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高知県の地震・津波対策の方向性

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資料2. 高知県の地震・津波対策の方向性. 平成25年3月25日(月). 高知県 土木部 公園下水道課. 目  次 1. ガイドラインの概要 2.  地震 ・津波対策の考え方 3.  高知県 における 地震 ・津波 対策 の方向性  (1) 人命 を守る  (2) 処理場 、ポンプ場の対策方針    (2)-1  処理場 、ポンプ場の類型化    (2)-2 地震による被害対策        1) 地震 対策に おける 「 防災対策 」の 考え方        2) 地震 対策に おける 「 減災対策 」 の 考え方    (2)-3  津波 による被害対策 - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 高知県の地震・津波対策の方向性

高知県の地震・津波対策の方向性

高知県 土木部 公園下水道課

平成25年3月25日(月)

資料2

1

Page 2: 高知県の地震・津波対策の方向性

目  次

1. ガイドラインの概要2. 地震・津波対策の考え方3. 高知県における地震・津波対策の方向性 (1)人命を守る (2)処理場、ポンプ場の対策方針   (2)-1 処理場、ポンプ場の類型化   (2)-2 地震による被害対策       1)地震対策における「防災対策」の考え方       2)地震対策における「減災対策」の考え方   (2)-3 津波による被害対策       1)津波対策における「防災対策」の考え方       2)津波対策に対する「減災対策」の考え方 (3)管路施設の対策方針       1)管路施設の「防災対策」        2)管路施設の「減災対策」4.県内下水道施設相互の災害時における支援体制5.まちづくり全体の視点から見た下水道の津波対策

2

Page 3: 高知県の地震・津波対策の方向性

1.ガイドラインの概要(1)基本方針 南海トラフの巨大地震発生時においても、県民の命と生活を守るため、下水道が有すべき機能である『①命を守る、②トイレ使用の確保、③公衆衛生の保全、④浸水の防除、⑤応急対策活動の確保』 を目標とし、以下の点を考慮したガイドラインを策定する。・下水道管理者が自ら地震・津波による下水道施設の被害想定を行ったうえで、地震・津波対策の方針を決定し、対策実現に向けた行動の道筋を示す。・被害想定が、地域の地理的条件により大きく異なることや自治体の財政事情など、地域の実情を反映するため、ハード対策、ソフト対策の両面から目標が達成できるよう、手段の選択肢に幅を持たせたガイドラインとする。・被害想定については、経年的に防災力が高まったり、低下したりすることから、必要に応じてモニタリング(5年程度)を行い、ガイドラインを見直すなど、発展性のあるものとする。

3

防災対策(ハード)

5年程度

5年程度

減災対策(ソフト)

早期に復旧

水処理機能など

基 本 的 事 項

下水道台帳、

支援協定の締結等

防災目標

【下水道が有すべき機能の確保】

防災対策(ハード)

迅速に復旧

沈殿機能・脱水機能

防災対策(ハード)

減災対策(ソフト)

減災対策(ソフト)

被害想定の変化

必要に応じてガイドラインを見直す。

本復旧に向け

Page 4: 高知県の地震・津波対策の方向性

『最大クラスの地震・津波』を基本とするが、地理的条件などによっては、『頻度の高い地震・津波』の実施も可能とする。   ・最大クラスの地震・津波;南海トラフの巨大地震( H24.12.10 高知県公表)   ・頻度の高い地震・津波 ;安政南海地震クラス ( H24.12.10 高知県想定)

(2)対象地震

最大クラスの地震・津波

頻度の高い地震・津波

4

Page 5: 高知県の地震・津波対策の方向性

対象施設は、以下の 3 施設とする ①下水処理場 ②ポンプ場(合流・汚水・雨水) ③下水管路(「重要な幹線等」と「その他の管路」)

(3)対象施設

○対象処理場、ポンプ場一覧                                          黒色;処理場  青色;ポンプ場  茶色;ポンプ場(合流)    自治体名 施設名 自治体名 施設名 自治体名 施設名

高知県 高須浄化センター 南地ポンプ場(雨水) 桜町ポンプ場(雨水)

下知(東)下水処理場 関雨水ポンプ場(雨水) 八反原ポンプ場(雨水)

下知(西)下水処理場 長浜雨水ポンプ場(雨水) 百笑ポンプ場(雨水)

潮江下水処理場 長浜原ポンプ場(雨水) 野市浄化センター

瀬戸下水処理場 仁井田ポンプ場(雨水) 東町汚水中継ポンプ場(汚水)

