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概 要 版
国立劇場等大規模改修基本計画
平成28年11月
目次
はじめに 1
【1】 施設概要 21.敷地概要 2
2.建物概要 3
【2】 建築計画 41.外部動線計画 4
2.施設構成計画 6
3.面積の検討 20
4.既存施設の改修計画 21
5.外構・植栽計画 22
6.外観計画 24
【3】 構造計画 26
【4】 機械設備計画 27
【5】 電気設備計画 28
【6】 舞台設備計画 30
【7】 今後の課題 34
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はじめに
1
独立行政法人日本芸術文化振興会(以下「振興会」という。)は、平成26年7月に、国立劇場等大規模改修基本構想を策定し、以下の5つの基本方針とともに、既存建物の利活用や動線計画等の改修方針及び今後のスケジュールを定めた。
(1)広く開かれた劇場(2)ナショナルセンターとしての機能強化(3)多様化するニーズに応えるサービス(4)安全・安心で快適な劇場(5)伝承者養成の充実
この基本構想に基づき、振興会評議員会、国立劇場等大規模改修懇談会等における外部有識者の意見を踏まえ、振興会内に設置されている国立劇場等大規模改修推進委員会及び各分野の検討部会とのヒアリングを重ね、現状の課題や要望を整理し、建築、構造、機械設備、電気設備及び舞台設備等についての整備の基本的な方策として国立劇場等大規模改修基本計画を平成27年4月にとりまとめた。
基本計画で明確となった課題について具体的な検討を進めてきたが、事業費を削減するために基本計画の一部見直しを行うこととした。見直しの結果、地下階数を4層から3層に減らし、必要な機能の配置に支障となる伝統芸能情報館を解体することで、事業費の縮減を図る計画に至った。併せて、伝統芸能情報館に計画していた機能を本館西側増築棟に集約することで運営の効率化や楽屋関連機能の改善を図った。
今後はこの基本計画に基づき、基本設計、実施設計に向けた個別具体的な課題について検討する。
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【1】施設概要
1.敷地概要
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2.建物概要
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【2】建築計画
1.外部動線計画
外部動線は、以下の通り、現状の問題点を踏まえ、来場者、出演者、関係者等の目的別に動線を整理するとともに、歩行者動線と車両動線を分離する計画とする。
【現状の問題点】
◯国立劇場本館(以下「本館」という。)西側において、伝統芸能情報館(以下「情報館」という。)及び国立演芸資料館(以下「演芸場」という。)の来場者動線、大・小劇場及び演芸場の出演者動線、管理運営動線並びに搬入動線が交錯している。 ◯本館北側敷地内通路が、国道20号線と区道169号線との間の通り抜け車両の動線となっている。 ◯本館北側敷地内通路において、歩行者動線と車両動線が交錯している。特にプラットホーム付近では、駐車場利用者の動線、事務棟の管理運営動線、搬入車両動線及び通り抜け車両の動線が交錯している。 ◯地下荷さばき場のスロープの勾配が急なため、大型車両による搬入に支障がある。 ◯半蔵門駅及び永田町駅からの歩行者動線に劇場らしい雰囲気が乏しい。
【動線計画の概要】
◯敷地南側(最高裁側)に車両用通路を設け、出演者、管理運営及び搬入用の車両動線を集約することにより、動線の整理を図る。 ◯搬入用の車両は敷地南側の車両用通路から緩やかなスロープにより地下の荷さばき場にアクセスできるようにする。 ◯出演者用の車両は、敷地南側の車両用通路から本館西側の第一楽屋駐車場及び北側の第二楽屋駐車場にアクセスできるようにする。 ◯本館西側及び北側を歩行者通路(ただし、消防車等緊急車両は通行可能。)とすることにより、歩車分離を図り、半蔵門駅及び永田町駅からの来場者が敷地内において安全に施設にアクセスできるようにする。 ◯第二駐車場西側部分に劇場らしい雰囲気のあるアプローチを設け、半蔵門駅からの来場者が劇場に来たことによる心の高揚を感じながら、最短距離で施設にアクセスできるようにする。
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6
2.施設構成計画
