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世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案 Vモデルに沿った規格要求事項の明確化 20110223平田機工株式会社 技術本部 木下博文

統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

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Page 1: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

世界の生産エンジニアリングメーカー

統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案- Vモデルに沿った規格要求事項の明確化 -

2011年02月23日平田機工株式会社 技術本部 木下博文

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労働安全衛生研究誌の紹介

統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

- Vモデルに沿った規格要求事項の明確化 -

本日は、この研究誌の内容に沿った説明をします。

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概説

ISO11161 は単体機械の安全性に関する標準ではなく、複数の機械を組み合わせた統合生産システムの安全性を定めた標準である。ISO11161 は2007 年にIMS(統合生産システム)に対する国際規格として発行されたが、様々なインタフェースの規定など統合生産システムの安全性を規定する標準として必要な要件が欠けており、そのままでは現実的に使用できるレベルではなかった。

キーワード:IMS,統合生産システム,人間機械協調,タスク,ゾーニング,インタフェース

本資料は、以上の検討を踏まえソフトウエアの品質管理モデルであるVモデルに沿って、規格要求事項を各設計フェーズ及び評価フェーズに階層分けして明確化する方法を提案する。

この標準が市場で使用されるようになるためには、ISO11161 において欠如した要件を追加するか、この要件をまとめた他の文書を作成して補うことができるアプリケーションガイドのようなものが必要であった。このため、社団法人日本機械工業連合会では、この問題を検討するために統合生産システムWG を発足させて調査・研究を進めてきた。

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はじめに(1)

ISO111611は、購入してきた単体機械及び機械供給者自らが、自社にて準備する生産設備や付帯設備を連携させ、一連の生産システムとして完成させる過程での設計時の留意点及びリスクアセスメントの留意点などに言及した要求事項として2007 年にその内容を更新し発行された。

しかしながら、この規格の内容が統合生産システム(Integrated Manufacturing System. 以下、単に IMS と呼ぶ)構築の実使用に堪えるのかという疑問が何人かのTC199 委員から上がった。このため、社団法人日本機械工業連合会では、統合生産システムWG(以下、WG と略す)を発足させ、これらの問題に関する調査研究活動を継続中である。

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はじめに(2)

本WG では、この規格が新たに持ち込んだIMS 特有の概念、すなわち制御範囲(Span of control) と タスクゾーン(Task zone) の関係などに特に焦点を当て、実使用へと展開することを目標に調査研究を行っている。

これまでの安全確保のためには、機械システム内を全て一括で停止させる安全の考え方が基本であった。これに対し、ISO11161 は、この考え方を一歩先に進め、生産性を考えながら機械システム内の停止を実施し、停止しない部分の安全をリスクアセスメントに基づき決定して行くことに言及した規格である。

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はじめに(3)

これに対し、IMS の領域においては、安全規格の内容の理解度が低いために、IMS の安全設計に関しては機械の使用者側の言うなりに設計・施工しているか あるいは 安全設計の部分を排除し、IMS の機能面のみの設計施工を行っているというケースが目立つ。

さらに、国際規格への対応が出来ないために、海外への進出を取りやめたといった話を耳にすることもある。

本WGでは、まずインテグレータ(定義については次章参照)の存在の認知度の低さあるいはインテグレータ自身の国際規格対応能力に問題があると考えた。

たとえば、ロボットや金属加工機などの単体機械の分野では、様々な製造者の海外進出と同期して、積極的に国際規格対応を行う日本の製造者も増加し、それらの企業はグローバルに活躍している。

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はじめに(4)

現在の複雑化・多様化した商品の製造や、多品種小ロット生産の製造現場は、単体機械だけでは到底完結できるものではなく、それらを組み合わせたIMSの需要はますます増えていくと考えられる。

したがって、IMS の安全設計に自信を持ちIMS構築を実施していくことが出来る個人や団体,機関が育っていくことは、わが国の今後の経済発展においても必要不可欠であり、これは本WGに参加した委員全員の共通の願いでもある。

本WGの成果物が、安全規格の存在を意識しつつ、グローバルに活躍できるインテグレータとなるための一助となれば幸いである。

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略語・定義

■ 略語・定義 1) IMS/統合生産システム

調和された様式で、別個のパーツあるいは組立品の生産,処理,移動あるいは包装用に、材料搬送システムによってリンクされ、制御機器(すなわちIMS制御機器)によって連携されて、一緒に作動する機械の集合体。

2)インテグレータ統合生産システムを設計,提供,製作,あるいは組立を行う者および保護装置,制御インタフェースおよび制御システムの相互連携関係者を含む安全推進担当を行う者。インテグレータはメーカー,組立者,エンジニアリング会社あるいはユーザーとなるかもしれない。

3) タスクゾーンオペレーターが作業を行なうことができるIMS 内および/または周囲のいずれかの事前に決められた空間。

4) 制御範囲特定の装置の制御の下で事前に決められたIMS 部分。

8

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Access

pathAccess path (ゾーン間移動)

1 2

3

4

Gate A

Gate C

1.2

1.1 2.1

Access

pathAccess path (ゾーン間移動)

Access

pathAccess path (ゾーン間移動)

