34
7 ᶗ. Ҭࡁܦͷݱঢ়ͱ՝ 本市は、世界有数のものづくりの中枢圏域である名古屋圏の中心都市として発展を続け てきました。本章ではビジョン策定の背景として、名古屋圏と本市の産業・就労の現状と、 地域経済が有する産業の魅力について分析し、本市経済の課題について整理します。 ݹٴݍͼຊࡁܦࢢͷݱʢ1ʣݹٴݍͼຊͷنࡁܦ ᶃ ૯ੜͷঢ় گ本市の市内総生産額(名目)は、平成 20 年のリーマンショックに端を発した世界 的な景気後退の影響を受けて急激に減少しました。平成 21 年度以降は概ね横ばいで 推移しており、平成 24 年度は 11.8 兆円となっています。 ਤද ᶗʵ1ɹ૯ੜ()ͷਪҠ ᶄ ૯ੜͷن 平成 24 年度の市内総生産額 ( 名目 ) の規模は… 1,426 億ドルに相当し、海外の国内 総生産額の規模と比較すると、ベトナム一国に相当する巨大な経済規模となっていま す。また、名古屋圏の経済規模は、スイス一国に相当する規模を有しています。 (注)指数は、平成 15 年度を 100 とした時の数値 出所)「平成24年度名古屋市の市民経済計算」(名古屋市)等により作成 年度 平成 15 平成 16 平成 17 平成 18 平成 19 平成 20 平成 21 平成 22 平成 23 平成 24 名古屋市 12.5 12.9 13.2 13.3 13.4 12.6 11.8 11.7 12.0 11.8 指 数 100 103 105 106 107 101 94 94 96 94 愛知県 33.6 34.6 35.4 36.7 37.5 33.3 32.1 31.7 32.7 34.4 指 数 100 103 105 109 111 99 95 94 97 102 名古屋圏 48.4 49.7 50.5 52.4 53.4 48.1 46.3 46.2 46.9 48.8 指 数 100 103 104 108 110 99 96 95 97 101 日  本 501.9 502.8 505.3 509.1 513.0 489.5 473.9 480.2 473.9 474.5 指 数 100 100 101 101 102 98 94 96 94 95 (単位:兆円)

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7

Ⅰ. 地域経済の現状と課題

 本市は、世界有数のものづくりの中枢圏域である名古屋圏の中心都市として発展を続けてきました。本章ではビジョン策定の背景として、名古屋圏と本市の産業・就労の現状と、地域経済が有する産業の魅力について分析し、本市経済の課題について整理します。

1 名古屋圏及び本市経済の現状

(1)名古屋圏及び本市の経済規模

① 市内総生産額の状況 本市の市内総生産額(名目)は、平成 20年のリーマンショックに端を発した世界的な景気後退の影響を受けて急激に減少しました。平成 21年度以降は概ね横ばいで推移しており、平成 24年度は 11.8 兆円となっています。

図表 Ⅰ-1 市内総生産額(名目)の推移

② 市内総生産額の規模 平成 24年度の市内総生産額 (名目 ) の規模は…1,426 億ドルに相当し、海外の国内総生産額の規模と比較すると、ベトナム一国に相当する巨大な経済規模となっています。また、名古屋圏の経済規模は、スイス一国に相当する規模を有しています。

(注)指数は、平成 15年度を 100 とした時の数値出所)「平成 24年度名古屋市の市民経済計算」(名古屋市)等により作成

   年度 平成15

平成16

平成17

平成18

平成19

平成20

平成21

平成22

平成23

平成24

名古屋市 12.5 12.9 13.2 13.3 13.4 12.6 11.8 11.7 12.0 11.8

指 数 100 103 105 106 107 101 94 94 96 94

愛 知 県 33.6 34.6 35.4 36.7 37.5 33.3 32.1 31.7 32.7 34.4

指 数 100 103 105 109 111 99 95 94 97 102

名古屋圏 48.4 49.7 50.5 52.4 53.4 48.1 46.3 46.2 46.9 48.8

指 数 100 103 104 108 110 99 96 95 97 101

日  本 501.9 502.8 505.3 509.1 513.0 489.5 473.9 480.2 473.9 474.5

指 数 100 100 101 101 102 98 94 96 94 95

(単位:兆円)

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I. 地域経済の現状と課題

日本ドイツフランスイギリス韓国東京都スイス名古屋圏愛知県

オーストリアベトナム名古屋市

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 70005,935.9

3,426.02,611.22,461.8

1,129.61,106.3

631.2587.9413.6394.5

155.6142.6

(10億 US$)

農林水産業 , 0.0% 鉱業・建設業, 4.4%製造業 , 7.8%

電気・ガス・水道業 , 1.4%

卸売・小売業 , 25.8%

金融・保険業 , 5.1%

不動産業 , 11.2%運輸業,6.8%

情報通信業 , 9.3%

サービス業, 20.7%

政府サービス生産者, 4.9%

対家計民間非営利サービス生産者

,

2.0%

輸入品に課される税・関税, 1.0%

8

図表 Ⅰ-2 経済規模の比較

※為替レート 1ドル= 83.08 円で換算出所)「平成 24年度県民経済計算について」(内閣府経済社会総合研究所)等より作成

③ 経済活動別市内総生産額 経済活動別に平成 24年度の市内総生産額(名目)をみると、卸売・小売業とサービス業を合わせると 46.5%となり、約半数を占めています。

図表 Ⅰ-3 経済活動別市内総生産額(名目)の割合

出所)「平成 24年度名古屋市の市民経済計算」(名古屋市)

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160,000

150,000

140,000

130,000

120,000

(人)1,500,000

1,400,000

1,300,000

1,200,000平成 11年 平成 13年 平成 16年 平成 18年 平成 21年 平成 24年 平成 26年

(事業所)

145,356 139,155 128,649 128,419 130,787 121,778

124,636

1,397,502

1,362,514

1,284,9151,375,262

1,461,385

1,385,648

1,425,480

事業所数 従業者数

9

(2)企業・事業所

① 市内事業所数・従業者数の推移 市内の民営事業所数は、平成 3年をピークにその後は減少傾向が続き、平成 18年には 128,419 事業所まで減少しました。平成 21 年以降は調査方法が異なり単純な比較はできませんが、平成 26 年は 124,636 事業所となっています。また、従業者数については、平成 8年以降減少傾向が続き、平成 16 年には 1,284,915 人となりましたが、平成 26年は 1,425,480 人となっています。

図表 Ⅰ- 4 市内事業所数・従業者数の推移(民営)

(注)1.民営事業所とは、国及び地方公共団体の事業所を除く事業所。2.事業内容等不詳の事業所を除く3.平成 18年までの「事業所・企業統計調査」と「平成 21・26年経済センサス-基礎調査」、「平成 24年経済センサス-活動調査」では、調査手法が若干異なるため、単純な比較はできない。

出所)平成 21・24・26年は「経済センサス」(総務省・経済産業省)、平成 11・13・16・18年は「事業所・企業統計調査」(総務省)

② 従業者規模別にみた事業所数の推移 従業者規模別に事業所数の推移をみると、小規模事業者において減少傾向が大きいことが分かります。従事者 4人以下の事業所では、平成 21年の 72,844 事業所から平成 26年では 67,467 事業所となっており、小規模事業者の置かれた厳しい状況をうかがうことができます。

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I. 地域経済の現状と課題

10

図表 Ⅰ- 5 市内事業所数の減少(従業者数の規模別)

出所)「平成 21年経済センサス-基礎調査」(総務省)…「平成 24年経済センサス-活動調査」(総務省・経済産業省)「平成 26年経済センサス-基礎調査」(総務省)