海老ノ丸ポンプ場(合流) 針木ポンプ場(雨水) みどり野団地汚水中継ポンプ場(汚水)

海老ノ丸ポンプ場(分流) 米田古川ポンプ場(雨水) 夜須浄化センター

江ノ口ポンプ場(合流) 安芸市浄化センター 岸本処理場

下知ポンプ場(合流) 港町雨水ポンプ場(雨水) 香美市 美良布クリーンセンター

薊野汚水中継ポンプ場(汚水) 1本町第 ポンプ場(雨水) 東洋町 甲浦処理場

上街汚水中継ポンプ場(汚水) 南国市 十市浄化センター 芸西浄化センター

薊野ポンプ場(雨水) 須崎市終末処理場 和食中継ホ ン゚フ 場゚(汚水)一宮雨水ポンプ場(雨水) 須崎ポンプ場(雨水) 西分中継ホ ン゚フ 場゚(汚水)潮江ポンプ場(雨水) 終末処理場内ポンプ場(雨水) 松原中継ホ ン゚フ 場゚(汚水)潮江南ポンプ場北棟(雨水) 大間ポンプ場(雨水) 土佐町 土佐さめうらクリーンセンター

潮江南ポンプ場南棟(雨水) 浜町ポンプ場(雨水) 伊野浄水苑

大津雨水ポンプ場(雨水) 須崎西部ポンプ場(雨水) 相生ポンプ場(雨水)

小石木ポンプ場(雨水) 宿毛クリーンセンター 中土佐町 久礼排水ポンプ場(雨水)

五台山ポンプ場(雨水) 宿毛ポンプ場(雨水) 越知町 越知浄化センター

高須ポンプ場(雨水) 高砂ポンプ場(雨水) 梼原町 梼原浄化センター

塩谷ポンプ場(雨水)     四万十市中央下水道管理センター 四万十町 大正クリーンセンター秦ポンプ場(雨水) 右山ポンプ場(雨水)

高知市

高知市

安芸市

須崎市

宿毛市

香南市

芸西村

いの町

四万十市

四万十市

5

Page 6: 高知県の地震・津波対策の方向性

(4)ガイドラインの仕組み

地震・津波対策の現状把握と管理体制等

 

・アンケート調査に基づき対策状況や職員数、緊急時対応等を整理。

現状把握地震被害想定(処理場、ポンプ場、管路)津波被害想定(処理場、ポンプ場、処理区)

被害想定 (勉強会の実施)

津波シミュレーション(詳細被害想定)

国の地震 津波対策指針・・国の指針、提言等に 基づいて地震・津波対策の方向性を整理

上記3点を踏まえた上で、高知県としての地震・津波対策の方向性について整理する。地理的条件や自治体の財政事情などを反映できるよう、防災対策、減災対策の両面から対策の考え方について整理する。

地震・津波対策の方向性(資料2)

・被害分類毎(地震:1~4、津波:1~6)に地震・津波対策のメニュー(概算費用含む)をまとめる。・下水道 BCPの中でも、「地震津波対策の方向性」中の優先的に実施すべき項目について留意点をまとめる。

地震・津波対策メニューおよびBCP策定時の留意点

高知県下水道地震・津波対策ガイドライン

自治体にて『下水道地震・津波対策計画』、『下水道BCP』の策定、対策実施

○定期的な見直し

・地震・津波対策の進

捗状況、被害想定を必

要に応じて(5年程

度)モニタリングし、

ガイドラインを見直

すなど、段階的な

『下水道地震・津波対

策計画』、『下水道B

CP』の策定が可能。

:資料 - 2の範囲

下水道管理者の役割下水道が有すべき機能の確保

(①人命を守る、②トイレの使用の確保、③公衆衛生の保全、④浸水の防除、⑤応急対策活動の確保)

下水道管理者の役割

6

Page 7: 高知県の地震・津波対策の方向性

2.地震・津波対策の考え方(1)国の地震・津波対策の方

  地震・津波対策 防災対策

減災対策

施設の耐震化

代替施設の準備

備蓄の充実

防災対策が困難と判断される場合

施設の耐水・防水化

図 地震・津波対策の考え方

 地震・津波対策の実施にあたっては、最終的に施設の防災対策を基本とする。        ただし、いつ発生してもおかしくない大規模地震に対して防災対策が困難とされる場合 減災対策を組み合わせた危機管理を行う。(下水道施設、の耐震対策指針と解説、社団法人日本下水道協会、 2006年)

(下水道BCP)

