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第38回脊髄機能診断研究会 (旧 脊髄電気診断研究会) プログラム・抄録 共催:脊髄機能診断研究会 エーザイ株式会社 世話人広島大学整形外科(脊椎・脊髄外科) 田中 信弘 会 場: エーザイ株式会社本社 5 階ホール 〒112-8088  東京都文京区小石川 4-6-10 日 時:2017年2月4日(土) 9時00分~18時10分

第38回脊髄機能診断研究会 プログラム・抄録netconf.eisai.co.jp/sekizui/program/program038.pdf18. 疾患によるBr(E)-MsEPの特性 日本脊椎脊髄病学会モニタリングワーキンググループ

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第38回脊髄機能診断研究会(旧 脊髄電気診断研究会)

プログラム・抄録

共催:脊髄機能診断研究会   エーザイ株式会社

世話人:�広島大学�整形外科(脊椎・脊髄外科)�� 田中 信弘

    

会 場:�エーザイ株式会社�本社5階ホール    〒112-8088 �東京都文京区小石川4-6-10

日 時:2017年2月4日(土) 9時00分~18時10分

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エーザイ株式会社�本社�案内図

最寄りの交通機関東京メトロ丸ノ内線 東京駅~茗荷谷駅 約11分          池袋駅~茗荷谷駅 約4分  [茗荷谷駅より] 徒歩7分

みずほ銀行Mizuho Bank

小石川郵便局

久堅ビルHisakata Bldg.

播磨坂(環三通)Harima Saka(Kansan Douri)

Koishikawa Post Office

スーパーサントクSupermarketSantoku

Eisai Main Bldg. is 7 minutes walk from “Myogadani Station” of Tokyo Metro

To Ikebukuro Sta池袋駅 東京駅

To Tokyo Sta

竹早公園

To Otsuka大塚

春日・後楽園To KasugaKorakuen

TakehayaPark

みずほ銀行Mizuho Bank

小石川郵便局

学芸大附属グランド

小石川ナレッジセンターKoishikawa Knowledge Center

交番Police Station

交番Police Station

茗荷谷駅Myogadani Station

M23

Kasuga Dori春日通り

播磨坂(環三通)Harima Saka(Kansan Douri)

Koishikawa Post Office

School Field

小石川5丁目Koishikawa5 Chome intersection

茗台中学前Meidai Junior High schoolMae intersection

エーザイ本館:東京メトロ「茗荷谷」より徒歩7分

桜並木

東京メトロ 丸の内線Tokyo Metro Marunouchi Line

スーパーサントクSupermarketSantoku

桜並木Avenue lined

with Cherry Blossom Avenue lined

with Cherry Blossom りそな銀行

Resona Bank

茗台中学MeidaiJunior High school

■1番出口

交番Police Station

〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-104-6-10 Koishikawa, Bunkyo-ku, Tokyo112-8088, Japan

〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10

エーザイ本社※5階が会場となります。

Eisai Main Bldg.

4-6-10 Koishikawa, Bunkyo-ku, Tokyo112-8088, Japan

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ご案内とお願いⅠ.会員の皆様へ

1)当日会場受付にて参加費(2,000円)の納入をお願い致します。

2)質疑応答は活発にそして簡潔にお願い致します。

Ⅱ.演者の皆様へ

1)発表はすべてパソコンによるプレゼンテーションと致します。

2)原則としてノートパソコンとバックアップデータのご持参を推奨しております。

なお、Mac(PowerPoint以外)をご使用の場合はご自身のノートパソコンを必ず

ご持参ください。

3)演題受付は発表30分前を目安にお済ませください。

4)1題の時間は、発表6分・討論4分の計10分と致します。

5)第38回記録集(脊髄機能診断学)は12月頃の完成を予定しております。

つきましては、別紙ガイドラインをご確認のうえ、以下要領で原稿をご送付くだ

さいますようお願い致します。

下記期限に間に合わなかった場合は記録集に掲載できない旨、あらかじめご了承

ください。

提出期限:2017年3月31日(金)必着

提 出 先:第38回脊髄機能診断研究会 記録集作成事務代行

エーザイ株式会社 地域連携製品政策部

  田中・田口 宛

〒162-0812 東京都新宿区西五軒町13-1

住友不動産飯田橋ビル3号館8F

TEL:03-5228-7120 FAX:03-5229-0706

Ⅲ.座長の先生方へ

1)特別講演を除くすべての演題につき、発表・討論を含めて10分を配分致しました。

2)活発な討議になりますよう、また先生の座長時間以内に終わりますよう、お願い

致します。

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プ ロ グ ラ ム

開会の辞� 第38回当番世話人  田中 信弘(9:00~9:05)

Ⅰ.基礎� 座長  三森 康世(9:05~9:55)

1.パッチクランプ記録法と逆行性色素を用いた下行性伝導性脊髄誘発電位の発生起源に関する研究獨協医科大学 医学部 生理学(生体情報)教室1)、獨協医科大学 医学部 麻酔科学教室2)

○福島 央之1)、武村  優2)、堀  雄一1)

2.βアラニンの脊髄後角第Ⅱ層におけるシナプス伝達に対する作用新潟大学医歯学総合病院麻酔科1)、東北医科薬科大学麻酔科2)

○清野  豊1)、大橋 宣子1)、河野 達郎2)

3.成熟ラット脊髄膠様質ニューロンにおける植物由来物質の膜過分極作用佐賀大学・医学部・生体構造機能学講座(神経生理学分野)

○余   婷、藤田 亜美、王   翀、鈴木 里佳、馬郡 信弥、平尾  崚、熊本 栄一

4.オレキシンBはラット脊髄膠様質ニューロンの興奮性シナプス伝達を促進する佐賀大学・医学部・生体構造機能学講座(神経生理学分野)

○王   翀、藤田 亜美、余   婷、馬郡 信弥、鈴木 里佳、平尾  崚、熊本 栄一

5.成熟ラット後根神経節細胞電位依存性Naチャネルに対する局所麻酔薬の作用解析富山大学大学院 医学薬学研究部 応用薬理学教室1)、生理学研究所 基盤神経科学研究領域 神経シグナル研究部門2)

○歌  大介1)、井本 敬二2)、古江 秀昌2)

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Ⅱ.臨床・診断Ⅰ� 座長  小川 潤(9:55~10:55)

6.脊磁図による胸髄刺激後脊髄誘発磁界による脊髄障害高位診断東京医科歯科大学大学院先端技術医療応用学講座1)、東京医科歯科大学大学院整形外科学2)、株式会社リコー3)、金沢工業大学4)

○川端 茂徳1)、牛尾 修太2)、角谷  智2)、山田 剛史2)、猪瀬 弘之2)、吉井 俊貴2)、長谷川由貴2)、渡部 泰士2, 3)、山賀  匠3)、足立 善昭4)、大川  淳2)

7.生体磁気計測装置を用いた胸郭出口から神経根までの神経活動の可視化株式会社リコー リコー未来技術研究所1)、東京医科歯科大学大学院 整形外科学2)、東京医科歯科大学 先端技術医療応用学講座3)、東京医科歯科大学大学院 生命機能情報解析学4)、金沢工業大学 先端電子技術応用研究所5)

○渡部 泰士1, 2)、川端 茂徳2, 3)、赤座 実穂4)、関原 謙介3)、牛尾 修太2)、足立 善昭5)、大川  淳2)

8.各種磁気刺激法と全脊椎MRIを用いた全脊椎高位診断の試み仙齢会はりま病院 整形外科1)、仙齢会はりま病院 検査課2)、兵庫医科大学 整形外科3)

○岡田 文明1)、石原 慧一2)、菊口 恵子2)、瀧内 陽子2)、唐津明日香2)、熊西 俊介3)、吉矢 晋一3)

9.腰部脊柱管狭窄症における馬尾伝導時間と術後下肢しびれの関係山口大学大学院医学系研究科 整形外科

○永尾 祐治、寒竹  司、今城 靖明、鈴木 秀典、舩場 真裕、西田 周泰、田口 敏彦

10.頚髄症の歩行障害の病態 ―JOACMEQを用いた検討―JA広島総合病院整形外科1)、 広島大学大学院医歯薬学総合研究科展開医科学専攻病態制御医科学講座整形外科学2)

○平松  武1)、藤本 吉範1)、山田 清貴1)、中前 稔生1)、田中 信弘2)、中西 一義2)、亀井 直輔2)、古高 慎司2)、安達 伸生2)

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11.圧迫性頚髄症における上肢・胸椎部中枢運動伝導時間を用いた重症度評価山口大学大学院整形外科1)、萩市民病院整形外科2)

○藤本 和弘1, 2)、寒竹  司1)、今城 靖明1)、茶川 一樹2)、舩場 真裕1)、永尾 祐治1)、田口 敏彦1)

――休憩――

Ⅲ.臨床・診断Ⅱ� 座長  齋藤 貴徳(11:05~12:05)

12.転移性頚椎腫瘍モデルの作製と頚髄麻痺の検証-行動学的評価と3DμX線CTによる腫瘍進展様式-杏林大学 整形外科1)、久我山病院 整形外科2)

○佐藤 俊輔1)、高橋 雅人1)、里見 和彦2)、長谷川 淳1)、竹内 拓海1)、大祢 英昭1)、長谷川雅一1)、市村 正一1)

13.遠位型頚椎症性筋萎縮症の治療成績を予測するスコアリング方法山口大学大学院 整形外科

○舩場 真裕、寒竹  司、今城 靖明、鈴木 秀典、西田 周泰、藤本 和弘、永尾 祐治、田口 敏彦

14.若年性一側上肢筋萎縮症(平山病)に対する頚椎屈曲負荷運動誘発電位検査の有用性広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 統合健康科学部門医学分野 整形外科学

