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-1- 牧野満(下田小) 6年生「走り高跳び」の指導 1.陸上運動の高跳びで何を教えるか 走り高跳びは小学校では敬遠されがちな陸上教材である。その原因として、高跳びのバー、スタンド、ウ レタンマットの数など、用具の条件が限られていることや、そのために跳躍回数が保障されず、運動量も少 技術の獲得が記録を向上させることにつながる ないことなどが挙げられる。しかし、陸上運動に共通した「 」を技術学習を通して理解させる教材としては有効であり、その経験が子どもの能力観をも転換できる こと 教材であると考えるのである。 子どもの感覚として、陸上運動の走跳投の能力は、個人が生まれつき持つ力でであり、自分の力は不変な ものとして捉えているようである。しかし、技術を学べば記録が飛躍的に伸びることを実感できるもの陸上 教材である。4歩のリズムを覚えると記録向上につながるハードルや、走り出すタイミングがわかると、時 間短縮につながるリレーなどが挙げられる。走り高跳びでは、踏み切りとバークリアーの技術によって、記 録が伸びることを様々な実験、歴史の追体験から気づかせることができる。また、目標値との達成率や伸び 率など、高学年では単なる記録の比べ合いではなく、違った尺度での競争を楽しむことも可能である。 高跳びの実践では、 m走と身長を元にノモグラムを使い、点数化して競争の楽しさを味わわせる実践 50 も見られるが、本実践では、技術学習を中心に据えた12時間の単元構成を考えてみた。また、6年生とい う発達段階なので、高跳びの歴史にも興味を持たせたい。自分たちの跳躍がどの時代のフォームなのかを高 跳びの発展史の中に位置づけさせることも可能であると考える。 2.高跳びの基礎技術について 特質-踏み切り支配によるバー・クリアー 基礎技術-踏み切りと振りこみ 走り高とびは助走のスピードを利用して、いかに高くとび上がるかをねらいとした運動である。走り高と びのもつ楽しさは、より高いバーをとび越えるところにある。走り高跳びの特質を「踏み切り支配によるバ ークリアー」とし、その基礎技術が「踏み切りと振りこみ」にあると規定できる。基礎技術は「より高くと び上がる」ための「踏み切り技術」に集約される。初心者にとっては、リズミカルな助走からそのスピード を生かし、思い切ってジャンプすることを強調した学習に重点を置くべきであると考える。 3.走り高跳びの指導 ○指導内容と指導の要点 走り高跳びの課題(助走を利用して、より高く跳ぶ)を達成するための技術的要素は次のようになる。 ①助走 ・自分に合った距離 ・自分に合ったリズム ・踏み切りを意識したスピードコントロール ②踏み切り ・安定した踏み切り位置 ・突っ張るような踏み切り方 ・振り上げ足と腕の使い方(振りこみ動作) ・後傾姿勢 ③クリアランス・自分に合ったフォーム ・クリアランス技術の向上 ④着地 ・安全な着地の後術 ①助走(踏み切りを作るための助走) 走り高跳びの助走は、走り幅跳びとは違い、速ければよいというものではない。必要とされるのは、うま 1 く踏み切れる程度のスピードである。よって、スピードよりも、走るリズムが重要である。特に、最後の 歩はストライドを広くして、後傾姿勢を作るため、その動作を引き出すための助走をいかに作ることができ るのかということが学習の中心的な課題となる。 ②踏み切り(踏み切りと振りこみ) 踏み切り足は強く地面をたたくようにけり、そのけりと同時に、振り上げ足を助走の方向にひざを伸ばし て振り上げる。踏み切りで大切なのは、両腕の動きである。踏み切る 歩前でかかえこむようにし、踏み切 2 って振り上げ足を上げたと同時に肩がふわっと上がるよう強く振りこむ。腕は振り上げる(万歳をするよう にあげる)のではなく、肩よりも少し上の位置で静止させることが必要である。 ③クリアランス(バーの跳び越し) 重心の位置が同じでも、より高い位置でバーをクリアできるかが課題となる。そのためのフォームが開発 )、 されてきた またぎ跳び 正面跳び はさみ跳び ロールオーバー ベリーロール 背面跳びなどがある 初心者では、ゴム跳びの要領で、次に、やさしく比較的習得しやすい正面跳び(はさみ跳び)を練習する。 また、高学年以上では、歴史の追体験の授業として、他の跳び方に挑戦する学習も考えられる。 ④着地 跳び越しには直接関係しないが、安全な着地を指導する。 4.学習の流れ(技術指導の系統性) 小学校低学年から跳運動を系統的に指導されていることはほとんどない。本実践においては本来なら低中 学年で行われている部分を前半に取り入れ(3段高跳び、ライダーキック跳び 、単元構成を考えてみた。

6年生「走り高跳び」の指導...- 1 - 6年生「走り高跳び」の指導 牧野満(下田小) 1.陸上運動の高跳びで何を教えるか 走り高跳びは小学校では敬遠されがちな陸上教材である。その原因として、高跳びのバー、スタンド、ウ

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牧野満(下田小)6年生「走り高跳び」の指導1.陸上運動の高跳びで何を教えるか走り高跳びは小学校では敬遠されがちな陸上教材である。その原因として、高跳びのバー、スタンド、ウ

