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奄美市の
自然・歴史・文化
奄美市立奄美博物館
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奄美市立奄美博物館 奄美市歴市民俗資料館
日本は、大小多数の島々が、細長く一列に連なり、構成されている国です。その距離は、南北約 3,000km
にも及ぶため、気候的には、温帯が中心となりますが、亜寒帯・亜熱帯の地域も一部に認められます。
その亜熱帯に属する地域が、南西諸島(琉球弧)と呼ばれる島々です。それらの島々は、鹿児島県と沖縄
県に分かれて所属しています。奄美市は、奄美群島(鹿児島県)の奄美大島に位置しています。
奄美群島は、世界的にも注目される自然環境に恵まれています。その歴史は、非常に複雑ですが、日本歴
史を理解する上で欠かせない地域です。そして、その複雑な歴史が、奄美群島に独特の文化も育んできたの
です。
この冊子には、奄美市を中心として、奄美大島の自然・歴史・文化の特徴について簡潔にまとめてありま
す。ぜひご一読ください。
奄美市に関するお問い合わせは下記メールアドレスまで
[奄美市立奄美博物館]E-mail [email protected]
「奄美市立奄美博物館」の館内展示は、英文解説が用意してあります。奄美大島の自然・歴史・文化に関
心がある方は、ぜひ博物館をおたずねください。
〒894-0036
鹿児島県奄美市名瀬長浜町517
TEL 0997-54-1210
FAX 0997-53-6206
[宇宿貝塚史跡公園](奄美空港から5分)
TEL 0997-63-0054
[奄美市歴史民俗資料館](奄美空港から10分)
TEL・FAX 0997-63-9531
発 行:平成 23年 3月31日
英 訳:Shelley Gehret Nishi
Robert Beekman
Yoshiko Beekman Kuroyanagi
編 集:奄美市立奄美博物館
発 行:奄美市教育委員会
表紙写真:住用町のマングローブ群落
(奄美市役所提供)
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奄美市歴史民俗資料館 Where is the Amami City ?
あなたは、奄美市が日本のどこに位置しているのか解りますか?
奄美市は、鹿児島県の奄美群島にある最大の自治体で、2006年に、笠利町・名瀬市・住用村の3自治体が
合併してできました。2011年3月の人口は、47,095人です。
笠利地区は、奄美大島で最も農業が盛んな地域です。サンゴ礁が発達した美しい海に囲まれています。奄
美空港があり、空の玄関口となる地区です。
名瀬地区は、奄美大島の人口の約 60%が集中していて、奄美群島の中心的都市として機能しています。公
的機関も集まり、歴史ある商業空間が形成されています。名瀬港があり、海の玄関口となる地区です。奄美
大島観光の拠点となる場所でもあります。
住用地区は、約 90%が山地に占められている地域です。深い森と豊かな水に恵まれ、奄美大島の希少野生
生物が生息する重要地域です。
奄美市名瀬の市街地
(写真提供:奄美市役所)
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ルリカケス
深い森の沢
アマミノクロウサギ
渓流とオオタニワタリ
奄美市住用川
奄美市住用川
自 然
南西諸島は、もともとユーラシア大陸の一部でしたが、1,500万年前から隆起と沈降を繰り返し、陸地の一
部が島として残された地域です。
南西諸島の島々は、「高島」と「低島」に大別することができます。「高島」は、火成岩から成る高い山地に
占められた島です。「低島」は、石灰岩(隆起サンゴ礁)から成る平坦な台地が広がる島です。奄美群島では、
奄美大島・加計呂麻島・請島・与路島・徳之島が「高島」に、喜界島・沖永良部島・与論島が「低島」に分
類できます。「高島」が、島として残された陸地の部分です。その場所に生息していた生き物が閉じ込められ
て、島ごとに特徴がある生物相が形成されたのです。
(写真提供:常田 守)
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奄美市住用町のサンゴ礁
亜熱帯の魚(ナンヨウブダイ)
サンゴ礁が発達した海岸
(写真提供:興 克樹)
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アマミイシカワガエル
オットンガエル
イシカワガエル
アマミイシカワガエル
ネズミを飲み込む毒蛇ハブ
リュウキュウアサギマダラ
湯湾岳の新緑
