器官の統合的な機能制御についての知識を修得する。

【授業の概要】

生体は、神経系、免疫系と内分泌系の3つの統御系により制御され生命活動を営んでいる。人体では、これら

が個々に巧妙かつ緻密なネットワークシステムを構築するとともに、各統御系が相互に機能制御することにより

高度な生命活動を可能としている。本講義では、内分泌される化学物質であるホルモンに焦点を当て、その生理

作用や制御系についての知識を習得する。さらにホルモンによる代謝制御、骨の形成と成長、血糖調節や生殖機

能の調節についても学習する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム

対応

下垂体、甲状腺、副腎などの内分泌系臓器の機能と構造,主要なホルモンの分泌機構お

よび作用機構を関連づけて説明する。

1)

<解説・キーワード> 脳下垂体ホルモン、甲状腺ホルモン、糖質コルチコイド、鉱質コルチ

コイド、消化管ホルモン、フィードバック調節、シグナル伝達

C-8 (1)【内分泌系】1),

C-8 (3)【ホルモンによる

調節機構】1),C-8 (3)【消

化・吸収の調節機構】2)

代表的なペプチド性ホルモンの具体例を挙げ、その構造、産生臓器、生理作用および分

泌調節機構を説明する。

2)

<解説・キーワード> 視床下部ホルモン、下垂体前葉ホルモン、下垂体後葉ホルモン、膵臓

ホルモン、体温調節

C-8 (3)【体温の調節機構】

1) ,C-9 (5)【ホルモン】

1)

代表的なアミノ酸誘導体ホルモンの具体例を挙げ、その構造、産生臓器、生理作用およ

び分泌調節機構を説明する。

3)

<解説・キーワード> 甲状腺ホルモン、副腎髄質ホルモン、松果体ホルモン

C-9 (5)【ホルモン】2)

代表的なホルモン異常による疾患を挙げ、その病態を説明する。 4)

<解説・キーワード> 糖尿病、尿崩症、成長ホルモンの異常、甲状腺ホルモンの異常、副腎

皮質ホルモンの異常

C-9 (5)【ホルモン】4)

血圧、尿量の調節機構について説明する。 5)

<解説・キーワード> 液性調節因子、レニン-アンギオテンシン系、抗利尿ホルモン

C-8 (3)【循環・呼吸系の

調節機構】1), C-8 (3)【体

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129

液の調節機構】2)

血糖の調節機構について説明する。 6)

<解説・キーワード> インスリン、グルカゴン、副腎髄質ホルモン、成長ホルモン、甲状腺

ホルモン、糖質コルチコイド

C-8 (3)【ホルモンによる

調節機構】2)

代表的なステロイドホルモンの具体例を挙げ、その構造、産生臓器、生理作用および分

泌調節機構を説明する。

7)

<解説・キーワード> コレステロール、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、性ホルモン、

生殖機能

C-8 (1)【生殖器系】1) ,

C-9 (5)【ホルモン】3)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(7回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1)-3) 講 義 第1講義室 山元 プリント、参考書 90

2 1)-3) 講 義 第1講義室 辻川 プリント、参考書 90

3 1)-3) 講 義

第1講義室 辻川 プリント、参考書

映像DVD 90

4 4)-6) 講 義 第1講義室 辻川 プリント、参考書 90

5 4)-6) 講 義 第1講義室 辻川 プリント、参考書 90

6 4)-6) 講 義 第1講義室 辻川 プリント、参考書 90

7 7) 講 義 第1講義室 辻川 プリント、参考書 90

8 1)-7) まとめ 第1講義室 辻川 プリント、参考書 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。授業は配布プリントを中心に進める。

・参考書:シンプル生理学(南江堂)、からだを理解するための解剖・生理学(金芳堂)、

スタンダード薬学シリーズ生物系薬学3 生物系薬学I,II(東京化学同人)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・8回目の講義(まとめ)終了後に期末試験を課す(80%)。

・出席を評価に加味する(20%)。

・原則として、全体で4回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・3回目の講義時に、前回までの講義内容に関する小テストを行なう。その後、解説とともに正解を伝え、自

己採点後回収する。この結果から講義の理解度を把握し、以後の授業に反映させる。

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130

免疫学Ⅱ(Immunology Ⅱ)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 辻川和丈(06-6879-8191, [email protected], 本館3階345)

<オフイスアワー:月~金曜日午後0時から1時30分>

深田宗一朗(06-6879-8193, [email protected], 本館3階344)

<オフイスアワー:月曜日午後0時から1時>

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:Ⅵ

・曜日・時限:水曜・2時限 ・場 所:第1講義室

(2)生物薬学教育の中での位置付け

免疫学は、「生理学」「生物化学」「微生物学」と共に、基礎生命科学領域を構成する科目である。「免疫学Ⅰ」

では、すでに習得した「生物科学概論」「生理学」「生物化学」「基礎微生物学」を基礎に免疫学の基礎を学ぶ。「免

疫学Ⅱ」(選択科目)は「免疫学Ⅰ」のアドバンスト科目として、サイトカインによる免疫系の制御、自然免疫

の分子機構、自己免疫疾患の基礎、腫瘍免疫学の基礎、ワクチン、免疫学的手法などを授業する。またより高度

で最新の免疫学研究成果についても講義する。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

免疫学は生命科学の中でも特に重要な分野となっている。それは免疫系が生体の恒常性を維持する上で必須の

機能を演じているとともに、免疫担当細胞やその細胞から産生される液性因子サイトカインが他の生体細胞の機

能をも制御していることが明らかになってきたことが挙げられる。さらにこれらサイトカインや抗体は生命科学

研究や臨床にも応用されている。そこで本授業では、免疫担当細胞が巧妙に繰り広げる正常な免疫応答を探り、

その異常が原因で起こる免疫疾患について知識を深めていく。さらに、免疫反応を利用した様々な研究手法や治

療・予防法を理解する。

【授業の概要】

薬学研究者、薬学技術者のみならず、薬剤師を目指す学生にとって免疫学の理解は欠かせないものになって

いる。特に難治性疾患の多くが免疫制御機構の異常が原因で引き起こされることが知られており、さらには近年

の高度先進医療(臓器移植医療、幹細胞治療法、遺伝子治療法など)の理解には、免疫学の深い知識と理解が必

須である。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

さまざまな免疫学的手法を概説し、その応用法を学ぶ。 1)

<解説・キーワード> モノクロナル抗体、酵素免疫定量法、免疫生化学的手法

C-10 (2)【免疫反応の応

用】1)-4)

サイトカインの機能や役割、作用機構、その異常症ついて解説する。 2)

<解説・キーワード> サイトカイン、ケモカイン、多能性と重複性

自然免疫の分子機構について解説する。 3)

<解説・キーワード> PAM、TLR

腫瘍免疫学の基礎について解説する。 4)

<解説・キーワード> 免疫増強、サイトカイン

種々の自己免疫疾患や免疫異常症の発症機構について解説する。 5)

<解説・キーワード> 自己免疫疾患、免疫機能亢進症、免疫不全症

移植免疫学の基礎について解説する。 6)

<解説・キーワード> 免疫寛容、臓器移植、骨髄移植、免疫制御薬

C-10 (2)【免疫系が関係

する疾患】1)-4)

C-10 (2)【免疫応答のコ

ントロール】1)-4)

感染症と免疫、ワクチンについて解説する。 7)

<解説・キーワード> ワクチン、予防接種

C-10 (2)【予防接種】1)-3)

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131

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(8回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1)-2) 講 義 第1講義室 辻川 教科書, プリント 90

2 1)-2) 講 義 第1講義室 辻川 教科書, プリント 90

3 3)-4) 講 義 第1講義室 辻川 教科書, プリント 90

4 3)-4) 講 義 第1講義室 辻川 教科書, プリント 90

5 5)-7) 講 義 第1講義室 深田 教科書, プリント 90

6 5)-7) 講 義 第1講義室 深田 教科書, プリント 90

7 5)-7) 講 義 第1講義室 深田 教科書, プリント 90

8 1)-8) まとめ 第1講義室 辻川 教科書, PC 90

(6)教科書・参考書

・教科書: 免疫学 ベーシック薬学教科書シリーズ10(化学同人)

・参考書: 免疫学イラストレイテッド(南江堂)

・参考書: スタンダード薬学シリーズ「生物系薬学Ⅲ」(東京化学同人)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・8回目の講義(まとめ)終了後に期末試験を課す(80%)。

・出席を評価に加味する(20%)。

・原則として、全体で4回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・講義期間中2回、学習者の授業内容に関する予備知識や理解度を把握するために、15分間の

プレテストを行なう。その後、解説とともに正解を伝え、自己採点させ回収する。この結果から講義の理解

度を把握し、以後の授業に反映させる。

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132

遺伝子工学(Genetic Engineering )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 八木清仁(06-6879-8195, [email protected], 本館4階438)

<オフイスアワー:火曜日午後0時30分から1時>

近藤昌夫(06-6879-8196, [email protected], 本館4階439)

<オフイスアワー:月曜日午後0時から2時>

外部講師1名(未定)

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:Ⅵ

・曜日・時限:金曜・2時限 ・場 所:第1講義室

(2)薬学教育の中での位置付け

「遺伝子工学」は、「生物化学1」、「生物化学Ⅱ」、「生命情報薬学」で学習する内容を基盤とし、遺伝子工学技術

が薬学領域でどのように応用されているかを概説する授業である。「生物化学 1(第Ⅲセメスター)」、「生物化

学Ⅱ(第Ⅳセメスター)」、「生命情報薬学(第Ⅲセメスター)」の履修により、遺伝子、蛋白質、遺伝子発現等

に関する基礎知識を修得することによって本講義に対する理解が深まる。また、本講義により「バイオ医薬品(第

Ⅶセメスター)」に関する理解を深めることができる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として疾患ゲノム情報を有効活用しつつヒトの健康維持・増進に貢献するために、遺伝

子組換え技術、および本技術の創薬的応用に関する基礎知識を修得する。

【授業の概要】

遺伝子工学を用いた創薬研究について理解を深めることを目的とする。ヒトゲノム配列の解読に端を発したゲ

ノム研究とプロテオーム研究の融合と相俟って、昨今の遺伝子工学技術を活用した創薬研究の進展には目を見張

るものがある。本講義では、遺伝子工学技術の基礎について講述後、組換えDNA技術、機能性蛋白質作製法、遺

伝子導入法を利用した創薬的アプローチについて概説する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

ゲノム・プロテオーム研究の進展に伴い新たな創薬シーズとして注目されているBiologics

の概要を学び、遺伝子工学と創薬研究の関わりを理解する。

1)

<解説・キーワード> ゲノム、プロテオーム、バイオ医薬品、遺伝子組換え技術

C-9(6)【遺伝子機能の解

析技術】4), 【遺伝子機

能の解析技術】4),

C-17(3)【組換え体医薬

品】1)

組換えDNA の作製に使用する酵素、ベクター、各種酵素、ベクター、ライブラリを用いて

目的とするDNAをクローニングする方法を学び、遺伝子組換えに関する理解を深める。

2)

<解説・キーワード> 遺伝子組換えの基礎、遺伝子クローニング

C-9(6)【遺伝子操作の基

本】1), C-9(6)【遺伝子

クローニング技術】1-5)

DNAクローニング技術、組換え蛋白質作製技術、ファージ表面提示法などを利用した機能

性蛋白質作製法を理解する。

3)

<解説・キーワード> 組換え蛋白質、クローニング、ファージライブラリ、蛋白質性医薬品

C-9(6)【遺伝子クローニ

ング技術】3), C-17(3)【組

換え体医薬品】1)

リポフェクションやエレクトロポレーション法、レトロウィルスやアデノウィルスなど

組換えウィルスを用いて外来遺伝子を動物細胞に導入する方法について理解を深める。

4)

<解説・キーワード> 非ウイルスベクター、ウイルスベクター、遺伝子導入法

C-9(6)【遺伝子機能の解

析技術】2)

動物細胞で用いられるマーカー遺伝子、各種ウィルスベクターにおける挿入遺伝子の発

現制御について学び、真核生物を利用した遺伝子工学について理解を深める。

5)

<解説・キーワード> 遺伝子発現制御、ウイルスベクター、プロモーター

C-9(6)【遺伝子機能の解

析技術】2)

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133

遺伝子工学技術を利用した医薬品の生産について学び、組換え DNA 技術の医療分野での

重要性について理解を深める。

6)

<解説・キーワード> 蛋白質医薬品、核酸医薬品、ペプチド医薬品

C-9(6)【遺伝子機能の解

析技術】2), C-17(3)【組

換え体医薬品】1), 2)

遺伝子治療の原理、使用されるベクター、臨床例について学び、その有用性、安全性に

ついて理解を深める。

7)

<解説・キーワード> 遺伝子治療、バイオ医薬品、遺伝子導入ベクター

C-17(3)【遺伝子治療】1),

【疾患関連遺伝子】1), 2)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(7回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第1講義室 近藤 参考書, プリント 90

2 2) 講 義 第1講義室 近藤 参考書, プリント 90

3 1-3) 講 義 第1講義室 近藤 参考書, プリント* 90

4 4) 講 義 第1講義室 八木 参考書, プリント 90

5 5, 6) 講 義 第1講義室 八木 参考書, プリント 90

6 6, 7) 講 義 第1講義室 八木 参考書, プリント* 90

7 6, 7) 特別講義 第1講義室 外部講師 参考書, プリント* 90

[注意事項]

*: 最先端の遺伝子工学技術を利用した創薬研究を理解してもらうために、最新の英語文献に関する解説を行う。

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:Essential細胞生物学、細胞の分子生物学

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・7回目の講義終了後に論述形式の試験を行なう(100%)。

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・講義期間中に少なくとも2回の小テストを行い受講者の理解度を把握し、講義内容の吟味、進行

度合いの調節などに反映していく。

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134

学習の手引き

(抜 粋)

医療薬学領域

・臨床薬効評価学(第Ⅳセメスター)

・製剤化学(第Ⅳセメスター)

・薬理学Ⅰ(第Ⅳセメスター)

・バイオ医薬品(第Ⅴセメスター)

・薬理学Ⅱ(第Ⅵセメスター)

・薬物動態学(第Ⅵセメスター)

・薬物治療学Ⅰ(第Ⅵセメスター)

・薬学と社会(第Ⅵセメスター)

・医薬品開発学(第Ⅵセメスター)

・薬物治療学Ⅱ(第Ⅶセメスター)

・臨床薬剤学(第Ⅶセメスター)

・薬物治療学Ⅲ(第Ⅶセメスター)

・薬剤疫学(第Ⅶセメスター)

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135

臨床薬効評価学(Clinical Evaluation of Medicines and Therapeutics )

