12
5 図19. 水平力と耐力壁の変形 変形小の耐力壁線 変形大の耐力壁線 変形中の耐力壁線 変形小の耐力壁線 5. 1 水平構面の役割 構造用合板を張った床 水平構面に加わる地震力を 耐力壁に伝達すること 水平構面の第一の役割は、水平構面に作用 する地震力を耐力壁に伝達することである。い かに耐力壁が十分に配置されていたとしても、 水平構面が弱いと建物は分解する。 強度だけでなく剛性も重要である。水平構面 の剛性が低いと、図19のように内部耐力壁は外 壁の耐力壁より大きな変形を生じることとなる。 このような変形を生じると、内部耐力壁には過 大の地震力が集中し、逆に外壁の耐力壁は十 分に働かないことになる。水平構面の変形は耐 力壁間距離が大きくなると、また、吹き抜けなど を設けると大きくなるので、このような場 合は、 特に水平構面の剛性を高くする必要がある。 耐力壁の配置のアンバランスによる 悪影響を少なくすること 阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた木造 住宅の一つのパターンは、耐力壁の配置がアン バランスな建物であった。耐力壁の配置のアン バランスは、設計が悪いといってしまえばそれ までであるが、現実的には間取りや敷地条件な どからそのようにならざるを得ない場合が多い。 図20のように、耐力壁の配置が悪い建物の 場合、水平構面の剛性が低いと、水平構面はひ し形に変形し、地震力は二つの妻壁に等分に 加わることになる。従って開口の大きい手前の 妻壁は大きく変形し、建物は大きな損傷を受け ることになる。 しかしながら、水平構面が剛床であれば、水平 構面は変形せずに矩形を保つので建物は図に 示すようにねじられる。ねじりに対しては地震の 力の方向と直角の方向にある耐力壁も抵抗する ので、この直交壁の耐力が大きければねじり変 形は小さくなる。すなわち、開口の大きい手前の 妻壁の変形と反対側の妻壁の変形との差が小さ くなる。このように水平構面の剛性が高いと、耐 力壁の配置がアンバランスであっても、直交壁を 補強することで、その悪影響を減少させること ができる。 地震力

5 構造用合板を張った床80 60 40 20 0 2 水平力, P(kN) 4 試験方法 7.28m 12 合板直張り (倍率2) ころばし根太の上に 12 合板張り(倍率0.7)

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Page 1: 5 構造用合板を張った床80 60 40 20 0 2 水平力, P(kN) 4 試験方法 7.28m 12 合板直張り (倍率2) ころばし根太の上に 12 合板張り(倍率0.7)

80

60

40

20

0 2

水平力, P(kN

4

試験方法 7.28m

12㎜合板直張り (倍率2)

ころばし根太の上に 12㎜合板張り(倍率0.7)

製材板張り+火打ちばり (倍率0.5)

P

床 δ

ネダノン四周釘打ち (倍率3)

8 6 10 12 14

3.64

m

5

 床組の水平構面としての耐力は構造方式によって大きく異なる(図21)。各種構造方法による耐力は、品確法(建設省告示1654号、平成12年7月)に、存在床倍率という単位で示されている。(表17)それによると、一般的な施工方法による火打ち材を設けて製材小幅板を張った床の存在床倍率が0.5~0.8倍程度であるのに対して、火打ち材を省略して12㎜合板を直張りした床の存在床倍率は1.4倍(根太間隔455㎜の場合)、2倍(根太間隔303㎜の場合)、24㎜以上の合板を直張りした床の存在床倍率は1.2倍(川の字型釘打ちの場合)、3倍(四周釘打ちの場合)と非常に高い値となっている。 構造計算で設計する場合、水平構面の許容耐力は、床倍率を換算した値(倍率1=1.96kN/m)を用いることができる。しかし、(財)日本住宅・木材技術センター編「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」によると、ネダノンを四周釘打ち仕様で直張りした床の耐力が見直され、7.84kN/m(4.0倍相当)と、床倍率を換算した値より高い値に引き上げられた。さらに、川の字釘打ちに加えて合板の長辺についても耐力壁線上の胴差し等に釘打

ちした仕様については、3.53kN/m(床倍率で1.8倍相当)の許容耐力が与えられた。 また、品確法の性能表示制度を使用する際の床倍率について、性能評価機関より下記の評価を受けている。・厚さ28㎜、N75@150㎜(外)、200㎜(中)、四周 釘打ち仕様            4.70倍・厚さ28㎜、N75@150㎜、川の字釘打ち+合板 長辺耐力壁線上釘打ち仕様     2.98倍・厚さ28㎜、N75@100㎜(外)、200㎜(中)、四周 釘打ち仕様            6.73倍

5. 2 存在床倍率

中央の水平変位, δ(㎝)

図21. 構造用合板を張った床の水平力に対する性能

図20. 耐力壁の配置がアンバランスである場合の床の役割水平構面が剛床の場合、耐力壁の配置がアンバランスであっても、直交壁が強ければ、その悪影響は軽減される

(a)柔らかい床の場合

耐力の高い壁

耐力の低い壁

柔らかい床の変形

地震力,P

P / 2

P / 2 (上から見た図)

剛床(変形しない)

地震力,P

直交壁の抵抗 (上から見た図)

地震力,P

地震力,P

直交壁

P/2

P/2

(b)剛床の場合

図19. 水平力と耐力壁の変形

変形小の耐力壁線

変形大の耐力壁線

変形中の耐力壁線

変形小の耐力壁線

5. 1 水平構面の役割 構造用合板を張った床 ●水平構面に加わる地震力を 耐力壁に伝達すること 水平構面の第一の役割は、水平構面に作用する地震力を耐力壁に伝達することである。いかに耐力壁が十分に配置されていたとしても、水平構面が弱いと建物は分解する。 強度だけでなく剛性も重要である。水平構面の剛性が低いと、図19のように内部耐力壁は外壁の耐力壁より大きな変形を生じることとなる。このような変形を生じると、内部耐力壁には過大の地震力が集中し、逆に外壁の耐力壁は十分に働かないことになる。水平構面の変形は耐力壁間距離が大きくなると、また、吹き抜けなどを設けると大きくなるので、このような場合は、特に水平構面の剛性を高くする必要がある。●耐力壁の配置のアンバランスによる 悪影響を少なくすること 阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた木造住宅の一つのパターンは、耐力壁の配置がアンバランスな建物であった。耐力壁の配置のアン

バランスは、設計が悪いといってしまえばそれまでであるが、現実的には間取りや敷地条件などからそのようにならざるを得ない場合が多い。 図20のように、耐力壁の配置が悪い建物の場合、水平構面の剛性が低いと、水平構面はひし形に変形し、地震力は二つの妻壁に等分に加わることになる。従って開口の大きい手前の妻壁は大きく変形し、建物は大きな損傷を受けることになる。 しかしながら、水平構面が剛床であれば、水平構面は変形せずに矩形を保つので建物は図に示すようにねじられる。ねじりに対しては地震の力の方向と直角の方向にある耐力壁も抵抗するので、この直交壁の耐力が大きければねじり変形は小さくなる。すなわち、開口の大きい手前の妻壁の変形と反対側の妻壁の変形との差が小さくなる。このように水平構面の剛性が高いと、耐力壁の配置がアンバランスであっても、直交壁を補強することで、その悪影響を減少させることができる。

地震力

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80

60

40

20

0 2

水平力, P(kN

4

試験方法 7.28m

12㎜合板直張り (倍率2)