③ 事業所数の産業別内訳 市内の事業所数(平成 26年)を産業別にみると、卸売業・小売業やサービス業など第 3次産業の比率が 8割を超えており、東京 23区や大阪市と同様の傾向にあります。 また、愛知県に占める割合をみると、「情報通信業」、「学術研究、専門・技術サービス業」が 5割以上を、「卸売業、小売業」、「金融業、保険業」、「不動産業、物品賃貸業」、「宿泊業、飲食サービス業」が 4割以上を占めており、本市は名古屋圏に集積するものづくり産業のビジネス支援拠点としての機能を果たしていることがわかります。 サービス産業については、製造業からのアウトソーシングや社会構造の変化による新たな需要などにより市場の拡大が見込まれ、その重要性がますます高まっています。一方、サービス産業はその特性から一般的に労働生産性が低くなりがちであり、また、人手不足などの課題も抱えていることから、ICT技術の導入やサービスの質の向上、新たなサービスの開発などの取り組みの推進が必要と考えられます。

図表 Ⅰ-6 市内事業所数の産業別内訳(平成 26 年)

出所)「平成 26年経済センサス-基礎調査」(総務省)

従業者規模 平成 21年 平成 24年 平成 26年4人以下 72,844 66,618 67,4675 ~ 9人 27,616 26,031 26,74910 ~ 19 人 16,118 15,588 16,32820 ~ 29 人 5,742 5,553 5,79630 ~ 49 人 4,175 4,004 4,17450 ~ 99 人 2,601 2,410 2,562100 ~ 299 人 1,360 1,262 1,269300 人以上 331 312 291総    計 130,787 121,778 124,636

(事業所)

名古屋市地域の事業所数における割

愛知県における割合 愛知県

地域の事業所数における割

合東京 23区

地域の事業所数における割

合大阪市

地域の事業所数における割

合第 1次産業(農林漁業) 56 0.0% 6.1% 921 0.3% 272 0.1% 55 0.0%鉱業,採石業,砂利採取業 0 0.0% 0.0% 69 0.0% 84 0.0% 9 0.0%建設業 8,654 6.9% 31.0% 27,958 8.7% 29,817 5.7% 9,431 4.9%製造業 10,896 8.7% 28.5% 38,293 11.9% 41,641 8.0% 18,467 9.7%第 2次産業(合計) 19,550 15.7% 29.5% 66,320 20.7% 71,542 13.7% 27,907 14.6%電気・ガス・熱供給・水道業 58 0.0% 24.3% 239 0.1% 328 0.1% 77 0.0%情報通信業 2,413 1.9% 68.6% 3,518 1.1% 20,413 3.9% 4,895 2.6%運輸業,郵便業 2,372 1.9% 31.7% 7,475 2.3% 14,016 2.7% 4,423 2.3%卸売業,小売業 32,929 26.4% 41.2% 79,832 24.9% 126,804 24.3% 52,474 27.5%金融業,保険業 2,311 1.9% 46.8% 4,941 1.5% 9,540 1.8% 3,111 1.6%不動産業,物品賃貸業 8,582 6.9% 44.1% 19,467 6.1% 49,995 9.6% 16,999 8.9%学術研究,専門・技術サービス業 7,130 5.7% 51.7% 13,792 4.3% 36,882 7.1% 12,547 6.6%宿泊業,飲食サービス業 18,360 14.7% 43.4% 42,312 13.2% 74,387 14.3% 28,422 14.9%生活関連サービス業,娯楽業 9,895 7.9% 37.1% 26,648 8.3% 36,030 6.9% 11,728 6.2%教育,学習支援業 4,144 3.3% 35.2% 11,772 3.7% 12,663 2.4% 3,780 2.0%医療,福祉 8,826 7.1% 39.8% 22,175 6.9% 34,617 6.6% 12,752 6.7%複合サービス事業 381 0.3% 27.2% 1,402 0.4% 1,234 0.2% 453 0.2%サービス業 (他に分類されないもの ) 7,629 6.1% 38.5% 19,794 6.2% 32,547 6.2% 11,006 5.8%第 3次産業(合計) 105,030 84.3% 41.5% 253,367 79.0% 449,456 86.2% 162,667 85.3%

総計 124,636 100.0% 38.9% 320,608 100.0% 521,270 100.0% 190,629 100.0%

(事業所)

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-9.3%

-7.4%

-4.5%

4.4%

-6.7%

-2.8%

10.1%

0.8%

-2.3%

9.5%

21.0%

90.7%3.7%

2.8%

-2.0%

-7.3%

-9.9%

2.1%

-6.5%

-9.4%

-1.3%

-0.6%

2.9%

7.7%

-4.5%

0.3%

7.3%

9.6%

15.7%

2.2%

7.4%

55.7%

12.6%

11.0%

16.4%

-59.7%

-44.7%

-100% -80% -60% -40% -20% 0% 20% 40% 60% 80% 100%

電気・ガス・熱供給・水道業

情報通信業

運輸業,郵便業

卸売業,小売業

金融業,保険業

不動産業,物品賃貸業

学術研究,専門・技術サービス業

宿泊業,飲食サービス業

生活関連サービス業,娯楽業

教育,学習支援業

医療,福祉

複合サービス事業

サービス業(他に分類されないもの)

(%)

平成24-26年

平成21-24年

平成18-21年

11

④ 従業者数の産業別内訳 市内の従業者数(平成 26年)を産業別にみると、「卸売業、小売業」が 23.9%と最も多く、次いで「宿泊業、飲食サービス業」が 10.7%となっており、第 3次産業が全体の 83.4%を占めています。愛知県では、「製造業」が全体の 24.3%と最も多くを占めており、名古屋市の 10.2%と対照的な産業構造となっています。

図表 Ⅰ-7 市内従業者数の産業別内訳(平成 26 年)

 次に第3次産業について従業者数の増加率をみると、「医療、福祉」、「教育、学習支援業」が平成 18年以降継続して増加し続けています。

図表 Ⅰ- 8 市内第3次産業における従業者数の増加率

出所)「平成 26年経済センサス-基礎調査」(総務省)

出所)「平成 26年経済センサス-基礎調査」(総務省)

(人)

名古屋市地域の従業員数における割

愛知県における割合 愛知県

地域の従業員数における割

合東京 23区

地域の従業員数における割

合大阪市

地域の従業員数における割

合第 1次産業(農林漁業) 416 0.0% 4.5% 9,297 0.2% 2,334 0.0% 412 0.0%鉱業,採石業,砂利採取業 0 0.0% 0.0% 425 0.0% 1,934 0.0% 36 0.0%建設業 91,381 6.4% 41.6% 219,620 5.8% 384,198 5.0% 124,385 5.5%製造業 145,094 10.2% 15.9% 913,449 24.3% 544,270 7.1% 228,246 10.1%第 2次産業(合計) 236,475 16.6% 20.9% 1,133,494 30.2% 930,402 12.1% 352,667 15.6%電気・ガス・熱供給・水道業 7,823 0.5% 57.1% 13,709 0.4% 24,020 0.3% 10,113 0.4%情報通信業 56,482 4.0% 77.7% 72,649 1.9% 791,902 10.3% 132,822 5.9%運輸業,郵便業 70,069 4.9% 34.0% 206,262 5.5% 403,175 5.2% 109,330 4.8%卸売業,小売業 341,020 23.9% 45.2% 755,259 20.1% 1,696,879 22.0% 546,629 24.1%金融業,保険業 42,238 3.0% 54.7% 77,255 2.1% 371,544 4.8% 83,751 3.7%不動産業,物品賃貸業 41,194 2.9% 51.3% 80,311 2.1% 300,756 3.9% 86,599 3.8%学術研究,専門・技術サービス業 56,999 4.0% 51.4% 110,820 2.9% 417,983 5.4% 100,766 4.4%宿泊業,飲食サービス業 152,292 10.7% 43.9% 346,585 9.2% 721,784 9.4% 224,300 9.9%生活関連サービス業,娯楽業 62,036 4.4% 41.6% 149,027 4.0% 277,890 3.6% 84,231 3.7%教育,学習支援業 56,883 4.0% 48.4% 117,615 3.1% 275,671 3.6% 50,787 2.2%医療,福祉 138,466 9.7% 38.9% 355,585 9.5% 550,947 7.1% 202,918 8.9%複合サービス事業 7,773 0.5% 30.4% 25,545 0.7% 26,934 0.3% 12,337 0.5%サービス業 (他に分類されないもの ) 155,314 10.9% 51.1% 303,854 8.1% 919,108 11.9% 269,702 11.9%第 3次産業(合計) 1,188,589 83.4% 45.5% 2,614,476 69.6% 6,778,593 87.9% 1,914,285 84.4%