1 2

3

4

Gate A

Gate C

1.2

1.1 2.1

略語・定義

■ 略語・定義 3) タスクゾーン

オペレーターが作業を行なうことができるIMS 内および/または周囲のいずれかの事前に決められた空間。

4) 制御範囲特定の装置の制御の下で事前に決められたIMS 部分。

小物部品

素材

台車

統合生産システム TR用モデル(To) 最終形

ワークセットジグ

ロボットBロボットA

制御盤

操作盤両手起動押しボタン

ロボット盤Bロボット盤A

作業者A

作業者B

大物部品(素材)台車

完成品台車

作業者C

小物部品搬送コンベア

ゾーンC

セーフティライトカーテン

セーフティマットスイッチ非常停止

押しボタン

IDタグ IDアンテナ IDアンテナセーフティドアスイッチ(南京錠金具付)

セーフティマットスイッチ

教示ペンダント(EMO、イネーブルSW付)

セーフティリミットスイッチ

ゾーン1 ゾーン2ゾーン3

ゾーン4

Access

pathAccess path (ゾーン間移動)

1 2

3

4

Gate A

Gate C

1.2

1.1 2.1

Access

pathAccess path (ゾーン間移動)

Access

pathAccess path (ゾーン間移動)

1 2

3

4

Gate A

Gate C

1.2

1.1 2.1

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略語・定義

一般的に、 CIM (Computer Integration Manufacturing) と呼ばれるもので、ISO/CIM階層モデル(ISO TC184/SC5)で定義されている。この定義は以下に示す6階層からなり生産現場から経営レベルまでの情報が結合・一元化され経済的かつ柔軟な生産システムを構築することができる。

制御サイクルは数秒から数時間で行われる。

各組立加工自動機、自動試験機、搬送機等の生産ラインでの制御・操作指示の制御を行う。NC制御、自動試験機制御等の機能を有する。

装置制御レベル(ステーションレベル):Station

計画は 数カ月から年単位で行われる。

企業および企業群全体を統括する経営管理システム経営・事業計画立案・企業(群)経営情報管理・販売需要予測・投資・開発計画等の機能を有する。

経営管理レベル(企業レベル):Enterprise

実行サイクルは数秒から数分で行われる。

ロボット、搬送機、NC機械等の装置の操作・実行。機能としてはNC工作機械、自動検査機器、搬送機器等の単機能である。

装置レベル(イクイプメントレベル):Equipment

制御サイクルは数時間から数日間で行われる。

生産ラインを構成する各装置の管理システムでレベル2の装置群の協調制御等を行う。加工セル制御、組立てセル制御、搬送制御等の機能を有する。

工程制御・監視レベル(セルレベル):Cell

管理サイクルは数日から数週間で行われる。

生産部門における複数生産工程の工程管理、進捗管理、品質管理情報のフィードバック管理等を司るシステム。工程計画・管理(資材調達、製造加工検査・出荷包装)、設備計画・管理、物流管理等の機能を有する。

工程管理レベル(エリアレベル):Section/Area

計画は数週間から数カ月単位で行われる。

工場・設計・研究の各部門等の各機能の経営的管理事業部、工場単位での開発生産・生産管理・物流システムが該当し、仕入先、協力工場、営業所等の情報統括も行う。生産計画・管理、製造指示、人事管理等の機能を有する。

生産計画管理レベル(工場管理):Facility/Plant

備考定義用語

制御サイクルは数秒から数時間で行われる。

各組立加工自動機、自動試験機、搬送機等の生産ラインでの制御・操作指示の制御を行う。NC制御、自動試験機制御等の機能を有する。

装置制御レベル(ステーションレベル):Station

計画は 数カ月から年単位で行われる。

企業および企業群全体を統括する経営管理システム経営・事業計画立案・企業(群)経営情報管理・販売需要予測・投資・開発計画等の機能を有する。

経営管理レベル(企業レベル):Enterprise

実行サイクルは数秒から数分で行われる。

ロボット、搬送機、NC機械等の装置の操作・実行。機能としてはNC工作機械、自動検査機器、搬送機器等の単機能である。

装置レベル(イクイプメントレベル):Equipment

制御サイクルは数時間から数日間で行われる。

生産ラインを構成する各装置の管理システムでレベル2の装置群の協調制御等を行う。加工セル制御、組立てセル制御、搬送制御等の機能を有する。

工程制御・監視レベル(セルレベル):Cell

管理サイクルは数日から数週間で行われる。

生産部門における複数生産工程の工程管理、進捗管理、品質管理情報のフィードバック管理等を司るシステム。工程計画・管理(資材調達、製造加工検査・出荷包装)、設備計画・管理、物流管理等の機能を有する。

工程管理レベル(エリアレベル):Section/Area

計画は数週間から数カ月単位で行われる。

工場・設計・研究の各部門等の各機能の経営的管理事業部、工場単位での開発生産・生産管理・物流システムが該当し、仕入先、協力工場、営業所等の情報統括も行う。生産計画・管理、製造指示、人事管理等の機能を有する。

生産計画管理レベル(工場管理):Facility/Plant

備考定義用語

イクイプメント イクイプメント イクイプメント

ステーション

イクイプメント イクイプメント イクイプメント

ステーション

セル セル

エリア

イクイプメント イクイプメント イクイプメント

ステーション

イクイプメント イクイプメント イクイプメント

ステーション

セル セル

エリア

統合生産システム(IMS)の範囲

■ 生産システムの階層レベル

(日本電気計測器工業会より引用)

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Page 11: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

統合生産システム構築フロー

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

C D

1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

その過程では最初に全体の仕様が存在し、それをモジュール単位に分割した上で、各モジュールの作成を行い統合するという、ソフトウエアの作成過程に類似した工程を経る。

このため、日機連WGでは、IMSをソフトウエアの品質管理モデルとしてISO13849-1:2006などでも紹介されているVモデルに沿って、規格要求事項を各設計フェーズ及び評価フェーズに階層分けして明確化する方法を考案した。