ころばし根太の上に 12㎜合板張り(倍率0.7)

製材板張り+火打ちばり (倍率0.5)

P

床 δ

ネダノン四周釘打ち (倍率3)

8 6 10 12 14

3.64

m

5

 床組の水平構面としての耐力は構造方式によって大きく異なる(図21)。各種構造方法による耐力は、品確法(建設省告示1654号、平成12年7月)に、存在床倍率という単位で示されている。(表17)それによると、一般的な施工方法による火打ち材を設けて製材小幅板を張った床の存在床倍率が0.5~0.8倍程度であるのに対して、火打ち材を省略して12㎜合板を直張りした床の存在床倍率は1.4倍(根太間隔455㎜の場合)、2倍(根太間隔303㎜の場合)、24㎜以上の合板を直張りした床の存在床倍率は1.2倍(川の字型釘打ちの場合)、3倍(四周釘打ちの場合)と非常に高い値となっている。 構造計算で設計する場合、水平構面の許容耐力は、床倍率を換算した値(倍率1=1.96kN/m)を用いることができる。しかし、(財)日本住宅・木材技術センター編「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」によると、ネダノンを四周釘打ち仕様で直張りした床の耐力が見直され、7.84kN/m(4.0倍相当)と、床倍率を換算した値より高い値に引き上げられた。さらに、川の字釘打ちに加えて合板の長辺についても耐力壁線上の胴差し等に釘打

ちした仕様については、3.53kN/m(床倍率で1.8倍相当)の許容耐力が与えられた。 また、品確法の性能表示制度を使用する際の床倍率について、性能評価機関より下記の評価を受けている。・厚さ28㎜、N75@150㎜(外)、200㎜(中)、四周 釘打ち仕様            4.70倍・厚さ28㎜、N75@150㎜、川の字釘打ち+合板 長辺耐力壁線上釘打ち仕様     2.98倍・厚さ28㎜、N75@100㎜(外)、200㎜(中)、四周 釘打ち仕様            6.73倍

5. 2 存在床倍率

中央の水平変位, δ(㎝)

図21. 構造用合板を張った床の水平力に対する性能

図20. 耐力壁の配置がアンバランスである場合の床の役割水平構面が剛床の場合、耐力壁の配置がアンバランスであっても、直交壁が強ければ、その悪影響は軽減される

(a)柔らかい床の場合

耐力の高い壁

耐力の低い壁

柔らかい床の変形

地震力,P

P / 2

P / 2 (上から見た図)

剛床(変形しない)

地震力,P

直交壁の抵抗 (上から見た図)

地震力,P

地震力,P

直交壁

P/2

P/2

(b)剛床の場合

図19. 水平力と耐力壁の変形

変形小の耐力壁線

変形大の耐力壁線

変形中の耐力壁線

変形小の耐力壁線

5. 1 水平構面の役割 構造用合板を張った床 ●水平構面に加わる地震力を 耐力壁に伝達すること 水平構面の第一の役割は、水平構面に作用する地震力を耐力壁に伝達することである。いかに耐力壁が十分に配置されていたとしても、水平構面が弱いと建物は分解する。 強度だけでなく剛性も重要である。水平構面の剛性が低いと、図19のように内部耐力壁は外壁の耐力壁より大きな変形を生じることとなる。このような変形を生じると、内部耐力壁には過大の地震力が集中し、逆に外壁の耐力壁は十分に働かないことになる。水平構面の変形は耐力壁間距離が大きくなると、また、吹き抜けなどを設けると大きくなるので、このような場合は、特に水平構面の剛性を高くする必要がある。●耐力壁の配置のアンバランスによる 悪影響を少なくすること 阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた木造住宅の一つのパターンは、耐力壁の配置がアンバランスな建物であった。耐力壁の配置のアン

バランスは、設計が悪いといってしまえばそれまでであるが、現実的には間取りや敷地条件などからそのようにならざるを得ない場合が多い。 図20のように、耐力壁の配置が悪い建物の場合、水平構面の剛性が低いと、水平構面はひし形に変形し、地震力は二つの妻壁に等分に加わることになる。従って開口の大きい手前の妻壁は大きく変形し、建物は大きな損傷を受けることになる。 しかしながら、水平構面が剛床であれば、水平構面は変形せずに矩形を保つので建物は図に示すようにねじられる。ねじりに対しては地震の力の方向と直角の方向にある耐力壁も抵抗するので、この直交壁の耐力が大きければねじり変形は小さくなる。すなわち、開口の大きい手前の妻壁の変形と反対側の妻壁の変形との差が小さくなる。このように水平構面の剛性が高いと、耐力壁の配置がアンバランスであっても、直交壁を補強することで、その悪影響を減少させることができる。

地震力

Page 3: 5 構造用合板を張った床80 60 40 20 0 2 水平力, P(kN) 4 試験方法 7.28m 12 合板直張り (倍率2) ころばし根太の上に 12 合板張り(倍率0.7)

図22. 存在床倍率表の①②の施工例 図23. 存在床倍率表の③の施工例(はり、胴差に際根太を設け、合板を@150で

釘打ちする場合は、火打ちばり省略可)

柱 根太 根太 はり

はり

根太

間柱

通し柱

胴差し

間柱

胴差し

通し柱

150

※ ≦500

※根太間隔が340以下の場合床倍率1.0倍  根太間隔が340を超える場合床倍率0.7倍

※1:根太間隔が340以下の場合 床倍率1.6倍    根太間隔が340を超える場合床倍率1.12倍 ※2:根太背の1/2以上組込

※1 ≦500 ≦1/2 1/2以上

※2 1/2以上 ※2

構造用合板 ○12  釘CN50または N50@150

ア 構造用合板 ○12  釘CN50または N50@150

表17. 品確法の存在床倍率

① ⑧

厚さ12ミリメートル以上の構造用合板又は構造用パネル(1級又は2級のものに限る。)を、根太 (根太相互の間隔が340ミリメートル以下の場合に限る。)に対し、鉄丸釘N50を用いて150ミリメートル以下の間隔で打ち付けた床組等

1

0.7

①又は②の倍率に1.6を乗じた数値

①又は②の倍率に2を乗じた数値

3

1.2

0.3

厚さ24ミリメートル以上の構造用合板を用い、その四周をはり等の横架材又は構造用合板の継ぎ手部分に補強のために設けられた受け材に対し、鉄丸釘N75を用いて15センチメートル以下の間隔で打ち付けた床組等

厚さ24ミリメートル以上の構造用合板を用い、はり等の横架材に対し、構造用合板の短辺の外周部分に各1列、その間に1列以上となるように、鉄丸釘N75を用いて15センチメートル以下の間隔で打ち付けた床組等(はり等の横架材の間隔が1メートル以下の場合に限る。)

厚さ12ミリメートル以上、幅180ミリメートル以上の板材を、根太(根太相互の間隔が340ミリメートル以下の場合に限る。)に対し、鉄丸釘N50を用いて150ミリメートル以下の間隔で打ち付けた床組等

厚さ12ミリメートル以上の構造用合板又は構造用パネル(1級又は2級のものに限る。)を、根太 (根太相互の間隔が500ミリメートル以下の場合に限る。)に対し、鉄丸釘N50を用いて150ミリメートル以下の間隔で打ち付けた床組等

