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エクセルで学ぶ ビジネス・シミュレーション②:実践編
元・外資系投資銀行マンが教える
1
目次
1. ビジネス・シミュレーションとは
2. 講座概要
3. 公開情報でモデルを作ってみよう(俺のイタリアン)
4. ゴールシーク
5. 感応度分析
6. 上場企業の公開情報&相関分析(楽天)
2
ビジネス・シミュレーションとは
エクセルを活用して、
様々なシミュレーションを行えるモデルを作成して、
ビジネスの意思決定力を高める
3
シミュレーションで、ビジネスの意思決定力を高める、とは?
「社長!
このままだと我が社はいつか赤字
になります!しかし、
(1) 新商品の開発による販売数アップ
(2) 人件費の削減
をはやく実現できれば、今期は
かなり利益が出ると思います!」
× シミュレーションができない人
「社長!
このままだと我が社は7ヶ月後に赤字
になります!しかし、
(1) 新商品の開発による販売数10%アップ
(2) 人件費の15%削減
を3ヶ月間で実現できれば、今期は
10億円の黒字の見通しです!」
○ シミュレーションができる人
モデルを作成すると、かんたんにシミュレーションできるようになります
4
シミュレーションで、ビジネスの意思決定力を高める、とは?
営業マンの増員
既存顧客のアフターケア
インターネット広告
営業店の統合
営業戦略(案)
新規顧客10%~30% ↑
リピート率20%↑
新規顧客10%↑、広告費5%↑
賃貸料を年1,200万円↓
予想効果
300万円~1,000万円
700万円
500万円
1,200万円
利益インパクト
■ 利益インパクトをシミュレーションすることで、やるべきことの優先順位が決められる
優先!
モデルを作成すると、かんたんにシミュレーションできるようになります
5
エクセルの正しい使い方も、細かくレクチャーします
× ダメなエクセル ○ よいエクセル
収益計画
普通ケース
今月 来月 再来月
売上 円 1,000,000 1,100,000 1,210,000
販売数 個 1,000 1,100 1,210
成長率 % 10% 10%
値段 円 1,000 1,000 1,000
費用 円 500,000 840,000 884,000
材料費 円 300,000 330,000 363,000
1個あたり材料費 円 300 300 300
賃貸料 円 100,000 200,000 200,000
店数 店 1 2 2
1店あたり賃貸料 円 100,000 100,000 100,000
人件費 円 0 200,000 200,000
従業員数 人 0 1 1
1従業員あたり人件費 円 200,000 200,000 200,000
その他費用 円 100,000 110,000 121,000
売上比 % 10% 10% 10%
営業利益 円 500,000 260,000 326,000
6
最近のセミナー実績
■ ビジネスマインドが非常に高い企業・病院様からも、セミナーのご依頼をいただきました
✔ 楽天株式会社 様
✔ 聖路加国際病院 様
■ 企業向けセミナーや、勉強会への出張セミナーもできます!
✔ 熊野までお問い合わせください
7
プロフィール
■ 熊野 整
新卒でモルガン・スタンレー投資銀行本部に入社。
5年間、顧客企業のM&A、資金調達案件に携わりました。
現在は、インターネット企業で事業計画の作成、予算管理などを
行っています。
⇒ 金融業界と事業会社の両方で、モデルつくってます
■ お問い合わせ先
Facebook: https://www.facebook.com/kumanoism
※お気軽に友達申請してください!
メール: [email protected]
8
宣伝: 個人でグルメサイトも運営しています
■ https://www.flavor-flavor.com/
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目次
1. ビジネス・シミュレーションとは
2. 講座概要
3. 公開情報でモデルを作ってみよう(俺のイタリアン)
4. ゴールシーク
5. 感応度分析
6. 上場企業の公開情報&相関分析(楽天)
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今回の講座の目標
■ 前回は、ゼロからモデル⇒P/Lを作成し、シミュレーションしました
■ 実際のビジネスの現場でよく使われている、すでに存在している事業のP/Lをモデル化して
シミュレーションするテクニックを学びます
✔ 企業への投資・買収 (すでに存在する事業のリスクをシミュレーション)
✔ 経営企画・管理 (すでに存在する事業の来年度P/Lを作成)
■ また、以下のエクセル・テクニックも学びます
✔ ゴールシーク
✔ 感応度分析(データテーブル)
✔ 相関分析
11
今回の講座の目標
感応度分析 相関分析
12
今回のケーススタディは 「俺のイタリアン」
■ 2011年9月オープン
■ 立ち飲みスタイルのイタリアン・レストラン
■ とにかく安くておいしい
✔ ワタリガニのトマトクリームパスタ 780円
✔ トリュフトフォアグラのリゾット 1,100円
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キーワードは 「回転数」
■ 立ち飲みスタイル
■ 客の回転数を高めることで、来客数を増やす
■ 来客数が増えると、原材料費(原価)率が
高くても利益が出る
✔ 逆にいうと、原材料費に対して値段は
低めに抑えられる
なんとなく理屈はわかるけど、もっと数字で理解しよう!