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Page 8: 高知県の地震・津波対策の方向性

(2)地震・津波時に下水道が有すべき機能

 東日本大震災の犠牲者の多くは津波が要因とされており、沿岸部に多く設置されている下水道施設について、防災避難広場や津波避難ビルとしての機能をもたせ、活用することが望まれる。

 ライフラインとしての下水道の最も重要な機能の一つ、特に、多くの避難者等が集まる避難所、学校、病院、医療施設等の防災拠点がある地域では、し尿の排除が急務となり、伝染病の発生等公衆衛生上の重大な影響が懸念される。

 発災直後も、し尿は発生し続け、更に水道の復旧等により、下水量が増大するため、流下機能の喪失により生活空間へ下水が滞留するため、水系伝染病等のリスクが拡大し、被災者等に環境衛生上の危機を招くこととなる。

 津波による海水の流入により、避難所等を含む生活空間に甚大な浸水被害が発生し、住民の生命や財産が失われる。

 人孔の浮き上がりや管路の損傷に伴う道路陥没は、交通障害を招くため、被災者の救助や避難所の救援活動に支障を来し、特に、緊急輸送路等では重大な障害となる。

⑤応急対策活動の確保

④浸水の防除

③公衆衛生の保全

②トイレ使用の確保

①人命を守る(下水道地震・津波対策技術検討委員会報告書、平成24年3月)

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Page 9: 高知県の地震・津波対策の方向性

⑤応急対策活動の確保

④浸水の防除

③公衆衛生の保全

②トイレ使用の確保

①人命を守る 避難場所の確保 全ての自治体に共通した最優先事項として、管理棟などの耐震化、耐水・防水化を実施する。

基本機能(揚水・消毒)の確保 地域特性を反映させるため、処理場、ポンプ場毎に手段別の類型化を実施し、優先的に取り組むべき対策を整理する。基本機能(流下)の確保 管路対策の方針は、県内全ての自治体で共通の方針とする。※津波被害の影響が整理されておらず、類型化が困難なため

§ 9人命を守る

§ 10処理場 ポンプ場の対策方針

§ 12管路施設の対策方

対策の方針下水道が有すべき機能

3.高知県における地震・津波対策の方向性

9

Page 10: 高知県の地震・津波対策の方向性

● 対策の優先度は「人命を守る」を最優先として検討を行う事とする。●処理場・ポンプ場と管路対策のどちらを優先するか、また雨汚水どちらを優先するか等についての判断は、復旧の困難さ、影響度の大きさ等から自治体の判断によるものとする。

対策実施の優先度

最優先次項:人命を守る

処理場ポンプ場

管路 雨水排水区

汚水処理区

復旧の困難さ、影響度の大きさ等から自治体が判断

10

Page 11: 高知県の地震・津波対策の方向性

●防災対策事業としては、下水道施設の改築事業等その他の事業との効率的な実施が求められる。

 いつも(平常時)       もしも(災害時)市町村の合併等を受け、下水道事業の効率的な実施のため、事業の再構築や農業、漁業集落排水の統廃合が考えられます。

B処理施設

A処理施設※

: A 処理区域: B 処理区域

※廃止する処理施設については、災害時に備え揚水、消毒、沈殿機能の保持。また代替品の備蓄基地としても活用する。

旧 A 処理区域の汚水は処理施設から沈殿放流し、 B 処理区域の残存区域については代替機器を用いて対応する。

P

11

旧 A処理区域の汚水やB処理区から移送され

た汚水を処理残存する B処理区域の汚水を A処理施設に備蓄していた代替機器を用いて処理

管きょを用いた汚水移送やバキューム車等を

用いた移送も検討

Page 12: 高知県の地震・津波対策の方向性

(1)人命を守る(避難場所の確保) 人命の確保は、地震・津波対策において、最も優先すべき機能であるため、具体的な対策として、職員や関係者が常駐する施設の耐震化を基本としつつ、建物の耐水化を行うとともに、仮に建物内部で浸水が発生した場合にも人命が確保できる機能を各施設で有しておく必要がある。 (※避難時間および財政的な観点から、優先度は①>③とする。 )

処理場敷地

②③

処理場敷地

ケース1(施設の一部が浸水)

「①敷地内構造物へ避難」 敷地内で高い建物等を選定し、想定浸水深さに相当する階に2を加えた階の有無から検討する。(施設の耐震化、耐水・防水化)

ケース2(処理場全体が水没)

「②敷地外の構造物へ避難」 避難計画を策定し、定期的な訓練を実施する。「③敷地内に避難施設(避難ビル相当)を設置」  周辺に避難場所がない場合は、新たに耐震性、耐津波性を有する避難施設の設置を検討する。

