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Copyright© Mitsubishi Research Institute, Inc.
(1)概観
20年 7-9月期は回復も、コロナ前の水準を下回る
20 年 7-9 月期の実質 GDP 成長率は、季調済前期比+
5.0%(年率+21.4%)と、遡れる 1980年以降で最大のマイ
ナス成長となった 20年 4-6月期の同▲8.2%(年率▲28.8%)
から持ち直した(図表 2-1)。国内外の経済活動再開に伴い、
20 年 4-5月をボトムに日本経済は持ち直しているが、コロ
ナ前(19年 10-12月期)の水準を依然約 4%下回っている。
コロナ危機は感染拡大と自粛による需要蒸発が要因であ
り、消費を中心とした内外需縮小の影響が大きい。
需要項目別では国内外の経済活動再開で、内外需ともに
持ち直した。消費は、4-5 月の緊急事態宣言下で抑制され
ていた経済活動の再開、各種消費喚起策の開始もあり、同
+4.7%と増加した。設備投資は同▲3.4%と、需要の下振れ
による設備過剰感や、資金繰り懸念、先行きの経済見通し
に関する不透明感の強さなどを背景に、2四半期連続で減
少。輸出は、経済回復の早い中国向けを中心に財輸出が持
ち直し、同+7.0%と増加した。サービス輸出に含まれる訪
日外国人によるインバウンド消費は、消失した状況にある。輸入は同▲9.8%。外需寄与度は+2.9%ポイ
ントとなった。
感染拡大が長期化するなかで、生活者の行動に変化
国内の新型コロナの新規感染者数は、東京都を中心に 7月に急増した後にピークアウトしたが、足元
では新規感染者数・重症者数ともに増加している(図表 2-2)。
感染が長期化するなかで、生活者の行動に変化がみられる。当社の生活者市場予測システム(mif)を
用いた生活者 5,000人を対象としたアンケート調査(10 月 16-19 日実施)によると、感染が拡大するな
かでも、生活者は感染予防行動を取りながら、外出行動を増やしている(図表 2-3)。緊急事態宣言下(4-
5 月)で自粛していた飲食や宿泊、娯楽サービスの利用は、直近の 9月・10月は控える割合が低下して
いる。また、今後半年程度の期間においても同じ傾向である。特に旅行は、「旅行に行かない」割合が低
下の一方、「旅行は遠距離ではなく近場にする」割合がコロナ発生前と比較し増加しており、感染が長期
化するなかで生活者の旅行に対する意識が変化している。Go To キャンペーン等の需要喚起策の効果に
加えて、新型コロナの感染が長期化するなかで、生活者は感染予防と経済活動を両立させつつあるとみ
られる。
2. 日本経済
図表 2-1 日本の実質 GDP
注:黄色の網掛け期間は内閣府の基準による景気後退
期。18 年 10 月以降の景気後退期は暫定。
出所:内閣府「国民経済計算」「景気日付基準」より三菱
総合研究所作成
飲食・宿泊・娯楽サービスの利用
感染防止行動
図表 2-3 行動変容(生活者調査)
注:黄色い網掛けは新型コロナウイルスの新規感染者数が増加した時期。赤い網掛けは今
後の意向。
出所:三菱総合研究所「生活者市場予測システム(mif)」アンケート調査(20 年 10月 16-
19 日に実施、回答者 5,000 人)
0
20
40
60
80
100
コロナ
発生前
4・5
月頃
6月頃 7・8
月頃
9・10
月頃
今後
半年
(回答割合、%)
人ごみや混雑時間を回避して行動する
店舗の滞在時間を短くする
実店舗で購入するかわりにオンラインサービスを利用する
公共交通機関のかわりに自家用車を利用する
0
20
40
60
80
100
コロナ
発生前
4・5
月頃
6月頃 7・8
月頃
9・10
月頃
今後
半年
(回答割合、%)
店舗での飲食ではなくテイクアウトを利用する
家族以外との会食は控える
スポーツ観戦、映画館、テーマパーク等の利用を控える
旅行に行かない
旅行は遠距離ではなく近場にする
図表 2-2 新規感染者・重症者数
注:新規感染者数は後方 7 日移動平均。最新
は 11 月 14 日時点。
出所:厚生労働省より三菱総合研究所作成
460
470
480
490
500
510
520
530
540
550
560
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
(兆円)
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
2/1
3/1
4/1
5/1
6/1
7/1
8/1
9/1
10/1
11/1
新規感染者数(後方7日移動平均)
重症者数
(人)
15
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新型コロナの業況への影響にばらつき
日本銀行の短観調査によると、20年 9月調査の最近の業況判断(全規模・全産業)は▲28%ポイント
と低水準であるが、20年 6月調査調査(▲31%ポイント)から持ち直した。一方、業種別では新型コロ
ナの影響度合いや回復にばらつきがある。
製造業では、海外需要の縮小や生産停滞の影響から大きく落ち込んだ自動車や、関連する鉄鋼、生産
用機械に大きな影響がある一方、内
需関連の食料品は他の製造業と比
較すると、落ち込み幅は小さい。
非製造業では、小売や通信の影響
は小さく、在宅消費やリモートワー
ク、企業のデジタル化対応等が業績
にプラスの影響を与えたとみられ
る。一方、緊急事態宣言の影響を大
きく受けた、対個人サービスや宿
泊・飲食サービスは、緊急事態宣言
解除後も営業規制・自粛要請や、消
費者の自発的な自粛、新たな生活様
式への対応等の構造的な要因によ
り、需要が縮小し、回復が遅れてい
る(図表 2-4)。