ゾーニングの考え方本館光庭から東側の大・小劇場部分及び事務棟は全面改修し、その他の既存建物は解体する。本館光庭の西側及び本館北側に新たな棟を増築し、求められる諸室を配置する。
【舞台ゾーン】 ◯大・小劇場は既存の構造を活用するため、現状と同じ配置とする。 ◯楽屋は大・小劇場及び演芸場に近接して配置し、室数を増やす。 ◯大道具製作室は、公演中の作業を可能とするため、本館西側増築棟地下2階に増設する。 ◯大道具倉庫は、収納スペースの狭隘化を解消するため、本館西側増築棟地下2階に増設する。 ◯稽古場は、舞台への振動・音漏れを防ぐため、地下3階に集約する。 ◯演芸場は、大・小劇場との一体的な運用を考慮して、本館西側増築棟の北側低層階に配置する。
【観客ゾーン】 ◯大・小劇場部分は既存の構造を活用するため、基本的には現状と同じ配置とする。 ◯演芸場部分は、伝統芸能体験広場(仮称)(以下「体験広場」という。)ゾーンとの一体的な運用に配慮して計画する。
【養成研修ゾーン】 ◯分散している養成研修関係諸室は、原則として本館西側増築棟3階に集約する。 ◯階高が必要な養成研修関係諸室は、稽古場との効率的な運用が可能となるよう、本館西側増築棟地下3階に配置する。
【調査・資料ゾーン】 ◯専門的な図書の閲覧や映像資料の視聴等の機能は、本館西側増築棟4階に配置する。
【収蔵ゾーン】 ◯収蔵スペースの分散化を解消し、今後の収蔵資料の増加に備えるため、本館西側増築棟4階・5階に収蔵スペースを配置する。 ◯体験広場ゾーンの展示資料を収蔵するため、本館北側増築棟地下2階に収蔵スペースを配置する。
【事務・管理ゾーン】 ◯分散している執務室は本館西側増築棟に集約する。
【施設・設備ゾーン】 ◯施設全体の設備室は、本館西側増築棟地下2階・3階に設け、機械・電気設備の設置に必要な諸室を効率よく配置する。
【体験広場ゾーン】 ◯体験広場は、本館北側増築棟、現事務棟及び本館の一部に配置する。 ◯体験広場は、大・小劇場及び演芸場へのアクセスの拠点とし、劇場全体の賑わいや祝祭性を演出する空間とする。
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7
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8
地下3階
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9
地下2階
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10
地下1階
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11
1階
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12
2階
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13
3階
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14
4階
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15
5階
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6階
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7階
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18
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20
■改修面積比較表
Ⅰ Ⅱ
既存床面積
計画床面積
1 舞台 舞 台 4,080 4,150
楽 屋 1,590 2,190
大道具 3,190 3,710
稽古場 560 1,220
(㎡) 9,420 11,270
2 観客 (㎡) 7,690 6,510
3 養成研修 (㎡) 860 1,310
4 調査・資料 (㎡) 1,230 580
5 収蔵 (㎡) 990 1,640
6 事務・管理 (㎡) 5,190 5,680
7 施設・設備 (㎡) 2,880 4,410
8 体験広場 (㎡) 0 4,600
9 共用 (㎡) 7,300 12,550
計 (㎡) 35,560 48,550
← チケット売場、売店、レストラン等を体験広場へ移している。