12

Page 13: 高知県の地震・津波対策の方向性

(2)処理場、ポンプ場の対策方針(揚水・消毒機能の確保) 処理場、ポンプ場においては、基本機能である『揚水機能、消毒機能』を確保する

ため、画一的な対策方針を示すのではなく、処理区、排水区の地理的条件(地域特性)などで類型化し、対策方針を整理する。

(2)-1 処理場、ポンプ場の類型化 地震、津波それぞれについて、基本機能を確保できるか、出来ない場合に対策を実

施できるか、処理場、ポンプ場毎に分類する。

地 震

基本機能確保

対策実施実現性

津 波

基本機能確保

対策実施実現性

①②③ ④ ⑥⑤YES YES

NONONO

YES YES

NO

被害想定から判断

耐震診断を踏まえて判断※

下水道サービスエリアの被害想定や対策費用

等から判断

地震被害タイプ1~3毎に対策を実施

津波被害タイプ1~5

毎に対策を実施対策の必要なし 対策の必要なし

(地震被害分類 1~3 )

(地震被害分類4 )

(津波被害分類6 )

(津波被害分類 1~5 )

※高知県では耐震診断の必要な処理場の内、約半数が実施済みであり、残りのほぼすべてにおいても実施を予定している。なお、ポンプ場などで明らかに物理的、経済的に防災対策の実施が困難な場合はこの限りではない。13

Page 14: 高知県の地震・津波対策の方向性

 地震、津波の被害想定に基づき、基本機能が確保できるかどうか、また、確保できない場合に、対策の実施が可能かどうか、下水道管理者が地域の実情を加味して方針を決定する。

地震による被害対策

① 基本機能が確保可能

地震被害分類4

基本機能確保不可能

② 防災対策が実施可能

地震被害分類1~3

③ 減災対策にて補完

物理的、経済的に防災対策困難

津波による被害対策

④ 基本機能が確保可能

津波被害分類6対策必要なし 耐震対策実施

地震に対する減災対策実施

基本機能確保不可能

⑤防災対策が実施可能

津波被害分類 1 ~5

耐津波対策実施耐震・耐津波対策を並行して実施

(両者共ハード対策)

耐津波対策を実施しつつ

地震に対する減災対策を

並行して実施

⑥減災対策にて補完

物理的、経済的に防災対策困難。復興計画を留意

して。

津波に対する減災対策実施

耐震対策を実施しつつ

津波に対する減災対策を

並行して実施

地震・津波に対する減災対策実施(両者共ソフト対策)

② 、⑤

② 、⑥ ③ 、⑥

③ 、⑤

① 、④

「地震による被害対策」と「津波による被害対策」の関係図

14

Page 15: 高知県の地震・津波対策の方向性

【対策の実施】 対策の実施にあたっては、下水道管理者が実施した被害想定に基づく、被害分

類毎(被害分類 1~ 4 )に基本機能確保に必要となる対策を選択し、対策計画を策定する。※具体的な地震対策メニューとその概算単価については、ガイドラインに記載。

被害分類タイプ

地震対策メニュー

側方流動対策 液状化対策 耐震対策

・護岸の改良強化・護岸の再構築

・地盤改良・締固め

・躯体補強材・躯体補強 ( 増壁 )

・直接基礎補強・杭基礎補強

1 ○ ○ ○ ○

2 ○ ○ ○

3 ○ ○

4 対 策 の 必 要 な し

【地震被害分類】  タイプ 1 :側方流動による被害  タイプ 2 :地震動・液状化による被害  タイプ 3 :地震動による被害   タイプ 4 :軽微な被害

(2)-2 地震による被害対策

1)地震対策における『防災対策』の考え方

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Page 16: 高知県の地震・津波対策の方向性

想定地震動区分 想定地震動区分別の地震動の内容

レベル 1地震動 施設の供用期間内に 1~2度発生する確率を有する地震動

レベル 2地震動 施設の供用期間内に発生する確率は低いが大きな強度を有する地震動

 想定地震動区分 想定地震動区分別の地震動の内容

中 地 震 動 耐用年限中に数度は遭遇する程度の地震動

大 地 震 動 耐用年限中に一度遭遇するかも知れない程度の地震動

 

【耐震設計の考え方】

○土木構造物

○建築構造物

 「下水道施設の耐震対策指針と解説」(社団法人日本下水道協会、 2006 年以下、指針)の内容に則って対策を進めるものとする。なお、指針の見直しがされ( 2014 年改定予定)、南海トラフの巨大地震に対応する新たな考えが示された場合は、その内容を踏まえて対策を検討する。

