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第120回広島消化器病研究会 2018 年4 月 7日(土) 12:30より 広仁会館 大会議室 広島市南区霞 1 2 3 (広島大学霞キャンパス) Hiroshima Gastroenterological Association (HGA)

第120回広島消化器病研究会 - home.hiroshima-u.ac.jp · 第120回広島消化器病研究会 2018年4月7日(土) 12:30より 広仁会館 大会議室 広島市南区霞1-2-3

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第120回広島消化器病研究会

2018 年 4 月 7 日(土) 12:30より

広仁会館 大会議室

広島市南区霞1-2-3

(広島大学霞キャンパス)

Hiroshima Gastroenterological Association (HGA)

広島消化器病研究会

事務局: 〒734-8551 広島市南区霞1-2-3 広島大学病院 内視鏡診療科 TEL 082-257-5538 FAX 082-253-2930 E-mail : hga14@hiroshima-u.ac.jp http : //home.hiroshima-u.ac.jp/hga14/

講 演 時 間 一般演題の発表時間は,8分(発表5分,討論3分)です。 時間厳守をお願いします。

発 表 方 法 パソコンによるプレゼンテーションをお願いします。 発表データを保存したUSBメモリをご持参下さい。−Mac,Windows対応可−

なお,動画データを組み込まれている場合は,パソコン本体をご持参下さい。

研究会会費 当日受付でお払込み下さい。 参加費

   勤務医  1,000円

   一般医家  2,400円(年1回徴収)

         (ただし,一般医家会員は診療報酬より差し引きます)

幹 事 会 11:30〜12:00に中会議室にて幹事会を行います。(弁当代1,500円)

会場〔広島大学病院構内〕

広仁会館

―1―

開 会 の 辞 (12:30~12:32) 会長 茶山一彰

一 般 演 題 (12:32~16:18)

Ⅰ(12:32~12:48) 座長 JA広島総合病院 消化器内科 藤本佳史 コメンテーター 広島記念病院 内科 江口紀章

1.急性胆嚢炎に対する経乳頭的胆嚢ドレナージについての検討

広島市立安佐市民病院 消化器内科 ○行武正伸,小川裕太郎,下原康嗣,玉理太覚

 中村真也,柾木慶一,朝山直樹,青山大輝

 向井伸一,脇 浩司,永田信二

同  内視鏡内科  鴫田賢次郎,福本 晃

2.リマプロストが原因と考えられた胆嚢出血の1例

庄原赤十字病院 ○山岡賢治,鎌田耕治,宮本 亮,槙坪良時

 網岡 慶,鳴戸謙輔,山中陽介,舛田裕道

 西山宗希,服部宜裕,中島浩一郎

Ⅱ(12:48~13:04) 座長 広島大学病院 消化器・代謝内科 芹川正浩 コメンテーター 中国労災病院 消化器内科 大屋敏秀

3.経過観察中に増大傾向を認めた胆嚢粘膜内癌の1例

広島赤十字・原爆病院 ○上平祐輔,岡崎彰仁,山下由美子,豊島 元

 宮本明香,本田洋士,河野友彦,坂野文香

 齋  宏,毛利律生,髙木慎太郎,森 奈美

 岡信秀治,辻 恵二,久留島仁,松本能里

 田利 晶,古川善也

4.膵管内進展を認めた腺房細胞癌の1例

JA広島総合病院 消化器内科 ○隅岡昭彦,藤本佳史,村田 愛,末廣洋介

 野中裕広,古土井明,兵庫秀幸,相坂康之

 小松弘尚,徳毛宏則

―2―

Ⅲ(13:04~13:20) 座長 広島大学病院 消化器・代謝内科 石井康隆  コメンテーター 県立広島病院 消化器内科 佐々木民人

5.膵上皮内癌(PCIS)の腫瘍形態と画像所見の検討

JA尾道総合病院 消化器内科 ○福原基允,花田敬士,矢野茂樹,森 英輝

 松本 望,丸山紘嗣,清水晃典,中土井鋼一

 南 智之,片村嘉男,宍戸孝好,小野川靖二

 平野巨通,天野 始,日野文明

同       外科  天野尋暢

同  病理研究検査科  米原修治

6.内視鏡的乳頭切除術の安全性と標準化にむけて

広島大学病院 消化器・代謝内科 ○平野哲朗,芹川正浩,石井康隆,壷井智史

 栗原啓介,辰川裕美子,宮木英輔,河村良太

 津島 健,齋藤裕平,關藤 剛,吹上綾美

 森 豪,茶山一彰

Ⅳ(13:20~13:36) 座長 広島大学病院 未来医療センター 卜部祐司 コメンテーター 広島赤十字・原爆病院 消化器内科 岡信秀治

7.食道扁平上皮癌術後寡数個リンパ節再発に対する化学療法併用画像誘導強度変調回転照射

広島平和クリニック ○赤木由紀夫,小山 矩,小野 薫,廣川 裕

8.経皮内視鏡的胃瘻造設術における早期死亡因子についての検討

呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科 ○三浦崚一,桑井寿雄,隅田ゆき,高砂 健

 宮迫由季,西村朋之,今川宏樹,山口敏紀

 山口 厚,河野博孝,高野弘嗣

―3―

Ⅴ(13:36~13:52) 座長 県立広島病院 内視鏡内科 佐野村洋次 コメンテーター 広島大学病院 消化器・代謝内科 伊藤公訓 

9.Helicobacterpylori除菌後,逐年内視鏡検査で診断された粘膜下層浸潤胃癌の検討

広島大学病院 消化器・代謝内科 ○畑 幸作,伊藤公訓,小刀崇弘,木曽まり子

 益田和彦,茶山一彰

同  内視鏡診療科  保田智之,田中信治

松尾内科病院  松尾泰治

広島大学 保健管理センター  吉原正治

10.内視鏡直視下でコーラの直接散布,局注により破砕,除去した胃石の1例

JA広島総合病院 消化器内科 ○村田 愛,小松弘尚,石橋一樹,隅岡昭彦

 野中裕広,古土井明,藤本佳史,兵庫秀幸

 相坂康之,徳毛宏則

Ⅵ(13:52~14:08) 座長 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科 桑井寿雄 コメンテーター 広島市立安佐市民病院 消化器内科 永田信二

