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新標準音楽理論 第11回 第11回 Basic chord progressionまとめ コード&スケール 音楽の通常システム 通常の音楽にて「メロディ」は「コード」で支えられます。コードには「スケール」が対 応しスケールがメロディの基本的な材料になります。この「コード」と「スケール」が対応 関係にあることを理解するとメロディの客観的構造解析ができ、改良の余地があるかどうか の価値判断に大いに役立ちます。 大きな尺度から小さな尺度へ 今までの理論材料でこのことを説明するとスケールはMajor scale、コードはMajor scale から作られるD7Cと見立てることができます。また、メロディは実践的に考えればMajor scaleから簡略化して作られるScottish scaleになぞることができるでしょう。 47 メロディ コード スケール 基本的な材料 支え 対応関係 メロディ D7C Major scale 基本的な材料 支え 対応関係 主にScottish scale このページの全ての内容、文章、画像は著作権によって保護されています。 権利者の許可なく引用、転載、その他販売などの二次利用することを固く禁じます。 Copyright © 2016 特定非営利活動法人ミュージックプランツ All Rights Reserved

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新標準音楽理論 第11回

第11回 Basic chord progressionまとめ

コード&スケール

音楽の通常システム

通常の音楽にて「メロディ」は「コード」で支えられます。コードには「スケール」が対応しスケールがメロディの基本的な材料になります。この「コード」と「スケール」が対応関係にあることを理解するとメロディの客観的構造解析ができ、改良の余地があるかどうかの価値判断に大いに役立ちます。

大きな尺度から小さな尺度へ

今までの理論材料でこのことを説明するとスケールはMajor scale、コードはMajor scaleから作られるD7Cと見立てることができます。また、メロディは実践的に考えればMajor scaleから簡略化して作られるScottish scaleになぞることができるでしょう。

47

メロディ

メロディ

コード スケール

基本的な材料支え

対応関係

1

メロディ

コード スケール

基本的な材料支え

対応関係

メロディ

D7C Major scale

基本的な材料支え

対応関係

主にScottish scale

2

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新標準音楽理論 第11回

この概念をさらに微細化します。楽曲で使われる一つ一つのコードそれぞれに対応スケールを考えます。Major scaleの3番目を例に出すと、IIIのコード(IIIm7)に対応するのはIIIのスケール(Major scale3番目の音から並び替えたスケール=Phrygian)となります。

ここで、コード&スケールを理解するメリットをお話しましょう。

コードは3度堆積で作られ、最大で7音まで足されます。通常の基本コードとして使われるのは7thまで足された4和音です。この「Root 3rd 5th 7th」までのエリアを「コードトーン」といいます。またこれ以上のエリア「9th 11th 13th」を「テンションノートもしくはアボイドノート」と呼び、コードトーンと区別して考えます。

それぞれの性質を説明します。

48

メロディ

IIIのスケール (Phrygian)

基本的な材料支え

対応関係

コードトーンと テンションとアボイド

の区別

IIIのコード (IIIm7)

R m3 P5 m7♭9 ♭1311アボイド アボイドテンション

R

m3

P5

m7III

R

m3

P5

m7

♭9

11

♭13

III

IIIm7

3

R35791113

コードトーン

テンション or

アボイドノート

1

コードトーン いつもサウンドとして鳴らしておくべき音

テンション コードトーンと一緒に鳴らして美しく響く音

アボイドノート コードトーンと一緒に鳴らして汚く濁る音

常に使用できる音だが空気を読んで使うべき音

コードサウンドとしては避けなければならない メロデイには解決するべき短時間の音(アプローチトーン)としてのみ使用できる

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「9th 11th 13th」の音たちをコードトーンの間に挟み込むと「7音の連続したスケール」となります。

コード&スケールの概念図

このスケールとコードをお互いに対応関係にあるといいます。コードから見れば必ず対応するスケールが一つ以上存在し、そのスケールを確定すればコードトーン、テンション、アボイドも確定します。 あるコードを用いたときの対応スケールを理解することにより「コードトーン」「テンショ

ンノート」「アボイドノート」の区別ができ、更にそれらに含まれないスケール外の音(Non-scale tone)が確定されるのでメロディ一音一音の精査とコントロールができるようになります。これらの音は音楽のジャンルや、ターゲットにする聴衆によって使われ方やその存在比率に差が出てきます。

Major scale systemでのChord & scale1 先ほど例に出したMajor scaleの3番目、すなわちIIIのコードとその対応スケールであるIII

のスケールをKey of Cで具体的に説明します。

Key of CでのMajor scaleの3番目、すなわちEから積み上げたコード:D7C=Em7とEから並び替えたスケールが対応関係になります。

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テンション または

アボイドノート

コードトーン

Root3rd5th7th9th11th13th

対 応 コ │ ド

Root3rd

5th7th

9th11th

13th

スケール

コード & スケール 概念図

♭9 11 ♭13アボイド テンション

アボイド

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Em7

FA

C

濁る 綺麗に響く 濁る

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1

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新標準音楽理論 第11回

テンションとアボイドの区別の仕方はコードトーンであるEm7と一緒にそれぞれの音を鳴らしてみると判断できます。

コード&スケールでは次の4つの情報が必要です。 1. スケールの全音・半音構造 2. スケール各音のインターバル 3. 対応コード 4. テンションとアボイドの区別

