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Hitotsubashi University Repository
Title 総合商社と海外投資 : 経済開発のマーチャント
Author(s) 小島, 清; 小沢, 輝智
Citation 世界経済評論, 27(11): 29-38, 57
Issue Date 1983-11
Type Journal Article
Text Version publisher
URL http://hdl.handle.net/10086/16784
Right
臆
禽
菌
数と海外投資
-
経済開発のマーチャ
ント-
小
島
清
二
滞大学護済学部教授
)
一
研
究
課
題
-
『海外直接投資の新形態
』
かづて
「商社斜陽論」さ
ら
には
「商社無用論」が叫ばれ、今や
「商
社
・冬の時代」と突つかれ心配さ
れ
ている。それなのに他方'外国では
'
日本のユニークな
「総合商社」の
経
済開発への創造的貢献に対し'高
い
評値が与えられ'それを理解し'
見
習いたいとの機運がも-上っている
。
韓国では既に
10社に及ぶ酪合商
社
が育ったし,マレーシアを姶めい
し
つかの開発途上国が商社づ--に
着
手した.共産圏の中国'ソ連-、
貿
易公社とか公団の改組を考慮してい
ると聞-Oそしてアメリカすら'
一
九八二年
一〇月に'「輸出商社法
案
(DISC)」を通し'商社設立に
取
-組みはじめたO今日'総合商社
の
活動と在-万が重大な転換期にあ
る
ことはまざれもない事実だ。その
実
態を詳細にふ-かえ-、将来を卜
し
てみることは'内外にとって緊急
に
必要な課題であ-'その絶好のチ
ャ
ンスでもある
。
われわれ両名は、過去三年間に
わ
た-'OECDの開発センターで
の
「海外直接投資の新形態」なる共同
小
研究に参加し、その
一環
と
して
'
Japan'sGeneralTradingCompa
・
niesJMerchalitOfEconomicDe
・
veloPmeJu
なる報告書をまとめた
。
今年の、宋頃のOECD出版物と
し
て公刊されることになっている。
ま
たその日本版を同時公表したいも
の
と努力している。そのエッセンスを
'
ここに披露しておきたい
。
H
多国籍企業活動と日本
型
歴史は古いのであるがtと-に
戦
後隆盛をきわめた海外直接投資
(D
FI)は'圧倒的にアメ-カ企業
に
よるものであるが'それに若干のヨ
津
輝
智
.(コDラド州立大学題辞学部救援
)
-ロッパ系のものも'
「旧形態D
下
Ⅰ」が大部分であった。ここに
「旧
形態」というのは
「完全所有
(含九
九%或は九六%以上)子会社」形
態
での海外企業進出ということに代
表
される。だがもう少し広げて言うと
'
巨大企業が海外に
(或いは'世界
各
地に)多数の生産
・販売の拠点を
進
出させ'その企業の収益と市場シ
ェ
アの拡大のために世界戦略
(それ
は
大体において独占的ないし寡占的
行
動である)をとるのである。これが
'
「多国籍企業
(MNC)活動」で
あ
る。完全所有形態は'完全なコン
ト
ロール'統
一的経営'企業秘密保持
-29-
などのために不可欠な要因として選
好され固執されているOしたがって'
「旧形態DFI」とはtMNC世界
戦略の一環として行われるDFIt
かつMNC的行動とコントロールの
下にあるDFIであ-、
「MNC型
DFI」と略称してよいものである。
MNC型DFIが'まったく私企
業のミクロ的行動理論に立脚してい
ることは明白だ。それはすでに'国
家とか国民経済とかいう枠を飛び越
え'それは恰も存在しないものかの
ごと-受けと-'かれらの行動の投
資母国とホスト国へのマクロ経済的
効果といったものは眼中に入れない。
一〇年程前までのDFI理論は'ヴ
ァーノンの
『プロダクト・サイクル
論』であったO今日
では'ダ
ニン
グらの
『市場内部化論
interna-iza・
tioコ』が支配的である。
そのエッセ
ン
スは'多国籍企業活動化或いは企
業の国際化をはかることにより、生
産'販売'決済、資産運用などの諸
取引
(-市場)を
一つの巨大企業の
中にとりこみ'もって取引コストの
節約がはかれる。それが世界中に拠