■統合生産システムIMSは様々な機械を組合わせ、連結して構築する。

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

小物部品

素材

台車

統合生産システム TR用モデル(To) 最終形

ワークセットジグ

ロボットBロボットA

制御盤

操作盤両手起動押しボタン

ロボット盤Bロボット盤A

作業者A

作業者B

大物部品(素材)台車

完成品台車

作業者C

小物部品搬送コンベア

ゾーンC

セーフティライトカーテン

セーフティマットスイッチ非常停止

押しボタン

IDタグ IDアンテナ IDアンテナセーフティドアスイッチ(南京錠金具付)

セーフティマットスイッチ

教示ペンダント(EMO、イネーブルSW付)

セーフティリミットスイッチ

具体的には、左図のような自動車の車体部品の溶接工程をイメージし、この工程を構築するまでの手順をシミュレーションしながら、ISO11161規格のより実際的な適用を検討する。

左図は,その検討のために本WGで想定したIMSの完成形のイメージである。

■統合生産システム TRモデル

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

IMSの設計は、先ずは顧客(最終製造物の製造者であり、機械の使用者)の要求に見合うIMSを構築するための要求分析から始まると仮説をたて進めていく。

これは、- 使用者側の生産物- 生産能力- 占有面積(空間)- 自動化の度合い

などを分析した結果を、左図の要求分析表としてまとめ、それをどのような手法を用いて実現していくかという次段階のIMS仕様の策定へと繋げる。

要求分析 IMS Concept分析

IMS Concept ユーザー要求

ユーザー要求 類似IMS実績 Plan1 Plan2

製造物 自動車部品同様の部品で

有り自動車部品 自動車部品

生産能力 Tact time 60秒 90秒 90秒 90秒

占有面積、設置場所

状況

100m2 (10x10)

高さ4m

64m2(8x8)

高さ 3.7m

70m2(10x10)

高さ4m

115m2(8x8)

高さ3.7mコスト ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・

・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・

■要求分析段階 : IMSの設計は要求分析から始める

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

IMSの要求分析を行った後、IMSの仕様策定を行う。仕様の策定とは具体的に、

- 製造物作成のために必要な機械機能の選定

- 搬送設備のサイズ,可搬重量やアーム長

- システムの生産能力- 全体面積の決定と有効活用の

検討 等

を行う段階である。

この段階での検討結果が、使用者の要求と合致しない場合、インテグレータはそれを使用者に伝え、仕様変更に対する確認・整合を行い、当初要求を満たすために異なった方式の採用などを再検討することが考えられる。

大物部品x1

小物部品x4

大物部品x1

小物部品x4

Pattern 1 最速タクトタイム(2分)

ワークセットジグ

ロボットB+溶接ハンド

機械作業

手作業

ワーク

ナット

Pattern 2 最速タクトタイム (50秒)

Interface

ワークセットジグ

ナット

ロボットB + 溶接ハンド

ワーク

小物部品搬送コンベア

ロボットA

パレット供給

手作業

機械作業

■仕様策定段階-1 : 機能、能力、面積などの策定

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

使用者の要求の最優先事項が、占有面積であるとき、スペース的にロボットを2台使用できない可能性がある。

あるいは、

使用者要求の最優先事項が生産能力である場合には、ロボット2台の使用は必須となるかもしれない。

この段階でインテグレータは、時に相反する条件を両立させるために使用者と綿密な打ち合わせを行い、様々な検討や交渉を行う役目を担う。この検討段階は、左図の仕様策定検討イメージで表現される。

大物部品x1

小物部品x4

大物部品x1

小物部品x4

Pattern 1 最速タクトタイム(2分)

ワークセットジグ

ロボットB+溶接ハンド

機械作業

手作業

ワーク

ナット

Pattern 2 最速タクトタイム (50秒)

Interface

ワークセットジグ

ナット

ロボットB + 溶接ハンド

ワーク

小物部品搬送コンベア

ロボットA

パレット供給

手作業

機械作業

■仕様策定段階-2 : 優先要求内容の把握・検討・打合

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

特に重要なことは、後になって変更の利かない事項を十分に検討することである。これは、時には使用者側の要求仕様を変えることになるかもしれない。

例えば機械の占有面積などは、工場建屋が既に完成しており、壁や柱のレイアウトが既に変更できない段階にある場合などはIMSの設計に大きな影響を与えることになる。

大物部品x1

小物部品x4

大物部品x1

小物部品x4

Pattern 1 最速タクトタイム(2分)

ワークセットジグ

ロボットB+溶接ハンド

機械作業

手作業

ワーク

ナット

Pattern 2 最速タクトタイム (50秒)

Interface

ワークセットジグ

ナット

ロボットB + 溶接ハンド

ワーク

小物部品搬送コンベア

ロボットA

パレット供給

手作業

機械作業

■仕様策定段階-3 : 仕様策定の重要性

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

以下のような事象がそれに当たる。

- ロボットの可動範囲(制限領域,運転領域)と防護柵の関係

- IMS内部でロボット教示作業が発生するために、ISO13854(EN349) の胴体の押しつぶし防止のための最小隙間要求の500mmをロボットの可動範囲に加えて確保する必要があるとき

- 使用者の生産能力を実現するためにはIMSの占有面積を拡大せざるを得ないとき

- 製造物サイズの変化- IMS内部のアクセス(及び退避)

