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租税特別措置法等(法人税関係)の改正目 次
第一 税額控除関係���������� 358一 エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(環境関連投資促進税制)��������������� 358二 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(創設)��������� 359三 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除制度���������� 376四 国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度��������� 379五 地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(改正後:地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度)����������� 382六 特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)(改正後:地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度)�� 387七 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(所得拡大促進税制)(改正後:給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除制度)��������� 402八 革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(創設)����������� 458
九 法人税の額から控除される特別控除額の特例�������������� 471十 その他の税額控除制度������� 481
第二 特別償却関係���������� 489一 特定設備等の特別償却制度����� 489二 耐震基準適合建物等の特別償却制度������������������� 497三 特定地域における電気通信設備の特別償却制度������������� 499四 情報流通円滑化設備の特別償却制度(創設)��������������� 500五 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度������������� 506六 次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の次世代育成支援対策資産の割増償却制度�������� 507七 企業主導型保育施設用資産の割増償却制度(創設)����������� 508八 その他の特別償却制度������� 512
第三 準備金等関係���������� 512一 海外投資等損失準備金制度����� 512二 特定災害防止準備金制度������ 514三 農業経営基盤強化準備金制度���� 516四 農用地等を取得した場合の課税の特例����������������� 519五 その他の準備金制度�������� 519
第四 土地税制関係���������� 520一 収用等に伴い代替資産を取得した場合等の課税の特例���������� 520二 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例����������� 522三 収用換地等の場合の所得の特別控除(連結:収用換地等の場合の連結所得の特別控除)制度(5,000万円特別控
─�355�─
はじめに
平成30年度税制改正においては、働き方の多様化を踏まえ、様々な形で働く人をあまねく応援する等の観点から個人所得課税の見直しを行うとともに、デフレ脱却と経済再生に向け、賃上げ・生産性向上のための税制上の措置及び地域の中小企業の設備投資を促進するための税制上の措置を講ずることとされ、さらに、中小企業の代替わりを
促進する事業承継税制の拡充、観光促進のための税として国際観光旅客税の創設、国際課税制度の見直し、税務手続の電子化の推進やたばこ税の見直し等を行うこととされ、関係法令の改正が行われました。 このうち法人税関係(国際課税関係を除きます。)の租税特別措置法の改正では、所得拡大促進税制の改組、革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度、
除制度)�������������� 523四 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(2,000万円特別控除制度)�������������� 524五 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(1,500万円特別控除制度)��������������� 525六 農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(800万円特別控除制度)��� 528七 大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の場合等の課税の特例������� 530八 その他の土地税制��������� 531第五 その他の特別措置関係������ 532一 沖縄の認定法人の課税の特例(連結:連結法人である沖縄の認定法人の課税の特例)������������ 532二 国家戦略特別区域における指定法人の課税の特例(連結:国家戦略特別区域における連結法人である指定法人の
課税の特例)������������ 534三 特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例(連結:特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る連結所得の計算の特例)(創設)������������������� 535四 特定の医療法人の法人税率の特例(連結:特定の医療法人である連結親法人の法人税率の特例)������� 542五 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(連結:中小連結法人の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)������� 545六 電子情報処理組織による申告の特例(創設)��������������� 546七 その他の特別措置��������� 550第六 租特透明化法関係�������� 555適用額明細書の提出義務�������� 555第七 震災税特法関係��������� 556一 電子情報処理組織による申告の特例(創設)��������������� 556二 その他�������������� 559第八 沖縄復帰国税関係政令関係���� 563特定駐留軍用地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:連結法人が特定駐留軍用地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度������������� 563
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度、特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例等の創設が行われる一方で、環境関連投資促進税制の廃止等既存の租税特別措置の整理合理化が行われました。 また、納税環境の整備として行われた法人税及びその法人税に係る地方法人税の申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設に伴い、法人税等特例規定による添付書類に係る電子情報処理組織による申告の特例の創設が行われました。 本稿は、これらの改正の内容を解説するものです。 租税特別措置法等の改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律」は、去る 3月28日に参議院本会議で可決・成立し、同月31日に平成30年法律第 7号として公布され、関係政省令等も公布されています。 関係法令は、次のとおりです。(法律)○ 所得税法等の一部を改正する法律(平30. 3 .31法律第 7号)
(政令)○ 租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平30. 3 .31政令第145号)○ 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律施行令の一部を改正する政令(平30. 3 .31政令第147号)○ 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行令の一部を改正する政令(平30. 3 .31政令第148号)○ 沖縄の復帰に伴う国税関係法令の適用の特別措置等に関する政令の一部を改正する政令(平30. 3 .31政令第151号)
(省令)○ 租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令(平30. 3 .31財務省令第26号)○ 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平30. 3 .31財務省令第27号)○ 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律
の臨時特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平30. 3 .31財務省令第29号)○ 減価償却資産の耐用年数等に関する省令等の一部を改正する省令(平30. 3 .31財務省令第31号)○ 法人税法施行規則の一部を改正する省令(平30. 4 .13財務省令第35号)○ 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平30. 4 .13財務省令第37号)○ 租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平30. 6 . 6 財務省令第44号)
(告示)<エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(環境関連投資促進税制)関係>○ 租税特別措置法第10条の 2第 1項各号及び第42条の 5第 1項各号の規定の適用を受ける減価償却資産を指定する件を廃止する件(平30. 3 .31財務省告示第88号)<高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度関係>○ 租税特別措置法施行令第 5条の 4第 1項及び第27条の 5第 1項に規定する機械その他の減価償却資産でエネルギーの使用の合理化に資するものを定める件(平30. 3 .31経済産業省告示第67号)<特定設備等の特別償却制度関係>○ 租税特別措置法第11条第 1項及び第43条第 1項の規定の適用を受ける機械その他の減価償却資産及び期間を指定する件の一部を改正する件(平30. 3 .31財務省告示第89号)○ 租税特別措置法施行令第 5条の 8第 6項及び第28条第 6項の規定に基づき、租税特別措置法第11条第 1項の表の第 4号及び第43条第 1項の表の第 4号の規定の適用を受ける機械その他の減価償却資産を指定する件(平30. 3 .31経済産業省告示第69号)<次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の次世代育成支援対策資産の割増償却制度関係>
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
○ 平成27年厚生労働省告示第233号(租税特別措置法第13条の 2第 1項各号及び第46条の 2第1項各号の規定の適用を受ける建物、建物附属設備、車両及び運搬具並びに器具及び備品を指定する件)を廃止する件(平30. 3 .31厚生労働省告示第195号)
<特定の医療法人の法人税率の特例関係>○ 租税特別措置法施行令第39条の25第 1 項第 1号に規定する厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準の一部を改正する件(平30. 3 .26厚生労働省告示第133号)
第一 税額控除関係
一� エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(環境関連投資促進税制)
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人が、現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律(平成23年法律第82号)の施行の日(平成23年 6 月30日)から平成30年 3 月31日までの間にエネルギー環境負荷低減推進設備等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又はエネルギー環境負荷低減推進設備等の製作若しくは建設をして、これをその取得又は製作若しくは建設をした日から 1年以内に国内にあるその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、そのエネルギー環境負荷低減推進設備等の取得価額の30%相当額(以下「特別償却限度額」といいます。)の特別償却ができるというものです(措法42の 5 ①)。 また、中小企業者等については、その特別償却限度額の特別償却とそのエネルギー環境負荷低減推進設備等の取得価額の 7%相当額(以下「税額控除限度額」といいます。)の税額控除との選択適用ができることとされています(措法42の 5 ①②)。ただし、車両及び運搬具については、税額控除の適用を受けることはできません(措法42の5 ②)。 この税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当
額を上限とすることとし、税額控除限度超過額については、 1年間の繰越しができることとされています(措法42の 5 ②~④)。 ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用を受けることはできません(措法42の 5 ①~③)。(注 1) エネルギー環境負荷低減推進設備等とは、
次の減価償却資産をいいます(措法42の 5 ①、
措令27の 5 ①②、平23. 6 財務告219)。
① 新エネルギー利用設備等(太陽光発電設
備のうち認定発電設備に該当しないもの、
風力発電設備、中小水力発電設備、地熱発
電設備、下水熱利用設備及びバイオマス利
用装置)
② 二酸化炭素排出抑制設備等(コンバイン
ドサイクル発電ガスタービン、プラグイン
ハイブリッド自動車、エネルギー回生型ハ
イブリッド自動車及び電気自動車)(注 2) 中小企業者等とは、租税特別措置法第42条
の 4 第 3 項に規定する中小企業者又は農業協
同組合等で、青色申告書を提出するものをい
います(措法42の 5 ②)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の10)。
2 改正の内容
適用期限(平成30年 3 月31日)の到来をもって、
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
制度が廃止されました(旧措法42の 5 、旧措令27の 5 、旧措規20の 2 、旧平23. 6 財務告219)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(旧措法68の10、旧措令39の40、旧措規22の24)。(注) この制度の対象資産のうち新エネルギー利用
設備等の一部は、後述「第二 特別償却関係」
の「一 特定設備等の特別償却制度」のうち「再
生可能エネルギー発電設備等に係る措置」の対
象資産とされており、引き続き税制措置が講じ
られています。
3 適用関係
上記 2の改正は、法人が平成30年 4 月 1 日前に取得又は製作若しくは建設をしたエネルギー環境負荷低減推進設備等については、なお従前の例によることとされています(改正法附則89①)。この場合において、同日以後に改正前の制度におけ
る税額控除、繰越税額控除又は連結納税の承認を取り消された場合の取戻し課税の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法との調整規定については、税額控除及び繰越税額控除は研究開発税制において定められた調整規定を、取戻し課税は中小企業投資促進税制において定められた調整規定を、それぞれ準用することとされています(改正法附則89②⑤、改正措令附則21)。また、同日以後に改正前の制度における税額控除又は繰越税額控除の適用がある場合の外国子会社合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法66の 7 ⑨)及びコーポレート・インバージョン対策合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法66の 9 の 3 ⑨)の適用に係る所要の読替え規定が設けられています(改正法附則89③④)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則105、改正措令附則33)。
二� 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(創設)
1 制度創設の経緯及び趣旨
エネルギー基本計画(平成26年 4 月閣議決定)を踏まえ、中長期的な視点から、2030(平成42)年度のエネルギー需給構造の見通しを策定した「長期エネルギー需給見通し(平成27年 7 月経済産業省決定。以下「エネルギーミックス」といいます。)」においては、エネルギー需要について、「経済成長等によるエネルギー需要の増加を見込む中、徹底した省エネルギーの推進により、石油危機後並みの大幅なエネルギー効率の改善を見込む。」とされ、具体的には、「内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(平成27年 2 月)における経済再生ケース 3を参考に推計した経済成長率、国立社会保障・人口問題研究所による最新の人口推計(中位推計)、鉄鋼業等の活動量等を踏まえ、追加的な省エネ対策を実施する前の需要を推計した上で、産業部門、業務部門、家庭部門、運輸部
門において、技術的にも可能で現実的な省エネルギー対策として考えられ得る限りのものをそれぞれ積み上げ、最終エネルギー消費で5,030万 kl 程度の省エネルギーを実施することによって、2030(平成42)年度のエネルギー需要を326百万 kl 程度と見込む。」とされています。また、電力の需給構造については、「バランスの取れた電源構成とする必要があり、安全性、安定供給、経済効率性及び環境適合に関する政策目標を同時達成する中で、徹底した省エネルギー(節電)の推進、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の効率化等を進めつつ、原発依存度を可能な限り低減する」ことを基本方針とし、具体的には、「まず、経済成長や電化率の向上等による電力需要の増加を見込む中、徹底した省エネルギー(節電)の推進を行い、2030(平成42)年度時点の電力需要を2013(平成25)年度とほぼ同レベルまで抑えることを見込む。次に、重要な低炭素の国産エネルギ
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ー源である再生可能エネルギーについては、2013(平成25)年から 3 年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していくこととしており、我が国の自然条件等を踏まえつつ、各電源の個性に応じた再生可能エネルギーの最大限の導入を行う観点から、自然条件によらず安定的な運用が可能な地熱・水力・バイオマスにより原子力を置き換えることを見込む。(後略)」とされています。 このエネルギーミックスの実現のためには、①省エネルギー投資の促進によるエネルギー効率の改善及び②再生可能エネルギーの更なる導入の拡大を進めることが重要であると考えられるところ、①については特定事業者及び特定連鎖化事業者のうち、省エネ法の事業者クラス分け制度(資源エネルギー庁が行う省エネへの取組につき事業者をS・A・B・Cの 4段階にクラス分けをして評価する制度)において前年度及び前々年度の 2年度連続でSクラス評価を受けた事業者が行う大規模な省エネ投資の前倒し並びに事業者が連携して行う省エネ投資を促進する観点から下記 2の制度が創設されるとともに、②を促進する観点から後述「第二 特別償却関係」の「一 特定設備等の特別償却制度」に、「再生可能エネルギー発電設備等に係る措置」が追加されました。 なお、下記 2の制度の一部の適用の前提となる連携省エネルギー計画の認定制度及び荷主連携省エネルギー計画の認定制度の創設等を内容とする「エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律案」が、平成30年 2 月28日に閣議決定・国会提出がされ、同年 6月 6日に可決・成立し、法律第45号として公布されています。
2 制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人が、平成30年 4 月 1 日(次の⑵及び⑶に該当する法人にあっては、エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第45号)の施行の日)から平成32年 3 月31日までの間に、その法人の次の区分に応じそれぞれ次の減価
償却資産(以下「高度省エネルギー増進設備等」といいます。)の取得等をして、これを国内にあるその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その高度省エネルギー増進設備等の取得価額の30%相当額(以下「特別償却限度額」といいます。)の特別償却ができるというものです(措法42の 5 ①)。⑴ エネルギーの使用の合理化等に関する法律(以下「省エネ法」といいます。)の特定事業者又は特定連鎖化事業者(特定加盟者を含みます。)��主務大臣に提出された計画において設置するものとして記載されたエネルギーの使用の合理化のための機械その他の減価償却資産でエネルギーの使用の合理化に特に効果の高い一定のもの(その特定加盟者の計画に係るものにあっては、その特定加盟者が設置しているその特定連鎖化事業に係る工場等に係る一定のものに限ります。)⑵ 省エネ法の認定を受けた工場等を設置している者��その認定に係る連携省エネルギー計画に記載された連携省エネルギー措置の実施により取得等をされる機械その他の減価償却資産でエネルギーの使用の合理化に資する一定のもの⑶ 省エネ法の認定を受けた荷主��その認定に係る荷主連携省エネルギー計画に記載された荷主連携省エネルギー措置の実施により取得等をされる機械その他の減価償却資産でエネルギーの使用の合理化に資する一定のもの また、中小企業者等については、その特別償却限度額の特別償却とその高度省エネルギー増進設備等の取得価額の 7%相当額(以下「税額控除限度額」といいます。)の税額控除との選択適用ができることとされています(措法42の 5 ①②)が、この税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(措法42の 5 ②後段)。 ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用を受けることはできません(措法42の 5 ①②)。
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の10①②)。
3 制度の内容
⑴ 適用対象法人 適用対象となる法人は、青色申告書を提出する法人で、次の①から③までのいずれかに該当するものとされています(措法42の 5 ①)。① 省エネ法第 7条第 3項ただし書に規定する特定事業者(以下「特定事業者」といいます。)又は省エネ法第18条第 2 項ただし書に規定する特定連鎖化事業者(以下「特定連鎖化事業者」といいます。) すなわち、工場若しくは事務所その他の事業場(以下「工場等」といいます。)を設置している者のうち、その設置している全ての工場等におけるエネルギー(省エネ法第 2条第 1項に規定するエネルギーをいいます。以下同じです。)の年度の使用量の合計量が原油換算で1,500kl以上であり、省エネ法第 7条第 1項の規定により経済産業大臣にエネルギーの使用の合理化を特に推進する必要がある者として指定されたもの又は省エネ法第18条第 1項に規定する連鎖化事業(以下「連鎖化事業」といいます。)を行う者(以下「連鎖化事業者」といいます。)のうち、その連鎖化事業者が設置している全ての工場等及びその連鎖化事業の同項の加盟者が設置しているその連鎖化事業に係る全ての工場等におけるエネルギーの年度の使用量の合計量が一定以上であり、経済産業大臣にエネルギーの使用の合理化を特に推進する必要がある者として指定されたものです。なお、特定連鎖化事業者には、特定連鎖化事業者が行う連鎖化事業(以下「特定連鎖化事業」といいます。)の同条第 1項に規定する加盟者(以下「特定加盟者」といいます。)を含むこととされています。② 省エネ法第46条第 1項の認定を受けた同項の工場等を設置している者
すなわち、工場等を設置している者のうち、他の工場等を設置している者と連携して工場等におけるエネルギーの使用の合理化を推進するもので、その連携して行うエネルギーの使用の合理化のための措置(以下「連携省エネルギー措置」といいます。)に関する計画(以下「連携省エネルギー計画」といいます。)を作成し、これを経済産業大臣に提出して、その連携省エネルギー計画が適当である旨の認定を受けたものです。③ 省エネ法第117条第 1 項の認定を受けた同項の荷主 すなわち、荷主のうち、他の荷主と連携して貨物輸送事業者に行わせる貨物の輸送に係るエネルギーの使用の合理化を推進するもので、共同で、その連携して行うエネルギーの使用の合理化のための措置(以下「荷主連携省エネルギー措置」といいます。)に関する計画(以下「荷主連携省エネルギー計画」といいます。)を作成し、これを経済産業大臣に提出して、その荷主連携省エネルギー計画が適当である旨の認定を受けたものです。
(注) 関係法令については、下記の(参考 1)を
ご参照ください。
⑵ 適用期間 適用期間は、平成30年 4 月 1 日(上記⑴②及び③に該当する法人にあっては、エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第45号)の施行の日)から平成32年 3 月31日までの期間とされています(措法42の 5 ①②)。(注) エネルギーの使用の合理化等に関する法律
の一部を改正する法律(平成30年法律第45号)
の施行の日は、同法の公布の日(平成30年 6
月13日)から起算して 6 月を超えない範囲内
において政令で定める日とされており(省エ
ネ法改正法附則 1)、その政令は、今後定めら
れます。
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
⑶ 適用対象資産 適用対象となる資産は、適用対象法人の次の①から③までの区分に応じそれぞれ次の減価償却資産(以下「高度省エネルギー増進設備等」といいます。)とされています(措法42の 5 ①)。① 上記⑴①に該当する法人��機械その他の減価償却資産で次の要件を満たすことにつき経済産業局長又は沖縄総合事務局長(以下「経済産業局長等」といいます。)が確認した旨を証する書類(以下「確認書」といいます。)及びその確認書に係る申請書の写しを保存することにより証明がされたものとされています(措法42の 5 ①一、措令27の 5 ①、措規20の 2 )。イ 特定事業者又は特定連鎖化事業者(特定加盟者を含みます。)であって、既に相当程度のエネルギーの使用の合理化を進めているものが取得又は製作若しくは建設(以下「取得等」といいます。)をするものであること。ロ 省エネ法第15条第 1項又は第26条第 1項の規定により主務大臣に提出されたエネルギーの使用の合理化の目標の達成のための中長期的な計画においてその合理化のために設置するものとして記載されたものであること。ハ エネルギーの使用の合理化に資するものとして経済産業大臣が財務大臣と協議して指定するものに該当すること。 上記の「経済産業大臣が財務大臣と協議して指定するもの」について、経済産業大臣は、その指定をしたときは告示することとされており(措令27の 5 ①④)、具体的には、機械及び装置、器具及び備品、建物附属設備並びに構築物であって、次のイからニまでの特定事業者又は特定連鎖化事業者(特定加盟者を含みます。)の区分に応じ次のイからニまでの設備又はシステムを構成するものとされています(平30. 3 経済産業告67)。
イ 特定事業者又は特定連鎖化事業者のうち、専ら事務所その他これに類する用途に供する工場等を設置しているもの��特定事業者又は特定連鎖化事業者のうち、専ら事務所その他これに類する用途に供する工場等を設置しているものによる中長期的な計画の作成のための指針(平22. 3 財務、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通告 1)の⑾に規定する事務所等関連高度省エネルギー増進設備等ロ 特定事業者のうち製造業に属する事業の用に供する工場等を設置しているもの��特定事業者のうち製造業に属する事業の用に供する工場等を設置しているものによる中長期的な計画の作成のための指針(平22. 3 財務、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通告 1)の 3に規定する製造業関連高度省エネルギー増進設備等ハ 特定事業者のうち鉱業、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業に属する事業の用に供する工場等を設置しているもの��特定事業者のうち鉱業、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業に属する事業の用に供する工場等を設置しているものによる中長期的な計画の作成のための指針(平22. 3 経済産業告68)の 5 に規定する鉱業等関連高度省エネルギー増進設備等ニ 特定事業者のうち上水道業、下水道業及び廃棄物処理業に属する事業の用に供する工場等を設置しているもの��特定事業者のうち上水道業、下水道業及び廃棄物処理業に属する事業の用に供する工場等を設置しているものによる中長期的な計画の作成のための指針(平22. 3 厚生労働、経済産業、国土交通、環境告1)の⑷に規定する上水道業等関連高度省エネルギー増進設備等
また、その特定加盟者の省エネ法第26条第
─�362�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
1 項の中長期的な計画に係る機械その他の減価償却資産にあっては、確認書のうちその取得等をする特定加盟者が設置しているその特定連鎖化事業に係る工場等におけるエネルギーの使用の合理化に資するものであることにつき経済産業局長等が確認した旨を証するものを保存することにより証明がされたものとされています(措法42の 5 ①一、措令27の 5①、措規20の 2 )。② 上記⑴②に該当する法人��機械その他の減価償却資産で工場等におけるエネルギーの使用の合理化(省エネ法第46条第 1項に規定する工場等におけるエネルギーの使用の合理化をいいます。以下同じです。)に資するものとして経済産業大臣が財務大臣と協議して指定するもののうち、同項の認定に係る連携省エネルギー計画(変更の認定又は変更の届出があったときは、その変更後のものをいいます。)に記載された連携省エネルギー措置の実施により取得等をされるものとしてその連携省エネルギー計画に記載されたものであることその他工場等におけるエネルギーの使用の合理化に資するものであることにつき証明がされたものとされています(措法42の 5①二、措令27の 5 ②)。③ 上記⑴③に該当する法人��機械その他の減価償却資産で貨物の輸送に係るエネルギーの使用の合理化(省エネ法第117条第 1 項に規定する貨物輸送事業者に行わせる貨物の輸送に係るエネルギーの使用の合理化をいいます。以下同じです。)に資するものとして経済産業大臣が財務大臣と協議して指定するもののうち、同項の認定に係る荷主連携省エネルギー計画(変更の認定又は変更の届出があったときは、その変更後のものをいいます。)に記載された荷主連携省エネルギー措置の実施により取得等をされるものとしてその荷主連携省エネルギー計画に記載されたものであることその他貨物の輸送に係るエネルギーの使用の合理化に資するものであることにつき
証明がされたものとされています(措法42の5 ①三、措令27の 5 ②)。
(注 1) 「確認書」及び「その確認書に係る申請
書」並びに「その取得等をする特定加盟者
が設置しているその特定連鎖化事業に係る
工場等におけるエネルギーの使用の合理化
に資するものであることにつき経済産業局
長等が確認した旨を証するもの」の様式並
びに各確認申請手続は、経済産業省ホーム
ページをご参照ください。(注 2) 上記②の「経済産業大臣が財務大臣と協
議して指定するもの」の詳細についての告
示及び「工場等におけるエネルギーの使用
の合理化に資するものであることにつき証
明がされたもの」の詳細についての省令は、
今後、定められます。(注 3) 上記③の「経済産業大臣が財務大臣と協
議して指定するもの」の詳細についての告
示及び「貨物の輸送に係るエネルギーの使
用の合理化に資するものであることにつき
証明がされたもの」の詳細についての省令は、
今後、定められます。(注 4) 関係法令については、下記の(参考 1)
から(参考 5)までをご参照ください。
⑷ 適用対象事業 適用対象となる事業は、特に業種の限定はされていませんが、「国内にあるその法人の事業の用に供した場合」とされているため(措法42の 5 ①②)、その法人の国外で行われる事業は、適用対象となりません。 また、「事業の用に供した場合」からは、「貸付けの用に供した場合」を除くこととされているため(措法42の 5 ①②)、貸付けに係る事業は、適用対象となりません。
⑸ 適用対象事業年度及び措置の内容 適用対象となる事業年度は、適用対象法人が、適用期間内に、高度省エネルギー増進設備等でその製作若しくは建設の後事業の用に供された
─�363�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ことのないものを取得し、又は高度省エネルギー増進設備等を製作し、若しくは建設して、これを国内にあるその適用対象法人の事業の用に供した場合におけるその事業の用に供した日を含む事業年度(以下「供用年度」といいます。)とされています(措法42の 5 ①②)。(注 1) 「事業の用に供した日を含む事業年度」か
らは、「解散の日を含む事業年度及び清算中
の各事業年度」を除くこととされています。
ただし、その「解散」からは、「合併による
解散」を除くこととされています。
この供用年度において、高度省エネルギー増進設備等について、特別償却の適用ができることとされています(措法42の 5 ①)。 なお、適用対象法人が中小企業者等である場合には、特別償却と税額控除との選択適用ができることとされています(措法42の 5 ①②)。(注 2) 中小企業者等とは、租税特別措置法第42
条の 4 第 3 項に規定する中小企業者又は農
業協同組合等で、青色申告書を提出するも
のをいいます。
ただし、「中小企業者のうち適用除外事業
者に該当するもの」の事業年度においては、
税額控除の適用を停止することとされてい
ます(措法42の 5 ②)。
また、「適用除外事業者」とは、当該事業
年度開始の日前 3 年以内に終了した各事業
年度(以下「基準年度」といいます。)の所
得の金額の合計額を各基準年度の月数の合
計数で除し、これに12を乗じて計算した金
額(設立後 3 年を経過していないこと、既
に基準年度の所得に対する法人税の額につ
き法人税法第80条の規定の適用があったこ
と、基準年度において合併、分割又は現物
出資が行われたこと等の一定の事由がある
場合には、その計算した金額につきその事
由の内容に応じ調整を加えた金額)が15億
円を超える法人をいいます(措法42の 4 ⑧
六の二)。
なお、中小企業者の平成31年 4 月 1 日以
後に開始する事業年度分から適用されます
(平29改正法附則62①)。
⑹ 特別償却の適用を受ける場合① 特別償却限度額 適用対象法人が特別償却の適用を受ける場合における特別償却限度額は、その高度省エネルギー増進設備等の取得価額の30%相当額とされています(措法42の 5 ①)。② 適用除外資産イ 所有権移転外リース取引により取得した高度省エネルギー増進設備等 他の特別償却と同様に、適用対象法人が所有権移転外リース取引により取得した高度省エネルギー増進設備等については、特別償却は適用しないこととされています(措法42の 5 ③)。(注) 所有権移転外リース取引とは、法人税
法施行令第48条の 2 第 5 項第 5 号に規定
する所有権移転外リース取引をいいます
(措法42の 5 ③、措令27の 5 ③)。
ロ 補助金等をもって取得等をしたその補助金等の交付の目的に適合した高度省エネルギー増進設備等 高度省エネルギー増進設備等の取得又は製作若しくは建設に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他これらに準ずるもの(以下「補助金等」といいます。)の交付を受けた適用対象法人が、その補助金等をもって取得し、又は製作し、若しくは建設したその補助金等の交付の目的に適合した高度省エネルギー増進設備等については、特別償却は適用しないこととされています(措法42の 5 ④)。
③ 特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例 他の特別償却と同様に、特別償却不足額については、 1年間の繰越しができることとされています(措法52の 2 )。(注) 特別償却不足額には、合併等特別償却不
─�364�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
足額を含むこととされています。
④ 準備金方式による特別償却(特別償却準備金)制度 他の特別償却と同様に、特別償却の方法として、特別償却の適用を受けることに代えて、準備金方式による特別償却制度の適用(特別償却準備金の積立て)ができるとともに、特別償却準備金積立不足額については、 1年間の繰越しができることとされています(措法52の 3 )。(注) 特別償却準備金積立不足額には、合併等
特別償却準備金積立不足額を含むこととさ
れています。
⑺ 税額控除の適用を受ける場合① 税額控除限度額 適用対象法人が中小企業者等である場合には、特別償却との選択で、税額控除の適用を受けることができることとされていますが、この税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、その高度省エネルギー増進設備等の取得価額の 7%相当額とされています(措法42の 5 ②)。 この税額控除限度額が適用対象法人の供用年度の調整前法人税額の20%相当額を超える場合には、税額控除額は、その供用年度の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(措法42の 5 ②後段)。 また、この調整前法人税額は、次の規定を適用しないで計算した場合の法人税の額をいい、附帯税の額を除くこととされています(措法42の 4 ⑧二、震災税特法17の 2 ⑭、17の 2 の 2 ⑨、17の 2 の 3 ⑨、17の 3 ⑥、17の3 の 2 ⑤、17の 3 の 3 ⑤、措令27の 4 ⑤)。(注) 附帯税の額とは、国税通則法第 2 条第 4
号に規定する附帯税の額をいいます(措法
42の 4 ⑧二)。
イ 租税特別措置法第42条の 4(試験研究を行った場合の法人税額の特別控除)ロ 租税特別措置法第42条の 5第 2項(高度
省エネルギー増進設備等を取得した場合の法人税額の特別控除)ハ 租税特別措置法第42条の 6第 2項及び第3項(中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等)ニ 租税特別措置法第42条の 9第 1項及び第2項(沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等)ホ 租税特別措置法第42条の10第 2 項(国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除)ヘ 租税特別措置法第42条の11第 2 項(国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除)ト 租税特別措置法第42条の11の 2 第 2 項(地域経済牽
けん
引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除)チ 租税特別措置法第42条の11の 3 第 2 項(地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の法人税額の特別控除)リ 租税特別措置法第42条の12(地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)ヌ 租税特別措置法第42条の12の 2 (認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除)ル 租税特別措置法第42条の12の 3 第 2 項及び第 3項(特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の法人税額の特別控除等)ヲ 租税特別措置法第42条の12の 4 第 2 項及び第 3項(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の法人税額の特別控除等)ワ 租税特別措置法第42条の12の 5 (給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除)カ 租税特別措置法第42条の12の 6 第 2 項
─�365�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除)ヨ 租税特別措置法第66条の 7第 4項(控除対象所得税額等相当額の法人税額の特別控除)タ 租税特別措置法第66条の 9 の 3 第 4 項(控除対象所得税額等相当額の法人税額の特別控除)レ 租税特別措置法第62条第 1項(使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例)ソ 租税特別措置法第62条の 3第 1項及び第9 項(土地の譲渡等がある場合の特別税率)ツ 租税特別措置法第63条第 1項(短期所有に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率)ネ 法人税法第67条(特定同族会社の特別税率)ナ 法人税法第68条(所得税額の控除)ラ 法人税法第69条(外国税額の控除)ム 法人税法第69条の 2(分配時調整外国税相当額の控除)ウ 法人税法第70条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)ヰ 法人税法第70条の 2(税額控除の順序)ノ 法人税法第144条(外国法人に係る所得税額の控除)オ 法人税法第144条の 2(外国法人に係る外国税額の控除)ク 法人税法第144条の 2 の 2(外国法人に係る分配時調整外国税相当額の控除)ヤ 法人税法第144条の 2 の 3(税額控除の順序)マ 震災税特法第17条の 2第 2項及び第 3項(復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等)ケ 震災税特法第17条の 2の 2第 2項及び第3項(企業立地促進区域において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等)フ 震災税特法第17条の 2の 3第 2項及び第
3項(避難解除区域等において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等)コ 震災税特法第17条の 3(復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除)エ 震災税特法第17条の 3の 2(企業立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除)テ 震災税特法第17条の 3の 3(避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除)
(注) 上記ム、ク及びヤの規定の施行日は、平
成32年 1 月 1 日とされています(改正法附
則 1六ロ)。
② 適用除外資産 高度省エネルギー増進設備等の取得又は製作若しくは建設に充てるための補助金等の交付を受けた適用対象法人が、その補助金等をもって取得し、又は製作し、若しくは建設したその補助金等の交付の目的に適合した高度省エネルギー増進設備等については、税額控除は適用しないこととされています(措法42の 5 ④)。③ 法人税法の規定との調整 税額控除の適用がある場合における法人税法の規定との調整に係る規定については、研究開発税制における調整規定を準用することとされています(措法42の 5 ⑦)。 なお、準用・読替え後の調整規定は、次のとおりとなります(措法42の 5 ⑦、42の 4 ⑫⑬)。イ 法人税法第67条(特定同族会社の特別税率) 特定同族会社の特別税率の規定の適用において留保金額から控除される法人税法第67条第 3項に規定する法人税の額は、その法人税の額から特別税額控除規定(この制度における税額控除の規定をいいます。以下同じです。)により控除する金額を控除した金額とすることとされています(措法
─�366�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
42の 4 ⑬一)。ロ 法人税法第70条の 2(税額控除の順序)又は第144条の 2の 3(税額控除の順序) 法人税法第 2編第 1章第 2節第 2款又は第 3 編第 2 章第 2 節(第143条を除きます。)の規定(以下「法人税法税額控除規定」といいます。)による法人税の額からの控除及び特別税額控除規定による法人税の額からの控除については、まず特別税額控除規定による控除をした後において、同法第70条の 2 又は第144条の 2 の 3 に定める順序により法人税法税額控除規定による控除をするものとすることとされています(措法42の 4 ⑫)。ハ 法人税法第72条(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等) 法人税法第72条第 1項第 2号に掲げる金額(内国法人の仮決算をした場合の中間申告書に記載される法人税額)は、同項に規定する期間を一事業年度とみなして同項第1号に掲げる所得の金額につき同法第 2編第 1章第 2節(第67条、第68条第 3項及び第70条を除きます。)の規定及び特別税額控除規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています(措法42の 4 ⑬二)。ニ 法人税法第74条(確定申告) 法人税法第74条第 1項第 2号に掲げる金額(内国法人の確定申告書に記載される法人税額)は、同項第 1号に掲げる所得の金額につき同法第 2編第 1章第 2節の規定及び特別税額控除規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(措法42の 4 ⑬三)。ホ 法人税法第144条の 4(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等) 法人税法第144条の 4 第 1 項第 3 号若しくは第 4号又は第 2項第 2号に掲げる金額(外国法人の仮決算をした場合の中間申告書に記載される法人税額)は、同条第 1項
又は第 2項に規定する期間を一事業年度とみなして同条第 1項第 1号若しくは第 2号又は第 2項第 1号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第 3編第 2章第2 節(第144条(同法第68条第 3 項の規定を準用する部分に限ります。)を除きます。)の規定及び特別税額控除規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています(措法42の 4⑬四)。ヘ 法人税法第144条の 6(確定申告) 法人税法第144条の 6 第 1 項第 3 号若しくは第 4号又は第 2項第 2号に掲げる金額(外国法人の確定申告書に記載される法人税額)は、同条第 1項第 1号若しくは第 2号又は第 2項第 1号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第 3編第 2章第 2節の規定及び特別税額控除規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(措法42の 4 ⑬五)。
⑻ 申告要件 この制度の適用を受ける場合の申告要件は、次のとおりとされています。① 特別償却の適用を受ける場合 特別償却は、確定申告書等に高度省エネルギー増進設備等の償却限度額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用することとされています(措法42の 5 ⑤)。(注) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30
号に規定する中間申告書で同法第72条第 1
項各号に掲げる事項を記載したもの及び同
法第144条の 4 第 1 項各号又は第 2項各号に
掲げる事項を記載したもの並びに同法第 2
条第31号に規定する確定申告書をいいます
(措法 2 ②二十七)。すなわち、仮決算をし
た場合の中間申告書及び確定申告書をいい、
確定申告書には、その確定申告書に係る期
限後申告書を含むこととされています。
② 税額控除の適用を受ける場合
─�367�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
税額控除は、確定申告書等(控除を受ける金額を増加させる修正申告書又は更正請求書を提出する場合には、その修正申告書又は更正請求書を含みます。)に控除の対象となる高度省エネルギー増進設備等の取得価額、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用することとされています(措法42の 5 ⑥)。 この場合において、控除される金額の計算の基礎となる高度省エネルギー増進設備等の取得価額は、確定申告書等に添付された書類に記載された高度省エネルギー増進設備等の取得価額を限度とすることとされています(措法42の 5 ⑥後段)。(注) 修正申告書とは、国税通則法第19条第 3
項に規定する修正申告書をいい、更正請求
書とは、同法第23条第 3 項に規定する更正
請求書をいいます(措法 2②三十・三十一)。
⑼ 他の特別償却制度等との重複適用の排除 法人の有する減価償却資産が供用年度において租税特別措置法の規定による特別償却又は税額控除制度等及び震災税特法の規定による特別償却又は税額控除制度等のうち、 2以上の制度に係る規定の適用を受けることができるものである場合には、その減価償却資産については、これらの特別償却又は税額控除制度等に係る規定のうちいずれか一の規定のみを適用することとされています(措法53、61の 3 ④、64⑥、64の 2 ⑭、65⑫、65の 7 ⑦、65の 8 ⑯、67の 4 ⑫、67の 5 ①、震災税特法18の 7 、19⑥、20⑮、措令32、震災税特令18の 6 )。 すなわち、他の特別償却又は税額控除制度等と同様に、租税特別措置法の規定によるこの制度以外の特別償却若しくは税額控除制度等又は震災税特法の規定による特別償却若しくは税額控除制度等の適用を受ける高度省エネルギー増進設備等に該当する減価償却資産については、この制度の適用対象資産から除くこととされています。
⑽ 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑼までと同様の措置が講じられています(措法68の10、68の40~68の42、68の65④、68の70⑤、68の71⑮、68の72⑫、68の78⑦、68の79⑰、68の102⑬、68の102の 2 ①、震災税特法26の 7 、27⑥、28⑯、措令39の40、39の71、震災税特令23の 6 )。 なお、税額控除限度額及び法人税額基準額の計算並びに連結法人税及び連結地方法人税の個別帰属額の計算は、他の連結納税制度における投資税額控除と同様に、税額控除の適用を受ける連結親法人又はその適用を受けるその各連結子法人ごとに行うこと等とされています。(参考 1) エネルギーの使用の合理化等に関する
法律(昭和54年法律第49号)(エネルギー
の使用の合理化等に関する法律の一部を
改正する法律(平成30年法律第45号)に
よる改正後)
(定義)
第 2 条 この法律において「エネルギー」
とは、燃料並びに熱(燃料を熱源とする
熱に代えて使用される熱であつて政令で
定めるものを除く。以下同じ。)及び電気
(燃料を熱源とする熱を変換して得られる
動力を変換して得られる電気に代えて使
用される電気であつて政令で定めるもの
を除く。以下同じ。)をいう。
2・ 3 省 略
(基本方針)
第 3 条 経済産業大臣は、工場又は事務所
その他の事業場(以下「工場等」という。)、
輸送、建築物、機械器具等に係るエネル
ギーの使用の合理化及び電気の需要の平
準化を総合的に進める見地から、エネル
ギーの使用の合理化等に関する基本方針
(以下「基本方針」という。)を定め、こ
れを公表しなければならない。
2~ 6 省 略
(特定事業者の指定)
─�368�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
第 7条 省 略
2 省 略
3 工場等を設置している者は、その設置
している全ての工場等の前年度における
前項の政令で定めるところにより算定し
たエネルギーの使用量の合計量が第 1 項
の政令で定める数値以上であるときは、
経済産業省令で定めるところにより、そ
の設置している全ての工場等の前年度に
おけるエネルギーの使用量その他エネル
ギーの使用の状況に関し、経済産業省令
で定める事項を経済産業大臣に届け出な
ければならない。ただし、同項の規定に
より指定された者(以下「特定事業者」
という。)については、この限りでない。
4~ 7 省 略
(中長期的な計画の作成)
第15条 特定事業者は、経済産業省令で定
めるところにより、定期に、その設置し
ている工場等について第 5 条第 1 項に規
定する判断の基準となるべき事項におい
て定められたエネルギーの使用の合理化
の目標に関し、その達成のための中長期
的な計画を作成し、主務大臣に提出しな
ければならない。
2・ 3 省 略
(特定連鎖化事業者の指定)
第18条 経済産業大臣は、定型的な約款に
よる契約に基づき、特定の商標、商号そ
の他の表示を使用させ、商品の販売又は
役務の提供に関する方法を指定し、かつ、
継続的に経営に関する指導を行う事業で
あつて、当該約款に、当該事業に加盟す
る者(以下「加盟者」という。)が設置し
ている工場等におけるエネルギーの使用
の条件に関する事項であつて経済産業省
令で定めるものに係る定めがあるもの(以
下「連鎖化事業」という。)を行う者(以
下「連鎖化事業者」という。)のうち、当
該連鎖化事業者が設置している全ての工
場等及び当該加盟者が設置している当該
連鎖化事業に係る全ての工場等における
第 7 条第 2 項の政令で定めるところによ
り算定したエネルギーの年度の使用量の
合計量が同条第 1 項の政令で定める数値
以上であるものをエネルギーの使用の合
理化を特に推進する必要がある者として
指定するものとする。
2 連鎖化事業者は、その設置している全
ての工場等及び当該連鎖化事業者が行う
連鎖化事業の加盟者が設置している当該
連鎖化事業に係る全ての工場等の前年度
における第 7 条第 2 項の政令で定めると
ころにより算定したエネルギーの使用量
の合計量が同条第 1 項の政令で定める数
値以上であるときは、経済産業省令で定
めるところにより、その設置している全
ての工場等及び当該連鎖化事業者が行う
連鎖化事業の加盟者が設置している当該
連鎖化事業に係る全ての工場等の前年度
におけるエネルギーの使用量その他エネ
ルギーの使用の状況に関し、経済産業省
令で定める事項を経済産業大臣に届け出
なければならない。ただし、前項の規定
により指定された者(以下「特定連鎖化
事業者」という。)については、この限り
でない。
3~ 5 省 略
(中長期的な計画の作成)
第26条 特定連鎖化事業者は、経済産業省
令で定めるところにより、定期に、その
設置している工場等及び当該特定連鎖化
事業者が行う連鎖化事業の加盟者が設置
している当該連鎖化事業に係る工場等に
ついて第 5 条第 1 項に規定する判断の基
準となるべき事項において定められたエ
ネルギーの使用の合理化の目標に関し、
その達成のための中長期的な計画を作成
し、主務大臣に提出しなければならない。
2 主務大臣は、特定連鎖化事業者による
─�369�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
前項の計画の適確な作成に資するため、
必要な指針を定めることができる。
3 主務大臣は、前項の指針を定めた場合
には、これを公表するものとする。
(連携省エネルギー計画の認定)
第46条 工場等を設置している者は、他の
工場等を設置している者と連携して工場
等におけるエネルギーの使用の合理化を
推進する場合には、共同で、その連携し
て行うエネルギーの使用の合理化のため
の措置(以下「連携省エネルギー措置」
という。)に関する計画(以下「連携省エ
ネルギー計画」という。)を作成し、経済
産業省令で定めるところにより、これを
経済産業大臣に提出して、その連携省エ
ネルギー計画が適当である旨の認定を受
けることができる。
2~ 4 省 略
(荷主連携省エネルギー計画の認定)
第117条 荷主は、他の荷主と連携して貨物
輸送事業者に行わせる貨物の輸送に係る
エネルギーの使用の合理化を推進する場
合には、共同で、その連携して行うエネ
ルギーの使用の合理化のための措置(以
下「荷主連携省エネルギー措置」とい
う。)に関する計画(以下「荷主連携省エ
ネルギー計画」という。)を作成し、経済
産業省令で定めるところにより、これを
経済産業大臣に提出して、その荷主連携
省エネルギー計画が適当である旨の認定
を受けることができる。
2~ 4 省 略(参考 2) 特定事業者又は特定連鎖化事業者のう
ち専ら事務所その他これに類する用途に
供する工場等を設置しているものによる
中長期的な計画の作成のための指針(平
成22年 3 月財務省、文部科学省、厚生労
働省、農林水産省、経済産業省、国土交
通省告示第 1号)
特定事業者又は特定連鎖化事業者のうち
専ら事務所その他これに類する用途に供す
る工場等においてエネルギーを使用して事
業を行う者による中長期的な計画の作成に
当たっては、以下の事項を検討することに
より、その適確な作成に資するものである。
⑴~⑽ 省 略
⑾ 事務所等関連高度省エネルギー増進
設備等
⑴~⑽に掲げるもののうち、判断基
準中、目標及び措置部分の実現に特に
資する設備・システム(以下「事務所
等関連高度省エネルギー増進設備等」
という。)の具体例としては、次に掲げ
る設備・システムが有効であることから、
中長期的な計画の作成における重点的
な検討対象として掲げるものである。
事務所等関連高度省エネルギー増進設備等
設備・システム名 具体的内容
潜熱回収型ボイラー 排ガス中の潜熱を回収することにより熱効率を高めたもの。
高効率ボイラー ボイラーの燃焼排熱を空気又は給水予熱に利用し、かつ定格時空気比が1.2以下で、効率が90%以上のもの。
高効率温水ボイラー 排ガス温度を250℃以下とする熱交換器を有し、定格時空気比1.2以下、効率が88%以上のもの。
BEMS 空気調和設備、電気使用設備、ボイラー設備、給湯設備等を統合的に管理し、総合した消費エネルギーが最小になるように自動制御する機能を有するもの。
─�370�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
エンジン式コージェネレーション設備
ガスエンジン、ディーゼルエンジンを原動機とし、軸動力を発電機・圧縮機等の駆動力として利用すると共に、エンジン冷却水と排ガスから排熱を回収して熱源として利用するもの。特に動力又は電力需要とともに主として温水需要が大きい場合に有効。
ガスタービン式コージェネレーション設備
ガスタービンを原動機とし、軸動力を発電機・圧縮機等の駆動力として利用するとともに、排ガスから排熱を回収して熱源として利用するもの。特に動力又は電力需要と共に主として蒸気需要が大きい場合に有効。また、需要バランスが不規則な場合には、蒸気をタービン発電機で電気に変換できるものが有効。
燃料電池コージェネレーションシステム
原動機の代わりに燃料電池を使用して電力及び温水又は蒸気を発生させ利用するもの。電力需要と共に温水又は蒸気需要が大きい場合に有効。
高効率変圧器 低損失磁性体材料を使用した変圧器及び低損失構造の変圧器。
高効率誘導モータ ハイグレードの鉄心の採用と巻線の改善や冷却扇の改善により汎用型に比べ損失を改善した誘導モータ。
永久磁石同期モータ 回転子に永久磁石(PM)を使用した同期モータであり、 2 次巻線に電力を投入しなくても良いため高効率である。
極数変換モータ 固定子巻線の極数を切り替えることにより回転数を段階状に切り替えることができる誘導モータ。速度変換の要求が固定の場合に有効。
(参考 3) 特定事業者のうち製造業に属する事業
の用に供する工場等を設置しているもの
による中長期的な計画の作成のための指
針(平成22年 3 月財務省、厚生労働省、
農林水産省、経済産業省、国土交通省告
示第 1号)
3 製造業関連高度省エネルギー増進設備
等
1 及び 2 に掲げるもののうち、判断基
準中目標及び措置部分の実現に特に資す
る設備・システム(以下「製造業関連高
度省エネルギー増進設備等」という。)の
具体例としては、別表 5 に掲げる設備・
システムが有効であることから、中長期
的な計画の作成における重点的な検討対
象として掲げるものである。
別表 5 � 製造業関連高度省エネルギー増進設備等
設備・システム名 具体的内容
潜熱回収型ボイラー 排ガス中の潜熱を回収することにより熱効率を高めたもの。
高効率ボイラー ボイラーの燃焼排熱を空気又は給水予熱に利用し、かつ定格時空気比が1.2以下で、熱効率が90%以上のもの。
高効率温水ボイラー 排ガス温度を250℃以下とする熱交換器を有し、定格時空気比1.2以下、熱効率が88%以上のもの。
廃熱利用ボイラー 他プロセスの排ガスの顕熱を利用したもの。
高効率工業炉 急速加熱式(排ガスを被加熱物に噴射し、又は、近距離で加熱することにより加熱時間を短縮したもの)、予熱・加熱一体炉、高断熱、燃空流量比例制御、衝撃噴流加熱。
ハイブリッド式加熱システム
燃焼による予熱後、誘導加熱等で加熱することにより、エネルギー消費原単位を向上させる複数の熱源を使用する加熱システム。
塗料燃焼型焼付乾燥炉 塗料溶剤蒸気の焼却熱を回収し、焼き付け加熱熱源とするもの。
排熱利用焼き戻し炉 焼入れ炉の燃焼排ガスを焼き戻し炉の熱源とするもの。
─�371�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ハンプバック炉 加熱帯が出入口より上部にあり、高温の炉内ガスを閉じ込めることにより、熱ガスの外部リークを少なくするよう設計された炉。比較的小型の連続加熱炉、連続処理炉に有効。
高性能アーク炉 高感応答アーク炉、UHPアーク炉、直流アーク炉、排ガスによる原料予熱装置付きアーク炉。
高性能抵抗炉 サイリスタ(又はトライアック)位相制御付き抵抗炉。高性能断熱材使用の炉。
高性能高周波炉 静止型(トランジスター、サイリスタ素子等を使用したもの)の高周波溶解炉、高周波誘導加熱装置、高周波電源装置。
高性能溶解・保持用溝型炉 連続湯温度測定装置及び印加電力連続制御装置の付いた溝型炉。
高性能電気分解炉・メッキ炉
変圧器一体型整流器、印加電力調整装置が付属し、高電圧対応の電気分解炉、メッキ炉では、シアン浴メッキ炉から塩化浴メッキ炉、サージェント浴炉からフッ化浴メッキ炉への転換が有効。
ヒートポンプ式熱源装置 ヒートポンプサイクルにより、概ね90℃程度の温水、冷水、又は概ね120℃程度の熱風を効率的に作る熱源装置。
地中熱利用ヒートポンプシステム
年間を通じて温度変化の小さい地中熱を、熱交換用のパイプを通じ、又は直接的に熱源の一部として使用するヒートポンプシステム。
エンジン式コージェネレーション設備
ガスエンジン、ディーゼルエンジンを原動機とし、軸動力を発電機・圧縮機等の駆動力として利用すると共に、エンジン冷却水と排ガスから排熱を回収して熱源として利用するもの。特に動力又は電力需要と共に主として温水需要が大きい場合に有効。
ガスタービン式コージェネレーション設備
ガスタービンを原動機とし、軸動力を発電機・圧縮機等の駆動力として利用すると共に、排ガスから排熱を回収して熱源として利用するもの。特に動力又は電力需要と共に主として蒸気需要が大きい場合に有効。また、需要バランスが不規則な場合には、熱と電気の出力バランスを可変できるものが有効。
燃料電池コージェネレーションシステム
原動機の代わりに燃料電池を使用して電力及び温水又は蒸気を利用するもの。電力需要と共に温水又は蒸気需要が大きい場合に有効。
高効率誘導モータ ハイグレードの鉄心の採用と巻線の改善や冷却扇の改善により汎用型に比べ損失を低減したもの。ただし、防爆型モータを使用しなければならない場合を除く。
永久磁石同期モータ ロータの内部に永久磁石を埋め込んだ回転界磁式の同期モータ。インバーターと組み合わせて高効率可変速運転ができる。
極数変換モータ モータの極数を切り替えることにより回転数を段階状に切り替えることができるもの。速度変換要求が固定 2, 3段でよい負荷のある場合に有効。
高効率変圧器 低損失磁性体材料を使用した変圧器及び低損失構造の変圧器(モールド変圧器等)。
工場エネルギー管理システム
主要設備ごと、設備群ごと、ラインごと等のエネルギー管理に必要となる設備の監視機能、操作制御機能、記録機能及び設備管理機能等が必要度に応じて組み込まれたもの。
(参考 4) 特定事業者のうち鉱業、電気供給業、
ガス供給業及び熱供給業に属する事業の
用に供する工場等を設置しているものに
よる中長期的な計画の作成のための指針
(平成22年 3 月経済産業省告示第68号)
特定事業者のうち鉱業、電気供給業、ガ
ス供給業及び熱供給業に分類される業種に
属する事業の用に供する工場等を設置して
いるものによる中長期的な計画の作成に当
たっては、以下の事項を検討することにより、
─�372�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
その適確な作成に資するものである。
1~ 4 省 略
5 鉱業等関連高度省エネルギー増進設備
等
1 ~ 4 に掲げるもののうち、工場等に
おけるエネルギーの使用の合理化に関す
る事業者の判断の基準(平成21年経済産
業省告示第66号。)中、Ⅱ エネルギーの
使用の合理化の目標及び計画的に取り組
むべき措置の実現に特に資する設備・シ
ステム(以下「鉱業等関連高度省エネル
ギー増進設備等」という。)の具体例とし
ては、次に掲げる設備・システムが有効
であることから、中長期的な計画の作成
における重点的な検討対象として掲げる
ものである。
鉱業等関連高度省エネルギー増進設備等
設備・システム区分 具体的内容
潜熱回収型ボイラー 排ガス中の潜熱を回収することにより熱効率を高めたもの。
高効率ボイラー ボイラーの燃焼排熱を空気又は給水予熱に利用し、かつ定格時空気比が1.2以下で、熱効率が90%以上のもの。
高効率温水ボイラー 排ガス温度を250℃以下とする熱交換器を有し、定格時空気比1.2以下、熱効率が88%以上のもの。
廃熱利用ボイラー 他プロセスの排ガスの顕熱を利用したもの。
高効率工業炉 急速加熱式(排ガスを被加熱物に噴射し、又は、近距離で加熱することにより加熱時間を短縮したもの)、予熱・加熱一体炉、高断熱、燃空流量比例制御、衝撃噴流加熱。
ハイブリッド式加熱システム
燃焼による予熱後、誘導加熱等で加熱することにより、エネルギー消費原単位を向上させる複数の熱源を使用する加熱システム。
塗料燃焼型焼付乾燥炉 塗料溶剤蒸気の焼却熱を回収し、焼き付け加熱熱源とするもの。
排熱利用焼き戻し炉 焼入れ炉の燃焼排ガスを焼き戻し炉の熱源とするもの。
ハンプバック炉 加熱帯が出入口より上部にあり、高温の炉内ガスを閉じ込めることにより、熱ガスの外部リークを少なくするよう設計された炉。比較的小型の連続加熱炉、連続処理炉に有効。
高性能アーク炉 高感応答アーク炉、UHPアーク炉、直流アーク炉、排ガスによる原料予熱装置付きアーク炉。
高性能抵抗炉 サイリスタ(又はトライアック)位相制御付き抵抗炉。高性能断熱材使用の炉。
高性能高周波炉 静止型(トランジスター、サイリスタ素子等を使用したもの)の高周波溶解炉、高周波誘導加熱装置、高周波電源装置。
高性能溶解・保持用溝型炉 連続湯温度測定装置及び印加電力連続制御装置の付いた溝型炉。
高性能電気分解炉・メッキ炉
変圧器一体型整流器、印加電力調整装置が付属し、高電圧対応の電気分解炉、メッキ炉では、シアン浴メッキ炉から塩化浴メッキ炉、サージェント浴炉からフッ化浴メッキ炉への転換が有効。
ヒートポンプ式熱源装置 ヒートポンプサイクルにより、概ね90℃程度の温水、冷水、又は概ね120℃程度の熱風を効率的に作る熱源装置。
地中熱利用ヒートポンプシステム
年間を通じて温度変化の小さい地中熱を、熱交換用のパイプを通じ、又は直接的に熱源の一部として使用するヒートポンプシステム。
エンジン式コージェネレーション設備
ガスエンジン、ディーゼルエンジンを原動機とし、軸動力を発電機・圧縮機等の駆動力として利用すると共に、エンジン冷却水と排ガスから排熱を回収して熱源として利用するもの。特に動力又は電力需要と共に主として温水需要が大きい場合に有効。
─�373�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ガスタービン式コージェネレーション設備
ガスタービンを原動機とし、軸動力を発電機・圧縮機等の駆動力として利用すると共に、排ガスから排熱を回収して熱源として利用するもの。特に動力又は電力需要と共に主として蒸気需要が大きい場合に有効。また、需要バランスが不規則な場合には、熱と電気の出力バランスを可変できるものが有効。
燃料電池コージェネレーションシステム
原動機の代わりに燃料電池を使用して電力及び温水又は蒸気を利用するもの。電力需要と共に温水又は蒸気需要が大きい場合に有効。
高効率誘導モータ ハイグレードの鉄心の採用と巻線の改善や冷却扇の改善により汎用型に比べ損失を低減したもの。ただし、防爆型モータを使用しなければならない場合を除く。
永久磁石同期モータ ロータの内部に永久磁石を埋め込んだ回転界磁式の同期モータ。インバーターと組み合わせて高効率可変速運転ができる。
極数変換モータ モータの極数を切り替えることにより回転数を段階状に切り替えることができるもの。速度変換要求が固定 2、 3段でよい負荷のある場合に有効。
高効率変圧器 低損失磁性体材料を使用した変圧器及び低損失構造の変圧器(モールド変圧器等)。
総合エネルギー管理システム
主要設備ごと、設備群ごと、ラインごと等のエネルギー管理に必要となる設備の監視機能、操作制御機能、記録機能及び設備管理機能等が必要度に応じて組み込まれたもの。
(参考 5) 特定事業者のうち上水道業、下水道業
及び廃棄物処理業に属する事業の用に供
する工場等を設置しているものによる中
長期的な計画の作成のための指針(平成
22年 3 月厚生労働省、経済産業省、国土
交通省、環境省告示第 1号)
特定事業者のうち、上水道業、下水道業
及び廃棄物処理業に分類される業種に属す
る事業の用に供する工場等を設置している
ものによる中長期的な計画の作成に当たっ
ては、以下の事項を検討することにより、
その適確な作成に資するものである。
⑴~⑶ 省 略
⑷ 上水道業等関連高度省エネルギー増
進設備等
⑴~⑶に掲げるもののうち、判断基
準中目標及び措置部分の実現に特に資
する設備・システム(以下「上水道業
等関連高度省エネルギー増進設備等」
という。)の具体例としては、別表 5 に
掲げる設備・システムが有効であるこ
とから、中長期的な計画の作成におけ
る重点的な検討対象として掲げるもの
である。
別表 5 � 上水道等関連高度省エネルギー増進設備等
設備・システム区分 具体的内容
潜熱回収型ボイラー 排ガス中の潜熱を回収することにより熱効率を高めたもの。
高効率ボイラー ボイラーの燃焼排熱を空気又は給水予熱に利用し、かつ定格時空気比が1.2以下で、熱効率が90%以上のもの。
高効率温水ボイラー 排ガス温度を250℃以下とする熱交換器を有し、定格時空気比1.2以下、熱効率が88%以上のもの。
廃熱利用ボイラー 他プロセスの排ガスの顕熱を利用したもの。
高効率工業炉 急速加熱式(排ガスを被加熱物に噴射し、又は、近距離で加熱することにより加熱時間を短縮したもの)、予熱・加熱一体炉、高断熱、燃空流量比例制御、衝撃噴流加熱。
─�374�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ハイブリッド式加熱システム
燃焼による予熱後、誘導加熱等で加熱することにより、エネルギー消費原単位を向上させる複数の熱源を使用する加熱システム。
塗料燃焼型焼付乾燥炉 塗料溶剤蒸気の焼却熱を回収し、焼き付け加熱熱源とするもの。
排熱利用焼き戻し炉 焼入れ炉の燃焼排ガスを焼き戻し炉の熱源とするもの。
ハンプバック炉 加熱帯が出入口より上部にあり、高温の炉内ガスを閉じ込めることにより、熱ガスの外部リークを少なくするよう設計された炉。比較的小型の連続加熱炉、連続処理炉に有効。
高性能アーク炉 高感応答アーク炉、UHPアーク炉、直流アーク炉、排ガスによる原料予熱装置付きアーク炉。
高性能抵抗炉 サイリスタ(又はトライアック)位相制御付き抵抗炉。高性能断熱材使用の炉。
高性能高周波炉 静止型(トランジスター、サイリスタ素子等を使用したもの)の高周波溶解炉、高周波誘導加熱装置、高周波電源装置。
高性能溶解・保持用溝型炉 連続湯温度測定装置及び印加電力連続制御装置の付いた溝型炉。
高性能電気分解炉・メッキ炉
変圧器一体型整流器、印加電力調整装置が付属し、高電圧対応の電気分解炉、メッキ炉では、シアン浴メッキ炉から塩化浴メッキ炉、サージェント浴炉からフッ化浴メッキ炉への転換が有効。�
ヒートポンプ式熱源装置 ヒートポンプサイクルにより、概ね90℃程度の温水、冷水、又は概ね120℃程度の熱風を効率的に作る熱源装置。
地中熱利用ヒートポンプシステム
年間を通じて温度変化の小さい地中熱を、熱交換用のパイプを通じ、又は直接的に熱源の一部として使用するヒートポンプシステム。
エンジン式コージェネレーション設備
ガスエンジン、ディーゼルエンジンを原動機とし、軸動力を発電機・圧縮機等の駆動力として利用すると共に、エンジン冷却水と排ガスから排熱を回収して熱源として利用するもの。特に動力又は電力需要と共に主として温水需要が大きい場合に有効。
ガスタービン式コージェネレーション設備
ガスタービンを原動機とし、軸動力を発電機・圧縮機等の駆動力として利用すると共に、排ガスから排熱を回収して熱源として利用するもの。特に動力又は電力需要と共に主として蒸気需要が大きい場合に有効。また、需要バランスが不規則な場合には、熱と電気の出力バランスを可変できるものが有効。
燃料電池コージェネレーションシステム
原動機の代わりに燃料電池を使用して電力及び温水又は蒸気を利用するもの。電力需要と共に温水又は蒸気需要が大きい場合に有効。
高効率誘導モータ ハイグレードの鉄心の採用と巻線の改善や冷却扇の改善により汎用型に比べ損失を低減したもの。ただし、防爆型モータを使用しなければならない場合を除く。
永久磁石同期モータ ロータの内部に永久磁石を埋め込んだ回転界磁式の同期モータ。インバーターと組み合わせて高効率可変速運転ができる。
極数変換モータ モータの極数を切り替えることにより回転数を段階上に切り替えることができるもの。速度変換要求が固定 2、 3段でよい負荷のある場合に有効。
高効率変圧器 低損失磁性体材料を使用した変圧器及び低損失構造の変圧器(モールド変圧器等)。
総合エネルギー管理システム
主要設備ごと、設備群ごと、ラインごと等のエネルギー管理に必要となる設備の監視機能、操作制御機能、記録機能及び設備管理機能等が必要度に応じて組み込まれたもの。
─�375�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
4 適用関係
上記 3の制度は、平成30年 4 月 1 日から施行されています(改正法附則 1)。 なお、平成30年 4 月 1 日からエネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第45号)の施行の日の前日までの
間におけるこの制度の適用及び平成30年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間における中小企業者のうち適用除外事業者に係る規定の適用について、それぞれ所要の読替え規定が設けられています(改正法附則88、改正措令附則20、改正措規附則21)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則104)。
三� 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人で国家戦略特別区域法の特定事業の実施主体として認定区域計画に定められたものが、平成26年 4 月 1 日から平成30年 3 月31日までの間に、その認定区域計画に係る国家戦略特別区域内において、その国家戦略特別区域に係るその法人の事業実施計画に記載された特定機械装置等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又はその計画に記載された特定機械装置等の製作若しくは建設をして、これをその法人の特定事業の用に供した場合には、その特定事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定機械装置等の取得価額の50%(建物及びその附属設備並びに構築物については、25%)相当額の特別償却と15%(建物及びその附属設備並びに構築物については、 8%)相当額(以下「税額控除限度額」といいます。)の税額控除との選択適用ができるというものです(措法42の10①②)。 この税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(措法42の10②後段)。 また、中核的事業の用に供される機械及び装置並びに開発研究用の器具及び備品で一定の規模要件を満たすもの(以下「特定中核事業用設備」といいます。)のうち開発研究の用に供されるものについて、特別償却の適用を受ける場合には、そ
の開発研究の用に供した日を含む事業年度のその特定中核事業用設備に係る減価償却費の額は、特別試験研究税制(措法42の 4 ⑥)における特別試験研究費の額に該当するものとみなして、研究開発税制(措法42の 4 )の適用を受けることができることとされています(措法42の10③)。 ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度並びに国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却若しくは法人税額の特別控除制度(措法42の11①②)又は国家戦略特別区域における指定法人の課税の特例(措法61①)の適用を受ける事業年度は、この制度の適用を受けることはできません(措法42の10①、42の11④、61②)。(注) 特定機械装置等とは、機械及び装置、開発研
究用の器具及び備品、建物及びその附属設備並
びに構築物で、機械及び装置については 1 台又
は 1 基の取得価額が2,000万円以上のもの、開発
研究用の器具及び備品については 1 台又は 1 基
の取得価額が1,000万円以上のもの、建物及びそ
の附属設備並びに構築物については一の建物及
びその附属設備並びに構築物の取得価額の合計
額が 1億円以上のものをいいます(措法42の10①、
措令27の10①②、措規20の 5 ②)。また、特定中
核事業用設備の「一定の規模要件」は、機械及
び装置については 1 台又は 1 基の取得価額が
4,000万円以上、開発研究用の器具及び備品につ
いては 1 台又は 1 基の取得価額が2,000万円以上
であることとされています(措令27の10③)。
─�376�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の14)。
2 改正の内容
⑴ 特別償却限度額の見直し 特別償却限度額が、次の特定機械装置等の区分に応じそれぞれ次のとおりとされました(措法42の10①)。① 平成30年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等��その取得価額の50%(建物及びその附属設備並びに構築物については、25%)相当額(改正前と同じです。)② 平成31年 4 月 1 日から平成32年 3 月31日までの間に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等��その取得価額の45%(建物及びその附属設備並びに構築物については、23%)相当額 ただし、平成31年 3 月31日以前に受けた確認に係る事業実施計画に同日において記載されている特定機械装置等は、上記②の特定機械装置等から除くこととされており、上記①の特定機械装置等に含まれることになります。(注 1) 「上記①の特定機械装置等に含まれる」も
のとなるためには、
イ� 平成31年 3 月31日以前に受けた確認に
係る事業実施計画に、
ロ� 平成31年 3 月31日において記載されて
いる特定機械装置等であること
が要件となることから、新たな特定機械装
置等を追加して記載した上記イの事業実施
計画の変更の確認を平成31年 4 月 1 日以後
に受けた場合のその特定機械装置等は、上
記ロを満たさないため、上記①の特定機械
装置等に含まれるものとはならず、上記②
の特定機械装置等のままとなります。
なお、上記の「確認」は、国家戦略特別区域法施行規則第 3条第 4項(同条第 5項において準用する場合を含みます。)の規定による国家戦略特別区域担当大臣の確認とされています
(措規20の 5 ④)。(注 2) 関係法令については、下記の(参考)を
ご参照ください。
⑵ 税額控除割合の見直し 税額控除割合が、次の特定機械装置等の区分に応じそれぞれ次のとおりとされました(措法42の10②)。① 平成30年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等��15%(建物及びその附属設備並びに構築物については、 8 %)(改正前と同じです。)② 平成31年 4 月 1 日から平成32年 3 月31日までの間に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等��14%(建物及びその附属設備並びに構築物については、 7%) ただし、平成31年 3 月31日以前に受けた確認に係る事業実施計画に同日において記載されている特定機械装置等は、上記②の特定機械装置等から除くこととされており、上記①の特定機械装置等に含まれることになります。
⑶ 対象事業の除外 対象事業から産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に資するものとして我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展に寄与することが見込まれる事業のうち我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展に寄与することが見込まれる産業に係る国際的な事業機会の創出その他当該産業に係る国際的な規模の事業活動の促進に資する事業であって次の事業が除外されました(措規20の 5 ①、国家特区規 1一ロ⑶⑷、10)。① 国際会議等への外国人の参加に必要な渡航に係る手続の代行又は当該渡航に付随して行う通訳案内その他の外国人の参加者の便宜となるサービスの提供に関する事業② 外国会社(会社法第 2条第 2号に規定する外国会社をいいます。)、国際機関その他の者
─�377�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
に勤務する者の子女又は海外から招へいした研究者の子女を対象とした外国語による教育に関する事業
(注) 関係法令については、下記の(参考)をご
参照ください。
⑷ 適用期限の延長 制度の適用期限が、平成32年 3 月31日まで 2年延長されました(措法42の10①)。
⑸ 税額控除の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定の所要の整備 税額控除の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定については、各税額控除制度において法人税法及び地方法人税法の規定の読替え規定が設けられているところですが、研究開発税制において調整についての規定をし、この制度においてはその規定を準用する規定を設けることとされました(措法42の10⑦)。(注) 上記の改正の詳細については、後述「十
その他の税額控除制度」の 2をご参照ください。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑸までと同様の改正が行われています(措法68の14①②⑧、措規22の27①③)。(参考) 国家戦略特別区域法施行規則(平成26年
内閣府令第20号)
(法第 2 条第 2 項第 2 号の内閣府令で定める
事業)
第 1 条 国家戦略特別区域法(以下「法」と
いう。)第 2 条第 2 項第 2 号の内閣府令で定
める事業は、次に掲げるものとする。
一 産業の国際競争力の強化又は国際的な
経済活動の拠点の形成に資するものとし
て我が国の経済社会の活力の向上及び持
続的発展に寄与することが見込まれる事
業であって次に掲げるもの(次号に掲げ
るものを除く。)
イ 省 略
ロ 我が国の経済社会の活力の向上及び
持続的発展に寄与することが見込まれ
る産業に係る国際的な事業機会の創出
その他当該産業に係る国際的な規模の
事業活動の促進に資する事業であって
次に掲げるもの
⑴・⑵ 省 略
⑶ 国際会議等への外国人の参加に必
要な渡航に係る手続の代行又は当該
渡航に付随して行う通訳案内その他
の外国人の参加者の便宜となるサー
ビスの提供に関する事業
⑷ 外国会社(会社法(平成17年法律
第86号)第 2 条第 2 号に規定する外
国会社をいう。⑺及び⑻並びに第11
条の 2 第 2 号ロ⑶及び⑸において同
じ。)、国際機関その他の者に勤務す
る者の子女又は海外から招へいした
研究者の子女を対象とした外国語に
よる教育に関する事業
⑸~⑼ 省 略
ハ 省 略
二・三 省 略
(事業実施計画の提出)
第 3条 省 略
2・ 3 省 略
4 国家戦略特別区域担当大臣は、前 3 項の
規定による提出を受けたときは、事業実施
計画が国家戦略特別区域基本方針(法第 5
条第 1 項に規定する国家戦略特別区域基本
方針をいう。)及び区域方針(法第 6 条第 1
項に規定する区域方針をいう。)に即して、
当該事業を行うことについての適切かつ確
実な計画であるかどうかを確認し、その結
果を事業を実施しようとする者に通知する
ものとする。
5 前各項の規定は、事業実施計画の変更に
ついて準用する。
(法第27条の 2の内閣府令で定める特定事業)
第10条 法第27条の 2 の内閣府令で定める特
─�378�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
定事業は、第 1 条第 1 号(同号ロ⑶及び⑷
に掲げるものを除く。)及び第 2 号に掲げる
事業とする。
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴及び⑵の改正は、平成30年 4 月 1 日
から施行されています(改正法附則 1)。⑵ 上記 2 ⑶の改正は、除外される事業の実施の実態がないことから、経過措置は設けられていません。連結納税制度の場合についても同様です。
