8
Business white paper CAE ソフトウェア FullWAVE ™ 並列解析性能の常識を変えた メモリ共有型システム HPE Superdome Flex

CAEソフトウェアFullWAVE™の並列解析性能の常識を変えた ......HPEは本プログラムの主力ベンダーの1社として参画し、HPE Superdome Flexに代表される

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: CAEソフトウェアFullWAVE™の並列解析性能の常識を変えた ......HPEは本プログラムの主力ベンダーの1社として参画し、HPE Superdome Flexに代表される

Business white paper

CAEソフトウェアFullWAVE ™の並列解析性能の常識を変えた

メモリ共有型システムHPE Superdome Flex

Page 2: CAEソフトウェアFullWAVE™の並列解析性能の常識を変えた ......HPEは本プログラムの主力ベンダーの1社として参画し、HPE Superdome Flexに代表される

要約

シリコンフォトニクス、メタマテリアル、イメージセンサーなど――最先端の

光デバイスの開発競争が加速する中、CAEソフトウェア「FullWAVE」への期待が高まっている。より大規模なモデル、微細なメッシュを扱うための解析

システムへの性能要求も高度化する一方だ。こうした状況を捉え、サイバネッ

トシステム、NTTコミュニケーションズ、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の3社が協力してFullWAVEの並列解析性能を評価した。検証機に採用された「HPE Superdome Flex」は、従来の常識を超えるスケーラビリティとパフォーマンス向上を実証した。

Business white paper Page 2

最先端の光デバイス設計を支えるFullWAVECAE分野において国内トップクラスの実績を持つサイバネットシステムが、コンサルティングとインテグレーションビジネスの強化を進めている。企業スローガン『つくる情熱を、支える情熱。』に込められ

ているのは、ものづくり企業の要求へ徹底的に応えるプロフェッショナルとしての決意である。同社 CAE事業本部の黒木雅之氏は次のように話す。

「ものづくりの現場では、構造・流体・伝熱・光などの問題を複合的に捉えて結果を導き出す高度な

解析技術が求められています。私たちのチームの主戦場である光解析分野でも、光と熱、光と構造と

いった連成解析はあたりまえになってきました。同時に、より精度の高い解析結果を得るために、より

大規模なモデルを微細なメッシュで解析したいというニーズも高まっています」

解析精度が上がれば設計の確かさが向上する。解析時間を短縮できれば、解析を繰り返してさらに

精度を上げることができる。解析精度と解析時間の競争は、ものづくりの品質と性能を追求する競争

そのものである。光デバイスの分野では、次世代の超高速光通信を実現するシリコンフォトニクス、

光の屈折率を自由に制御できるメタマテリアルなど、最先端テクノロジーの開発競争が加速している。

解析システムに対するパフォーマンス要求は高度化する一方だ。

Page 3: CAEソフトウェアFullWAVE™の並列解析性能の常識を変えた ......HPEは本プログラムの主力ベンダーの1社として参画し、HPE Superdome Flexに代表される

「映像ディスプレイが4K/8Kとより高精細に進化し、市販カメラのイメージセンサーが1億画素を超える時代です。こうした超微細な画素の設計には、反射や屈折といった光線のふるまいを、さらに波長

の短い電磁波として解析する必要があります。CAEソフトウェア『FullWAVE』は、このようなデバイスの超微細な構造における光の伝播解析で大きな威力を発揮します」とCAE事業本部の岩井広成氏は話す。

FullWAVEは、米Synopsys社が開発するRSoft™製品ファミリの一翼を担う。FDTD法(有限差分時間領域法)を用いた応用範囲の広い「3次元電磁界ソルバー」として国内外で豊富な実績がある。

「FullWAVEでは、メッシュサイズの設定から解析処理までを一貫してメモリ上で実行します。たとえば

3万立方ミクロン前後(約30um×30um×30um、可視光の場合)のモデルを解析する場合、メモリ上で扱うデータ量は60~100GBに達します。大容量メモリとメニーコアを利用できる『HPE Superdome Flex』での検証は、解析精度の向上と解析時間の短縮に対する厳しい要求に応えていくための重要な布石となると考えました」(黒木氏)

検証に使用されたマシンは、NTTコミュニケーションズの「Nexcenter Lab™」に設置された「HPE Superdome Flex(12TBメモリ、16CPU/288コア搭載)」である。

