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本県産業の特徴と課題 1 本県の立地環境・地域資源の特徴と課題 特 徴 本県は、首都圏北部に位置し、東日本の南北軸と東西軸の結節点にあるという地理的優位性を有すると ともに、比較的平坦で、関東地方最大の面積を有し、産業活動の基盤となる土地や水資源にも恵まれてい ます。 県を南北に貫く形で東北縦貫自動車道、国道4号、新4号国道の広域幹線道路が通り、東西には北関東 自動車道と国道50号が県南部と茨城県、群馬県を結び、常磐自動車道・関越自動車道も含め東日本の東 西南北にネットワークを形成しています。また、今後、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)により、東海・ 関西地方や、多摩地域を中心としたものづくり産業の集積地である首都圏西部地域に、首都高速道路を経 由せずアクセスすることが可能になるなど、北日本と西日本を結び付ける重要な拠点としての役割が期待 されています。 また、日光国立公園を始めとする優れた自然環境、豊富な温泉にも恵まれ、日光、那須といった我が国 を代表する観光地を有するとともに、世界遺産「日光の社寺」や国の特別史跡・特別天然記念物の「日光杉 並木街道」等の世界に誇れる歴史遺産、ユネスコ無形文化遺産の「結城紬」や、「益子焼」等の優れた伝統工 芸品が広く知られています。 さらに、那珂川、鬼怒川、渡良瀬川など関東地方を代表する河川、環境省の名水百選に選ばれた尚仁沢 湧水(塩谷町)、出流原弁天池(佐野市)を有するなど、豊富で良質な水にも恵まれており、肥沃な農地と相 まって、地域性豊かな農業が展開され、47年連続日本一の収穫量を誇る「いちご」をはじめ、二条大麦、生乳、 にら、日本なしなど、全国で上位を占める農産物も数多くあります。 今後の地域経済の活性化に向けては、こうした豊富な地域資源を活かした取組を広げていくことが重要 な鍵になると考えられますが、東京圏に近接していることなどから、全国の中で明確なイメージが持たれ ておらず、地域ブランド力は全国下位となっています。 県都宇都宮からの交通アクセス ○新幹線 東  京:最速49分 名・ 古 ・ 屋:約2時間30分 大  阪:約3時間30分 ○空港アクセス(自動車利用) 羽田空港:約1時間30分 成田空港:約1時間30分 茨城空港:約1時間 ○港湾アクセス(自動車利用) 京・浜・港:約2時間 茨・城・港:約1時間 図表1 栃木県の位置 郡山 新潟 岡谷 仙台 福島空港 東京 大宮駅 東京 千葉 新白河駅 成田空港 羽田空港 甲府 北陸自動車道 長岡 水戸 小山駅 那須塩原駅 大宮駅 さいたま さいたま 福島 宇都宮 宇都宮駅 栃木ヘリポート 日光 宇都宮道路 北関東自動車道 いわき 長野 山形 横浜 横浜 東海道新幹線 新潟港 新潟空港 茨城港 常陸那珂港区 京浜港 ひたちなか 100km 200km 茨城 空港 茨城空港 富山 前橋 − 13 −

Ⅲ 本県産業の特徴と課題 Ⅲ 本県産業の特徴と課題 - Tochigi ...Ⅲ 本県産業の特徴と課題 1 本県の立地環境・地域資源の特徴と課題 特 徴

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  • 本県産業の特徴と課題Ⅲ

    1 本県の立地環境・地域資源の特徴と課題

    特 徴

    本県は、首都圏北部に位置し、東日本の南北軸と東西軸の結節点にあるという地理的優位性を有するとともに、比較的平坦で、関東地方最大の面積を有し、産業活動の基盤となる土地や水資源にも恵まれています。県を南北に貫く形で東北縦貫自動車道、国道4号、新4号国道の広域幹線道路が通り、東西には北関東自動車道と国道50号が県南部と茨城県、群馬県を結び、常磐自動車道・関越自動車道も含め東日本の東西南北にネットワークを形成しています。また、今後、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)により、東海・関西地方や、多摩地域を中心としたものづくり産業の集積地である首都圏西部地域に、首都高速道路を経由せずアクセスすることが可能になるなど、北日本と西日本を結び付ける重要な拠点としての役割が期待されています。また、日光国立公園を始めとする優れた自然環境、豊富な温泉にも恵まれ、日光、那須といった我が国を代表する観光地を有するとともに、世界遺産「日光の社寺」や国の特別史跡・特別天然記念物の「日光杉並木街道」等の世界に誇れる歴史遺産、ユネスコ無形文化遺産の「結城紬」や、「益子焼」等の優れた伝統工芸品が広く知られています。さらに、那珂川、鬼怒川、渡良瀬川など関東地方を代表する河川、環境省の名水百選に選ばれた尚仁沢湧水(塩谷町)、出流原弁天池(佐野市)を有するなど、豊富で良質な水にも恵まれており、肥沃な農地と相まって、地域性豊かな農業が展開され、47年連続日本一の収穫量を誇る「いちご」をはじめ、二条大麦、生乳、にら、日本なしなど、全国で上位を占める農産物も数多くあります。今後の地域経済の活性化に向けては、こうした豊富な地域資源を活かした取組を広げていくことが重要な鍵になると考えられますが、東京圏に近接していることなどから、全国の中で明確なイメージが持たれておらず、地域ブランド力は全国下位となっています。

    県都宇都宮からの交通アクセス ○新幹線  東  京:最速49分  名・古・屋:約2時間30分  大  阪:約3時間30分 ○空港アクセス(自動車利用)  羽田空港:約1時間30分  成田空港:約1時間30分  茨城空港:約1時間 ○港湾アクセス(自動車利用)  京・浜・港:約2時間  茨・城・港:約1時間

    1 

    本県の立地環境・地域資源の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    図表1 栃木県の位置

    郡山

    新潟

    岡谷

    仙台

    福島空港

    東京

    大宮駅

    東京

    千葉

    新白河駅

    成田空港羽田空港

    甲府

    北陸自動車道

    長岡

    水戸小山駅

    那須塩原駅

    大宮駅 さいたまさいたま

    福島

    宇都宮宇都宮駅栃木ヘリポート

    日光宇都宮道路

    北関東自動車道

    常磐自動車道

    関越自動車道

    いわき

    長野

    山形山形新幹線

    上越新幹線

    北陸新幹線

    東北自動車道

    東北自動車道

    横浜横浜

    東海道新幹線

    新潟港新潟空港

    茨城港常陸那珂港区

    京浜港

    ひたちなか100km

    200km

    茨城空港茨城空港

       幹線

       線

    東北新幹線

    宇都宮線

    富山

    前橋

    − 13−

  • Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    1 

    本県の立地環境・地域資源の特徴と課題

    課 題

    ● 地域間競争が激化する中、ブランド力の向上は、観光誘客や企業誘致、県産品の販売などにおいて重要な意味を持つことから、本県の多彩で魅力ある地域資源を磨き上げ、国内外に発信していく必要があります。

    ● 今後、圏央道、北海道新幹線の開通などの広域高速交通網の整備を本県の更なる発展の機会と捉え最大限活用しつつ、企業立地の競争力や観光地としての魅力を一層高めていく必要があります。

    ● 東京オリンピック・パラリンピック等の大規模なイベント等は、地域の魅力発信や外国人観光客の誘客等による本県観光関連の商業・サービス業の活性化につながるほか、文化・スポーツの振興や健康づくりに向けた新しいビジネスの創出などの面で大きなチャンスとなるものであり、これらの機会を生かす取組を進める必要があります。

    図表3 全国から見た栃木県の認知度図表2 全国から見た栃木県のイメージ

    〔資料〕栃木県に関するイメージ調査(平成 26年3月)

    よく知っている ,5%

    知っている ,16%

    少しだけ知っている ,

    35%

    名前だけは知っている ,

    41%

    全く知らない ,3%自然環境に恵まれている

    歴史と文化がある

    観光スポットが多い

    おいしい食べ物が豊富

    農林業が盛ん

    わからない、特にない

    0% 10% 20% 30% 40%

    図表4 地域ブランド力の都道府県順位

    〔資料〕㈱ブランド総合研究所「地域ブランド調査」

    40

    45

    4244

    41 41

    35

    47 47 4746 47

    47 4745

    41

    44

    47

    4446

    45

    313335373941434547

    平成21 22 23 24 25 26 27

    (年度)

    栃木県 茨城県 群馬県

    − 14−

  • 2 本県の産業構造の特徴と課題

    特 徴

    本県では、昭和30年代後半(1960年代)からの積極的な工業化政策により、第1次産業から第2次産業へのシフトが進み、県内総生産及び県民所得も順調に増加してきました。1990年代以降、本県の県内総生産は8兆円前後で推移するとともに、全国でも比較的上位(平成24年度(2012年度)は第16位)に位置し、一人当たりの県民所得も、全国上位で推移しています。全国有数のものづくり県として発展を遂げた本県の産業構造は、全国的な傾向と同様に第3次産業へシフトしつつありますが、第2次産業、特に製造業の割合が全国と比較すると高く、第3次産業の構成比が低いことが特徴となっています。県内総生産に占める第2次産業の構成比は35.3%で、全国平均の23.5%より約12ポイント高く全国第7位(平成24年度(2012年度))、第2次産業就業者割合は30.7%で、全国平均の25.2%より約5ポイント高く全国第9位(平成22年(2010年))となっています。こうした本県の産業構造は、国内外の景気動向の影響を受けやすく、特に製造業の好不調に左右される傾向にあります。平成20年(2008年)のリーマンショックに端を発した世界同時不況では、本県でも県内総生産(名目)が大幅に減少するなど大きな影響を受けました。社会経済情勢の変化、経営者の高齢化等に伴い地域の活力の低下が懸念される中、新たな地域経済の担い手を創出していくことが重要ですが、本県における開業率は全国平均を下回っている状況にあります。