四� 国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人で総合特別区域法の指定法人に該当するものが、同法の施行の日(平成23年 8 月 1 日)から平成30年 3 月31日までの間に、国際戦略総合特別区域内において、その国際戦略総合特別区域に係るその指定法人の指定法人事業実施計画に記載された特定機械装置等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又はその計画に記載された特定機械装置等の製作若しくは建設をして、これをその指定法人の特定国際戦略事業の用に供した場合には、その特定国際戦略事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定機械装置等の取得価額の40%(建物及びその附属設備並びに構築物については、20%)相当額の特別償却と12%(建物及びその附属設備並びに構築物については、 6%)相当額(以下「税額控除限度額」といいます。)の税額控除との選択適用ができるというものです(措法42の11①②)。 この税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(措法42の11②後段)。 ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度並びに国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等若しくは法人税額の特別控除制度(措法42の10①②)又は国家戦略特別区域における指定法人の課税の特例(措法61①)の適用を受ける事業年
度は、この制度の適用を受けることはできません(措法42の11①④、61②)。(注) 特定機械装置等とは、機械及び装置、開発研
究用の器具及び備品、建物及びその附属設備並
びに構築物で、機械及び装置については 1 台又
は 1 基の取得価額が2,000万円以上のもの、開発
研究用の器具及び備品については 1 台又は 1 基
の取得価額が1,000万円以上のもの、建物及びそ
の附属設備並びに構築物については一の建物及
びその附属設備並びに構築物の取得価額の合計
額が 1億円以上のものをいいます(措法42の11①、
措令27の11①②、措規20の 6 ②)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の14の 2 )。
2 改正の内容
⑴ 特別償却限度額の見直し 特別償却限度額が、次の特定機械装置等の区分に応じそれぞれ次のとおりとされました(措法42の11①)。① 平成30年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等��その取得価額の40%(建物及びその附属設備並びに構築物については、20%)相当額(改正前と同じです。)② 平成31年 4 月 1 日から平成32年 3 月31日までの間に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等��その取得価額の34%(建物及びその附属設備並びに構築物については、17%)相当額
─�379�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ただし、平成31年 3 月31日以前に受けた指定に係る指定法人事業実施計画に同日において記載されている特定機械装置等は、上記②の特定機械装置等から除くこととされており、上記①の特定機械装置等に含まれることになります。(注 1) 「上記①の特定機械装置等に含まれる」も
のとなるためには、
イ� 平成31年 3 月31日以前に受けた指定に
係る指定法人事業実施計画に、
ロ� 平成31年 3 月31日において記載されて
いる特定機械装置等であること
が要件となることから、新たな特定機械装
置等を追加して記載した上記イの指定法人
事業実施計画の変更の届出を平成31年 4 月
1 日以後に行った場合のその特定機械装置
等は、上記ロを満たさないため、上記①の
特定機械装置等に含まれるものとはならず、
上記②の特定機械装置等のままとなります。
なお、上記の「指定」は、総合特別区域法第26条第 1 項の規定による指定とされています(措法42の11①)。(注 2) 関係法令については、下記の(参考 1)
をご参照ください。
⑵ 税額控除割合の見直し 税額控除割合が、次の特定機械装置等の区分に応じそれぞれ次のとおりとされました(措法42の11②)。① 平成30年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等��12%(建物及びその附属設備並びに構築物については、 6 %)(改正前と同じです。)② 平成31年 4 月 1 日から平成32年 3 月31日までの間に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等��10%(建物及びその附属設備並びに構築物については、 5%) ただし、平成31年 3 月31日以前に受けた指定に係る指定法人事業実施計画に同日において記載されている特定機械装置等は、上記②の特定
機械装置等から除くこととされており、上記①の特定機械装置等に含まれることになります。
⑶ 適用期限の延長 制度の適用期限が、平成32年 3 月31日まで 2年延長されました(措法42の11①)。
⑷ 税額控除の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定の所要の整備 税額控除の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定については、各税額控除制度において法人税法及び地方法人税法の規定の読替え規定が設けられているところですが、研究開発税制において調整についての規定をし、この制度においてはその規定を準用する規定を設けることとされました(措法42の11⑦)。(注) 上記の改正の詳細については、後述「十
その他の税額控除制度」の 2をご参照ください。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑷までと同様の改正が行われています(措法68の14の 2 ①②⑦)。
⑸ その他関係法令の改正 本制度の対象事業である特定国際戦略事業から次の事業が除外されました(総合特区令 1四・五、総合特区規15二)。① 国際海上輸送網の拠点となる港湾若しくは国際航空輸送網の拠点となる空港の整備若しくは運営又はこれらの港湾若しくは空港を拠点として我が国と外国との間において行う貨物の運送に関する一定の事業② 我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展に寄与することが見込まれる産業に係る国際的な事業機会の創出その他当該産業に係る国際的な規模の事業活動の促進に資する一定の事業
(注) 関係法令については、下記の(参考 2)及
び(参考 3)をご参照ください。
─�380�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(参考 1) 総合特別区域法(平成23年法律第81号)
第26条 認定国際戦略総合特別区域計画に
定められている第 2 条第 2 項第 2 号イ又
はロに掲げる事業を実施する法人(内閣
府令で定める要件に該当するものとして
認定地方公共団体(内閣総理大臣の認定
を受けた指定地方公共団体をいう。以下
この章において同じ。)が指定するものに
限る。以下この条において「指定法人」
という。)であって、国際戦略総合特別区
域内において当該事業の用に供する施設
又は設備を新設し、又は増設したものが、
当該新設又は増設に伴い新たに取得し、
又は製作し、若しくは建設した機械及び
装置、器具及び備品、建物及びその附属
設備並びに構築物については、租税特別
措置法(昭和32年法律第26号)で定める
ところにより、課税の特例の適用がある
ものとする。
2~ 5 省 略(参考 2) 総合特別区域法施行令(平成23年政令
第243号)
(法第 2 条第 2 項第 2 号イの政令で定める
事業)
第 1 条 総合特別区域法(以下「法」とい
う。)第 2 条第 2 項第 2 号イの政令で定め
る事業は、次に掲げるものとする。
一~三 省 略
四 国際海上輸送網の拠点となる港湾若
しくは国際航空輸送網の拠点となる空
港の整備若しくは運営又はこれらの港
湾若しくは空港を拠点として我が国と
外国との間において行う貨物の運送に
関する事業であって内閣府令で定める
もの
五 我が国の経済社会の活力の向上及び
持続的発展に寄与することが見込まれ
る産業に係る国際的な事業機会の創出
その他当該産業に係る国際的な規模の
事業活動の促進に資する事業であって
内閣府令で定めるもの(参考 3) 総合特別区域法施行規則(平成23年内
閣府令第39号)
(令第 1条各号の内閣府令で定める事業)
第 1条 省 略
2・ 3 省 略
4 令第 1 条第 4 号の内閣府令で定める事
業は、次に掲げるものとする。
一 長距離の輸送に供する国際海上コン
テナの荷役、荷さばき及び保管に必要
な施設又は設備の整備又は運営に関す
る事業
二 国際戦略総合特別区域(総合特別区
域法(以下「法」という。)第 2 条第 1
項に規定する国際戦略総合特別区域を
いう。以下同じ。)の区域内の地点と本
邦内の地点又は本邦外の地点との間に
おいて行う国際海上コンテナの海上運
送又は陸上運送に関する事業(これら
の事業に必要な施設又は設備の整備又
は運営に関する事業を含む。)
三 国際戦略総合特別区域の区域内の地
点と本邦内の地点又は本邦外の地点と
の間において行う航空貨物の運送に関
する事業(これらの事業に必要な施設
又は設備の整備又は運営に関する事業
を含む。)
5 令第 1 条第 5 号の内閣府令で定める事
業は、次に掲げるものとする。
一 2 以上の法人(これらの法人の本店
又は主たる事務所が所在する国又は海
外の地域(以下「国等」という。)の数
が 2 以上であるものに限る。)のそれぞ
れの総株主等の議決権(総株主又は総
出資者の議決権をいう。以下同じ。)の
過半数を取得し、又は保有することに
より、当該 2 以上の法人が行う事業の
方針を策定するとともに、内部統制の
整備支援、資金運用等の業績管理その
他の当該 2 以上の法人が行う事業を統
─�381�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
括する事業
二 国際会議等に参加する者の利用に供
する大規模な集会施設、宿泊施設その
他の利用に供する施設又は設備の整備、
運営又はサービスの提供に関する事業
(国際会議等に参加する者に係るものに
限る。)
三 国際会議等への外国人の参加に必要
な渡航に係る手続の代行又は当該渡航
に付随して行う通訳案内その他の外国
人の参加者の便宜となるサービスの提
供に関する事業
四 外国会社(会社法(平成17年法律第
86号)第 2 条第 2 号に規定する外国会
社をいう。)に勤務する者の子女又は海
外から招へいした研究者の子女を対象
とした外国語の教育に関する事業
(法第26条第 1項の指定法人の要件)
第15条 法第26条第 1 項の内閣府令で定め
る要件は、次に掲げるものとする。
一 省 略
二 指定(法第26条第 1 項に規定する指
定をいう。以下この条から第17条まで
において同じ。)に係る特定国際戦略事
業(法第 2 条第 2 項に規定する特定国
際戦略事業のうち、同項第 2 号イ又は
ロに掲げるもの(令第 1 条第 1 号から
第 3 号までに掲げるものに限る。)に限
る。以下この条から第17条までにおい
て同じ。)を行うことについての適切か
つ確実な計画(次号及び第17条第 1 項
において「指定法人事業実施計画」と
いう。)を有すると認められること。
三~五 省 略
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴及び⑵の改正は、平成30年 4 月 1 日から施行されています(改正法附則 1)。⑵ 上記 2 ⑸の改正には、総合特別区域法第26条第 1項に規定する指定法人が実施する総合特別区域法施行規則の一部を改正する内閣府令(平成30年内閣府令第20号)の施行の日(平成30年4 月 1 日)前に受けた指定に係る指定法人事業実施計画に定められた特定国際戦略事業については、なお従前の例によることとする経過措置が設けられていることから(総合特区規改正令附則②)、本制度の対象事業である特定国際戦略事業についても、同様となります。連結納税制度の場合についても同様です。
五� 地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(改正後:地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度)
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人で地域再生法の一部を改正する法律の施行の日(平成27年 8 月10日)から平成30年 3 月31日までの間に地域再生法の地方活力向上地域特定業務施設整備計画について認定を受けたものが、その認定を受けた日から同日の翌日以後 2年を経過する日までの間に、その認定をした都道府県知事が作成した認
定地域再生計画に記載されている地方活力向上地域内において、その地方活力向上地域特定業務施設整備計画に記載された特定建物等でその建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又はその計画に記載された特定建物等の建設をして、これをその法人の営む事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において、その特定建物等の取得価額の15%(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合
─�382�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
には、25%)相当額の特別償却と 4%(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、 7%)相当額(以下「税額控除限度額」といいます。)の税額控除との選択適用ができるというものです(措法42の11の 3 ①②)。 この税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(措法42の11の 3 ②後段)。 ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用を受けることはできません(措法42の11の 3①)。(注 1) 地方活力向上地域特定業務施設整備計画と
は、地域再生法第17条の 2 第 1 項に規定する
地方活力向上地域特定業務施設整備計画をい
います(措法42の11の 3 ①)。(注 2) 地方活力向上地域とは、その地方活力向上
地域特定業務施設整備計画が地域再生法第17
条の 2 第 1 項第 1 号に掲げる事業に関する計
画(移転型計画)である場合には同法第 5 条
第 4 項第 5 号に規定する地方活力向上地域を
いい、その地方活力向上地域特定業務施設整
備計画が同法第17条の 2 第 1 項第 2 号に掲げ
る事業に関する計画(拡充型計画)である場
合には同号に規定する地方活力向上地域をい
うこととされています(措法42の11の 3 ①②)。(注 3) 特定建物等は、認定地方活力向上地域特定
業務施設整備計画に記載された特定業務施設
に該当する建物及びその附属設備並びに構築
物で、一定の規模のものとされています(措
法42の11の 3 ①)。認定地方活力向上地域特定
業務施設整備計画とは、地域再生法第17条の
2 第 3 項の認定を受けた地方活力向上地域特
定業務施設整備計画をいい、同条第 4 項の規
定による変更の認定があったときは、その変
更後のものをいいます(措法42の11の 3 ①)。
一定の規模のものは、一の建物及びその附属
設備並びに構築物の取得価額の合計額が2,000
万円以上のものとされています(措令27の11
の 3 )。ただし、中小企業者にあっては、一の
建物及びその附属設備並びに構築物の取得価
額の合計額が1,000万円以上のものとされてい
ます(措令27の11の 3 )。中小企業者とは、租
税特別措置法第42条の 4 第 8 項第 6 号に規定
する中小企業者をいいます(措令27の11の 3 )。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の15)。
2 改正の内容
⑴ 移転型事業の対象地域の見直し 地域再生法の一部を改正する法律(平成30年法律第38号)による地域再生法の一部改正に伴い、移転型事業の対象地域が「地域再生法第 5条第 4項第 5号イ又はロに掲げる地域」とされました(措法42の11の 3 ①②)。 すなわち、この見直しによって、「地域再生計画において地域再生法第 5条第 4項第 5号ロに規定する準地方活力向上地域(以下「準地方活力向上地域」といいます。)とされた近畿圏の中心部及び中部圏の中心部」が追加されました。(注) 関係法令については、下記の(参考 1)及
び(参考 2)をご参照ください。
⑵ 認定期限の延長 制度の適用の前提となる地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定期限が、平成32年3 月31日まで 2年延長されました(措法42の11の 3 ①)。
⑶ 税額控除の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定の所要の整備 税額控除の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定については、各税額控除制度において法人税法及び地方法人税法の規定の読替え規定が設けられているところですが、研究開発税制において調整についての規定をし、この制度においてはそ
─�383�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
の規定を準用する規定を設けることとされました(措法42の11の 3 ⑥)。(注) 上記の改正の詳細については、後述「十
その他の税額控除制度」の 2をご参照ください。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の改正が行われています(措法68の15①②⑦)。
⑷ その他関係法令の改正 地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定基準について、次の見直しが行われました。① 「常時雇用する従業員の数」に関する要件の見直し 「特定業務施設において常時雇用する従業員の数が10人以上(地方活力向上地域等特定業務施設整備事業を行う者が中小企業者である場合には、 5人以上)であること」との要件が、「 5 人以上(地方活力向上地域等特定業務施設整備事業を行う者が中小企業者である場合には、 2 人以上)」に引き下げられました(地再規32)。(注) 中小企業者とは、中小企業等経営強化法
第 2 条第 1 項に規定する中小企業者をいい
ます。
② 「常時雇用する従業員」に関する要件の見直しイ 「認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の実施期間に地方活力向上地域等特定業務施設整備事業により整備される特定業務施設において増加させると見込まれる常時雇用する従業員の数が10人以上(中小企業者の場合は、 5 人以上)であること」との要件が、「 5 人以上(中小企業者の場合は、 2 人以上)」に引き下げられました(地再規33一)。(注) 認定地方活力向上地域等特定業務施設
整備計画とは、地域再生法第17条の 2 第
6 項に規定する認定地方活力向上地域等
特定業務施設整備計画をいいます。
ロ 移転型事業を行おうとする場合にあって
は、「上記イの特定業務施設において増加させると見込まれる常時雇用する従業員の過半数が特定集中地域にある他の事業所からその特定業務施設に転勤させる者であること」との要件が、「次のいずれかの要件を満たすこと」とされました(地再規33二)。(注) 特定集中地域とは、地域再生法第17条
の 2 第 1 項第 1 号に規定する地域をいい
(地再規31一)、具体的には、東京都の特
別区の存する区域とされています(地再
令11)。
イ 認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の実施期間に上記イの特定業務施設において増加させると見込まれる常時雇用する従業員の過半数が特定集中地域にある他の事業所からその特定業務施設に転勤させる者であること。ロ 上記イの特定業務施設を事業の用に供する日の属する年又は事業年度にその特定業務施設において増加させると見込まれる常時雇用する従業員の過半数が特定集中地域にある他の事業所からその特定業務施設に転勤させる者であって、かつ、認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の実施期間に上記イの特定業務施設において増加させると見込まれる常時雇用する従業員の 4分の 1以上が特定集中地域にある他の事業所からその特定業務施設に転勤させる者であること。
(注) 関係法令については、下記の(参考 1)及
び(参考 3)をご参照ください。(参考 1) 地域再生法(平成17年法律第24号)
(地域再生計画の認定)
第 5条 省 略
2・ 3 省 略
4 第 2 項第 2 号に掲げる事項には、次に
掲げる事項を記載することができる。
一~四 省 略
五 次に掲げる地域において、本店又は
主たる事務所その他の地域における就
─�384�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
業の機会の創出又は経済基盤の強化に
資するものとして内閣府令で定める業
務施設(工場を除く。以下「特定業務
施設」という。)を整備する事業(以下
「地方活力向上地域等特定業務施設整備
事業」という。)に関する事項
イ 地方活力向上地域(産業及び人口
の過度の集中を防止する必要がある
地域及びその周辺の地域であって政
令で定めるもの(以下この号及び第
17条の 2 第 1 項第 1 号において「集
中地域」という。)以外の地域であり、
かつ、当該地域の活力の向上を図る
ことが特に必要な地域をいう。以下
同じ。)
ロ 準地方活力向上地域(集中地域の
うち、人口の過度の集中を是正する
必要がある地域及びその周辺の地域
であって政令で定めるもの以外の地
域であり、かつ、当該地域の活力の
向上を図ることが特に必要な地域を
いう。以下同じ。)
六~十五 省 略
5~18 省 略
(地方活力向上地域等特定業務施設整備計
画の認定等)
第17条の 2 都道府県が作成した地域再生
計画(地方活力向上地域等特定業務施設
整備事業が記載されたものに限る。)が第
5 条第15項の認定を受けたときは、当該
認定の日以後は、地方活力向上地域等特
定業務施設整備事業であって次に掲げる
ものを実施する個人事業者又は法人は、
内閣府令で定めるところにより、当該地
方活力向上地域等特定業務施設整備事業
の実施に関する計画(以下この条におい
て「地方活力向上地域等特定業務施設整
備計画」という。)を作成し、当該地方活
力向上地域等特定業務施設整備計画が適
当である旨の認定地方公共団体である都
道府県の知事(以下この条において「認
定都道府県知事」という。)の認定を申請
することができる。
一 集中地域のうち特定業務施設の集積
の程度が著しく高い地域として政令で
定めるものから特定業務施設を認定地
域再生計画に記載されている地方活力
向上地域又は準地方活力向上地域に移
転して整備する事業
二 省 略
2~ 5 省 略
6 認定都道府県知事は、認定事業者が認
定地方活力向上地域等特定業務施設整備
計画(第 4 項の規定による変更の認定が
あったときは、その変更後のもの。以下
同じ。)に従って地方活力向上地域等特定
業務施設整備事業を実施していないと認
めるときは、その認定を取り消すことが
できる。(参考 2) 地域再生法施行令(平成17年政令第151
号)
(産業及び人口の過度の集中を防止する必
要がある地域及びその周辺の地域等)
第 5 条 法第 5 条第 4 項第 5 号イの政令で
定める地域は、平成30年 4 月 1 日におけ
る次に掲げる区域とする。
一 首都圏整備法(昭和31年法律第83号)
第 2 条第 3 項に規定する既成市街地及
び同条第 4項に規定する近郊整備地帯
二・三 省 略
2 法第 5 条第 4 項第 5 号ロの政令で定め
る地域は、平成30年 4 月 1 日における前
項第 1号に掲げる区域とする。(参考 3) 地域再生法施行規則(平成17年内閣府
令第53号)
(特定業務施設において常時雇用する従業
員の数)
第32条 法第17条の 2 第 3 項第 2 号の内閣
府令で定める数は、 5 人とする。ただし、
地方活力向上地域等特定業務施設整備事
─�385�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
業を行う者が中小企業者(中小企業等経
営強化法(平成11年法律第18号)第 2 条
第 1 項に規定する中小企業者をいう。次
条第 1 号において同じ。)である場合には、
2人とする。
(特定業務施設において常時雇用する従業
員に関する要件)
第33条 法第17条の 2 第 3 項第 2 号の内閣
府令で定める要件は、次に掲げるものと
する。
一 認定地方活力向上地域等特定業務施
設整備計画(法第17条の 2 第 6 項に規
定する認定地方活力向上地域等特定業
務施設整備計画をいう。以下同じ。)の
実施期間に地方活力向上地域等特定業
務施設整備事業により整備される特定
業務施設において増加させると見込ま
れる常時雇用する従業員の数が 5 人以
上(中小企業者の場合は、 2 人以上)
であること。
二 移転型事業を行おうとする場合にあ
っては、次に掲げるいずれかの要件を
満たすこと。ただし、認定地方活力向
上地域等特定業務施設整備計画の実施
期間(以下この号において単に「実施
期間」という。)又は前号の特定業務施
設を事業の用に供する日の属する年若
しくは事業年度に、特定集中地域にあ
る他の事業所において常時雇用する従
業員の数の減少が見込まれる場合にあ
っては、当該減少が見込まれる従業員
の数(その数が定年に達したことによ
り退職する者の数と自己の都合により
退職する者の数の合計の数を超える場
合には、その超える部分の数を控除し
た数)を限度として同号の特定業務施
設において新たに雇い入れる常時雇用
する従業員を特定集中地域にある他の
事業所から当該特定業務施設に転勤さ
せる者とみなす。
イ 当該実施期間に前号の特定業務施
設において増加させると見込まれる
常時雇用する従業員の過半数が特定
集中地域にある他の事業所から当該
特定業務施設に転勤させる者である
こと。
ロ 前号の特定業務施設を事業の用に
供する日の属する年又は事業年度に
当該特定業務施設において増加させ
ると見込まれる常時雇用する従業員
の過半数が特定集中地域にある他の
事業所から当該特定業務施設に転勤
させる者であって、かつ、当該実施
期間に同号の特定業務施設において
増加させると見込まれる常時雇用す
る従業員の 4 分の 1 以上が特定集中
地域にある他の事業所から当該特定
業務施設に転勤させる者であること。
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴の改正は、地域再生法の一部を改正する法律(平成30年法律第38号)の施行の日(平成30年 6 月 1 日)から施行されています(改正法附則 1十五)。(注 1) 地域再生法の一部を改正する法律(平成
30年法律第38号)の施行の日は、平成30年
4 月 1 日又は同法の公布の日(平成30年 6
月 1 日)のいずれか遅い日とされているこ
とから(地再法改正法附則 1)、同法の公布
の日(平成30年 6 月 1 日)となります。(注 2) 地域再生法の一部を改正する法律(平成
30年法律第38号。以下「地域再生法改正法」
といいます。)附則において、地域再生法改
正法の施行の際現に地域再生法改正法によ
る改正前の地域再生法(以下「旧地域再生
法」といいます。)第 5 条第15項の認定(旧
地域再生法第 7 条第 1 項の変更の認定を含
みます。)を受けている旧地域再生法第 5 条
第 4 項第 5 号に規定する地方活力向上地域
特定業務施設整備事業が記載された地域再
─�386�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
生計画は、地域再生法改正法による改正後
の地域再生法(以下「新地域再生法」とい
います。)第 5 条第15項の認定を受けた同条
第 4 項第 5 号に規定する地方活力向上地域
等特定業務施設整備事業が記載された地域
再生計画とみなすこととされ(地再法改正
法附則 2 ①)、地域再生法改正法の施行の際
現に旧地域再生法第17条の 2 第 3 項の認定
(同条第 4 項の変更の認定を含みます。)を
受けている同条第 1 項に規定する地方活力
向上地域特定業務施設整備計画及びこれに
従って実施されている旧地域再生法第 5 条
第 4 項第 5 号に規定する地方活力向上地域
特定業務施設整備事業は、それぞれ新地域
再生法第17条の 2 第 3 項の認定を受けた同
条第 1 項に規定する地方活力向上地域等特
定業務施設整備計画及びこれに従って実施
される新地域再生法第 5 条第 4 項第 5 号に
規定する地方活力向上地域等特定業務施設
整備事業とみなすこととされています(地
再法改正法附則 2②)。
⑵ 上記 2 ⑷の改正は、地域再生法施行規則の一部を改正する内閣府令(平成30年内閣府令第27号)の公布の日(平成30年 6 月 1 日)から施行されています(地再規改正令附則①)。
六� 特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)(改正後:地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度)
1 改正前の制度の概要
この制度は、次の⑴から⑶までの措置によって構成されています。
⑴ 特定地域基準雇用者数に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する法人が、適用年度において、雇用の増加に係る要件を満たす場合で、かつ、雇用保険法の適用事業を行っている場合には、その適用年度において、40万円にその法人の特定地域基準雇用者数を乗じて計算した金額(以下「税額控除限度額」といいます。)の税額控除ができるというものです(措法42の12①)。ただし、離職者に係る要件を満たさない事業年度については、この措置の適用を受けることはできません(措法42の12⑦)。 この措置の適用を受ける場合における税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の10%(その法人が中小企業者等である場合には、20%)相当額を上限とすることとされています(措法42の12①後段)。
(注 1) この措置の適用を受ける場合の適用年度
は、平成23年 4 月 1 日から平成30年 3 月31
日までの間に開始する各事業年度となりま
す(措法42の12①⑤一)。ただし、合併、分
割又は現物出資による設立以外の設立の日
を含む事業年度、合併による解散以外の解
散の日を含む事業年度及び清算中の各事業
年度は、適用年度となりません(措法42の
12⑤一)。(注 2) 雇用の増加に係る要件とは、次の要件の
全てを満たしていることをいいます(措法
42の12①一~三)。
① 基準雇用者数が 5 人以上(その法人が
中小企業者等である場合には、2人以上)
であること。
② 基準雇用者割合が10%以上であること
又は適用年度開始の日の前日における雇
用者の数が零であること。
③ 給与等支給額が比較給与等支給額以上
であること。(注 3) 特定地域基準雇用者数とは、適用年度開
─�387�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
始の日において地域雇用開発促進法第 7 条
に規定する同意雇用開発促進地域内に所在
する法人の事業所においてその適用年度に
新たに雇用された次に掲げる要件を満たす
雇用者でその適用年度終了の日においてそ
の事業所に勤務するものの数(その数がそ
の事業所のみをその法人の事業所とみなし
た場合におけるその適用年度の基準雇用者
数を超える場合には、その超える部分の数
を控除した数)として証明がされた数をい
います(措法42の12⑤六)。
① その法人との間で労働契約法第17条第
1 項に規定する有期労働契約以外の労働
契約を締結していること。
② 短時間労働者の雇用管理の改善等に関
する法律第 2 条に規定する短時間労働者
でないこと。(注 4) この措置による税額控除限度額の計算の
基礎となる特定地域基準雇用者数は、その
適用年度における基準雇用者数が上限とさ
れています。なお、その適用年度において
下記⑵の地方事業所基準雇用者数に係る措
置の適用を受ける場合には、基準雇用者数
からその適用に係る地方事業所基準雇用者
数を控除した数が上限とされています(措
法42の12①)。(注 5) 基準雇用者数とは、適用年度終了の日に
おける雇用者の数からその適用年度開始の
日の前日における雇用者のうちその適用年
度終了の日において高年齢雇用者に該当す
る者以外の者の数を減算した数をいい、雇
用者とは、法人の使用人のうち一般被保険
者に該当するものをいい、一般被保険者とは、
雇用保険法第60条の 2 第 1 項第 1 号に規定
する一般被保険者をいい、高年齢雇用者とは、
法人の使用人のうち同法第37条の 2 第 1 項
に規定する高年齢被保険者に該当するもの
をいい、これらの使用人からはその法人の
役員と特殊の関係のある者及びその法人の
使用人としての職務を有する役員を除くこ
ととされています(措法42の12⑤二~四、
措令27の12⑥)。なお、この措置による税額
控除限度額の計算の基礎となる基準雇用者
数は、その事業年度において下記⑵の措置
の適用を受ける場合には、その適用に係る
地方事業所基準雇用者数を控除した数とさ
れています(措法42の12①)。(注 6) 基準雇用者割合とは、基準雇用者数の適
用年度開始の日の前日における雇用者のう
ちその適用年度終了の日において高年齢雇
用者に該当する者以外の者の数に対する割
合をいいます(措法42の12⑤八)。(注 7) 給与等支給額とは、法人の給与等の支給
額のうち適用年度の所得の金額の計算上損
金の額に算入される金額をいい、この給与
等の支給額は、その給与等に充てるため他
の者から支払を受ける金額がある場合には、
その金額を控除した金額とするとともに、
他の者には、その法人との間に連結完全支
配関係がある他の連結法人及びその法人が
外国法人である場合の法人税法第138条第 1
項第 1 号に規定する本店等を含むこととし、
給与等とは、所得税法第28条第 1 項に規定
する給与等のうち雇用者に対して支給する
ものをいいます(措法42の12⑤九・十)。こ
の場合の損金の額に算入される金額からは、
その適用年度終了の日において高年齢雇用
者に該当する者に係る金額を除くこととさ
れています。(注 8) 比較給与等支給額とは、法人の給与等の
支給額のうち適用年度開始の日前 1 年以内
に開始した各事業年度の所得の金額の計算
上損金の額に算入される金額の合計額をそ
の 1 年以内に開始した各事業年度の数で除
して計算した金額(以下「適用年度前 1 年
以内事業年度における給与等の支給額」と
いいます。)に、その適用年度前 1 年以内事
業年度における給与等の支給額に基準雇用
者割合を乗じて計算した金額の30%相当額
を加算した金額をいいます(措法42の12⑤
─�388�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
十一)。この場合の損金の額に算入される金
額からは、その適用年度終了の日において
高年齢雇用者に該当する者に係る金額を除
くこととされています。(注 9) 離職者に係る要件とは、この措置の適用
を受けようとする事業年度及びその事業年
度開始の日前 1 年以内に開始した各事業年
度において離職者がいないことをいい、離
職者とは、その法人の雇用者又は高年齢雇
用者であった者で、その法人の都合による
雇用対策法施行規則附則第 8 条第 2 項第 4
号に規定する労働者の解雇によって離職を
したものをいい、離職とは、雇用保険法第
4 条第 2 項に規定する離職をいいます(措
法42の12⑦、措規20の 7 ⑥)。(注10) 中小企業者等とは、租税特別措置法第42
条の 4 第 3 項に規定する中小企業者又は農
業協同組合等で、青色申告書を提出するも
のをいいます(措法42の12①)。
⑵ 地方事業所基準雇用者数に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する法人で認定事業者であるものが、適用年度において、雇用の増加に係る要件のうち基準雇用者割合が10%以上又はその適用年度開始の日の前日における雇用者の数が零であることとの要件以外の要件を満たす場合で、かつ、雇用保険法の適用事業を行っている場合には、その適用年度において、次の金額の合計額(以下「地方事業所税額控除限度額」といいます。)の税額控除ができるというものです(措法42の12②)。ただし、離職者に係る要件を満たさない事業年度については、この措置の適用を受けることはできません(措法42の12⑦)。① 30万円(その法人の基準雇用者割合が10%以上又はその適用年度開始の日の前日における雇用者の数が零であることにつき証明がされた場合には、60万円)に、その法人のその適用年度の地方事業所基準雇用者数のうち特定新規雇用者数に達するまでの数を乗じて計
算した金額(措法42の12②一)② 20万円(その法人の基準雇用者割合が10%以上又はその適用年度開始の日の前日における雇用者の数が零であることにつき証明がされた場合には、50万円)に、新規雇用者総数から特定新規雇用者数を控除した数のうちその新規雇用者総数の40%相当数に達するまでの数とその地方事業所基準雇用者数からその新規雇用者総数を控除した数とを合計した数を乗じて計算した金額(措法42の12②二)③ 10万円(その法人の基準雇用者割合が10%以上又はその適用年度開始の日の前日における雇用者の数が零であることにつき証明がされた場合には、40万円)に、新規雇用者総数から特定新規雇用者数を控除した数のうちその新規雇用者総数の40%相当数を超える部分の数を乗じて計算した金額(措法42の12②三) この措置の適用を受ける場合における地方事業所税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の30%相当額を上限とすることとされています。この場合において、上記⑴の特定地域基準雇用者数に係る措置により調整前法人税額から控除される金額又は地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の法人税額の特別控除制度(措法42の11の 3 ②)により調整前法人税額から控除される金額がある場合には、調整前法人税額の30%相当額からこれらの控除される金額を控除した残額を上限とすることとされています(措法42の12②後段)。(注 1) 認定事業者とは、地域再生法第17条の 2
第 4項に規定する認定事業者をいいます(措
法42の12②)。(注 2) この措置の適用を受ける場合の適用年度
は、地域再生法の一部を改正する法律(平
成27年法律第49号)の施行の日(平成27年
8 月10日)から平成30年 3 月31日までの間
に地方活力向上地域特定業務施設整備計画
について地域再生法第17条の 2 第 3 項の認
定(以下「認定」といいます。)を受けた法
─�389�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
人のその認定を受けた日から同日の翌日以
後 2 年を経過する日までの期間内の日を含
む事業年度となります(措法42の12⑤一)。
ただし、合併、分割又は現物出資による設
立以外の設立の日を含む事業年度、合併に
よる解散以外の解散の日を含む事業年度及
び清算中の各事業年度は、適用年度となり
ません(措法42の12⑤一)。(注 3) 地方事業所基準雇用者数とは、地方活力
向上地域特定業務施設整備計画について認
定を受けた法人のその計画の認定に係る特
定業務施設のみをその法人の事業所とみな
した場合における基準雇用者数として証明
された数をいいます(措法42の12⑤七)。な
お、その地方事業所基準雇用者数がその適
用年度の基準雇用者数を超える場合には、
その基準雇用者数とすることとされていま
す(措法42の12②一)。(注 4) 地方活力向上地域特定業務施設整備計画
とは、地域再生法第17条の 2 第 1 項に規定
する地方活力向上地域特定業務施設整備計
画をいいます(措法42の12⑤一)。(注 5) 特定業務施設とは、地域再生法第 5 条第
4 項第 5 号に規定する特定業務施設で、地
方活力向上地域において同法第17条の 2 第
6 項に規定する認定地方活力向上地域特定
業務施設整備計画に従って整備されたもの
をいいます(措法42の12⑤五)。(注 6) 地方活力向上地域とは、地域再生法第17
条の 2 第 6 項に規定する認定地方活力向上
地域特定業務施設整備計画に係る認定をし
た同条第 1 項に規定する認定都道府県知事
が作成した同法第 8 条第 1 項に規定する認
定地域再生計画に記載されている同法第 5
条第 4 項第 5 号に規定する地方活力向上地
域をいいます。ただし、その認定地方活力
向上地域特定業務施設整備計画が同法第17
条の 2 第 1 項第 2 号に掲げる事業に関する
もの(拡充型計画)である場合には、同号
に規定する地方活力向上地域、すなわち、
産業基盤が整備されていること等の要件に
該当する地域に限ることとされています(措
法42の12⑤五)。(注 7) 特定新規雇用者数とは、その法人が受け
た認定に係る特定業務施設においてその適
用年度に新たに雇用された次の要件を満た
す雇用者でその適用年度終了の日において
その特定業務施設に勤務するものの数とし
て証明がされた数をいいます(措法42の12
②一)。
イ その法人との間で労働契約法第17条第
1 項に規定する有期労働契約以外の労働
契約を締結していること。
ロ 短時間労働者の雇用管理の改善等に関
する法律第 2 条に規定する短時間労働者
でないこと。(注 8) 新規雇用者総数とは、その法人が受けた
認定に係る特定業務施設においてその適用
年度に新たに雇用された雇用者でその適用
年度終了の日においてその特定業務施設に
勤務するものの総数として証明がされた数
をいいます(措法42の12②二)。なお、その
総数がその法人のその適用年度の地方事業
所基準雇用者数を超える場合には、その地
方事業所基準雇用者数とすることとされて
います(措法42の12②二)。(注 9) 新規雇用者総数の40%相当数は、その40
%相当数に 1 に満たない端数があるときは、
これを切り捨てた数とすることとされてい
ます(措法42の12②二)。
⑶ 地方事業所特別基準雇用者数に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する法人で地域再生法の認定事業者であるもののうち上記⑵の措置の適用を受ける又は受けたものが、その適用を受ける事業年度以後の各適用年度において、雇用保険法の適用事業を行っている場合には、その適用年度において、30万円にその法人の地方事業所特別基準雇用者数を乗じて計算した金額(以下「地方事業所特別税額控除限度
─�390�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
額」といいます。)の税額控除ができるというものです(措法42の12③)。ただし、離職者に係る要件を満たさない事業年度については、この措置の適用を受けることはできません(措法42の12⑦)。 この措置の適用を受ける場合における地方事業所特別税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の30%相当額を上限とすることとされています。この場合において、上記⑴の特定地域基準雇用者数に係る措置若しくは上記⑵の地方事業所基準雇用者数に係る措置により調整前法人税額から控除される金額又は地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の法人税額の特別控除制度(措法42の11の 3 ②)により調整前法人税額から控除される金額がある場合には、調整前法人税額の30%相当額からこれらの控除される金額を控除した残額を上限とすることとされています(措法42の12③後段)。(注 1) この措置の適用を受ける場合の適用年度
は、地域再生法の一部を改正する法律(平
成27年法律第49号)の施行の日(平成27年
8 月10日)から平成30年 3 月31日までの間
に地方活力向上地域特定業務施設整備計画
について地域再生法第17条の 2 第 3 項の認
定を受けた法人のその認定を受けた日から
同日の翌日以後 2 年を経過する日までの期
間内の日を含む事業年度となります(措法
42の12⑤一)。ただし、合併、分割又は現物
出資による設立以外の設立の日を含む事業
年度、合併による解散以外の解散の日を含
む事業年度及び清算中の各事業年度は、適
用年度となりません(措法42の12⑤一)。(注 2) 地方事業所特別基準雇用者数とは、地方
活力向上地域特定業務施設整備計画につい
て認定を受けた法人の当該適用年度及び当
該適用年度前の各事業年度のうち、その認
定を受けた日以後に終了する各事業年度の
その法人がその認定に係る地方活力向上地
域特定業務施設整備計画に従って地方活力
向上地域に移転して整備した特定業務施設
のみをその法人の事業所とみなした場合に
おける基準雇用者数として証明された数の
合計数をいいます(措法42の12⑤十二)。
なお、連結納税制度の場合についても、おおむね上記⑴から⑶までと同様の措置が講じられていますが、雇用の増加に係る要件における基準雇用者数、基準雇用者割合、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算並びに税額控除限度額の計算は、連結グループ全体で行うこととされています(措法68の15の 2 )。
2 改正の内容
⑴ 特定地域基準雇用者数に係る措置(上記 1⑴)の廃止 適用期限(平成30年 3 月31日)の到来をもって、措置が廃止されました(旧措法42の12①⑤六、旧措令27の12①②⑦、旧措規20の 7 ①③)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(旧措法68の15の 2 ①⑤六、旧措令39の45の 2 ①②⑧�一、旧措規22の29①③)。
⑵ 地方事業所基準雇用者数に係る措置(上記 1⑵)及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置(上記 1⑶)の改組 「東京一極集中の是正」というこの制度の趣旨をより明確化し、地方への本社機能の移転・地方における雇用創出のさらなる促進を図るための次の見直しが行われました。① 地方事業所基準雇用者数に係る措置(上記1 ⑵)イ 適用要件のうち雇用者の増加に係る要件の見直し 「基準雇用者数が 5 人以上(中小企業者等にあっては、 2人以上)であることにつき証明がされたこと」との要件が、「法人の適用年度の特定新規雇用者等数が 2人以上であること」との要件とされました(措法42の12①一イ)。 上記の「特定新規雇用者等数」とは、地
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
方事業所基準雇用者数のうち特定新規雇用者数に達するまでの数とその地方事業所基準雇用者数から新規雇用者総数を控除した数とを合計した数をいいます。 上記の「地方事業所基準雇用者数」とは、適用対象特定業務施設のみをその法人の事業所とみなした場合における基準雇用者数として証明された数をいい(措法42の12④六、措令27の12⑧)、「特定新規雇用者数」とは、適用対象特定業務施設において適用年度に新たに雇用された特定雇用者でその適用年度終了の日においてその適用対象特定業務施設に勤務するものの数として証明がされた数をいい(措法42の12④八、措令27の12⑨)、「適用対象特定業務施設」とは、適用年度開始の日から起算して 2年前の日からその適用年度終了の日までの間に地域再生法第17条の 2第 1項に規定する地方活力向上地域等特定業務施設整備計画(以下「地方活力向上地域等特定業務施設整備計画」といいます。)について同条第 3 項の認定(以下「計画の認定」といいます。)を受けた法人のその計画の認定に係る特定業務施設をいい(措法42の12④六、措令27の12⑧)、「特定雇用者」とは、次の要件を満たす雇用者をいいます(措法42の12④七)。イ その法人との間で労働契約法第17条第1項に規定する有期労働契約以外の労働契約を締結していること。ロ 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第 2条に規定する短時間労働者でないこと。 また、「新規雇用者総数」とは、適用対象特定業務施設において適用年度に新たに雇用された雇用者でその適用年度終了の日においてその適用対象特定業務施設に勤務するものの総数として証明がされた数をいいます(措法42の12④九、措令27の12⑩)。 すなわち、認定事業者である法人が適用年度開始の日から起算して 2年前の日以後
に受けた計画の認定に係る特定業務施設において、適用年度に新たに採用した者のうちいわゆる無期かつフルタイムの雇用者と、適用年度に新たに採用した者以外の者で純増した雇用者(つまり、適用年度の転入者)とで、 2人以上いれば、法人全体において雇用者が純増したかどうかにかかわらず、この新しい要件(「適用年度の特定新規雇用者等数が 2 人以上であること」)を満たすこととなります。 なお、既に、その特定業務施設において適用年度前に特定新規雇用者等数が 2人以上であった場合には、その特定業務施設については、その適用年度において特定新規雇用者等数が 1人であっても新しい要件を満たすこととされます(措法42の12①一イ)。特定業務施設について本措置の適用を受けられるのは、その計画の認定を受けた日以後に終了する各事業年度ですが、適用年度前のその各事業年度において法人の全雇用者数や特定業務施設の雇用者数が一度でも減少していた場合には、たとえ既に特定新規雇用者等数が 2人以上であったとしても、適用年度において新しい要件を満たすこととはされませんので、その適用年度において改めて無期かつフルタイムの新規雇用者と転入者とで 2人以上となることが必要となります。(注) 上記の「法人の適用年度の特定新規雇
用者等数が 2 人以上であること」には、
「その適用年度前の各事業年度のうち計画
の認定を受けた日以後に終了する各事業
年度のいずれかにおいてその計画の認定
に係る特定業務施設につき既に特定新規
雇用者等数が 2 人以上であったこと(そ
の各事業年度のいずれかにおいて基準雇
用者数又は地方事業所基準雇用者数が零
に満たない場合を除きます。)につき証明
がされたこと」を含むこととされていま
す(措法42の12①一イ)。具体的には、特
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
定新規雇用者等数が 2 人以上であったこ
と及びその各事業年度が基準雇用者数又
は地方事業所基準雇用者数が零に満たな
い事業年度に該当しないことについて、
その各事業年度に係るその法人の主たる
事業所の所在地を管轄する都道府県労働
局又は公共職業安定所の長がその法人に
対して交付する雇用促進計画の達成状況
を確認した旨を記載した書類で、その法
人の雇用促進計画の達成状況及び離職者
がいないかどうかと、計画の認定に係る
特定業務施設に係るその達成状況とが確
認できるものを、確定申告書等に添付す
ることが含まれることとなります(措令
27の12①、措規20の 7 ①)。
ロ 適用要件のうち給与等支給額に係る要件の緩和 「給与等支給額が比較給与等支給額以上であること」との要件における「比較給与等支給額」の算出において、「適用年度前1年以内事業年度等における給与等の支給額に基準雇用者割合を乗じて計算した金額」に乗ずる割合が20%(改正前:30%)に引き下げられました(措法42の12④十三)。ハ 移転型事業に係る特定業務施設の範囲の見直し 地域再生法の一部を改正する法律(平成30年法律第38号)による地域再生法の一部改正により、移転型事業の対象地域が「地域再生法第 5条第 4項第 5号イ又はロに掲げる地域」とされたことに伴い、移転型事業に係る特定業務施設が「地域再生法第17条の 2第 6項に規定する認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に係る計画の認定をした同条第 1項に規定する認定都道府県知事が作成した同法第 8条第 1項に規定する認定地域再生計画に記載されている同号イ又はロに掲げる地域においてその認
定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に従って整備されたもの」とされました(措法42の12④二)。 すなわち、この見直しによって、「地域再生計画において準地方活力向上地域とされた近畿圏の中心部及び中部圏の中心部において認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に従って整備されたもの」が移転型事業に係る特定業務施設の対象となりました。これにより、例えば、地域再生計画において大阪市が準地方活力向上地域とされれば、東京23区から大阪市内に本店機能を移転する場合もこの措置の適用が受けられるようになります。ニ 地方事業所税額控除限度額(改正後:税額控除限度額)の見直し 地方事業所税額控除限度額(改正後:税額控除限度額)の算出における「法人の基準雇用者割合が10%以上であること」とする基準雇用者割合に係る要件が、「法人の適用年度の基準雇用者割合が 8%以上(移転型事業にあっては、 5%以上)であること」とされた上、地方事業所税額控除限度額(改正後:税額控除限度額)は、次の場合の区分に応じそれぞれ次の金額とすることとされました(措法42の12①二)。イ 法人の適用年度の基準雇用者割合が 8%以上であること又はその適用年度開始の日の前日における雇用者の数が零であることにつき、証明がされた場合��次の金額の合計額(措法42の12①二イ、措令27の12③、措規20の 7 ②) なお、上記の「雇用者」からは、「その適用年度終了の日において高年齢雇用者に該当する者」を除くこととされています。A 60万円に、その法人のその適用年度の地方事業所基準雇用者数のうちその適用年度の特定新規雇用者数に達する
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
までの数(以下「特定新規雇用者基礎数」といいます。)を乗じて計算した金額 これは、上記 1 ⑵①の基準雇用者割合が10%以上等である場合の税額控除限度額の計算と同じ計算をするものです。上記 1 ⑵(注 3)のとおり、地方事業所基準雇用者数とあるのは、その地方事業所基準雇用者数がその適用年度の基準雇用者数を超える場合には、その基準雇用者数とすることとされています。すなわち、その法人の適用年度において増加した雇用者の数が上限となりますので、法人全体での雇用者の増加は、上記イのとおり適用要件では必要とされていませんが、実際に税額控除をするためには必須となります。B 50万円に、その法人のその適用年度の新規雇用者総数からその適用年度の特定新規雇用者数を控除した数(以下「非特定新規雇用者数」といいます。)のうちその新規雇用者総数の40%相当数に達するまでの数とその地方事業所基準雇用者数からその新規雇用者総数を控除した数とを合計した数を乗じて計算した金額 これは、上記 1 ⑵②の基準雇用者割合が10%以上等である場合の税額控除限度額の計算と同じ計算をするものです。 また、上記の「新規雇用者総数の40%相当数」は、その数に 1に満たない端数があるときは、これを切り捨てた数とすることとされています。
ロ 法人の適用年度の基準雇用者割合が 5%以上であることにつき証明がされた場合(上記イの場合を除きます。)��次の金額の合計額(措法42の12①二ロ、措令27の12③、措規20の 7 ②)
A 30万円に、特定新規雇用者基礎数を乗じて計算した金額 なお、上記の「特定新規雇用者基礎数」は、移転型特定新規雇用者数がある場合には、その特定新規雇用者基礎数のうちその移転型特定新規雇用者数に達するまでの数を加算した数とすることとされています(措法42の12①二ロ⑴)。これは、今般の改正により、基準雇用者割合に係る要件が移転型事業と拡充型事業とで異なることとなったことに対応するもので、移転型事業の場合には、その加算した後の移転型事業に係る特定新規雇用者基礎数が 2倍となる結果、その特定新規雇用者基礎数 1人当たりの税額控除額が上記 1⑵①の基準雇用者割合が10%以上等である場合の税額控除限度額(60万円)と同じになります。(注 1) 移転型特定新規雇用者数とは、
その適用年度開始の日から起算し
て 2 年前の日からその適用年度終
了の日までの間に地方活力向上地
域等特定業務施設整備計画(地域
再生法第17条の 2 第 1 項第 1 号に
掲げる事業に関するものに限りま
す。)について計画の認定を受け
たその法人のその計画の認定に係
る特定業務施設(以下「移転型特
定業務施設」といいます。)にお
いてその適用年度に新たに雇用さ
れた特定雇用者でその適用年度終
了の日においてその移転型特定業
務施設に勤務するものの数として
証明がされた数をいい、移転型特
定業務施設の新規雇用者数として
上記イと同様の書類を確定申告書
等に添付することにより証明がさ
れた数となります(措法42の12①
─�394�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
二ロ⑴、措令27の12④、措規20の
7 ③)。(注 2) 確定申告書等とは、法人税法第
2 条第30号に規定する中間申告書
で同法第72条第 1 項各号に掲げる
事項を記載したもの及び同法第
144条の 4 第 1 項各号又は第 2 項
各号に掲げる事項を記載したもの
並びに同法第 2 条第31号に規定す
る確定申告書をいいます(措法 2
②二十七)。すなわち、仮決算を
した場合の中間申告書及び確定申
告書をいい、確定申告書には、そ
の確定申告書に係る期限後申告書
を含むこととされています。
B 20万円に、非特定新規雇用者数のうちその法人のその適用年度の新規雇用者総数の40%相当数に達するまでの数とその適用年度の地方事業所基準雇用者数からその新規雇用者総数を控除して計算した数とを合計した数を乗じて計算した金額 なお、上記の「新規雇用者総数の40%相当数に達するまでの数」は移転型非特定新規雇用者数がある場合には、その40%相当数に達するまでの数のうちその移転型非特定新規雇用者数に達するまでの数に1.5を乗じた数を加算した数とし(措法42の12①二ロ⑵)、上記の「地方事業所基準雇用者数からその新規雇用者総数を控除して計算した数」は移転型非新規基準雇用者数が零を超える場合には、その計算した数のうちその移転型非新規基準雇用者数に達するまでの数に1.5を乗じた数を加算した数とすることとされています(措法42の12①二ロ⑵)。これも、上記Aと同様の調整をするもので、移転型事業の場合には、その加算した後の移
転型事業に係る新規雇用者総数の40%相当数に達するまでの数と地方事業所基準雇用者数からその新規雇用者総数を控除して計算した数とがそれぞれ2.5倍となる結果、これらの数の 1 人当たりの税額控除額が上記 1 ⑵②の基準雇用者割合が10%以上等である場合の税額控除限度額(50万円)と同じになります。(注) 移転型非特定新規雇用者数とは、
移転型特定業務施設においてその適
用年度に新たに雇用された雇用者で
その適用年度終了の日においてその
移転型特定業務施設に勤務するもの
の総数として証明がされた数(以下
「移転型新規雇用者総数」といいま
す。)から移転型特定新規雇用者数
を控除した数のうちその非特定新規
雇用者数に達するまでの数をいい、
移転型非新規基準雇用者数とは、移
転型特定業務施設のみをその法人の
事業所とみなした場合におけるその
適用年度の基準雇用者数として証明
がされた数からその移転型新規雇用
者総数を控除した数をいいます。な
お、証明については、上記イと同様
となります(措法42の12①二ロ⑵、
措令27の12⑥、措規20の7③)。
ハ 上記イ及びロの場合以外の場合��次の金額の合計額A 30万円に、特定新規雇用者基礎数を乗じて計算した金額B 20万円に、上記イBに規定する合計した数を乗じて計算した金額
上記 1 ⑵①及び②における基準雇用者割合が10%以上等である場合に該当しない場合の税額控除限度額の計算と同じ計算をするものです。 なお、上記 1 ⑵③は、廃止されました
─�395�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(旧措法42の12②三)。ホ 地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(前述五)の適用年度と同一の事業年度におけるこの措置の適用停止及び税額控除額の上限の見直し 特定地域基準雇用者数に係る措置(上記⑴)の廃止に伴い、この措置及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置(下記②)が「地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度」に改組され、この措置は、次の制度の適用を受ける事業年度については、適用しないこととされました(措法42の12⑥)。イ 地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(措法42の11の 3 ①②)ロ 上記イの制度に係る特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例(措法52の 2 ①④)ハ 上記イの制度に係る準備金方式による特別償却(特別償却準備金)制度(措法52の 3 ①~③⑪⑫) なお、この見直しに伴い、税額控除額の上限が、この措置及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置(下記②)の合計(改正前:この措置、特定地域基準雇用者数に係る措置(上記⑴)、地方事業所特別基準雇用者数に係る措置(下記②)及び地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(前述五)における税額控除の合計)とされた上、当期の調整前法人税額の20%(改正前:30%)相当額に引き下げられました(措法42の12①後段)。ヘ 認定期限の延長 措置の適用の前提となる地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定期限が、
平成32年 3 月31日まで 2年延長されました(措法42の12①)。
(注) 関係法令については、下記の(参考 1)
から(参考 4)までをご参照ください。② 地方事業所特別基準雇用者数に係る措置(上記 1 ⑶)イ 移転型事業に係る特定業務施設の範囲の見直し 上記①ハのとおり、地域再生法の一部を改正する法律(平成30年法律第38号)による地域再生法の一部改正に伴い、移転型事業に係る特定業務施設が「地域再生法第17条の 2第 6項に規定する認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に係る計画の認定をした同条第 1項に規定する認定都道府県知事が作成した同法第 8条第 1項に規定する認定地域再生計画に記載されている同号イ又はロに掲げる地域においてその認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に従って整備されたもの」とされ(措法42の12④二)、移転型事業に係る特定業務施設に「準地方活力向上地域とされた近畿圏の中心部及び中部圏の中心部において認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に従って整備されたもの」が追加されました。(注) 関係法令については、下記の(参考
1)をご参照ください。ロ 地方事業所特別税額控除限度額の見直し 地方事業所特別税額控除限度額は、「30万円にその法人のその適用年度の地方事業所特別基準雇用者数を乗じて計算した金額」とされていますが、その計画の認定に係る特定業務施設が準地方活力向上地域内にある場合には、「20万円に準地方活力向上地域内にある特定業務施設に係るその法人のその適用年度の地方事業所特別基準雇用者数を乗じて」地方事業所特別税額控除限度額を計算とすることとされました(措
─�396�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
法42の12②、措令27の12⑲)。 なお、適用年度が 1年に満たない法人である場合には、改正前と同様に上記の「20万円」について、「20万円にその適用年度の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額」に調整することとされています(措法42の12③)。ハ 税額控除額の上限の見直し等 税額控除額の上限が、当期の調整前法人税額の20%(改正前:30%)相当額に引き下げられました(措法42の12②後段)。 なお、移転型事業に係る特例として、この措置の適用年度において、この措置と前述「五 地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」の両方の適用ができることとされており、前述「五 地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」の適用を選択して改正後の上記①の措置の適用ができない場合であっても、その上記①の措置の要件を満たす場合には、この措置の適用が可能となる改正が行われたほか、要件適格法人及び要件適格連結法人の適用に係る所要の規定の整備が行われています(措法42の12②)。(注) 要件適格法人とは、「地方活力向上地域
等において特定建物等を取得した場合の
特別償却又は法人税額の特別控除制度
(措法42の11の 3 ①②)(この制度に係る
「特別償却不足額がある場合の償却限度額
の計算の特例(措法52の 2 ①④)」又は
「準備金方式による特別償却(特別償却準
備金)制度(措法52の 3 ①~③⑪⑫)」を
含みます。)」の適用を受ける事業年度に
おいてその適用を受けないものとしたな
らば「地方事業所基準雇用者数に係る措
置(措法42の12①)」の適用があるものを
いい、要件適格連結法人とは、「地方活力
向上地域等において特定建物等を取得し
た場合の特別償却又は法人税額の特別控
除制度(措法68の15①②)(この制度に係
る「特別償却不足額がある場合の償却限
度額の計算の特例(措法68の40①④)」又
は「準備金方式による特別償却(特別償
却準備金)制度(措法68の41①~③⑪
⑫)」を含みます。)」の適用を受けた連結
事業年度においてその適用を受けないも
のとしたならば「地方事業所基準雇用者
数に係る措置(措法68の15の 2 ①)」の適
用があるもの又はその適用を受けたもの
をいいます。
ニ 認定期限の延長 措置の適用の前提となる地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定期限が、平成32年 3 月31日まで 2年延長されました(措法42の12②)。
③ 上記①又は②の措置の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定の所要の整備 税額控除の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定については、各税額控除制度において法人税法及び地方法人税法の規定の読替え規定が設けられているところですが、研究開発税制において調整についての規定をし、上記①又は②の措置においてはその規定を準用する規定を設けることとされました(措法42の12⑩)。(注) 上記の改正の詳細については、後述「十
その他の税額控除制度」の 2をご参照く
ださい。
④ 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記①から③までと同様の改正が行われていますが、地方事業所税額控除限度額(改正後:税額控除限度額)の算定の基礎となる全体の人数のほか、それぞれの区分に応じた税額控除額の算定の基礎となる人数については、連結グル
─�397�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ープ全体で計算することとされています(措法68の15の 2 ①~④⑥⑩、旧措法68の15の 2②三、措令39の45の 2 ①③~⑥⑨~⑪�、措規22の29①~③)。 なお、次のイ及びロついて留意してください。イ 地方事業所税額控除限度額(改正後:税額控除限度額)の計算 税額控除限度額の計算に関する所要の改正は、単体納税制度と同様ですので、基本的な計算構造(個社で計算した特定新規雇用者数等を連結全体で合計した数を基礎として計算)に変更はありません(措法68の15の 2 ①二)。ただし、基準雇用者割合に
係る要件について移転型事業と拡充型事業とで異なることとなった結果、基準雇用者割合が 5%以上 8%未満である場合の税額控除限度額の計算において、その上限となる連結全体の地方事業所基準雇用者数の合計数を、①移転型事業に係る特定業務施設の特定新規雇用者数、②拡充型事業に係る特定業務施設の特定新規雇用者数、③移転型事業に係る特定業務施設の非特定新規雇用者数の一定数、④拡充型事業に係る��と順次先取りしていく少し複雑な計算とされました(措法68の15の 2 ①二ロ)。次の計算イメージを参考にしてください。
(参考)基準雇用者割合 5%以上 8%未満の場合の税額控除額の計算イメージ
ロ 税額控除額の個別帰属額の計算 上記イの改正に伴い、税額控除額の個別帰属額の計算について整備されました(措令39の45の 2 �一)。なお、地方事業所特
別基準雇用者数に係る措置の適用を受けた場合については、これまで連結グループにおける地方事業所特別基準雇用者数の比で計算していましたが、個社の地方事業所特
連結法人 事業所類型
A(移転型)
B(拡充型)
C(その他)
D(移転型)
E(拡充型)
F(その他)
A+D(移)
B+E(拡)
C+F(他)
グループ全体
甲社 計
乙社 計
甲
乙
計
無期かつフルタイム
非正規のうち、新規雇用者総数の40%以下
非正規のうち、新規雇用者総数の40%超
転入者⑦-⑥
(差引概念)
離職者又は転出者
新規雇用者総数①+②+③
基準雇用者数(前期末からの純増)
基準雇用者数(前期末からの純増)
基準雇用者数の合計(前期末からの純増)
基準雇用者数・地方事業所基準雇用者数
1人当たり控除額と
ダブルカウント等
@30万円移転型施設の人数を加算
(事実上@60万円)
@20万円移転型施設の人数×1.5を加算
(事実上@50万円)
@20万円移転型施設の人数×1.5を加算
(事実上@50万円)
調整地方事業所基準雇用者数(※)を上限としてA①から順に該当人数を先取り
調整地方事業所基準雇用者数(※)を上限としてD①から順に該当人数を先取り
特定新規雇用者基礎数
個別対象非特定新規雇用者数の合計
個別非新規基準雇用者数の合計
移転型新規雇用者総数
移転型施設のみの基準雇用者数相当
※調整地方事業所基準雇用者数(基準雇用者数を上限)
※調整地方事業所基準雇用者数(基準雇用者数を上限)
※地方事業所基準雇用者数の合計(基準雇用者数の合計を上限)
移転型新規雇用者総数
移転型施設のみの基準雇用者数相当
移転型施設のみの基準雇用者数相当
個別移転型特定新規雇用者数の合計
個別移転型非特定新規雇用者数の合計
個別移転型非新規基準雇用者数の合計
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦
ゼロ
地方事業所基準雇用者数の合計(※)を上限として(A+D)①から順に該当人数を先取り
特定新規雇用者数
個別対象非特定新規雇用者数
個別非新規基準雇用者数
─�398�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
別基準雇用者数を基礎に計算した税額控除相当額の比で計算することとされました(措令39の45の 2 �二)。また、上記②ロの見直しに伴い、準地方活力向上地域内にある特定業務施設については、20万円にその特定業務施設に係る地方事業所特別基準雇用者数を乗じて計算することとされています(措令39の45の 2 �二イ)。
⑶ その他関係法令の改正 地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定基準のうち、「常時雇用する従業員の数」に関する要件及び「常時雇用する従業員」に関する要件について、見直しが行われました(地再規32、33)。(注) 上記の見直しの詳細及び適用関係について
は、前述「五 地方活力向上地域において特
定建物等を取得した場合の特別償却又は法人
税額の特別控除制度」の 2 ⑷及び 3 ⑵をご参
照ください。(参考 1) 地域再生法(平成17年法律第24号)
(地域再生計画の認定)
第 5条 省 略
2・ 3 省 略
4 第 2 項第 2 号に掲げる事項には、次に
掲げる事項を記載することができる。
一~四 省 略
五 次に掲げる地域において、本店又は
主たる事務所その他の地域における就
業の機会の創出又は経済基盤の強化に
資するものとして内閣府令で定める業
務施設(工場を除く。以下「特定業務
施設」という。)を整備する事業(以下
「地方活力向上地域等特定業務施設整備
事業」という。)に関する事項
イ 地方活力向上地域(産業及び人口
の過度の集中を防止する必要がある
地域及びその周辺の地域であって政
令で定めるもの(以下この号及び第
17条の 2 第 1 項第 1 号において「集
中地域」という。)以外の地域であり、
かつ、当該地域の活力の向上を図る
ことが特に必要な地域をいう。以下
同じ。)
ロ 準地方活力向上地域(集中地域の
うち、人口の過度の集中を是正する
必要がある地域及びその周辺の地域
であって政令で定めるもの以外の地
域であり、かつ、当該地域の活力の
向上を図ることが特に必要な地域を
いう。以下同じ。)
六~十五 省 略
5~18 省 略
(報告の徴収)
第 8 条 内閣総理大臣は、第 5 条第15項の
認定(前条第 1 項の変更の認定を含む。
以下同じ。)を受けた地方公共団体(以下
「認定地方公共団体」という。)に対し、
認定地域再生計画(認定地域再生計画の
変更があったときは、その変更後のもの。
以下同じ。)の実施の状況について報告を
求めることができる。
2 省 略
(地方活力向上地域等特定業務施設整備計
画の認定等)
第17条の 2 都道府県が作成した地域再生
計画(地方活力向上地域等特定業務施設
整備事業が記載されたものに限る。)が第
5 条第15項の認定を受けたときは、当該
認定の日以後は、地方活力向上地域等特
定業務施設整備事業であって次に掲げる
ものを実施する個人事業者又は法人は、
内閣府令で定めるところにより、当該地
方活力向上地域等特定業務施設整備事業
の実施に関する計画(以下この条におい
て「地方活力向上地域等特定業務施設整
備計画」という。)を作成し、当該地方活
力向上地域等特定業務施設整備計画が適
─�399�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
当である旨の認定地方公共団体である都
道府県の知事(以下この条において「認
定都道府県知事」という。)の認定を申請
することができる。
一 集中地域のうち特定業務施設の集積
の程度が著しく高い地域として政令で
定めるものから特定業務施設を認定地
域再生計画に記載されている地方活力
向上地域又は準地方活力向上地域に移
転して整備する事業
二 認定地域再生計画に記載されている
地方活力向上地域(産業基盤が整備さ
れていることその他の内閣府令で定め
る要件に該当するものに限る。)におい
て特定業務施設を整備する事業(前号
に掲げるものを除く。)
2 省 略
3 認定都道府県知事は、第 1 項の規定に
よる認定の申請があった場合において、
その地方活力向上地域等特定業務施設整
備計画が次に掲げる基準に適合すると認
めるときは、その認定をするものとする。
一 認定地域再生計画に適合するもので
あること。
二 常時雇用する従業員の数が内閣府令
で定める数以上であることその他従業
員に関し内閣府令で定める要件に適合
するものであること。
三 円滑かつ確実に実施されると見込ま
れるものであること。
4・ 5 省 略
6 認定都道府県知事は、認定事業者が認
定地方活力向上地域等特定業務施設整備
計画(第 4 項の規定による変更の認定が
あったときは、その変更後のもの。以下
同じ。)に従って地方活力向上地域等特定
業務施設整備事業を実施していないと認
めるときは、その認定を取り消すことが
できる。
(参考 2) 地域再生法施行令(平成17年政令第151
号)
(産業及び人口の過度の集中を防止する必
要がある地域及びその周辺の地域等)
第 5 条 法第 5 条第 4 項第 5 号イの政令で
定める地域は、平成30年 4 月 1 日におけ
る次に掲げる区域とする。
一 首都圏整備法(昭和31年法律第83号)
第 2 条第 3 項に規定する既成市街地及
び同条第 4項に規定する近郊整備地帯
二・三 省 略
2 法第 5 条第 4 項第 5 号ロの政令で定め
る地域は、平成30年 4 月 1 日における前
項第 1号に掲げる区域とする。(参考 3) 労働契約法(平成19年法律第128号)
(契約期間中の解雇等)
第17条 使用者は、期間の定めのある労働
契約(以下この章において「有期労働契
約」という。)について、やむを得ない事
由がある場合でなければ、その契約期間
が満了するまでの間において、労働者を
解雇することができない。
2 省 略(参考 4) 短時間労働者の雇用管理の改善等に関
する法律(平成 5年法律第76号)
(定義)
第 2条 この法律において「短時間労働者」
とは、 1 週間の所定労働時間が同一の事
業所に雇用される通常の労働者(当該事
業所に雇用される通常の労働者と同種の
業務に従事する当該事業所に雇用される
労働者にあっては、厚生労働省令で定め
る場合を除き、当該労働者と同種の業務
に従事する当該通常の労働者)の 1 週間
の所定労働時間に比し短い労働者をいう。
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴並びに⑵①(ハ及びヘを除きます。)、②ロ及びハ並びに③の改正は、法人の平成30年
─�400�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正法附則86)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正法附則107①)。この場合において、同日以後に改正前の制度の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法との調整規定については、研究開発税制において定められた調整規定を準用することとされています(改正法附則91④)。また、同日以後に改正前の制度の適用がある場合の外国子会社合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法66の 7 ⑨)及びコーポレート・インバージョン対策合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法66の 9 の 3 ⑨)の適用に係る所要の読替え規定が設けられています(改正法附則91⑤⑥)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則107⑤~⑦、改正措令附則35)。 なお、平成30年 4 月 1 日前に地域再生法第17条の 2第 3項の認定を受けた法人(同日以後に同項の認定(同条第 4項の規定による変更の認定を含みます。)を受けた法人を除きます。以下「特定認定法人」といいます。)が、同日以後に開始する適用年度において改正前の基準雇用者数に係る要件(基準雇用者数が 5 人以上(中小企業者等にあっては、 2 人以上)であることにつき証明がされたこと)及び旧給与等支給額に係る要件(給与等支給額が旧比較給与等支給額以上であること)を満たす場合には、その適用年度における改正後の地方事業所基準雇用者数に係る措置及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置の適用については、次によることとする経過措置が設けられています(改正法
附則91①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則107②)。① 改正後の特定新規雇用者等数に係る要件(特定新規雇用者等数が 2 人以上であること)及び給与等支給額に係る要件(給与等支給額が比較給与等支給額以上であること)を満たすものとします。② 改正後の税額控除額の上限(当期の調整前法人税額の20%相当額)は、「地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の法人税額の特別控除」の適用によりその調整前法人税額から控除される金額がある場合には、その金額を控除した残額とするとともに、改正後の税額控除限度額の算出における基準雇用者割合に係る要件を、適用年度の基準雇用者割合が10%以上であることにつき証明がされた場合とその場合以外の場合として、その算出をすることとします。③ 改正後の税額控除限度額の算出における「移転型事業に係る基準雇用者割合に係る要件(適用年度の基準雇用者割合が 5%以上であることにつき証明がされた場合)」及び同一事業年度における「地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」の不適用措置は、適用しないこととします。(注) 上記の経過措置は、特定認定法人につい
ては、おおむね改正前の地方事業所基準雇
用者数に係る措置及び地方事業所特別基準
雇用者数に係る措置を適用できることとす
るものです。
この経過措置は、確定申告書等に添付される「地方事業所基準雇用者数に係る措置及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置の適用による控除の対象となる地方事業所基準雇用者数又は地方事業所特別基準雇用者数、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類」に、この経過措置の適用を受ける旨の記載がある場合に限り、適用することとされて
─�401�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
います(改正法附則91②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則107③)。 また、平成30年 4 月 1 日から地域再生法の一部を改正する法律(平成30年法律第38号)の施行の日(平成30年 6 月 1 日)の前日までの間における地方事業所基準雇用者数に係る措置及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置の適用について、所要の読替え規定が設けられています(改正法附則91③、改正措規附則22)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則107④、改正措規附則28)。⑵ 上記 2 ⑵①ハ及び②イの改正は、地域再生法の一部を改正する法律(平成30年法律第38号)の施行の日(平成30年 6 月 1 日)から施行されています(改正法附則 1十五)。(注 1) 地域再生法の一部を改正する法律(平成
30年法律第38号)の施行の日は、平成30年
4 月 1 日又は同法の公布の日(平成30年 6
月 1 日)のいずれか遅い日とされているこ
とから(地再法改正法附則 1)、同法の公布
の日(平成30年 6 月 1 日)となります。(注 2) 地域再生法の一部を改正する法律(平成
30年法律第38号。以下「地域再生法改正法」
といいます。)附則において、地域再生法改
正法の施行の際現に地域再生法改正法によ
る改正前の地域再生法(以下「旧地域再生
法」といいます。)第 5条第15項の認定(旧
地域再生法第 7 条第 1 項の変更の認定を含
みます。)を受けている旧地域再生法第 5条
第 4 項第 5 号に規定する地方活力向上地域
特定業務施設整備事業が記載された地域再
生計画は、地域再生法改正法による改正後
の地域再生法(以下「新地域再生法」とい
います。)第 5条第15項の認定を受けた同条
第 4 項第 5 号に規定する地方活力向上地域
等特定業務施設整備事業が記載された地域
再生計画とみなすこととされ(地再法改正
法附則 2①)、地域再生法改正法の施行の際
現に旧地域再生法第17条の 2 第 3 項の認定
(同条第 4 項の変更の認定を含みます。)を
受けている同条第 1 項に規定する地方活力
向上地域特定業務施設整備計画及びこれに
従って実施されている旧地域再生法第 5 条
第 4 項第 5 号に規定する地方活力向上地域
特定業務施設整備事業は、それぞれ新地域
再生法第17条の 2 第 3 項の認定を受けた同
条第 1 項に規定する地方活力向上地域等特
定業務施設整備計画及びこれに従って実施
される新地域再生法第 5 条第 4 項第 5 号に
規定する地方活力向上地域等特定業務施設
整備事業とみなすこととされています(地
再法改正法附則 2②)。したがって、旧地域
再生法の認定を受けている法人であっても、
特段の手続きを経ることなく、改正後の地
方事業所基準雇用者数に係る措置及び地方
事業所特別基準雇用者数に係る措置の適用
を受けることができます。なお、平成30年
4 月 1 日から地域再生法改正法の施行の日
までの間に旧地域再生法の認定を受ける法
人については、上記⑴の経過措置の適用が
ないことに留意が必要です。
七� 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(所得拡大促進税制)(改正後:給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除制度)
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人の平成
25年 4 月 1 日から平成30年 3 月31日までの間に開始する各事業年度における雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が増加
─�402�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
促進割合以上である場合において、次の⑴及び⑵の要件を満たすときは、その事業年度の所得に対する法人税額からその雇用者給与等支給増加額の10%相当額(⑵②の要件を満たす法人にあっては、その雇用者給与等支給増加額のうちその法人の雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額に 2%(その法人が中小企業者等である場合には、12%)を乗じて計算した金額を加算した金額。以下「税額控除限度額」といいます。)を控除することができるというものです(措法42の12の 5 ①)。⑴ 雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること。⑵ 次に掲げる法人の区分に応じそれぞれ次の要件を満たすこと。① 中小企業者等��平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること。② ①に掲げる法人以外の法人��平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が 2%以上であること。
この税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の10%(その法人が中小企業者等である場合には、20%)相当額を上限とすることとされています(措法42の12の 5 ①後段)。(注 1) 雇用者給与等支給増加額とは、雇用者給与
等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除
した金額をいいます(措法42の12の 5 ①)。(注 2) 雇用者給与等支給額とは、本制度の適用を
受けようとする事業年度(以下「適用年度」
といいます。)の所得の金額の計算上損金の額
に算入される国内雇用者に対する給与等の支
給額をいい、国内雇用者とは、法人の使用人
のうちその法人の国内に所在する事業所につ
き作成された労働基準法第108条に規定する賃
金台帳に記載された者をいい、この使用人か
らは、その法人の役員と特殊の関係のある者
及びその法人の使用人としての職務を有する
役員を除くこととし、この給与等の支給額は、
その給与等に充てるため他の者から支払を受
ける金額がある場合には、その金額を控除す
るとともに、他の者には、その法人との間に
連結完全支配関係がある他の連結法人及びそ
の法人が外国法人である場合の法人税法第138
条第 1 項第 1 号に規定する本店等を含むこと
とされています(措法42の12の 5 ②一~三、
措令27の12の 5 ④⑤)。(注 3) 基準雇用者給与等支給額とは、平成25年 4
月 1 日以後に開始する各事業年度のうち最も
古い事業年度開始の日の前日を含む事業年度
の所得の金額の計算上損金の額に算入される
国内雇用者に対する給与等の支給額をいいま
す(措法42の12の 5 ②四)。(注 4) 増加促進割合とは、次の適用年度の区分に