○古高 慎司、田中 信弘、中西 一義、亀井 直輔、安達 伸生

15.頚椎症性脊髄症における中枢運動伝導時間とMRIでの脊髄圧迫の程度との関係広島市立広島市民病院 整形外科1)、広島大学 整形外科2)

○力田 高徳1)、田中 信弘2)、中西 一義2)、亀井 直輔2)、西川公一郎1)、安達 伸生2)

16.経頭蓋電気刺激誘発筋電位波形の成分分析(1)(独)相模原病院 脳神経外科

○三島 大德、阿部 克智、三井 公彦、諏訪 知也

17.経頭蓋電気刺激誘発筋電位波形の成分分析(2)(独)相模原病院 脳神経外科

○三島 大德、阿部 克智、三井 公彦、諏訪 知也

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――昼休み――

特別講演� 座長  田中 信弘(13:05~14:05)

『脊髄損傷に対する急性期治療の最近の動向』

筑波大学医学医療系整形外科   山崎 正志

――休憩――

Ⅳ.モニタリングⅠ� 座長  谷口 真(14:15~15:05)

18.疾患によるBr(E)-MsEPの特性日本脊椎脊髄病学会モニタリングワーキンググループ

○小林  祥、松山 幸弘、安藤 宗治、川端 茂徳、寒竹  司、高橋 雅人、今釜 史郎、藤原  靖、山田  圭、和田簡一郎、田所 伸朗、山本 直也、谷  俊一

19.脊髄機能モニタリングにおける脊髄電気刺激・筋誘発電位と大脳電気刺激・筋誘発電位の比較和歌山労災病院整形外科1)、愛徳医療福祉センター2)、和歌山労災病院中央検査部3)

○安藤 宗治1)、玉置 哲也2)、麻殖生和博1)、岩橋 弘樹1)、市川 和昭3)、吉増 千恵3)、三宅 崇登3)、伊庭 信幸3)、榎本 菜那3)

20.脊髄モニタリングで末梢神経テタヌス刺激後運動誘発電位モニタリング(p-MEP)を必要とするのはどのような症例か?奈良県立医科大学 整形外科1)、奈良県立医科大学 麻酔科2)、奈良県立医科大学 中央検査3)

○増田 佳亮1)、重松 英樹1)、川口 昌彦2)、高谷 恒範3)、岩田栄一朗1)、田中 誠人1)、奥田 哲教1)、森本 安彦1)、田中 康仁1)

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21.Monophasic刺激における左右上下肢CMAP検出の成功率比較 ―定電流vs定電圧刺激― preliminarystudy奈良県立医科大学整形外科1)、奈良県立医科大学麻酔科2)、奈良県立医科大学中央検査3)

○重松 英樹1)、川口 昌彦2)、高谷 恒範3)、増田 佳亮1)、林  浩伸2)、岩田栄一朗1)、田中 誠人1)、奥田 哲教1)、森本 安彦1)、田中 康仁1)

22.脊椎手術にて外肛門括約筋にfree-runEMGの異常波形を認めた症例の検討広島赤十字・原爆病院 検査部生理検査課1)、広島赤十字・原爆病院 医療技術部臨床工学課2)、広島赤十字・原爆病院 整形外科3)

○海谷  慧1)、清水 健太1)、中迫 祐平1)、藤川  亮2)、今田 寛人2)、吉武 美香1)、柳澤 義和3)、野村  裕3)

Ⅴ.モニタリングⅡ� 座長  松山 幸弘(15:05~16:05)

23.当院の脊椎手術における術中経頭蓋刺激―筋誘発電位(Br-MsEP)の偽陽性率について名古屋大学医学部附属病院 医療技術部臨床検査部門1)、名古屋大学医学部附属病院 検査部2)、名古屋大学医学部附属病院 脳神経外科3)、名古屋大学医学部附属病院 整形外科4)

○榊原久美子1)、堤 ちあき1)、大熊 相子1)、住田 佳陽1)、金  沙玲1)、山本ゆか子1)、弘津真由子1)、松本 祐之1)、松下  正2)、西村 由介3)、江口  馨3)、福岡 俊樹3)、吉川 哲史3)、小林 和克4)

24.脊髄髄外腫瘍の術中脊髄モニタリング:髄内腫瘍との違いを含めて(日本脊椎脊髄病学会多施設研究)日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリングワーキンググループ

○藤原  靖、松山 幸弘、小林  祥、川端 茂徳、安藤 宗治、山本 直也、寒竹  司、山田  圭、今釜 史郎、伊藤 全哉、和田簡一郎、田所 伸朗、高橋 雅人、谷  俊一

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25.脊柱変形手術による神経障害機序の検討~日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリングワーキンググループ多施設前向き研究~日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリングワーキンググループ1)、名古屋大学医学部 整形外科2)、富山大学医学部 整形外科3)、和歌山県立医科大学 整形外科4)、北海道大学医学部 整形外科5)

○山田  圭1)、松山 幸弘1)、川端 茂徳1)、安藤 宗治1)、山本 直也1)、今釜 史郎1)、小林  祥1)、寒竹  司1)、和田簡一郎1)、田所 伸朗1)、高橋 雅人1)、藤原  靖1)、谷  俊一1)、小林 和克2)、村本 明生2)、関  庄二3)、岩崎  博4)、長濱  賢5)

26.成人脊柱変形手術の神経合併症とその対策―術中脊髄モニタリングアラーム例の術式別の検討―浜松医科大学整形外科

○吉田  剛、小林  祥、長谷川智彦、大和  雄、大江  慎、有馬 秀幸、坂野 友啓、三原 唯暉、後迫 宏紀、戸川 大輔、松山 幸弘

27.脊柱側彎症における術中脊髄モニタリング -疾患毎にみた波形変化の特性-名古屋大学整形外科

○小林 和克、今釜 史郎、安藤  圭、飛田 哲朗、伊藤 研悠、都島 幹人、松本 明之、両角 正義、田中 智史、石黒 直樹

28.脊柱側弯症手術中脊髄機能モニタリングのアラームが術後矯正率に与える影響について―20歳未満の脊柱側弯症症例における検討―弘前大学 整形外科

○和田簡一郎、田中 利弘、熊谷玄太郎、工藤  整、石橋 恭之

――休憩――

Ⅵ.モニタリングⅢ� 座長  安藤 宗治(16:15~17:05)

29.当院における術中脊髄モニタリング新人教育の現状浜松医療センター 臨床検査技術科1)、浜松医療センター 整形外科2)

○平澤 英典1)、安田 達也2)、坂口 実悠1)

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30.術中神経モニタリングにおけるクリニカルパスとチェックリストの運用と現状について奈良県立医科大学附属病院 中央臨床検査部1)、奈良県立医科大学附属病院 脳神経外科2)、奈良県立医科大学附属病院 整形外科3)、奈良県立医科大学附属病院 麻酔科4)

○高谷 恒範1)、山本さよみ1)、梅木 弥生1)、山崎 正晴1)、竹島 靖浩2)、松田 良介2)、本山  靖2)、中瀬 裕之2)、増田 佳亮3)、奥田 哲教3)、森本 安彦3)、田中 雅人3)、岩田栄一朗3)、重松 英樹3)、田中 康仁3)、林  浩伸4)、川口 昌彦4)

31.頚髄症のアラームポイントに関する因子について久留米大学整形外科1)、久留米大学麻酔科2)

○井手 洋平1)、山田  圭1)、佐藤 公昭1)、坂田麻里奈1)、原田 秀樹2)、志波 直人1)

32.圧迫性胸髄障害に対する術中脊髄モニタリングの有用性と問題点久留米大学医学部 整形外科1)、久留米大学医学部 麻酔科2)

○坂田麻里奈1)、山田  圭1)、井手 洋平1)、佐藤 公昭1)、井上 英豪1)、横須賀公章1)、後藤 雅史1)、溝上 健次1)、松原 庸勝1)、岩橋 頌二1)、原田 秀樹2)、永田 見生1)、志波 直人1)

33.腰仙椎経皮的椎弓根スクリュー挿入時における神経根モニタリングの検討関西医科大学総合医療センター 整形外科

○谷  陽一、齋藤 貴徳、谷口愼一郎、石原 昌幸、朴  正旭

Ⅶ.モニタリングⅣ� 座長  今釜 史郎(17:05~18:05)

34.側索刺激による筋原性運動誘発電位に関する報告(第一報)東京都立神経病院 中央器材室1)、東京都立神経病院 脳神経外科2)

○佐々木圭輔1)、谷口  真2)

35.頚椎症性筋萎縮症(CSA)の術中CMAP波形変化による麻痺回復予測杏林大学整形外科学教室1)、久我山病院2)、太田整形外科医院3)

○佐野 秀仁1)、高橋 雅人1)、里見 和彦2)、長谷川 淳1)、佐藤 俊輔1)、長谷川雅一1)、太田 道紀3)、市村 正一1)

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36.手術側と反対側の筋電図異常を来し、術中解釈に苦慮した術後C5神経麻痺症例の1例日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院 整形外科1)、日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院 検査部生理検査課2)、日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院 検査部臨床工学課3)

○柳澤 義和1)、海谷  慧2)、今田 寛人3)、中迫 祐一2)、吉武 美香2)、野村  裕1)、有馬 準一1)

37.術中の神経根障害に対する脊髄モニタリング(Br(E)-MsEP)の有用性富士宮市立病院 整形外科1)、浜松医科大学 整形外科2)

○後迫 宏紀1)、小林  祥2)、長谷川智彦2)、大和  雄2)、戸川 大輔2)、坂野 友啓2)、三原 唯暉2)、大江  慎2)、吉田  剛2)、松山 幸弘2)

38.経皮的椎体形成術(BKP)施行時にMEPが低下した1例広島赤十字・原爆病院 医療技術部 臨床工学課1)、広島赤十字・原爆病院 検査部 生理検査課2)、広島赤十字・原爆病院 整形外科3)