総計 1,425,480 100.0% 37.9% 3,757,267 100.0% 7,711,329 100.0% 2,267,364 100.0%

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I. 地域経済の現状と課題

0.00

0.40

0.80

1.20

1.60

2.00

2.40

H22 H23 H24 H25 H26 H27.10月(年)愛知県 名古屋地域

(倍)

0.52 0.65 0.80 0.93 1.09

1.24

0.64 0.87

1.12 1.31

1.53 1.55

0.81 1.07

1.40

1.68 1.95 2.06

全国

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

(%)

(年)全国 愛知県 愛知県の若年者失業率(15~24歳)

2.3 2.1 2.1 2.22.5

2.93.2 3.4 3.4

4.1

4.7 4.75.0 5.4 5.3

4.7 4.44.1 3.94.0

5.1 5.14.64.3

4.03.6

1.6 1.6 1.8 1.82.12.8 2.9

3.1 2.9

3.64.3 4.2

4.4

4.0 4.0 3.53.4

2.8 2.7 2.9

4.54.3

3.6 3.73.2

2.6

3.32.93.6

2.9

3.64.2

5.15.5

6.16.6

7.0

7.7

7.5

8.1

7.6

6.45.7 5.9

5.55.2

8.2

7.2

6.2 6.5

4.8

3.6

H元

12

(3)雇用

① 有効求人倍率 名古屋地域(市内の 3つの職業安定所の管轄区域)の有効求人倍率は、平成 23年に 1倍を上回り、平成 27年 10月は 2.06 倍と高い水準で推移しています。

図表 Ⅰ- 9 名古屋地域の有効求人倍率の推移

② 完全失業率 愛知県の完全失業率は全国値を下回って推移しています。リーマンショックの影響で平成 21年に失業率が悪化しましたが、その後は改善傾向に転じ、平成 26年の完全失業率はリーマンショック前とほぼ同水準の 2.6%に回復しています。愛知県の若年者失業率(15歳~ 24歳)は平成 21年の 8.2%をピークに大幅に改善し、平成26年は 3.6%になっています。

図表 Ⅰ-10 完全失業率の推移

出所)平成 27年 10月分 最近の雇用情勢(愛知労働局)

出所)最近の雇用情勢(愛知労働局)

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13

2 名古屋圏の魅力的な産業資源 名古屋の産業の歴史は、木曽ヒノキをはじめとした良質の木材や水量豊かな木曽川水系、陶磁器を生んだ焼き物に適した土などの自然資源に恵まれ、江戸時代から培われた経営資源や職人技と融合し、繊維や陶磁器などの産業が盛んになったことで、今日の自動車産業、先端機械産業、ファインセラミックス産業などが集積し、世界のものづくりの中枢圏域となるまでに発展してきました。 名古屋圏には、良質な木材や水などの豊かな自然資源を背景に、イノベーションを繰り返して成長してきた企業をはじめ、人材や大学、金融機関、本市の産業労働支援拠点などの地域資源が多彩に存在します。 また、リニア中央新幹線の開業(平成 39年度予定)や名古屋駅周辺の大規模再開発などが全国的にも注目を集めています。

(1)人材・地域資源

① 人口 本市の総人口は、平成 26年 10月 1日現在 227 万 7千人で、近年は増加傾向にあります。社会増減についてみると、平成 12年以降は概ね転入が転出を上回るようになっています。

図表 Ⅰ-11 総人口及び転出入人口の推移

出所)「愛知県人口動向調査(名古屋市分)」(名古屋市)

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I. 地域経済の現状と課題

-1,000

-500

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500(人)

九州

中国・四国

近畿

中部(愛知県を除く)

愛知県内他市町村

関東

北海道・東北

転入超過

転出超過

男 0〜14歳

女 0〜14歳

男 15〜19歳

女 15〜19歳

男 20〜24歳

女 20〜24歳

男 25〜29歳

女 25〜29歳

男 30〜39歳

女 30〜39歳

男 40〜49歳

女 40〜49歳

男 50〜59歳

女 50〜59歳

男 60〜64歳

女 60〜64歳

男 65〜69歳

女 65〜69歳

男 70〜74歳

女 70〜74歳

男 75歳以上

女 75歳以上

14

図表 Ⅰ-12 本市の年齢別・地域別社会増減数(平成 25 年 10 月~平成 26 年9月の移動)

出所)「平成 26年愛知県人口動向調査(名古屋市分)」(名古屋市)

 平成 25年 10月から平成 26年 9月までの年齢別・地域別社会増減は、男女とも 20歳から 24歳までは社会増が著しく多い状況でした。また男女とも 0歳から 59歳のほとんどの年齢区分で関東圏に対して社会減が見られました。特に社会増が著しく多い 20歳から 24歳においても、女性は関東圏に対して社会減という状況であり、就職する年代の若い女性が関東圏に流出している傾向が見受けられます。

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200

180

160

140

120

100

80

60

40

20

0

(校)

北海道

宮 城

茨 城

群 馬

埼 玉

千 葉

東 京

神奈川

新 潟

石 川

静 岡

岐 阜

愛 知

三 重

滋 賀

京 都

大 阪

兵 庫

岡 山

広 島

福 岡

熊 本

54

1812

21

42 37

182

45

23 17 19 23

73

10 11

48

84

56

27 26

54

11

東京圏

名古屋圏 関西圏

80

70

60

50

40

30

20

10

0

8.00

7.00

6.00

5.00

4.00

3.00

2.00

1.00

0

(万人) (%)

北海道

宮 城

茨 城

群 馬

埼 玉

千 葉

東 京

神奈川

新 潟

石 川

静 岡

岐 阜

愛 知

三 重

滋 賀

京 都

大 阪

兵 庫

岡 山

広 島

福 岡

熊 本

9.45.8 3.9 3.2

12.711.5

75.5

20.1

3.2 3.1 3.8 2.6

19.9

1.7 3.8

16.823.913.1

4.5 6.312.9

2.9

2.51

5.64

2.69 2.66

6.42 学生数

人口割合

15

② 大学・短大と学生 名古屋圏には、東京圏、関西圏に続き、多くの大学・短大が集積しています。学生の人口割合も、京都府や東京都ほどではないものの、全国的に見て高い割合となっており、大学・短大数、学生数とも全国有数となっています。

図表 Ⅰ-13 各都道府県の大学・短大数

出所)「平成 26年学校基本調査」(文部科学省)

図表 Ⅰ-14 各都道府県の学生数と人口割合

出所)「平成 26年学校基本調査」(文部科学省)、「平成 26年人口推計」(総務省)