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 藤尾 慈(06-6879-8258, [email protected], 新館4階)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から4時>

中山博之

・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:IV

・曜日・時限:水曜・3時限 ・場 所:第1講義室

(2)医療薬学教育の中での位置付け

「臨床薬効評価学」は、「薬物動態学」とともに薬物治療学の理論的根拠を学ぶこととなる。「薬物治療学I」「薬

物治療学II」「薬物治療学III」を理解し、その知識を基礎に臨床現場において薬物の投与設計を考える上で重

要である。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬効が現れるプロセスおよび薬効に個体差が生じるメカニズムを学び、クスリの安全性を評価し、医薬品の適

正使用を行うために必要な知識を得る。

【授業の概要】

薬品は、生体に投与されてクスリとなり、クスリは、ヒトにおいて有効性、安全性が確認されて医薬品となる。

この過程において、生物学的作用が認められ「医薬品」として期待された候補物質の大半は、社会に出ることな

く脱落する。また、ようやく医薬品として承認された薬品でも、有効性を上回る危険性が報告され市場撤退した

例には枚挙にいとまがない。本授業では、クスリがどのようにしてヒトに影響を及ぼすかについて解説する。医

薬品が創られる過程で考慮されるべきこと、医薬品が正しく使われるために必要なことを学ぶと同時に、有害事

象を科学的に理解し、謙虚に対応することの重要性を知ってもらいたい。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

・薬物の主作用と副作用(有害作用)、毒性との関連について説明できる。

・副作用と有害事象の違いについて説明できる。

1)

<解説・キーワード> 副作用と有害事象。

C-13(1)【薬の副作用】

1), 2)

・薬物の体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)と薬効発現の関わりについて説明できる。

・薬物の代表的な投与方法(剤形、投与経路)を列挙し、その意義を説明できる。

・経口投与された製剤が吸収されるまでに受ける変化(崩壊、分散、溶解など)を説明できる。

・薬物の生体内分布における循環系の重要性を説明できる。

・生体内の薬物の主要な排泄経路を、例を挙げて説明できる。

2)

<解説・キーワード> 吸収、分布、代謝、排泄。

C-13(1)【薬の運命】

1)-5)

・薬物分子の体内での化学的変化とそれが起こる部位を列挙して説明できる。

・薬物代謝が薬効に及ぼす影響について説明できる。

・薬物代謝様式とそれに関わる代表的な酵素を列挙できる。

・シトクロムP-450の構造、性質、反応様式について説明できる。

・薬物の酸化反応について具体的な例を挙げて説明できる。

・薬物の還元・加水分解、抱合について具体的な例を挙げて説明できる。

・薬物代謝酵素の変動要因(誘導、阻害、加齢、SNPsなど)について説明できる。

・初回通過効果について説明できる。

・肝および固有クリアランスについて説明できる。

3)

<解説・キーワード> 薬物代謝、シトクロームP-450、初回通過効果

C-11(4)【代謝】1)-9)

Page 137: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

136

・薬物動態に起因する相互作用の代表的な例を挙げ、回避のための方法を説明できる。

・薬効に起因する相互作用の代表的な例を挙げ、回避のための方法を説明できる。

4)

<解説・キーワード> 薬物代謝酵素の誘導と阻害

C-11(4)【薬物相互作

用】1), 2)

・薬物の作用発現に及ぼす代表的な遺伝的素因について、例を挙げて説明できる。

・薬物動態に影響する代表的な遺伝的素因について、例を挙げて説明できる。

・遺伝的素因を考慮した薬物治療について、例を挙げて説明できる。

5)

<解説・キーワード> ファーマコゲノミクス、遺伝子多型、SNP

C-15(3)【遺伝的要因】

1)-3)

・高齢者に対する薬物治療で注意すべき点を説明できる。 6)

<解説・キーワード> 加齢。

C-15(3)【年齢的要因】

3)

・生殖、妊娠時における薬物治療で注意すべき点を説明できる。

・授乳婦に対する薬物治療で注意すべき点を説明できる。

7)

<解説・キーワード> 胎盤透過性、器官形成、乳汁移行性

C-15(3)【生理的要因】

1), 2)

さまざまな疾患における薬物治療の留意点を説明できる。 8

) <解説・キーワード> 肥満、腎疾患、肝疾患、心疾患

C-15(3)【生理的要因】

3)、【合併症】1)-3)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

2,3 2) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

4,5 3) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

6,7 4) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

8,9 5) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

10, 11 6) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

12 7) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

13,14 8) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

15 まとめ 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:臨床薬物動態学 加藤隆一 (南江堂)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・ 15回目の講義終了後に試験を行なう(原則として100%)。

・ 下記、形成的評価に記した討論に積極的に参加したものには、加点する。

・ 原則として全体で3回以上欠席した場合は、再試験の受験資格を有しない。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・講義中に適宜、討論の時間を設ける。

Page 138: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

137

製剤科学(Pharmaceutics) (1)講義に関する基礎情報 ・担当教員: 相本太刀夫(06-6879-8239,[email protected],2号館3階306) <オフィスアワー:月曜日午後1時30分から4時45分> ・単位数:2 ・履修対象:2年生(薬学科:必須、薬科学科:必須) ・セメスター:Ⅳ ・曜日・時限:月曜・1時限 ・場所:大講義室 (2)医療薬学教育の中での位置づけ 「製剤科学」では、「薬物動態学」、「臨床薬剤学」、「医薬品開発学」などの科目の基礎となる物理薬剤学お

よび製剤学を修得し、また、医療現場での「実務実習(病院・薬局)」における調剤実務に必要な各種製剤に関

する特性、使用目的、選択、使用上の諸注意を修得する。 (3)授業の学習目標と授業概要 【学習目標】 医薬品および医薬品製剤を適正に使用できるために、各種製剤の製造および臨床使用に必要な物理薬剤学的およ

び製剤学的基礎知識を修得する。 【授業の概要】 製剤科学は、薬物治療の最適化を目指して、薬物の有効性、安全性、品質および使用性を確保し、疾病の予防・治

療に適用するための最適な投与方法および投与剤形を研究する学問である。したがって、薬物自身や製剤の基礎的

な物性・特性やそれらの評価法に関する知議・技術、ならびに薬物をヒトに投与した際の体内動態およびその解

析に基づく最適投与法の設定等を含んでいる。 この授業では、溶液論、反応速度論、分散系理論、粉体科学、各種製剤の製造法を概説する。 (学習の到達目標)

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応 医薬品を生体に適用するために用いられる剤形および製剤化に必要な基礎理論について

概説する。 1)

<解説・キーワード> 剤形の種類

C16(2)【代表的な製剤】1)

医薬品の溶解性および溶解性の制御について説明する。① 2)

<解説・キーワード> 温度およびpH等の影響、結晶形、溶媒和物、Nernst-Noyes-Whitney式、Hixson-Crowell式、温度、撹拌、溶媒の粘度、粒子径、結晶形、溶媒和、塩形成

C16(1)【物質の溶解】1-4)

溶液の束一性について説明する。 3)

<解説・キーワード> 蒸気圧、凝固点(氷点)、沸点および浸透圧の変化、注射剤や

点眼剤の浸透圧の調整

C16(1)【物質の溶解】1) C1(3)【物理平衡】5)

医薬品の反応速度論(反応次数と速度定数)について説明する。 4)

<解説・キーワード> 0次反応、1次反応(見かけ上0次反応)および2次反応速度、

併発反応、可逆反応(平衡反応)および逐次反応

C1(4)【反応速度】1-5)

医薬品の安定性に影響する因子および安定化について説明する。 5)

<解説・キーワード> 反応速度と温度との関係(Arrhenius式)、pH、各種イオン、イオン強度、誘電率、金属、光、酸素、安定化の方法

C16(1)【物質の溶解】4) C1(4)【反応速度】6)、9)

分散系およびその安定性について説明する。 6) <解説・キーワード> 界面現象と界面の性質、界面活性剤の種類および構造、界面活

性剤溶液の性質および作用、各種分散系(乳剤および懸濁剤)

C16(1)【分散系】1-5)

Page 139: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

138

流動と変形(オロジー)の概念を説明する。 7) <解説・キーワード> ずり応力、ずり速度、粘性係数(粘度)、ニュートン流動、非

ニュートン流動、チキソトロピー

C16(1)【製剤材料の特性】1~3)

粉体の基礎的な性質を説明する。 8)

<解説・キーワード> 粒子径とその測定法、粉体の充てん性、流動性、付着性、圧縮

性、吸湿性、ぬれ、配合変化

C16(1)【製剤材料の特性】5-7)

各種製剤の製造に関する基礎的な知識を説明する。 9) <解説・キーワード> 散剤、顆粒剤、カプセル剤、コーティングされた製剤、軟膏剤、

眼軟膏剤、坐剤、貼付剤、パップ剤、ローション剤、リニメント剤、注射剤、点眼剤、

エアゾール剤、特殊製剤

C16(2)【代表的な製剤】1-8)、【製剤化】1-3)

DDS(Drug Delivery System:薬物送達システム)について概説する。 10)

<解説・キーワード> 薬物の体内動態:(溶解)、吸収、分布、代謝および排泄、プ

ロドラッグの原理

C16(3)【DDSの必要性】1, 2)、【放出制御型製剤】1~6)、【ターゲティング】1, 2)、【プロドラッグ】1)

(5)授業計画(学習方略) 授業回数 (15回)

到達目標 (番号)

学習方法 場 所 担当者 教 材 時間数 備考

1 1) 講義 大講義室 相本 教科書, プリント 90 2, 3 2) 講義 大講義室 相本 教科書, プリント 90 4 3) 講義 大講義室 相本 教科書, プリント 90 5 4) 講義 大講義室 相本 教科書, プリント 90 6 5) 講義 大講義室 相本 教科書, プリント 90

7, 8 6) 講義 大講義室 相本 教科書, プリント 90 9 7) 講義 大講義室 相本 教科書, プリント 90 10 8) 講義 大講義室 相本 教科書, プリント 90

11, 12 9) 講義 大講義室 相本 教科書, プリント 90 13, 14 10) 講義 大講義室 相本 教科書, プリント 90

15 1-10) 筆記試験 大講義室 相本 なし 90

(6)教科書・参考書

・教科書:最新製剤学-第2版-(上釜・川島・松田編集:廣川書店)およびプリント

・参考書: ①「新しい図解薬剤学-改訂3版-」(森本・他著:南山堂)

②「臨床製剤学-改訂第2版-」(三嶋・他編著:南江堂)

③「基礎から学ぶ製剤化のサイエンス」(山本監修、高山・寺田・宮嶋編集:エルゼビア・ジャパン)

④「MARTIN'S Physical Pharmacy and Pharmaceutical Science-FIFTH EDITION-」

(PATRICK J. SINKO:LIPPINCOTT WILLIAMS & WILKINS)

⑤「Remington The Science and Practice of Pharmacy-21st EDITION」(LIPPINCOTT WILLIAMS & WILKINS)

(7)成績評価(教育評価)

【総括評価】(合否判定)

・15回目に論述形式の試験を行う(100%)。

・原則として、全体で6回以上欠席した場合は不合格とする。出席調査方法(下記)

【形成的評価】

・授業開始時に、出席調査を兼ねた基礎知識および復習調査のための10分程度のミニテストを行い、自己採

点させたのち回収する。この結果から講義の理解度を把握し、以後の授業にフィードバックをかける。

Page 140: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

139

薬理学 I(Pharmacology I)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 橋本 均(06-6879-8181, [email protected], 本館4階434)

<オフイスアワー:月曜日12時から13時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:V

・曜日・時限:水曜・2時限 ・場 所:大講義室

(2)医療薬学教育の中での位置付け

「薬理学 I」は、「薬理学Ⅱ」、「薬物治療学Ⅰ」、「薬物治療学Ⅱ」、「薬物治療学Ⅲ」、「臨床医学」と共に、薬学

教育モデル・コアカリキュラムのコース“薬と疾病”をカバーする授業である。これら関連講義の基本となる、

薬の作用機構に関する基本理論を習得する。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬物作用の原理、並びにそれと関連した情報伝達系の基本原理を学ぶ。各論では、自律神経系作用薬を中心に、

薬物作用の概要と疾患への適用を理解する。

【授業の概要】

薬理学は、薬物が生体に及ぼす作用を分子レベルで理解することを目的とする学問であり、その基本原理は創

薬、薬効評価において極めて重要なものである。また、各種薬物の薬効発現機序の理解は、実際の医療現場にお

いて臨床使用される各種医薬品の適切な使用と副作用の危険性を理解するために不可欠なものである。

本科目では、主に、薬物作用の分子基盤の理解を通して、薬物と生体との関わりを考える。医療系科目に限ら

ず、薬物を扱う薬学の全領域に必須の科目である。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

薬理学とはー 医療薬学、生命科学の中での薬理学の位置、その学問体系について説明

できる。

1)

<解説・キーワード> 薬理学、薬物学、薬物治療学、など

B(1)【薬について】1),3)

薬物作用の原理原則について説明できる。 2)

<解説・キーワード> 薬理作用、副作用、有害作用、用量反応曲線、ED50, LD50, 安全域な

C-13(1)【薬の作用】

1),2)、C-13(1)【薬の副

作用】1),2)

生体情報伝達系を概説できる。薬物作用の根本原理としての生体での情報応答機構の全

体を把握し、説明できる。

3)

<解説・キーワード> 生体情報伝達系、神経伝達物質、ホルモン、オーターコイド、その他

C-13(1)【薬の作用】

3),4)、C-9(5)【ホルモン】、

C-9(5)【オータコイドな

ど】、C-9(5)【神経伝達物

質】

代表的な細胞内情報伝達系をあげ、その各論について説明できる。 4)

<解説・キーワード> シグナル伝達の種類と様式、代表的シグナル系の概要と薬物作用の理解

C-13(1)【薬の作用】

4),5)、C-9(5)【細胞内

情報伝達】

細胞の興奮現象とその基盤となるチャネル、トランスポーターの分子基盤を理解し、関連薬物の作用

が説明できる。

5)

<解説・キーワード> 各種イオンチャネル、トランスポーター、その作用薬、膜電位、活動電位

C-13(1)【薬の作用】3)、

C-8(2)【細胞膜】

細胞の興奮現象とその基盤となるチャネル、トランスポーターの分子基盤を理解し、カルシウムの重

要性が説明できる。

6)

<解説・キーワード> 各種イオンチャネル、トランスポーター、その作用薬、膜電位、活動電位、神経伝導

C-13(1)【薬の作用】3)、

C-8(2)【細胞膜】

7) シナプス伝達を理解し、薬物標的としての位置づけが説明できる。 C-8(3)【神経・筋の調節

Page 141: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

140

<解説・キーワード> シナプス伝達の種類、受容体、トランスポーター、興奮性、抑制性 機構】1)~3)