①又は②の床組等において、横架材上端と根太上端の高さの差を根太せいの2分の1以下としたもの等

①又は②の床組等において、横架材上端と根太上端の高さを同一に納めたもの

0.2

⑦又は⑧の倍率に1.2を乗じた数値

⑪、⑫又は⑬の倍率に1.2を乗じた数値

⑪、⑫又は⑬の倍率に1.6を乗じた数値

それぞれの倍数の和

⑦又は⑧の倍率に1.3を乗じた数値

0.15

0.3

0.5

厚さ12ミリメートル以上、幅180ミリメートル以上の板材を、根太(根太相互の間隔が500ミリメートル以下の場合に限る。)に対し、鉄丸釘N50を用いて150ミリメートル以下の間隔で打ち付けた床組等

⑪の床組等において、火打ち材を、平均して3.3平方メートルごとに1本以上となるよう配置したもの

⑪の床組等において、火打ち材を、平均して2.5平方メートルごとに1本以上となるよう配置したもの

⑪、⑫又は⑬の床組等において、主たる横架材のせいが150ミリメートル以上のもの

⑪、⑫又は⑬の床組等において、主たる横架材のせいが240ミリメートル以上のもの

①から⑩に掲げる構造方法の1、⑪から⑮に掲げる構造方法の1のうち、2つ以上を併用した床組等

 この表において、「構造用合板」は構造用合板の日本農林規格(昭和44年農林省告示第1371号)に規定する特類又は1類を、「構造用パネル」は構造用パネルの日本農林規格(昭和62年農林水産省告示第360号)に規定する1級、2級又は3級を、「鉄丸釘N50」はJISA5508-1992に定めるN50又はこれと同等の品質を有するくぎをいう。

⑦又は⑧の床組等において、横架材上端と根太上端の高さの差を根太せいの2分の1以下としたもの

⑦又は⑧の床において、横架材上端と根太上端の高さを同一に納めたもの

断面の短辺が90ミリメートル以上の製材又はこれと同等の耐力を有する火打ち材を、平均して5平方メートルごとに1本以上となるよう配置した床組等(主たる横架材(火打ち材に取り付くものをいう。以下同じ)のせいが105ミリメートル以上のものに限る。)

床組等の構造方法 存在床倍率 床組等の構造方法 存在床倍率

5. 3 合板張り床構面の施工方法 共通事項●合板は、胴差しとはりに直接張るのが望ましい。●合板の長手方向は、はり(ネダノンの場合) または根太(根太仕様の場合)に対して直角 とするのが望ましい。 (図24左図のような根太仕様の場合は、合板 の外周を釘打ちするために根太に平行とする)

●合板の配置は、千鳥とするのが望ましい。  品確法等では必ずしも千鳥張りを強制していないが、接着剤併用釘打ちの場合を除いて、千鳥張りの方がイモ張りより水平構面としての性能、たわみ性能とも高くなる。

●釘はN釘またはCN釘を用いる。 釘はN50またはCN50(合板の厚さが12㎜の場合)、N65またはCN65(15㎜の場合)、N75またはCN75(ネダノン:24㎜以上の場合)を使用する。CN釘を用いるとN釘の場合より水平構面としての強度が約10~20%高くなること、専用の自動釘打機が広く普及していることから、CN釘を推奨する。N釘より胴部径の細い自動釘打機の釘やBN釘は、所定の強度が出ないので絶対に使用しない。●合板を切り欠く場合はその場に打つべき釘を 移動して打つ。 柱などのために合板を切り欠く場合は本来打つべき釘を150㎜以内に移動して打ち、釘の本数が減ぜぬようにする。●火打ちばりは省略することができる。 表17の構造用合板を張った床組の中で、④~⑥および根太を渡りあごかけとした③(施工の詳細については金融支援機構監修「木造住宅工事共通仕様書」参照)の仕様については、火打ちばりを省略することができる。法的には、国交省建築指導課監修「2007年版建築物の構造関係技術基準解説書」のP81に「構造用合板を釘打ちすることによる場合も火打材と見なすことができる」とあり、正確には火打材は省略するのではなく、構造用合板という火打材を設けたことになる。金融支援機構監修「木造住宅工事共通仕様書」では「火打材は火打ちばりまたは構造用面材とする」となっている。

さね加工を施さない合板を使う直張り仕様(図24、25)

●遵守事項:釘は合板の四周および中通りに打 ち、間隔は外周で150㎜とする。●補強法その1:(財)日本住宅・木材技術センター認定の床用現場接着剤または同等品を用いて、接着剤併用釘打ちとする。●床倍率:品確法を適用する場合、補強の有無 によらず床倍率は告示通りの値とする。

さね加工を施したネダノンを使う直張り仕様(図26)

品確法床倍率1.2倍●遵守事項その1:釘は川の字型(合板の外周の短辺部分に1列、その間に1列)に打ち、間隔は外周、中通りとも150㎜とする。●遵守事項その2:合板の外周の長辺部分で床の外周(耐力壁線上)にあたる部分では、釘を150㎜間隔で打つ。 この釘打ちは、品確法の告示では規定されていないが、金融公庫の仕様書では要求されている。●補強法その1:さね部分を(財)日本住宅・木材技術センター認定の床用現場接着剤または同等品で接着する。●補強法その2:補強法その1を行った上で、(財)日本住宅・木材技術センター認定の床用現場接着剤または同等品を用いて、接着剤併用釘打ちとする。●床倍率:品確法を適用する場合、補強の有無によらず床倍率は告示通りの値とする。

5

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図22. 存在床倍率表の①②の施工例 図23. 存在床倍率表の③の施工例(はり、胴差に際根太を設け、合板を@150で

釘打ちする場合は、火打ちばり省略可)

柱 根太 根太 はり

はり

根太

間柱

通し柱

胴差し

間柱

胴差し

通し柱

150

※ ≦500

※根太間隔が340以下の場合床倍率1.0倍  根太間隔が340を超える場合床倍率0.7倍

※1:根太間隔が340以下の場合 床倍率1.6倍    根太間隔が340を超える場合床倍率1.12倍 ※2:根太背の1/2以上組込

※1 ≦500 ≦1/2 1/2以上

※2 1/2以上 ※2

構造用合板 ○12  釘CN50または N50@150

ア 構造用合板 ○12  釘CN50または N50@150

表17. 品確法の存在床倍率

① ⑧

厚さ12ミリメートル以上の構造用合板又は構造用パネル(1級又は2級のものに限る。)を、根太 (根太相互の間隔が340ミリメートル以下の場合に限る。)に対し、鉄丸釘N50を用いて150ミリメートル以下の間隔で打ち付けた床組等

1

0.7

①又は②の倍率に1.6を乗じた数値

①又は②の倍率に2を乗じた数値

3

1.2

0.3

厚さ24ミリメートル以上の構造用合板を用い、その四周をはり等の横架材又は構造用合板の継ぎ手部分に補強のために設けられた受け材に対し、鉄丸釘N75を用いて15センチメートル以下の間隔で打ち付けた床組等

厚さ24ミリメートル以上の構造用合板を用い、はり等の横架材に対し、構造用合板の短辺の外周部分に各1列、その間に1列以上となるように、鉄丸釘N75を用いて15センチメートル以下の間隔で打ち付けた床組等(はり等の横架材の間隔が1メートル以下の場合に限る。)

厚さ12ミリメートル以上、幅180ミリメートル以上の板材を、根太(根太相互の間隔が340ミリメートル以下の場合に限る。)に対し、鉄丸釘N50を用いて150ミリメートル以下の間隔で打ち付けた床組等