応じそれぞれ次の割合をいいます(措法42の
12の 5 ②五)。
① 平成27年 4月 1日前に開始する適用年度
2%
② 平成27年 4 月 1 日から平成28年 3 月31日
までの間に開始する適用年度 3%
③ 平成28年 4 月 1 日から平成29年 3 月31日
までの間に開始する適用年度 4 %(その
法人が中小企業者等である場合には、3%)
④ ①から③まで以外の適用年度 5 %(そ
の法人が中小企業者等である場合には、 3
%)(注 5) 比較雇用者給与等支給額とは、適用年度開
始の日の前日を含む事業年度(以下「前事業
年度」といいます。)の所得の金額の計算上損
金の額に算入される国内雇用者に対する給与
等の支給額をいいます(措法42の12の 5 ②六)。(注 6) 平均給与等支給額とは、適用年度の継続雇
用者に対する給与等の支給額をこれに係る給
与等支給者数で除して計算した金額をいい、
継続雇用者とは、適用年度及び前事業年度に
おいて、給与等の支給を受けた国内雇用者を
いいます(措法42の12の 5 ②八、措令27の12
の 5 ⑭⑮)。
─�403�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(注 7) 比較平均給与等支給額とは、前事業年度の
継続雇用者に対する給与等の支給額をこれに
係る給与等支給者数で除して計算した金額を
いいます(措法42の12の 5 ②九、措令27の12
の 5 ⑯⑰)。(注 8) 中小企業者等とは、租税特別措置法第42条
の 4 第 3 項に規定する中小企業者又は農業協
同組合等をいいます(措法42の12の 5 ②七)。
なお、連結納税制度の場合についても、おおむね同様の措置が講じられていますが、雇用者給与等支給額の増加に係る要件及び上記⑴の要件の判定、上記⑵の要件における平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の計算並びに税額控除限度額の計算は、連結グループ全体で行うこととされています(措法68の15の 6 )。
2 改正の経緯及び趣旨
我が国におけるデフレ脱却と経済再生に向けたこれまでの政府の取組により、足元では、雇用・所得環境は大きく改善してきていますが、この経済の成長軌道を確かなものとするためには、最大の課題である少子高齢化の克服が不可欠といえます。 そこで政府は、「新しい経済政策パッケージ(平成29年12月 8 日閣議決定)」の中で、「人づくり革命」と「生産性革命」とをその克服に向けた車の両輪として位置づけ、これを断行することとしました。この「生産性革命」では、2020年までを「生産性革命・集中投資期間」として、大胆な税制等により、①労働生産性(一人あたり、一時間あたりの実質 GDP)の年 2 %向上、②対2016年度比で日本の設備投資額を10%増加、③2018年度以降 3%以上の賃上げ、といった目標の達成を目指しており、世界に先駆けて「生産性革命」を実現しようとしています。 特に、企業の収益性向上・投資促進による生産性革命の実現に当たっては、①「賃上げや設備投資に積極的な企業に対しては、法人の利益に対する実質的な税負担を、国際競争において十分に戦
える程度まで軽減する。特に、人材投資に真摯に取り組む企業については負担軽減を深掘りする。」、②「さらに、賃上げを行いつつ、革新的な技術を用いて生産性の向上に果敢に挑戦する企業に対しては、実質的な税負担を、思い切って世界で打ち勝つことができる程度まで軽減する。」、③「他方、企業収益が過去最高となる中で、賃上げや投資に消極的な企業に対しては、果断な経営判断を促すための税制措置を講じる。」、こととされました。 こうした政府の方針を受け、上記①に対応すべく「賃上げ及び投資の促進に係る税制」により実質的な税負担割合を25%まで引き下げることと、さらに上記②に対応すべく「情報連携投資等の促進に係る税制」により実質的な税負担割合を20%まで引き下げることと、また上記③に対応すべく「租税特別措置の適用要件の見直し」により生産性の向上に関する措置の適用を制限することとされました。 そして、平成25年度税制改正において創設され、その後累次の改正が行われてきた所得拡大促進税制が平成30年 3 月末に適用期限を迎えることから、これを「賃上げ及び投資の促進に係る税制」として、「賃上げや設備投資に積極的な企業に対して、実質的な税負担割合を25%まで引き下げる」ことが可能な制度へと改組することとされました。
3 改正の内容
「賃上げ及び投資の促進に係る税制」として、本制度(所得拡大促進税制)が次のとおり改組されました。これにより、主たる適用要件が、基準年度比の給与総額の増加要件から前年度比の給与水準の増加要件へと変更され、企業の賃金引上げをより後押しする一方、大法人にあっては一定以上の国内設備投資が求められるとともに、基準年度からの給与総額の増加額ではなく、前年度からの給与総額の増加額に対して一定の税額控除ができる制度とされました。特に、大法人の税額控除限度額が法人税額の20%(改正前:10%)相当額まで引き上げられ、実質的な税負担の軽減がより
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
図られました。⑴ 青色申告書を提出する法人が、平成30年 4 月1 日から平成33年 3 月31日までの間に開始する各事業年度(設立事業年度等を除きます。)において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、次の①及び②の要件を満たすとき(雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以下である場合を除きます。)は、その法人の給与等支給増加額の15%相当額の税額控除ができることとされました。この場合において、その法人の教育訓練費の額から比較教育訓練費の額を控除した金額が比較教育訓練費の額の20%相当額以上である場合には、給与等支給増加額の20%相当額の税額控除ができることとされています。なお、税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています。① その法人の継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が 3%以上であること。② その法人の国内設備投資額が当期償却費総額の90%相当額以上であること。
⑵ 青色申告書を提出する中小企業者等が、平成30年 4 月 1 日から平成33年 3 月31日までの間に開始する各事業年度(設立事業年度等を除きます。)において国内雇用者に対して給与等を支給する場合(上記⑴の措置の適用を受ける場合を除きます。)において、その中小企業者等の継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が1.5%以上であるとき(雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以下である場合を除きます。)は、その中小企業者等の給与等支給増加額の15%相当額の税額控除ができることとされました。この場合において、次の①及び②の要件を満たす場合には、給与等支給増加額の25%相当額の税額控除ができることとされています。なお、税額
控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています。① 中小企業者等の継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が2.5%以上であること。② 次のいずれかの要件を満たすこと。イ 中小企業者等の教育訓練費の額から中小企業比較教育訓練費の額を控除した金額が中小企業比較教育訓練費の額の10%相当額以上であること。ロ 中小企業者等がその事業年度終了の日までにおいて中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされたこと。
なお、具体的には、次のとおりとされています。
⑴ 法人が給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度① 適用対象法人 この措置の適用対象となる法人は、青色申告書を提出する法人に限定されているほか、特段の要件はありません(措法42の12の 5①)。したがって、外国法人、公益法人等及び人格のない社団等も適用対象法人となります。なお、実質的に改組前の制度と変更はないこととなります。(注) 中小企業者等であっても、当然この⑴の
措置の適用ができますが、中小企業比較教
育訓練費の額が比較教育訓練費の額を超え
ることにより、この⑴の措置の税額控除割
合の上乗せ措置の適用はあるものの下記⑵
の措置の税額控除割合の上乗せ措置の適用
はない場合以外には、中小企業者等がこの
措置を適用するメリットはありません。
② 適用事業年度 この措置は、平成30年 4 月 1 日から平成33年 3 月31日までの間に開始する各事業年度に
─�405�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
おいて適用できることとされています。すなわち、その各事業年度のそれぞれが適用事業年度となります。ただし、次の事業年度は、除外されています(措法42の12の 5 ①)。イ 設立事業年度 法人の設立の日を含む事業年度をいいますが、次の法人にあっては、それぞれ次の事業年度とされています(措法42の12の 5③一)。イ 外国法人��恒久的施設を有することとなった日を含む事業年度ロ 公益法人等及び人格のない社団等��新たに収益事業を開始した日を含む事業年度ハ 収益事業を行っていない公益法人等に該当していた普通法人又は協同組合等��その普通法人又は協同組合等に該当することとなった日を含む事業年度
ロ 解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度ハ 清算中の各事業年度 改組により、イの設立事業年度が新たに適用事業年度から除外されましたが、平成29年度改正における本制度の要件の見直しによって、既に大法人にあっては実質的に設立事業年度が適用対象外とされていたことから、これを明確化したものといえます。③ 適用要件 この措置は、適用対象法人が、適用事業年度において、次のイからニまでの全ての要件を満たす場合に適用できることとされています(措法42の12の 5 ①)。イ 国内雇用者に対して給与等を支給すること。 国内雇用者は、具体的には、適用対象法人の国内に所在する事業所について作成された労働基準法に規定する賃金台帳に記載された者とされていますが、役員やその親族等、さらに使用人兼務役員が除かれるこ
と、日々雇い入れられる者が含まれること等、改組前とその範囲に変更はありません(措法42の12の 5 ③二、措令27の12の 5 ③④)。 また、給与等とは、俸給、給与、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与をいいますが、こちらも改組前と同様です(措法42の12の 5 ③三)。 なお、国内雇用者がいない、休業中などの理由により国内雇用者に対する給与等の支給が発生していない場合は、改組前と同様に、当然にこの要件を満たさないこととなります。ロ 継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が3%以上であること。 継続雇用者給与等支給額とは、継続雇用者に対する適用事業年度の給与等の支給額をいい、継続雇用者比較給与等支給額とは、その継続雇用者に対する前事業年度等の給与等の支給額をいいます(措法42の12の 5③六・七)。(注 1) 上記の前事業年度等とは、上記②の
適用事業年度開始の日の前日を含む事
業年度をいい、その適用事業年度開始
の日の前日を含む事業年度が連結事業
年度に該当する場合には、その適用事
業年度開始の日の前日を含む連結事業
年度とされています(措法42の12の 5
③六)。(注 2) 給与等の支給額は、その給与等に充
てるため他の者から支払を受ける金額
ある場合には、その金額を控除した金
額とされています(措法42の12の 5 ③
四)。なお、他の者には、適用対象法人
との間に連結完全支配関係がある他の
連結法人が、また、適用対象法人が外
国法人である場合の法人税法第138条第
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
1 項第 1 号に規定する本店等が、含ま
れます。
すなわち、適用事業年度における継続雇用者に対する給与等の支給額が、その前事業年度等の継続雇用者に対する給与等の支給額の103%相当額以上であることがこのロの要件となります。このとき、前事業年度等の継続雇用者に対する給与等の支給額が零である場合(つまり、その給与等の支給額がない場合)には、このロの要件を満たさないものとすることとされています(措令27の12の 5 �一)ので、その場合はこの措置の適用ができないこととなります。 このロの要件は、改組前において「平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が 2%以上であること」とされていた要件について、より高い賃金引上げを行う企業を支援する制度とする今般の改正の趣旨を踏まえて見直されたものです。ところで、「平均」といった言葉が使用されなくなったのは、後述するように、今般の改組によって、比較する給与等の支給額が、同一の継続雇用者の同等の期間に応じた給与等の支給額となったため、一人当たりかつ一月当たりへの換算が不要になったためです。 なお、後述しますが、このロの要件においては、他の要件と異なり、適用事業年度やその前事業年度等において合併等の組織再編成が行われている場合であっても、その組織再編成に基因する継続雇用者比較給与等支給額の調整等は行わないこととされています。これは、改組前も同様でしたが、継続雇用者が適用対象法人の国内雇用者として実際に給与等の支給がある者とされ、同一の継続雇用者の給与等の支給額の前年度からの増加要件であることから、調整の必要がないと考えられることによるもので
す。イ 継続雇用者 適用対象法人の適用事業年度及び前事業年度等の期間内の各月においてその適用対象法人の給与等の支給を受けた国内雇用者をいいます。具体的には、適用対象法人の国内雇用者のうち、次の区分に応じそれぞれ次のとおりとされています(措法42の12の 5 ③六、措令27の12の 5⑬)。なお、ここでの国内雇用者とは、一般被保険者に該当するものに限るものとされ、継続雇用制度の対象である者を除くこととされています。(注) 一般被保険者とは、雇用保険法第60
条の 2 第 1 項第 1 号に規定する一般被
保険者をいい、継続雇用制度の対象で
ある者は、適用対象法人の就業規則に
おいて高年齢者等の雇用の安定等に関
する法律第 9 条第 1 項第 2 号に規定す
る継続雇用制度を導入している旨の記
載があり、かつ、雇用契約書等又は賃
金台帳にその継続雇用制度に基づき雇
用されている者である旨の記載がある
場合のその雇用されている者とされて
います(措令27の12の 5 ⑬、措規20の
10②)。いずれも、改組前と変更はあり
ません。
A 適用事業年度の月数=前事業年度等の月数 適用対象法人の国内雇用者としてその適用事業年度及び前事業年度等の期間内の各月分の適用対象法人の給与等の支給を受けた者とされています(措令27の12の 5 ⑬一)。すなわち、適用事業年度が 1年決算である場合には、トータル 2年間にわたり、毎月、給与等の支給がある国内雇用者ということになります。なお、「各月分の��給与等」とありますので、例えば、支給
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
日が月末の場合において、曜日の関係でその支払が翌月となるようなときであっても、各月に給与等の支給があるものと考えます。(注) 前事業年度等が設立事業年度に該
当する場合には、その設立の日から
設立事業年度終了の日までの期間を
前事業年度等とすることとされてい
ますが、これは、外国法人である人
格のない社団等が収益事業を開始し
た場合において、その収益事業を開
始した日を含む事業年度の開始の日
からその収益事業を開始した日の前
日までの期間を判定の対象外とする
ことに実質的な意味があるものです。
なお、下記B及びCにおいても同じ
です。
B 適用事業年度の月数>前事業年度等の月数 適用対象法人の国内雇用者としてその適用事業年度の期間及び前一年事業年度等特定期間内の各月分の適用対象法人の給与等の支給を受けた者とされています(措令27の12の 5 ⑬二イ)。(注 1)� 前一年事業年度等特定期間とは、
前一年事業年度等の期間をいい、
その適用事業年度開始の日から起
算して 1 年前の日又は設立の日を
含む前一年事業年度等にあっては、
その 1 年前の日又は設立の日のい
ずれか遅い日からその前一年事業
年度等の終了の日までの期間とさ
れています。(注 2)� 前一年事業年度等とは、適用事
業年度開始の日前 1 年以内に終了
した各事業年度をいい、その事業
年度が連結事業年度に該当する場
合にはその開始の日前 1 年以内に
終了した連結事業年度をいいます
が、設立の日以後に終了した事業
年度又は連結事業年度に限られて
います。この限定により、外国法
人などの法人税の納税義務のない
事業年度を判定の対象となる前一
年事業年度等から除外しています。(注 3)� その適用事業年度が 1 年に満た
ない場合には、(注 1)の「 1 年
前の日」及び(注 2)の「適用事
業年度開始の日前 1 年以内」は、
「適用事業年度の期間前の日」及
び「適用事業年度開始の日前の適
用事業年度の期間以内」とするこ
ととされています。つまり、適用
事業年度の期間が例えば 8 か月で
ある場合には、前一年事業年度等
特定期間は、適用事業年度開始の
日から起算して 8 月前の日又は設
立の日のいずれか遅い日からその
8 月前の日を含む事業年度終了の
日までの期間及びその後の前一年
事業年度等の期間とされ、前一年
事業年度等は、適用事業年度開始
の日前 8 月以内に終了した事業年
度又は連結事業年度とされます。
すなわち、前一年事業年度等特定期間は複数の事業年度にわたる期間を前提とし、前事業年度等の期間が適用事業年度の期間に満たない場合であっても前一年事業年度等特定期間により、例えば、適用事業年度が 1年決算である場合には、トータル 2年間にわたり、毎月、給与等の支給がある国内雇用者が、適用事業年度の期間が 8か月である場合には、トータル16月間にわたり、毎月、給与等の支給がある国内雇用者が、それぞれ継続雇用者となります。C 適用事業年度の月数<前事業年度等の月数
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
適用対象法人の国内雇用者としてその適用事業年度の期間及び前事業年度等特定期間内の各月分の適用対象法人の給与等の支給を受けた者とされています(措令27の12の 5 ⑬二ロ)。(注) 前事業年度等特定期間とは、前事
業年度等の期間のうち、その適用事
業年度の期間に相当する期間でその
前事業年度等の終了の日に終了する
期間をいうとされていますので、適
用事業年度と連続している前事業年
度等の適用事業年度の期間と同等の
期間ということになります。
すなわち、適用事業年度が半年決算である場合には、適用事業年度の期間と連続する前事業年度等の期間のトータル 1年間にわたり、毎月、給与等の支給がある国内雇用者が、継続雇用者となります。 上記のとおり、継続雇用者は、一定期間内に継続して適用対象法人の国内雇用者として給与等の支給を受けた者ということになりますので、その一定期間内に、採用された者、退職した者又は雇用保険法の日雇労働被保険者のように一般被保険者でない期間がある者や継続雇用制度の対象となった者は対象となりません。(注) これは、今般の改組に併せ、継続雇
用者の範囲が見直されたもので、改組
前の継続雇用者の正確な把握が煩雑で
あるといった実情に対応した簡素化が
図られています。なお、引き続き、企
業グループ内での異動や組織再編成等
によるその一定期間の増減は、加味さ
れないこととなっています。
ロ 継続雇用者給与等支給額の計算 前述したとおり、継続雇用者に対する適用事業年度の給与等の支給額をいいますが、具体的には、雇用者給与等支給額
のうち継続雇用者に係る金額とされています(措令27の12の 5 ⑭)。すなわち、適用事業年度における継続雇用者に対する給与等の支給額で損金の額に算入される金額の総額となります。(注) 継続雇用者給与等支給額は、改組前
の平均給与等支給額に相当するもので
すが、上記イのとおり、今般の改組に
伴い継続雇用者の範囲が見直され、継
続雇用者の判定における前事業年度等
の期間の長さを適用事業年度の期間の
長さに一致させるため、平均計算とい
った比較のための調整計算が不要とな
りました。なお、雇用者給与等支給額
については、改組前と実質的に変更が
ありませんので、上記 1(注 2)をご
参照ください。
ハ 継続雇用者比較給与等支給額の計算 前述したとおり、継続雇用者に対する前事業年度等の給与等の支給額をいいますが、具体的には、次のとおり、適用対象法人の該当する上記イAからCまでの区分に応じた金額とされています(措令27の12の 5 ⑮)。A 適用事業年度の月数=前事業年度等の月数である場合(上記イA) 適用対象法人の前事業年度等に係る給与等支給額のうち継続雇用者に係る金額とされています(措令27の12の 5⑮一)。すなわち、前事業年度等における継続雇用者に対する給与等の支給額で損金の額に算入される金額の総額となります。(注) 給与等支給額とは、法人の事業年
度又は連結事業年度の所得の金額又
は連結所得の金額の計算上損金の額
に算入される国内雇用者に対する給
与等の支給額をいいます(措令27の
12の 5 ⑨)。
─�409�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
B 適用事業年度の月数>前事業年度等の月数である場合(上記イB) 適用対象法人の前一年事業年度等に係る給与等支給額のうち継続雇用者に係る金額の合計額に適用事業年度の月数を乗じてこれを前一年事業年度等特定期間の月数の合計数で除して計算した金額とされています(措令27の12の5 ⑮二)。すなわち、前一年事業年度等における継続雇用者に対する給与等の支給額で損金の額に算入される金額の合計額となりますが、前一年事業年度等特定期間に対応する金額に限られていますので、例えば、適用事業年度開始の日から起算して 1年前の日を含む前一年事業年度等にあっては、その1年前の日からその前一年事業年度等の終了の日までの期間における給与等支給額となります。 なお、適用事業年度の期間と前一年事業年度等特定期間とが一致しない場合の月数換算による調整は、前一年事業年度等に適用対象法人の設立事業年度がある場合において実効性がある規定です。つまり、それ以外では、上記イBによって適用事業年度の期間の長さと前一年事業年度等特定期間の長さ
とが必ず一致することから、実際に調整する意味はありません。C 適用事業年度の月数<前事業年度等の月数である場合(上記イC) 適用対象法人の前事業年度等に係る給与等支給額のうち継続雇用者に係る金額とされています(措令27の12の 5⑮三)。すなわち、前事業年度等における継続雇用者に対する給与等の支給額で損金の額に算入される金額の総額となりますが、前事業年度等特定期間に対応する金額に限られていますので、上記イCによる継続雇用者の判定と同様に、前事業年度等の期間のうち、その終了の日を含む適用事業年度と連続する適用事業年度の期間と同等の期間における給与等支給額となります。(注) 継続雇用者比較給与等支給額は、
改組前の比較平均給与等支給額に相
当するものですが、上記イ(注 2)
のとおり、今般の改組に伴い継続雇
用者の範囲が見直され、継続雇用者
の判定における前事業年度等の期間
の長さを適用事業年度の期間の長さ
に一致させるため、上記ロ(注)と
同様に、平均計算といった比較のた
めの調整計算が不要となりました。
(参考 1)� 継続雇用者と継続雇用者給与等支給額等の計算イメージ
【イメージ】
X1年 1 月前事業年度等 適用事業年度
一般被保険者
一般被保険者 継続雇用制度対象者
⑤ X1年 4 ~10月及び X2年 4 ~10月 アルバイト (週20時間以上)
X2年 1 月
※改正前は継続雇用者に該当していた。
① 全期間において支給
③ X2年 3 月末:60歳定年退職 ④ X2年 4 月 :継続雇用制度
X3年 1 月
継続雇用者に該当しない
継続雇用者に該当
:算定対象者に対する給与等
② X1年 7 月:新規雇用 一般被保険者
一般被保険者 一般被保険者
─�410�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(参考 2)� 適用事業年度の期間と前事業年度等の期間とが一致しない場合の継続雇用者比較給与等支給額の
計算イメージ
ハ 国内設備投資額が当期償却費総額の90%相当額以上であること。 国内設備投資額とは、適用対象法人が適用事業年度において取得等をした国内資産でその適用事業年度終了の日において有するものの取得価額の合計額をいい、当期償却費総額とは、適用対象法人がその有する減価償却資産につき適用事業年度においてその償却費として損金経理をした金額の合計額をいいます(措法42の12の 5 ③八・九)。
(注 1) 取得等とは、取得又は製作若しくは
建設をいいますが、合併、分割、贈与、
交換、現物出資、現物分配又は代物弁
済による取得は除かれています(措法
42の12の 5 ③八、措令27の12の 5 ⑯)。
これは、合併等による取得が国内設備
の更新には結びつかない取得と考えら
れたものです。(注 2) 損金経理とは、法人がその確定した
決算において費用又は損失として経理
前事業年度等 適用事業年度
1年
適用事業年度
X4X3X2X1 X2 X3
X1 X2ハ A 適用事業年度の月数=前事業年度等の月数
ハB 適用事業年度の月数>前事業年度等の月数
設立の日
継続雇用者比較給与等支給額 12月
継続雇用者比較給与等支給額
X1
新設法人のイメージ
適用事業年度
月数調整
1年
1年1年
1年5月 5月 5月
前一年事業年度等
継続雇用者比較給与等支給額
前一年事業年度等特定期間
1年4月 6月
×10月
前一年事業年度等特定期間
9 月
適用事業年度
継続雇用者比較給与等支給額
ハ C 適用事業年度の月数<前事業年度等の月数
1 年 9 月
前事業年度等特定期間
X2X1
─�411�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
することをいい(法法 2二十五)、仮決
算による中間申告書に係る所得の金額
又は欠損金額を計算する場合にあって
は、その中間期間に係る決算において
費用又は損失として経理することをい
います(措法42の12の 5 ③九)。
すなわち、適用対象法人が適用事業年度において取得等をし、その終了の日まで有する国内資産の取得価額の合計額が、適用対象法人の会計上の減価償却費の額の合計額の90%相当額以上であることが、このハの要件となります。イ 国内資産 国内資産とは、国内にあるその適用対象法人の事業の用に供する法人税法施行令第13条各号に掲げる資産で、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外のものとされていますが、時の経過によりその価値の減少しないものは除かれています(措法42の12の 5 ③八、措令27の12の 5 ⑰)。つまり、適用対象法人にとって減価償却資産となるものということですが、事業の用に供したもの
0 0 0 0 0
とされていませんので、適用事業年度の終了の日までに取得等をしたものであればその日において事業の用に供していないものでも該当します。なお、いわゆる新品のものや国内で生産されたものに限られていませんが、建設仮勘定の支出は、建物等の資産として取得するまで、該当しません。
(参考) 法人税法施行令
(減価償却資産の範囲)
第13条 法第 2 条第23号(減価償却資産の意
義)に規定する政令で定める資産は、棚卸
資産、有価証券及び繰延資産以外の資産の
うち次に掲げるもの(事業の用に供してい
ないもの及び時の経過によりその価値の減
少しないものを除く。)とする。
一 建物及びその附属設備(暖冷房設備、
照明設備、通風設備、昇降機その他建物
に附属する設備をいう。)
二 構築物(ドック、橋、岸壁、桟橋、軌道、
貯水池、坑道、煙突その他土地に定着す
る土木設備又は工作物をいう。)
三 機械及び装置
四 船舶
五 航空機
六 車両及び運搬具
七 工具、器具及び備品(観賞用、興行用
その他これらに準ずる用に供する生物を
含む。)
八 次に掲げる無形固定資産
イ 鉱業権(租鉱権及び採石権その他土
石を採掘し又は採取する権利を含む。)
ロ 漁業権(入漁権を含む。)
ハ ダム使用権
ニ 水利権
ホ 特許権
ヘ 実用新案権
ト 意匠権
チ 商標権
リ ソフトウエア
ヌ 育成者権
ル 公共施設等運営権
ヲ 営業権
ワ 専用側線利用権(鉄道事業法(昭和
61年法律第92号)第 2条第 1項(定義)
に規定する鉄道事業又は軌道法(大正
10年法律第76号)第 1 条第 1 項(軌道
法の適用対象)に規定する軌道を敷設
して行う運輸事業を営む者(以下この
号において「鉄道事業者等」という。)
に対して鉄道又は軌道の敷設に要する
費用を負担し、その鉄道又は軌道を専
用する権利をいう。)
カ 鉄道軌道連絡通行施設利用権(鉄道
事業者等が、他の鉄道事業者等、独立
行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援
機構、独立行政法人日本高速道路保有・
債務返済機構又は国若しくは地方公共
─�412�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
団体に対して当該他の鉄道事業者等、
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備
支援機構若しくは独立行政法人日本高
速道路保有・債務返済機構の鉄道若し
くは軌道との連絡に必要な橋、地下道
その他の施設又は鉄道若しくは軌道の
敷設に必要な施設を設けるために要す
る費用を負担し、これらの施設を利用
する権利をいう。)
ヨ 電気ガス供給施設利用権(電気事業
法(昭和39年法律第170号)第 2 条第 1
項第 8 号(定義)に規定する一般送配
電事業、同項第10号に規定する送電事
業若しくは同項第14号に規定する発電
事業又はガス事業法(昭和29年法律第
51号)第 2 条第 5 項(定義)に規定す
る一般ガス導管事業を営む者に対して
電気又はガスの供給施設(同条第 7 項
に規定する特定ガス導管事業の用に供
するものを除く。)を設けるために要す
る費用を負担し、その施設を利用して
電気又はガスの供給を受ける権利をい
う。)
タ 水道施設利用権(水道法(昭和32年
法律第177号)第 3 条第 5 項(定義)に
規定する水道事業者に対して水道施設
を設けるために要する費用を負担し、
その施設を利用して水の供給を受ける
権利をいう。)
レ 工業用水道施設利用権(工業用水道
事業法(昭和33年法律第84号)第 2 条
第 5 項(定義)に規定する工業用水道
事業者に対して工業用水道施設を設け
るために要する費用を負担し、その施
設を利用して工業用水の供給を受ける
権利をいう。)
ソ 電気通信施設利用権(電気通信事業
法(昭和59年法律第86号)第 9 条第 1
号(電気通信事業の登録)に規定する
電気通信回線設備を設置する同法第 2
条第 5 号(定義)に規定する電気通信
事業者に対して同条第 4 号に規定する
電気通信事業の用に供する同条第 2 号
に規定する電気通信設備の設置に要す
る費用を負担し、その設備を利用して
同条第 3 号に規定する電気通信役務の
提供を受ける権利(電話加入権及びこ
れに準ずる権利を除く。)をいう。)
九 次に掲げる生物(第 7 号に掲げるもの
に該当するものを除く。)
イ 牛、馬、豚、綿羊及びやぎ
ロ かんきつ樹、りんご樹、ぶどう樹、
梨樹、桃樹、桜桃樹、びわ樹、くり樹、
梅樹、柿樹、あんず樹、すもも樹、い
ちじく樹、キウイフルーツ樹、ブルー
ベリー樹及びパイナップル
ハ 茶樹、オリーブ樹、つばき樹、桑樹、
こりやなぎ、みつまた、こうぞ、もう
宗竹、アスパラガス、ラミー、まおら
ん及びホップ
もっとも、国内にある適用対象法人の事業の用に供するもの、つまりは国内事業の用の供するものでなければなりませんので、適用事業年度終了の日において国内事業の用に供する見込みが全くないものは、該当しないこととなります。(注) 「国内事業の用に供するもの」である
か否かの具体的な判定については、各
法人の実情に応じ、個別に判断するし
かありませんが、基本的には、次のよ
うに取り扱われるものと考えられてい
ます。
① 事業の用に供する(使用する)場
所が国内である資産は、国内資産に
該当します。また、事業の用に供す
る場所が必ずしも明確でない無形固
定資産であっても、国内向け事業の
用に供するものは、国内資産に該当
します。「国内向け事業」とは、一義
的には、国内における資産の販売若
─�413�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
しくは貸付け又は役務の提供です。
② 航空機や船舶など、事業の用に供
する(使用する)場所が国内に限ら
れない資産や国外向け事業の用にも
供する(使用する)資産であっても、
上記①にも該当する要素があれば、
国内資産に該当します。
③ 国外に据え置かれた有形資産や国
外にある媒体に記録されたソフトウ
エアは、専ら国内向けの事業の用に
供する場合であっても、国内資産に
該当しません。これは、このハの要
件の狙いが国内の設備投資の喚起と
事業用設備の国内回帰を促すことに
もあるためです。
なお、法人税法上、無形固定資産に
該当するものの判定については、その
登録等が国内であるか否かは、必ずし
も影響を与えるものではないといえま
すが、国外の土地に付随する無形固定
資産(例えば、地上権・租鉱権)は、
上記③と同様に、国内資産に該当しな
いものといえます。
また、いわゆる生産等設備に限られませんので、事業用の減価償却資産となるものであれば、本店建物、事務用機器、乗用車、福利厚生施設などであっても該当します。ロ 国内設備投資額の計算 上記のとおり、国内設備投資額は、適用対象法人が適用事業年度において取得等をした国内資産でその適用事業年度終了の日において有するものの取得価額の合計額とされていますので、適用事業年度に取得等をした国内資産であっても、その適用事業年度中に分割その他譲渡により移転したものは、この合計額の計算には含まないこととなります。 また、既に触れたように、適用事業年度内に事業の用に供している国内資産に
限られませんが、反対に、適用事業年度内に事業の用に供した国内資産であっても、適用事業年度において取得等をしたものでなければ対象外となりますので、注意が必要です。 なお、このハの要件は、各企業における国内投資を一定水準以上とすることに政策目的の一つがありますので、計算上の国内資産の取得価額とは、国等から受けた補助金等に相当する圧縮記帳の適用を受けている場合であっても、実際の取得に要した金額(投資額)に相当する圧縮記帳前の取得価額となりますし、特別償却等を適用する前の取得価額となります。(注) 上記のほか、国内設備投資額の計算
においては、原則として次のように取
り扱われるものと考えられています。
① オペレーティング・リース取引以
外のリース取引に係る契約により取
得した国内資産の取得価額を含みま
す。
② 税務上、取得価額に算入すべき金
額を含めて計算します。
③ 減価償却資産を新たに取得したも
のとされるいわゆる資本的支出の金
額を含みます。
ハ 当期償却費総額の計算 上記のとおり、当期償却費総額は、適用対象法人がその有する減価償却資産につき適用事業年度においてその償却費として損金経理をした金額の合計額をいいますが、「その有する減価償却資産」とされています(措法42の12の 5 ③九)ので、上記ロと異なり、適用事業年度中に取得等をしたものに限られることも、適用事業年度中に譲渡等をしたものを除くこともありませんし、国内資産に限定もされていません。 また、「その償却費として損金経理を
─�414�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
した金額」とされていますが、さらに、特別償却準備金として積み立てる金額を含むこととされています(措法42の12の5 ③九)。なお、この特別償却準備金については、費用又は損失として経理する方法のほか、適用事業年度の決算の確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法によって積み立てた金額も含まれます。そして、これらの金額は、法人税法における所得の金額の計算上損金の額に算入されるものに限られていません。 したがって、具体的な当期償却費総額の計算は、適用対象法人が全世界において事業用資産として有する減価償却資産について計上した会計上の減価償却費の額に、特別償却準備金として決算書上処理された金額を加えた金額となります。ただし、減価償却費の額として重複を避けるため、法人税法第31条第 4項の規定により償却費として損金経理をした金額に含まれる前事業年度等のいわゆる償却限度超過額は、「償却費として損金経理をした金額」から除くことが明らかにされています。(注) 上記のほか、当期償却費総額の計算
においては、原則として次のように取
り扱われるものと考えられています。
① 法人税法施行令第131条の 2第 3項
の規定により「償却費として損金経
理をした金額」に含まれるとされて
いる㋑売買があったものとされたリ
ース資産につき賃借人が賃借料とし
て損金経理をした金額又は㋺金銭の
貸付けがあったものとされた場合の
その賃貸に係る資産につき譲渡人が
賃借料として損金経理をした金額を、
減価償却費の額に含みます。
② 法人税基本通達 7 - 5 - 1 又は 7
- 5 - 2 により「償却費として損金
経理をした金額」に含まれるとされ
る金額を、減価償却費の額に含みま
す。
なお、法人の選択により、継続的に
上記①及び②によらないこととした上、
原価外処理をした取得価額に算入すべ
き付随費用の額を上記ロ(注)の②に
かかわらず取得価額に含めない等、一
定の合理的な計算を行うことも許容さ
れるものと考えられます。
ニ 雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超えること。 雇用者給与等支給額とは、適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいい、比較雇用者給与等支給額とは、適用事業年度開始の日の前日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます(措法42の12の 5 ③四・五)。すなわち、適用事業年度の国内雇用者に対する給与等の支給額がその前事業年度より増加していることが、このニの要件となります。また、このニの要件を満たすことにより、適用事業年度において税額控除ができることとなります(下記④をご参照ください。)。 なお、比較雇用者給与等支給額の計算について、適用事業年度開始の日の前日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合にその連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額とされる(措法42の12の 5 ③五イ)ほか、次の区分に応じた調整をすることとされています。イ 前事業年度等の月数と適用事業年度の月数とが異なる場合 上記のとおり、比較雇用者給与等支給額は、前事業年度等に係る国内雇用者に対する給与等支給額となりますが、適用事業年度の月数と前事業年度等の月数が
─�415�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
異なる場合には、次の区分に応じて計算した金額が比較雇用者給与等支給額となります(措令27の12の 5 ⑤⑥)。(注) 上記の前事業年度等とは、適用事業
年度開始の日の前日を含む事業年度又
は連結事業年度をいいます。
A 前事業年度等の月数>適用事業年度の月数である場合 前事業年度等に係る給与等支給額に適用事業年度の月数を乗じてこれを前事業年度等の月数で除して計算した金額とされています(措令27の12の 5 ⑥一⑤一)。つまり、前事業年度等に係る給与等支給額のうち、適用事業年度の月数に応じて月数按
あん
分した金額となりますので、改組前と変更ありません。B 6月>前事業年度等の月数<適用事業年度の月数である場合 適用事業年度開始の日前 1年以内に終了した各事業年度又は連結事業年度(以下「前一年事業年度等」といいます。)に係る給与等支給額の合計額に適用事業年度の月数を乗じてこれを前一年事業年度等の月数の合計数で除して計算した金額とされています(措令27の12の 5 ⑥二イ⑤二イ)。つまり、前事業年度等に係る給与等支給額に適用事業年度開始の日から起算して 1年前の日を含む事業年度又は連結事業年度から前事業年度等前までの各事業年度又は連結事業年度に係る給与等支給額の合計額を加算した金額のうち、適用事業年度の月数に応じて月数按
あん
分した金額となります。 ただし、前一年事業年度等が設立事業年度に該当する場合には、前一年事業年度等に係る給与等支給額の合計額を、適用事業年度の月数と前一年事業年度等の月数の合計数との比に応じて引き延ばした金額となります。
(注) その適用事業年度が 1 年に満たな
い場合には、上記の「適用事業年度
の開始の日前 1 年以内」は、「適用
事業年度開始の日前の適用事業年度
の期間以内」とすることとされてい
ます。つまり、適用事業年度の期間
が例えば 8 か月である場合には、前
一年事業年度等は、適用事業年度開
始の日前 8 月以内に終了した各事業
年度又は連結事業年度とされます。
このように、改組前と異なり、前事業年度等の給与等支給額を単純に引き延ばさずに、比較雇用者給与等支給額を可能な限り実際に支給された給与等に基づくこととされていますが、これは、改組後では比較雇用者給与等支給額が税額控除限度額の計算の基礎となること、また通常は賞与(ボーナス・一時金)の支給が一定の雇用期間を前提とすることから、前事業年度等の期間によっては適用事業年度との差が大きくなるといった不整合な結果が容易に想定されることを踏まえて、より合理的な比較となることを期待して変更されたものです。C 6月≦前事業年度等の月数<適用事業年度の月数である場合 前事業年度等に係る給与等支給額に適用事業年度の月数を乗じてこれを前事業年度等の月数で除して計算した金額とされています(措令27の12の 5 ⑥二ロ⑤二ロ)。つまり、調整計算は上記Aと同じですが、前事業年度等に係る給与等支給額を、適用事業年度の月数と前事業年度等の月数との比に応じて引き延ばした金額となります。(注) 上記Bと異なり、前事業年度等の
給与等支給額を単純に引き延ばして
いるのは、半年以上の期間があれば、
賞与(ボーナス・一時金)を含め 1
─�416�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
年を通じた給与等支給額の月平均と
概ね同等になるものと考えられるこ
とから、計算の簡便化が図られたも
のです。
(参考) 比較雇用者給与等支給額の前事業年度等の月数と適用事業年度の月数が異なる場合の調整計算
ロ 組織再編成がある場合 適用対象法人が合併法人、分割法人、分割承継法人、現物出資法人、被現物出資法人、現物分配法人又は被現物分配法人である場合における比較雇用者給与等支給額の計算は、次の区分に応じて調整を行うこととされています(措法42の12の 5 ⑥、措令27の12の 5 ⑦~⑫)。組織再編成がある場合の調整についての基本的な考え方は、改組前と変わりありませんが、設立事業年度が適用事業年度から除外されたこと、上記イのとおり前事業年度等の月数と適用事業年度の月数とが異なる場合の調整の考え方が変更されたことを踏まえ、組織再編成があった場合に調整対象となる事業年度が整合的に変更されたほか、これに伴う所要の整備が行われました。A 適用対象法人が適用事業年度において行われた合併に係る合併法人に該当する場合 合併法人(=適用対象法人)の調整
対象年度については、各調整対象年度ごとに、その合併法人のその各調整対象年度に係る給与等支給額に、その各調整対象年度に含まれる月のその合併に係る被合併法人の月別給与等支給額を合計した金額にその合併の日からその適用事業年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれをその適用事業年度の月数で除して計算した金額を加算することとされています(措令27の12の5 ⑦一)。つまり、上記イの調整がない場合には、この加算調整をした後の給与等支給額が、その適用事業年度の比較雇用者給与等支給額となります。 上記の「調整対象年度」とは、基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、合併法人が未経過法人に該当する場合には基準日からその合併法人の設立の日の前日までの
○ 前事業年度
○ 適用年度
○ 前事業年度
12月
8 月
X1期
X2期
X1期
≪ケース①≫ 10月 4 月 ○ 前一年事業年度等
8 月
12月○ 適用年度
X2期
X1期 X2期
X2期
X4期
12月 ○ 適用年度
X3期
X3期
≪ケース②≫ 10月 6 月 4 月 ○ 前一年事業年度等
X1期
12月
○ 適用年度
A 前事業年度の月数>適用年度の月数の場合
C 6 月≦前事業年度の月数<適用年度の月数の場合
× 8 月12月
前事業年度(単年度)を基に調整計算
×12月8 月
B 6 月>前事業年度の月数<適用年度の月数の場合
前事業年度等(複数年度)を
基に調整計算
×
×
:適用年度開始の日から 1年前の日
12月14月
12月20月
─�417�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
期間を合併法人の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の12の 5 ⑦一)。(注 1) 月別給与等支給額とは、合併に
係る被合併法人の各事業年度又は
連結事業年度に係る給与等支給額
をそれぞれ各事業年度又は連結事
業年度の月数で除して計算した金
額を各事業年度又は連結事業年度
に含まれる月に係るものとみなし
たものをいいます(措令27の12の
5 ⑧)。(注 2) 基準日とは、適用対象法人の次
の場合の区分に応じた日をいいま
す。
① 6 月>前事業年度等の月数<
適用事業年度の月数である場合
次のいずれか早い日とされて
います(措令27の12の 5 ⑫一)。
イ 適用対象法人が適用事業年
度開始の日においてその設立
の日の翌日以後 1 年を経過し
ていない場合であり、かつ、
適用対象法人がその設立の日
から適用事業年度開始の日の
前日までの期間内に行われた
合併、分割、現物出資又は現
物分配(現物分配が残余財産
の全部の分配である場合には、
その設立の日から前事業年度
等の終了の日の前日までの期
間内において残余財産が確定
したものとされています。)
に係る合併法人、分割承継法
人、被現物出資法人又は被現
物分配法人である場合におけ
るその合併、分割、現物出資
又は現物分配に係る被合併法
人、分割法人、現物出資法人
又は現物分配法人の適用事業
年度開始の日前 1 年以内の日
を含む各事業年度又は連結事
業年度で被合併法人等の設立
の日以後に終了したもののう
ち最も古い事業年度又は連結
事業年度開始の日
ただし、分割、現物出資又
は現物分配に係る移転給与等
支給額が零である場合におけ
るその分割、現物出資又は現
物分配が除かれて国内雇用者
が移転するものに、設立の日
から合併等の日の前日(残余
財産の全部の分配である場合
には、その残余財産の確定の
日)までの期間に係る給与等
支給額が零である場合に、そ
れぞれ限ることとされていま
すので、分割等で国内雇用者
が移転しない場合や合併等前
に給与等の支給がある場合に
は、ロの日となります。また、
例えば適用事業年度の期間が
8 か月である場合には設立の
日の翌日以後 8 月を経過して
いない場合とされています。
つまり、設立間もない適用
対象法人が合併等により給与
等を支給することとなる場合
に、設立前の期間を合併法人
等の事業年度等とみなすこと
を前提に、適用事業年度の期
間に相当する期間の給与等支
給額が最大限確保されること
となる日といえます。
ロ 適用事業年度開始の日前 1
年以内に終了した各事業年度
又は連結事業年度で設立の日
以後に終了したもののうち最
─�418�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
も古い事業年度又は連結事業
年度開始の日
これは、上記イの日がない
場合か、あっても被合併法人
等の設立の日が合併法人の設
立の日より後の場合に基準日
となる日です。
② ①以外である場合( 6 月≦前
事業年度等の月数<適用事業年
度の月数である場合又は前事業
年度等の月数≧適用事業年度の
月数である場合)
前事業年度等の開始の日とさ
れています(措令27の12の 5 ⑫
二)。つまり、上記イCと同様
の考えに基づき、前事業年度等
に係る給与等支給額についての
み組織再編成による調整を行い、
前事業年度等より前の期間につ
いて組織再編成による調整を行
わない場合として、調整対象年
度が前事業年度等のみになる日
ということです。(注 3) 未経過法人とは、適用事業年度
開始の日においてその設立の日の
翌日以後 1 年を経過していない法
人をいいます。このとき適用事業
年度が 1 年に満たない場合には、
適用事業年度の期間を経過してい
ない法人とされています(措令27
の12の 5 ⑦一)。(注 4) 移転給与等支給額とは、分割等
に係る分割法人等の分割等の日
(残余財産の全部の分配である場
合には、その残余財産の確定の日
の翌日)前に開始した各事業年度
又は連結事業年度に係る給与等支
給額に、その分割等の直後のその
分割等に係る分割承継法人等の国
内雇用者でその分割等の直前にお
いてその分割法人等の国内雇用者
であった者の数を乗じて、これを
その分割等の直前の分割法人等の
国内雇用者の数で除して計算した
金額をいいます(措令27の12の 5
⑪)。このとき、分割等の日を含
む事業年度又は連結事業年度にあ
っては、その分割等の日の前日を
その事業年度又は連結事業年度の
終了の日とした場合に損金の額に
算入される給与等支給額について
計算した金額とされています。(注 5) 分割等とは、分割、現物出資又
は現物分配をいい(措令27の12の
5 ⑩)、分割法人等とは、分割法人、
現物出資法人又は現物分配法人を
いい(措令27の12の 5 ⑨)、分割
承継法人等とは、分割承継法人、
被現物出資法人又は被現物分配法
人をいいます(措令27の12の 5 ⑨)。
上記のとおり、適用事業年度における合併によって適用対象法人の雇用者給与等支給額が増加する場合の前事業年度等の調整は、基本的に改組前と同様ですが、前事業年度等の月数が適用事業年度の月数に満たない場合には、基準日から前事業年度等の開始の日の前日までの期間を含む事業年度又は連結事業年度や、さらに適用対象法人が未経過法人である場合には、基準日から設立の日の前日までの期間についても、調整対象年度として被合併法人の月別給与等支給額の月数調整額を加算し、この加算後を調整対象年度の給与等支給額として比較雇用者給与等支給額を計算することとされています。 なお、適用対象法人が未経過法人である場合など前事業年度等の月数と適用事業年度の月数とが異なる場合には、適用対象法人の事業年度とみなされた
─�419�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
期間を含め、上記イにより、比較雇用者給与等支給額の調整計算を行うこと
となります(措令27の12の 5 ⑦)。
(参考) 適用対象法人が適用事業年度において行われた合併に係る合併法人に該当する場合の調整計算
合併
基準日
合併法人
月数調整
8月
×12月8 月
8 月
適用事業年度の合併(前事業年度が 6月以上の場合)
適用事業年度( 1年)前事業年度
調整
5月 7月
(措令27の12の 5 ⑥二ロ)
× 7月12月
月別給与等支給額の合計額 を加算
被合併法人
合併
合併法人
被合併法人
1年9月
最も古い事業年度開始の日
3月 9月
調整基準日
月数調整
× 12月13月
適用事業年度( 1年)
+
4月
9月 4月
前事業年度
(措令27の12の 5 ⑥二イ)
適用事業年度の合併(前事業年度が 6月未満の場合)
× 9月12月
月別給与等支給額の合計額 を加算
─�420�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
B 適用対象法人が基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内において行われた合併に係る合併法人に該当する場合 合併法人(=適用対象法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その合併法人のその各調整対象年度に係る給与等支給額に、その各調整対象年度に含まれる月のその合併に係る被合併法人の月別給与等支給額を合計した金額を加算することとされています(措令27の12の 5 ⑦二)。つまり、上記イの調整がない場合には、この加算調整をした後の給与等支給額が、その適用事業年度の比較雇用者給与等支給額となります。 上記の「調整対象年度」とは、基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内に合併が行われた場合における基準日からその合併の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、合併法人が未経過法人に該当する場合には基準日からその合併法人の設立の日の前日までの期間を合併法人の事業年度とみなした
場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の12の 5 ⑦二)。(注) 月別給与等支給額、基準日、未経
過法人については、上記A(注 1)
から(注 3)までをご参照ください。
上記のとおり、前事業年度等における合併によって適用対象法人の給与等支給額が増加する場合の前事業年度等の調整に加え、改組後では、前事業年度等の月数が適用事業年度の月数に満たない場合には、基準日から前事業年度等の開始の日の前日までの期間を含む事業年度又は連結事業年度や、さらに適用対象法人が未経過法人である場合には、基準日から設立の日の前日までの期間についても、調整対象年度として被合併法人の月別給与等支給額を加算し、この加算後を調整対象年度の給与等支給額として比較雇用者給与等支給額を計算することとされています。 なお、適用対象法人が未経過法人である場合など前事業年度等の月数と適用事業年度の月数とが異なる場合において、上記イにより比較雇用者給与等支給額の調整計算を行うことは、上記Aと同様です(措令27の12の 5 ⑦)。
─�421�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(参考) 適用対象法人が基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内において行われた合併に係る
合併法人に該当する場合の調整計算
+
14月
4 月
(措令27の12の 5 ⑥二イ)
月数調整
調整月別給与等支給額の合計額を加算
被合併法人
被合併法人
合併
基準日 合併
みなされた事業年度
1年
適用事業年度前の新設合併(前事業年度が 6月未満の場合)
×12月18月
2 月 4 月最も古い事業年度開始の日
適用事業年度( 1年)前事業年度
1 年
合併法人(未経過法人)
合併
基準日
合併法人
月数調整
8月
×12月8 月
設立日
適用事業年度前の合併(前事業年度が設立事業年度である場合)
適用事業年度( 1年)前事業年度
調整
(措令27の12の 5 ⑥二イ)
被合併法人
※ 前事業年度が 6月以上の場合も同様。
8月
月別給与等支給額の合計額を加算
─�422�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
C 適用対象法人が基準日から適用事業年度終了の日までの期間内において行われた分割等に係る分割法人等に該当する場合🄐 適用事業年度において行われた分割等に係る分割法人等(=適用対象法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その分割法人等のその各調整対象年度に係る給与等支給額から、分割法人等の各調整対象年度に係る移転給与等支給額にその分割等の日からその適用事業年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれをその適用事業年度の月数で除して計算した金額を控除することとされています(措令27の12の 5⑨一イ)。 上記の「調整対象年度」とは、基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とされています(措令27の12の 5 ⑨一イ)。🄑 基準日から適用事業年度開始の日
の前日までの期間内において行われた分割等に係る分割法人等(=適用対象法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その分割法人等のその各調整対象年度に係る給与等支給額から、分割法人等の各調整対象年度に係る移転給与等支給額を控除することとされています(措令27の12の 5 ⑨一ロ)。 上記の「調整対象年度」とは、基準日から分割等の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とされています(措令27の12の 5 ⑨一ロ)。 つまり、上記イの調整がない場合には、上記🄐又は🄑の控除をした後の給与等支給額が、その適用事業年度の比較雇用者給与等支給額となります。(注) 基準日、移転給与等支給額につい
ては、上記A(注 2)及び(注 4)
をご参照ください。
上記のとおり、適用事業年度又は前事業年度等における分割等によって適
+
合併
基準日
合併法人
調整
被合併法人
月数調整
1年
10月
10月
5 月
5 月
前事業年度
× 12月15月
適用事業年度( 1年)
最も古い事業年度開始の日
適用事業年度前の合併(前事業年度が 6月未満の場合)
(措令27の12の 5 ⑥二イ)
月別給与等支給額の合計額を加算
─�423�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
用対象法人の給与等支給額が減少する場合の前事業年度等の調整に加え、改組後では、前事業年度等の月数が適用事業年度の月数に満たない場合には、基準日から前事業年度等の開始の日の前日までの期間を含む事業年度又は連結事業年度についても、調整対象年度として分割法人等に係る移転給与等支給額を控除し、この控除後を調整対象
年度の給与等支給額として比較雇用者給与等支給額を計算することとされています。 なお、前事業年度等の月数と適用事業年度の月数とが異なる場合において、上記イにより比較雇用者給与等支給額の調整計算を行うことは、上記Aと同様です(措令27の12の 5 ⑨)。
(参考) 適用対象法人が基準日から適用事業年度終了の日までの期間内において行われた分割等に係る分割
法人等に該当する場合の調整計算
分割等
基準日
分割法人等
調整
1年
適用事業年度の分割等
適用事業年度前の分割等(前事業年度が 6月以上の場合)
適用事業年度( 1年)
3 月 9 月
9 月12月移転給与等支給額 × を控除
分割等
3月
10月
適用事業年度( 1年)分割法人等
基準日
7月
調整移転給与等支給額を控除
月数調整
× 12月10月
前事業年度
前事業年度
(措令27の12の 5 ⑥二ロ)
─�424�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
D 適用対象法人が基準日から適用事業年度終了の日までの期間内において行われた分割等に係る分割承継法人等に該当する場合🄐 適用事業年度において行われた分割等に係る分割承継法人等(=適用対象法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その分割承継法人等のその各調整対象年度に係る給与等支給額に、その各調整対象年度に含まれる月のその分割等に係る分割法人等の月別移転給与等支給額を合計した金額にその分割等の日からその適用事業年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれをその適用事業年度の月数で除して計算した金額を加算することとされています(措令27の12の 5 ⑨二イ)。 上記の「分割等」とは、分割、現物出資又は現物分配をいいますが、現物分配が残余財産の全部の分配である場合には、適用事業年度開始の日の前日からその適用事業年度終了の日の前日までの期間内において残余財産が確定したものとされ、このときの上記の「分割等の日」はその残余財産の確定の日の翌日とされて
います(措令27の12の 5 ⑨二イ)。 また、上記の「調整対象年度」とは、基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、その分割承継法人等が未経過法人に該当する場合には基準日から分割承継法人等の設立の日の前日までの期間をその分割承継法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の12の 5 ⑨二イ)。(注 1) 月別移転給与等支給額とは、
分割等に係る分割法人等のその
分割等の日(残余財産の全部の
分配にあっては、その残余財産
の確定の日の翌日)前に開始し
た各事業年度又は連結事業年度
に係る移転給与等支給額をそれ
ぞれその各事業年度又は連結事
業年度の月数で除して計算した
金額をその各事業年度又は連結
事業年度に含まれる月に係るも
のとみなしたものをいいます
(措令27の12の 5 ⑩)。このとき、
分割等
3月
1年
適用事業年度( 1年)
最も古い事業年度開始の日
分割法人等
基準日調整
8月
8月 5月× 12月13月
2 月
移転給与等支給額を控除
月数調整
+
前事業年度
(措令27の12の 5 ⑥二イ)
適用事業年度前の分割等(前事業年度が 6月未満の場合)
─�425�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
分割等の日を含む事業年度又は
連結事業年度にあっては、その
開始の日からその分割等の日の
前日までの期間の月数で除して
計算した金額をその開始の日か
らその分割等の日の前日までの
期間に含まれる月に係るものと
みなしたものとされています。(注 2) 基準日、未経過法人、移転給
与等支給額については、上記A
(注 2)から(注 4)までをご
参照ください。
🄑 基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内において行われた分割等に係る分割承継法人等(=適用対象法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その分割承継法人等のその各調整対象年度に係る給与等支給額に、その各調整対象年度に含まれる月のその分割等に係る分割法人等の月別移転給与等支給額を合計した金額を加算することとされています(措令27の12の 5 ⑨二ロ)。 上記の「分割等」とは、分割、現物出資又は現物分配をいいますが、現物分配が残余財産の全部の分配である場合には、基準日の前日から適用事業年度開始の日の前日を含む事業年度又は連結事業年度終了の日の前日までの期間内において残余財産が確定したものとされています(措令27の12の 5 ⑨二ロ)。 また、上記の「調整対象年度」とは、基準日から分割等の日の前日(残余財産の全部の分配である場合には、その残余財産の確定の日)までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む
事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、その分割承継法人等が未経過法人に該当する場合には基準日から分割承継法人等の設立の日の前日までの期間をその分割承継法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の12の 5 ⑨二ロ)。 つまり、上記イの調整がない場合には、上記🄐又は🄑の加算をした後の給与等支給額が、その適用事業年度の比較雇用者給与等支給額となります。(注) 月別移転給与等支給額については
上記🄐(注 1)を、基準日、未経過
法人については上記A(注 2)及び
(注 3)を、ご参照ください。
上記のとおり、適用事業年度又は前事業年度等における分割等によって適用対象法人の給与等支給額が増加する場合の前事業年度等の調整に加え、改組後では、前事業年度等の月数が適用事業年度の月数に満たない場合には、基準日から前事業年度等の開始の日の前日までの期間を含む事業年度又は連結事業年度や、さらに適用対象法人が未経過法人である場合には、基準日から設立の日の前日までの期間についても、調整対象年度として分割法人等に係る月別移転給与等支給額を加算し、この加算後を調整対象年度の給与等支給額として比較雇用者給与等支給額を計算することとされています。 なお、適用対象法人が未経過法人である場合など前事業年度等の月数と適用事業年度の月数とが異なる場合において、上記イにより比較雇用者給与等支給額の調整計算を行うことは、上記Aと同様です(措令27の12の5⑨)。
─�426�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(参考) 適用対象法人が基準日から適用事業年度終了の日までの期間内において行われた分割等に係る分割
承継法人等に該当する場合の調整計算
分割等
基準日
分割承継法人等
分割法人等
月数調整
× 12月13月
適用事業年度の分割等(前事業年度が 6月未満の場合)
適用事業年度( 1年)
最も古い事業年度開始の日
4月1年
9月
+
3 月 9 月
9 月 4 月
前事業年度
(措令27の12の 5 ⑥二イ)
分割承継法人等
月数調整
× 12月8 月
適用事業年度の分割等(前事業年度が 6月以上の場合)
(措令27の12の 5 ⑥二ロ)
分割等
適用事業年度( 1年)前事業年度
基準日調整
調整 ×9月12月
月別移転給与等支給額の合計額
を加算
9月12月
月別移転給与等支給額の合計額 を加算
8月
分割法人等
3月 9月
×
─�427�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
+
月別移転給与等支給額の合計額を加算
みなされた事業年度
分割承継法人等
分割法人等
分割等
基準日(設立日)
前事業年度
8 月
適用事業年度前の新設分割等(前事業年度が 6月以上の場合)
×12月8 月
分割承継法人等(未経過法人)
分割法人等
分割等
基準日
前事業年度
1 年4 月
4 月
2 月
適用事業年度( 1年)
適用事業年度前の新設分割等(前事業年度が 6月未満の場合)
最も古い事業年度開始の日 1年
×12月14月18月
設立日
適用事業年度( 1年)
(措令27の12の 5 ⑥二ロ)
(措令27の12の 5 ⑥二イ)
月数調整
月数調整
調整
月別移転給与等支給額の合計額を加算
調整
適用事業年度前の分割等(前事業年度が設立事業年度である場合)
前事業年度
5 月設立日分割等
分割承継法人等
※ 前事業年度が 6月以上の場合も同様。
基準日
適用事業年度( 1年)
×12月5 月5 月
月数調整
(措令27の12の 5 ⑥二イ)
分割法人等
─�428�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
④ 税額控除限度額の計算 税額控除限度額は、給与等支給増加額の15%に相当する金額とされています。ただし、適用対象法人の適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された教育訓練費の額から比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が20%以上である場合には、税額控除限度額は、給与等支給増加額の20%に相当する金額とすることとされています(措法42の12の 5 ①)。 なお、この税額控除限度額が適用対象法人の適用事業年度の調整前法人税額の20%相当額を超える場合には、税額控除額は、その調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(措法42の12の 5 ①後段)。(注) 調整前法人税額とは、次の規定を適用し
ないで計算した場合の法人税の額をいい、
附帯税の額を除くこととされています(措
法42の 4 ⑧二、震災税特法17の 2 ⑭、17の
2 の 2 ⑨、17の 2 の 3 ⑨、17の 3 ⑥、17の
3 の 2 ⑤、17の 3 の 3 ⑤、措令27の 4 ⑤)。
なお、附帯税の額とは、国税通則法第 2 条
第 4号に規定する附帯税の額をいいます(措
法42の 4 ⑧二)。
① 租税特別措置法第42条の 4(試験研究
を行った場合の法人税額の特別控除)
② 租税特別措置法第42条の 5 第 2 項(高
度省エネルギー増進設備等を取得した場
合の法人税額の特別控除)
③ 租税特別措置法第42条の 6 第 2 項及び
第 3 項(中小企業者等が機械等を取得し
た場合の法人税額の特別控除等)
④ 租税特別措置法第42条の 9 第 1 項及び
第 2 項(沖縄の特定地域において工業用
機械等を取得した場合の法人税額の特別
控除等)
⑤ 租税特別措置法第42条の10第 2 項(国
家戦略特別区域において機械等を取得し
た場合の法人税額の特別控除)
⑥ 租税特別措置法第42条の11第 2 項(国
際戦略総合特別区域において機械等を取
得した場合の法人税額の特別控除)
⑦ 租税特別措置法第42条の11の 2 第 2 項
(地域経済牽けん
引事業の促進区域内において
特定事業用機械等を取得した場合の法人
税額の特別控除)
⑧ 租税特別措置法第42条の11の 3 第 2 項
(地方活力向上地域等において特定建物等
を取得した場合の法人税額の特別控除)
⑨ 租税特別措置法第42条の12(地方活力
+
月別移転給与等支給額の合計額を加算調整
適用事業年度前の分割等(前事業年度が 6月未満の場合)
(措令27の12の 5 ⑥二イ)
10月 5 月
5 月
1 年
最も古い事業年度開始の日
分割法人等
基準日
分割承継法人等
分割等
月数調整
前事業年度
×12月15月
10月
適用事業年度(1年)
─�429�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
向上地域等において雇用者の数が増加し
た場合の法人税額の特別控除)
⑩ 租税特別措置法第42条の12の 2 (認定
地方公共団体の寄附活用事業に関連する
寄附をした場合の法人税額の特別控除)
⑪ 租税特別措置法第42条の12の 3 第 2 項
及び第 3 項(特定中小企業者等が経営改
善設備を取得した場合の法人税額の特別
控除等)
⑫ 租税特別措置法第42条の12の 4 第 2 項
及び第 3 項(中小企業者等が特定経営力
向上設備等を取得した場合の法人税額の
特別控除等)
⑬ 租税特別措置法第42条の12の 5 (給与
等の引上げ及び設備投資を行った場合等
の法人税額の特別控除)
⑭ 租税特別措置法第42条の12の 6 第 2 項
(革新的情報産業活用設備を取得した場合
の法人税額の特別控除)
⑮ 租税特別措置法第66条の 7 第 4 項(控
除対象所得税額等相当額の法人税額の特
別控除)
⑯ 租税特別措置法第66条の 9 の 3 第 4 項
(控除対象所得税額等相当額の法人税額の
特別控除)
⑰ 租税特別措置法第62条第 1 項(使途秘
匿金の支出がある場合の課税の特例)
⑱ 租税特別措置法第62条の 3 第 1 項及び
第 9 項(土地の譲渡等がある場合の特別
税率)
⑲ 租税特別措置法第63条第 1 項(短期所
有に係る土地の譲渡等がある場合の特別
税率)
⑳ 法人税法第67条(特定同族会社の特別
税率)
� 法人税法第68条(所得税額の控除)
� 法人税法第69条(外国税額の控除)
� 法人税法第69条の 2(分配時調整外国
税相当額の控除)
� 法人税法第70条(仮装経理に基づく過
大申告の場合の更正に伴う法人税額の控
除)
� 法人税法第70条の 2(税額控除の順序)
� 法人税法第144条(外国法人に係る所得
税額の控除)
� 法人税法第144条の 2(外国法人に係る
外国税額の控除)
� 法人税法第144条の 2 の 2(外国法人に
係る分配時調整外国税相当額の控除)
� 法人税法第144条の 2 の 3(税額控除の
順序)
� 震災税特法第17条の 2 第 2 項及び第 3
項(復興産業集積区域等において機械等
を取得した場合の法人税額の特別控除等)
� 震災税特法第17条の 2 の 2 第 2 項及び
第 3 項(企業立地促進区域において機械
等を取得した場合の法人税額の特別控除
等)
� 震災税特法第17条の 2 の 3 第 2 項及び
第 3 項(避難解除区域等において機械等
を取得した場合の法人税額の特別控除等)
� 震災税特法第17条の 3(復興産業集積
区域において被災雇用者等を雇用した場
合の法人税額の特別控除)
� 震災税特法第17条の 3 の 2(企業立地
促進区域において避難対象雇用者等を雇
用した場合の法人税額の特別控除)
� 震災税特法第17条の 3 の 3(避難解除
区域等において避難対象雇用者等を雇用
した場合の法人税額の特別控除)
なお、上記�、�及び�の規定の施行日
は、平成32年 1 月 1 日とされています(改
正法附則 1六ロ)。
イ 給与等支給増加額 適用対象法人の雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額とされています(措法42の12の 5 ①)。つまり、前事業年度等から増加した給与等支給額ですが、適用事業年度において措置法第42条の12の規定(地方活力向上地域等にお
─�430�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
いて雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度)の適用を受ける場合には、その適用により控除を受ける金額の計算の基礎となった者に対する給与等の支給額として計算した金額を控除した残額を給与等支給増加額として、税額控除限度額を計算することとされています。これは、いわゆる雇用に着目した税制と政策目的が重複する部分について、その排除を目的に一定の調整を行うもので、基本的な調整の考え方は、改組前と大きく変わっていませんが、今般の本制度の改組により前事業年度等からの給与等支給増加額について税額控除の対象とされたため過年度分の雇用増に対応した調整が不要となったこと、措置法第42条の12の措置の改組により、地方事業所基準雇用者数に係る措置の適用を受けずに地方事業所特別基準雇用者数に係る措置の適用を受ける場合もあることになったこと、給与等支給額に係る要件が緩和されたことに伴い、調整計算が変更されています。 改正後において、上記の増加した給与等支給額から控除すべき「計算した金額」は、具体的には、適用事業年度に係る雇用者給与等支給額をその適用事業年度終了の日における雇用者の数で除して計算した金額に、次のイ及びロの数を合計した数を乗じて計算した金額の20%に相当する金額とされています(措令27の12の 5 ①)。このとき、次のイ及びロの数を合計した数が地方事業所基準雇用者数を超える場合には、地方事業所基準雇用者数を乗じて計算した金額の20%に相当する金額が「計算した金額」となります。イ 適用対象法人が適用事業年度において措置法第42条の12第 1 項の規定の適用を受ける場合におけるその適用事業年度の特定新規雇用者基礎数と合計した数とを合計した数(措令27の12の 5 ①一) すなわち、適用事業年度における措置
法第42条の12第 1 項の規定の適用による税額控除限度額の計算の基礎となった雇用者の数です。ロ 適用対象法人が適用事業年度において措置法第42条の12第 2 項の規定の適用を受ける場合におけるその適用事業年度の移転型基準雇用者数から同条第 1項の規定の適用を受ける場合における次の数を合計した数を控除した数(措令27の12の5 ①二)A 特定新規雇用者基礎数のうち移転型特定新規雇用者数に達するまでの数B 新規雇用者総数の40%に相当する数のうち移転型非特定新規雇用者数に達するまでの数 ただし、40%に相当する数が非特定新規雇用者数を超える場合には、その非特定新規雇用者数のうち移転型非特定新規雇用者数に達するまでの数とされています。C 地方事業所基準雇用者数から新規雇用者総数を控除した数のうち移転型非新規基準雇用者数に達するまでの数 すなわち、適用事業年度における措置法第42条の12第 2 項の規定の適用による税額控除限度額の計算の基礎となった雇用者の数のうちその適用事業年度において増加した数ですが、同時に、同条第 1項の規定の適用を受ける場合には、上記イの数との重複を排除するため、その適用に係る上記イの数のうち移転型の特定業務施設に係る数(上記AからCまでの合計数)を控除した数となります。なお、同項の規定の適用がない場合(適用事業年度において、措置法第42条の11の 3 の規定の適用を受け、措置法第42条の12第2 項の規定のみを適用する場合)には、控除する数はないこと(=零)となります。(注 1) 上記の「雇用者」とは、「租税特別
─�431�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
措置法第42条の12第 4 項第 3 号に規
定する雇用者」とされていますので、
法人の使用人のうち一般被保険者に
該当するものをいいます(措令27の
12の 5 ①)。使用人からは、その法人
の役員と特殊の関係のある者及びそ
の法人の使用人としての職務を有す
る役員を除くこととされています
(措法42の12④三)。(注 2) 地方事業所基準雇用者数とは、「租
税特別措置法第42条の12第 1 項第 2
号イ⑴に規定する地方事業所基準雇
用者数」とされていますので、適用
事業年度開始の日から起算して 2 年
前の日からその適用事業年度終了の
日までの間に地方活力向上地域等特
定業務施設整備計画について計画の
認定を受けた法人のその計画の認定
に係る特定業務施設のみをその法人
の事業所とみなした場合における基
準雇用者数として証明がされた数を
いいます(措法42の12④六)が、そ
の適用事業年度の基準雇用者数を超
える場合には、基準雇用者数とされ
ます。つまり、措置法第42条の12第
1 項の規定の適用を受ける際の税額
控除額計算における適用上限数です。
なお、地方活力向上地域等特定業務
施設整備計画、計画の認定、特定業
務施設、基準雇用者数については、
前述「六 特定の地域において雇用
者の数が増加した場合の法人税額の
特別控除制度(雇用促進税制)(改正
後:地方活力向上地域等において雇
用者の数が増加した場合の法人税額
の特別控除制度)」をご参照ください。(注 3) 上記イの「特定新規雇用者基礎
数」とは、「租税特別措置法第42条の
12第 1 項第 2 号イ⑴に規定する特定
新規雇用者基礎数」とされています
ので、適用対象法人の適用事業年度
の地方事業所基準雇用者数のうちそ
の適用事業年度の特定新規雇用者数
に達するまでの数をいいます。つま
り、措置法第42条の12第 1 項の規定
の適用を受ける際の税額控除額計算
における基礎となる無期・フルタイ
ムの新規雇用者数です。なお、特定
新規雇用者数は、適用事業年度開始
の日から起算して 2 年前の日からそ
の適用事業年度終了の日までの間に
地方活力向上地域等特定業務施設整
備計画について計画の認定を受けた
法人のその計画の認定に係る特定業
務施設において適用事業年度に新た
に雇用された特定雇用者でその適用
事業年度終了の日においてその特定
業務施設に勤務するものの数として
証明がされた数とされています(措
法42の12④八)。また、特定雇用者に
ついては、前述「六 特定の地域に
おいて雇用者の数が増加した場合の
法人税額の特別控除制度(雇用促進
税制)(改正後:地方活力向上地域等
において雇用者の数が増加した場合
の法人税額の特別控除制度)」をご参
照ください。(注 4) 上記イの「合計した数」とは、「租
税特別措置法第42条の12第 1 項第 2
号イ⑵に規定する合計した数」とさ
れていますので、非特定新規雇用者
数のうち新規雇用者総数の40%に相
当する数に達するまでの数と、その
地方事業所基準雇用者数からその新
規雇用者総数を控除した数とを合計
した数をいいます。つまり、措置法
第42条の12第 1 項の規定の適用を受
ける際の税額控除額計算における基
礎となる有期又はパートタイムの新
規雇用者数と特定業務施設への移転
─�432�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
者の数の合計です。(注 5) 移転型基準雇用者数とは、「租税特
別措置法第42条の12第 1 項第 2 号ロ
⑵に規定する基準雇用者数として政
令で定めるところにより証明がされ
た数」とされていますので、移転型
特定業務施設のみを適用対象法人の
事業所とみなした場合におけるその
適用事業年度の基準雇用者数として
政令で定めるところにより証明がさ
れた数をいいます。つまり、移転型
計画による特定業務施設において適
用事業年度に増加した雇用者の数で
す。なお、移転型特定業務施設は、
適用事業年度開始の日から起算して
2 年前の日からその適用事業年度終
了の日までの間に地方活力向上地域
等特定業務施設整備計画について計
画の認定を受けたその適用対象法人
のその計画の認定に係る特定業務施
設とされています(措法42の12①二
ロ⑴)。(注 6) 移転型特定新規雇用者数とは、「租
税特別措置法第42条の12第 1 項第 2
号ロ⑴に規定する移転型特定新規雇
用者数」とされていますので、移転
型特定業務施設においてその適用事
業年度に新たに雇用された特定雇用
者でその適用事業年度終了の日にお
いてその移転型特定業務施設に勤務
するものの数として証明がされた数
をいいます。つまり、移転型計画に
よる特定業務施設における無期・フ
ルタイムの新規雇用者で適用事業年
度末に在籍するものの数です。(注 7) 新規雇用者総数とは、「租税特別措
置法第42条の12第 1 項第 2 号イ⑵に
規定する新規雇用者総数」とされて
いますので、適用事業年度開始の日
から起算して 2 年前の日からその適
用事業年度終了の日までの間に地方
活力向上地域等特定業務施設整備計
画について計画の認定を受けた法人
のその計画の認定に係る特定業務施
設において適用事業年度に新たに雇
用された雇用者でその適用事業年度
終了の日においてその特定業務施設
に勤務するものの総数として証明が
された数をいいます(措法42の12④
九)が、その適用事業年度の地方事
業所基準雇用者数を超える場合には、
地方事業所基準雇用者数とされてい
ます。つまり、特定業務施設におけ
る新規雇用者で適用事業年度末に在
籍するものの数ですが、措置法第42
条の12第 1 項の規定の適用を受ける
際の税額控除額計算における適用上
限数を超える場合にはその適用上限
数となります。なお、地方活力向上
地域等特定業務施設整備計画、計画
の認定、特定業務施設については、前述「六 特定の地域において雇用
者の数が増加した場合の法人税額の
特別控除制度(雇用促進税制)(改正
後:地方活力向上地域等において雇
用者の数が増加した場合の法人税額
の特別控除制度)」をご参照ください。
(注 8) 上記ロBの「移転型非特定新規雇
用者数」とは、「租税特別措置法第42
条の12第 1 項第 2 号ロ⑵に規定する
移転型非特定新規雇用者数」とされ
ていますので、移転型新規雇用者総
数から移転型特定新規雇用者数を控
除した数のうち非特定新規雇用者数
に達するまでの数をいいます。つま
り、移転型計画による特定業務施設
における有期又はパートタイムの新
規雇用者で適用事業年度末に在籍す
るものの数ですが、特定業務施設全
体の有期又はパートタイムの新規雇
─�433�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
用者で適用事業年度末に在籍するも
のの合計数を超える場合には、その
合計数が上限となります。(注 9) 非特定新規雇用者数とは、「租税特
別措置法第42条の12第 1 項第 2 号イ
⑵に規定する非特定新規雇用者数」
とされていますので、新規雇用者総
数からその適用事業年度の特定新規
雇用者数を控除した数をいいます。
つまり、特定業務施設全体の有期又
はパートタイムの新規雇用者で適用
事業年度末に在籍するものの合計数
です。(注10) 上記ロCの「移転型非新規基準雇
用者数」とは、「租税特別措置法第42
条の12第 1 項第 2 号ロ⑵に規定する
移転型非新規基準雇用者数」とされ
ていますので、移転型基準雇用者数
から移転型新規雇用者総数を控除し
た数をいいます。つまり、移転型計
画による特定業務施設への移転者の
数です。
(注11) 移転型新規雇用者総数とは、移転
型特定業務施設においてその適用事
業年度に新たに雇用された雇用者で
その適用事業年度終了の日において
その移転型特定業務施設に勤務する
ものの総数として証明がされた数を
いいます。つまり、移転型計画によ
る特定業務施設における新規雇用者
で適用事業年度末に在籍するものの
数です。(注12) 前述「六 地方活力向上地域等に
おいて雇用者の数が増加した場合の
法人税額の特別控除制度」の 3 ⑴の
特定認定法人に係る経過措置の適用
を受ける場合には、上記の増加した
給与等支給額から控除すべき「計算
した金額」は、その場合の改正前の
給与等支給額に係る要件に合わせて、
その計算における「20%に相当する
金額」を改正前と同じ「30%に相当
する金額」として計算することとさ
れています(改正措令附則23)。
(参考) 本制度と地方拠点強化税制との重複適用がある場合の調整イメージ
≪算式≫
本制度における雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額
-
※ 当期の雇用増に係る地方拠点強化税制の適用者数の計算(地方事業所基準雇用者数を限度)
地方拠点強化税制における 地方拠点強化税制における
雇用者給与等支給額期末の一般被保険者雇用者数
× ×20%
当期の雇用増に係る地方拠点強化税制の適用者数(※)
+地方事業所特別基準雇用者数に係る措置を受ける場合の移転型施設における当期雇用増加数
地方事業所基準雇用者数に係る措置の適用者数のうち移転型施設における適用者数
―地方事業所基準雇用者数に係る措置の適用者数
─�434�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ロ 教育訓練費の額 前述したように、適用対象法人の適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額が比較教育訓練費の額の1.2倍以上である場合には、税額控除率が 5%上乗せされることとされ、税額控除限度額は、給与等支給増加額の20%に相当する金額とされています(措法42の12の 5 ①)。 教育訓練費の額は、その教育訓練費に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額とされています(措法42の12の 5 ①三)ので、適用対象法人が適用事業年度において実際に負担した額となります。(注) 他の者には、適用対象法人との間に連
結完全支配関係がある他の連結法人及び
適用対象法人が外国法人である場合の本
店等を含みます(措法42の12の 5 ①三)。
なお、本店等とは、法人税法第138条第 1
項第 1 号に規定する本店等ですので、そ
の外国法人の本店、支店、工場その他こ
れらに準ずる一定のものであって恒久的
施設以外のものをいいます。
また、教育訓練費とは、法人がその国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用で一定のものとされています(措法42の12の 5 ③十)が、具体的には、次の場合ごとに応じた費用とされています(措令27の12の 5 ⑱)。イ 適用対象法人がその国内雇用者に対して教育訓練等を自ら行う場合(注) 教育訓練等とは、教育、訓練、研修、
講習その他これらに類するものをいい
ます(措令27の12の 5 ⑱一)。
A 教育訓練等のために講師等に対して支払う報酬、料金、謝金その他これに類するもの及び講師等の旅費のうち適用対象法人が負担するもの(措規20の
10③)。 講師等とは、講師又は指導者をいい、適用対象法人の役員又は使用人である者は除かれています(措令27の12の 5⑱一イ、措規20の10③)。また、旅費は、教育訓練等を行うために要するものに限られています(措規20の10③)。B 教育訓練等に関する計画又は内容の作成についてその教育訓練等に関する専門的知識を有する者に委託している場合のその者に対して支払う委託費その他これに類するもの(措規20の10③)。 専門的知識を有する者からは、その適用対象法人の役員又は使用人である者が除かれています(措規20の10③)。C 教育訓練等のために施設、設備その他の資産を賃借する場合におけるその賃借に要する費用及びコンテンツの使用料(措令27の12の 5 ⑱一ロ、措規20の10④)。 コンテンツとは、文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像又はこれらを組み合わせたものをいいますが、コンテンツの取得に要する費用に該当する『使用料』などは、除かれています(措規20の10④)。