島の総面積の約 80%が山地で占められている奄美大島は、年間降水量が約 3,000mmもあり(東京の年間
降水量は約 1,500mm)、世界的にも珍しい亜熱帯雨林が形成されています。山地を覆う深い森は、常に雨水
を貯え、河川の源流となります。奄美大島の生命は、恵まれた水環境に育まれているのです。
奄美大島の深い森、そしてその森から流れ出す河川には、国際的希少種・固有種の生き物が多数生息、生
育していて、日本屈指の生物多様性を誇ります。また海岸には、多種多様なサンゴ礁の生態系が認められ、
サンゴ礁保全における重要地域として世界的に注目されています。そのため、現在、世界遺産登録に向けた
取り組みが進められています。
(写真提供:常田 守)
(写真提供:常田 守)
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笠利町土盛海岸(写真提供:
常田
守)
オキナワハクセンシオマネキ
(写真提供:
常田
守)
住用町モダマ自生地
(写真提供:
奄美市役所)
奄美市名瀬崎原(写真提供:
興
克樹)
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宇宿貝塚・石組住居跡
宇宿貝塚・史跡公園
宇宿貝塚・母子埋葬人骨
国指定史跡・宇宿貝塚
宇宿貝塚史跡公園
石組住居跡
歴史
奄美群島の歴史は、非常に複雑です。1450年前後から「琉球王国」(現在の沖縄県)の統治下に入り、1609
年から「薩摩藩」(現在の鹿児島県)の統治下となります。また 1871 年頃から近代国家の新しい体制に組み
込まれていきますが、太平洋戦争の日本敗戦により、ふたたび1946年から「アメリカ軍占領政府」の統治下
となり、8 年間の行政分離を経験しています。奄美群島の歴史における最大の特徴は、「複雑な行政統治」で
あると考えられています。
奄美市には、国により保護されている国指定史跡が3件あります。地域的個性が非常に強い先史時代の「宇
宿貝塚」、日本と交流が盛んになりはじめた古代の「小湊フワガネク遺跡」、中世から近世にかけて営まれ、
1609年の薩摩藩統治の影響を受けたと考えられる「赤木名城」の3件です。
宇宿貝塚
母子埋葬人骨
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笠利町赤木名集落
空からみた小湊フワガネク遺跡
空からみた赤木名集落と赤木名城
国指定史跡・
小湊フワガネク遺跡
小湊フワガネク遺跡から出土したヤコウガイ
国指定史跡・赤木名城
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八月踊り(赤木名観音堂踊り)
博物館に移築されている高倉
八月踊り(赤木名観音堂踊り)
博物館に移築されている高倉
国指定建造物・泉家住宅
八月踊り(赤木名観音堂踊り)
薩摩藩統治時代の古文書に
描かれた八月踊り
文化
奄美群島の文化は、日本文化を基層としながら、琉球王国統治時代に琉球文化の影響を受け、さらに長く
続いた薩摩藩統治時代に鹿児島文化の影響も強く受けながら育まれてきた独特のものです。
[衣]亜熱帯の自然環境に適応して、芭蕉布や大島紬等の染織文化が発達してきました。特に大島紬は、奄
美大島の基幹産業として国内外に知られています。
[食]日本にはない豚を食べる食文化があり、豚脂も盛んに利用されてます。薩摩藩統治時代に、鹿児島の
料理の影響も強く受けています。また薩摩藩統治時代に黒砂糖生産が行われたため、サトウキビ農業が今で
も盛んに行われています。
[住]奄美大島を覆う森林は、古い時代から船や住宅の材料として利用されてきました。楔を使用する独特
の建築文化(釘は使わない)が発達しています。国により保護されている国指定文化財の「泉家住宅」「薗家
住宅」「旧安田家住宅」があります。博物館の敷地内にも、古民家と高倉が移築されています。
[芸能]「八月踊り」と呼ばれる伝統的踊りが、各集落で行われているほか、「シマウタ」と呼ばれる独特の
唄があり、若い世代にも人気があります。
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大島紬
鶏 飯(写真提供:泉 和子)
保存食の塩豚を使う料理
豚骨(ウァンフヌィ)(写真提供・泉 和子)
サトウキビ畑
保存食の塩豚(写真提供:泉 和子)
塩豚入りの油ソーメン(写真提供:泉 和子)
サトウキビ畑
サトウキビ畑
大島紬
保存食の塩豚(写真提供・泉 和子)
鶏飯(写真提供・泉 和子)
塩豚入りの油ソーメン(写真提供・泉 和子)
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