14
ニュースで紹介されたデータだけで、シミュレーションしてみましょう
売上高 1,091万円
原材料費 450万円(売上の40%)
人件費 275万円(売上の25%)
家賃 51万円
その他 158万円
利益 157万円 ※全て月間 a
客単価 3,000円
1日あたり回転数 4回転
さて、俺のイタリアンは
① 何回転以下になったら、赤字になる?
② 客単価5,000円、2回転にしたら、利益は増える?
モデルを作成して、公開データを元にシミュレーションしてみましょう
15
目次
1. ビジネス・シミュレーションとは
2. 講座概要
3. 公開情報でモデルを作ってみよう(俺のイタリアン)
4. ゴールシーク
5. 感応度分析
6. 上場企業の公開情報&相関分析(楽天)
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まず、収益構成を考える
売上
客数
客単価
席数
回転数
原材料費
客数
客1人の原材料費
費用
人件費
営業利益
×
×
×
営業利益を生みだす要因
+ 売上
売上に対する比率
×
家賃
その他
客単価
原材料費率
×
+
+
17
収益構成を考える上でのポイント
■ ビジネスモデルの特徴をできるだけ反映させると、シミュレーションの精度が上がります
■ 今回のビジネスモデルのポイント
✔ 回転数
✔ 原材料比率(売上に対する、原材料費の割合)
この二つの数値にできるだけ連動させた収益構成をつくることが重要
18
売上
売上
客数
客単価
席数
回転数 ×
×
■ 売上=客数×客単価
■ 客数=席数×回転数
✔ 今回のポイントは「回転数」なので、回転数に連動した収益構成に
■ 客単価は3,000円で一定
19
費用①
■ 費用 = 原材料費 + 人件費 + 家賃 + その他
■ 原材料費 = 客数 × 客1人あたり原材料費
■ 客1人あたり原材料費 = 客単価 × 原材料比率
✔ 今回のポイントは「原材料比率」なので、原材料比率に連動した収益構成に
原材料費 客数
客1人の原材料費 費用
人件費
×
+
家賃
その他
客単価
原材料費率
×
+
+
20
費用②
■ 人件費 = 売上 × 売上に対する比率
✔ 公開データでは、 『人件費は売上の25%』 と書かれている
✔ 一般的に人件費は固定費だが、アルバイトが多いので変動費?
原材料費 客数
客1人の原材料費 費用
人件費
×
+
売上
売上に対する比率
×
家賃
その他
客単価
原材料費率
×
+
+
21
まとめると、こうなります
売上
客数
客単価
席数
回転数
原材料費
客数
客1人の原材料費
費用
人件費
営業利益
×
×
×
営業利益を生みだす要因
+ 売上
売上に対する比率
×
家賃
その他
客単価
原材料費率
×
+
+
22
では、エクセルを開きましょう
■ 各項目を記載します
✔ フォーマットについては、前回の講座を参考に
23
公開データの数値を埋めていきましょう
■ 手元にあるデータは以下のみ
売上高 1,091万円
原材料費 450万円(売上の40%)
人件費 275万円(売上の25%)
家賃 51万円
その他 158万円
利益 157万円 a
客単価 3,000円
1日あたり回転数 4回転
24
公開データの数値を埋めていきましょう
■ 入力数値は青色
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計算式で入れましょう①: 客数
■ いちど千円→円に換算して計算しましょう
✔ 計算式に 『×1,000』 を忘れずに
26
計算式で入れましょう①: 席数
■ 席数 = 1日あたり客数÷回転数 = 1ヶ月あたり客数÷30÷回転数
✔ 1ヶ月=30日と仮定
27
計算式で入れましょう①: 客1人あたり材料費
■ 『×1,000』を忘れずに
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計算式で入れましょう①: 原価率
■ 1人当たり材料費÷1人当たり単価
29
計算式で入れましょう①: 売上に対する人件費の割合
■ 人件費÷売上
30
計算式で入れましょう①: 費用
■ 原材料費+人件費+家賃+その他
✔ 費用を計算したら、売上-費用=利益になっているか、念のため確認しましょう
31
フォーマットをきれいにしたら完成・・・ではありません
■ これではシミュレーションができません
✔ たとえば、回転数の数値を変更しても、利益の金額は変わりません
32
営業利益を生み出す要因から売上・費用・利益を算出するモデルを作る
売上
客数
客単価
席数
回転数
原材料費
客数
客1人の原材料費
費用
人件費
営業利益
×
×
×
営業利益を生みだす要因
+ 売上
売上に対する比率
×
家賃
その他
客単価
原材料費率
×
+
+
33
シミュレーション用シートを作成し、先ほどのP/Lをコピー&ペースト
■ タイトルを「シミュレーション」に変更して、数字をすべて削除
✔ シート名も「インプット」「シミュレーション」に変更しておきましょう
34
要因となる項目を、インプットシートから引っ張る
■ 要因となる項目は、右のとおり
客単価
席数
回転数
売上に対する比率
家賃
その他
原材料費率
35
残りのセルを計算する①
■ 客数=回転数×席数
36
残りのセルを計算する②
■ 客1人あたり材料費=1人当たり単価×原価率
37
残りのセルを計算する③
■ 原材料費=客数×1人当たり材料費
✔ 円→千円に換算するので、計算式に 『÷1,000』
38
残りのセルを計算する④
■ 売上=1人当たり単価×客数
39
残りのセルを計算する⑤
■ 人件費=売上×売上に対する比率
40
残りのセルを計算する⑥
■ 費用=原材料費+人件費+家賃+その他
41
残りのセルを計算する⑦
■ 利益=売上-費用
42
これで完成!