つまり、適用対象法人が外部講師等を招いて講義等を行う際のその外部講師等の報酬等や招へいに要する旅費、適用対象法人が行う教育訓練等の企画に要する費用で専門家に支払う委託料等及び適用対象法人が教育訓練等を行う際の外部施設使用料等ですが、いずれも自己の国内雇用者向けのものに限ります。 なお、適用対象法人の所有する研修に利用する施設等の維持管理費、減価償却費等は含まれませんし、テキスト等の教材費も含まれていません。(注) 教材費は、教育訓練費の対象外とされ
ていますが、これは、本制度では税額控
─�435�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
除率の上乗せの要件でもあり、一つ一つ
が少額で集計が困難であることに配慮し、
その適否の判定が煩雑なものとならない
ように簡素化が求められたことからです。
ロ 適用対象法人から委託を受けた他の者が教育訓練等を行う場合(注) 他の者とは、適用対象法人以外の自
然人又は法人をいいますが、能力や資
格といったような特段の条件を必要と
されていません。なお、適用対象法人
との間に連結完全支配関係がある他の
連結法人や適用対象法人が外国法人で
ある場合の本店等を含むこととされて
います(措令27の12の 5 ⑱二)。
国内雇用者に対する教育訓練等のために、他の者に委託した場合に他の者に対して支払う費用(措令27の12の 5 ⑱二)。 つまり、適用対象法人が外部に教育訓練等を委託する際の委託費用です。外部とは、自己以外の者ですので、教育機関や人材教育会社のほか、子会社に委託しても対象となります。ハ 適用対象法人がその国内雇用者を他の者が行う教育訓練等に参加させる場合 国内雇用者が参加する講義等の教育訓練等を行う他の者に対して支払う授業料、受講料、受験手数料など、その教育訓練等に対する対価として支払うもの(措令27の12の 5 ⑱三、措規20の10⑤)。 つまり、上記ロのように教育訓練等を外部に委託するのではなく、国内雇用者を外部の教育機関等の研修講座や授業を受けさせる場合などにおける参加に要する費用です。また、研修講座等の一環で資格試験が行われる場合に負担する受験手数料も対象とされているほか、研修講座等で使用する教科書代などの教材費が対価に含まれる場合も、その全額が対象になるものと考えられます。 ただし、直接的な費用ではない大学等
への寄附金や国内雇用者の旅費、住居費等は、たとえ他の者に支払うものであるとしても対象とはなりません。(注) 組合がその組合員である法人の国内
雇用者に対して教育訓練等を実施する
場合に徴収された賦課金は対象となり
ませんが、組合が主催する研修セミナ
ー等にその国内雇用者を参加させる場
合の対価として支払われた費用は、対
象となるものと考えられます。
なお、これらの教育訓練等に参加させる国内雇用者のその参加期間中の給与や参加に伴う報奨金については、当然に教育訓練費には該当しません。 ところで、適用事業年度において、教育訓練費の額が比較教育訓練費の額の1.2倍以上であるとして、税額控除率の上乗せの適用を受ける場合には、その適用事業年度の確定申告書等に上記イからハまでの費用の明細を記載した書類を添付しなければならないこととされています(措令27の12の5 ⑲)。(注) 上記の費用の明細を記載した書類は、
適用事業年度の所得の金額の計算上損金
の額に算入される教育訓練費の額及び比
較教育訓練費の額に関する次の事項を記
載した書類とされています(措規20の10
⑥)。
①� 上記イからハまでの費用に係る教育
訓練等の実施時期
②� 教育訓練等の内容
③� 教育訓練等の対象となる国内雇用者
の氏名
④� その費用を支出した年月日、内容及
び金額並びに相手先の氏名又は名称
なお、①、②及び④は、該当性の判定
のために特定及び突合ができる程度(例
えば、実施時期であれば月まで等)で十
分であると考えられますし、③は、実際
に教育訓練等に参加した国内雇用者でな
─�436�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
く参加予定者となります。
ハ 比較教育訓練費の額 比較教育訓練費の額とは、適用対象法人の適用事業年度開始の日前 2年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額の合計額をその 2年以内に開始した各事業年度の数で除して計算した金額をいいます(措法42の12の 5 ③十一)。(注 1) 適用対象法人が、適用事業年度開始
前に連結法人に該当していた場合には、
教育訓練費の額は、適用事業年度開始
の日前 2 年以内に開始した連結事業年
度の連結所得の金額の計算上損金の額
に算入される教育訓練費の額とされて
います。また、この場合の各事業年度
の数には、連結事業年度の数を含むこ
ととなります。なお、教育訓練費の額
については、上記ロをご参照ください。(注 2) 適用事業年度開始の日前 2 年以内に
開始した各事業年度又は連結事業年度
の月数と適用事業年度の月数とが異な
る場合には、各事業年度又は連結事業
年度の教育訓練費の額に適用事業年度
の月数を乗じてこれを各事業年度又は
連結事業年度の月数で除して計算した
金額とされています。
すなわち、 1年決算法人の場合には、前事業年度と前々事業年度の損金の額に算入した教育訓練費の額の平均額ということですので、過去の事業年度の教育訓練費の額を集計することとなります。(注 3) 上記ロのとおり、教育訓練費には、
教育訓練等を自ら行う場合の教材費や
国内雇用者の旅費等を含まないことと
されていますので、過年度の教育訓練
費の額は、これらを除いて集計するこ
とが基本となります。しかしながら、
適用対象法人が過年度において教育訓
練等を行っていた場合に、過去の帳簿
書類等においてこうした対象外の費用
と講師等への報酬等といった対象とな
る費用とが、必ずしも明確に区分され
ていないことも想定されますので、こ
うした事情により非常に煩雑な集計作
業になる場合には、法人の選択により、
平成30年 4 月 1 日前に開始する過年度
の教育訓練費の額に限って、これらを
区分せずに集計することも許容される
ものと考えられます。なお、あくまで
比較教育訓練費の額の計算における同
日前に開始する過年度に限られるもの
ですので、適用事業年度の教育訓練費
の額を正しく集計することは当然です
し、その結果、上乗せ要件の判定上は、
法人に不利になります。
なお、この比較教育訓練費の額が零である場合において、適用事業年度に係る上記ロの教育訓練費の額も零であるときは、上記の税額控除率の上乗せの要件を満たさないものとして税額控除限度額を計算することとされています(措令27の12の 5 �一)ので、税額控除率は原則どおり15%となりますが、それ以外のとき、つまり比較教育訓練費の額が零である場合において、適用事業年度において上記ロの教育訓練費の額が 1円でもあるときは、税額控除率の上乗せの要件を満たすものとして(措令27の12の 5 �二)、税額控除率は20%となります。(注 4) これは、上記の税額控除率の上乗せ
の要件における割合が計算不能となる
場合(比較教育訓練費の額が零である
場合)のその上乗せ措置の適用関係が
明らかにされたものです。
ニ 組織再編成があった場合の比較教育訓練費の額の調整 適用対象法人が合併法人、分割法人、分割承継法人、現物出資法人、被現物出資法人、現物分配法人又は被現物分配法人である場合における比較教育訓練費の額の計算
─�437�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
は、比較雇用者給与等支給額の上記③ニロと同様に、調整を行うこととされています(措令27の12の 5 ⑳�⑦~⑪)。すなわち、次のとおりとされています。イ 適用対象法人が教育訓練費基準日から適用事業年度終了の日までの期間内において行われた合併に係る合併法人に該当する場合のその適用対象法人の適用事業年度における比較教育訓練費の額の計算における教育訓練費の額については、教育訓練費基準日を上記③ニロA及びBの基準日と、教育訓練費未経過法人を上記③ニロA及びBの未経過法人と、教育訓練費の額を上記③ニロA及びBの給与等支給額と、それぞれみなした場合における上記③ニロA及びBのとおりとされています(措令27の12の 5 ⑳)。(注 1) 教育訓練費基準日とは、適用対象
法人の次の①又は②のうちいずれか
早い日をいいます(措令27の12の 5⑳)。
①� 適用対象法人が教育訓練費未経
過法人に該当し、かつ、その適用
対象法人の設立の日から適用事業
年度開始の日の前日までの期間内
に行われた合併、分割、現物出資
又は現物分配に係る合併法人又は
分割承継法人等に該当する場合に
おけるその合併、分割、現物出資
又は現物分配に係る被合併法人又
は分割法人等のその開始の日前 2
年以内に開始した各事業年度又は
連結事業年度のうち最も古い事業
年度又は連結事業年度開始の日
つまり、教育訓練費未経過法人
に該当する適用対象法人の設立の
日から適用事業年度前までの間に
行われた合併等に係る被合併法人
等の事業年度又は連結事業年度開
始の日ですが、適用対象法人の適
用事業年度開始の日前 2 年以内に
開始した事業年度又は連結事業年
度開始の日の最も古い日となりま
す。
なお、分割、現物出資又は現物
分配に係る移転給与等支給額が零
である場合におけるその分割、現
物出資又は現物分配が除かれて国
内雇用者が移転するものに、適用
対象法人の設立の日から合併等の
日の前日(残余財産の全部の分配
である場合には、その残余財産の
確定の日)までの期間に係る給与
等支給額が零である場合に、それ
ぞれ限ることとされていますので、
分割等で国内雇用者が移転しない
場合やこの期間に係る給与等支給
額が零ではなく、適用対象法人に
おいて実際に支給していた給与等
がある場合には、この①の日は認
識しないこととなり、次の②の日
のみを認識する結果、教育訓練費
基準日は②の日となります。
②� 適用事業年度開始の日前 2 年以
内に開始した各事業年度又は連結
事業年度のうち最も古い事業年度
又は連結事業年度開始の日
つまり、適用対象法人が 1 年決
算法人であれば、 2 期前の事業年
度等の開始の日となります。(注 2) 教育訓練費の額とは、上記ロと同
様に、事業年度又は連結事業年度の
所得の金額又は連結所得の金額の計
算上損金の額に算入される教育訓練
費の額をいいます(措令27の12の 5
⑳)。なお、教育訓練費については、
上記ロイからハまでをご参照ください。(注 3) 教育訓練費未経過法人とは、適用
事業年度開始の日においてその設立
の日の翌日以後 2 年を経過していな
い法人をいいます(措令27の12の 5
─�438�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
⑳)。なお、未経過法人と異なり、適
用事業年度の月数は関係ありません。
すなわち、比較教育訓練費の額の計算については、各事業年度等において適用対象法人を合併法人とする合併が行われていた場合に、その合併による影響を調整するために被合併法人の教育訓練費の額を加算する調整計算を行うこととなるものです。また、設立間もない適用対象法人が合併により給与等を支給することとなるような場合には、被合併法人の各事業年度等のうち比較教育訓練費の額の計算対象である期間に相当する事業年度等を合併法人の事業年度等とみなすことを前提に、被合併法人の教育訓練費の額を加算する調整計算を行うこととなります。これらは、比較雇用者給与等支給額の計算と整合的な調整を行うためのものです。なお、具体的な調整計算は、次のとおりとなります(措令27の12の 5 ⑳⑦)。A 適用対象法人が適用事業年度において行われた合併に係る合併法人に該当する場合 合併法人(=適用対象法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その合併法人のその各調整対象年度に係る教育訓練費の額に、その各調整対象年度に含まれる月のその合併に係る被合併法人の月別の教育訓練費の額を合計した金額にその合併の日からその適用事業年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれをその適用事業年度の月数で除して計算した金額を加算することとされています(措令27の12の 5 ⑦一)。つまり、上記ハ(注2)の調整がない場合には、この加算調整をした後の教育訓練費の額が、比較教育訓練費の額の計算の基礎となる各調整対象年度の教育訓練費の額となります。
上記の「調整対象年度」とは、教育訓練費基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、合併法人が教育訓練費未経過法人に該当する場合には教育訓練費基準日からその合併法人の設立の日の前日までの期間を合併法人の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の12の 5⑦一)。(注) 被合併法人の月別の教育訓練費の
額とは、被合併法人における月別給
与等支給額と同様の方法により計算
された教育訓練費の額ですので、合
併に係る被合併法人の各事業年度又
は連結事業年度に係る教育訓練費の
額をそれぞれ各事業年度又は連結事
業年度の月数で除して計算した金額
を各事業年度又は連結事業年度に含
まれる月に係るものとみなしたもの
をいいます(措令27の12の 5 ⑧)。
なお、適用事業年度の比較教育訓練費の額は、各調整対象年度の教育訓練費の額を基礎として上記ハにより計算することとなります。つまり、これらの教育訓練費の額の平均額が比較教育訓練費の額となりますし、この適用対象法人が教育訓練費未経過法人である場合など、調整対象年度とされた期間を含め適用対象法人の調整対象年度の月数と適用事業年度の月数とが異なる場合には、上記ハ(注 2)により、月数按あん
分による調整を行った金額に基づき比較教育訓練費の額を計算することとなります(措法42の12の 5 ③十一)。また、当然に、その法人が実際に負担した教育訓練費の額によります。
─�439�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(参考) 適用対象法人が適用事業年度において行われた合併に係る合併法人に該当する場合の調整計算
B 適用対象法人が教育訓練費基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内において行われた合併に係る合
併法人に該当する場合 合併法人(=適用対象法人)の調整対象年度については、各調整対象年度
教育訓練費基準日
被合併法人
合併法人
月数調整なし
適用事業年度の合併
調整
合併
4月
設立日
5月 7月1年2年
月数調整
×12月4 月
÷ 2
+
+4月 12月
適用事業年度( 1年)前事業年度
× 7月12月
月別の教育訓練費の額の合計額 を加算
合併
2年
最も古い事業年度開始の日
4月6月 12月 5 月 7 月
適用事業年度の合併
調整教育訓練費基準日
月数調整
× 12月4 月
÷ 3
× 12月6 月
月数調整
被合併法人
合併法人
6月 4月12月
適用事業年度( 1年)
前事業年度
× 7月12月
月別の教育訓練費の額の合計額 を加算
+
+
+
+
─�440�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ごとに、その合併法人のその各調整対象年度に係る教育訓練費の額に、その各調整対象年度に含まれる月のその合併に係る被合併法人の月別の教育訓練費の額を合計した金額を加算することとされています(措令27の12の 5 ⑦二)。つまり、上記ハ(注 2)の調整がない場合には、この加算調整をした後の教育訓練費の額が、比較教育訓練費の額の計算の基礎となる各調整対象年度の教育訓練費の額となります。 上記の「調整対象年度」とは、教育訓練費基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内に合併が行われた場合における教育訓練費基準日からその合併の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その
期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、合併法人が教育訓練費未経過法人に該当する場合には教育訓練費基準日からその合併法人の設立の日の前日までの期間を合併法人の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の12の 5 ⑦二)。(注) 月別の教育訓練費の額については、
上記A(注)をご参照ください。
なお、適用事業年度の比較教育訓練費の額について、各調整対象年度を含む適用事業年度開始の日前 2年以内に開始した各事業年度等の教育訓練費の額を基礎として上記ハにより計算することは、上記Aと同様です。
(参考) 適用対象法人が教育訓練費基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内において行われた
合併に係る合併法人に該当する場合の調整計算
被合併法人
被合併法人
合併
合併
みなされた事業年度
月数調整
月別の教育訓練費の額の合計額を加算
適用事業年度前の新設合併
× 12月6 月
前事業年度
教育訓練費基準日
+
合併法人(教育訓練費未経過法人)
適用事業年度(1年)
16月
6 月
+
調整
最も古い事業年度開始の日
月数調整
×12月16月
÷ 2
1 年 4 月 6 月2年
─�441�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
2 年
合併設立日
適用事業年度前の合併(前事業年度が設立事業年度である場合)
調整
前事業年度
10月
月数調整
月別の教育訓練費の額の合計額を加算
被合併法人
10月
合併法人適用事業年度(1年)
× 12月10月
教育訓練費基準日
合併
被合併法人
最も古い事業年度開始の日
月数調整
2年
前事業年度
6 月12月
適用事業年度前の合併
教育訓練費基準日
月数調整なし
÷ 2
月別の教育訓練費の額の合計額を加算
12月 6 月
+
+
合併法人 適用事業年度(1年)
12月6月×
─�442�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ロ 適用対象法人が一定の分割法人等又は分割承継法人等に該当する場合のその適用対象法人の適用事業年度における比較教育訓練費の額の計算における教育訓練費の額については、教育訓練費基準日を上記③ニロC及びDの基準日と、教育訓練費未経過法人を上記③ニロDの未経過法人と、教育訓練費の額を上記③ニロC及びDの給与等支給額と、それぞれみなした場合における上記③ニロC及びDのとおりとされています(措令27の12の 5�)。(注 1) 一定の分割法人等又は分割承継法
人等とは、次の分割法人等又は分割
承継法人等をいいます(措令27の12
の 5 �)。
①� 教育訓練費基準日から適用事業
年度終了の日までの期間内におい
て行われた分割等に係る分割法人
等
②� 適用事業年度において行われた
分割等に係る分割承継法人等
③� 教育訓練費基準日から適用事業
年度開始の日の前日までの期間内
において行われた分割等に係る分
割承継法人等(注 2) 上記(注 1)の分割法人等とは、
分割法人、現物出資法人又は現物分
配法人をいい、上記(注 1)の分割
承継法人等とは、分割承継法人、被
現物出資法人又は被現物分配法人を
いいます。また、上記(注 1)①か
ら③までの分割等とは、分割、現物
出資又は現物分配をいいますが、上
記(注 1)②の現物分配のうち残余
財産の全部の分配にあっては適用事
業年度開始の日の前日から適用事業
年度終了の日の前日までの期間内に
おいてその残余財産が確定したもの
とされていますし、上記(注 1)③
の現物分配のうち残余財産の全部の
分配にあっては教育訓練費基準日の
前日から適用事業年度開始の日の前
日を含む事業年度又は連結事業年度
終了の日の前日までの期間内におい
てその残余財産が確定したものとさ
れています(措令27の12の 5 �)。
すなわち、比較教育訓練費の額の計算については、各事業年度等において適用対象法人を一定の分割法人等又は分割承継法人等とする上記(注 1)の分割等が行われていた場合に、その分割等による影響を調整するために、分割法人等にあっては移転する教育訓練費の額を減算し、分割承継法人等にあっては分割法人等から移転する教育訓練費の額を加算する調整計算を行うこととなるものです。また、設立間もない適用対象法人が分割等により給与等を支給することとなった場合には、分割法人等の各事業年度等のうち比較教育訓練費の額の計算対象である期間に相当する事業年度等を分割承継法人等の事業年度等とみなすことを前提に、分割法人等の教育訓練費の額を加算する調整計算を行うこととなります。これらは、上記イと同様に、比較雇用者給与等支給額の計算と整合的な調整を行うためのものです。(注 3) 移転する教育訓練費の額とは、分
割等に係る分割法人等の分割等の日
(残余財産の全部の分配である場合に
は、その残余財産の確定の日の翌
日)前に開始した各事業年度又は連
結事業年度に係る教育訓練費の額に、
その分割等の直後のその分割等に係
る分割承継法人等の国内雇用者でそ
の分割等の直前においてその分割法
人等の国内雇用者であった者の数を
乗じて、これをその分割等の直前の
分割法人等の国内雇用者の数で除し
─�443�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
て計算した金額をいいます(措令27
の12の 5 ⑪)。このとき、分割等の日
を含む事業年度又は連結事業年度に
あっては、その分割等の日の前日を
その事業年度又は連結事業年度の終
了の日とした場合に損金の額に算入
される教育訓練費の額について計算
した金額とされています。
なお、具体的な調整計算は、次のとおりとなります(措令27の12の 5 �⑨)。A 適用対象法人が教育訓練費基準日から適用事業年度終了の日までの期間内において行われた分割等に係る分割法人等に該当する場合🄐 適用事業年度において行われた分割等に係る分割法人等(=適用対象法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その分割法人等のその各調整対象年度に係る教育訓練費の額から、分割法人等の各調整対象年度に係る移転する教育訓練費の額にその分割等の日からその適用事業年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれをその適用事業年度の月数で除して計算した金額を控除することとされています(措令27の12の 5 ⑨一イ)。 上記の「調整対象年度」とは、教育訓練費基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業
年度に該当する場合には連結事業年度とされています(措令27の12の 5⑨一イ)。🄑 教育訓練費基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内において行われた分割等に係る分割法人等(=適用対象法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その分割法人等のその各調整対象年度に係る教育訓練費の額から、分割法人等の各調整対象年度に係る移転する教育訓練費の額を控除することとされています(措令27の12の5 ⑨一ロ)。 上記の「調整対象年度」とは、教育訓練費基準日から分割等の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とされています(措令27の12の 5 ⑨一ロ)。 つまり、上記ハ(注 2)の調整がない場合には、上記🄐又は🄑の控除をした後の教育訓練費の額が、比較教育訓練費の額の計算の基礎となる各調整対象年度の教育訓練費の額となります。 なお、適用事業年度の比較教育訓練費の額について、各調整対象年度の教育訓練費の額を基礎として上記ハにより計算することは、上記イAと同様です。
─�444�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(参考) 適用対象法人が基準日から適用事業年度終了の日までの期間内において行われた分割等に係る分割
法人等に該当する場合の調整計算
B 適用対象法人が教育訓練費基準日から適用事業年度終了の日までの期間内において行われた分割等に係る分割承継法人等に該当する場合🄐 適用事業年度において行われた分割等に係る分割承継法人等(=適用対象法人)の調整対象年度について
は、各調整対象年度ごとに、その分割承継法人等のその各調整対象年度に係る教育訓練費の額に、その各調整対象年度に含まれる月のその分割等に係る分割法人等の移転する月別の教育訓練費の額を合計した金額にその分割等の日からその適用事業年
最も古い事業年度開始の日
▲
分割等
調整
2年
適用事業年度の分割等
4月 8月
前事業年度
6 月 1 年
+
教育訓練費基準日
月数調整 月数調整なし
+
÷ 2
6月 1年
分割法人等適用事業年度(1年)
× 8月12月移転する教育訓練費の額 を控除
×12月6 月
×12月10月
適用事業年度前の分割等
分割等
3月
2年
1年
分割法人等
7月
調整
月数調整
前事業年度
教育訓練費基準日
最も古い事業年度開始の日
+月数調整なし
+
移転する教育訓練費の額を控除
÷ 2
適用事業年度(1年)
1 年 10月
─�445�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
度終了の日までの期間の月数を乗じてこれをその適用事業年度の月数で除して計算した金額を加算することとされています(措令27の12の 5 ⑨二イ)。 上記の「分割等」とは、分割、現物出資又は現物分配をいいますが、現物分配が残余財産の全部の分配である場合には、適用事業年度開始の日の前日からその適用事業年度終了の日の前日までの期間内において残余財産が確定したものとされ、このときの上記の「分割等の日」はその残余財産の確定の日の翌日とされています(措令27の12の 5 ⑨二イ)。 また、上記の「調整対象年度」とは、教育訓練費基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、その分割承継法人等が教育訓練費未経過法人に該当する場合には教育訓練費基準日から分割承継法人等の設立の日の前日までの期間をその分割承継法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の12の 5 ⑨二イ)。(注 1) 移転する月別の教育訓練費の
額とは、分割等に係る分割法人
等のその分割等の日(残余財産
の全部の分配にあっては、その
残余財産の確定の日の翌日)前
に開始した各事業年度又は連結
事業年度に係る移転する教育訓
練費の額をそれぞれその各事業
年度又は連結事業年度の月数で
除して計算した金額をその各事
業年度又は連結事業年度に含ま
れる月に係るものとみなしたも
のをいいます(措令27の12の 5
⑩)。このとき、分割等の日を
含む事業年度又は連結事業年度
にあっては、その開始の日から
その分割等の日の前日までの期
間の月数で除して計算した金額
をその開始の日からその分割等
の日の前日までの期間に含まれ
る月に係るものとみなしたもの
とされています。(注 2) 移転する教育訓練費の額につ
いては、上記A(注)をご参照
ください。
🄑 教育訓練費基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内において行われた分割等に係る分割承継法人等(=適用対象法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その分割承継法人等のその各調整対象年度に係る教育訓練費の額に、その各調整対象年度に含まれる月のその分割等に係る分割法人等の移転する月別の教育訓練費の額を合計した金額を加算することとされています(措令27の12の 5 ⑨二ロ)。 上記の「分割等」とは、分割、現物出資又は現物分配をいいますが、現物分配が残余財産の全部の分配である場合には、教育訓練費基準日の前日から適用事業年度開始の日の前日を含む事業年度又は連結事業年度終了の日の前日までの期間内において残余財産が確定したものとされています(措令27の12の 5 ⑨二ロ)。 また、上記の「調整対象年度」とは、教育訓練費基準日から分割等の日の前日(残余財産の全部の分配である場合には、その残余財産の確定の日)までの期間内の日を含む各事
─�446�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、その分割承継法人等が教育訓練費未経過法人に該当する場合には教育訓練費基準日から分割承継法人等の設立の日の前日までの期間をその分割承継法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の12の 5 ⑨二ロ)。 つまり、上記ハ(注 2)の調整がな
い場合には、上記🄐又は🄑の加算をした後の教育訓練費の額が、比較教育訓練費の額の計算の基礎となる各調整対象年度の教育訓練費の額となります。(注) 移転する月別の教育訓練費の額に
ついては上記🄐(注 1)をご参照く
ださい。
なお、適用事業年度の比較教育訓練費の額について、各調整対象年度の教育訓練費の額を基礎として上記ハにより計算することは、上記イAと同様です。
(参考) 適用対象法人が教育訓練費基準日から適用事業年度終了の日までの期間内において行われた分割等
に係る分割承継法人等に該当する場合の調整計算
適用事業年度の分割等(前事業年度が設立事業年度である場合)
教育訓練費基準日
月数調整
設立日
前事業年度
調整
5月10月2 年
10月
分割等
分割承継法人等
分割法人等
適用事業年度( 1年)
× 7 月12月
× 12月10月
移転する月別の教育訓練費の額の合計額 を加算
7月
─�447�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
+
+
2年
最も古い事業年度開始の日
12月 8 月 5 月 7 月
× 12月8 月
前事業年度
適用事業年度の分割等
調整
÷ 2
教育訓練費基準日
12月 8 月月数調整なし
分割法人等
分割等
分割承継法人等 適用事業年度( 1年)
× 7 月12月
移転する月別の教育訓練費の額の合計額 を加算
月数調整
分割法人等
分割等
月数調整
前事業年度
2 年
8 月
4 月
適用事業年度( 1年)
適用事業年度前の新設分割等
最も古い事業年度開始の日 1年
×12月8 月
設立日
みなされた事業年度
教育訓練費基準日
+
+
月数調整
調整
× 12月16月
÷ 2
分割承継法人等(教育訓練費未経過法人)
16月
8 月
─�448�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
⑤ 法人税法の規定との調整 本措置の適用がある場合における法人税法の規定との調整については、改組後も基本的に変更ありませんが、後述するとおり、研究開発税制における調整規定を準用することと
されたほか、所要の整備が行われています(措法42の12の 5 ⑦)。⑥ 申告要件 本措置の適用を受ける場合の申告要件については、改組に伴い、確定申告書等(控除を
10月月数調整
10月
× 12月10月
設立日
適用事業年度( 1年)
調整
前事業年度
2 年
教育訓練費基準日
分割等
移転する月別の教育訓練費の額の合計額を加算
分割法人等
分割承継法人等
適用事業年度前の分割等(前事業年度が設立事業年度である場合)
5 月月数調整
× 12月5 月
調整
+
+ +
+
教育訓練費基準日
月数調整
×12月6 月
÷ 3
移転する月別の教育訓練費の額の合計額を加算
分割承継法人等
分割法人等
2年
6月 5月12月
適用事業年度(1年)
最も古い事業年度開始の日
分割等
適用事業年度前の分割等
6月 12月
前事業年度
─�449�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
受ける金額を増加させる修正申告書又は更正請求書を提出する場合には、その修正申告書又は更正請求書を含みます。)に控除の対象となる雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細並びに継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額を記載した書類の添付がある場合に限り、適用することとされました(措法42の12の 5 ⑤)。 この場合において、控除される金額の計算の基礎となる雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額は、確定申告書等に添付された書類に記載された雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額を限度とすることとされています(措法42の12の 5 ⑤後段)。(注 1) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第
30号に規定する中間申告書で同法第72条
第 1 項各号に掲げる事項を記載したもの
及び同法第144条の 4 第 1 項各号又は第 2
項各号に掲げる事項を記載したもの並び
に同法第 2 条第31号に規定する確定申告
書をいいます(措法 2②二十七)。すなわ
ち、仮決算をした場合の中間申告書及び
確定申告書をいい、確定申告書には、そ
の確定申告書に係る期限後申告書を含む
こととされています。(注 2) 修正申告書とは、国税通則法第19条第
3 項に規定する修正申告書をいい、更正
請求書とは、同法第23条第 3 項に規定す
る更正請求書をいいます(措法 2②三十・
三十一)。
すなわち、継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額が添付書類の記載事項に追加され、本措置を適用するためにはこれらの金額の記載が必須とされましたが、そのほかに実質的な改正はありません。
⑵ 中小企業者等が給与等の引上げを行った場合の税額控除制度① 適用対象法人 この措置の適用対象となる法人は、青色申告書を提出する中小企業者等とされています。したがって、いわゆる大法人には、適用がありません(措法42の12の 5 ②)。 なお、中小企業者等の範囲は、改組前と同じですが、中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものの事業年度においては、この措置の適用を停止することとされています(措法42の12の 5 ②)。(注) 適用除外事業者とは、措置法第42条の 4
第 8 項第 6 号の 2 に規定する適用除外事業
者をいい、平成31年 4 月 1 日以後に開始す
る事業年度分から適用されます(前述「二
高度省エネルギー増進設備等を取得した場
合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」
の 3 ⑸(注 2)参照)。なお、適用除外事業
者に該当する中小企業者が上記⑴の措置を
適用できることは、いうまでもありません。
② 適用事業年度 この措置は、平成30年 4 月 1 日から平成33年 3 月31日までの間に開始する各事業年度において適用できることとされています。ただし、次の事業年度は、除外されています(措法42の12の 5 ②)。イ 上記⑴の措置の適用を受ける事業年度(注) すなわち、上記⑴の措置との選択適用
とされています。
ロ 設立事業年度(注) 上記⑴②イをご参照ください。ハ 解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度ニ 清算中の各事業年度 改組前において、中小企業者等にあっては、設立事業年度においても本制度が適用できましたが、改組後は大法人と同様に、設立事業年度においては、適用できないこととされました。
─�450�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(注) 通常、前年度との比較において指標の増
加を要件とする制度において設立事業年度
が適用できないこととされていること、特
に、対前年度の増加割合要件が無意味なも
のとなりかねないこと等から、設立事業年
度を適用事業年度から除外することとされ
ています。
③ 適用要件 この措置は、適用対象法人が、適用事業年度において、次のイからハまでの全ての要件を満たす場合に適用できることとされています(措法42の12の 5 ②)。イ 国内雇用者に対して給与等を支給すること。 上記⑴③イと同様です。ロ 継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が1.5%以上であること。 継続雇用者給与等支給額とは、継続雇用者に対する適用事業年度の給与等の支給額をいい、継続雇用者比較給与等支給額とは、その継続雇用者に対する前事業年度等の給与等の支給額をいいます(措法42の12の 5③六・七)。 すなわち、適用事業年度における継続雇用者に対する給与等の支給額が、その前事業年度等の継続雇用者に対する給与等の支給額の101.5%相当額以上であることがこのロの要件となります。このとき、前事業年度等の継続雇用者に対する給与等の支給額が零である場合(つまり、その給与等の支給額がない場合)には、このロに該当しないものとすることとされ(措令27の12の5 �二)、この措置の適用ができないことは、上記⑴③ロと同様です。 このロの要件は、改組前において「平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること」とされていた要件について、よ
り高い賃金引上げを行う企業を支援する制度とする今般の改正の趣旨を踏まえて見直されたものです。 また、このロの要件において、適用事業年度やその前事業年度等において合併等の組織再編成が行われている場合であっても、その組織再編成に基因する継続雇用者比較給与等支給額の調整等は行わないことは、上記⑴③ロと同様です。 なお、継続雇用者、継続雇用者給与等支給額の計算、継続雇用者比較給与等支給額の計算については、上記⑴③ロと同様です(措法42の12の 5 ③六・七、措令27の12の5 ⑬~⑮)ので、上記⑴③ロイからハまでをご参照ください。ハ 雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超えること。 上記⑴③ニと同様です(措法42の12の 5③四・五⑥、措令27の12の 5 ⑤~⑫)。
④ 税額控除限度額の計算 税額控除限度額は、給与等支給増加額の15%に相当する金額とされています。ただし、次のイ及びロの要件を満たす場合には、税額控除限度額は、給与等支給増加額の25%に相当する金額とすることとされています(措法42の12の 5 ②)。(注) 給与等支給増加額は、上記⑴④イと同様
です(措法42の12の 5 ②)。
イ 継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が2.5%以上であること。 継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額については、上記③ロと同様です。したがって、適用事業年度における継続雇用者に対する給与等の支給額が、その前事業年度等の継続雇用者に対する給与等の支給額の102.5%相当額以上であることがこのイの要件となります。このとき、
─�451�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
前事業年度等の継続雇用者に対する給与等の支給額が零である場合(つまり、その給与等の支給額がない場合)には、このイの要件を満たさないものとすることとされています(措令27の12の 5 �一)ので、税額控除率の上乗せ措置は、適用できないこととなります。ロ 次のイの要件とロの要件とのいずれかを満たすこと。イ 適用対象法人である中小企業者等の適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額から中小企業比較教育訓練費の額を控除した金額のその中小企業比較教育訓練費の額に対する割合が10%以上であること。A 教育訓練費の額 教育訓練費の額は、上記⑴④ロと同様です(措法42の12の 5 ①三③十、措令27の12の 5 ⑱⑲、措規20の10③~⑥)。B 中小企業比較教育訓練費の額 中小企業比較教育訓練費の額とは、適用対象法人である中小企業者等の適用事業年度開始の日前 1年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額の合計額をその 1年以内に開始した各事業年度の数で除して計算した金額をいいます(措法42の12の 5 ③十二)。(注 1) 適用対象法人が、適用事業年度
開始前に連結法人に該当していた
場合には、教育訓練費の額は、適
用事業年度開始の日前 1 年以内に
開始した連結事業年度の連結所得
の金額の計算上損金の額に算入さ
れる教育訓練費の額とされていま
す。また、この場合の各事業年度
の数には、連結事業年度の数を含
むこととなります。なお、教育訓
練費の額については、上記⑴④ロ
をご参照ください。(注 2) 適用事業年度開始の日前 1 年以
内に開始した各事業年度又は連結
事業年度の月数と適用事業年度の
月数とが異なる場合には、各事業
年度又は連結事業年度の教育訓練
費の額に適用事業年度の月数を乗
じてこれを各事業年度又は連結事
業年度の月数で除して計算した金
額とされています。
すなわち、 1年決算法人の場合には、前事業年度の損金の額に算入した教育訓練費の額ということです。基本的には、上記⑴④ハの比較教育訓練費の額と同様のものですが、過去 2年間の事業年度ではなく、過去 1年間の事業年度の教育訓練費の額を集計する点が異なります。 なお、この中小企業比較教育訓練費の額が零である場合については、上記⑴④ハと同様とされています(措令27の12の 5 �)。つまり、中小企業比較教育訓練費の額が零である場合において、適用事業年度に係る上記Aの教育訓練費の額も零であるときは、このイの要件を満たさないものとして税額控除限度額を計算することとされ(措令27の12の 5 �一)、それ以外のとき、つまり中小企業比較教育訓練費の額が零である場合において、適用事業年度において上記Aの教育訓練費の額が 1円でもあるときは、このイの要件を満たすものとされています(措令27の12の 5 �二)。C 組織再編成があった場合の中小企業比較教育訓練費の額の調整 適用対象法人が合併法人、分割法人、分割承継法人、現物出資法人、被現物出資法人、現物分配法人又は被現物分
─�452�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
配法人である場合における中小企業比較教育訓練費の額の計算は、比較教育訓練費の額の上記⑴④ニと同様に、調整を行うこととされています(措令27の12の 5 ⑳�⑦~⑪)ので、上記⑴④ニをご参照ください。 なお、上記⑴④ニイにおいて、「比較教育訓練費の額」とあるのは、当然「中小企業比較教育訓練費の額」と置き換えることとなるほか、中小企業比較教育訓練費の額が適用事業年度開始の日前 1年以内に開始した各事業年度等に係る教育訓練費の額を基礎として計算することから、教育訓練費未経過法人とは、適用事業年度開始の日においてその設立の日の翌日以後 1年を経過していない法人をいいますし、教育訓練費基準日は、適用対象法人である中小企業者等の次の🄐又は🄑のうちいずれか早い日とされています(措令27の12の 5 ⑳)。🄐 適用対象法人が教育訓練費未経過法人に該当し、かつ、その適用対象法人の設立の日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内に行われた合併、分割、現物出資又は現物分配に係る合併法人又は分割承継法人等に該当する場合におけるその合併、分割、現物出資又は現物分配に係る被合併法人又は分割法人等のその開始の日前 1年以内に開始した各事業年度又は連結事業年度のうち最も古い事業年度又は連結事業年度開始の日 つまり、教育訓練費未経過法人に該当する適用対象法人の設立の日から適用事業年度前までの間に行われた合併等に係る被合併法人等の事業年度又は連結事業年度開始の日です
が、適用対象法人の適用事業年度開始の日前 1年以内に開始した事業年度又は連結事業年度開始の日の最も古い日となります。 なお、分割、現物出資又は現物分配に係る移転給与等支給額が零である場合におけるその分割、現物出資又は現物分配が除かれて国内雇用者が移転するものに、適用対象法人の設立の日から合併等の日の前日(残余財産の全部の分配である場合には、その残余財産の確定の日)までの期間に係る給与等支給額が零である場合に、それぞれ限ることとされています。🄑 適用事業年度開始の日前 1年以内に開始した各事業年度又は連結事業年度のうち最も古い事業年度又は連結事業年度開始の日 つまり、適用対象法人が 1年決算法人であれば、前事業年度等の開始の日となります。
ロ 適用対象法人である中小企業者等が、適用事業年度終了の日までにおいて中小企業等経営強化法第13条第 1項の認定を受けたものであり、その認定に係る経営力向上計画に記載された経営力向上が確実に行われたことにつき証明がされたものであること。 すなわち、中小企業等経営強化法により経営力向上計画につき主務大臣の認定を受けた中小企業者等であって、その認定を受けた経営力向上計画に記載された経営力向上が確実に行われていれば、この要件を満たすこととなります。 具体的には、次の書類を確定申告書等に添付することにより証明がされた中小企業者等とされています(措規20の10①)。A その中小企業者等が受けた認定に係
─�453�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
る経営力向上計画の写し及びその認定書の写し これは、中小企業者等が適用事業年度末までに経営力向上計画の認定を受けていることと、その経営力向上計画に従って実施する経営力向上の内容及び指標を確認するものです。経営力向上計画につき変更の認定があった場合には、当然にその変更後の経営力向上計画の写しとなりますし、当初の認定に係る認定書の写しに加え、変更の認定に係る認定書の写しも必要となります。B 経営力向上計画に従って行われる経営力向上に係る事業の実施状況につき経済産業大臣に報告した内容が確認できる書類 これは、上記の税額控除率の上乗せ措置の適用を受けようとする中小企業者等のうち経営力向上計画について認定を受けているものが、適用事業年度終了後申告までに経済産業省に対し経営力向上計画の実施状況につき報告した書類(つまり報告書)ということです。 この書類は、経営力向上が行われたことがその経営力向上計画に記載された指標の値により確認できるものに限ることとされており、認定を受けた経営力向上計画に記載された「経営力向上による経営の向上の程度を示す指標」について、適用事業年度末の実績値が、認定を受けた時点における実績値に比べて改善していることが確認できることをもって、経営力向上が確実に行われているものとするものです。また、当然ですが、経営力向上計画につき変更の認定があった場合には、その変更後の経営力向上計画に記載され
た指標の値により確認することとなります。 なお、「経営力向上による経営の向上の程度を示す指標」とは、基本方針及び事業分野別指針で定められている経営力向上に係る指標をいいますが、経済産業大臣が認めるものに限ることとされています(措規20の10①)ので、この指標のうち、定量的に評価可能なもの等として経済産業大臣が指定するものとされています。(注) 経営力向上計画とは、中小企業等
経営強化法第13条第 1 項に規定する
経営力向上計画をいい、変更の認定
とは、同法第14条第 1 項の規定によ
る変更の認定をいい、経営力向上と
は、同法第 2 条第10項に規定する経
営力向上をいいます。
なお、この税額控除限度額が適用対象法人の適用事業年度の調整前法人税額の20%相当額を超える場合には、税額控除額は、その調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(措法42の12の 5 ②後段)。(注) 調整前法人税額は、上記⑴④と同様です
(措法42の 4 ⑧二、震災税特法17の 2 ⑭、17
の 2 の 2 ⑨、17の 2 の 3 ⑨、17の 3 ⑥、17
の 3 の 2 ⑤、17の 3 の 3 ⑤、措令27の 4 ⑤)
ので、上記⑴④(注)をご参照ください。⑤ 法人税法の規定との調整及び申告要件 本措置の適用についても、上記⑴⑤及び⑥と同様とされています(措法42の12の 5 ⑤⑦)。
⑶ 連結納税制度 連結納税制度の場合についても、同様の改組が行われ、上記⑴及び⑵と同様の措置が適用できることとされました(措法68の15の 6 ①②)。 基本的には、上記⑴及び⑵のとおりですが、改組前と同様に、連結グループ全体で適用を選択することとされ、適用要件についても連結グ
─�454�─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ループ全体で判定することとされています。また、適用要件等における継続雇用者給与等支給額等の各金額を、単体納税と同じ計算に基づき各連結法人(個社単位)で計算した上、これを連結グループの全連結法人で合計することも、改組前と同じです。 なお、これらのほか、上記の単体納税と異なる連結納税固有の措置が次のとおり講じられていますので、ご留意ください。① 適用対象法人
上記⑵に対応する措置の適用対象となる連結法人は、連結親法人が中小連結親法人に該当する連結法人とされました(措法68の15の6 ②)。
(注) 中小連結親法人とは、措置法第68条の 9
第 8 項第 5 号に規定する中小連結法人で同
項第 5 号の 2 に規定する適用除外事業者に
該当しないもの又は農業協同組合等のうち、
連結親法人であるものをいいます(措法68
の15の 6 ②)。
② 適用事業年度 適用対象となる連結事業年度は、連結親法人事業年度が平成30年 4 月 1 日から平成33年3 月31日までの間に開始する各連結事業年度とされていますが、単体納税と異なり、設立事業年度が除外されていません(措法68の15の 6 ①②)。これは、連結グループ全体で適用を選択することとされていることから、一の連結法人が設立事業年度に該当する連結事業年度であっても、連結グループで適用要件を満たす限り、各措置の適用が可能であるためです。
③ 適用要件等
既に触れたとおり、適用要件は連結グループ全体で判定することとされていますので、適用事業年度が設立事業年度である連結法人であってもその判定上含めて雇用者給与等支給額等を計算することとなりますが、継続雇用者は、単体納税と同じように各連結法人において適用事業年度及び適用事業年度開始の日の前日を含む連結事業年度又は事業年度の期間内の各月においてその連結法人の給与等の支給を受けた一定の国内雇用者とされています(措法68の15の 6 ③五)ので、適用事業年度が設立事業年度である連結法人は、継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額はないこととなります。 なお、連結法人がその設立事業年度を適用事業年度とする場合において、その設立事業年度に組織再編成が行われたときの比較雇用者給与等支給額等の計算においては、その組織再編成に係る被合併法人等の連結事業年度等をその連結法人の連結事業年度とみなすこととされています(措令39の47⑦~⑫)。
④ 税額控除限度額 税額控除限度額の計算の基礎となる給与等支給増加額については、適用事業年度に措置法第68条の15の 2 の規定の適用がある場合には、単体納税と同様に重複部分の排除として調整計算を行いますが、単純に連結グループ全体の一人当たり雇用者給与等支給額に同条の連結グループ全体の適用者数を乗じて計算した金額を控除するのではなく、各連結法人の調整すべき金額として計算した個別給与控除額の合計額を控除することとされています
(措法68の15の 6 ①②、措令39の47①②)。
─ 455 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(参考) 個別給与控除額の計算
また、税額控除率の上乗せ措置の要件のうち、経営力向上が確実に行われたことに係る要件については、中小連結親法人が、経営力向上計画の認定を受け、経営力向上を実施している場合に満たすことが可能となっています(措法68の15の 6 ②二ロ)。つまり、連結子法人が個別に経営力向上計画の認定を受けていたとしても、連結グループ全体の経営力向上は実現しないものとして、その上乗せ措置は適用できないこととされています。
⑤ 連結法人税の個別帰属額の計算 改組前と同様に、適用事業年度の連結所得に対する法人税の負担額として帰せられ、又は減少額として帰せられる金額の計算において、各連結法人の減算調整額に加算する金額を計算することとされていますが、改組に伴い、その加算する金額は、連結所得の金額に対する法人税の額から控除した金額に次の割合を乗じて計算することとされました(措令39の47�)。
各連結法人の(雇用者給与
等支給額 -比較雇用者給与等支給額 )-個別給与
控除額
全連結法人の分子の金額の合計額
(参考) 中小企業等経営強化法(平成11年法律第
18号)
(定義)
第 2 条 省 略
2 ~ 9 省 略
10 この法律において「経営力向上」とは、
事業者が、事業活動に有用な知識又は技能
を有する人材の育成、財務内容の分析の結
果の活用、商品又は役務の需要の動向に関
する情報の活用、経営能率の向上のための
情報システムの構築その他の方法であって、
現に有する経営資源又は次に掲げるいずれ
かの措置(以下「事業承継等」という。)に
より他の事業者から取得した又は提供され
た経営資源を高度に利用するものを導入し
て事業活動を行うことにより、経営能力を
≪算式≫
個別給与控除額
※ 控除対象者数(当期の雇用増に係る地方拠点強化税制の適用者数の計算)
各連結法人の雇用者給与等支給額の合計額各連結法人の期末の一般被保険者雇用者数の合計
× ×20%控除対象者数(※)
×
【地方拠点強化税制における①と②の合計】
① 各連結法人の地方事業所基準雇用者数に係る措置の適用者数
+② 各連結法人の地方事業所特別基準雇用者数に係る措置を受ける場合の移転型施設における当期雇用増加数-上記①のうち移転型施設における適用者数
【地方拠点強化税制における③と④の合計】
各連結法人の分子の数の合計
③ 個々の連結法人の地方事業所基準雇用者数に係る措置の適用者数
+④ 個々の連結法人の地方事業所特別基準雇用者数に係る措置を受ける場合の移転型施設における当期雇用増加数-上記③のうち移転型施設における適用者数
(各連結法人の地方事業所基準雇用者数の合計を限度)
(個々の連結法人の地方事業所基準雇用者数を限度)
─ 456 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
強化し、経営の向上を図ることをいう。
一 吸収合併(会社法(平成17年法律第86
号)第749条第 1 項に規定する吸収合併存
続会社及び同項第 1 号に規定する吸収合
併消滅会社が中小企業者等である場合に
限る。)により当該吸収合併存続会社とな
り、当該吸収合併消滅会社の権利義務の
全部を承継すること。
二 新設合併(会社法第753条第 1 項に規定
する新設合併設立会社及び同項第 1 号に
規定する新設合併消滅会社が中小企業者
等である場合に限る。)により当該新設合
併設立会社を設立し、当該新設合併消滅
会社の権利義務の全部を承継すること。
三 吸収分割(会社法第757条に規定する吸
収分割承継会社及び同法第758条第 1 項第
1 号に規定する吸収分割会社が中小企業
者等である場合に限る。)により当該吸収
分割承継会社となり、当該吸収分割会社
がその事業に関して有する権利義務の全
部又は一部を承継すること。
四 新設分割(会社法第763条第 1 項に規定
する新設分割設立会社及び同項第 5 号に
規定する新設分割会社が中小企業者等で
ある場合に限る。)により当該新設分割設
立会社を設立し、当該新設分割会社がそ
の事業に関して有する権利義務の全部又
は一部を承継すること。
五 株式交換(会社法第767条に規定する株
式交換完全親会社及び同法第768条第 1 項
第 1 号に規定する株式交換完全子会社が
中小企業者等である場合に限る。)により
当該株式交換完全親会社となり、当該株
式交換完全子会社の発行済株式の全部を
取得すること。
六 株式移転(会社法第773条第 1 項第 1 号
に規定する株式移転設立完全親会社及び
同項第 5 号に規定する株式移転完全子会
社が中小企業者等である場合に限る。)に
より当該株式移転完全子会社となり、そ
の発行済株式の全部を当該株式移転設立
完全親会社に取得させること。
七 事業又は資産の譲受け(中小企業者等
が他の中小企業者等から譲り受ける場合
に限る。)
八 他の中小企業者等の株式又は持分の取
得(中小企業者等による当該取得によっ
て当該他の中小企業者等が当該中小企業
者等の関係事業者(他の事業者がその経
営を実質的に支配していると認められて
いるものとして主務省令で定める関係を
有するものをいう。)となる場合に限る。)
九 事業協同組合(中小企業等協同組合法
(昭和24年法律第181号)第 3 条第 1 号に
掲げる事業協同組合をいう。)、企業組合
(同条第 4 号に掲げる企業組合をいう。)、
協業組合(中小企業団体の組織に関する
法律(昭和32年法律第185号)第 3 条第 1
項第 7 号に掲げる協業組合をいう。)の設
立
11~17 省 略
(経営力向上計画の認定)
第13条 中小企業者等は、単独で又は共同で
行おうとする経営力向上に関する計画(中
小企業者等が第 2 条第 1 項第 6 号から第 8
号までに掲げる組合若しくは連合会、会社
又は同条第 2 項第 3 号若しくは第 4 号の政
令で定める法人(以下この項において単に
「法人」という。)を設立しようとする場合
にあっては当該中小企業者等がその組合、
連合会、会社又は法人と共同で行う経営力
向上に関するものを、中小企業者等が合併
して会社又は法人を設立しようとする場合
にあっては合併により設立される会社又は
法人(合併後存続する会社又は法人を含
む。)が行う経営力向上に関するものを、中
小企業者等がその外国関係法人等の全部又
は一部と共同で経営力向上を行おうとする
場合にあっては当該中小企業者等が当該外
国関係法人等と共同で行う経営力向上に関
─ 457 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
するものを含む。以下「経営力向上計画」
という。)を作成し、主務省令で定めるとこ
ろにより、これを主務大臣に提出して、そ
の経営力向上計画が適当である旨の認定を
受けることができる。ただし、中小企業者
等が共同で経営力向上計画を作成した場合
にあっては、主務省令で定めるところにより、
代表者を定め、これを主務大臣に提出する
ものとする。
2 ~ 9 省 略
(経営力向上計画の変更等)
第14条 前条第 1 項の認定を受けた中小企業
者等は、当該認定に係る経営力向上計画を
変更しようとするときは、主務省令で定め
るところにより、その認定をした主務大臣
の認定を受けなければならない。
2 ~ 4 省 略
4 適用関係
上記の改正は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正法附則86)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成30年 4 月 1 日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正法附則108①)。 なお、なお従前の例によることとされる改組前の規定を適用する場合における法人税法の規定の調整については、研究開発税制における調整規定を準用することとされています(改正法附則92②、108③)。
八 革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(創設)
1 制度創設の経緯及び趣旨
昨今進展している第 4 次産業革命の下でデータ量が爆発的に増大する中、データそのものが競争力の源泉となってきていますが、足元では、企業における IoT 、ビッグデータの利活用は極めて限定的で、さらにこうしたデータの分析等を成果にまで結びつけている企業は全体の 5 %程度に過ぎないといわれています。諸外国におけるデータの利活用に関する先例に倣えば、こうしたデータの価値を最大限活用することで企業の競争力を強化していくことは、喫緊の課題といえます。 我が国でも、第 4 次産業革命に関する日独共同声明「ハノーバー宣言」の中で、人、機械、技術が国境を越えてつながる「Connected Industries」を進めていく旨が宣言されました。「Connected Industries」とは、「モノとモノ、人と機械・システム、人と技術、異なる産業に属する企業と企
業、世代を超えた人と人、製造者と消費者など、様々なものをつなげる」(「未来投資戦略2017―Society5.0の実現に向けた改革―」平成29年 6 月9 日閣議決定)ことを指すものですが、データを介して企業、消費者などが連携し、新たな付加価値を生み出す産業のあり方として「Connected Industries」を推進することとされました。こうした様々なものがつながる(連携する)Connected Industries の推進により、各主体個別の取組では生まれなかった新たな付加価値を創出するとともに、「つながる」システムにおいて一定のセキュリティレベルを確保することによって、企業などの生産性を向上させることは、我が国の経済成長を促すためにも重要といえます。 こうした中、我が国の少子高齢化の克服のため、政府では「新しい経済政策パッケージ(平成29年12月 8 日閣議決定)」がとりまとめられ、その中にある「生産性革命」の実現に向け、生産性向上
─ 458 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
特別措置法において、事業者による革新的なデータ利活用を促進するためにデータの共有・連携を行う取組を認定する制度が創設されました。税制においてもこれらと相まって、「生産性革命」の実現に向けた方針を受けた「情報連携投資等の促進に係る税制」として、同法に基づく革新的データ産業活用計画に従って実施される革新的データ産業活用のためのシステム等の取得等に対する投資促進税制を創設することされました。これにより、「賃上げを行いつつ、革新的な技術を用いて生産性の向上に果敢に挑戦する企業に対しては、実質的な税負担を、思い切って世界で打ち勝つことができる程度まで軽減する」(「新しい経済政策パッケージ」)こととなります。 なお、政府の方針等の詳細については、前述
「七 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(所得拡大促進税制)」の
「 2 改正の趣旨等」をご参照ください。
2 制度の概要
青色申告書を提出する法人で生産性向上特別措置法の認定革新的データ産業活用事業者であるものが、同法の施行の日(平成30年 6 月 6 日)から平成33年 3 月31日までの間に、特定ソフトウエアの新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る革新的情報産業活用設備の取得等をして、その事業の用に供したときは、その革新的情報産業活用設備の取得価額の30%相当額の特別償却又は 5 %(継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額がその継続雇用者比較給与等支給額の 3 %未満である場合には、 3 %)相当額の税額控除ができることとされました(措法42の12の 6 ①②)。なお、税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%(継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額がその継続雇用者比較給与等支給額の 3 %未満である場合には、15%)相当額を上限とすることとされています。
(注) 革新的情報産業活用設備とは、特定ソフトウ
エア並びにこれとともに取得等をする機械及び
装置並びに器具及び備品で一定のものをいいま
す。
また、連結納税制度においても、同様の制度が創設されています(措法68の15の 7 ①②)。
3 制度の内容
⑴ 適用対象法人 適用対象となる法人は、青色申告書を提出する法人で、生産性向上特別措置法第29条に規定する認定革新的データ産業活用事業者であるものとされています(措法42の12の 6 ①)。 「生産性向上特別措置法第29条に規定する」とありますので、単純に生産性向上特別措置法における「認定革新的データ産業活用事業者」であれば適用対象法人に該当するというものではなく、認定革新的データ産業活用計画に従って実施される革新的データ産業活用につき、生産性の向上に特に資するものとして主務大臣が定める基準に適合することについて主務大臣の確認を受けた場合におけるその革新的データ産業活用を行う認定革新的データ産業活用事業者に限ることとされています。
(注 1 ) 生産性向上特別措置法第22条では、革新
的データ産業活用を実施しようとする事業
者は、その実施しようとする革新的データ
産業活用に関する計画を作成し、これにつ
き主務大臣による認定を受けることができ
ることとされており、この主務大臣による
認定を受けた事業者を「認定革新的データ
産業活用事業者」ということとされていま
す(生産性向上特別措置法23①)。(注 2 ) 認定革新的データ産業活用計画とは、生
産性向上特別措置法第23条第 2 項に規定す
る認定革新的データ産業活用計画をいいま
すので、同条第 1 項の規定による変更の認
定があった場合には、その変更後のものを
いうこととされています。(注 3 ) 上記の「革新的データ産業活用」とは、
生産性向上特別措置法第 2 条第 4 項に規定
する革新的データ産業活用をいいます。同
─ 459 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
項では、革新的事業活動のうち、データを、
革新的な技術又は手法を用いて収集し、産
業活動において活用するものをいうとされ
ています。「データ」とは、電磁的記録に記
録された情報をいい、情報からは、国の安
全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は
公衆の安全の保護に支障を来すことになる
おそれがあるものを除くこととされていま
す。(注 4 ) 主務大臣が定める基準は、平成30年内閣府、
総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、
農林水産省、経済産業省、国土交通省、環
境省告示第 2 号(生産性向上特別措置法第
二十九条の規定に基づく生産性の向上に特
に資するものとして主務大臣が定める基準)
に定められるものをいい、主務大臣の確認は、
革新的データ産業活用計画の認定を受ける
際に合わせて申請し、認定とともに主務大
臣が確認をすることとされています(生産
性向上特別措置法施行規則10、11、同規則
様式第19、20)。(注 5 ) 関係法令については、下記の(参考)を
ご参照ください。
⑵ 適用期間(指定期間) 適用期間は、生産性向上特別措置法の施行の日(平成30年 6 月 6 日)から平成33年 3 月31日までの期間とされています(措法42の12の 6 ①②)。 つまり、その適用期間内に、適用対象資産の取得等をし、これを事業の用に供した場合に適用されます。
⑶ 適用対象資産 適用対象となる資産は、適用期間内に次の①の特定ソフトウエアの新設又は増設をする場合におけるその新設又は増設に係る次の①から③までのもの(以下「革新的情報産業活用設備」といいます。)とされています(措法42の12の6 ①)。なお、一の認定革新的データ産業活用
計画に記載されたその新設又は増設に係る特定ソフトウエア並びにこれとともに取得又は製作をする機械及び装置並びに器具及び備品の取得価額の合計額が5,000万円以上のものに限られています(措法42の12の 6 ①、措令27の12の 6②)。
(注 1 ) 上記の機械及び装置と器具及び備品とは、
下記②の機械及び装置又は下記③の器具及
び備品に該当するものに限定されていませ
ん。したがって、一の認定革新的データ産
業活用計画に特定ソフトウエアとともに取
得等をするものとして記載されている機械
及び装置並びに器具及び備品の全てが判定
の対象となります。(注 2 ) 取得価額とは、法人税法施行令第54条第
1 項各号の規定により計算した取得価額を
いいます(措令27の12の 6 ②)ので、国庫
補助金等による圧縮記帳の適用がある場合
には、その圧縮記帳後の取得価額とされて
います。(注 3 ) 革新的データ産業活用計画は、 2 以上の
事業者が共同して作成し、認定を受けるこ
とができることとされています(生産性向
上特別措置法22②)が、「一の認定革新的デ
ータ産業活用計画に記載された」とありま
すので、共同計画の場合には、本制度の適
用を受けようとする認定革新的データ産業
活用事業者ごとに5,000万円以上か否かを判
定するのではなく、 2 以上の認定革新的デ
ータ産業活用事業者がそれぞれ取得等をし
た特定ソフトウエア等の取得価額の合計額
で判定することとなります。(注 4 ) 上記⑴(注 4 )の「主務大臣の定める基
準」の中で、「計画に定められた施設又は設
備を構成する……減価償却資産であって、
設備の取得予定価額の合計額が五千万円以
上であること」といった基準がありますが、
取得予定価額の合計額に加え、実際に取得
等をした特定ソフトウエア等の取得価額の
合計額で判定することとなります。
─ 460 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
① 特定ソフトウエア 電子計算機に対する指令であって一の結果を得ることができるように組み合わされたもののうち、認定革新的データ産業活用計画で認定革新的データ産業活用事業者である法人の行う革新的データ産業活用に係るものに従って実施される革新的データ産業活用の用に供するために取得又は製作をするものとして、その認定革新的データ産業活用計画に記載されたソフトウエアとされています(措法42の12の 6 ①、措令27の12の 6 ①、措規20の10の2 ②)。
(注 1 ) 上記の「革新的データ産業活用」とは、
上記⑴と同様に、認定革新的データ産業
活用計画に従って実施される革新的デー
タ産業活用で、その生産性の向上に特に
資するものとして主務大臣が定める基準
に適合することについて主務大臣の確認
を受けたものをいいます。認定革新的デ
ータ産業活用計画には、革新的データ産
業活用の内容及びその実施時期等を記載
しなければなりません(生産性向上特別
措置法22③)し、革新的データ産業活用
計画が革新的データ産業活用指針等に照
らし適切なものとされています(生産性
向上特別措置法22④一)。(注 2 ) 革新的データ産業活用指針は、総務大
臣及び経済産業大臣が定めるものです。
この指針においては、革新的データ産業
活用の方法、データの安全管理の方法等
を定めることとされており(生産性向上
特別措置法21①②)、具体的には、革新的
データ産業活用の方法について、次の①
又は②のいずれかに該当することや、次
の①又は②の各データについて継続的・
自動的な収集・一体的管理、継続的連携
及び分析と生産活動に対する継続的指示
の全てを行うこと、必要なセキュリティ
対策が講じられていること等が定められ
ています(平30. 6 総務、経済産業告 1 )。
① 社外データ又は自ら取得する新たな
データを社内データと合わせて連携さ
せ、利活用すること。
② グループ企業間又は事業所間におい
て、企業の競争力における重要データ
を外部ネットワークを通じて連携し、
利活用すること。
したがって、例えば、これまで連携したことのない 2 種類以上の異なるデータを連携し、分析するために継続的かつ一体的に管理しつつ、連携・分析を行うもので、その分析に基づき、企業自身の事業活動に対する指示を継続的に行うソフトウエアとして認定革新的データ産業活用計画に位置付けられているものが、特定ソフトウエアに該当します。 いわゆる「ソフトウエア」としての体を成し、一の無形固定資産とされるもの(独立したアプリケーションソフトなど)のほか、いわば「プログラム(指令)」そのもので一の無形固定資産とされないようなものも包含しますので、例えば、機械装置や電子計算機
(PC 等)に組み込まれているもの(OS 、ミドルウエア、アプリケーションソフト等の区分なく一体として機能するものなど)であっても、上記の他の要件を満たせば、特定ソフトウエアに該当します。ただし、あくまで取得等をするものとされていますので、クラウドコンピューティングにより利用するシステムなどで上記の他の要件を充足するものであっても、特定ソフトウエアには該当しないと考えられます。 また、ソフトウエアには、これに関連するシステム仕様書その他の書類を含むものとされています(措令27の12の 6 ①、措規20の10の 2 ①)。 なお、複写して販売するための原本を除くほか、主として産業試験研究の用に供される減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下「耐用年数省令」といいます。)別表第 6のソフトウエアを除くこととされています
─ 461 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(措令27の12の 6 ①、措規20の10の 2 ③)。(注) 産業試験研究とは、措置法令第27条の 4
第 3 項各号に掲げる試験研究をいいます(措
令27の12の 6 ④)ので、①製品の製造又は
技術の改良、考案若しくは発明に係る試験
研究、②新たなサービス開発(対価を得て
提供する新たな役務の開発を目的として一
定の情報の取得及び分析等の全てが行われ
る場合のその情報の取得及び分析等のそれ
ぞれ)とされます。いわゆる研究開発税制
の適用があるソフトウエア等について、本
制度の適用対象から除外するものです。
② 機械及び装置 上記①の特定ソフトウエアとともに取得又は製作をする機械及び装置で、情報の連携及び利活用に資するものとされています(措法42の12の 6 ①)。 情報の連携及び利活用に資する機械及び装置とは、次のイ又はロのいずれかに該当する機械及び装置で、認定革新的データ産業活用計画に係る特定ソフトウエアとともに取得又は製作をするものとしてその認定革新的データ産業活用計画に記載されているものをいいます(措令27の12の 6 ③一)。イ その特定ソフトウエアによる情報の分析
のためにその情報を収集し、かつ、その収集した情報を電磁的方法により特定ソフトウエアに送信する機能でその全部が自動化されているものを有する機械及び装置
ロ その特定ソフトウエアによる情報の分析に基づく電磁的方法による指令を受ける機能を有する機械及び装置でその動作がその指令により自動的に制御されるもの
(注) 電磁的方法とは、電子情報処理組織を使
用する方法その他の情報通信の技術を利用
する方法をいいます(措令27の12の 6 ③一)。
つまり、稼働中にセンサー等により作業状況や作業対象物の形状等といった特定ソフトウエアによる管理・分析の対象とする情報を自動的に収集し、かつ、自動的にその特定ソ
フトウエアに情報ネットワークを介して送信する機能を有する機械等、特定ソフトウエアによる情報の分析結果に基づく指令を情報ネットワークを介して受け、その指令に従って自動制御されて(例えば効率的に)稼働する機械等、又はその両方に該当する機械等ということです。 また、上記①に該当する情報の分析を実行するシステム(プログラム等)が組み込まれている機械及び装置の取得等は、分析の対象となる情報の収集を行う他の機械等や器具等又はその機械及び装置からの指令を受けて稼働する機械等と一体的に供用されることで、特定ソフトウエアと機械及び装置との同時取得等と考えられます。したがって、データ連携・分析を行うシステムが組み込まれたロボットの制御装置等についても、対象となる機械及び装置に該当するものと考えられます。 なお、主として産業試験研究の用に供される耐用年数省令別表第 6 の機械及び装置を除くこととされています(措法42の12の 6 ①、措規20の10の 2 ③)。
③ 器具及び備品 上記①の特定ソフトウエアとともに取得又は製作をする器具及び備品で、情報の連携及び利活用に資するものとされています(措法42の12の 6 ①)。 情報の連携及び利活用に資する器具及び備品とは、認定革新的データ産業活用計画に係る特定ソフトウエアとともに取得又は製作をするものとしてその認定革新的データ産業活用計画に記載されているものをいいます(措令27の12の 6 ③二)。 主に、特定ソフトウエアを実行する器となるコンピュータ、情報の収集を行うセンサー等や情報を送信するための器具等、分析結果を指令情報として機械等に送信するための器具等が考えられます。 なお、主として産業試験研究の用に供される耐用年数省令別表第 6 の器具及び備品であ
─ 462 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
る試験又は測定機器、計算機器、撮影機及び顕微鏡を除くこととされています(措法42の12の 6 ①、措規20の10の 2 ③、耐令別表第 6 )。
⑷ 適用対象事業 適用対象となる事業は、特に業種の限定はされていませんし、「国内にある」といった限定もありません(措法42の12の 6 ①②)ので、適用対象法人の国外で行われる事業であっても、適用対象となります。ただし、上記⑴の主務大臣が定める基準において、課税の特例の適用を受けようとする機械及び装置、器具及び備品並びにソフトウエアについては、主としてソフトウエア業、情報処理サービス業又はインターネット附随サービス業に該当する事業の用に供するものでないこととされているため、ソフトウエア業、情報処理サービス業及びインターネット附随サービス業は、実質的には適用対象となりません。 また、「事業の用に供したとき」からは、「貸付けの用に供した場合」を除くこととされているため(措法42の12の 6 ①②)、貸付けに係る事業は、適用対象となりません。
⑸ 適用対象事業年度及び措置の内容 適用対象となる事業年度は、適用対象法人が、適用期間内に、上記⑶の新設又は増設をする場合において、その新設若しくは増設に係る革新的情報産業活用設備でその製作の後事業の用に供されたことのないものを取得し、又はその新設若しくは増設に係る革新的情報産業活用設備を製作して、これをその適用対象法人の事業の用に供したときにおけるその事業の用に供した日を含む事業年度(以下「供用年度」といいます。)とされています(措法42の12の 6 ①②)。
(注) 供用年度からは、解散の日を含む事業年度
及び清算中の各事業年度を除くこととされて
います(措法42の12の 6 ①)。ただし、解散か
ら「合併による解散」を除くこととされてい
ますので、被合併法人のいわゆる最後事業年
度は、適用対象事業年度から除外されていま
せん。
この供用年度において、革新的情報産業活用設備について、特別償却と税額控除との選択適用ができることとされています(措法42の12の6 ①②)。
⑹ 特別償却の適用を受ける場合① 特別償却限度額
適用対象法人が特別償却の適用を受ける場合における特別償却限度額は、その革新的情報産業活用設備の取得価額の30%相当額とされています(措法42の12の 6 ①)。
② 適用除外資産 他の特別償却と同様に、適用対象法人が所有権移転外リース取引により取得した革新的情報産業活用設備については、特別償却は適用しないこととされています(措法42の12の6 ③)。
(注) 所有権移転外リース取引とは、法人税法
施行令第48条の 2 第 5 項第 5 号に規定する
所有権移転外リース取引をいいます(措法
42の 5 ③、措令27の 5 ③)。
③ 特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例 他の特別償却と同様に、特別償却不足額については、 1 年間の繰越しができることとされています(措法52の 2 )。
(注) 特別償却不足額には、合併等特別償却不
足額を含むこととされています。
④ 準備金方式による特別償却(特別償却準備金)制度 他の特別償却と同様に、特別償却の方法として、特別償却の適用を受けることに代えて、準備金方式による特別償却制度の適用(特別償却準備金の積立て)ができるとともに、特別償却準備金積立不足額については、 1 年間の繰越しができることとされています(措法52の 3 )。
(注) 特別償却準備金積立不足額には、合併等
─ 463 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
特別償却準備金積立不足額を含むこととさ
れています。
⑺ 税額控除の適用を受ける場合① 税額控除限度額
適用対象法人が税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、その革新的情報産業活用設備の取得価額の 3 %相当額とされています(措法42の12の 6 ②二)が、供用年度において適用対象法人の継続雇用者給与等支給額からその継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が 3 %以上である場合には、税額控除限度額はその取得価額の 5 %相当額とされています(措法42の12の 6 ②一)。 この税額控除限度額が適用対象法人の供用年度の調整前法人税額の15%相当額を超える場合には、税額控除額は、その供用年度の調整前法人税額の15%相当額を上限とすることとされていますが、これも供用年度において上記の割合が 3 %以上である場合には、調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(措法42の12の 6 ②後段)。 また、この調整前法人税額は、次の規定を適用しないで計算した場合の法人税の額をいい、附帯税の額を除くこととされています
(措法42の 4 ⑧二、震災税特法17の 2 ⑭、17の 2 の 2 ⑨、17の 2 の 3 ⑨、17の 3 ⑥、17の3 の 2 ⑤、17の 3 の 3 ⑤、措令27の 4 ⑤)。
(注) 附帯税の額とは、国税通則法第 2 条第 4
号に規定する附帯税の額をいいます(措法
42の 4 ⑧二)。
イ 租税特別措置法第42条の 4 (試験研究を行った場合の法人税額の特別控除)
ロ 租税特別措置法第42条の 5 第 2 項(高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の法人税額の特別控除)
ハ 租税特別措置法第42条の 6 第 2 項及び第3 項(中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等)
ニ 租税特別措置法第42条の 9 第 1 項及び第2 項(沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等)
ホ 租税特別措置法第42条の10第 2 項(国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除)
ヘ 租税特別措置法第42条の11第 2 項(国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除)
ト 租税特別措置法第42条の11の 2 第 2 項(地域経済牽
けん
引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除)
チ 租税特別措置法第42条の11の 3 第 2 項(地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の法人税額の特別控除)
リ 租税特別措置法第42条の12(地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)
ヌ 租税特別措置法第42条の12の 2 (認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除)
ル 租税特別措置法第42条の12の 3 第 2 項及び第 3 項(特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の法人税額の特別控除等)
ヲ 租税特別措置法第42条の12の 4 第 2 項及び第 3 項(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の法人税額の特別控除等)
ワ 租税特別措置法第42条の12の 5 (給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除)
カ 租税特別措置法第42条の12の 6 第 2 項(革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除)
ヨ 租税特別措置法第66条の 7 第 4 項(控除対象所得税額等相当額の法人税額の特別控除)
─ 464 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
タ 租税特別措置法第66条の 9 の 3 第 4 項(控除対象所得税額等相当額の法人税額の特別控除)
レ 租税特別措置法第62条第 1 項(使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例)
ソ 租税特別措置法第62条の 3 第 1 項及び第9 項(土地の譲渡等がある場合の特別税率)
ツ 租税特別措置法第63条第 1 項(短期所有に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率)
ネ 法人税法第67条(特定同族会社の特別税率)
ナ 法人税法第68条(所得税額の控除)ラ 法人税法第69条(外国税額の控除)ム 法人税法第69条の 2 (分配時調整外国税
相当額の控除)ウ 法人税法第70条(仮装経理に基づく過大
申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)ヰ 法人税法第70条の 2 (税額控除の順序)ノ 法人税法第144条(外国法人に係る所得
税額の控除)オ 法人税法第144条の 2 (外国法人に係る
外国税額の控除)ク 法人税法第144条の 2 の 2 (外国法人に
係る分配時調整外国税相当額の控除)ヤ 法人税法第144条の 2 の 3 (税額控除の
順序)マ 震災税特法第17条の 2 第 2 項及び第 3 項(復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等)
ケ 震災税特法第17条の 2 の 2 第 2 項及び第3 項(企業立地促進区域において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等)
フ 震災税特法第17条の 2 の 3 第 2 項及び第3 項(避難解除区域等において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等)
コ 震災税特法第17条の 3 (復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除)
エ 震災税特法第17条の 3 の 2 (企業立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除)
テ 震災税特法第17条の 3 の 3 (避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除)
(注) 上記ム、ク及びヤの規定の施行日は、平
成32年 1 月 1 日とされています(改正法附
則 1 六ロ)。
② 継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額 上記①の税額控除限度額の計算における税額控除率及び控除上限額の計算における上限率の上乗せは、上記 1のとおり、企業の実質的な税負担を、思い切って世界で打ち勝つことができる程度まで軽減するものとして、最大でその負担割合を20%まで引き下げるものです。 この上乗せの適用を受けるための要件は、継続雇用者給与等支給額からその継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が 3 %以上であることとされており、継続雇用者給与等支給額は、措置法第42条の12の 5 第 3 項第 6 号に規定する継続雇用者給与等支給額とされ、継続雇用者比較給与等支給額は、同項第 7 号に規定する継続雇用者比較給与等支給額とされています(措法42の12の 6 ②一)。つまり、前述の「七 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除制度」の継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額と同じものです。 具体的には、継続雇用者給与等支給額とは、継続雇用者に対する適用事業年度(=適用対象事業年度)の給与等の支給額をいい、継続雇用者比較給与等支給額とは、その継続雇用者に対する前事業年度等の給与等の支給額をいいます(措法42の12の 5 ③六・七)。
(注 1 ) 上記の前事業年度等とは、上記の適用
対象事業年度開始の日の前日を含む事業
─ 465 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
年度をいい、その適用対象事業年度開始
の日の前日を含む事業年度が連結事業年
度に該当する場合には、その適用対象事
業年度開始の日の前日を含む連結事業年