レタンマットの数など、用具の条件が限られていることや、そのために跳躍回数が保障されず、運動量も少技術の獲得が記録を向上させることにつながるないことなどが挙げられる。しかし、陸上運動に共通した「

」を技術学習を通して理解させる教材としては有効であり、その経験が子どもの能力観をも転換できること教材であると考えるのである。子どもの感覚として、陸上運動の走跳投の能力は、個人が生まれつき持つ力でであり、自分の力は不変な

ものとして捉えているようである。しかし、技術を学べば記録が飛躍的に伸びることを実感できるもの陸上教材である。4歩のリズムを覚えると記録向上につながるハードルや、走り出すタイミングがわかると、時間短縮につながるリレーなどが挙げられる。走り高跳びでは、踏み切りとバークリアーの技術によって、記録が伸びることを様々な実験、歴史の追体験から気づかせることができる。また、目標値との達成率や伸び率など、高学年では単なる記録の比べ合いではなく、違った尺度での競争を楽しむことも可能である。高跳びの実践では、 m走と身長を元にノモグラムを使い、点数化して競争の楽しさを味わわせる実践50

も見られるが、本実践では、技術学習を中心に据えた12時間の単元構成を考えてみた。また、6年生という発達段階なので、高跳びの歴史にも興味を持たせたい。自分たちの跳躍がどの時代のフォームなのかを高跳びの発展史の中に位置づけさせることも可能であると考える。

2.高跳びの基礎技術について

特質-踏み切り支配によるバー・クリアー基礎技術-踏み切りと振りこみ

走り高とびは助走のスピードを利用して、いかに高くとび上がるかをねらいとした運動である。走り高とびのもつ楽しさは、より高いバーをとび越えるところにある。走り高跳びの特質を「踏み切り支配によるバークリアー」とし、その基礎技術が「踏み切りと振りこみ」にあると規定できる。基礎技術は「より高くとび上がる」ための「踏み切り技術」に集約される。初心者にとっては、リズミカルな助走からそのスピードを生かし、思い切ってジャンプすることを強調した学習に重点を置くべきであると考える。

3.走り高跳びの指導○指導内容と指導の要点走り高跳びの課題(助走を利用して、より高く跳ぶ)を達成するための技術的要素は次のようになる。

①助走 ・自分に合った距離・自分に合ったリズム・踏み切りを意識したスピードコントロール

②踏み切り ・安定した踏み切り位置・突っ張るような踏み切り方・振り上げ足と腕の使い方(振りこみ動作)・後傾姿勢

③クリアランス・自分に合ったフォーム・クリアランス技術の向上

④着地 ・安全な着地の後術

①助走(踏み切りを作るための助走)走り高跳びの助走は、走り幅跳びとは違い、速ければよいというものではない。必要とされるのは、うま

1く踏み切れる程度のスピードである。よって、スピードよりも、走るリズムが重要である。特に、最後の歩はストライドを広くして、後傾姿勢を作るため、その動作を引き出すための助走をいかに作ることができるのかということが学習の中心的な課題となる。

②踏み切り(踏み切りと振りこみ)踏み切り足は強く地面をたたくようにけり、そのけりと同時に、振り上げ足を助走の方向にひざを伸ばし

て振り上げる。踏み切りで大切なのは、両腕の動きである。踏み切る 歩前でかかえこむようにし、踏み切2って振り上げ足を上げたと同時に肩がふわっと上がるよう強く振りこむ。腕は振り上げる(万歳をするようにあげる)のではなく、肩よりも少し上の位置で静止させることが必要である。

③クリアランス(バーの跳び越し)重心の位置が同じでも、より高い位置でバーをクリアできるかが課題となる。そのためのフォームが開発

。 、 ( )、 、 、 。されてきた またぎ跳び 正面跳び はさみ跳び ロールオーバー ベリーロール 背面跳びなどがある初心者では、ゴム跳びの要領で、次に、やさしく比較的習得しやすい正面跳び(はさみ跳び)を練習する。また、高学年以上では、歴史の追体験の授業として、他の跳び方に挑戦する学習も考えられる。

④着地跳び越しには直接関係しないが、安全な着地を指導する。

4.学習の流れ(技術指導の系統性)小学校低学年から跳運動を系統的に指導されていることはほとんどない。本実践においては本来なら低中

学年で行われている部分を前半に取り入れ(3段高跳び、ライダーキック跳び 、単元構成を考えてみた。)

Page 2: 6年生「走り高跳び」の指導...- 1 - 6年生「走り高跳び」の指導 牧野満(下田小) 1.陸上運動の高跳びで何を教えるか 走り高跳びは小学校では敬遠されがちな陸上教材である。その原因として、高跳びのバー、スタンド、ウ

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その後、走り高跳びの技術的要素を学習する。5歩の助走(リズム、助走距離)を学習した上で、自分に合った助走を見つける。その後 「踏み切り」と「振りこみ」を実験などを通して学習する。走り高跳びに欠、

、 、 。かせない大切な技術ポイントを整理した上で 習熟練習に入り 最後は記録会を開いて学習のまとめとする

5.グループ学習について○グループ学習の準備グループは6人(5人)で行い6グループ作る。高跳びの用具(スタンド、バー、ウレタンマット)が3

セットのため、一つの用具を2つのグループが使用する(これを兄弟グループとする 。グループ内でペア)(トリオ)を決める。この2人(3人)は固定し、授業の終わりまで原則変更はしない。走り高跳びでは、ペアの一人はバーの横に立ち、相手が跳ぶ様子をしっかり観察させる。ペア(トリオ)でリズムの声かけや観察などを通して技術認識を深めていく。○グループノートの活用グループノートを元に授業は展開される。予め単元全体の計画を書いておくが、子どもの考えによって授