点を進出させる最大の動機であると
いうのである。結局tMNC型DF
Iは'ミクロ的私企業行動論の枠を
一歩も出るものではない。
これに対して日本経済は'貿易拡
大に主力を注ぎ'海外直接投資には
遅れた参入者
(-atecomer)として
登場し、漸く
一九六〇年代末から本
格的企業進出に乗-出した。そのス
ピードは早く'アメリカ'イギ-ス
につぎ'西ドイツと並んだか'既に
それを追い越すまでに成長したOだ
が日本のDFIは'層に遅れた参入
者であったとい-理由からだけでな
-'いろいろな点で
「MNC型DF
I」とは著し-異なった特色をもつ
に至った。執筆者の
一人は
「日本型
T⊥I
DFI」と総称した
の
であるが'そ
れを今や
「新形態DFI」と言い直
しておいた万がよ-適切であろうO
「新形態」とは何ぞやという定義
はまだ確立されてはいない。開発途
上諸国に経済ナショナリズムが高揚
LtMNC型DFIの性悪さを憎み'
その反省を求めたことに端を発して
いることは言うまでもない
(このた
めOECDや国連での
「多国籍企業
行動規範」作-が
進められた)。そ
の詳細は後に展開するのであるが'
日本のDFIには'
「新形態」を受
け容れる性向が強い'とい-特色が
-つき-と現れている。そのい-つ
かを要約的に言うとこうである。
糾マイノリティ所有の合弁形態が
多
い〇三人四胸型といわれるような
商社が参加する独得の形態さえ生ん
ど.榊融資買鉱へターンキイ方式、
長期購買契約へ技術の分割
(unpa・
ck爵e)移転など'非出資形態(non-
e
quityarrangements)も多い。
糾
日本に不足して
いる資源調達のため
と'日本の労働力不足を克服し産業
構造を高度化するための製造工業海
外進出が多い。これは日本のマクロ
経済的必要に発するものだが'同時
にホスト国の順を追った経済発展に
調和的に貢献した。3:多分余り儲か
らない
(独
・寡占的行動の好対象で
はない)という理由からか'米欧M
NC型DFIが進出したがらない'
開発途上諸国の製造工業の創設と拡
大に、しか-半数以上中小企業が進
出していったO脚資源開発とかプラ
ント輸出など大型プロジェクトにつ
いてはグループ投資が典型であ-'
商社がそのオーガナイザ.-となって
いる。口日
本型DF-の特徴
このように日本がDFIの新形感
を作り出し'開発途上国の要請によ
-多-柔軟に対応してきたについて
は'数多-の理由があろう。その中
で二つだけキイ・エレメントを指摘
しておきたい。第
一は'個々の直接
投資
(企業進出)は'たしかに各企
業の慎重な収益採算に基いて行われ
るO資本主義経済として当然である。
MNC型DFIとその点で違いがあ
るわけではない。だが、日本のDF
Iは、わが国経済に必要不可欠な資
源'その比較劣位化した労働集約工
慕
(ならびに労働集約的生産工程)
を域外生産
(offshoreproduction)
によって補い
'
もってマ
クロ経
済
構
造の高度化と維率化に資する'そし
てまた対外貿易の創造
・拡大をもた
らすtというマクロ経済的動因が強
く助らいていた。その意味で'日本
のDFIが自国中心(ethnocentriC)
であったことは香定できな
い。だが
同時に'明治以来盲年余を要してこ
こまで発展してきた日本経済のプロ
セスをへその半分とか三分の
一の年
月をもって急速にキャッチアップLt
第二'第三の日本経済になろうとし
ている開発途上諸国の'着実な'順
を追った工業化'経済発展'貿易拡
大に'日本のDFIがちょうど-ま
くミートLtクルーシァルな貢献を
- 30-
- 総合商社と海外投資-
果たしたのである。それは'比較優
位パターンの相互の変化に即応した'
またそれを先ど-した直接投資であ
ったからである。日本のDFIは'
投資母国とホスト国双方の経済発展
の媒体
(ca邑
yzer)であり促進者で
あった
のである。またこれを解明す
るには、ミクロ的企業行
動論だけで
は不十分であって'
マクロ経済的ア
プ
ローチを構築し'両者を統合した
理論によって裏づけられねばならな
いのである。
第二は'日本経済が
「新形態DF
I」を推進しえたについては'わが
国だけに存在するユニークな総合商
社の活動へさらに広げて言えば'商
社の役割の大きい独得の企業間組織
と密接な関連があるのではあるまい
