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BricsCAD 3D Modeling 基礎トレーニング 2017/1/23 アルファテック株式会社
はじめに
このテキストは BricsCAD を用いて 3D モデリングを⾏なうための基礎的な知識と操作法を習得していただくものです。BricsCAD の 3D モデリングの特徴としてダイレクトモデリング、パラメトリック設計、アセンブリが挙げられます。
まずダイレクトモデリングを活用した 3D モデリングを習得することで、効率よく 3D モデルを作り上げられるようにしましょう。
3D モデリングでよく使用するツール
3D モデリングでよく使用するツールを出しておくと、モデリング効率が上がります。⼈によってよく使うツールは違ってきますが、ここでは⼀例を紹介します。
■リボンメニュー
リボンメニューはワークスペースによって表示されるものが変わってきます。3D モデリングでは主に「モデル」タブを使用します。リボンは表示、非表示を選択することができます。
■メニューバー
BricsCAD はリボンメニューとメニューバーの両方を使用することができます。よく使うツールはメニューバーに表示させておくといいでしょう。ここでは「図形スナップ、3D 図形スナップ、モード選択、選択表示」を表示させます。
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■ルックフロム・コントロール
ルックフロムは図面を⾒る角度を変えることができます。3D では正面からはモデルを把握できないので⾒る角度を変更する必要があり、ルックフロムは決まった角度ごとのビューにすることができます。後で紹介する球形回転と合わせて使用します。
■オブジェクトプロパティ
オブジェクトプロパティの「表示スタイル」は 3D モデルの表示方法を変更するのに使用します。これはコマンド実⾏中でも変更できるため、例えば通常は“モデリング”で表示させていたものを、移動コマンド実⾏中に“半透明”に変更してソリッドの向こう側を⾒えるようにするために使用します。
3D モデリングでのマウス操作
ルックフロム・コントロールで決まった角度でのビューにすることができますが、実際のモデリングでは⾃由な角度からモデルを⾒て、形状を作成する必要があります。
そのため、リボンメニューの「表示―ナビゲート」にある球形回転を使って図面の角度を⾃由に変更することができます。
しかし、モデリング作業の途中でいちいち球形回転のコマンドを押して、決まったら ESC で解除して… の繰り返しはスムーズな操作ではありません。そのためキーボードの SHIFT キーを押しながらマウスのホイールを押し、マウスを動かすことで球形回転が⾏えるようになっています。
= SHIFT +
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プリミティブな形状の作成
この項では、ダイレクトモデリングを使わずにプリミティブ(基本的な構成要素)なオブジェクト形状を作成していきます。
■直方体
※ルックフロムを「左上正面」にしておきます
※オブジェクトプロパティの表示スタイルを「モデリング」にします。
リボンメニューの「モデルー直方体」を選択します。
適当な場所を始点として指示し、マウスを動かすとマウスに合わせて⻑方形が出てきます。対角となる 1 点を指示するか、ダイナミック⼊⼒のボックス内に数値を⼊⼒してサイズを決定します。
ここではサイズを指定するのでダイナミック⼊⼒を⾏います。
まず⻑辺のダイナミック⼊⼒に 200 と⼊⼒します。
短辺を指示するために、TAB キーを押してダイナミック⼊⼒を切り替えます。
もう⼀つのダイナミック⼊⼒にフォーカスが移動したら 100 と⼊⼒して Enter キーを押します。
直方体ソリッド形状が⽴ち上がるので、ダイナミック⼊⼒に 50 と⼊⼒して Enter
キーを押して完成です。
※プリミティブなオブジェクトとして他に、くさび、角錐、円柱、円錐、球、トーラスとありますが、いずれも直方体と同じようにマウス指示するか、ダイナミック⼊⼒にパラメータを与えることでモデリングが可能です。
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■ポリソリッド
ポリソリッドは壁のような形状をポリラインで作図するかのようにモデリングすることができます。
リボンメニューの「モデルーポリソリッド」を選択します。
適当な場所を始点に指示し、マウスを動かすとゴムバンドのように⻑方形が伸びてきますので、10 と⼊⼒して Enter キーを押します。
ひとつの辺が決定し、次の辺を指示します。ここでは角度 0°、⻑さ 5 としてEnter キーを押します。
次の辺の作図が始まりますが、終わりにする際にはもう⼀度 Enter キーを押すことで終了させることができます。
壁が⽴ち上がってくるので、ここで壁の⾼さと厚みを⼊⼒します。ここでは⾼さ 2、厚さ 0.5 と⼊⼒して Enter キーを押して完成です。
※ポリソリッドで部屋のモデリングや簡易的な筐体のモデリングをすることができます。
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2D 図形から 3D ソリッド形状の作成