○今田 寛人1)、藤川  亮1)、海谷  慧2)、中迫 祐平2)、吉武 美香2)、柳澤 義和3)、野村  裕3)、松島 安幸1)

39.胸髄髄内血管芽腫摘出中に選択的索路障害をきたしたと考えられた1例広島市立安佐市民病院 MEセンター1)、広島市立安佐市民病院 整形外科2)

○荒川 保雄1)、藤原  靖2)、真鍋 英喜2)、志摩 隆之2)、泉 文一郎2)、山口 裕司1)、上田  彰1)

閉会の辞� 第38回当番世話人  田中 信弘(18:05~18:10)

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抄  録

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特別講演

脊髄損傷に対する急性期治療の最近の動向

筑波大学医学医療系整形外科

山崎 正志

近年の急性脊髄損傷の病態解明,診断および治療における研究の進歩は目覚ましいものがある.病態の解析は進み,新しい画像診断や分子バイオマーカーなどの評価系が登場した.ステロイド大量療法に対する臨床的評価は大きく変化し,使用を推奨しないとする動きもある.一方では,基礎的研究に裏打ちされた,神経保護・脊髄再生を目的とする脊髄損傷治療の臨床試験が数多く進行している.本講演では,急性脊髄損傷の治療における最近の進歩について,演者らが医師主導治験を進めているG-CSF神経保護療法での経験を交えて,以下の項目をレビューしたい.1.病態:治療介入の時期との関連 1) 急性期:一次損傷(外力)と二次損傷(生化学的・生物学的反応) 2) 亜急性期:血管新生・組織修復反応 3) 慢性期:空洞形成2.診断・評価法 1) 脊髄損傷の臨床的評価法  (1) 神経学的評価:ASIA運動scoreとその問題点  (2) 機能評価:ADL/QOL評価項目 2) 分子バイオマーカー:重症度を客観的・定量的に評価 3) MRI診断:定量評価として拡散テンソル画像(DTI)3. 急性脊髄損傷に対する標準的治療:メチルプレドニゾロン大量投与療法に対す

る評価4.急性脊髄損傷に対する早期手術の意義5.急性脊髄損傷に対する臨床試験 1) 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を用いた神経保護療法  (1) 前臨床試験  (2) 早期臨床試験  (3) 医師主導治験 2) その他の薬物療法の臨床試験  (1) Riluzole  (2) Minocycline  (3) Cethrin  (4) Hepatocyte growth factor (HGF)  (5) FGF類似薬剤SUN13837 3) 細胞移植療法

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1. パッチクランプ記録法と逆行性色素を用いた下行性伝導性脊髄誘発電位の発生起源に関する研究

獨協医科大学 医学部 生理学(生体情報)教室1)、獨協医科大学 医学部 麻酔科学教室2)

福島 央之1)、武村  優2)、堀  雄一1)

 脊髄機能を検査する方法として、また、脊椎・脊髄手術のモニタリングとして、脊髄誘発電位が用いられている。脊髄誘発電位の波形には、分節性及び下行性の成分が含まれ、また、第一次求心性線維電位(PAD)成分が含まれている事が知られている。一方、延髄から脊髄に投射するセロトニン経路が存在し、PADを発生させる事が報告されている。このセロトニン経路が脊髄誘発電位形成にどのように関与しているかを明らかにするために実験を行った。セロトニン作動性神経がGFP蛍光によって識別できる遺伝子改変マウスを作製した。さらに、脊髄への蛍光色素DiI注入による逆行性染色により投射神経を同定した。急性の延髄スライスを作成し、パッチクランプ法により、発生起源である神経の電気生理的特性を調べた。その結果、脊髄へ投射するセロトニン作動性神経は、K+チャネルを阻害すると、持続性成分を含む活動電位が発生することが明らかになった。

2. βアラニンの脊髄後角第Ⅱ層におけるシナプス伝達に対する作用

新潟大学医歯学総合病院麻酔科1)、東北医科薬科大学麻酔科2)

清野  豊1)、大橋 宣子1)、河野 達郎2)

【はじめに】βアラニンは、人の体内に元来存在するβアミノ酸のひとつである。脳脊髄液中にも存在し、脳や脊髄でシナプス伝達に関与していると考えられている。特に脊髄では痛覚伝導にも関与していることが疑われるが、その詳細は不明である。本研究では、脊髄後角第Ⅱ層におけるβアラニンの作用を電気生理学的に解析した。【方法】成熟ラット脊髄横断スライス標本を作成し、第Ⅱ層ニューロンへホールセルパッチクランプ記録を行い、βアラニンの薬理学的作用を検討した。【結果】膜電位を0 mVに固定してβアラニンを灌流投与すると、濃度依存性に外向き電流が誘起された。逆転電位は塩素イオンの平衡電位に近似していた。誘起電流はグリシン受容体アンタゴニストで有意に抑制された。【考察】βアラニンは脊髄後角でグリシン受容体を活性化させ、抑制性シナプス伝達を増強させることで鎮痛作用に関与している可能性がある。

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3. 成熟ラット脊髄膠様質ニューロンにおける植物由来物質の膜過分極作用

佐賀大学・医学部・生体構造機能学講座(神経生理学分野)

余   婷、藤田 亜美、王   翀、鈴木 里佳、馬郡 信弥、平尾  崚、熊本 栄一

ラットの腹腔内投与により鎮痛を生じる植物物質としてオイゲノール、カルバクロール、チモールなどがある。我々は以前、これらの物質が皮膚末梢から脊髄に入力する痛み情報を制御するのに重要な役割を果たす後角第2層(膠様質)ニューロンで外向き膜電流(膜過分極)を誘起することを報告した。これらの植物物質は膠様質でtransient receptor potentialチャネルを活性化するが、このチャネル開口は膜過分極と無関係であった。膠様質ニューロンの膜過分極はアデノシンやオピオイドなどの内因性鎮痛物質の作用機序の一つであるので、それを誘起する植物物質の化学構造を明らかにすることは重要である。そのため成熟ラットから作製した脊髄横断スライスの膠様質ニューロンにパッチクランプ法を適用し、様々な植物物質が保持膜電流に及ぼす作用を調べ、膜過分極を誘起するのに関与する化学構造を考察したので報告する。

4. オレキシンBはラット脊髄膠様質ニューロンの興奮性シナプス伝達を促進する

佐賀大学・医学部・生体構造機能学講座(神経生理学分野)

王   翀、藤田 亜美、余   婷、馬郡 信弥、鈴木 里佳、平尾  崚、熊本 栄一

オレキシン(OX)AやBはオキシトシン(Oxy)と同様、脊髄後角で鎮痛に働く視床下部由来のペプチドである。我々は以前、Oxyが脊髄膠様質ニューロンのシナプス伝達に及ぼす作用を報告した。今回、成熟ラット脊髄横断薄切片の膠様質ニューロンにパッチクランプ法を適用し、OXBが保持膜電位-70 mVで記録される自発性EPSCに及ぼす作用を調べた。調べたニューロンの約40%において、OXBはその振幅の変化を伴わない発生頻度の増加、またOxyと同様な内向き膜電流を誘起した。OXB作用は繰り返し見られ、また、濃度依存的でそれらのEC50はそれぞれ0.051 μMと0.020μMであった。後者の値はOxyと同程度であった。OXB作用は電位作動性Na+チャネル阻害薬テトロドトキシンやOX1受容体阻害薬に抵抗性である一方、OX2受容体阻害薬により抑制された。これらのOXB作用は鎮痛に寄与することが示唆される。

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5. 成熟ラット後根神経節細胞電位依存性Naチャネルに対する局所麻酔薬の作用解析

富山大学大学院 医学薬学研究部 応用薬理学教室1)、生理学研究所 基盤神経科学研究領域 神経シグナル研究部門2)

歌  大介1)、井本 敬二2)、古江 秀昌2)

局所麻酔薬の光学異性体のS体で構成されたlevobupivacaineはR(+)bupivacaineに比べ心臓及び中枢神経系に及ぼす毒性が低いことが知られている。我々は以前、levobupivacaineがその光学異性体であるR-bupivacaineに比べ、C線維における活動電位の伝導を選択的に抑制することを報告した。本研究ではこの光学異性による選択的抑制メカニズムの詳細を解明するため、DRG細胞における電位依存性Na電流に対する各種局所麻酔薬の抑制効果をパッチクランプ法により解析した。その結果、levobupivacaineは小型DRG細胞に見られるTTX抵抗性Na電流を著明に抑制したが、大型DRG細胞に見られるTTX感受性Na電流はほとんど抑制しなかった。一方同濃度のR-bupivacaineは双方のNa電流に対し著明な抑制作用を示した。以上の事から、levobupivacaineによる痛覚伝達線維選択な遮断能は、大型細胞のTTX感受性Naチャネルに対する光学異性的な抑制作用の減弱によるものと考えられる。

6. 脊磁図による胸髄刺激後脊髄誘発磁界による脊髄障害高位診断

東京医科歯科大学大学院先端技術医療応用学講座1)、東京医科歯科大学大学院整形外科学2)、株式会社リコー3)、金沢工業大学4)

川端 茂徳1)、牛尾 修太2)、角谷  智2)、山田 剛史2)、猪瀬 弘之2)、吉井 俊貴2)、長谷川由貴2)、渡部 泰士2, 3)、山賀  匠3)、足立 善昭4)、大川  淳2)