かtという問題意識である。この着
想'このファインディングを実証的
に裏づけてみたのが'以下に要約を
示すわれわれのOECDレポートで
ある。このファインディングが正し
ければ-
われわれはそう確信する
のだが-
、総合商社はまさに
(投
資母国とホスト国双方の)
「経済開
発のマーチャント」と称するにふさ
わしいのである。
われわれのOECDレポートの貢
敵は、東洋経済新報社
『海外企業進
出総覧』その他の原資料から九大商
社が参加している海外進出企業のす
べてについて個票を作成し'それを
い-つかの分析目的に応じて分類す
るとい-'手間のかかる作業を'試
みたことである。三十余に及ぶ諸表
(うち図が
一つ)がわれわれのレポ
ートの生命である。これによって実
に広範な'常に創造的なtかつ縦横
無尽に柔軟な
「経済開発のマーチャ
ント」の開拓者的活動の実態が'客
観的に'数字によって明確化された。
もとよ-'総合商社がどうやってビ
ジネス機会を発見し'収益をあげ'
時に失敗し、生き残-かつ成長する
かの'ほんとうのメカニズムは'外
側からと-にわれわれのごとき学究
にとって'わかるはずがないOその
ことは十分に承知している。だが'
Ce.・_
今や
「小島
・小滞パラダ
イ
ム
」
とし
て海外でも広く注目されている海外
直接投資理論に裏づけられた客観的
分析は'日々苦闘されているビジネ
スの万々にも'参考になる点があれ
ば幸いと患-。またこの塩の問題に
関心を-たれる研究者や学生諸兄の
恰好の検討文献たるに値すると期待
している。
われわれのOECDレポートは、
海外で関心の高まっているわが総合
商社の実態を'外国人によりよく理
解してもらうことを第
一目的として
いる。もともと国内向けではない。
また'開発途上国
への
「新形膿DF
I」を明示することに優先的力点を
おいているOこのため対先進国投資
(そこでは
「新形態」は余-とられ
ていないLtそれは問題ではない)
の分析が手薄になっている。OEC
Dレポートではそこまで言及してい
ないのだが'本稿では'今後の商社
活動について'われわれの分析から
導かれるサジェッショ.ンをもいくつ
か捷示してみたい。
二
世界にまたがる商事ネ
ットワーク
H総合商社こそ日本の
多国籍企業
わが国にユニークな総合商社の誕
生は'明治初期に'外国マーチャン
ト支配下の
"商館貿易〃
にとって代
-'日本人の手によって
'自らの貿
易と産業発展の意思決定や方向づけ
を果たすという'いわば日本経済運
営の独立宣言であった。創造性と活
性に富む総合商社は'水先案内人と
して'常に日本経済の発展をリード
し、ビジネス機会を開拓しっづけて
きたOだがこの種の歴史的考察は'
日本の読者には周知のことがらであ
-、.ここで繰返す必要はあるまい。
今日'総合商社こそ日本の最も代
表的な多国籍企業であると'断定で
きよう。商社本来の機能たる商事活
動について世界にまたがるネ
ットワ
ークを築きあげている。それだけで
はない。いな、コミッションを稼ぐ
〝商権″
拡大のために'製造工業と
資源開発
の
〝海外生産〟
開拓を先導
Ltその運営に参加して
いる。さら
に'海外生産に必要な資本財
・原材
料
・部品の調達と製品の販売
(それ
らが商権だ)・だけでな-'融資'配
船'倉庫'保険など'
一括して
〝ビ
ジネス・インフラ″
と称しうべき諸
サービスを'世界に
またがって'適
時適切に捷供している。
われわれが調査の対象にしたのは、
九大商社の総計
一'四九八に及ぶ海
外事業体であるが'その内訳は'商
社本来の商事活動を行う事業体三八
七'商社が参加している製造業合弁
企業六八二へ資源開発合弁企業
一三
- 31-
九が主要なもので'この他に'ビジ
ネス・インフラ提供事業として'プ
ラント輸出促進事業三九㌧倉庫業二
三'海運事業五五へその他の諸サー
ビス事業二五
一に達するのである。
このように'商社の提供するビジ
、ネスインフラ
・サービスを媒体とし
調整者として'海外生産が推進され
る。つま-海外生産とそれをサポー
トするインフラ
・サービス捷供とが
異なる企業の間で分業され分担さ
れ'しかも相互に協力するという関
係にある。これを
「企業間機能分業
divisionof
corporatefunctionsJ
【旦
と
言
って
よ
い.
