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92 5-2 深川南部地区 (1)現況と課題 位置図 土地利用現況図 ※「土地利用現況調査(平成18年度)」を基に作成 ※1 集合住宅の場合は12階建て以上、その他の場合は10階建て以上、と想定 ※2 集合住宅の場合は17階建て以上、その他の場合は15階建て以上、と想定

5-2 深川南部地区 - 江東区 · ・門前仲町周辺の資源と、越中島周辺の資源との 連携による地域活性化が必要です。 ・越中島周辺では、水辺空間を生かした居住環境

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Page 1: 5-2 深川南部地区 - 江東区 · ・門前仲町周辺の資源と、越中島周辺の資源との 連携による地域活性化が必要です。 ・越中島周辺では、水辺空間を生かした居住環境

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5-2 深川南部地区(1)現況と課題

位置図

土地利用現況図※「土地利用現況調査(平成18年度)」を基に作成

※1 集合住宅の場合は12階建て以上、その他の場合は10階建て以上、と想定※2 集合住宅の場合は17階建て以上、その他の場合は15階建て以上、と想定

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1)土地利用の変化・地区の大部分は、震災復興により土地区画整理が完了しています。住宅系を中心に、商業系・工業系の土地利用が混在しているため、地区の一部では生活環境への影響等が懸念されています。・住宅系の土地利用が増加し、地区内の32%を占めています。2)人口動態・平成21年は65,000人、平成31年は69,000人と予測されています。・少子高齢化が進行しています。・建物の更新期をむかえる、佐賀や福住の大規模な街区の住宅系への土地利用転換の状況によっては、さらなる人口の増加が予測され、公共公益施設の整備が必要になります。

3)水とみどり・隅田川、大横川、横十間川、平久川、汐浜運河等が縦横に流れており、水辺に親しむ空間が整備されています。・大規模な木場公園や隅田川に面したスーパー堤防として隅田川テラス護岸と一体化した越中島公園が整備されています。⇒課題・隅田川、大横川、木場公園、越中島公園などを中心に、水辺やみどりの連続性・親水性を高めたにぎわいづくりや景観形成が必要です。・都市計画決定されている平久町公園、洲崎弁天公園が未供用です。4)魅力ある資源・江東区景観計画では、隅田川景観基本軸を良好な景観形成を実施する地区として指定しています。・富岡八幡宮、深川不動尊、深川公園、深川東京モダン館など、歴史的・文化的資源が数多く現存しています。・現存する日本最古の鉄製帆船であり、船舶として唯一の国重要文化財に指定されている明治丸が、東京海洋大学構内にあります。⇒課題・地域資源・観光資源相互の連携や認知度の向上、東京スカイツリー、江戸東京博物館など区外の観光資源との連携が必要です。・下町のイメージ、橋のある風景、水辺、商店街など、地域資源との調和に配慮した景観形成が必要です。

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5地区別のまち

づくり方針

国指定重要文化財の明治丸(東京海洋大学)

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5)地域の活力・門前仲町は区内の代表的なにぎわいのある商業地であり、富岡八幡宮や深川公園といった緑の多い空間と隣接しています。・東陽町駅周辺には、区役所や文化センター等の公共公益施設や業務系施設が集積しています。⇒課題・門前仲町周辺の資源と、越中島周辺の資源との連携による地域活性化が必要です。・越中島周辺では、水辺空間を生かした居住環境創出など、計画的なまちづくりが望まれています。

6)災害に強い都市・都市型水害による被害が大きい地区とされています。⇒課題・都市型水害対策や災害時の水上輸送等の拠点として、船着場の活用が必要です。7)人にやさしく便利に移動できる都市・JR京葉線、東京メトロ東西線、都営大江戸線の3線が通っており、特に東西方向の交通が便利な地区です。⇒課題・南北交通の利便性の向上に向けて、地下鉄8号線「豊洲―住吉間」の整備が必要です。・東陽町駅や木場駅など、利用者数に応じた駅空間の整備が必要です。8)地球環境にやさしい都市⇒課題・街区、地区、敷地それぞれの単位において環境負荷低減に向けた取組みが必要です。・隅田川、大横川、木場公園などの水とみどりを生かしたヒートアイランド対策が必要です。

