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I.炎症性腸疾患について 炎 症 性 腸 疾 患(IBD: Inflammatory bowel disease)は,腸管における原因不明の慢性炎 症疾患を指し,潰瘍性大腸炎(UC: Ulcerative Colitis)とクローン病(CD: Crohn’s diseaseがその代表疾患である。共に欧米で多く見ら れる疾患で,本邦での発生率は欧米の 10 分の 1 程度であったが,近年増加の一途をたどって おり,平成 25 年度の医療受給者証交付人数は, UC が約 15 5000 人,CD が約 3 8000 人で あった。若年での発症が多く,経過中に様々な 合併症を引き起こし QOL が著しく低下するた め,社会問題化しており,病因解明とそれに基 づく有効な治療法の開発が急務となっている。 両疾患の明らかな病因は未だ特定されていない が,何らかの遺伝的素因によって免疫学的異常 がもたらされ,それに腸内細菌や食餌抗原など の環境因子が加わって,腸管粘膜免疫機構が破 綻し 1,その結果として慢性炎症が生じるもの と捉えられている。 治療薬としては,5- アミノサリチル酸(5- ASA)製剤や副腎皮質ステロイド,免疫調整薬 などが使用されてきたが,副作用も多く新規薬 剤の開発が望まれている 2。近年では血球成分 除去療法 3や抗 TNF-α 抗体製剤といった治療 法も加わり,一定の効果を示している 4ものの, これらの治療に抵抗性を示す難治例が存在する ことが大きな問題となっている。 IIAryl hydrocarbon receptor について Aryl hydrocarbon receptorAhR:芳香族炭 化水素受容体)は,バクテリアからヒトまで生 物界に広く存在し,ほとんど全ての細胞や組織 で発現が認められている。bHLH-PASbasic Helix-Loop-Helix Per-Arnt-Sim)ファミリーに 属する転写調節因子であり,これまでは環境汚 染物質であるダイオキシンや,その他の芳香族 山梨医科学誌 321),7 132017 Aryl hydrocarbon receptor 経路の活性化と炎症性腸疾患 高 村 武 之,中 尾 篤 人 山梨大学大学院医学工学総合教育部免疫学講座 要 旨:潰瘍性大腸炎とクローン病に代表される炎症性腸疾患は,若年者に多く見られる原因不明 の慢性炎症疾患である。患者数は著しく増加しているが,未だに原因は不明であり新規の治療法 開発が急務となっている。一方,Aryl hydrocarbon receptorAhR)はダイオキシンなどに代表さ れる芳香族炭化水素の代謝に関して研究が行われてきたが,近年になって免疫系における炎症の 調節因子として重要であることが明らかになってきた。AhR 経路の活性化が TregRegulatory T cells)や Th17Th17 cells)を誘導し,自己免疫疾患の病態形成に関与しているといった報告が相 次いでいるが,炎症性腸疾患と AhR の関係に関してはいまだに明らかになっていない。本稿では, AhR 経路の活性化が炎症性腸疾患に及ぼす影響について,筆者らが行なってきた基礎研究成果を 中心に概説する。 キーワード Aryl hydrocarbon receptorAhRInflammatory bowel diseasemucosal immunity 総  説 409-3898 山梨県中央市下河東 1110 番地 受付:2017 3 8 受理:2017 3 27

Aryl hydrocarbon receptor 経路の活性化と炎症性腸 …...Aryl hydrocarbon receptor 経路の活性化と炎症性腸疾患 9 誘導される機構については未だ完全には明らか

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I.炎症性腸疾患について

 炎症性腸疾患(IBD: Infl ammatory bowel

disease)は,腸管における原因不明の慢性炎症疾患を指し,潰瘍性大腸炎(UC: Ulcerative

Colitis)とクローン病(CD: Crohn’s disease)がその代表疾患である。共に欧米で多く見られる疾患で,本邦での発生率は欧米の 10分の1程度であったが,近年増加の一途をたどっており,平成 25年度の医療受給者証交付人数は,UCが約 15万 5000人,CDが約 3万 8000人であった。若年での発症が多く,経過中に様々な合併症を引き起こし QOLが著しく低下するため,社会問題化しており,病因解明とそれに基づく有効な治療法の開発が急務となっている。両疾患の明らかな病因は未だ特定されていないが,何らかの遺伝的素因によって免疫学的異常がもたらされ,それに腸内細菌や食餌抗原など