政策支援が下支えも、影響長期化で廃業や雇用・所得への悪影響も
企業業績が悪化するなか、政府の給付金・資金繰り支援が企業活動を下支えしている。コロナ前の企
業の資金繰り状況(19 年)をみると、新型コロナで影響を大きく受けた宿泊業・飲食サービス業では、
他産業と比較し手元資金が十分ではなく資金繰りに影響が出る可能性があった(図表 2-5)。日本銀行「金
融システムレポート」によると、中小企業の短期資金不足額は、コロナ危機により 3.3 兆円に上昇した
が、給付金や資金繰り支援により足元では 0.6兆円と資金不足は相当程度解消されたと分析されている。
すでに、1-9月の政府歳出(一般会計および特別会計)は、合計 184兆円と、平年(過去 3年の平均)を
約 48兆円上回る水準となっている。大規模な政策支援もあり、企業の資金繰り判断 DIは、コロナ危機
前と比べると悪化しているが、6月調査から 9月調査にかけて一段の悪化は回避された(図表 2-6)。
一方、資金繰り不安は相当程度解消も、新型コロナの影響が長期化した場合、廃業を検討する企業が
増加する可能性がある。東京商工リサーチの調査によると、コロナ禍の収束が長引いた場合、廃業(す
べての事業を閉鎖)を検討する可能性がある企業は、大企業で 1.1%、中小企業で 8.6%、業種別ではそ
の他の生活関連サービス業や道路旅客運送業、飲食店等、外出自粛の影響を受けた業種が上位となって
いる。また、廃業検討時期は、中小企業で 1年以内が 4割強となっている(図表 2-7)。新型コロナの影
響を大きく受けた業種を中心に、構造的な需要の変化や先行きの不透明感等から事業環境が悪化、廃業
を検討する企業が増加した場合、雇用や所得に影響する可能性がある。
0 20 40 60 80 100
1カ月以内 2~3カ月 4~6カ月
7~12カ月 13~24カ月 25カ月以上
(回答割合、%)
中小企業
(n=793)
1.1
8.6
0 20 40 60 80 100
可能性あり 可能性なし
(回答割合、%)
資本金1億円
以上
資本金1億円
未満
図表 2-4 業種別業況判断 DI
注:製造業・非製造業ともに、19年 12月調査からの変化幅が大きい上位、下位 2業種。
出所:日本銀行「短観」より三菱総合研究所作成
製造業
非製造業
-100
-80
-60
-40
-20
0
20
12月 3月 6月 9月
2019年 2020年
非製造業
小売
通信
対個人サービス
宿泊・飲食サービス
(19年12月調査からの変化幅、%ポイント)
-100
-80
-60
-40
-20
0
20
12月 3月 6月 9月
2019年 2020年
製造業
石油・石炭製品
食料品
自動車
鉄鋼
(19年12月調査からの変化幅、%ポイント)
図表 2-5 手元資金販管費比率
注:全規模。手元資金は現金・預金と有
価証券の合計。19 年平均。
出所:財務省「法人企業統計」より三菱
総合研究所作成
図表 2-6 資金判断 DI
出所:日本銀行「短観」より三菱総
合研究所作成
11.8
9.3
3.7
2.8
9.0
0 5 10 15
製造業
非製造業
小売業
宿泊業、飲食サービス業
生活関連サービス業、
娯楽業
(手元資金/販管費、カ月)
図表 2-7 廃業検討可能性と時期
注:廃業検討時期は、コロナ禍の収束が長引いた場合、「廃
業」(すべての事業を閉鎖)を検討する可能性「あり」と回
答した企業の回答。有効回答 13,085 社。調査時期 20 年 10
月 5 日~12 日。
出所:東京商工リサーチ「第 9 回「新型コロナウイルスに
関するアンケート」調査」より三菱総合研究所作成
-30
-20
-10
0
10
20
30
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
大企業
中堅企業
中小企業
(%ポイント)
「楽である」超
「苦しい」超
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(2)輸出・生産の動向
国内外の需要回復により、輸出・生産は持ち直し
20 年 7-9 月期の輸出は、各国の経済活動の再開や抑制されていた需要の顕現化等の一時的要因によ
り、季調済前期比+9.0%と 4-6 月期の大幅減から持ち直し、コロナ危機前(19 年 10-12 月期)の水準の
約 8割まで回復した。財輸出は、他国に比べ経済活動の再開が早かった中国向けがコロナ危機前の水準
を上回り、全体を押し上げた。また、米国向けも、ピーク時はコロナ前の水準から 3割程度落ち込んだ
が、減少幅が縮小している(図表 2-8)。財別では、前期大幅に落ち込んだ輸送用機器を中心に、幅広い
財が持ち直した。一方、輸出に含まれる訪日外国人によるインバウンド消費は需要蒸発が継続している。
生産も持ち直した。20年 7-9月期の鉱工業生産は、生産活動の再開や内外需の回復を背景に、季調済
前期比+8.8%と、コロナ前の水準の 9割程度まで回復した。特に、4-6月期に輸出が大幅に減少した自動
車工業は、大きく持ち直し 7-9 月期は同+45.1%の増加(図表 2-9)。生産用機械工業なども持ち直した。
輸出・生産の先行きは、回復ペース鈍化を見込む。国内経済は緩やかな回復が見込まれるものの、20
年度後半は、冬場の感染拡大ペースの強まりなどから、欧米を中心に世界経済の回復ペースが鈍る可能
性が高く、輸出の回復ペースは弱いものにとどまるだろう。なお、RCEP が発効された場合、関税の撤
廃や日本企業の海外市場へのアクセス改善により、中長期的には日本の輸出の追い風になるだろう。実
質輸出は、20年度▲14.5%、21年度+8.4%、鉱工業生産は、20年度▲11.4%、21年度+6.3%と予測する。
(3)設備投資の動向
先行きの不透明感を背景に設備投資は慎重化