のためのルートの確保- 恒久的接近手段(はしごや階段,

プラットフォームなど)の設置が必要となり、占有面積が増大するとき

- IMS内部で快適に接近及び作業を行うための人間工学的設計の実施 等

大物部品x1

小物部品x4

大物部品x1

小物部品x4

Pattern 1 最速タクトタイム(2分)

ワークセットジグ

ロボットB+溶接ハンド

機械作業

手作業

ワーク

ナット

Pattern 2 最速タクトタイム (50秒)

Interface

ワークセットジグ

ナット

ロボットB + 溶接ハンド

ワーク

小物部品搬送コンベア

ロボットA

パレット供給

手作業

機械作業

■仕様策定段階-4 : 仕様策定の重要性

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Page 18: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

前述した内容はIMSの機能側面だけを見ていては見落とす可能性が高く、実設計の段階に入る前に捉えておきたい事象である。また、適用になる安全規格要求の概要を用いて、このフェーズの初期段階に主要な項目に対する危険分析(注:危険分析=Hazard analysisは,リスク評価=Risk assessmentの前段階でなされるものである)、工程分析などを実施し、この段階で網羅できるリスクアセスメントを実施しておくことが重要である。

その理由は、前述したとおり、設計活動の致命的な後戻りをなくすことにある。例えば,保護方策に光学系の検知デバイス(例:Safety Light Curtain)などの採用が妥当であるときは、素材の供給取出し箇所の保護を例に考えるだけでも、少なくとも以下のような事象を詳細設計に入る前に捉えておく必要がある。

大物部品x1

小物部品x4

大物部品x1

小物部品x4

Pattern 1 最速タクトタイム(2分)

ワークセットジグ

ロボットB+溶接ハンド

機械作業

手作業

ワーク

ナット

Pattern 2 最速タクトタイム (50秒)

Interface

ワークセットジグ

ナット

ロボットB + 溶接ハンド

ワーク

小物部品搬送コンベア

ロボットA

パレット供給

手作業

機械作業

■仕様策定段階-5 : 仕様策定の重要性

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

- IMS内部から放出される飛散物に起因するリスクの有無

- 存在検知デバイスのタイプ,取り付け方法に適った危険部位までの安全距離の確保

上記項目に対する保護方策は、当該保護デバイスの採用よりも機械的なガードでの保護インターロックを採用するほうが適切であることも多い。あるいはIMSのサイズや機械的形状の大まかなイメージができていないと、必要な機器が適切な位置に設置できないなどの可能性があるなど、いずれもIMSの機能性,性能要求のみに着目していると見落とす可能性が高い。

大物部品x1

小物部品x4

大物部品x1

小物部品x4

Pattern 1 最速タクトタイム(2分)

ワークセットジグ

ロボットB+溶接ハンド

機械作業

手作業

ワーク

ナット

Pattern 2 最速タクトタイム (50秒)

Interface

ワークセットジグ

ナット

ロボットB + 溶接ハンド

ワーク

小物部品搬送コンベア

ロボットA

パレット供給

手作業

機械作業

■仕様策定段階-6 : 仕様策定の重要性

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

さらに、IMSの通常生産状態のみでなく、保守や修理といった作業に対してもこの段階で出来るだけ考慮し、IMSのライフサイクル全体を意識しておくことが重要である。

これらのユーザー,機械製造者,インテグレータの情報の流れ及び処理については、規格書Annex B Table B.1にその1例として表現してあるのでそちらを参照いただきたい。

■仕様策定段階-7 : ライフサイクル全体での仕様策定

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

左図の仕様策定検討イメージはIMSの仕様策定段階で、パターン1(ロボット1台のみを使用)とパターン 2(ロボット2台を使用)の検討段階を模式的に表したものである。パターン1とパターン 2のどちらを選択するかは、通常はIMS設計者の頭の中でなされ、以下のような図面に表現されることは少ないであろう。しかしながら、ここでの決定がIMS仕様を策定する際の重要なプロセスとなる。

さらに、左図の製造物イメージの作成手順としては、1.パターン1小物部品を人手で大物部品の上に置き、ロボットにより溶接を行う工程や2.パターン2小物部品の在荷を搬送ロボットにより行い、溶接工程は溶接ロボットで行う自動化工程も考え得る。

大物部品x1

小物部品x4

大物部品x1

小物部品x4

Pattern 1 最速タクトタイム(2分)

ワークセットジグ

ロボットB+溶接ハンド

機械作業

手作業

ワーク

ナット

Pattern 2 最速タクトタイム (50秒)

Interface

ワークセットジグ

ナット

ロボットB + 溶接ハンド

ワーク

小物部品搬送コンベア

ロボットA

パレット供給

手作業

機械作業

■仕様策定段階-8 : レイアウトパターン毎の検討

パターン1(ロボット1台のみを使用)

パターン2(ロボット2台を使用)

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

仮に省スペースが今回のIMSの最優先事項であった場合は、パターン 1のロボット1台によるIMS構成が選択され、これが当該IMSの仕様となり、ユーザからインテグレータへと購入仕様として落とし込まれる。

インテグレータは、ユーザ要求実現のための必要な機械の選択を行い、機械供給者からの制限事項などを検討し、それをユーザ側へとフィードバックを行い、購入仕様と合わない場合に、その仕様の変更などを行うか、或いは異なったシステムを検討するなど規格書のAnnex B Table B.1にあるような情報のやり取りを行う事になる。

大物部品x1

小物部品x4

大物部品x1

小物部品x4

Pattern 1 最速タクトタイム(2分)

ワークセットジグ

ロボットB+溶接ハンド

機械作業

手作業

ワーク

ナット

Pattern 2 最速タクトタイム (50秒)