の環境因子が加わって,腸管粘膜免疫機構が破綻し 1),その結果として慢性炎症が生じるものと捉えられている。 治療薬としては,5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤や副腎皮質ステロイド,免疫調整薬などが使用されてきたが,副作用も多く新規薬剤の開発が望まれている 2)。近年では血球成分除去療法 3)や抗 TNF-α 抗体製剤といった治療法も加わり,一定の効果を示している 4)ものの,これらの治療に抵抗性を示す難治例が存在することが大きな問題となっている。

II.Aryl hydrocarbon receptorについて

 Aryl hydrocarbon receptor(AhR:芳香族炭化水素受容体)は,バクテリアからヒトまで生物界に広く存在し,ほとんど全ての細胞や組織で発現が認められている。bHLH-PAS(basic

Helix-Loop-Helix Per-Arnt-Sim)ファミリーに属する転写調節因子であり,これまでは環境汚染物質であるダイオキシンや,その他の芳香族

山梨医科学誌 32(1),7~ 13,2017

Aryl hydrocarbon receptor経路の活性化と炎症性腸疾患

高 村 武 之,中 尾 篤 人山梨大学大学院医学工学総合教育部免疫学講座

要 旨:潰瘍性大腸炎とクローン病に代表される炎症性腸疾患は,若年者に多く見られる原因不明の慢性炎症疾患である。患者数は著しく増加しているが,未だに原因は不明であり新規の治療法開発が急務となっている。一方,Aryl hydrocarbon receptor(AhR)はダイオキシンなどに代表される芳香族炭化水素の代謝に関して研究が行われてきたが,近年になって免疫系における炎症の調節因子として重要であることが明らかになってきた。AhR経路の活性化が Treg(Regulatory T

cells)や Th17(Th17 cells)を誘導し,自己免疫疾患の病態形成に関与しているといった報告が相次いでいるが,炎症性腸疾患と AhRの関係に関してはいまだに明らかになっていない。本稿では,AhR経路の活性化が炎症性腸疾患に及ぼす影響について,筆者らが行なってきた基礎研究成果を中心に概説する。

キーワード Aryl hydrocarbon receptor,AhR,Infl ammatory bowel disease,mucosal immunity

総  説

〒 409-3898 山梨県中央市下河東 1110番地 受付:2017年 3 月 8 日 受理:2017年 3 月 27日

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8 高 村 武 之,他

炭化水素の代謝に関連して研究が進められてきた 5)。リガンドはダイオキシンとして知られる2, 3, 7, 8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)や 3-Methyl-cholanthrene(3-MC)などのほかにも,ブロッコリーなどのアブラナ科の植物に含まれるトリプトファン代謝物の indole-3-

carbinol(I3C)や 6),一部の腸内細菌の成分なども知られている 7)。 これらのリガンドが細胞質内に局在する AhR

に結合すると,複合体は核内へ移行し,シャペロンであるHSP90(Heat shock protein 90)を解離した後,Arnt(AhR nuclear translocator)とヘテロダイマーを形成する。AhR-Arnt複合体はプロモーター配列である XRE(xenobiotic

responsive element)に結合し,Cytochrome

P450 family 1A1(CYP1A1)などの薬物代謝酵素のほか,サイトカインやシグナル伝達分子など多くの遺伝子の転写を活性化させる(図 1)。 また AhRは Arntとヘテロダイマーを形成するだけでなく,Stat(Signal transducers and

activators of transcription)や NF-ϰB (Nuclear

factor-kappaB)など種々の転写因子と結合し,遺伝子発現を制御している事も知られている。

加えて,AhRは E3ユビキチンリガーゼとして標的タンパクを分解する機能がある事も報告されている 8)。既に述べた通り,これまで AhR

は環境中に含まれるダイオキシンなどの毒性発現について盛んに研究が行われてきたが,現在では生体異物代謝のみならず免疫系を含めた細胞の多様な機能に重要な役割を果たしていると考えられている。とりわけ免疫系においては炎症の調節因子として重要である事が近年報告されてきており,自己免疫疾患との関連が示唆されている。 マウスのT細胞で AhRの発現を検討すると,Th17・Tregに強い発現がみられるが,Th1,Th2にはほとんど発現が認められないことが報告された 9, 10)。また最も強力な AhRのアゴニストである TCDDをマウスに投与するとCD4+CD25+Foxp3+の Tregが誘導され,実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE: Experimental

autoimmune encephalomyelitis)が抑制された 9)が,一方で,別の AhRアゴニストである6-formylindolo[3,2-b]carbazole(FICZ)投与では Th17が誘導され EAEが増悪した 11)との報告もあり,リガンドによって異なる免疫反応が