【目的】脊磁計と単純X線撮影との融合システムを開発し、脊髄機能情報と形態画像との高精度な融合が可能となったので報告する。

【方法】圧迫性頚髄疾患の疑いで、胸髄刺激頚髄誘発電位(SCEP)による脊髄障害高位診断がされた8例を対象とした。Th11硬膜外電極により胸髄を電気刺激し、頚部体表面から脊磁計で脊髄誘発磁界を測定した。加算平均は3000回、測定時間は約3分である。磁気データから頚髄周囲の電気活動を算出し、X線画像とマッチングさせ、脊髄伝導障害部位を評価した。

【結果】8例全例で脊髄磁界の検出が可能で、信号強度が小さかった1例を除く、7例で脊髄伝導障害の診断が可能だった。脊磁計での障害部位は、MRIでの脊髄圧迫の程度、SCEPの結果とも整合していた。

【考察】胸髄刺激後の脊磁図は、SCEPに迫る電気生理学的機能情報を形態画像に融合でき、脊髄・脊髄神経疾患の診療に革新的な進歩をもたらすと考える。

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7. 生体磁気計測装置を用いた胸郭出口から神経根までの神経活動の可視化

株式会社リコー リコー未来技術研究所1)、東京医科歯科大学大学院 整形外科学2)、東京医科歯科大学 先端技術医療応用学講座3)、東京医科歯科大学大学院 生命機能情報解析学4)、金沢工業大学 先端電子技術応用研究所5)

渡部 泰士1, 2)、川端 茂徳2, 3)、赤座 実穂4)、関原 謙介3)、牛尾 修太2)、足立 善昭5)、大川  淳2)

【目的】我々はこれまでに生体磁気計測装置を用いて脊髄・神経根の神経活動を単純X線画像と融合させ、可視化できることを報告してきた。今回、本システムを用いて胸郭出口から神経根にわたる神経活動の可視化を試みた。【方法】対象は健常人3名である。正中神経を電気刺激し、前頸部から鎖骨遠位体表上から神経誘発磁界を測定した。測定された磁場データから神経電気活動を推定し、推定電流をX線正面画像に重ねて表示した。【結果】全例で神経走行に沿って烏口突起内側から鎖骨下を通過し椎間孔に至る電流の可視化が可能であった。推定電流の頂点潜時から計算した伝導速度は平均65.10m/sであった。【考察】神経磁界測定により、胸郭出口から神経根の神経活動を高い精度で単純X線画像と融合させることができた。本手法により胸郭出口症候群、腕神経叢損傷、頸椎神経根症の障害部位診断に応用できる可能性が高く、今後の発展が期待される。

8. 各種磁気刺激法と全脊椎MRIを用いた全脊椎高位診断の試み

仙齢会はりま病院 整形外科1)、仙齢会はりま病院 検査課2)、兵庫医科大学 整形外科3)

岡田 文明1)、石原 慧一2)、菊口 恵子2)、瀧内 陽子2)、唐津明日香2)、熊西 俊介3)、吉矢 晋一3)

(目的)各種磁気刺激法を用い健常者における正常値について調べた。また、全脊椎MRIを併用し高位診断が可能か検討した。(方法)TCMEPからPTをひき、CMCTを求めた。また腰仙椎部磁気刺激からCECTを、下肢のCMCTよりTh12/L1レベル刺激潜時を引き、CCCTを求めた。ADM-CMCTは、平均4.7±1.2ms、AH-CMCTは、平均12.0±2.3ms、CCCTは、平均12.0±2.1ms、CECTは平均3.2±0.7msであった。症例は、手指巧緻運動障害と歩行困難を主訴とした80歳女性である。全脊椎MRIでは、頚椎及び腰椎に圧迫がみられた。CMCT (頭部-頚部)10.1ms CMCT (頭部-腰部) 21.6ms CCCT 18.4ms CECT 2.7msであり、頚椎病変が主と考えた。(結論)今回、各種磁気刺激装置を用い、健常者について検討した。全脊椎MRIのtoolも使用し、各病変の障害評価に加え、高位診断に有用な可能性もある。

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9. 腰部脊柱管狭窄症における馬尾伝導時間と術後下肢しびれの関係

山口大学大学院医学系研究科 整形外科

永尾 祐治、寒竹  司、今城 靖明、鈴木 秀典、舩場 真裕、西田 周泰、田口 敏彦

【目的】磁気刺激運動誘発電位による馬尾伝導時間(CECT:cauda equina conduction time)の遷延は腰部脊柱管狭窄症術後のしびれ残存に関連するかを検討した。【対象】術前に安静時下肢しびれを認めた馬尾型64例(男46、女18、平均年齢69.9歳)を対象とした。【方法】皿電極を母趾外転筋に置き安静時に腰部を磁気刺激したMEPs潜時と足関節部の脛骨神経を電気刺激したCMAPsとF波の潜時からCECTを算出した。画像所見との比較のためミエロ後CTの最狭窄椎間の硬膜管面積を計測した。【結果】しびれ改善群のCECTは5.4±1.1msecに対し残存群は6.0±1.2secであり有意に遷延した(P=0.04)。改善群と残存群の年齢、硬膜管面積には有意差は認めなかった。【考察】CECT遷延の機序は馬尾の脱髄によると考えられる。基礎研究において馬尾の慢性圧迫で脱髄、軸索変性等の器質的変化が報告されている。安静時しびれや術後しびれ残存がCECT遷延に反映されていると考えられた。

10.頚髄症の歩行障害の病態 ―JOACMEQを用いた検討―

JA広島総合病院整形外科1)、 広島大学大学院医歯薬学総合研究科展開医科学専攻病態制御医科学講座整形外科学2)

平松  武1)、藤本 吉範1)、山田 清貴1)、中前 稔生1)、田中 信弘2)、中西 一義2)、亀井 直輔2)、古高 慎司2)、安達 伸生2)

【目的】本研究の目的は、頚髄症の歩行障害の病態を、固有感覚機能検査、下肢中枢運動伝導時間(CMCT)、JOACMEQの下肢運動機能スコアを用い検討すること。

【対象および方法】2011年以降手術を施行した頚髄症患者22例を対象とした。男性13例、女性9例、平均年齢67歳。評価項目は固有感覚機能検査、下肢CMCT、下肢運動機能とした。固有感覚機能検査は位置覚・運動覚を評価、下肢CMCTはMEP潜時と末梢潜時の差で評価、下肢運動機能はJOACMEQの下肢運動機能スコアで評価した。固有感覚、下肢CMCTと下肢運動機能の関連をスピアマンの順位相関係数で評価した。

【結果】位置覚誤差は、JOACMEQと相関は認めなかった。運動覚はJOACMEQと有意な相関を認めた。下肢CMCTはJOACMEQと相関は認めなかった。

【考察】頚髄症の歩行障害は固有感覚の異常に起因するとの報告があり、我々の結果もCMCTと下肢運動機能は相関せず、皮質脊髄路障害より、運動覚障害が歩行障害と関連していた。頚髄症では固有感覚障害のうち運動覚障害が歩行障害と関連していることが示唆された。

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11.圧迫性頚髄症における上肢・胸椎部中枢運動伝導時間を用いた重症度評価

山口大学大学院整形外科1)、萩市民病院整形外科2)

藤本 和弘1, 2)、寒竹  司1)、今城 靖明1)、茶川 一樹2)、舩場 真裕1)、永尾 祐治1)、田口 敏彦1)

[目的] 圧迫性頚髄症(CCM)での上肢・胸椎部中枢運動伝導時間(CMCT)を用いた重症度評価の有用性を検討すること.[対象と方法] 対象は術前上肢CMCTがMean+2SD(6.6ms)以上に遷延し,術中脊髄誘発電位(SCEPs)を施行した94例(男61女33,平均年齢68歳).胸椎部CMCT(下肢CMCT-上肢CMCT)6.6±1.2msを正常値とし,上肢優位CMCT遷延群(U群)14例(Mean-2SD以下),上下肢同等CMCT遷延群(E群)43例(Mean±2SD未満),胸椎部CMCT遷延群(L群)37例(Mean+2SD以上か下肢CMCT測定不能)に分類した.術前神経学的所見,術中SCEPs,臨床成績を検討した.[結果] 下肢深部感覚障害例はL群で有意に多く,脊髄刺激SCEPsはL群で有意な障害を認めた.術前頚椎JOAスコアは3群間で有意差を認めなかったが,術後頚椎JOAスコアおよび改善率はL群で有意に低かった.[考察] L群では,広範な外側皮質脊髄路障害・後索障害を認め,術後成績不良であった.術後成績・ADL改善度予測に,胸椎部CMCTは有用である.