    2 

    本県の産業構造の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    図表 1 栃木県の県内総生産(名目)・経済成長率の推移

    〔資料〕内閣府「県民経済計算」

    ▲ 6

    ▲ 5

    ▲ 4

    ▲ 3

    ▲ 2

    ▲ 1

    0

    1

    2

    385,000

    80,000

    75,000

    0

    (億円)

    (年度)

    (%)県内総生産(名目)(左軸) 経済成長率(栃木県)(右軸) 経済成長率(国)(右軸)

    平成14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

    79,735 79,68979,689

    81,77382,232

    83,16883,653

    79,383

    77,37977,379

    79,232

    78,23978,239

    77,379

    − 15−

  • Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    2 

    本県の産業構造の特徴と課題

    図表 2 一人当たり県(国)民所得の推移

    〔資料〕内閣府「県民経済計算」

    全国栃木県

    平成130

    2,700

    2,800

    2,900

    3,000

    3,100

    3,200(千円)

    (年度)

    1位

    24位

    47位14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

    9位 9位 9位6位

    10位 9位

    10位10位 12位9位

    7位 8位 7位

    県民所得全国順位(右軸)

    図表 3 栃木県内の県内総生産(名目)産業別構成比の推移

    2.12.1

    1.11.1

    35.335.3

    23.523.5

    62.062.0

    74.974.9

    0%

    昭和45(年度)

    50

    55

    60

    平成2

    7

    12

    17

    22

    24

    第1次産業 第2次産業 第3次産業10 20 30 40 50% 60 70 80 90 100%

    24(全国)

    〔資料〕内閣府「県民経済計算」

    ※構成比算出上の分母である県内総生産には「輸入品に課される税・関税」及び「(控除)総資本形成に係る消費税」を含むため、各産業の構成比の単純合計は100%にならない。

    図表 4 栃木県の産業別就業者割合の推移

    0% 10 20 30 40 50% 60 70 80 90 100%

    22(全国)

    22

    17

    12

    7

    平成2

    60

    55

    50

    昭和45(年)

    4.24.2

    5.65.6

    25.225.2

    30.730.7

    70.670.6

    59.6 59.6

    第1次産業 第2次産業 第3次産業

    〔資料〕総務省「国勢調査」

    − 16−

  • 2 

    本県の産業構造の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    図表5 栃木県の産業別県内総生産(名目)の推移

    〔資料〕内閣府「県民経済計算」

    50,000

    40,000

    30,000

    20,000

    10,000

    0

    10%

    5%

    0%

    -5%

    -10%

    -15%

    (億円)

    第1次産業第1次産業(増加率)

    47,37647,376 47,08647,086 46,88746,887 47,12947,129 46,99746,997 47,66647,666 48,51848,518 47,64747,647 48,01748,017 47,96647,966 48,00748,007 47,97347,973

    第2次産業第2次産業(増加率)

    第3次産業第3次産業(増加率)

    平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24(年度)

    31,07331,073

    1,5941,594 1,6731,673 1,6341,634 1,6021,602 1,5501,550 1,5001,500 1,4401,440 1,4091,409 1,3471,347 1,4391,439 1,4931,493 1,6171,617

    30,84530,845 31,05231,05232,88532,885 33,46833,468 33,82033,820 33,46633,466

    30,03530,03527,91927,919

    29,46329,463 28,27728,277 27,32727,327

    図表6 栃木県における開廃業率の推移

     〔資料〕厚生労働省「雇用保険事業年報」

    (%)

    平成23 (年度)0.0

    1.0

    2.0

    3.0

    4.0

    5.0

    6.0

    24 25 26

    開業率(全国) 開業率(栃木県)

    廃業率(全国) 廃業率(栃木県)

    課 題

    ● 本県が将来にわたって力強く発展を遂げていくためには、これまでの取組や蓄積されてきた経験・技術・ノウハウを活かしながら、国内外の社会経済情勢の変化に対応できる産業構造を構築していく必要があります。

    ● 本県のものづくり産業の集積を活かし、技術力・経営力の底上げを図りながら、高付加価値産業の集積、新技術の開発、新たな成長分野の開拓、地域資源の活用・ブランド化など、付加価値額の増大に向けた多様な取組を促進するとともに、少子高齢化等に伴う地域需要への対応など、地域に応じた新たな産業の創出を図り、多様な産業の展開を図っていく必要があります。

    ● 産業の新陳代謝を促進し、地域における新たな雇用の場を創出するため、創業希望者や創業間もない者を支援するとともに、将来、地域発の新事業創出の担い手となる中核企業を支援していく必要があります。

    − 17−

  • 3 製造業の特徴と課題

    特 徴

    ① 統計調査の結果に基づく現状本県の製造品出荷額等は、平成20年(2008年)9月のリーマンショックや平成23年(2011年)3月の東日本大震災等の影響を受けて、大きく落ち込み、特に平成23年(2011年)、平成24年(2012年)と2年連続で減少が続きました。しかし、平成25年(2013年)の製造品出荷額等は、8兆1,795億円で、前年から7,454億円(10.0%)の増加となり、持ち直しを見せています。また、平成25年(2013年)の事業所数(従業者4人以上)は4,438所となっており、平成21年(2009年)と比較すると500所ほど減少しています。従業者数については、平成21年(2009)年以降、20万人を下回る数で推移しています。産業別に見ると、「輸送機械」、「飲料・たばこ」、「電気機械」等をはじめとして多様な業種がバランス良く集積しています。特に最も大きな比率を占める「輸送機械」の製造品出荷額等については、平成21年(2009年)の1兆3,368億円から平成25年(2013年)の1兆5,886億円と、4年間で2,518億円(18.8%)の増加となっています。また、同期比較で「飲料・たばこ」は6,730億円から8,098億円と、1,368億円の増加、「情報機械」は7,520億円から3,917億円と、3,603億円の減少となっています。北関東3県の平成25年(2013年)の製造品出荷額等を比較すると、本県が8兆1,795億円で、平成21年

    (2009)年と比較して4,998億円(6.1%)の増加、茨城県が10兆9,013億円で、同期比555億円(0.5%)の増加、群馬県が7兆7,727億円で、同期比1兆660億円(15.9%)の増加になっています。

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    3 

    製造業の特徴と課題

    図表1 栃木県の製造品出荷額等・従業者数の推移 ※従業者 4 人以上の事業所

    〔資料〕経済産業省「工業統計調査」

    250,000

    200,000

    150,000

    100,000

    50,000

    0

    事業所数従業者数 ( 人 )

    事業所数 従業者数 製造品出荷額等

    100,000

    90,000

    80,000

    70,000

    60,000

    50,000

    40,000

    30,000

    20,000

    10,000

    0

    (億円)

    平成11 13 1412 15 16 17 18 19 20 21 22 23 2524 (年)

    75,78475,784

    223,566223,566

    215,743215,743

    211,166211,166

    203,033203,033

    205,498205,498

    203,200203,200

    207,732207,732

    209,304209,304

    218,656218,656

    212,563212,563

    198,992198,992

    198,685198,685

    191,874191,874

    189,178189,178

    192,205192,205

    7,0377,037 7,0677,067 6,5536,553 6,0306,030 6,1736,173 5,6555,655 5,8635,863 5,4365,436 5,4185,418 5,4705,470 4,9304,930 4,7184,718 4,9974,997 4,5904,590 4,4384,438

    76,64676,64675,03275,032

    76,59276,592 77,04577,04580,41280,412

    83,52283,52287,27987,279

    92,45392,453 92,79292,792

    76,79776,797

    84,59184,591

    76,02076,020 74,34174,341

    81,79581,795

    − 18−

  • 3 

    製造業の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    図表2 栃木県の製造品出荷額等の産業別構成比

    〔資料〕経済産業省「平成 21年工業統計調査」

    平成21年製造品出荷額等7兆6,797億円

    情報機械9.8%

    その他10業種9.5%

    飲料・たばこ8.8%

    電気機械8.4%化学

    7.3%プラスチック6.5%

    食料品6.3%

    金属5.1%

    非鉄4.4%

    生産機械4.1%

    業務機械3.6%

    電子部品3.2%

    鉄鋼3.0%

    パルプ・紙2.6%

    輸送機械17.4%

    〔資料〕経済産業省「平成 25年工業統計調査」

    平成25年製造品出荷額等8兆1,795億円

    飲料・たばこ9.9%

    その他10業種10.3%

    電気機械9.7%

    化学7.0%食料品

    6.3%プラスチック5.8%

    生産機械5.4%

    金属4.9%

    情報機械4.8%

    非鉄4.3%

    業務機械3.8%

    電子部品2.9%

    パルプ・紙2.8%

    鉄鋼2.8%

    輸送機械19.4%

    図表3 製造品出荷額等の北関東 3県の比較

    〔資料〕経済産業省「工業統計調査」

    群馬県 栃木県 茨城県

    平成21年 平成25年

    120,000

    100,000

    80,000

    60,000

    40,000

    20,000

    0

    67,067

    76,797

    108,458 109,013

    81,79577,727

    (億円)

