Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
灸 療 法 かまくらげんき動物病院 相澤 まな
2018/2/11
国際中獣医学院日本校
本日の目標
•針灸の’灸’を確認
•灸の原材料について知る
•灸療法についての基礎
•家畜の灸療法
•ペットの温灸療法
•灸療法の実際
•もぐさ作りをする
•灸、温灸体験をする
まずはじめに、灸といったら。
•思い出ありませんか?
•イメージはいかがですか?
•灸といったら、俳聖松尾芭蕉 奥の細道序章
「笠の緒つけかえて、三里に灸すゆるより
松島の月先ず心にかかりて、、、」
旅にそなえて体調を整えるために灸を行ったことが知られています。
針灸の灸
•灸の字の成り立ち
•久+火=灸
•針と灸、針療法は針を使い灸療法は艾をつかう
•陰と陽の関係
•針師、灸師
灸の原材料
•灸に使用するモグサはヨモギから作られる。
•四方草、善萌木、善燃義など名の由来は諸説
• moxa+combustion=moxibustion
もぐさ 燃焼 灸
•鍼灸=Acupuncture&Moxibustion
モグサについて
•ヨモギの葉の裏の腺毛を集めて精製したもの
•精製度合いと熟成年数により価格が大幅に異なる
•伊吹山産、新潟県産
•元々、もぐさは厄払いに用いられていた
•痔の治療の燻蒸法、皮膚にのせて燃やすようになり灸療法をして発展
モグサについて
•ヨモギの生薬名は艾葉(がいよう)
•散寒薬に分類
•煎じて胃腸疾患、
•浴用で肩こり、腰痛
•草餅、ヨモギ蒸し、外用で傷薬など様々な用途と効能効果がある
•艾精油成分、シネオール、αツヨン、
セキステルペン など
簡易ヨモギ蒸しヨモギの足湯
灸の効能
•モグサで灸をする事により温熱刺激による血流改善効果、止血作用、免疫活性作用とヨモギの精油成分が体内に浸透し薬効を示すと考えられている
灸療法について
• 二千年以上前の中国で成立
• 王族の繁栄のために発展し、後に一般庶民にも普及していった。
• 日本には中国から仏教とともに伝来
• 明治政府による医療の分類が行われるまで、1000年間、漢方とともに日本の医療を支えていた。
灸療法について
•種類
•直接灸
有痕灸 灸のすえ跡を残す
無痕灸 灸のすえ跡を残さない
•間接灸
隔物灸 皮膚ともぐさの間に物を挟む
温灸 棒灸、温灸器、遠赤外線など
有痕灸 ゆうこんきゅう •皮膚に跡が残る方法
•透熱灸 (とうねつきゅう)一般的な灸法
•焦灼灸(しょうしゃくきゅう)イボを焼き切る
•打膿灸(だのうきゅう)灸痕の化膿を促す
無痕灸 むこんきゅう •皮膚に跡が残らない
•知熱灸(ちねつきゅう)
もぐさを燃やし熱を感じたら除去
もぐさの大きさは様々
親指の爪大、米粒大、七分灸など
隔物灸 かくぶつきゅう
•皮膚の上に紙、ショウガ、ニンニク、塩、味噌などを置き、その上にもぐさをのせて燃焼させる方法
•インスタント灸(せんねん灸、台座灸)
•大動物ではよく行われている
温灸
•皮膚から離れた所でもぐさを燃焼
•輻射熱がツボや患部を温熱刺激
•台座灸、棒灸、箱灸、温灸器
•中国ではお灸といったら棒灸が主流
温灸
温灸
びわの葉温灸
•びわの葉にはアミグダリンが含まれている
•びわの葉をアルコールにつけて抽出した物がびわの葉エキス
•葉が常に手に入らないもしくは良好な葉が手に入らないときエキスが重宝される
びわの葉温灸
びわの葉温灸
棒灸の操作法
•中国では主たる灸療法は棒灸である
•棒灸のことは、艾条灸とよばれている。
•温和灸法(おんわ)心地よい箇所を5-10分薫灸
•雀啄灸法(じゃくたく)経穴上を上下させ雀が啄むように揺り動かす。 火力はやや強めに。急性症状に使用される灸法。
•回旋灸法(かいせん)皮膚から3センチの所をまわしながらおこなう。
家畜の灸療法
• 牛の一年一産を助ける
• 豚の不妊、下痢、感冒
• コストがかからず生産量があがる。
• ホルモン注射に頼らなくていい
• 本来もっている自然の回復力を高める
• 保坂虎重先生が推進
牛への灸の適応症
•繁殖障害
•消化器障害
•泌尿器障害
•(元気がなく起立困難なとき)
•乳牛の乳量が減ったとき