FullWAVEによる解析例:表面粗さの解析

FullWAVEは、FDTD法(有限差分時間領域法)により、素材の表面の超微細な構造を明ら

かにする。この例では、X軸・Y軸の一辺は5μm(5マイクロメートル=0.005ミリメートル)であり、より広範な面積を対象に解析したいと

いうニーズが高まっている。

“お客様の『これまでにない高度な問題に取り組みたい』『複雑な問題を短期間で解決したい』という高度な要求に応えるための、いわば“切り札”を手に入れることができました。不可能を可能

にするテクノロジーは、今まさに目の前にあります”̶ サイバネットシステム株式会社 CAE事業本部 CAE第2事業部 技術部 部長 黒木 雅之 氏

Page 3Business white paper

Page 4: CAEソフトウェアFullWAVE™の並列解析性能の常識を変えた ......HPEは本プログラムの主力ベンダーの1社として参画し、HPE Superdome Flexに代表される

HPE Superdome Flex上でFullWAVEの性能を検証HPE Superdome Flexは、最新のインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを最大32CPU/896コア搭載し、最大48TBという巨大なメモリ空間をひとつのOSから利用できる。一般的なサーバー製品では、インテル® Xeon® Platinum プロセッサーは最大8CPU構成、インテル® Xeon® Gold プロセッサーは最大4CPU構成が上限だが、HPE Superdome Flexは独自開発のクロスバーチップとクロスバーファブリックにより最大32CPUを実現している。大規模化・複雑化するCAE環境に、インメモリHPCシステムとして比類のないパフォーマンスを提供する。

一方、FullWAVEにはクラスターオプションが用意されており、サーバーのスケールアウトにより計算能力を拡張できる。だが、岩井氏は「ノード間通信がボトルネックになって思うように性能を伸ばせ

ない」というジレンマを感じていたという。

「大容量メモリを搭載したマシンを使いコアを増やすことでどれだけ性能がスケールするのか、ノード

間通信の発生しないメモリ共有型サーバーにどれだけの優位性があるのか――というのが大きな

関心でしたが、検証結果は私たちの期待を上回るものでした。HPE Superdome Flexは192コアまでほとんど性能劣化なくスケールし、モデルが大規模になるほど直線的な性能向上を示しました」

と黒木氏は話す。

FullWAVEはオンメモリで解析を行うため、システムのメモリ容量とメモリバンド幅が解析性能を大きく左右する。検証に使われたHPE Superdome Flexは、12TBメモリという巨大なメモリリソースをひとつのOSから利用できることが大きな優位性になる。また、16ソケット構成ならではの大きなメモリバンド幅を利用できることも、FullWAVEでの大規模解析に有効だ。

検証に使った解析モデルについて、岩井氏は次のように説明する。

「①基本モデル ②基本モデル比でメッシュサイズ1/10 ③同じく1/20 という3つのモデルを使い、最小リソースを8コアとして8コア単位で増やしていったときの性能の伸びを計測しました」

結果は、FullWAVEの並列解析性能の常識を変えるものだった。

「非常に興味深いのは、③のモデル の解析速度が最も直線に近い伸びを示したことです。これはHPE Superdome Flexのリソースに余力があり、さらに大規模なモデルで高い性能を発揮できる可能性が高いことを示しています」と岩井氏は話す。

サイバネットシステム株式会社 岩井 広成 氏 サイバネットシステム株式会社 黒木 雅之 氏

Page 4

Page 5: CAEソフトウェアFullWAVE™の並列解析性能の常識を変えた ......HPEは本プログラムの主力ベンダーの1社として参画し、HPE Superdome Flexに代表される

Page 5

ノード間通信が発生せず、筐体内でプロセスを完結できるHPE Superdome Flexでは、「複数のCAEアプリケーションを組み合わせる連成解析や、複数の解析シナリオを同時実行するような使い方でも

高い性能が期待できる」(岩井氏)という。

「検証に使用したモデルは、現時点でのお客様の要求からすると大規模なクラスです。一般的な1ソケットサーバーで10時間程度を要するこの解析処理を、HPE Superdome Flexではわずか50分で完了しました。このスコアには、お客様の設計開発プロセスを変えるほどのインパクトがあります」

(黒木氏)