11.虫垂内進展盲腸腫瘍に対するESDの有用性と安全性

広島大学病院 内視鏡診療科 ○保田和毅,田中信治,二宮悠樹,林 奈那

同  消化器・代謝内科  岡 志郎,田中秀典,松本健太,山下 賢

 住元 旭,茶山一彰

12.大腸ESDの適応拡大に向けたhighqualityESD(HQ-ESD)と手技評価

広島市立安佐市民病院 内視鏡内科 ○鴫田賢次郎,福本 晃

同  消化器内科  永田信二,小川裕太郎,下原康嗣,玉理太覚

 中村真也,朝山直樹,柾木慶一,青山大輝

 行武正伸,向井伸一,脇 浩司

―――――― 休 憩(14:08〜14:18)――――――

―4―

Ⅶ(14:18~14:42) 座長 広島市立広島市民病院 内科 國弘真己 コメンテーター 県立広島病院 内視鏡内科 渡邉千之

13.医原性リンパ増殖性疾患を発症し,大腸全摘術を施行した難治性潰瘍性大腸炎の1例

広島市民病院 内科 ○藤井佳菜,國弘真己,小坂正成,平田一成

 衣笠秀明,宮原孝治,森藤由記,東 玲治

 平尾 謙,小川恒由

同  内視鏡内科  中川昌浩

同     外科  小島康知,岡島正純

14.大腸憩室出血症例における責任憩室の新たな同定法―“stepclipping法”―

広島市立安佐市民病院 消化器内科 ○玉理太覚,青山大輝,下原康嗣,小川裕太郎

 中村真也,朝山直樹,柾木慶一,行武正伸

 向井伸一,脇 浩司,永田信二

同  内視鏡内科  鴫田賢次郎,福本 晃

15.強皮症に腸管気腫症・小腸壊死を合併し開腹小腸切除により軽快した1例

広島赤十字・原爆病院 ○山下由美子,河野友彦,豊島 元,上平祐輔

 宮本明香,本田洋二,岡崎彰仁,坂野文香

 斎 宏,毛利律生,髙木慎太郎,森 奈美

 岡信秀治,辻 恵二,久留島仁,松本能里

 田利 晶,古川善也

Ⅷ(14:42~15:06) 座長 呉医療センター・中国がんセンター 消化器外科 鈴木崇久 コメンテーター 広島大学原医研 腫瘍外科 浜井洋一

16.術前化学放射線療法を施行した食道癌におけるFDG-PETによるリンパ節評価の意義

広島大学 原医研外科 ○鈴木江梨,浜井洋一,恵美 学,伊富貴雄太

 黒川智彰,岡田守人

17.高齢者胃癌症例に対する胃全摘術の現況と噴門側胃切除術(観音開き法再建)の経験

広島記念病院 外科 ○豊田和宏,二宮基樹,坂下吉弘,土井寛文

 木建 薫,迫田拓弥,原 鐵洋,小林弘典

 橋本泰司,横山雄二郎,宮本勝也

18.十二指腸非乳頭部腫瘍に対する術中内視鏡併用十二指腸部分切除術の検討

広島大学病院 消化器・移植外科 ○佐伯吉弘,田邊和照,堀田龍一,山本悠司

 柳川泉一郎,太田浩志,大段秀樹

―5―

Ⅸ(15:06~15:30) 座長 広島大学大学院 応用生命科学部門外科学 渡谷祐介 コメンテーター 県立広島病院 消化器外科 池田 聡

19.当院の直腸癌に対する側方リンパ節郭清の治療成績

広島記念病院 ○小林弘典,宮本勝也,坂下吉弘,二宮基樹

 横山雄二郎,橋本泰司,豊田和宏,迫田拓弥

 原 鐵洋,木建 薫,土井寛文

20.低位直腸癌に対するmodifiedULARの検討

広島大学病院 消化器・移植外科 ○河内雅年,向井正一朗,佐田春樹,田口和浩

 中島一記,寿美裕介,惠木浩之,大段秀樹

広島大学 医学部付属医学教育センター  服部 稔

21.潰瘍性大腸炎手術例の術前状態と手術成績との関係

広島大学大学院 医歯薬保健学研究科外科学 ○矢野雷太,大毛宏喜,向田敦史,岡本暢之

 北川浩樹,黒尾優太,垰越宏幸,嶋田徳光

 上神慎之介,渡谷祐介,上村健一郎,村上義昭

 末田泰二郎

Ⅹ(15:30~15:46) 座長 JA広島総合病院 消化器内科 兵庫秀幸 コメンテーター 広島赤十字・原爆病院 消化器内科 辻 恵二

22.慢性肝疾患患者における体重減量入院パスの位置づけ

中電病院 内科 ○最上文子,菅 宏美,鍋島由宝,金 宣眞

 中河啓悟,石橋克彦,河村 寛

23.高度肥満患者のNAFLD/NASH治療における減量手術の効果

広島大学病院 消化器・代謝内科 ○難波麻衣子,中原隆志,内川慎介,児玉健一郎

 稲垣有希,鳩岡正浩,盛生 慶,村上英介

 河岡友和,柘植雅貴,平松 憲,今村道雄

 川上由育,相方 浩,茶山一彰

同  消化器・移植外科  堀田龍一,田邊和照,大段秀樹

同    病理診断科  有廣光司

―6―

Ⅺ(15:46~16:02) 座長 広島大学病院 消化器・代謝内科 平松 憲 コメンテーター 庄原赤十字病院 内科 鎌田耕治

24.肝疾患患者におけるこむら返りの実態と対処法

JA広島総合病院 消化器内科 ○石橋一樹,村田 愛,兵庫秀幸,隅岡昭彦

 野中裕広,古土井明,藤本佳史,相坂康之

 小松弘尚,徳毛宏則

25.direct-actingantiviralagents(DAAs)投与により速やかに改善したHCV関連糸球体腎炎の1例

広島市立安佐市民病院 消化器内科 ○小川裕太郎,柾木慶一,下原康嗣,玉理太覚

 中村真也,朝山直樹,青山大輝,行武正伸

 向井伸一,脇 浩司,永田信二

同  内視鏡内科  鴫田賢次郎,福本 晃

Ⅻ(16:02~16:18) 座長 広島大学病院 消化器・代謝内科 相方 浩 コメンテーター 県立広島病院 消化器内科 北本幹也

26.腹腔鏡肝生検を施行した日本住血吸虫症の1例

広島赤十字・原爆病院 ○豊島 元,辻 恵二,上平祐輔,山下由美子

 宮本明香,本田洋士,岡崎彰仁,河野友彦

 斎 宏,毛利律生,髙木慎太郎,森 奈美

 岡信秀治,田利 晶,藤原 恵,古川善也

宮崎大学 医学部寄生虫学  丸山治彦

27.腹腔内出血をきたした異所性静脈瘤の1例

中国労災病院 消化器内科 ○門田紘樹,守屋 尚,久賀祥男,中村一樹

 菊川千尋,堀内敦史,実綿倫宏,毛利輝生

 北村正輔,沼田義弘,大屋敏秀

同  外科  福原宗太朗,澤田紘幸,平田雄三

―――――― 休 憩(16:18〜16:30)――――――

―7―

「伊 藤 賞」 表 彰 式(18:10~18:15) 会長 茶山一彰, 伊藤賞選考委員長 隅岡正昭 先生

閉 会 の 辞 (18:15) 会長 茶山一彰

座長 広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 内視鏡医学

教授 田中信治先生

『小腸病変に対する内視鏡診断と治療の進歩』広島大学病院 消化器・代謝内科 診療准教授 岡 志郎 先生

教育講演(16:30~17:10)

座長 広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 消化器・代謝内科学

教授 茶山一彰先生

『肝臓病残された課題』金沢大学大学院 消化器内科 教授 金子周一 先生

共催:アッヴィ合同会社

特別講演(17:10~18:10)

