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アセットマネジメントの
コンテクストにおける
アセットの管理
Briefing Note アセット
マネジメント
第1版
2017年5月
© ISO 2017 - All rights reserved 2
ISO/TC 251について 私たちは、国際規格ISO 55000シリーズの策定を担当するISOのアセットマネジメ
ントの技術委員会(TC: Technical Committee)です。これらの規格はアセットマ
ネジメントのベストプラクティスおよびマネジメントシステムの要求事項を定義し
ます。
詳しくはcommittee.iso.org/tc251をご覧ください。
ISO/TC 251のワーキンググループ4は、すべてのメンバー、特に本記事の執筆およ
び見直しに意見をくれたDavid McKeown、Terrence O'Hanlon、Thomas Smithに
感謝を伝えたいと思います。
Jack Dempsey
Convener of ISO/TC 251 WG4
© ISO 2017 - All rights reserved 3
本ドキュメントは、次のシンプルな疑問に取り組むものです。
それは、アセットマネジメントですか?
それとも、アセットの管理ですか?
人や組織は、人類が初めて道具を発明してから、アセットの手入れをし続けてきました。長
い時間を経て私たちは、アセットの生涯を通じて維持管理を行うための、最善の方法の決定
を支援するあらゆる学術分野を導き出し、そのようにしてアセットの管理を行ってきまし
た。約20年前に、アセットマネジメントという学術分野が正式に生み出され、そうした維持
管理の活動が「見た目」の手入れを促進するだけでなく、組織にとっての価値を引き出すこ
とに重点を置くものであるとステークホルダーに保証する、構造化されたアプローチが発展
しています。この重点の追求において、アセットマネジメントとアセットの管理は異なりま
す。
アセットの管理(アセットに対して行うこと)は、構造化された組織的戦略やコンテクスト
があってもなくても、実行できます。組織は、組織的な目的や戦略のコンテクストの中でア
セットの管理を行うことによって、より大きな価値を得ます(そして、それがアセットマン
ジメントになります)。
アセットマネジメントは、アセットの管理よりも広い視野を持ち、組織レベルにわたって、
すべての機能や部門に適用されます。その用語と概念はISO 55000の「アセットマネジメン
ト」の中で説明されており、広範なアセットマネジメントの取り組みを適用することによっ
て、どのようにステークホルダーにとっての価値を最大化できるかを示しています。
アセットマネジメントが学術分野として広く受け入れられるのに伴い、それまでにあった多
くの活動がアセットマネジメントとしてリブランドされていますが、大切なのは、幅広い組
織的な観点からアセットマネジメントがもたらす価値が失われないことです。
以下では、ある会話や活動の主な焦点がアセットマネジメントなのか、アセットの管理なの
かを見極めるための質問を取り上げています。
アセットの管理では、以下のようなトピックを重視します。
• ライフサイクル活動およびアセットの手入れ(利用可能性、信頼性、安全性など)
• アセットの位置、状態、寿命の延長、介入
• アセットのデータベース、システム(およびIT)、パフォーマンス
• 人材、スキル、労働力管理
• 予算とKPI/メンテナンス費用と現在のパフォーマンス
アセットマネジメントでは、以下のようなトピックを重視します。
• 組織の目的、組織が必要とするアセットとその理由
• 価値、目的、長期的な成果
• リスクと状況(例:市場、天候、法令など)
• さまざまな資金の流れ(CAPEX、OPEX)に対する全体的な取り組み
• 協力的な取り組み(組織内部やサプライチェーンにおける垣根をなくす)
• アセットが組織の価値にどのように貢献しているのか
会話を明確にするための一考…
アセットマネジメントについて話すときに、一番重視するトピックは何ですか?
© ISO 2017 - All rights reserved 4
アセットの管理 アセットマネジメント
これらの国際規格はアセットマネジメントの概要、原則と用語、アセットマネジメントを導
入することで想定される便益を説明しています。「アセット」とは「組織にとって潜在的に
または実際に価値を有するもの」であり、「アセットマネジメント」とは「アセットからの
価値を実現化するための組織の調整された活動」と定義されています。
この規格は、アセットマネジメントとそれを支えるアセットマネジメントシステムの一般的
な概念、言葉、要求事項を提供しています。そうすることで、アセットに対して直接実施さ
れる活動(アセットの管理)とアセットから価値を得るための組織の戦略と計画(アセット
マネジメント)の両方に取り組んでいます。
詳しくは、https://committee.iso.org/tc251をご覧ください。
同僚が重視するトピック
• アセットデータ、位置、状態評価
• 現在のKPI
• 部門の予算
同僚が重視するトピック
• 情報に基づいた決定(戦略的なコンテクスト
で、顧客のニーズに関連するもの)
• 事業の目的を支援するためにライフサイクル全
体でアセットを選択し、利用する戦略
• 割り当てられたリソースと活動を最適化するた
めの部門間の協力
ステークホルダーが重視するトピック
• コスト
• 現在のパフォーマンス
• 故障への対応/維持管理機能
ステークホルダーが重視するトピック
• トリプルボトムラインと価値
• 組織の目的の明確さ
• 活動が組織の目標に与える影響
経営陣が重視するトピック
• 短期の損益
• 部門/個人の業績
• 節約(特にOPEX)
経営陣が重視するトピック
• 組織にとっての長期的価値
• 労働力全体での能力開発
• ビジネスリスクの理解と緩和
サプライヤーが重視するトピック
• 短期的な契約とパフォーマンス
• 仕様を重視するサービスレベル契約
サプライヤーが重視するトピック
• 顧客の価値と目標をサポートする長期的な契
約/パートナーシップ
• 5~10年の顧客の戦略とニーズを理解すること
話を聞くときに、相手が特に重視しているトピックは何ですか?
ISO 55000/55001/55002はどのように役立つでしょうか?