← 展示スペース、レクチャー室等を体験広場へ移している。
3.面積の検討
既存床面積と計画床面積の面積比較表を下記に示す。
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21
4.既存施設の改修計画
基本方針
既存施設の改修については、基本的に現在の構造を活用し、法令上の既存不適格の解消及び安全・安心で快適な劇場とするために求められる機能の充実を図る。
【バリアフリー改修】
◯床の段差等はスロープにより改修し、必要に応じて手摺を設置する。 ◯エレベーターを適切に設置する。 ◯多目的トイレの充実を図る。
【既存不適格改修】
◯大・小劇場の客席と舞台の防火排煙区画を適切な設備で形成する。 ◯大劇場ロビーの吹き抜けに防火排煙区画を適切な設備で形成する。 ◯エレベーター及びエスカレーターの耐震化を行う。 ◯大・小劇場の客席通路幅を改修する。 ◯大劇場2階及び3階客席部の階段構造を改修する。 ◯客席・ロビー等の大空間の天井脱落防止対策を行う。
【災害対策改修】
◯施設の耐震診断を行い、必要に応じて補強し、耐震性を確保する。 ◯事故及び災害に際し中核業務を継続するためのBCP(Business Continuity Plan =事業継続計画)対策を行う。
【アメニティー改修】
◯幕間時に特に混雑する女子トイレの現状を解消するため、女子トイレを増設するとともに設備の充実を図り快適な空間とする。 ◯レストラン・売店等は、来場者の様々なニーズを踏まえた計画とする。 ◯大劇場ロビーに3階までのエスカレーターを設置する。 ◯大・小劇場の客席は、幅や前後間隔、配列、勾配等を見直し、観劇環境の向上を図る。 ◯本館1階ピロティ部分は、ガラス張り等により天候に影響されない快適な屋内空間とする。 ◯本館正面玄関には庇を設け、車寄せ機能の充実を図る。
【その他】
◯施設の機械・電気設備については、省エネルギーや維持管理を考慮し、最新の機器・配線・配管に全面更新する。 ◯舞台設備については、国立劇場の伝統的な舞台技術を継承しながら、新しい技術に対応できる舞台設備に全面更新する。
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5.外構・植栽計画
【敷地内歩道計画】
◯敷地内では、来場者が安心して無理なく歩行できるようバリアフリーに配慮する。 ◯来場者が、観劇の高揚と余韻を感じられるよう計画する。 ◯来場者が、目的の施設に迷わずアクセスできるよう計画する。
【植栽計画】
◯既存の樹木を可能な限り活用した計画とする。 ◯前庭にある駿河桜や駿河小町等の記念樹は保存する。 ◯建物と調和を図りながら、伝統芸能を上演する劇場に相応しい、美しい日本の四季を感じられる計画とする。 ◯来場者の憩いの場としての機能を備える。 ◯本館東面の視認性に配慮する。
【駐車場計画】
◯車いす使用者や高齢者等が利用しやすい駐車スペースを確保する。 ◯来場者用駐車場は、およそ80台程度を計画し、その他に大型バス等の駐車にも配慮する。 ◯出演者用駐車場は、来場者用駐車場とは別に本館西側と北側に配置する。 ◯本館西側増築棟地下には、業務用駐車場と荷さばき場を配置する。
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6.外観計画
外観計画の考え方
本施設は、DOCOMOMO Japan(平成15年)に選定された日本を代表する近代建築の一つであり、最上部の大庇と校倉造りのデザインが特徴となっている。これら水平線を強調したデザインは、日本の伝統的建築が有する最も特徴的な要素であり、伝統芸能を上演する国立劇場にふさわしいものである。また、本施設は建築業会賞(昭和43年)とBELCA賞ロングライフ・ビルディング部門
(平成6年)を受賞し、公共建築百選(平成10年)にも選定されている。よって東面の大庇、校倉造りのデザイン及びシンメトリー性は、改修後も継承するものとし、増築部分に関しては、これら本館の重要なデザインモチーフとの調和を図る。
本計画では校倉造りのデザインを継承する外観を提案し、今後の検討の一助とする。
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■計画 模型写真
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【3】構造計画
1.構造計画の整備概要
基本方針