図 1.AhRのシグナル伝達経路 (文献 6より一部改変)

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9Aryl hydrocarbon receptor経路の活性化と炎症性腸疾患

誘導される機構については未だ完全には明らかにされていない。 AhRは外界と接する粘膜免疫器官である皮膚や肺,腸管で発現が亢進していることは既に知られていたが,IBDにおける AhR経路の役割に関しては明らかにされていない点が多い。本稿では,AhR経路の活性化が IBDにもたらす影響に関して,筆者らが行なってきた研究成果を中心に報告する。

III.AhR経路の活性化と DSS誘導性大腸炎

1)TCDDによる AhR経路の活性化 AhR経路の IBDにおける役割について検討するために AhRの最も強力な活性化物質である TCDD投与が IBDの代表的なマウスモデルであるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性大腸炎 12)にどのような影響を及ぼすのか検討した 13)。C57BL/6マウスに TCDD(5 μg/

kg)を 1度だけ経口投与したのち,7日目からDSS誘導性大腸炎を惹起したところ,TCDD

投与群では対照群に比べて体重減少の有意な抑制(図 2A),腸管短縮の抑制(図 2B)に加えて,病理学的に評価した炎症スコアでも著明な炎症の減弱が認められた(図 2C)。また酸化ストレスマーカーとして知られる HO-1

(Heme oxygenase-1)や,好中球浸潤で上昇するMPO(Myelo peroxidase),TNF-α(Tumor

necrosis factor-alpha)といった各種の炎症マーカーが mRNAレベルで有意に減少しており,

ELISA法で測定したタンパクレベルでの腸管内 TNF-α 発現量も TCDD投与群で有意に減少していた。これらのことから,TCDDの前投与で AhRを活性化させておくと DSS誘導性大腸炎の炎症を抑制する可能性があることが初めて示唆された。

2)炎症抑制メカニズムの検討 続いて AhR経路の活性化による腸炎抑制メカニズムを検討するに当たり,我々は TCDDによって誘導される腸管内 PGE2(Prostaglandin

E2)に注目した。これまでの報告から PGE2

は腸管の傷害に対する非常に重要な保護的因子であること 14),PGE2の産生を阻害するとDSS誘導性大腸炎は悪化すること 15),AhR経路の活性化により肺の線維芽細胞や脾臓など様々な部位で PGE2が産生されること 16)が報告されていたことから,TCDD投与後 7日目の腸管内 PGE2を ELISA法を用いて測定した。続いて TCDD投与によって腸管内で産生される PGE2が DSS誘導性大腸炎の炎症抑制に何らかの影響を与えているのではないかと考え COX(Cyclooxygenase)の選択的阻害薬である Indomethacinを TCDDと同時に投与し,DSS誘導性大腸炎を惹起させて病理スコア,炎症マーカーを測定した。ELISAの結果から対照群では発現が見られない PGE2が TCDD

投与群では発現していることが確認され(図3A),Indomethacin と TCDD を同時に投与して DSS誘導性大腸炎を惹起した群では病理

図 2. TCDDを投与し DSS誘導性大腸炎を惹起したマウスの(A)体重の変化率,(B)腸管の長さ,(C)炎症スコア (文献 13より引用,一部改変)

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10 高 村 武 之,他

スコアから炎症抑制が生じていないことが分かった(図 3B)。炎症マーカーのmRNA発現量も Indomethacin非投与群では TCDDによる炎症抑制が生じている一方,Indomethacin

と TCDD の同時投与群では HO-1,MPO,TNF-α の減少が生じていないことが分かった(図 3C)。これらの結果から TCDDによるAhR経路の活性化は腸管内における PGE2の産生を介して DSS誘導性大腸炎を抑制する可能性がある事が示唆された。

3)乳酸菌による AhR経路の活性化 TCDDは強い AhRの活性化能を持つが,同時に毒性が強く臨床応用は難しい問題があった。一方,詳細なメカニズムは不明であるが,一部の乳酸菌は DSS誘導性大腸炎を抑制するという報告は既に知られていた 17, 18)。そこで

我々は当研究室が所有する乳酸菌のライブラリーの中から AhR経路の活性化能を持つ菌株の検索を行なった。AhR-Arntとリガンドの複合体が結合する XREの下流に分泌型アルカリフォスファターゼを形質導入したレポーター細胞であるHeX34(Hepa-1c1c7–derived,

pXRE-SEAP-transfected clone no. 34) を 用いて,乳酸菌が持つ AhR活性化能を測定した所,一般的なヨーグルトなどに多く含まれる Lactobacillus bulgaricus の う ち OLL1181 が高い活性化能を持つことが判明した(図 4A)。OLL1181を TCDDと同様に経口投与し DSS