こ
こ
に
日本
の海
外
直
接投資の全システムとしての特色が
見出される。すなわち'個々の海外
生産はそれ自陣として
lつ1つバラ
バラに行われるのであるが'その生
産を創始し運営するために必要なイ
ンフラ
・サービス
(つま-情報の提
供、原材料の調達'製品
の販売
な
ど)は別の企業
つせり商社によって
捷供される。さらにバラバラに行わ
れる海外生産は商社を通じて結びあ
わされ'協力しあえるようにシステ
ム化されるのである。
この点が米欧
の
「MNC型
DF
I」と大いに異なっている。多国籍
企業は'試蕗
・生産というアブ
・ス
ト-1ムから'ダウン・ストリーム
の覇送
・加工
・精製
・販売まで'す
べて
1企業の中に内部化Ltもつて
取引コストの節約というゲインを実
現しょうとするのである.日本のD
FIと対称的である。日本でも自動
車企業などこの方式を採る傾向が出
てきたoいわゆる
「商社離れ」の傾
向である。
どちらの方式がよ-望ましいかは'
慎重な価値判断を要しょう。MNC
型DFIは独
・寡占的利益の追求に
脂-易いと懸念される。他方日本の
企業間機能分業型のメ-ットは、総
合商社の情報と流通サービスの規模
経済のいかんに依存するが'それは
非常に大き-tMNC型の内部化利
益をはるかに上回るものと思われる。
総合商社の貢献の源泉が'世界に
またがる広汎かつ機敏な情報網にあ
ることはいうまで-ない。このこと
は日
本のDFIを成功させる上で重
要な意義をもっていた。世界にまた
がるtかつ
「ミサイルから
ラ
ー
メ
ン」に至る広汎な商品に関する最新
の情報をも
っているが故に'有望な
ビジネス・チャンスが発見でき開拓
できる。個々
の生産企業
(メー
カ
-)ではわからない'日本と外国と
の比較優位とその変化が'総合商社
によってはじめて的確に判断できる
のだ。ホスト国が比較優位をもちう
る分野に海外生産を進出させたこと
が、日本のDFIの成功の重要な要
因だと判断されるOそしてこの点も
MNC型DFIとは対称的なのであ
る。情
報というのは、技術ノウハウと
同様に'私的企業の貴重な無形資産
であ-'相応な対価をもって譲渡さ
れて然るべきものである。だが日本
では殆んど無償である。商品やサー
ビスの取引の仲介ということも価値
創造的な不可欠のピジ・*ス・インフ
ラであるが'総合商社の得るコミッ
ションはきわめて低い。有望な海外
企業進出の情報を提供し'その設立
を進出先に関する語学へ環境へコネ
など専門知識をもって助ける
(それ
なくしては中小企業の海外進出はと
ても実現しなかったであろう)など
を商社がやっても'それに対する直
接の報酬は提供されないのが普通で
ある。商社はそういうDFIの道案
内をしオーガナイザーとなるという
重要な役割を果たすのだが、設立さ
れる合弁企業に若手の出資をし'多
額の融資をすることによって'企業
建設と運営に必要な資本財'原材料'
部品'時に第三国からの技術の調達
と'他方'生産された製品の販売と
を仲介するという
「商権」を獲得し'
コ,,(ッシTnンを稼ぐにすぎない。こ
れは多分'商社の数が多-'過当競
争と言われるほど激しい自由競争を
闘わせている結果であろう。それ故'
日本の海外活動
(貿易と直接投資)
は、商社を媒休とする
「企業間横領
的統合」であ-'公開市場における
自由競争による
「市場的統合」と異
なるところがない。この点でtMN
C型DFIが、関連諸取引を
一企業
の中に
「内部化」して'独
・寡占的
行動をとる「機関的
(或いは制度的)
institutional統合」とは、大いに異
なる
ので
ある。
肖
三人EI脚型合弁企業
さて'情報蒐集を含め、本来の機
能たる商事活動のグローバル・ネッ
トワークを'九大総合商社はどのよ
うに形成し運営しているであろうか。
各総合商社は'日本にある本社のほ
か'世界の主要都市に
「地域本部」
(九大商社合計で
1四六)を設けて