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I. 地域経済の現状と課題

16

③ 法務・税務関連専門家 名古屋圏における法務・税務関連事業所は、法律事務所が 916 事業所、税理士事務所が 3,136 事業所、社会保険労務士事務所が 580 事業所となっています。そのうち本市が占める割合は高く、多くの専門家が本市に集積しています。本市が今後ますますビジネス支援機能を発揮するためには、こうした中小企業のビジネスをサポートする専門人材の活躍が不可欠です。

図表 Ⅰ-15 各地域における法務・税務関連事業所数

出所)「平成 26年経済センサス-基礎調査」(総務省)

①名古屋圏(事業所)

②名古屋市(事業所)

名古屋市が占める割合(②/①)

法律事務所 916… 628… 68.6%

特許事務所 133… 99… 74.4%

公認会計士事務所 265… 139… 52.5%

税理士事務所 3,136… 1,217… 38.8%

社会保険労務士事務所 580… 178… 30.7%

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250,000

200,000

150,000

100,000

50,000

0

(単位:億円)

平成20年度末平成 19 年度末 平成 21 年度末 平成 22 年度末 平成 23 年度末 平成 24 年度末 平成 25 年度末 平成 26 年度末

貸出金総額 預金総額

118,650 124,701 122,877 119,781 124,370 126,331 127,726 130,805

184,527 196,193 203,573 201,825 210,886 206,901 207,288 213,942

17

④ 金融機関 市内には、本店がある地方銀行 3行と信用金庫 2金庫をはじめ、多くの金融機関の支店が集積しており、名古屋圏の金融の中枢機能を担っています。(一社)名古屋銀行協会加盟 36銀行の平成 26年度末の貸出金総額は 13兆 805 億円、預金総額は21兆 3,942 億円に上り、経済活動の活発化により貸出金は年々増加する傾向がみられます。

図表 Ⅰ-16 市内銀行における貸出金と預金

(注)(一社)名古屋銀行協会加盟の都市銀行、地方銀行、信託銀行、長期信用銀行における主要勘定出所)「金融」((一社)全国金融協会)

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I. 地域経済の現状と課題

18

図表 Ⅰ-18 名古屋の企業による主な日本初の製品

② 産学連携による研究開発機能 名古屋圏における産学連携の共同研究実績を理工系の主要な大学別にみると以下のとおりで、多くの研究開発が進行しています。さらに、今年度に入ってノーベル賞を受賞した日本人の約半数にあたる6人が名古屋大学の関係者であり、名古屋圏においては、世界に認められる研究開発の実績を多く生み出しています。

図表 Ⅰ-19 名古屋圏における主な大学の産学連携の共同研究実績

出所)名古屋市市民経済局産業部産業労働課調べ

出所)「大学等における産学連携等実施状況 共同研究実績(機関別)(平成 25年度)」(文部科学省)

★ コンタクトレンズ★ トマト製品★ スタンパー★ 温水洗浄便器

 ★ 自動織機 ★ パチンコ ★ 集約電波塔 ★ 国産飛行機

大 学 名 件数(件)

名古屋大学名古屋工業大学三重大学岐阜大学豊橋技術科学大学

439…218216…193…116

(2)研究開発

① 名古屋圏における研究開発機能 名古屋圏の学術・開発研究機関事業所数は 467 事業所、全国に占める割合は 8.5%です。 また、名古屋圏の特許登録件数は 19,151 件、全国に占める割合は 10.8%であり、名古屋の企業における技術力に裏づけされた創造力で、日本で初めての製品が数多く生み出されています。

図表 Ⅰ-17 名古屋圏の研究開発機能に関するデータ

出所)「平成 26年経済センサス-基礎調査」(総務省)「特許行政年次報告書(2015 年版)」(経済産業省)「大学発ベンチャーに関する基礎調査(平成 20年度)」(経済産業省)

区  分 件 数(件) 全国シェア

学術・開発研究機関事業所数 467 8.5%

特許登録件数 19,151 10.8%

大学発ベンチャー設置件数 121 6.7%

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輸 出 品 輸 入 品

自動車(乗用車・バス)(輸送用機器)

27.1%(30,836 億円)

自動車の部分品(輸送用機器)

14.9%(16,987 億円)

原動機(一般機械)4.8%(5,437 億円)

電気計測機器(電気機器)

3.5%(3,954 億円)

金属加工機械(一般機械)

4.5%(5,171 億円)

石油ガス類(鉱物性燃料)

14.3%(8,195 億円)

原油及び粗油(鉱物性燃料)

10.8%(6,202 億円)衣類及び同付属品(その他)    6.3%(3,628 億円)

絶縁電線及び絶縁ケーブル(電気機器)

3.5%(2,023 億円)

アルミニウム及び同合金(原料別製品)

4.8%(2,730 億円)

19

(3)交流

① 名古屋圏の輸出の状況 名古屋圏の輸出額は 15 兆 7,855 億円で、全国 21.6%のシェアを占めています。とりわけ名古屋港は日本最大の輸出港として、平成 26年における輸出から輸入を差し引いた黒字額は5兆6,583億円であり、産業貿易の重要な拠点機能を担っています。 名古屋港の輸出品目は、自動車(乗用車・バス)が 27.1%、自動車の部分品が14.9%を占めており、名古屋圏に集積する自動車産業の輸出拠点となっています。

図表 Ⅰ-20 名古屋圏の輸出入額(平成 26 年分)

(注)名古屋市の金額は名古屋港のみ。名古屋圏の金額は名古屋港、中部国際空港、三河港、衣浦港、四日市港、尾鷲港、津港の合計

出所)「管内貿易概況(平成 26年分)(確定)」(名古屋税関)

区  分 全 国 名古屋市 対全国シェア 名古屋圏 対全国シェア

輸 出 額 730,930 113,748 15.6% 157,855 21.6%

輸 入 額 859,091 57,165 6.7% 99,082 11.5%

貿易収支 ▲…128,161 56,583 - 58,773 -

(単位:億円)

図表 Ⅰ-21 名古屋港の輸出入品 ( 平成 26 年分 )

出所)「管内貿易概況(平成 26年分)(確定)」(名古屋税関)

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I. 地域経済の現状と課題

20

② 愛知県内企業の海外活動の状況 愛知県内企業のグローバル化は年々進展しており、中小企業の海外進出も活発化しています。進出先から撤退する企業もありますが、それを上回る企業の進出があり、平成26年の海外進出企業数は 792 企業にのぼり一貫して増加しています。

図表 Ⅰ-22 海外で事業活動をしている愛知県内企業数

出所)「愛知県内企業の海外事業活動調査」(公益財団法人あいち産業振興機構)

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9 8 10 4121 115

128

16 2 15 5 15 3

13 3

15 8 16 4

8 3 8 9

10 8 10 9 10 9

13 0 124 122112

126143

0

40

8 0

120

16 0

20 0

H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

名古屋 名古屋

21

③ 国際会議の開催状況 本市の国際会議開催件数は、平成 23 年から増加しており、平成 25 年は 143 件と過去 10年間で最多となりました。また平成 25年の国際会議参加者総数は 70,677 人、うち外国人参加者数は…5,811 人と海外からも多くの来訪があり、国際的な知の交流が進んでいます。

図表 Ⅰ-23 名古屋市・名古屋圏の国際コンベンション開催件数の推移

(注)1つの会議が複数の都市にまたがって開催された場合、それぞれの都市において1件として計上している。

出所)「2013 年国際会議統計」(日本政府観光局)

図表 Ⅰ-24 名古屋市・名古屋圏の国際コンベンション参加者数(平成 25 年)

出所)「2013 年国際会議統計」(日本政府観光局)

国内参加者数 外国人参加者数 参加者総数

名古屋市 64,866 5,811 70,677

名古屋圏 71,887 6,689 78,576

(人)