業の方向が変わることがあるので、その時間ごとに一枚一枚増やして行く。授業までに、グループのリーダーが内容を把握しておき、準備運動については、リーダーが考えることにしている。授業後には大きめの付箋に感想を書かせる。ペア(トリオ)に対する感想、自分の感想の2つの項目で感

想を書かせる。それを集め、教師が赤ペンのアドバイスを書き、教室の窓にグループごとに貼る。感想を一覧で見ることができ、感想の交流が出来る。そして、次回の授業の前日までにグループノートに貼る。この繰り返しで、子どもの技術認識が深まっていくと考えるのである。

6.単元目標・リズミカルな助走からの跳び方(またぎ跳び、はさみ跳び)ができる。・高く跳ぶための技術ポイントがわかる。・自己の目標に向かって、友達と観察し合ったり、教え合ったりして練習に取り組むことができる。

7.単元計画(全12時間 体育館10時間 教室2時間) 体-体育館 教-教室

学習活動 学習内容

1 オリエンテーション ・高跳びの全体像と学習計画を立てる。教 ・高跳びの歴史を知り、興味を持たせる。

2 目標の設定 ・脚長、垂直跳びの計測体 試しの跳躍 ・脚長+垂直跳びで目標を算出。

・試しの記録を取る。

3 ロイター板遊び ・ 1・2・3~」のリズムで踏み切ることを意識「体 三段高跳び させる。

・高さに慣れさせる。

4 ライダーキック跳び ・脚の振り上げを意識させる。体 ・助走の方向、踏みきり足を見つける。 ・助走の方向、踏みきり足がわかる。

5 走り高跳び① ・5歩助走からリズムを知る。体 ・5歩のリズムを調べる。

6 走り高跳び② ・スタート地点を調べる体 ・スタート地点を調べる。 ・5歩助走が生かされる助走の方法を考えさせる。

7 走り高跳び③ ・重心高、跳躍高、クリア高の理解教 ・走り高跳びの記録の仕組みがわかる。 ・跳躍高を伸ばすための方法を考えさせる。

・跳躍高の理解と伸ばす方法を考える。

8 走り高跳び④ 高く跳ぶための秘密を探る体 ・跳躍高を伸ばす方法の検討1 ・腕の動かし方について理解させる。

・跳躍高を伸ばす方法の検討2 ・比較実験から、踏み切りについて理解させる。

9 走り高跳び⑤ ・正面跳び(はさみ跳び)の体験体 ・跳躍高を伸ばす方法の検討3 ・自分に合った跳び方を見つけさせる。

走り高跳び⑥⑦ ・高く跳ぶための技術ポイントを明確にした上で、10・技術ポイントを元に習熟練習を行う。 グループで練習させる。11

記録会 ・役割を分担して記録会を運営させる。12体 ・まとめの感想を書く。

8.授業プラン(全12時間) 教室2時間、体育館10時間

第1時 ≪教室≫○走り高跳びに興味を持たせる。歴史的な内容から走り高跳びに興味を持たせるために、過去の選手のビデオを視聴する(ベリーロールだ

)。 、 。けは高跳び選手のものが入手できず十種競技の選手 世界記録の変化 フォームの変化などに着目させる

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①正面跳び-バラシュ(女子) ㎝( 年)砂場191 1961②ベリーロール-(十種競技)シェンク ㎝( 年)ウレタンマット218 1991③背面跳び-ソトマヨル ㎝( 年)ウレタンマット245 1993世界記録の高さを教室の壁で示すと驚くだろう。正面跳びの時代は砂場だったことにも注目させたい。用

具の変化が背面跳びなどの跳び方を可能にした史実に目を向けさせたい。○グループ学習の手続きグループを決め、グループ内でペア(トリオ)を決める。グループノートの使い方を知らせる。

第2時 ≪体育館≫○目標の設定ジャンプできる高さは今後余り変わらないものとして、走り高跳びの技術がうまくなれば達成できる目標

を決める。走り高跳びの目標設定の方法としては、①重心の高さ(身長× )+垂直跳びの記録、②下腿0.5650 0.5 50m 10長 身長-座高 +垂直跳びの記録 ③身長と m走のモノグラムを用いた方法 身長× - 走×( ) 、 (

+ )があるが、ここでは、②の方法を用いる。③に関しては、走り高跳びは、走り幅跳びとは違い、助120走のスピードが速ければ速いほどよいというのではない。高い角度で上昇するため、上手に踏み切れるスピードコントロールが必要となる。また、①②の重心と下腿長では、重心の方が数値が少し高くなり、目標が高く設定されるため下腿長を選んだ (ただ、垂直跳びと走り高跳びの跳躍は違っておりこれを用いるのも。厳密には正確ではない )。目標を設定したところで、試しの跳躍を行う。ここでは、高跳びの記録を取るときの方法を教える (試。