―8―

MEMO

―9―

『小腸病変に対する内視鏡診断と治療の進歩』

カプセル内視鏡およびバルーン内視鏡の開発に伴い,20世紀には暗黒大陸といわれ観察困難で

あった深部小腸疾患に対する内視鏡診断と治療が可能となり,新たな小腸内視鏡学が確立されつ

つある。カプセル内視鏡は患者の苦痛を伴うことなく小腸疾患のスクリーニング検査,治療後の

フォローアップに有用な検査法であるが,生検による確定診断や治療ができないことが欠点であ

る。一方,バルーン内視鏡は患者に負担をしいる部分もあるが,深部小腸の観察のみならず内視

鏡治療が可能なことが利点である。

小腸疾患の主なものとして,angioectasiaなどの血管性病変,クローン病やNSAIDs起因性など

の潰瘍性病変,Peutz-Jeghers症候群の多発ポリープや腫瘍性病変などに分類される。小腸疾患に

対する治療法は様々であるが,内視鏡治療を必要とする疾患も多く,深部小腸においても食道,胃,

大腸と同様の治療手技が行えるようになっており,症例の集積とともにその有用性と安全性が広

く認知されるようになった。

本講演では,出血性小腸疾患をはじめとした内視鏡による診断および治療的アプローチの現状

と課題について最新のデータをもとに概説する。

教 育 講 演

岡 志郎 先生広島大学病院 消化器・代謝内科 診療准教授

―10―

主要履歴 岡 志郎 (おか しろう)【略歴】平成6年3月   広島大学医学部医学科 卒業平成6年5月〜  広島大学医学部附属病院医員(研修医)平成7年4月〜  広島市立安佐市民病院 研修医平成7年10月〜  広島大学医学部附属病院医員(研修医)平成8年4月〜  済生会呉病院(内科)医師平成11年4月〜  木阪病院(内科)医師平成12年4月〜  広島大学医学部附属病院 光学医療診療部医員平成13年4月〜  河村病院(内科)医師平成14年4月〜  広島大学病院 光学医療診療部医員平成20年1月〜  広島大学病院 光学医療診療部助教平成21年1月〜  広島大学病院 内視鏡診療科助教平成24年7月〜  広島大学病院 内視鏡診療科診療講師平成28年4月〜  広島大学病院 消化器・代謝内科講師平成29年10月〜  広島大学病院 消化器・代謝内科診療准教授

【学位】医学博士(広島大学3803号 平成16年7月22日)学位論文「Clinicalandmolecularpathologicfeaturesofcolorectalserratedadenoma」

【賞罰】平成17年  第15回日本消化器内視鏡学会学会賞平成23年  第20回欧州消化器病週間(UEGW2011)BestPosterAward平成24年  第21回欧州消化器病週間(UEGW2012)OralFreePaperPrize,TravelGrant平成26年  大腸癌研究会最優秀論文賞(2015年度)平成29年  日本消化管学会最優秀サイテーション賞平成29年  平成28年度広島大学病院論文賞 最多論文賞平成30年  2017年度DigestiveEndoscopyBestReviewerAward

【主要所属学会】日本消化器内視鏡学会(学術評議員・指導医)日本消化器病学会(学会評議員・指導医)日本大腸肛門病学会(評議員・指導医)日本消化管学会(評議員・指導医)日本カプセル内視鏡学会(代議員・指導医)日本大腸検査学会(評議員)日本小腸学会(評議員)日本内科学会(支部評議員・専門医)日本消化器がん検診学会(胃・大腸認定医)日本胃癌学会

【専門分野】消化管腫瘍の内視鏡診断・治療,小腸疾患の内視鏡診断

【その他】広島都市学園大学非常勤講師大腸癌研究会ガイドライン委員会委員日本消化器内視鏡学会内視鏡洗浄ガイドライン作成委員日本消化器内視鏡学会用語委員会委員日本消化器内視鏡学会附置研究会審議会委員日本消化器内視鏡学会和文誌編集委員日本消化器内視鏡学会大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン委員会委員日本消化器内視鏡学会記念誌作成委員会委員日本大腸肛門病学会医学用語委員会委員日本大腸肛門病学会邦文誌編集委員会委員日本大腸肛門病学会学会賞選考委員会委員日本カプセル内視鏡学会読影トレーニング小委員会委員日本カプセル内視鏡学会認定医制度委員会委員 日本消化管学会研究助成委員会委員財団法人広島県健康福祉センター胃がん・大腸がん専門委員会委員広島県地域保健対策協議会胃がん・大腸がん医療連携推進特別委員会委員日本消化器病学会大腸ポリープ診療ガイドライン作成委員会早期胃癌研究会運営委員大腸癌研究会プロジェクト委員会「大腸壁深達度の判定基準」(委員)「内視鏡的摘除後大腸SM癌の転移・再発に関する多施設共同研究」(委員・事務局)『pT1大腸癌のリンパ節転移の国際共同研究』(委員)腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)研究会世話人EndoscopyForumJAPAN世話人消化器内視鏡推進連絡会委員平成21-23年度厚生労働科学研究費補助金(がん臨床研究事業)小田一郎班「早期胃がん内視鏡切除症例のWebを用いたがん登録システムによる前向きがん登録に関する研究」班(研究分担者)平成21-23年度厚生労働科学研究費補助金(第3次対がん総合戦略研究事業)斎藤豊班「新しい内視鏡診断機器の臨床への応用とこれらを用いた診断精度の向上に関する調査研究」(研究分担者)

―11―

『肝臓病残された課題』

C型肝炎ウイルスに対する経口の抗ウイルス薬は副作用も少なく高い治療効果を示し,我が国に

おけるC型肝炎は,主に難治例やウイルス排除後の発がんなどの課題を残すだけとなりつつある。

B型肝炎に対してはワクチンによる予防が行われ,経口の抗ウイルス薬が使用されている。しかし,

ウイルスを排除する,あるいは完全に肝炎を沈静化することはむずかしく,新規の治療薬の開発

が望まれている。減少傾向にあるといってもウイルス性肝硬変,および肝がんの患者は多数であり,

アルコール性や薬物による肝障害,自己免疫性の肝疾患も大きな課題である。加えて,脂肪肝の

患者数は多く,脂肪性肝炎やそれに伴う肝硬変,肝がんが注目されている。この講演会では,こ

うした転換点にある肝臓病の残された課題についてお話をしたい。

金子周一 先生金沢大学大学院 消化器内科 教授

特 別 講 演

―12―

主要履歴 金子周一 (かねこ しゅういち)

金沢大学大学院 システム生物学分野(旧内科学第一講座) 教授附属病院消化器内科 教授世界保健機構(WHO)コラボレーティングセンター センター長

【略歴】昭和57年  金沢大学医学部卒業,金沢大学第一内科入局昭和62年  米国国立衛生研究所(NIH)VisitingFellow平成2年  金沢大学医学部第一内科助手,講師(平成4年より)平成5年  米国南カリフォルニア大学VisitingProfessor平成8年  金沢大学医学部第一内科助教授平成16年  現職平成18年  医学部長(平成22年まで併任),学長補佐(平成26年まで併任)平成26年  医薬保健総合研究科長・医学系長(平成28年まで併任)平成28年  医薬保健学域長・研究域長(平成30年まで併任)

【学会関係】日本肝臓学会理事(2009-2016),日本消化器病学会理事(2012-2017)日本肝臓学会総会会長2012年,日本消化器病学会総会会長2019年予定

【委員】厚生労働省  厚生科学審議会専門委員(平成17年3月〜)独立行政法人 PMDA専門委員(平成16年6月〜)独立行政法人 NEDO技術委員(平成21年7月〜)日本学術会議 連携会員(平成23年〜)

【国際誌編集】Associateeditor:CancerScience(がん)       Immuno-Gastroenterology(消化器免疫)

【客員教授】SichuanUniversity(中国四川大学)asofJune29,2007

【表彰等】平成16年6月  文部科学大臣賞(産学官連携功労者表彰)平成17年6月  織田賞(日本肝臓学会)平成25年6月  発明賞(発明協会)平成26年4月  科学技術賞(文部科学大臣表彰)平成27年6月  モンゴルアカデミー(外国人最高賞)フビライ・ハン金賞平成27年8月  経済産業大臣賞(産学官連携功労者表彰)   他