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I. 地域経済の現状と課題

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(4)主な本市の産業労働支援拠点

① なごやサイエンスパーク なごやサイエンスパーク事業は、守山区志段味地区の区画整理事業やガイドウェイバス事業と一体となり、ものづくり産業を支える研究開発拠点を形成し、産学行政が連携して研究開発を促進することにより地域の持続的な発展を目的として進めている事業です。 当地域の研究開発機能を先導する研究開発拠点として、Aゾーンにおいては、「研究開発センター」、「先端技術連携リサーチセンター」、「サイエンス交流プラザ」や、国の研究機関である「国立研究開発法人産業技術総合研究所中部センター」、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する賃貸型施設「クリエイション・コア名古屋」といった研究機関が集積しています。 また、なごやサイエンスパークに集積する公的研究機関の研究成果を地域産業に波及させ、本市産業の高度化・活性化や新産業の創出を図るため、Cゾーンとして研究開発型企業団地「テクノヒル名古屋」を整備しています。 Bゾーンについては、医療・福祉・健康産業分野の研究開発型企業を誘致し、医療対応型特別養護老人ホームやAゾーンの公的研究機関等との連携を図り、革新的な医療福祉機器等の開発を促進することにより、今後成長が見込まれる医療・福祉・健康産業の振興等を図るゾーンとして整備していきます。

図表 Ⅰ-25 なごやサイエンスパーク事業の各ゾーンの配置図

なごやサイエンスパーク

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② 名古屋市国際展示場「ポートメッセなごや」 名古屋市国際展示場「ポートメッセなごや」は約 34,000㎡の展示規模を有し、中部圏で最大の展示場施設です。国際展示場で開催される見本市 ・展示会では国内外から優れた製品・情報そして人材が一堂に集まり、商談や情報交流が行われることでビジネスチャンスやイノベーション創出につながるとともに、企業が市場の需要動向を直接的に収集できる場として重要な役割を果たしています。見本市 ・展示会の開催には、幅広い経済波及効果や展示装飾や宿泊、飲食業をはじめとした様々な周辺産業における雇用創出効果が期待されます。 現在、金城ふ頭開発の一環として平成 29年の開業が予定されているレゴランドや商業施設などとともに、国際展示場第一展示館の移転整備が計画されています。 また、名古屋圏の産業の強みをさらに高めるためには、海外の競合都市にも対抗できる世界標準の展示規模を持ち、これまで対応できていなかった名古屋圏のものづくり産業の集積を活かしたビジネス向けの全国規模、あるいは国際的な見本市・展示会の開催を可能とする展示場施設の整備が必要との認識から、新たな大規模展示場の整備に向けた検討を進めています。

■立地の視点

① 名古屋駅からのアクセス・名古屋駅から 30分以内で到着できる立地環境(徒歩含む)・複数の交通経路確保による選択肢の充実と混雑の緩和・初めての来訪者が円滑に乗り継ぎできる動線の確保

② 中部国際空港からのアクセス・円滑な乗り継ぎ動線の確保、国内外からの来訪者に配慮したアクセス環境・シャトルバス等の運行の可能性(国際見本市の開催時)

③ 道路環境(一般道・高速道)・幹線道路・高速道路との近接性・大規模催事に対応可能な道路環境(車線拡張や交差点拡幅等の措置)

④ 駐車場・大規模駐車場の整備用地の確保・幹線道路・高速道路からの円滑な入出庫ルートの確保・周辺地域の既存駐車場との連携の可能性・搬出入に必要な大型車両の待機場所の確保

⑤ 用地規模・拡張可能性・10万㎡を視野に入れると、整備には 30万㎡以上の用地が必要・将来的な拡張に対応可能な環境が望ましい(埋立等)

⑥ 周辺環境・宿泊等関連施設の立地可能性・展示場が周辺地域に及ぼす影響への許容度・大規模展示場の立地に適した環境 ⇒ 臨海部、郊外、公共交通や幹線道路に隣接した地域

出所)「名古屋市における展示場のあり方構想懇談会」(平成 26年度)資料より

大規模展示場整備の考え方

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I. 地域経済の現状と課題

20

30

40

50

60

70

80

90

100

22 23 24 25 2610,000

15,000

20,000

25,000

30,000

研究(

)

技術

()

多様な支援機関が入居する中小企業振興会館

24

③ 名古屋市工業研究所 工業研究所は、工業技術に関する研究及び指導を行い、中小企業の生産技術の向上に資することを目的として、昭和 12年に設立されました。そして、本市の機関として、「公共性・公平性」と「地元企業との近い距離」という特徴を活かし、中小企業に信頼される技術支援を実施して、地域産業の発展に貢献しています。

図表 Ⅰ-26 工業研究所における技術相談・依頼試験等の実績

④ 名古屋市中小企業振興会館 中小企業振興会館は、総合展示会から会議まで多種多様なニーズに応え、総合展示会ができる大規模展示施設(吹上ホール)や会議室を備えた中小企業の振興と産業交流の促進を図る場となっています。また、中小企業振興会館には、(公財)名古屋産業振興公社、(公財)名古屋市小規模事業金融公社、(公財)名古屋市中小企業共済会、なごやジョブサポートセンターなどが入居しており、創業・新事業展開支援やセミナー等の開催、資金繰り、福利厚生、経営などの様々な相談に対応できる中小企業の支援拠点となっています。

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1,200

1,000

800

600

400

200

0

3,300

2,500

2,000

1,500

1,000

500

0平成 23年度 平成 24年度 平成 25年度 平成 26年度

新規登録者数

就職決定者数

相談件数

(人) (件)

25

⑤ なごやジョブサポートセンター なごやジョブサポートセンター(以下「なごジョブ」といいます。)は、平成 23年6月に中小企業振興会館内に開設した本市の就職相談窓口で、民間事業者に委託して運営しています。 なごジョブでは、市内で求職活動をされている方や新卒者などを対象に、専門のカウンセラーが担当制で個々に合わせたきめ細かな就職相談から職業紹介、職場への定着まで一貫した支援を行っています。 また、独自の求人開拓も行っており、中小企業と求職者のマッチングの機会を提供するなど、中小企業の人材確保についても支援しています。 平成 24年 2月には、愛知労働局と連携し、なごジョブ内にハローワークの相談員を配置した「職業紹介支援室」を設置し、ハローワークの求人情報の紹介等を併せて実施することで、就業機会の拡充を図りました。 このほか、若者や女性などの対象者別の就職支援セミナーの開催、大学のキャリアセンターや民間事業者団体等と連携した取り組みも行っています。 多様な人材の活躍、多様な働き方の推進のため、求職者にとって最適な就労支援が提供できるよう、国や県の就労支援機関などとも連携して取り組んでいます。

図表 Ⅰ-27 なごジョブの運営実績

(注)平成 23年度は、平成 23年 6月 22日(開設日)以降の実績

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I. 地域経済の現状と課題

大阪

名古屋東京

大阪 名古屋東京

神奈川 千葉 埼玉

静岡

山梨長野

愛知 岐阜三重

兵庫 京都奈良 滋賀

約40分

人口5,000万人規模の大きな新しい交流圏

約100分

1,990万人 1,135万人215万人 86万人 3,562万人

377万人

リニア中央新幹線開業後リニア中央新幹線開業前

26

(5)名古屋圏を取り巻く状況

① リニア中央新幹線の開業 平成 39年度には、リニア中央新幹線の東京―名古屋間の開業が予定されており、都市間の移動時間が大幅に短縮されることで、人口 5,000 万人規模の大きな新しい交流圏(スーパーメガリージョン)が形成されると考えられます。これにより首都圏とのつながりが深まる期待がある一方、人口や経済活動が首都圏に吸い取られるストロー現象が懸念されており、リニア中央新幹線の開業を見据えながら、これをビッグチャンスとして地域産業の活性化につなげていくことが求められます。