プリミティブなソリッド形状であれば今までのコマンドだけで作成できますが、2D 図面がある場合や、複雑な形状である場合は 2D 図形を元にソリッドを作成したほうが効率的な場合が多くあります。
BricsCAD のダイレクトモデリングは 2D 図形からの 3D モデリングで非常に有効です。
講習用データ 「3D_Training_A.dwg」
■境界押し出し
※モード選択で「境界検出」モードにしておきます。
この線分とスプラインで構成された 2D 図形の中へカーソルを置くと、このように境界を検出しクワッドメニューにプロパティが表示されます。
カーソルにアイコンを重ねると、この境界に対して実⾏できるコマンドの⼀覧が表示されるので「ソリッド押し出し」を選択します。
2D 図形の境界からソリッドを作成することができました。
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■ソリッド回転
境界検出モードでは、複数の境界を選択しておくことができます。ここでは図のように 3 か所を選択しておきます。
選択した境界内にカーソルを重ねると、先ほどと同じようにクワッドメニューが出てくるので、「ソリッド回転」を選択します。
コマンドラインに「軸図形を選択」と出てくるので中心線を軸として選択します。
選択した境界から軸を中心に回転するようにソリッドが作成されるので、1 回転させたい場合はダイナミック⼊⼒に 360 と⼊⼒して Enter キーを押すか、マウスで回転させて、始点をクリックします。
このように細い溝やヘッド上部の複雑な曲面も簡単にモデリングできます。
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2D 図面からの 3D モデリングとソリッド編集コマンド
境界からの押出し、回転ソリッドを使って実際の図面からモデルを作成し、更にソリッド編集を⾏います。
この正面図、断面図から、今までのコマンドを使って 3D モデルを⽴ち上げ、さらにソリッド編集コマンドを使って完成させます。
まず下のプレートを⽴ち上げるのに、補助線が邪魔して 1/4 しか境界が検出できません。
なので補助線画層を非表示にします。
補助線を非表示にすると、下部プレートの境界を⼀気に検出することができました。
※BricsCAD は寸法線、寸法文字を無視して境界を検出できます。
クワッドメニューからの押出しコマンドでソリッドを 10mm 押し出します
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※非表示にしていた補助線を活用するので、補助線画層を表示しておきます。
凸部をソリッド回転で作成したいのですが、必要な部分だけの境界を作成するために補助線を作図します。
回転させる境界を検出させ、ソリッド回転コマンドを実⾏します。
回転軸に中央の補助線を選択します。
回転させながらソリッドを作成します。
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■3D 回転コマンド
ソリッドにカーソルを重ねてクワッドメニューを表示させ
3D 回転を実⾏します。
軸図形は、回転させるオブジェクトに接していなくても問題ありません。
回転軸と同軸にある線分を選択します。
コマンドラインに「回転の始点をピック」と出るので、左図ように四半円点をスナップさせてクリックします。
マウスで回転方向を指示し、ダイナミック⼊⼒に 90 と⼊⼒して Enter キーを押すと 90°回転させることができます。」
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■移動コマンド
スナップしやすいように裏側を⾒えるようにして操作していきます。
BricsCAD には 3D モデルに対して 2 つの移動コマンドが存在します
移動(move)︓2D の移動と同じで、主にスナップを利用した移動で使用します。
移動(dmmove)︓3D でのみ利用できる移動コマンドで、角度と距離をダイナミック⼊⼒で指定する際に使用します。
凸部のソリッドの上にカーソルを重ね、クワッドメニューの移動を実⾏します。
底面部の円の中心をスナップします。
プレートの底面の円の中心にスナップさせて配置します。
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■ブーリアン演算︓和
配置しただけでは、左図のように 2 つのソリッドが別々の状態なので
ひとつのソリッドにしていきます。
片方のソリッドの上にカーソルを重ねてクワッドメニューを表示させ、 ブーリアン演算の和を実⾏します。
2 つのソリッドを選択し、Enter キーを押すと、2 つのソリッドがひとつになります。
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■フィレット
モード選択でソリッドエッジモードにしておきます。
プレートと凸部の境のエッジにカーソルを重ね、フィレットを実⾏します。
ダイナミック⼊⼒で 3 と⼊⼒して Enter キーを押します。
3mm のフィレットができます。
■エッジネットワーク
次にプレート上部のエッジを面取りしたいのですが、左図のようにエッジをひとつひとつ選択していくのは効率的ではありません。
こういう時は、ひとつのエッジの上にカーソルを重ね、エッジネットワークを実⾏します。