―13―

MEMO

―14―

抄 録 集( 一 般 演 題 )

(応募抄録をそのまま掲載しています)

1  急性胆嚢炎に対する経乳頭的胆嚢ドレナージについての検討

広島市立安佐市民病院 消化器内科

行武正伸,小川裕太郎,下原康嗣,玉理太覚,中村真也,柾木慶一,朝山直樹,青山大輝,向井伸一,

脇 浩司,永田信二

広島市立安佐市民病院 内視鏡内科

鴫田賢次郎,福本 晃

【背景・目的】高齢化社会となり,急性胆嚢炎の初期治療に内視鏡的経乳頭的胆嚢ドレナージ術(以下ENGBD)

が選択されることも増えている。ただし,その成功率は決して高いものではなく,急性膵炎や胆嚢管損傷な

どの偶発症も懸念される。今回我々は急性胆嚢炎に対しENGBDを試みた症例について,成功率・偶発症・有用

性について検討した。

【対象】2010年1月から2017年12月までの期間に急性胆嚢炎と診断しENGBDを試みた95例を対象とした。

【結果】患者の平均年齢は75.9歳。手技成功率は71.6%(68/95)。手技が成功した患者では9割以上で胆嚢ドレ

ナージが有効であった。偶発症については胆嚢管損傷3例,出血や消化管穿孔・重症急性膵炎は1例も認めな

かった。

【結語】ENGBDは安全に施行可能であったが,胆嚢管損傷のリスクもあり,無理をせず,その他のドレナー

ジ方法に切り替えることも重要と思われた。

2  リマプロストが原因と考えられた胆嚢出血の1例

庄原赤十字病院

山岡賢治,鎌田耕治,宮本 亮,槙坪良時,網岡 慶,鳴戸謙輔,山中陽介,舛田裕道,西山宗希,

服部宜裕,中島浩一郎

【症例】62歳,男性。

【主訴】右季肋部痛。

【現病歴】右季肋部痛,肝機能異常を認めたため近医より紹介受診された。脊柱管狭窄症にてリマプロスト内

服中。

【血液検査】T-Bil2.0mg/dL,AST1221IU/L,ALT436IU/L,ALP931IU/Lと肝胆道系酵素の上昇を認めたが

肝炎ウイルス,抗核抗体などは陰性。

【画像所見・入院後経過】腹部エコーでは胆嚢内にモザイク状所見を認めた。CTでは単純で胆嚢内に高吸収領

域を認め,造影効果はなかった。ERCP時にVater乳頭から出血を認め,ERC造影では総胆管内に凝血塊と思

わる透亮像を認めた。ENGBDを留置し,内容物は血性で,細胞診で悪性細胞を認めず。腹痛や肝機能異常は

リマプロスト内服による胆嚢出血が原因と考えられた。腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,病理診断は慢性胆嚢

炎で悪性所見は認めず。

【結論】リマプロスト内服による胆嚢出血の1例を経験した。

―15―

3  経過観察中に増大傾向を認めた胆嚢粘膜内癌の1例

広島赤十字・原爆病院

上平祐輔,岡崎彰仁,山下由美子,豊島 元,宮本明香,本田洋士,河野友彦,坂野文香,齋  宏,

毛利律生,髙木慎太郎,森 奈美,岡信秀治,辻 恵二,久留島仁,松本能里,田利 晶,古川善也

【症例】症例は60歳代男性。2006年に胆嚢内隆起性病変を指摘され,近医にてフォローされていたが,腹部エ

コーで増大傾向を認めたため2010年に当科を紹介受診した。腹部エコー上は10㎜大の高エコーIpポリープで,

単純CTで胆汁と同程度のdensityを呈し,造影CTでは軽度の造影効果を有した。コレステロールポリープと

して当科でのフォローを開始した。当初の画像所見上は明らかな変化を認めなかったが,経過観察中に徐々

に増大傾向を認めたため,2015年に開腹下拡大胆嚢摘出術を施行した。病理結果は胆嚢粘膜内にとどまる腺

腫内癌であり,脈管侵襲やリンパ節転移を認めなかった。術後3年間再発なく経過している。

【考察】胆嚢内隆起性病変における良悪性の鑑別および適切な切除時期の決定は容易ではない。経過観察中に

増大傾向を認めた胆嚢粘膜内癌の一切除例を報告する。

4  膵管内進展を認めた腺房細胞癌の1例

JA広島総合病院 消化器内科

隅岡昭彦,藤本佳史,村田 愛,末廣洋介,野中裕広,古土井明,兵庫秀幸,相坂康之,小松弘尚,

徳毛宏則

膵腺房細胞癌は膵癌の1%程度であり比較的まれな腫瘍である。近年,膵管内へ進展を示す症例の報告が散

見されるが,今回我々も同様の症例を経験したので報告する。症例は70歳代女性。右季肋部痛を主訴に近医

を受診し,腹部超音波にて胆嚢結石を指摘され当院に紹介となった。CTでは膵頭部に2㎝大の類円形の低吸

収域を認めた。主膵管の拡張は認めなかった。MRIではT1WIで低信号,T2WIで高信号な腫瘤であった。

ERPでは膵頭部の分枝膵管内に透亮像が認められた。膵液細胞診を提出したが確定診断には至らなかった。

以上より,腫瘍は拡張した分枝膵管内部に発育した病変であると考えられ,膵管内管状乳頭腫瘍や腺房細胞

癌,神経内分泌腫瘍などを疑った。腫瘍性病変が疑われたため膵頭十二指腸切除術を施行し免疫染色の結果

から腺房細胞癌と診断した。膵管内増殖を主体する進展形式を示した膵腺房細胞癌は稀であり,文献的考察

を加えて報告する。

―16―

5  膵上皮内癌(PCIS)の腫瘍形態と画像所見の検討

JA尾道総合病院 消化器内科

福原基允,花田敬士,矢野茂樹,森 英輝,松本 望,丸山紘嗣,清水晃典,中土井鋼一,南 智之,

片村嘉男,宍戸孝好,小野川靖二,平野巨通,天野 始,日野文明

JA尾道総合病院 外科

天野尋暢

JA尾道総合病院 病理研究検査科

米原修治

【目的】予後が良好とされる膵上皮内癌(PCIS)の腫瘍形態に着目した詳細な検討は過去にみられない。

【方法,対象】2007年12月から2017年11月までの期間に当院で経験したPCIS(UICCstage0)の切除例20例を

病理組織学的な形態に応じてF群:FlattypeとLP群:Lowpapillarytypeに分類した。

【結論】LP群はF群と比較しMRCP,ERPで長い主膵管狭窄像を呈し,病理学的にも主膵管内進展(1㎝以上)