12.転移性頚椎腫瘍モデルの作製と頚髄麻痺の検証-行動学的評価と3DμX線CTによる腫瘍進展様式-

杏林大学 整形外科1)、久我山病院 整形外科2)

佐藤 俊輔1)、高橋 雅人1)、里見 和彦2)、長谷川 淳1)、竹内 拓海1)、大祢 英昭1)、長谷川雅一1)、市村 正一1)

【目的】胸腰椎腫瘍モデルの報告は散見されるが、頚椎腫瘍の報告はない。転移性頚椎腫瘍による脊髄麻痺モデルを作製し、腫瘍進展様式と亜急性頸髄麻痺の自然経過を明らかにする。

【方法】Fisher344ラット20匹(雌、10週齢、130~160g)を用いた。腹腔内麻酔下に前側方侵入で頚椎前面に骨孔を作製し、ラット乳癌種CRL-1666腫瘍塊(1×1mm)を移植した。移植高位は、C3(5匹)、C4(2匹)、C5(3匹)だった。Shamとして10匹は骨孔のみで閉創した。運動麻痺の評価はMartinezらの行動評価スケールを用いて判定した。腫瘍進展は実験動物用3DμX線CT R_mCT2と病理組織標本で調査した。

【結果】CRL-1666腫瘍塊を移植したラットは10匹中6匹(60.0%)で運動麻痺を生じた。Shamは全例で麻痺を生じなかった。運動麻痺が発症するまでの期間は移植後平均15.5±2.1日(13~19日)であり、Kaplan Meier法による生存曲線で、移植後生存期間の中央値は16.5日であった。運動麻痺発症時の上肢のMartinezらの行動評価スケールは平均4.3±7.5点(0~11点)、下肢は11.3±5.4点(4~18点)であった。C3に移植した1例のみ下肢麻痺が先行したが、その他5例の麻痺は主に上肢から徐々に下肢麻痺が進展していく傾向であった。3DμCT上、術直後は腹側骨皮質が保たれていたが、麻痺を生じたものは腹側骨皮質の穿破あるいはlytic lesionを認めた。病理所見では腫瘍細胞が椎体内から腹側骨皮質に浸潤し、硬膜外前方から脊髄を圧迫する所見が認められた。

【考察および結論】上肢症状(髄節症状)が先行しやすい理由として、脊髄前方からの圧迫による前角症状が先に生じ、のちに外側への圧迫が強まっていくためと推察された。本モデルにより、転移性頚椎腫瘍による上下肢麻痺の自然経過ならびに腫瘍進展様式を解明しうるものと考えた。

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13.遠位型頚椎症性筋萎縮症の治療成績を予測するスコアリング方法

山口大学大学院 整形外科

舩場 真裕、寒竹  司、今城 靖明、鈴木 秀典、西田 周泰、藤本 和弘、永尾 祐治、田口 敏彦

【目的】遠位型CSAの病態をスコア化し手術治療成績を検討。【対象と方法】遠位型CSAと診断し頸椎手術を施行した13例を対象とした。CMCTは7.2ms以上と遷延とし、EDC-CMAPsは7.4mV未満を低下とした。最終観察時にMMTが2段階以上またはG以上に改善をexcellent(E群)とした。1段階改善かつMMTがF以上をgood(G群)、変化なしあるいは1段階改善するがMMTがP以下をfair(F群)、悪化をpoor(P群)とした。CMCT遷延、健側CMAPs低下、患側CMAPs1mV未満、CMAPs健側比50%未満、MRIで多椎間狭窄、1年以上の罹病期間、術前MMTがT以下の7項目をそれぞれ1点としてスコアリングした。【結果】治療成績はE群2,G群2,F群9,P群0例であった。スコアリングを行うと、F群(5.12±1.12点)はE群およびG群(2±1.15点)より有意に高く全て4点以上であった。(P=0.006)【考察】包括的なスコアリング評価は治療成績の予測に有用である。

14.若年性一側上肢筋萎縮症(平山病)に対する頚椎屈曲負荷運動誘発電位検査の有用性

広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 統合健康科学部門医学分野  整形外科学

古高 慎司、田中 信弘、中西 一義、亀井 直輔、安達 伸生

【目的】当科では若年性一側上肢筋萎縮症(平山病)を疑った症例に対し,頚椎中間位及び屈曲位にて経頭蓋磁気刺激を用いた運動誘発電位(MEP)検査を施行している。【方法】当科にて平山病を疑われMEP検査を施行した症例のうち,明らかな他疾患の診断がついた症例を除いた14例を対象とした。頚椎中間位と屈曲位における上下肢MEP潜時及びCMCTを計測し,症状側と健常側と比較した。また,頚椎屈曲負荷によるMEP潜時及びCMCTの差についても比較した。【結果】頚椎中間位と屈曲位におけるMEP潜時及びCMCTに有意な差はなく,頚椎屈曲負荷によるMEP潜時およびCMCTの差も認めなかった。ここで上肢CMCTが健常側と比較し,症状側が0.5ms以上延長している8例を再度検討した。すると上肢CMCTでは症状側が有意に延長しており,頚椎屈曲負荷による上肢MEP潜時とCMCTも症状側が有意に延長していた。【考察】頚椎屈曲負荷にてCMCTの延長を認め,平山病の診断に有用であった。

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15.頚椎症性脊髄症における中枢運動伝導時間とMRIでの脊髄圧迫の程度との関係

広島市立広島市民病院 整形外科1)、広島大学 整形外科2)

力田 高徳1)、田中 信弘2)、中西 一義2)、亀井 直輔2)、西川公一郎1)、安達 伸生2)

頚椎症性脊髄症の患者において中枢運動伝導時間(CMCT)と脊髄圧迫の程度の関係は明らかにされていない。そこで、椎弓形成術を施行した頚椎症性脊髄症のうち、術中脊髄障害高位診断により単椎間障害と診断され、その高位が術前MRIにおける最狭窄高位と一致した33例を対象として、CMCTと脊髄圧迫の程度の関係を調べた。術前MRIでの障害高位において脊髄の前後径、横径、面積、扁平率を測定した。また、C2/3高位において同様に計測を行いC2/3高位と障害高位との比を求めた。経頭蓋磁気刺激により運動誘発電位を計測し上下肢CMCTを求めた。MRIでの実測値は上下肢ともにCMCTと脊髄の前後径、扁平率との間にそれぞれ有意な相関を認めた。C2/3比においても上下肢CMCTは脊髄の前後径、扁平率との間に有意な相関を認めた。結論として脊髄圧迫の程度を測定することにより、皮質脊髄路機能の評価ができる可能性が示唆された。

16.経頭蓋電気刺激誘発筋電位波形の成分分析(1)

(独)相模原病院 脳神経外科

三島 大德、阿部 克智、三井 公彦、諏訪 知也

【導入】経頭蓋電気刺激誘発筋電位(Br(E)-MsEP)の複合筋活動電位波形の成分は未解明である。【対照・方法】脊髄手術中の腓腹筋(筋腹-腱間計測)と前脛骨筋(筋腹-筋腹間計測)からのデータで、初期陰性型波形の初期最小陰性波(IMNW)、IMNWに連続する陽性波(IMPW)、波形後半成分の長間隔で鈍な波形(LDW)の振幅、peak-to-peak(PP)振幅の関係を検討。【結果】IMNW振幅とPP振幅は正に相関。IMNWのような初期スパイクの振幅はPP振幅より変動性が小さいが手術モニターの指標はどちらでもよい。IMNW振幅はLDWの陽性振幅と比例していた。【考察】LDWによる波形基線の動揺がIMNWやPPの振幅変動性を増すが、術中モニター指標としては、IMNW振幅とPP振幅のどちらでもよい。

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17.経頭蓋電気刺激誘発筋電位波形の成分分析(2)

(独)相模原病院 脳神経外科

三島 大德、阿部 克智、三井 公彦、諏訪 知也

【導入】経頭蓋電気刺激誘発筋電位(Br(E)-MsEP)の複合筋活動電位波形の成分は未解明である。【対照・方法】脊髄手術中の腓腹筋(筋腹-腱間計測)と前脛骨筋(筋腹-筋腹間計測)からのデータで、初期陰性型波形の初期最小陰性波(IMNW)、IMNWに連続する陽性波(IMPW)、波形後半成分の長間隔で鈍な波形(LDW)の振幅、peak-to-peak(PP)振幅の関係を検討。【結果】IMNW振幅はLDW陰性振幅と比例。さらに拮抗の前脛骨筋のIMNWと腓腹筋LDW陽性成分と正に相関していた。【考察】LDWは筋張力推移の波形に相似し、実際の筋収縮運動を表現する。変動要因軽減策の提示や術中の波形振幅の回復徴候につながる神経筋接合部関連電の分散についても触れたい。

18.疾患によるBr(E)-MsEPの特性

日本脊椎脊髄病学会モニタリングワーキンググループ

小林  祥、松山 幸弘、安藤 宗治、川端 茂徳、寒竹  司、高橋 雅人、今釜 史郎、藤原  靖、山田  圭、和田簡一郎、田所 伸朗、山本 直也、谷  俊一

Br(E)-MsEPのアラームポイントの精度を検証するため多施設研究を行っている,疾患の差異による,モニタリング波形変化と術後神経所見の解析を行った.2010年4月から2016年3月までに本グループ関連施設で術中モニタリングを行った症例のうち,脊髄腫瘍,後縦靭帯骨化症,側弯症の2432例を対象とした.側弯症手術と頚椎OPLL手術ではそれぞれTrue positive 9例,4例,レスキュー例12例と,より多く症例でレスキューが可能であった.しかし,胸椎OPLLや脊髄腫瘍摘出例ではレスキュー例をTP例が上回り,術後麻痺が回避不可能な症例が多かった.Br-MsEPのアラームポイントは様々な報告があるが,振幅低下70%をアラームとした場合に良好なモニタリング精度が得られた.側弯症手術と頚椎OPLL手術ではモニタリングは麻痺の回避に有用であったが,胸椎OPLLや脊髄腫瘍摘出術例では術後麻痺の悪化例が多く,手術手技に注意が必要と考えた.

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19.脊髄機能モニタリングにおける脊髄電気刺激・筋誘発電位と大脳電気刺激・筋誘発電位の比較

和歌山労災病院整形外科1)、愛徳医療福祉センター2)、和歌山労災病院中央検査部3)

安藤 宗治1)、玉置 哲也2)、麻殖生和博1)、岩橋 弘樹1)、市川 和昭3)、吉増 千恵3)、三宅 崇登3)、伊庭 信幸3)、榎本 菜那3)

【目的】脊髄機能モニタリングに際し脊髄電気刺激・筋誘発電位〔Sp(E)-MsEP〕を使用し、その有用性を大脳電気刺激・筋誘発電位〔Br(E)-MsEP〕と比較検討した。

【対象および方法】脊椎疾患10例を対象としBr(E)-MsEPとSp(E)-MsEPの術中波形変化と術後神経症状の変化を調査した。【結果】すべての症例で術後神経症状が悪化したものはなかった。また、術中Sp(E)-MsEPが低下した症例はなかったが、手術終了時に少なくとも1筋以上でBr(E)-MsEPが低下した症例は3例存在し、Br(E)-MsEPに限ればfalse positiveは30%であった。Sp(E)-MsEPはfadeが生じることもなく安定して記録できるため、脊髄モニタリングには有用であるといえる。

20.脊髄モニタリングで末梢神経テタヌス刺激後運動誘発電位モニタリング(p-MEP)を必要とするのはどのような症例か?