技回数をこえると次の高さに進めないことなど )今後の授業の中ではゴム紐を用いるが、記録の際は、バ。ー(竹の棒)を用いる。それは、ゴム紐ではクリアできたかどうかが明確ではないことや、クリアした瞬間こそが走り高跳びの一番の醍醐味であると考えるためである。これは、ゴム跳びでは味わえない。

第3時 ≪体育館≫○ロイター板遊び跳び箱の授業では必ず取り入れている。両足で踏み切ることと、踏み切りによって走が跳の運動に変わる

ことを教える。そのためには、スピード制御をする助走が大切なことに気づかせる。様々なポーズで着地することで、空中での姿勢の変化に慣れさせる。これが、バーをクリアしていく時の空中姿勢にもつながると考えるからである。また、ここでは着地(3秒静止する)にもこだわった指導をしたい。

○3段高跳び3段高跳びに入る前に、世界記録が体育館の壁のどの位置になるのか印をつけ、高跳びのスタンドのはる

か上を通過していることを知らせる。その上で、高さに挑戦する意識付けをさせる。3段高跳びで教える内容は 「1・2・3~」のリズムと空中姿勢である。走り高跳びでは、クリア後の着地については問われな、いが、足から安全に着地することも教えたい。ゴム紐をバーの代わりに使用することで、安心して高さへの挑戦ができる。 ㎝の高さから始めて、徐々に高さを上げていく。最後の踏み切りは、ロイター板遊びの80時とは違って、片足の踏み切りとなる。3歩でリズムよく跳び越すことを目指す。

第4時 ≪体育館≫○ライダーキック跳び助走から強く踏み切り、体を横に寝かせて、振り上げた脚でキックする。このとき

ボールなど、目標物があると脚を水平に振り上げようとする意識が働く。ライダーキック跳びは、高跳びの技術発展史の中でも、正面跳びからロールオーバーに変わり、バーのクリア時に体が傾斜する 年頃のフォームと酷似している。ライダーキック跳びを通して歴史の1910追体験ができるのである。但し、キックを行うために、伸ばした脚、腕と反対側の腕は頸反射によって曲がっており修正する必要がある。これを9時間目の課題「腕はどのように振れば良いのか」として考えさせ、振り込み動作を学ぶ学習に繋げる。ライダーキック跳びで、助走の方向、踏み切り足を決めさせる (もちろん後の学習で変更は可能)。

第5時 ≪体育館≫本時前時で、ライダーキック跳びから、走る方向、踏み切り足がわかったので、本時では、助走のリズムに着

目させる。体育の授業ではリズムを重視している。例えば、ハードルの4歩のリズム「トーン・123 、」水泳のドル平のリズム「トーン・トーン・スー・パッ」など、心の中でリズムを言うことによって運動がイメージしやすいと考えるからである。また、このリズムを、ペアが声かけすることによって動作が引き出されるという利点もある。また、ペアは、単に声かけをしているだけでなく、声かけをしながら常に友達の動きに目を向けているので、技術認識が深まり、適切なアドバイスができるようになっていく。更に、声をかける強さ、タイミングなども学習を進めるにつれ上手になっていく。ペアを固定(相手を変えない)するのもそのためである。

○5歩助走この時間の5歩助走での課題は、自分にあったリズムを見つけることである。最後の一歩で踏み切れない

子にどう踏み切る(走を跳に転換する)タイミングとコツをつかませるかにある。幅跳びでも同じ事を行うが、走り高跳びでは、2歩前か3歩前に「トーン」と少し長めの歩幅の跳躍的な走動作をいれてアクセントリズムを作らせる。本時の授業では、踏み切りの3歩前(2歩目)を長くしている。踏み切り前の5歩の中で、前半の2歩、後半の3歩の意味を考えさせる。子どもは、全力で走った方が高

、 、 。 、く跳べるとが考えている子どもが多いが ここでは 5歩助走でも高く跳べることに気づかせたい 初めは踏み切り位置を固定するために、ロイター板を使用した跳躍を行う。その後は、ロイター板を外し記録を取る。走り幅跳びの跳躍は、上体を十分起こし、かかとから踏み切りに入るために、最後の1歩のストライドは大きくなる。反対に、2歩前は小さくなる。上手に跳べている子どもの後半の3歩の歩幅に注目させる授業展開も可能である。

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以上のことを総合すると 5歩のリズムは 前半の2歩目に トーン を入れ 後半の3歩のリズムは ト、 、 「 」 、 「・ト・トン」が平均的にやりやすいようだが、個人差があるので自分に合ったリズムを優先させる。いくつかのリズムパターンを行い、やりやすいリズムをつかませる。

第6時 ≪体育館≫踏み切り地点を確かめ、5歩のリズムを確かめた後、スタート地点を確かめさせる。5歩の跳躍が生かせ

る助走を見つけることがねらいである。スタート地点から、何歩目で跳躍するのか助走の歩数にも着目させたい。歩数を決めることで踏み切り地点が定まり、決まった場所での跳躍ができるからである。

第7時 ≪教室≫高跳びの記録は、重心高、跳躍高、クリア高の総計で成り立っていることを理解させる。その上で、跳躍

を伸ばす方法=跳躍高を伸ばす方法を考える 「跳躍高を多くする方法を考えよう」と発問し、グループご。とに考えさせる。子どもの考える内容としては、①手を振り上げる。②足を振り上げる、踏み切りの仕方を考える③跳躍のフォーム