このように繋がるエッジがすべて選択された状態になります。
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■面取り
エッジネットワークで選択した連続したエッジに対して面取りを⾏います。
エッジの上にカーソルを重ね、面取りを実⾏します。
ダイナミック⼊⼒で 2 と⼊⼒して Enetr キーを押すと、2mm の面取りができます。
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便利な 3D モデリング機能
これまでのトレーニングでは、基本的なコマンドで 3D モデリングを⾏いました。これから紹介するコマンドは、便利で非常にパワフルな 3D モデリング機能です。マスターすれば複雑な形状を簡単に作成できるようになります。
■ロフト
ロフトは 3 次元的に配置された複数の 2D 図形を選択することで複雑なソリッド形状を作成することができます。
※ステータスバーの「極トラック」がオンになっていることを確認します。
この 3 つの平面上の 2D 図形を使ってロフトを⾏います。
まず外側の 2 つの図形を移動コマンドを使って Z 方向(上方向)に 100 移動します。
移動する起点は適当でかまいません。
この時、極トラックがオンであれば簡単に Z 方向を決めることができます。方向を指示して、移動距離 100 を⼊⼒して Enter キーを押します。
さらに⼀番外側の図形を上に 200 移動すると、このような図形ができます。
※図の Z 方向の線分は解説のために作図したものです
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⼀番下の円にカーソルを重ね、ロフトを選択します。
上の円を選択すると、このように 2D 形状をつなげたソリッドができます。
さらに上の図形を選択するとこのように 3 つの 2D 形状を滑らかな曲面で繋げた形状ができます。
確認後、Enter キーを押します。
コマンドラインにオプションで「交差断面」が標準オプションとして表示されるので、そのまま Enter キーを押して完成です。
[ロフトでの別形状のモデリング]
次に、もう⼀つの同じ図形を使って、別の 3D モデルを作成します。
先ほどと同じように、⼀番下の円と真ん中の円を使ってロフトでソリッドを作成します。
先ほどは、そのまま⼀番上の 2D 図形を選択しましたが、今回はここで⼀度コマンドを終了させます。
確認後、Enter キーを押し、コマンドラインに表示されるオプション「交差断面」のまま Enter キーを押します。
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モード選択メニューで「3D ソリッド面」モードにします。
作成されたソリッドの上面にカーソルを重ねると、ソリッドの面が検出されて⻘く表示されます。
そのままクワッドメニューのロフトを選択します。
下のソリッドの面と⼀番上にあった 2D 形状をロフトで繋げることができます。
コマンドの使い方で同じ 2D 図形から違う形状を作成することができます。
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■厚み付け
ワイヤー、サーフェス、面に対して厚みを付けることができます。
サーフェス上にカーソルを重ね、クワッドメニューから「厚み付け」を選択します。
ダイナミック⼊⼒に値を⼊れることでサーフェスに厚みを与えることができます。
また、ポリラインのような線形に対しても厚みを付けることができます。
線形にカーソルを重ね、クワッドメニューから「厚み付け」を選択します。
簡単に管の 3D 形状が作成できます。
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■スイープ
スイープを使うと、断面の 2D 図形とパスから簡単に複雑な連続した形状を作成することができます。
スイープは標準ではクワッドメニューに表示されないので、リボンの「モデルーソリッド編集」から選択します。
断面形状となる 2D 図形を選択し、Enter を押して決定します。
次にパスとなる線形を選択し、Enter で決定します。
このように複雑な形状が簡単にモデリングできます。
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■シェル
シェルはソリッドを中抜きするコマンドです。
先ほど作成した左図のソリッドにシェルで中抜きしてみましょう。
シェルは標準ではクワッドメニューに表示されないのでリボンの「モデルーソリッド編集」から実⾏します。
実⾏すると、コマンドラインにソリッドを選択するようにメッセージが出てきますので、ソリッドを選択します。
(ここではまだ Enter で決定しません)
ソリッドを選択するとコマンドラインに「削除する面を選択」と出ます。この削除する面とは、中抜きする際に壁を作らない面、このモデルでは筒状に吹き抜けさせる面の事です。
筒抜けにするのは上面と底面なので、上面でクリックし、そのまま底面でもクリックして Enter で決定します。
コマンドラインに「シェルオフセット距離を⼊⼒」と表示されます。シェルオフセット距離は、筒の厚みを意味しますので、ここで 1 を⼊⼒して Enter キーを押します。
複雑な筒状のソリッドが完成しました。