図表 Ⅰ-28 大きな新しい交流圏のイメージ

出所)リニア中央新幹線建設促進既成同盟会資料より本市作成

 リニア中央新幹線の開業による大きな新しい交流圏の形成は、「人・モノ・カネ・情報」の交流を世界規模で活発化させると考えられます。この機会を捉え、本市は名古屋圏の中心都市として多様な主体による産業交流の促進を図り、新たな価値の創造を生み続ける魅力あるまちを目指していく必要があります。

② 名古屋駅周辺の大規模再開発 平成 39年度のリニア中央新幹線の開業に向けて、名古屋駅周辺の大規模な再開発が急速に進んでいます。平成 27年 10月に大名古屋ビルヂング、11月にJPタワー名古屋が竣工し、今後は平成 28年 6月にシンフォニー豊田ビル、平成 29年 2月にはJRゲートタワーが竣工する予定です。また、ささしまライブ24の開発が進行中で、さらには名古屋駅南地区再開発も予定されています。 名古屋駅周辺地区では、交通の利便性を活かし、ものづくり圏域の中枢として、また、名古屋圏の産業の進化と成長の起点として、商業機能・オフィス機能、ビジネス交流機能等が大きく高まるとともに、地域経済への波及効果に大きな期待が寄せられています。

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図表 Ⅰ-29 名古屋駅周辺の大規模再開発の概要

区 分 大名古屋ビルヂング

JPタワー名古屋

シンフォニー豊田ビル

JRゲートタワー

グローバルゲート

事 業主 体 三菱地所 日本郵便、

名工建設 東和不動産JR東海、ジェイアールセントラルビル

ささしまライブ24特定目的会社(豊田通商、大和ハウス工業、日本土地建物、オリックス、名鉄不動産)

延 床面 積 148,000㎡ 180,000㎡ 47,500㎡ 260,000㎡ 157,000㎡

高 さ 174.7 m 195 m 115 m 220 m 170m

入  居テナント

イセタンハウス、クリニック、ショールーム、オフィス等

郵便局、ゆうちょ銀行、KITTE名古屋、オフィス

豊田通商、三井ガーデンホテル名古屋、シネマコンプレックス、ショップ

タカシマヤ ゲートタワーモール、名古屋JRゲートタワーホテル、オフィス

プリンスホテル、コンファレンスセンター、商業施設、オフィス

竣 工 平成 27年 10月 平成 27年 11月 平成 28年 6月(予定)

平成 29年 2月(予定)

平成 29年 3月(予定)

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I. 地域経済の現状と課題

28

③ ロボカップ 2017世界大会の開催 ロボット工学と人工知能の融合、発展のために日本の研究者らによって創設された国際的なロボットの競技大会である「ロボカップ 2017 世界大会」が、平成 29年に名古屋で開催されます。この大会では、自律移動ロボットによるサッカーやレスキュー等の競技を行うほか、関連事業として展示会等を行い、世界約 40か国約 3,000 人の参加者、10万人以上の来場者を見込んでいます。この開催を機にロボット産業の振興、人材の育成につなげていきます。

ロボカップ 2015 世界大会(中国大会)

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インターネット

モ ノヒ ト情 報

(IoT=3層の重層サービス)

車両、貨物、医療機器、製造機器、ビル・家屋設備、公共インフラ、電化製品 …etc

IT関連機器以外のモノがネットワークで結ばれる。

携帯デバイスによりヒトがネットワークで結ばれる。

インターネットの登場により情報がグローバルに流通する。

モバイルPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ゲーム機

PC、サーバー、メインフレーム

29

出所)「海外の IoT市場動向」((一財)マルチメディア振興センター)(注)インダストリー 4.0:生産工程のデジタル化・自動化・バーチャル化のレベルを現在よりも高め

ることにより、コストの極小化を目指す動き。ドイツでは自ら考える「スマート工場」などの開発が行われている。

3 本市経済の課題 本市経済を取り巻く環境は、日本社会の成熟化、少子高齢化、グローバル化の進展、新興国などの急速な発展、環境・エネルギー問題の増大などの影響を受け、今後 10年間においてもさらに変化していくことが予想されます。本市の産業が成長、発展し、労働環境を改善するうえでの課題として以下のことがあげられます。

(1)本市を取り巻く外部要因

① 世界規模でのニーズの変化 名古屋圏の主要な産業である自動車の世界市場は、先進国を中心として、エネルギー制約や地球温暖化への対応から環境志向が高まっており、ガソリン車に代わって、ハイブリッド自動車、プラグイン・ハイブリッド自動車、電気自動車などの次世代自動車の市場が拡大するとみられています。また、高齢化の進展を背景としたコミュニケーションロボットの登場やSNSに代表されるような「コミュニティの構築」、「共感」への関心の高まりなど、時代の変化に対応した新たな製品、サービスへのニーズが高まっています。 あらゆるものがインターネットで結ばれるIoT(Internet…of…Things…の略。…モノのインターネット)と呼ばれる新しい概念が台頭してきており、モビリティ、ヘルスケア、エネルギーなど様々な分野のビジネスが変化しはじめています。ドイツ政府はIoTを積極的に取り込んだインダストリー 4.0(注)を打ち出し、製造業の改革プロジェクトに取り組むなど、IoT時代における新たなビジネス開発が進められています。

図表 Ⅰ-30  IoT のイメージ

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I. 地域経済の現状と課題

フェイスブック

サムスン電子

< 3G Wi-Fi >

30

② 消費者の価値観の変化 価値観の多様化が進む中、消費者のこだわりは、環境や安心・安全といったライフスタイルへと変化しています。さらに、これまでの「購入」や「所有」重視から、「消費」あるいは「利用」重視へと、大きな価値観の変化が生じており、新たなビジネスモデルの構築が重要となっています。 企業の価値観の変化への対応として、従来の産業の枠にとらわれず、多様な関連する企業を巻き込みながら成長する「ビジネス・エコシステム」という考え方が注目されています。 例えばICT産業においては、従来の携帯電話・メールからスマートフォン・SNSへと進化して消費者に新たな価値を提供することに成功しました。携帯電話・メールは通信事業者が主導していましたが、スマートフォン・SNSは、通信事業者のみならず、アプリ等多種多様な企業が供給する補完的な財・サービスを巻き込むことで市場を創出し、成長を実現しています。

図表 Ⅰ-31 モバイル産業のビジネス・エコシステムの変化

出所)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成 24年)を参考に作成

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(件数)12

10

8

6

4

2

0 (年度)16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年

デザイン・その他ビジネス支援サービスものづくり技術情報通信

31

③ 国際的な都市間競争の激化 インターネット等の情報技術の発達による情報通信の活発化は、グローバリゼーションを進展させ、より魅力的な都市に「人・モノ・カネ・情報」が集中するようになっています。都市の活力である人の集積は、多様な想像力、知恵等の交流により新たなイノベーションを生み、継続的なイノベーションは地域経済の発展を創出する原動力となっています。 世界との都市間競争に打ち勝つためには、本市独自の魅力と都市としての総合力を高め、積極的に情報発信する必要があります。

図表 Ⅰ-32 市内に進出した外資系企業数の推移

出所)名古屋市市民経済局産業部産業労働課調べ

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I. 地域経済の現状と課題

総合景況全体(168件)

うち小規模事業者(73件)

売上高全体(169件)

うち小規模事業者(73件)

経常利益全体(166件)