奈良県立医科大学 整形外科1)、奈良県立医科大学 麻酔科2)、奈良県立医科大学 中央検査3)

増田 佳亮1)、重松 英樹1)、川口 昌彦2)、高谷 恒範3)、岩田栄一朗1)、田中 誠人1)、奥田 哲教1)、森本 安彦1)、田中 康仁1)

【はじめに】当院の末梢神経をテタヌス刺激後に運動誘発電位(以下p-MEP)をとる脊髄モニタリング手法は、簡便に複合筋活動電位(以下CMAP)を増幅できる手段であり、従来のMEP法(以下c-MEP)に比べ、波形検出率が上昇する。本研究は、どのような術前背景因子を含む症例に、このp-MEPが必要なのかを明らかにすることを目的とした。

【対象と方法】2014年に当院でMEPを施行した脊椎脊髄手術症例を対象とし、術前背景因子は、(1)疾患名、(2)年齢、(3)性別、(4)罹病期間、(5)術前筋力低下とした。c-MEPのみで対処できた症例(c-MEP群)とp-MEPを必要とした症例(p-MEP群)に分けて比較検討した。

【結果】p-MEPを必要とした症例は、術前の筋力低下を認める症例が有意に多かった。【考察と結論】術前筋力低下は、c-MEPではCMAP検出の困難症例が多く、波形増幅効果のあるp-MEPが有効であった。その他の因子は関連を認めなかった。

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21.Monophasic刺激における左右上下肢CMAP検出の成功率比較 ―定電流vs定電圧刺激― preliminarystudy

奈良県立医科大学整形外科1)、奈良県立医科大学麻酔科2)、奈良県立医科大学中央検査3)

重松 英樹1)、川口 昌彦2)、高谷 恒範3)、増田 佳亮1)、林  浩伸2)、岩田栄一朗1)、田中 誠人1)、奥田 哲教1)、森本 安彦1)、田中 康仁1)

当院はmonophasic刺激の経頭蓋刺激MEPを施行している。一般にmonophasic刺激では陽極刺激側が右の場合、左側上下肢のCMAP振幅が大きくなる。本研究の目的は、最大上刺激条件下に定電流刺激(200mA)と定電圧刺激(500V)での左右CMAP検出の成功率を検討し、定電流と定電圧刺激の違いを明らかにすることである。対象は、定電流と定電圧刺激の両方を施行し、左右からmonophasic刺激を施行した連続する20症例である。平均年齢60.7歳、男:女=12:8、頚椎疾患5例、腰椎疾患10例、その他5例である。50μV以上の波形検出を成功と定義し、カイ二乗検定にて、p<0.05を有意差ありとした。右陽極刺激の両刺激間のCMAP検出率に左右の有意差は認めなかった。左陽極刺激の両刺激間のCMAP検出率は定電流刺激で右三角筋、右腓腹筋の検出率が有意に高かった。最大上刺激の定電流刺激では、陽極側の反対側で常にCMAP検出率が高かった。定電圧刺激では、左右の検出率はかわらなかった。

22.脊椎手術にて外肛門括約筋にfree-runEMGの異常波形を認めた症例の検討

広島赤十字・原爆病院 検査部生理検査課1)、広島赤十字・原爆病院 医療技術部臨床工学課2)、広島赤十字・原爆病院 整形外科3)

海谷  慧1)、清水 健太1)、中迫 祐平1)、藤川  亮2)、今田 寛人2)、吉武 美香1)、柳澤 義和3)、野村  裕3)

【はじめに】外肛門括約筋(anal sphincter:anal)は第2~4仙椎を中枢とする陰部神経に支配されており、反射弓を形成している。今回、我々はanalにfree-runEMG : fEMGの異常波形を認めた症例を経験したので報告する。

【対象と方法】対象は2016年1月~10月、analを含む筋群に電極を装着して術中モニタリングを行った51例中、analにfEMGの異常波形を認めたのは8例であった。経頭蓋電気刺激筋誘発電位(Br-MsEP)、体性感覚誘発電位(SSEP)に加えfEMGを用いて術中モニタリングを行った。アラームポイントは、Br-MsEPは50%以上の振幅低下、fEMGは異常波形を認めた時点とした。【結果】analにfEMGの異常波形を認めた8例中、anal単独のものは4例、他筋と共に認めたものは4例であった。全例ともanalのBr-MsEPの振幅に異常を認めなかったが、術後に排尿排便障害が出現した症例を1例認めた。【考察】硬膜管が露出した状態で異常波形が出たものは、術中操作で馬尾神経が何らかの刺激を受けて反応したと考える。硬膜管に達していない時点での異常波形はアーチファクトと考えられた。今回、Br-MsEPの低下を認めなかったにも関わらず術後に排尿排便障害を認めた症例があったことから、fEMGを観察することで、Br-MsEPでとらえられない神経への刺激を察知できる可能性があると考える。今後、症例数を増やして引き続き検討していきたい。

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23.当院の脊椎手術における術中経頭蓋刺激―筋誘発電位(Br-MsEP)の偽陽性率について

名古屋大学医学部附属病院 医療技術部臨床検査部門1)、名古屋大学医学部附属病院 検査部2)、名古屋大学医学部附属病院 脳神経外科3)、名古屋大学医学部附属病院 整形外科4)

榊原久美子1)、堤 ちあき1)、大熊 相子1)、住田 佳陽1)、金  沙玲1)、山本ゆか子1)、弘津真由子1)、松本 祐之1)、松下  正2)、西村 由介3)、江口  馨3)、福岡 俊樹3)、吉川 哲史3)、小林 和克4)

【はじめに】当院では、脳神経外科の脊髄脊椎外科手術の全例で閾値上刺激によるBr-MsEPを行っており、脊椎操作前コントロールの50%以下の振幅低下を初期アラームポイントとしている。術中に振幅低下を認めたが、神経障害が生じなかった偽陽性例について解析した。【対象・方法】2016年1月~9月に施行した脳外科脊椎手術33例において、Br-MsEPにおける偽陽性例およびその際の刺激電位を検討した。また、偽陽性例において、アラート直後に同一条件での再刺激を行い、波形再現性の有無を検討した。【結果】偽陽性は24例にみられ、偽陽性率は72.7%であった。偽陽性24例94筋中、再刺激により11例23筋で波形回復を認めた。【考察】偽陽性例のうち45.8%では同一再刺激により波形回復を認めた。すべての筋に対して最大上刺激で実施することは難しく、閾値上刺激では、筋の反応性にばらつきがあったために、偽陽性が生じるのではないかと考えられる。

24.脊髄髄外腫瘍の術中脊髄モニタリング:髄内腫瘍との違いを含めて(日本脊椎脊髄病学会多施設研究)

日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリングワーキンググループ

藤原  靖、松山 幸弘、小林  祥、川端 茂徳、安藤 宗治、山本 直也、寒竹  司、山田  圭、今釜 史郎、伊藤 全哉、和田簡一郎、田所 伸朗、高橋 雅人、谷  俊一

【はじめに】脊髄髄外腫瘍の術中経頭蓋刺激筋誘発電位モニタリングについて髄内腫瘍との違いを検討した.

【対象および方法】2010年から2013年までに行われた髄内腫瘍117例,髄外腫瘍337例を対象とした.3ヶ月以上持続するものを持続性麻痺とした.

【結果】髄外腫瘍では337例中13例3.9%に麻痺を生じ,持続性は2例で,胸腰椎移行部以下が9例であった.電位低下は-70%台2例,-80%台5例,-90%台2例,100%4例であった.髄内腫瘍では117例中21例18%で麻痺を生じ,7例が持続性で,胸腰椎移行部は4例であった.電位低下は-50%台2例(FN),-70%台1例,-80%台1例,-90%台7例,-100% 8例であった.

【考察】髄外腫瘍の術後麻痺は髄内腫瘍と比べて頻度が低く一過性が多かった.また,胸腰椎移行部,腰椎に多く,より限局的・軽度の電位低下で術後麻痺を生じていた.

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25.脊柱変形手術による神経障害機序の検討~日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリングワーキンググループ多施設前向き研究~

日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリングワーキンググループ1)、名古屋大学医学部 整形外科2)、富山大学医学部 整形外科3)、和歌山県立医科大学 整形外科4)、北海道大学医学部 整形外科5)

山田  圭1)、松山 幸弘1)、川端 茂徳1)、安藤 宗治1)、山本 直也1)、今釜 史郎1)、小林  祥1)、寒竹  司1)、和田簡一郎1)、田所 伸朗1)、高橋 雅人1)、藤原  靖1)、谷  俊一1)、小林 和克2)、村本 明生2)、関  庄二3)、岩崎  博4)、長濱  賢5)

【はじめに】我々は脊柱変形手術における経頭蓋電気刺激筋誘発電位[Br(E)-MsEP]による術中モニタリングの波形変化から手術操作による神経障害機序を検討した.

【対象と方法】2010年4月から2014年12月まで関連15医療施設で脊柱矯正固定術を施行した脊柱変形患者631例(男106例,女525例)であった.術中脊髄モニタリングはBr(E)-MsEPを施行し,コントロール波形振幅の70%以上の低下でアラートを発信した.アラート発信,手術操作および術後麻痺の関係から神経障害機序を検討した.

【結果】67例(10.6%)でアラートを発信していた.術後一過性麻痺を成人脊柱変形で7例,症候性側弯症と先天性側弯症の各1例に認め,持続性麻痺を成人脊柱変形の1例に認めた.いずれも術中波形が消失し回復していなかった.