20 年 7-9 月期の民間企業設備投資は、季調済前期比▲3.4%と減少した(図表 2-10)。新型コロナウイ
ルスの感染拡大を受けた投資ニーズ(デジタル化対応や自動化・省力化投資、非接触化・オンライン化
等の新たな生活様式への対応)は強まっているが、①経営環境の不透明感高まり、②内外需の縮小によ
る生産の抑制、③企業業績悪化による手元資金確保、などから企業の設備投資姿勢は慎重化している。
20 年 9月調査の短観でも、製造業・非製造業ともに設備の過剰感は高まっている(図表 2-11)。
先行きは、コロナ危機による企業業績悪化、キャッシュフローの減少により設備投資の減少を見込む。
帝国データバンクの調査(20 年 9 月調査)によると、アンケート回答企業の 56.0%が 20 年度の業績を
「減収減益」と予想している。業績の急速な悪化は、設備投資の規模縮小や先送りにつながるだろう。
ただし、短期的には設備投資に対する慎重化姿勢は高まっているが、中長期の成長につながる投資ニー
ズはある。感染拡大前から投資が見込まれていた、5Gや CASE(次世代のモビリティサービス)などの
投資ニーズはある。また、日本政策投資銀行の調査によると、成長市場開拓に取り組む企業の割合は前
年度調査に比べやや減少も、医療やデジタル化関連等の成長市場開拓に向けた取り組みは引き続き行わ
れている(図表 2-12)。これらの中長期的な生産性向上や競争力強化につながる投資は引き続き実施さ
れる見込みであり、設備投資を下支えするとみる。設備投資は、20年度▲7.6%、21年度+1.5%と予測す
る。
図表 2-8 仕向け地別の実質輸出
出所:財務省「貿易統計」より三菱総合研究所作成
図表 2-9 業種別の鉱工業生産指数
出所:経済産業省「鉱工業生産」より三菱総合研究所作成
-30
-20
-10
0
10
米国 EU 中国 ASEAN 韓国
20年1-3月 20年4-6月 20年7-9月
(19年10-12月=100との差)
40
50
60
70
80
90
100
110
120
130
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9
2017 2018 2019 2020
鉱工業
生産用機械工業
はん用・業務用機械工業
電子部品・デバイス工業
自動車工業
(季節調整値、2015年=100)
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(4)雇用・所得の動向
休業者は減少するも、サービス業・非正規雇用中心に失業拡大
経済活動再開も、雇用環境は悪化している。4-5 月に急増した休業者数は前年に近い水準にまで戻り
つつあるが、一方で、コロナ危機の影響を大きく受けたサービス業、非正規雇用を中心に雇用調整が進
行しており、完全失業者が増加傾向にある(図表 2-13)。完全失業率は 18 年以降 2%台前半と低い水準
で推移してきたが、20 年 9 月は 3.0%と徐々にではあるが上昇している。失業理由別では、会社の業績
悪化等による「非自発的な離職」の割合が 3割程度に高まるなか、「自発的な離職」の割合は低下、企業
業績悪化の影響が雇用に表れている。
就業者数も減少が継続している。20年 7-9月期の就業者数は前年同期差▲77万人と、2四半期連続で
減少した。正規の職員・従業員は情報通信業や金融・保険業等での専門人材需要増加を背景に同+46 万
人と増加。コロナ危機で業績が悪化するなかでも、中長期の成長に必要となるデジタル分野等の人材ニ
ーズがあるとみられる。一方、非正規の職員・従業員は同▲125万人と大きく減少した(図表 2-14)。非
正規雇用の割合が高い、宿泊・飲食サービスや娯楽サービス等コロナの影響を大きく受けた業種を中心
に、流動性の高い非正規雇用の雇用調整が先行している。
雇用環境の悪化を受け、所得環境でも二極化が続いている。前述の mif調査では、20年 4月以降、継
続的にコロナ前(19 年 12 月)からの世帯収入の変化を調査している。世帯収入が減少した世帯は、こ
の間 3割程度で推移しており、所得悪化の影響は二極化が継続している(図表 2-15)。
図表 2-10 民間企業設備投資
出所:内閣府「国民経済計算」より三菱
総合研究所作成
図表 2-13 休業者数と失業者数
出所:総務省「労働力調査」より三菱総
合研究所作成
図表 2-12 成長市場開拓の取り組み
注:成長市場開拓とは、現在の中核事業以外
の新たな事業やサービスの展開。
出所:日本政策投資銀行「企業行動に関する
意識調査結果(大企業)」より三菱総合研究
所作成
業種 分野
製造業
• 再生医療、ICT材料(化学)
• ヘルスケア事業、水素ステーション(一般機械)
• リチウムイオン電池、車載事業、無人搬送車(電気機械)
非製造業
• 次世代モビリティ関係、農業事業(運輸)
• 店舗環境のデジタル化、電子棚札(卸売・小売)
• 宇宙ビジネス、e-スポーツ
(建設/不動産)-10
-5
0
5
10
15
20
25
30
35
40
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
製造業
非製造業
(%ポイント)
「過剰」超
「不足」超
図表 2-14 就業者数
出所:総務省「労働力調査」より三菱
総合研究所作成
-160
-120
-80
-40
0
40
80
120
160
200
1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7
2017 2018 2019 2020
非正規の職員・従業員
正規の職員・従業員
就業者数
(前年同月差、万人)420
35
42
-20
0
20
40
60
80
100
-100
0
100
200
300
400
500