いるが'それは大部分完全所有の現
- 32-
地法人の形鰻をとっている.内国民
待遇をうけ、起債や税金の優遇'そ
れに情報の専有などの便益が得られ
るからである。
この列に、支店をはじめ各種の合
弁会社を世界中に進出させているO
それは次の八つのタイプに分けられ
るが'このタイプ分けは商事活動プ
ロパーについてだけでな-、製造業
その他の海外投資活動についても'
共通している。
タイプ
A=商社本店が完全所有す
る子会社。
タイプ〃=商社地域本部が完全所
有する子会社。
タイプB=商社本店と日本の会社
(時
に複数)の所有になる合弁
会社。日本の経営の完全な
コン
トロール下にある。
タイプa3-商社地域本部と日本の
会社
(時に複数)の所有になる
合弁会社。日本の経営の完全な
コントロール下にある。
タイプ
C=商社本店とローカルか
らの出資による合弁会社
タイプbI商社地域本部とローカ
ルからの出資による合弁会社
- 総合商社と海外投資-
表 l タイ プ別 海 外 商事 拠 点 1980
A B C D 小計 A'B'C'D'小計
頂 訂三 井 物 産 4 1 711 23 12 12 7 4
3 5 58三 斐 商 事 2 8 610 26
1 3 4 7 15 41丸 紅 5 7 6 4 2
2 3 11 3 6 23 45伊藤忠商事
3 8 9 3 23 7 1 1 09 32住 友 商 事 3 2 4 1 10 0 3 2 1 6 1
6日商 岩 井 0 2 3 6 11 001 01 12トー メ ン 3 4 2 3 12
3 02 1 6 18兼 松 江 商
1 2 1 5 9 00 3 03 12日 綿 2 1 2 1 6 1 04 05 ll合 計 23354044'142 27 30 27 19 103 24
5表 2 海 外 商 事拠 点 の取 扱 商 品, 1980蒜 高言 姐 伊艶
蒜 器 ;; 維 日射 ヨ コ計堤 .漁 ,林I確:_-局12 2 5 1 01 3 02 26(10.6%)金属鉱物 .
燃料 2 01 1 01 2 007( 2,9%)一 般 蘭 :l_L
Fi 2 3 1 1 2 3 2 1 1 16( 6.5%)製 造 工
業1.食料 .飲 料 4 000001 1 06( 2.4
%)2.歳 維 類 6 1 5 6■003 1 3 25(.10.2%)3.金 属 製 品 6 ●4 2 2 4 2 2 0022( 9.
0%)4.自動車.二給車お よ び 部 品 5 3 8 9 5 1 1 0133(13.5%)5.化 学 品 2 1 0001 01 05( 2.0%)6.電気儀伐.債券 0 17 4 3 002 1 128(ll
.4%)7.
非電気機械301154211330(12.2%)
.8.その 他(惟製品)161084 1116
047(19.2%)
タイプD-商社本店、日本の
会社
(時に複数)ならびにロー
カルからの出資
(第三国からの
も含む)による合弁会社。
タイ
プⅣ=商社地域本部'日本の
会
社(時に複数)ならびにローカルからの出資(第三国からのも含む)になる合弁会社。タイプDとt)がいわゆる「三人四脚型合弁企業」である。/(ダッシ表 3 九大 商 社 の タ イ プ
別製 造 業投 資 1980A A' B B' C C' D D' ヨコ計1食 品 加 工 4 1 3 27 2 23 3 63(
9.2%2幾 程 頬 3 12 1 22 5 109 1
52(22.3%)3金環及び'同臥Pu 11 11 2 21 7 55 6 1000日(.9.6%,日 タン板) (2) (27) (
1)4化 学 品 6 4 14 4 88 2 11
8(17,3%)5電気惰性
.銭器 2 1 4 34 6 47(6.9%6非電気憤
械 5 .22 21(3.9%)7輸 送 城 詰
2 5 18 1 26日.8%)8石紙粘土ーガラス 2 1 9 12日,8%)9鉄 鋼 15 lSf2.7%
10.