例が多く,LP群のみでスキップ病変を認めた。残膵再発症例はLP群のみであった。以上から,LP群では主

膵管進展が高率で,病変が多発する傾向にあり,残膵に再発する危険性がある。MRCPで長い狭窄長を呈し,

LP群のPCISが疑われた場合には,長期的かつ厳重な経過観察が必要である。

6  内視鏡的乳頭切除術の安全性と標準化にむけて

広島大学病院 消化器・代謝内科

平野哲朗,芹川正浩,石井康隆,壷井智史,栗原啓介,辰川裕美子,宮木英輔,河村良太,津島 健,

齋藤裕平,關藤 剛,吹上綾美,森 豪,茶山一彰

近年十二指腸乳頭腫瘍に対する局所治療法として内視鏡的乳頭切除術(EP)が行われるようになってきた。

次第にその手技と安全性が確立されつつあるが,偶発症や遺残再発の頻度についてはいまだ明らかではない。

今回我々は当院で経験したEP症例を見直し,有用かつ安全な治療指針を明らかにする目的で検討を行った。

当院におけるEPの適応は,術前生検にて腺腫病変で,かつ局在がAd領域に限局している症例としている。

内視鏡スコープはTJF-260(Olympus),切除スネアはCAPTIVATOR13㎜(Boston)を用い,高周波発生装置

ICC200(ERBE)の設定はエンドカットモード120Wで施行した。切除後は原則として5Fr膵管ステント

(COOK)を留置した。2006年4月から2018年2月までに当院でEPを施行した54例で,術後偶発症(早期・晩期)

および断端評価別の術後遺残・再発の有無を検討した。

―17―

7  食道扁平上皮癌術後寡数個リンパ節再発に対する化学療法併用画像誘導強度変調回転照射

広島平和クリニック

赤木由紀夫,小山 矩,小野 薫,廣川 裕

目的:食道癌術後扁平上皮癌寡数個転移に対して化学療法同時併用画像誘導強度変調回転照射(IG-VMAT)