厚さ12ミリメートル以上の構造用合板又は構造用パネル(1級又は2級のものに限る。)を、根太 (根太相互の間隔が500ミリメートル以下の場合に限る。)に対し、鉄丸釘N50を用いて150ミリメートル以下の間隔で打ち付けた床組等

①又は②の床組等において、横架材上端と根太上端の高さの差を根太せいの2分の1以下としたもの等

①又は②の床組等において、横架材上端と根太上端の高さを同一に納めたもの

0.2

⑦又は⑧の倍率に1.2を乗じた数値

⑪、⑫又は⑬の倍率に1.2を乗じた数値

⑪、⑫又は⑬の倍率に1.6を乗じた数値

それぞれの倍数の和

⑦又は⑧の倍率に1.3を乗じた数値

0.15

0.3

0.5

厚さ12ミリメートル以上、幅180ミリメートル以上の板材を、根太(根太相互の間隔が500ミリメートル以下の場合に限る。)に対し、鉄丸釘N50を用いて150ミリメートル以下の間隔で打ち付けた床組等

⑪の床組等において、火打ち材を、平均して3.3平方メートルごとに1本以上となるよう配置したもの

⑪の床組等において、火打ち材を、平均して2.5平方メートルごとに1本以上となるよう配置したもの

⑪、⑫又は⑬の床組等において、主たる横架材のせいが150ミリメートル以上のもの

⑪、⑫又は⑬の床組等において、主たる横架材のせいが240ミリメートル以上のもの

①から⑩に掲げる構造方法の1、⑪から⑮に掲げる構造方法の1のうち、2つ以上を併用した床組等

 この表において、「構造用合板」は構造用合板の日本農林規格(昭和44年農林省告示第1371号)に規定する特類又は1類を、「構造用パネル」は構造用パネルの日本農林規格(昭和62年農林水産省告示第360号)に規定する1級、2級又は3級を、「鉄丸釘N50」はJISA5508-1992に定めるN50又はこれと同等の品質を有するくぎをいう。

⑦又は⑧の床組等において、横架材上端と根太上端の高さの差を根太せいの2分の1以下としたもの

⑦又は⑧の床において、横架材上端と根太上端の高さを同一に納めたもの

断面の短辺が90ミリメートル以上の製材又はこれと同等の耐力を有する火打ち材を、平均して5平方メートルごとに1本以上となるよう配置した床組等(主たる横架材(火打ち材に取り付くものをいう。以下同じ)のせいが105ミリメートル以上のものに限る。)

床組等の構造方法 存在床倍率 床組等の構造方法 存在床倍率

5. 3 合板張り床構面の施工方法 共通事項●合板は、胴差しとはりに直接張るのが望ましい。●合板の長手方向は、はり(ネダノンの場合) または根太(根太仕様の場合)に対して直角 とするのが望ましい。 (図24左図のような根太仕様の場合は、合板 の外周を釘打ちするために根太に平行とする)

●合板の配置は、千鳥とするのが望ましい。  品確法等では必ずしも千鳥張りを強制していないが、接着剤併用釘打ちの場合を除いて、千鳥張りの方がイモ張りより水平構面としての性能、たわみ性能とも高くなる。

●釘はN釘またはCN釘を用いる。 釘はN50またはCN50(合板の厚さが12㎜の場合)、N65またはCN65(15㎜の場合)、N75またはCN75(ネダノン:24㎜以上の場合)を使用する。CN釘を用いるとN釘の場合より水平構面としての強度が約10~20%高くなること、専用の自動釘打機が広く普及していることから、CN釘を推奨する。N釘より胴部径の細い自動釘打機の釘やBN釘は、所定の強度が出ないので絶対に使用しない。●合板を切り欠く場合はその場に打つべき釘を 移動して打つ。 柱などのために合板を切り欠く場合は本来打つべき釘を150㎜以内に移動して打ち、釘の本数が減ぜぬようにする。●火打ちばりは省略することができる。 表17の構造用合板を張った床組の中で、④~⑥および根太を渡りあごかけとした③(施工の詳細については金融支援機構監修「木造住宅工事共通仕様書」参照)の仕様については、火打ちばりを省略することができる。法的には、国交省建築指導課監修「2007年版建築物の構造関係技術基準解説書」のP81に「構造用合板を釘打ちすることによる場合も火打材と見なすことができる」とあり、正確には火打材は省略するのではなく、構造用合板という火打材を設けたことになる。金融支援機構監修「木造住宅工事共通仕様書」では「火打材は火打ちばりまたは構造用面材とする」となっている。

さね加工を施さない合板を使う直張り仕様(図24、25)

●遵守事項:釘は合板の四周および中通りに打 ち、間隔は外周で150㎜とする。●補強法その1:(財)日本住宅・木材技術センター認定の床用現場接着剤または同等品を用いて、接着剤併用釘打ちとする。●床倍率:品確法を適用する場合、補強の有無 によらず床倍率は告示通りの値とする。

さね加工を施したネダノンを使う直張り仕様(図26)

品確法床倍率1.2倍●遵守事項その1:釘は川の字型(合板の外周の短辺部分に1列、その間に1列)に打ち、間隔は外周、中通りとも150㎜とする。●遵守事項その2:合板の外周の長辺部分で床の外周(耐力壁線上)にあたる部分では、釘を150㎜間隔で打つ。 この釘打ちは、品確法の告示では規定されていないが、金融公庫の仕様書では要求されている。●補強法その1:さね部分を(財)日本住宅・木材技術センター認定の床用現場接着剤または同等品で接着する。●補強法その2:補強法その1を行った上で、(財)日本住宅・木材技術センター認定の床用現場接着剤または同等品を用いて、接着剤併用釘打ちとする。●床倍率:品確法を適用する場合、補強の有無によらず床倍率は告示通りの値とする。

5

Page 5: 5 構造用合板を張った床80 60 40 20 0 2 水平力, P(kN) 4 試験方法 7.28m 12 合板直張り (倍率2) ころばし根太の上に 12 合板張り(倍率0.7)

図24. 存在床倍率表の④の施工例(火打ちばり省略可)

根太

根太掛け

はり

間柱

通し柱 合板の切り欠きと釘の移動

胴差し ※ ≦500

※ ≦500

※根太間隔が340以下の場合 床倍率 2倍 根太間隔が340を超える場合床倍率1.4倍

910

構造用合板 ○12  釘N50@150 ア

150

合板の切り欠きと釘の移動 合板の切り欠き 柱 間柱

釘(CN75またはN75)

間柱

はり

釘の斜打ちで留める

はり

受材 60×45以上 胴差し

150

150

910 910

200

本来柱の位置に打つべきであるが、打てないために移動して打った釘

ネダノン (構造用合板)

(さね加工を施さないネダノンの場合)

図25. 存在床倍率表の⑤の施工例(火打ちばり省略可)

合板の切り欠きと釘の移動

ネダノン (構造用合板)

合板の切り欠き 柱 間柱

釘(CN75またはN75)

間柱

はり はり

胴差し

150

150

150

910 910

さね加工部分に接着剤を塗布して張り継ぐ

本来柱の位置に打つべきであるが、打てないために移動して打った釘 品確法では要求されていないが、床の外周では長辺部分に釘を打つことを推奨する

(さね加工を施したネダノンを使う場合)

図26. 存在床倍率表の⑥の施工例(火打ちばり省略可)