【考察】成人脊柱変形,症候性側弯症では神経根の圧迫ないし牽引による障害が考えられた.

26.成人脊柱変形手術の神経合併症とその対策―術中脊髄モニタリングアラーム例の術式別の検討―

浜松医科大学整形外科

吉田  剛、小林  祥、長谷川智彦、大和  雄、大江  慎、有馬 秀幸、坂野 友啓、三原 唯暉、後迫 宏紀、戸川 大輔、松山 幸弘

成人脊柱変形手術の神経合併症は高率で術式毎に神経障害の発生機序も異なる。今回我々は術中神経障害の発生状況を脊髄モニタリングのアラームを基に調査した。2010年より2015年3月までの成人脊柱変形手術275例を対象とした(PCO;後方矯正単独、ACO;椎体骨切り併用、LLIF;2期的矯正手術)。術中アラームポイント陽性は全24例、PCO12例(8.2%)、ACO8例(7.6%)、LLIF4例(16.7%)であり、その内術後麻痺はPCO9例(6.2%)、ACO5例(4.8%)、LLIF2例(8.3%)に認められた。PCOではロッドローテーション時にアラームポイントが出現し、6例中3例で椎間孔部の除圧を行い麻痺は回避できた。ACO8例中3例では骨切後の短縮量を調節しモニタリング波形が回復し麻痺の予防が可能であった。LLIF後方矯正時は除圧不足が主な神経障害の原因と推測された。脊髄モニタリングの感度100%、特異度96.9%、PCO群では神経根障害、ACO群では脊髄馬尾障害が主な障害形であった。

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27.脊柱側彎症における術中脊髄モニタリング -疾患毎にみた波形変化の特性-

名古屋大学整形外科

小林 和克、今釜 史郎、安藤  圭、飛田 哲朗、伊藤 研悠、都島 幹人、松本 明之、両角 正義、田中 智史、石黒 直樹

【目的】脊柱側彎症の術中モニタリング波形変化について疾患毎に検討すること【対象と方法】Br(E)-MsEP下に矯正固定術を行った脊柱側彎症110例(平均年齢13.2 歳)を対象とした。内訳は、特発性側弯症(IS)67例、症候性側弯症(SS)26例、先天性後側弯症(CKS)17例であった。【結果】波形悪化は35例(32%)にみられ、疾患毎の発生率(IS/SS/CKS)は、症候性側弯症が最も高かった(20%(14例)/64%(14例)/41%(7例))。波形悪化のタイミングは、derotation後が23例(65%)と最も多く、次いでderotation後のロッド取り付け後が4例(11%)であった。波形悪化時には手術操作中断や矯正を緩めることにより26例(74%)で手術終了までに波形改善をみとめた。疾患毎の波形悪化あり群/なし群の特性を検討したところ、差を認めたものはIS:術前主カーブCobb角(p<0.05)、SS:short angular curve(p<0.05)、CKS:術前の後彎角(p=0.07)であった。

28.脊柱側弯症手術中脊髄機能モニタリングのアラームが術後矯正率に与える影響について―20歳未満の脊柱側弯症症例における検討―

弘前大学 整形外科

和田簡一郎、田中 利弘、熊谷玄太郎、工藤  整、石橋 恭之

【目的】IOMのアラーム発生が側弯矯正に与える影響を検討することである。【対象と方法】対象は、20歳未満でBr(E)-MsEPによるIOM下にPS法にて後方矯正固定術を行った48例である。70%以上の振幅低下をアラームポイントとし、矯正操作時のアラームをTrue positive(TP)とした。検討項目は、(1)TPの割合、アラーム発生時の矯正操作と処置、麻痺の有無、(2)TP群と非TP群間の術前Cobb角とAVT、術前側弯矯正率(牽引)、術後側弯矯正率の比較である。【結果】(1)TPは10.4%で、アラーム時操作は、Derotation4例、DistractionとIn situ bending1例であった。矯正休止、解除による振幅回復後、同じ矯正または矯正法の変更を行った。術後麻痺を生じなかった。(2)TP群と非TP群間で各項目に有意差はなかった。【考察】アラーム時は速やかな矯正解除が必要で、振幅が回復すれば矯正法の変更といった工夫で非TP例と同等の側弯矯正が期待できると考えられた。

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29.当院における術中脊髄モニタリング新人教育の現状

浜松医療センター 臨床検査技術科1)、浜松医療センター 整形外科2)

平澤 英典1)、安田 達也2)、坂口 実悠1)

術中脊髄モニタリングは術後の神経合併症予防のため重要であり、当院では2010年に脊椎・脊髄手術でモニタリングが導入された。その後、脳神経外科領域の手術でも導入され、術中モニタリングの業務内容は拡大している。一方、異動や退職によりモニタリング経験の豊富な技師が立て続けに抜けており、新人の育成が急務となっている。精度の高いモニタリングを行う為には、幅広い領域の知識や他職種とのコミュニケーション能力などが求められる。モニタリングでは、測定波形の判断や結果報告を短時間で行う必要があり、学ぶ側も戸惑うことが多い。また手術室という慣れない場所での検査を負担に感じられることもある。そのような環境の中で試行錯誤しながら新人教育を行っている。今回、当院で術中脊髄モニタリングが導入されてからの経過と、新人教育の現状を報告し、今後目指すべき方向性について考察する。

30.術中神経モニタリングにおけるクリニカルパスとチェックリストの運用と現状について

奈良県立医科大学附属病院 中央臨床検査部1)、奈良県立医科大学附属病院 脳神経外科2)、奈良県立医科大学附属病院 整形外科3)、奈良県立医科大学附属病院 麻酔科4)

高谷 恒範1)、山本さよみ1)、梅木 弥生1)、山崎 正晴1)、竹島 靖浩2)、松田 良介2)、本山  靖2)、中瀬 裕之2)、増田 佳亮3)、奥田 哲教3)、森本 安彦3)、田中 雅人3)、岩田栄一朗3)、重松 英樹3)、田中 康仁3)、林  浩伸4)、川口 昌彦4)

当院では神経モニタリング時に、チェックリストを導入し、手術に関わる術者、麻酔科医、技師の情報共有をはかり、より信頼度、精度の高い神経モニタリングを目指している。さらに術中の波形変化時の対応をチェックリスト化してクリニカルパスの導入をはかり、職種別にもれのない対応を心掛けている。2015年7月から2016年7月までに390件の神経モニタリングを施行し、術中50%以上波形低下した症例は56例で、その内、手術終了時まで有意低下を示した症例は16例であった。12例で術後麻痺を認めた。チェックリストを運用することで、手術操作以外での波形低下出現が12.1%(2006年12月~昨年6月)から1.03%(昨年7月~2016年7月)と減少した。本発表では、信頼性の高い神経モニタリングが実現可能であったかどうかをチェックリストとパスの導入前・後の変化から検証する。

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31.頚髄症のアラームポイントに関する因子について

久留米大学整形外科1)、久留米大学麻酔科2)

井手 洋平1)、山田  圭1)、佐藤 公昭1)、坂田麻里奈1)、原田 秀樹2)、志波 直人1)

【対象と方法】2013年6月から2016年9月までに当院で棘突起縦割式脊柱管拡大術を施行しBr(E)-MsEPを施行した92例を対象とした.男性70例,女性22例,手術時平均年齢65.4(31-83)歳であった.罹病期間,糖尿病の有無,喫煙歴の有無,体重,術前ヘモグロビン値,術前血清総蛋白値,術前血清アルブミン値,呼吸機能,術前JOAスコア,術前画像所見(狭窄率,最狭窄部の脊柱管横断面積,C2-7角,後弯の有無),手術時間,出血量,術中propofol使用量,Alertの有無,Alertを誘発した手術手技について調査した.手術開始前のBr(E)-MsEPの波形をコントロール波形とし,コントロール波形の振幅の70%以上低下した場合にAlertを発信した.統計学的手法はWilcoxon検定,Fisherの正確検定,logistic回帰分析を用い,p値が0.05未満を有意差ありとした.【結果】多変量解析ではOPLL,%VC,propofol使用量/体重が因子として抽出された.

32.圧迫性胸髄障害に対する術中脊髄モニタリングの有用性と問題点

久留米大学医学部 整形外科1)、久留米大学医学部 麻酔科2)

坂田麻里奈1)、山田  圭1)、井手 洋平1)、佐藤 公昭1)、井上 英豪1)、横須賀公章1)、後藤 雅史1)、溝上 健次1)、松原 庸勝1)、岩橋 頌二1)、原田 秀樹2)、永田 見生1)、志波 直人1)

【はじめに】圧迫性胸髄障害に対する術中脊髄モニタリングの有用性と問題点を検討した.

【対象と方法】対象は2010年5月から2016年8月まで圧迫性胸髄病変に対する手術で経頭蓋電気刺激筋誘発電位[Br(E)-MsEP]を施行した84例(男51例,女33例)であった.疾患は脊髄腫瘍38例,脊椎腫瘍6例,脊柱靭帯骨化症22例,脊椎外傷6例,その他12例であった.Br(E)-MsEPのアラームポイント(AP)はコントロール波形の振幅の70%以上の低下としアラート発信頻度,術後麻痺の有無を調査した.

【結果】33例(39.3%)でアラートが発信された.アラート発信頻度は疾患別で有意差はなかった.術後一過性麻痺を5例(6.0%)に認めた.

【考察】Br(E)-MsEPは偽陽性例が多く伝導性電位を併用すべきだが,脊髄円錐部では併用困難である.Br(E)-MsEPを本APで施行することで持続性麻痺は回避できた.