を施行し,治療成績と予後因子を検討した。

対象:2010.3〜2015.7までの29例を対象とした。

方法:IG-VMATはノバリスTxを用い,PTVはCTVに対して全方向に5㎜追加し,PTVの95%に対して処方線

量(中央値66Gy/22回)の95%以上照射されることを原則,PTVの処方線量よりも近隣臓器の耐用線量を優先

した。全例に化学療法(CDGP+DOC)を同時併用した。患者因子・治療因子について単変量解析を行った。

結果:MSTは47ヶ月,5年生存率は74%,無再発生存9例,癌死8例であった。G3以上の有害事象は認めていな

い。予後不良因子は再照射のみであった。

結論:化学療法を併用したIG-VMATは,従来の3D-CRTに比較して安全かつ有効な治療法であると考えられた。

8  経皮内視鏡的胃瘻造設術における早期死亡因子についての検討

呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科

三浦崚一,桑井寿雄,隅田ゆき,高砂 健,宮迫由季,西村朋之,今川宏樹,山口敏紀,山口 厚,

河野博孝,高野弘嗣

【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)後の早期死亡予測因子を明らかにする。

【方法】2008年4月から2017年7月まで,当院でPEGを施行した993症例(男性534例,女性459例,平均年齢78±

11歳)を対象とした。術後30日以内に死亡した症例を早期死亡群とし,単変量および多変量解析でリスク因

子を検討した。

【結果】単変量解析の結果,高齢(≥81歳),ヘモグロビン低値(≤9.4g/dl),CRP高値(≥2.6mg/dl),白血球増

加(≥9000/μL),乳酸脱水素酵素高値(≥300U/L),血中尿素窒素高値(≥34mg/dl),総蛋白低値(≤5.8mg/

dl),アルブミン低値(≤2.7mg/dl),コリンエステラーゼ低値(≤172IU/L)が有意に早期死亡と関連した。多

変量解析では,血中尿素窒素高値が独立した危険因子であった。

【結論】術前の血中尿素窒素高値はPEGの予後予測因子として有用である。

―18―

9  Helicobacterpylori除菌後,逐年内視鏡検査で診断された粘膜下層浸潤胃癌の検討

広島大学病院 消化器・代謝内科

畑 幸作,伊藤公訓,小刀崇弘,木曽まり子,益田和彦,茶山一彰

広島大学病院 内視鏡診療科

保田智之,田中信治

松尾内科病院

松尾泰治

広島大学 保健管理センター

吉原正治

【背景,目的】Helicobacterpylori(Hp)感染胃炎に対して除菌治療が保険適用となり,Hp除菌後患者の増加

に伴い除菌後胃癌も増加している。我々はHp除菌後に逐年内視鏡検査中に発見された胃癌のうち,SM癌と

診断された症例の特性について解析した。

【対象と方法】2005年1月から2017年6月まで,当院にて内視鏡的粘膜下層剥離術を施行し,かつ逐年内視鏡検

査を実施していた分化型早期胃癌243例を対象とした。これらを除菌群と非除菌群に分け,プロペンシティス

コアを用いて比較検討した。

【結果】除菌群は68例,対照群は175例であった。プロペンシティスコアマッチング後の比較ではSM癌は除菌

群11例(16.2%),対照群3例(4.4%)であり,統計学的な有意差を認めた。

【結語】分化型早期胃癌の内視鏡的存在診断に関して,除菌治療は抑制的に作用し,SM癌の比率を増加させ

る可能性がある。

10  内視鏡直視下でコーラの直接散布,局注により破砕,除去した胃石の1例

JA広島総合病院 消化器内科

村田 愛,小松弘尚,石橋一樹,隅岡昭彦,野中裕広,古土井明,藤本佳史,兵庫秀幸,相坂康之,

徳毛宏則

症例は60代男性で胃切除歴のある患者(B-Ⅰ再建)。吐下血を主訴に救急外来受診し入院となった。上部消

化管内視鏡検査を行った所,胃・十二指腸吻合部に潰瘍性病変を認め,胃内に直径5.5㎝の胃石を指摘した。

PPIの投与による潰瘍の治療後,胃石の軟化を狙いコーラ(ペプシNEX)500mlの14日間内服を指示した。内

服後に内視鏡検査を再検したところ,胃石の大きさには変化がなく,把持鉗子やスネアによる破砕も硬く困

難であった。次に内視鏡からコーラを直接散布しながら胃石を除去する方針とした。内視鏡の副送水管を用

いてコーラを胃石へ噴射,生じた亀裂へのコーラの局注も加えながらの破砕を試みたところ,徐々に胃石が

軟化し,把持鉗子で破砕できる硬さとなり除去に成功した。今回の方法は内視鏡直視下で胃石を軟化,破砕

出来る為,腸閉塞などの合併症を回避できる有用な治療法と考えられた。若干の文献的考察を加えて報告

する。

―19―

11  虫垂内進展盲腸腫瘍に対するESDの有用性と安全性

広島大学病院 内視鏡診療科

保田和毅,田中信治,二宮悠樹,林 奈那

広島大学病院 消化器・代謝内科

岡 志郎,田中秀典,松本健太,山下 賢,住元 旭,茶山一彰

【背景】盲腸腫瘍に対するESDはアプローチが正面視となるため難易度が高いが,虫垂内進展を伴うと難易度

がさらに上昇する。

【対象と方法】2008年10月から2015年12月に当科でESDを施行した盲腸腫瘍70例(男性35例,平均年齢67歳,

平均腫瘍径34±16㎜,腺腫26例,癌44例)を対象とし,虫垂内進展腫瘍(A群25例)と虫垂内非進展腫瘍(B群

45例)別に,治療成績を比較検討した。

【治療成績】平均術時間はA群125±135分,B群82±54分,平均剥離速度はA群15±10㎟/分,B群24±16㎟/分

でA群が有意に遅かった(p<0.01)。一括切除率はA群88%(22/25),B群96%(43/45),後出血率はA群4%

(1/25),B群4%(2/45),穿孔率はA群8%(2/25),B群2%(1/45)(全例保存的に加療)で,いずれも両群間に

有意差を認めなかった。

【結語】虫垂内進展盲腸腫瘍に対するESDは安全に施行可能であった。

12  大腸ESDの適応拡大に向けたhighqualityESD(HQ-ESD)と手技評価

広島市立安佐市民病院 内視鏡内科

鴫田賢次郎,福本 晃

広島市立安佐市民病院 消化器内科

永田信二,小川裕太郎,下原康嗣,玉理太覚,中村真也,朝山直樹,柾木慶一,青山大輝,行武正伸,

向井伸一,脇 浩司

大腸ESDの適応拡大に向けて質の高いESDが求められるが,ESD手技自体を評価する指標がない。今回,

ESD手技を「1進行・スピード,2周辺機器の適正使用,3周囲切開,4粘膜下層剥離,5止血操作,6切除後潰瘍底

の状態」の6項目,計100点満点で点数化し,80点以上をHQ-ESDと定義した。当院で動画記録された大腸ESD

20例(腺腫2例,Tis癌10例,T1癌8例)を対象とし,HQ-ESDの臨床病理学的特徴と治療成績を検討した。

全体では完全一括摘除率100%,クリニカルパス達成率95%であった。HQ-ESDの割合は75%で,HQ-ESD群

はnonHQ-ESD群と比較して切除標本の粘膜下層距離が有意に長かった。nonHQ-ESDでは内視鏡操作性不良

例の割合が高かった。以上,大腸ESDの適応拡大に向けてHQ-ESDは必須であり,手技を点数化することで

客観的な評価が可能である。

―20―

13  医原性リンパ増殖性疾患を発症し,大腸全摘術を施行した難治性潰瘍性大腸炎の1例

広島市民病院 内科

藤井佳菜,國弘真己,小坂正成,平田一成,衣笠秀明,宮原孝治,森藤由記,東 玲治,平尾 謙,

小川恒由

広島市民病院 内視鏡内科

中川昌浩

広島市民病院 外科

小島康知,岡島正純

症例は31歳女性。20XX年に潰瘍性大腸炎と診断され,5-ASA製剤,ステロイドにて加療されていたが,難

治例のためアザチオプリンにて加療中であった。20XX+11年4月当科初診。同年11月にインフリキシマブを

開始。しかし効果に乏しいため,20XX+12年6月インフリキシマブ最終投薬とし,同年9月に大腸内視鏡検査

を施行したところ,直腸潰瘍部の生検にて,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された。1か月後に再施

行した大腸内視鏡検査では悪性リンパ腫を示唆する所見は認めず,臨床経過から,治療薬による医原性リン

パ増殖性疾患の可能性が考えられたが,難治である点も考慮し大腸全摘術を施行。手術標本病理診断でも,

悪性リンパ腫の所見は認めなかった。経過から,生物学的製剤および免疫調節薬併用中に医原性リンパ増殖

性疾患を呈した稀な潰瘍性大腸炎症例と考えられたため,文献的考察を踏まえて報告する。

14  大腸憩室出血症例における責任憩室の新たな同定法―“stepclipping法”―

広島市立安佐市民病院 消化器内科

玉理太覚,青山大輝,下原康嗣,小川裕太郎,中村真也,朝山直樹,柾木慶一,行武正伸,向井伸一,

脇 浩司,永田信二

広島市立安佐市民病院 内視鏡内科

鴫田賢次郎,福本 晃

【背景】大腸憩室出血症例では,造影CT検査で造影剤漏出像を認める症例であっても責任憩室同定率は30〜

50%程度に留まる。しかしstepclipping法(Endoscopy50:E10-12,2018)により,短時間で確実に責任憩室

を同定可能となる。

【症例】80歳代女性。血便で来院し,造影CT検査で多発するS状結腸憩室のうちの一つから造影剤漏出像を認

めた。前処置後に1回目の大腸内視鏡検査を施行した。検査時はすでに自然止血後であり,下行結腸からS状

結腸の途中まで等間隔に7つのクリップを留置し検査を終了した(stepclipping法)。その1時間後に単純CT検

査施行。この単純CT画像において責任憩室と各クリップとの位置関係を正確に検討し,責任憩室は口側から

6つ目のクリップの対側,1.5㎝肛門側に位置すると診断した。2回目の大腸内視鏡検査で速やかに責任憩室を

同定し,EBLにて止血した。

【結語】大腸憩室出血症例において責任憩室同定にstepclipping法は有用と考え,当日は実際の手技を供覧する。

―21―

15  強皮症に腸管気腫症・小腸壊死を合併し開腹小腸切除により軽快した1例

広島赤十字・原爆病院

山下由美子,河野友彦,豊島 元,上平祐輔,宮本明香,本田洋二,岡崎彰仁,坂野文香,斎 宏,

毛利律生,髙木慎太郎,森 奈美,岡信秀治,辻 恵二,久留島仁,松本能里,田利 晶,古川善也

71歳女性。腹痛にて1/10救急外来受診。強皮症でベタメタゾン0.5mg内服中である。37.4度の発熱あり,右

下腹部を最強点として圧痛をみとめ,反跳痛や筋性防御はみとめない。WBC22300/μL,CRP8.66mg/dLと

炎症反応上昇あり,単純CTで小腸は全体的に拡張気味で壁肥厚をみとめ,小腸炎と判断。一部小腸壁にガス

像を認めたが腹痛との因果関係は不明だった。絶食・抗生剤で治療開始したが,1/12に炎症反応増悪し,造影

CT施行。ガスを伴った小腸壁は菲薄化し,周囲脂肪織の濃度上昇をみとめ,壊死を伴った腸管気腫症を疑い,

緊急開腹手術となった。術中所見で,一部小腸に壊死性変化をみとめ,壊死部の小腸35㎝を切除した。術後,

腹痛・炎症反応は軽快した。腸管気腫症は大半が原疾患や薬による二次性である。本症例も強皮症やステロイ

ド投与に伴う腸管気腫症と考えられたため,文献的考察を踏まえて報告する。

16  術前化学放射線療法を施行した食道癌におけるFDG-PETによるリンパ節評価の意義

広島大学 原医研外科

鈴木江梨,浜井洋一,恵美 学,伊富貴雄太,黒川智彰,岡田守人

術前化学放射線療法(Neoadjuvantchemoradiotherapy:NCRT)を施行した食道癌におけるPETでのリン

パ節評価を検討した。対象はNCRT前後でPET検査を行い手術した132例。PETでリンパ節にSUVmax2.5以

上のFDG集積がある症例を陽性(NCRT前:Pre-PETLN+,NCRT後:Post-PETLN+)とした。Pre-PET

LN+は93例,Post-PETLN+は25例であった。pN+症例はPost-PETLN+症例(n=25)の内16例(64%),Post-

PETLN-症例(n=107)の内42例(39%)であった(p=0.002)。Pre-PETLN+は多変量解析で有意な予後因子で

あった(HR:2.73;95%CI:1.32-5.65;p=0.01)。PETでpNおよび予後予測が可能である。

―22―

17  高齢者胃癌症例に対する胃全摘術の現況と噴門側胃切除術(観音開き法再建)の経験

広島記念病院 外科

豊田和宏,二宮基樹,坂下吉弘,土井寛文,木建 薫,迫田拓弥,原 鐵洋,小林弘典,橋本泰司,

横山雄二郎,宮本勝也

【はじめに】高齢者胃癌への胃全摘術の適応は,根治性以外に耐術能や社会的背景等も考慮した総合的な判断

が必要である。今回,当院で80歳以上の胃癌患者に胃全摘術を施行した27例を分析した。

【結果】全例に併存症を認めたが,耐術能が良好な症例に適応された。検診で診断されたのはわずか7例(26%)