【段階的な目標の設定】 ※指針には示されていないガイドラインの特徴

汚水の発生量を想定 被災時に必要となる能力(揚水、消毒機能)設定

必要となる能力を確保出来るよう、段階的に耐震

化を実施

対策の実施にあたっては、最終的には全ての施設の耐震化を目標とするが、被災後に発生する汚水量を想定し、その揚水、消毒機能を確保する為の対策を短期的な目標とする。

なお、耐震対策が十分整わない状況下で被災した場合を考慮して、対策完了までの間は減災対策と並行して実施する。

※基本的には平常時の汚水発生量とする

➣建築物の機能を保持する

➣崩壊から人命を保護し、大きな補修をすることなく建築物を使用できる

➣ 本来の機能を確保する

➣損傷や塑性変形が残留しても早期の機能回復が可能

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Page 17: 高知県の地震・津波対策の方向性

 下水道 BCPマニュアルに示された内容を基本としつつ、マニュアルに記載されていない項目および、特に留意すべき項目について示す。ここに示された項目から、段階的にBCPを策定する。

【汚水処理区における検討】

●下水道サービスエリアから発生する汚水量を想定する。汚水量については被災前の日平均流入量を基本とする。なお、汚水量の想定にあたっては、最悪の事態に対応するため、管路の被災は無いものとする。

2)地震対策における『減災対策』の考え方 

高知市 香美市南国市

高濃度汚水処理区域

高知市公共下水道下知下水処理場

高知市公共下水道潮江下水処理場

浦戸湾東部流域下水道の概要

全体計画

事業認可区域

供用区域

凡 例

幹線管渠L=11Km

浦戸湾

浦戸湾東部流域高須浄化センター

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Page 18: 高知県の地震・津波対策の方向性

●想定される汚水発生量から、必要となる可搬式ポンプの能力および可搬式発電機の能力、必要となる燃料、消毒剤の量を検討しておく。また、その備蓄場所についても検討する。●被災後の暫定対応として、仮設沈殿池等を用いた対応が考えられる。必要となる面積や場所の確保、放流先との事前協議等について検討する。●想定される汚水量が多く、代替機能(ポンプ)の確保が困難な場合については、災害用トイレ等の活用が求められる。必要数の把握、配備の計画、関連部局との調整を行なうとともに、下水道使用自粛願い等の住民周知についても事前に準備をしておく。●被災時の現場作業を自治体職員が実施することは困難と考えられることから、事前に民間企業や関連協会等との事前の協定を結び、定期的な訓練を実施する。

【雨水排水区における検討】●雨水排水区においてはポンプの排水能力が非常に大きく、代替機能の確保が困難と考えられる。機器を速やかに復旧できるよう、メーカーや関連協会等と協定を締結する。●降雨期まで復旧作業がかかる場合には浸水の危険性が想定されることから、適切な情報発信時期・内容について検討する。●被災時の現場作業を自治体職員が実施することは困難と考えられることから、事前に民間企業や関連協会等との事前の協定を結び、定期的な訓練を実施する。

18

Page 19: 高知県の地震・津波対策の方向性

【対策の実施】

 対策の実施にあたっては、各自治体が実施した被害想定に基づく、被害分類毎(被害分類 1~ 6 )に基本機能確保に必要となる対策を選択し、対策計画を策定する。※具体的な津波対策メニューとその概算単価については、ガイドラインに記載する。

被害分類タイプ

津波対策メニュー

浸水対策 波圧対策 漂流物対策

・開口部閉塞・防水扉・板・ 緊急遮断ゲート

・防護壁・津波堤

・浸入防止フェンス( 防護壁)・( 津波堤)・

1 ○ ○ ○

2 ○ ○

3 ○ ○

4 ○

5 △必要に応じて

6 対 策 の 必 要 な し

【津波被害分類】 タイプ 1 :波圧 漂流物 浸水の被害 ・ ・ タイプ 2 :波圧 浸水の被害・         タイプ 3 :漂流物 浸水の被害    ・ タイプ 4 :浸水による被害         タイプ 5 :軽微な被害       タイプ 6 :被害なし

(2)-3 津波による被害対策

1)津波対策における『防災対策』の考え方 

19

Page 20: 高知県の地震・津波対策の方向性

  【対象津波の設定】  「最大クラスの津波」を対象とすることを基本とする。 「頻度の高い津波」については、対策優先度の設定等に用いるが、場合によっては当面、中期的な対象津波とすることも検討する。