牛への灸の不適応症
•骨折
•創傷
•脊髄変形
•脂肪壊死症
•子宮脱
•創傷性胃炎
•悪性腫瘍
•衰弱が激しいときは行わない
家畜への灸の効果
•自律神経調整作用
•神経麻痺の解除、緩和
•後躯部の鎮痛、消炎
•新陳代謝の促進
•ホルモンバランスの調整
•二重調整作用
•転用作用
牛への灸の実際
牛への灸の実際
牛への灸の実際
牛の9か所の灸穴位
•天平
•後丹田
•腎門
•安腎
•百会
•帰尾、尾帰
•尾根部
•天平の前の予備穴
牛の9か所の灸穴位の主治
•天平 急性胃腸炎、尿閉、性器萎縮、前胃アトニー
•後丹田 消化不良、第一胃臌脹、腰部リウマチ
•腎門 腎炎、膀胱炎、尿閉、下痢
•安腎 下痢、腰部捻挫、リウマチ、前胃アトニー
•百会 便秘、下痢、膣脱、直腸脱
•帰尾、尾帰 リウマチ、背腰部挫傷、
•尾根部 便秘、下痢、膣脱、直腸脱
豚への灸療法
•繁殖障害改善
•感冒
•胃腸障害
豚への灸
感冒の灸穴位
•大椎
•三台(さんたい)
•百会
•蘇気(そき)
•肺兪
繁殖障害の灸穴位
•開風(かいふう)
•腎兪(じんゆ)
•卵巣兪(らんそうゆ)
•六眼(ろくがん)
•交巣(こうそう)
•陽明(ようめい)
•百会
胃腸障害の灸穴位
•膻中(だんちゅう)
•三脘(さんいん)
•肚口(とこう)
•大椎
•曲池
参考図書
犬猫の灸療法
•被毛を焦がさないように!!
•家庭で簡便に
•毎日実践してもらう
•鍼治療の補助および効果増強を目的に
•飼い主さんも温灸で楽しみながら行ってもらう
犬猫のつぼ
•身柱(GV12)
•腎兪(BL23)
•命門(GV4)
•百会
犬猫のつぼ
•巨闕(CV14)
•関元(CV4)
犬猫のつぼ
•足三里(ST36)
症状別つぼ
•椎間板疾患
•百会
•腎兪(BL23)
•命門(GV4)
•胃腸疾患
•関元(CV4)
•足三里(ST36)
ペットの灸療法の実際 中国上海
ペットの灸療法の実際
ペットの灸療法の実際 韓国ソウル
ペットの灸療法の実際
•針治療、水針治療
•韓国灸
•腎兪、命門、百会、膀胱兪など督脈膀胱経
ペットの灸療法の実際
韓国灸
休憩
実習 モグサ作り
•目的
•モグサはどのようにつくられるのか知る
•精製度の差を体感する
•モグサをより身近に感じる
実習 モグサ作り
•茎をとった乾燥ヨモギをすり鉢でする。
•荒めのふるいにかけで葉の成分を除去する。
•腺毛(モグサ)が主体になるまで繰り返す。
ヨモギ摘み、乾燥、熱乾燥
粉砕、臼仕込み(すり鉢で)
分離、精選
灸体験 ご自身に
•女性におすすめ→三陰交(SP6)
内踝から指4本分、骨の際
•男性におすすめ→足三里(ST36)
膝外側の下、指4本分の所
•子供におすすめ→身柱(GV12)
第③、④胸椎棘突起間
•ご老人におすすめ→関元(CV4)
お臍の下、指4本分の所
灸体験
•合谷(LI4)に灸
•効能:頭痛、歯痛、肩こり等痛み止めのツボ
探し方
•中手指節関節の側面から手根部に向かってそっとなでていくと、ふとへこむ部位が合谷(LI4)
灸体験
•三陰交(SP6)に灸
•女性のツボで有名
•月経不順、生理痛、下腹部の不調に
•骨盤内の血流を良くする
•冷えにおすすめ
探し方
•小指の先端を内踝上におき脛骨にそって指四本分上。
•その付近のへこむ部位が三陰交(SP6)
灸体験
•神門(HT7)に灸
•心臓疾患、不安、イライラ、精神的ストレスによる症状緩和に
探し方
•手掌面の手首の小指側の豆状骨(トウジョウコツ)の親指側。
•手首のしわを親指側から小指側に向って撫でたとき止る場所が神門(HT7)
灸の使いかた
•台座の底のシールをはがす
•指につけ、必ずライターの炎を縦にして点火
•ツボにすえる
•取り扱いは台座を持って行う
•熱さを感じたら台座をもって外す
棒灸の使い方
棒灸の使い方
棒灸の使い方
温灸体験
温灸体験
まとめ
•もぐさとは、ヨモギの葉の裏の腺毛の精製物
•灸療法は、血行をよくする働きがある
•灸療法は、中国では皇帝の不老不死にも用いられていた。日本では奈良時代からあり広く一般に浸透している
•家畜では日常的に健康管理で行われている
•ペットには主に棒灸をもちいて鍼治療と組み合わせておこなうとよい