度とされています(措法42の12の 5 ③六)。(注 2 ) 給与等の支給額は、その給与等に充て
るため他の者から支払を受ける金額ある
場合には、その金額を控除した金額とさ
れています(措法42の12の 5 ③四)。なお、
他の者には、適用対象法人との間に連結
完全支配関係がある他の連結法人が、ま
た、適用対象法人が外国法人である場合
の法人税法第138条第 1 項第 1 号に規定す
る本店等が、含まれます。
すなわち、適用対象事業年度における継続雇用者に対する給与等の支給額が、その前事業年度等の継続雇用者に対する給与等の支給額の103%相当額以上であることが上記の上乗せの要件となります。このとき、前事業年度等の継続雇用者に対する給与等支給額が零である場合(つまり、その給与等の支給額がない場合)には、この上乗せの要件を満たさないものとすることとされています(措令27の12の 6 ⑤)ので、その場合は上乗せの適用ができないこととなります。これは、適用対象事業年度が設立事業年度に該当する場合も同様とされています(措令27の12の 6 ⑤)。 なお、継続雇用者の範囲、継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額並びに適用対象事業年度と前事業年度等の月数が異なる場合及び組織再編成がある場合の調整計算の詳細については、前述七の 3 ⑴③ロをご参照ください。
③ 法人税法の規定との調整 税額控除の適用がある場合における法人税法の規定との調整に係る規定については、研究開発税制における調整規定を準用することとされています(措法42の12の 6 ⑥)。 なお、準用・読替え後の調整規定は、次のとおりとなります(措法42の12の 6 ⑥、42の
4 ⑫⑬)。イ 法人税法第67条(特定同族会社の特別税
率) 特定同族会社の特別税率の規定の適用において留保金額から控除される法人税法第67条第 3 項に規定する法人税の額は、その法人税の額から特別税額控除規定(この制度における税額控除の規定をいいます。以下同じです。)により控除する金額を控除した金額とすることとされています(措法42の 4 ⑬一)。
ロ 法人税法第70条の 2 (税額控除の順序)又は第144条の 2 の 3 (税額控除の順序) 法人税法第 2 編第 1 章第 2 節第 2 款又は第 3 編第 2 章第 2 節(第143条を除きます。)の規定(以下「法人税法税額控除規定」といいます。)による法人税の額からの控除及び特別税額控除規定による法人税の額からの控除については、まず特別税額控除規定による控除をした後において、同法第70条の 2 又は第144条の 2 の 3 に定める順序により法人税法税額控除規定による控除をするものとすることとされています
(措法42の 4 ⑫)。ハ 法人税法第72条(仮決算をした場合の中
間申告書の記載事項等) 法人税法第72条第 1 項第 2 号に掲げる金額(内国法人の仮決算をした場合の中間申告書に記載される法人税額)は、同項に規定する期間を一事業年度とみなして同項第1 号に掲げる所得の金額につき同法第 2 編第 1 章第 2 節(第67条、第68条第 3 項及び第70条を除きます。)の規定及び特別税額控除規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています(措法42の 4 ⑬二)。
ニ 法人税法第74条(確定申告) 法人税法第74条第 1 項第 2 号に掲げる金額(内国法人の確定申告書に記載される法人税額)は、同項第 1 号に掲げる所得の金
─ 466 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
額につき同法第 2 編第 1 章第 2 節の規定及び特別税額控除規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(措法42の 4 ⑬三)。
ホ 法人税法第144条の 4 (仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等) 法人税法第144条の 4 第 1 項第 3 号若しくは第 4 号又は第 2 項第 2 号に掲げる金額
(外国法人の仮決算をした場合の中間申告書に記載される法人税額)は、同条第 1 項又は第 2 項に規定する期間を一事業年度とみなして同条第 1 項第 1 号若しくは第 2 号又は第 2 項第 1 号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第 3 編第 2 章第2 節(第144条(同法第68条第 3 項の規定を準用する部分に限ります。)を除きます。)の規定及び特別税額控除規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています(措法42の 4⑬四)。
ヘ 法人税法第144条の 6 (確定申告) 法人税法第144条の 6 第 1 項第 3 号若しくは第 4 号又は第 2 項第 2 号に掲げる金額
(外国法人の確定申告書に記載される法人税額)は、同条第 1 項第 1 号若しくは第 2号又は第 2 項第 1 号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第 3 編第 2 章第 2 節の規定及び特別税額控除規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(措法42の 4 ⑬五)。
⑻ 申告要件 この制度の適用を受ける場合の申告要件は、次のとおりとされています。① 特別償却の適用を受ける場合
特別償却は、確定申告書等に革新的情報産業活用設備の償却限度額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用することとされています(措法42の12の 6 ④)。
(注) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30
号に規定する中間申告書で同法第72条第 1
項各号に掲げる事項を記載したもの及び同
法第144条の 4 第 1 項各号又は第 2 項各号に
掲げる事項を記載したもの並びに同法第 2
条第31号に規定する確定申告書をいいます
(措法 2 ②二十七)。すなわち、仮決算をし
た場合の中間申告書及び確定申告書をいい、
確定申告書には、その確定申告書に係る期
限後申告書を含むこととされています。
② 税額控除の適用を受ける場合 税額控除は、確定申告書等(控除を受ける金額を増加させる修正申告書又は更正請求書を提出する場合には、その修正申告書又は更正請求書を含みます。)に控除の対象となる革新的情報産業活用設備の取得価額、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用することとされています(措法42の12の 6⑤)。 この場合において、控除される金額の計算の基礎となる革新的情報産業活用設備の取得価額は、確定申告書等に添付された書類に記載された革新的情報産業活用設備の取得価額を限度とすることとされています(措法42の12の 6 ⑤後段)。
(注) 修正申告書とは、国税通則法第19条第 3
項に規定する修正申告書をいい、更正請求
書とは、同法第23条第 3 項に規定する更正
請求書をいいます(措法 2 ②三十・三十一)。
⑼ 他の特別償却制度等との重複適用の排除 法人の有する減価償却資産が供用年度において租税特別措置法の規定による特別償却又は税額控除制度等及び震災税特法の規定による特別償却又は税額控除制度等のうち、 2 以上の制度に係る規定の適用を受けることができるものである場合には、その減価償却資産については、これらの特別償却又は税額控除制度等に係る規定のうちいずれか一の規定のみを適用することとされています(措法53、61の 3 ④、64⑥、64
─ 467 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
の 2 ⑭、65⑫、65の 7 ⑦、65の 8 ⑯、67の 4 ⑫、67の 5 ①、震災税特法18の 7 、19⑥、20⑮、措令32、震災税特令18の 6 )。 すなわち、他の特別償却又は税額控除制度等と同様に、租税特別措置法の規定によるこの制度以外の特別償却若しくは税額控除制度等又は震災税特法の規定による特別償却若しくは税額控除制度等の適用を受ける革新的情報産業活用設備に該当する減価償却資産については、この制度の適用対象資産から除くこととされています。
⑽ 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑼までと同様の措置が講じられています(措法68の15の 7 、68の40~68の42、68の65④、68の70⑤、68の71⑮、68の72⑫、68の78⑦、68の79⑰、68の102⑬、68の102の 2 ①、震災税特法26の 7 、27⑥、28⑯、措令39の47の 2 、39の71、措規22の33、震災税特令23の 6 )。 なお、税額控除限度額及び法人税額基準額の計算並びに連結法人税及び連結地方法人税の個別帰属額の計算は、他の連結納税制度における投資税額控除と同様に、税額控除の適用を受ける連結親法人又はその適用を受けるその各連結子法人ごとに行うこと等とされています。(参考 1) 生産性向上特別措置法(平成30年法律
第25号)
(革新的データ産業活用に関する指針)
第21条 総務大臣及び経済産業大臣は、官
民データ活用推進基本法(平成28年法律
第103号)の趣旨を踏まえ、計画実行期間
内における革新的データ産業活用に関す
る指針(以下この条及び次条第 4 項第 1
号において「革新的データ産業活用指針」
という。)を定めるものとする。
2 革新的データ産業活用指針においては、
次に掲げる事項を定めるものとする。
一 革新的データ産業活用の方法、デー
タの安全管理の方法その他革新的デー
タ産業活用に関する事項
二 第26条第 1 項に規定する特定革新的
データ産業活用について重点的に実施
すべき分野に関する事項
3 ~ 5 省 略
(革新的データ産業活用計画の認定)
第22条 革新的データ産業活用を実施しよ
うとする事業者は、その実施しようとす
る革新的データ産業活用に関する計画(以
下「革新的データ産業活用計画」とい
う。)を作成し、主務省令で定めるところ
により、主務大臣に提出して、その認定
を受けることができる。
2 2 以上の事業者が革新的データ産業活
用を共同して実施しようとする場合にあ
っては、当該 2 以上の事業者は共同して
革新的データ産業活用計画を作成し、前
項の認定を受けることができる。
3 革新的データ産業活用計画には、次に
掲げる事項を記載しなければならない。
一 革新的データ産業活用の目標
二 革新的データ産業活用の内容及びそ
の実施時期
三 革新的データ産業活用に必要な資金
の額及びその調達方法
四 その他革新的データ産業活用の実施
に関し必要な事項
4 主務大臣は、第 1 項の認定の申請があ
った場合において、その革新的データ産
業活用計画が次の各号のいずれにも適合
するものであると認めるときは、その認
定をするものとする。この場合において、
主務大臣は、必要があると認めるときは、
革新的事業活動評価委員会の意見を聴く
ことができる。
一 当該革新的データ産業活用計画が革
新的事業活動実行計画及び革新的デー
タ産業活用指針に照らし適切なもので
あること。
二 当該革新的データ産業活用計画に係
─ 468 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
る革新的データ産業活用が円滑かつ確
実に実施されると見込まれるものであ
ること。
5 ~ 8 省 略
(革新的データ産業活用計画の変更等)
第23条 前条第 1 項の認定を受けた事業者
(以下「認定革新的データ産業活用事業
者」という。)は、当該認定に係る革新的
データ産業活用計画を変更しようとする
ときは、主務省令で定めるところにより、
主務大臣の認定を受けなければならない。
2 主務大臣は、認定革新的データ産業活
用事業者が当該認定に係る革新的データ
産業活用計画(前項の規定による変更の
認定があったときは、その変更後のもの。
以下「認定革新的データ産業活用計画」
という。)に従って革新的データ産業活用
を実施していないと認めるときは、その
認定を取り消すことができる。
3 ~ 5 省 略
(課税の特例)
第29条 認定革新的データ産業活用計画に
従って実施される革新的データ産業活用
(生産性の向上に特に資するものとして主
務大臣が定める基準に適合することにつ
いて主務大臣の確認を受けたものに限
る。)を行う認定革新的データ産業活用事
業者が、当該革新的データ産業活用の用
に供するために取得し、又は製作した機
械及び装置、器具及び備品並びにソフト
ウェアについては、租税特別措置法(昭
和32年法律第26号)で定めるところにより、
課税の特例の適用があるものとする。(参考 2) 革新的データ産業活用に関する指針(平
成30年 6 月総務省、経済産業省告示第 1
号)
この指針は、生産性向上特別措置法(以
下「法」という。)第21条第 1 項の規定に
基づき、計画実行期間(法第 6 条第 2 項
第 1 号に掲げる計画実行期間をいう。)内
における革新的データ産業活用に関する
指針を定めるものである。なお、この告
示において使用する用語は、法において
使用する用語の例による。
第一 革新的データ産業活用の方法、デ
ータの安全管理の方法その他革新的デ
ータ産業活用に関する事項
一 革新的データ産業活用の方法
革新的データ産業活用の方法は、次
の⑴及び⑵のいずれにも該当するも
のとする。
⑴ 革新的データ産業活用の方法が、
次の①又は②のいずれかに該当す
ること。
① 他の法人若しくは個人が収集
若しくは保有をするデータ又は
自らセンサー等を利用して新た
に取得するデータを、既存の内
部データと合わせて連携させ、
利活用すること。
② 親会社(会社法(平成17年法
律86号)第 2 条第 4 号に規定す
る親会社をいう。)と子会社(同
条第 3 号に規定する子会社をい
う。以下この②において同じ。)
との間若しくは子会社間又は同
一の法人の異なる事業所間にお
いて、漏えい又は毀損をした場
合に競争上不利益が生ずるおそ
れのあるデータを、外部ネット
ワークを通じて連携し、利活用
すること。
⑵ 革新的データ産業活用の方法が、
次の①から③までのいずれにも該
当すること。
① ⑴①又は②の各データを継続
的及び自動的に収集し、一体的
に管理すること。
② ⑴①又は②の各データ同士を
継続的に連携させ、及び分析す
─ 469 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ること。
③ ⑵②の分析を踏まえた生産、
販売その他事業活動に対して継
続的に指示すること。
二 データの安全管理の方法
データの安全管理の方法は、次の⑴
及び⑵のいずれにも該当するものと
する。
⑴ データを連携させるシステムの
設計が次の①から③までのいずれ
にも該当すること。
① データにアクセスできる組織
又は個人を必要最小限に制限す
る機能を整備すること。
② データ連携を行うシステム間
の通信経路からデータが盗取さ
れないような機能を整備するこ
と。
③ データに対する外部からの不
正なアクセスに対する防御に必
要な機能を整備すること。
⑵ 事業実施時におけるデータの適
切な安全確保のための対策が次の
①から④までのいずれにも該当す
ること。
① データを連携させるシステム
に対する不正なアクセス等を検
知する体制を整備すること。
② 不正なアクセス等により被害
が生じた場合の対処方針を定め
ること。
③ データの提供を受ける法人(部
門を含む。)又は個人において適
切なデータの安全確保策が実施
されていることを確認すること。
④ データを連携させるシステム
について、定期的に既知の脆弱
性がないかを確認すること。
三 その他革新的データ産業活用に関
する事項
革新的データ産業活用の実施にお
いて、個人情報の保護に関する法律
(平成15年法律第57号)その他関連法
令及び関連ガイドライン等を遵守す
ること。
第二 省 略(参考 3) 生産性向上特別措置法第29条の規定に
基づく生産性の向上に特に資するものと
して主務大臣が定める基準(平成30年 6
月内閣府、総務省、財務省、文部科学省、
厚生労働省、農林水産省、経済産業省、
国土交通省、環境省告示第 2 号)
生産性向上特別措置法(以下「法」と
いう。)第29条の規定に基づく生産性の向
上に特に資するものとして主務大臣が定
める基準は、同条に規定する主務大臣の
確認を受けようとする革新的データ産業
活用が、次のいずれにも該当することと
する。なお、この告示において使用する
用語は、法において使用する用語の例に
よる。
1 革新的データ産業活用計画に記載さ
れている機械及び装置、器具及び備品
並びにソフトウェア(以下「設備」と
いう。)であって、課税の特例の適用を
受けようとするものは、次のいずれに
も該当すること。
一 データ連携のために必要となるソ
フトウェアの新設又は増設をするこ
と(当該ソフトウェアが組み込まれ
た機械及び装置又は器具及び備品の
取得又は製作をすることを含む。)と
なる革新的データ産業活用計画(以
下「計画」という。)に必要なものと
して取得又は製作をする機械及び装
置、器具及び備品並びにソフトウェ
アであること。
二 計画に基づき、新たに事業の用に
供するものであって、租税特別措置
法施行令(昭和32年政令第43号)第
─ 470 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
27条の 4 第 3 項各号に掲げる試験研
究に係る資産でないこと。
三 機械及び装置については、革新的
データ産業活用の対象となるデータ
の継続的かつ自動的な収集を行うも
の又は革新的データ産業活用による
分析を踏まえた生産、販売その他の
事業活動に対する継続的な指示を受
けるものであること。
四 主としてソフトウェア業、情報処
理サービス業又はインターネット附
随サービス業に該当する事業の用に
供する機械及び装置、器具及び備品
並びにソフトウェアでないこと。
2 データの安全管理の措置に関して、
情報処理安全確保支援士(情報処理の
促進に関する法律(昭和45年法律第90
号)第15条の登録を受けた情報処理安
全確保支援士をいう。以下この 2 にお
いて同じ。)が、革新的データ産業活用
に関する指針(平成30年総務省・経済
産業省告示第 1 号)第一の二に基づく
対応が取られることを担保しているこ
とが明確になっていること。ただし、
租税特別措置法(昭和32年法律第26号)
第10条第 8 項第 5 号に規定する中小事
業者、同法第42条の 4 第 3 項に規定す
る中小企業者等又は同法第68条の 9 第
8 項第 5 号に規定する中小連結法人に
よる申請の場合は、情報処理安全確保
支援士又はITコーディネータが、革新
的データ産業活用に関する指針第一の
二に基づく対応が取られることを担保
していることが明確になっていること。
3 計画に基づく生産性向上の目標につ
いて、次のいずれにも該当する見込み
のあるものと認められること。ただし、
複数の事業者が連携して計画を作成す
る場合は、各事業者がそれぞれ次のい
ずれにも該当する見込みのあるものと
認められる場合に限る。
一 設備を事業の用に供した年度の翌
年度から 3 年間の労働生産性の伸び
率の年平均が 2 パーセント以上とな
ること。
二 設備を事業の用に供した年度の翌
年度から 3 年間の投資利益率の年平
均が15パーセント以上となること。
4 設備が法人税法(昭和40年法律第34
号)第 2 条第23号に規定する減価償却
資産であって、その取得予定価額の合
計額が 5 千万円以上であること。
4 適用関係
上記 3の制度は、生産性向上特別措置法の施行の日(平成30年 6 月 6 日)から施行されています
(改正法附則 1 十四)。
九 法人税の額から控除される特別控除額の特例
1 改正前の制度の概要
この制度は、法人が一の事業年度において、租税特別措置法における税額控除制度のうち複数の規定の適用を受けようとする場合において、その適用を受けようとする規定による税額控除可能額の合計額が当期の法人税額の90%相当額を超える場合には、その超える部分の金額は、当期の法人
税額から控除せずに、各税額控除制度の繰越税額控除限度超過額として翌期以後に繰越控除するというものです(措法42の13①③)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の15の 7 )。
2 改正の背景及び趣旨
我が国の少子高齢化の克服のため、政府では
─ 471 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
「新しい経済政策パッケージ(平成29年12月 8 日閣議決定)」がとりまとめられ、その中にある
「生産性革命」の実現に向けた方針を受けた「租税特別措置の適用要件の見直し」として、企業収益が増大している大法人のうち賃金引上げや国内設備投資に消極的なものに対して、果断な経営判断を促すため、研究開発税制を始めとする生産性の向上に関する措置の適用を制限することとされました。これにより、一定水準以上の賃上げ等を行っていない大法人については、研究開発税制等が適用できないこととされますが、この適用要件の見直しは、研究開発税制等の個々の制度において措置するのではなく、法人税額の特別控除制度についての共通的な制限に係る特例として、本制度の中に位置付けられることとされました。 なお、政府の方針等の詳細については、前述
「七 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(所得拡大促進税制)」の
「 2 改正の趣旨等」をご参照ください。 また、上記のほか、「革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」の創設等に伴う規定の整備が行われています。
3 改正の内容
⑴ 生産性の向上に関する税額控除制度の適用要件の見直し① 見直しの概要
上記 2のとおり、次の税額控除制度(以下「特定税額控除制度」といいます。)について、その適用要件を見直し、大法人が、平成30年4 月 1 日から平成33年 3 月31日までの間に開始する各事業年度において特定税額控除制度の適用を受けようとする場合において、次のイ及びロの要件のいずれにも該当しないときは、特定税額控除制度は、その事業年度において適用できないこととされました(措法42の13⑥)。・ 試験研究を行った場合の法人税額の特別
控除制度(研究開発税制)のうち次の制度
ⅰ 試験研究費の総額に係る税額控除制度ⅱ 特別試験研究費の額に係る税額控除制
度ⅲ 平均売上金額の10% 相当額を超える
試験研究費の額に係る税額控除制度・ 地域経済牽引事業の促進区域内において
特定事業用機械等を取得した場合の税額控除制度(地域未来投資促進税制)
・ 革新的情報産業活用設備を取得した場合の税額控除制度
イ 継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額を超えること。
ロ 国内設備投資額が当期償却費総額の10%相当額を超えること。
② 対象法人 この措置の対象となる法人から、中小企業者又は農業協同組合等が除かれています(措法42の13⑥)。したがって、いわゆる大法人のみを対象に特定税額控除制度の適用に当たり、要件が加重されることとなります。 なお、中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものは、対象となる法人から除く取扱いを停止することとされていますので、適用除外事業者に該当する中小企業者は、この措置の対象となります。
(注 1 ) 中小企業者とは、措置法第42条の 4 第
8 項第 6 号に規定する中小企業者をいい、
農業協同組合等とは、同法第42条の 4 第
8 項第 7 号に規定する農業協同組合等を
いいます。(注 2 ) 適用除外事業者とは、措置法第42条の
4 第 8 項第 6 号の 2 に規定する適用除外
事業者をいい、平成31年 4 月 1 日以後に
開始する事業年度分から適用されます(前
述「二 高度省エネルギー増進設備等を
取得した場合の特別償却又は法人税額の
特別控除制度」の 3 ⑸(注 2 )参照)。
③ 対象事業年度 この措置は、対象法人の平成30年 4 月 1 日から平成33年 3 月31日までの間に開始する各
─ 472 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
事業年度において特定税額控除制度の適用を受けようとする場合について、適用することとされています(措法42の13⑥)。 したがって、対象法人の上記に該当する事業年度であっても、特定税額控除制度以外の租税特別措置のみの適用を受けようとする場合であれば、この措置の適用はないこととされます。
(注) 上記の期間は、「新しい経済政策パッケー
ジ」における「生産性革命・集中投資期間」
に合わせたものとされています。
④ 適用判定及び適用効果 対象法人の対象事業年度において、次のイ及びロの要件のいずれにも該当しないときには、この措置の適用により、特定税額控除制度は、適用しないこととされています(措法42の13⑥)。したがって、反対にイ又はロのいずれかに該当する場合には、この措置の適用はありませんので、特定税額控除制度の適用は制限されません。イ 対象法人の継続雇用者給与等支給額がそ
の対象法人の継続雇用者比較給与等支給額を超えること。 継続雇用者給与等支給額は、措置法第42条の12の 5 第 3 項第 6 号に規定する継続雇用者給与等支給額とされ、継続雇用者比較給与等支給額は、同項第 7 号に規定する継続雇用者比較給与等支給額とされています
(措法42の13⑥一)。つまり、前述の「七 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除制度」の継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額と同じものです。 具体的には、継続雇用者給与等支給額とは、継続雇用者に対する適用事業年度(=対象事業年度)の給与等の支給額をいい、継続雇用者比較給与等支給額とは、その継続雇用者に対する前事業年度等の給与等の支給額をいいます(措法42の12の 5 ③六・七)。
(注 1 ) 上記の前事業年度等とは、上記の適
用事業年度(=対象事業年度)開始の
日の前日を含む事業年度をいい、その
対象事業年度開始の日の前日を含む事
業年度が連結事業年度に該当する場合
には、その対象事業年度開始の日の前
日を含む連結事業年度とされています
(措法42の12の 5 ③六)。(注 2 ) 給与等の支給額は、その給与等に充
てるため他の者から支払を受ける金額
がある場合には、その金額を控除した
金額とされています(措法42の12の 5
③四)。なお、他の者には、適用対象法
人(=対象法人)との間に連結完全支
配関係がある他の連結法人が、また、
適用対象法人(=対象法人)が外国法
人である場合の法人税法第138条第 1 項
第 1 号に規定する本店等が、含まれます。
すなわち、対象事業年度における継続雇用者に対する給与等の支給額が、その前事業年度等の継続雇用者に対する給与等の支給額を超えることがこのイの要件となります。このとき、対象事業年度及びその前事業年度等の継続雇用者に対する給与等の支給額が零である場合(つまり、その給与等の支給額がない場合)には、このイの要件に該当するものとすることとされています
(措令27の13⑦)。したがって、対象事業年度が設立事業年度に該当する場合には、必ずこのイの要件を満たすことから、この措置による特定税額控除制度の適用制限はありません。 なお、継続雇用者の範囲、継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額並びに適用事業年度(=対象事業年度)と前事業年度等の月数が異なる場合の調整計算の詳細については、前述の「七 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除制度」の 3 ⑴③ロイからハまでをご参照ください。
─ 473 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ロ 対象法人の国内設備投資額がその対象法人の当期償却費総額の10%に相当する金額を超えること。 国内設備投資額は、措置法第42条の12の5 第 3 項第 8 号に規定する国内設備投資額とされ、当期償却費総額は、同項第 9 号に規定する当期償却費総額とされています
(措法42の13⑥二)。つまり、前述の「七 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除制度」の国内設備投資額及び当期償却費総額と同じものです。 具体的には、国内設備投資額とは、適用対象法人(=対象法人)が適用事業年度
(=対象事業年度)において取得等をした国内資産でその適用事業年度(=対象事業年度)終了の日において有するものの取得価額の合計額をいい、当期償却費総額とは、適用対象法人(=対象法人)がその有する減価償却資産につき適用事業年度(=対象事業年度)においてその償却費として損金経理をした金額の合計額をいいます(措法42の12の 5 ③八・九)。
(注 1 ) 取得等とは、取得又は製作若しくは
建設をいいますが、合併、分割、贈与、
交換、現物出資、現物分配又は代物弁
済による取得は除かれています(措法
42の12の 5 ③八、措令27の12の 5 ⑯)。(注 2 ) 損金経理とは、法人がその確定した
決算において費用又は損失として経理
することをいい(法法 2 二十五)、仮決
算による中間申告書に係る所得の金額
又は欠損金額を計算する場合にあって
は、その中間期間に係る決算において
費用又は損失として経理することをい
います(措法42の12の 5 ③九)。
すなわち、適用対象法人(=対象法人)が適用事業年度(=対象事業年度)において取得等をし、その終了の日まで有する国内資産の取得価額の合計額が、適用対象法人(=対象法人)の会計上の減価償却費の
額の合計額の10%相当額を超えることが、このロの要件となります。 なお、国内資産の範囲、国内設備投資額及び当期償却費総額の詳細については、前述の「七 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除制度」の 3 ⑴③ハイからハまでをご参照ください。
⑤ 適用除外 上記④のとおり、対象法人の対象事業年度において上記④イ及びロの要件のいずれにも該当しない場合には、この措置の適用があることとされています(措法42の13⑥)が、対象事業年度の所得の金額がその前事業年度の所得の金額以下である場合には、上記④にかかわらず、この措置の適用から除外することとされています(措法42の13⑥)。 ただし、この適用除外の対象となる対象事業年度は、設立事業年度又は合併等事業年度に該当しない事業年度に限られていますので、設立事業年度又は合併等事業年度においては、所得の金額の計算は不要となります。イ 対象事業年度の所得の金額がその前事業
年度の所得の金額以下である場合 具体的には、対象事業年度の基準所得等金額が前事業年度等の基準所得等金額の合計額以下である場合とされています(措令27の13③)。
(注 1 ) 前事業年度等とは、対象事業年度開
始の日前 1 年以内に終了した各事業年
度をいいます(措令27の13③一)が、
対象事業年度が 1 年に満たない場合等
には、次のとおりとされています。な
お、最初課税事業年度開始の日前に終
了した各事業年度及び外国法人である
人格のない社団等の国内源泉所得のう
ち収益事業から生ずるものを有するこ
ととなった日を含む事業年度開始の日
からその有することとなった日の前日
までの期間は、この前事業年度等から
除くこととされています。
─ 474 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
① 対象事業年度が 1 年に満たない場合
には、対象事業年度開始の日前のその
対象事業年度の期間以内に終了した各
事業年度とされています。つまり、対
象事業年度が 6 月(半年決算)であれ
ば、その対象事業年度開始の日前 6 月
以内に終了した事業年度ということに
なります。
② 対象事業年度開始の日前 1 年以内に
終了した各事業年度に連結事業年度に
該当する事業年度がある場合には、そ
の開始の日前 1 年以内に終了した各連
結事業年度のうち最も新しい連結事業
年度終了の日後に終了した各事業年度
に限るものとされています。つまり、
合併等事業年度が適用除外の判定から
除かれることを踏まえ、連結グループ
から離脱した対象法人にあっては、単
体申告となる事業年度のみを前事業年
度等とするものです。(注 2 ) 最初課税事業年度とは、対象法人の
次の事業年度をいいます(措令27の13
⑤二)。つまり、対象事業年度における
法人税の課税所得の範囲が変更された
最初の事業年度(最も古い事業年度)
ということになります。下記①から④
までの対象法人について、対象事業年
度における法人税の課税所得の範囲が
変更される前に存在する事業年度を、
上記(注 1 )のとおり「前事業年度
等」に含めないことで、適正な基準所
得等金額による比較を実現しようとす
るものです。
① 対象法人が、公益法人等又は内国法
人である人格のない社団等に該当する
場合における新たに収益事業を開始し
た日を含む事業年度
② 対象法人が、公益法人等で収益事業
を行っていないものに該当していた普
通法人又は協同組合等に該当する場合
における普通法人又は協同組合等に該
当することとなった日を含む事業年度
③ 対象法人が、特定普通法人等に該当
していた公益法人等に該当する場合に
おける公益法人等に該当することとな
った日を含む事業年度
④ 対象法人が、外国法人に該当する場
合における恒久的施設を有することと
なった日を含む事業年度
ただし、外国法人である人格のない
社団等については、国内源泉所得のう
ち収益事業から生ずるものを有するこ
ととなった日を含む事業年度とされて
います。(注 3 ) 上記(注 1 )の「国内源泉所得のう
ち収益事業から生ずるものを有するこ
ととなった日を含む事業年度開始の日
からその有することとなった日の前日
までの期間」とは、すなわち、外国法
人である人格のない社団等が事業年度
の中途において、収益事業から生ずる
国内源泉所得を有することとなった場
合におけるその有することとなる前の
その事業年度の期間とされています。
外国法人である人格のない社団等が事
業年度の中途において国内源泉所得と
なる収益事業を開始した場合であって
も、その開始の前後の期間を事業年度
とみなす規定がないため、この規定に
より実際に課税対象の所得が生ずる前
の期間を「前事業年度等」から除くも
のです。(注 4 ) 上記の「国内源泉所得」とは、法人
税法第141条第 1 号に定める国内源泉所
得をいい(措令27の13⑤二ニ)、収益事
業とは、同法第 2 条第13号に規定する
収益事業をいい、公益法人等とは、同
条第 6 号に規定する公益法人等をいい
(措令27の13⑤二イ)、普通法人とは、
同条第 9 号に規定する普通法人をいい、
─ 475 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
協同組合等とは、同条第 7 号に規定す
る協同組合等をいい(措令27の13⑤二
ロ)、特定普通法人等とは、措置法第68
条の 3 の 4 第 1 項に規定する特定普通
法人等をいいます(措令27の13⑤二ハ)。
イ 基準所得等金額(原則) 基準所得等金額は、各事業年度のA及びBの合計額からCを控除した金額とされています(措令27の13⑤一)。A 事業年度の所得の金額
すなわち法人税における所得の金額ですが、被合併法人の合併の日の前日の属する事業年度にあっては、合併により合併法人に移転をした資産及び負債のその移転による譲渡がないものとして計算した場合における所得の金額とされています(措令27の13⑤一イ)ので、被合併法人は、非適格合併による譲渡利益額又は譲渡損失額を益金の額又は損金の額に算入しない金額とされます。
B 事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された繰越欠損金の額 上記Aの所得の金額の計算において、法人税法第57条、第58条又は第59条の規定により損金の額に算入されたいわゆる青色欠損金、災害損失欠損金又は期限切れ欠損金の金額です。これにより、基準所得等金額は、いわゆる繰越欠損金控除前の金額となります。
C 事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入された災害損失欠損金額 つまり、災害があった場合の中間申告における繰戻しによる還付の計算の基礎となった災害損失欠損金額で、その中間申告に係る事業年度の確定申告における上記Aの所得の金額の計算上益金の額に算入された金額です。この益金算入は、繰戻し還付による過年度の所得の調整(実質減額)を前提とす
るものですが、上記Bと同様に、災害損失欠損金額に限らず、欠損金の繰戻しによる還付に基づく所得の金額の減少は基準所得等金額の計算上織り込まないこととの裏腹で、その益金算入前の金額とするものです。
上記の計算のとおり、基準所得等金額は、基本的に各事業年度に生じたフローの所得の金額とされています。つまり、法人が各事業年度に獲得した所得の金額ベースの増減を計ることとなります。
ロ 基準所得等金額の調整 基準所得等金額については、上記イの計算上の調整のほか、対象事業年度と前事業年度等との月数が一致しない場合や対象法人が特定の法人に該当する場合について、一定の調整を行うこととされています。具体的には、次のとおりです。A 前事業年度等の月数を合計した数が
対象事業年度の月数に満たない場合 つまり、前事業年度等が、複数年度か単数年度かにかかわらず、設立事業年度に該当する場合などにおいて、その月数の合計が対象事業年度の月数に比べ短い場合です。 この場合には、対象事業年度の基準所得等金額をその対象事業年度の月数で除し、これに前事業年度等の月数を合計した数を乗じて計算した金額が、対象事業年度の基準所得等金額とされています(措令27の13③一)。すなわち、対象事業年度の基準所得等金額を、前事業年度等の月数に応じた月数按
あん
分を行い比較対象を合わせることで、その増減を適正に判定しようとするものです。
B 前事業年度等の月数を合計した数が対象事業年度の月数を超える場合 つまり、前事業年度等の月数の合計が対象事業年度の月数に比べ長い場合
─ 476 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
です。 前事業年度等が複数年度の場合には、前事業年度等のうち、対象事業年度開始の日から起算して 1 年前の日(対象事業年度が 1 年に満たない場合には、その対象事業年度の期間前の日)を含む事業年度について、その事業年度の基準所得等金額をその事業年度の月数で除し、これに対象事業年度の開始の日から起算して 1 年前の日からその事業年度終了の日までの期間の月数を乗じて計算した金額と、その事業年度の以外の前事業年度等の基準所得等金額とを合計した金額を、前事業年度等の基準所得等金額の合計額とすることとされています(措令27の13③二)。すなわち、前事業年度等のうち最も古い事業年度の基準所得等金額を月数按
あん
分
により、対象事業年度の期間を超える部分を切り捨てることで、前事業年度等の基準所得等金額の合計額を、対象事業年度の期間に応じた所得の金額とするものです。 上記のとおり、比較しようとする対象事業年度と前事業年度等の期間の月数が異なる場合には、短い期間の所得の金額を月数に応じて換算する(引き伸ばす)ことはせず、極力、対象事業年度の期間以上の期間の前年度以前の所得の金額を基礎に、対象事業年度又は前事業年度等の基準所得等金額を計算しようとするものです。なお、上記A及びBの月数は、暦に従って計算し、1 月に満たない端数を生じたときは、これを 1 月とすることとされています
(措令27の13④)。
(参考)基準所得等金額の調整のイメージ
C 対象法人が特定の法人に該当する場合 具体的には、次の法人に該当する場
合には、対象事業年度又は前事業年度等の基準所得等金額は、上記イではなく、次のように計算することとされて
当期所得金額
欠損金又は災害損失金等の当期控除額
中間申告における繰戻しによる還付に係る災害損失欠損金の益金算入額
基準所得等金額
※基準所得等金額のイメージ
+
-イ 対象事業年度の月数=前事業年度等の月数
基準所得等金額Ⅰ-1
基準所得等金額Ⅰ
対象事業年度(M)前事業年度等(M-1)
ロ A 対象事業年度の月数>前事業年度等の月数
基準所得等金額
Ⅰ-1 Ⅰ- 2 Ⅰ- 1基準所得等金額
Ⅰ
対象事業年度(M)前事業年度等(M-1)
基準所得等金額
Ⅰ-1基準所得等金額
ロ B 対象事業年度の月数<前事業年度等の月数の合計
基準所得等金額 基準所得等金額
対象事業年度(M)前事業年度等(M-1)
基準所得等金額の合計額(Ⅰ-2/M- 2×m)+Ⅰ-1
基準所得等金額
Ⅰ
Ⅰ
基準所得等金額
前事業年度等(M-2)
対象事業年度開始の日から起算して1年前の日を含む前事業年度等
m
Ⅰ/M×M-1
─ 477 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
います(措令27の13⑥)。🄐 公益法人等又は内国法人である人
格のない社団等 事業年度の収益事業から生じた所得の金額及び事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された繰越欠損金の額の合計額とされています
(措令27の13⑥一)。なお、対象事業年度と前事業年度等との月数が一致しない場合については、上記A又はBによる月数による調整計算を行うこととなります(措令27の13③)。
🄑 恒久的施設を有する外国法人 法人税法第138条第 1 項第 1 号に掲げる国内源泉所得は、その事業年度の恒久的施設帰属所得に係る所得の金額及びその所得の金額の計算上損金の額に算入された繰越欠損金の額の合計額から、その所得の金額計算上益金の額に算入された災害損失欠損金額を控除した金額と(措令27の13⑥二イ)、同項第 2 号から第 6号までに掲げる国内源泉所得は、その事業年度のこれらの国内源泉所得に係る所得の金額及びその所得の金額の計算上損金の額に算入された繰越欠損金の額の合計額から、その所得の金額計算上益金の額に算入された災害損失欠損金額を控除した金額と(措令27の13⑥二ロ)、それぞれされています。また、人格のない社団等にあっては、上記の所得の金額は、収益事業から生じた所得の金額とされています。
(注) 恒久的施設帰属所得とは、法人
税法第142条第 1 項に規定する恒
久的施設帰属所得をいいます。
恒久的施設を有する外国法人は、恒久的施設帰属所得と恒久的施設非帰属所得とそれぞれを計算すること
となり、特定税額控除制度の適用もそれぞれで判定することとなりますので、上記④イ又はロの要件に該当するか否か及び上記⑤の判定もそれぞれ行うことが前提となります。なお、対象事業年度と前事業年度等との月数が一致しない場合については、上記A又はBによる月数による調整計算を行うこととなります(措令27の13③)。
ロ 設立事業年度 設立事業年度は、措置法第42条の12の 5第 3 項第 1 号に規定する設立事業年度とされています(措法42の13⑥)ので、対象法人の設立の日を含む事業年度をいいます
(措法42の12の 5 ③一)。 また、対象法人が、外国法人である場合には、恒久的施設を有することとなった日を含む事業年度とされ、公益法人等又は人格のない社団等である場合には、新たに収益事業を開始した日を含む事業年度とされ、収益事業を行っていない公益法人等に該当していた普通法人又は協同組合等に該当する場合には、その普通法人又は協同組合等に該当することとなった日を含む事業年度とされています。
(注) 外国法人とは、法人税法第 2 条第 4 号
に規定する外国法人をいい、公益法人等
とは、同条第 6 号に規定する公益法人等
をいい、収益事業とは、同条第13号に規
定する収益事業をいい、普通法人とは、
同条第 9 号に規定する普通法人をいい、
協同組合等とは、同条第 7 号に規定する
協同組合等をいいます。
つまり、対象事業年度に新設した法人については、適用除外となるための所得の計算をしないこととなります。もっとも、既に触れたとおり、設立事業年度については、上記④イの要件に必ず該当することとなりますので、そもそも適用除外とする必要性
─ 478 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
がないと考えられます。ハ 合併等事業年度
合併等事業年度とは、次のイからニまでの事業年度をいいますが、設立事業年度を除くこととされています(措法42の13⑦、措令27の13⑧)。つまり、法人を設立する合併等に係る合併法人等のその設立の日を含む事業年度は、合併等事業年度に該当しません。イ 対象法人が合併等に係る合併法人等又
は分割法人等である場合におけるその合併等の日を含む事業年度 合併等とは、合併、事業を移転する分割又は事業を移転する現物出資をいい、合併法人等とは、合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人をいい、分割法人等とは、分割法人又は現物出資法人をいいます。 つまり、対象法人が、事業を移転する組織再編成に係る再編当事者である場合には、その組織再編成の日を含む事業年度である対象事業年度において、所得の金額の計算は、不要となります。 また、上記のとおり、設立事業年度が除かれていますので、いわゆる吸収合併等が該当することとなります。
ロ 対象法人が事業の譲渡等に係るその事業の移転をした法人又はその事業の譲受けをした法人である場合におけるその譲渡等の日を含む事業年度 譲渡等とは、譲渡又は譲受けをいいます。上記イの組織再編成と同様に、事業再編等で事業の移転がある場合の当事者のその移転があった事業年度が該当します。
ハ 対象法人が特別の法律に基づく承継に係る被承継法人又は承継法人である場合におけるその承継の日を含む事業年度 特別の法律に基づく承継は、上記イ及びロに該当しない事業の移転ですが、一
般に包括承継が定められることが多く、通常、合併等と同様に扱われています。被承継法人は、承継により事業その他を移転する法人であり、承継法人は、その承継により被承継法人から事業その他の移転を受ける法人です。 もっとも、承継法人が新設法人である場合のその承継の日を含む事業年度は、設立事業年度に該当しますので、合併等事業年度からは除かれます。
ニ 対象法人が連結親法人との間にその連結親法人による連結完全支配関係を有しなくなった場合における次の区分に応じた次の事業年度A その連結親法人の連結事業年度開始
の日において連結完全支配関係を有しなくなった場合……その有しなくなった日を含む事業年度
B その連結親法人の連結事業年度開始の日以外の日において連結完全支配関係を有しなくなった場合……その有しなくなった日の前日を含む事業年度
つまり、対象法人がいわゆる連結グループから離脱した場合です。これは、いわば連結グループからの離脱をあたかも組織再編成における分割と同様に扱うものといえます。具体的には、上記A及びBの事業年度は、いずれもその直前事業年度が連結事業年度である事業年度となります。 なお、上記の「連結完全支配関係を有しなくなった場合」から「連結親法人との間に連結完全支配関係を有することとなった日においてその連結完全支配関係を有しなくなった場合」が除かれています(措令27の13⑧)。つまり加入日に離脱した法人は、ニに該当しないこととなりますが、こうした法人は、加入離脱の前後で、実態上も課税上も実質的な変更がないことに配慮したものです。
─ 479 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(注) 上記イからニまでの事業年度は、いわ
ば事業再編による事業の最適化が図られ
るであろう事業年度であり所得の金額の
増減を計るまでもないこと、そうした事
業再編が行われる事業年度においては政
策的観点からむしろ上記④イ又はロの要
件に該当すべきであると考えられること
等から、適用除外の判定(所得の金額の
増加の有無)をまたないこととされたも
のです。なお、結果的に、組織再編成等
があった場合においても、所得の金額の
計算における複雑な調整等は、一切不要
となります。
⑥ 特定税額控除制度の申告要件の付加 対象法人が対象事業年度において特定税額控除制度の適用を受ける場合における各特定税額控除制度の申告要件による添付すべき書類は、その申告要件における添付書類及び上
記④イ又はロの要件のいずれかに該当することを明らかにする書類とされています(措法42の13⑧)。 つまり、例えば、研究開発税制では、その適用ため確定申告書等に控除の対象となる試験研究費の額等、控除を受ける金額及び控除を受ける金額の計算に関する明細を記載した書類(法人税申告書別表 6 ⑹等)の添付が必要ですが、この書類に加え、上記④イ又はロの要件のいずれかに該当することを明らかにする書類(同別表6�)の添付がなければ、研究開発税制が適用できないこととされます。 なお、上記④イ又はロの要件のいずれにも該当しない場合、つまり、この措置の適用がある場合には、そのいずれにも該当しないことを明らかにするような確定申告書等への上記の書類の添付は、当然不要とされています
(措法42の13⑧)。
(参考) 適用判定の流れ(イメージ)
⑦ 連結納税制度 連結納税制度の場合についても、上記と同様の措置を適用することとされました(措法68の15の 8 ⑥~⑧、措令39の48⑤~⑧)。 基本的には、上記①から⑥までのとおりですが、連結グループ全体で適用を判定することとされていますので、上記④イ又はロの要件に該当するか否かは、継続雇用者給与等支給額等の各金額を、単体納税と同じ計算に基づき各連結法人(個社単位)で計算した上、これを連結グループの全連結法人で合計することとなります。
(注) 継続雇用者に対する給与等の支給額がな
い場合の扱いについても、グループ全体が
零である場合に上記④イの要件に該当する
こととされています(措令39の48⑧)。
なお、これらのほか、上記の単体納税と異なる連結納税固有の措置が次のとおり講じられていますので、ご留意ください。イ 対象法人
この措置の対象となる連結法人は、連結親法人が中小連結親法人に該当する連結法人を除くことととされました(措法68の15の 8 ⑥)。つまり、連結親法人が中小企業
判定① 判定②
□ 当期が合併等事業年度に該当する
特定税額控除規定の
□ 次の要件のいずれにも該当しない・継続雇用者 給与等支給額
前期の継続雇用者給与等支給額(注)
>
YES
YESNO
□ 前期の所得金額<当期の所得金額 である■ 次の法人以外の法人である
適用不可・国内設備投資額 >
YESNO
特定税額控除規定の適用可
※ 判定①の要件のいずれかに該当する ことを明らかにする書類添付要件あり
NO
(注)継続雇用者がいない場合(設立事業年度である 場合を含む。)は、要件に該当するものとする。
当期の償却費総額の10%
■ 適用を受けようとする措置が次の措置(特定税額控除規定)の税額控除である
■ 30. 4 . 1 ~33. 3 .31の間に開始する事業年度(対象年度)である
・研究開発税制・地域未来投資促進税制・情報連携投資等の促進に係る税制
・中小企業者(適用除外事業者を除く。)・農業協同組合等
※ 所得金額については、欠損金の繰越控除前の金額とする等の調整を行う。
─ 480 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
者等に該当する限り、この措置の対象外とされます。
(注) 中小連結親法人とは、措置法第68条の
9 第 8 項第 5 号に規定する中小連結法人
で同項第 5 号の 2 に規定する適用除外事
業者に該当しないもの又は農業協同組合
等のうち、連結親法人であるものをいい
ます(措法68の15の 8 ⑥)。
ロ 対象事業年度 対象となる連結事業年度は、連結親法人事業年度が平成30年 4 月 1 日から平成33年3 月31日までの間に開始する各連結事業年度とされています(措法68の15の 6 ①②)。
ハ 適用除外 適用除外の判定から除かれる合併等事業年度について、次のとおりとされています
(措法68の15の 8 ⑦)。なお、連結法人のいずれかの対象事業年度が設立事業年度であっても、判定から除かれません。イ 対象法人である連結親法人又はその各
連結子法人のいずれかが合併法人等に該当する場合(事業再編がある場合)におけるその合併等の日を含む連結事業年度が合併等事業年度に該当します。
ロ 連結グループ内の事業再編については対象から除かれます。
ハ 連結グループへの加入又は連結グループからの離脱がある場合のその離加入の日を含む連結事業年度も合併等事業年度に該当します。
⑵ その他の所要の改正 前述の高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の創設、所得拡大促進税制の改組及び革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の創設に伴い、所要の規定の整備が行われました(措法42の13①~⑤)。 なお、連結納税制度についても同様です(措法68の15の 8 ①~③)。
4 適用関係
上記 3 ⑴の改正は、平成30年 4 月 1 日から施行されています(改正法附則 1 )。したがって、同日以後に開始する事業年度から適用されます(措法42の13⑥)。 連結納税制度についても同様とされています
(改正法附則 1 、措法68の15の 8 ⑥)。
十 その他の税額控除制度
1 収益認識に関する会計基準への対応
⑴ 改正の内容 平成30年 3 月30日に公表された収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」をいいます。以下同じです。)を踏まえ、今回の法人税法の改正においては、収益の額として益金の額に算入する金額を、原則として、その販売若しくは譲渡をした資産の引渡しの時における価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額とすることの
明確化(法法22の 2 ④)、収益認識に関する会計基準の導入を契機とした長期割賦販売等による延払基準の廃止(法法63)等が行われました。
(注) 「収益認識に関する会計基準」及び「収益認
識に関する会計基準の導入による法人税法の
改正」の詳細については、前掲「法人税法等
の改正」の「一 収益認識に関する会計基準
等への対応」をご参照ください。
この法人税法の改正に伴い、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)について、試験研究費割合の算定における平均売上金額の計算の基礎となる各事業年度の売上金額は、資産の販売等に係る収益の額(営
─ 481 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
業外の収益の額とされるべきものを除きます。)として所得の金額の計算上益金の額に算入される金額とすることが明確化されました(措令27の 4 ⑮)。また、「収益の額(営業外の収益の額とされるべきものを除く。)として所得の金額の計算上益金の額に算入される金額」とされましたので、次の場合には、原則として、それぞれの場合に応じ次の金額になるものと考えられます。① 法人税法第63条第 1 項又は第 2 項(リース
譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度)の規定の適用を受ける場合……延払基準の方法により経理した収益の額
② 改正法附則第28条第 1 項(長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度に関する経過措置)の規定により、経過措置事業年度において、改正前の法人税法第63条第 1 項本文(長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度)の規定の適用を受ける場合……延払基準の方法により経理した収益の額
(注) 経過措置事業年度とは、平成30年 4 月 1
日以後に終了する事業年度で、かつ、平成
35年 3 月31日以前に開始する事業年度をい
います(改正法附則28①)。
③ 改正法附則第28条第 3 項(長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度に関する経過措置)の規定の適用を受ける場合……未計上収益額を10年均等した金額
(注) 未計上収益額とは、長期割賦販売等に該
当する特定資産の販売等に係る収益の額か
ら、延払基準の方法により経理しなかった
事業年度又は平成35年3月31日後最初に開始
する事業年度開始の日前に開始した各事業
年度の所得の金額の計算上益金の額に算入
されるものを除いたものをいいます(改正
法附則28②)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措令39の39⑭)。
⑵ 適用関係 上記⑴の改正は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正措令附則19)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則32)。
2 税額控除若しくは繰越税額控除又は連結納税の承認を取り消された場合の取戻し課税の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定の所要の整備
⑴ 改正の内容 税額控除若しくは繰越税額控除又は連結納税の承認を取り消された場合の取戻し課税の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定については、各税額控除制度において法人税法及び地方法人税法の規定の読替え規定が設けられているところですが、今回の法人税法の改正における分配時調整外国税相当額の控除制度(法法69の 2 、144の2 の 2 )の創設による法人税法における税額控除の順序に係る規定(法法70の 2 、144の 2 の3 )の整備並びに外国子会社合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法66の 7 ④)及びコーポレート・インバージョン対策合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法66の 9 の 3 ④)の見直し等を踏まえ、各税額控除制度において法人税法及び地方法人税法の規定を読み替えるのではなく、各税額控除制度のうち、税額控除若しくは繰越税額控除又は連結納税の承認を取り消された場合の取戻し課税について、条文上、それぞれの適用がある最初の税額控除制度において法人税法及び地方法人税法との調整についての規定を設け、その後の各税額控除制度においてはその規定を準用する規定を設けることとされました。
(注) 「分配時調整外国税相当額の控除制度の創
設」の詳細については、後掲「国際課税関係
─ 482 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
の改正」の「三 集団投資信託の収益の分配
等に係る二重課税調整の改正」を、「法人税法
における税額控除の順序に係る規定の改正」
の詳細については、前掲「法人税法等の改正」
の「五 その他」の 7を、それぞれご参照く
ださい。
① 税額控除又は繰越税額控除 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)において、税額控除の適用がある場合における調整規定として、次のとおり規定されました(措法42の 4 ⑫⑬)。イ 法人税法第67条(特定同族会社の特別税
率) 特定同族会社の特別税率の規定の適用において留保金額から控除される法人税法第67条第 3 項に規定する法人税の額は、その法人税の額から特別税額控除規定(研究開発税制における税額控除規定をいいます。以下同じです。)により控除する金額を控除した金額とすることとされています(措法42の 4 ⑬一)。
ロ 法人税法第70条の 2 (税額控除の順序)又は第144条の 2 の 3 (税額控除の順序) 法人税法第 2 編第 1 章第 2 節第 2 款又は第 3 編第 2 章第 2 節(第143条を除きます。)の規定(以下「法人税法税額控除規定」といいます。)による法人税の額からの控除及び特別税額控除規定による法人税の額からの控除については、まず特別税額控除規定による控除をした後において、同法第70条の 2 又は第144条の 2 の 3 に定める順序により法人税法税額控除規定による控除をするものとすることとされています
(措法42の 4 ⑫)。 なお、外国子会社合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法66の 7 ④)又はコーポレート・インバージョン対策合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法66の 9 の 3 ④)の適用がある場合には、まず特別税額控除
規定による控除をした後において、次に分配時調整外国税相当額の控除制度(法法69の 2 )による控除をした後に、その適用による控除をすることとなるように所要の読替え規定が設けられています(措法66の 7⑨、66の 9 の 3 ⑨)。
ハ 法人税法第72条(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等) 法人税法第72条第 1 項第 2 号に掲げる金額(内国法人の仮決算をした場合の中間申告書に記載される法人税額)は、同項に規定する期間を一事業年度とみなして同項第1 号に掲げる所得の金額につき同法第 2 編第 1 章第 2 節(第67条、第68条第 3 項及び第70条を除きます。)の規定及び特別税額控除規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています(措法42の 4 ⑬二)。
ニ 法人税法第74条(確定申告) 法人税法第74条第 1 項第 2 号に掲げる金額(内国法人の確定申告書に記載される法人税額)は、同項第 1 号に掲げる所得の金額につき同法第 2 編第 1 章第 2 節の規定及び特別税額控除規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(措法42の 4 ⑬三)。
ホ 法人税法第144条の 4 (仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等) 法人税法第144条の 4 第 1 項第 3 号若しくは第 4 号又は第 2 項第 2 号に掲げる金額
(外国法人の仮決算をした場合の中間申告書に記載される法人税額)は、同条第 1 項又は第 2 項に規定する期間を一事業年度とみなして同条第 1 項第 1 号若しくは第 2 号又は第 2 項第 1 号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第 3 編第 2 章第2 節(第144条(同法第68条第 3 項の規定を準用する部分に限ります。)を除きます。)の規定及び特別税額控除規定を適用するものとした場合に計算される法人税の
─ 483 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
額とすることとされています(措法42の 4⑬四)。
ヘ 法人税法第144条の 6 (確定申告) 法人税法第144条の 6 第 1 項第 3 号若しくは第 4 号又は第 2 項第 2 号に掲げる金額
(外国法人の確定申告書に記載される法人税額)は、同条第 1 項第 1 号若しくは第 2号又は第 2 項第 1 号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第 3 編第 2 章第 2 節の規定及び特別税額控除規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(措法42の 4 ⑬五)。
研究開発税制以外の各税額控除制度においては、上記の調整規定(措法42の 4 ⑫⑬)を準用することとし、特別税額控除規定の内容をその各税額控除制度の規定とする読替え規定が設けられました(措法42の 6 ⑩、42の 9⑦、42の10⑦、42の11⑦、42の11の 2 ⑥、42の11の 3 ⑥、42の12⑩、42の12の 2 ③、42の12の 3 ⑩、42の12の 4 ⑩、42の12の 5 ⑦、66の 7 ⑨、66の 9 の 3 ⑨、措令27の13②)。 また、連結納税制度の場合についても、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)において、税額控除の適用がある場合における調整規定として、次のとおり規定されました(措法68の 9 ⑫⑬)。ト 法人税法第81条の13(連結特定同族会社
の特別税率) 連結特定同族会社の特別税率の規定の適用において連結留保金額から控除される法人税法第81条の13第 2 項に規定する法人税の額は、その法人税の額から特別税額控除規定(研究開発税制における税額控除規定をいいます。以下同じです。)により控除する金額を控除した金額とすることとされています(措法68の 9 ⑬一)。
チ 法人税法第81条の17(連結事業年度における税額控除の順序) 法人税法第 2 編第 1 章の 2 第 2 節第 2 款の規定(以下「法人税法税額控除規定」と
いいます。)による法人税の額からの控除及び特別税額控除規定による法人税の額からの控除については、まず特別税額控除規定による控除をした後において、同法第81条の17に定める順序により法人税法税額控除規定による控除をするものとすることとされています(措法68の 9 ⑫)。 なお、外国子会社合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法68の91④)又はコーポレート・インバージョン対策合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法68の93の 3 ④)の適用がある場合には、まず特別税額控除規定による控除をした後において、次に連結事業年度における分配時調整外国税相当額の控除制度(法法81の15の 2 )による控除をした後に、その適用による控除をすることとなるように所要の読替え規定が設けられています(措法68の91⑨、68の93の 3⑨)。
リ 法人税法第81条の18(連結法人税の個別帰属額の計算) 法人税法第81条の18第 1 項に規定する減算調整額には、特別税額控除規定によりその特別税額控除規定に規定する調整前連結税額から控除される金額のうち各連結法人に帰せられる金額を含むものとすることとされています(措法68の 9 ⑬二、措令39の39�)。
(注) 各連結法人に帰せられる金額は、改正
前と同じです。
ヌ 法人税法第81条の20(仮決算をした場合の連結中間申告書の記載事項等) 法人税法第81条の20第 1 項第 2 号に掲げる金額(仮決算をした場合の連結中間申告書に記載される法人税額)は、同項に規定する期間を一連結事業年度とみなして同項第 1 号に掲げる連結所得の金額につき同法第 2 編第 1 章の 2 第 2 節(第81条の13、第81条の14第 2 項及び第81条の16を除きま
─ 484 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
す。)の規定及び特別税額控除規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています(措法68の 9⑬三)。
ル 法人税法第81条の22(連結確定申告) 法人税法第81条の22第 1 項第 2 号に掲げる金額(連結確定申告書に記載される法人税額)は、同項第 1 号に掲げる連結所得の金額につき同法第 2 編第 1 章の 2 第 2 節の規定及び特別税額控除規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています
(措法68の 9 ⑬四)。ヲ 地方法人税法第15条(連結法人の地方法
人税の個別帰属額の計算) 地方法人税法第15条第 1 項に規定する減算調整額には、特別税額控除規定によりその特別税額控除規定に規定する調整前連結税額から控除される金額のうち連結親法人又は各連結子法人に帰せられる金額の10.3%相当額を含むものとすることとされています(措法68の 9 ⑬五、措令39の39�)。
(注) 連結親法人又は各連結子法人に帰せら
れる金額は、改正前と同じです。
研究開発税制以外の各税額控除制度においては、上記の調整規定(措法68の 9 ⑫⑬)を準用することとし、特別税額控除規定の内容をその各税額控除制度の規定とする読替え規定が設けられました(措法68の11⑪、68の13⑧、68の14⑧、68の14の 2 ⑦、68の14の 3 ⑦、68の15⑦、68の15の 2 ⑩、68の15の 3 ④、68の15の 4 ⑪、68の15の 5 ⑪、68の15の 6 ⑦、68の91⑨、68の93の 3 ⑨、措令39の48②)。
② 連結納税の承認を取り消された場合の取戻し課税 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(中小企業投資促進税制)において、連結納税の承認を取り消された場合の取戻し課税の適用がある場合における調整規定として、次のとおり規定されました(措法42の 6 ⑫⑬、措令27の
6 ⑧)。イ 法人税法第71条(中間申告)
法人税法第71条第 1 項第 1 号又は第 2 項第 1 号に規定する確定申告書に記載すべき同法第74条第 1 項第 2 号に掲げる金額(予定申告の計算の基礎となる前期の確定申告書に記載される法人税額)は、その金額からその金額に含まれる特別税額加算規定
(中小企業投資促進税制における連結納税の承認を取り消された場合の取戻し課税の規定をいいます。以下同じです。)により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法42の 6 ⑬、措令27の6 ⑧一)。
ロ 法人税法第74条(確定申告) 法人税法第74条第 1 項第 2 号に掲げる金額(内国法人の確定申告書に記載される法人税額)は、同項第 1 号に掲げる所得の金額につき同節の規定及び特別税額加算規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(措法42の 6 ⑫)。
ハ 法人税法第80条(欠損金の繰戻しによる還付) 法人税法第80条第 1 項に規定する所得に対する法人税の額は、その所得に対する法人税の額からその所得に対する法人税の額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法42の 6 ⑬、措令27の 6 ⑧二)。
ニ 法人税法第135条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例) 法人税法第135条第 2 項に規定する所得に対する法人税の額は、その所得に対する法人税の額からその所得に対する法人税の額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法42の 6 ⑬、措令27の 6 ⑧三)。
ホ 地方法人税法第16条(中間申告)
─ 485 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
地方法人税法第16条第 1 項第 1 号に規定する地方法人税額は、その地方法人税額からその地方法人税額に係る同法第 6 条に規定する基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています(措法42の 6 ⑬、措令27の 6 ⑧四)。
ヘ 地方法人税法第23条(欠損金の繰戻しによる法人税の還付があった場合の還付) 地方法人税法第23条第 1 項に規定する基準法人税額に対する地方法人税の額は、その基準法人税額に対する地方法人税の額からその基準法人税額に対する地方法人税の額に係る同項に規定する基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています(措法42の 6 ⑬、措令27の 6 ⑧五)。
ト 地方法人税法第29条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税額の還付の特例) 地方法人税法第29条第 2 項に規定する所得基準法人税額に対する地方法人税の額は、その所得基準法人税額に対する地方法人税の額からその所得基準法人税額に対する地方法人税の額に係る同条第 1 項に規定する所得基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています
(措法42の 6 ⑬、措令27の 6 ⑧六)。 ただし、法人税法第67条(特定同族会社の特別税率)の規定との調整に係る規定は、引き続き読替え規定とされています(措法42の6 ⑪)。 中小企業投資促進税制以外の各税額控除制度においては、上記の調整規定(措法42の 6⑫、措令27の 6 ⑧)を準用することとし、特別税額加算規定をその各税額控除制度の規定とする読替え規定が設けられました(措法42の 9 ⑨、42の12の 3 ⑫、42の12の 4 ⑫、措令
27の 9 ⑪、27の12の 3 ⑦、27の12の 4 ⑤)。 また、連結納税制度の場合についても、中小連結法人が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(中小企業投資促進税制)において、連結納税の承認を取り消された場合の取戻し課税の適用がある場合における調整規定として、次のとおり規定されました(措法68の11⑬⑭、措令39の41⑦⑧)。チ 法人税法第81条の18(連結法人税の個別
帰属額の計算) 法人税法第81条の18第 1 項に規定する加算調整額には、特別税額加算規定(中小企業投資促進税制における連結納税の承認を取り消された場合の取戻し課税の規定をいいます。以下同じです。)により法人税の額に加算された金額のうち各連結法人に帰せられる金額を含むものとすることとされています(措法68の11⑬一、措令39の41⑦)。
(注) 各連結法人に帰せられる金額は、改正
前と同じです。
リ 法人税法第71条(中間申告)又は第81条の19(連結中間申告) 法人税法第71条第 1 項第 1 号若しくは第2 項第 1 号又は第81条の19第 4 項第 1 号ロ若しくは第 2 号ロに規定する連結確定申告書に記載すべき同法第81条の22第 1 項第 2号に掲げる金額(予定申告の計算の基礎となる前期の連結確定申告書に記載される法人税額)は、その金額からその金額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法68の11⑭、措令39の41⑧一)。
ヌ 法人税法第81条の22(連結確定申告) 法人税法第81条の22第 1 項第 2 号に掲げる金額(連結確定申告書に記載される法人税額)は、同項第 1 号に掲げる連結所得の金額につき同法第 2 編第 1 章の 2 第 2 節の規定及び特別税額加算規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています
─ 486 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(措法68の11⑬二)。ル 法人税法第81条の31(連結欠損金の繰戻
しによる還付) 法人税法第81条の31第 1 項に規定する連結所得に対する法人税の額は、その連結所得に対する法人税の額からその連結所得に対する法人税の額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法68の11⑭、措令39の41⑧二)。
ヲ 法人税法第135条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例) 法人税法第135条第 2 項に規定する連結所得に対する法人税の額は、その連結所得に対する法人税の額からその連結所得に対する法人税の額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法68の11⑭、措令39の41⑧三)。
ワ 地方法人税法第15条(連結法人の地方法人税の個別帰属額の計算) 地方法人税法第15条第 1 項に規定する加算調整額には、特別税額加算規定により法人税の額に加算された金額のうち連結親法人又は各連結子法人に帰せられる金額の10.3%相当額を含むものとすることとされています(措法68の11⑬三、措令39の41⑦)。
(注) 連結親法人又は各連結子法人に帰せら
れる金額は、改正前と同じです。
カ 地方法人税法第16条(中間申告) 地方法人税法第16条第 1 項第 1 号に規定する地方法人税額は、その地方法人税額からその地方法人税額に係る同法第 6 条に規定する基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています(措法68の11⑭、措令39の41⑧四)。
ヨ 地方法人税法第23条(欠損金の繰戻しによる法人税の還付があった場合の還付)
地方法人税法第23条第 1 項に規定する基準法人税額に対する地方法人税の額は、その基準法人税額に対する地方法人税の額からその基準法人税額に対する地方法人税の額に係る同項に規定する基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています(措法68の11⑭、措令39の41⑧五)。
タ 地方法人税法第29条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税額の還付の特例) 地方法人税法第29条第 2 項に規定する所得基準法人税額に対する地方法人税の額は、その所得基準法人税額に対する地方法人税の額からその所得基準法人税額に対する地方法人税の額に係る同条第 1 項に規定する所得基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています
(措法68の11⑭、措令39の41⑧六)。 なお、単体制度と同様に、法人税法第81条の13(連結特定同族会社の特別税率)の規定との調整に係る規定は、引き続き読替え規定とされています(措法68の11⑫)。 中小企業投資促進税制以外の各税額控除制度においては、上記の調整規定(措法68の11⑬、措令39の41⑧)を準用することとし、特別税額加算規定をその各税額控除制度の規定とする読替え規定が設けられました(措法68の13⑩、68の15の 4 ⑬、68の15の 5 ⑬、措令39の43⑦、39の45の 4 ⑨、39の46⑨)。
⑵ 適用関係① 上記⑴①及び②ロの規定は、法人の平成30
年 4 月 1 日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正法附則87①、90)。また、分配時調整外国税相当額の
─ 487 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
控除制度(法法69の 2 、144の 2 の 2 )の創設及び税額控除の順序(法法70の 2 、144の2 の 3 )の改正の施行日が平成32年 1 月 1 日であることから、平成30年 4 月 1 日から平成31年12月31日までの間における上記⑴①ロの適用について、所要の読替え規定が設けられています(改正法附則87②③)。 なお、連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成30年 4 月1 日以後に終了する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に終了した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正法附則103①、106①)。また、地方法人税の税率の4.4%から10.3%への引上げ(地法法10①)が平成31年10月 1 日以後に開始する課税事業年度について適用されることから、連結親法人又は当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度における上記⑴①ヲ及び②ワの規定の適用については、10.3%を4.4%とする等の読替え規定が設けられています(改正法附則103②③、106②)。
② 上記⑴②イ及びホの規定は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に終了する前事業年度等の確定申告書に記載すべき法人税法第74条第 1 項第 2 号に掲げる金額及び法人の同日以後に終了する前課税事業年度の地方法人税額について適用し、法人の同日前に終了した前事業年度等の確定申告書に記載すべき同号に掲げる金額及び法人の同日前に終了した前課税事業年度の地方法人税額については、なお従前の例によることとされています(改正措令附則22①)。また、地方法人税の税率の4.4%から10.3%への引上げ(地法法10①)が平成31年10月 1 日以後に開始する課税事業年度について適用されることから、法人の同日前に開始した前課税事業年度における上記⑴②ホの規定の適用については、10.3%を4.4%とする読
替え規定が設けられています(改正措令附則22④)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則34①④)。
(注) 前事業年度等とは、法人税法第71条第 1
項第 1 号に規定する前事業年度又は同条第
2 項第 1 号に規定する各事業年度をいい、
確定申告書とは、同法第 2 条第31号に規定
する確定申告書をいい、前課税事業年度と
は、地方法人税法第16条第 1 項第 1 号に規
定する前課税事業年度をいい、地方法人税
額とは、同号に規定する地方法人税額をい
います。
③ 上記⑴②ハ及びヘの規定は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に終了する還付所得事業年度の所得に対する法人税の額及び法人の同日以後に終了する課税事業年度の基準法人税額に対する地方法人税の額について適用し、法人の同日前に終了した還付所得事業年度の所得に対する法人税の額及び法人の同日前に終了した課税事業年度の基準法人税額に対する地方法人税の額については、なお従前の例によることとされています(改正措令附則22②)。また、地方法人税の税率の4.4%から10.3%への引上げ(地法法10①)が平成31年10月 1 日以後に開始する課税事業年度について適用されることから、法人の同日前に開始した課税事業年度における上記⑴②ヘの規定の適用については、10.3%を4.4%とする読替え規定が設けられています(改正措令附則22⑤)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則34②⑤)。
(注) 還付所得事業年度とは、法人税法第80条
第 1 項に規定する還付所得事業年度をいい、
課税事業年度とは、地方法人税法第23条第
1 項本文に規定する課税事業年度をいい、
基準法人税額とは、同項に規定する基準法
人税額をいいます。
④ 上記⑴②ニ及びトの規定は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に終了する更正前事業年度の所得に対する法人税の額及び法人の同日以後
─ 488 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
に終了する各課税事業年度の所得基準法人税額に対する地方法人税の額について適用し、法人の同日前に終了した更正前事業年度の所得に対する法人税の額及び法人の同日前に終了した各課税事業年度の所得基準法人税額に対する地方法人税の額については、なお従前の例によることとされています(改正措令附則22③)。また、地方法人税の税率の4.4%から10.3%への引上げ(地法法10①)が平成31年10月 1 日以後に開始する課税事業年度について適用されることから、法人の同日前に開始した各課税事業年度における上記⑴②トの
規定の適用については、10.3%を4.4%とする読替え規定が設けられています(改正措令附則22⑥)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則34③⑥)。
(注) 更正前事業年度とは、法人税法第135条第
2 項に規定する更正の日の属する事業年度
開始の日前 1 年以内に開始する各事業年度
をいい、各課税事業年度とは、地方法人税
法第29条第 2 項の各課税事業年度をいい、
所得基準法人税額とは、同項に規定する所
得基準法人税額をいいます。
第二 特別償却関係一 特定設備等の特別償却制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人が、指定期間内に、特定設備等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は特定設備等の製作若しくは建設をして、これをその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定設備等の取得価額に次の特別償却割合を乗じて計算した金額の特別償却ができるというものです
(措法43①)。 対象となる特定設備等、特別償却割合及び指定期間は、次のとおりです。
特定設備等の区分 特別償却割合 指定期間
⑴ 公害防止用設備(指定物質回収設備) 8 % 平29. 4 . 1 ~
平31. 3 .31
⑵
① ②以外の外航船舶及び内航船舶
② 外航日本船舶及び高度環境負荷低減内航船舶
16%18%
平29. 4 . 1 (内航船舶は、平27. 4 . 1 )~平31. 3 .31
⑶ 自動車教習用貨物自動車 20% 平29. 4 . 1 ~
平31. 3 .31
(注 1 ) 上記⑴及び⑶に係る措置の対象法人は、租
税特別措置法第42条の 4 第 3 項に規定する中
小企業者又は農業協同組合等とされています
(措法43①表一上欄・三上欄)。ただし、「中小
企業者のうち適用除外事業者に該当するもの」
の事業年度においては、これらの措置の適用
を停止することとされています。適用除外事
業者とは、措置法第42条の 4 第 8 項第 6 号の
2 に規定する適用除外事業者をいい、平成31
年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分から適
用されます(前述「第一 税額控除関係」の
「二 高度省エネルギー増進設備等を取得した
場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」
の 3 ⑸(注 2 )参照)。(注 2 ) 外航船舶とは、海洋運輸業の用に供される
鋼船のうち事業の経営の合理化及び環境の負
荷の低減に係る要件を満たす国際総トン数が
1 万トン以上のものをいい、内航船舶とは、
沿海運輸業の用に供される鋼船のうち事業の
経営の合理化及び環境への負荷の低減に係る
要件を満たすもので総トン数300トン以上のも
のをいいます(措法43①表二中欄、措令28③⑨、
平27. 3 国土交通告473)。
─ 489 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(注 3 ) 高度環境負荷低減内航船舶とは、(注 2 )の
内航船舶のうち環境への負荷の著しい低減に
係る要件を満たすもの(いわゆるスーパーエ
コシップ等)をいいます(措法43①表二下欄、
措令28④⑨、平27. 3 国土交通告473)。(注 4 ) 自動車教習用貨物自動車とは、指定自動車
教習所において自動車の運転に関する技能及
び知識の教授に係る学習支援業の用に供され
る道路交通法第 3 条の準中型自動車であって
専ら貨物を運搬する構造のもののうち一定の
要件を満たすものをいいます(措法43①表三
中欄、措令28⑤⑧、昭48. 5 大蔵告69別表 3 上
欄)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の16)。
2 改正の内容
適用対象に、再生可能エネルギー発電設備等に係る措置が追加されました(措法43①表四、措令28⑥~⑧⑩⑫、昭48. 5 大蔵告69四)。
(注) 改正の経緯及び趣旨については、「第一 税額
控除関係」の「二 高度省エネルギー増進設備
等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特
別控除」の 1をご参照ください。
⑴ 措置の概要 この措置は、青色申告書を提出する法人が、平成30年 4 月 1 日から平成32年 3 月31日までの間に、再生可能エネルギー発電設備等の取得等をして、これをその法人の国内にある事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その再生可能エネルギー発電設備等の取得価額の20%相当額の特別償却ができるというものです(措法43①表四、措令28⑥~⑧⑩⑫、昭48. 5 大蔵告69四)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の16①表四、措令39の49⑥⑦⑧四)。
⑵ 措置の内容① 適用対象法人
適用対象となる法人は、青色申告書を提出する法人で、下記③の適用対象資産を国内にある事業の用に供する法人とされています
(措法43①表四上欄)。 ただし、次の法人に該当するものを除くこととされています(措法43①表四上欄、措令28⑦)。イ 電気事業法第 2 条第 1 項第 9 号に規定す
る一般送配電事業者に該当する法人ロ 投資信託及び投資法人に関する法律第 2
条第12項に規定する投資法人ハ 匿名組合契約等に基づいて出資を受ける