注1) 受材寸法は60×45の場合、釘先端が受材より出ることがあるが、耐力上の支障はない。 注2) 3×6サイズ施工例。1×2サイズの場合、はり間隔は1000とする。

注) 3×6サイズ施工例。1×2サイズの場合、はり間隔は1000とする。

注) 筋かい金物には、ネダノンの上に   取り付け可能なタイプもあります。

5 柱

間柱

合板の切欠

石膏ボード ボード釘

はり

石膏 ボード

構造用合板

図27. 内部間仕切部 施工例

図29. 筋かい部 施工例 その2

筋かい

筋かい金物 筋かい金物

間柱

合板の切欠

合板の切欠

はり

構造用合板

図28. 筋かい部 施工例 その1

筋かい

筋かい金物(床勝仕様)

ホールダウン金物

間柱

合板の 切欠なし

はり 構造用合板

構造用合板

 床構面のせん断実験の結果を図30に示す。火打ち材を設けて製材小幅板を張った床の耐力(中央の変形がスパンの1/600の時の耐力)を1とすると、合板直張り床の耐力は5.0(12㎜、根太間隔455㎜)、5.7(ネダノン川の字型釘打

ち)、9.3(ネダノン四周釘打ち)である。最大耐力は同様に、3.0(12㎜)、3.4(ネダノン川の字型釘打ち)、5.0(ネダノン四周釘打ち)であり、合板直張り床には製材小幅板張り床よりはるかに高い性能があることがわかる。

5. 4 実験に見る合板張り床構面のせん断性能

加力方法

5 18 15 10 0 0 10 20 30 35 たわみがスパンの1/600の時の耐力(kN/m) 最大耐力(kN/m)

火打ち材、天井8隅 火打ち材、床4隅

24ネダノン直張り、N75 28ネダノン直張り、CN75

24ネダノン直張り、川の字+床外周釘打ち、N75 28ネダノン直張り、川の字+外周釘打ち、CN75

合板12直張り、川の字+床外周釘打ち 合板12直張り、川の字+床外周釘打ち(2X4)

合板12直張り、FN50@150 合板12直張り(2X4)

火打ち材+合板12(転ばし根太)N50@150 火打ち材+合板12(転ばし根太)CN50@150

火打ち材+小幅板 N38 2本 火打ち材+小幅板 N50 2本

図30. 実験における床構面のせん断性能

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図24. 存在床倍率表の④の施工例(火打ちばり省略可)

根太

根太掛け

はり

間柱

通し柱 合板の切り欠きと釘の移動

胴差し ※ ≦500

※ ≦500

※根太間隔が340以下の場合 床倍率 2倍 根太間隔が340を超える場合床倍率1.4倍

910

構造用合板 ○12  釘N50@150 ア

150

合板の切り欠きと釘の移動 合板の切り欠き 柱 間柱

釘(CN75またはN75)

間柱

はり

釘の斜打ちで留める

はり

受材 60×45以上 胴差し

150

150

910 910

200

本来柱の位置に打つべきであるが、打てないために移動して打った釘

ネダノン (構造用合板)

(さね加工を施さないネダノンの場合)

図25. 存在床倍率表の⑤の施工例(火打ちばり省略可)

合板の切り欠きと釘の移動

ネダノン (構造用合板)

合板の切り欠き 柱 間柱

釘(CN75またはN75)

間柱

はり はり

胴差し

150

150

150

910 910

さね加工部分に接着剤を塗布して張り継ぐ

本来柱の位置に打つべきであるが、打てないために移動して打った釘 品確法では要求されていないが、床の外周では長辺部分に釘を打つことを推奨する

(さね加工を施したネダノンを使う場合)

図26. 存在床倍率表の⑥の施工例(火打ちばり省略可)

注1) 受材寸法は60×45の場合、釘先端が受材より出ることがあるが、耐力上の支障はない。 注2) 3×6サイズ施工例。1×2サイズの場合、はり間隔は1000とする。

注) 3×6サイズ施工例。1×2サイズの場合、はり間隔は1000とする。

注) 筋かい金物には、ネダノンの上に   取り付け可能なタイプもあります。

5 柱

間柱

合板の切欠

石膏ボード ボード釘

はり

石膏 ボード

構造用合板

図27. 内部間仕切部 施工例

図29. 筋かい部 施工例 その2

筋かい

筋かい金物 筋かい金物

間柱

合板の切欠

合板の切欠

はり

構造用合板

図28. 筋かい部 施工例 その1

筋かい

筋かい金物(床勝仕様)

ホールダウン金物

間柱

合板の 切欠なし

はり 構造用合板

構造用合板

 床構面のせん断実験の結果を図30に示す。火打ち材を設けて製材小幅板を張った床の耐力(中央の変形がスパンの1/600の時の耐力)を1とすると、合板直張り床の耐力は5.0(12㎜、根太間隔455㎜)、5.7(ネダノン川の字型釘打

ち)、9.3(ネダノン四周釘打ち)である。最大耐力は同様に、3.0(12㎜)、3.4(ネダノン川の字型釘打ち)、5.0(ネダノン四周釘打ち)であり、合板直張り床には製材小幅板張り床よりはるかに高い性能があることがわかる。

5. 4 実験に見る合板張り床構面のせん断性能

加力方法

5 18 15 10 0 0 10 20 30 35 たわみがスパンの1/600の時の耐力(kN/m) 最大耐力(kN/m)

火打ち材、天井8隅 火打ち材、床4隅

24ネダノン直張り、N75 28ネダノン直張り、CN75

24ネダノン直張り、川の字+床外周釘打ち、N75 28ネダノン直張り、川の字+外周釘打ち、CN75

合板12直張り、川の字+床外周釘打ち 合板12直張り、川の字+床外周釘打ち(2X4)

合板12直張り、FN50@150 合板12直張り(2X4)

火打ち材+合板12(転ばし根太)N50@150 火打ち材+合板12(転ばし根太)CN50@150

火打ち材+小幅板 N38 2本 火打ち材+小幅板 N50 2本

図30. 実験における床構面のせん断性能

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5

 たわみと合板の曲げ応力度は次式で計算する。 等分布荷重に対して たわみ=     ≦ 設計者が判断する値 曲げ応力度=     ≦ 許容応力度(2. 2を参照) 中央集中荷重に対して たわみ=     ≦ 設計者が判断する値 曲げ応力度= ≦ 許容応力度(2. 2を参照) ここでι:スパン(㎜)

:等分布荷重(N/㎜2) :合板の幅(㎜) :合板の曲げヤング係数(N/㎜2) :合板のみかけの断面2次モーメント(=bt3/12、t=厚さ㎜) :合板のみかけの断面係数(=bt2/6) :集中荷重(N)

 上記は、合板を単純梁とみなした場合の式で、実際には合板は3以上の支点で支えられる連続梁であり、また支持も釘により半固定支持となるから、安全側の計算である。

5. 7 合板張り床構面の許容応力度設計の方法 5.7-1 鉛直荷重に対する合板のたわみと 曲げ応力度の算定式

5wbι4

384EI

wbι2

8Z

Pι3

48EI

Pι 4Z

●荷重の分配効果 集中荷重などに対する設計では、荷重直下の梁や根太だけが抵抗すると仮定して計算を行うが、実際は図33に示すように、床下地によって荷重は近隣の梁や根太にも分配される。つまり、床下地は一種の直交梁として働き、荷重はスパン方向だけでなくこれと直角方向にも流れる。合板は製材板より剛性が高いのでこの効果は大きい。厚い構造用合板を用いると、床は周辺を支持された版に近づく。この効果は、集中荷重だけではなく、等分布荷重に対しても有効である。 図33. 合板による荷重分布のメカニズム(概念)