誘導性大腸炎を惹起したところ,有意な死亡率の低下(図 4B),体重減少・炎症による腸管短縮の抑制(図 4C, D),炎症スコアの減弱(図 4E),大腸における TNF-α とMPOのmRNA発現量の低下を認めた。これらのこと

図 3. (A)TCDD投与後のマウス腸管内 PGE2濃度,Indomethacinを投与し DSS誘導性大腸炎を惹起したマウスの,(B)炎症スコア,(C)各種炎症マーカーの発現量 (文献 13より引用,一部改変)

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11Aryl hydrocarbon receptor経路の活性化と炎症性腸疾患

から OLL1181は TCDDと同様,DSS誘導性大腸炎に対する炎症抑制効果があることが分かった 19)。我々の研究から,① TCDD投与による AhR経路の活性化により DSS誘導性大腸炎の炎症が抑制されること,②この炎症抑制には AhR経路の活性化により産生が亢進する腸管内 PGE2が関与している可能性があることが示唆された。また③ある種の乳酸菌は AhR活性化能を持ち,④この乳酸菌を経口投与することで DSS誘導性大腸炎の炎症が抑制されることも明らかとなった。

IV.最新の知見

 我々が上述の実験結果を発表して以来,AhR

経路の活性化と腸炎の抑制に関して,同様の報告が多数なされてきた。未だ炎症性腸疾患の病態形成メカニズムは完全には明らかにされていないが,現在までに分かっている最新の知見を

最後に紹介する。 Qiuらは,腸管において AhR経路の活性化が,IL-22を誘導する RORγ t陽性Ⅲ型自然免疫リンパ球(type3 ILCs)を刺激する事で,腸炎を抑制するメカニズムを報告した 20)。またLindemansらは傷害後の腸幹細胞に,type3

ILCsが産生する IL-22が,STAT3依存的な経路を介してマウス腸オルガノイドの成長を増大させることを報告した 21)。 In vitro,in vivoレベルでは AhR経路の活性化が腸炎を抑制するとの報告が蓄積されてきているが,ヒトでの影響に関してはいまだに不明な点も多い。Arsenescuらは IBD患者の腸管内で AhRの発現が亢進していたと報告している 22)。一方で,Monteleoneらはクローン病患者の T細胞で AhRの発現が低下しており,その原因として炎症組織での Th17細胞の浸潤が影響していると報告した 23)。 また Tregや IL-10,IL-22といった経路の

図 4. (A)AhR活性化能の測定(MEP222701は AhR活性が低い乳酸菌株)OLL1181を投与し DSS誘導性大腸炎を惹起したマウスの(B)生存率,(C)体重変化率,(D)腸管の長さ,(E)炎症スコア (文献 19より引用,一部改変)

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12 高 村 武 之,他

他にも Chinenらは,腸炎抑制メカニズムにPGE2が重要であることを示すため,Tregが存在しない Rag2欠損マウスに Indomethacin

を投与することで致死的な腸炎が発症することを報告している。また,この腸炎は PGE2受容体である EP4の活性化剤の投与によって軽快したことから,PGE2-EP4経路が Treg-IL10経路とは独立して腸炎の抑制に必要であることを証明した 24)。 Liuらはゲノムワイド関連解析とイムノチップ解析を用いて,新たに炎症性腸疾患の発症に関わるゲノム領域を 38カ所発見したが,その中の 1つに AhRも含まれており,発症メカニズム解明や治療標的分子の絞り込みが可能になると期待されている 25)。

V.おわりに

 ここ数年で AhR経路の活性化による腸炎抑制メカニズム(図 5)の研究は目覚ましい発展を遂げた。また,これまではダイオキシンなどの有害物質を用いた研究がなされてきたが,すでに安全性が担保されているヨーグルトや,ブロッコリーなどのアブラナ科の植物に由来する安全な AhRアゴニストも発見されてきた 26)。今後は,新規の治療薬の開発を目指したより臨床的な研究を行っていきたいと考えている。

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図 5.想定される AhR経路を介した IBDの炎症抑制メカニズム(文献 26から引用,改変)

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13Aryl hydrocarbon receptor経路の活性化と炎症性腸疾患

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