    − 19−

  • ② 工業基本調査の結果に基づく県内製造業の傾向と特徴●下請的な立場にある多くの県内事業所平成26年度工業基本調査によると、本県の製造業では、下請的な立場にある事業所が58.3%となっており、5年前の前回調査時の65.3%と比べるとその割合は減少しており、下請から自立する動きが見られます。しかしながら、発注元との「現在の関係の維持」を考える事業所が55.3%と、「自社製品開発等による自立」を考える事業所の10.5%を大きく上回っており、大企業等の発注企業の業績等の影響を受けやすい状況にあると言えます。県内下請先に対する発注企業の評価については、「納期管理」や「品質水準」が高い一方、「提案能力」、「ISO保有」や「一貫生産能力」といった項目が低くなっています。  下請的な立場から自立を考える事業所では、自社の強みとして「製造技術力・技能」を挙げていますが、その反面、「販売営業網」や「研究開発力」を弱みと捉えています。

    ●新分野進出等の取組新分野進出や新製品開発の実態を見ると、直近5年間のうちに取り組んだ企業の割合はそれぞれ10.6%、20.5%と低い状況にありますが、取組を行った企業のうち48.8%が、「成果があった」と回答しており、今後も市場ニーズの多様化に対応した積極的な新分野進出・新製品開発の取組を進めていく必要があります。

    ●海外への事業展開海外市場の展開については、既に海外に進出している企業が16.7%となっており、前回調査の9.7%から増加しています。人口減少、少子高齢化に伴い国内需要の縮小が進む中、成長著しいアジア諸国の旺盛な需要に対応した販路開拓等の取組を行うことが更に重要になると見込まれることから、積極的な事業展開が求められます。

    ●行政への要望行政への要望として、「人材確保への支援」、「人材養成への支援」、「制度融資の充実」の割合が高くなっており、人材や資金の不足が明らかになっています。特に大手進出企業等の大規模事業所ほど、人材の確保・養成に関する要望の割合が高くなっています。

    工業基本調査(平成26年度調査)県内企業1,134サンプル               ・・ ※【 】内は平成21年度調査時の数値。

    ○下請的立場にある事業所の状況  ・下請的立場にある事業所   58.3%【65.3%】  ・今後の発注元に対する考え 「現在の関係の維持」    55.3%【51.9%】                「自社製品開発等による自立」 10.5%【 7.5%】  ・自立したい事業所の強み・弱み    強み:「製造技術力・技能」 70.8% 「研究開発力」 27.7% 「低コストでの生産」 27.7%       「資材・原材料等の調達」 27.7%    弱み:「販売営業網」     45.8% 「研究開発力」 32.2% 「低コストでの生産」 25.4%○下請等の利用状況  ・下請等を利用している事業所  58.7%【60.9%】          小規模事業所  51.3%【50.1%】          中規模事業所  64.2%【66.4%】          大規模事業所  85.7%【87.5%】

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    3 

    製造業の特徴と課題

    − 20−

  •   ・県内下請先に対する評価    高い:「納期管理」「品質水準」「価格水準」等    低い:「提案能力」「ISO保有」「一貫生産能力」等○新分野進出・新製品開発の実態(直近5年間)  ・新分野進出等の状況    「新分野事業に取り組んだ」  10.6%【12.0%】    「新製品開発に取り組んだ」  20.5%【23.4%】    「どちらもしていない」    70.7%【67.1%】  ・新分野進出等の理由    「市場ニーズへの対応」「新分野の魅力・成長可能性」「業務拡大」等  ・新分野進出等の成果    「成果があった」       48.8%【37.0%】    「成果があがらなかった」     8.3%【10.2%】    「どちらともいえない」     7.6%【10.9%】    「まだ判断できる時点にない」 35.3%【41.9%】○海外展開状況  ・海外進出企業   16.7%【 9.7%】  ・進出先      アジア:92.5%【92.5%】 北米:19.6%【21.5%】 欧州:13.1%【12.9%】○行政への要望  「人材確保への支援」 30.7%【14.5%】  「人材養成への支援」 25.4%【22.5%】  「制度融資の充実」  18.8%【32.2%】  ※大規模事業所  「人材確保への支援」 50.0%【21.1%】  「人材養成への支援」 55.0%【26.3%】

    ③ 企業ヒアリングの調査結果とりまとめ平成26年度中に実施した企業ヒアリング(製造業)では、重点5分野やフードバレー等に関連する中小企業・小規模企業22社と大手進出企業10社の県内企業32社を訪問し、自社の業況、事業上の課題、特徴ある取組や今後の事業展開、さらには行政への要望などを幅広く聴き取りました。主な内容は次のとおりとなっています。

    〔中小企業・小規模企業〕 ●販路拡大支援に対する評価と要望

    県の支援による展示商談会出展などを契機として取引実績も出てきたが、安定的な生産活動や事業継続のためには、今後も大手企業等とのマッチング機会が必要である。(金属製品製造業等)

    ●医療機器分野への参入に関する課題医薬品医療機器等法に基づく医療機器製造販売業の許可が医療機器分野への参入障壁となっているが、医療機器専業メーカーへの部品供給に特化する方針をとり、当該法律の許可を受けなくても可能な範囲の中で販路開拓の取組をしている。自社の人材・技術などに関する強みや弱みを分析した上で、どのようなポジションで事業展開を図っていくのか見極めていく必要がある。(金属製品製造業等)

    ●本県の地域性による傾向と県内企業の連携栃木県は様々な面で恵まれているため、既定路線で物事を進める傾向があるが、今後の成長発展のためには、よりチャレンジングな「栃木県“発”の取組」が必要であり、県内の中小企業が持つ技術等を結集して、大手企業に提案する取組ができれば、更なる地域振興や雇用促進等につながる可能性がある。(合成樹脂再生加工販売業)

    3 

    製造業の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    − 21−

  • ●人材等を重視する中小企業多様な人材の育成を図るため、社員の技能向上につながる各種資格の取得を促進するとともに、熟練技能者だけでなく働く意欲のある高齢者については、70歳を超えても雇用を継続している。(電気めっき業等)

    ●重点5分野や“フードバレーとちぎ”の取組に対する評価重点5分野やフードバレーの各協議会における取組については、販路開拓や情報収集といった面で有効であるが、事業の方向性をより明確化し、企業間の連携が更に進むような仕組みを作っていく必要がある。(清酒製造業等)

    ●海外展開に当たっての課題海外展開に当たっては、現地での顧客対応、法規制や商慣行に精通したグローバル人材を確保することや、ノウハウを有する大手企業や支援機関等の協力を得ることが不可欠である。(金属製品製造業)

    ●補助金制度の申請や関連情報の入手に関する課題研究開発や販路開拓に対する国や県の補助制度等は非常に有効であり、県等の実施する補助制度の説明会やメール等による情報提供は有益である。しかし、小規模企業にとっては、補助金申請手続きの煩雑さ、関連情報の氾濫などが課題である。(金属製品製造業)

    〔大手進出企業〕●県内中小企業に関する情報県内中小企業に研究開発の試作依頼等を円滑にできるように、企業が有する技術や製品に関する一覧情報があることが望ましい。発注先の企業に対しては、高い品質水準、価格水準を求めると同時に、高い提案能力を期待している。(輸送用機械器具製造業等)

    ●女性従業員の活用育児期間にある女性従業員の継続的な活用のためには、保育環境の充実など、子育て環境の更なる充実が必要である。(化学工業)

    ●行政等に対する各種要望工場敷地内の環境規制等の緩和、通勤時間帯等の渋滞解消に資するインフラ整備、自社製品の地産地消を促進する施策が必要である。(輸送用機械器具製造業)

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    3 

    製造業の特徴と課題

    − 22−

  • 3 

    製造業の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    課 題

    ● 下請的な立場にある中小企業・小規模企業が多く、景気や為替の変動等の影響を受けやすいことから、生産性の向上や提案型企業への転換を図るための支援を強化していく必要があります。

    ● 特定の製品分野において国内で高いシェアを誇るニッチトップ企業や、県内の企業からより多くの仕入れを行い自社で付加価値を高めて県外に販売する、いわゆるコネクターハブ企業などは、地域経済の活性化に重要な役割を果たしていることから、これらの地域中核企業を育成していくため、重点的な支援を行っていく必要があります。

    ● 中小企業・小規模企業の専門的な技術や研究開発資金の不足等に対応するため、産学官金の連携を進めていく必要があります。

    ● 小規模企業ほど人的資源や資金に限りがあり、研究開発や販路開拓への積極的な取組に困難な面があることから、きめ細かな支援が必要です。

    ● 東日本大震災の際のサプライチェーンの寸断等による生産中止の経験を踏まえ、事業継続計画(BCP※1)未策定の企業等に対して、普及啓発・策定支援を行うなど、災害対応力の向上を支援する必要があります。

    ● 国内需要の減少や大企業の海外進出等の動向を踏まえ、成長著しいアジア諸国等に展開する意欲を持つ事業者に対して、販路開拓や人材育成・確保等に関する支援を行うなど、グローバル展開を支援する必要があります。

    ● 大企業において生産拠点の国内回帰の動きが見られることから、県内中小企業に対して、大企業との取引拡大に向けた展示商談会の開催や共同受注体制の構築などの支援を行っていく必要があります。

    ● 重点5分野協議会のこれまでの取組成果を生かしつつ、航空機や次世代自動車などの新たな成長産業分野へのシフトを促進していく必要があります。また、国の成長戦略に呼応した取組を検討していく必要があります。

    ● “フードバレーとちぎ”の推進により、商品開発や販路開拓など、様々な点で成果が出てきましたが、引き続き県産農産物の活用や農商工連携を促進していくとともに、消費者に訴求できる商品づくりや他地域との差別化が図られる栃木ならではの取組を展開していく必要があります。