うち小規模事業者(72件)

良い39.3%(66件)

良い34.2%(25件)

増加46.2%(78件)

増加41.1%(30件)

増加37.3%(62件)

増加33.3%(24件)

変わらない38.7%(65件)

横ばい30.8%(52件)

横ばい34.9%(58件)

変わらない31.5%(23件)

横ばい24.7%(18件)

横ばい30.6%(22件)

悪い22.0%(37件)

悪い34.2%(25件)

減少23.1%(39件)

減少34.2%(25件)

減少27.7%(46件)

減少36.1%(26件)

32

(2)市内中小企業が抱える課題

① 中小企業が抱える課題 経済センサス(総務省)によると、平成 26年7月における本市内の民営事業所の98.8%が中小企業であり、また市内従業者の 74.8%が中小企業で働いています。地域の社会・産業・雇用において重要な役割を果たしている中小企業の振興を図ることが、本市の目指す「魅力と活力のあるまち」という都市像の実現につながります。しかしながら、少子高齢化やグローバル化といった社会経済状況の変化や後継者不足など、中小企業や小規模事業者を取り巻く状況は依然として厳しいものがあります。 本市職員が平成 25・26年度に実施した市内中小企業への訪問調査(621 件、うち小規模事業者 275 件)には、生産設備の老朽化や原材料費の上昇・燃料費の値上がり、指導者などの人手不足、技術者の高齢化などの経営上の不安、また人材育成の必要性や新事業展開、自社製品開発への取り組みの不足、ネット販売への対応などの課題を抱えている企業の声が多く寄せられています。

図表 Ⅰ-33 市内中小企業・小規模事業所の割合(従業者数ベースによる推計値)

(※総数から政治・経済・文化団体、宗教を除いた数に対する割合)出所)「平成 26年経済センサス-基礎調査」(総務省)

図表 Ⅰ-34 本市職員の訪問調査による中小企業の景況感(平成 26 年度)

経常利益増加の主な理由:「売上数量(利用客数)の増加」経常利益減少の主な理由:「売上数量(利用客数)の減少」「原材料(仕入)価格の上昇」

区  分 平成 26年

中小企業事業所数 民営事業所数(※)全体に対する割合

120,691 事業所(98.8%)

小規模事業所数 民営事業所数(※)全体に対する割合

83,582 事業所(68.4%)

中小企業従業者数 民営事業所(※)従業員数全体に対する割合

1,058,082 人(74.8%)

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〈人材育成〉

全 体

建 設 業

製 造 業

卸 売 業

小 売 業

サービス業

小規模企業

取り組んでいる

取り組んでいない 未回答

(%)〈新製品開発や他の分野への進出〉

取り組んでいる

取り組んでいない 未回答

(%)

47.4

64.6

43.1

57.1

42.6

39.1

35.3

45.5

30.2

49.2

39.5

49.2

50.0

55.7

7.2

5.2

7.7

3.4

8.2

10.9

9.0

30.6

20.8

29.9

47.6

25.4

24.5

23.2

62.5

72.9

63.8

49.0

65.6

63.6

68.7

6.9

6.3

6.3

3.4

9.0

11.8

8.1

33

【今後の経営方針】〇今後の経営方針をみると、建設業では「人材の育成・確保」、製造業では「合理化・省力化」、卸売業では「販売体制の強化」、小売業では「販売体制の強化」及び「人材の育成・確保」、サービス業では「顧客の開拓」が最も多くなっています。

【課題への取り組み状況】〇『人材育成』について「取り組んでいる」割合は、建設業で 64.6%と最も高く、卸売業が 57.1%と続いています。製造業・小売業・サービス業は 4割前後となりました。小規模事業者は 3割半ばと比較的低い水準となっています。〇『新製品開発や他の分野への進出』について「取り組んでいる」割合は、卸売業で 5割弱となっていますが、小規模事業者においては取り組みが進んでいない状態が見られます。

1 2 3

業種別

建 設 業 人材の育成・確保(55.2)施工技術の高度化合理化・省力化(32.3)(32.3)コストダウン (27.1)

製 造 業 合理化・省力化 (32.8)人材の育成・確保(28.3)製品の高級化・  高付加価値化(26.2)

卸 売 業 販売体制の強化 (46.9)人材の育成・確保(36.1)新商品の企画・開発(31.3)

小 売 業 販売体制の強化人材の育成・確保

(29.5)(29.5)品揃え機能の向上(25.4)サービスの向上 (24.6)

サービス業 顧客の開拓 (46.4)業務の高級化・  高付加価値化(34.5)サービスの向上 (30.0)

図表 Ⅰ-35 本市景況調査にみる企業の現状(平成 27 年上期調査)

【経営上の問題】〇経営上の問題点としては、建設業では「人手不足」、製造業、小売業、サービス業では「需要の減少・停滞」、卸売業は「競争の激化」が最も多くなっています。また、建設業、製造業では「原材料価格の上昇」、卸売業では「仕入れ価格の上昇」が挙げられており、円安による影響などが懸念されています。

1 2 3

業種別

建 設 業 人手不足 (37.5)原材料価格の上昇(34.4)競争の激化 (32.3)製 造 業 需要の減少・停滞(45.0)原材料価格の上昇(32.5)製品価格の低下・上昇難(24.3)卸 売 業 競争の激化 (42.2)需要の減少・停滞(40.1)仕入価格の上昇 (38.8)小 売 業 需要の減少・停滞(48.4)消費者ニーズの変化(41.8)競争の激化 (36.9)サービス業 需要の減少・停滞(37.3)料金の低下・上昇難(30.9)競争の激化 (23.6)

(%)

(%)

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I. 地域経済の現状と課題

34

② 小規模事業者への配慮 市内民営事業所の 68.4%を占める小規模事業者においては、経営資源の確保が特に困難なことが多いことを踏まえ、小規模事業者の事情に配慮した施策の展開が必要となっています。

③ 円滑な世代交代 団塊の世代の中小企業経営者が高齢化による引退の時期を迎えているものの、多くの中小企業では事業承継の準備ができておらず、後継者不足が深刻化しています。中には優れたポテンシャルを持っているものの、創業者の引退による営業力、組織力の低下により廃業となる中小企業もあり、円滑な世代交代や計画的な事業承継が必要となっています。

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福岡市

川崎市

名古屋市

相模原市

広島市

全 国

0% 10% 20%

18.51%

17.80%

16.57%

16.54%

15.82%

11.30%

0

5 , 0 0 0

10 , 0 0 0

15 , 0 0 0

20 , 0 0 0

25 , 0 0 0

農業,林業

漁業

鉱業,採石業,砂利採取業

建設業

製造業

電気・ガス・熱供給・水道業

情報通信業

運輸業,郵便業

卸売業,小売業

金融業,保険業

不動産業,物品賃貸業

学術研究,専門・技術サービス業

宿泊業,飲食サービス業

生活関連サービス業,娯楽業

教育,学習支援業

医療,福祉

複合サービス事業

サービス業(他に分類されないもの)

公務(他に分類されるものを除く)

分類不能の産業

35

(注)起業者とは :「会社などの役員」及び「自営業主」について、今の仕事(事業)が自ら起こしたものであるかどうかを調査し、自ら起業した場合に「起業者」としている。

出所)「平成 24年就業構造基本調査」(総務省統計局)より本市作成

図表 Ⅰ-36 業種別に見た本市の起業者

④ 創業・起業の増加による地域経済の活性化 高い技術力をもつ企業からのスピンアウトや新事業への展開、大学発ベンチャーなど、創業・起業が活発に行われることは、新たな産業を生み出す原動力となり、地域経済の活性化や雇用につながります。 本市の起業者についてみると、業種別では、「建設業」、「卸売業、小売業」、「学術研究、専門・技術サービス業」の順に多くなっており、起業者数全体の 8割以上を男性が占めています。起業者のうち20歳~39歳の占める割合は16.57%と全国よりも高くなっています。また、開廃業率の推移をみると、平成 25年度では、廃業率が開業率を上回っています。