Interface

ワークセットジグ

ナット

ロボットB + 溶接ハンド

ワーク

小物部品搬送コンベア

ロボットA

パレット供給

手作業

機械作業

■仕様策定段階-9 : レイアウトパターン毎の検討

22

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

このように安全なIMSの構築においては、使用者,インテグレータ,機械供給者それぞれの協調と協業による協働作業となる場面が多く存在する。

したがって、使用者側の立場としても,安全快適に使用できるIMSの構築に関しては上記のような視点が不可欠であることを認識し、一方通行的に仕様の満足を訴えるだけではなく,インテグレータと共にIMSを作り上げる文化を樹立していくことが望まれる。

さもなければ、日本でのインテグレータの立場の向上や国際的な競争力の向上も望めない。

大物部品x1

小物部品x4

大物部品x1

小物部品x4

Pattern 1 最速タクトタイム(2分)

ワークセットジグ

ロボットB+溶接ハンド

機械作業

手作業

ワーク

ナット

Pattern 2 最速タクトタイム (50秒)

Interface

ワークセットジグ

ナット

ロボットB + 溶接ハンド

ワーク

小物部品搬送コンベア

ロボットA

パレット供給

手作業

機械作業

■仕様策定段階-10 : 使用者、インテグレータ、供給者の協力

23

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IMS仕様が確定すると、次はより具体的な設計の段階へと移行する。この段階では,既に決定されたIMSの仕様に基づき、- レイアウト- プロセス- ユーティリティ- タスク- タスクに関連するアクセス(避難含む)等の分析と決定 等が必要である。

左図の製造物を作るにしても、人の介入を減らし自動化を進めればIMSのコストは上がるが、ISO12100 の本質的安全設計方策の一つである自動化によるリスク低減と、生産効率の向上とが両立できる可能性が高まる。

大物部品x1

小物部品x4

大物部品x1

小物部品x4製造物

1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

■基本設計段階-1 : 自動化によるリスク低減 と 生産効率向上

24

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

左図パターン1の構成ではユーザーの求める生産能力が達成できないとの仮定の下、左図パターン2の構成を選択している。

右図パターン1及びパターン2は、左図パターン2の構成の吟味を更に進める段階であり、そのレイアウト検討の過程を模式的に表したものである。

例:各構成要素の配置の検討

Pattern 2-1(小物部品コンベアをIMS左側に配置)

Pattern 2-1に決定

ワークセットジグ

ロボットBロボットA

操作盤手元操作BOX

ロボット盤Bロボット盤A

作業者A

作業者B

大物部品(素材)台車

完成品台車

作業者C

小物部品搬送コンベア

小物部品

素材

台車

制御盤

Pattern 2-2(小物部品コンベアをIMS正面に配置)

ワークセットジグ

ロボットBロボットA

操作盤手元操作BOX

ロボット盤Bロボット盤A

作業者A

作業者B

大物部品(素材)台車

完成品台車

小物部品(素材)台車

作業者C

小物部品搬送コンベア 制御盤

Pattern 1 最速タクトタイム(2分)

ワークセットジグ

ロボットB+溶接ハンド

機械作業

手作業

ワーク

ナット

Pattern 2 最速タクトタイム (50秒)

Interface

ワークセットジグ

ナット

ロボットB + 溶接ハンド

ワーク

小物部品搬送コンベア

ロボットA

パレット供給

手作業

機械作業

■基本設計段階-2 : 装置レイアウトの吟味

25

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

工程の核となる製造物の加工と搬送に関わる機能の最適配置を行うことである。このときに、性能面だけに捉われて、IMSの内部へのアクセスのための安全な通路や作業スペースの確保を見落とし、これより後の段階でその事実が発覚しても後戻りできないことが予想される。また、IMS内部のレイアウトは製造物の製造プロセスに大きく左右されるため、工程分析(どのようなものがどのような順番で組み立てられていくのか、またその工程順の入れ替えの可能性の検討など)も非常に重要な要素である。左図上は特にIMSの内外のアクセス性について検討した結果の模式図である。左図下は工程分析を行うときに使用したフロー図のモデルである。

H作業者B

システム占有面

システム内部材

作業者A

建屋柱 壁 或いは他装

共用アクセス 人

専用アクセス 人

大物ワー

ク投入

機械側機能

ワークク

ランプ

クランプ

操作

ロボットA

小物搬送

小物コン

ベア搬送

ロボットB

素材溶接

完成品取

り出し

小物ワー

ク投入

オペレータA作業

オペレータB作業小物空パ

レット取

り出し

オペレータB作業

小物ワー

ク投入

大物ワーク投入

へ続くXxサイ

クル後

工程シーケンス(二人作業 Pattern 2)

大物ワー

ク投入

機械側機能

ワークク

ランプ

クランプ

操作

ロボットA

小物搬送

小物コン

ベア搬送

ロボットB

素材溶接

完成品取

り出し

小物ワー

ク投入

オペレータA作業

オペレータB作業小物空パ

レット取

り出し

オペレータB作業

小物ワー

ク投入

大物ワーク投入

へ続くXxサイ

クル後

工程シーケンス(二人作業 Pattern 2)

■基本設計段階-3 : IMS内部のレイアウト決定

26

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

もう一つの意味はIMSとその周辺の設置上の制約に適った設計とするための検討プロセスである。例えばここでは、予定された空間内にIMSを収めることが必要不可欠であるが、それと同時にIMS周辺の人や物の動線,あるいはフォークリフトなど車両の通行などにも支障がないような設計が必要となる。本分析においては、さらに、小物部品台車,大物部品台車,完成品台車もIMSの外部に置いて作業することをイメージしている。

これらの設置スペースが必要なことはもちろんであるが、IMSへの到達経路には、これらの台車が十分に通行できる通路があることが前提となってくる。左図はこの検討結果を模式的に表したものである。

ワークセットジグ

ロボットBロボットA

制御盤

操作盤手元操作BOX

ロボット盤Bロボット盤A

作業者A

作業者B

大物部品完成品

小物

部品

周囲クリアランス5m

通路3m

周囲クリアランス5m

10m

通路3m

10m?