建築基準法における構造の規定は、本館開場以来多くの改定がなされてきた。本館については、昭和 41年に竣工した旧耐震基準の建物となっており、構造的に既存不適格となっている。今後、既存不適格の建物に対して、増築など構造的な改修を行う場合、建築基準法では、多くの制約を設けており、特定行政庁(東京都)と協議しながら、構造的な改修を計画する。
整備概要
(1)本館の増改築
◯大・小劇場部分は、既存の構造を活用するため、16通りから 19通りまでを減築し、既存建物と構造上分離し、増築棟を建設する。 ◯既存建物は、16通りの柱まで残す計画とするが、既存梁主筋の定着長さの確保及び既存基礎との干渉を考慮し、増築部分の柱位置を計画する。 ◯既存建物は、耐震補強されているが、減築することから改めて耐震診断を行い、結果によっては耐震補強を行う。 ◯減築に伴い 15通りの柱が長柱となるが、光庭(15~ 16通り間)を利用した補強で対応する。 ◯既存建物と増築棟の接する部分は原則として、高さの1/50以上の隙間を確保する。
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【4】機械設備計画
1.機械設備計画の整備概要
基本方針
本施設の機械設備は、開場以来機器の更新や一部改良を繰り返し運用されてきたが、現在は来場者からの要望が高くなっていることから全面的に更新する。
整備概要
(1)熱源設備
◯熱源システムは冷温水による中央熱源方式とする。また、一部使用時間帯や年間冷房等空調条件が異なる部分については、個別熱源方式を採用する。 ◯熱源システムは、夏季冬季の切替が容易となるよう、冷熱源機器、温熱源機器を分ける。
(2)空調設備
◯大・小劇場の客席は、建築工事にて床下にピットを設け、空調機を用いた床下吹き出しによる居住域空調とし、省エネルギー化を図る。 ◯舞台については、全空気システムの空調方式とし、舞台袖に給気及び還気ダクトを設置する。
(3)換気設備
◯外気を空調機に取り込んで換気を行う。また、空調機の還気にCO2センサーを設置し外気導入量制御を行うことにより、省エネルギー化を図る。
(4)自動制御設備
◯運転管理の一元化を図るため、BEMS(Building Energy Management System=ビルエネルギー管理システム)を採用することにより、各種光熱水費のランニングコストの低減を図る。
(5)上水給水設備
◯給水系統は上水系統・雑用水系統の2系統給水方式とし、雑用水系統には水源として雨水を利用することにより省資源化を図る。 ◯給水方式は受水槽+高架水槽方式とし、集中利用に対応する。
(6)給湯設備
◯劇場楽屋浴室用に、暖房熱源である無圧式温水ヒーターを利用した中央式給湯を行う。その他の部分は局所給湯方式とする。
(7)排水設備
◯汚水、雑排水は屋内分流とする。
(8)衛生器具設備
◯衛生器具は原則として節水型とする。
(9)雑用水給水設備
◯屋根の降雨水を地下ピット雑用水槽へ貯水し、劇場便所洗浄水として利用する。
(10)機械室配置
◯熱源室、各機械室は機器の更新が容易となるよう、搬入動線及びメンテナンススペースを確保する。
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【5】電気設備計画
1.電気設備計画の整備概要
基本方針
本施設の電気設備は、開場以来機器の更新や一部改良を繰り返し運用されている。しかし、使用形態の変化による設備要求の変更に対する対応や、老朽化対策を行う必要があり、下記の要領で計画する。
整備概要
【電力設備】
(1)受変電設備
◯高効率変圧器を採用することにより、省エネルギー化を図る。
(2)発電設備
◯非常用発電機:非常時の予備電源として非常用発電機を設ける。 ◯太陽光発電設備:増築棟屋上に太陽光発電装置を設けることにより、省エネルギー化を図る。
(3)蓄電池設備
◯非常照明及び受変電設備の制御・操作電源として蓄電池設備を設ける。
(4)幹線動力設備
◯施設内の動力制御盤、分電盤、舞台照明・音響設備等に電源供給を行う。
(5)電灯設備
◯LED器具を採用し、センサー制御等の照明制御技術により省エネルギー化を図る。 ◯劇場内の誘導灯・足元灯は運用にあわせて開演中消灯する計画とする。
(6)コンセント設備
◯館内必要各所にコンセントを設置する。 ◯コンセントは原則接地付きとし、安全性に配慮する。
(7)接地設備
◯電気設備の安全性、機能性を高め、等電位を図るため統合接地方式を採用する。
(8)雷保護設備
◯保護方式は、新JIS基準により回転球体法(保護レベルⅣ)とし、建物を雷撃から保護する。