シナプス伝達の各論と作用薬物が説明できる。 8)

<解説・キーワード> Ach神経、アドレナリン神経、各種神経伝達物質など

C-8(3)【神経・筋の調節

機構】1)~3)、C-9(5)【神

経伝達物質】

神経̶筋接合部の生理、病態を理解し、その情報伝達系の典型例が説明できる。 9)

<解説・キーワード> 神経̶筋接合部、Ach受容体、運動神経、筋収縮、筋弛緩薬の作用機構

C-8(3)【神経・筋の調節

機構】4)、C-9(5)【神経

伝達物質】、C-13(2)【知

覚神経系・運動神経系に

作用する薬】2)

受容体論̶薬物受容体、生理活性物質受容体などにおける作用様式が説明できる。 10)

<解説・キーワード> 受容体の各論、脱感作、過感受性、薬物のaffinity,efficacy

C-13(1)【薬の作用】1)~

4),8)

自律神経の構成と機能を理解し、カテコールアミン系神経が関わる疾患と治療薬が説明できる。 11)

<解説・キーワード> 交感神経、副交感神経、カテコールアミン系の概要

C-8(1)【神経系】3)、

C-13(2)【自律神経系に作

用する薬】1),2)

自律神経の構成と機能を理解し、コリン系神経が関わる疾患と治療薬が説明できる。 12)

<解説・キーワード> 自律神経節に作用する薬物と疾患、Ach系の概要

C-8(1)【神経系】3)、

C-13(2)【自律神経系に作

用する薬】3)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1-15 1)-12) 講 義 大講義室 橋本 スライド, 教科書 90

16 試 験 別途指示 橋本 90

(6)教科書・参考書

・教科書:田中千賀子、加藤隆一編集 NEW薬理学 (南江堂)

・参考書:カッツング・コア薬理学 (丸善)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・出席を取る。原則として、60%以上の出席が試験の受験資格となる。

・試験結果を合わせて評価する。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・授業中に質問し、学生の理解度を把握し授業に反映させる。

(8)特記事項

・履修条件・受講条件:生理学Ⅰの履修が望まれる。

Page 142: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

141

バイオ医薬品(Biotechnology-based Medicine)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 八木清仁(06-6879-8195, [email protected], 本館4階438)

<オフイスアワー:火曜日午後0時30分から1時>

水口裕之(06-6879-8185, [email protected], 本館3階336)

<オフイスアワー:月曜日午後0時30分から1時>

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:V

・曜日・時限:月曜・2時限 ・場 所:第4講義室

(2)薬学教育の中での位置付け

「バイオ医薬品」は、「遺伝子工学」、「生物化学Ⅱ」、「生命情報薬学」と関連する授業である。本講義により医薬

品としてのタンパク質、遺伝子、細胞を適正に利用するための基本的知識が修得できる。併せてゲノム情報の利

用に関する基本的知識も修得できる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として必要な遺伝子治療、再生医療、ゲノム創薬などに関する知識を習得させることを

目標とする。

【授業の概要】

遺伝子操作や細胞工学などのバイオ技術が高度化し、組換え医薬品の創成が活発に行われている。本講義にお

いてタンパク性医薬品のみならず、遺伝子治療を目的とした核酸医薬、さらには細胞を利用した治療についても

講述する。またゲノムや疾患関連遺伝子の情報をもとに、分子標的医薬開発やその適用も行われている。ここで

は、それらの現状を概説しバイオ医薬品の将来を展望する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

組換え体医薬品の特徴と有用性を解説し、遺伝子組換え技術、細胞培養法など生産のた

めに必要な基本的技術を説明するとともに安全性について概説する。

1)

<解説・キーワード> 組換え体医薬品、遺伝子組換え技術、細胞培養法

C-17(3)【組換え体医薬

品】1), 2)

血液製剤、ホルモン、成長因子などタンパク性のバイオ医薬品について代表的な例を挙

げて説明し有用性と安全性に関わる諸問題について理解を深める。

2)

<解説・キーワード> タンパク性バイオ医薬品、安全性評価、国際調和

C-17(3)【組換え体医薬

品】3)

遺伝子治療の原理、手法、臨床応用における問題点を概説し理解を深める。さらにデコ

イ医薬品、アンチセンス医薬品など核酸を主体とする医薬品の有用性について概説する。

3)

<解説・キーワード> 遺伝子治療、核酸医薬

C-17(3)【遺伝子治療】1)

再生医療の原理、手法、現状について概説し、臓器移植との差異、倫理的諸問題につい

て理解を深める。

4)

<解説・キーワード> 間葉系幹細胞、ES細胞、iPS細胞、細胞移植

C-17(3)【細胞を利用した

治療】1)

ヒトゲノムの構造と多様性について概説した後、バイオインフォマティクスの概念につ

いて説明しゲノム創薬について理解を深める。

5)

<解説・キーワード> 遺伝子欠損、遺伝子増幅、ゲノミックサザンブロット

C-17(3)【ゲノム情報の創

薬への応用】1), 2)

遺伝子多型の解析手法を紹介し、遺伝子疾患との関連について概説する。 6)

<解説・キーワード> 制限酵素断片長多型(RFLP)、一本鎖高次構造多型(SSCP)、一塩基多

型(SNP)

C-17(3)【ゲノム情報の創

薬への応用】3), 4)

7) 癌、糖尿病など代表的な疾患を引き起こす遺伝子について概説し、その遺伝子情報を利 C-17(3)【疾患関連遺伝

Page 143: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

142

用した薬物療法、分子標的医薬品について理解を深める。

<解説・キーワード> 創薬ターゲットの探索、イマチニブ

子】1), 2)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(7回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第4講義室 水口 プリント 90

2 2) 講 義 第4講義室 水口 プリント 90

3 1-3) 講 義 第4講義室 水口 プリント 90

4 4) 講 義 第4講義室 八木 プリント 90

5 5) 講 義 第4講義室 八木 プリント 90

6 6) 講 義 第4講義室 八木 プリント 90

7 7) 講 義 第4講義室 八木 プリント 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:バイオ医薬品の開発と品質・安全確保

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・7回目の講義終了後に論述形式の試験を行なう(100%)。

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・講義期間中に少なくとも2回の小テストを行い受講者の理解度を把握し、講義内容の吟味、進行

度合いの調節などに反映していく。

Page 144: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

143

薬理学Ⅱ(Pharmacology-Ⅱ)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 松田敏夫(06-6879-8161, [email protected], 本館1階107)

<オフイスアワー:月曜日12時から13時>

橋本 均(06-6879-8181, [email protected], 本館4階434)

<オフイスアワー:月曜日12時から13時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:Ⅵ

・曜日・時限:木曜・1時限 ・場 所:第4講義室

(2)医療薬学教育の中での位置付け

「薬理学Ⅱ」は、「薬理学Ⅰ」、「薬物治療学Ⅰ」、「薬物治療学Ⅱ」、「薬物治療学Ⅲ」、「臨床医学」と共に、薬学

教育モデル・コアカリキュラムのコース“薬と疾病”をカバーする授業である。「薬理学Ⅰ(第Ⅴセメスター)」

に引き続き、薬の作用機構に関する基本的知識を習得する。「薬物治療学Ⅰ(第Ⅵセメスター)」、「薬物治療学

Ⅱ(第Ⅶセメスター)」及び「薬物治療学Ⅲ(第Ⅷセメスター)」の履修により、各々の医薬品の適正な薬物治療

への応用についての理解が深まる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

神経系、消化器系の代表的な疾患の病態に関する基本的知識を修得し、これらの治療に用いられる薬物の作用

を理解する。

【授業の概要】

薬理学は、薬物が生体に及ぼす作用を分子レベルで理解することを目的とする学問であり、その基本原理は創

薬、薬効評価において極めて重要なものである。また、各種薬物の薬効発現機序の理解は、実際の医療現場にお

いて臨床使用される各種医薬品の適切な使用と副作用の危険性を理解するために不可欠なものである。

本科目では、薬理学Ⅰに引き続き、中枢神経系疾患の基礎的知識およびその治療薬について述べる。また、消

化器系の疾患およびその治療薬についても取り扱う。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

代表的な抗精神病薬をあげ、その薬理作用、機序、おもな副作用について説明できる。 1)

<解説・キーワード> 統合失調病、陽性症状、陰性症状、定型抗精神病薬、ドパミンD2受容

体遮断作用、錐体外路系副作用、非定型抗精神病薬、セロトニン・ドパミン受容体遮断

薬(SDA)、多元作用型受容体標的化抗精神病薬(MARTA)

C-13(2)【中枢神経系に作

用する薬】5)、C-14(4)【精

神疾患】2)

代表的な抗うつ薬、抗そう薬をあげ、その薬理作用、機序、おもな副作用について説明

できる。

2)

<解説・キーワード> 躁うつ病、双極性うつ病、単極性うつ病、三環系抗うつ薬、四環系抗

うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再

取り込み阻害薬(SNRI)、躁病、炭酸リチウム、カルバマゼピン、バルプロ酸

C-13(2)【中枢神経系に作

用する薬】5)、C-14(4)【精

神疾患】3)

代表的な抗不安薬をあげ、その薬理作用、機序、おもな副作用について説明できる。 3)

<解説・キーワード> 神経症、心身症、ベンゾジアゼピン誘導体、GABAA受容体、持ち越し効

果、セロトニン5-HT1A受容体作用薬

C-13(2)【中枢神経系に作

用する薬】5)、C-14(4)【精

神疾患】4)

代表的な睡眠薬をあげ、その薬理作用、機序、おもな副作用について説明できる。 4)

<解説・キーワード> 催眠薬、鎮静催眠薬、ベンゾジアゼピン系催眠薬、バルビツール酸系

催眠薬、ブロムワレリル尿素、クロラール類

C-13(2)【中枢神経系に作

用する薬】2)

5) 代表的なてんかん治療薬をあげ、その薬理作用、機序、おもな副作用について説明でき C-13(2)【中枢神経系に作

Page 145: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

144

る。

<解説・キーワード> 抗てんかん薬、抗痙攣薬、強直間代発作、欠神発作、複雑部分発作、

単純部分発作、GABA神経系、Naチャネル、Caチャネル、バルプロ酸、フェニトイン、カ

ルバマゼピン、ベンゾジアゼピン系抗てんかん薬

用する薬】4)、C-14(3)【神

経・筋の疾患】3)

代表的なパーキンソン病治療薬をあげ、その薬理作用、機序、おもな副作用について説

明でき。る

6)

<解説・キーワード> パーキンソン病、ドーパミン神経系、錐体外路、ドーパミン補充、ドー

パミン前駆体、レボドパ、ドーパミン受容体作動薬、ドーパミン遊離促進薬、抗コリン

薬、ノルアドレナリン前駆体

C-13(2)【中枢神経系に作

用する薬】4)、C-14(3)【神

経・筋の疾患】4)

代表的なアルツハイマー病治療薬をあげ、その薬理作用、機序、おもな副作用について

説明できる。

7)

<解説・キーワード> アルツハイマー病、コリン作動性神経系、コリンエステラーゼ阻害薬、

塩酸ドネペジル、NMDA型受容体遮断薬、アミロイドβ、タウタンパク質

C-13(2)【中枢神経系に作

用する薬】4)、C-14(3)【神

経・筋の疾患】5)

代表的な脳循環・代謝改善薬をあげ、その薬理作用、機序、おもな副作用について説明

できる。

8)

<解説・キーワード> 脳循環障害治療薬、脳梗塞・脳出血後遺症治療薬、脳エネルギー代謝

賦活薬

C-14(3)【神経・筋の疾患】

2),6)

代表的な全身麻酔薬をあげ、その薬理作用、機序、おもな副作用について説明できる。 9)

<解説・キーワード> 全身麻酔薬、局所麻酔薬、吸入麻酔薬、静脈麻酔薬、バルビツール酸

誘導体、ケタミン、プロポフォール、神経遮断性麻酔、全静脈麻酔

C-13(2)【中枢神経系に作

用する薬】1)

代表的な麻薬性鎮痛薬をあげ、その薬理作用、機序、おもな副作用について説明できる。 10)

<解説・キーワード> 麻薬性鎮痛薬、麻薬拮抗性鎮痛薬、オピオイド受容体、モルヒネ、癌

疼痛治療

C-13(2)【中枢神経系に作

用する薬】3)

薬物依存の概念ならびに依存性薬物の種類が説明できる。 11)

<解説・キーワード> 薬物乱用、精神依存、身体依存、退薬症状、耐性、逆耐性、オピオイ

ド、、バルビツール酸誘導体、アルコール、アンフェタミン類、コカイン、大麻類、幻覚

発現薬、脱法ドラッグ、有機溶剤

C-14(4)【精神疾患】4)

代表的な消化器作用薬をあげ、その薬理作用、機序、おもな副作用について説明できる。 12)

<解説・キーワード> 消化性潰瘍、攻撃因子抑制薬、制酸薬、胃酸分泌抑制薬、抗コリン薬、

ヒスタミン H2受容体遮断薬、プロトンポンプ阻害薬、防御因子賦活薬、プロスタグラン

ジン製剤、Helicobacter pylori除菌薬、胃腸運動改善薬、下痢、便秘、瀉下薬、止瀉薬、

潰瘍性大腸炎治療薬、クーロン病治療薬。催吐薬、性とお役、肝庇護薬、ウィルス性肝

炎治療薬、インターフェロン、胆道疾患治療薬、急性膵炎治療薬、慢性膵炎治療薬

C-13(2)【消化器系に作用

する薬】1)-5)、C-14(2)

【消化器系疾患】1)-6)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1-7 1)-5) 講 義 第4講義室 橋本 スライド, 教科書 90

8 講 義

試 験 別途指示 橋本 90

9-15 6)-12) 講 義 第4講義室 松田 スライド, 参考書 90

16 試 験 別途指示 松田 90

(6)教科書・参考書

・教科書:田中千賀子、加藤隆一編集 NEW薬理学 (南江堂)

・参考書:カッツング・コア薬理学 (丸善)

Page 146: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

145

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・出席を取る。原則として、60%以上の出席が試験の受験資格となる。

・2回の試験結果を合わせて評価する。(中間試験: 50%,期末試験: 50%)

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・中間試験の解説、並びに最終試験の解答例を示し、学習効果の向上を目指す。

・授業前に質問をし、学生の理解度を把握し授業に反映させる。

(8)特記事項

・履修条件・受講条件:薬理学Ⅰの履修が望まれる。

Page 147: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

146

薬物動態学(Pharmacokinetics)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 中川晋作(06-6879-8175, [email protected], 本館4階410)