H工場柱

周囲クリアランス3m

周囲クリアランス3m

H

通路

作業者C

■基本設計段階-4 : IMS周辺のレイアウト決定

27

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

実際には、基本設計段階で決定する必要な機械とそのレイアウト決定に至るまでに、設計の現場では多くの反復プロセスがなされることになる。本WGでのIMS設計シミュレーションにおける反復プロセスは、以下のようなイメージで進めた。

(1) 要求分析- 設置場所分析- 工程分析- 必要な機械機能決定と

生産能力の見積もりここで分析された結果が以下の通り、仕様策定へと繋げる。

(2) 仕様策定- 要求分析で検討した必要な機械

のレイアウトの決定- 使用する機械の性能及び安全

仕様の決定

統合生産システム構築フロー

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

C D

F A. 要求分析段階

B. 仕様策定段階

C. 基本設計段階

D. 要求分析、仕様策定と基本設計の間になされる

反復プロセス

E. 詳細設計段階

F. 基本設計と詳細設計の間になされる反復プロセス

■要求分析・仕様策定と基本設計の間になされる反復プロセス-1

28

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

仕様策定結果、決定事項に不都合(ユーザ要求との不適合など)がある場合には、要求自体の見直しや、機械機能の再選択となる。また決定された事項は、以下へと繋げる。

(3) 基本設計- 仕様策定で決定した機械機能の

レイアウトの確認及び改良,改造の有無検討

- 要求分析で実施した工程分析を元に、製造工程の分析と最適配置の検討

- 上記で決定したレイアウトを元に,アクセス(避難経路)分析の実施

- 大まかなタスク(この段階で見込むことが出来るタスク)の決定と分析

統合生産システム構築フロー

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

C D

F A. 要求分析段階

B. 仕様策定段階

C. 基本設計段階

D. 要求分析、仕様策定と基本設計の間になされる

反復プロセス

E. 詳細設計段階

F. 基本設計と詳細設計の間になされる反復プロセス

■要求分析・仕様策定と基本設計の間になされる反復プロセス-2

29

Page 30: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

この段階でのアクセス分析(機械内外のアクセス通路のサイズ,アクセス手段検討等)を実施し、機械の占有面積に対して、後々の変更(占有面積を広げる等後に困難となる変更)を出来るだけ避けるためにこの分析を実施する。特に以下の事項の決定が無ければ、機械の様々な仕様を決定することが出来ない。- 機械周辺の人と物の動線- 機械内の人と物の動線- 上記動線に関わるアクセス

形態や頻度などの分析(避難経路含む) 等

これらを決定した上で、機械の占有面積,レイアウトの最終的な決定が可能となるため、それまで上記分析の反復作業を繰り返すことになる。時には大きな後戻りが生じるかもしれないが、それを出来るだけ無くすことが設計の効率化に必要不可欠である。

統合生産システム構築フロー

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

C D

F A. 要求分析段階

B. 仕様策定段階

C. 基本設計段階

D. 要求分析、仕様策定と基本設計の間になされる

反復プロセス

E. 詳細設計段階

F. 基本設計と詳細設計の間になされる反復プロセス

■要求分析・仕様策定と基本設計の間になされる反復プロセス-3

30

Page 31: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

基本設計及び、その決定事項をIMS仕様へとフィードバックする作業(仕様の見直しや変更)が終了すると、より詳細な設計へと移行する。この時点において使われる部品やサブユニット,その機能維持のために必要な保守作業なども特定し、タスク分析を行い文書化する。タスク分析結果は後に完成させるリスクアセスメント及び作業マニュアルへと深く関連していくことになる。

機械設計の機能面での、詳細設計を進めていく段階においては、安全設計の多くは既に決定されているかあるいは設計者はその確固たるイメージを持っていることが多い。しかしながら最終決定を行うには、決定されたレイアウトに基づき、以下の分析を実施し文書化を行う必要がある。

統合生産システム構築フロー

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

C D

F A. 要求分析段階

B. 仕様策定段階

C. 基本設計段階

D. 要求分析、仕様策定と基本設計の間になされる

反復プロセス

E. 詳細設計段階

F. 基本設計と詳細設計の間になされる反復プロセス

■詳細設計段階-1 : 基本設計のフィードバックと詳細設計への移行

31

Page 32: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

- IMSのリスク低減戦略の決定とリスクアセスメント

以下はリスク低減に深く関連する事象である。

- 危険源の同定/抽出- 作業者介入(タスク)の決定と

分析- ライフサイクル- 安全の達成手段の決定

(3ステップメソッド)- 制御による安全の確保

①.制御範囲とタスクゾーン②.IMS内部のゾーン間移動の

可能性③.作業者スキルレベル など

統合生産システム構築フロー

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

C D

F A. 要求分析段階

B. 仕様策定段階

C. 基本設計段階

D. 要求分析、仕様策定と基本設計の間になされる

反復プロセス

E. 詳細設計段階

F. 基本設計と詳細設計の間になされる反復プロセス

■詳細設計段階-2 : 基本設計のフィードバックと詳細設計への移行

32

Page 33: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

IMSとしてのリスク分析/評価の段階で最も重要なことは、・停止範囲とアクセス経路、・停止範囲とタスクゾーンが一致していることの確認である。もし、この一致が取れていないか、あるいは、タスクゾーン及びアクセス経路の範囲が当該安全機能の停止範囲を超えている場合は、・作業者がその作業範囲を逸脱し隣接す