これに基づいてIIIのコード&スケールを見ると

これらの情報を全て含んだ意味合いで「III」のスケールは「Phrygian」と名付けられています。(読み方は『フリジアン』『フリギアン』など)

残りの「I」「II」「IV」「V」「VI」「VII」のコード&スケールについても同じような考え方で対応関係を導き出すことができます。

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♭9 11 ♭13アボイド テンション

アボイド

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Em7

FA

C

濁る 綺麗に響く 濁る

1

♭9 11 ♭13アボイド テンション

アボイド

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Em7

FA

C

濁る 綺麗に響く 濁る

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Rm3P5m7♭911♭13

R m3P5

m7

♭9♭13

11アボイド

アボイド

テンションEm7対応コード

Em7対応コード

Phrygian (Major scaleのIII)

1

1 全音・半音

2 インターバル構造 R ♭9 m3 11 P5 ♭13 m7

3 対応コード Em7 (IIIm7)

4 テンション・アボイド テンション=11(A) アボイド=♭9(F) ♭13(C)

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新標準音楽理論 第11回

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Phrygian (Major_III)

Dorian (Major_II)

Ionian (Major_I)

Lydian (Major_IV)

Mixo-lydian (Major_V)

Aeolian (Major_VI)

Locrian (Major_VII)

Chord & scale:Major scale system

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新標準音楽理論 第11回

Functional motion(機能的進行) Diatonic dominant motionのP4進行、Scale tone motionの上下2度進行以外に残って

いる「上下3度及び5度進行」で進行しやすいものを「Functional motion」と呼びます。

Function(機能) Function(機能)とは曲の進行感を司る要素のことです。各コードは1つ、または2つの

Function (機能)を持ち、コード進行において時間軸上の配置への目安に役立ちます。 以下、Tonic=T Subdominant=S Dominant=Dと表す。

最も自然な流れ。 T→S S→D D→T

同じFunctionへの進行も問題ありません。 T→T S→S D→D

自然に逆らった進行、抵抗感を生みます。注意すべき点は「抵抗感」を生むのであって「進行出来ない」のではありません。進行感にブレーキをかけることにより、新鮮な感情を生む効果があります。また、ロックにはこのテイストを含んだコード進行が多いです。 T→D S→T D→S

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Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅰ Ⅱ ⅢP4進行:Diatonic dominant motion(Ⅲ→Ⅵ)

上下2度進行:Scale tone motion (Ⅲ→Ⅳ Ⅲ→Ⅱ)

上下3度及び5度進行:Functional motion または Resistive motion(Ⅲ→Ⅴ Ⅲ→Ⅶ Ⅲ→Ⅰ)

基礎コード進行概略図

2010年4月21日水曜日

Tonic楽曲の中心感覚(明るいTonic=Ⅰ 暗いTonic=Ⅵ)終止感覚  始まりの感覚

DominantTonicに向かうエネルギーを持ち、Tonicの終止感覚を確定させる  

SubdominantDominantの前に置くことでTonicでの終止感覚をより強固にする。Tonicから進むことで始まりの感覚が生まれる。

各Function(機能)の性質と自然的な流れ

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Diatonic 7th chordのFunction

メジャーコードは1つ、マイナーコードは2つのFunctionを持ちます。各Functionを考慮するとDiatonic上で「上下3度及び5度進行」は以下のように分類されます。

進行しやすい ◎→○→△→▲→X 進行しにくい

Functional motionとResistive motion この表から進みやすい進行である「Functional motion」は「III度下進行」と言えます。

また▲や✕は進みにくい進行でこれを区別し「Resistive motion」(反抗的進行)と呼びます。△はそのどちらでもなくニュートラルな進行感になります。

ex.1 循環コードはDiatonic dominant motion 、Scale tone motion、Functional motionの

入った進行である。

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Ⅰ△7 Ⅱm7 Ⅲm7 Ⅳ△7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅶ∅7T S D TSSD SDDT

Ⅲ7 D=( )

Ⅰ△7 Ⅱm7 Ⅲm7 Ⅳ△7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅶ∅7T SD DT S D TS SD

Ⅲ度下進行 T→TS SD→SD DT→T S→SD D→DT TS→S SD→DⅥm7 ◎ Ⅶ∅7 ◯ Ⅰ△7 ◎ Ⅱm7 ◎ Ⅲm7 ◎ Ⅳ△7 ◎ Ⅴ7 ◎

Ⅲ度上進行 T→DT SD→S DT→D S→TS D→SD TS→T SD→SDⅢm7 ▲ Ⅳ△7 ▲ Ⅴ7 ▲ Ⅵm7 ▲ Ⅶ∅7 ▲ Ⅰ△7 ▲ Ⅱm7◯

Ⅴ度上進行 T→D SD→TS DT→SD S→T D→SD TS→DT SD→SⅤ7 X Ⅵm7 △ Ⅶ∅7 △ Ⅰ△7 X Ⅱm7 ▲ Ⅲm7 △ Ⅳ△7▲

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Ⅰ Ⅵ ⅤⅣC Am7 F△7 G7

Functional motion Functional motion Scale tone motion Diatonic dominant motion(Ⅰ)

T S DTS

Functional motion ◎ or ◯ 3度下進行

Resistive motion ▲ or ✕ 3度上及びメジャーコードの絡んだ5度進行

ニュートラル △ マイナーコードの5度進行

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