<オフイスアワー:火曜日、13時から14時>

岡田直貴(06-6879-8176, [email protected], 本館4階407)

<オフイスアワー:火曜日、13時から14時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:Ⅵ

・曜日・時限:木曜・2時限 ・場 所:第4講義室

(2)薬学教育の中での位置付け

「薬物動態学」は、「製剤科学」と関連する授業である。本講義により薬物の体内動態についての生体側の要因を

理解することができ、それらを基に体内薬物量の動態学的変化を速度論的に解析する基本的知識を修得すること

ができる。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師および薬学出身者として必要な薬物の効果・副作用発現に関わる体内動態についての生体側の要因を理解

する。その理解に基づいて体内薬物量の動態学的変化、即ち薬物の消失、半減期、蓄積量などの解析および予測を

行い、その結果に基づいた最適投与計画の設定などに関する知識を習得させることを目標とする。

【授業の概要】

薬物の体内動態(吸収、分布、代謝、排泄など)の全課程で、薬物は常に生体に作用しているが、同時に生体もまた薬

物に対して代謝、排泄などの影響をおよぼしている。この様に薬物・生体間には、両方向の密接な相互作用が存在

しており、その中で薬物治療の最適化を図らなければならない。また、薬物の体内動態の全課程で投与後の体内薬

物量を定量的に追求し、過不足を満足させることが薬物治療を行う医療現場においてもっとも重要である。本講義

では、これらを概説すると共に、体内薬物量の時間的変化を速度論的に解析し、薬物の消失、半減期、蓄積量などの

予測を行い、その結果に基づいた最適投与計画の設定などについて講述する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

生体膜の構造と機能、受動輸送、特殊輸送(能動輸送、促進輸送、エンドサイトーシス)

などについて概説し、薬物の生体膜透過について理解を深める。

1)

<解説・キーワード> 生体膜、受動輸送、特殊輸送

C13(1)【薬の運命】

C13 (4) 【吸収】【分布】

薬物の消化管吸収に影響を及ぼす薬物固有の要因、生理的要因、その他の要因について

概説し、消化管からの薬物吸収について理解を深める。

2)

<解説・キーワード> 消化管吸収

C13(1)【薬の運命】

C13 (4) 【吸収】

注射部位、皮膚、直腸、鼻粘膜、肺からの薬物吸収について概説し、消化管以外からの

薬物吸収一般について理解を深める。

3)

<解説・キーワード> 経皮吸収、粘膜吸収

C13(1)【薬の運命】

C13 (4) 【吸収】

毛細血管の透過性、薬物のタンパク結合とその生理的意義について概説し、薬物の体内

分布について理解を深める。

4)

<解説・キーワード> 血管内皮細胞、タンパク結合

C13(1)【薬の運命】

C13 (4) 【分布】

リンパ管、脳、胎児への分布、および分布容積について概説し、特殊臓器への薬物送達

について理解を深める。

5)

<解説・キーワード> 血液脳関門、血液胎盤関門、分布容積

C13(1)【薬の運命】

C13 (4) 【分布】

6) 薬物代謝の様式、代謝阻害、代謝促進、代謝に及ぼす要因等について概説し、薬物代謝

について理解を深める。

C13(1)【薬の運命】

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147

<解説・キーワード> 薬物代謝、薬物代謝酵素 C13 (4) 【代謝】

腎臓の構造と機能、糸球体濾過、尿細管再吸収・分泌、トランスポーター、腎クリアラ

ンスについて概説し、腎臓からの薬物排泄について理解を深める。

7)

<解説・キーワード> 糸球体濾過、尿細管再吸収、尿細管分泌トランスポーター、腎クリア

ランス

C13(1)【薬の運命】

C13 (4) 【排泄】

胆汁中排泄、腸管循環、肝クリアランス、肝固有クリアランス等について概説し、薬物

クリアランスについて理解を深める。

8)

<解説・キーワード> 胆汁中排泄、腸管循環、肝クリアランス、肝固有クリアランス

C13(1)【薬の運命】

C13 (4) 【代謝】

薬力学的相互作用と薬物動態学的相互作用について具体例をあげて概説し、その重要性

について説明を行う。

9)

<解説・キーワード> 薬力学的相互作用、薬物動態学的相互作用

C13(1)【薬の作用】【薬の

副作用】

C13 (4) 【相互作用】

線形・非線形コンパートメントモデル、クリアランスについて概説し、薬物速度論の意

義について理解を深める。

10)

<解説・キーワード> 線形、非線形、コンパートメントモデル、クリアランス

C13(5)【薬動学】

1コンパートメントモデルにおける即時吸収、ゼロ次吸収、一次吸収の薬物速度論的解

析方法を概説し、理解を深める。

11)

<解説・キーワード> 1コンパートメントモデル、クリアランス

C13(5)【薬動学】

体循環コンパートメント、末梢コンパートメント、モデルからの式の算出方法について

概説し、2コンパートメントモデルにおける薬物速度論に関して理解を深める。

12)

<解説・キーワード> 2コンパートメントモデル、クリアランス

C13(5)【薬動学】

タンパク結合の非線形、クリアランスの非線形について概説すると共に、薬物速度論的

解析に基づく投与計画について概説し、最適投与計画の設定などに関して理解を深める。

13)

<解説・キーワード> 非線形、投与計画

C13(5)【薬動学】【TDM】

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第4講義室 中川 プリント 90

2 2) 講 義 第4講義室 中川 プリント 90

3 3) 講 義 第4講義室 中川 プリント 90

4 4) 講 義 第4講義室 中川 プリント 90

5 5) 講 義 第4講義室 中川 プリント 90

6 6) 講 義 第4講義室 中川 プリント 90

7 7) 講 義 第4講義室 中川 プリント 90

8 8) 講 義 第4講義室 中川 プリント 90

9 9) 講 義 第4講義室 中川 プリント 90

10 10) 講 義 第4講義室 中川、岡田 プリント 90

11 11) 講 義 第4講義室 中川、岡田 プリント 90

12 12) 講 義 第4講義室 中川、岡田 プリント 90

13 13) 講 義 第4講義室 中川、岡田 プリント 90

14 10)~13) 講 義 第4講義室 中川、岡田 プリント 90

15 1)~13) 講 義 第4講義室 中川、岡田 プリント 90

Page 149: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

148

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:最新生物薬剤学(南江堂、粟津、小泉編)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・ 14回目の講義終了後に期末試験を課す(85%)。

・ 15回目の講義に期末試験の解説を行なう(15%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・試験結果を基に理解度が不十分な項目について再度概説することで、受講者の理解度を高める。

Page 150: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

149

薬物治療学 I(Clinical Pharmacology)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 藤尾 慈(06-6879-8258, [email protected], 新館4階)

<オフイスアワー:月曜日午後1時から4時>

中山博之

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:必須、薬学科:必須) ・セメスター:VI

・曜日・時限:月曜・1時限 ・場 所:第1講義室

(2)医療薬学教育の中での位置付け

「薬物治療学I」は、これまで学んできた「臨床医学」「生理学I」「生理学II」「薬理学I」を基本に、疾患が発

症するメカニズムと、それに対して行われている薬物治療を講義する。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

循環器、内分泌・代謝、呼吸器領域における薬物治療の実践および創薬研究のために、代表的な疾患の発症メ

カニズムとその薬物治療を分子レベル、細胞レベルで理解し、それら疾患に対する薬物治療設計のための基礎知

識を修得する。

【授業の概要】

薬は疾患の予防・治癒を目指すものであり、従って、薬物治療の実践においても創薬研究においても、対象と

なる疾患を物質的基盤に基づいて理解することが必須である。

本授業では、循環器、内分泌・代謝、呼吸器領域における代表的な疾患をとりあげる。まず、疾患概念を説明

し、次に、生理学、薬理学、分子生物学的観点から、疾患発症メカニズムを解説する。さらに、臨床的観点から、

症状、検査方法について説明したのち、薬物治療を中心に治療法の説明を行う。随時、最近のトピックスを取り

入れ、臨床現場における問題点、新規治療法開発の方向性を解説する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

・代表的な心臓機能検査を列挙し、その検査値の異常から推測される主な疾病を挙

げることができる。

・心臓について機能と構造を関連づけて説明できる。

・心臓および血管系における代表的な疾患を挙げることができる。

1)

<解説・キーワード> 心臓の機能と構造、心機能検査

C-8(1)【循環系】1), 2)、C-14

(1)【症候】4)、C-14(2)【心

臓・血管系の疾患】1)

・代表的な心不全治療薬を挙げ、薬理作用、機序、主な副作用について説明できる。

・心不全の病態生理、適切な治療薬、およびその使用上の注意について説明できる。

2)

<解説・キーワード> 急性心不全、慢性心不全、心筋リモデリング、レニン・アンジオテンシン系、交感

神経系、心原性ショック

C-13(2)【循環器系に作用す

る薬】2)、C-14(2)【心臓・血

管系の疾患】1), 6)

・代表的な虚血性心疾患治療薬を挙げ、薬理作用、機序、主な副作用について説明

できる。

・虚血性心疾患の病態生理、適切な治療薬、およびその使用上の注意について説明

できる。

3)

<解説・キーワード> 労作性狭心症、心筋梗塞、異型狭心症、閉塞性動脈硬化症

C-13(2)【循環器系に作用す

る薬】3)、C-14(2)【心臓・血

管系の疾患】5)

・代表的な抗不整脈薬を挙げ、薬理作用、機序、主な副作用について説明できる。

・不整脈の病態生理、適切な治療薬、およびその使用上の注意について説明できる。

4)

<解説・キーワード> 上室性期外収縮、心室性期外収縮、心房細動、QT延長症候群

C-13(2)【循環器系に作用す

る薬】1)、C-14(2)【心臓・血

管系の疾患】2)

5) ・代表的な高血圧治療薬を挙げ、薬理作用、機序、主な副作用について説明できる。

・高血圧の病態生理、適切な治療薬、およびその使用上の注意について説明できる。

C-13(2)【循環器系に作用す

る薬】4)、C-14(2)【心臓・血

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150

<解説・キーワード> アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、β遮断薬、

カルシウム拮抗薬、利尿薬

管系の疾患】5)

・代表的な糖尿病治療薬を挙げ、作用機序と主な副作用について説明できる。

・糖尿病とその合併症の病態生理、適切な治療薬、およびその使用上の注意につい

て説明できる。

6)

<解説・キーワード> 1型糖尿病、2型糖尿病、メタボリック症候群、インスリン抵抗性

C-13(3)【代謝系に作用する

薬】1)、C-14 (3)【代謝性疾患】

1)

・コレステロールの生合成経路と代謝を説明できる。

・代表的な脂質異常症治療薬を挙げ、作用機序と主な副作用について説明できる。

・脂質異常症の病態生理、適切な治療薬、およびその使用上の注意について説明で

きる。

7)

<解説・キーワード> コレステロール、トリグリセリド、HMG-CoA還元酵素阻害薬、動脈硬化症

C-13(3)【代謝系に作用する薬】

2)、C-14 (3)【代謝性疾患】2)

・代表的な呼吸機能検査を列挙し、その検査値の異常から推測される主な疾病を挙

げることができる。

・肺、気管支について機能と構造を関連づけて説明できる。

・肺と気道に関する代表的な疾患を挙げることができる。

8)

<解説・キーワード> 呼吸機能検査、閉塞性疾患、拘束性疾患

C-8 (1)【呼吸器系】1)、C-14

(1)【症候】3、C-14(3)【呼吸

器・胸部の疾患】1)

肺癌について説明できる。 9)

<解説・キーワード> 組織型、抗腫瘍薬、分子標的治療

C-14 (5)【悪性腫瘍の病態と

治療】1,2,3)、C-14 (5)【抗悪

性腫瘍薬】1,2,3,4,5,7)、

呼吸器感染症について説明できる。 10)

<解説・キーワード> 肺炎、結核、真菌症

C-14 (5)【抗菌薬】1), 3)-6),

8), 9)、C-14 (5)【抗真菌薬】

1)

・代表的な気管支喘息治療薬を挙げ、薬理作用、機序、主な副作用について説明で

きる。

・閉塞性気道疾患(気管支喘息、肺気腫)の病態生理、適切な治療薬、およびその

使用上の注意について説明できる

11)

<解説・キーワード> COPD、気管支喘息

C-13(2)【呼吸器系に作用する

薬】3)、C-14(3)【呼吸器・胸

部の疾患】2)

・代表的な内分泌・代謝疾患に関する検査を列挙し、その検査値の異常から推測さ

れる主な疾病を挙げることができる。

・脳下垂体、甲状腺、副腎などの内分泌系臓器について機能と構造を関連づけて説

明できる。

・ホリモンの産生臓器別に代表的な疾患を挙げることができる。

12)

<解説・キーワード>

C-8(1)【内分泌系】1)、C-13(3)

【ホルモンと薬】1)、C-14(1)

【症候】6)、C-14(3)【内分泌

疾患】1)

下垂体疾患について解説できる。 13)

<解説・キーワード> 下垂体前葉、下垂体後葉

C-13(3)【ホルモンと薬】2), 3)、

C-14(3)【内分泌疾患】4)

・甲状腺機能異常症の病態生理、適切な治療薬、およびその使用上の注意について

説明できる。

・副腎疾患について説明できる。

14)

<解説・キーワード> バセドー病、橋本病、原発性アルドステロン症、クッシング症候群

C-13(3)【ホルモンと薬】2), 3)、

C-14(3)【内分泌疾患】2), 3),

5)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

2 2) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

3 3) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90 3):1回目

4 3) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90 3):2回目

Page 152: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

151

5 4) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

6 5) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

7 6) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

8 7) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

9 8) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

10 9) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

11 10) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

12 11) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

13 12) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

14 13) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

15 14) 講 義 第1講義室 藤尾 プリント 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:疾患と治療薬 南江堂

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・ 15回目の講義終了後に試験を行なう(100%)。

・ 原則として、3回以上欠席した場合は、再試験の受験資格を与えない。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・講義中に学生に討論に機会を設ける。

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152

薬学と社会(Community Pharmacy)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 上島悦子(06-6879-8251, [email protected], 本館2階242)