准製品1134 1235238 8(12.9%
タテ計5656 121082145 222682(0.7%日0 .9
%日8.2%) (1.8
%日15.
8%)(3.1%) (66.3
%日3.2%(100 %)
ユ)のないのとあ
るのとは
'商社本
店がやる
か地域本
部がやる
かの差で
ある。そ
の差を無
視すると
'完全所
有子会社
、日本企業
する。
Cte)tpta)の現地側参加
の合弁
企業が一三〇社で五三%の多
きに連することが注目される。当然
のこ.とながら'商社の出資率は低-'
九大商社の総計で見ると、三〇~四
九%のレンジ'次いで
一〇~二九%
のレンジの頻度が最-高く'両者合
計で四六
・五%を占めるOもう
1つ'
八〇~
100%のレンジの頻度が高
い
(二二・五%)。米
欧
先進国への
企業進出は完全またはそれに近い所
有が許されるからである。
なぜ出資比率の低い沢山の合弁会
社拠点を作るのか。総合商社は限ら
れた資金をもってできるだけ広汎な
取引を仲介したいからである。各拠
点は取扱商品と地域を専門化Lt独
立採算制をとり'もって-スクの分
■散をはかっているのである。
次に表2によって'海外商事拠点
の取扱商品をみると'広汎な殆んど
すべての商品を取扱っていることが
わかる。
一次産品合計は
一三
・五%
に達する。新製品'繊維類のウエイ
トが高い。同時に「商社離れ」慣向を
見せていろ自動車や電気
・非電気機
械の取扱割合も依然としてかな-大
きいことに注目しなければならない。
このように'本店
・地域本部とな
らんで世界にまたがる商事拠点網が
形成されてお-'実に広汎な商品を
取扱い「.しかも輸出するだけでなく
輸入もするという機能を備えている
ため'三国間貿易もやれるし、為替
のマリーをやって相場変動の-スク
を回避することもできるのであるO
以上のような総合商社の世界にま
たがる商事拠点ネットワークによっ
てへ規模の経済が実現できへ流通コ
ストが低廉にされ'もって日本の輸
入と輸出を大いにファシ-ティトし
たことは言うまでもない。今や三国
間貿易の拡大に乗-出し'商事活動
は真に国際化されグローバル化され
つつある。・だが同時に'次節以下に
見るように、この商事活動ネットワ
ークが'海外直接投資の媒体とな-
促進者となったのである。
三
総合商社の海外投資活動
既述のように、日本の海外直接投
資の主軸は'マクロ経済的必要を動
因として'㈲産業構造の高度化を促
進し労働力不足をカバーするよう'
日本が比較劣位に陥ってきた労働集
約的工業
(ならびに労働集約的生産
工程)を'労働豊富な近隣開発途上
国に移植することと、仙急速な重化
学工業化に必要不可欠
な資源
(鉱物、
燃料'農林産原料並びに食料)の開
発輸入tに向けられた。
総合商社はかかる海外生産
(offS・
boreproduction)のオーガ
ナイザ
ー
か
つ
コ-オーディネイクーとして
重要な役割を演じた。製造業投資に
ついては商社は
〝コング
7-タ-〟
機能を果たしたと要約してよい。
つ
ま-進出海外生産プロジェクトへの'
必要資本財'技術'原材料の調達と'
生産された製品のマーケッティング
を'既述のグローバルな商事機能を
通じて'また商権を獲得してその商
事活動を拡大すべ-'きわめて能率
的に受けもつた
のである。有望な
「海外生産」を発掘し'専門知識と
若干の出資や融資によってその設立
を助け'水先案内人の役割を果たし
たことは言うまでもないが'商社の
ねちいは
Converter機能であった
のである。こ
れ
に対し資源開発投資
については商社は〟デブェローバー″
の役割を果したと特徴づけてよい。
その代表例は'国内での石油や食品
コンビナートの建設をオーガナイズ
したことである。同じ方式を、鉄鉱
石'石炭'石油tLNGt銅など粗
鉱石の開発だけでなく'それを加工
するアルミ'石油化学製品などの工
場建設'さらに地域開発
(モンバサ
空港建設など)などの海外プロジェ
クトに適用した。このデブェローバ
ーとしての商社の関心は'プラント
輸出と生産物の販売
の取扱権