地震動区分 耐 津 波 性 能 目 標

最大クラスの津波「津波防災地域づくり法」の規定により、都道府県知事が設定・公表する際の津波である。この津波による「津波浸水想定」に基づき耐津波対策が行われる。高知県においては平成 24 年 12 月に公表された「南海トラフの巨大地震」である。

頻度の高い津波基本的には海岸保全施設等を整備・管理する海岸管理者が定める津波である。高知県においては平成 24 年 12 月に想定された「安政南海地震」相当となる。

●高知県においては処理場の約半数、ポンプ場の 1/4 において海岸保全施設の設置が予定されておらず、こうした処理場・ポンプ場では当面、中期的な目標として「頻度の高い津波」について検討することも必要と考えられる。●その他の処理場・ポンプ場においても津波高が見直されたことから、海岸保全施設等の整備進捗等と施設の処分期限期間とを勘案して適切に目標を設定する必要がある。●なお、耐津波対策が十分整わない状況下で被災した場合を考慮して、対策完了までの間は減災対策と並行して実施する。 20

Page 21: 高知県の地震・津波対策の方向性

 【対策レベル】 既設構造物を活用した津波対策としては、大きく分けて以下の 4種類に分類される。各対策レベルの内容について示す。これらの対策を組み合わせた効率的な対策が求められる。

対策レベル 対策内容

リスク回

避Ⅰ

施設敷地周囲に防波堤等を囲うことで場内への浸入を防止。設備の高所移転、構造物の高所設置。

リスク低

建物周りの開口部を止水化(部分的な防波壁設置や防水扉への変更等)することで、屋内への浸入を防止。

Ⅲ屋内の耐水化するブロック(部屋)を特定し、出入口の防水化。

Ⅳ 主要設備の防水化。

▼敷地境界

ポンプ室電気室

搬出入室 換気機械室

▼ポンプ棟

▼ Ⅰ対策レベル

▲ Ⅱ対策レベル

▲ Ⅲ対策レベル

P

▲ Ⅳ対策レベル

対策レベルのイメージ

21

Page 22: 高知県の地震・津波対策の方向性

  【対象津波の設定】

●基本的には最大クラスの津波を対象とするが、汚水処理区の汚水発生量の想定においては津波による下水道サービスエリアの被災は無いものと仮定する。これは、地震のみが発生し、津波が来ないことも想定されるからである。

基本的には最大クラスの津波を対象 汚水発生量の想定

津波によるサービスエリアの被害を考慮せずに汚水量を想定

2)津波対策における『減災対策』の考え方

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Page 23: 高知県の地震・津波対策の方向性

【汚水処理区における検討】 ※基本的に、地震対策と同様

【雨水排水区における検討】●地震対策と基本的に同様だが、水没した施設の速やかな復旧が求められるため、施設から水を抜く為のポンプ等の備蓄や、移動排水車の手配等について検討する。

●想定される汚水発生量から、必要となる可搬式ポンプの能力および可搬式発電機の能力、必要となる燃料、消毒剤の量を検討しておく。●被災後の暫定対応として、仮設沈殿池等を用いた対応が考えられる。必要となる面積や場所の確保、放流先との事前協議等について検討する。●想定される汚水量が多く、代替機能(ポンプ)の確保が困難な場合については、災害用トイレ等の活用が求められる。必要数の把握、配備の計画、関連部局との調整を行なうとともに、下水道使用自粛願い等の住民周知についても事前に準備をしておく。●被災時の現場作業を自治体職員が実施することは困難と考えられることから、事前に民間企業や関連協会等との事前の協定を結び、定期的な訓練を実施する。

●下水道サービスエリアから発生する汚水量を想定する。汚水量については被災前の日平均流入量を基本とする。なお、汚水量の想定にあたっては、最悪の事態に対応するため、管路の被災は無いものとする。高知市 香美市南国市

高濃度汚水処理区域

高知市公共下水道下知下水処理場

高知市公共下水道潮江下水処理場

浦戸湾東部流域下水道の概要

全体計画

事業認可区域

供用区域

凡 例

幹線管渠L=11Km

浦戸湾

浦戸湾東部流域高須浄化センター

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Page 24: 高知県の地震・津波対策の方向性

移動ポンプ車による排水 仮設ポンプによる排水

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Page 25: 高知県の地震・津波対策の方向性

○下水道管路の区分  管路は、以下のように大きく二つに分類される。   ①重要な幹線等;流域幹線、処理場・ポンプ場に直結する幹線、河川・軌道を横断、              緊急輸送路等に埋設、防災拠点や避難所などの排水を受けるなど   ②その他の管路;重要な幹線等以外の管路  