る動作範囲に進入できなくするか、・またはその進入を検知して動作を停止させる必要がある。

これらの分析を行うには、仮想的に図面上などでゾーン分けを行い、それらに名称を与えて、その上で検討することが必要である。

左図上と左図下の分析は、IMSモデルにおいて、安全インターロックの作動により全ゾーンが一斉に停止する制御範囲を表しており、その結果を表と図で表している。

Access

pathAccess path (ゾーン間移動)

1 2

3

4

Gate A

Gate C

1.2

1.1 2.1

Access

pathAccess path (ゾーン間移動)

Access

pathAccess path (ゾーン間移動)

1 2

3

4

Gate A

Gate C

1.2

1.1 2.1

IMSアクセス及び

ゾーン分析1

内部ゾーン分析

■詳細設計段階-3 : 停止範囲とアクセス経路/停止範囲とタスクゾーン 分析

33

Page 34: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

前述の表と図で表されるタスクゾーンと制御範囲の関係は、一般的な機械の制御と変わりが無く、タスクゾーンと制御範囲はゾーン間移動を考慮しても全てのアクセス経路で一致している。

左図上と、左図下の内部ゾーン分析は、本IMSモデルにおいて、安全インターロックの作動により、あるゾーンだけが停止する制御範囲を表している。この事例が最もIMSらしい制御事例と言える。

つまり、IMS内に異なった制御範囲を持つそれぞれのゾーンが存在しているため、ゾーン間移動により、制御範囲とタスクゾーンの一致を見ないところが存在する。このような作業要員のゾーン間移動が可能な場合には新たな安全方策を用いて、ゾーンの切り離しを検討する。

IMSアクセス及び

ゾーン分析2

内部ゾーン分析2

アクセス経路進入

Gate 関連ゾーンゾーン間

移動有無

制御範囲とゾーンの一致

存在可能ゾーン

マイナス 動作ゾーン

設計変更の必要性

11→ 1.11→1.21.2→1.11.2→1

AOrC

A None (but possible)

Yes (but possible to walk through the zones)

A+B マイナスA(or B)

Yes because of access among the zones is possible

22→2.1

B B and D Yes No A+B マイナスA(or B)

1→31→1.1 →41.2 →1.1 →4

A or C

All(A B C D)

Yes No A+B マイナスA(or B)

2→32→2.1→4

B All (A B C D)

Yes No A+B マイナスA(or B)

詳細設計

Access path Access path (ゾーン間移動)

1 2

3

4

Gate A

Gate C

1.2

1.1 2.1

■詳細設計段階-4 : 停止範囲とアクセス経路/停止範囲とタスクゾーン 分析

34

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

停止範囲とアクセス範囲の分析が終了すると、各安全機能とタスクの分析を通常のリスクアセスメントの手順で実施する。その分析手法については、本論文では割愛するため、他の文献、例えばTR ISO14121-2などを参照いただきたい。

最終的にリスクアセスメントの到達目標は、制御回路によるリスク低減の場合は、PLr ≤ PL(或いはSILの関係)を確認することを意味する。

制御回路以外の方法でリスク低減を行う場合、例えば、TR ISO14121-2や、日本機械工業連合会のリスクアセスメントガイドラインに紹介されるようなリスク見積もり及び評価方法を用いてリスク低減の妥当性を確認することも考えられる。

■詳細設計段階-5 : タスク分析 と リスクアセスメント

35

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

詳細設計の段階で決定される制御範囲とタスクゾーン(ここではタスクゾーンは作業場所及びその作業場所へいたるアクセス経路,避難する場合の避難経路を含むと定義する)の一致が見られないとき、つまりタスクゾーンが制御範囲より広大となる場合は、作業者が危険にさらされる可能性がある。

この場合は①タスクゾーンの見直し か、②制御範囲の見直しを行う。この場合、①では、アクセス経路の見直しや作業実施場所の見直し、あるいはそれらの物理的な隔離の実施が必要となる。アクセス経路や作業実施場所と動作ゾーンとの物理的な隔離が無理な場合は、作業要員のゾーン間移動を監視するなどの、存在検知デバイスなどの追加が必要となる。

統合生産システム構築フロー

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

要求分析

仕様策定

基本設計

詳細設計

作図

図面

システムテスト

機能テスト

結合テスト

単体テスト

検図

2.参照規格

3.用語及び定義

4. リスクアセスメントおよびリスク低減のための戦略

5.リスクアセスメント

1.範囲

6.リスク低減

7.タスクゾーン

8.安全ガード及び制御範囲

8.安全ガード及び制御範囲

9.使用上の情報

10.設計の妥当性確認(ゾーン内)

10.設計の妥当性確認(ゾーン間)

10.設計の妥当性確認(全ゾーン)

<ゾーン内安全性確認>

<ゾーン間安全性確認><ゾーン間インタフェイス確認>

<仕様適合確認>

10.設計の妥当性確認(システム)