9)住宅ストックの更新・老朽化した中小規模の住宅ストックが多い地区です。⇒課題・適切な維持管理や耐震化、建替え支援等が必要です。・若い世代や高齢者等の多様なニーズに対応した、住み続けることができる住宅市街地の整備が必要です。

10)多様な人たちとの協働・平成20年には、地元関係者のワークショップにより「富岡地区まちづくりプラン」が策定されました。・町会、自治会、商店街、NPOなどの多様な主体が地域の問題に取り組んでいます。⇒課題・昔から住んでいる人たちと新しく住み始めた人たちとの交流が望まれています。

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富岡八幡宮

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(2)地区のまちづくりの方向性〔深川南部地区のまちづくりの目標〕

~歴史と新たなにぎわいを結ぶ水辺の交流まちづくり~門前仲町周辺の商業集積と越中島周辺の水辺のにぎわい創出との連携による地域活性化や、

住工混在の実態を踏まえた良好な住環境形成など、地域の特性に合わせて、まちづくりを進めます。また、地下鉄8号線「豊洲―住吉間」の延伸を推進し、東陽町をはじめとした駅周辺等の

まちづくりを進めます。

1 核の育成・整備方針〔東陽都市核〕・地下鉄8号線「豊洲―住吉間」の整備や都市計画道路放射32号線(四ツ目通り)の一部の拡幅整備とあわせ、街区の再編や共同化を視野に入れ、東西都市軸と南北都市軸の交差する東陽町駅周辺の土地の健全な高度利用を図るなど、駅の改善や商業・業務機能の集積を誘導します。

〔門前仲町・越中島都市核〕・歴史と水辺を生かした都市型観光の拠点と位置づけ、駅周辺の商業・業務・交流機能等の更新・充実を図ります。・水辺を活用した回遊性を高めることにより誘客機能を強化し、東京の「水都」として、江東の魅力・文化を発信します。

〔木場地域核〕・木場公園や東京都現代美術館、大型商業施設へのアクセス駅として、木場駅や駅周辺の環境改善を関係機関とともに進めます。

2 土地利用方針・地区の北部や東部などは、住工混在の実態を踏まえ、職住が近接する利点に配慮した、多様な用途が調和する複合市街地の形成を目指します。・永代、牡丹、古石場周辺などは、戸建て住宅や集合住宅などを中心とした良好な住環境の複合市街地形成を目指します。・越中島周辺などは、既存ストックの更新や新しい土地利用転換の機会を活用し、都市核の拠点性向上や良好な住環境向上に資する都市機能の導入を目指します。・都市軸を形成する永代通りおよび四ツ目通り沿道では、土地の高度利用を図りながら低層部に商業・業務機能を誘導するなど、都市の骨格としての役割を高めます。・大横川、仙台堀川、横十間川等の内部河川沿いは、水辺に顔を向けた住宅などの立地を誘導します。

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5地区別のまち

づくり方針

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3 部門別の整備方針1)水とみどりの都市づくり・隅田川、横十間川、大横川、平久川などの水彩軸を中心に、水辺やみどりの開放性や連続性を高めます。・壁面緑化の促進や木場公園等におけるイベントの支援など、「みどりの都市」を印象づける取組みを進めます。・未供用の都市計画公園である平久町公園では、都市計画制度等を活用したまちづくりの視点の中で、整備のあり方を検討します。・未供用の都市計画公園である洲崎弁天公園では、都市計画制度等を活用したまちづくりの視点の中で、今後のあり方を検討します。