    ● 高度な技術や地域資源を生かした製品の開発を支援するとともに、こうした製品を広く周知し、販路拡大を支援する必要があります。

    ● 地域プラットフォームや経済対策活用促進ネットワーク会議をはじめ支援機関の様々なネットワークが構築されているが、更なる補助金等支援策の情報提供に係るネットワークの活用やこれらの支援機関の機能強化を図っていく必要があります。

    ※1 Business・Continuity・Planの略称。

    − 23−

  • 4 商業・サービス業の特徴と課題

    特 徴

    ① 統計調査の結果に基づく現状本県商業(卸売業・小売業)の年間商品販売額は、4兆9,015億円(平成24年(2012年))となっており、平成19年(2007年)と比較すると、5年間で約7,500億円(13.3%)減少しています。また、事業所・従業者数について、同様に比較すると、それぞれ約1,400店(5.9%)減少、約6,500人(4.1%)減少となっています。商業・サービス業(第3次産業)の事業所数は、「卸売業,小売業」の割合が33.1%と最も高く、次いで「宿

    泊業,飲食サービス業」が16.3%、「生活関連サービス業,娯楽業」が12.3%、「医療,福祉」が7.7%となっています。最近3年間における商業・サービス業の事業所数及び従業者数は、多くの業種で減少傾向にあります。「卸

    売業,小売業」は事業所数、従業者数ともに10%以上減少している一方で、「医療,福祉」の事業所数、従業者数はそれぞれ2.5%、10.4%の増加となっています。

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    4 

    商業・サービス業の特徴と課題

    図表1 栃木県の年間商品販売額及び事業所数・従業者数の推移(卸売業・小売業)

    〔資料〕経済産業省「商業統計調査」「経済センサス」

    ※平成19年までの「商業統計調査」と平成24年の「経済センサス-活動調査」とは調査手法が異なることから、その差数が全ての増加、 減少を示すものではない。従業者数には、臨時雇用者を含まない。

    事業所数(店)従業者数(人) (億円)

    (年)

    70,000

    60,000

    50,000

    40,000

    30,000

    20,000

    10,000

    0

    200,000

    180,000

    160,000

    140,000

    120,000

    100,000

    80,000

    60,000

    40,000

    20,000

    0

    事業所数 従業者数 年間販売額

    平成9 11 14 16 19 24

    61,432 60,558 56,46554,724 56,503

    49,015

    165,084 178,145 171,067 165,252 159,909 153,399

    28,938 29,466 26,936 25,752 23,991 22,578

    図表2 栃木県の商業・サービス業事業所数産業大分類別構成比

    〔資料〕経済産業省「平成 24年経済センサスー活動調査」

    情報通信業 0.9%

    運輸業,郵便業3.2%

    卸売業,小売業33.1%

    金融業,保険業2.0%

    不動産業,物品賃貸業 7.6%

    学術研究,専門・技術サービス業 4.3%

    宿泊業,飲食サービス業

    16.3%

    生活関連サービス業,娯楽業 12.3%

    教育,学習支援業4.0%

    複合サービス事業0.7%

    医療,福祉7.7%

    電気・ガス・熱供給・水道業 0.1%

    サービス業(他に分類されないもの) 7.8%

    − 24−

  • ②-1 商業・サービス業実態調査の結果に基づく県内商業・サービス業の傾向と特徴●依然として厳しい経営環境にある県内事業者平成26年度商業・サービス業実態調査の結果によると、県内の卸売業、小売業及びサービス業の事業所では、経営上の問題点として「価格競争の激化」や「仕入価格の上昇」を挙げており、コスト削減をはじめ、様々な点での営業努力が必要となっています。また、自社の5年後の業況見通しは、「悪化」と「やや悪化」の計が「好転」と「やや好転」の計を大きく上回っています。人材面での取組では、各業種ともに今後の従業者数を「現状維持する」が大半を占めており、「増員する」と回答した事業者の割合は15%程度になっています。

    ●小規模事業所における事業継続の意向後継者の育成・事業継続の意向では、各業種とも小規模事業所(従業者4人以下)において、「適切な後継者がいない」ことを理由に自分の代で廃業を考える割合が高くなっており、事業承継等の支援が必要となっています。

    ●経営上の相談先経営上の問題解決のために利用する相談窓口については、「税理士、公認会計士等」、「商工会、商工会議所、中小企業団体中央会」の順になっており、納税申告や日常業務のつながりの中で相談しているものと考えられます。

    ●販路開拓の取組状況現に行っている販路開拓の取組として、卸売業では「新規市場調査」、小売業では「ネットビジネスの展開」、サービス業では「新商品等・サービスの企画開発」が上位になっていますが、実施しているネットビジネスについては、自社ホームページによるネット通販がインターネットショッピングモール出店よりも多くなっています。

    4 

    商業・サービス業の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    図表3 3年間における栃木県の商業・サービス業事業所数の増減率(H21・H24)

    電気・ガス・熱供給・水道業

    情報通信業

    運輸業,郵便業

    卸売業,小売業

    金融業,保険業

    不動産業,物品賃貸業

    学術研究,専門・技術サービス業

    宿泊業,飲食サービス業

    生活関連サービス業,娯楽業

    教育,学習支援業

    医療,福祉

    複合サービス事業

    サービス業(他に分類されないもの)

    比率・総数

    -25.0 -20.0 -15.0

    -10.8-8.4

    -3.4-5.2

    -8.6-11.5

    -12.8

    -5.0

    1.9

    5.6

    2.510.4

    3.05.5

    2.1

    -3.7-9.5

    -6.0-7.3

    -4.6-6.0

    -10.4-4.4

    -12.3

    -19.2-19.9

    -6.9-5.3

    -10.0 -5.0 0 5.0 10.0 15.0

    事業所数

    従業者数

    (%)

    〔資料〕経済産業省「経済センサス」

    − 25−

  • ●人口減少・少子高齢化に伴う新たな取組各業種とも人口減少・少子高齢化の進展について「影響が出ており、今後対策の必要性を感じている」の割合が高くなっており、将来的な取組としては、「高齢者・単身世帯など拡大市場での事業拡大等」が上位に入っています。

    ●事業継続計画(BCP)の策定状況BCPの策定状況については、卸売業で「策定済み」と「策定予定」の計が46.7%になっていますが、小売業、サービス業では、「策定予定なし」が約75%となっています。「策定しない理由」については、「必要性がない」、「BCPがどのようなものかわからない」の割合が高くなっていることから、策定に向けた周知や支援が必要となっています。

    ●行政に期待する施策行政に期待する施策としては、「各種情報の提供」、「公的融資」、「販路開拓支援」が上位となっており、引き続き国等の補助制度の周知を適時適切に行うとともに、制度融資や商談会等の開催によるマッチング支援を継続・充実していく必要があります。

    商業・サービス業実態調査(平成26年度調査)県内企業1,437サンプル(卸売業178・小売業545・サービス業714)

    ※【 】内は平成21年度調査時の数値。

    ○経営上の問題点  「価格競争の激化」 卸売業   49.4%【43.7%】、小売業 34.9%【29.4%】  「仕入価格の上昇」 サービス業 29.7%【13.2%】○自社の5年後の業況見通し  「悪化」「やや悪化」の計   卸売業 52.0%【51.9%】、小売業 71.2%【68.3%】、サービス業 57.4%【58.3%】  「好転」「やや好転」の計   卸売業 21.9%【28.6%】、小売業 11.7%【16.6%】、サービス業 16.6%【16.4%】○人材面での取組(今後の従業員数)  「増員する」 卸売業 16.1%、小売業 14.8%、サービス業 15.6%  「現状維持」 卸売業 74.7%、小売業 69.6%、サービス業 62.7%  「減員する」 卸売業   1.7%、小売業   2.8%、サービス業   2.9%○後継者の育成・事業継続の意向  各業種ともに、小規模事業所では「自分の代で事業を辞めたい」の割合が高い。  廃業の検討理由は、「適切な後継者がいない」の割合が最も高い。○経営上の問題解決のために利用する相談窓口

    各業種ともに「税理士、会計士、社会保険労務士等」「商工会、商工会議所、中小企業団体中央会」の順になっている。

    ○販路の開拓  ・現に行っている取組(上位2項目)    卸売業   「新規市場調査」「新商品(新サービス)企画開発」    小売業   「ネットビジネスの展開」「商品(サービス)のブランド化」    サービス業 「新商品(新サービス)企画開発」「ネットビジネスの展開」  ・実施しているネットビジネス    各業種ともに「ネット通販(自社ホームページ)」の割合が高く、次に「ネット通販(モール)」となっている。  ・海外の販路開拓

    卸売業では「行っている」が12.2%、「行っていない」が87.8%となっており、小売業、サービス業では「行っている」が1%台に留まっている。

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    4 

    商業・サービス業の特徴と課題

    − 26−

  • ○人口減少・少子高齢化に伴う事業の新たな取組  ・人口減少・少子高齢化の影響

    卸売業では「影響はない」の割合が最も高いものの、各業種とも総じて「影響が出ており、今後対策の必要性を感じている」の割合が高い。

      ・人口減少・少子高齢化に対する将来的取組    各業種において「高齢者・単身世帯など拡大市場での事業拡大等」が上位に入っている。○事業継続計画(BCP)の策定状況  卸売業       「策定済み」と「策定予定」の計 46.7%  小売業、サービス業 「策定予定なし」  小売業74.9%、サービス業74.8%

    「策定しない理由」については、各業種とも「必要性がない」「BCPがどのようなものかわからない」の割合が高い。

    ○行政に期待する施策  「各種情報の提供」「公的融資」「販路開拓支援」に対する期待が高い。

    ②-2 商店街実態調査の結果に基づく県内商店街の傾向と特徴●商店街の現況と変化平成26年度商店街実態調査の結果によると、5年前の調査との比較では、区域内の総店舗数は「減少」が82.0%を占めていますが、「増加」が前回調査の1.0%から7.1%に増えており、来街者数もわずかながら「増加」している商店街があります。