で,Stage別の症例数はそれぞれ(Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ:2/7/9/9)と高度進行癌が多かった。Stage別の全生存期間中

央値は(Ⅰ,Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ:27.6/9.9/8.7か月)で,根治切除ができても予後は不良であった。術後化学療法は16例に

多くが単剤投与で試みられたが,6例(38%)は有害事象で早期中断された。

【結語】高齢者の胃全摘適応症例に対し,胃切除範囲の縮小も許容されうる可能性が示唆された。また,胃全

摘を避ける手段の一例として,胃体上部進行癌に対して噴門側胃切除術(観音開き法再建)を施行した症例を

提示する。

18  十二指腸非乳頭部腫瘍に対する術中内視鏡併用十二指腸部分切除術の検討

広島大学病院 消化器・移植外科

佐伯吉弘,田邊和照,堀田龍一,山本悠司,柳川泉一郎,太田浩志,大段秀樹

背景:十二指腸非乳頭部腫瘍で腺腫・粘膜内癌が疑われるものに,当科では術中内視鏡併用下に十二指腸部分

切除術(PR)を行ってきた。治療の妥当性を検討する。

対象と方法:2012年1月から2017年12月において十二指腸非乳頭部腫瘍に対して手術を行った症例17例につい

て検討した。

結果:17例のうち,膵島十二指腸切除術(PD)10例,PR7例であった。PRは,術中内視鏡下に腫瘍周囲に全

周性の粘膜下切開を加え,十二指腸の外側で壁を穿孔させ,術野から粘膜切開線に沿って腫瘍を摘出した。

PR症例において,平均年齢66歳,男:女=6:1,手術時間中央値:268分,出血量中央値:221ml,術後在院

日数:13日であった。合併症はGradeⅡが一例のみであった。腫瘍は腺腫が5例,粘膜内癌が2例であり,断端

は全例で陰性であった。腺腫・粘膜内癌疑いには術中内視鏡を併用し十分な治療効果を得ることが可能である。

―23―

19  当院の直腸癌に対する側方リンパ節郭清の治療成績

広島記念病院

小林弘典,宮本勝也,坂下吉弘,二宮基樹,横山雄二郎,橋本泰司,豊田和宏,迫田拓弥,原 鐵洋,

木建 薫,土井寛文

【はじめに】進行直腸癌に対する治療は,欧米では術前化学放射線療法の併用が標準治療であるが,本邦では

側方リンパ節郭清が標準術式とされてきた。しかし,側方郭清による手術時間の延長や合併症もあり適応に

関していまだ一定の見解は得られていない。

【対象・方法】2014年7月から2018年1月まで当院で側方郭清を施行した直腸癌症例31例を対象とし,臨床背景

因子,治療成績について後方視的に検討した。

【結果】平均年齢は62歳,男性18例,女性13例。術式は低位前方切除術が19例で直腸切断術が12例。腹腔鏡手

術が28例,予防郭清が16例であった。リンパ節郭清個数は平均8.6個。腹腔鏡下の予防郭清の郭清時間は片側

で平均74分。術後排尿障害を10例(35%)に認めた。観察期間中央値は17か月で側方リンパ節再発は認めてい

ない。

【考察】術後短期間ではあるが排尿障害を高率に認めており今後の課題である。

20  低位直腸癌に対するmodifiedULARの検討

広島大学病院 消化器・移植外科

河内雅年,向井正一朗,佐田春樹,田口和浩,中島一記,寿美裕介,惠木浩之,大段秀樹

広島大学 医学部付属医学教育センター

服部 稔

【はじめに】下部直腸癌に対するISR(括約筋間直腸切除術)では,術後排便障害によるQOLの低下が問題と

なっている。そこで我々は従来のconventionalULAR(cULAR)から更に肛門管内まで剥離を進めるmodified

ULAR(mULAR)を行い,従来ISRが選択される症例もDST吻合を行っている。

【目的】下部直腸癌手術(肛門温存術)の術後肛門機能やQOLにおいて検討を行った。

【対象と方法】2011年3月〜2016年10月に当院で経験した45例。検討内容は排便機能(肛門内圧検査,Wexner

score),QOL(EORTCQLQ-C30)。

【結果】mULARの排便機能やQOLはISRに対して有意に良好な成績であった。

【考察】ISR適応症例対して肛門管内まで剥離を進めmULARを行うことが,術後の排便機能やQOLを改善す

る可能性があることが示唆された。

―24―

21  潰瘍性大腸炎手術例の術前状態と手術成績との関係

広島大学大学院 医歯薬保健学研究科外科学

矢野雷太,大毛宏喜,向田敦史,岡本暢之,北川浩樹,黒尾優太,垰越宏幸,嶋田徳光,上神慎之介,

渡谷祐介,上村健一郎,村上義昭,末田泰二郎

【目的】全身状態不良例に対して行う3期分割大腸全摘術を要した潰瘍性大腸炎(UC)症例について,緊急手

術回避の意義を明らかにする。

【方法】2009年から2017年まで,UCに対し当科で3期分割大腸全摘術を施行した37例のうち,大腸癌・dysplasia

合併例を除く35例を対象に,患者背景,手術理由,術後経過につき後方視的に比較検討した。

【結果】著明な炎症所見や下血により緊急手術を要したのは18例,状態不良ながら待機的に手術を行えたのは

17例であった。それぞれの術後合併症発生率は38.9%と23.5%(有意差なし),術後在院日数中央値は28日と18

日と緊急手術群にて有意(p<0.05)に延長していた。

【結語】腸管の強い炎症を可能な限り抑えることは,仮に手術を要した場合でも緊急手術を回避することが可

能となり,術後成績改善につながる。

22  慢性肝疾患患者における体重減量入院パスの位置づけ

中電病院 内科

最上文子,菅 宏美,鍋島由宝,金 宣眞,中河啓悟,石橋克彦,河村 寛

【背景】当院では2017年4月以降,主に慢性肝疾患患者を対象に2週間の体重減量入院パスを導入している。今

回われわれは減量パスの有用性と問題点につき検討した。

【方法】2018年2月までに減量入院パスを使用した17例(男性/女性7/10例,年齢中央値67歳,BMI中央値26.7,

HCV・SVR/HBV/NBNC11/2/4例)を対象とした。入院中は体組成を評価し,入院前後で血液生化学検査を

測定した。

【結果】入院後2週間で平均5.3%の体重減少が得られたが体脂肪・腹囲・SMIの有意な変化は認めなかった。退

院後の外来で,体重減少を維持できたのは8例(42%)のみであった。ALTは全例で入院前より低下していた。

DM患者5例も全例HbA1cは低下した。一方,脂質異常症患者9例の脂質は改善に乏しかった。

【結語】減量パスはある一定の効果を有するが,合併疾患のコントロールも含めた長期管理が課題である。

―25―

23  高度肥満患者のNAFLD/NASH治療における減量手術の効果

広島大学病院 消化器・代謝内科

難波麻衣子,中原隆志,内川慎介,児玉健一郎,稲垣有希,鳩岡正浩,盛生 慶,村上英介,河岡友和,

柘植雅貴,平松 憲,今村道雄,川上由育,相方 浩,茶山一彰

広島大学病院 消化器・移植外科

堀田龍一,田邊和照,大段秀樹

広島大学病院 病理診断科

有廣光司

【はじめに】近年,肥満が社会問題化し,肥満を背景とした生活習慣病や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)