<オフイスアワー:火曜日午後3時から4時>

・単位数:1 ・履修対象:3年生(薬学科:選択、薬科学科:選択) ・セメスター:Ⅵ

・曜日・時限:金曜・2時限 ・場 所:第1講義室

(2)医療薬学教育の中での位置付け

「薬学と社会」は、薬学教育モデル・コアカリキュラムのコースの最終領域“薬学と社会”をカバーする授業で

ある。社会経済の変化は国民生活に大きな影響をもたらす。わが国では人口の高齢化などにより、増加の一途を

辿る医療費が今後の国民生活に多大な負担となることが懸念されていることから、生活習慣病の発生や悪化の是

正や、がんなどの重大な疾病の予防などにより医療費の増加を抑えることが重要な課題となっている。一方、遺

伝子レベルで疾患の解明が進められる中で、薬学の果たす役割は、分子標的治療薬の開発から、地域社会に根ざ

した様々な疾患予防など広い範囲に及んでいる。薬学と社会では、社会や地域で薬剤師や薬学出身者が責任・義

務を果していく上で必要な制度や業務を理解することを目的としている。また、授業の後半には、PBL(Problem

Based Learning=問題基盤型学習)を行う。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

患者の権利を考慮し、責任をもって医療に参画できるようになるために、薬事法、薬剤師法などの医療および

薬事関係法規、制度の精神とその施行に関する基本的知識を修得し、それらを遵守する態度を身につける。さら

に、コミュニティーファーマシー(地域薬局)のあり方と業務を理解するために、薬局の役割や業務内容、医薬

分業の意義、セルフメディケーションなどに関する基本的知識と、それらを活用するための基本的態度を修得す

る。

【授業の概要】

社会保障制度や医療保健についての最新知識を学んだ後、コミュニティファーマシーについての深い知識と経

験を持つ講師を迎え、薬局の役割や業務内容、医薬分業の意義、セルフメディケーションなどに関する基本的知

識を学び、コミュニティファーマシー(地域薬局)のあり方と業務を理解する。さらに、主な一般用医薬品(OTC

薬)の使用目的、漢方薬、生活改善薬、サプリメント、保健機能食品についての演習を通して、それらについて

の知識を修得する。

また、後半のPBLでは副作用を取り上げる。過去に起こった重大な副作用の事例について、何故そのような副

作用が起こったのか、防ぐことができるのかなどについて、グループで話し合い、その結果をまとめ、発表する。

最後に、患者さんから、副作用についてのお話を伺い、理解を深める。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

患者の権利を考慮し、責任をもって医療に参画できるようになるために、薬事法、薬剤

師法などの医療および薬事関係法規、制度の精神とその施行に関する基本的知識を修得

し、それらを遵守する態度を身につける。

1)

<解説・キーワード> リスクマネージメント、医療過誤、薬剤師法、薬事法、医療法、医師法。

C18(1)【医療の担い手と

しての使命】(1,2) 【法律と制度】(1-6,7)

公平で質の高い医療を受ける患者の権利を保障するしくみを理解するために、社会保障

制度と薬剤経済の基本的知識と技能を修得する。

2)

<解説・キーワード> 年金、医療保険、介護保険、老人保健制度。

C18(2) 【社会保障制度】

(1-4) 【医療保険】(1-3)

3) ・薬局の役割や業務内容、医薬分業の意義、セルフメディケーションなどに関する基本的知識を学

び、コミュニケーションファーマシー(地域薬局)のあり方と業務を理解する。

・医薬品の流通の仕組みを理解し、薬局の形態や業務運営について学ぶ。

C18(3) 【地域薬局の役

割】(1-3) 【医薬分業】

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153

<解説・キーワード> 医薬分業、院外処方せん、保健薬局、かかりつけ薬局、在宅医療。 (1)【薬局の業務運営】

(1-2)

主な一般用医薬品(OTC薬)を列挙し、使用目的を説明できる。

漢方薬、生活改善薬、サプリメント、保健機能食品について概説できる。

4)

<解説・キーワード> セルフメディケーション、OTC。

C18(3)【OTC 薬・セルフ

メディケーション】(1-3)

PBL(副作用って何だろう) 5)

<解説・キーワード> スモン、サリドマイド、クロロキン、PMS。

C17(1)【薬害】 (1)

代表的な薬害の例(サリドマイド、スモン、非加熱血液製剤、ソリブジンなど)について、その原

因と社会的背景を説明し、これらを回避するための手段を討議する。:スモールグループディスカッ

ション、グループ発表

6)7)

<解説・キーワード>

C17(1)【薬害】 (1)

患者さんからお話を伺う。 8)

<解説・キーワード> 医薬品副作用被害救済制度

C18(1)【法律と制度】(5)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(7回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

1 1) 講 義 第1講義室 上島 プリント 90

2 2) 講 義 第1講義室 上島 プリント 90

3 3) 講 義 第1講義室 外部講師 プリント 90

4 4) 演 習 第1講義室 上島 プリント 90

5-8 5)-8) PBL 第1講義室 上島・TA6名

外部講師

プリント 講義:45・SGD:45,90

・発表・討論:90・講義:90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:スタンダード薬学シリーズ/日本薬学会編 9.「薬学と社会」

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・PBLでの発表(20%)。

・演習終了後にレポート提出を課す(20%)。

・8回目の講義終了後にレポート提出を課す(60%)

・原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・演習により、学生の理解度を把握し、フィードバックを行う。

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154

医薬品開発学(Drug Research and Development)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 高木達也(06-6879-8243, [email protected], 本館5階544)

<オフイスアワー:火曜日午後1時から3時>

清水 良(田辺三菱製薬株式会社)

川下理日人(06-6879-8244, [email protected], 本館5階544)

<オフイスアワー:火曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:3年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:VI

・曜日・時限:月曜・2時限 ・場 所:第1講義室

(2)環境薬学教育の中での位置付け

近年、医薬品開発にも、環境にやさしい手法の必要性が叫ばれている。MD(マイクロドーズ)試験の導入の動

きもその一つであるが、それと共に、できるだけ in Silicoでの開発を行うことにより、不要な動物試験や化合物の合成などを廃し、マッスとしてのグリーン化に寄与することも重要な要素と考えられ始めている。この講義で

は、現在実際に使用されている in Silico Drug Designの主な手法について学ぶと共に、その基礎となる物理化学的、計量化学的手法について、実際に応用できるに足る知識の獲得を目指す。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

医薬品開発には様々な段階がある。最初に、どのような医薬品を開発目標とするのか、医薬品の市場と需要と

の関係から、定めなければならない。次に、ターゲットとなる医薬品に関する情報を集め、どのような攻略方法

をとるのかを定め、低分子化合物医薬品であれば、その基本となる化学構造(リード化合物)を見いだす(Lead

Generation)。見いだされた化合物は生理活性や副作用を考慮して最適化される(Lead Optimization)。この講

義では、これらの過程について学ぶと共に、実際に応用可能となる知識を習得することを目標とする。

【授業の概要】

薬科学研究者にとって、究極の目的の一つは、新規医薬品の開発であると思われる。この講義では、新規医薬

品の開発過程について、基礎的な知識を一つずつ学んでいく。

最初に、現在の医薬品市場について学び、製薬企業においてどのような医薬品がターゲットになり得るのか、

治療満足度、研究開発に要する時間と費用から考察すると共に、医薬品開発に要する費用の高騰と生産性の低下

から考えられ初めて来た、Virtual Alliance について学ぶ。

次に、リード化合物を見いだすための手法のうち、実験的手法である、ハイスループットスクリーニングやラ

ンダムスクリーニング、リバースターゲッティングなどの手法を学び、その後、リード化合物を最適化する手法

として、Hansch-Fujita 法、3D-QSAR 法について学ぶ。最後に、in Silico Lead Generationに用いられる手法

である、分子軌道法、分子動力学法と、それらを用いたSBDD(Structure-Based Drug Design)について学ぶ。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

どのような疾患が医薬品開発の対象になるのか 1)

<解説・キーワード> 疾病構造、疾病統計、特定疾患

C-17(1) 【医薬品開発のコンセプト】1-2)

医薬品市場と開発目標となる医薬品 2)

<解説・キーワード> 薬価、オーファンドラッグ、ジェネリック医薬品、医薬品市場

C-17(1) 【医薬品市場と開発すべき医薬品】1-3)

医薬品の開発過程の概略 3)

<解説・キーワード> 医薬品開発史、前臨床試験、臨床試験

C-17(2) 【医薬品創製の歴史】1-3)

実験的手法によるLead Generation 4)

<解説・キーワード> HTS、リバースターゲッティング、コンビナトリアルケミストリー、

ランダムスクリーニング

C-17(2) 【スクリーニング】1-2)

Page 156: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

155

リード化合物の最適化(1):Hansch-Fujita法 5)

<解説・キーワード> 重回帰分析、油水分配係数、電子的パラメーター、立体パラメーター、

疎水パラメーター

C-17(2) 【リード化合物の最適化】1)

リード化合物の最適化(2):3D-QSAR法 6)

<解説・キーワード> PLS、3D-QSAR

C-17(2) 【リード化合物の最適化】1,3)

In Silico Lead Generation(1):分子軌道法 7)

<解説・キーワード> 量子力学、量子化学、Hartree-Fock法、軌道間相互作用

In Silico Lead Generation(2):分子力学法 8)

<解説・キーワード> 分子力学、分子間相互作用

C-1(1) 【分子間相互作用】1-7)

In Silico Lead Generation(3):分子動力学法 9)

<解説・キーワード> 分子動力学、周期境界条件

Structure-Based Drug Design

<解説・キーワード> X線結晶構造解析、Distance Geometry 法、Docking Study

10)

<解説・キーワード> Kaplan-Meier曲線、ログランク法

C-17(2) 【標的生体分子との相互作用】1-3)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第一講義室 高木 電子媒体の資料, 教科書 90

2-3 2)-3) 講 義 第一講義室 清水 電子媒体の資料, 教科書 90

4-12 4-7) 講 義 第一講義室 高木 電子媒体の資料, 教科書 90

13-15 8-10) 講 義 第一講義室 川下 電子媒体の資料, 教科書

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・レポートの結果と出席点で合否判定する。

・出席評価を10%、レポートによる評価を90%とする。

・原則として全体で5回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・講義の中で無記名の試験的調査を行い、理解が不十分だと思われる事項について、再度講義する。

・レポートにはコメントをつけて返却し、理解が足りないと思われる点があれば指摘する。

Page 157: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

156

薬物治療学Ⅱ(Pharmacotherapeutics-Ⅱ)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 松田敏夫(06-6879-8161, [email protected], 本館1階107)

<オフイスアワー:月曜日12時から13時>

田熊一敞(06-6879-8169, [email protected], 本館1階101)

<オフイスアワー:月曜日13時から15時>

・単位数:2 ・履修対象:4年生(薬科学科:選択、薬学科:必須) ・セメスター:Ⅶ

・曜日・時限:火曜・3時限 ・場 所:第4講義室

(2)医療薬学教育の中での位置付け

「薬物治療学Ⅱ」は、「薬理学Ⅰ」、「薬理学Ⅱ」、「薬物治療学Ⅰ」、「薬物治療学Ⅲ」、「臨床医学」と共に、薬学

教育モデル・コアカリキュラムのコース“薬と疾病”をカバーする授業である。「薬理学Ⅰ(第Ⅴセメスター)」

及び「薬理学Ⅱ(第Ⅵセメスター)」の履修により修得した“薬の効くプロセス”に関する基礎知識をもとに、各々

の医薬品の特性を考慮した適正な薬物治療についての理解を深める。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

疾病に伴う症状と臨床検査値の変化などの患者情報より、患者個々に応じた適切な薬物治療に貢献できるよう

になるために、血液・造血器疾患、腎臓と尿路の疾患、生殖器疾患、消化器系疾患、アレルギー・免疫疾患、骨・

関節疾患、およびそれらの治療に用いられる代表的な医薬品に関する基本的知識を修得する。

【授業の概要】

科学的根拠に基づく疾患の薬物療法に関する知識は、適切な治療薬の選択や薬効評価を行ううえで重要である。

本科目では、血液・造血器系疾患、腎臓・尿路の疾患、アレルギー・免疫疾患、生殖器疾患、骨・関節の疾患等

の薬物治療を理解することを目的とし、それらの病因および病態を述べるともに、それらの疾患に対する治療薬

の持つ薬理作用、作用機構、適正な使用方法、副作用等について講述する。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

血液凝固・血栓形成と血栓溶解に関わる分子機構が概説できる。 1)

<解説・キーワード> 血小板系、血液凝固系、トロンビン、抗凝固系、ヘパリン、線溶系、

プラスミノーゲン活性化因子

C-13(3)【血液・造血器系

に作用する薬】2)、

C-14(2)【血液・造血器の

疾】4), 5)

止血薬、抗血栓薬を用いた適切な薬物治療およびその使用上の注意について説明できる。 2)

<解説・キーワード> 止血薬、紫斑症、血管強化薬、凝固促進薬、ビタミンK、抗線溶薬、ト

ラネキサム酸、抗血栓薬、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓、静脈血栓症、血液凝固阻止薬、

ヘパリン、合成セリンプロテアーゼ阻害薬、経口抗凝固薬、ワルファリン、血栓溶解薬、

ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)

C-13(3)【血液・造血器系

に作用する薬】1),2)、

C-14(2)【血液・造血器の

疾】5)

造血薬・白血病治療薬を用いた適切な薬物治療およびその使用上の注意について説明で

きる。

3)

<解説・キーワード> 造血薬、鉄欠乏性貧血、悪性貧血、貧血治療薬、鉄剤、ビタミン B12、

葉酸、腎性貧血、エリスロポエチン、白血球減少症治療薬、再生不良性貧血、コロニー

刺激因子、急性骨髄性白血病、化学療法、イダルビシン、シタラビン、急性前骨髄球性

白血病、オートトランス型レチノイン酸、急性リンパ性白血病、プレドニゾロン、ビン

クリスチン、慢性骨髄性白血病、メシル酸イマチニブ、慢性リンパ性白血病、フルダラ

ビン

C-13(3)【血液・造血器系

に作用する薬】3)、

C-14(2)【血液・造血器の

疾】1)-3)

4) 腎臓の機能が概説できる。 C-14(3)【腎臓・尿路の疾

Page 158: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

157

<解説・キーワード> 水・電解質、尿生成、ネフロン、糸球体ろ過、尿細管再吸収、尿細管

分泌、近位尿細管、Henle係蹄、遠位尿細管、集合管、抗利尿ホルモン(バソプレッシン)、

アルドステロン、心房性ナトリウム利尿ペプチド

患】1)-4)

利尿薬を用いた適切な薬物治療およびその使用上の注意について説明できる。 5)

<解説・キーワード> 浮腫、高血圧治療、腎性尿崩症、緑内障治療、浸透圧利尿薬、炭酸脱

水素酵素阻害薬、アセタゾラミド、チアジド系利尿薬、ループ利尿薬、フロセミド、ト

ラセミド、カリウム保持性利尿薬、抗アルドステロン薬、スピロノラクトン、トリアム

テレン

C-13(3)【腎に作用する

薬】1)

