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IN Cell Analyzer 6000
www.gelifesciences.co.jp71-3778-11
Application Note
はじめに
前回、 IN Cell Analyzer 2000 を用いて、 神経幹細胞の増殖、
分化に影響する各種薬剤がニューロスフェアの形成にどのような影
響を与えるかを測定する非染色系によるアッセイをご紹介いたしま
した。 非染色系でハイスループットにアッセイを行うことにより、様々
な条件におけるニューロスフェアの形成効率を、 簡便かつ客観的
に評価することができます (Application Note 71-3434-11)。
今回、 IN Cell Analyzer 6000 を用いて、 細胞増殖に関与する阻
害剤がニューロスフェア形成および神経系細胞への分化にどのよう
に影響を与えるか、 各種マーカータンパク質に対する免疫染色を
行い、 より詳細な解析を試みました。
実験内容
使用した製品
IN Cell Analyzer 6000
IN Cell Investigator Software ・ Developer toolbox
サンプルおよび試薬
胎生 14.5 日目マウスの大脳皮質由来の神経幹細胞 •
Media hormone mix • * U0126 (Sigma)
anti-Group B1 SOX [SOX1/(2)/3] (Rabbit IgG) •
anti- β -III Tubulin (Mouse IgG, SIGMA) •
Alexa Fluor 488 goat anti-rabbit IgG (Invitrogen) •
Alexa Fluor 555 goat anti-Mouse IgG (Invitrogen) •
Hoechst 33258 (invitrogen) •
Corning 96 Well Clear Round BottomUltra Low •Attachment Microplate (Corning)
* MHM 培地組成 : DMEM/F-12 (1:1) (Gibco 12100-046, 21700-075), glucose (0.6%), glutamine (2 mM), sodium bicarbonate (3 mM), HEPES (5mM), insulin (25 Ag/ml), transferrin (100 Ag/ml), progesterone (20 nM), sodium selenate (30 ng), and putrescine (60nM) (all from Sigma except for DMEM/F-12).
方法
胎生 14.5 日のマウスの終脳を解剖し、 Media hormone mix
(MHM) 培地で浮遊培養しました。 浮遊させることで、 分化した
細胞は死にやすくなりますが、培地に FGF (20 ng/ml)、EGF (20
ng/ml) を加えた培養液を用いることで、 神経幹細胞が未分化
性を維持したまま増殖を繰り返してニューロスフェアを形成します。
ニューロスフェアを 96 ウェルプレートに 5 日間培養し、 各種薬剤
を加えてさらに 2 日間培養後、 PFA 固定しました。 神経幹細胞
のマーカーとして SOX1/(2)/3、 ニューロンのマーカーとして、 β-III
Tubulin に対する免疫染色を行った後、 IN Cell Analyzer 6000
を用いて蛍光画像を取得し、 Investigator – Developer toolbox
により、 ニューロスフェア中の各種マーカー発現細胞の割合を測定
しました (図 1、 2)。
IN Cell Analyzer 6000 を用いたニューロスフェア
形成および分化へ影響を及ぼす薬剤の評価
IN Cell Analyzer 6000 は、 レーザー型ラインスキャニング共焦点システムを搭載したイージングサイトメーターです。 本実験に
おけるニューロスフェアのような厚みのあるサンプルの解析に適用可能で、 細胞形態情報と複数のタンパク質の局在、 発現情
報をリンクさせ、 複雑な細胞システムを解明する有効なツールです。
-2-
結果
IN Cell Analyzer 6000 では、 20 ×、 40 ×、 60 ×の比較的高倍
率レンズにより共焦点撮影が可能となります。
今回、 3 μM U0126 処理を行ったニューロスフェアに注目して、 40
×レンズにより Z セクショニング撮影を行いました。 プレート底面側よ
り 10 μm ずつ上方へ撮影していくと、 スフェアの外側ほど SOX1(2)3
が、 内側ほど β-III tublin が発現していることが分かります (図 3)。
得られた画像から、 細胞毎に各マーカーの発現量を定量し、 2D
スキャッタープロットで表記しました (図 4)。 一定の蛍光強度を閾
値にマーカー陽性細胞を決定し、 データを X、 Y 座標のプロットに
展開すると、 マーカー発現量を数値評価する上でも、 スフェアの
外側ほど SOX1(2)3 の、 内側ほど β-III tublin の発現量が高いこ
とが確認されました (図 5)。
図 2. 解析ソフトウェア Investigator – Developer toolbox によるスフェア解析の様子核染色画像からニューロスフェア中の各細胞を自動認識し、 その領域における各チャンネルの蛍光強度を算出することで、 ニューロスフェア中の各細胞のマーカー発現量が定量できます。
図 1. IN Cell Analyzer 6000 によるニューロスフェア撮影 (20 ×)共焦点技術により、 スフェア中の各細胞を明瞭に撮影することができます。A) Hoechst 33342B) SoX1(2)3 – Alexa488C) β -III Tublin – Alexa555D) 明視野画像
A)
C)
B)
D)
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図 4. 3 μM U0126 処理による、 ニューロスフェアの各 Z セクションに対するマーカー発現への影響プレート底面側である Z=11 (0 μm) より 10 μm ずつ上方へずらしながら撮影した際の、 各マーカーの発現量を 2D プロットで表記しました。X 軸は SOX1(2)3 のマーカー発現量 (蛍光強度)、 Y 軸は β-III tublin のマーカー発現量 (蛍光強度) を示します。 SOX1(2)3 マーカー蛍光強度> 600、 β-III tublin マーカー蛍光強度> 160 に閾値を設定し、 それ以上の発現量をもつ細胞をマーカー陽性細胞とした際の細胞数割合を円グラフで表記しました。
図 3. 3 μM U0126 により分化させたニューロスフェアの共焦点断面画像 (40 ×)
Z=11 (0 μm) プレート底面側。 10 μm ずつ上方へずらしながら撮影しました。 (緑) SOX1(2)3、 (赤) β-III tublin
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まとめ
有効画素数 420 万画素の Large Chip sCMOS カメラにより •撮影を行うことで、 ウェル内に点在するスフェアを広範囲にわ
たって共焦点撮影しながら解析することが可能です。
ニューロスフェア形成に影響を及ぼす薬剤の影響を、 細胞数お •よび分化マーカーの発現割合から評価しました。
40 ×レンズの Z セクショニングから、 ニューロスフェア内における •細胞の分布が評価できました
図 5. 3 μM U0126 処理による、 ニューロスフェアの各種細胞分布への影響図 4 にて、 閾値設定した 2D プロットを X、 Y 分布表記に変換しました。 X 軸は視野内の X 座標、 Y 軸は視野内の Y 座標を示します。
データご提供
慶應義塾大学医学部生理学教室
河瀬 聡 様 今井 貴雄 様 岡野 栄之 様
μm