2)美しい都市づくり・門前仲町周辺、隅田川と内部河川の水辺、東京海洋大学等の景観資源を結びつけながら、回遊性向上に寄与する景観形成を図ります。・都市軸を形成する四ツ目通りと永代通りの沿道や水彩軸を形成する隅田川・大横川・横十間川沿いでは、みどりと水辺を生かしながら、周辺建築物との調和に配慮した景観形成を進めます。・水辺に顔を向けた商業・交流施設、住宅等を誘導するなど、水辺とその後背地が一体となった景観形成を図ります。・隅田川景観基本軸、水辺景観形成特別地区に指定された地区を中心に、江東区景観計画に基づく施策に取り組みます。・地区における景観形成やその維持の担い手を育みます。3)環境都市づくり・低炭素都市づくりに向けて、区民、事業者、区が協働して、江東区環境基本計画で掲げる施策を着実に実行します。・隅田川、大横川、横十間川、平久川などの水彩軸を中心に、水とみどりの連続性を高め、風の道の形成を図ります。・大規模な建替えや設備更新時にあわせて、効率的な熱源設備や再生可能エネルギー利用設備を設置するなど、街区・地区単位でのエネルギー効率化と低炭素化の可能性について検討します。・公的賃貸住宅等の建替えに合わせて、敷地内緑化やオープンスペースの創出を促進し、通風や採光に配慮した住環境整備を推進します。

古石場川親水公園越中島公園のスーパー堤防(隅田川)

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4)観光・交流の都市づくり・門前仲町・越中島都市核を都市型観光の拠点と位置づけ、新たな観光ルートの整備促進を図ります。・木場公園や越中島公園などのみどり、東京海洋大学などの歴史的資源、水辺などを互いに結び、ネットワーク形成を図ります。・地域情報サービスの提供など、来訪者や区民が地区を繰り返し回遊できる情報環境を整備します。・来訪者のための駐車場整備など、地区へのアクセス向上について検討を進めます。・地域住民やNPOなどが主導する水辺を生かした観光舟運ルートの創出や水上レクリエーションの支援など、ハードとソフトが一体となったまちづくりを進めます。

5)交通都市づくり・東陽町駅等では、地下鉄8号線「豊洲―住吉間」整備に伴う周辺開発の影響も見込まれるため、将来の利用者数に応じた駅の改修について、関係機関と連携して検討を進めます。・都立第三商業学校前交差点は、変則的な交差点構造が円滑な交通処理の妨げとなるため、周辺地域の土地利用転換などに合わせて改良することを、長期的視点に立って検討します。・南北交通を補完するため、新しい交通システムの検討やバス路線の充実・新設を関係機関と連携して進めます。

6)安全・安心の都市づくり・東陽町駅周辺などを中心に、ユニバーサルデザインに基づいたやさしいまちづくりの実践を継続します。・住宅と中小工場・倉庫の混在地区においては、「江東区マンション等の建設に関する条例」等に基づいて、宅地内における緩衝緑地や空地の確保を誘導するなど、それぞれの機能保全に配慮しながら住環境の改善を進めます。・雨水流出抑制対策や災害時における救援対策の整備の向上など、防災まちづくりを進めます。・隅田川沿いの大規模な土地利用転換時には、周辺のまちづくりと一体となったスーパー堤防の整備を、関係機関と連携して促進します。

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都市計画道路の整備が進む東陽町駅周辺

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■ワークショップコラム(深川南部地区)区民の立場から地区のまちづくりを議論したワークショップの成果の一部です。

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<まちづくりのアイデア>

①「深川」独自のコンセプトづくり・深川公園に一大観光拠点をつくる・食文化を中心とした江戸情緒溢れる路地の再生・世界一の御神輿を体験できる観光のまち など②門前仲町と越中島両方の資源をつなぐ・門前仲町駅と黒船橋乗船場・越中島の水上バス乗り場を利用した鉄道と観光バス、 水上バスの連携・船の文化を活用したイベントの開催や水上スポーツによる東京海洋大学前の水面 活用 など

将来の都市像・門前仲町周辺から越中島周辺まで、歴史と水を生かした新しいまちづくりが始まります。・地下鉄8号線「豊洲-住吉間」の整備が具体化し、東西都市軸と南北都市軸の交差する東陽都市核の都市機能が向上します。

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5地区別のまち

づくり方針

(3)地区のまちづくり方針図〔深川南部地区〕

大規模な土地利用転換の際に、水辺を生かしたまちづくりを誘導するエリア

駅周辺の土地利用転換を捉え、深川、城東、南部の各地域を結ぶ核に ふ さ わ しい、まちづくりを誘導するエリア