(商
檀)を得ることにあったことは言う
までもない。
H
海外製造業投資
表3に見られるように'九大商社
が参加している海外製造業投資の対
象商品
は'逓推類
(二二・三%)、
金属製品
(一九
・六%)'化学品
(1
七.二二%-
プラスチック製品、イ
ンク'肥料'農薬など)'新製品
(一
二・九%-
はきもの'ベニヤ、玩
具など).に集中し
て
お-合計で七
二・一%を占める。つまり労働集約
的な'生産技術が単純で標準化され
た製品に集中している。これらは日
本が高賃金化から比較優位を好めた
か失
った産業である。開発途上ホス
ト諸国にとっては雇用拡大効果が大
きく'技術と経営を最初に修得する
学習効果も大きい。またその経済発
- 34-
展の初期需要を満たす'いわば必需
財である。
同じく表3に示されて
いる
よう
にへ現地側との合弁企業が圧倒的に
多い。タイプcte)、Dtbの合計
は八八・四%に達
する。つまり日本
の製造業海外投資は'商社を媒体と
した新形態を非常に多-採用してい
るのである。もう少し詳し-見ると'
新形煤は、先にあげた労働集約的標
準化商品においてよ-多-採用され
ていることがわかる。逆に、商社が
完全所有するタイプAt舟がきわめ
て少ないのは'商社自体は
生産をや
るスキルを十分に備えていないこと
を'反映している。商社はコング7
1タ-機能において'その能率を十
分に発揮しうるのである。
現地側との合弁形態が多いことと'
日本メーカーとタイアップしている
ことから当然に、商社の出資率はき
わめて低い。表4のように'商社の
出資率は
一〇~二九%のレンジに最
も多-
(四八%)属しており'次い
で'
一~九%のレンジが多い
(二七
%)のである。だが他方'推計がむ
ずかしいのだが、商社は出資額を上
- 総合商社と海外投資-
表 4 海外製遺業 合弁企業 -の商社 の 出資率 1980
出 資 率 諾 諾 姐 絡 忠 芸雲 量雷 鮒 5; 目線 ヨ コ
計1-9%10-2〇% ヰ0妻≡27!≡20書手22妻享23妻妾20享…10妻.11H11蔓国 国 頭 EZ]同 園 国 国 国 0327(47.9%)30-49% 21 16 17 !22! 3 8 7 1 5 10
0(14.7%)50% 0 6 6 1 1 001 116(2.3%)51-79% 3 2 2 3 1 2
1 3 2 19(2.8%)80-100%T1.a, 5 1 54 3 03 4 1 26(3,8%)(2)'(0)(3) (3) (0) (i)(1)(1)(ll)
02 3 04 100010( 1.5%)タ テ計 13198 103 99 60 59 43 44 45 682(100.
0%)*かソコ内は100%.tbで
Eの件数。表 5 九大 商社 の参加 す る資源 開
発 事業蒜豊 詔 旭 伊藤忠 詮 量要 兼松 5; 日綿
ヨ コ 計鉄 鉱 石 2 3 3 4 3 2 1 2 1 21(15.1%)非 鉄 金 属 7 3 6 3 10 3 0 0 0
32(23.0%)石 炭 4 4 2 03 00 0013(9.4%)石油.天然ガス 1 2 2 00 1 0
0 0 6(4.3%)石油.天然ガス混合 002
1 000 003(2.0%)農産 .畜産物 46 4 6 1 0 0 2 1 24(17,3%)漁 業
.加 工 4 5 3 6 0 1 02 1 22(15.8%)木 材
5 6 1 3 0 1 2 0018(12.9%)タ テ 計 27 29 23 23 17 8 3 6 ′3 139く
100.0%)表 6 資源開発 事業 につ いての商社
出資率 1980出 資 率 謡 諾 姐 伊藤忠 詰 星空 鮒 5; 日綿
ヨ コ 計1%以下 3 1 3 2 4 1 0 0 0 14
(10.1%)1-9% 3 3匹] 7 4 恒] o 匝] o
30(21.6%)10-29% 匡司匡司 5 匡】回 2 1 1 0 直垂二匹 ]30-49
% 5 3 2 3 1 1 1 1 1 18(12.9%)50%1 3 0000 0 0 0 4(2.8%)51-