    ●商店街の現況と問題点商店街の現況と問題点については、全体の景況として、「衰退」と「やや衰退」となっている商店街が82.5%を占めていますが、「繁盛」と「やや繁盛」とする商店街の割合が微増しています。衰退等の要因としては、「商圏の人口・世帯数の減少」、「郊外や周辺への大型店の進出」の割合が高くなっており、問題点としては、商店街の強みが「特にない」とする割合が49.1%と高く、また、後継者不足や次世代リーダーの不在が挙げられています。

    ●空き店舗の状況とその活用方法空き店舗の状況とその活用では、1商店街当たりの空き店舗が平均5.7店となっており、空き店舗率を地域別に見ると、県央地域が他地域よりも低く、立地環境別に見ると、観光地が高くなっています。空き店舗の活用方法としては、「必要業種の誘致」、「新規開業者向け貸店舗」、「コミュニティ施設」が上位となっています。

    商店街実態調査(184サンプル)※【 】内は平成21年度調査時の数値。

     ○商店街の店舗構成等   商店街内の店舗合計:6,019店 1商店街当たり:平均34.8店    商店街加入店:平均21.2店(加入率60.9%) ○商店街の現況と変化(5年前との比較)   ・商店街区域内の総店舗数の変化     「増加」 7.1%【1.0%】  「不変」 10.9%【14.9%】  「減少」 82.0%【84.2%】   ・増減した店舗の種類     増加:「飲食店」25.5%  「コンビニエンスストア」17.5%     減少:「飲食店」31.3%  「生鮮食料品店」23.9%  「衣料品店」23.3%   ・来街者の主な客層     「高齢者」 74.5%【72.3%】 「主婦」 72.3%【78.7%】   ・来街者数の変化     「増加」 7.1%【3.5%】  「不変」 14.7%【9.0%】  「減少」 78.3%【87.6%】

    4 

    商業・サービス業の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    − 27−

  •  ○商店街の現況と問題点(5年前との比較)   ・商店街全体の景況

    「衰退」「やや衰退」の計が82.5%【91.5%】を占めるが、「繁盛」「やや繁盛」の計が6.0%【2.0%】と前回調査から一部改善の見られる商店街がある。

    景況が変わらないあるいは衰退している要因では、「商圏の人口・世帯数の減少」(52.6%)「郊外や周辺への大型店の進出」(52.0%)の割合が高い。

       ・商店街に期待される役割     5年前と同様、「高齢者等地域住民の身近な購買機会の提供」、「地域の賑わいの創出」等となっている。   ・強み     「特にない」 49.1%  「業種構成」 14.5%  「駐車場がある」 13.3%   ・直面している課題     「後継者不足」 61.2%  「店舗老朽化」 33.3%   ・次世代リーダーの有無     「いる」 40.2%【37.1%】   ・次世代リーダー養成の必要性

    次世代リーダーがいない商店街の割合は約6割であり、そのうちリーダーの養成を必要としている商店街は83.8%を占める。

     ○空き店舗の状況とその活用   ・空き店舗数     合計878店 1商店街当たり平均5.7店   ・空き店舗率     12.7%【13.1%】

    地域別にみると、県央地域(10.3%)は他の地域よりも空き店舗率が低い。立地環境別にみると、観光地(17.6%)は空き店舗率が高い。

       ・空き店舗発生の原因     「後継者の不在」73.6% 「経営不振」52.3%   ・空き店舗の活用方法     「必要業種の誘致」50.9% 「新規開業者向け貸店舗」43.4%     「コミュニティ施設(保育サービス、高齢者交流施設等)」41.5%

    ②-3 地域購買動向調査の結果に基づく県内購買動向の傾向と特徴●地域購買の状況平成26年度地域購買動向調査の結果によると、県内の地元購買率が96.2%となっており、中学1年生のいる家庭※1はほぼ県内で買物を済ませている状況になっています。旧49市町村ごとの地元購買率の加重平均は61.3%であり、前回の(平成21年度)調査時の66.3%から小さくなっており、14市町村で上昇し、35市町村で低下するなど、地元市町村内で購買しない流出市町村が多くなっており、地域の商店の減少や大型店の開店などが商圏に影響を与えているものと考えられます。また、店舗形態における買物状況では、「専門チェーン」、「百貨店・総合スーパー」、「スーパー」の利用が多いことから、大型店での買物が多くなっていると考えられます。通信販売、インターネット販売等の利用状況については、「食料品」、「日用衣料」、「スポーツ用品・玩具・CD/DVD」などで20%程度の利用が見られます。

    ※1 県内の市町立中学校(158校)の第1学年在学生の全世帯を対象として調査を実施。

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    4 

    商業・サービス業の特徴と課題

    − 28−

  • 地域購買動向調査(12,819サンプル)※【 】内は平成21年度調査時の数値。

     ○地元購買率   ①県内における購買率                 96.2%【96.8%】   ②旧49市町村の地元購買率の平均(人口による加重平均) 61.3%【66.3%】    地元購買率は、14市町村で上昇し、35市町村で減少 ○店舗形態別買物利用状況

    居住市町村内で買物を行う店舗形態は、上位から「専門チェーン店」、「百貨店・総合スーパー」、「スーパー」、居住市町村以外では、上位から「百貨店・総合スーパー」、「専門チェーン店」、「スーパー」となっている。

     ○買物理由居住市町村内で買物する理由は、上位から「自宅から近い」、「値段が安い店舗がある」、「品揃えが豊富な店舗

    がある」、居住市町村以外では、上位から「品揃えが豊富な店舗がある」、「値段が安い店舗がある」、「品質がよい店舗がある」となっている。

     ○通信販売、インターネット販売等の利用状況(割合の高い順)   「生協・農協による定期宅配便」による「食料品」 22.8%   「通販カタログ」による「日用衣料(普段着)」 20.3%   「インターネットショッピングモール」による「スポーツ用品・玩具・CD/DVD」 18.2%

    ③ 企業ヒアリングの調査結果とりまとめ平成26年度中に実施した企業ヒアリング(商業・サービス業)では、地域の小売店から中堅食品スーパー、物流事業者など多種多様な県内企業19社を訪問し、自社の業況、事業上の課題、特徴ある取組や今後の事業展開、さらには行政への要望などを幅広く聴き取りました。主な内容は次のとおりとなっています。

    ●他社との差別化顧客の求める品揃え、地域資源の活用、物流コストの低減、人材の確保・育成など、幅広い観点から経営戦略を練った上で、他社との差別化を図ることが重要である。(食品スーパー)

    ●アフターケアの充実による地域一番店商品販売を行っていく上では、単なる物販のみで利益を得るのではなく、購入後のアフターケア等の顧客サービスを提供することが必要であり、顧客にとっての「地域一番店」化を目指すことにより、限られた商圏の中でも利益を確保することが可能になる。(自動車小売業)

    ●ヘルスケアなどの多角的な事業展開商品等の販売だけではなく、顧客の健康相談にも応じる地域の総合的なヘルスケアセンターとしての役割を果たすほか、一部の店舗ではデイサービス施設を併設し、アミューズメント性を持たせたプログラムを提供するなど、健康づくりを軸に多角的な事業を展開している。(ドラッグストア)

    ●買い物弱者への対応買い物弱者への対応のため、地域限定で無料の買い物代行サービスとして自店の商品を直接購入者に届けている。代行サービス単独では採算が見込めないものの、地元高齢者の需要が多く、地域貢献の一環として実施している。(道の駅運営事業者)

    ●事業継続計画(BCP)の策定不測の事態等を想定し、営業現場の意見も吸い上げた上でBCPを策定しており、全従業員の安否確認訓練を実施するほか、パンデミック(特にインフルエンザ)対策として店舗管理者の予防接種等に対する資金補助を行っている。(ホームセンター)

    4 

    商業・サービス業の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    − 29−

  • ●物流拠点の整備東日本大震災の発生以前に、物流拠点を整備していたことにより、震災後もいち早く商品の供給を再開することができた。物流拠点は小売業の生命線であると認識している。(ドラッグストア)

    ●大規模店と差別化を図った地域密着型の営業手法大規模小売店と異なる地域性のある接客サービスやイベントの開催により顧客を確保している。また、自分の店だけでなく、地域に顧客を呼び込むため、観光情報の提供や地元B級グルメのPR活動を独自に実施するなど、地元商店街の活性化という視点を取り入れた活動をしている。既存の手法を革新できない小売店はますます営業継続が困難になっていくと考えている。(婦人服小売業)

    ●インターネット販売の取組飲食店経営に加え、商品のネット販売を行っており、商圏が全国に広がるほか、リピーターを確保できるなど、安定した利益確保につながる。しかし、人員が少ない小さな企業にとっては、決済環境の整備や商品の受発注管理コスト等の課題がある。(飲食店)

    ●小規模企業のニーズに即した情報提供等の要望県や各自治体には様々な支援制度があるものの、情報が氾濫気味で自分で取捨選択することが困難であることから、制度の有効な組み合わせ方など、事業者の実態に即したアドバイスが必要である。(菓子小売業)

    ●高齢化社会の進展に合わせた事業展開高齢化社会の進展に合わせて、高齢者施設入所者や病院患者向けの食料品販売のほか、食品メーカーと共同して健康食品開発を行っている。販路は県内全域から東京等の県外にも及んでおり、今後も物流コスト等を勘案しながら事業展開していく。(食料・飲料卸売業)