根太 (両端支持)

スパン方向

スパンに直角方向

側根太 (全面支持)

図31. 合板張り水平構面は両端を耐力壁で支持されたIビームにモデル化できる

5. 5 合板張り床構面の水平力に対するメカニズム  合板を張った床のメカニズムは、Iビームのそれと同じで、図31に示すように、構面の外周に配置された横架材(胴差し、はり、桁)は曲げ応力を負担するフランジ、内部の合板はせん断応力を負担するウェブとして働く。合板を張った床の剛性・強度が非常に高いのは、横架材に合板を張り付けることによって床自体が巨大なせいを持つI形梁となるからである。

 合板を張った床や屋根の変形は、①合板自身のせん断変形、②合板を止めている釘接合部の変形による床全体のせん断変形、③フランジとなる胴差しや桁の継手などの変形による床全体の曲げ変形からなる。胴差しや桁はその他に曲げ応力(引張・圧縮)を受けるが、応力の大きさに対して断面が大きいので、一般には無視できる。

5. 6 床の鉛直荷重に対する性能 局部たわみの減少 床下地に構造用合板を用いると、製材板の場合と比べて幅が大きいので、局部たわみが小さくなる。●ストレスト・スキン効果 ストレスト・スキン効果とは、図32に示すように、合板と根太や梁が一体化し複合部材となる効果で、これによりたわみが減少する。ストレスト・スキン効果は合板を根太や梁に固い接着剤で接着するとより大きくなる。

図32. 合板を張った床のストレスト・スキン効果

1単位 1単位

1単位

合板下地 根太またははり

1単位

(a)下地に合板を用いた床

(b)合板の応力分布

w b E I Z P

Page 8: 5 構造用合板を張った床80 60 40 20 0 2 水平力, P(kN) 4 試験方法 7.28m 12 合板直張り (倍率2) ころばし根太の上に 12 合板張り(倍率0.7)

5

 たわみと合板の曲げ応力度は次式で計算する。 等分布荷重に対して たわみ=     ≦ 設計者が判断する値 曲げ応力度=     ≦ 許容応力度(2. 2を参照) 中央集中荷重に対して たわみ=     ≦ 設計者が判断する値 曲げ応力度= ≦ 許容応力度(2. 2を参照) ここでι:スパン(㎜)

:等分布荷重(N/㎜2) :合板の幅(㎜) :合板の曲げヤング係数(N/㎜2) :合板のみかけの断面2次モーメント(=bt3/12、t=厚さ㎜) :合板のみかけの断面係数(=bt2/6) :集中荷重(N)

 上記は、合板を単純梁とみなした場合の式で、実際には合板は3以上の支点で支えられる連続梁であり、また支持も釘により半固定支持となるから、安全側の計算である。

5. 7 合板張り床構面の許容応力度設計の方法 5.7-1 鉛直荷重に対する合板のたわみと 曲げ応力度の算定式

5wbι4

384EI

wbι2

8Z

Pι3

48EI

Pι 4Z

●荷重の分配効果 集中荷重などに対する設計では、荷重直下の梁や根太だけが抵抗すると仮定して計算を行うが、実際は図33に示すように、床下地によって荷重は近隣の梁や根太にも分配される。つまり、床下地は一種の直交梁として働き、荷重はスパン方向だけでなくこれと直角方向にも流れる。合板は製材板より剛性が高いのでこの効果は大きい。厚い構造用合板を用いると、床は周辺を支持された版に近づく。この効果は、集中荷重だけではなく、等分布荷重に対しても有効である。 図33. 合板による荷重分布のメカニズム(概念)

根太 (両端支持)

スパン方向

スパンに直角方向

側根太 (全面支持)

図31. 合板張り水平構面は両端を耐力壁で支持されたIビームにモデル化できる

5. 5 合板張り床構面の水平力に対するメカニズム  合板を張った床のメカニズムは、Iビームのそれと同じで、図31に示すように、構面の外周に配置された横架材(胴差し、はり、桁)は曲げ応力を負担するフランジ、内部の合板はせん断応力を負担するウェブとして働く。合板を張った床の剛性・強度が非常に高いのは、横架材に合板を張り付けることによって床自体が巨大なせいを持つI形梁となるからである。

 合板を張った床や屋根の変形は、①合板自身のせん断変形、②合板を止めている釘接合部の変形による床全体のせん断変形、③フランジとなる胴差しや桁の継手などの変形による床全体の曲げ変形からなる。胴差しや桁はその他に曲げ応力(引張・圧縮)を受けるが、応力の大きさに対して断面が大きいので、一般には無視できる。

5. 6 床の鉛直荷重に対する性能 局部たわみの減少 床下地に構造用合板を用いると、製材板の場合と比べて幅が大きいので、局部たわみが小さくなる。●ストレスト・スキン効果 ストレスト・スキン効果とは、図32に示すように、合板と根太や梁が一体化し複合部材となる効果で、これによりたわみが減少する。ストレスト・スキン効果は合板を根太や梁に固い接着剤で接着するとより大きくなる。

図32. 合板を張った床のストレスト・スキン効果

1単位 1単位

1単位

合板下地 根太またははり

1単位

(a)下地に合板を用いた床

(b)合板の応力分布

w b E I Z P

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5 4)水平構面中央における水平変形の計算、δ(㎜) 次の変形を合計することによって求める    δ=δN+δP+δF+δJ ・δN(釘接合部のすべりによる変形:せん断変形) ・δP(合板のせん断歪による変形:せん断変形) ・δF(フランジ相当部材の引張・圧縮による変形:曲げ変形) ・δJ(フランジ相当部材の継手のスリップによる変形:曲げ変形) 以上の計算で記号は次による  w =水平構面に加わる水平力(N/㎜)。地震力の場合は床の固定荷重+地震用積載荷重(6.0×10-4

  N/㎜2)に基準せん断力係数Coと階数等による係数Aiを乗じて計算し、風圧力の場合は見付 面積から求めた風圧力を耐力壁の配置を考慮して案分する。

=外力の方向と直角方向に測った水平構面の長さ(㎜) =水平力の合計(=wι、N) =外力の方向と平行方向に測った水平構面の長さ(㎜) =合板の釘打ち間隔(㎜) =合板の厚さ(㎜) =フランジ相当部材の断面積(㎜2) =フランジ相当部材の継手位置におけるモーメント(N・㎜) =釘接合部の剛性(N/㎜、釘接合部許容耐力をその時のスリップ(一般に0.4㎜)で除して求める) =スパン方向に測った合板の辺の長さ(㎜) =スパンに直角方向に測った合板の辺の長さ(㎜) =合板のせん断弾性係数(一般に400N/㎜2) =フランジ相当部材のヤング係数(N/㎜2) =水平構面中央に仮想荷重1を与えた時の継手位置におけるモーメント(㎜) =継手の開き、または縮みで、継手に使用しているボルト、釘などの接合具の許容耐力に対す る存在応力の割合に許容耐力時のスリップ(ボルトの場合は約2㎜など)を乗じた値を2倍(添板 継手であるから変形は2カ所で生じる)するなどして求める(㎜)