HPE Superdome Flexによる検証は、チームの全員に最新のメモリ共有型システムのポテンシャルの高さを体感させた。

「ものづくりの現場では、『時間内に解析結果を得るために、精度は妥協せざるを得ない』という問題

が実際に起こっています。HPE Superdome Flexは、解析精度の向上と解析時間の短縮というお客様の切実な要求に対する、明確な解答となるはずです」と黒木氏は期待を示す。

オープンイノベーションの戦略拠点Nexcenter Lab™NTTコミュニケーションズが2019年3月に開設したNexcenter Lab™は、デジタルトランスフォーメーションとオープンイノベーションのための戦略拠点である。ユーザー企業は、世界最先端のテクノ

ロジー製品と、世界最高水準のデータセンターファシリティを活用してPoC(Proof of Concept)を実施できる。同社の小長谷一廣氏は次のように紹介する。

NTTコミュニケーションズ株式会社 内田 匡紀 氏 NTTコミュニケーションズ株式会社 小長谷 一廣 氏

13.0

11.0

9.0

7.0

5.0

3.0

1.00 50 100 150

# of Procs

相対速度(対

8コア)

200 250

OrgFineX1FineX2

◎FineX2(メッシュサイズ1/20)の性能の伸びが良好

◎より大規模のモデル・微細なメッシュで高性能が期待できる

◎一般的な1ソケットサーバーで10時間の処理を50分に短縮

検証機:Nexcenter Lab™に設置HPE Superdome Flexインテル® Xeon® Gold 6154 プロセッサー16CPU/288コア / 12TBメモリ(DDR4)

インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー搭載

Page 6: CAEソフトウェアFullWAVE™の並列解析性能の常識を変えた ......HPEは本プログラムの主力ベンダーの1社として参画し、HPE Superdome Flexに代表される

「HPCはNexcenter Lab™が最も注力するテーマのひとつです。巨大なデータを解析して成果を得るためのテクノロジーの進化には目覚しいものがありますが、ラボではHPEが提唱するメモリ主導型コンピューティング(MDC)の現在形であるHPE Superdome Flexをはじめ、世界最先端のプラットフォーム上で様々な検証を実施しています。さらに、お客様が迅速にビジネス化・サービス展開するた

めの環境や支援体制も整えています」

HPEは本プログラムの主力ベンダーの1社として参画し、HPE Superdome Flexに代表される“尖った”テクノロジー製品をPoC環境として利用可能にしている。最先端の技術検証を競うラボは、さながら世界最速を競うF1サーキットである。

「FullWAVEとHPE Superdome Flexの検証を通じて、最先端のテクノロジーを活用するチャレンジの意義を改めて認識しました。2年後3年後にあたりまえになってからでは意味がありません。

Nexcenter Lab™は、“尖った”お客様の要求に、“尖った”パートナーとともに最高の環境でお応えする

ことを目指していきます」と同社 内田匡紀氏は話す。

「ハードウェアとソフトウェアの両輪でテクノロジーの進化が加速しています。最先端テクノロジーの

有効性をお客様に体感していただくために、ぜひNexcenter Lab™とHPE Superdome Flexをご活用

いただきたいと思っています」(HPE 水越仁氏)

目の前にある「不可能を可能にする」テクノロジー

HPEは「メモリ主導型コンピューティング」への取り組みを推進し、システムの劇的な高速化を今すぐ手に入るテクノロジーで実現することを目指している。

「メモリ主導型コンピューティングのキーデバイスのひとつ光インターコネクトは、『Gen-Zコンソーシアム』において業界標準化に向けた取り組みが着実に進められています。シリコンフォトニクスの開発

を支えるFullWAVE、HPE Superdome Flex、それを採用するメモリ主導型コンピューティングは、まるで一本の線でつながっているかのようです」(HPE 日野創氏)

「HPE Superdome Flexは、業界最先端のデバイスにもいち早く対応しています。たとえばHPE Persistent Memory(Intel® Optane™ DCパーシステントメモリ)なら、コストを抑えながらより大容量のメモリをご活用いただけます」(HPE 白井氏)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 水越 仁 氏 日本ヒューレット・パッカード株式会社 日野 創 氏 日本ヒューレット・パッカード株式会社 白井 泰博 氏