■ 緑の数値(変動要因)を変えると、利益も変わります
43
目次
1. ビジネス・シミュレーションとは
2. 講座概要
3. 公開情報でモデルを作ってみよう(俺のイタリアン)
4. ゴールシーク
5. 感応度分析
6. 上場企業の公開情報&相関分析(楽天)
44
さっそく、問題を解いてみましょう
今回は、ゴールシーク機能をつかってみましょう
さて、俺のイタリアンは
① 何回転以下になったら、赤字になる?
② 客単価5,000円、2回転にしたら、利益は増える?
45
ゴールシークとは?
■ 特定のセルの値が指定した数値になるように、他のセルの値を修正する機能
✔ 利益がゼロになるためには、回転数がいくらになればいいかを逆算してくれる
46
ゴールシークを使ってみよう①
■ 修正する対象となる 「回転数」 を、ベタ打ちの数字に変更
47
ゴールシークを使ってみよう②
■ ゴールシークを選択 (Alt → A → W → G)
48
ゴールシークを使ってみよう③
■ 数式入力セル=利益
■ 目標値=0 (赤字になる=利益がゼロを下回る)
■ 変化させるセル=回転数
49
ゴールシークを使ってみよう④
■ 利益が0になり、それに必要な回転数(2.3回転)が表示されました
✔ つまり、2.3回転を下回ると赤字になる
50
本当に正しい? (社長インタビュー記事より)
■ 俺のフレンチの場合は、2回転だと赤字、2.5回転だと黒字とのこと
✔ 今回のシミュレーションモデルは、なかなか精度はよさそう
出典: http://matome.naver.jp/odai/2134511423817878301
51
目次
1. ビジネス・シミュレーションとは
2. 講座概要
3. 公開情報でモデルを作ってみよう(俺のイタリアン)
4. ゴールシーク
5. 感応度分析
6. 上場企業の公開情報&相関分析(楽天)
52
そして、次の問題
今回は、データテーブル機能をつかってみましょう
さて、俺のイタリアンは
① 何回転以下になったら、赤字になる?
② 客単価5,000円、2回転にしたら、利益は増える?
53
データテーブルとは
■ 複数の変動要因を組み合わせて、結果を一覧できる
54
データテーブルを作ってみよう①
■ シミュレーションシート内に、利益を参照するセルを作成
✔ 他のシートでは、データテーブルは作成できません
55
データテーブルを作ってみよう②
■ 横軸に、回転数を入力
56
データテーブルを作ってみよう③
■ 縦軸に、客単価を入力
57
データテーブルを作ってみよう④
■ P/Lにある数値を、縦軸・横軸それぞれの最後の項目にコピー
58
データテーブルを作ってみよう⑤
■ テーブルの範囲を選択して、データテーブル機能を出す(Alt → A → W → T)
59
データテーブルを作ってみよう⑥
■ 行の代入セル: 回転数
■ 列の代入セル: 客単価
60
データテーブルを作ってみよう⑦
■ データテーブルは、中の計算式が見えないため、ミスが発生しやすい
■ 一番右下の数値は確認用
✔ P/Lと同じ数字になっているか確認しましょう
61
データテーブルを作ってみよう⑧
■ フォーマットを整える
✔ 一番左、一番下は確認用なので、フォーマット対象から外す
✔ 気になるなら、グレーハイライトで隠す
62
データテーブルを作ってみよう⑨
■ 条件付き書式を設定 (Alt → H → L → H)
63
データテーブルを作ってみよう⑩
■ 条件を、「0以下の数値ならハイライト」と設定
64
データテーブルを作ってみよう⑪
■ 一通りテーブルを作成したら、確認用セルをグループ化→隠してもOK
65
データテーブルを作ってみよう⑫
■ グループ化してから隠すと、+ボタンが目立ちます
✔ くれぐれも、行・列を「非表示」にしないこと
66
で、さきほどの問題
さて、俺のイタリアンは
① 何回転以下になったら、赤字になる?