。 、 、 、などが予想される ①に関しては 紐を付けたボールを放すと 腕が引っ張られることや②に関しては、これまでにやったライダーキック跳びなどから、脚を伸ばすことなどを予想するだろう 「踏切はつま先が良いのか、かかとが良いのか」という比較実験をさせる。

。 「 ( )」 。ことも考えられる ③はなかなか出にくいので教師からフォーム 正面跳び はさみ跳び の提示を行う

第8時 ≪体育館≫子どもから出てきた意見を整理し、課題を提示する。

その①「腕をどのように振り上げれば良いか?」踏み切りの時に大切なのは、両腕の動き(両腕の振り込み動作)である。踏み切る2歩前で抱え込むよう

にして、脚を上げたと同時に肩がふわっと上がるように強く振り込む。ライダーキック跳びでは、腕については意識させず自然の動作で踏み切らせるが、頸反射から伸ばした脚

。 、 、と対角線の腕は曲がっていので両腕を伸ばす跳躍が必要になってくる そこで 紐を付けたボールを放すと、 。 、腕が引っ張られるという両腕の役割を学習した後 片足踏み切り・両腕振り上げの踏み切りを行う この時

振り上げる両腕は、肩の少し上の所で急ブレーキをかけてピタッと止めるように指導する。そうしないと両腕を振り上げた事が助走の助けにならないからである。

その②「つま先で踏み切るのがよいのか?かかとから着いて足全体で踏み切るのがよいのか?」踏み切りは強く地面をたたくようにけり(突っ張る感じ 、そのけりと同時に、振り上げ脚を助走の方向)

に伸ばして振り上げる。ここでは、比較実験によって、つま先、かかとでけって、つま先でけるといかに跳べないかということを体験させる。かかとからの強い踏み切りの有効性を確かめる実験である。

第9時その③「新しい跳び方を知る」正面跳び(はさみ跳び)子ども達の行う跳び方の多くは「両足跳び 「またぎ跳び」」

であるが ここでは はさみ跳び を紹介する 正面跳び は、 「 」 。「 ()」 、 「 」 「 」さみ跳び は ① またぎ跳び 両足着地→② またぎ跳び

両足後ろ向き着地を経て完成させる。踏み切った後に体をひねり、バーをクリアした後に、バーの方を向いて両足着地させる。最初は、バーを低くして、空中で体をひ

。 、 、 。 、ねる練習をする 慣れてきたら 両足を開いてバーを越える瞬間に体をひねり 後ろ向き着地をする 更に踏み切り足で着地すると、より正面跳びらしくなる 「またぎ跳び」の方が記録が高い子どももいるので、。フォームについては自分の記録が出やすいフォームで跳ばせるようにする。

第10.11時技術ポイントを整理して、観察する視点がわかったところで習熟練習に入る。ここでは、ペア(トリオ)

で、相互観察させ、記録の向上を目指す。①自分に合ったリズムでとんでいるか?②かたがふわっと上がるようにふり上げているか?③つっぱるようにかかとからふみきっているか?④自分に合ったとび方でとべているか?⑤安全に着地できているか?の5つの視点で観察する。

第12時学習した成果や力が十分出しきれるような記録会にするため、必要な係やルールを決める。そのため少し

、 。 、時間をかけて 自分たちに合った記録会ルールをつくるようにする 運営委員会などもを予めつくっておき話し合いや準備を進めておけば、時間を節約できる。できるだけ、子どもたちが計画し、運営できるような会にしたいものである。記録会後に、まとめの感想を書き学習のまとめとする。

参考文献学校体育研究同志会編『体育の学習で陸上運動の不思議と感動を』たのしい体育・スポーツ 年 月号2003 5学校体育研究同志会編『陸上競運動は何を教える教材か』たのしい体育・スポーツ 年 月号1995 4久保健編 教育技術 『走・跳・投の遊び/陸上運動の指導と学習カード』小学館 年MOOK 1997深代千之編著「跳ぶ科学」大修館書店 年1990学校体育研究同志会編「たのしい体育『陸上運動 」ベースボールマガジン社 年』 1988学校体育研究同志会編、学校体育叢書『陸上競技の指導』ベースボールマガジン社 年1972

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走り高とび6年 組( )はん

グループのメンバーペア(トリオ) ペア(トリオ) ペア(トリオ)

( )

走り高とび学習の目標

・自分の目標を決め、走り高跳びの記録を上げよう。

・高くとぶための大切なポイントをみんなで見つけよう。

・ペア(トリオ)やグループの友だちと教えあって、グループの友達みんなが高くとべる

ことをめざそう。

グループのめあて

走り高跳び① ≪教室≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:走り高とびについて知ろう。

(1)走り高とびのビデオを見よう

これから走り高とびの学習が始まります。走り高跳びはこれまでに様々なとび方で高さ

が競われてきました。これから主なとび方を紹介するので、下の年表を見ながら、どの時

代の選手なのかを確かめましょう。

①正面跳び-バラシュ(女子) 191㎝(1961年)砂場

②ベリーロール-(十種競技)シェンク 218㎝(1991年)ウレタンマット

③背面跳び-ソトマヨル 245㎝(1993年)ウレタンマット

(2)世界記録の高さ(245㎝)を確かめよう。

(3)グループ内でペア(トリオ)を決めよう。

役割、ノートの記録する順番を決めよう。

感想①をはります

感想②をはります

感想③をはります

感想④をはります

感想⑤をはります

感想⑥をはります

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走り高跳び② ≪体育館≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:走り高とびの目標を決めよう。