泌尿器・生殖器作用薬を用いた適切な薬物治療およびその使用上の注意について説明で

きる。

6)

<解説・キーワード> 排尿障害治療薬、神経性頻尿、ムスカリン受容体遮断薬、コリンエス

テラーゼ阻害薬、前立腺肥大症、排尿困難、α1受容体遮断薬、黄体ホルモン、抗アンド

ロゲン薬、勃起不全治療薬、ホスホジエステラーゼ5型阻害薬、子宮収縮薬、分娩誘発、

分娩後出血防止、オキシトシン、プロスタグランジン、麦角アルカロイド、子宮弛緩薬、

早産予防

C-14(3)【生殖器疾患】

1)-3)

免疫抑制薬と免疫刺激薬を用いた適切な薬物治療およびその使用上の注意について説明

できる。

7)

<解説・キーワード> 免疫抑制薬、自己免疫疾患、膠原病、ベーチェット病、関節リウマチ、

臓器移植、拒絶反応抑制、特異的免疫抑制薬、シクロスポリン、タクロリムス、細胞毒

性薬、抗腫瘍薬、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、白血病、悪性腫瘍、シクロフォスファ

ミド、メトトレキサート、アザチオプリン、免疫刺激薬、原発性免疫不全症、後天性免

疫不全症候群(AIDS)、免疫グロブリン、慢性肝炎、インターフェロン、癌、アジュバン

ト療法

C-14(4)【移植医療】1)、

C-14(4)【アレルギー・免

疫疾患】1)-4)

抗炎症薬、解熱鎮痛薬を用いた適切な薬物治療およびその使用上の注意について説明で

きる。

8)

<解説・キーワード> 浮腫、紅斑、疼痛、発熱、ステロイド抗炎症薬、糖質コルチコイド、

関節リウマチ、気管支喘息、膠原病、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、シクロオキシゲナー

ゼ(COX)阻害薬、アスピリン、インドメタシン、ジクロフェナク、COX-2 選択的阻害薬、

セレコキシブ、解熱鎮痛薬、非ピリン系解熱鎮痛薬、アセトアミノフェン、ピリン系解

熱鎮痛薬、スルピリン

C-13(3)【炎症・アレルギー

と薬】1)

抗アレルギー薬を用いた適切な薬物治療およびその使用上の注意について説明できる。 9)

<解説・キーワード> Ⅰ型アレルギー治療薬、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性

皮膚炎、抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗トロンボキサンA2 (TXA2)

薬、抗ロイコトリエン薬、抗Th2型サイトカイン薬

C-13(3)【炎症・アレルギー

と薬】3)

抗リウマチ薬を用いた適切な薬物治療およびその使用上の注意について説明できる。 10)

<解説・キーワード> 関節リウマチ、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、副腎皮質ステロイド、

疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、免疫抑制薬、メトトレキサート、レフルノミド、タク

ロリムス、免疫調整薬、金製剤、D-ペニシラミン、サラゾスルファピリジン、TNF-α抗

体、関節機能改善薬、ヒアルロン酸

C-13(3)【炎症・アレルギー

と薬】2)、C-14(4)【骨・

関節の疾患】1), 3)

高尿酸血症・痛風治療薬を用いた適切な薬物治療およびその使用上の注意について説明

できる。

11)

<解説・キーワード> プリン代謝、原発性高尿酸血症、続発性高尿酸血症、痛風、痛風発作

予防薬、コルヒチン、尿酸合成阻害薬、キサンチンオキシダーゼ競合的阻害薬、アロプ

リノール、尿酸排泄促進薬、プロベネシド、ベンズブロマリン

C-13(3)【代謝系に作用す

る薬】3)、C-14(3)【代謝

性疾患】3)

カルシウム代謝疾患治療薬を用いた適切な薬物治療およびその使用上の注意について説

明できる。

12)

<解説・キーワード> 骨・カルシウム代謝、骨吸収、骨形成、骨リモデリング、低カルシウ

C-13(3)【代謝系に作用す

る薬】4)、C-14(4)【骨・

関節の疾患】1), 4)

Page 159: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

158

ム血症、骨軟化症、くる病、活性型ビタミンD3、カルシトニン

骨粗鬆症治療薬を用いた適切な薬物治療およびその使用上の注意について説明できる。 13)

<解説・キーワード> 骨粗鬆症、骨吸収抑制薬、活性型ビタミンD3、ビスホスホネート系薬、

エストロゲン、選択的エストロゲン受容体モデュレーター(SERM)、ラロキシフェン、骨

形成促進薬、副甲状腺ホルモン(PTH)

C-13(3)【代謝系に作用す

る薬】4)、C-14(4)【骨・

関節の疾患】1), 2)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(15回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1-8 1)-6) 講 義 第4講義室 松田 スライド, 教科書

90

9-15 7)-13) 講 義 第4講義室 田熊 スライド, 教科書 90

(6)教科書・参考書

・教科書:田中千賀子、加藤隆一編集 NEW薬理学 (南江堂)

・参考書:水島裕編集 今日の治療薬 解説の便覧 (南江堂)

治療薬ハンドブック 薬剤選択と処方のポイント (じほう)

カッツング・コア薬理学 (丸善)

大内尉義、伊賀立二編集 疾患と治療薬 改訂第5版(南江堂)

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・出席を取る。原則として、60%以上の出席が試験の受験資格となる。

・2回の試験結果を合わせて評価する。(中間試験: 50%,期末試験: 50%)

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・中間試験の解説、並びに最終試験の解答例を示し、学習効果の向上を目指す。

・授業前に質問をし、学生の理解度を把握し授業に反映させる。

Page 160: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

159

臨床薬剤学(Clinical Pharmacy)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 上島悦子(06-6879-8251, [email protected], 本館2階242)

<オフイスアワー:火曜日午後3時から4時>

相本太刀夫(06-6879-8239,[email protected],2号館3階306)

<オフイスアワー:月曜日午後1時30分から4時45分>

岡本禎晃(06-6879-8250, [email protected], 本館2階228)

<オフイスアワー:火曜日午後3時から4時>

・単位数:2 ・履修対象:4年生(薬学科:必須、薬科学科:選択) ・セメスター:Ⅶ

・曜日・時限:金曜・2時限 ・場 所:第4講義室

(2)医療薬学教育の中での位置付け

「臨床薬剤学」は、薬学教育モデル・コアカリキュラムのコース“薬と疾病”をカバーする授業のひとつである。

同じくこの領域の授業である「臨床医学」「薬理学 I」、「薬理学Ⅱ」で薬の作用機構に関する基本理論を修得し、

「薬物治療学Ⅰ」、「薬物治療学Ⅱ」、「薬物治療学Ⅲ」では、疾患と薬物治療についての基礎知識を修得するが、「臨

床薬剤学」では、これまでの学習内容を臨床応用していく際に必要な基礎知識を身につけることに主眼を置いて

おり、「薬剤疫学」とともに事前学習の一角をなしている。また、授業の後半には、PBL(Problem Based Learning

=問題基盤型学習)を行う。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬剤師や薬学出身者に求められる感染対策の基礎知識を身につける。臨床薬学の基礎知識を統合して、臨床検

査データを通して疾患を理解することを修得する。さらに悪性疾患について治療薬に対する耐性のメカニズム、

主な副作用と対応策、癌性疼痛に対する薬物療法の基礎知識を修得する。さらにPBLでは患者に接する際の医療

従事者のあり方を学ぶ。

【授業の概要】

感染症の予防では、特に院内感染についてその発生要因、感染経路、原因微生物について学ぶともに、医療に

従事する際に必要な標準的な予防策、手洗いの方法、消毒薬についての基礎知識を身につける。また、疾患と臨

床検査値では、バイタルサイン、各種血球成分、生化学的検査、尿、糞便などの検査についての基礎知識、これ

らと疾患との関連性について学ぶ。次に抗悪性腫瘍薬について、耐性のメカニズムとともに、主な副作用とその

対応策について学ぶ。さらに、癌性疼痛について使用される薬剤の使用上の注意、長期療養に付随する合併症を

列挙し、その薬物治療について学ぶ。

4年目を迎えるPBLのテーマは「患者の気持ちに配慮する」である。はじめに講義、難しい症例の患者への対

応、グループディスカッションを通じて、患者に接する際の医療従事者のあり方について学ぶ。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

院内感染について、発生要因、感染経路、原因微生物、およびその防止対策を概説する。 1)

<解説・キーワード> リスクマネジメント、多剤耐性菌、スタンダードプリコーション、手洗い、消毒薬。

C10(3) 【感染症の予防】

(1)

代表的なバイタルサインを列挙できる。動脈血ガス分析の検査項目を列挙し、その検査

値の臨床的意義を説明できる。

2)

<解説・キーワード> 生体情報、血液ガス分析、酸塩基平衡。

C14(1) 【症候と臨床検

査値】(10,11)

代表的な血液疾患と検査値の見方について学ぶ。感染時および炎症時に認められる代表

的な臨床検査値の変動を述べることができる。

3)

<解説・キーワード> 血球算定、炎症反応、貧血、白血病。

C14(1) 【症候と臨床検

査値】(5,7)

4) 尿および糞便を用いた代表的な臨床検査を列挙し、その検査値の異常から推測される主 C14(1) 【症候と臨床検

Page 161: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

160

な疾病を挙げることができる。悪性腫瘍に関する代表的な臨床検査を列挙し、推測され

る腫瘍部位を挙げることができる。

<解説・キーワード> ビリルビン、便潜血、尿比重、腫瘍マーカー。

査値】(8,9)

代表的な肝臓機能検査を列挙し、その検査値の異常から推測される主な疾病を挙げる。

病態に適した用量設定について説明する。

5)

<解説・キーワード> 慢性肝炎、劇症肝炎、ウイルスマーカー。

C14(1) 【症候と臨床検

査値】(4)

代表的な肝臓機能検査を列挙し、その検査値の異常から推測される主な疾病を挙げる。

病態に適した用量設定について説明する。

6)

<解説・キーワード> 肝硬変、肝不全、Child-Pugh分類、高齢者。

C14(1) 【症候と臨床検

査値】(4)

代表的な腎機能検査を列挙し、その検査値の異常から推測される主な疾病を挙げる。病

態に適した用量設定について説明する。

7)

<解説・キーワード> 腎不全、クレアチニンクリアランス、高齢者。

C14(1) 【症候と臨床検

査値】(2)

・主要な抗悪性腫瘍薬に対する耐性獲得機構を説明できる。

・主要な抗悪性腫瘍薬の主な副作用を列挙し、その症状を説明できる。

・副作用軽減のための対処法を説明できる。

8)

<解説・キーワード> 獲得耐性、自然耐性、多剤耐性、交差耐性、骨髄毒性。

C14(1) 【抗悪性腫瘍薬

の耐性と副作用】(1-3)

・癌性疼痛に対して使用される薬物を列挙し、使用上の注意について説明できる。

・長期療養に付随する合併症を列挙し、その薬物治療について説明できる。

9)

<解説・キーワード> WHOラダー、非ステロイド系抗炎症薬、麻薬、鎮痛補助薬。

C14(1) 【緩和ケアと長

期療養】(1,2)

PBL(患者の気持ちに配慮する) 11)

-15) <解説・キーワード>

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(7回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1 1) 講 義 第4講義室 上島 プリント 90

2 2) 講 義 第4講義室 上島 プリント 90

3 3) 講 義 第4講義室 上島 プリント 90

4 4) 講 義 第4講義室 上島 プリント 90

5 5) 講 義 第4講義室 上島 プリント 90

6 6) 講 義 第4講義室 上島 プリント 90

7 7) 講 義 第4講義室 上島 プリント 90

8 8) 講 義 第4講義室 岡本 プリント 90

9 9) 講 義 第4講義室 岡本 プリント 90

10 10) 演習 第4講義室 上島・岡本・津金 プリント 90

11-15 11)-15) PBL 実習室 上島・相本・岡本

・津金

TA4名

プリント, PC 講義:90x2

・SGD:90

・発表・討論

:90x2

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:スタンダード薬学シリーズ/日本薬学会編 6.「薬と疾病」Ⅱ、Ⅲ

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・15回目の講義終了時に試験を行なう(70%)。

Page 162: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

161

・15回目のPBL終了後にレポート提出を課す(30%)。

・原則として全体で5回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・2~9回目の講義の開始時に、前回の講義内容に関する10分間の小テストを行なう。その後、正

解を伝え簡単な解説を行ない、自己採点し回収する。この結果から講義の理解度を把握し、以

後の授業に反映させる。10回目にまとめの演習とフィードバックを行う。

Page 163: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

162

薬物治療学Ⅲ(Pharmacotherapeutics-Ⅲ)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 上島 悦子(06-6879-8251, [email protected] 本館2階242)

<オフイスアワー:火曜日午後1時から3時>

岡本 禎晃(06-6879-8251, [email protected] 本館2階228)

<オフイスアワー:火曜日午後1時から3時>

・単位数:1 ・履修対象:4年生(薬科学科:選択、薬学科:選択) ・セメスター:Ⅷ

・曜日・時限:金曜・2時限 ・場 所:医療薬学実習棟

(2) 医療薬学教育の中での位置付け

「薬物治療学Ⅲ」は、「薬理学Ⅰ」、「薬理学Ⅱ」、「薬物治療学Ⅰ」、「薬物治療学Ⅱ」、「臨床医学」と共に、薬学教

育モデル・コアカリキュラムのコース“薬と疾病”をカバーする授業である。本科目では、精神疾患、耳鼻咽喉

の疾患、皮膚疾患、眼疾患、骨・関節疾患に関する基礎知識をもとに、各々の疾患に対する適正な薬物治療につ

いての理解を深める。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

精神神経科領域、耳鼻咽喉領域、皮膚科領域、眼科領域、整形外科領域の疾患に対して、病態生理や治療薬の

持つ薬理作用、作用機構、適正な使用方法、副作用について科学的な根拠に基づく疾患の薬物療法に関する知識

を説明できる。

【授業の概要】

本科目では領域別の講義と疾患の理解を深め臨床における討議能力を高める目的で、領域別の講義とPBLチュー

トリアルを行う。

領域別の講義である、精神神経科領域、耳鼻咽喉科領域、皮膚科領域、眼科領域については医学部附属病院で

診療を行っている医師を外部講師として、最新の知見をもとに合理的な薬物治療を行うことを目的とし、病因お

よび病態を述べるとともに、それら疾患に対する治療薬の持つ薬理作用、作用機構、適正な使用方法、副作用等

について解説する。

PBLチュートリアルでは領域別で学んだ知識をもとにグループ別に模擬症例検討を行い発表し、全体で討議す

る。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

代表的な精神疾患の病態生理、薬物治療について説明できる。 1)2)