が増加している。肥満を伴うNASH治療において,食事運動療法にて減量を図るが,十分な効果が得られな

い場合も多い。今回我々は,減量手術による肝臓への影響をNASH治療の観点から検証した。

【対象及び方法】2015年3月から2017年1月までに高度肥満に対する腹腔鏡下減量手術を受けた12例(男4例女8

例)を対象とし,術前,術後で体重,血液生化学検査を比較した。

【結果】平均31.1㎏の体重減少を認めた。肝胆道系酵素の低下や耐糖能の改善を認めた。また,病理学的にも

NASHの改善を認めた。

【結語】我が国では,高度肥満症に対する手術として,腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が2014年に保険収載され

た。NAFLD,NASHに対する効果についての報告はまだ少なく,症例の蓄積,検討が必要と考えられる。

24  肝疾患患者におけるこむら返りの実態と対処法

JA広島総合病院 消化器内科

石橋一樹,村田 愛,兵庫秀幸,隅岡昭彦,野中裕広,古土井明,藤本佳史,相坂康之,小松弘尚,

徳毛宏則

【背景・目的】こむら返りは有痛性筋痙攣でありQOLを損なう症状であるが実態は不明である。今回,慢性肝

疾患患者におけるこむら返りの頻度とその特徴を解析した。

【対象・方法】2017年2月から6月に,当院消化器内科外来において,こむら返りに対する問診票を使用した慢

性肝疾患患者432例。

【結果】男性51.4%,年齢中央値65歳。背景肝は慢性肝炎83%,肝硬変17%。こむら返りの頻度は26%であった。

背景肝のこむら返りの頻度は,NAFLD34%,C型慢性肝炎24%,B型慢性肝炎22%,アルコール性肝障害

17%,PBC2%,AIH1%であった。こむら返りの回数は月単位53.6%,週単位36.6%,毎日が9.8%であった。

発症時間帯は日中34%,睡眠中53%,両方が13%と睡眠中が最も多かった。

【まとめ】こむら返りを拾い上げ診療することにより,QOLの向上が期待される。

―26―

25  direct-actingantiviralagents(DAAs)投与により速やかに改善したHCV関連糸球体腎炎の1例

広島市立安佐市民病院 消化器内科

小川裕太郎,柾木慶一,下原康嗣,玉理太覚,中村真也,朝山直樹,青山大輝,行武正伸,向井伸一,

脇 浩司,永田信二

広島市立安佐市民病院 内視鏡内科

鴫田賢次郎,福本 晃

【症例】40歳,男性。

【主訴】腹部膨満。

【現病歴】10年前より肝機能異常を指摘され,1年前より腹部膨満を自覚した。近医にてC型肝硬変と診断され

当科紹介となった。

【入院後経過】AST,ALTの上昇と腎機能低下,低アルブミン血症を認め,HCVgenotypeは2Aであった。腹

部CTで著明な肝萎縮と大量の腹水を認め,塩分制限・利尿剤にて加療を開始した。尿検査にてネフローゼ症

候群が疑われ,腎生検でHCV関連糸球体腎炎と診断した。ステロイド治療を開始したが改善を認めず,C型

慢性肝炎に対しPegIFNαを開始したが副作用出現により中止となった。ステロイド漸減の後,direct-acting

antiviralagents(DAAs)であるSOF/RBVによる治療を開始したところ,SVRを達成しその後腹水は消失した。

【結語】DAAs投与により速やかに改善したHCV関連糸球体腎炎の1例を経験した。

26  腹腔鏡肝生検を施行した日本住血吸虫症の1例

広島赤十字・原爆病院

豊島 元,辻 恵二,上平祐輔,山下由美子,宮本明香,本田洋士,岡崎彰仁,河野友彦,斎 宏,

毛利律生,髙木慎太郎,森 奈美,岡信秀治,田利 晶,藤原 恵,古川善也

宮崎大学 医学部寄生虫学

丸山治彦

症例はフィリピン出身の48歳女性。本態性血小板症にて血液内科通院中であった。スクリーニングの腹部

超音波検査にて肝内に亀甲状の特異的な高エコー帯が肝を分断する像を認め,CTでも同様の所見であった。

病歴聴取にてフィリピン在住中にプラジカンテルの集団投与歴あり,日本住血吸虫症の既往感染が疑われた。

腹腔鏡検査では肝表面は白色顆粒の散在と地図状の肝被膜の線維化がみられた。肝生検を施行し,病理組織

は肝臓の線維化・グリソン鞘内の門脈枝内に多数の壊死した虫卵を認めた。活動性の指標の評価のため虫卵可

溶性抗原に対する抗体を依頼したところ,抗日本住血吸虫抗体は陰性であり現在の活動性はないと判断し,

経過観察中である。画像的に日本充血吸虫症既往感染が疑われ,腹腔鏡下肝生検を施行した一例を経験した

ので,若干の文献的考察をふくめて報告する。

―27―

27  腹腔内出血をきたした異所性静脈瘤の1例

中国労災病院 消化器内科

門田紘樹,守屋 尚,久賀祥男,中村一樹,菊川千尋,堀内敦史,実綿倫宏,毛利輝生,北村正輔,沼田義弘,

大屋敏秀

中国労災病院 外科

福原宗太朗,澤田紘幸,平田雄三

異所性静脈瘤が腹腔内で自然破裂し出血性ショックで心拍停止になるも救命できた1例を経験したので報告

する。

【症例】45歳,男性。

【生活歴】大酒家

【現病歴】アルコール性肝硬変,食道静脈瘤で加療中であった。20xx年10月28日,突然,腹痛と腹満とを認め

独歩で救急外来を受診した。Hb9.8g/dLと貧血を認め,造影CTで血性腹水と肝右葉下端付近に回結腸静脈か

ら連続する静脈瘤からの造影剤の血管外漏出を認め,異所性静脈瘤の破裂と診断した。受診時,血圧が60㎜

Hgと低下しており,救急外来でショックとなり,心拍停止したため,直ちにCPRを行い心拍再開後に,大量

輸液,大量輸血,アルブミン製剤の輸液を行い,開腹下に静脈瘤を結紮し止血に成功した。

【結語】稀な異所性静脈瘤の自然破裂による腹腔内出血の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告

する。

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協 賛 一 覧

アッヴィ合同会社

大塚製薬株式会社

大日本住友製薬株式会社

EAファーマ株式会社

MSD株式会社

富士フイルムメディカル株式会社

第一三共株式会社/アストラゼネカ株式会社

あすか製薬株式会社

アステラス製薬株式会社

グラクソ・スミスクライン株式会社

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社

ゼリア新薬工業株式会社

大鵬薬品工業株式会社

帝人ファーマ株式会社

ファイザー株式会社

ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社

堀井薬品工業株式会社

ご協賛いただきました各社に深く感謝の意を表します。

第120回広島消化器病研究会

2018 年 4 月 7 日(土) 12:30より

広仁会館 大会議室

広島市南区霞1-2-3

(広島大学霞キャンパス)

Hiroshima Gastroenterological Association (HGA)

広島消化器病研究会

事務局: 〒734-8551 広島市南区霞1-2-3 広島大学病院 内視鏡診療科 TEL 082-257-5538 FAX 082-253-2930 E-mail : hga14@hiroshima-u.ac.jp http : //home.hiroshima-u.ac.jp/hga14/