② 客単価5,000円、2回転にしたら、利益は増える?
67
データテーブルの良いところは、利益インパクトがすぐにわかること
■ 1回転の場合、単価を現状の4,000円から7,000円まで上げないと黒字にならない!!
✔ 多くのイタリアンレストランは、せいぜい1回転
回転数が利益へのインパクトが大きいことが、一目で分かる
68
参考書籍: 「俺のイタリアン 俺のフレンチ」
■ 2013年4月10日初版発行
■ 本の内容は、とにかくシミュレーション!
■ 社内で徹底的に共有している 『安田理論』
「回転数を上げることによって、原価率を限界まで引き上げる」
69
安田道男 取締役とは
■ 創業メンバー
■ 投資銀行から当社へ転職
✔ 投資銀行マンとしても 「超有名人」
「アイデアはひらめきだけではなく、きちんと数字で表現すること。
これまでの常識に対して、数字に落とし込んだアイデアとのギャップ
があるときは勝つチャンスが高いと、経験から確信を持っています」
70
ニュースの情報だけでもシミュレーションできるのです
売上高 1,091万円
原材料費 450万円(売上の40%)
人件費 275万円(売上の25%)
家賃 51万円
その他 158万円
利益 157万円 a
客単価 3,000円
1日あたり回転数 4回転
71
他にも、シミュレーションしてみましょう
■ 仮に人件費が固定だとしたら?(売上に連動しない)
✔ シミュレーションシートの人件費を、インプットシートの人件費に参照させる
72
人件費は、変動費か固定費かによって利益インパクトは変わる
■ 回転数が低い場合においては、利益を大きく下げる要因になる
✔ つまり、売上に連動している(変動費)ほうが赤字になりにくい
73
目次
1. ビジネス・シミュレーションとは
2. 講座概要
3. 公開情報でモデルを作ってみよう(俺のイタリアン)
4. ゴールシーク
5. 感応度分析
6. 上場企業の公開情報&相関分析(楽天)
74
上場企業の公開データを取得するには
■ 一番わかりやすいのは、決算説明会プレゼンテーション資料
✔ 投資家向け資料
✔ 重要な指標がグラフで分かりやすく説明
■ 一番くわしいのは、決算資料 (でも、ちょっとわかりにくい)
✔ 決算短信
✔ 有価証券報告書
■ 証券会社が発行しているリサーチレポートも、将来の見通しを分析する上で有効
75
楽天の決算説明会プレゼンテーション資料
76
楽天の決算説明会プレゼンテーション資料
77
楽天の決算説明会プレゼンテーション資料
78
ところが、このプレゼン資料では、数字のつながりがわかりにくい
■ だから、自分でビジネスモデルを理解して、こつこつ数字をつなぐしかない
■ 数字と数字の相関性をチェックするために有効なのが、相関係数
79
クレジットカード事業のカードショッピング売上は、何と連動している?
80
一般的には、取扱高と連動しているはず・・・
81
この2つの数字に相関があるか、確認してみましょう
■ 二つの数字を表に
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相関図を表示してみよう①
■ データを選択して、散布図を表示
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相関図を表示してみよう②
■ 近似曲線を表示
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相関図を表示してみよう③
■ 「線形近似」を選択して、R-2乗値を表示
85
相関図を表示してみよう④
■ 99.26%という数値が、相関係数
✔ 非常に高い相関がみられるので、この2つの数字は関係があることは間違いなさそう
86
でも、公開情報だけではシミュレーションできない場合もあります
■ 楽天の場合、業績予想を公開していないため、将来の見通しが判断しにくい
■ 業績予想を公開していない企業(例)
✔ マクロ環境に影響されやすい証券会社 (野村證券)
✔ 事業環境の変化が激しいインターネット企業 (ソフトバンク、楽天)
✔ ビジネスモデル転換を図っている企業 (グリー)
87
プロのアナリストも、楽天に怒られてしまいました
■ 業績見通しの分析が浅い! との指摘を受けました
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日本電産・永守社長の発言
■ 「証券アナリストを養成するのも経営者の仕事」