出所)「平成 24年就業構造基本調査」(総務省統計局)

図表 Ⅰ-37 起業者のうち 20 歳~ 39 歳の割合

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I. 地域経済の現状と課題

3.0%

3.5%

4.0%

4.5%

5.0%

5.5%

6.0%

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 (年度)

名古屋市開業率 愛知県開業率 全国開業率名古屋市廃業率 愛知県廃業率 全国廃業率

36

出所)「雇用保険事業年報」(厚生労働省)「愛知労働局年報」(愛知労働局)

図表 Ⅰ-38 開・廃業率の推移

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月間有効求人数 月間有効求職者数 有効求人倍率

586

26,868

11,751 13,344

33,853

3,586 374

15,929

8,563 5,308

12,451 14,795

303

11,114

26,951

7,746 8,482

490 469

12,448

3,437 1,147

16,122

3,386

0

10,000

20,000

30,000

40,000

管理

専門技術

事務

販売

サービス

保安

農林漁業

生産工程

輸送・機械運転

建設・採掘

運搬・清掃等

介護関連※

(人)

1.93 2.42

0.44

1.72

3.99

7.32

0.80 1.28

2.49

4.63

0.77

4.37

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

8.00(倍)

37

(3)産業人材の育成にかかる課題

① 人材不足の顕在化、若年労働者の減少 景気の回復基調を背景に、若年無業者の減少や完全失業率の低下など、近年の雇用情勢は改善する傾向にあります。名古屋地域の有効求人倍率は、平成 23年に 1倍を上回り、平成 27年 10月は 2.06 倍と高い水準を維持しています。 職種別にみると、専門技術、サービス、介護関連など多くの職種では人材不足となっている一方、事務、運搬・清掃等では求職者が過剰となっており、求人・求職のミスマッチが発生しています。また、少子化の進展により若年労働者数が減少しており、将来的な労働力不足の深刻化による経済の停滞が懸念されます。 また、愛知県の新規大学卒業者の卒業後 3年以内に離職した者の割合は、平成 24年 3…月卒業者で 29.0%と高く、社会にとって大きな損失となっています。早期離職者はその後の就職活動において不利な状況になることも多く、若者に対するカウンセリングの充実や中小企業内での定着支援の取り組みが重要となっています。 このほか、深刻化する人材不足への対応としては、女性・高齢者・外国人などの就労や人材の確保・定着支援の取り組みが必要です。また、ものづくり現場を支えてきた熟練技術者の退職に加え、若者のものづくり現場離れも進んでおり、特に中小企業においては、技術の伝承と人材確保の支援が必要となっています。

図表 Ⅰ-39 求人・求職バランスシート(平成 27 年 10 月)

(注)「介護関連」は専門技術およびサービスの職業のうち、介護関連の職業を合計したものである。出所)平成 27年 10月分「求人・求職バランスシート」(愛知労働局)

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I. 地域経済の現状と課題

40.0

35.0

30.0

25.0

20.0

15.0

10.0

5.0

0.0

(%)

(年)

3年目

2年目

1年目12.2 13.0 11.6 12.2 10.5 11.5 11.8 12.5 13.0 13.4 11.6 13.1 11.4 12.7

9.8 10.4 8.6 9.5 8.7 8.9 9.5 10.0 9.2

10.1 9.0

10.2

7.0 7.7 7.5 8.3

7.2 8.4 7.8 8.5 8.2

8.8

愛知 全国 愛知 全国 愛知 全国 愛知 全国 愛知 全国 愛知 全国 愛知 全国 愛知 全国

H19 H20 H23 H24 H25 H26H21 H22

11.3 12.2

9.110.0

8.48.9

76.4%

63.6%

75.9%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%

H24(名古屋)

H14(名古屋)

H24(全国)

15〜19歳

20〜24歳

25〜29歳

30〜34歳

35〜39歳

40〜44歳

45〜49歳

50〜54歳

55〜59歳

60〜64歳

65〜69歳

70〜74歳

75歳以上

38

図表 Ⅰ- 40 新規学卒就職者(大学卒)の在職期間別離職率

② 女性の活躍推進 女性は結婚・出産・育児などにより一度離職することが多いため、女性の労働力率を表すグラフが、いわゆるM字カーブとなっています。平成 14年から平成 24年にかけて年齢の高い層の労働力率が上昇し、またM字カーブの底も上昇していますが、依然として本市は全国平均より深いM字カーブとなっています。 地域経済の持続的成長のためには、様々な分野において女性が活躍していくことが不可欠です。ライフスタイルにあった多様な働き方や男女ともに働きやすく仕事と育児等が両立できる環境づくりへの取り組みが必要です。

図表 Ⅰ- 41 本市の年齢階級別労働力率(女性)

出所)「新規学校卒業者(高校・短大等・大学)の離職状況」(愛知労働局)

出所)「平成 24年就業構造基本調査」(総務省)

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「仕事」を優先「地域・個人の生活」を優先「仕事」と「地域・個人の生活」をともに優先「仕事」と「家庭生活」と「地域・個人の生活」をともに優先わからない・無回答

「家庭生活」を優先「仕事」と「家庭生活」をともに優先「家庭生活」と「地域・個人の生活」をともに優先その他

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

希望

現実

6.7 26.7 4.0 31.4 3.2 9.9 13.9 2.7

1.5

40.3 22.5 2.5 19.6 2.7 4.7 3.0 2.9

1.7

39

 長時間労働に代表される硬直化した労働習慣を見直し、一人ひとりのライフスタイルにあった多様な働き方や効率的な働き方の実現は、人材の確保・育成、生産性の向上など企業にとって効果的であるだけでなく、企業価値の向上にもつながるものと考えられています。 しかしながら、愛知県が実施した企業向け実態調査によると、有給休暇の取得促進やノー残業デーの設定など、労働時間短縮に向けた取り組みを実施している企業の割合は5割程度で停滞しており、企業規模が小さいほど取り組みが実施されていない傾向が伺えます。 ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、労働時間短縮に向けた取り組みのほか、子育て、介護、地域活動などの生活と仕事の両立が可能となる勤務形態や勤務制度の整備・運用など、だれもがいきいきと働きつづけることができる環境づくりへの取り組みを企業等に引き続き働きかけていく必要があります。

出所)愛知県「平成 26年第 3回県政世論調査」(名古屋市分)

③ ワーク・ライフ・バランスの実現 近年、仕事と生活の好循環をもたらす働き方として、「ワーク・ライフ・バランス」が重要視されています。 愛知県の県政世論調査では、「仕事」「家庭生活」「地域・個人への生活」への関わり方について、希望としては「『仕事』と『家庭生活』をともに優先したい」が 31.4%と最も多く、「『仕事』を優先したい」は 6.7%であるのに対し、現実は「『仕事』を優先している」が 40.3%と最も多くなっており、希望と現実に大きな隔たりがあるという結果となりました。

図表 Ⅰ- 42 ワーク・ライフ・バランスの希望と現実

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I. 地域経済の現状と課題

10~29人

30~49人

50~99人

100~299人

300~999人

1000人以上

全体

(従業員規模)

(%)100

90

80

70

60

50

40

30

(%)

平成 24年 平成 25年 平成 26年

40

図表 Ⅰ- 43 労働時間短縮に向けた取り組みの実施状況

出所)「労働条件・労働福祉実態調査」(愛知県)