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33.腰仙椎経皮的椎弓根スクリュー挿入時における神経根モニタリングの検討

関西医科大学総合医療センター 整形外科

谷  陽一、齋藤 貴徳、谷口愼一郎、石原 昌幸、朴  正旭

近年、最小侵襲脊椎安定術における経皮的椎弓根スクリュー法が普及しているが、刺入点が直視できないPPSの逸脱による神経合併症には十分注意が必要である。しかし、スクリューの逸脱による神経障害を感知することに関して現在最も普及している運動機能モニタリング法であるBr(E)-MsEPでは、各筋が多髄節支配であることより単一神経根の障害を検知することは、障害の程度も軽いことと相まって困難であると考えられる。我々の経験でも術中モニタリングは問題なかったがスクリューの脊柱管内への穿破のために術後神経症状が出現し入れ替えを要した症例を経験した。そこで、我々はスクリューそのものに電気刺激を加え、スクリューから椎弓根の骨を通して近傍の神経根を刺激し、支配筋より出現するCMAPが一定の振幅を形成するのに必要な電流値を測定することにより、スクリューの逸脱による神経根障害を検知することを試みたので報告する。

34.側索刺激による筋原性運動誘発電位に関する報告(第一報)

東京都立神経病院 中央器材室1)、東京都立神経病院 脳神経外科2)

佐々木圭輔1)、谷口  真2)

【はじめに】側索刺激による筋原性運動誘発電位(以下Sp-MsEP)の記録を試みたので報告する。【方法】頸髄腫瘍、腕神経叢引き抜き損傷の2例で経頭蓋刺激運動誘発電位(以下Br-MsEP)とSp-MsEPを併用し両者を比較した。Sp-MsEPはプローブ型電極を用い側索を刺激した。刺激条件はトレイン数5、ISI 2ms、duration0.05~0.1ms、刺激強度0.6~3mA、使用機器は日本光電社製の筋電計MEB-2216、刺激装置SEN-7103であった。【結果】2例とも刺激部位・強度を適宜変更し、Br-MsEPと相同の波形を導出可能であった。また刺激強度を適切に設定すると、脊髄側索と後索が弁別可能であった。【考察】使用目的として、Br-MsEPが伝導路の監視に有用なのに対し、Sp-MsEPは術野内の重要組織である側索の位置同定に有用であった。今後の展開として、①記録安定性の検討②麻痺の程度とその記録可能性の調査③刺激位置に関する空間分解能の解析、が挙げられる。【結語】Sp-MsEPはBr-MsEPと相互補完的に使用できると示唆された。

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35.頚椎症性筋萎縮症(CSA)の術中CMAP波形変化による麻痺回復予測

杏林大学整形外科学教室1)、久我山病院2)、太田整形外科医院3)

佐野 秀仁1)、高橋 雅人1)、里見 和彦2)、長谷川 淳1)、佐藤 俊輔1)、長谷川雅一1)、太田 道紀3)、市村 正一1)

 頚椎症性筋萎縮症(以下CSA)の術中の麻痺筋の経頭蓋電気刺激複合筋活動電位(以下CMAP)波形変化と術後の麻痺回復について調査した。対象は当院で手術を施行し波形解析が可能であった16例(男性15例/女性1例)で、手術時平均年齢は63.5歳であった。診断は近位型CSAが12例、遠位型CSAが4例であり、平均経過観察期間は22.5か月であった。除圧前の麻痺筋のCMAP波形の導出率は62.5%であり、除圧後に麻痺筋のCMAP波形が出現または振幅が増大した症例は15例であった。この中で経過観察中に麻痺筋がMMT1以上に回復した症例は14例で、さらに1か月以内に回復を認めた症例は9例であった(p=0.024)。下肢のCMAP波形変化と比較しても、麻痺筋のCMAP波形は平均44倍と振幅が増大していた。除圧後波形変化もなく術後症状改善もなかった症例は1例であった。このことから術中のCMAP波形変化が、術後の麻痺の回復を予想できる可能性が示唆された。

36.手術側と反対側の筋電図異常を来し、術中解釈に苦慮した術後C5神経麻痺症例の1例

日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院 整形外科1)、日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院 検査部生理検査課2)、日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院 検査部臨床工学課3)

柳澤 義和1)、海谷  慧2)、今田 寛人3)、中迫 祐一2)、吉武 美香2)、野村  裕1)、有馬 準一1)

 術中操作による神経損傷を予見するため当科では脊椎手術ほぼ全例に術中モニタリングを併用している。今回、頚椎椎間板ヘルニア摘出時に健側の筋電図波形の一過性低下のみを認めた術後C5神経麻痺症例を経験したので報告する。患者は50歳男性。主訴は右肩挙上困難。C4/5, 5/6高位の右側頚椎椎間板ヘルニア並びに椎間孔狭窄の診断にて顕微鏡下頚椎後方ヘルニア摘出術並びに椎間孔拡大術を施行した。C5神経根周囲操作時に健側deltoidとtricpesのMEPに振幅低下を認めたが、自然回復した。C5/6高位操作時にもfree-run筋電図にて異常波形を認めるもMEPは維持されていた。術後、右上肢MMT deltoid: 1, biceps: 3と術後C5神経麻痺を認めた。現在、術後8か月時点ではMMT detoid: 5, biceps: 3とほぼ術前にまで改善している。麻痺の原因としてair tome熱によるroot損傷と考察された。しかし、術中モニタリングでは左側のMEP低下を認めたため解釈に苦慮したが、術後経過からなんらかの危険信号だったと考えられた。

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37.術中の神経根障害に対する脊髄モニタリング(Br(E)-MsEP)の有用性

富士宮市立病院 整形外科1)、浜松医科大学 整形外科2)

後迫 宏紀1)、小林  祥2)、長谷川智彦2)、大和  雄2)、戸川 大輔2)、坂野 友啓2)、三原 唯暉2)、大江  慎2)、吉田  剛2)、松山 幸弘2)

はじめに:近年、術中の神経障害、術後麻痺を避けるため、術中脊髄モニタリングが重視されている。当院での術中神経根障害に対する脊髄モニタリングの有用性を検討し報告する。方法:2010年1月~2015年3月に後側弯症に対して後方矯正固定術を307例に行い、そのうち術中脊髄モニタリング(Br(E)-MsEP)にてコントロール波形の70%以上低下し、術中神経根障害と考えられた11例(女性10例、平均年齢64歳)を対象とした。術後麻痺あり例となし例を比較検討した。結果:術後麻痺あり例は、5例(45%)であった。術後麻痺あり例の術中波形低下時の振幅/最終波形振幅は平均87%/86%低下であり、術後麻痺なし例は平均88%/10%低下であった。11例全例に神経根除圧操作が行われた。考察:モニタリングにて術中波形が70%以上低下し、最終波形が回復したレスキュー症例では、術後麻痺例はなかった。術中神経根障害に対する脊髄モニタリングは有用である。

38.経皮的椎体形成術(BKP)施行時にMEPが低下した1例

広島赤十字・原爆病院 医療技術部 臨床工学課1)、広島赤十字・原爆病院 検査部 生理検査課2)、広島赤十字・原爆病院 整形外科3)

今田 寛人1)、藤川  亮1)、海谷  慧2)、中迫 祐平2)、吉武 美香2)、柳澤 義和3)、野村  裕3)、松島 安幸1)

【はじめに】脊椎破裂骨折に対する経皮的椎体形成術(BKP)では,骨セメントの脊柱管への漏出が危惧される.今回,BKP施行時にMEPが低下した症例を経験したので報告する.【症例】51歳男性.直腸癌に対し根治術・放射線・化学療法を施行.その後骨転移を認め,腰椎椎体病的破裂骨折(T12)と診断されBKPを施行.モニタリング機器はNicolet社製Endeavor CR 16chを使用し,項目はMEP,SEP,筋電図モニター(fEMG)とした.導出筋は大腿直筋(Quad),腓腹筋(G),前腓骨筋

(TA),母趾外転筋(AH)とした.術中所見として,バルーン加圧時右QuadのMEPが58%低下.2回刺激で振幅回復を確認後再開.その後セメント注入時もMEP低下を認め手術終了時は50%低下.術後両下肢の麻痺は認めなかった.【考察】今回のような破裂骨折の場合は,バルーン加圧時・セメント注入時・注入後のMEPをモニタリングすることで,神経圧迫による筋力低下の予見が可能であると考える.【まとめ】BKP施行時にMEPが低下した症例を報告した.

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39.胸髄髄内血管芽腫摘出中に選択的索路障害をきたしたと考えられた1例

広島市立安佐市民病院 MEセンター1)、広島市立安佐市民病院 整形外科2)

荒川 保雄1)、藤原  靖2)、真鍋 英喜2)、志摩 隆之2)、泉 文一郎2)、山口 裕司1)、上田  彰1)

【はじめに】術中脊髄モニタリングにおいて,灰白質部では選択的髄節障害の危険性を提唱してきたが,白質部でも選択的障害の危険性があると思われる症例を経験した.

【症例】59歳男性 歩行障害を主訴とするT9高位の髄内血管芽腫で,経頭蓋刺激筋誘発電位モニタリング併用にて髄内腫瘍摘出術を施行した.導出は薄筋,大腿四頭筋,前脛骨筋,母趾外転筋,肛門括約筋で行った.

【結果】脊髄内右白質内で腫瘍剥離中,右薄筋-86%,大腿四頭筋-91%の電位低下を認めた.他筋の電位低下は-70%未満であった.術後右股関節屈曲,膝伸展のみMMT2まで低下し,3ヶ月でMMT5まで回復した.

【考察】股関節屈曲,膝伸展の支配髄節はL2-4で,脊椎高位ではT10付近に髄節があるとされる.本症例はT9高位の手術であり,電位低下時の操作は右白質内であったため,右下肢近位筋(L2-4髄節)への索路のみの選択的障害と考えられた.

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