サイバネットシステム

FullW

AVE™

日本ヒューレット・パッカード

HPE Superdome Flex

NTTコミュニケーションズNexcenter Lab™

Page 7: CAEソフトウェアFullWAVE™の並列解析性能の常識を変えた ......HPEは本プログラムの主力ベンダーの1社として参画し、HPE Superdome Flexに代表される

Business white paper Page 7

2020年初頭、サイバネットシステムは複数の事業部門を横断する営業本部・技術本部制を導入し、高度化する顧客企業の要求に迅速に応えるための体制を強化した。黒木氏が次のよう語って締めく

くった。

「今回の検証を通じて、お客様の『これまでにない高度な問題に取り組みたい』『複雑な問題を短期

間で解決したい』という高度な要求に応えるための、いわば“切り札”を手に入れることができました。

不可能を可能にするテクノロジーは、今まさに目の前にあります。私たちは、お客様のチャレンジの

数だけ、解決策をご提案していく決意で取り組みます。どうぞご期待ください」

詳しくはこちら

hpe.com/jp/superdome

(前列左より)

サイバネットシステム株式会社 CAE事業本部 CAE第2事業部 技術部 部長 黒木 雅之 氏サイバネットシステム株式会社 CAE事業本部 CAE第2事業部 技術部 スペシャリスト 岩井 広成 氏日本ヒューレット・パッカード株式会社 ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャー 日野 創 氏日本ヒューレット・パッカード株式会社 ハイブリッドIT事業統括 クラウドプラットフォーム統括本部 クラウドソリューション本部 ミッションクリティカルソリューション部 ITスペシャリスト 白井 泰博 氏(後列左より)

NTTコミュニケーションズ株式会社 クラウドサービス部 Nexcenter Lab Chef Global Account Manager 小長谷 一廣 氏NTTコミュニケーションズ株式会社 クラウドサービス部 Nexcenter Lab Global Account Manager 内田 匡紀 氏日本ヒューレット・パッカード株式会社 ハイブリッドIT事業統括 セールスエンジニア事業統括 インダストリー技術本部 第三技術部 エンタープライズアーキテクト 水越 仁 氏

サイバネットシステム株式会社

サイバネットシステム株式会社は、CAEのリーディングカンパニーとして、30年以上にわたり製造業の研究開発・設計関係部門、大学・政府

の研究機関等へ、ソフトウェア、教育サービス、

技術サポート、コンサルティングを提供している。

また ICT分野では、最新のセキュリティソリューションのみならず、企業のセキュリティ向上に欠

かせない IT資産管理ツールや IT運用管理ツールを提供。近年では、IoTやデジタルツイン、ビッグデータ分析、AI領域で、当社の得意とするCAEやAR/VR技術と組み合わせたソリューションの提案にも力を入れている。

Page 8: CAEソフトウェアFullWAVE™の並列解析性能の常識を変えた ......HPEは本プログラムの主力ベンダーの1社として参画し、HPE Superdome Flexに代表される

© Copyright 2020 Hewlett Packard Enterprise Development LP

Intel、インテル、Intel ロゴ、Ultrabook、Celeron、Celeron Inside、Core Inside、Intel Atom、Intel Atom Inside、Intel Core、Intel Inside、Intel Inside ロゴ、Intel vPro、Itanium、Itanium Inside、Pentium、Pentium Inside、vPro Inside、Xeon、Xeon Phi、Xeon Inside、Intel Optane は、アメリカ合衆国および / またはその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標です。本書の内容は、将来予告なく変更されることがあります。日本ヒューレット・パッカード製品およびサービスに対する保証については、当該製品およびサービスの保証規定書に記載されています。本書のいかなる内容も、新たな保証を追加するものでは

ありません。日本ヒューレット・パッカードは、本書中の技術的あるいは校正上の誤り、脱字に対して、責任を負いかねますのでご了承ください。記載されている会社名

および商品名は、各社の商標または登録商標です。

WHS15012-01 記載事項は個別に明記された場合を除き2020年2月現在のものです。

Chat

Call

Email

本カタログを共有する

その他のカタログを探す

カスタマー・インフォメーションセンター

0120-268-186(または03-5749-8279)

月曜日~金曜日 9:00~19:00(土曜日、日曜日、祝日、年末年始、および5月1日お休み)

お問い合わせはこちら