試しの走り高とびをして、どれくらいとべるのか知ろう。

(1)目標を決めます。

走り高とびの目標の決め方はいろいろありますが、ここでは、きゃく長(足の長さ)と

垂直とびの記録を足したものを、高跳びの記録とします。

≪やってみよう≫

①「きゃく長」・・・絵のように、かべに足をつけて測ります。

②「垂直とび」・・・手をのばして所から、ジャンプしてとど

いた所までの長さを測ります。

名 前 きゃく長 垂直とび 目標(㎝)

(㎝) (㎝) =きゃく長+垂直とび

(2)試しの記録をとります。

①2つのグループが1つの場所でとびます。

記録は兄弟グループで行い、一つのグループのちょうやくが終わったら交代します。

②70㎝から始めて、同じ高さを3回失敗したら、次に進めないことにします。

感想①をはります

感想②をはります

感想③をはります

感想④をはります

感想⑤をはります

感想⑥をはります

(3)今日の記録 ※3回以内にとべたら○をつけます。

名 前 目標 記録 今日の記録

① ㎝ 70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 ㎝

② ㎝ 70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 ㎝

③ ㎝ 70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 ㎝

④ ㎝ 70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 ㎝

⑤ ㎝ 70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 ㎝

⑥ ㎝ 70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 ㎝

≪先生から≫

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走り高跳び③ ≪体育館≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:3段高とびをしよう。

世界記録にちょう戦しよう。

(1)準備運動

・ロイター板遊び

「トン・トン・トーン」のリズムでふみきり、両足で着地します。

両足ふみきり

いろんなとび方でとんでみよう。

(小さく、手を打つ、体をのばす、大の字

開きゃくで、脚を前後に、ひねって)

→できるだけ高くとびます。

着地をしっかりとめます。

(2)3段高とび

①世界記録の高さを知ろう。245㎝ ソトマヨル(キューバ)1993.7

②3段高とびにちょう戦

ロイター板 2段 3段

「トン ・トン ・トーン」

・ゴムの高さ 初めは80㎝から始めます。

≪リズム≫「トン・トン・トーン」

片足ふみきり

・三段高とび(グループでとび方を考えよう)

< >< >< >< >

< >< >< >< >

感想①をはります

感想②をはります

感想③をはります

感想④をはります

感想⑤をはります

感想⑥をはります

③世界記録にちょう戦しよう。

下の図は、走り高跳びの世界記録です。とび箱の段数を高くして、世界記録にちょう戦

してみよう。

≪先生から≫

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走り高跳び④ ≪体育館≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:ライダーキックで高とびをしよう。

助走の方向、ふみきり足を調べよう。

(1)準備運動<前の時間の復習>

・グループノートの読み合わせ。

・三段高とび「トン・トン・トーン」(上にとぶ)

・三段高とび(グループで考えたとび方で)

< >< >

< >< >

ロイター板・2段・3段

(2)ライダーキックとび

①とび箱2段でやってみる。スタンドにゴムひもをつける。(高さ90㎝)

・さおの先にボールをつけて、それをめがけてライダーキックをする。

ロイター板・とび箱2段・ウレタンマット

(3)ライダーキックとび

①ロイター板を下のように

3つおきます。

(とび箱なし)

・まずは、ライダーキックに

なれよう。

②ライダーキックとびで、やりやすい

・助走の方向を調べよう。

・ふみきる足を調べよう。

③ライダーキックとびの

記録をとります。

感想①をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想②をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想③をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想④をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想⑤をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想⑥をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

≪今日の記録≫

名 前 助走の方向 ふみきり足 キック足 記録

① 右・正面・左 左足・右足 近い足・遠い足 左足・右足 ㎝

② 右・正面・左 左足・右足 近い足・遠い足 左足・右足 ㎝

③ 右・正面・左 左足・右足 近い足・遠い足 左足・右足 ㎝

④ 右・正面・左 左足・右足 近い足・遠い足 左足・右足 ㎝

⑤ 右・正面・左 左足・右足 近い足・遠い足 左足・右足 ㎝

⑥ 右・正面・左 左足・右足 近い足・遠い足 左足・右足 ㎝

≪先生から≫

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走り高跳び⑤ ≪体育館≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:5歩助走で、助走のリズムを見つけよう。

(1)準備運動

・三段高とび「1・2・3-」(上にとぶ)いち に さぁ-ん

・三段高とび(グループで考えたとび方で)

< >< >

< >< >

< >< >

ロイター板・2段・3段

(2)ライダーキックとび<前の時間のふく習>

・自分の決めた方向から走ろう。

・ふみきり足に注意しよう。

ロイター板あり→ロイター板なし

(3)5歩助走でとぼう

①はじめは、ロイター板をおきます。

・5歩のリズムになれよう

・一歩目とふみきり足は同じです。

・5歩のリズムでとんでみよう。

【リズム】

「1・2-1・2・3」でとんでみる。 左 正面 右

1・2 → 調子をとって走り始める。

1・2・3 → 勢いをつけてジャンプする。

・記録をとります。

(2)助走のリズムを見つけよう

・5歩助走で行います。

☆自分に合ったリズムはどれだろう?