法人(下記③の適用対象資産をその法人の事業であってその匿名組合契約等の目的であるものの用に供するものに限ります。)
(注 1 ) 匿名組合契約等とは、匿名組合契約及
び外国におけるこれに類する契約をいい、
匿名組合契約には、当事者の一方が相手
方の事業のために出資をし、相手方がそ
の事業から生ずる利益を分配することを
約する契約を含むこととされています。(注 2 ) 関係法令については、下記の(参考 1)
及び(参考 2)をご参照ください。
② 適用期間 適用期間は、平成30年 4 月 1 日から平成32年 3 月31日までの期間とされています(措法43①、措令28⑧⑩、昭48. 5 大蔵告69四)。
③ 適用対象資産 適用対象となる資産は、次の機械その他の減価償却資産のうち経済産業大臣が財務大臣と協議して指定するもの(以下「再生可能エネルギー発電設備等」といいます。)とされています(措法43①表四上欄、措令28⑥)。・ 再生可能エネルギー利用資産のうち太陽
光又は風力以外の再生可能エネルギー源の利用に資するもの すなわち、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律
─ 490 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
第 2 条第 3 項第 1 号に掲げる機械その他の減価償却資産のうち水力、地熱及びバイオマスの利用に資するものをいいます(措令28⑥、環境適合製品施行令 1 一・二・五)。
・ 主として再生可能エネルギー利用資産とともに使用するための機械その他の減価償却資産でその再生可能エネルギー利用資産の持続的な利用に資するもの すなわち、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律第 2 条第 3 項第 5 号(同項第 1 号に係る部分に限ります。)に掲げる機械その他の減価償却資産のうち再生可能エネルギー利用資産の持続的な利用に資するものをいいます(措令28⑥)。
(注 1 ) 再生可能エネルギー利用資産とは、再
生可能エネルギー源から電気若しくは熱
を得るため又は再生可能エネルギー源か
ら燃料を製造するための機械その他の減
価償却資産をいいます。(注 2 ) 再生可能エネルギー源とは、エネルギ
ー環境適合製品の開発及び製造を行う事
業の促進に関する法律第 2 条第 1 項に規
定する非化石エネルギー源のうち永続的
に利用することができると認められるも
のをいい、太陽光、風力、水力、地熱、
バイオマスなどがこれに該当します。
上記の「経済産業大臣が財務大臣と協議して指定するもの」について、経済産業大臣は、その指定をしたときは告示することとされており(措令28⑥⑫)、具体的には、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律に基づく需要開拓支援法人に関する省令第 3 条の 2 第 1 号又は第 4 号
(同条第 1 号に係る部分に限ります。)に掲げる要件を満たす機械その他の減価償却資産のうち次のものとされています(平30. 3 経済産業告69)。イ 中小水力発電設備(需要開拓支援法人が
積極的に情報の提供を行うべきエネルギー
環境適合製品(以下「情報提供告示」といいます。)の 1 の第 3 号に掲げる水力発電設備のうち、その設置に要した資本費に係る 1 kW当たりの資本費が次の発電出力の区分に応じ次の金額以下のものをいいます。)イ 200kW未満 272万円ロ 200kW以上1,000kW未満 109万円ハ 1,000kW以上30,000kW未満 39万円
ロ 地熱発電設備(情報提供告示の 1 の第 4号に掲げる地熱発電設備のうち、その設備利用率が80%を超えると見込まれるものをいいます。)
ハ バイオマス利用装置(情報提供告示の 1の第 5 号に掲げるバイオマス利用装置のうち、次のいずれかに該当するものをいいます。)イ 木質バイオマス発電設備(情報提供告
示の 1 の第 5 号イに掲げる木質バイオマス発電設備のうち、次のいずれかに該当するものをいいます。)A その設備の設備利用率が80%を超え
ると見込まれるものB 熱電併給(発電を行う際に生じた熱
を発電と同時に利用することをいいます。以下同じです。)を行うもの
C その設備の設置に要した資本費に係る 1 kW当たりの資本費が次の発電出力の区分に応じそれぞれ次に定める金額以下のもの🄐 2,000kW未満 62万円🄑 2,000kW以 上 20,000kW未 満 41
万円ロ 木質バイオマス熱供給装置(情報提供
告示の 1 の第 5 号ロに掲げる木質バイオマス熱供給装置のうち、そのボイラーの熱効率が80%を超えるものをいいます。)
ハ バイオマス利用メタンガス製造装置(情報提供告示の 1 の第 5 号ハに掲げるバイオマス利用メタンガス製造装置のう
─ 491 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ち、その装置から精製されるメタンガスを利用した熱電併給を行うものをいいます。)
ニ 風力発電装置専用機械類(情報提供告示の 4 の第 1 号に掲げる機械類をいいます。)
ホ 定置用蓄電設備(情報提供告示の 4 の第2 号に掲げる定置用蓄電設備のうち、次の機械その他の減価償却資産のいずれかに接続するものであって、その蓄電出力がその減価償却資産の発電出力と比較して同等以下のものをいいます。)イ 情報提供告示の 1 の第 1 号に掲げる太
陽光発電設備のうち、発電出力が10kW以上のもの
ロ 情報提供告示の 1 の第 2 号に掲げる風力発電装置のうち、発電出力が10,000kW以上のもの
ハ イからハまでに掲げる機械その他の減価償却資産
ヘ 電線路(情報提供告示の 4 の第 3 号に掲げる機械類のうち、ホイからハまでの機械その他の減価償却資産のいずれか又はその附属設備(ホの定置用蓄電設備を含みます。)に接続するものであって、その減価償却資産を所有する者が維持し、運用するものをいいます。)
(注 3 ) 1 kW当たりの資本費とは、電気事業者
による再生可能エネルギー電気の調達に
関する特別措置法施行規則第 5 条第 1 項
第 6 号の規定に基づき経済産業大臣に対
して提供する発電設備の設置に要した費
用に関する情報のうち資本費の合計額を、
その発電設備の発電出力で除して得られ
る金額をいいます。(注 4 ) 設備利用率とは、発電設備が運転を開
始する日から同日以後 1 年を経過する日
までの期間におけるその発電設備に係る
発電量のその発電設備の発電出力にその
期間の総時間数を乗じて計算した発電量
に対する割合をいいます。
(注 5 ) 関係法令については、下記の(参考 3)
から(参考 7)までをご参照ください。
ただし、上記の「経済産業大臣が財務大臣と協議して指定するもの」からは、「その取得又は製作若しくは建設に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他これらに準ずるもの(以下「補助金等」といいます。)の交付を受けた法人がその補助金等をもって取得し、又は製作し、若しくは建設したその補助金等の交付の目的に適合したもの」を除くこととされています(措令28⑥)。
④ 適用対象事業 適用対象となる事業は、特に業種の限定はされていませんが、上記①のとおり、適用対象法人は「再生可能エネルギー発電設備等を国内にある事業の用に供する法人」であるため(措法43①表四上欄)、国外で行われる事業は、適用対象となりません。
⑤ 適用対象事業年度及び措置の内容 適用対象となる事業年度は、適用対象法人が、適用期間内に、再生可能エネルギー発電設備等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は再生可能エネルギー発電設備等を製作し、若しくは建設して、これをその適用対象法人の国内にある事業の用に供した場合におけるその事業の用に供した日を含む事業年度(以下
「供用年度」といいます。)とされています(措法43①)。(注 1 ) 「事業の用に供した場合」からは、「所
有権移転外リース取引により取得した再
生可能エネルギー発電設備等をその事業
の用に供した場合」及び「貸付けの用に
供した場合」を除くこととされています。(注 2 ) 所有権移転外リース取引とは、法人税
法施行令第48条の 2 第 5 項第 5 号に規定
する所有権移転外リース取引をいいます
(措法42の 5 ③、措令27の 5 ③)。(注 3 ) 環境関連投資促進税制(旧措法42の 5 )
においては、指定期間内に対象資産の取
─ 492 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
得等(取得又は製作若しくは建設をいい
ます。以下同じです。)をして、それをそ
の取得等をした日から 1 年以内に対象事
業の用に供すこととされていましたが、
本制度においては、適用期間内に対象資
産の取得等をして、それを対象事業の用
に供すこととされています。
この供用年度において、再生可能エネルギー発電設備等について、特別償却の適用ができることとされています(措法43①)。
⑥ 特別償却限度額 特別償却限度額は、その再生可能エネルギー発電設備等の取得価額の20%相当額とされています(措法43①表四下欄)。
⑦ 特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例 他の特別償却と同様に、特別償却不足額については、 1 年間の繰越しができることとされています(措法52の 2 )。
(注) 特別償却不足額には、合併等特別償却不
足額を含むこととされています。
⑧ 準備金方式による特別償却(特別償却準備金)制度 他の特別償却と同様に、特別償却の方法として、特別償却の適用を受けることに代えて、準備金方式による特別償却制度の適用(特別償却準備金の積立て)ができるとともに、特別償却準備金積立不足額については、 1 年間の繰越しができることとされています(措法52の 3 )。
(注) 特別償却準備金積立不足額には、合併等
特別償却準備金積立不足額を含むこととさ
れています。
⑨ 申告要件 この措置は、確定申告書等に再生可能エネルギー発電設備等の償却限度額の計算に関する明細書の添付がない場合には、適用しないこととされています(措法43②)。
(注) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30
号に規定する中間申告書で同法第72条第 1
項各号に掲げる事項を記載したもの及び同
法第144条の 4 第 1 項各号又は第 2 項各号に
掲げる事項を記載したもの並びに同法第 2
条第31号に規定する確定申告書をいいます
(措法 2 ②二十七)。すなわち、仮決算をし
た場合の中間申告書及び確定申告書をいい、
確定申告書には、その確定申告書に係る期
限後申告書を含むこととされています。
⑩ 他の特別償却制度等との重複適用の排除 法人の有する減価償却資産が供用年度において租税特別措置法の規定による特別償却又は税額控除制度等及び震災税特法の規定による特別償却又は税額控除制度等のうち、 2 以上の制度に係る規定の適用を受けることができるものである場合には、その減価償却資産については、これらの特別償却又は税額控除制度等に係る規定のうちいずれか一の規定のみを適用することとされています(措法53、61の 3 ④、64⑥、64の 2 ⑭、65⑫、65の 7 ⑦、65の 8 ⑯、67の 4 ⑫、67の 5 ①、震災税特法18の 7 、19⑥、20⑮、措令32、震災税特令18の 6 )。 すなわち、他の特別償却又は税額控除制度等と同様に、租税特別措置法の規定によるこの制度以外の特別償却若しくは税額控除制度等又は震災税特法の規定による特別償却若しくは税額控除制度等の適用を受ける再生可能エネルギー発電設備等に該当する減価償却資産については、この制度の適用対象資産から除くこととされています。
⑪ 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記①から⑩までと同様の措置が講じられています
(措法68の16①表四②、68の40~68の42、68の65④、68の70⑤、68の71⑮、68の72⑫、68の78⑦、68の79⑰、68の102⑬、68の102の 2①、震災税特法26の 7 、27⑥、28⑯、措令39の49⑥⑦⑧四、39の71、震災税特令23の 6 )。
(参考 1)� 電気事業法(昭和39年法律第170号)
(定義)
─ 493 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
第 2 条 この法律において、次の各号に掲
げる用語の意義は、当該各号に定めると
ころによる。
一~八 省 略
九 一般送配電事業者 一般送配電事業
を営むことについて第 3 条の許可を受
けた者をいう。
十~十八 省 略
2 ・ 3 省 略(参考 2)� 投資信託及び投資法人に関する法律(昭
和26年法律第198号)
(定義)
第 2 条 省 略
2 ~11 省 略
12 この法律において「投資法人」とは、
資産を主として特定資産に対する投資と
して運用することを目的として、この法
律に基づき設立された社団をいう。
13~25 省 略(参考 3)� エネルギー環境適合製品の開発及び製
造を行う事業の促進に関する法律(平成
22年法律第38号)
(定義)
第 2 条 この法律において「非化石エネル
ギー源」とは、太陽光、風力、原子力そ
の他化石燃料以外のエネルギー源として
政令で定めるものをいう。
2 省 略
3 この法律において「エネルギー環境適
合製品」とは、次に掲げるものをいう。
一 非化石エネルギー源から電気若しく
は熱を得るため、又は燃料を製造する
ために用いられる機器、装置又は設備
であって、電気若しくは熱を得ること
又は燃料を製造することを効率的に行
うことができるものとして主務大臣が
定めるもの
二~四 省 略
五 専ら第 1 号から第 3 号までに掲げる
製品とともに使用するために開発され、
又は製造される機械類であって、当該
製品の使用に必要なものとして主務大
臣が定めるもの
4 ~ 6 省 略(参考 4)� エネルギー環境適合製品の開発及び製
造を行う事業の促進に関する法律施行令
(平成22年政令第183号)
(非化石エネルギー源)
第 1 条 エネルギー環境適合製品の開発及
び製造を行う事業の促進に関する法律(第
3 条第13号を除き、以下「法」という。)
第 2 条第 1 項の政令で定める化石燃料以
外のエネルギー源は、次のとおりとする。
一 水力
二 地熱
三・四 省 略
五 バイオマス(動植物に由来する有機
物であってエネルギー源として利用す
ることができるもの(法第 2 条第 2 項
に規定する化石燃料を除く。)をいう。)(参考 5)� エネルギー環境適合製品の開発及び製
造を行う事業の促進に関する法律に基づ
く需要開拓支援法人に関する省令(平成
22年経済産業省令第48号)
第 3 条の 2 需要開拓支援法人は、法第20
条第 2 号の情報の提供を行うに当たり、
エネルギー環境適合製品(事業の用に供
されるものに限る。以下この条において
同じ。)のうち、次の各号に掲げる要件の
いずれかに該当し、かつ、その情報の提
供により普及が促進されることにより、
エネルギーの安定供給の確保又は環境へ
の適合に著しく寄与することが見込まれ
るものとして経済産業大臣が定めるもの
について、他のエネルギー環境適合製品
に優先して積極的に情報を収集して行う
ものとする。
一 法第 2 条第 3 項第 1 号に掲げるエネ
ルギー環境適合製品であって、新エネ
ルギー利用等の促進に関する特別措置
─ 494 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
法(平成 9 年法律第37号)第 2 条に規
定する新エネルギー利用等に資するも
のであること。
二・三 省 略
四 法第 2 条第 3 項第 5 号に掲げるエネ
ルギー環境適合製品であって、前 3 号
に掲げる製品のいずれかにエネルギー
を充てんするため又は第 1 号に掲げる
製品の利用を高度化するために用いら
れるものであること。(参考 6)� 電気事業者による再生可能エネルギー
電気の調達に関する特別措置法施行規則
(平成24年経済産業省令第46号)
(認定基準)
第 5 条 法第 9 条第 3 項第 1 号の経済産業
省令で定める基準は、次のとおりとする。
一~五 省 略
六 当該認定の申請に係る再生可能エネ
ルギー発電設備を用いて発電を開始し
たときは、当該発電設備の設置に要し
た費用に関する情報その他の当該認定
の申請に係る再生可能エネルギー発電
事業の開始に係る情報について、経済
産業大臣に提供するものであること。
七~十五 省 略
2 省 略(参考 7)� 需要開拓支援法人が積極的に情報の提
供を行うべきエネルギー環境適合製品(平
成23年経済産業省告示第138号)
1 エネルギー環境適合製品の開発及び製
造を行う事業の促進に関する法律に基づ
く需要開拓支援法人に関する省令(以下
単に「省令」という。)第 3 条の 2 第 1 号
に掲げる要件に該当するものとして次に
掲げるもの。
一 エネルギー環境適合製品の開発及び
製造を行う事業の促進に関する法律第
2 条第 3 項各号のエネルギー環境適合
製品(平成22年農林水産省・経済産業
省・国土交通省告示第 1 号。以下単に
「告示」という。)の 1 の第 1 号に掲げ
る太陽光発電設備のうち、太陽電池モ
ジュールと一体として当該太陽光発電
設備を構成する架台、集光装置、追尾
装置、蓄電装置、制御装置、直交変換
装置又は系統連系用保護装置を含む。
二 告示の 1 の第 2 号に掲げる風力発電
装置のうち、発電出力が500ワット以上
のものであって、ロータ及び発電機が
同時に設置されるものに限り、これら
と一体として当該風力発電装置を構成
する塔、起倒装置、蓄電装置、制御装置、
直交変換装置又は系統連系用保護装置
を含む。
三 告示の 1 の第 4 号に掲げる水力発電
設備のうち、発電出力が 3 万キロワッ
ト未満のものであって、水車及び発電
機が同時に設置されるものに限り、こ
れらと一体として当該水力発電設備を
構成する取水設備、沈砂池、導水路、
ヘッドタンク、水圧管路、放水路、蓄
電設備、制御装置、直交変換装置又は
系統連系用保護装置を含む。
四 告示の 1 の第 5 号に掲げる地熱発電
設備のうち、発電出力が1,000キロワッ
ト以上のものであって、タービン及び
発電機が同時に設置されるものに限り、
これらと一体として当該地熱発電設備
を構成する蒸気井、還元井、観測井、
坑口装置、消音装置(蒸気井から発生
する騒音を防止するものに限る。)、調
整剤注入装置、気水分離器(当該気水
分離器から排出される水を一時的に貯
留するためのタンクを含む。)、湿分分
離器、減圧気化器、予熱器、蒸発器、
蒸気溜、スケールセパレータ、復水器、
冷却塔、ガス抽出装置、浄化装置(温
水中の有害物質を除去するものに限
る。)、脱硫装置、貯水タンク、貯水池、
ポンプ、配管、弁類、蓄電装置、非常
─ 495 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
用予備発電装置、制御装置又は系統連
系用保護装置を含む。
五 告示の 1 の第 9 号に掲げるバイオマ
ス利用装置のうち、次のイからホまで
のいずれか一に該当するものに限る。
イ 木質バイオマス発電設備(バイオ
マスのうち木質のものを原材料とす
るチップ又は固形燃料を燃料として
発電を行うもの(発電出力が 2 万キ
ロワット未満のものに限る。)のうち、
ボイラー又はガス化炉及びガス精製
装置、タービン又はガスエンジン並
びに発電機が同時に設置されるもの
に限り、これらと一体として当該バ
イオマス利用装置を構成する破砕機、
乾燥機、選別機、固形機、燃料貯蔵
設備、受入装置、搬送装置、計量装置、
制御装置、冷却装置、熱交換器、復
水器、ガス貯蔵装置、灰処理装置、
ばい煙処理装置、排ガス処理装置、
蓄電装置、直交変換装置、系統連系
用保護装置、ポンプ又は配管を含む
ものとし、磁選機等の専ら建設廃材
利用のための機器を有するものを除
く。)
ロ 木質バイオマス熱供給装置(バイ
オマスのうち木質のものを原材料と
するチップ又は固形燃料を燃料とし
て蒸気又は温水を発生させるものの
うち、ボイラーの定格加熱能力が毎
時160ギガジュール未満であるものに
限り、これと一体として当該バイオ
マス利用装置を構成する破砕機、乾
燥機、選別機、固形機、燃料貯蔵設備、
受入装置、搬送装置、計量装置、制
御装置、熱交換器、蓄熱機、供給導管、
灰処理装置、ばい煙処理装置、排ガ
ス処理装置、ポンプ又は配管を含む
ものとし、磁選機等の専ら建設廃材
利用のための設備を有するものを除
く。)
ハ バイオマス利用メタンガス製造装
置(バイオマス又はバイオマスを原
材料とする燃料を発酵させることに
より発生させた混合ガスからメタン
ガスを精製する装置のうち、前処理
装置及び残さ濃縮装置が同時に設置
されるものに限り、これらと一体と
して当該バイオマス利用装置を構成
する原料供給装置、ポンプ又は配管
を含む。)
ニ・ホ 省 略
2 ・ 3 省 略
4 省令第 3 条の 2 第 4 号に掲げる要件に
該当するものとして次に掲げるもの。
一 告示の 5 の第 5 号から第 8 号までに
掲げる機械類のうち、これらに接続さ
れる風力発電装置( 1 の第 2 号に掲げ
る風力発電装置をいい、告示の 5 の第
8 号に掲げる機械類に接続される場合
には既設のものに限る。)の発電出力が
1 万キロワット以上のもの。
二 告示の 5 の第 9 号に掲げる定置用蓄
電設備のうち、次に掲げる機器、装置
又は設備のいずれかに接続するもので
あって、その蓄電出力が当該機器、装
置又は設備の発電出力と比較して同等
以下のもの。
イ 1 の第 1 号に掲げる太陽光発電設
備のうち、発電出力が10キロワット
以上のもの
ロ 1 の第 2 号に掲げる風力発電装置
のうち、発電出力が 1 万キロワット
以上のもの
ハ 1 の第 3 号、第 4 号又は第 5 号イ
からハまでに掲げる機器、装置又は
設備
三 告示の 5 の第10号に掲げる電線路の
うち、前号イからハまでに掲げる機器、
装置若しくは設備のいずれか又はその
─ 496 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
附属設備(同号に掲げる定置用蓄電設
備を含む。)に接続するものであって、
当該機器、装置又は設備を所有する者
が維持し、運用するもの。
3 適用関係
上記 2の措置は、法人が平成30年 4 月 1 日以後
に取得又は製作若しくは建設をする再生可能エネルギー発電設備等について適用することとされています(改正法附則94①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則110①)。
二 耐震基準適合建物等の特別償却制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、次の⑴及び⑵の措置によって構成されています。
⑴ 耐震基準適合建物等に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する法人で、その有する耐震改修対象建築物につき平成27年3 月31日までに、建築物の耐震改修の促進に関する法律の耐震診断を行い、その結果についての報告を行ったものが、平成26年 4 月 1 日からその報告を行った日以後 5 年を経過する日までの間に、耐震基準適合建物等のうちその建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は耐震基準適合建物等の建設をして、これをその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その耐震基準適合建物等の取得価額の25%相当額の特別償却ができるというものです(措法43の 2①)。
(注 1 ) 耐震改修対象建築物とは、建築物の耐震
改修の促進に関する法律第 7 条に規定する
要安全確認計画記載建築物又は同法附則第
3 条第 1 項に規定する要緊急安全確認大規
模建築物をいいます(措法43の 2 ①)。(注 2 ) 耐震基準適合建物等とは、耐震改修対象
建築物の部分について行う耐震改修のため
の工事の施行に伴って取得し、又は建設す
るその耐震改修対象建築物の部分をいいま
す(措法43の 2 ①)。
⑵ 技術基準適合施設に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する法人で、港湾法の港湾隣接地域内において有する特定技術基準対象施設につき平成27年 3 月31日までに港湾管理者からの求めに対し技術基準のうち地震に対する安全性に係るものに適合するかどうかの点検の結果についての報告(以下「特定点検結果報告」といいます。)を行ったもの(その特定技術基準対象施設につき同法の勧告を受けたものを除きます。)が、港湾法の一部を改正する法律(平成25年法律第31号)附則第 1 条第 2 号に定める日(平成26年 6 月 1 日)からその報告を行った日以後 3 年を経過する日までの間に、技術基準適合施設のうちその建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は技術基準適合施設の建設をして、これをその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その技術基準適合施設の取得価額の20%相当額の特別償却ができるというものです(措法43の 2 ②)。
(注 1 ) 特定技術基準対象施設は、港湾法第56条
の 2 の21第 1 項に規定する特定技術基準対
象施設のうち非常災害により損壊した場合
において船舶の交通に著しい支障を及ぼす
おそれのあるものとされており(措法43の
2 ②)、具体的には、護岸、岸壁及び桟橋と
されています(措令28の 2 )。(注 2 ) 技術基準適合施設とは、特定技術基準対
象施設の部分について行う改良のための工
事の施行に伴って取得し、又は建設するそ
─ 497 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
の特定技術基準対象施設のうち港湾管理者
のその特定技術基準対象施設がその部分に
ついて行う改良のための工事により技術基
準に適合することとなるものである旨を証
する書類により証明がされたその特定技術
基準対象施設の部分をいいます(措法43の
2 ②、措規20の11②)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の措置が講じられています(措法68の17)。
2 改正の内容
技術基準適合施設に係る措置(上記 1 ⑵)について、次の見直しが行われました。
⑴ 特別償却割合の見直し 特別償却割合(改正前:20%)が、次の技術基準適合施設の区分に応じ次のとおりとされました(措法43の 2 ②)。① 港湾法第37条第 1 項に規定する港湾隣接地
域のうち同法第55条の 3 の 5 第 1 項に規定する緊急確保航路に隣接する同法第 2 条第 3 項に規定する港湾区域に隣接する地域内において取得又は建設をした技術基準適合施設 22%
② 上記①の技術基準適合施設以外の技術基準適合施設 18%
⑵ 報告期間及び適用期間の見直し 措置の適用の前提となる特定点検結果報告を行う期間が平成30年 4 月 1 日から平成32年 3 月31日までの期間とされるとともに、措置の適用期間がその報告を行った日から同日以後 3 年を経過する日までの期間とされました(措法43の2 ②)。
(注 1 ) 上記⑴及び⑵の改正の前提として、これま
で報告対象施設の所有者による十分な特定点
検結果報告、報告対象施設に対する港湾管理
者による立入検査の速やかな実施等が行われ
ていない状況を踏まえ、次の事項等を内容と
する港湾法関係告示(技術基準対象施設の維
持に関し必要な事項を定める告示(平19. 3 国
土交通告364))の改正及び港湾管理者に対す
る通知(平成30年 4 月 1 日特定技術基準対象
施設の耐震改修を行った場合の特別償却に係
る港湾管理者による報告の受理及び証明等に
ついて)の発遣が行われています。
① 港湾管理者が、十分な特定点検結果報告
の徴収ができるように、報告期間内のでき
る限り早期に、報告対象施設の所有者に対
して必要な説明・指導・助言を行うこと。
② 報告期間内に、正当な理由がなく、十分
な報告が行われなかった報告対象施設につ
いて、港湾管理者が、その施設の所有者の
名称、その施設の所在地等を特定すること
ができる事項等の公表を行うとともに、そ
の公表後の状況等を踏まえ、速やかに立入
検査を実施すること。
③ 港湾管理者による上記⑴①の地域内の上
記②の立入検査実施後の施設(重点点検診
断施設)に対する定期的な点検診断の実施
頻度( 3 年以内に 1 度以上)を、重点点検診
断施設のうち、その施設の一部でその施設
の構造上の安全性に直接的に影響を及ぼす
部材の性能が著しく低下している状態が確
認されたものは 2 年以内に 1 度以上、その
施設の全体にその状態が確認されたものは
1 年以内に 1 度以上とすること。(注 2 ) 関係法令については、下記の(参考)をご
参照ください。
なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の改正が行われています(措法68の17②)。(参考) 港湾法(昭和25年法律第218号)
(定義)
第 2 条 省 略
2 省 略
3 この法律で「港湾区域」とは、第 4 条第
4 項又は第 8 項(これらの規定を第 9 条第
2 項及び第33条第 2 項において準用する場
─ 498 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
合を含む。)の規定による同意又は届出があ
つた水域をいう。
4 ~10 省 略
(港湾区域内の工事等の許可)
第37条 港湾区域内において又は港湾区域に
隣接する地域であつて港湾管理者が指定す
る区域(以下「港湾隣接地域」という。)内
において、次の各号のいずれかに該当する
行為をしようとする者は、港湾管理者の許
可を受けなければならない。ただし、公有
水面埋立法(大正10年法律第57号)第 2 条
第 1 項の規定による免許を受けた者が免許
に係る水域についてこれらの行為をする場
合は、この限りでない。
一 港湾区域内の水域(政令で定めるその
上空及び水底の区域を含む。以下同じ。)
又は公共空地(以下「港湾区域内水域等」
という。)の占用
二 港湾区域内水域等における土砂の採取
三 水域施設、外郭施設、係留施設、運河、
用水渠きよ
又は排水渠の建設又は改良(第 1
号の占用を伴うものを除く。)
四 前各号に掲げるものを除き、港湾の開発、
利用又は保全に著しく支障を与えるおそ
れのある政令で定める行為
2 ~ 6 省 略
(緊急確保航路内の禁止行為等)
第55条の 3 の 5 何人も、緊急確保航路(非
常災害が発生した場合において、港湾区域、
開発保全航路及び河川区域以外の水域にお
ける船舶の交通を緊急に確保する必要があ
るものとして政令でその区域を定めた航路
をいう。以下同じ。)内において、みだりに、
船舶、土石その他の物件で国土交通省令で
定めるものを捨て、又は放置してはならない。
2 ~ 5 省 略
(報告の徴収等)
第56条の 5 省 略
2 省 略
3 港湾管理者は、この法律の施行に必要な
限度において、国土交通省令で定めるとこ
ろにより、港湾管理者以外の者で特定技術
基準対象施設を管理するものに対し、当該
特定技術基準対象施設の維持管理の状況に
関し報告を求め、又はその職員に、当該特
定技術基準対象施設を管理する者の事務所
若しくは事業場に立ち入り、当該特定技術
基準対象施設の維持管理の状況若しくは当
該特定技術基準対象施設、帳簿、書類その
他の物件を検査させることができる。
4 ・ 5 省 略
3 適用関係
上記 2 ⑴の改正は、法人が平成30年 4 月 1 日以後に取得又は建設をする技術基準適合施設について適用し、法人が同日前に取得又は建設をした技術基準適合施設については、なお従前の例によることとされています(改正法附則94②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則110②)。
三 特定地域における電気通信設備の特別償却制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人で特定通信・放送開発事業実施円滑化法の実施計画(以下「実施計画」といいます。)について認定を受けたものが、平成25年 4 月 1 日から平成30年 3 月31日までの間に、特定電気通信設備でその製作若
しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は特定電気通信設備の製作若しくは建設をして、これを設置促進地域内においてその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定電気通信設備の取得価額の10%相当額の特別償却ができるというものです(措法44の 5 ①)。
─ 499 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(注 1 ) 特定電気通信設備とは、特定通信・放送開
発事業実施円滑化法の認定を受けた実施計画
に記載された同法附則第 5 条第 2 項第 2 号に
規定する特定電気通信設備で次に掲げる法人
の区分に応じそれぞれ次の特定電気通信設備
をいいます(措法44の 5 ①、措令28の 8 )。
① 設置促進地域内に設置された施設及び設
置促進地域以外の地域内に設置された施設
を利用して特定情報通信業を行う法人……
その法人が設置促進地域内において新設又
は増設をしたその法人の特定情報通信業の
用に供する一の生産等設備を構成する特定
電気通信設備で、その特定電気通信設備の
取得価額の合計額のその一の生産等設備を
構成する減価償却資産の取得価額の合計額
に占める割合が20%以上のもの(その特定
電気通信設備の取得価額の合計額が 5 億円
未満のものを除きます。)
② 上記①の法人以外の特定情報通信業を行
う法人……その法人が設置促進地域内にお
いて新設又は増設をしたその法人の特定情
報通信業の用に供する一の生産等設備を構
成する特定電気通信設備
なお、適用対象となる特定電気通信設備は、
特定電気通信設備のうち専ら電磁的記録とし
て記録された情報について複製(電磁的記録
によるものに限ります。)を作成し、及び保管
し、並びに災害その他の事情によりその情報
の利用に障害が生じた場合においてその複製
を提供するためのものに限ることとされてい
ます(措令28の 8 )。具体的には、特定通信・
放送開発事業実施円滑化法附則第五条第二項
第二号に規定する電気通信設備等を定める省
令第 1 条第 1 項第 1 号に掲げる電気通信設備
のうち同令第 2 条第 1 号に掲げる特定電気通
信設備に該当するものとされています(措規
20の15①)。(注 2 ) 設置促進地域とは、特定通信・放送開発事
業実施円滑化法附則第 5 条第 2 項第 2 号に規
定する総務省令で定める地域をいいます(措
法44の 5 ①)。具体的には、首都直下地震対策
特別措置法第 3 条第 1 項の規定により首都直
下地震緊急対策区域として指定された区域以
外の区域とされています。(注 3 ) 特定情報通信業とは、情報通信業のうち自
己の電子計算機の情報処理機能の全部又は一
部の提供を行う事業をいいます(措令28の 8 一、
措規20の15②)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の26)。
2 改正の内容
適用期限(平成30年 3 月31日)の到来をもって、制度が廃止されました(旧措法44の 5 、旧措令28の 8 、旧措規20の15)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(旧措法68の26、旧措令39の55、旧措規22の36)。
3 適用関係
上記 2の改正は、法人が平成30年 4 月 1 日前に取得又は製作若しくは建設をした特定電気通信設備については、なお従前の例によることとされています(改正法附則94③)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則110③)。
四 情報流通円滑化設備の特別償却制度(創設)
1 制度創設の経緯及び趣旨
現状、データセンターは、その約 6 割(「データセンタービジネス市場調査総覧2017年版(株式
会社富士キメラ総研)」における「地域別サーバールーム床面積(2016(平成28)年度末)」によると、東京圏:約57%、大阪府:約18%、その他の地域:約25%)が東京圏に集中しています。こ
─ 500 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
のように東京圏に集中しているのは、NTT 東西の加入者網とインターネットの接続点が東京・大阪の 2 箇所しかないという状況にあることが大きな要因と考えられます。今後、IoT の進展等により、通信(以下「トラヒック」といいます。)が急増する見込みであることから、トラヒックはますます増加することが予想され、その増加するトラヒックに対応して新設されるデータセンターは、前述の状況が変わらなければ、東京圏にますます集中することが見込まれます。そうなると、関東地方で大規模災害が発生した場合には、インターネットの接続やデータセンターの利用に大きな障害が生ずるおそれがあり、我が国の社会経済活動への多大な影響が懸念されるところです。 一方、NTT 東西の加入者網とインターネットの接続点は、平成30年度から順次増設され、最終的に全国で十数箇所となる予定であり、トラヒックの東京・大阪以外の地域での折り返しが可能となる見込みとなりました。 このような状況を踏まえ、今後トラヒックの急増が予想されるデータセンターの東京圏への集中を回避し、トラヒックの分散化を図るためのデータセンターの東京圏以外の地域への整備を促進する観点から、下記 2の制度が創設されました。
2 制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人で特定通信・放送開発事業実施円滑化法の実施計画(地域特定電気通信設備供用事業の実施に関するものに限ります。)について認定を受けたものが、平成30年 4 月 1 日から平成32年 3 月31日までの間に、情報流通円滑化設備の取得等をして、これを東京圏以外の区域内においてその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その情報流通円滑化設備の取得価額の15%相当額の特別償却ができるというものです(措法44の 5 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の26①)。
3 制度の内容
⑴ 適用対象法人 適用対象となる法人は、青色申告書を提出する法人で特定通信・放送開発事業実施円滑化法附則第 4 条の規定により読み替えて適用される同法第 4 条第 1 項に規定する実施計画について同法附則第 4 条の規定により読み替えて適用される同項の認定(以下「認定」といいます。)を受けたものとされています(措法44の 5 ①)。 なお、「実施計画」は、特定通信・放送開発事業実施円滑化法附則第 5 条第 2 項第 2 号に規定する地域特定電気通信設備供用事業の実施に関するものに限ることとされ、「地域特定電気通信設備供用事業」は、下記⑶の適用対象資産を設置して行うものに限ることとされています。
(注) 関係法令については、下記の(参考 1)を
ご参照ください。
⑵ 適用期間 適用期間は、平成30年 4 月 1 日から平成32年3 月31日までの期間とされています(措法44の5 ①)。
⑶ 適用対象資産 適用対象となる資産は、認定に係る実施計画に記載された特定通信・放送開発事業実施円滑化法附則第 5 条第 2 項第 2 号に規定する特定電気通信設備(以下「特定電気通信設備」といいます。)のうち特定の地域における情報の円滑な流通の確保に特に資するもの(以下「情報流通円滑化設備」といいます。)とされています
(措法44の 5 ①)。(注 1 ) 実施計画は、特定通信・放送開発事業実
施円滑化法附則第 4 条の規定により読み替
えて適用される同法第 5 条第 1 項の規定に
よる変更の認定があったときは、その変更
後のものとされています。
具体的には、認定に係る実施計画に記載された特定電気通信設備のうち次の要件を満たすも
─ 501 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
のとされています。① 電磁的記録として記録された情報を電磁的
方法により提供するための電気通信設備のうち、主としてその電気通信設備が設置される都道府県又はその都道府県に隣接する都道府県においてその情報の提供を受ける者にその提供を行うためのものであって、次のいずれかに該当するものであること(措令28の 8 、措規20の15①、電気通信設備等省令 1 ①二)。イ サーバ用の電子計算機ロ 通信プロトコルにより符号を交換又は分
配する電気通信設備(上記イの電気通信設備と同時に設置されるものに限ります。)
ハ 上記イの電気通信設備に電力を供給する装置(その電気通信設備と同時に設置されるものに限ります。)
(注) 「主としてその電気通信設備が設置される
都道府県又はその都道府県に隣接する都道
府県においてその情報の提供を受ける者に
その提供を行うためのもの」とは、その電
気通信設備の記憶装置の容量の過半が、安
定的にその電気通信設備が設置される都道
府県又はその都道府県に隣接する都道府県
(下記②の東京圏を除きます。)においてそ
の情報の提供を受ける者に利用されること
が見込まれるものとされています(平28.5総
務告244二⑷イ)。
② 特定情報通信業を行う法人が多極分散型国土形成促進法第22条第 1 項に規定する東京圏
(以下「東京圏」といいます。)以外の区域内においてその特定情報通信業の用に供するものであること(措令28の8、電気通信設備等省令 2 二)。
(注 1 ) 特定情報通信業とは、情報通信業のう
ち自己の電子計算機の情報処理機能の全
部又は一部の提供を行う事業をいいます
(措令28の 8 、措規20の15②)。(注 2 ) その適用を受けようとする特定電気通
信設備が、首都直下地震緊急対策区域(首
都直下地震対策特別措置法第 3 条第 1 項
の規定により首都直下地震緊急対策区域
として指定された区域をいいます。以下
同じです。)に設置された特定電気通信設
備に電磁的記録として記録された情報に
ついて複製を作成し、及び記録し、並び
に災害その他の事情によりその情報の利
用に障害が生じた場合においてその複製
を提供するためのものに該当するときは、
この②の要件に代えて「特定情報通信業
を行う法人が首都直下地震緊急対策区域
以外の区域内においてその特定情報通信
業の用に供するものであること」との要
件を満たす必要があります(電気通信設
備等省令 2 一)。(注 2 ) 関係法令については、下記の(参考 1)
から(参考 3)までをご参照ください。
⑷ 適用対象事業年度及び措置の内容 適用対象となる事業年度は、適用対象法人が、適用期間内に、情報流通円滑化設備でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は情報流通円滑化設備を製作し、若しくは建設して、これを東京圏以外の区域内においてその適用対象法人の事業の用に供した場合におけるその事業の用に供した日を含む事業年度(以下「供用年度」といいます。)とされています(措法44の 5 ①)。
(注 1 ) 「事業の用」からは、「貸付けの用」を除
くこととされています。(注 2 ) 「事業の用に供した場合」からは、「所有
権移転外リース取引により取得した情報流
通円滑化設備をその事業の用に供した場合」
を除くこととされています。(注 3 ) 所有権移転外リース取引とは、法人税法
施行令第48条の 2 第 5 項第 5 号に規定する
所有権移転外リース取引をいいます(措法
42の 5 ③、措令27の 5 ③)。
この供用年度において、情報流通円滑化設備について、特別償却の適用ができることとされています(措法44の 5 ①)。
─ 502 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
⑸ 特別償却限度額 特別償却限度額は、その情報流通円滑化設備の取得価額の15%相当額とされています(措法44の 5 ①)。
⑹ 特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例 他の特別償却と同様に、特別償却不足額については、 1 年間の繰越しができることとされています(措法52の 2 )。
(注) 特別償却不足額には、合併等特別償却不足
額を含むこととされています。
⑺ 準備金方式による特別償却(特別償却準備金)制度 他の特別償却と同様に、特別償却の方法として、特別償却の適用を受けることに代えて、準備金方式による特別償却制度の適用(特別償却準備金の積立て)ができるとともに、特別償却準備金積立不足額については、 1 年間の繰越しができることとされています(措法52の 3 )。
(注) 特別償却準備金積立不足額には、合併等特
別償却準備金積立不足額を含むこととされて
います。
⑻ 申告要件 この制度は、確定申告書等に情報流通円滑化設備の償却限度額の計算に関する明細書の添付がない場合には、適用しないこととされています(措法44の 5 ②、43②)。
(注) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30号
に規定する中間申告書で同法第72条第 1 項各
号に掲げる事項を記載したもの及び同法第144
条の 4 第 1 項各号又は第 2 項各号に掲げる事
項を記載したもの並びに同法第 2 条第31号に
規定する確定申告書をいいます(措法 2 ②
二十七)。すなわち、仮決算をした場合の中間
申告書及び確定申告書をいい、確定申告書には、
その確定申告書に係る期限後申告書を含むこ
ととされています。
⑼ 他の特別償却制度等との重複適用の排除 法人の有する減価償却資産が供用年度において租税特別措置法の規定による特別償却又は税額控除制度等及び震災税特法の規定による特別償却又は税額控除制度等のうち、 2 以上の制度に係る規定の適用を受けることができるものである場合には、その減価償却資産については、これらの特別償却又は税額控除制度等に係る規定のうちいずれか一の規定のみを適用することとされています(措法53、61の 3 ④、64⑥、64の 2 ⑭、65⑫、65の 7 ⑦、65の 8 ⑯、67の 4 ⑫、67の 5 ①、震災税特法18の 7 、19⑥、20⑮、措令32、震災税特令18の 6 )。 すなわち、他の特別償却又は税額控除制度等と同様に、租税特別措置法の規定によるこの制度以外の特別償却若しくは税額控除制度等又は震災税特法の規定による特別償却若しくは税額控除制度等の適用を受ける情報流通円滑化設備に該当する減価償却資産については、この制度の適用対象資産から除くこととされています。
⑽ 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑼までと同様の措置が講じられています(措法68の26、68の40~68の42、68の65④、68の70⑤、68の71⑮、68の72⑫、68の78⑦、68の79⑰、68の102⑬、68の102の 2 ①、震災税特法26の 7 、27⑥、28⑯、措令39の55、39の71、震災税特令23の 6 、措規22の36)。(参考 1)� 特定通信・放送開発事業実施円滑化法
(平成 2 年法律第35号)
(実施計画の認定)
第 4 条 通信・放送新規事業を実施しよう
とする者(これらの事業を実施する法人
を設立しようとする者を含む。)は、当該
事業の実施に関する計画(以下「実施計
画」という。)を作成し、これを総務大臣
に提出して、その実施計画が適当である
旨の認定を受けることができる。
2 ~ 4 省 略
─ 503 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(実施計画の変更等)
第 5 条 前条第 1 項の認定を受けた者(そ
の者の設立に係る同項の法人を含む。)は、
当該認定に係る実施計画を変更しようと
するときは、総務大臣の認定を受けなけ
ればならない。
2 ・ 3 省 略
附 則
(実施指針等の特例)
第 4 条 平成34年 3 月31日までの間におけ
る第 2 条第 2 項、第 3 条第 1 項、第 4 条
第 1 項及び第 2 項各号並びに第 5 条第 3
項の規定の適用については、第 2 条第 2
項中「及び地域通信・放送開発事業」と
あるのは「、地域通信・放送開発事業、
新技術開発施設供用事業(附則第 5 条第
2 項第 1 号に規定する新技術開発施設供
用事業をいう。以下第 5 条までにおいて
同じ。)及び地域特定電気通信設備供用事
業(同項第 2 号に規定する地域特定電気
通信設備供用事業をいう。以下同条まで
において同じ。)」と、第 3 条第 1 項中「及
び地域通信・放送開発事業」とあるのは「、
地域通信・放送開発事業、新技術開発施
設供用事業及び地域特定電気通信設備供
用事業」と、第 4 条第 1 項及び第 2 項各
号並びに第 5 条第 3 項中「通信・放送新
規事業」とあるのは「通信・放送新規事業、
新技術開発施設供用事業又は地域特定電
気通信設備供用事業」とする。
(機構による特定通信・放送開発事業の推
進等の特例)
第 5 条 省 略
2 前項において、次の各号に掲げる用語
の意義は、それぞれ当該各号に定めると
ころによる。
一 省 略
二 地域特定電気通信設備供用事業 電
磁的記録(電子的方式、磁気的方式そ
の他人の知覚によっては認識すること
ができない方式で作られる記録であっ
て、電子計算機による情報処理の用に
供されるものをいう。)として記録する
ことが可能な情報を大量に記録し、並
びに当該情報を高速度で送信し、及び
受信することが可能な電気通信回線に
接続される電気通信設備として総務省
令で定める電気通信設備のうち専ら当
該電気通信設備の設置を目的とする施
設に設置するもの(以下この号におい
て「特定電気通信設備」という。)を他
人の利用に供する事業であって、特定
電気通信設備の特定の地域への集中を
緩和することにより当該特定の地域に
おける情報の円滑な流通を確保するた
めに特定電気通信設備の設置を誘導す
べき地域として総務省令で定める地域
に特定電気通信設備を設置して行うも
のをいう。
3 省 略(参考 2)� 多極分散型国土形成促進法(昭和63年
法律第83号)
(業務核都市基本方針)
第22条 国土交通大臣は、東京都区部にお
ける人口及び行政、経済、文化等に関す
る機能の過度の集中を是正し、これらの
機能の東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、
神奈川県及び茨城県の区域のうち、東京
都区部及びこれと社会的経済的に一体で
ある政令で定める広域をいう。以下同
じ。)における適正な配置を図るため、東
京圏における東京都区部以外の地域にお
いてその周辺の相当程度広範囲の地域の
中核となるべき都市の区域(以下「業務
核都市」という。)について、事務所、営
業所等の業務施設(以下「業務施設」と
いう。)を集積させることによるその整備
に関する基本方針(以下「業務核都市基
本方針」という。)を定めなければならな
い。
─ 504 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
2 ~ 7 省 略(参考 3)� 特定通信・放送開発事業実施円滑化法
附則第五条第二項第二号に規定する電気
通信設備等を定める省令(平成28年総務
省令第64号)
(法附則第 5 条第 2 項第 2 号に規定する総
務省令で定める電気通信設備)
第 1 条 特定通信・放送開発事業実施円滑
化法(平成 2 年法律第35号。以下「法」
という。)附則第 5 条第 2 項第 2 号に規定
する総務省令で定める電気通信設備は、
次に掲げるものとする。
一 省 略
二 電磁的記録として記録された情報を
電磁的方法により提供するための電気
通信設備のうち、主として当該電気通
信設備が設置される都道府県又は当該
都道府県に隣接する都道府県において
当該情報の提供を受ける者にその提供
を行うためのものであって、次に掲げ
るもの
イ サーバ用の電子計算機
ロ 通信プロトコルにより符号を交換
又は分配する電気通信設備(イに掲
げる電気通信設備と同時に設置され
るものに限る。)
ハ イに掲げる電気通信設備に電力を
供給する装置(当該電気通信設備と
同時に設置されるものに限る。)
三・四 省 略
2 前項の「電磁的方法」とは、電子情報
処理組織を使用する方法その他の情報通
信の技術を利用する方法であって、次に
掲げるものとする。
一 電子情報処理組織を使用する方法の
うち次に掲げるもの
イ 送信者等(送信者又は当該送信者
との契約によりファイルを自己の管
理する電子計算機に備え置き、これ
を受信者若しくは当該送信者の用に
供する者をいう。ロにおいて同じ。)
の使用に係る電子計算機と受信者等
(受信者又は当該受信者との契約によ
り受信者ファイル(専ら当該受信者
の用に供せられるファイルをいう。
以下この項において同じ。)を自己の
管理する電子計算機に備え置く者を
いう。以下このイにおいて同じ。)の
使用に係る電子計算機とを接続する
電気通信回線を通じてその提供すべ
き事項に係る情報(以下この項にお
いて「提供情報」という。)を送信し、
受信者等の使用に係る電子計算機に
備えられた受信者ファイルに記録す
る方法
ロ 送信者等の使用に係る電子計算機
に備えられた受信者ファイルに記録
された提供情報を電気通信回線を通
じて提供を受ける者の閲覧に供する
方法
二 光ディスク、磁気ディスクその他こ
れらに準ずる方法により一定の事項を
確実に記録しておくことができる物を
もって調製する受信者ファイルに提供
情報を記録したものを交付する方法
(法附則第 5 条第 2 項第 2 号に規定する総
務省令で定める地域)
第 2 条 法附則第 5 条第 2 項第 2 号に規定
する総務省令で定める地域は、次の各号
に掲げる特定電気通信設備の区分に応じ、
当該各号に定める区域とする。
一 首都直下地震緊急対策区域(首都直
下地震対策特別措置法(平成25年法律
第88号)第 3 条第 1 項の規定により首
都直下地震緊急対策区域として指定さ
れた区域をいう。以下同じ。)に設置さ
れた特定電気通信設備に電磁的記録と
して記録された情報について複製(電
磁的記録によるものに限る。)を作成し、
及び記録し、並びに災害その他の事情
─ 505 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
により当該情報の利用に支障が生じた
場合において当該複製を電磁的方法(前
条第 2 項に規定する電磁的方法をい
う。)により提供するための特定電気通
信設備 首都直下地震緊急対策区域以
外の区域
二 前号に掲げる特定電気通信設備以外
の特定電気通信設備 多極分散型国土
形成促進法(昭和63年法律第83号)第
22条第 1 項に規定する東京圏以外の区
域
4 適用関係
上記 3の制度は、法人が平成30年 4 月 1 日以後に取得又は製作若しくは建設をする情報流通円滑化設備について適用することとされています(改正法附則94③)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則110③)。
五 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人が、昭和48年 4 月 1 日から平成30年 3 月31日までの期間内の日を含む各事業年度において障害者を雇用しており、かつ、次の要件のいずれかを満たす場合には、その事業年度終了の日において有する機械及び装置並びに工場用の建物及びその附属設備で、障害者が労働に従事する事業所にあるものであることにつきその法人の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長の証明を受けたものについて、普通償却限度額の24%(工場用の建物及びその附属設備については、32%)相当額の割増償却ができるというものです(措法46①)。⑴ 障害者雇用割合が50%以上であること。⑵ 雇用障害者数が20人以上であって、障害者雇
用割合が25%以上であること。⑶ 次の要件の全てを満たしていること。
① 基準雇用障害者数が20人以上であって、重度障害者割合が50%以上であること。
② その事業年度終了の日における雇用障害者数が法定雇用障害者数以上であること。
また、対象となる資産は、その事業年度又はその事業年度開始の日前 5 年以内に開始した各事業年度において取得又は製作若しくは建設をしたものに限ることとされています。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の31)。
2 改正の内容
⑴ 適用要件の見直し 適用要件のうち「基準雇用障害者数が20人以上であって、重度障害者割合が50%以上であること」とする要件(上記 1⑶①)における重度障害者割合が、55%に引き上げられました(措法46①三イ)。
⑵ 適用期限の延長 制度の適用期限が、平成32年 3 月31日まで 2年延長されました(措法46①)。
⑶ その他の改正 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第46号)による障害者の雇用の促進等に関する法律における「身体障害者、知的障害者及び精神障害者」を「対象障害者」とする等の改正(施行日:平成30年4 月 1 日)に伴い、所要の規定の整備が行われました(措法46②、措令29③④)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の改正が行われています(措法68の31①②、措令39の60③④)。
3 適用関係
上記 2 ⑴の改正は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、
─ 506 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています
(改正法附則86)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則86)。
六 次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の 次世代育成支援対策資産の割増償却制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人が、平成23年 4 月 1 日から平成30年 3 月31日までの期間内に次世代育成支援対策推進法の次世代育成支援対策(以下「次世代育成支援対策」といいます。)に係る基準に適合するものである旨の認定(その期間内において最初に受けるものに限ります。以下「基準適合認定」といいます。)を受け、又は平成27年 4 月 1 日から平成30年 3 月31日までの期間内に次世代育成支援対策に係る特例基準に適合するものである旨の認定(その期間内において最初に受けるものに限ります。以下「特例基準適合認定」といいます。)を受けた場合には、次世代育成支援対策資産について、普通償却限度額に次の次世代育成支援対策資産の区分に応じそれぞれ次の割合を乗じて計算した金額の割増償却ができるというものです(措法46の 2 ①)。⑴ 建物及び建物附属設備……次の事業年度の区
分に応じそれぞれ次の割合① 適用事業年度……24%(その一般事業主行
動計画が次世代育成支援対策推進法の届出をされたものである場合には、32%)
② 特例認定適用事業年度……15%⑵ 車両及び運搬具並びに器具及び備品……次の
事業年度の区分に応じそれぞれ次の割合① 適用事業年度……18%(その一般事業主行
動計画が次世代育成支援対策推進法の届出をされたものである場合には、24%)
② 特例認定適用事業年度……12%(注) 次世代育成支援対策資産とは、次のいずれに
も該当するもので事業の用に供されているもの
をいいます(措法46の 2 ①)。
① 基準適合認定を受けた日を含む事業年度(以
下「適用事業年度」といいます。)終了の日又
はその特例基準適合認定を受けた日以後 3 年
以内に終了する各事業年度(以下「特例認定
適用事業年度」といいます。)終了の日におい
てその法人の有する建物、建物附属設備、車
両及び運搬具並びに器具及び備品
② その法人の基準適合認定又は特例基準適合
認定に係る次世代育成支援対策推進法第12条
第 1 項に規定する一般事業主行動計画に記載
されたもの
③ 次世代育成支援対策に著しく資するものと
して厚生労働大臣が財務大臣と協議して指定
するもの(措令29の 3 ①④、平27. 3 厚生労働
告233)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の33)。
2 改正の内容
適用期限(平成30年 3 月31日)の到来をもって、制度が廃止されました(旧措法46の 2 、旧措令29の 3 、旧措規20の19、旧平27.3厚生労働告233)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(旧措法68の33、旧措令39の62、旧措規22の40)。
3 適用関係
上記 2の改正は、平成30年 4 月 1 日前に基準適合認定又は特例基準適合認定を受けた法人の同日以後に終了する適用事業年度又は特例認定適用事業年度終了の日において有する次世代育成支援対策資産については、従来どおり適用できることとされています(改正法附則94④、改正措令附則25、改正措規附則23)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則110④、改正措令附則38、
─ 507 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
改正措規附則29)。
七 企業主導型保育施設用資産の割増償却制度(創設)
1 制度創設の経緯及び趣旨
これまで「待機児童解消加速化プラン(平成25年 4 月策定)」によって平成25年度から平成29年度までの 5 年間で約53万人の保育の受け皿が整備されてきましたが、平成29年 6 月 2 日に公表された「子育て安心プラン」においては、平成30年度から平成34年度までの 5 年間で女性就業率80%に対応できる約32万人の保育の受け皿を整備することとされました。さらに、平成29年12月 8 日に
「新しい経済政策パッケージについて」が閣議決定され、待機児童の解消の早期の実現に向け、
「子育て安心プラン」を 2 年間前倒しし、平成32年度までに約32万人分の保育の受け皿整備を着実に進めることとされました。 「待機児童解消加速化プラン」においては、年度平均約12万人のペースで主に地方自治体による認可保育園等を中心とした保育の受け皿の整備が行われてきたところですが、「子育て安心プラン」においては、同様のペース・同様の整備実施主体での保育の受け皿の整備を見込むことは困難であり、これまで以上に民間事業者による保育の受け皿の整備が不可欠であると考えられているところ、特に企業主導型保育事業は制度の創設(平成28年12月)から間もなく、これまでその施設整備が十分に進んでいなかったことから、企業主導型保育の受け皿の整備を進めていくことが必要な状況となっています。 このような状況を踏まえ、待機児童の解消の早期の実現を加速化させるための民間事業者による企業主導型保育の受け皿の整備を促進する観点から、下記 2の制度が創設されました。
2 制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人が、平成30年 4 月 1 日から平成32年 3 月31日までの間に、
企業主導型保育施設用資産の取得等をして、これをその法人の保育事業の用に供した場合には、その用に供した日以後 3 年以内の日を含む各事業年度において、その企業主導型保育施設用資産の普通償却限度額の12%(建物及びその附属設備並びに構築物については、15%)相当額の割増償却ができるというものです(措法47①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の34①)。
3 制度の内容
⑴ 適用対象法人 適用対象となる法人は、青色申告書を提出する法人とされています(措法47①)。
⑵ 適用期間 適用期間は、平成30年 4 月 1 日から平成32年3 月31日までの期間とされています(措法47①)。
⑶ 適用対象資産 適用対象となる資産は、子ども・子育て支援法第59条の 2 第 1 項に規定する施設のうち児童福祉法第 6 条の 3 第12項に規定する業務(以下
「保育事業」といいます。)を目的とするもの(以下「事業所内保育施設」といいます。)の新設又は増設をする場合におけるその新設又は増設に係る事業所内保育施設を構成する建物及びその附属設備並びに幼児遊戯用構築物等(以下
「企業主導型保育施設用資産」といいます。)とされています(措法47①)。 また、「幼児遊戯用構築物等」は、事業所内保育施設における保育事業の用に供する次の減価償却資産とされています(措法47①、措令29の 4 ①、措規20の20①②)。① 滑り台、ぶらんこ、ジャングルジムその他
の遊戯用の構築物で、幼児に使用させるため
─ 508 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
のもの なお、「幼児」とは、児童福祉法第 4 条第1 項第 2 号に掲げる幼児をいいます。
② 器具及び備品のうち、遊戯具、家具及び防犯設備に該当するもの なお、「防犯設備」とは、事業所内保育施設を利用する児童福祉法第 4 条第 1 項第 1 号に掲げる乳児及び幼児が犯罪により被害を受けることを防止し、その安全を確保するために設置される器具及び備品をいいます。
なお、「事業所内保育施設の新設又は増設をする場合」は、その新設又は増設をする事業所内保育施設とともに幼児遊戯用構築物等の取得又は製作若しくは建設をする場合で、かつ、その事業所内保育施設につき子ども・子育て支援法第59条の 2 第 1 項の規定による助成を行う事業に係る助成金の交付を受ける場合に限ることとされています(措法47①)。
(注 1 ) 上記の「助成金」には、整備費助成金(事
業所内保育施設に係る保育事業の整備費に
つき交付を受ける助成金をいいます。以下
同じです。)及び運営費助成金(事業所内保
育施設に係る保育事業の運営費につき交付
を受ける助成金をいいます。以下同じで
す。)の 2 種類の助成金があります。したが
って、本制度の適用を受けるためには、そ
の事業所内保育施設の新設又は増設が、整
備費助成金又は運営費助成金のいずれかの
交付を受けて行われる必要があります。(注 2 ) 関係法令については、下記の(参考 1)
及び(参考 2)をご参照ください。
⑷ 適用対象事業 適用対象となる事業は、保育事業とされています(措法47①)。
⑸ 適用対象事業年度及び措置の内容 適用対象となる事業年度は、適用対象法人が、適用期間内に、企業主導型保育施設用資産でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたこ
とのないものを取得し、又は企業主導型保育施設用資産を製作し、若しくは建設して、これをその適用対象法人の保育事業の用に供した場合におけるその用に供した日(以下「供用日」といいます。)以後 3 年以内の日を含む各事業年度(以下「供用年度」といいます。)とされています(措法47①)。
(注 1 ) 「保育事業の用に供した場合」からは、「所
有権移転外リース取引により取得した企業
主導型保育施設用資産をその用に供した場
合」を除くこととされています。(注 2 ) 所有権移転外リース取引とは、法人税法
施行令第48条の 2 第 5 項第 5 号に規定する
所有権移転外リース取引をいいます(措法
42の 5 ③、措令27の 5 ③)。
この供用年度において、企業主導型保育施設用資産について、割増償却の適用ができることとされています(措法47①)。
⑹ 割増償却限度額 割増償却限度額は、その企業主導型保育施設用資産の普通償却限度額の12%(建物及びその附属設備並びに構築物については、15%)相当額とされています(措法47①)。 ただし、供用日以後 3 年以内(以下「供用期間」といいます。)でその保育事業の用に供している期間に係る部分に限ることとされています(措法47①)。 また、「供用期間でその保育事業の用に供している期間」は、その企業主導型保育施設用資産につき運営費助成金の交付を受ける期間に限ることとされています(措法47①、措規20の20③)。
⑺ 特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例 他の特別償却と同様に、特別償却不足額については、 1 年間の繰越しができることとされています(措法52の 2 )。
(注) 特別償却不足額には、合併等特別償却不足
─ 509 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
額を含むこととされています。
⑻ 準備金方式による特別償却(特別償却準備金)制度 他の特別償却と同様に、特別償却の方法として、特別償却の適用を受けることに代えて、準備金方式による特別償却制度の適用(特別償却準備金の積立て)ができるとともに、特別償却準備金積立不足額については、 1 年間の繰越しができることとされています(措法52の 3 )。
(注) 特別償却準備金積立不足額には、合併等特
別償却準備金積立不足額を含むこととされて
います。
⑼ 申告要件等 この制度は、確定申告書等に企業主導型保育施設用資産の償却限度額の計算に関する明細書の添付がない場合には、適用しないこととされています(措法47③、43②)。
(注) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30号
に規定する中間申告書で同法第72条第 1 項各
号に掲げる事項を記載したもの及び同法第144
条の 4 第 1 項各号又は第 2 項各号に掲げる事
項を記載したもの並びに同法第 2 条第31号に
規定する確定申告書をいいます(措法 2 ②
二十七)。すなわち、仮決算をした場合の中間
申告書及び確定申告書をいい、確定申告書には、
その確定申告書に係る期限後申告書を含むこ
ととされています。
また、法人が、その取得し、又は製作し、若しくは建設した建物及びその附属設備、構築物並びに器具及び備品(以下「建物等」といいます。)につきこの制度の適用を受ける場合には、その建物等につきその適用を受ける最初の事業年度の確定申告書等にその適用を受けようとする法人が新設又は増設に係る事業所内保育施設とともに幼児遊戯用構築物等の取得又は製作若しくは建設をすること及びその法人がその事業所内保育施設につき子ども・子育て支援法第59条の 2 第 1 項の規定による助成を行う事業に係
る助成金の交付を受けることが確認できる書類(以下「確認書類」といいます。)を添付しなければならないこととされています(措法47④、措令29の 4 ②、措規20の20④)。 なお、上記の法人が、その取得し、又は製作し、若しくは建設した建物等に係る供用日からこの制度の適用を受けようとする事業年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各連結事業年度においてその建物等につき連結納税制度におけるこの措置の適用を受けている場合において、その適用を受けた最初の連結事業年度の連結確定申告書等に確認書類の添付があるときは、上記の最初の事業年度の確定申告書等に確認書類の添付があったものとみなすこととされています(措法47④、措令29の 4 ③)。
⑽ 適格合併等により企業主導型保育施設用資産の移転を受けた場合 法人が、適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配によりこの制度の適用を受けている企業主導型保育施設用資産の移転を受け、これをその法人の保育事業の用に供した場合には、その法人がその企業主導型保育施設用資産に係る供用日にその企業主導型保育施設用資産を取得し、又は製作し、若しくは建設して、これをその供用日にその法人の保育事業の用に供したものとみなして、この制度を適用することとされています(措法47②)。 この場合における上記⑹の「供用期間でその保育事業の用に供している期間」は、その移転の日から供用期間の末日までの期間内でその法人自らがその用に供している期間とすることとされています。 なお、「その法人自らがその用に供している期間」は、その企業主導型保育施設用資産に係る事業所内保育施設における保育事業の運営費につき交付を受ける子ども・子育て支援法第59条の 2 第 1 項の規定による助成を行う事業に係る助成金の交付を受ける期間に限ることとされています(措法47②、措規20の20③)。
─ 510 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
⑾ 他の特別償却制度等との重複適用の排除 法人の有する減価償却資産が供用年度において租税特別措置法の規定による特別償却又は税額控除制度等及び震災税特法の規定による特別償却又は税額控除制度等のうち、 2 以上の制度に係る規定の適用を受けることができるものである場合には、その減価償却資産については、これらの特別償却又は税額控除制度等に係る規定のうちいずれか一の規定のみを適用することとされています(措法53、61の 3 ④、64⑥、64の 2 ⑭、65⑫、65の 7 ⑦、65の 8 ⑯、67の 4 ⑫、67の 5 ①、震災税特法18の 7 、19⑥、20⑮、措令32、震災税特令18の 6 )。 すなわち、他の特別償却又は税額控除制度等と同様に、租税特別措置法の規定によるこの制度以外の特別償却若しくは税額控除制度等又は震災税特法の規定による特別償却若しくは税額控除制度等の適用を受ける企業主導型保育施設用資産に該当する減価償却資産については、この制度の適用対象資産から除くこととされています。
⑿ 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑾までと同様の措置が講じられています(措法68の34、68の40~68の42、68の65④、68の70⑤、68の71⑮、68の72⑫、68の78⑦、68の79⑰、68の102⑬、68の102の 2 ①、震災税特法26の 7 、27⑥、28⑯、措令39の63、39の71、震災税特令23の 6 、措規22の41)。(参考 1)� 子ども・子育て支援法(平成24年法律
第65号)
第59条の 2 政府は、仕事と子育てとの両
立に資する子ども・子育て支援の提供体
制の充実を図るため、仕事・子育て両立
支援事業として、児童福祉法第59条の 2
第 1 項に規定する施設(同項の規定によ
る届出がされたものに限る。)のうち同法
第 6 条の 3 第12項に規定する業務を目的
とするものその他事業主と連携して当該
事業主が雇用する労働者の監護する乳児
又は幼児の保育を行う業務に係るものの
設置者に対し、助成及び援助を行う事業
を行うことができる。
2 省 略(参考 2) 児童福祉法(昭和22年法律第164号)
(児童等)
第 4 条 この法律で、児童とは、満18歳に
満たない者をいい、児童を左のように分
ける。
一 乳児 満 1 歳に満たない者
二 幼児 満 1 歳から、小学校就学の始
期に達するまでの者
三 省 略
② 省 略
(事業)
第 6 条の 3 省 略
②~⑪ 省 略
⑫ この法律で、事業所内保育事業とは、
次に掲げる事業をいう。
一 保育を必要とする乳児・幼児であつ
て満 3 歳未満のものについて、次に掲
げる施設において、保育を行う事業
イ 事業主がその雇用する労働者の監
護する乳児若しくは幼児及びその他
の乳児若しくは幼児を保育するため
に自ら設置する施設又は事業主から
委託を受けて当該事業主が雇用する
労働者の監護する乳児若しくは幼児
及びその他の乳児若しくは幼児の保
育を実施する施設
ロ 事業主団体がその構成員である事
業主の雇用する労働者の監護する乳
児若しくは幼児及びその他の乳児若
しくは幼児を保育するために自ら設
置する施設又は事業主団体から委託
を受けてその構成員である事業主の
雇用する労働者の監護する乳児若し
くは幼児及びその他の乳児若しくは
幼児の保育を実施する施設
─ 511 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ハ 地方公務員等共済組合法(昭和37
年法律第152号)の規定に基づく共済
組合その他の厚生労働省令で定める
組合(以下ハにおいて「共済組合等」
という。)が当該共済組合等の構成員
として厚生労働省令で定める者(以
下ハにおいて「共済組合等の構成員」
という。)の監護する乳児若しくは幼
児及びその他の乳児若しくは幼児を
保育するために自ら設置する施設又
は共済組合等から委託を受けて当該
共済組合等の構成員の監護する乳児
若しくは幼児及びその他の乳児若し
くは幼児の保育を実施する施設
二 満 3 歳以上の幼児に係る保育の体制
の整備の状況その他の地域の事情を勘
案して、保育が必要と認められる児童
であつて満 3 歳以上のものについて、
前号に規定する施設において、保育を
行う事業
⑬・⑭ 省 略
4 適用関係
上記 3の制度は、平成30年 4 月 1 日から施行されています(改正法附則 1 )。
八 その他の特別償却制度
倉庫用建物等の割増償却制度の適用期限が、平成32年 3 月31日まで 2 年延長されました(措法48①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の36①)。
第三 準備金等関係一 海外投資等損失準備金制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する内国法人が、昭和48年 4 月 1 日から平成30年 3 月31日までの期間内の日を含む各事業年度において、次の特定法人の特定株式等の取得をし、かつ、これをその取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している場合において、その特定株式等の価格の低落による損失に備えるため、その特定株式等の取得価額にその特定法人の区分に応じそれぞれ次の積立割合を乗じて計算した金額以下の金額を損金経理の方法により各特定法人別に海外投資等損失準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額を損金の額に算入できるというものです(措法55①)。⑴ 資源開発事業法人……30%
⑵ 資源開発投資法人……30%⑶ 資源探鉱事業法人……70%⑷ 資源探鉱投資法人……70%
(注) 損金経理の方法により海外投資等損失準備金
として積み立てたときには、その事業年度の決
算の確定の日までに剰余金の処分により積立金
として積み立てる方法により海外投資等損失準
備金として積み立てたときを含むこととされて
います。
この準備金は、積立て後 5 年間据え置いた後、5 年間で均等額を取り崩して益金の額に算入することとされています(措法55③)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の43)。
─ 512 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
2 改正の内容
⑴ 積立割合の引下げ 資源開発事業法人及び資源開発投資法人の特定株式等に係る準備金の積立割合が20%(改正前:30%)に、資源探鉱事業法人及び資源探鉱投資法人の特定株式等に係る準備金の積立割合が50%(改正前:70%)に、それぞれ引き下げられました(措法55①一~四⑨)。
⑵ 準備金に係る特定法人を被合併法人等とする適格合併等が行われた場合における準備金の取崩し事由の見直し① 準備金に係る特定法人を被合併法人とする
適格合併が行われた場合 準備金に係る特定法人を被合併法人とする適格合併が行われた場合において、その適格合併に係る合併法人が特定法人であるときを要件として、その被合併法人である特定法人に係る準備金の金額をその適格合併後においては、その合併法人に係る準備金の金額とみなす措置について、その準備金を積み立てている内国法人(被合併法人の株主等)がその合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係がある法人の株式等の交付を受ける場合にあっては、その要件をその法人が特定法人である場合とすることとされました(措令32の2 ⑬⑭)。
(注) 株主等とは、法人税法第 2 条第14号に規
定する株主等をいい、発行済株式等とは、
法人の発行済株式又は出資をいい、その法
人が有する自己の株式又は出資を除いたも
のとなります。
すなわち、いわゆる三角合併が行われた場合には、合併法人の完全親法人が特定法人であるときは被合併法人である特定法人に係る準備金の金額を引き続き海外投資等損失準備金として積み立てることができることとされ、合併法人の完全親法人が特定法人でないとき
は被合併法人である特定法人に係る準備金の金額を取り崩して益金算入することとされました。 なお、適格合併が無対価の合併である場合には、従前どおり、合併法人が特定法人であるか否かで判定することとなります。
② 準備金に係る特定法人を分割法人とする適格分割型分割が行われた場合 準備金に係る特定法人を分割法人とする適格分割型分割が行われた場合において、その適格分割型分割に係る分割承継法人が特定法人であるときを要件として、その分割法人である特定法人に係る準備金の金額のうちその適格分割型分割により移転した資産及び負債に対応する部分をその適格分割型分割後においては、その分割承継法人に係る準備金の金額とみなす措置について、その準備金を積み立てている内国法人(分割法人の株主等)がその分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係がある法人の株式等の交付を受ける場合にあっては、その要件をその法人が特定法人である場合とすることとされました
(措令32の 2 ⑮⑯)。 すなわち、いわゆる三角分割が行われた場合には、分割承継法人の完全親法人が特定法人であるときは分割法人である特定法人に係る準備金の金額のうちその適格分割型分割により移転した資産及び負債に対応する部分を引き続き海外投資等損失準備金として積み立てることができることとされ、分割承継法人の完全親法人が特定法人でないときは分割法人である特定法人に係る準備金の金額のうちその適格分割型分割により移転した資産及び負債に対応する部分を取り崩して益金算入することとされました。 なお、適格分割型分割が無対価の分割型分割である場合には、従前どおり、分割承継法人が特定法人であるか否かで判定することとなります。
─ 513 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
⑶ 適用期限の延長 制度の適用期限が、平成32年 3 月31日まで 2年延長されました(措法55①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の改正が行われています(措法68の43①⑧、措令39の72⑩~⑬)。
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴の改正は、法人が平成30年 4 月 1 日以後に取得する特定株式等について適用し、法
人が同日前に取得した特定株式等については、なお従前の例によることとされています(改正法附則95①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則111①)。
⑵ 上記 2 ⑵の改正は、平成30年 4 月 1 日以後に行われる合併又は分割型分割について適用し、同日前に行われた合併又は分割型分割については、なお従前の例によることとされています
(改正措令附則26)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則39)。
二 特定災害防止準備金制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人で廃棄物の処理及び清掃に関する法律の許可を受けたものが、平成10年 6 月17日から平成30年 3 月31日までの期間内の日を含む各事業年度において、特定廃棄物最終処分場の埋立処分の終了後における維持管理に要する費用の支出に備えるため、独立行政法人環境再生保全機構に維持管理積立金として積み立てた金額のうち都道府県知事が通知する額に相当する金額以下の金額を損金経理の方法により特定災害防止準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額を損金の額に算入できるというものです(措法56①)。
(注) 損金経理の方法により特定災害防止準備金と
して積み立てたときには、その事業年度の決算
の確定の日までに剰余金の処分により積立金と
して積み立てる方法により特定災害防止準備金
として積み立てたときを含むこととされていま
す。
この準備金は、その特定廃棄物最終処分場について維持管理を行う場合において維持管理積立金の取戻しをしたときは、その取戻しをした日を含む事業年度において、その取戻しをした額を取り崩して益金の額に算入することとされています
(措法56②)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の
措置が講じられています(措法68の46)。
2 改正の内容
⑴ 特定の事由に該当することとなった場合の準備金の益金算入措置における特定の事由の追加 特定の事由に次の場合が追加され、その場合に該当することとなった場合には、その該当することとなった日を含む事業年度においてその事由に応じそれぞれ次の準備金の金額を益金算入することとされました(措法56③一・二)。① 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第 9 条
第 5 項(同法第15条の 2 の 6 第 3 項において準用する場合を含みます。)の規定により特定廃棄物最終処分場の廃止の確認を受けた場合……その確認を受けた日におけるその特定廃棄物最終処分場に係る特定災害防止準備金の金額
② 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第 9 条の 2 の 2 第 1 項若しくは第 2 項又は第15条の3 の規定により特定廃棄物最終処分場に係る同法第 8 条第 1 項又は第15条第 1 項の許可が取り消された場合……その取り消された日におけるその特定廃棄物最終処分場に係る特定災害防止準備金の金額
(注) 関係法令については、下記の(参考)をご
参照ください。
─ 514 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
⑵ 適用期限の延長 制度の適用期限が、平成32年 3 月31日まで 2年延長されました(措法56①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の改正が行われています(措法68の46①③一・二)。(参考) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭
和45年法律第137号)
(一般廃棄物処理施設の許可)
第 8 条 一般廃棄物処理施設(ごみ処理施設
で政令で定めるもの(以下単に「ごみ処理
施設」という。)、し尿処理施設(浄化槽法
第 2 条第 1 号に規定する浄化槽を除く。以
下同じ。)及び一般廃棄物の最終処分場で政
令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置
しようとする者(第 6 条の 2 第 1 項の規定
により一般廃棄物を処分するために一般廃
棄物処理施設を設置しようとする市町村を
除く。)は、当該一般廃棄物処理施設を設置
しようとする地を管轄する都道府県知事の
許可を受けなければならない。
2 ~ 6 省 略
(変更の許可等)
第 9 条 省 略
2 ~ 4 省 略
5 第 8 条第 1 項の許可を受けた者は、当該
許可に係る一般廃棄物処理施設が一般廃棄
物の最終処分場である場合においては、環
境省令で定めるところにより、あらかじめ
当該最終処分場の状況が環境省令で定める
技術上の基準に適合していることについて
都道府県知事の確認を受けたときに限り、
当該最終処分場を廃止することができる。
6 省 略
(許可の取消し)
第 9 条の 2 の 2 都道府県知事は、次の各号
のいずれかに該当するときは、当該一般廃
棄物処理施設に係る第 8 条第 1 項の許可を
取り消さなければならない。
一 第 8 条第 1 項の許可を受けた者が第 7
条第 5 項第 4 号イからヌまでのいずれか
に該当するに至つたとき。
二 前条第 1 項第 3 号に該当し情状が特に
重いとき、又は同項の規定による処分に
違反したとき。
三 不正の手段により第 8 条第 1 項の許可
又は第 9 条第 1 項の変更の許可を受けた
とき。
2 都道府県知事は、前条第 1 項第 1 号、第
2 号若しくは第 4 号のいずれかに該当する
とき、又は特定一般廃棄物最終処分場の設
置者が第 8 条の 5 第 1 項の規定による維持
管理積立金の積立てをしていないときは、
当該一般廃棄物処理施設に係る第 8 条第 1
項の許可を取り消すことができる。
3 省 略
(産業廃棄物処理施設)
第15条 産業廃棄物処理施設(廃プラスチッ
ク類処理施設、産業廃棄物の最終処分場そ
の他の産業廃棄物の処理施設で政令で定め
るものをいう。以下同じ。)を設置しようと
する者は、当該産業廃棄物処理施設を設置
しようとする地を管轄する都道府県知事の
許可を受けなければならない。
2 ~ 6 省 略