7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2019 2020
休業者(左軸)
完全失業者(右軸)
(前年差、万人) (前年差、万人)
図表 2-15 世帯収入の変化
(生活者調査)
注:感染拡大前(19年 12 月)からの変化。
出所:三菱総合研究所「生活者市場予測シ
ステム(mif)」アンケート調査(20 年 10
月 16-19日に実施、回答者 5,000人)
1.9
2.8
4.1
3.0
5.6
7.1
9.6
64.9
1.1
0 20 40 60 80
100%減
75%程度減
50%程度減
40%程度減
30%程度減
20%程度減
10%程度減
変わらない
増加
(回答割合、%)
約3割
図表 2-11 設備の過不足感
注:全規模。
出所:日本銀行「短観」より三菱総合研究所
作成
75
80
85
90
1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3
2016 2017 2018 2019 20
(兆円)
18
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雇用は依然過剰、調整圧力は時間から雇用へ
非正規雇用を中心に雇用者数が減少するなか、今後も失
業者数が増加する可能性がある。企業内で抱えている余剰
労働力(企業の雇用保蔵)は、経済活動再開により 20年 4-
6 月期に比べ減少も、230 万人と依然高水準にある(図表
2-16)。休業者は平年並みの水準まで減少してきているが、
過剰雇用の背景には、労働時間を調整し労働者数を維持し
ていることがある(図表 2-17)。緊急事態宣言の影響を大
きく受けたサービス業でも、雇用者数は大きく減少せず、
労働時間で調整している。企業は、雇用調整助成金や持続
化給付金等の政策支援により、雇用を維持している。しか
し、生産やサービス活動がコロナ前の水準まで回復するに
は時間を要することから、今後は労働時間での調整から、
雇用者数での調整にシフトし、完全失業者が増加する可能
性がある。
失業者が増加した場合、失業期間が長期化するリスクも
ある。20年 9月の有効求人倍率は、求職者数は増加も求人
数の減少により、1.03 倍と 13 年 12 月以来の水準まで低
下、追加的な労働需要は弱まっている。また、労働力調査
によると、前月と今月ともに完全失業(失業状態が継続)であった者の数は、世界金融危機時同様、足
もとで増加している(図表 2-18)。追加的な労働需要が弱いなか、失業状態が長期化する可能性がある。
雇用・所得環境の回復ペースは極めて弱い見込み
先行きの雇用・所得環境の回復ペースは、極めて弱いものにとどまる見込み。可処分所得は特別定額
給付金をはじめ、GoTo 事業(トラベル、イート)のポイント還元策によって実質的に押し上げられてき
たが、20 年度後半はこれらの押し上げ効果は段階的に剥落する(図表 2-19)。今後は、雇用・所得環境
の実力ベースでの回復力が試される局面になるが、企業業績の下振れ、かつ先行きの経営環境に対する
不透明感が強いなかで、企業は採用や賃上げには慎重にならざるを得ないであろう。雇用調整助成金が
20 年 12月末まで延長されたが、21年入り後も継続されるかは不透明だ。新型コロナの感染拡大長期化
が予想されるなかで、需要の回復に時間がかかる業種では、人員削減や賞与カットなど人件費への削減
圧力が強まるだろう。名目雇用者報酬は、20年度は前年比▲2.7%、21年度は同+1.1%と予測する。
図表 2-18 前月の就業状態別
完全失業者の内訳
注:前月の就業状態から今月の就業状態の変化。
東日本大震災の影響から一部欠損あり。
出所:総務省「労働力調査」より三菱総合研究所
作成
図表 2-19 可処分所得
出所:内閣府、財務省資料より三菱総合
研究所作成
-60
-40
-20
0
20
40
60
80
100
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
就業→完全失業
完全失業→完全失業
非労働力人口→完全失業
(前年差、万人)
図表 2-17 雇用調整の状況
出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」
より三菱総合研究所作成
図表 2-16 企業の雇用保蔵(MRI推計)
注:実際の雇用者数と生産に見合った最適な雇用者数
の差。平成 21年度年次経済財政報告における付注 1-8
を参考に推計。直近は 20年 7-9月期。
出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」、経済産業省「鉱
工業指数」、内閣府「国民経済計算」、総務省「労働力
調査」より三菱総合研究所作成
-300
-200
-100
0
100
200
300
400
500
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
2014
2016
2018
2020
製造業
非製造業
全産業
(万人)
過剰雇用
雇用不足
-3
10
-1 -1 -1 -2-2
-3 -4 -4-5
-10
-12
-16
-12
-8
-4
0
4
調査産業計
情報通信業
教育、学習支援業
不動産業、物品賃貸業
医療、福祉
運輸業、郵便業
卸売業、小売業
金融業、保険業
建設業
学術研究、専門・技術サービス業
製造業
複合サービス事業
生活関連サービス業、娯楽業
宿泊業、飲食サービス業
常用雇用
一人当たり労働時間
総労働時間
(19年12月→9月の変化率、%)
19
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(5)消費の動向
消費は外出自粛要請で二分化、抑制された需要も持ち直し