δN=     qι a+b 2k ab

δP=     = wι2

8Gtd τι 4G

δF=     = 5wι4

384EI 5Pι3

192EAd2

δJ=     MJK・j d

・・・・継手の数だけ求めて合計する

5.8 床の遮音性能 実験によると、図37のように12㎜構造用合板あるいは35㎜の構造用合板(ネダノン)を直張りした床の衝撃音に対する遮音性能は次の通り

であった。 軽量衝撃音LH = 85 重量衝撃音LL = 75

5.7-2 水平構面としてのせん断耐力の 許容応力度計算  住宅規模の建物では、水平構面の構造計算は要求されておらず、住宅性能表示制度を適用する場合であっても、床倍率方式で計算すること になっている。許容応力度計算が必要となるの

は大規模の木質構造を設計する場合などに限られるが、床の変形メカニズムを理解するための参考とされたい。

図34. 計算のための説明図

1)算定方法の出典 日本建築学会編「木質構造設計ノート」の「6.ダイアフラムの設計」による。この方法は多くの実験で適合性が確認され、北米では大型建築の設計に採用されている。2)モデル 床構面をIビームとみなし、構面の外周に配置された横架材(はり、けた、胴差しなど)を曲げ応力を負担するフランジ、内部の合板をせん断応力を負担するウェブであると仮定する(図31参照)。合板は釘で張り継ぎされ曲げ応力を負担できないので、ウェブのせん断応力分布は等分布であると仮定する。3)応力度のチェック・合板の釘接合部のせん断力、q(N)

・合板のせん断応力度、τ(N/㎜2) 

・フランジ相当部材の引張応力度σ(N/㎜2)

・フランジ継手の応力(フランジに継手がある場合)、N 

 継手の許容引張応力は継手の構成によって計算する

N=     ≦継手の許容引張応力 MJ

d

σ=    =     ≦フランジ相当部材の許容引張応力度 wι2

8dA

Pι 8dA

τ=    =     ≦合板の許容せん断応力度(2. 2参照) wι 2dt

P

2dt

q=    ・   =     ・ ≦釘接合許容せん断耐力(2. 3参照) wι 2d

P

2d s s

ι P d s t A MJ k a b G E MJK j

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5 4)水平構面中央における水平変形の計算、δ(㎜) 次の変形を合計することによって求める    δ=δN+δP+δF+δJ ・δN(釘接合部のすべりによる変形:せん断変形) ・δP(合板のせん断歪による変形:せん断変形) ・δF(フランジ相当部材の引張・圧縮による変形:曲げ変形) ・δJ(フランジ相当部材の継手のスリップによる変形:曲げ変形) 以上の計算で記号は次による  w =水平構面に加わる水平力(N/㎜)。地震力の場合は床の固定荷重+地震用積載荷重(6.0×10-4

  N/㎜2)に基準せん断力係数Coと階数等による係数Aiを乗じて計算し、風圧力の場合は見付 面積から求めた風圧力を耐力壁の配置を考慮して案分する。

=外力の方向と直角方向に測った水平構面の長さ(㎜) =水平力の合計(=wι、N) =外力の方向と平行方向に測った水平構面の長さ(㎜) =合板の釘打ち間隔(㎜) =合板の厚さ(㎜) =フランジ相当部材の断面積(㎜2) =フランジ相当部材の継手位置におけるモーメント(N・㎜) =釘接合部の剛性(N/㎜、釘接合部許容耐力をその時のスリップ(一般に0.4㎜)で除して求める) =スパン方向に測った合板の辺の長さ(㎜) =スパンに直角方向に測った合板の辺の長さ(㎜) =合板のせん断弾性係数(一般に400N/㎜2) =フランジ相当部材のヤング係数(N/㎜2) =水平構面中央に仮想荷重1を与えた時の継手位置におけるモーメント(㎜) =継手の開き、または縮みで、継手に使用しているボルト、釘などの接合具の許容耐力に対す る存在応力の割合に許容耐力時のスリップ(ボルトの場合は約2㎜など)を乗じた値を2倍(添板 継手であるから変形は2カ所で生じる)するなどして求める(㎜)

δN=     qι a+b 2k ab

δP=     = wι2

8Gtd τι 4G

δF=     = 5wι4

384EI 5Pι3

192EAd2

δJ=     MJK・j d

・・・・継手の数だけ求めて合計する

5.8 床の遮音性能 実験によると、図37のように12㎜構造用合板あるいは35㎜の構造用合板(ネダノン)を直張りした床の衝撃音に対する遮音性能は次の通り

であった。 軽量衝撃音LH = 85 重量衝撃音LL = 75

5.7-2 水平構面としてのせん断耐力の 許容応力度計算  住宅規模の建物では、水平構面の構造計算は要求されておらず、住宅性能表示制度を適用する場合であっても、床倍率方式で計算すること になっている。許容応力度計算が必要となるの

は大規模の木質構造を設計する場合などに限られるが、床の変形メカニズムを理解するための参考とされたい。

図34. 計算のための説明図

1)算定方法の出典 日本建築学会編「木質構造設計ノート」の「6.ダイアフラムの設計」による。この方法は多くの実験で適合性が確認され、北米では大型建築の設計に採用されている。2)モデル 床構面をIビームとみなし、構面の外周に配置された横架材(はり、けた、胴差しなど)を曲げ応力を負担するフランジ、内部の合板をせん断応力を負担するウェブであると仮定する(図31参照)。合板は釘で張り継ぎされ曲げ応力を負担できないので、ウェブのせん断応力分布は等分布であると仮定する。3)応力度のチェック・合板の釘接合部のせん断力、q(N)

・合板のせん断応力度、τ(N/㎜2) 

・フランジ相当部材の引張応力度σ(N/㎜2)

・フランジ継手の応力(フランジに継手がある場合)、N 

 継手の許容引張応力は継手の構成によって計算する

N=     ≦継手の許容引張応力 MJ

d

σ=    =     ≦フランジ相当部材の許容引張応力度 wι2

8dA

Pι 8dA

τ=    =     ≦合板の許容せん断応力度(2. 2参照) wι 2dt

P

2dt

q=    ・   =     ・ ≦釘接合許容せん断耐力(2. 3参照) wι 2d

P

2d s s

ι P d s t A MJ k a b G E MJK j

Page 11: 5 構造用合板を張った床80 60 40 20 0 2 水平力, P(kN) 4 試験方法 7.28m 12 合板直張り (倍率2) ころばし根太の上に 12 合板張り(倍率0.7)

5

●試験体の概要:はり間隔415~1,000㎜(はりは枠組壁工法構造用製材、寸法形式208で代用)。厚さ12~24㎜の構造用合板を表板の繊維方向がはりと直行するように置き、釘CN50またはN75@150㎜で打ち付け。さねあり合板使用の場合、さねの部分に受材なし。 ●加力方法:合板の縁部および中央に順次1960

N(200kgf)まで載荷し、最後に雄ざねまたは雌ざねの片方に載荷して破壊させる。 ●破壊形態:一部合板の上側にパンチングシアが生じるが、最終的には合板の下側が引張で破壊し最大耐力に達する。いずれの試験体も、さねに損傷はなし。 ●試験実施:森林総合研究所

表18. 局部集中荷重試験の結果

5.9 床の局部荷重に対する性能  構造用合板を張った床(フローリングなどの仕上げなし)の局部集中荷重に対する耐力とたわみは、表18に示すように根太・はり間隔、合板の厚さと樹種によって異なる。強度的にはピアノ(アップライトピアノは約250kg)が載っても十分に耐えることができる。また、さね部分の一方に1960N(200㎏f)が加わった時、さね部分や合板に損傷はなく、さね部分の他方もほぼ同じたわみを生じていることから、さねは力と変形を確実に伝達していると言える。