○東日本大震災における管路の被害状況  ・管路の被害は、液状化によるものが91%を占めた。  ・マンホールの被害は、液状化によるものが69%、地盤沈下によるものが27%であった。  ・なお、地震動による被災は、4~5%に止まっている。

(3)管路の対策方針(流下機能の確保) 1) 管路施設の「防災対策」

下水道地震・津波対策技術検討委員会報告書より25

Page 26: 高知県の地震・津波対策の方向性

 東日本大震災で管路被害の大部分を占める要因となった液状化は、大きく2つの形態に分類される。①埋戻し部の液状化 管路施設の埋戻し部分のみが液状化するもので、人孔浮上や管布設部の路面沈下、管渠のたるみ等が主な被害。②周辺地盤の全面液状化 下水道管路施設埋戻し部周辺の道路や宅地地盤も含めて全面的に液状化するもので、人孔の躯体ズレ、破損、取付管突出、管渠の抜け、管内の土砂閉塞等が主な被害として挙げられる。また、管路埋戻し部以外の場所においても、舗装が損壊し、家屋・電柱等の沈下や傾倒が見られるのが特徴。

液状化の形態イメージ

効果的な対策

下水道地震・津波対策技術検討委員会報告書より

液状化対策の埋め戻し3工法

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●自治体の財政状況を鑑み、重要な幹線等以外についてはレベル1地震動への対応を基本とする。●防災対策については重要な幹線等を対象とし、特に重要な幹線から耐震化を進める。(レベル2)特に重要な幹線とは・・・  ①処理場と災害対策本部施設(役場等)や特に大規模な広域避難場所等の防災拠点をつなぐ管路   ②軌道や緊急輸送路等下の埋設管路

盛土された道路(気仙沼市)

 管路機能の基本機能(流下機能)は、下水道システムの根幹を成す機能であり、⑤応急対策活動の確保においても重要となる。対策実施の考え方については県内全ての自治体で共通の方針を示すものとする。

 【防災対策の実施】

●地盤沈下により水没し、道路啓開時に盛土などの対策が想定される重要な幹線等

埋戻し土の締固め砕石等による埋戻し 埋戻し土の固化

下水道地震・津波対策技術検討委員会報告書より

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 2) 管路施設の「減災対策」

●浸水により、流下機能が失われる場合、浸水区域外のマンホールから、汚水を汲みとり、滅菌処理したうえで、放流する必要がある。●このため、浸水被害以外からの汚水量を事前に把握し汚水発生量から、必要となる可搬式ポンプの能力および可搬式発電機の能力、必要となる燃料、消毒剤の量を検討しておく。●想定される汚水量が多く、代替機能(ポンプ)の確保が困難な場合については、災害用トイレ等の活用が求められる。必要数の把握、配備の計画、関連部局との調整を行なうとともに、下水道使用自粛願い等の住民周知についても事前に準備をしておく。●大規模地震の被災直後は外部からの支援は困難と考えられるため、バキューム車による管路からの排除も有効と考えられる。地元の管路清掃等の民間企業や業界団体等との事前の協定を結ぶ事とする。

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処理場以外の場所での沈澱処理     マンホールからの放流     バキューム車による対応

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4.県内下水道施設相互の災害時にける支援体制

○下水道台帳のバックアップ(県内下水道施設)最大クラスの地震・津波発生時には、県内の多くの下水道施設が被災を受けること

が想定される。そこで、浸水被害想定の結果、浸水深が 1.7mと比較的浅く、H25には耐震工事

が完了する高須浄化センターの管理棟を防災拠点として位置付け、県内の下水道施設の復旧に向けた拠点とする。このため、事前に県内の下水道施設台帳を電子化し、当センターにおいて一元的

に管理する。

(1)下水道台帳のバックアップ

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●事後対応にあたっては、一部の自治体を除いて自治体職員単独での調査実施は不可能であると想定されることから、県外からの支援自治体を速やかに受入れることが重要である。よって、全国的なルールを活用するとともに、県内の受援体制の構築ならびに、支援部隊の窓口となる県との連絡体制の確保から対策を進めるものとする。

(2)自治体間の広域支援体制、各種団体との支援協定

 東北地方太平洋沖地震における支援要請や支援活動を教訓に、広域被災を念頭にした、災害時支援のルールがH24.6に改正された。 主な改正内容は、複数県にまたがる広域被災の状況に応じて、下水道対策本部機能が迅速に重層的に、連携的な構成を構築している。(次ページに広域災害時の支援の仕組みを添付)○災害時支援ブロック連絡会議<構成員>地方整備局、日本下水道事業団、ブロック内都道府県・大都市、下水道新技術推進機構、全国上下水道コンサルタント協会、日本下水道施設業協会・管路管理業協会・施設管理業協会、全国管工事業協同組合連合会、日本下水道協会○災害時支援全国代表者会議