20 年 7-9月期の実質民間最終消費支出は、季調済前期比+4.7%と 4四半期ぶりに増加した。もっとも、
水準は新型コロナウイルスの感染拡大前の 9割程度であり、ここ数カ月は横ばい圏内での推移にとどま
る(図表 2-20)。サービス消費が感染拡大前の 8割程度であり、消費全体を押し下げている。
サービス消費のうち、外出自粛の影響を受けやすい品目で大きく落ち込んだ状態が続いている(図表
2-21)。特に、鉄道運賃・バス代や航空運賃、外国パック旅行費は 4月から 9月にかけて減少幅がほとん
ど改善していない。ただし、食事・喫茶代、宿泊料など GoTo イート・トラベルの対象となる一部のサ
ービス消費ではマイナス幅が縮小する動きもみられる。宿泊者数は、依然として前年を大幅に下回って
いる状況だが、GoTo トラベルが開始された 7月頃から、日本人宿泊者数が持ち直している。
外出自粛が消費を抑制
名目消費支出の変化を、①可処分所得による影響と、
②その他の影響(外出自粛や消費慎重化など)に要因
分解すると、 20年 9月にかけては一律 10万円の定額
給付金の支給を主因に、9月にかけての可処分所得(経
常収入+特別収入)が増えているにもかかわらず、外
出自粛等の影響を受けて消費が上向いていない(図表
2-23)。
一方、外出自粛や消費慎重化などその他の影響は、
20 年 5~7月に比べれば軽減されているものの、9月に
かけても依然として消費を 8%程度押し下げている。
先行きは上述のように雇用・所得環境の悪化に伴い、
家計全体でみても可処分所得が減少し、消費の一段の
下押し圧力となる可能性がある。また、前述の mif 調
査(P.14、図表 2-3)では、感染防止行動は緩みつつあ
るものの、コロナ発生前に比べると、感染防止行動を
取っている割合は高く、外出などを控えている模様だ。
所得補償などによって①の悪影響を緩和したとしても、ワクチン・治療法が確立するまでは、②の影響
が一定程度残ることも考えられる。
家計の消費に対する慎重姿勢は和らぐも、将来に対する不安や賃金所得の減少が重しに
前出の mif 調査を用いて作成した「MRI 生活者マインド指数」によると、家計の消費に対する姿勢
(3カ月前からの変化)は、18年 7月調査以来の高水準となり、慎重化度合いは弱まった(図表 2-24)。
消費を前向き化させた理由は、在宅勤務の増加を背景に「消費のための余暇時間の増加」の回答割合
が最も高い(図表 2-25)。また、「魅力的な商品やサービスの増加」や「商品やサービスの価格の低下」
-30
-20
-10
0
10
20
7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2019 2020
その他要因(外出自粛、消費慎重化など)
特別収入要因(定額給付金など)
経常収入要因(所得賃金の増減など)
消費支出
(前年比寄与度、%ポイント)
図表 2-21 品目別の名目消費支出
出所:総務省「家計調査」より三菱総合研究所作成
図表 2-22 宿泊者数
出所:観光庁「宿泊旅行統計調査」
より三菱総合研究所作成
図表 2-20 消費活動指数
出所:日本銀行「消費活動指数」
より三菱総合研究所作成
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11
2019 2020
日本人宿泊者
外国人宿泊者
(万人泊)
図表 2-23 名目消費支出の要因分解
注:二人以上の勤労者世帯。可処分所得要因は特別収入を除く。
出所:総務省「家計調査」より三菱総合研究所作成
60
70
80
90
100
110
120
130
7 9 11 1 3 5 7 9
2019 2020
総合
耐久財
非耐久財
サービス
(2019年12月=100)
-100
-80
-60
-40
-20
0
食事・喫茶代
飲酒代
鉄道運賃・バス代
鉄道・バス定期代
タクシー代
航空運賃
宿泊料
国内パック旅行費
外国パック旅行費
入場・観覧・ゲーム代
一般外食 交通 教養娯楽サービス
4月 9月(前年比、%)
20
Copyright© Mitsubishi Research Institute, Inc.
の回答割合が上昇しており、GoTo キャンペーンなど政府施策も消費に対するマインドを後押ししてい
る。一方、「就労による賃金所得の増加」の回答割合は、20年入り後に大きく低下している。
消費を慎重化させた理由でも、「就労による賃金所得の減少」の回答割合の上昇が目立つ。特別定額給
付金などにより可処分所得の落ち込みは緩和されても、賃金所得の悪化は消費姿勢の重しになっている
模様だ。また、20年入り後に高まった「将来に対する不安の増加」の回答割合も高止まりしており、新
型コロナウイルスの感染拡大が将来不安を一段と高め、消費姿勢に悪影響を与えている。
感染終息後の消費は、感染拡大前の水準まで回復しない可能性
感染終息後の消費意向は、10月調査はおおむね 7月調査と同様の傾向である。品目別にみると、外食
や室外娯楽は、感染終息後に 19 年 12 月と同程度の水準に戻る見込みだ(図表 2-26、左図)。一方、そ
の他の品目は消費を減らす意向が示されており、感染拡大前よりも消費水準が低くなる可能性がある。
衣類・靴や住宅・自動車は在宅勤務の増加が影響しているとみられるほか、室内娯楽や家具・家電など
は自粛生活に合わせて現在すでに購入したため、将来の購入を減らすことが考えられる(需要の先食い)。
減少幅が非耐久財で最も大きい衣類・靴と、耐久財で最も大きい住宅・自動車の消費意向について、
個人属性別にみると、世帯収入が減少している世帯や、世帯主が外食・飲食やレジャーで勤務している
世帯で消費を減らす意向が強い(図表 2-26、右図)。
図表 2-24 MRI 生活者マインド指数
(3 カ月前からの変化、生活者調査)