<解説・キーワード> 統合失調症、うつ病、躁うつ病、神経症、心身症、薬物依存症、アル

コール依存症

C14(4)【精神疾患】(1-4)

耳鼻咽喉の代表的な疾患の病態生理と薬物治療について説明できる。 3)

<解説・キーワード> めまい、メニエール病、アレルギー性鼻炎、花粉症、副鼻腔炎、中耳

C-14(4) 【耳鼻咽喉の疾

患】(1-4)

皮膚に関する代表的な疾患の病態生理と薬物治療について説明できる。 4)

<解説・キーワード> アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、薬疹、水疱症、乾癬、接触性皮膚炎、光

線過敏症

C-14(4) 【皮膚疾患】

(1-4)

眼に関する代表的な疾患の病態生理と薬物治療について説明できる。 5)

<解説・キーワード> 緑内障、白内障、結膜炎、網膜症

C-14(4) 【眼疾患】(1-4)

骨、関節に関する代表的な疾患の病態生理と薬物治療について説明できる。 6)

<解説・キーワード> 関節リウマチ、変形性関節症、骨軟部腫瘍

C-14(4) 【骨・関節疾患】

(1-4)

Page 164: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

163

特定の疾患に関する症例について討議できる。 7)

<解説・キーワード> 精神神経疾患、耳鼻咽喉科疾患、皮膚科疾患、眼科疾患

C-14(4)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数

(8回)

到達目標

(番号)

学習方法 場 所 担当者 教材 時間数

(分)

備考

1-2 1)-2) 講 義 臨床実習棟 外部講師・岡本 参考書, プリント 90×2

3 3) 講 義 臨床実習棟 外部講師・岡本 参考書, プリント 90

4 4) 講 義 臨床実習棟 外部講師・岡本 参考書, プリント 90

5 5) 講 義 臨床実習棟 外部講師・岡本 参考書, プリント 90

6 6) 講 義 臨床実習棟 岡本 参考書, プリント 90

7-8 7) PBL 臨床実習棟 岡本・TA2名 参考書 90×2

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:薬学的管理のためのエッセンシャルシートとフォローアップシート,日本医薬品集や治療薬マニュ

アルなどの医薬品集

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・ 出席 (40%)。原則として全体で3回以上欠席した場合は、不合格とする。

・ 8回の講義終了後に期末試験を課す(60%)。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・1-6回目の講義の終了時に、学習者の授業内容の把握のために質疑応答を行い、到達度を確認する。

・7-8回目のPBLでは1-6回の講義の内容に則した症例を提示し、グループディスカッションを行い、知識の

確認と問題解決能力を高めるためにグループごとの発表を行う。

Page 165: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

164

薬剤疫学(Pharmacoepidemiology)

(1)講義に関する基礎情報

・担当教員: 高木達也(06-6879-8243, [email protected], 本館5階 544 )

<オフイスアワー:火曜日午後1時から3時>

上島悦子(06-6879-8251, [email protected], 本館2階242)

岡本禎晃(06-6879-8250, [email protected], 本館2階228)

<オフイスアワー:火曜日午後3時から4時>

岡本晃典(06-6879-8242, [email protected], 本館5階543)

<オフイスアワー:火曜日午後1時から3時>

・単位数:2 ・履修対象:4年生(薬学科:選択、薬科学科:選択) ・セメスター:Ⅶ

・曜日・時限:金曜・2時限 ・場 所:第4講義室

(2)医療薬学教育の中での位置付け

「薬剤疫学」は、薬学教育モデル・コアカリキュラムのコース“薬と疾病”をカバーする授業のひとつである。

同じくこの領域の授業である「臨床医学」「薬理学 I」、「薬理学Ⅱ」で薬の作用機構に関する基本理論を修得し、

「薬物治療学Ⅰ」、「薬物治療学Ⅱ」、「薬物治療学Ⅲ」では、疾患と薬物治療についての基礎知識を修得するが、「薬

剤疫学」は、これまでの学習内容を臨床応用していく際に必要な基礎知識を身につけることに主眼を置いており、

「臨床薬剤学」とともに事前学習の一角をなしている。

(3)授業の学習目標と授業の概要

【学習目標】

薬物治療に必要な情報を医療チームおよび患者に提供するために、医薬品情報ならびに患者から得られる情報

の収集、評価、加工などに関する基本的知識を修得し、それらを活用するための基本的技能と態度を身につける。

【授業の概要】

情報の質と量が増大し続ける現代において、情報を適切に取り扱う技術や知識は様々な領域において重要な役

割を担っている。医薬学領域も例外ではなく、薬物治療を選択する際には、医薬品、あるいは患者本人の情報を、

適正に収集、管理、評価、加工、提示する事が必要不可欠である。そこで本授業では、医薬品の適正使用に必要

な医薬品情報、患者情報を正しく収集・評価し取扱うことができるように基本的知識を習得する。また、収集し

た情報は、解析され、要約された後、今後の臨床に応用されなければならない。これら疫学的研究の基礎と、疫

学研究に用いられる手法について習得すると共に、実際に薬剤疫学研究が行われた代表例について知る。

(4)学習の到達目標

到達目標 モデル・コアカリキュラム対応

・医薬品として必須の情報を列挙できる。

・医薬品情報に関わっている職種を列挙し、その役割を説明できる。

・医薬品の開発過程で得られる情報の種類を列挙できる。

・医薬品の市販後に得られる情報の種類を列挙できる。

・医薬品情報に関係する代表的な法律と制度について概説できる。

1)

<解説・キーワード> 薬事法、非臨床試験、臨床試験、治験、GLP、GCP、GVP、GPSP。

C15(1)【情報 1)-5)

2) ・医薬品情報源の一次資料、二次資料、三次資料について説明できる。

・医薬品情報源として代表的な二次資料、三次資料を列挙し、それらの特徴を説明でき

る。

・厚生労働省、製薬企業などの発行する資料を列挙し、それらの特徴を説明できる。

・医薬品添付文書(医療用、一般用)の法的位置づけと用途を説明できる。

・医薬品添付文書(医療用、一般用)に記載される項目を列挙し、その必要性を説明で

きる。

C15(1)【情報源】 1)-7)

Page 166: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

165

・医薬品インタビューフォームの位置づけと用途を説明できる。

・医療用医薬品添付文書と医薬品インタビューフォームの使い分けができる。

<解説・キーワード> 医療用医薬品添付文書、インタビューフォーム、医薬品安全対策情報

(DSU)、緊急安全性情報、医薬品・医療機器等安全性情報。

・目的(効能効果、副作用、相互作用、薬剤鑑別、妊婦への投与、中毒など)に合った

適切な情報源を選択し、必要な情報を検索、収集できる。

・医薬品情報を質的に評価する際に必要な基本的項目を列挙できる。

3)

<解説・キーワード> 医薬品集、医薬品・医療機器情報提供ホームページ。

C15(1) 【収集・評価・加

工・提供・管理】1), 2)

・医薬品の採用、選択に当たって検討すべき項目を列挙できる。

・医薬品情報を目的に合わせて適切に加工し、提供できる。

・医薬品情報の加工、提供、管理の際に、知的所有権、守秘義務に配慮する。

・主な医薬品情報の提供手段を列挙し、それらの特徴を説明できる。

4)

<解説・キーワード> DIニュース、LANシステム、インターネット。

C15(1)【収集・評価・加

工・提供・管理】(3-5)

【総合演習】1)

・薬物治療に必要な患者基本情報を列挙できる。

・患者情報源の種類を列挙し、それぞれの違いを説明できる。

5)

<解説・キーワード> 患者基本情報、薬剤管理指導、既往歴、薬歴、コンプライアンス。

C15(2)【情報と情報源】

1), 2)

・問題志向型システム(POS)を説明できる。

・薬歴、診療録、看護記録などから患者基本情報を収集できる。

6)

<解説・キーワード> お薬手帳、POS、POMR、SOAP。

C15(2) 【収集・評価・管

理】1)-4)

7)

・患者、介護者との適切なインタビューから患者基本情報を収集できる。

・得られた患者情報から医薬品の効果および副作用などを評価し、対処法を提案する。

<解説・キーワード> 持参薬管理、薬歴、お薬手帳、薬剤識別。

C15(2) 【収集・評価・管

理】1)-4)

・SOAPなどの形式で患者記録を作成できる。

・チーム医療において患者情報を共有することの重要性を感じとる。

・患者情報の取扱いにおいて守秘義務を遵守し、管理の重要性を説明できる。

8)

<解説・キーワード> プロブレム、ファーマシューティカルケア。

C15(2) 【収集・評価・管

理】5)-7)

・代表的な医薬品情報データベースを列挙し、それらの特徴を説明できる。

・医学・薬学文献データベース検索におけるキーワード、シソーラスの重要性を理解し、

適切に検索できる。

・インターネットなどを利用して代表的な医薬品情報を収集できる。

9)

<解説・キーワード>

C15(1)【データベース】

1)-3)

・EBMの基本概念と有用性について説明できる。

・EBM実践のプロセスを概説できる。

10)

<解説・キーワード> システマティックレヴュー、コクラン共同計画

C15(1) 【 EBM

( Evidence-Based

Medicine)】1), 2)-

臨床研究法(ランダム化比較試験、コホート研究、症例対照研究など)の長所と短所を

概説できる。

11)

<解説・キーワード> コホート、ケースコントロール研究、RCT

C15(1) 【 EBM

( Evidence-Based

Medicine)】1)-6)

疫学研究における統計的手法(1):2 つ以上の処置の比較に用いられる統計手法につい

て、説明できる。

12)

<解説・キーワード> オッズ比、必要治療数、相対危険度、ロジスティック回帰

C15(1) 【 EBM

( Evidence-Based

Medicine)】3)-6)

疫学研究における統計的手法(2):生存時間曲線の解析について、説明できる。 13)

<解説・キーワード> 真のエンドポイント、代用のエンドポイント

C15(1) 【 EBM

( Evidence-Based

Medicine)】3)-6)

14) 臨床データとデータマイニング:臨床データ解析に用いられる advance な数理科学的手

法について、その概念を説明できる。

C15(1) 【 EBM

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166

<解説・キーワード> メタアナリシス、非線形解析、決定木モデル ( Evidence-Based

Medicine)】3)-6)

薬剤疫学研究の例

医薬品に関する論文を評価、要約し、臨床上の問題を解決するために必要な情報を提示

できる。

15)

<解説・キーワード> 薬剤疫学研究の例を数人の学習グループ別に紹介する。

C15(1) 【 EBM

( Evidence-Based

Medicine)】3)-6)【総合

演習】2)

(5)授業計画(学習方略)

授業回数 到達目標 時間数

(7回) (番号)

学習方法 場 所 担当者 教材

(分)

備考

1 1) 講 義 第4講義室 上島 プリント 90

2 2) 講義・演習 第4講義室 上島・岡本禎 プリント 90

3 3) 講 義 第4講義室 上島 プリント 90

4 4) 講義・演習 第4講義室 上島・岡本禎 プリント 90

5 5) 講 義 第4講義室 上島 プリント 90

6 6) 講義・演習 第4講義室 上島・岡本禎 プリント 90

7 7) ロールプレイ 第4講義室 上島 プリント 90

8 8) 演 習 第4講義室 上島 プリント 90

9 9-10) 講 義 第4講義室 高木 電子化教材 90

10 11) 講 義 第4講義室 高木 電子化教材 90

11 12) 講 義 第4講義室 高木 電子化教材 90

12 13,14) 講 義 第4講義室 高木・岡本晃 電子化教材 90

13 15) 演 習 第4講義室 高木・岡本晃 電子化教材 90

14 15) 演 習 第4講義室 高木・岡本晃 電子化教材 90

15 9-15) 講 義 第4講義室 高木 電子化教材 90

(6)教科書・参考書

・教科書:特に指定しない。

・参考書:スタンダード薬学シリーズ/日本薬学会編 6.「薬と疾病」Ⅲ

(7)成績評価(教育評価)

【総括的評価】(合否判定)

・出席点とレポートもしくは試験。全体得点に占める比率は、出席点1、試験もしくはレポート9とする。

・原則として全体で5回以上欠席した場合は、不合格とする。

【形成的評価】(学習効果の向上を目的としたフィードバック)

・2~6 回目の講義時に、前回の講義内容に関する演習を行なう。その後、正解を伝え簡単な解説を行ない、

自己採点させ回収する。この結果から講義の理解度を把握し、以後の授業に反映させる。

・13-14回目の演習時に理解度を把握し、理解度の不十分と思われる点に関し、再度15回目に講義する。

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167

10.環境薬学領域実習の改変‐環境・分析系実習書の作成‐

10‐1.大阪大学薬学部基礎実習

(環境・分析系実習Ⅰ・Ⅱテキストより抜粋)

(1)環境・分析系実習Ⅰ(分析・物理化学実習)

Ⅰ‐1 酸・塩基滴定

Ⅰ‐2電位差滴定

Ⅰ‐3紫外可視吸光光度法:酵素を用いる臨床化学分析

Ⅰ‐4 高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)

Ⅰ‐5 錯滴定

Ⅰ‐6 凝集沈澱法による水溶液中の金属の除去

Ⅰ‐7 錯体の組成比決定と核酸のらせん構造形成

Ⅰ‐8 化学反応速度論

Ⅰ‐9 凝固点降下による分子会合の決定

Ⅰ‐10 酸‐塩基平衡:熱力学的変量の決定

Ⅰ‐11 タンパク質と薬物の相互作用

Ⅰ‐12 コンピュータグラフィックスによる薬物‐受容体の相互作用様式の検討

(2)環境・分析系実習Ⅱ

Ⅱ‐1 細胞実習の基礎

Ⅱ‐1.1 無菌操作

Ⅱ‐1.2 顕微鏡操作

Ⅱ‐1.3 微生物培養法

Ⅱ‐1.4 細菌の検出・計数

Ⅱ‐2 衛生試験法(水質、残留農薬試験、食品添加物試験)