助走のリズム

トーン・トーン トン・トン・トン

ト ・ト ・トン

トン・トーン トン・ト ・トン

(1・2 1・ 2 ・3 )

②ロイター板なしでとんでみよう。(ロイター板のあった所に×の印をつけよう。)

・記録をとります。

感想①をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想②をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想③をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想④をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想⑤をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想⑥をはります

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

≪今日の記録≫

名 前 目標 助走の ふみき 助走のリズム 5歩助走の記録

ロイター板なし方向 り足 1・2 1・2・3

① ㎝ 右・左 ㎝

② ㎝ 右・左 ㎝

③ ㎝ 右・左 ㎝

④ ㎝ 右・左 ㎝

⑤ ㎝ 右・左 ㎝

⑥ ㎝ 右・左 ㎝

≪先生から≫

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走り高跳び⑥ ≪体育館≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:スタート地点を決めよう。

助走を始める場所をしっかり決めよう。

(1)準備運動

①前の時間のグループノートの読み合い

②5歩ふみきりの練習

(リズムに注意して)

(2)ふみきり位置を見つけよう

(×をつける)

・踏み切った地点

→バーをにぎって自分の

かたまでの長さをふみ

きる地点にします。

名 前 目標 ふみき 助走の 5歩助走のリズム

(㎝) り足 方向 1・2 - 1・2・3

(3)スタート地点を決めよう

・スタートをどこからするのかを決めておけば、

例) ○ ○ 5歩のリズムを生かしたちょうやくができます。

×ふみきり地点

・記録がのびると思われる場所を、グループでさが

( )歩

このきょりを測ります。

◎スタート地点

感想①をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想②をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想③をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想④をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想⑤をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想⑥をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

≪今日の記録≫ ふみきり地点-× スタート地点-◎

①( ) ②( ) ③( )

○ ○ ○ ○ ○ ○

ふみきり地点まで( )歩 ふみきり地点まで( )歩 ふみきり地点まで( )歩

( )m( )㎝ ( )m( )㎝ ( )m( )㎝

5歩ふみきり ㎝ 5歩ふみきり ㎝ 5歩ふみきり ㎝

最高記録 ㎝ 最高記録 ㎝ 最高記録 ㎝

④( ) ⑤( ) ⑥( )

○ ○ ○ ○ ○ ○

ふみきり地点まで ( )歩 ふみきり地点まで( )歩 ふみきり地点まで( )歩

( )m( )㎝ ( )m( )㎝ ( )m( )㎝

5歩ふみきり ㎝ 5歩ふみきり ㎝ 5歩ふみきり ㎝

最高記録 ㎝ 最高記録 ㎝ 最高記録 ㎝

≪先生から≫

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走り高跳び⑦ ≪教室≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:高く跳ぶためのひみつをさぐろう

(1)走り高跳びでとんだ高さ(記録)はつぎのようなしくみになっています。

走り高跳びの記録=重心高(H1)+跳 躍高(H2)+クリア高(H3)ちようやく

※この場合、H3はマイナス。

①重心高(H1)

ふみきるしゅん間の身体の重心の高さのこと。これは、身長(きゃく長)とふみきる姿

勢で決まる。しかし、この高さを測るのはむずかしいので、立ったときの重心高(おへそ

の高さ)を使うことにします。重心高はだれでもとべる高さです。

②ちょうやく高(H2)

ジャンプによって重心をどれくらい高く上げることができたかということ。助走スピー

ドとそれを生かしたふみきりによって決まる。

③クリア高(H3)

持ち上げられた重心の最高点に対して、どのくらい下、または、どれくらい上にあるバ

ーをこえることができるかということ。さまざまなとび方によってちがう。一流の選手の

場合はH3はプラスになるが、私たちの場合はマイナスで、これをどれだけ0に近づけら

れるかが課題となる。

つまり 跳 躍高をのばして、クリア高を少なくすればいいのです。ちようやく

名前 目標 (1) 身長 (2)重心高 (3)ジャンプ高 (4)跳躍高 重心の

(H1) (3)-(1) 最高点

≪跳躍高(H2)を高くする方法を考えてみよう≫

跳躍高(H2)は、助走とふみきりで決まります。跳躍高を高くする方法はないでしょ

うか?(どんなことに気をつけてとんだら良いと思いますか?)

グループで考えてみましょう。

方法1

方法2

方法3

≪先生から≫

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走り高跳び⑧ ≪体育館≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:高く跳ぶためのひみつをさぐろう。(うでの動かし方、ふみきりの仕方)

(1)みんなから出された方法は次のようになりました。

≪出された意見≫

1. うでの動かし方

2. ふみきりの仕方

3. とび方

これらについて、一つずつ考えていきたいと思います。

(2)準備運動

①ロイター板を置いて5歩ふみきりの練習(自分のリズムを確かめながら)

②自分の助走地点からの高跳び。

③ロイター板をはずしての高跳び。

(3)確かめる実験(グループごとに実験します。)

その① 見つけよう「うでをどのようにふり上げればよいのでしょうか?」

<予想>こうすれば?と考えたやり方は?