注: 3 カ月前に比べて消費に対して「前向きになっ
た」割合×100+「変わらない」割合×50+「慎重にな
った」割合×0 により算出。
出所:内閣府「消費動向調査」、三菱総合研究所「生活
者市場予測システム(mif)」アンケート調査(直近は
10 月 16-19 日に実施)
20
25
30
35
40
45
1 7 1 7 1 7 1 7 1 4 10
2016 2017 2018 2019 2020
MRI生活者マインド指数
(参考)消費者態度指数
(指数)
消費慎重化
前向き化理由
慎重化理由
図表 2-25 消費前向き化 / 慎重化の理由(生活者調査)
注:消費に対して「前向きになった」「慎重になった」との回答者が対象。複数
回答。10 月調査の回答割合が 10%以上の項目のみ掲載。
出所:三菱総合研究所「生活者市場予測システム(mif)」アンケート調査(直近
は 10月 16-19 日に実施)
10 月調査における衣類・靴、住宅・自動車:世帯属性別
品目別の推移
図表 2-26 新型コロナウイルス感染終息後の消費意向(19年 12月からの変化、生活者調査)
注:感染拡大前(19 年 12 月)と比較した消費意向。家具・家電と住宅・自動車は購入意欲の変化を聞いた。DIは感染拡大前(19 年
12 月)と比べて消費を「大きく減らす」割合×▲100+「減らす」×▲50+「増やす」×50+「大きく増やす」×100 により算出。世
帯主の業種別は、回答者が世帯主の人のみ。
出所:三菱総合研究所「生活者市場予測システム(mif)」アンケート調査(直近は 10月 16-19 日に実施)
-8
-6
-4
-2
0
2
4
6
外食
室外娯楽
交通費
習い事
衣類・靴
家具・家電
住宅・自動車
室内娯楽
飲食料品
衛生・医療用品
4月調査 7月調査 10月調査
(DI、%ポイント)
-12
-10
-8
-6
-4
-2
0
20
歳代
30
歳代
40
歳代以上
都市部
地方
減少
増加または不変
製造業
非製造業
うち外食・飲食
うちレジャー
うち運輸・倉庫・物流
年代 地域 世帯収入 世帯主の業種
靴・衣類
住宅・自動車
(DI、%ポイント)
0
10
20
30
40
50
60
1 4 7 10 1 3 4 7 10
2019 2020
就労による賃金所得の増加
金融資産からの財産所得の増加
商品やサービスの価格の低下
魅力的な商品やサービスの増加
消費のための余裕時間の増加
将来に対する不安の軽減
(回答割合、%)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
1 4 7 10 1 3 4 7 10
2019 2020
就労による賃金所得の減少
金融資産からの財産所得の減少
商品やサービスの価格の上昇
将来に対する不安の増加
税・社会保険料の負担の増加
(回答割合、%)
21
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消費は持ち直しも、感染拡大や雇用・所得環境の悪化により低水準で推移
消費は持ち直しの動きもみられるものの、賃金所得の減少や将来不安が家計の消費姿勢の抑制要因と
なっている。先行きの消費は、需要が落ち込んでいる業種を中心に雇用・所得環境の悪化が見込まれる
ことや、国内で感染者数が増加しており、消費活動の正常化に時間がかかることから、低い伸びにとど
まるとみる。実質民間最終消費支出の伸びは、20年度▲6.6%、21年度+3.3%と予測する。
(6)物価の動向
物価はマイナスに転じる
20 年 7-9月期の消費者物価指数は、生鮮食品を除
く総合指数(消費税調整前)が前年比▲0.2%と、20
年 4-6 月期(同▲0.1%)に続き、2 四半期連続のマ
イナスとなった(図表 2-27)。物価上昇の要因別内
訳をみると、消費税率の引き上げが物価を押し上げ
る一方、幼児教育・保育無償化に加え、エネルギー
価格の下落や GoToトラベル事業の実施による宿泊
料の低下が物価を押し下げた。消費税率引き上げと
幼児教育・保育無償化、GoTo トラベル事業の影響
を除くと、消費者物価上昇率は同▲0.1%となる。需
給ギャップの拡大から、物価下押し圧力が強まって
いる。一方で、生鮮食品等の値上がりもあり、消費
者が実感する物価は高まっている可能性がある。
需給ギャップ・原油安が物価を下押し
先行きは、さらなる物価低下を見込む。内外需環境の悪化を背景に、20年度の需給ギャップは▲6.8%
(シナリオ①)から▲7.2%(シナリオ②)まで拡大すると見込まれ、さらなる物価の下振れ要因となる。
また、原油安により、20 年度の消費者物価は前年比▲0.2%ポイント程度押し下げる影響があるとみる。
さらに、教育無償化や GoTo トラベル事業の実施が(①19 年 10 月開始の幼児教育の無償化:前年比▲
0.3%ポイント程度押し下げ、②20年 4月開始の高等教育無償化:同▲0.2%ポイント程度押し下げ、②20
年 7月開始の GoToトラベル事業の実施:同▲0.2%ポイント程度押し下げ)、物価の伸びを抑制する方向
に寄与する。
これらを踏まえると、コア CPI は、消費税の影響を除くベースで 20 年度半ばにかけて前年比マイナ
スに転じ、その後は 21年度半ばにかけて、各種下振れ要因剥落していくことから、シナリオ①で 20年
度▲0.5%、21年度+0.2%と予測する。
(7)まとめ
7-9月期の急回復で 20年度のマイナス幅は縮小も、今後の回復ペースは鈍化
日本経済は、国内外の段階的な経済活動の再開により、緊急事態宣言下の 4-5 月をボトムに大幅に持
ち直した。国内外で感染が拡大しているが、企業・生活者の行動が変容し、コロナ下での経済活動再開
が進んでいる。ただし、今後は回復ペースの鈍化を予想する。内需は、経済活動の段階的再開も、サー