 【下水道事業における災害時支援に関するルール】

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□ 宿泊場所 □ 職務室の手配

□ マンホール開閉器 □ マンホール開閉マニュアル

□ 道路地図 □ 下水道台帳(写)

□ 調査記録表 □ 緊急連絡先リスト

県内下水道管理者と関係団体(構成員)との一元的な災害時の支援に関する協定の締結

※震災直後の調査から、復旧工事における役割、リソースの調達など

県内の下水道管理者間における災害時支援体制の構築※大地震・津波を想定した、連絡網の定期的な訓練を実施(7月頃)

□ 詳細地図 ( 住宅地図等 ) □ 交通整理員手配の確認

□ 現地への移動ルートが判る資料 □ 電話・インターネット環境

□ 緊急車両許可証の依頼文 ・・・・・

被災自治体が準備すべきチェックリスト (例 )

被災自治体による準備が望ましいチェックリスト (例 )

(下水道 BCP 策定マニュアル第2編  P43 より)31

Page 32: 高知県の地震・津波対策の方向性

広域災害発生時の支援の仕組み

下水道事業における災害時支援に関するルールより32

Page 33: 高知県の地震・津波対策の方向性

5.まちづくり全体の視点から見た下水道の津波対策○処理区域の7割以上が3m以上の浸水と想定される処理区が8箇所

あり、こうした場合には復興計画などまちづくり全体との整合についても留意する必要がある。

表 最大クラスの津波において浸水が想定される処理区と被災率事業体名

高知市 浦戸湾東部処理区 43,402 30,381 70%

高知市 下知処理区 80,583 56,408 70%

高知市 潮江処理区 45,768 18,307 40%

高知市 瀬戸処理区 17,618 5,285 30%

安芸市 安芸処理区 6,514 5,863 90%

南国市 十市処理区 3,653 37 1%

南国市 浜改田処理区 1,332 1,332 1%

須崎市 須崎処理区 1,776 1,421 80%

宿毛市 宿毛処理区 4,815 4,334 90%

四万十市 中村分区 8,694 0% 0%

香南市 野市処理区 4,479 672 15%

香南市 夜須処理区 2,154 1,939 90%

香南市 岸本処理区 1,537 1,122 73%

東洋町 甲浦処理区 1,637 1,473 90%

芸西村 芸西処理区 3,615 723 20%

227,577 129,296 57%   合 計

処理区名 H23年度末処理区内居住人口(人)

津波による被災比率※浸水深3m以上の面積

津波により被災する人口(人)

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Page 34: 高知県の地震・津波対策の方向性

(参考)高知市下知処理区における対策の考え方(例)高知市下知処理区では、最大クラスの津波発生時に処理区の70%以上の範囲で3m以上の浸水深が想

定され、さらに長期浸水も想定されている。高知県の南海地震長期浸水対策検討委員会では、「江の口・下知エリア」「高須エリア」を対策優先エリアとして位置付けられ、海老の丸ポンプ場ついては長期浸水時に活用が望まれるポンプ場として優先度A (短期目標)に、その他7ポンプ場が優先度 B (中~長期目標)に設定されている。一方で地震発生後、道路啓開、止水対策が施され、排水対策を開始できるまで3週間を要すると想定されている。この間、下水処理場への燃料供給等は困難と考えられるため、下水道部局としては、処理場以外のスポットからの汚水排除、避難者へのトイレ機能の提供について減災対策を検討する必要がある。併せて、排水後の人口回復に備えて、速やかな復旧のために、処理場の耐津波対策を並行して実施する。下水道サービスエリアの大きな被害が想定され、まちづくり全体の視点で津波対策について取り組む必要がある場合は、下水道単独で計画を検討するのではなく、他の部局との調整を図り、下水道として求められる機能を検討する必要がある。

高知市における長期浸水

下水道の雨水ポンプ場の対策が優先度の上位に位置付

けられている

高知県南海地震長期浸水対策検討委員会

浸水により処理場に最低3週間燃料を供給することが

困難

下知処理区における

津波対策の方向性

海老の丸ポンプ場の耐震化、耐津波化を最優先。排水後の人口回復に備えて処理場も並行して耐津波化。

防災対策

処理場以外からの汚水排除について検討

減災対策処理場での対応

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