    ●民間を活用したヘルスケアの取組健康寿命の延伸、医療費の縮減に向けては、行政の力だけでは限界があることから、民間のノウハウを活用したヘルスケアの取組を進めることが重要である。特に高齢者に対しては、楽しみながら健康づくりができるプログラムを提供する必要がある。(フィットネスクラブ)

    ●官民が連携した地域振興の取組自転車等のスポーツによる地域振興など、官民が連携した取組を増やすことにより、様々な面で地域全体に経済波及効果が出てくると思われる。(情報サービス業)

    ●リノベーションによる空き家の有効活用空き家を有効な資源とみなして、新たなコミュニティの場(例:カフェ)として活用している。再生した店舗を含めて、その地域一帯に魅力的な要素を創出することができれば、広範囲からの集客が可能である。(喫茶店、不動産業)

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    4 

    商業・サービス業の特徴と課題

    − 30−

  • 4 

    商業・サービス業の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    課 題

    ● 人口減少、少子高齢化に伴う国内需要の減少等に対応し、中小企業・小規模企業が事業を発展させていくためには、創業期から成長期、成熟期などの各ステージに応じた事業者への支援を充実させていく必要があります。

    ● サービス産業の生産性は、製造業等と比べ低いことから、生産性の向上、高付加価値化を推進していく必要があります。

    ● 特に小規模企業ほど、顧客のニーズ把握や新規獲得、新商品開発、情報収集・発信、事業承継の対応などに苦慮していることから、人材の確保・育成や個店の経営安定・発展、さらには商店街振興のため、行政や商工団体等による支援の充実が必要です。

    ● 商業・サービス業実態調査では、小規模企業ほど「適切な後継者がいない」ことなどを理由に廃業を考えていることから、これら事業者と新規創業等を希望する人材とのマッチングの取組を進める必要があります。

    ● 地域外の需要を取り込む上で、ネットビジネスは有効な方法であり、県内事業者においても一定の参入がみられるが、その割合は全国と比較して少ないことから、大手事業者のインターネットショッピングモールの活用を含め、その取組を更に促進していく必要があります。

    ● 事業継続計画(BCP)は、災害等の緊急時における事業の継続又は早期復旧により、取引先の維持・獲得、企業の信頼度の向上に資する効果があるほか、BCPの策定を通じて企業の業績改善の効果が期待でき、中長期の経営戦略を練る機会にもなることから、未策定の企業等に対して普及啓発・策定支援を行う必要があります。

    ● 海外展開している事業者が少数に留まっていますが、地域の特性や購買層など、ターゲットを具体化した上で、事業展開が図られるように支援していく必要があります。

    ● 高齢化社会において需要の増大が見込まれる健康長寿産業に関しては、市町村や関係部局、さらには関係団体が連携し、事業者が取り組みやすい環境を整備していく必要があります。

    ● 家庭生活支援など、少子高齢化や雇用環境の変化等に伴う多様なニーズに対する取組を促進する必要があります。

    ● 豊かな地域資源を活用して、農業の6次産業化や観光など多様な産業を育成していく施策が必要です。

    − 31−

  • 5 観光の特徴と課題

    特 徴

    ① 統計調査の結果に基づく現状平成26年(2014年)の本県の観光客入込数は、8,711.5万人と3年連続で増加し、過去最高となりました。また、平成25年(2013年)からは、東日本大震災前の平成22年(2010年)を超える入込数で推移しています。平成26年(2014年)の観光客宿泊数は、787.5万人となっており、3年連続で増加しましたが、震災前の平成22年(2010年)の水準まで回復するには至っておらず、回復状況に地域差が見られます。平成26年(2014年)の外国人宿泊数は、14.6万人と3年連続で増加し、過去最高となりました。

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    5 

    観光の特徴と課題

    図表1 栃木県の観光客入込数・宿泊数の推移

    〔資料〕栃木県「栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」

    80,000

    60,000

    40,000

    20,000

    0

    15,000

    14,000

    13,000

    12,000

    11,000

    10,000

    9,000

    8,000

    7,000

    6,000

    0

    入込数(千人)

    観光客入込数 (旧基準)

    観光客宿泊数 (旧基準)

    観光客入込数 (新基準)

    観光客宿泊数 (新基準)

    宿泊数(千人)

    平成5 13 141211 15 167 86 9 10 17 18 19 20 21 22 23 262524 (年)

    9,7819,781

    9,5689,568

    8,9188,918 8,8648,864

    8,8718,8718,5568,556

    8,1078,1077,7437,743

    7,9317,931

    8,7158,7158,4118,411 8,3468,346

    7,8487,848 7,9907,9907,6007,600

    7,8077,807

    7,8757,875

    6,4686,468

    8,2638,263 8,2028,202

    9,4269,426

    9,6479,6479,8659,865

    49,69049,690

    49,86849,868

    51,18751,187

    52,25552,255

    52,78252,782

    52,47552,475

    52,78652,786

    52,36352,363

    51,48851,488

    53,47353,473

    53,97053,970

    71,53571,53574,90474,904

    77,05577,055

    76,74176,741

    80,41280,412

    74,30174,301

    82,34382,34385,42585,425

    87,11587,115

    83,41783,417

    85,22285,222

    71,58271,582

    図表2 栃木県の外国人宿泊数の推移

    〔資料〕栃木県「栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」

    160,000

    140,000

    120,000

    100,000

    80,000

    60,000

    40,000

    20,000

    0

    (人) 県計(全市町) 県計(8市町)

    平成17

    ※平成22年までの調査対象は8市町(宇都宮市、足利市、佐野市、日光市、那須塩原市、益子町、茂木町、那須町) 。 平成23年からの調査対象は全市町。

    18 19 20 21 22 23 262524 (年)

    99,87099,870

    135,415135,415

    137,433137,433

    136,520136,520

    101,604101,604

    119,335119,335

    49,65049,650

    55,03255,032

    109,417109,417119,773119,773

    126,683126,683

    146,429146,429

    141,845141,845117,646117,646

    − 32−

  • ②-1 観光動態調査の結果に基づく国内旅行者の傾向等

    県内観光客の傾向

    ●居住地平成26年度観光動態調査の結果によると、日帰り客の居住地は、県内(37.2%)が最も多く、茨城県

    (16.2%)、埼玉県(15.4%)と続いています。東京圏(埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県)が29.8%を占めています。宿泊客の居住地は、東京都(22.0%)が最も多く、埼玉県(19.1%)と続いており、県内は8.3%となっています。東京圏が60.7%を占めています。

    ●滞在時間・宿泊日数日帰り客の県内滞在時間は、「2時間以上、4時間未満」が最も多く、平均滞在時間は3時間58分でした。宿泊客の県内での宿泊日数は「1泊」が8割を超え、平成21年度調査と比較すると宿泊日数は短期化しています。(1泊:㉑66.3%→㉖82.6%、2泊:㉑25.3%→㉖13.3%)

    ●訪問回数県外からの日帰り客の本県への来訪回数は「初めて」が4.4%でした。リピーターが95.4%を占め、特に「五回目以上」が8割を超えています。県外からの宿泊客の本県への来訪回数は「初めて」が9.7%でした。リピーターが87.8%を占め、特に

    「五回目以上」が6割を超えています。

    5 

    観光の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    【宿泊客】【日帰り客】

    〔資料〕栃木県「平成 26年度栃木県観光動態調査」

    栃木県37.2%

    茨城県16.2%

    埼玉県15.4%

    東京都8.4%

    群馬県7.7%

    福島県6.3%

    千葉県3.8%

    神奈川県2.2%

    その他2.9%

    東京都22.0%

    埼玉県19.1%

    茨城県10.7%

    千葉県10.7%

    神奈川県8.9%

    栃木県8.3%

    福島県4.1%

    群馬県2.5% その他13.7%

    無回答0.1%

    【宿泊客の県内での宿泊日数】【日帰り客の県内滞在時間】

    〔資料〕栃木県「平成 26年度栃木県観光動態調査」

    2時間未満12.8%

    2時間以上4時間未満

    34.1%4時間以上6時間未満

    29.3%

    6時間以上8時間未満

    15.9%

    8時間以上10時間未満

    4.7%

    10時間以上2.0%

    無回答1.1%

    1泊82.6%

    2泊13.3%

    4泊 0.7%5泊以上 0.4%

    3泊 2.5%

    不明 0.0%無回答0.3%

    − 33−

  • ●旅行先を選んだ際の情報源宿泊客の旅行先を選んだ際の情報源は、「以前来訪した際の自身の経験」が41.3%と最も多く、次いで「その他のWeb・サイトの情報(19.9%)」となっています。また、“決め手”となった情報源は、「以前来訪した際の自身の経験」が24.5%と最も多くなっています。

    ●満足度等宿泊客の「満足度」や「再来訪意向」は、いずれも約9割が肯定的でした。 満足度・・・・・「大変満足」+「ほぼ満足」=87.2% また訪れたい・・「大変そう思う」+「そう思う」=87.8%

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    5 

    観光の特徴と課題

    【県外客の本県への来訪回数】【日帰り客】 【宿泊客】

    〔資料〕栃木県「平成 26年度栃木県観光動態調査」

    初めて 4.4%二回目 3.9%

    三回目 5.1%

    四回目 2.3%

    不明0.2%

    五回目以上84.2%

    初めて9.7%

    二回目8.8%

    三回目8.9%

    四回目4.0%五回目以上

    66.3%

    無回答2.4%

    不明0.1%

    【宿泊客の期待度/満足度/ 再来訪意向/ 推薦意向】

    〔資料〕栃木県「平成 26年度栃木県観光動態調査」

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    あまり期待していなかった調査地域への期待度

    (n=1229)大いに期待していた

    33.8やや期待していた

    50.4どちらでもない

    13.8 1.9

    全く期待していなかった

    0.1

    やや不満総合満足度(n=1321)