ビス業を中心に構造的な要因により回復に時間がかかること、非正規雇用やサービス業を中心に雇用・
所得環境が悪化していることから、弱い動きが続くだろう。外需は、海外経済がコロナ前の水準(19年
10-12月期)まで回復するのは 21年後半を見込んでおり、本格回復には時間を要する。
冬場を中心に防疫措置を強化しつつ、21年末まで一定の防疫措置を継続するシナリオ①(詳細は総論
P.8 参照)のもとで、20 年度の実質 GDP 成長率は、前年比▲5.6%のマイナス成長を予想する。21 年度
は、前年比+3.3%と増加に転じるものの回復力は弱く、GDP 水準ではコロナ前(19年下半期平均)を大
きく下回る状況が続くと見込む。
22 年度以降の成長率が 1%台前半で推移したとしても、GDPがコロナ前の水準(19年 10-12月期)を
回復するのは 23年以降となろう。なお、本予測では、東京オリンピック・パラリンピックについて、観
戦者数の限定など規模を縮小した上で、21 年夏の開催を前提としており、21 年度の実質 GDP を+0.1%
ポイント程度押し上げると見込んでいる。
図表 2-27 物価上昇率の要因別内訳
注:物価は生鮮食品除く総合。
出所:総務省「消費者物価指数」より三菱総合研究所作成
-2.0
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
その他
エネルギー
消費税増税分
幼稚園・保育所保育料
GoToトラベル事業
生鮮食品を除く総合
(前年比、寄与度、%)
22
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試算の前提として、原油価格(WTI)は 21年度末にかけて 40ドル程度、日経平均株価は 21年度末に
かけて 23,000~25,000円、為替レートは 21年度末にかけて 105円/ドル程度での推移を想定した。
図表 2-29 2020~2021年度の日本の実質 GDP成長率予測 (シナリオ①)
図表 2-30 日本の四半期別実質 GDP成長率予測 (シナリオ①)
出所:内閣府「国民経済計算」、予測は三菱総合研究所
出所:内閣府「国民経済計算」、予測は三菱総合研究所
図表 2-28 実質 GDPの見通し
出所:実績は内閣府「国民経済計算」、予測は三菱総合研究所
コロナ発生前の予測
シナリオ①:感染リスクの高い地域・活動への重点規制と緩和を繰り返しながら、一定の防疫措置を継続
シナリオ②:重症化率の上昇などにより、防疫措置の強弱を繰り返しつつも、平均的には一段強化
シナリオ③:21年半ば以降に先進国中心にワクチンの一般普及が進み、防疫措置を緩和
実績 予測
2019 2020 2021 2022
1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3
実質GDP 前期比 0.7% 0.4% 0.0% -1.8% -0.6% -8.2% 5.0% 0.5% 0.6% 0.6% 0.7% 0.5% 0.3%
前期比年率 2.9% 1.6% 0.2% -7.1% -2.3% -28.8% 21.4% 2.1% 2.3% 2.6% 2.7% 1.9% 1.2%
前年比
前年度比
0.7% -5.4% 2.1%
3.3%0.0% -5.6%
項 目 前年比 寄与度 前年比 寄与度 前年比 寄与度 前年比 寄与度
実質GDP 0.3 *** 0.0 *** ▲ 5.6 *** 3.3 ***
内需 0.4 0.4 0.2 0.2 ▲ 4.5 ▲ 4.6 2.2 2.2
民需 0.3 0.2 ▲ 0.5 ▲ 0.4 ▲ 6.8 ▲ 5.2 2.3 1.7
民間最終消費支出 0.1 0.0 ▲ 0.5 ▲ 0.3 ▲ 6.6 ▲ 3.7 3.0 1.7
民間住宅投資 ▲ 4.9 ▲ 0.1 0.6 0.0 ▲ 10.4 ▲ 0.3 ▲ 0.1 ▲ 0.0
民間企業設備投資 1.8 0.3 ▲ 0.3 0.0 ▲ 7.6 ▲ 1.2 1.5 0.2
民間在庫投資 *** 0.0 *** ▲ 0.1 *** 0.1 *** ▲ 0.2
公需 0.8 0.2 2.5 0.6 2.4 0.6 2.0 0.6
政府最終消費支出 0.9 0.2 2.3 0.5 2.2 0.4 1.9 0.4
公的固定資本形成 0.6 0.0 3.3 0.2 2.8 0.1 2.2 0.1
外需(純輸出) *** ▲ 0.1 *** ▲ 0.2 *** ▲ 1.0 *** 1.1
輸出 1.7 0.3 ▲ 2.6 ▲ 0.5 ▲ 14.5 ▲ 2.5 8.4 1.3
輸入 2.5 ▲ 0.4 ▲ 1.5 0.3 ▲ 8.3 1.5 1.0 0.2
名目GDP 0.1 *** 0.8 *** ▲ 4.6 *** 4.0 ***
実績 予測
2021年度2020年度2018年度 2019年度
480
490
500
510
520
530
540
550
1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1
2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 22
(兆円)
実績 予測
23
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図表 2-31 日本経済予測の総括表(シナリオ①)
注:国債 10年物利回り、M2、日経平均株価、原油価格、および為替レートは年度中平均。消費者物価は 2015 年基準。
出所:実績は各種統計、Bloomberg、予測は三菱総合研究所
(単位:10億円、%)
2018 2019 2020 2021 2018 2019 2020 2021
実 績 実績 予 測 予 測 実 績 実績 予 測 予 測