<ユーザ満足度確認><規格適合確認>

C D

F A. 要求分析段階

B. 仕様策定段階

C. 基本設計段階

D. 要求分析、仕様策定と基本設計の間になされる

反復プロセス

E. 詳細設計段階

F. 基本設計と詳細設計の間になされる反復プロセス

■基本設計と詳細設計の間になされる反復プロセス

36

Page 37: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

ここまでの構築プロセスの流れをわかりやすくするために、本WGで検討した

①統合生産システム構築フロー図(プロセス1)②要求分析,仕様策定および基本設計の検証・反復プロセス(プロセス2)③基本設計と詳細設計の検証・反復プロセス(プロセス3)

を、次頁以降に示す。

これらのフロー図は、複雑に絡み合う各設計段階と反復プロセスを時系列的に表している。これによりVモデルにあまり馴染みのない設計者でも一連のプロセスの容易な理解が可能になると考える。

■補足、参考資料

37

Page 38: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

■補足、参考資料

38

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

■補足、参考資料

39

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1.Vモデルに沿った規格要求事項の明確化

■補足、参考資料

40

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2.おわりに

以上、社団法人日本機械工業連合会に設置した統合生産システムWGでの検討結果を述べた。本WGでは、品質管理モデルの一つで、特にソフトウエアの作成の場でよく使われるVモデルという手法に沿って、規格要求事項を各設計フェーズ及び評価フェーズに階層分けして明確化する方法を提案した。

これらの提案に対する検証活動は、次期WGの課題であり成果として期待したい。また、IMSの構成は多岐にわたるため、更に複雑なIMSの構成をモデルとした研究報告や、新たな安全方策を提案及び検討も併せて期待する。

さらに、半導体製造装置に代表されるような、現在の多機能で複雑化した機械は、IMSの要素を多分に含むために、ISO11161及び本WG報告書、リスクアセスメント帳票が、それらの機械の設計などにも適用できると考える。

統合生産システムの構築は『生産性と安全性の両立』も狙っている。

安全性

生産性

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2.おわりに

繰返しになりますが、統合生産システムは、インテグレーターと呼ばれる、統合された生産システムの安全要求を統括する事業(人、モノ)を定義しています。これは、複数の機械間のガードや異なる機械メーカ間での安全仕様の相違など、従来の規格では見落とされがちであった項目や、機械ユーザーとサプライヤー間の調整、コンサルティングなどシステムの安全を達成する上で重要な役割となります。

本WGの活動及び成果物の作成において各委員及び事務局の多大なる努力とご支援によりここまでの成果を得られたことに謝意を述べたい。また、本WGの活動とその結果が、わが国の今後の機械産業と機械安全のグローバル化の後押しとなることを祈念し、結びとさせていただきたい。

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ご清聴ありがとうございました

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付録 平田機工㈱ の ご紹介

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Page 45: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

Hirataの特徴 – 一貫生産

生産エンジニアリング

モノ造り力

サポート力

運用上の教育・研修サポートメンテナンスアップデート

システムエンジニアリングプロセスエンジニアリングソリューションレビューと最適化

機械設計制御設計ソフトウェア設計

機械部品制御盤ワイヤーハーネス

社内 組立・試運転・検査

現地据付・テスト

グローバル対応力

開発・提案

設計

部品製造

組立・検証

生産立ち上げ

保守・サービス

Hirata 会社紹介

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Systems Integration

Hirataの特徴 – 生産エンジニアリング・モノ造り力

システムインテグレーター~ 豊富な経験とノウハウ ~

• 一貫生産

• 機械 + 制御 + 総合システムの能力

• 社内製造能力

– 機械設計から製造まで

– 制御設計から製造まで

– ロボットの開発・製造

– ソフトの開発

– 高い社内製造率

ソフトウェア開発

CAD/CAM

システム

精密部品加工

システム計装

当社工場内での完全試運転 組立

自動機 プロセス装置

搬送機

フィーダー

ストッカ生産管理システム

制 御

ロボット

Hirata 会社紹介

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Page 47: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

Hirata 会社紹介 自動車関連設備 - 製品紹介

トランスミッション関連設備自動車部品関連設備

ACS-CAssembly Cell System For Component

エンジン組立設備

リフロー装置

エンジン組立ラインの全景

エンジン・トランスミッション・自動車部品の生産システム

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Page 48: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

Hirata 会社紹介 FPD関連設備 – 製品紹介

ヘッドコーター

搬送ロボットやプロセス装置を組み合わせた生産システム (液晶・PDP・有機ELの生産設備)

ローダー・アンローダー(オートローダーシステム)

減圧乾燥装置

大型ガラス基板搬送ロボット

ベイク装置

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Page 49: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

Hirata 会社紹介 半導体関連設備 - 製品紹介

プロセス間及びウェーハ搬送用ロボット等の搬送装置(※450mmウェーハにも対応しています)

ロードポート(FOUPオープナ)

真空対応ウェーハ搬送ロボットウェーハ搬送ロボット

EFEM (Equipment Front End Module)

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Page 50: 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の …世界の生産エンジニアリングメーカー 統合生産システム(IMS)における安全設計手法の提案

Hirata 会社紹介 L&M関連設備 ( Logistics & Material handling ) - 製品紹介

製品仕分けラックレスストッカ

薄型テレビ自動組立設備タイヤ自動倉庫

冷蔵庫生産ライン

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Hirata 会社紹介

16軸直交型ロボット

パレタイジングロボット汎用スカラロボット直交座標型ロボット

ACS-C応用

太陽電池 搬送ロボット 太陽電池 搬送コンベヤ太陽電池 モジュール組立装置

その他の設備・ロボット - 製品紹介

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