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29
【通信設備】
(1)構内交換設備
◯常用の通信設備はPHS等の移動通信媒体を原則とし、受付業務を行う場所など、固定電話が必要となる箇所に、用途に合わせた多機能電話又は一般電話機を設置する。 ◯携帯電話対応として、館内全域に携帯電話会社の不感知対策配線の敷設が可能なように、配線経路等を確保する。
(2)構内情報通信網設備
◯必要となる各種のネットワーク機器の設置スペース、配線経路を確保する。
(3)拡声設備
◯館内の業務放送及び非常時の放送設備を計画する。
(4)時計設備
◯電波式時計とすることにより、移動や追加等を容易とする。
(5)呼出設備(トイレ呼出設備)
◯多目的トイレに、非常時の呼び出し設備を計画する。
(6)呼出設備(インターホン設備)
◯総合案内や運用上必要となる用途に合わせ、各種インターホン設備を計画する。
(7)テレビ共聴設備
◯屋上にアンテナ(地上波デジタル)を設置し、必要各所にテレビ用アウトレットを設ける。また、大・小劇場及び演芸場の舞台、客席の映像を自主放送できる設備とする。
(8)入退室管理設備
◯入退室管理設備:安全性、管理性を考慮した、出入口管理システムを構築する。 ◯機械警備用配管設備:閉館時の侵入警戒のための機械警備が導入できるよう計画する。
(9)監視カメラ設備
◯全館監視設備:施設のセキュリティーを高めるため、主として共用部に監視カメラ設備を計画する。 ◯劇場運営用カメラ設備:舞台の運営をサポートすることを目的に劇場毎にローカル監視カメラ設備を計画する。
(10)誘導支援設備
◯主な出入口や多目的トイレに音声誘導設備を計画する。
(11)自動火災報知設備
◯防災センターを設け、自動火災報知設備による館内の火災監視等を行う。
(12)中継設備
◯中継車対応として持ち込み用カメラから中継車までの仮設ケーブルルートを想定し、ケーブル通線口、通線扉を計画する。
(13)公演記録設備
◯伝統芸能の公演の記録に相応しい、映像・音声収録の設備を計画する。 ◯各劇場間の回線網については長距離伝送を考慮するよう計画する。
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【6】舞台設備計画
基本方針
1.舞台設備の整備概要
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31
整備概要
【舞台機構設備】
(1)大劇場1)吊物機構
◯緞帳、照明ブリッジ及び道具バトン等の吊物機構は既設の配置を基本とする。 ◯駆動方式は天井部巻き取り方式とし、エンコーダー及びインバーター回路によるスムーズで動作音の少ない吊物機構を計画する。 ◯宙乗り機構はワイヤー式やレール式などの方式を検討する。また、宙乗りの鳥屋口を客席上部天井内部に設置し、演出効果を高める計画とする。
2)床機構等
◯廻り舞台、迫り機構等の床機構は既設の配置を基本とする。 ◯駆動方式はメモリー設定機能を高め、エンコーダー及びインバーター回路によるスムーズで動作音の少ない床機構を計画する。 ◯花道、仮花道及び張り出し舞台機構は客席設置作業の安全性も考慮し計画する。 ◯舞台上の出演者等の動線は安全を最優先し計画する。
(2)小劇場1)吊物機構
◯緞帳、照明ブリッジ及び道具バトン等の吊物機構は既設の配置を基本とする。 ◯駆動方式は天井部巻き取り方式とし、エンコーダー及びインバーター回路によるスムーズで動作音の少ない吊物機構を計画する。
2)床機構等
◯廻り舞台、迫り機構等の床機構は既設の配置を基本とする。 ◯廻り舞台回転機構はセンターシャフト方式を改め、大劇場と同じ車輪・レール方式で検討する。 ◯文楽舟底機構は電動式を計画する。 ◯駆動方式はメモリー設定機能を高め、エンコーダー及びインバーター回路によるスムーズで動作音の少ない床機構を計画する。 ◯花道及び出語り床機構は客席設置作業の安全性を考慮して計画する。 ◯舞台上の出演者等の動線は安全性を最優先し計画する。
(3)演芸場1)吊物機構等
◯照明ブリッジ及び道具バトンは単独吊物機構とする。 ◯駆動方式は天井部巻き取り方式とし、エンコーダー及びインバーター回路によるスムーズで動作音の少ない吊物機構を計画する。 ◯緞帳の後方に人力で操作可能な引き割り幕を計画する。 ◯舞台機構操作設備は自由度の高い移動型操作卓を計画する。 ◯舞台上の出演者等の動線は安全性を最優先し計画する。
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32