    大変満足21.3

    ほぼ満足65.9

    どちらでもない11.4 1.4

    大変不満0.1

    あまり思わない再来訪意向(n=1320)

    大変そう思う27.3

    そう思う60.5

    どちらでもない10.0 2.0

    全く思わない0.2

    あまり思わない紹介意向(n=1321)

    大変そう思う22.0

    そう思う60.5

    どちらでもない14.9 2.1

    全く思わない0.5

    100%

    80%

    60%

    40%

    20%

    0%以前来訪した際の

    自身の経験

    家族や友人知人からの

    紹介・推奨

    個人のブログや

    インターネット掲示板

    地域や施設の公式

    webサイトの情報

    その他のweb

    サイトの情報

    旅行雑誌・ガイド

    ブックの記事

    旅行会社の旅行

    パンフレット

    テレビや映画での

    紹介、ロケ地情報

    旅行会社の店員

    からの勧め

    割引券や優待券

    自分の意志外

    特に理由はないが、

    なんとなく

    その他

    不明

    無回答

    41.3

    12.4 11.217.4 19.9 18.1

    10.2 5.4 0.9 4.8 3.5 2.0 6.5 0.09.3

    6.9

    24.5

    4.4 8.9 10.7 7.3 5.2 1.7 0.6 2.4 2.8 2.1 4.6 0.6

    17.5

    【旅行先を選んだ際の情報源/ “決め手 ”となった情報源(宿泊客)】

    〔資料〕栃木県「平成 26年度栃木県観光動態調査」

    選んだ情報源(複数回答) 決め手となった情報源(単一回答)

    − 34−

  • ●本県の魅力11の項目について、県内居住者と近隣都県居住者に旅行先として栃木県より魅力を感じる都県を聞いたところ、「栃木県より魅力を感じる都県はない」と回答した割合は、県内居住者と近隣都県居住者ともに、「各種体験が楽しめる」、「アウトドアが楽しめる」、「スポーツが楽しめる」の3項目で割合が高くなっています。一方で、「魅力的な観光スポット・イベントがある」、「買い物が楽しめる」、「街歩きが楽しめる」、「魅力的な食べ物がある」といった項目は、相対的に割合が低くなっています。

    ②-2 観光動態調査の結果に基づく訪県外国人旅行者の傾向等●日光での宿泊東武日光駅及びJR日光駅の駅前での聞き取り調査では、日光に宿泊する観光客の割合(47.2%)と日帰り客の割合(52.8%)はほぼ同数でした。東アジアでは、宿泊客が日帰り客の割合を上回り、東南アジア、アメリカ・オセアニア、ヨーロッパでは、日帰り客が宿泊客の割合を上回りました。

    5 

    観光の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    【比較の対象とした12都県】宮城県、福島県、茨城県、群馬県、埼玉県、東京都、千葉県、              神奈川県、山梨県、静岡県、長野県、新潟県

    〔資料〕栃木県「平成 26年度栃木県観光意向調査」

    県内 n=1000 近隣都県 n=1400

    魅力的な観光スポット・ イベントがある

    魅力的な宿泊施設がある

    魅力的な温泉がある

    魅力的な食べ物がある(宿泊時の食事を除く)

    魅力的な自然・景観がある

    街歩きが楽しめる買い物が楽しめる

    スポーツが楽しめる(ゴルフ、テニス、スキーなど)

    アウトドアが楽しめる(登山、釣り、自転車、川遊びなど)

    各種体験が楽しめる(農業体験、フルーツ狩り、手作りなど)

    魅力的なレジャー施設がある(遊園地、テーマパークなど)

    60.0

    50.0

    40.0

    30.0

    20.0

    10.0

    0.0

    【日光での宿泊(駅前調査結果のみ)(n=301)】

    〔資料〕栃木県「平成 26年度栃木県観光動態調査」

    47.2

    62.5

    宿泊あり 宿泊なし

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    46.4

    46.3

    32.6

    52.8

    37.5

    53.6

    53.7

    67.4 ヨーロッパ(n=95)

    アメリカ・オセアニア(n=41)

    東南アジア(n=69)

    東アジア(n=96)

    全体(n=301)

    − 35−

  • ●日光以外の宿泊地日光以外の日本での宿泊地では、94.9%の回答者が東京に宿泊しています。そのほかの宿泊地では、京都(32.7%)、大阪(24.1%)、富士山周辺(17.0%)が多くなっています。

    ●案内表示言語の種類の満足度日光エリアにおける案内表示言語の種類についての満足度は、全体では宿泊施設の満足度が80.9%と最も高く、道路などの案内標識が52.5%と他に比べ低くなっています。

    ●無料公衆無線LANの満足度日光エリアにおける無料公衆無線LANの満足度は、全体では、宿泊施設の満足度が76.7%と最も高く、その他は5割未満と低くなっています。

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    5 

    観光の特徴と課題

    【日本での宿泊地別(n=352)】

    〔資料〕栃木県「平成 26年度栃木県観光動態調査」

    東京

    富士山周辺飛騨高山名古屋京都大阪奈良

    高野山・熊野地域広島福岡

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    94.9

    8.217.0

    4.33.4

    32.724.1

    4.84.09.4

    4.0

    伊豆・箱根

    【案内表示言語の種類の満足度(地域別)】

    〔資料〕栃木県「平成 26年度栃木県観光動態調査」

    観光施設宿泊施設

    100%

    80%

    60%

    40%

    20%

    0%全体 東アジア 東南アジア アメリカ・

    オセアニアヨーロッパ

    展示物やパンフレット等道路などの案内標識飲食店、土産物店のメニュー

    47.1

    80.9

    52.5

    66.464.7

    57.666.7

    72.171.7

    58.3

    85.9

    44.6

    66.762.7

    52.5

    79.5

    40.4

    62.5

    82.8

    58.354.1

    59.761.9

    71.8 61.1

    【無料公衆無線 LANの満足度(地域別)】

    〔資料〕栃木県「平成 26年度栃木県観光動態調査」

    観光施設 飲食店、土産物店 宿泊施設

    100%

    80%

    60%

    40%

    20%

    0%全体 東アジア 東南アジア アメリカ・

    オセアニアヨーロッパ

    49.244.4

    66.7

    43.8

    76.768.8

    44.041.5

    32.1

    76.5

    57.1

    77.8

    60.050.0

    93.3

    − 36−

  • ③ 企業ヒアリングの調査結果とりまとめ平成26年度中に実施した企業ヒアリングでは、県内の観光協会、首都圏の旅行エージェント、交通事業者、マスコミなどの企業等13団体を訪問し、国内の旅行動向、本県の観光全般、インバウンド、さらには本県観光の課題点や行政への要望などを幅広く聴き取りました。主な内容は次のとおりとなっています。

    ●観光地の魅力づくり○ 旅行形態が団体旅行から家族・個人旅行へと小規模化しており、それに伴う観光客のニーズの多様化に対応していく必要がある。(観光協会、旅行エージェント)

    ○ 有名な観光地への訪問、温泉・宿泊といった従来型の観光に加え、その地域でしかできない体験や知る人ぞ知る穴場の観光スポットなど、より幅広い情報が求められている。(観光協会、旅行エージェント等)

    ○ 世界遺産や温泉といった従来の観光資源だけではなく、今後は各地域が行政や旅行エージェントとの連携を図りながら、新たな観光資源の掘り起こしやそれを基にした旅行商品の造成に主体的に取り組んでいく必要がある。(観光協会、旅行エージェント等)

    ●情報発信○ 栃木県には、日光や鬼怒川といった世界的に有名な観光地や温泉、とちぎ和牛やとちおとめ等の特産品が存在し豊富な観光資源があるが、個々の観光資源のブランド力が栃木県のイメージに必ずしも結び付いていない。(旅行エージェント)

    ○ 現状では、本県の観光PR手法は県全体を万遍なく行うものであり、またその情報量も多く、観光客にとって魅力的な情報が上手く伝わっていない可能性がある。(旅行エージェント)

    ○ 今後は各地域の特徴を明確にした上で観光テーマを設定する等、より分かりやすくインパクトのある情報発信を行っていく必要がある。(旅行エージェント、マスコミ)

    ●二次交通○ 県内観光地は車がないと移動しづらい状況にあるが、高齢化の進行に伴い、鉄道旅行の需要が見込まれることから、二次交通の充実が必要である。(観光協会、旅行エージェント、交通事業者、マスコミ)

    ○ 二次交通対策に当たっては、単に輸送経路の確保にとどまらず、利用してもらうための仕組みづくりが重要である。(交通事業者)

    ●地域間連携○ 観光客の県内での滞在時間を長くするため、特定のエリアだけではなく、県全体を周遊させるような広域観光パッケージの構築が必要である。その前提として、地域間を結ぶ交通網の充実・確保やストーリー性を持たせた地域資源の結び付けといった地域間連携の強化が重要である。(観光協会、旅行エージェント、交通事業者、マスコミ)

    ●観光事業者、観光関係団体の事業運営○ 着地型旅行商品の造成や販売などに当たり、各観光施設を取りまとめるワンストップ窓口の設置が必要である。(観光協会、旅行エージェント、交通事業者)

    ○ ニューツーリズムを継続していくためには、観光事業者にお金が落ちるような仕組みが必要である。(旅行エージェント)