(変更の許可等)
第15条の 2 の 6 省 略
2 省 略
3 第 9 条第 3 項から第 6 項までの規定は、
産業廃棄物処理施設の設置者について準用
する。この場合において、同条第 3 項中「第
1 項ただし書」とあるのは「第15条の 2 の
6 第 1 項ただし書」と、「同条第 2 項第 1
号」とあるのは「第15条第 2 項第 1 号」と、
「当該許可に係る一般廃棄物処理施設」とあ
るのは「当該産業廃棄物処理施設」と、「一
般廃棄物の」とあるのは「産業廃棄物の」と、
「一般廃棄物処理施設を」とあるのは「産業
廃棄物処理施設を」と、同条第 4 項及び第
5 項中「当該許可に係る一般廃棄物処理施
─ 515 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
設」とあるのは「当該産業廃棄物処理施設」
と、「一般廃棄物の」とあるのは「産業廃棄
物の」と、同条第 6 項中「第 7 条第 5 項第
4 号イからヘまで又はチからヌまで(同号
チからヌまでに掲げる者にあつては、同号
ト」とあるのは「第14条第 5 項第 2 号イ(第
7 条第 5 項第 4 号トに係るものを除く。)又
は第14条第 5 項第 2 号ハからホまで(第 7
条第 5 項第 4 号ト又は第14条第 5 項第 2 号
ロ」と読み替えるものとする。
(許可の取消し)
第15条の 3 都道府県知事は、次の各号のい
ずれかに該当するときは、当該産業廃棄物
処理施設に係る第15条第 1 項の許可を取り
消さなければならない。
一 産業廃棄物処理施設の設置者が第14条
第 5 項第 2 号イからヘまでのいずれかに
該当するに至つたとき。
二 前条第 3 号に該当し情状が特に重いと
き、又は同条の規定による処分に違反し
たとき。
三 不正の手段により第15条第 1 項の許可
又は第15条の 2 の 6 第 1 項の変更の許可
を受けたとき。
2 都道府県知事は、前条第 1 号、第 2 号若
しくは第 4 号のいずれかに該当するとき、
又は特定産業廃棄物最終処分場の設置者が
第15条の 2 の 4 において読み替えて準用す
る第 8 条の 5 第 1 項の規定による維持管理
積立金の積立てをしていないときは、当該
産業廃棄物処理施設に係る第15条第 1 項の
許可を取り消すことができる。
3 適用関係
上記 2 ⑴の改正は、法人が平成30年 4 月 1 日以後に特定廃棄物最終処分場の廃止の確認を受ける場合におけるその確認を受ける日を含む事業年度分の法人税及び法人が平成30年 4 月 1 日以後に特定廃棄物最終処分場の設置の許可を取り消される場合におけるその取り消される日を含む事業年度分の法人税について適用することとされています
(改正法附則95②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則111②)。
三 農業経営基盤強化準備金制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人で認定農地所有適格法人等に該当するものが、平成19年4 月 1 日から平成30年 3 月31日までの期間(以下
「指定期間」といいます。)内の日を含む各事業年度の指定期間内において、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の交付金等の交付を受けた場合において、認定計画等の定めるところに従って行う農業経営基盤強化に要する費用の支出に備えるため、次の金額のうちいずれか少ない金額以下の金額を農業経営基盤強化準備金として積み立てたときは、その事業年度において、その積み立てた金額を損金の額に算入できるというものです(措法61の 2 ①)。
⑴ その認定計画等に記載された農用地等の取得に充てるための金額として証明がされた金額
⑵ その事業年度の所得の金額(注) 認定農地所有適格法人等とは、次の法人をい
います。
① 農業経営基盤強化促進法の農業経営改善計
画の認定を受けた農地所有適格法人(以下「認
定農地所有適格法人」といいます。)
② 農業経営基盤強化促進法の認定に係る特定
農用地利用規程に定める特定農業法人である
農地所有適格法人(認定農地所有適格法人を
除きます。)
この準備金は、その積み立てられた事業年度終了の日の翌日から 5 年を経過したものがある場合には、その 5 年を経過した日を含む事業年度にお
─ 516 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
いて、その経過した準備金の金額を益金の額に算入することとされています(措法61の 2 ②)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の64)。
2 改正の内容
⑴ 適用対象法人の見直し 適用対象となる法人から上記 1(注)②の法人が除外されました(措法61の 2 ①、旧措規21の18の 2 ②)。
(注) 「特定農業法人である農地所有適格法人」は、
上記 1(注)①の認定農地所有適格法人からは
除外されていませんので、「特定農業法人であ
る農地所有適格法人」に該当する法人が認定
農地所有適格法人に該当する場合には、認定
農地所有適格法人として引き続きこの制度の
適用を受けることができます。
⑵ 適用対象交付金等の見直し 農業経営基盤強化促進法施行規則の一部を改正する省令(平成30年農林水産省令第23号)による農業経営基盤強化促進法施行規則の交付金から経営所得安定対策交付金(米の直接支払交付金)を除外する改正(施行日:平成30年 4 月1 日)に伴い、適用対象となる交付金等から経営所得安定対策交付金が除外されました(措規21の18の 2 ①)。連結納税制度の場合についても同様です。
⑶ 特定の事由に該当することとなった場合の準備金の益金算入措置における特定の事由の追加 特定の事由に農用地等の取得又は製作若しくは建設(以下「取得等」といいます。)をした場合が追加され、その場合に該当することとなった場合には、その該当することとなった日を含む事業年度において次の場合の区分に応じそれぞれ次の準備金の金額を益金算入することとされました(措法61の 2 ③二)。
(注 1 ) 農用地等とは、農業経営基盤強化促進法
第 4 条第 1 項第 1 号に規定する農用地(そ
の農用地に係る賃借権を含みます。)又は特
定農業用機械等をいい、特定農業用機械等
とは、農業用の機械及び装置、器具及び備品、
建物及びその附属設備、構築物並びにソフ
トウエア(建物及びその附属設備にあっては、
農業振興地域の整備に関する法律第 8 条第
4 項に規定する農用地利用計画において同
法第 3 条第 4 号に掲げる土地としてその用
途が指定された土地に建設される同号に規
定する農業用施設のうちその法人の農業の
用に直接供される一定の建物及びその附属
設備に限ります。)をいいます(措法61の 2
③二、61の 3 ①、措規21の18の 3 ①)。
なお、農業経営基盤強化促進法等の一部
を改正する法律(平成30年法律第23号)第
1 条により農業経営基盤強化促進法第 4 条
第 1 項が改正され、同法の「農用地」の範
囲が拡充されたことに伴い(この改正につ
いては、前掲「所得税法等の改正」の「第
三 その他の改正」の「二 固定資産の交
換の場合の譲渡所得の特例の改正」をご参
照ください。)、この制度及び後述「四 農
用地等を取得した場合の課税の特例」の適
用対象となる「農用地」の範囲も拡充され
ています。(注 2 ) 「取得」からは、「贈与、交換、出資又は
現物分配によるもの、所有権移転外リース
取引によるもの、合併又は分割によるもの
及び代物弁済としてのもの」を除くことと
され、特定農業用機械等にあっては、その
製作又は建設の後事業の用に供されたこと
のないものの取得に限ることとされていま
す(措法61の 2 ③二、61の 3 ①)。
① 認定計画の定めるところにより農用地等の取得等をした場合……その取得等をした日における農業経営基盤強化準備金の金額のうちその取得等をした農用地等の取得価額に相当する金額
(注) 認定計画とは、農業経営基盤強化促進法
第13条第 2 項に規定する認定計画をいいま
─ 517 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
す(措法61の 2 ①)。
② 農用地等の取得等をした場合(上記①の場合を除きます。)……その取得等をした日における農業経営基盤強化準備金の金額のうちその取得等をした農用地等の取得価額に相当する金額 なお、この場合の農用地等からは、農業用の器具及び備品並びにソフトウエアを除くこととされています。
(注 3 ) 上記①の場合は、改正前も農用地等の取
得等をした法人の任意で取り崩したその取
得等をした農用地等の取得価額相当額以下
の準備金の金額については、益金算入をす
るとともに、下記の「四 農用地等を取得
した場合の課税の特例」(以下「圧縮記帳制
度」といいます。)の圧縮限度額の計算の基
礎となる金額に含まれていたことから、準
備金の益金算入額が圧縮記帳制度の圧縮限
度額の計算の基礎となる金額に含まれると
いう点においては、改正前と同様になります。
これに対して、上記②の場合(具体的には、
認定計画の定めるところによらず農用地等
の取得等をした場合、すなわち認定計画に
記載された農用地等以外の農用地等の取得
等をした場合)には、その取得等をした日
を含む事業年度においてその取得価額相当
額について、準備金の金額の益金算入をす
るとともに、圧縮記帳制度の圧縮限度額の
計算の基礎となる金額から除かれることと
なりました。これは、認定計画の定めると
ころによらず農用地等の取得等をした場合
にはそもそも圧縮記帳制度の適用対象外で
あり、その取得等は認定計画の定めるとこ
ろに従って行う農業経営基盤強化ではない
ため、その取得等のために積み立てた準備
金の金額のうち認定計画の定めるところに
よらず農用地等の取得等をした場合におけ
るその取得価額相当額を、この制度におけ
る益金算入額とするとともに、圧縮記帳制
度の圧縮限度額の計算の基礎となる金額か
ら除外することとしたものです。(注 4 ) 今回の改正において、「認定計画等の認定
が取り消された場合」に係る規定(旧措法
61の 2 ③二)が削除されましたが、これは、
準備金の益金算入をすることとなる特定の
事由から「認定計画等の認定が取り消され
た場合」が除外されたわけではなく、「認定
計画の認定が取り消された場合」が「認定
農地所有適格法人に該当しないこととなっ
た場合(措法61の 2 ③一)」に包含されるこ
とから規定の整備として削除されたもので
あり、「認定計画の認定が取り消された場
合」は、「認定農地所有適格法人に該当しな
いこととなった場合」として、引き続き特
定の事由に該当することになります。
⑷ 適用期限の延長 制度の適用期限が、平成32年 3 月31日まで 2年延長されました(措法61の 2 ①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴、⑶及び⑷と同様の改正が行われています(措法68の64①③二、旧措規22の61の 2 ①)。
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴の改正は、特定農業法人である農地所有適格法人(認定農地所有適格法人を除きます。)が平成30年 4 月 1 日前に交付を受けた交付金等については、なお従前の例によることとされています(改正法附則96①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則112①)。
⑵ 上記 2 ⑵の改正は、法人が平成30年 4 月 1 日以後に交付を受ける交付金等について適用し、法人が同日前に交付を受けた交付金等については、なお従前の例によることとされています
(改正措規附則24)。連結納税制度の場合についても同様です。
⑶ 上記 2 ⑶の改正は、法人が平成30年 4 月 1 日以後に農用地等の取得等をする場合におけるその取得等をする日を含む事業年度分の法人税に
─ 518 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ついて適用することとされています(改正法附則96②)。連結納税制度の場合についても同様
です(改正法附則112②)。
四 農用地等を取得した場合の課税の特例
1 改正前の制度の概要
この制度は、農業経営基盤強化準備金を積み立てている法人(農業経営基盤強化準備金の積立てができる法人を含みます。)が、各事業年度において、認定計画等の定めるところにより農用地又は特定農業用機械等(以下「農用地等」といいます。)の取得等をして、その法人の農業の用に供した場合には、その農用地等につき、次の金額のうちいずれか少ない金額以下の金額の範囲内での圧縮記帳ができるというものです(措法61の 3 ①)。⑴ 次の金額の合計額
① 前事業年度等から繰り越された農業経営基盤強化準備金の金額のうち、その事業年度において益金の額に算入された、又は算入されるべきこととなった金額に相当する金額
② その認定計画等に記載された農用地等の取得に充てるための金額であって農業経営基盤強化準備金として積み立てられなかった金額として証明がされた金額
⑵ その事業年度の所得の金額 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の65)。
2 改正の内容
前述「三 農業経営基盤強化準備金制度」の 2⑶の改正に伴い、この制度の圧縮限度額の計算の基礎となる農業経営基盤強化準備金制度における益金算入額(上記 1⑴①)から前述「三 農業経
営基盤強化準備金制度」の 2 ⑶②の「農用地等の取得等をした場合におけるその取得等をした日における農業経営基盤強化準備金の金額のうちその取得等をした農用地等の取得価額に相当する金額」が除外されました(措法61の 3 ①一イ)。
(注) これは、この制度が認定計画の定めるところ
により取得等をした農用地等を対象とするもの
であることを踏まえると、前述「三 農業経営
基盤強化準備金制度」の 2 ⑶②の場合(具体的
には、認定計画の定めるところによらず農用地
等の取得等をした場合、すなわち認定計画に記
載された農用地等以外の農用地等の取得等をし
た場合)には、その農用地等はこの制度の適用
対象外とすべきと考えられるところ、その農用
地等の取得価額相当額について、この制度の圧
縮限度額の計算の基礎となる農業経営基盤強化
準備金制度における益金算入額に含めることと
なっていたことから、その益金算入額から除外
することとしたものです。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の65①一イ)。
3 適用関係
上記 2の改正は、法人が平成30年 4 月 1 日以後に農用地等の取得等をする場合におけるその取得等をする日を含む事業年度分の法人税について適用することとされています(改正法附則96②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則112②)。
五 その他の準備金制度
⑴ 金属鉱業等鉱害防止準備金制度の適用期限が、平成32年 3 月31日まで 2 年延長されました(措法55の 5 ①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の44①)。
⑵ 新事業開拓事業者投資損失準備金制度の適用
─ 519 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
の前提となる特定新事業開拓投資事業計画の認定期限が、平成31年 3 月31日まで 1 年延長されました(措法55の 2 ①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の43の 2 ①)。
第四 土地税制関係一 収用等に伴い代替資産を取得した場合等の課税の特例
1 改正前の制度の概要
⑴ 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例 この制度は、法人の有する資産が土地収用法その他の法律の規定によって収用権が認められている事業等のために収用等をされ、その補償金、対価又は清算金(以下「補償金等」といいます。)の額の全部又は一部に相当する金額をもって、その収用等により譲渡した資産と同種の資産その他これに代わるべき資産(以下「代替資産」といいます。)の取得をする場合において、一定の要件の下で、「収用換地等の場合の所得の特別控除制度(5,000万円特別控除制度)(措法65の 2 )」との選択適用により、その代替資産につき、譲渡益の額(圧縮限度額)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額等をしたときは、圧縮記帳ができるというものです(措法64①)。
(注 1 ) 棚卸資産は、この制度の対象となる法人
の有する資産から除くこととされています
(措法64①)。(注 2 ) 収用等とは、収用、買取り、換地処分、
権利変換、買収又は消滅をいいます(措法
64①)。(注 3 ) 代替資産の取得については、所有権移転
外リース取引による取得を除くこととし、
製作及び建設を含むこととされています(措
法64①)。
⑵ 収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例 この制度は、上記⑴の収用等による譲渡があったものの、その収用等のあった日を含む事業年度では代替資産の取得がなく、指定期間内に補償金等の額の全部又は一部に相当する金額をもって代替資産の取得をする見込みであるときは、一定の要件の下に、その補償金等の額で代替資産の取得に充てようとするものの額に差益割合を乗じて計算した金額以下の金額をその収用等のあった日を含む事業年度の確定した決算において特別勘定を設ける方法等により経理した場合に限り、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(上記⑴)に準じて、課税の特例が適用できるというものです(措法64の2 ①)。
(注) 指定期間とは、収用等のあった日を含む事
業年度終了の日の翌日から収用等のあった日
以後 2 年を経過する日までの期間をいいます
(措法64の 2 ①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の措置が講じられています(措法68の70、68の71)。
2 改正の内容
⑴ 適用要件の見直し 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(上記 1 ⑴)について、その適用要件のうち「確定申告書等に土地収用証明書等の添付
─ 520 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
があること」とする書類添付要件が、「土地収用証明書等を保存していること」とする書類保存要件とされました(措法64④⑤)。 なお、収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(上記 1 ⑵)においては、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(上記 1 ⑴)における適用要件に係る規定(措法64④⑤)を準用していることから(措法64の 2⑬)、上記の改正は、収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(上記 1 ⑵)においても同様となります。また、準用規定について、所要の規定の明確化が行われました(措規22の2 ④⑥⑪)。
(注) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30号
に規定する中間申告書で同法第72条第 1 項各
号に掲げる事項を記載したもの及び同法第144
条の 4 第 1 項各号又は第 2 項各号に掲げる事
項を記載したもの並びに同法第 2 条第31号に
規定する確定申告書をいいます(措法 2 ②
二十七)。すなわち、仮決算をした場合の中間
申告書及び確定申告書をいい、確定申告書には、
その確定申告書に係る期限後申告書を含むこ
ととされています。
⑵ 書類添付義務の見直し 法人が収用等のあった日を含む事業年度において適格分割、適格現物出資又は適格現物分配
(その日以後に行われるものに限ります。以下「適格分割等」といいます。)を行う場合において、次の①又は②の措置の適用を受ける場合に、
「その適格分割等の日以後 2 月以内に土地収用証明書等を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない」とする書類添付義務が、「土地収用証明書等を保存していなければならない」とする書類保存義務とされました(措令39�)。また、準用規定について、所要の規定の明確化が行われました(措規22の 2 ⑤⑨⑩)。① その法人が補償金等の額の全部又は一部に
相当する金額をもってその事業年度開始の時からその適格分割等の直前の時までの間に代
替資産の取得をし、その適格分割等によりその代替資産を分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(以下「分割承継法人等」といいます。)に移転するときにおいて、その代替資産につき、圧縮限度額に相当する金額の範囲内でその帳簿価額を減額したときに限り、圧縮記帳ができる措置(措法64⑧、64の 2 ⑧)
② その適格分割等に係る分割承継法人等がその適格分割等の日から収用等のあった日以後2 年を経過する日までの期間内に補償金等の額の全部又は一部に相当する金額をもって代替資産の取得をする見込みであるときにおいて、期中特別勘定を設けたときに限り、その事業年度においてその設けた期中特別勘定の金額に相当する金額の損金算入ができる措置
(措法64の 2 ②)(注 1 ) 上記⑴及び⑵の改正は、「大法人による電子
申告の義務化を契機とした納税環境整備」の
1 つとして行われたものですが、その経緯及
び趣旨については、後掲「電子申告・国税通
則・国税徴収等関係の改正」の「一 税務手
続の電子化促進のための環境整備」のⅠをご
参照ください。(注 2 ) 土地収用証明書等は、法人によっては、添
付枚数が膨大となり、電子申告の際にスキャ
ナで読み込んで電子化するための事務負担が
多大になります。また、土地収用証明書等の
記載事項のうち一定の事項は「不動産の譲受
けの対価の支払調書」(所法225①九)に記載
されており、この制度の対象となる買取り等
の場合には、その支払調書の提出時期が特例
として 4 半期ごと(原則:年 1 回)とされて
います(措規22の 3 ⑤、22の 4 ②、22の 5 �)。
したがって、国税当局のバックオフィス連携
を強化して情報共有をより円滑に行うことで
国税当局において従前どおりの申告の内容の
確認ができるようになることから、電子申告
のための環境整備として保存要件・義務化さ
れたものです。なお、このような理由による
─ 521 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
改正であることから、電子申告の場合に限らず、
書面による申告の場合にも保存要件・義務化
されています。また、これに合わせ、確定申
告書等の記載事項について、所要の整備が行
われています(法規別表10⑸、13⑷)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の改正が行われています(措法68の70③④、措令39の99⑱、措規22の64③~⑤⑧~⑩)。
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴の改正は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に終了する事業年度分の法人税について適
用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正法附則97①、改正措規附則25①)。連結納税制度の場合についても同様です
(改正法附則114①、改正措規附則30①)。⑵ 上記 2 ⑵の改正は、平成30年 4 月 1 日以後に
行われる適格分割又は適格現物出資について適用し、同日前に行われた適格分割又は適格現物出資については、なお従前の例によることとされています(改正措令附則28①、改正措規附則25②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則41、改正措規附則30②)。
二 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例
1 改正前の制度の概要
この制度は、法人の有する資産が、土地収用法等による収用があった場合においてその資産と同種の資産を取得するとき、土地区画整理法による土地区画整理事業等が施行された場合において土地等に係る換地処分により土地等を取得するとき等一定の場合に該当することとなった場合において、その法人が換地処分等により取得した資産
(以下「交換取得資産」といいます。)につき、その交換取得資産の価額からその換地処分等により譲渡した資産の譲渡直前の帳簿価額を控除した残額(圧縮限度額)の範囲内で、その交換取得資産の帳簿価額を損金経理により減額したときは、圧縮記帳ができるというものです(措法65①)。
(注 1 ) 「一定の場合に該当することとなった場合」
には、交換取得資産とともに補償金等又は保
留地の対価を取得した場合を含むこととされ
ています。(注 2 ) 換地処分等とは、収用、買取り、換地処分、
権利変換又は交換をいいます。
また、完全支配関係がある法人の間で譲渡された譲渡損益調整資産についてその譲渡の後に一定の換地処分等による譲渡があったことにより上記の圧縮記帳の適用を受ける場合には、その譲渡損
益調整資産の譲渡利益額を引き続き計上しないこととされています(措法65⑩)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の72)。
2 改正の内容
⑴ 適用要件の見直し この制度は、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例及び収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例における適用要件に係る規定(措法64④⑤、64の 2 ⑬)を準用していることから(措法65③④)、前述「一 収用等に伴い代替資産を取得した場合等の課税の特例」の 2 ⑴の改正(適用要件のうち書類添付要件を書類保存要件とする改正)は、この制度においても同様となります。また、準用規定について、所要の規定の明確化が行われました(措規22の 2 ④⑥⑪)。連結納税制度の場合についても同様です。
⑵ 書類添付義務の見直し 法人が換地処分等のあった日を含む事業年度において適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(その日以後に行われるものに限ります。以下「適格分割等」といいます。)を行う場合
─ 522 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
において、その法人がその換地処分等によりその事業年度開始の時からその適格分割等の直前の時までの間に取得をした交換取得資産をその適格分割等により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に移転するときは、その交換取得資産につき、その交換取得資産に係る圧縮限度額に相当する金額の範囲内でその帳簿価額を減額したときに限り、圧縮記帳ができる措置の適用を受ける場合に、「その適格分割等の日以後 2 月以内に土地収用証明書等を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない」とする書類添付義務が、「土地収用証明書等を保存していなければならない」とする書類保存義務とされました(措令39の 2 ⑨)。また、準用規定について、所要の規定の明確化が行われました(措規22の 2 ⑤⑨⑩)。
(注) 上記⑴及び⑵の改正は、「大法人による電子申
告の義務化を契機とした納税環境整備」の 1 つ
として行われたものですが、その経緯及び趣旨
については、後掲「電子申告・国税通則・国税
徴収等関係の改正」の「一 税務手続の電子化
促進のための環境整備」のⅠ及び前述「一 収
用等に伴い代替資産を取得した場合等の課税の
特例」の 2(注 2 )をご参照ください。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措令39の100⑦)。
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴の改正は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正法附則97①、改正措規附則25①)。連結納税制度の場合についても同様です
(改正法附則114①、改正措規附則30①)。⑵ 上記 2 ⑵の改正は、平成30年 4 月 1 日以後に
行われる適格分割、適格現物出資又は適格現物分配について適用し、同日前に行われた適格分割、適格現物出資又は適格現物分配については、なお従前の例によることとされています(改正措令附則28①、改正措規附則25②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則41、改正措規附則30②)。
三 収用換地等の場合の所得の特別控除(連結:収用換地等の場合の連結所得の特別控除)制度(5,000万円特別控除制度)
1 改正前の制度の概要
この制度は、法人が資産を収用換地等により譲渡した場合において、その譲渡益の全部について、
「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(措法64)」若しくは「収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(措法64の 2 )」又は「換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例(措法65)」の適用を受けないときは、一定の要件の下で、その譲渡益の額のうち年5,000万円までは、その譲渡の日を含む事業年度において、所得控除ができるというものです(措法65の2 ①)。
(注) 収用換地等とは、収用等及び換地処分等をい
い(措法65の 2 ①)、換地処分等とは、収用、買
取り、換地処分、権利変換又は交換をいいます
(措法65①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の73)。
2 改正の内容
この制度の適用要件のうち「確定申告書等にその適用を受けようとする資産につき公共事業施行者から交付を受けた買取り等の申出があったことを証する書類等の添付があること」とする書類添付要件が、「その適用を受けようとする資産につき公共事業施行者から交付を受けた買取り等の申出があったことを証する書類等を保存しているこ
─ 523 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
と」とする書類保存要件とされました(措法65の2 ④⑤)。また、準用規定について、所要の規定の明確化が行われました(措規22の 3 ③)。
(注 1 ) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30号
に規定する中間申告書で同法第72条第 1 項各
号に掲げる事項を記載したもの及び同法第144
条の 4 第 1 項各号又は第 2 項各号に掲げる事
項を記載したもの並びに同法第 2 条第31号に
規定する確定申告書をいいます(措法 2 ②
二十七)。すなわち、仮決算をした場合の中間
申告書及び確定申告書をいい、確定申告書には、
その確定申告書に係る期限後申告書を含むこ
ととされています。(注 2 ) 上記の改正は、「大法人による電子申告の義
務化を契機とした納税環境整備」の 1 つとし
て行われたものですが、その経緯及び趣旨に
ついては、後掲「電子申告・国税通則・国税
徴収等関係の改正」の「一 税務手続の電子
化促進のための環境整備」のⅠ及び前述「一
収用等に伴い代替資産を取得した場合等の課
税の特例」の 2(注 2 )をご参照ください。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の73④⑤、措規22の65③)。
3 適用関係
上記 2の改正は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています
(改正法附則97①、改正措規附則25①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則114①、改正措規附則30①)。
四 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(2,000万円特別控除制度)
1 改正前の制度の概要
この制度は、法人の有する土地等が、特定土地区画整理事業等のために買い取られる場合に該当することとなった場合については、一定の要件の下で、その譲渡益の額のうち年2,000万円までは、その譲渡の日を含む事業年度において、所得控除ができるというものです(措法65の 3 ①)。 この「特定土地区画整理事業等のために買い取られる場合」とは、次の場合をいいます(措法65の 3 ①)。⑴ 国、地方公共団体、独立行政法人都市再生機
構又は地方住宅供給公社が土地区画整理事業、住宅街区整備事業、第一種市街地再開発事業又は防災街区整備事業として行う公共施設の整備改善、宅地の造成、共同住宅の建設又は建築物及び建築敷地の整備に関する事業の用に供する
ために土地等がこれらの者に買い取られる場合⑵ 第一種市街地再開発事業の事業予定地内の土
地等が、その第一種市街地再開発事業を行う都市再開発法の認可を受けて設立された市街地再開発組合に買い取られる場合
⑶ 防災街区整備事業の事業予定地内の土地等が、その防災街区整備事業を行う密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の認可を受けて設立された防災街区整備事業組合に買い取られる場合
⑷ 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法、都市緑地法等の買取請求に基づき地方公共団体等に土地等が買い取られる場合
⑸ 重要文化財、史跡、名勝、天然記念物や国立公園及び国定公園の特別地域又は自然環境保全地域の特別地区として指定された区域内の土地が国又は地方公共団体に買い取られる場合(そ
─ 524 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
の重要文化財、史跡、名勝又は天然記念物として指定された土地が独立行政法人国立文化財機構、独立行政法人国立科学博物館又は一定の地方独立行政法人に買い取られる場合を含みます。)
⑹ 保安林等として指定された区域内の土地等が保安施設事業のために国又は地方公共団体に買い取られる場合
⑺ 防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律の集団移転促進事業計画に定められた移転促進区域内の農地等が同計画に基づき地方公共団体に買い取られる場合
この「特定土地区画整理事業等のために買い取られる場合」に該当することとなった土地等の譲渡の日を含む事業年度のうち同一の年に属する期間中に、その該当することとなった土地等のいずれかについて、特定の資産の買換えの場合等の課税の特例(措法65の 7 から65の 9 まで)等の適用を受けた場合には、その該当することとなった土地等のいずれについても、この制度は適用できないこととされています。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の74)。
2 改正の内容
この制度の適用要件のうち「確定申告書等に土地等の買取りをする者から交付を受けたその土地等の買取りがあったことを証する書類の添付があること」とする書類添付要件が、「土地等の買取りをする者から交付を受けたその土地等の買取り
があったことを証する書類を保存していること」とする書類保存要件とされました(措法65の 3 ④⑤)。
(注 1 ) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30号
に規定する中間申告書で同法第72条第 1 項各
号に掲げる事項を記載したもの及び同法第144
条の 4 第 1 項各号又は第 2 項各号に掲げる事
項を記載したもの並びに同法第 2 条第31号に
規定する確定申告書をいいます(措法 2 ②
二十七)。すなわち、仮決算をした場合の中間
申告書及び確定申告書をいい、確定申告書には、
その確定申告書に係る期限後申告書を含むこ
ととされています。(注 2 ) 上記の改正は、「大法人による電子申告の義
務化を契機とした納税環境整備」の 1 つとし
て行われたものですが、その経緯及び趣旨に
ついては、後掲「電子申告・国税通則・国税
徴収等関係の改正」の「一 税務手続の電子
化促進のための環境整備」のⅠ及び前述「一
収用等に伴い代替資産を取得した場合等の課
税の特例」の 2(注 2 )をご参照ください。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の74④⑤)。
3 適用関係
上記 2の改正は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています
(改正法附則97①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則114①)。
五 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(1,500万円特別控除制度)
1 改正前の制度の概要
この制度は、法人の有する土地等が特定住宅地
造成事業等のために買い取られる場合に該当することとなった場合については、一定の要件の下で、その譲渡益の額のうち年1,500万円までは、その
─ 525 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
譲渡の日を含む事業年度において、所得控除ができるというものです(措法65の 4 ①)。 この「特定住宅地造成事業等のために買い取られる場合」とは、次の場合をいいます(措法65の4 ①)。⑴ 地方公共団体等が行う住宅建設又は宅地造成
事業の用に供するために土地等が買い取られる場合
⑵ 収用の対償地に充てるために土地等が買い取られる場合、住宅地区改良法の改良住宅の建設のため改良地区以外の土地等が買い取られる場合又は公営住宅法の公営住宅の買取りにより土地等が地方公共団体に買い取られる場合
⑶ 平成 6 年 1 月 1 日から平成29年12月31日までの間に、一団の宅地の造成に関する事業の用に供するために土地等が買い取られる場合
⑷ 公有地の拡大の推進に関する法律の買取り協議に基づき土地等が地方公共団体等に買い取られる場合
⑸ 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法の航空機騒音障害防止特別地区内にある土地が特定空港の設置者に買い取られる場合
⑹ 地方公共団体又は沿道整備推進機構が沿道整備道路の沿道の整備のために行う一定の事業の用に供するために沿道地区計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合
⑺ 地方公共団体又は防災街区整備推進機構が防災街区としての整備のために行う一定の事業の用に供するために特定防災街区整備地区又は防災街区整備地区計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合
⑻ 地方公共団体又は中心市街地整備推進機構が認定中心市街地の整備のために行う一定の事業の用に供するために認定中心市街地の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合
⑼ 地方公共団体又は景観整備機構が景観計画に定められた景観重要公共施設の整備に関する事業の用に供するために景観計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合
⑽ 地方公共団体又は都市再生推進法人が都市再
生整備計画又は立地適正化計画に記載された公共施設の整備に関する事業の用に供するためにこれらの計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合
⑾ 地方公共団体又は歴史的風致維持向上支援法人が認定重点区域における認定歴史的風致維持向上計画に記載された公共施設又は公用施設の整備に関する事業の用に供するためにその区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合
⑿ 地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の出資に係る一定の法人が国又は都道府県が作成した総合的な地域開発に関する計画に基づく工業用地等の造成事業の用に供するために土地等がこれらの者に買い取られる場合
⒀ 次の事業の用に供するために、土地等が地方公共団体の出資に係る法人等に買い取られる場合① 商店街活性化法の認定商店街活性化事業計
画に基づく一定の商店街活性化事業又は同法の認定商店街活性化支援事業計画に基づく一定の商店街活性化支援事業
② 中心市街地活性化法の認定特定民間中心市街地活性化事業計画に基づく一定の中小小売商業高度化事業
③ 食品流通構造改善促進法の認定を受けた計画に基づく食品商業集積施設整備事業
⒁ 農業協同組合が行う宅地等供給事業で一定の要件を満たすものの用に供するために農地等が買い取られる場合又は独立行政法人中小企業基盤整備機構の中小企業活性化資金の融資を受けて行う土地の造成に関する事業で一定の要件を満たすものの用に供するために土地等が買い取られる場合
⒂ 総合特別区域法の共同して又は一の団地若しくは主として一の建物に集合して行う事業の用に供する土地の造成に関する事業で一定の要件に該当するものとして市町村長又は特別区の区長が指定したものの用に供するために土地等が買い取られる場合
─ 526 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
⒃ 産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の認定を受けた整備計画に基づいて行われる特定施設の整備事業の用に供するために土地等が地方公共団体又はその出資に係る法人等に買い取られる場合
⒄ 広域臨海環境整備センター法の認可を受けた基本計画に基づいて行われる廃棄物の搬入施設の整備事業の用に供するために土地等が広域臨海環境整備センターに買い取られる場合
⒅ 生産緑地法の買取申出等に基づき生産緑地地区内の土地が地方公共団体等に買い取られる場合
⒆ 国土利用計画法の規制区域内の土地等が地方公共団体に買い取られる場合
⒇ 国土利用計画法の土地利用基本計画に定められた学園都市計画等の地域の開発保全整備計画に係る事業の用に供するために土地等が国又は地方公共団体等に買い取られる場合
� 大都市地域住宅等供給促進法の買取申出等に基づき土地区画整理促進区域等内の土地等が地方公共団体等に買い取られる場合
� 土地区画整理事業の施行に伴い、一定の既存不適格建築物の敷地について換地を定めることが困難である場合に清算金を取得する場合
� 土地等につき被災市街地復興特別措置法による被災市街地復興土地区画整理事業が施行された場合において、保留地が定められたことに伴いその土地等に係る換地処分によりその土地等のうちその保留地の対価の額に対応する部分の譲渡があったとき
� マンション建替事業の施行に伴い、やむを得ない事情により、土地等に係る権利変換により補償金を取得する場合又は売渡請求若しくは買取請求により土地等が買い取られる場合
� マンション敷地売却事業の実施に伴い、建築物の耐震改修の促進に関する法律の通行障害既存耐震不適格建築物に該当する決議要除却認定マンションの敷地の用に供されている土地等に係る分配金取得計画に基づき分配金を取得する場合又は売渡請求によりその土地等が買い取ら
れる場合� 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に
関する法律の管理地区内の土地が国若しくは地方公共団体に買い取られる場合又は鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の特別保護地区内の土地のうち天然記念物として指定された鳥獣等の生息地が国若しくは地方公共団体に買い取られる場合
� 自然公園法の都道府県立自然公園の区域内のうち条例により特別地域として指定された一定の地域内の土地又は自然環境保全法の都道府県自然環境保全地域のうち条例により特別地区として指定された一定の地区内の土地が地方公共団体に買い取られる場合
� 農業経営基盤強化促進法の買取り協議に基づき農用地区域内にある農用地が農地利用集積円滑化団体等に買い取られる場合
この「特定住宅地造成事業等のために買い取られる場合」に該当することとなった土地等の譲渡の日を含む事業年度のうち同一の年に属する期間中に、その該当することとなった土地等のいずれかについて、特定の資産の買換えの場合等の課税の特例(措法65の 7 から65の 9 まで)等の適用を受けた場合には、その該当することとなった土地等のいずれについても、この制度は適用できないこととされています。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の75)。
2 改正の内容
⑴ 適用対象の見直し 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律(平成30年法律第62号)第 2条による食品流通構造改善促進法の一部改正において同法の食品商業施設整備事業が廃止されたことに伴い、この制度の対象から食品流通構造改善促進法の認定を受けた計画に基づく食品商業集積施設整備事業の用に供するために地方公共団体の出資に係る法人等に土地等が買い取られる場合(上記 1⒀③)に係る措置が除外さ
─ 527 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
れました(旧措法65の 4 ①十三ハ)。連結納税制度の場合についても同様です。
(注) 上記のほか、農業経営基盤強化促進法等の
一部を改正する法律(平成30年法律第23号)
第 1 条により農業経営基盤強化促進法第 4 条
第 1 項が改正され、同法の「農用地」の範囲
が拡充されたことに伴い(この改正については、
前掲「租税特別措置法等(所得税関係)の改
正」の「第三 住宅・土地税制の改正」の「四
特定住宅地造成事業等のために土地等を譲
渡した場合の1,500万円特別控除の改正」の 2
をご参照ください。)、この制度の対象となる
「農業経営基盤強化促進法の買取り協議に基づ
き農用地区域内にある農用地が農地利用集積
円滑化団体等に買い取られる場合(上記 1
�)」の「農用地」の範囲も拡充されています。
また、この「農用地」の上に存する農作物の
栽培に関する権利についてもこの制度の対象
となります。
⑵ 適用要件の見直し この制度は、特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度
(2,000万円特別控除制度)における適用要件に係る規定(措法65の 3 ④⑤)を準用していることから(措法65の 4 ⑤)、前述「四 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(2,000万円特別控除制度)」の 2の改正(適用要件のうち書類添付要件を書類保存要件とする改正)は、この制度においても同様となります。連結納税制度の場合についても同様です。
⑶ 適用期限の延長 一団の宅地の造成に関する事業の用に供するために土地等が買い取られる場合(上記 1⑶)に係る措置の適用期限が、平成32年12月31日まで 3 年延長されました(措法65の 4 ①三)。連結納税制度の場合についても同様です。
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴の改正は、法人が卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律
(平成30年法律第62号)の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用し、法人が同日前に行った土地等の譲渡に係る法人税については、なお従前の例によることとされています(卸売市場法等改正法附則 1 、13②)。連結納税制度の場合についても同様です(卸売市場法等改正法附則13③)。
(注) 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の
一部を改正する法律(平成30年法律第62号)
の施行の日は、同法の公布の日(平成30年 6
月22日)から起算して 6 月を超えない範囲内
において政令で定める日とされており(卸売
市場法等改正法附則 1 )、その政令は、今後定
められます。
⑵ 上記 2 ⑵の改正は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正法附則97①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則114①)。
六 農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(800万円特別控除制度)
1 改正前の制度の概要
この制度は、農地所有適格法人の有する土地等
が、農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合に該当することとなった場合については、一定の要件の下で、その譲渡益の額のうち年800万
─ 528 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
円までは、その譲渡の日を含む事業年度において、所得控除ができるというものです(措法65の 5 ①)。 この「農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合」とは、次の場合をいいます(措法65の5 ①)。⑴ 農業振興地域の整備に関する法律の勧告に係
る協議、調停又はあっせん等により土地等を譲渡した場合
⑵ 農業振興地域の整備に関する法律の農用地区域内にある土地等を、農業経営基盤強化促進法の公告があった農用地利用集積計画の定めるところにより譲渡した場合
⑶ 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律の公告があった所有権移転等促進計画の定めるところにより土地等の譲渡をした場合
⑷ 林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法の都道府県知事のあっせんにより認定を受けた者に一定の山林に係る土地の譲渡をした場合
ただし、この「農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合」に該当することとなった土地等の譲渡の日を含む事業年度のうち同一の年に属する期間中に、その該当することとなった土地等のいずれかについて、特定の資産の買換えの場合等の課税の特例(措法65の 7 から65の 9 まで)等の適用を受けた場合には、その該当することとなった土地等のいずれについても、この制度は適用できないこととされています。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の76)。
2 改正の内容
農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律(平成30年法律第23号)第 2 条の農地法の一部改正による農地の範囲の見直しに伴い、農業振興地域の整備に関する法律の勧告に係る協議、調停又はあっせんにより譲渡した場合その他農地保有の合理化のために土地等を譲渡した場合(上記 1⑴)に係る措置の対象となる農地又はその農地の
上に存する権利に、農地法第43条第 1 項の規定により農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する同法第 2 条第 1 項に規定する農地又はその農地の上に存する農作物の栽培に関する権利を含めることとされました(措令39の 6 ②、措規22の 6 ①④四)。連結納税制度の場合についても同様です。
(注) 上記の「農地の範囲の見直し」の詳細につい
ては、前掲「租税特別措置法等(所得税関係)
の改正」の「第三 住宅・土地税制の改正」の
「五 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡
した場合の800万円特別控除の改正」の 2をご参
照ください。(参考) 農地法(昭和27年法律第229号)
(定義)
第 2 条 この法律で「農地」とは、耕作の目
的に供される土地をいい、「採草放牧地」と
は、農地以外の土地で、主として耕作又は
養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の
目的に供されるものをいう。
2 ~ 4 省 略
(所有者等を確知することができない場合に
おける農地の利用)
第43条 農業委員会は、第32条第 3 項(第33
条第 2 項において読み替えて準用する場合
を含む。以下この項において同じ。)の規定
による公示をした場合において、第32条第
3 項第 3 号に規定する期間内に当該公示に
係る農地(同条第 1 項第 2 号に該当するも
のを除く。)の所有者等から同条第 3 項第 3
号の規定による申出がないとき(その農地
(その農地について所有権以外の権原に基づ
き使用及び収益をする者がある場合には、
その権利)が数人の共有に係るものである
場合において、当該申出の結果、その農地
の所有者等で知れているものの持分が 2 分
の 1 を超えないときを含む。)は、農地中間
管理機構に対し、その旨を通知するものと
する。この場合において、農地中間管理機
構は、当該通知の日から起算して 4 月以内に、
─ 529 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
農林水産省令で定めるところにより、都道
府県知事に対し、当該農地を利用する権利
(以下「利用権」という。)の設定に関し裁
定を申請することができる。
2 ~ 7 省 略
3 適用関係
上記 2の改正は、法人が農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律(平成30年法律第23号)の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法
人税について適用し、法人が同日前に行った土地等の譲渡に係る法人税については、なお従前の例によることとされています(改正措令附則 1 十二、28②)。連結納税制度の場合についても同様です。
(注) 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する
法律(平成30年法律第23号)の施行の日は、同
法の公布の日(平成30年 5 月18日)から起算し
て 6 月を超えない範囲内において政令で定める
日とされており(農経強化法改正法附則 1 )、そ
の政令は、今後定められます。
七 大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の場合等の課税の特例
1 改正前の制度の概要
⑴ 大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の場合の課税の特例 この制度は、法人の有する土地等につき一定の宅地造成事業が施行される場合において、その土地等と造成事業施行者の有する造成後の宅地との交換をしたとき又はその造成後の宅地を譲り受けることを約して造成事業施行者にその土地等を譲渡し、かつ、その譲渡をした事業年度においてその造成後の宅地を譲り受けたときは、その交換又は譲受けにより取得した宅地
(交換取得資産等)につき、その交換取得資産等の取得価額からその交換又は譲渡をした土地等(交換譲渡資産等)の譲渡直前の帳簿価額を控除した残額(圧縮限度額)の範囲内でその交換取得資産等の帳簿価額を損金経理により減額したとき等に限り、圧縮記帳ができるというものです(措法65の11)。
⑵ 大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例 この制度は、上記⑴の宅地を譲り受けることを約して造成事業施行者に土地等の譲渡をした
法人が、翌事業年度開始の日から所轄税務署長が認定する日までの期間内に上記⑴の宅地の譲受けをする見込みであることにつき所轄税務署長の承認を受けたときは、その宅地の取得価額の見積額からその土地等の譲渡直前の帳簿価額を控除した金額(圧縮予定限度額)の範囲内で、その譲渡をした事業年度の確定した決算において特別勘定を設ける方法等により経理した場合に限り、大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の場合の課税の特例(上記⑴)に準じて、課税の特例が適用できるというものです(措法65の12)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の措置が講じられています(措法68の82、68の83)。
2 改正の内容
上記 1 ⑴の新規事業の認定が平成17年度末で終了していること等といった現下の状況等を踏まえ、平成30年 3 月31日をもって、制度が廃止されました(旧措法65の11、65の12、旧措令39の 9 、旧措規22の 9 )。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(旧措法68の82、68の83、旧措令39の108、旧措規22の71)。
─ 530 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
3 適用関係
上記 2の改正は、法人が平成30年 4 月 1 日前に行った土地等の交換又は譲渡に係る法人税につい
ては、なお従前の例によることとされています(改正法附則97②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則114②)。
八 その他の土地税制
1 収益認識に関する会計基準への対応
⑴ 改正の内容 平成30年 3 月30日に公表された収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」をいいます。以下同じです。)を踏まえ、今回の法人税法の改正においては、収益の額として益金の額に算入する金額を、原則として、その販売若しくは譲渡をした資産の引渡しの時における価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額とすること
(法法22の 2 ④)等が明確化されました。(注) 上記の「収益認識に関する会計基準」及び
「収益認識に関する会計基準の導入による法人
税法の改正」の詳細については、前掲「法人
税法等の改正」の「一 収益認識に関する会
計基準等への対応」をご参照ください。
この法人税法の改正に伴い、土地の譲渡等がある場合の特別税率について、譲渡利益金額の算定における土地の譲渡等による収益の額は、土地の譲渡等が、土地等の譲渡である場合には土地等の譲渡の時における価額とし、その有する資産が主として土地等である法人の発行する株式又は出資で、土地等の譲渡に類するものである場合には株式又は出資の譲渡の時における有償によるその株式又は出資の譲渡により通常得べき対価の額とすることが明確化されました
(措令38の 4 ③一・二)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措令39の97②一・二)。
⑵ 適用関係 この制度は、平成32年 3 月31日までにした土地の譲渡等については適用が停止されていることから(措法62の 3 ⑮)、経過措置は設けられていません。連結納税制度の場合についても同様です。
2 追加課税の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定の所要の整備
⑴ 改正の内容 土地の譲渡等がある場合の特別税率又は短期所有に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率について、それぞれの制度の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定については、連結納税の承認を取り消された場合の取戻し課税の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定と同様に、これらの制度から法人税法及び地方法人税法の規定を読み替えるのではなく、これらの制度に使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例において定められた調整規定(措法62⑦⑧、措令38⑤)を準用する規定が設けられました(措法62の 3 ⑬⑭、63⑥⑦、措令38の 4 �、38の 5 �)。
(注) 上記の「連結納税の承認を取り消された場
合の取戻し課税の適用がある場合における法
人税法及び地方法人税法の規定との調整に係
る規定」の改正については前述「第一 税額
控除関係」の「十 その他の税額控除制度」
の 2を、上記の「使途秘匿金の支出がある場
合の課税の特例において定められた調整規定」
の詳細については後述「第五 その他の特別
─ 531 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
措置関係」の「七 その他の特別措置」の 2を、
それぞれご参照ください。
なお、法人税法第67条(特定同族会社の特別税率)の規定との調整に係る規定は、引き続き読替え規定とされています(措法62の 3 ⑫、63⑤)。 また、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の68⑬⑭、68の69⑥⑦、措令39の97⑲⑳、39の98��)。
⑵ 適用関係 上記⑴の改正は、法人の平成31年10月 1 日前に開始した前課税事業年度、課税事業年度及び各課税事業年度におけるその改正後の規定の適用については、10.3%を4.4%とする読替え規定が設けられています(改正措令附則27)。
(注) 前課税事業年度とは、地方法人税法第16条
第 1 項第 1 号に規定する前課税事業年度をい
い、課税事業年度とは、同法第23条第 1 項本
文に規定する課税事業年度をいい、各課税事
業年度とは、同法第29条第 2 項の各課税事業
年度をいいます。
また、連結納税制度の場合については、連結親法人又は当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が平成31年10月 1 日前に開始した連結事業年度並びに連結法人の同日前に開始した前課税事業年度、課税事業年度及び各課税事業年度におけるその改正後の規定の適用については、10.3%を4.4%とする読替え規定が設けられています(改正法附則113、改正措令附則40)。
第五 その他の特別措置関係
一 沖縄の認定法人の課税の特例(連結:連結法人である沖縄の認定法人の課税の特例)
1 改正前の制度の概要
この制度は、次の⑴及び⑵の措置によって構成されています。
⑴ 情報通信産業特別地区に係る措置及び国際物流拠点産業集積地域に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する内国法人で次の表の法人に該当するものが、その内国法人の設立の日から同日以後10年を経過する日までの期間内に終了する各事業年度において、同表の地区内で行われる同表の事業(以下「特定事業」といいます。)に係る所得の金額を有する場合には、その軽減対象所得金額の40%相当額の所得控除ができるというものです(措法60①、措令36②~④⑦)。
法 人 地 区 事 業
①
沖縄振興特別措置法の沖縄県知事の認定を同知事が情報通信産業振興計画を主務大臣に提出した日から平成31年 3 月31日までの間に受けた法人
提出情報通信産業振興計画において情報通信産業特別地区として定められている地区
特定情報通信事業
②
沖縄振興特別措置法の沖縄県知事の認定を同知事が国際物流拠点産業集積計画を主務大臣に提出した日から平成31年 3 月31日までの間に受けた法人
提出国際物流拠点産業集積計画において国際物流拠点産業集積地域として定められている地区
特定国際物流拠点事業
─ 532 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
(注) 軽減対象所得金額とは、特定事業により生
じた所得のみについて法人税を課するものと
した場合に課税標準となるべき所得の金額を
いい、全所得金額を限度とすることとされて
います(措法60①、措令36③)。
⑵ 経済金融活性化特別地区に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する内国法人で、沖縄振興特別措置法の経済金融活性化特別地区の指定の日以後に設立され、かつ、同地区の区域内に本店又は主たる事務所を有するものであって、同地区の区域内において認定経済金融活性化計画に定められた特定経済金融活性化産業に属する事業を営む法人としてその指定の日から平成31年 3 月31日までの間に沖縄県知事の認定を受けたものが、その設立の日から同日以後10年を経過する日までの期間内に終了する各事業年度において、その事業年度の所得の金額を有する場合には、その金額の40%相当額に特区内従業員数割合を乗じた金額の所得控除ができるというものです(措法60②、措令36⑤~⑧)。
(注) 特区内従業員数割合とは、適用対象法人の
その適用事業年度終了の日における経済金融
活性化特別地区内において常時使用する従業
員(その法人の役員と特殊の関係のある者及
びその法人の使用人としての職務を有する役
員を除きます。以下同じです。)の数のその適
用対象法人の同日における常時使用する従業
員の総数に対する割合をいいます(措令36⑧)。
ただし、沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除制度(措法42の 9 )、特定地域における工業用機械等の特別
償却制度(措法45)又は国家戦略特別区域における指定法人の課税の特例(措法61)との選択適用とされており、これらの制度の適用を受ける事業年度においては、この制度の適用を受けることはできません(措法60③、61②四)。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の措置が講じられています(措法68の63)。
2 改正の内容
今回の法人税法の改正における分配時調整外国税相当額の控除制度(法法69の 2 )及び分配時調整外国税相当額の損金不算入制度(法法41の 2 )の創設に伴い、情報通信産業特別地区に係る措置及び国際物流拠点産業集積地域に係る措置(上記⑴)の軽減対象所得金額及び全所得金額並びに経済金融活性化特別地区に係る措置(上記⑵)の適用を受ける事業年度の所得の金額を計算する場合には、分配時調整外国税相当額の損金不算入制度を適用しないで計算するものとすることとされました(措令36⑦)。
(注) 上記の「分配時調整外国税相当額の損金不算
入制度」の詳細については、後掲「国際課税関
係の改正」の「三 集団投資信託の収益の分配
等に係る二重課税調整の改正」をご参照ください。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措令39の90⑦)。
3 適用関係
上記 2の改正は、平成32年 1 月 1 日から施行されます(改正措令附則 1 四)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則 1 四)。
─ 533 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
二 国家戦略特別区域における指定法人の課税の特例(連結:国家戦略特別区域における連結法人である指定法人の課税の特例)
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する内国法人で各事業年度終了の日において国家戦略特別区域法の指定を受けた法人に該当するもの(国家戦略特別区域法の一部を改正する法律(平成28年法律第55号)の施行の日(平成28年 9 月 1 日)から平成30年 3 月31日までの間に国家戦略特別区域法の指定を受けたものに限ります。)が、国家戦略特別区域内において行われる特定事業に係る所得の金額を有する場合には、その設立の日から 5 年間、その金額の20%相当額の所得控除ができるというものです(措法61①)。 ただし、国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等若しくは法人税額の特別控除制度(措法42の10)、国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却若しくは法人税額の特別控除制度(措法42の11)又は沖縄の認定法人の課税の特例(措法60)との選択適用とされており、これらの制度の適用を受ける事業年度においては、この制度の適用を受けることはできません(措法61②)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の63の 2 )。
2 改正の内容
⑴ 軽減対象所得金額及び全所得金額の見直し 今回の法人税法の改正における分配時調整外
国税相当額の控除制度(法法69の 2 )及び分配時調整外国税相当額の損金不算入制度(法法41の 2 )の創設に伴い、軽減対象所得金額及び全所得金額を計算する場合には、分配時調整外国税相当額の損金不算入制度を適用しないで計算するものとすることとされました(措令37④)。
(注) 上記の「分配時調整外国税相当額の損金不
算入制度」の詳細については、後掲「国際課
税関係の改正」の「三 集団投資信託の収益
の分配等に係る二重課税調整の改正」をご参
照ください。
⑵ 適用期限の延長 制度の適用期限が、平成32年 3 月31日まで 2年延長されました(措法61①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の改正が行われています(措法68の63の 2 ①、措令39の90の 2 ④)。
3 適用関係
上記 2 ⑴の改正は、平成32年 1 月 1 日から施行されます(改正措令附則 1 四)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則 1 四)。
─ 534 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
三 特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例(連結:特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る連結所得の計算の特例)(創設)
1 制度創設の経緯及び趣旨
「未来投資戦略2017- Society 5.0の実現に向けた改革(平成29年 6 月 9 日閣議決定)」において、
「戦略分野における取組を強力に推進することにより、新たなフロンティアを異次元の範囲とスピードで切り開いていく」こととされました。この
「未来投資戦略2017」等を踏まえた特に政策的意義が高いと考えられる 3 つの類型の事業活動(新市場開拓事業活動・価値創出基盤構築事業活動・中核的事業強化事業活動)について、迅速に事業再編を進めることが重要です。しかし、このような事業再編の中には、これを現金対価で行おうとすると大規模な買収原資が必要となるものがあり、財務の健全性の悪化が懸念されます。また、被買収企業の全株式を株式交換で取得する場合には迅速さが損なわれますが、全株式を取得せずとも被買収企業の支配権を獲得できさえすれば目的を達成できるような場合も想定されます。 そこで、事業再編及び外部経営資源の活用の支援のための措置等として、株式を対価とする他の株式会社の株式等の取得に際しての株式の発行等に関する会社法の特例措置を講ずること等を内容とする「産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」が、平成30年 2 月 9 日に閣議決定・国会提出がされ、同年 5 月16日に可決・成立し、法律第26号として公布されています。 さらに、その産業競争力強化法の改正を前提に、上記の 3 つの類型の事業活動のうち、大規模な買収で株式交換による場合よりも迅速に実施することができると認められる事業再編について、企業の「戦略分野への選択と集中」などを強力に推し進める観点から、自己株式を対価とした公開買付けなど、任意の株式の交換に係る税制の特例措置
を講ずることとされました。すなわち、上記の 3つの類型の事業活動を行うことによって、新需要を相当程度開拓するとともに、著しい生産性向上を達成する取組のうち、大規模な買収原資が必要で、かつ、迅速に行われるべき買収について、産業競争力強化法に基づく認定制度の対象とされ、その認定を受けた事業者が同法の特別事業再編計画に基づき自己株式を対価とした公開買付けなどを行った場合には、その任意の株式の交換について、交換に応じた株主のその譲渡した株式に対する譲渡損益の計上を繰り延べることとされました。
(注) 法人税法における組織再編税制では、単なる
資産ではなく「事業」を移転する場合について、
その事業の支配が継続することを要件に、譲渡
損益の計上を繰り延べることとされています。
そのため、公開買付けなどにより、株主が株式
対価での買収に応ずる場合には、その株式の譲
渡は、事業の移転とはいえず、法人税法上、譲
渡損益の計上が繰り延べられる組織再編には該
当しません。また、単なる株式の譲渡であっても、
「強制的な」株式の譲渡で投資が継続しているも
のについては、その譲渡損益の計上を繰り延べ
ることとされていますが、今般の措置の対象で
ある公開買付けなどによる株式の譲渡は、「任
意」の株式の譲渡に該当します。これらの観点
から、法人税法ではなく、租税特別措置法に位
置付けることとされました。
2 制度の概要
この制度は、法人が、産業競争力強化法等の一部を改正する法律(平成30年法律第26号)の施行の日から平成33年 3 月31日までの間に産業競争力強化法の特別事業再編計画について認定を受けた法人(以下「認定特別事業再編事業者」といいま
─ 535 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
す。)の行ったその認定に係る特別事業再編計画(変更の認定があった場合には、その変更後のものとされています。)に係る同法の特別事業再編によりその有する他の法人(以下「特別事業再編対象法人」といいます。)の株式(出資を含みます。以下「株式等」といいます。)を譲渡し、その認定特別事業再編事業者の株式の交付を受けた場合におけるその譲渡した株式等については、その譲渡した株式等に係る譲渡対価の額は、譲渡原価の額とする、すなわち、譲渡利益額又は譲渡損失額を計上しないというものです(措法66の 2 の2 ①)。また、その特別事業再編により交付を受けたその認定特別事業再編事業者の株式の取得価額は、その特別事業再編に係る譲渡した株式等のその譲渡の直前の帳簿価額に相当する金額とされています(措令39の10の 3 ①一)。すなわち、法人が、認定特別事業再編事業者の行った産業競争力強化法の認定に係る特別事業再編計画に係るその特別事業再編によりその有する特別事業再編対象法人の株式等を譲渡し、その認定特別事業再編事業者の株式の交付を受けた場合には、その特別事業再編対象法人の株式等の譲渡損益の計上を繰り延べることとされます。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の86①)。
3 制度の内容
⑴ 適用対象法人 適用対象法人は、特に限定はなく、青色申告書の提出要件も付されていません(措法66の 2の 2 ①)。
⑵ 譲渡利益額又は譲渡損失額の繰延べ 法人が、認定特別事業再編事業者の行った産業競争力強化法の認定に係る特別事業再編計画
(変更の認定があった場合には、その変更後のものとされています。)に係る同法の特別事業再編によりその有する特別事業再編対象法人の株式等を譲渡し、その認定特別事業再編事業者の株式の交付を受けた場合におけるその譲渡し
た株式等に係る法人税法第61条の 2 第 1 項の規定の適用については、同項第 1 号に掲げる金額は、同項第 2 号に掲げる金額に相当する金額とされています(措法66の 2 の 2 ①)。すなわち、その特別事業再編対象法人の株式等の譲渡について算入すべき益金の額又は損金の額は、ないこととされます。 また、その特別事業再編により交付を受けたその認定特別事業再編事業者の株式(以下「交付株式」といいます。)の取得価額は、法人税法施行令第119条第 1 項の規定にかかわらず、その特別事業再編に係る譲渡した株式等(以下
「譲渡株式等」といいます。)のその譲渡の直前の帳簿価額(その交付株式の交付を受けるために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額とされています。)に相当する金額とされています(措令39の10の 3 ①一)。 なお、この譲渡利益額又は譲渡損失額の繰延べの適用は、選択制ではありませんので、申告要件等は付されていません。
(注) 上記のほか、特別事業再編対象法人の株主
等の法人税に関する法令の規定の適用につい
て、次のとおり定められています。
① 交付株式で、その交付の基因となった特
別事業再編に係る譲渡株式等が売買目的有
価証券とされていたもの(具体的には、法
人税法施行令第119条の12第 1 号から第 3 号
までに掲げる有価証券とされていたものを
いい、同令第119条の 2 第 2 項第 2 号に掲げ
る株式及び出資に該当するものを除きま
す。)は、売買目的有価証券とすることとさ
れています(措令39の10の 3 ①二)。
② 内国法人が完全支配関係のある他の法人
に対して譲渡損益調整資産に該当する特別
事業再編による譲渡株式等を譲渡した場合
には、法人税法第61条の 2 第 1 項第 1 号に
掲げる金額とされる譲渡原価の額を、その
譲渡に係る収益の額として譲渡損益調整資
産の譲渡利益額又は譲渡損失額を計算する
こととされています(措令39の10の 3 ①三)。
─ 536 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
⑶ 認定特別事業再編事業者 この制度における認定特別事業再編事業者とは、産業競争力強化法等の一部を改正する法律
(平成30年法律第26号)の施行の日から平成33年 3 月31日までの間に産業競争力強化法第25条第 1 項に規定する特別事業再編計画について同項の認定を受けた法人をいいます。 この特別事業再編計画とは、特別事業再編に関する計画をいい(産業競争力強化法25①)、特別事業再編とは、産業競争力強化法第 2 条第11項に規定する事業再編のうち、事業者が、その事業者と他の会社又は外国法人の経営資源を有効に組み合わせて一体的に活用して、その事業の全部又は一部の生産性を著しく向上させることを目指したものであって、次のいずれにも該当するものとされています(産業競争力強化法 2 ⑫)。① 次に掲げる措置のいずれかによる事業の全
部又は一部の構造の変更を行うものであること。ただし、その事業者(株式会社に限ります。)がその株式のみを対価として他の会社又は外国法人の株式等を取得する場合であって、その対価の額がその事業者の有する現金及び預金の額からその事業の継続のために当面必要な運転資金の額を控除した額を基礎として算出される一定の金額を上回るときに限ります。イ 他の会社の株式等の取得(その取得によ
りその他の会社0 0 0 0
が産業競争力強化法第 2 条第 8 項に規定する関係事業者となる場合に限ります。)
ロ 外国法人の株式等の取得(その取得により当該外国法人が産業競争力強化法第 2 条第 9 項に規定する外国関係法人となる場合に限ります。)
② 産業競争力強化法第 2 条第 3 項に規定する新事業活動であって、次に掲げる事業活動のいずれかを行うことにより、その事業活動に係る商品又は役務の新たな需要を相当程度開拓するものであること。
イ 上記①イ又はロに掲げる措置により関係事業者となる他の会社又は外国関係法人となる外国法人(以下「関係事業者等」といいます。)の革新的な技術又は事業の実施の方式(商品の生産若しくは販売の方式又は役務の提供の方式をいいます。)を活用して行う事業活動であって、国内外の市場において著しい成長発展が見込まれる事業分野におけるもの(新市場開拓事業活動)
ロ 関係事業者等の経営資源を活用して行う事業活動であって、相当数の事業者の事業活動に広く用いられる商品又は役務に係るもの(価値創出基盤構築事業活動)
ハ 関係事業者等の経営資源を活用して行う事業活動であって、上記①イ又はロに掲げる措置により中核的事業(その事業者が行う他の事業に比して現に生産性が高い事業又は将来において高い生産性が見込まれる事業をいいます。)の売上高等のその事業者が行う全ての事業の売上高等の総額に対する割合が相当程度増加すると見込まれる場合におけるその中核的事業に係るもの
(中核的事業強化事業活動)(注 1 ) 産業競争力強化法等の一部を改正する法
律(平成30年法律第26号)の施行の日は、
同法の公布の日(平成30年 5 月23日)から
起算して 6 月を超えない範囲内において政
令で定める日とされています(産競法等改
正法附則 1 )。(注 2 ) 上記①の一定の金額は、特別事業再編計
画の開始の直前の事業年度に計上されてい
る現金及び預金の帳簿価額から売上債権の
帳簿価額及び棚卸資産の帳簿価額を減算し、
仕入債務の帳簿価額を加算した額とされる
予定です。(注 3 ) 上記②イの「国内外の市場において著し
い成長発展が見込まれる事業分野」は、「未
来投資戦略2017」に掲げられた「健康寿命
の延伸」・「移動革命の実現」・「サプライチ
ェーンの次世代化」・「快適なインフラ・ま
─ 537 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ちづくり」・「FinTech」の 5 つの分野を中
心に、次の事業分野が示される予定です。
① 健康、医療又は介護に関する事業分野
② 移動の次世代化に関する事業分野
③ 製品等の供給に係るプロセスの次世代
化に関する事業分野
④ 快適なインフラ・まちづくりに関する
事業分野
⑤ 先端技術を活用した金融関連サービス
に関する事業分野(注 4 ) 上記②ハの売上高等とは、売上高又は総
資産とされる予定です。(注 5 ) 関係法令については、下記の(参考 1)
をご参照ください。
⑷ 認定特別事業再編事業者が取得した特別事業再編対象法人の株式等の取得価額及び認定特別事業再編事業者における増加資本金等の額等 認定特別事業再編事業者に該当する法人が上記⑵の認定に係る特別事業再編計画に係る特別事業再編により譲渡株式等を取得し、交付株式を交付した場合におけるその譲渡株式等の取得価額及び増加資本金等の額は、次のとおりとされています。① 特別事業再編対象法人の株式等の取得価額
上記⑵の認定に係る特別事業再編計画に係る特別事業再編により取得した譲渡株式等の取得価額は、法人税法施行令第119条第 1 項の規定にかかわらず、次の場合の区分に応じそれぞれ次の金額とされています(措令39の10の 3 ②一)。イ その特別事業再編計画に係る上記⑵の認
定の日において株主等の数が50人未満である特別事業再編対象法人の譲渡株式等の取得をした場合……その特別事業再編対象法人の株主等が有していたその譲渡株式等のその取得の直前における帳簿価額に相当する金額(その譲渡株式等の取得をするために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
(注) 特別事業再編により取得した譲渡株式
等の取得価額は、その株主等が公益法人
等又は人格のない社団等であり、かつ、
その譲渡株式等がその収益事業以外の事
業に属するものであった場合にはその譲
渡株式等の価額としてその認定特別事業
再編事業者に該当する法人の帳簿に記載
された金額(その譲渡株式等の取得をす
るために要した費用がある場合には、そ
の費用の額を加算した金額)とし、その
株主等が個人である場合にはその個人が
有していたその譲渡株式等のその取得の
直前における取得価額(その譲渡株式等
の取得をするために要した費用がある場
合には、その費用の額を加算した金額)
とされています。
ロ その特別事業再編計画に係る上記⑵の認定の日において株主等の数が50人以上である特別事業再編対象法人の譲渡株式等の取得をした場合……その特別事業再編対象法人の前期期末時の簿価純資産価額にその特別事業再編対象法人のその取得の日における発行済株式の総数のうちにその取得をしたその譲渡株式等の数又は金額の占める割合を乗ずる方法その他一定の方法により計算した金額(その譲渡株式等の取得をするために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
(注 1 ) 前期期末時とは、その特別事業再編
対象法人のその取得の日を含む事業年
度の前事業年度終了の時をいいます
(措令39の10の 3 ②一)。ただし、同日
以前 6 月以内に中間申告書又は連結中
間申告書を提出し、かつ、その提出の
日からその取得の日までの間に確定申
告書又は連結確定申告書を提出してい
なかった場合には、その中間申告書又
は連結中間申告書に係る期間、すなわ
ちその取得の日を含む事業年度開始の
日以後 6 月の期間終了の時とされてい
─ 538 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ます(措令39の10の 3 ②一)。(注 2 ) 簿価純資産価額とは、資産の帳簿価
額から負債(新株予約権に係る義務を
含みます。)の帳簿価額を減算した金額
をいい、その前期期末時からその取得
の日までの間に資本金等の額若しくは
連結個別資本金等の額又は利益積立金
額若しくは連結個別利益積立金額(期
末の増減項目と投資簿価修正額を除き
ます。)が増加し、又は減少した場合に
は、その増加した金額を加算し、又は
その減少した金額を減算した金額とさ
れています(措令39の10の 3 ②一)。(注 3 ) 発行済株式の総数は、出資の場合に
は総額とされています(措令39の10の
3 ②一)。ただし、その特別事業再編対
象法人が有する自己の株式又は出資を
除くこととされています(措令39の10
の 3 ②一)。(注 4 ) 一定の方法は、前期期末時の簿価純
資産価額をその特別事業再編対象法人
のその取得の日における基準株式数
(会社法施行規則第25条第 4 項に規定す
る基準株式数をいいます。)で除し、こ
れにその取得をしたその特別事業再編
対象法人の各種類の株式の数に当該種
類の株式に係る株式係数(同条第 5 項
に規定する株式係数をいいます。)を乗
じて得た数の合計数を乗じて計算する
方法その他合理的な方法とされていま
す(措規22の 9 の 3 )。(注 5 ) 関係法令については、下記の(参考
2)をご参照ください。
② 認定特別事業再編事業者における増加資本金等の額等 認定特別事業再編事業者におけるその交付株式の交付により増加する資本金等の額は、その特別事業再編により移転を受けた特別事業再編対象法人の譲渡株式等の取得価額、すなわち上記①で算出された金額とされていま
す(措令39の10の 3 ②二)。ただし、その譲渡株式等の取得をするために要した費用の額が含まれている場合には、その費用の額を控除した金額とされています。 また、認定特別事業再編事業者に該当する法人がその交付株式の交付の直後に 2 以上の種類の株式を発行している場合には、その交付株式の交付に係る増加した資本金等の額をその交付株式の交付の直後の価額の合計額で除し、これにその交付株式のうちその種類の株式のその交付の直後の価額の合計額を乗じて計算した金額を、その種類の株式に係る種類資本金額に加算することとされています
(措令39の10の 3 ②三)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の86①、措令39の110、措規22の73の 2 )。(参考 1) 産業競争力強化法(平成25年法律第98
号)(産業競争力強化法等の一部を改正す
る法律(平成30年法律第26号)第 1 条の
規定による改正後)
(定義)
第 2 条 省 略
2 省 略
3 この法律において「新事業活動」とは、
新商品の開発又は生産、新たな役務の開
発又は提供、商品の新たな生産又は販売
の方式の導入、役務の新たな提供の方式
の導入その他の新たな事業活動であって、
産業競争力の強化に資するものとして主
務省令で定めるものをいう。
4 ~ 7 省 略
8 この法律において「関係事業者」とは、
事業者であって、他の事業者がその経営
を実質的に支配していると認められるも
のとして主務省令で定める関係を有する
ものをいう。
9 この法律において「外国関係法人」とは、
外国法人(新たに設立されるものを含
む。)であって、国内に本店又は主たる事
─ 539 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
務所を有する事業者がその経営を実質的