【舞台照明設備】
(1)大劇場1)調光操作卓等
◯歌舞伎及び伝統芸能公演照明業務の実績を基本とし、最新のデジタルネットワーク制御機能にも対応した操作卓を計画する。 ◯舞台、投光室及び照明ブリッジにデジタル制御対応の設備を計画する。 ◯吊り込み器具の落下防止及び高所作業への安全対策を計画する。 ◯投光室と舞台との位置関係を調査し、投光量不足のない設備を計画する。 ◯宙乗り演出、客席仮設舞台などへの照明効果にも充分対応できる設備を計画する。 ◯演出効果を妨げない範囲で、LEDなどの省電力機器を導入し環境問題に配慮した計画とする。 ◯ファン騒音が少ない投光器具類を採用する計画とする。 ◯操作及び機器の動作記録を保存・再現できるシステムを計画する。
(2)小劇場1)調光操作卓等
◯文楽及び伝統芸能公演照明業務の実績を基本とし、最新のデジタルネットワーク制御機能にも対応した操作卓を計画する。 ◯舞台、投光室及び照明ブリッジにデジタル制御対応の設備を計画する。 ◯吊り込み器具の落下防止及び高所作業への安全対策を計画する。 ◯投光室と舞台との位置関係を調査し、投光量不足のない設備を計画する。 ◯客席仮設舞台などへの照明効果にも充分対応できる設備を計画する。 ◯演出効果を妨げない範囲で、LEDなどの省電力機器を導入し環境問題に配慮した計画とする。 ◯ファン騒音が少ない投光器具類を採用する計画とする。 ◯操作及び機器の動作記録を保存・再現できるシステムを計画する。
(3)演芸場1)調光操作卓等
◯演芸及び伝統芸能公演照明業務の実績を基本とし、最新のデジタルネットワーク制御機能にも対応した操作卓を計画する。 ◯舞台、投光室及び照明ブリッジにデジタル制御対応の設備を計画する。 ◯吊り込み器具の落下防止及び高所作業への安全対策を計画する。 ◯フロントサイドやシーリングライト等の投光角度に配慮した計画とする。 ◯プロセニアムボーダーライトの新設を計画する。 ◯LED照明の導入を積極的に計画する。 ◯操作及び機器の動作記録を保存・再現できるシステムを計画する。
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33
【舞台音響設備】
(1)大劇場1)音響操作卓等
◯歌舞伎及び伝統芸能公演音響業務の実績から、生音を基本とする国立劇場の音響理念を踏襲しつつ、多様化する様々なニーズに対応できる最新の音響設備を計画する。 ◯システムに係る回線及び電源部を二重化した計画とする。 ◯携帯電話等の外部通信機器からの電波を遮蔽する設備を計画する。 ◯大劇場専用のアナウンス設備を計画する。
(2)小劇場1)音響操作卓等
◯文楽及び伝統芸能公演音響業務の実績から、生音を基本とする国立劇場の音響理念を踏襲しつつ、多様化する様々なニーズに対応できる最新の音響設備を計画する。 ◯システムに係る回線及び電源部を二重化した計画とする。 ◯携帯電話等の外部通信機器からの電波を遮蔽する設備を計画する。 ◯小劇場専用のアナウンス設備を計画する。
(3)演芸場1)音響操作卓等
◯演芸場音響業務の実績から、演芸を基本とする様々なプログラムに対応できるとともに、多様化する様々なニーズに対応できる最新の音響設備を計画する。 ◯緊急な要望に対し簡易操作卓を舞台袖に設置する計画とする。 ◯システムに係る回線及び電源部を二重化した計画とする。 ◯携帯電話等の外部通信機器からの電波を遮蔽する設備を計画する。 ◯演芸場専用のアナウンス設備を計画する。
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34
【7】今後の課題
1.今後の課題
国立劇場等大規模改修事業を実現させるためには、関係諸官庁等との協議を行いながら、下記に示すように、多くの課題を解決していく必要がある。
【課 題】
1.建物の現状調査 ◯既存躯体調査 ◯耐震性調査 ◯劣化度調査 ◯建物実測調査
2.関係諸官庁等との協議 ◯国土交通省(都市計画) ◯東京都(都市計画、確認申請等) ◯千代田区(動線計画)
3.基本計画の詳細検討 ◯客席の配置 ◯桟敷席、幕見席、親子観覧室の設置 ◯外観デザインの検討 ◯外構・植栽計画の検討 ◯その他
4.体験広場等の運営方法の検討
国立劇場等大規模改修基本計画書(概要版).indd 34 2017/02/01 10:32
独立行政法人日本芸術文化振興会国立劇場等大規模改修推進本部
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