(1)

(2)

その②比較実験「つま先でふみきるのがよいのか?かかとから着いて足全体でふみきるのひ か く

がよいのか?」

(1)つま先でふみ切る

(2)かかとから足全体でふみきる

感想①をはります

感想②をはります

感想③をはります

感想④をはります

感想⑤をはります

感想⑥をはります

(4)実験結果(記録を書きます)

その① うでのふり方 その② ふみきりの仕方

名前 (1) (2) (1)つま先で (2)かかとから

① ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

② ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

③ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

④ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

⑤ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

⑥ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

(5)実験結果からわかること≪結果をまとめよう≫

≪先生から≫

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走り高跳び⑨ ≪体育館≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:高く跳ぶためのひみつをさぐろう。(とび方)

(1)準備運動

①ロイター板を置いて5歩ふみきりの練習(自分のリズムを確かめながら)

②自分の助走地点からの高跳び。

③ロイター板をはずしての高跳び。

(2)とび方を確かめる実験

(グループごとに実験します。)

みんなが今とんでいるとび方は、「両足とび」や「またぎとび」ですが、とび方はこの

ほかにもたくさんあります。走り高跳びの歴史で話したように、走り高跳びはとび方を改

良して、記録を伸ばしてきたのです。

両足とび またぎとび はさみとび ロールオーバー ベリーロール 背面とび

上に示したのは、少年が走り高とびをしたときの、同じ重心の高さに対するいろいろな

とび方のバークリアのちがいです。「両足とび」よりも、「またぎとび」「はさみとび」

の方が、高くとびこせられるということがわかるでしょう。「またぐ」とか「はさむ」と

いう動作によって、できるだけ高い所をこえようとしているのです。これを参考に、みん

なもうまく(高く)とべるとび方を見つけましょう。

ロールオーバー、ベリーロール、背面とびは行いません。)(※

感想①をはります

感想②をはります

感想③をはります

感想④をはります

感想⑤をはります

感想⑥をはります

(3)実験結果(記録を書きます)

名前 目標 両足とび またぎとび はさみとび 決めたとび方

① ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

② ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

③ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

④ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

⑤ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

⑥ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

(4)実験結果からわかること

≪先生から≫

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走り高跳び⑩ ≪体育館≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:高くとぶためのポイントに気をつけてとび、記録をのばそう。

(1)走り高とびの実験を通して、わかったことは次のようになりました。

1.助走のリズム(自分に合ったリズムで、最後の1歩を広く)

2.うでの動かし方(脚をあげると同時に、かたがふわっと上がるようにふり上げる)

3.ふみきりの仕方(かかとから足の裏全体で、つっぱるように)

4.とび方(自分に合ったとび方で)

5.着地(安全に着地する)

これらのポイントについてグループで観察し、記録をのばしましょう

(2)私の走り高跳び

名前 とび方 助走方向 助走距離 ふみきり足 助走リズム

≪観察するポイント≫

1.自分に合ったリズムでとんでいるか?

2.かたがふわっと上がるようにふり上げているか?

3.つっぱるようにかかとからふみきっているか?

4.自分に合ったとび方でとべているか?

5.安全に着地できているか?

感想①をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想②をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想③をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想④をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想⑤をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想⑥をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

(3)今日の記録

観察するポイント ←グループで確かめ合おう

(○ △ ×) 記録

名前 目標 1 2 3 4 5 1回目 2回目 3回目 4回目

① ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

② ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

③ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

④ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

⑤ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

⑥ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

≪発見したことや、気づいたこと≫

≪先生から≫

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走り高跳び⑪ ≪体育館≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:高くとぶためのポイントに気をつけてとび、記録をのばそう。

(1)走り高とびの実験を通して、わかったことは次のようになりました。

1.助走のリズム(自分に合ったリズムで、最後の1歩を広く)

2.うでの動かし方(脚をあげると同時に、かたがふわっと上がるようにふり上げる)

3.ふみきりの仕方(かかとから足の裏全体で、つっぱるように)

4.とび方(自分に合ったとび方で)

5.着地(安全に着地する)

これらのポイントについてグループで観察し、記録をのばしましょう

(2)私の走り高跳び

名前 とび方 助走方向 助走距離 ふみきり足 助走リズム

≪観察するポイント≫

1.自分に合ったリズムでとんでいるか?

2.かたがふわっと上がるようにふり上げているか?

3.つっぱるようにかかとからふみきっているか?

4.自分に合ったとび方でとべているか?

5.安全に着地できているか?

感想①をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想②をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想③をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想④をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想⑤をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

感想⑥をはります70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130

(3)今日の記録

観察するポイント ←グループで確かめ合おう

(○ △ ×) 記録

名前 目標 1 2 3 4 5 1回目 2回目 3回目 4回目

① ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

② ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

③ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

④ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

⑤ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

⑥ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

≪発見したことや、気づいたこと≫

≪先生から≫

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走り高跳び⑫ ≪体育館≫ 月 日 ( 班) 記録:

めあて:役割を分担して、みんなで記録会を行おう。

(1)準備運動

・グループごとに練習します。

(2)記録会(試技は4回行います)

名前 とび方 助走方向 助走距離 ふみきり足 助走リズム

名前 とび方 記録会での自分のめあて

感想①をはります

感想②をはります

感想③をはります

感想④をはります

感想⑤をはります

感想⑥をはります

(3)記録

名前 目標 1回目 2回目 3回目 4回目 最高記録

① ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

② ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

③ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

④ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

⑤ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

⑥ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ ㎝

≪グループの様子≫

≪先生から≫