国内総生産(=GDP) 548,120 552,582 527,255 548,593 0.1% 0.8% ▲4.6% 4.0%
民間最終消費支出 304,785 304,495 285,161 295,635 0.5% ▲0.1% ▲6.3% 3.7%
民間住宅投資 16,514 16,849 15,129 15,227 ▲3.4% 2.0% ▲10.2% 0.6%
名 民間設備投資 88,040 88,068 80,973 82,877 2.5% 0.0% ▲8.1% 2.4%
民間在庫品増加 1,432 978 838 283 *** *** *** ***
政府最終消費支出 108,507 111,607 113,676 116,289 1.0% 2.9% 1.9% 2.3%
公的固定資本形成 28,222 29,589 30,604 31,669 2.4% 4.8% 3.4% 3.5%
公的在庫品増加 46 14 99 331 *** *** *** ***
目 財貨・サービス純輸出 574 982 774 6,283 *** *** *** ***
財貨・サービス輸出 100,697 95,112 79,579 87,013 2.5% ▲5.5% ▲16.3% 9.3%
財貨・サービス輸入 100,124 94,130 78,806 80,730 7.2% ▲6.0% ▲16.3% 2.4%
(単位:2011暦年連鎖方式価格10億円、%)
国内総生産(=GDP) 533,441 533,572 503,663 520,503 0.3% 0.0% ▲ 5.6% 3.3%
民間最終消費支出 299,124 297,495 277,941 286,257 0.1% ▲ 0.5% ▲ 6.6% 3.0%
民間住宅投資 15,143 15,227 13,646 13,638 ▲ 4.9% 0.6% ▲ 10.4% ▲ 0.1%
実 民間設備投資 85,744 85,483 79,024 80,242 1.8% ▲ 0.3% ▲ 7.6% 1.5%
民間在庫品増加 1,448 1,037 1,319 408 *** *** *** ***
政府最終消費支出 107,249 109,740 112,125 114,205 0.9% 2.3% 2.2% 1.9%
公的固定資本形成 26,103 26,956 27,723 28,345 0.6% 3.3% 2.8% 2.2%
公的在庫品増加 40 25 96 319 *** *** *** ***
質 財貨・サービス純輸出 ▲ 2,008 ▲ 2,928 ▲ 8,311 ▲ 2,639 *** *** *** ***
財貨・サービス輸出 92,979 90,596 77,467 84,007 1.7% ▲ 2.6% ▲ 14.5% 8.4%
財貨・サービス輸入 94,987 93,524 85,779 86,646 2.5% ▲ 1.5% ▲ 8.3% 1.0%
2018 2019 2020 2021 2018 2019 2020 2021
実 績 実績 予 測 予 測 実 績 実績 予 測 予 測
鉱工業生産指数 103.8 100.2 88.8 94.4 0.2% ▲ 3.4% ▲ 11.4% 6.3%
国内企業物価指数 101.5 101.6 100.4 100.8 2.2% 0.1% ▲ 1.2% 0.4%
指 消費者物価指数(生鮮除く総合) 101.2 101.9 101.3 101.5 0.8% 0.6% ▲ 0.5% 0.2%
数 GDPデフレーター 102.8 103.6 104.7 105.4 ▲ 0.2% 0.7% 1.1% 0.7%
完全失業率 2.4% 2.3% 3.0% 2.8% *** *** *** ***
新設住宅着工戸数(万戸) 95.3 88.4 81.1 83.4 0.7% ▲ 7.3% ▲ 8.2% 2.8%
(単位:10億円、%)
経常収支(10億円) 19,592 20,157 15,961 20,902 *** *** *** ***
対 貿易・サービス収支 ▲300 326 ▲239 5,551 *** *** *** ***
外 貿易収支 634 775 3,291 8,332 *** *** *** ***
バ 輸出 80,318 75,225 65,216 72,059 2.6% ▲ 6.3% ▲ 13.3% 10.5%ラ 輸入 79,684 74,450 61,925 63,726 8.1% ▲ 6.6% ▲ 16.8% 2.9%
ン 通関収支尻(10億円) ▲1,609 ▲1,291 ▲180 4,188 *** *** *** ***
ス 通関輸出 80,710 75,880 64,444 70,433 1.9% ▲ 6.0% ▲ 15.1% 9.3%
通関輸入 82,319 77,171 64,624 66,245 7.2% ▲ 6.3% ▲ 16.3% 2.5%
国債10年物利回り 0.06% -0.10% 0.00% 0.00% *** *** *** ***
為 M2 1,008,259 1,034,613 1,091,062 1,135,331 2.7% 2.6% 5.5% 4.1%
日経平均株価 21,973 21,915 22,886 23,964 4.7% ▲ 0.3% 4.4% 4.7%
替 原油価格(WTI、ドル/バレル) 62.9 54.7 37.7 40.9 17.4% ▲ 13.1% ▲ 31.1% 8.6%
円/ドル レート 110.9 108.8 105.9 105.0 *** *** *** ***
等 ドル/ユーロ レート 1.158 1.111 1.152 1.169 *** *** *** ***
円/ユーロ レート 128.4 120.9 122.0 122.8 *** *** *** ***
年度(前年比)年度
年度(前年比)年度