Ⅱ‐2.1 溶存酸素(DO)測定

Ⅱ‐2.2 化学的酸素要求量(COD)測定

Ⅱ‐2.3 亜硝酸性窒素測定

Ⅱ‐2.4 残留農薬測定

Ⅱ‐2.5 食品添加物(酸化防止剤)測定

Ⅱ‐3 肝薬物代謝酵素による薬物の代謝

Ⅱ‐3.1 ラット肝チトクロムP-450酵素の誘導

Ⅱ‐3.2 チトクロムP-450の定量

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168

Ⅱ‐3.3 チトクロムP-450の誘導と薬効の変化

Ⅱ‐3.4 Ames試験

10‐2.環境・分析系実習Ⅱ

(1)はじめに

我々の身の回りには、自然環境、都市環境、院内環境、腸内環境など、様々な「環境」が存在している。それ

らの環境中には多くの微生物や化学物質が存在しており、ヒトの生存と深く関わっている。通常はヒトの生存に

「正」の働きをしている微生物や化学物質も、ヒトの生体防御能が低下している場合や、許容量を超える量に曝

露した場合には、生体に対して「負」の影響を及ぼす可能性がある。また、ヒトは環境を変えることによって、

安全かつ快適な生活を実現してきたが、その環境変化の負荷が大きすぎる場合、新興・再興感染症の流行や、環

境中や生体内で分解しきれない化学物質の拡散による疾病の発症を招くことになる。

これら環境中の微生物や化学物質による疾病を未然に防止するためには、環境中の微生物や化学物質の現存量

を定量し、さらにヒトに対してどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることが重要であり、そしてこれらの

情報を総合的に判断して予防手段を講じる必要がある。

そこで本実習においては、微生物・化学物質、そして生体影響の面から「環境」を理解することを目的とする。

Ⅱ‐2 衛生試験法(水質試験、残留農薬試験、食品添加物試験)

近年、農薬等の有害物質による食品の汚染、あるいは内分泌かく乱物質等による生活環境の汚染など、食や環

境の安全を脅かす様々な問題が顕在化している。人の健康と健全な環境を守る上で、高度なリスクマネージメン

トを行い、健康被害や環境の悪化を引き起こす様々な危険因子を未然に察知しこれを排除する有効な対策を講じ

ることは非常に重要である。こうしたリスクマネージメントにおいて、衛生化学や公衆衛生学,更には最新の分

析化学を基盤とした各種の衛生試験法が果たす役割は大きい。衛生試験法の対象は、人の健康と環境に関わる食

品や生活用品、水、空気など多岐に渡っている。本実習では、環境試験法である、食品添加物試験法、食品汚染

物試験法、水質試験法の一部を行い、衛生試験を行うための実践的な技能を習得することを目指す。

<以下抜粋>

Ⅱ‐2.4 残留農薬測定

<目 的>

近年、輸入食品や食材の有害物質による汚染が問題になっており、食や環境の安全・安心の確保に対する国民

の関心が高まっている。その中でも食品の残留農薬に関しては、2007年に発生したメタミドホス問題などが大々

的に報じられ、国民の不安が高まっている。

従来の残留農薬規制の概念である「ネガティブリスト制度」は、様々な農薬の内、人体や環境などへの影響危

険度が懸念されるものを禁止もしくは規制するもので、それら以外の農薬は自由使用とされていた。しかし、科

学技術の発達とともに、様々な新しい農薬が開発されてきたこと、それらに対する生物学的な安全性の知見は必

ずしも追い付いていないことから、従来の制度を改正する機運が高まり、2003 年食品衛生法改正に伴い、残留

農薬等に関するポジティブリスト制度が制定された。

本実習では、残留農薬試験の基礎となる分析化学技術、特に試料前処理技術の習得、ガスクロマトグラフィー

(GC)測定に関する知識習得を目的とする。

<概 要>

代表的な殺虫剤であるクロルピリホス、ダイアジノンを分析対象とし、市販の小松菜から農薬成分を抽出、前

処理を行い、GC により測定する。ただし、実際の市販品からは農薬成分が検出されないことを確認しており、

本実習では、教員が農薬成分の標準品を添加したものを試料として使用する。

<実験方法>

(1) 試薬

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169

1) 0.5 mol/l リン酸緩衝液 pH 7.0

K2HPO4 52.7 g及びKH2PO4 30.2 gを量り採り,水 500 mlに溶解し,1 mol/l水酸化ナトリウムまたは1 mol/l

を用いてpH 7.0 に調整した後,水を加えて1 lとする.

2) アセトニトリル (残留農薬分析グレード)

3) 塩化ナトリウム

4) 無水硫酸ナトリウム

5) アセトニトリル / トルエン 混合溶液 (v/v 3:1)

6) アセトン (残留農薬分析グレード)

7) アセトン/ n-ヘキサン 混合溶液 (v/v 1:1)

8) クロルピリホス,ダイアジノン標準溶液 (GC保持時間,ピークエリアの確認のために使用)

(2) 器具(1班ごと)

乳鉢、乳棒、100 mlガラスメスシリンダー、吸引濾過瓶、桐山漏斗、桐山濾紙 (2枚)、ダイアフラム式真

空ポンプ、100 mlメスフラスコ、ホールピペット(1ml、10 ml)、10 mlメスピペット、安全ピペッター、

50 ml共栓試験管、10 mlガラスピペット、ピペッター、コニカルビーカー、ガラス漏斗 2個、定量濾紙、

30 mlスクリューバイアル、グラファイト/アミノプロピルシリカ積層ミニカラム、スタンド、クランプ、

シリンジ、シリンジアダプタ、パスツールピペット、エバポレーター、50 mlナスフラスコ、GCオートサン

プラー用バイアルセット、吹き付け乾燥機、47 l 窒素ボンベ、ガスクロマトグラフ装置

(3) 実験操作

1) 小松菜を20 g計量し、乳鉢に移す。この時、葉と茎の両方含めるようにする。

2) アセトニトリル 50 mlを加え、乳鉢で小松菜を破砕する。

3) 抽出液を吸引濾過する。

4) 濾紙上の残留物を乳鉢に戻し、アセトニトリル 20 mlを加え、再度破砕する。

5) 抽出液を吸引濾過する。

6) 得られた濾液を合わせ、100 mlメスフラスコに移し、アセトニトリルを加え100 mlにメスアップする。 7) 抽出液 20 mlをホールピペットにより共栓試験管に量り採り、塩化ナトリウム 10 g及び 0.5 mol/lリ

ン酸緩衝液 (pH 7.0) 20 mlを加え、振盪する。

8) 静置後、分離したアセトニトリル層をガラスピペッターにより回収し、コニカルビーカーに移す。 9) アセトニトリル層に粉末がダマを形成しなくなるまで無水硫酸ナトリウムを少しずつ加える。 10) ひだ折りした定性濾紙をガラス漏斗に設置し、無水硫酸ナトリウムを濾別する。アセトニトリル溶液はスクリューバイアルに回収する。

11) 濾液を窒素気流下、40oCで濃縮し、溶媒を除去。約40分要する。

12) メスピペットでアセトニトリル/トルエン(3:1)混液2 mlを残留物に加え、溶解させる。

13) スタンドにクランプを設置し、グラファイトカーボン/アミノプロピルシリカ積層ミニカラムを垂直になるようにクランプに挟む。

14) ミニカラムにアセトニトリル/トルエン(3:1)混液 5 mlを添加し、ミニカラム上部にシリンジアダプタを

取り付け、シリンジで加圧する。

*カラムから溶出する液が液滴を形成するのが確認できる程度の流速にする(約 2 ml/min)。流速が高い

とカラムと溶質、溶媒の相互作用が不十分になる。

15) 液面が充填剤の上面に達する直前で、アセトニトリル/トルエン(3:1)混液 5 mlを添加し、シリンジで加

圧する。

*充填剤の上面が大気に触れると、その後の溶媒の添加の際、気泡がカラムの中に入り、空洞が生じ、溶

媒がその空洞の部分を通りやすくなり、結果、カラムと溶質の相互作用が不十分になる。

16) 液面が充填剤の上面に達する直前で、12で得られた溶液をパスツールピペットでカラムに注ぎ込む。

17) 液面が充填剤の上面に達する直前で、アセトニトリル/トルエン(3:1)混液 5 mlを添加し、シリンジで加

圧する。カラムから溶出する液を50 mlナスフラスコに回収する。

18) 17. の操作を更に3回繰り返す。

*溶離液は約20 ml回収されることになる。

19) 回収した溶離液をエバポレーターで1 ml以下に減圧濃縮する。水浴温度は35oC に設定する。*完全に溶

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170

媒を除去しないように注意する。

20) アセトン10 mlを加え、エバポレーターで1 ml以下に減圧濃縮する。

*19と同様の点に注意する。

21) アセトン5 mlを加え、エバポレーターで溶媒を完全に除去する。

*溶媒が除去できたら、直ちに減圧を解除すること。

22) 残留物をアセトン/n-ヘキサン(1:1)混液1 mlをホールピペットで加え、完全に溶解し、パスツールピペッ

トでGCオートサンプラーバイアルに移す。

23) GC測定を行う。

(4)ガスクロマトグラフィー分析条件

・装置: GC-4000 Gas chromatography (GL sciences社製)

・キャリアガス : ヘリウム

・流速 : 0.8 mL/min

・キャピラリーカラム : コーティング液相95% dimethylsiloxane, 5% diphenylsiloxane

(InertCap® 5, サイズI.D. 0.25 mm × Length 30 m, 液相厚 0.25 mm, GL sciences社製)

・注入量 : 1.0 mL

・注入方式 : スプリットレス

・注入口温度 : 250 oC

・検出方法 : FID

・検出器温度 : 290 oC

・カラムオーブン昇温プログラム : 分析開始から 60 oCで1分維持

→25 oC/min で125 oCまで昇温

→10 oC/min で300 oCまで昇温

→300 oCで10分維持

<考 察>

1) 実験操作7)、9)、14-18)の操作の意味、原理を調べなさい。

2) GCにより化合物が分離できる原理を調べなさい。

3) GC クロマトグラムを見て、試料にクロルピリホスあるいはダイアジノンが検出されたか判断しなさい。また、検出された場合、残留基準を超過しているかどうかを判断しなさい。残留基準は厚生労働省のホームペー

ジで確認すること。

4) ポジティブリスト制度の概要を調べ、残留農薬試験分析法に求められる技術的要件について意見を述べなさい。

Ⅱ‐2.5 食品添加物(酸化防止剤)測定

<目 的>

酸化防止剤とは油脂の酸敗を防止する目的で食品に添加する物質である。ブチルヒドロキシアニソール(BHA)

や時ブチルヒドロキシトルエン(BHT)は動物性油脂の酸化防止剤として広く用いられている。油脂の酸化防止剤

はその安全性に幾度も疑問が投げかけられてきたが、現在は人には発癌のリスクはないとされている。これら油

脂の酸化防止剤は対象食品と使用量の両面で厳しく規制されている。

本実習では代表的な食品添加物であるBHAを分析対象とし、食品添加物試験の基礎となる分析化学技術、特に

液体クロマトグラフィー(HPLC)測定に関する知識習得を目的とする。

<概 要>

教員が用意した加工食品から脂溶性成分を抽出し、HPLCにより測定する。

<実験方法>

(1) 試薬

1) 混合溶媒:アセトニトリル / 2-プロパノール / エタノール (2:1:1)

2) 無水硫酸ナトリウム

3) BHA, BHT標準溶液 (LC保持時間,ピークエリアの確認のために使用)

(2) 器具(1班ごと)

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171

ホモジナイザー1 組、100 ml ガラスメスシリンダー、吸引濾過瓶、桐山漏斗、桐山濾紙、ダイアフラム式真空

ポンプ、ピペッター、パスツールピペット、メンブレンフィルター (孔径0.45 mm)、1 mlシリンジ、9 mlスク

リュー管瓶、HPLCオートサンプラー用バイアルセット、HPLC装置

(3) 実験操作

1) 加工食品5.0 gをホモジナイザーのカップにとる。

2) 混合溶媒50 mlを加え、10分間破砕する。

3) 無水硫酸ナトリウム10 gを添加する。

4) 抽出液を吸引濾過する。

5) 0.45 mmメンブレンフィルターでろ過し、HPLCバイアルに移す。

6) HPLC測定を行う。

(4) 高速液体クロマトグラフィー条件

・装置:ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン、検出器 PDA (日立ハイテク社製 LaChrom)

ECD (エイコム社製 ECD-700)

・移動相:A液 5% 酢酸, 0.1 mol/l NaClO4を含む.

B液 アセトニトリル/メタノール (1 : 1),0.1 mol/l NaClO4を含む.

A/B = 25/75

・流速:1.0 ml/min

・注入量:10 ml

・カラム:ODS (Inertsil ODS-3、I.D. 4.6 mm × length 250 mm、particle size 5 mm、GL sciences社)

・カラム温度:40oC

・検出器 :UV 検出波長200 - 300 nm

ECD 作用電極:グラッシーカーボン

参照電極:Ag/AgCl電極

加圧電極:1100 mV

<考 察>

1) HPLCにより化合物が分離できる原理を調べなさい。

2) PDA、ECD検出器の検出原理を調べ、実験の結果からBHAの検出感度について考察しなさい。

3) HPLCクロマトグラムから、試料にBHAがどの程度含まれていたか、試料重量当たりの濃度として算出しなさい。

Page 173: 4. 5. 11 6. 13 7. --- 8. 15...5. 取組の実施体制及び実施計画 11 6. 取組終了後のプログラムの発展・定着化 13 7. --- 14 8. 取組の実施状況

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おわりに

以上のように、平成21年度の質の高い大学教育推進プログラム「食と環境の安全安心を担う薬学人材養成教

育」の平成20年度報告書を取りまとめました。平成20年度は、採択決定が9月であったため、大半はプログ

ラムの準備に追われる状態で、実質的なプログラムの運営はほとんどできない状態でしたが、本年度は懸案の「学

習の手引き」の作成に関して、薬学研究科教員が担当する専門科目についてまとめることができました。また、

実習の再編成にも着手し、平成22年度からは新たに環境・分析系実習をトライアルとして開始することとなり

ました。このような薬学教育における教育効果の改善を目的としたカリキュラムの再編成に対する研究科の多く

の先生方のご協力に対し、深く感謝いたします。

最終年度となる平成22年度には、未だ着手できていない基礎実習や実務実習、大学院科目の「学習の手引き」

の整備に取り組み、またモデル・コアカリキュラムに準拠した基礎実習項目の整備、特に環境薬学領域の技能教

育の充実に努め、目標とする“食と環境の安全安心を担うことができる”高度な薬学研究者及び薬剤師の養成が

達成できる教育プログラムの構築を図ります。

食と環境の安全・安心の確保は、薬学に対する強い社会的ニーズであります。本取組では、薬学6年制導入に

ともなう教育制度改革をこのようなニーズに応えるための環境薬学教育の高度化及び実質化の契機ととらえ、本

研究科・学部における実践的かつ高度なリスクマネージメント能力の養成に向けて、教育体制の整備・充実を目

指します。つきましては、今後とも引き続き関係各位のご支援を賜りますようよろしくお願い致します。

平成22年3月 質の高い大学教育推進プログラム運営委員会