に支配していると認められるものとして
主務省令で定める関係を有するものをい
う。
10・11 省 略
12 この法律において「特別事業再編」とは、
事業再編のうち、事業者が、当該事業者
と他の会社又は外国法人の経営資源を有
効に組み合わせて一体的に活用して、そ
の事業の全部又は一部の生産性を著しく
向上させることを目指したものであって、
次の各号のいずれにも該当するものをい
う。
一 次に掲げる措置のいずれかによる事
業の全部又は一部の構造の変更を行う
もの(当該事業者(株式会社に限る。)
がその株式のみを対価として他の会社
又は外国法人の株式若しくは持分又は
これらに類似するものを取得する場合
であって、当該対価の額が当該事業者
の有する現金及び預金の額からその事
業の継続のために当面必要な運転資金
の額を控除した額を基礎として経済産
業省令で定めるところにより算出され
る額を上回るときに限る。)であること。
イ 他の会社の株式又は持分の取得(当
該取得により当該他の会社が関係事
業者となる場合に限る。)
ロ 外国法人の株式若しくは持分又は
これらに類似するものの取得(当該
取得により当該外国法人が外国関係
法人となる場合に限る。)
二 新事業活動であって、次に掲げる事
業活動のいずれかを行うことにより、
当該事業活動に係る商品又は役務の新
たな需要を相当程度開拓するものであ
ること。
イ 前号イ又はロに掲げる措置により
関係事業者となる他の会社又は外国
関係法人となる外国法人(ロ及びハ
において「関係事業者等」という。)
の革新的な技術又は事業の実施の方
式(商品の生産若しくは販売の方式
又は役務の提供の方式をいう。)を活
用して行う事業活動であって、第22
条第 2 項第 5 号に規定する事業分野
におけるもの
ロ 関係事業者等の経営資源を活用し
て行う事業活動であって、第22条第
2 項第 6 号に規定する商品又は役務
に係るもの
ハ 関係事業者等の経営資源を活用し
て行う事業活動であって、前号イ又
はロに掲げる措置により中核的事業
(当該事業者が行う他の事業に比して
現に生産性が高い事業又は将来にお
いて高い生産性が見込まれる事業を
いう。)の売上高その他の経済産業省
令で定める指標(以下このハにおい
て「売上高等」という。)の当該事業
者が行う全ての事業の売上高等の総
額に対する割合が相当程度増加する
と見込まれる場合における当該中核
的事業に係るもの
13~26 省 略
(事業再編の実施に関する指針)
第22条 省 略
2 実施指針においては、次に掲げる事項
について定めるものとする。
一~四 省 略
五 国内外の市場において著しい成長発
展が見込まれる事業分野及び当該事業
分野に係る特別事業再編に関し留意す
べき事項
六 相当数の事業者の事業活動に広く用
いられる商品又は役務及び当該商品又
は役務に係る特別事業再編に関し留意
すべき事項
3 ~ 5 省 略
(特別事業再編計画の認定)
─ 540 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
第25条 事業者は、その実施しようとする
特別事業再編に関する計画(以下「特別
事業再編計画」という。)を作成し、主務
省令で定めるところにより、これを主務
大臣に提出して、その認定を受けること
ができる。
2 2 以上の事業者がその特別事業再編の
ための措置を共同して行おうとする場合
にあっては、当該 2 以上の事業者は共同
して特別事業再編計画を作成し、前項の
認定を受けることができる。
3 特別事業再編計画には、次に掲げる事
項を記載しなければならない。
一 特別事業再編の目標
二 特別事業再編による生産性及び財務
内容の健全性の向上の程度を示す指標
三 特別事業再編の内容及び実施時期
四 特別事業再編の実施に必要な資金の
額及びその調達方法
五 特別事業再編に伴う労務に関する事
項
4 特別事業再編計画には、関係事業者及
び外国関係法人が当該事業者の特別事業
再編のために行う措置に関する計画を含
めることができる。
5 主務大臣は、第 1 項の認定の申請があ
った場合において、その特別事業再編計
画が次の各号のいずれにも適合するもの
であると認めるときは、その認定をする
ものとする。
一 当該特別事業再編計画が実施指針に
照らし適切なものであること。
二 当該特別事業再編計画に係る特別事
業再編が円滑かつ確実に実施されると
見込まれるものであること。
三 当該特別事業再編計画に係る特別事
業再編による生産性の向上が、当該事
業分野における市場構造に照らして、
持続的なものと見込まれるものである
こと。
四 当該特別事業再編計画に係る事業の
属する事業分野が過剰供給構造にある
場合にあっては、当該特別事業再編計
画に係る特別事業再編が、当該事業分
野の過剰供給構造の解消に資するもの
であること。
五 当該特別事業再編計画が従業員の地
位を不当に害するものでないこと。
六 次のイ及びロに適合するものである
こと。
イ 内外の市場の状況に照らして、当
該申請を行う事業者とその営む事業
と同一の事業分野に属する事業を営
む他の事業者との間の適正な競争が
確保されるものであること。
ロ 一般消費者及び関連事業者の利益
を不当に害するおそれがあるもので
ないこと。
6 主務大臣は、第 1 項の認定をしたときは、
主務省令で定めるところにより、当該認
定に係る特別事業再編計画の内容を公表
するものとする。
(特別事業再編計画の変更等)
第26条 前条第 1 項の認定を受けた者(以
下「認定特別事業再編事業者」という。)
は、当該認定に係る特別事業再編計画を
変更しようとするときは、主務省令で定
めるところにより、主務大臣の認定を受
けなければならない。
2 主務大臣は、認定特別事業再編事業者
又はその関係事業者若しくは外国関係法
人が当該認定に係る特別事業再編計画(前
項の規定による変更の認定があったとき
は、その変更後のもの。以下「認定特別
事業再編計画」という。)に従って特別事
業再編のための措置を行っていないと認
めるときは、その認定を取り消すことが
できる。
3 主務大臣は、認定特別事業再編計画が
前条第 5 項各号のいずれかに適合しない
─ 541 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ものとなったと認めるときは、認定特別
事業再編事業者に対して、当該認定特別
事業再編計画の変更を指示し、又はその
認定を取り消すことができる。
4 主務大臣は、前 2 項の規定による認定
の取消しをしたときは、その旨を公表す
るものとする。
5 前条第 5 項及び第 6 項の規定は、第 1
項の認定について準用する。(参考 2) 会社法施行規則(平成18年法務省令第
12号)
( 1 株当たり純資産額)
第25条 省 略
2 ・ 3 省 略
4 第 1 項に規定する「基準株式数」とは、
次に掲げる場合の区分に応じ、当該各号
に定める数をいう。
一 種類株式発行会社でない場合 発行
済株式(自己株式を除く。)の総数
二 種類株式発行会社である場合 株式
会社が発行している各種類の株式(自
己株式を除く。)の数に当該種類の株式
に係る株式係数を乗じて得た数の合計
数
5 第 1 項及び前項第 2 号に規定する「株
式係数」とは、 1 (種類株式発行会社に
おいて、定款である種類の株式について
の第 1 項及び前項の適用に関して当該種
類の株式 1 株を 1 とは異なる数の株式と
して取り扱うために 1 以外の数を定めた
場合にあっては、当該数)をいう。
6 省 略
4 適用関係
上記 3の制度は、産業競争力強化法等の一部を改正する法律(平成30年法律第26号)の施行の日から施行することとされています(改正法附則 1十三)。
四 特定の医療法人の法人税率の特例(連結:特定の医療法人である連結親法人の法人税率の特例)
1 改正前の制度の概要
この制度は、財団たる医療法人又は社団たる医療法人で持分の定めがないもののうち、その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたものについては、法人税率を19%(原則:23.2%)とするというものです(措法67の 2 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても同様の措置が講じられていますが、法人税率は20%(原則:23.2%)とされています(措法68の100)。
2 改正の内容
国税庁長官の承認及び承認の取消しに係る要件について、次の見直しが行われました。
⑴ 要件の緩和 「各事業年度においてその事業及び医療施設が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準を満たすものである旨の厚生労働大臣のその各事業年度に係る証明書の交付を受けること。」とする要件における「厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準」のうち「その医療法人の事業について、社会保険診療に係る収入金額及び健康増進事業に係る収入金額の合計額が、全収入金額の80%を超えること。」とする基準における収入金額の合計額に、次の収入金額が追加されました(措令39の25①一⑦、平15. 3 厚生労働告147一イ)。連結納税制度の場合についても同様です。① 予防接種法第 2 条第 6 項に規定する定期の
─ 542 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
予防接種等及び医療法施行規則第30条の35の3 第 1 項第 2 号ロの規定に基づき厚生労働大臣が定める予防接種に定める予防接種に係る収入金額
② 助産に係る収入金額 ただし、上記の「助産」からは、「社会保険診療及び健康増進事業に係るもの」を除くこととされており、上記の「収入金額」は、一の分娩に係る助産に係る収入金額が50万円を超えるときは、50万円を限度とすることとされています。
③ 介護保険法の規定による保険給付に係る収入金額 ただし、「租税特別措置法第26条第 2 項第4 号に掲げる保険給付に係る収入金額」は、改正前の判定要件の社会保険診療等に係る収入金額の範囲に既に含まれているため、上記の「収入金額」からは除くこととされています。
(注) 関係法令については、下記の(参考 1)及
び(参考 2)をご参照ください。
⑵ 要件の追加 要件に「その経理に関し次の基準に適合していること。」とする要件が追加されました(措令39の25①五)。連結納税制度の場合についても同様です。① 帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記
録し、かつ、その帳簿書類を保存していること。 なお、上記の「取引の記録及び帳簿書類の保存」は、法人税法施行規則第53条から第59条までの規定に準じて行うものとすることとされており(措規22の15①)、具体的には、次のとおり、青色申告法人並みの取引の記録及び帳簿書類の保存となります。イ 決算
その資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引につき、複式簿記の原則に従い、整然と、かつ、明瞭に記録し、その記録に
基づいて決算を行わなければならないこととなります(法規53)。
ロ 取引に関する帳簿及び記載事項 全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(以下「仕訳帳」といいます。)、全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(以下「総勘定元帳」といいます。)その他必要な帳簿を備え、取引に関する事項を記載しなければならないこととなります(法規54)。
ハ 仕訳帳及び総勘定元帳の記載方法 仕訳帳には、取引の発生順に、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額を記載しなければならないこととなり(法規55①)、総勘定元帳には、その勘定ごとに記載の年月日、相手方勘定科目及び金額を記載しなければならないこととなります(法規55②)。
ニ 棚卸表の作成 各事業年度終了の日において、商品又は製品(副産物及び作業くずを含みます。)、半製品、仕掛品(半成工事を含みます。)、主要原材料、補助原材料、消耗品で貯蔵中のものその他これらの資産に準ずる資産の棚卸その他決算のために必要な事項の整理を行い、その事績を明瞭に記録しなければならないこととなります(法規56①)。また、棚卸については、棚卸表を作成し、棚卸資産の種類、品質及び型の異なるごとに数量、単価及び金額を記載しなければならないこととなります(法規56②)。
ホ 貸借対照表及び損益計算書 各事業年度終了の日現在において、その業種、業態及び規模等の実情により、貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならないこととなります(法規57)。
ヘ 帳簿書類の記載事項等の省略 その業種、業態及び規模等により上記ロからニまでにより難いときは、これらによる記載事項等の一部を省略し又は変更することができることとなります(法規58)。
─ 543 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
ト 帳簿書類の整理保存 次の帳簿書類を整理し、起算日から 7 年間、これを納税地(下記ハの書類にあっては、その納税地又は下記ハの取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)に保存しなければならないこととなります(法規59①)。イ 仕訳帳、総勘定元帳その他必要な帳簿
並びにその法人の資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿
ロ 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類
ハ 取引に関して、相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し
なお、上記の「起算日」とは、帳簿についてはその閉鎖の日の属する事業年度終了の日の翌日から 2 月を経過した日をいい、書類についてはその作成又は受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から 2 月を経過した日をいいます(法規59②)。
② その支出した金銭でその費途が明らかでないものがあることその他の不適正な経理が行われていないこと。
なお、この要件の追加に伴い、承認に係る申請書の添付書類にこの要件を満たす旨を説明する書類が追加されました(措令39の25③三)。連結納税制度の場合についても同様です。(参考 1) 予防接種法(昭和23年法律第68号)
(定義)
第 2 条 省 略
2 ・ 3 省 略
4 この法律において「定期の予防接種」
とは、次に掲げる予防接種をいう。
一 第 5 条第 1 項の規定による予防接種
二 前号に掲げる予防接種に相当する予
防接種として厚生労働大臣が定める基
準に該当する予防接種であって、市町
村長以外の者により行われるもの
5 この法律において「臨時の予防接種」
とは、次に掲げる予防接種をいう。
一 第 6 条第 1 項又は第 3 項の規定によ
る予防接種
二 前号に掲げる予防接種に相当する予
防接種として厚生労働大臣が定める基
準に該当する予防接種であって、第 6
条第 1 項又は第 3 項の規定による指定
があった日以後当該指定に係る期日又
は期間の満了の日までの間に都道府県
知事及び市町村長以外の者により行わ
れるもの
6 この法律において「定期の予防接種等」
とは、定期の予防接種又は臨時の予防接
種をいう。
7 省 略(参考 2) 医療法施行規則第30条の35の 3 第 1 項
第 2 号ロの規定に基づき厚生労働大臣が
定める予防接種(平成29年厚生労働省告
示第314号)
一 麻しんに係る予防接種(予防接種法(昭
和23年法律第68号)第 2 条第 6 項に規定
する定期の予防接種等(以下「定期の予
防接種等」という。)を除く。)
二 風しんに係る予防接種(定期の予防接
種等を除く。)
三 インフルエンザに係る予防接種(定期
の予防接種等を除く。)
四 おたふくかぜに係る予防接種
五 ロタウイルス感染症に係る予防接種
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴の改正は、医療法人の平成30年 4 月1 日以後に開始する事業年度について適用し、医療法人の同日前に開始した事業年度については、なお従前の例によることとされています
(平30. 3 厚生労働告133前文)。連結納税制度の
─ 544 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
場合についても同様です。⑵ 上記 2 ⑵の改正は、医療法人の平成30年 4 月
1 日以後に開始する事業年度に係る承認又は承認の取消しについて適用し、医療法人の同日前に開始した事業年度に係る承認又は承認の取消しについては、なお従前の例によることとされています(改正措令附則31)。連結納税制度の場合についても同様です。
(注) 改正後の要件は、平成30年 4 月 1 日以後に
開始する事業年度に係る承認又は承認の取消
しについて適用することとされており、同日
以後に開始する事業年度についてのみ適用さ
れることから、同日前に開始した事業年度に
ついて、例えば上記 2 ⑵①トの帳簿書類保存
要件を満たしていないことをもって、同日以
後に開始する事業年度に係る承認が行われな
いこと又は承認の取消しが行われることはあ
りません。また、同日前に開始した事業年度
に係る承認又は承認の取消しについては、な
お従前の例によることとされており、同日前
に開始した事業年度においてすでに承認申請
をしている場合には、その申請事業年度にお
ける承認の判定は改正前の要件で行われ、帳
簿書類保存要件は適用されません。
五 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(連結:中小連結法人の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
1 改正前の制度の概要
この制度は、中小企業者等が、平成18年 4 月 1日から平成30年 3 月31日までの間に、取得価額が30万円未満の減価償却資産(以下「少額減価償却資産」といいます。)の取得又は製作若しくは建設をして、かつ、その中小企業者等の事業の用に供した場合に、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その取得価額の全額を損金算入できるというものです(措法67の 5 ①)。
(注 1 ) 中小企業者等とは、租税特別措置法第42条
の 4 第 3 項に規定する中小企業者又は農業協
同組合等で、青色申告書を提出するもの(事
務負担に配慮する必要があるものに限りま
す。)をいい(措法67の 5 ①)、中小企業者とは、
資本金の額若しくは出資金の額が 1 億円以下
の法人のうち次の法人以外の法人又は資本若
しくは出資を有しない法人のうち常時使用す
る従業員の数が1,000人以下の法人をいい(措
法42の 4 ⑧六、措令27の 4 ⑫)、農業協同組合
等とは、農業協同組合、農業協同組合連合会、
中小企業等協同組合、出資組合である商工組
合及び商工組合連合会、内航海運組合、内航
海運組合連合会、出資組合である生活衛生同
業組合、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、
水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連
合会、森林組合並びに森林組合連合会をいい
ます(措法42の 4 ⑧七)。
① その発行済株式又は出資の総数又は総額
の 2 分の 1 以上が同一の大規模法人の所有
に属している法人(措令27の 4 ⑫一)
② その発行済株式又は出資の総数又は総額
の 3 分の 2 以上が大規模法人の所有に属し
ている法人(措令27の 4 ⑫二)(注 2 ) 事務負担に配慮する必要があるものとは、
常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
をいいます(措令39の28①)。(注 3 ) 大規模法人とは、資本金の額若しくは出資
金の額が 1 億円を超える法人又は資本若しく
は出資を有しない法人のうち常時使用する従
業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小
企業投資育成株式会社を除くこととされてい
ます(措令27の 4 ⑫一)。
ただし、各事業年度において取得又は製作若しくは建設をした少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円を超えるときは、その取得価額の
─ 545 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
合計額のうち300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額を限度とすることとされています。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の102の 2 )。
2 改正の内容
⑴ 適用要件の見直し 中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものの事業年度においては、この制度の適用を停止することとされました(措法67の 5 ①)。
(注) 適用除外事業者とは、租税特別措置法第42
条の 4 第 8 項第 6 号の 2 に規定する適用除外
事業者をいいます(前述「第一 税額控除関
係」の「二 高度省エネルギー増進設備等を
取得した場合の特別償却又は法人税額の特別
控除制度」の 3 ⑸(注 2 )参照)。
⑵ 適用期限の延長 制度の適用期限が、平成32年 3 月31日まで 2年延長されました(措法67の 5 ①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の改正が行われています(措法68の102の 2 ①)。
3 適用関係
上記 2 ⑴の改正は、法人の平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用することとされています(平29改正法附則62①)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用することとされています(平29改正法附則75③)。
六 電子情報処理組織による申告の特例(創設)
1 制度創設の経緯及び趣旨
官民あわせたコストの削減や企業の生産性向上を推進する観点から、申告データを円滑に電子提出できるように環境整備を進めつつ、まずは大法人について、電子申告の義務化が行われることになりました。
(注) 上記の「大法人による電子申告の義務化」に
ついての経緯及び趣旨の詳細については、前掲
「法人税法等の改正」の「二 申告書の電子情報
処理組織による提出義務の創設その他税務手続
の電子化の推進」の 1をご参照ください。
2 制度の概要
この制度は、法人税法又は地方法人税法の特定法人である内国法人が租税特別措置法の規定その他法人税又は地方法人税に関する特例を定めている規定(以下「法人税等特例規定」といいます。)の適用を受ける場合には、法人税等特例規定による添付書類について、法人税法又は地方法人税法
において電子情報処理組織を使用する方法により提供すること(以下「電子申告」といいます。)により、行わなければならないこととされている添付書類記載事項に係る添付書類に含めることによって、電子申告の義務化の対象とするというものです(措法68の 4 )。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の112)。
3 制度の内容
⑴ 適用対象法人 適用対象となる法人は、法人税法第75条の 3第 2 項に規定する特定法人又は地方法人税法第19条の 2 第 2 項に規定する特定法人である内国法人とされています(措法68の 4 )。
⑵ 適用対象規定 適用対象となる規定は、租税特別措置法第 3章(第 9 節から第25節までを除きます。)の規定(これに基づく命令を含みます。)その他法
─ 546 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
人税又は地方法人税に関する特例を定めている規定(以下「法人税等特例規定」といいます。)とされています(措法68の 4 )。 これに基づく命令は、租税特別措置法に基づく命令、すなわち、租税特別措置法施行令及び租税特別措置法施行規則となります。 また、法人税又は地方法人税に関する特例を定めている規定は、次の規定とされています
(措法68の 4 、措令39の36)。① 貿易保険法第37条(第 4 項から第 6 項まで
を除きます。)(法人税に係る課税の特例)② 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法
律第58条(課税の特例)③ 沖縄の復帰に伴う国税関係法令の適用の特
別措置等に関する政令第63条の 3 (特定駐留軍用地等を譲渡した場合の所得の特別控除)
④ 所得税法等の一部を改正する等の法律(平成18年法律第10号)附則第109条第 5 項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第13条の規定による改正前の租税特別措置法第55条の 6 (特定災害防止準備金)
⑤ 所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第 9 号)附則第79条第14項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第8 条の規定による改正前の租税特別措置法第47条の 2 (特定再開発建築物等の割増償却)
⑥ 所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第92条第 8 項若しくは第10項又は第93条第 2 項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第10条の規定による改正前の租税特別措置法第47条(サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却)、第48条(倉庫用建物等の割増償却)又は第56条(新幹線鉄道大規模改修準備金)
⑦ 所得税法等の一部を改正する等の法律(平成29年法律第 4 号)附則第67条第 7 項若しくは第 9 項、第68条又は第69条第 9 項若しくは第11項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第12条の規定による改正前の租税特別措置法第47条(サービス付き高齢者
向け賃貸住宅の割増償却)、第47条の 2 (特定都市再生建築物等の割増償却)、第55条の3 (特定事業再編投資損失準備金)又は第65条の 7 から第65条の 9 まで(特定の資産の買換えの場合等の課税の特例)
⑧ 所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第 7 号)附則第94条第 4 項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第15条の規定による改正前の租税特別措置法第46条の 2 (次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の次世代育成支援対策資産の割増償却)
(注) 関係法令については、下記の(参考 1)及
び(参考 2)をご参照ください。
⑶ 措置の内容 今回の法人税法等の改正によって、次の措置が講じられました(法法75の 3 、75の 4 、法令150の 3 、法規36の 3 の 2 、36の 3 の 3 )。① 電子情報処理組織による申告
特定法人である内国法人は、納税申告書により行うこととされ、又は法人税法(これに基づく命令を含みます。以下同じです。)若しくは国税通則法第18条第 3 項若しくは第19条第 4 項の規定により納税申告書に添付すべきものとされている書類(以下「添付書類」といいます。)を添付して行うこととされている各事業年度の所得に対する法人税の申告については、納税申告書に記載すべきものとされている事項(以下「申告書記載事項」といいます。)又は添付書類に記載すべきものとされ、若しくは記載されている事項(以下
「添付書類記載事項」といいます。)を、あらかじめ税務署長に届け出て行う電子情報処理組織を使用する方法により提供することにより、行わなければならないこととされ(法法75の 3 ①)、すなわち、電子申告の義務化が行われました。
(注 1 ) 特定法人とは、次の法人をいいます(法
法75の 3 ②)。
─ 547 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
イ その事業年度開始の時における資本
金の額又は出資金の額が 1 億円を超え
る法人
ロ 相互会社
ハ 投資法人
ニ 特定目的会社(注 2 ) 納税申告書は、中間申告書若しくは確
定申告書又はこれらの申告書に係る修正
申告書とされています。(注 3 ) これに基づく命令は、法人税法に基づ
く命令、すなわち、法人税法施行令、法
人税法施行規則及び減価償却資産の耐用
年数等に関する省令となります。(注 4 ) 「添付書類に記載すべきものとされ、若
しくは記載されている事項」のうち、「記
載すべきものとされている事項」は法人
が作成する書類の記載事項のことであり、
「記載されている事項」は第三者作成書類
の記載事項のことです。(注 5 ) 電子情報処理組織とは、国税庁の使用
に係る電子計算機(入出力装置を含みま
す。)とその申告をする内国法人の使用に
係る電子計算機とを電気通信回線で接続
した電子情報処理組織をいいます。
この電子情報処理組織を使用する方法により行われた申告については、申告書記載事項が記載された納税申告書により、又はこれに添付書類記載事項が記載された添付書類を添付して行われたものとみなして、法人税法、国税通則法(第124条を除きます。)、地方法人税法、租税特別措置法、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律その他の法人税の申告に関する法令の規定を適用することとされています
(法法75の 3 ③、法令150の 3 )。 なお、電子申告の方法は、具体的には、次の事項の区分に応じそれぞれ次のとおりとされています。イ 申告書記載事項……電子情報処理組織を
使用して、申告書記載事項を入力して送信する方法により提供することとされています(法法75の 3 ①、法規36の 3 の 2 ③一)。
ロ 添付書類記載事項……次のイ又はロのいずれかの方法により提供することとされています(法法75の 3 ①、法規36の 3 の 2 ③二)。また、次のハの方法により行うこともできることとされています(法法75の 3①ただし書、法規36の 3 の 2 ⑤)。イ 電子情報処理組織を使用して、添付書
類記載事項を入力して送信する方法ロ 添付書類記載事項が記載された書類を
スキャナにより読み取る方法その他これに類する方法により作成した電磁的記録を、電子情報処理組織を使用して送信する方法(上記イの方法につき国税庁の使用に係る電子計算機において用いることができない場合に限ります。)
ハ 添付書類記載事項の電磁的記録を記録した光ディスク、磁気テープ又は磁気ディスクを提出する方法
② 電子情報処理組織による申告が困難である場合の特例 特定法人である内国法人が、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合で、かつ、書面による納税申告書の提出をすることができると認められる場合において、書面により納税申告書を提出することについて納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、その税務署長が指定する期間内に行う法人税の申告については、書面により行うことができることとされました(法法75の 4 ①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記①及び②と同様の措置が講じられています(法法81の24の 2 、81の24の 3 、法令155の47の 2 、法規37の15の 2 、37の15の 3 )。 また、地方法人税法においても、上記①及び②と同様の措置が講じられています(地法法19
─ 548 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
の 2 、19の 3 、地法令 4 の 2 、地法規 8 )。(注) 「電子情報処理組織を使用して申告書記載事
項又は添付書類記載事項を提供しようとする
場合における届出その他上記①及び②の法人
税法及び地方法人税法の改正」の詳細につい
ては、前掲「法人税法等の改正」の「二 申
告書の電子情報処理組織による提出義務の創
設その他税務手続の電子化の推進」の 1をご
参照ください。
これらの法人税法及び地方法人税法の改正を踏まえ、租税特別措置法における電子情報処理組織による申告の特例として、法人税等特例規定の適用を受ける場合において法人税等特例規定により確定申告書等に添付すべきものとされている書類を、法人税法及び地方法人税法における添付書類記載事項に係る添付書類に含めることとされ(措法68の 4 )、法人税等特例規定による添付書類についても、法人税法及び地方法人税法における上記①及び②の制度が適用されることとなり、電子申告の義務化の対象とされました。
(注) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30号
に規定する中間申告書で同法第72条第 1 項各
号に掲げる事項を記載したもの及び同法第144
条の 4 第 1 項各号又は第 2 項各号に掲げる事
項を記載したもの並びに同法第 2 条第31号に
規定する確定申告書をいいます(措法 2 ②
二十七)。すなわち、仮決算をした場合の中間
申告書及び確定申告書をいい、確定申告書には、
その確定申告書に係る期限後申告書を含むこ
ととされています。
⑷ 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の措置が講じられています(措法68の112、措令39の131)。(参考 1) 貿易保険法(昭和25年法律第67号)
(法人税に係る課税の特例)
第37条 会社が、各事業年度について青色
申告書を提出する法人である場合におい
て、当該事業年度において、責任準備金
の積立てに当たり、保険契約等に基づく
債務の履行に備えるため、当該事業年度
の決算において積み立てる責任準備金の
金額のうち外国貿易その他の対外取引に
おいて生ずる為替取引の制限その他通常
の保険によつて救済することができない
危険で将来発生が見込まれるものを勘案
して財務省令で定める金額以下の金額を
損金経理(法人税法(昭和40年法律第34
号)第72条第 1 項第 1 号に掲げる金額を
計算する場合にあつては、同項に規定す
る期間に係る決算において費用又は損失
として経理することをいう。)の方法によ
り異常危険準備金として積み立てたとき
(当該事業年度の決算の確定の日までに剰
余金の処分により積立金として積み立て
る方法により異常危険準備金として積み
立てたときを含む。)は、その積み立てた
金額は、当該事業年度の所得の金額の計
算上、損金の額に算入する。
2 会社の各事業年度開始の日の前日を含
む事業年度において前項の規定により当
該前日を含む事業年度の所得の金額の計
算上損金の額に算入された異常危険準備
金の金額(当該前日を含む事業年度が連
結事業年度に該当する場合には、第 4 項
の規定により当該連結事業年度の連結所
得の金額の計算上損金の額に算入された
異常危険準備金の金額)がある場合には、
当該異常危険準備金の金額は、当該各事
業年度の所得の金額の計算上、益金の額
に算入する。
3 第 1 項の規定は、同項の規定の適用を
受けようとする事業年度の確定申告書等
に異常危険準備金として積み立てた金額
の損金算入に関する申告の記載があり、
かつ、当該確定申告書等にその積み立て
た金額の計算に関する明細書の添付があ
る場合に限り、適用する。
─ 549 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
4 ~ 8 省 略(参考 2) 銀行等の株式等の保有の制限等に関す
る法律(平成13年法律第131号)
(課税の特例)
第58条 機構が、各事業年度(法人税法(昭
和40年法律第34号)第13条及び第14条に
規定する事業年度をいう。以下この条に
おいて同じ。)終了の日において青色申告
書(同法第 2 条第37号に規定する青色申
告書をいう。次項において同じ。)を提出
する法人である場合において、当該事業
年度の同法第 2 条第19号に規定する欠損
金額(以下この条において「特例欠損金
額」という。)があるときは、当該特例欠
損金額については、同法第57条第 1 項中
「10年以内に開始した」とあるのは「に開
始した」と、「所得の金額の100分の50に
相当する金額」とあるのは「所得の金額」
として、同項の規定を適用する。
2 前項の規定は、機構の特例欠損金額が
生じた事業年度について当該特例欠損金
額の計算に関する明細書を添付した青色
申告書である確定申告書(法人税法第 2
条第31号に規定する確定申告書をいう。
以下この項において同じ。)を提出し、か
つ、その後において連続して確定申告書
を提出している場合に限り、適用する。
3 機構の各事業年度において生じた特例
欠損金額に係る租税特別措置法(昭和32
年法律第26号)第66条の13第 1 項の規定
の適用については、同項中「については、
この」とあるのは、「並びに銀行等の株式
等の保有の制限等に関する法律(平成13
年法律第131号)第58条第 1 項に規定する
特例欠損金額については、この」とする。
4 機構に対する地方税法(昭和25年法律
第226号)第53条第12項及び第321条の 8
第12項の規定の適用については、これら
の規定中「10年以内に開始した事業年度」
とあるのは、「に開始した事業年度」とす
る。
5 前各項に定めるもののほか、機構及び
機構の会員に係る法人税、法人の道府県
民税、法人の事業税及び法人の市町村民
税に関する法令の規定の適用に関し必要
な事項は、政令で定める。
4 適用関係
上記 3の制度は、法人の平成32年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税及び同日以後に開始する課税事業年度分の地方法人税について適用することとされています(改正法附則102)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則117)。
七 その他の特別措置
1 収益認識に関する会計基準への対応
平成30年 3 月30日に公表された収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第30号
「収益認識に関する会計基準の適用指針」をいいます。以下同じです。)を踏まえ、今回の法人税法の改正においては、この収益認識に関する会計基準の導入を契機とした長期割賦販売等による延払基準の廃止(法法63)等が行われました。
(注) 上記の「収益認識に関する会計基準」及び「収
益認識に関する会計基準の導入による法人税法
の改正」の詳細については、前掲「法人税法等
の改正」の「一 収益認識に関する会計基準等
への対応」をご参照ください。
この法人税法の改正に伴い、特定の公共施設等運営権の設定に係る長期割賦販売等の特例について、長期割賦販売等に該当する資産の販売等とみなすこととされていた公共施設等運営権の設定をリース譲渡とみなすこととする規定の整備が行わ
─ 550 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
れました(措法67の 5 の 3 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の102の 4 ①)。
2 追加課税の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定の所要の整備
⑴ 改正の内容 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例について、その適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定については、連結納税の承認を取り消された場合の取戻し課税の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定と同様に、同特例から法人税法及び地方法人税法の規定を読み替えるのではなく、法人税法及び地方法人税法との調整についての規定を設けることとされ、同特例の適用がある場合における調整規定として、次のとおり規定されました
(措法62⑦⑧、措令38⑤)。(注) 上記の「連結納税の承認を取り消された場
合の取戻し課税の適用がある場合における法
人税法及び地方法人税法の規定との調整に係
る規定」の改正については、前述「第一 税
額控除関係」の「十 その他の税額控除制度」
の 2をご参照ください。
① 法人税法第71条(中間申告)又は第81条の19(連結中間申告) 法人税法第71条第 1 項第 1 号若しくは第 2項第 1 号又は第81条の19第 1 項第 1 号イに規定する確定申告書に記載すべき同法第74条第1 項第 2 号に掲げる金額(予定申告の計算の基礎となる前期の確定申告書に記載される法人税額)は、その金額からその金額に含まれる特別税額加算規定(使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の規定をいいます。以下同じです。)により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法62⑧、措令38⑤一)。
② 法人税法第72条(仮決算をした場合の中間
申告書の記載事項等) 法人税法第72条第 1 項第 2 号に掲げる金額
(内国法人の仮決算をした場合の中間申告書に記載される法人税額)は、同項に規定する期間を一事業年度とみなして同項第 1 号に掲げる所得の金額につき同法第 2 編第 1 章第 2節(第67条、第68条第 3 項及び第70条を除きます。)の規定及び特別税額加算規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています(措法62⑦一)。
③ 法人税法第74条(確定申告) 法人税法第74条第 1 項第 2 号に掲げる金額
(内国法人の確定申告書に記載される法人税額)は、同項第 1 号に掲げる所得の金額につき同法第 2 編第 1 章第 2 節の規定及び特別税額加算規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(措法62⑦二)。
④ 法人税法第80条(欠損金の繰戻しによる還付) 法人税法第80条第 1 項に規定する所得に対する法人税の額は、その所得に対する法人税の額からその所得に対する法人税の額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています
(措法62⑧、措令38⑤二)。⑤ 法人税法第135条(仮装経理に基づく過大
申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例) 法人税法第135条第 2 項に規定する所得に対する法人税の額は、その所得に対する法人税の額からその所得に対する法人税の額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています
(措法62⑧、措令38⑤三)。⑥ 法人税法第144条の 3 (中間申告)
法人税法第144条の 3 第 1 項第 1 号に規定する確定申告書に記載すべき同法第144条の6 第 1 項第 7 号に掲げる金額、同法第144条の 3 第 2 項第 1 号に規定する確定申告書に記載すべき同法第144条の 6 第 2 項第 2 号に掲
─ 551 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
げる金額、同法第144条の 3 第 3 項において準用する同法第71条第 2 項第 1 号に規定する確定申告書に記載すべき同法第144条の 6 第1 項第 7 号又は第 2 項第 2 号に掲げる金額及び同法第144条の 3 第 4 項において準用する同法第71条第 2 項第 1 号に規定する確定申告書に記載すべき同法第144条の 6 第 2 項第 2号に掲げる金額は、これらの金額からそれぞれこれらの金額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法62⑧、措令38⑤四)。
⑦ 法人税法第144条の 4 (仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等) 法人税法第144条の 4 第 1 項第 3 号若しくは第 4 号又は第 2 項第 2 号に掲げる金額(外国法人の仮決算をした場合の中間申告書に記載される法人税額)は、同条第 1 項又は第 2項に規定する期間を一事業年度とみなして同条第 1 項第 1 号若しくは第 2 号又は第 2 項第1 号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第 3 編第 2 章第 2 節(第144条
(同法第68条第 3 項の規定を準用する部分に限ります。)を除きます。)の規定及び特別税額加算規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています
(措法62⑦三)。⑧ 法人税法第144条の 6 (確定申告)
法人税法第144条の 6 第 1 項第 3 号若しくは第 4 号又は第 2 項第 2 号に掲げる金額(外国法人の確定申告書に記載される法人税額)は、同条第 1 項第 1 号若しくは第 2 号又は第2 項第 1 号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第 3 編第 2 章第 2 節の規定及び特別税額加算規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(措法62⑦四)。
⑨ 法人税法第144条の13(欠損金の繰戻しによる還付) 法人税法第144条の13第 1 項第 1 号若しくは第 2 号又は第 2 項に規定する国内源泉所得
に係る所得に対する法人税の額は、その国内源泉所得に係る所得に対する法人税の額からその国内源泉所得に係る所得に対する法人税の額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法62⑧、措令38⑤五)。
⑩ 地方法人税法第16条(中間申告) 地方法人税法第16条第 1 項第 1 号に規定する地方法人税額は、その地方法人税額からその地方法人税額に係る同法第 6 条に規定する基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています(措法62⑧、措令38⑤六)。
⑪ 地方法人税法第23条(欠損金の繰戻しによる法人税の還付があった場合の還付) 地方法人税法第23条第 1 項に規定する基準法人税額に対する地方法人税の額は、その基準法人税額に対する地方法人税の額からその基準法人税額に対する地方法人税の額に係る同項に規定する基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています(措法62⑧、措令38⑤七)。
⑫ 地方法人税法第29条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税額の還付の特例) 地方法人税法第29条第 2 項に規定する所得基準法人税額に対する地方法人税の額は、その所得基準法人税額に対する地方法人税の額からその所得基準法人税額に対する地方法人税の額に係る同条第 1 項に規定する所得基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています(措法62⑧、措令38⑤八)。
ただし、法人税法第67条(特定同族会社の特別税率)の規定との調整に係る規定は、引き続き読替え規定とされています(措法62⑥)。 また、連結納税制度の場合についても、その
─ 552 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
適用がある場合における調整規定として、次のとおり規定されました(措法68の67⑥⑦、措令39の96⑤⑥)。⑬ 法人税法第81条の18(連結法人税の個別帰
属額の計算) 法人税法第81条の18第 1 項に規定する加算調整額には、特別税額加算規定(使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の規定をいいます。以下同じです。)により法人税の額に加算された金額のうち各連結法人に帰せられる金額を含むものとすることとされています
(措法68の67⑥一、措令39の96⑤)。(注) 各連結法人に帰せられる金額は、改正前
と同じです。
⑭ 法人税法第71条(中間申告)又は第81条の19(連結中間申告) 法人税法第71条第 1 項第 1 号若しくは第 2項第 1 号又は第81条の19第 1 項第 1 号、第 3項第 1 号ロ若しくは第 4 項第 1 号ロ若しくは第 2 号ロに規定する連結確定申告書に記載すべき同法第81条の22第 1 項第 2 号に掲げる金額(予定申告の計算の基礎となる前期の連結確定申告書に記載される法人税額)は、その金額からその金額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法68の67⑦、措令39の96⑥一)。
⑮ 法人税法第81条の20(仮決算をした場合の連結中間申告書の記載事項等) 法人税法第81条の20第 1 項第 2 号に掲げる金額(仮決算をした場合の連結中間申告書に記載される法人税額)は、同項に規定する期間を一連結事業年度とみなして同項第 1 号に掲げる連結所得の金額につき同法第 2 編第 1章の 2 第 2 節(第81条の13、第81条の14第 2項及び第81条の16を除きます。)の規定及び特別税額加算規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています(措法68の67⑥二)。
⑯ 法人税法第81条の22(連結確定申告)
法人税法第81条の22第 1 項第 2 号に掲げる金額(連結確定申告書に記載される法人税額)は、同項第 1 号に掲げる連結所得の金額につき同法第 2 編第 1 章の 2 第 2 節の規定及び特別税額加算規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(措法68の67⑥三)。
⑰ 法人税法第81条の31(連結欠損金の繰戻しによる還付) 法人税法第81条の31第 1 項に規定する連結所得に対する法人税の額は、その連結所得に対する法人税の額からその連結所得に対する法人税の額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法68の67⑦、措令39の96⑥二)。
⑱ 法人税法第135条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例) 法人税法第135条第 2 項に規定する連結所得に対する法人税の額は、その連結所得に対する法人税の額からその連結所得に対する法人税の額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額を控除した金額とすることとされています(措法68の67⑦、措令39の96⑥三)。
⑲ 地方法人税法第15条(連結法人の地方法人税の個別帰属額の計算) 地方法人税法第15条第 1 項に規定する加算調整額には、特別税額加算規定により法人税の額に加算された金額のうち連結親法人又は各連結子法人に帰せられる金額の10.3%相当額を含むものとすることとされています(措法68の67⑥四、措令39の96⑤)。
(注) 連結親法人又は各連結子法人に帰せられ
る金額は、改正前と同じです。
⑳ 地方法人税法第16条(中間申告) 地方法人税法第16条第 1 項第 1 号に規定する地方法人税額は、その地方法人税額からその地方法人税額に係る同法第 6 条に規定する
─ 553 ─
――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています(措法68の67⑦、措令39の96⑥四)。
� 地方法人税法第23条(欠損金の繰戻しによる法人税の還付があった場合の還付) 地方法人税法第23条第 1 項に規定する基準法人税額に対する地方法人税の額は、その基準法人税額に対する地方法人税の額からその基準法人税額に対する地方法人税の額に係る同項に規定する基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています(措法68の67⑦、措令39の96⑥五)。
� 地方法人税法第29条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税額の還付の特例) 地方法人税法第29条第 2 項に規定する所得基準法人税額に対する地方法人税の額は、その所得基準法人税額に対する地方法人税の額からその所得基準法人税額に対する地方法人税の額に係る同条第 1 項に規定する所得基準法人税額に含まれる特別税額加算規定により加算された金額の10.3%相当額を控除した金額とすることとされています(措法68の67⑦、措令39の96⑥六)。
なお、単体制度と同様に、法人税法第81条の13(連結特定同族会社の特別税率)の規定との調整に係る規定は、引き続き読替え規定とされています(措法68の67⑤)。
⑵ 適用関係 地方法人税の税率の4.4%から10.3%への引上げ(地法法10①)が平成31年10月 1 日以後に開始する課税事業年度について適用されることから、① 上記⑴⑩の規定は、法人の平成31年10月 1
日前に開始した前課税事業年度におけるその適用については、10.3%を4.4%とする読替え規定が設けられています(改正措令附則27
①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則40①)。
(注) 前課税事業年度とは、地方法人税法第16
条第 1 項第 1 号に規定する前課税事業年度
をいいます。
② 上記⑴⑪の規定は、法人の平成31年10月 1日前に開始した課税事業年度におけるその適用については、10.3%を4.4%とする読替え規定が設けられています(改正措令附則27②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則40②)。
(注) 課税事業年度とは、地方法人税法第23条
第 1 項本文に規定する課税事業年度をいい
ます。
③ 上記⑴⑫の規定は、法人の平成31年10月 1日前に開始した各課税事業年度におけるその適用については、10.3%を4.4%とする読替え規定が設けられています(改正措令附則27③)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則40③)。
(注) 各課税事業年度とは、地方法人税法第29
条第 2 項の各課税事業年度をいいます。
④ 上記⑴⑲の規定は、連結親法人又は当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が平成31年10月1 日前に開始した連結事業年度におけるその適用については、10.3%を4.4%とする読替え規定が設けられています(改正法附則113)。
3 社会保険診療報酬の所得の計算の特例
医療法人が各事業年度において社会保険診療につき支払を受けるべき金額を有する場合において、その事業年度のその支払を受けるべき金額が5,000万円以下であり、かつ、その事業年度の医業又は歯科医業に係る総収入金額が7,000万円以下である場合には、社会保険診療に係る経費として損金の額に算入する金額は、その支払を受ける金額の57%~72%相当額とすることができることとされています(措法67①、68の99①)。 今般、所得税関係の改正で、この社会保険診療
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
の範囲に、介護医療院において提供される介護医療院サービスが追加されており(措法26②二・四)、法人税関係についても同様となります。 なお、この改正の趣旨・経緯等については、前掲「租税特別措置法等(所得税関係)の改正」の
「第五 その他の改正」の「三 社会保険診療報酬の所得計算の特例の改正」をご参照ください。
4 適用期限の延長
⑴ 技術研究組合の所得の計算の特例の適用期限が、平成33年 3 月31日まで 3 年延長されました
(措法66の10①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様
の改正が行われています(措法68の94①)。⑵ 次の制度の適用期限が、平成32年 3 月31日ま
で 2 年延長されました。① 交際費等の損金不算入制度(中小法人に係
る定額控除額の特例を含みます。)(措法61の4 ①)
② 中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置(認定事業再編事業者における設備廃棄等欠損金額の適用除外措置を含みます。)(措法66の13①②)
なお、連結納税制度の場合についても、上記①及び②と同様の改正が行われています(措法68の66①、68の98①②)。
第六 租特透明化法関係適用額明細書の提出義務
1 改正前の制度の概要
この制度は、法人税申告書を提出する法人で、その法人税申告書に係る事業年度又は連結事業年度において法人税関係特別措置の適用を受けようとするものは、その法人税関係特別措置につき記載した適用額明細書をその法人税申告書に添付しなければならないというものです(租特透明化法3 ①)。
(注 1 ) 法人税関係特別措置とは、租税特別措置の
うち租税特別措置法第 3 章の規定によるもの
をいい(租特透明化法 2 ①二)、税額又は所得
の金額を減少させる規定によるものに限るこ
ととされています(租特透明化法 3 ①)。(注 2 ) 適用額明細書とは、法人税申告書を提出す
る法人が、その法人税申告書に係る事業年度
又は連結事業年度において適用を受ける各法
人税関係特別措置の内容、適用額その他の法
人税関係特別措置の適用の状況の透明化を図
るために必要な事項を記載した一覧表をいい
ます(租特透明化法 2 ①八)。
この適用額明細書を添付せず、又は虚偽の記載
をした適用額明細書を添付して法人税申告書を提出した法人については、その法人税申告書に係る事業年度又は連結事業年度において適用を受けようとする法人税関係特別措置の適用はないものとすることとされています(租特透明化法 3 ②)。
2 改正の内容
大法人による電子申告の義務化に係る法人税法及び租税特別措置法の改正を踏まえ、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律における電子情報処理組織による申告の特例として、法人税法第75条の 3 第 2 項に規定する特定法人又は同法第81条の24の 2 第 2 項に規定する特定法人である法人が法人税関係特別措置の適用を受ける場合において租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律の規定により法人税申告書に添付すべきものとされている適用額明細書を、法人税法における添付書類記載事項に係る添付書類に含めることとされ(租特透明化法 3 ④)、適用額明細書についても、法人税法における電子情報処理組織による申告(法法75の 3 、81の24の 2 )及び電子情報処理組織による申告が困難である場合の特例(法
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
法75の 4 、81の24の 3 )が適用されることとなり、電子申告の義務化の対象とされました。
(注) 上記の「大法人による電子申告の義務化に係
る法人税法及び租税特別措置法の改正」の詳細
については、前述「第五 その他の特別措置関
係」の「六 電子情報処理組織による申告の特
例」をご参照ください。
3 適用関係
上記 2の改正は、法人の平成32年 4 月 1 日以後に開始する事業年度又は連結事業年度に係る法人税の申告について適用することとされています
(改正法附則123)。
第七 震災税特法関係
一 電子情報処理組織による申告の特例(創設)
1 制度創設の経緯及び趣旨
官民あわせたコストの削減や企業の生産性向上を推進する観点から、申告データを円滑に電子提出できるように環境整備を進めつつ、まずは大法人について、電子申告の義務化が行われることになりました。
(注) 上記の「大法人による電子申告の義務化」に
ついての経緯及び趣旨の詳細については、前述
「法人税法等の改正」の「二 申告書の電子情報
処理組織による提出義務の創設その他税務手続
の電子化の推進」の 1をご参照ください。
2 制度の概要
この制度は、法人税法の特定法人である法人が東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の規定その他法人税に関する特例を定めている規定(以下「法人税特例規定」といいます。)の適用を受ける場合には、法人税特例規定による添付書類について、法人税法において電子情報処理組織を使用する方法により提供すること(以下「電子申告」といいます。)により、行わなければならないこととされている添付書類記載事項に係る添付書類に含めることによって、電子申告の義務化の対象とするというものです(震災税特法22の 2 )。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の
措置が講じられています(震災税特法30の 2 )。
3 制度の内容
⑴ 適用対象法人 適用対象となる法人は、法人税法第75条の 3第 2 項に規定する特定法人である法人とされています(震災税特法22の 2 )。
⑵ 適用対象規定 適用対象となる規定は、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第 3 章(第23条から第33条までを除きます。)の規定(これに基づく命令を含みます。)その他法人税に関する特例を定めている規定(以下
「法人税特例規定」といいます。)とされています(震災税特法22の 2 )。 これに基づく命令は、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律に基づく命令、すなわち、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行令及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行規則となります。 また、法人税に関する特例を定めている規定は、所得税法等の一部を改正する等の法律(平成29年法律第 4 号)附則第98条第 2 項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
15条の規定による改正前の東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第18条の 2 (被災者向け優良賃貸住宅の割増償却)の規定とされています(震災税特法22の2 、震災税特令20の 2 )。
⑶ 措置の内容 今回の法人税法等の改正によって、次の措置が講じられました(法法75の 3 、75の 4 、法令150の 3 、法規36の 3 の 2 、36の 3 の 3 )。① 電子情報処理組織による申告
特定法人である内国法人は、納税申告書により行うこととされ、又は法人税法(これに基づく命令を含みます。以下同じです。)若しくは国税通則法第18条第 3 項若しくは第19条第 4 項の規定により納税申告書に添付すべきものとされている書類(以下「添付書類」といいます。)を添付して行うこととされている各事業年度の所得に対する法人税の申告については、納税申告書に記載すべきものとされている事項(以下「申告書記載事項」といいます。)又は添付書類に記載すべきものとされ、若しくは記載されている事項(以下
「添付書類記載事項」といいます。)を、あらかじめ税務署長に届け出て行う電子情報処理組織を使用する方法により提供することにより、行わなければならないこととされ(法法75の 3 ①)、すなわち、電子申告の義務化が行われました。
(注 1 ) 特定法人とは、次の法人をいいます(法
法75の 3 ②)。
イ その事業年度開始の時における資本
金の額又は出資金の額が 1 億円を超え
る法人
ロ 相互会社
ハ 投資法人
ニ 特定目的会社(注 2 ) 納税申告書は、中間申告書若しくは確
定申告書又はこれらの申告書に係る修正
申告書とされています。
(注 3 ) これに基づく命令は、法人税法に基づ
く命令、すなわち、法人税法施行令、法
人税法施行規則及び減価償却資産の耐用
年数等に関する省令となります。(注 4 ) 「添付書類に記載すべきものとされ、若
しくは記載されている事項」のうち、「記
載すべきものとされている事項」は法人
が作成する書類の記載事項のことであり、
「記載されている事項」は第三者作成書類
の記載事項のことです。(注 5 ) 電子情報処理組織とは、国税庁の使用
に係る電子計算機(入出力装置を含みま
す。)とその申告をする内国法人の使用に
係る電子計算機とを電気通信回線で接続
した電子情報処理組織をいいます。
この電子情報処理組織を使用する方法により行われた申告については、申告書記載事項が記載された納税申告書により、又はこれに添付書類記載事項が記載された添付書類を添付して行われたものとみなして、法人税法、国税通則法(第124条を除きます。)、地方法人税法、租税特別措置法、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律その他の法人税の申告に関する法令の規定を適用することとされています
(法法75の 3 ③、法令150の 3 )。 なお、電子申告の方法は、具体的には、次の事項の区分に応じそれぞれ次のとおりとされています。イ 申告書記載事項……電子情報処理組織を
使用して、申告書記載事項を入力して送信する方法により提供することとされています(法法75の 3 ①、法規36の 3 の 2 ③一)。
ロ 添付書類記載事項……次のイ又はロのいずれかの方法により提供することとされています(法法75の 3 ①、法規36の 3 の 2 ③二)。また、次のハの方法により行うこともできることとされています(法法75の 3①ただし書、法規36の 3 の 2 ⑤)。
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
イ 電子情報処理組織を使用して、添付書類記載事項を入力して送信する方法
ロ 添付書類記載事項が記載された書類をスキャナにより読み取る方法その他これに類する方法により作成した電磁的記録を、電子情報処理組織を使用して送信する方法(上記イの方法につき国税庁の使用に係る電子計算機において用いることができない場合に限ります。)
ハ 添付書類記載事項の電磁的記録を記録した光ディスク、磁気テープ又は磁気ディスクを提出する方法
② 電子情報処理組織による申告が困難である場合の特例 特定法人である内国法人が、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合で、かつ、書面による納税申告書の提出をすることができると認められる場合において、書面により納税申告書を提出することについて納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、その税務署長が指定する期間内に行う法人税の申告については、書面により行うことができることとされました(法法75の 4 ①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記①及び②と同様の措置が講じられています(法法81の24の 2 、81の24の 3 、法令155の47の 2 、法規37の15の 2 、37の15の 3 )。
(注) 「電子情報処理組織を使用して申告書記載事
項又は添付書類記載事項を提供しようとする
場合における届出その他上記①及び②の法人
税法の改正」の詳細については、前掲「法人
税法等の改正」の「二 申告書の電子情報処
理組織による提出義務の創設その他税務手続
の電子化の推進」の 1をご参照ください。
これらの法人税法の改正を踏まえ、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律における電子情報処理組織による申告の特例として、法人税特例規定の適用を受ける場合において法人税特例規定により確定申告書等に添付すべきものとされている書類を、法人税法における添付書類記載事項に係る添付書類に含めることとされ(震災税特法22の 2 )、法人税特例規定による添付書類についても、法人税法における上記①及び②の制度が適用されることとなり、電子申告の義務化の対象とされました。
(注) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30号
に規定する中間申告書で同法第72条第 1 項各
号に掲げる事項を記載したもの及び同法第144
条の 4 第 1 項各号又は第 2 項各号に掲げる事
項を記載したもの並びに同法第 2 条第31号に
規定する確定申告書をいいます(措法 2 ②
二十七)。すなわち、仮決算をした場合の中間
申告書及び確定申告書をいい、確定申告書には、
その確定申告書に係る期限後申告書を含むこ
ととされています。
⑷ 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の措置が講じられています(震災税特法30の 2 、震災税特令25の 2 )。
4 適用関係
上記 3の制度は、法人の平成32年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用することとされています(改正法附則124②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則124④)。
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
二 その他
1 税額控除又は繰越税額控除の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定の所要の整備
⑴ 改正の内容 税額控除又は繰越税額控除の適用がある場合における法人税法及び地方法人税法の規定との調整に係る規定については、各税額控除制度において法人税法及び地方法人税法の規定の読替え規定が設けられているところですが、今回の法人税法の改正における分配時調整外国税相当額の控除制度(法法69の 2 、144の 2 の 2 )の創設による法人税法における税額控除の順序に係る規定(法法70の 2 、144の 2 の 3 )の整備並びに外国子会社合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法66の 7 ④)及びコーポレート・インバージョン対策合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除
(措法66の 9 の 3 ④)の見直し等を踏まえ、各税額控除制度において法人税法及び地方法人税法の規定を読み替えるのではなく、各税額控除制度のうち、税額控除又は繰越税額控除について、条文上、それぞれの適用がある最初の税額控除制度において法人税法及び地方法人税法との調整についての規定を設け、その後の各税額控除制度においてはその規定を準用する規定を設けることとされました。
(注) 上記の「分配時調整外国税相当額の控除制
度の創設」の詳細については、後掲「国際課
税関係の改正」の「三 集団投資信託の収益
の分配等に係る二重課税調整の改正」を、上
記の「法人税法における税額控除の順序に係
る規定の改正」の詳細については、前掲「法
人税法等の改正」の「五 その他」の 8を、
それぞれご参照ください。
復興産業集積区域等において機械等を取得し
た場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度において、税額控除又は繰越税額控除の適用がある場合における調整規定として、次のとおり規定されました(震災税特法17の 2 ⑪~⑬)。① 法人税法第67条(特定同族会社の特別税
率) 特定同族会社の特別税率の規定の適用において留保金額から控除される法人税法第67条第 3 項に規定する法人税の額は、その法人税の額から震災特例税額控除規定(復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度における税額控除規定をいいます。以下同じです。)により控除する金額を控除した金額とすることとされています(震災税特法17の 2 ⑫一)。
② 法人税法第70条の 2 (税額控除の順序)又は第144条の 2 の 3 (税額控除の順序) 法人税法第 2 編第 1 章第 2 節第 2 款又は第3 編第 2 章第 2 節(第143条を除きます。)の規定(以下「法人税法税額控除規定」といいます。)による法人税の額からの控除及び震災特例税額控除規定による法人税の額からの控除については、まず震災特例税額控除規定による控除をした後において、同法第70条の2 又は第144条の 2 の 3 に定める順序により法人税法税額控除規定による控除をするものとすることとされています(震災税特法17の2 ⑪)。 なお、外国子会社合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法66の 7④)又はコーポレート・インバージョン対策合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法66の 9 の 3 ④)の適用がある場合には、まず震災特例税額控除規定による控除をした後において、次に分配時調整外国税相当額の控除制度(法法69の 2 )による控除をした後に、その適用による控除をする
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
こととなるように所要の読替え規定が設けられています(震災税特法17の 2 ⑬)。
③ 法人税法第72条(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等) 法人税法第72条第 1 項第 2 号に掲げる金額
(内国法人の仮決算をした場合の中間申告書に記載される法人税額)は、同項に規定する期間を一事業年度とみなして同項第 1 号に掲げる所得の金額につき同法第 2 編第 1 章第 2節(第67条、第68条第 3 項及び第70条を除きます。)の規定及び震災特例税額控除規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています(震災税特法17の 2 ⑫二)。
④ 法人税法第74条(確定申告) 法人税法第74条第 1 項第 2 号に掲げる金額
(内国法人の確定申告書に記載される法人税額)は、同項第 1 号に掲げる所得の金額につき同法第 2 編第 1 章第 2 節の規定及び震災特例税額控除規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(震災税特法17の 2 ⑫三)。
⑤ 法人税法第144条の 4 (仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等) 法人税法第144条の 4 第 1 項第 3 号若しくは第 4 号又は第 2 項第 2 号に掲げる金額(外国法人の仮決算をした場合の中間申告書に記載される法人税額)は、同条第 1 項又は第 2項に規定する期間を一事業年度とみなして同条第 1 項第 1 号若しくは第 2 号又は第 2 項第1 号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第 3 編第 2 章第 2 節(第144条
(同法第68条第 3 項の規定を準用する部分に限ります。)を除きます。)の規定及び震災特例税額控除規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています(震災税特法17の 2 ⑫四)。
⑥ 法人税法第144条の 6 (確定申告) 法人税法第144条の 6 第 1 項第 3 号若しくは第 4 号又は第 2 項第 2 号に掲げる金額(外
国法人の確定申告書に記載される法人税額)は、同条第 1 項第 1 号若しくは第 2 号又は第2 項第 1 号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額につき同法第 3 編第 2 章第 2 節の規定及び震災特例税額控除規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(震災税特法17の 2 ⑫五)。
復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度以外の各税額控除制度においては、上記の調整規定(震災税特法17の 2 ⑪~⑬)を準用することとし、震災特例税額控除規定の内容をその各税額控除制度の規定とする読替え規定が設けられました(震災税特法17の 2 の 2 ⑧、17の 2 の3 ⑧、17の 3 ⑤、17の 3 の 2 ④、17の 3 の 3 ④、震災税特令17の 4 ②)。 また、連結納税制度の場合についても、連結法人が復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度において、税額控除又は繰越税額控除の適用がある場合における調整規定として、次のとおり規定されました(震災税特法25の 2 ⑫~⑭)。⑦ 法人税法第81条の13(連結特定同族会社の
特別税率) 連結特定同族会社の特別税率の規定の適用において連結留保金額から控除される法人税法第81条の13第 2 項に規定する法人税の額は、その法人税の額から震災特例税額控除規定
(連結法人が復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度における税額控除規定をいいます。以下同じです。)により控除する金額を控除した金額とすることとされています
(震災税特法25の 2 ⑬一)。⑧ 法人税法第81条の17(連結事業年度におけ
る税額控除の順序) 法人税法第 2 編第 1 章の 2 第 2 節第 2 款の規定(以下「法人税法税額控除規定」といいます。)による法人税の額からの控除及び震災特例税額控除規定による法人税の額からの
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
控除については、まず震災特例税額控除規定による控除をした後において、同法第81条の17に定める順序により法人税法税額控除規定による控除をするものとすることとされています(震災税特法25の 2 ⑫)。 なお、外国子会社合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法68の91④)又はコーポレート・インバージョン対策合算税制における控除対象所得税額等相当額の税額控除(措法68の93の 3 ④)の適用がある場合には、まず特別税額控除規定による控除をした後において、次に連結事業年度における分配時調整外国税相当額の控除制度(法法81の15の 2 )による控除をした後に、その適用による控除をすることとなるように所要の読替え規定が設けられています(震災税特法25の 2 ⑭)。
⑨ 法人税法第81条の18(連結法人税の個別帰属額の計算) 法人税法第81条の18第 1 項に規定する減算調整額には、震災特例税額控除規定によりその震災特例税額控除規定に規定する調整前連結税額から控除される金額のうち各連結法人に帰せられる金額を含むものとすることとされています(震災税特法25の 2 ⑬二、震災税特令22の 2 ④)。
(注) 各連結法人に帰せられる金額は、改正前
と同じです。
⑩ 法人税法第81条の20(仮決算をした場合の連結中間申告書の記載事項等) 法人税法第81条の20第 1 項第 2 号に掲げる金額(仮決算をした場合の連結中間申告書に記載される法人税額)は、同項に規定する期間を一連結事業年度とみなして同項第 1 号に掲げる連結所得の金額につき同法第 2 編第 1章の 2 第 2 節(第81条の13、第81条の14第 2項及び第81条の16を除きます。)の規定及び震災特例税額控除規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とすることとされています(震災税特法25の 2 ⑬三)。
⑪ 法人税法第81条の22(連結確定申告) 法人税法第81条の22第 1 項第 2 号に掲げる金額(連結確定申告書に記載される法人税額)は、同項第 1 号に掲げる連結所得の金額につき同法第 2 編第 1 章の 2 第 2 節の規定及び震災特例税額控除規定を適用して計算した法人税の額とすることとされています(震災税特法25の 2 ⑬四)。
⑫ 地方法人税法第15条(連結法人の地方法人税の個別帰属額の計算) 地方法人税法第15条第 1 項に規定する減算調整額には、震災特例税額控除規定によりその震災特例税額控除規定に規定する調整前連結税額から控除される金額のうち連結親法人又は各連結子法人に帰せられる金額の10.3%相当額を含むものとすることとされています
(震災税特法25の 2 ⑬五、震災税特令22の 2④)。
(注) 連結親法人又は各連結子法人に帰せられ
る金額は、改正前と同じです。
連結法人が復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度以外の各税額控除制度においては、上記の調整規定(震災税特法25の 2 ⑫~⑭)を準用することとし、震災特例税額控除規定の内容をその各税額控除制度の規定とする読替え規定が設けられました(震災税特法25の 2 の 2 ⑧、25の 2 の 3 ⑧、25の 3 ⑤、25の 3 の 2 ④、25の3 の 3 ④、震災税特令22の 4 ②)。
⑵ 適用関係① 上記⑴②の規定は、分配時調整外国税相当
額の控除制度(法法69の 2 、144の 2 の 2 )の創設及び税額控除の順序(法法70の 2 、144の 2 の 3 )の改正の施行日が平成32年 1月 1 日であることから、平成30年 4 月 1 日から平成31年12月31日までの間におけるその適用について、所要の読替え規定が設けられています(改正法附則124①)。
② 上記⑴⑫の規定は、地方法人税の税率の
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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――
4.4%から10.3%への引上げ(地法法10①)が平成31年10月 1 日以後に開始する課税事業年度について適用されることから、連結親法人又は当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度におけるその適用については、10.3%を4.4%とする等の読替え規定が設けられています(改正法附則124③)。
2 被災市街地復興土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除の特例等における適用要件の見直し
⑴ 改正の内容 被災市街地復興土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除の特例等においては、次の租税特別措置法の制度をみなして適用することとされていることから(震災税特法18の 9 ①~④)、前述「第四 土地税制関係」の「一 収用等に伴い代替資産を取得した場合等の課税の特例」の 2、「二 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例」の 2、「三 収用換地等の場合の所得の特別控除制度(5,000万円特別控除制度)」の 2、「四 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(2,000万円特別控除制度)」の 2及び「五 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(1,500万円特別控除制度)」の 2の適用要件及び書類添付義務の見直しは、この制度においても同様となります。連結納税制度の場合についても同様です(震災税特法26の 9
①~④)。① 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課
税の特例(措法64)② 収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税
の特例(措法64の 2 )③ 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課
税の特例(措法65)④ 収用換地等の場合の所得の特別控除制度(5,000万円特別控除制度)(措法65の 2 )
⑤ 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(2,000万円特別控除制度)(措法65の 3 )
⑥ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(1,500万円特別控除制度)(措法65の 4 )
⑵ 適用関係① 上記⑴の改正のうち適用要件の見直しは、
法人の平成30年 4 月 1 日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています(改正法附則97①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則114①)。
② 上記⑴の改正のうち書類添付義務の見直しは、平成30年 4 月 1 日以後に行われる適格分割、適格現物出資又は適格現物分配について適用し、同日前に行われた適格分割、適格現物出資又は適格現物分配については、なお従前の例によることとされています(改正措令附則28①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則41)。
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第八 沖縄復帰国税関係政令関係
特定駐留軍用地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:連結法人が特定駐留軍用地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の特定駐留軍用地内の土地又は特定駐留軍用地跡地
(以下「特定駐留軍用地等」といいます。)を有する法人が、その特定駐留軍用地等についての買取りの協議に基づき、その協議を行う地方公共団体等にその特定駐留軍用地等の譲渡をしたときは、その譲渡は、租税特別措置法第65条の 2 第 1 項に規定する収用換地等による譲渡に該当するものとみなして、収用換地等の場合の所得の特別控除制度(5,000万円特別控除制度)が適用できるというものです(沖特令63の 3 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(沖特令63の 4 )。
2 改正の内容
この制度の適用要件のうち「確定申告書等に特定駐留軍用地等の譲渡が買取協議に基づき行われたものである旨等の事項を証する書類の添付があること」とする書類添付要件が、「特定駐留軍用地等の譲渡が買取協議に基づき行われたものである旨等の事項を証する書類を保存していること」とする書類保存要件とされました(沖特令63の 3②③)。
(注 1 ) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30号
に規定する中間申告書で同法第72条第 1 項各
号に掲げる事項を記載したもの及び同法第144
条の 4 第 1 項各号又は第 2 項各号に掲げる事
項を記載したもの並びに同法第 2 条第31号に
規定する確定申告書をいいます(措法 2 ②
二十七)。すなわち、仮決算をした場合の中間
申告書及び確定申告書をいい、確定申告書には、
その確定申告書に係る期限後申告書を含むこ
ととされています。(注 2 ) 上記の改正は、「大法人による電子申告の義
務化を契機とした納税環境整備」の 1 つとし
て行われたものですが、その経緯及び趣旨に
ついては、後掲「電子申告・国税通則・国税
徴収等関係の改正」の「一 税務手続の電子
化促進のための環境整備」のⅠをご参照くだ
さい。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(沖特令63の 4 ②③)。
3 適用関係
上記 2の改正は、法人の平成30年 4 月 1 日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされています
(改正沖特令附則②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正沖特令附則②)。
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