    5 

    観光の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    − 37−

  • ●観光客の受け入れ、おもてなし○ 観光事業者はもとより地域全体、県全体でお客様を迎え入れる気運の醸成が必要である。(観光協会)

    ○ 観光産業は非常に裾野が広いことから、今後の取組においては、観光関係事業者はもちろんのこと、農業者や商業者、県民一人ひとりのレベルまで観光振興の意識を醸成し、全体の底上げを図っていく必要がある。(旅行エージェント)

    ●観光に関わる人材の確保・育成○ 温泉街においても、若者の減少や高齢化が進んでおり、人材不足から新たな取組に着手できない現状がある。観光を支える人材の確保・育成が課題となっている。(観光協会)

    ○ 今後増加が期待される外国人観光客の誘致に当たって、外国語対応など専門的な知識やノウハウを持った人材の確保・育成が課題となる。(旅行エージェント)

    ●外国人観光客の誘致○ 多言語表記、Wi-Fi環境、免税店、キャッシュレス決済環境、二次交通など、受入環境の整備はまだまだ不十分であり、また、地域によって取組状況に差が見られる。(観光協会、旅行エージェント)

    ○ 地域の情報発信の観点からは、個人旅行者へ観光情報を提供する仕組みを構築することが重要である。観光協会等の団体や観光事業者、その他の商業・サービス事業者のホームページの多言語化のほか、SNSを利用しやすい環境の整備が急務である。(観光協会)

    ●調査・分析○ 行政・観光協会・民間の連携を深めながら、どこに弱みがあるのか把握していく必要がある。(旅行エージェント)

    ○ 効果的なプロモーションを行うためには、マーケティング調査が必要である。また、県内観光地の流動実態についても定期的に把握し、分析していく必要がある。(マスコミ)

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    5 

    観光の特徴と課題

    − 38−

  • 5 

    観光の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    課 題

    (国内旅行者関係)● 首都圏に対する情報発信を更に強化するなど、ターゲットを明確にした上でそれぞれに応じた戦略的な情報発信を行う必要があります。

    ● 本県を訪れたことのない方に対し、まず一度来ていただけるように、本県の魅力を発信していくことが必要です。

    ● 多くの観光客から高い評価を受け、本県訪問の理由とされている温泉、自然・景観、歴史・文化など、本県の魅力の更なる磨き上げが必要です。

    ● 「特産品」、「各種体験」、「アウトドア」、「スポーツ」を活用した観光誘客や旅行ニーズの動向を踏まえた観光素材の掘り起こしと磨き上げが必要です。

    ● 食べ物、街歩き、買い物等の魅力の向上や広域連携による周遊性の向上を図るなど、滞在時間・日数の長期化や消費喚起に向けた取組が必要です。

    (訪県外国人旅行者(インバウンド)関係)● 東京を訪れる多くの外国人旅行者に来てもらい、そして、宿泊につなげていくための戦略的な情報発信が必要です。

    ● 国・地域ごとの嗜好の見極めにより、訴求力の高いコンテンツを充実させることが必要です。

    ● ターゲットに応じた効果的な情報発信手法を見極め、プロモーションを展開していくことが必要です。

    ● 外国語対応など専門的な知識やノウハウを持った人材の確保・育成が必要です。

    ● 地域が一体となり、案内標識等の多言語化や無料公衆無線LAN環境の整備など、外国人旅行者の受入環境整備に取り組んでいくことが必要です。

    − 39−

  • 6 企業立地の特徴と課題

    特 徴

    ① 統計調査の結果に基づく現状本県は、新幹線や高速道路などの高速交通ネットワークが充実しており、今後も交通利便性の更なる向上が期待されています。また、先端分野等の産業が集積する「ものづくり県」であると同時に、肥沃な農地と良質で豊かな水を利用した農業も盛んであり、食品関連産業も集積しています。本県への企業立地件数及び立地面積は、バブル崩壊後の平成12年(2000年)に最少の22件(14ha)となりました。その後、増加基調で推移し、平成19年(2007年)には71件まで回復しましたが、リーマンショックや東日本大震災等の影響を受け、平成23年(2011年)には24件(24ha)まで落ち込みました。しかし、平成24年(2012年)以降は、立地件数、立地面積ともに増加傾向に転じており、平成26年(2014年)には43件(87ha)となっています。

    北関東3県における企業立地件数を見ると、3県ともに平成26年(2014年)は前年より増加しています。全国順位では、立地件数で本県が7位、群馬県が2位、茨城県が1位に、立地面積で本県が2位、茨城県が1位、群馬県が3位になっています。

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    6 

    企業立地の特徴と課題

    図表1 本県における工場立地の推移

    180

    160

    140

    120

    100

    80

    60

    40

    20

    0

    (ha)

    ( 年 )

    ( 件 )140

    120

    100

    80

    60

    40

    20

    0

    立地件数(右軸)

    77 170 163 111 76 97 93 34 42 74 40 50 38 14 48 36 60 64 59 84 76 78 68 31 24 38 86 87

    昭和62 63平成

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26

    93

    117

    102 102

    68 72

    4537 38 37 39 35

    40

    2231

    2535

    50

    49

    6171

    43

    26 28 24

    45

    28

    43

    立地面積(左軸)

    ※平成 24年(2012年)以降は電気業を除いた立地面積及び立地件数 〔資料〕経済産業省「工場立地動向調査」

    図表 2-1 北関東3県の工場立地件数 図表 2 ー 2 北関東3県の工場立地面積

    群馬県 栃木県 茨城県 群馬県 栃木県 茨城県

    H25 H26 H25 H26

    48

    61

    28

    43

    55

    75

    42

    73

    86 87

    117109

    80

    70

    60

    50

    40

    30

    20

    10

    140

    120

    100

    80

    60

    40

    20

    -

    (件) (ha)

    〔資料〕経済産業省「工場立地動向調査」

    − 40−

  • 6 

    企業立地の特徴と課題

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    本県への研究所の立地件数は、過去10年間で11件であり、1位の神奈川県(27件)、2位の京都府(16件)に次いで、3位となっています。

    表1 研究所の立地件数

    平成17年(2005年)から平成26年(2014年)までの10年間における

    研究所の立地件数(全国順位)

    1位:神奈川県      27件2位:京都府       16件3位:栃木県、長野県   11件

    ② 工業基本調査の結果に基づく県内立地の評価等平成26年度工業基本調査によると、県内立地の評価では、「交通の利便性」、「従業員の生活・居住環境」、

    「用地面積の確保」の評価が高くなっています。一方、「優秀な人材の確保」、「発注元企業の集積」、「多様な産業の集積による外注・共同化」の評価が低くなっており、行政への要望では、「人材確保への支援」、「人材養成への支援」、「インフラ整備」等が高くなっています。

    工業基本調査(平成26年度調査)県内企業1,134サンプル ○県内立地の評価   ・高い項目(「とても良い」「良い」の計)     「交通の利便性」            34.3%     「従業員の生活・居住環境」       24.4%     「用地面積の確保」           22.2%   ・低い項目(「あまり良くない」「悪い」の計)     「優秀な人材の確保」          35.4%     「発注元企業の集積」          28.1%     「多様な産業の集積による外注・共同化」 25.8%     ※評価に関しては、前回の平成21年度調査時とほぼ同じ傾向にある。 ○県外移転の可能性   「可能性はない」              89.4%   「可能性はあるが、具体的検討なし」       8.7% ○行政への要望   「人材確保への支援」 小規模事業所24.7%、中規模事業所34.5%、大規模事業所50.0%   「人材養成への支援」 小規模事業所17.5%、中規模事業所30.3%、大規模事業所55.0%   「インフラ整備」   小規模事業所12.8%、中規模事業所 1.0%、大規模事業所35.0%

    ③ 企業ヒアリングの調査結果とりまとめ平成26年度中に実施した企業ヒアリング(製造業)では、大手進出企業10社と中小企業・小規模企業23社を訪問し、進出立地のメリット、デメリットや要望について聴き取りました。主な内容は次のとおりとなっています。

    ●県内立地によるメリット○ 東北新幹線や東北自動車道、北関東自動車道、国道等の交通網が非常に充実しており、東京圏へのアクセスも良く、事業が行いやすい。(輸送用機械器具製造業、化学工業等)

    ○ 高い技術力を持った製造業関連の下請企業が多数立地するなど、産業の集積が進んでおり、部品調達等が容易である。また、他の地域より大規模な自然災害の発生確率が低い地域であると考えており、リスク分散という観点からも優れた環境である。(輸送用機械器具製造業等)

    〔資料〕経済産業省「工場立地動向調査」   栃木県産業労働観光部集計

    − 41−

  • ○ 住環境が比較的良く、従業員がゆとりある生活を送るのに適している。(各企業)

    ●県内立地によるデメリットや要望○ 海外での需要増大に対応して増産体制に移行する予定だが、雇用情勢の好転により地元の人材が不足しており、ラインの人員や技術系人材の確保が難しくなっている。(化学工業等)

    ○ 更なる事業環境の充実のため、工場の新増設等に伴う規制等について検討することが必要である。(輸送用機械器具製造業)

    ○ 工業団地周辺での通勤時間帯の交通渋滞がネックとなっており、渋滞解消のための交通インフラ整備が必要である。(輸送用機械器具製造業、金属製品製造業等)

    ○ 女性従業員の活用の観点から、子育て、教育等の環境を更に充実していく必要がある。(化学工業等)

    Ⅲ 

    本県産業の特徴と課題

    6 

    企業立地の特徴と課題

    課 題

    ● グローバルな社会経済情勢の変化の中、国内外において生産拠点等の再編・集約が進んでいることから、交通インフラの強みや地震などの大規模な自然災害リスクの少