●試験方法:建設省昭和50年度総合技術開発プロジェクト「小規模住宅の新施工法の開発」提案による「床下張材の端部の接合法試験」に準じる。ただし、同提案では加圧板は80㎜×100㎜の硬質ゴムであるところ、ラジアータパイン合板の試験では50㎜×100㎜の強化木を、またラワン合板の試験ではこれよりきびしい直径36㎜、先端曲率半径70㎜の銅製ロットを使用。

●試験体:2,730×3,640×2,730㎜(高さ)の柱・筋かい付き駆体。床ばり(スパン3 , 6 4 0)は105×240、@910㎜。天井は鋼製野縁にプラスタボード9.5㎜のグラスウール100㎜敷込み。12㎜構造用合板張りの場合は、根太45×105㎜、@303

㎜をはりとツライチに配置。28㎜構造用合板の場合は、さね付き合板を使用し根太と受材を省略する。 ●試験方法:JIS A1418による ●試験実施:ポラス暮し科学研究所

図36. 試験したさねの形状

図35. 床の遮音実験の結果

図37. 集中荷重試験

120

110

100

90

80

70

60

50

40

30

120

110

100

90

80

70

60

50

40

30

L-90 L-85 L-80 L-75 L-70 L-65 L-60 L-55 L-50 L-45

L-90 L-85 L-80 L-75 L-70 L-65 L-60 L-55 L-50 L-45

オクターブ帯域中心周波数(Hz) オクターブ帯域中心周波数(Hz)

床衝撃音レベル(

dB)

床衝撃音レベル(

dB)

63 125 250 500 1000 2000 4000 63 125 250 500 1000 2000 4000

グラスウール10K 100? グラスウール10K 100? 鋼製野縁 鋼製野縁 石こうボード 9.5? 石こうボード 9.5?

合板 35㎜ (フローリング) 合板 12㎜

L-90 L-85 L-80 L-75 L-70 L-65 L-60 L-55 L-50 L-45

L-90 L-85 L-80 L-75 L-70 L-65 L-60 L-55 L-50 L-45

L(H) L(L)

L(H) L(L)

合板厚さ 樹種

12mm ラワン

CN50 @150

CN50 @150

CN50 @150

N75 @150

12mm ラジアータ パイン

15mm ラワン

24mm ラジアータ パイン

受材あり 415

2.6

2.4

2.6

2.7

6.3

5.2

5.0

5.2

4.9

7.3

6.8

7.5

7.1

7.1

6.6

6.57

7.35

7.25

10.60

3.85

3.92

13.75

10.10

14.04

6.45

8,24

7.60

7.58

7.60

5.71

500

415

1,000

ベイツガ

スプルース

ベイツガ

スプルース

受材なし (さねあり)

受材なし (さねあり)

受材なし (さねあり)

受材とさね の有無

根太・ はり間隔 (㎜)

根太・ はり樹種

釘打ち 方法

1960N(200kgf) 載荷時のたわみ (㎜)

最大荷重 (kN)

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5

●試験体の概要:はり間隔415~1,000㎜(はりは枠組壁工法構造用製材、寸法形式208で代用)。厚さ12~24㎜の構造用合板を表板の繊維方向がはりと直行するように置き、釘CN50またはN75@150㎜で打ち付け。さねあり合板使用の場合、さねの部分に受材なし。 ●加力方法:合板の縁部および中央に順次1960

N(200kgf)まで載荷し、最後に雄ざねまたは雌ざねの片方に載荷して破壊させる。 ●破壊形態:一部合板の上側にパンチングシアが生じるが、最終的には合板の下側が引張で破壊し最大耐力に達する。いずれの試験体も、さねに損傷はなし。 ●試験実施:森林総合研究所

表18. 局部集中荷重試験の結果

5.9 床の局部荷重に対する性能  構造用合板を張った床(フローリングなどの仕上げなし)の局部集中荷重に対する耐力とたわみは、表18に示すように根太・はり間隔、合板の厚さと樹種によって異なる。強度的にはピアノ(アップライトピアノは約250kg)が載っても十分に耐えることができる。また、さね部分の一方に1960N(200㎏f)が加わった時、さね部分や合板に損傷はなく、さね部分の他方もほぼ同じたわみを生じていることから、さねは力と変形を確実に伝達していると言える。

●試験方法:建設省昭和50年度総合技術開発プロジェクト「小規模住宅の新施工法の開発」提案による「床下張材の端部の接合法試験」に準じる。ただし、同提案では加圧板は80㎜×100㎜の硬質ゴムであるところ、ラジアータパイン合板の試験では50㎜×100㎜の強化木を、またラワン合板の試験ではこれよりきびしい直径36㎜、先端曲率半径70㎜の銅製ロットを使用。

●試験体:2,730×3,640×2,730㎜(高さ)の柱・筋かい付き駆体。床ばり(スパン3 , 6 4 0)は105×240、@910㎜。天井は鋼製野縁にプラスタボード9.5㎜のグラスウール100㎜敷込み。12㎜構造用合板張りの場合は、根太45×105㎜、@303

㎜をはりとツライチに配置。28㎜構造用合板の場合は、さね付き合板を使用し根太と受材を省略する。 ●試験方法:JIS A1418による ●試験実施:ポラス暮し科学研究所

図36. 試験したさねの形状

図35. 床の遮音実験の結果

図37. 集中荷重試験

120

110

100

90

80

70

60

50

40

30

120

110

100

90

80

70

60

50

40

30

L-90 L-85 L-80 L-75 L-70 L-65 L-60 L-55 L-50 L-45

L-90 L-85 L-80 L-75 L-70 L-65 L-60 L-55 L-50 L-45

オクターブ帯域中心周波数(Hz) オクターブ帯域中心周波数(Hz)

床衝撃音レベル(

dB)

床衝撃音レベル(

dB)

63 125 250 500 1000 2000 4000 63 125 250 500 1000 2000 4000

グラスウール10K 100? グラスウール10K 100? 鋼製野縁 鋼製野縁 石こうボード 9.5? 石こうボード 9.5?

合板 35㎜ (フローリング) 合板 12㎜

L-90 L-85 L-80 L-75 L-70 L-65 L-60 L-55 L-50 L-45

L-90 L-85 L-80 L-75 L-70 L-65 L-60 L-55 L-50 L-45

L(H) L(L)

L(H) L(L)

合板厚さ 樹種

12mm ラワン

CN50 @150

CN50 @150

CN50 @150

N75 @150

12mm ラジアータ パイン

15mm ラワン

24mm ラジアータ パイン

受材あり 415

2.6

2.4

2.6

2.7

6.3

5.2

5.0

5.2

4.9

7.3

6.8

7.5

7.1

7.1

6.6

6.57

7.35

7.25

10.60

3.85

3.92

13.75

10.10

14.04

6.45

8,24

7.60

7.58

7.60

5.71

500

415

1,000

ベイツガ

スプルース

ベイツガ

スプルース

受材なし (さねあり)

受材なし (さねあり)

受材なし (さねあり)

受材とさね の有無

根太・ はり間隔 (㎜)

根太・ はり樹種

釘打ち 方法

1960N(200kgf) 載荷時のたわみ (㎜)

最大荷重 (kN)