79% 02 1001 0 1 0 5(3.6%)80-100%563,22010匡]21(15.1%)
n.a. 012
0000
003(2.2%)
タテ計272923231 78363139(100,0%)
回る多額の融資をしている。この出
質
(株式取得)と融資とで'
コング
7-タ-機能に伴う商権を獲得し'
コミッションを稼いでいるので
ある。
すなわち新形態の採用が'商社
の利
害とも
一致する。それゆえ日本
の高
い
「新形態DFI受容性向」と
'商
社の先導
・参加といぅこととは深
い
関連があると言えるのである。
表をかかげる紙幅の余裕がないが'
日本の製造業投資は開発途上諸国に
集中している。
アジア地域に五三
・
四%へラテン
アメ-カ地域に
一九
・
六%へそれ
にア7-カ
(四
・七%)
と中近東
(二・五%)を加えると実
に八〇
・二%
までが第三世界向けな
のである
。
もう
一つ'中小規模メーカーの
進
出が件数では半分を越え
るし、大企
業からの進出でも'現地で
の生産規
模は'現地の実情に即応す
るよう申
小規模である。雇用規模で
見ると'
100-二九九人のレンジ
に属する
ものが最も多いのである。
以上のよ
象地域'進出規模'それに商社の参
加という点に特色が見出せる。それ
は米欧のMNC型DFIの活動対象
と行動様式とは大きく相違Ltきわ
めて対称的であると断定できるので
(・40
あ
る
。胃
資源開発投資
戦後日本の資源政策'オイルショ
ック
(一九七三年
一〇月)後の資源
外交などの問題から説きおこすこと
が必要かもしれないが、それは省略
する。総合商社は'資源産品の単な
る輸入エージェントからその開発エ
ージェントへと大き-前進した。
表5に見られるように'九大商社
がオーガナイザーとして'水先案内
役をつとめ若干の資本参加をしてい
る海外資源開発プロジェクトは
二二
九件に達する。
一九六〇年代の急速
な重化学工業化を支え
るために'単
品としては鉄鉱石
(一五
・一%)~
原料炭
(九
・四%)の開発輸入
へ集
中した。非鉄金属は全体として二三
%を占めるが、アルミニューム'銅'
ニッケルなどかな-多-の単品を含
んでいる。他方'石油、天然ガスの
開発
への商社の参加は比較的少ない。
この面では日本の開発エンジニアリ
ングが遅れているせいと開発途上国
の資源ナショナリズムによる制約が
ある。三菱商事によるブルネイでの
GNP開発のごとき成功例もある。
先の鉄鉱石'石炭はオーストラリア
と関連が深かった。
農
・漁
・林業関係の資源開発も多
-'合計で四六%を占める。これは
東南アジア諸国との関連が深い。
さきの表3と同様なタイプ別投資
割合の表が資源開発についても作成
できる。それによると'タイプDが
四四
二ハ%'タイプCが二三
・七%
を占め、商社本店と現地側の合弁が
圧倒的に多い。地域本部がやるタイ
プe)は七・11%、t)は三
二ハ%と少
いがこれらを合計すると七九
二
%
に達する。資渡開発でも商社参
加
の
新形態が'圧倒的に多く採用されて
いるのである。
資源開発プロジェクトへの商社の
出資率は製造業の場合よりもいっそ
ぅ少-'表、6に示すよ-に'
10-
二九%レンジに属するものがいちば
ん多
-
(三
一・七%)へ
一~九%レ
ンジのもの
(二
1・六%)がそれに
次いでいる。商社の関心は'資源産
品の生産自体から生ずる利益を配当
金という形で受取ることにあるので
はなく'資源産品の日本
への輸入を
取扱う商権の獲得にあるからである。
資源産品の日本のユーザーは'証券
出資することなく'融資買鉱とか長
期購買契約の方法で輸入調達を確保
した部分も多いoその撞契約の有利
な成立を商社が機敏に仲介し'商権
を獲得した。したが
ってこれら非出
資の新形態まで考慮に入れると、資
源の開発と安定輸入に果たした商社
の貢献は'きわめて大きいのである。
さらに商社は'以上のよ-な開発帝
人分とスポット買い
(二〇%ぐらい
か)とを巧妙に組合わせることによ
って'資源産品調達の量的確保と価
格の安定化にも貢献したのである。
ホスト国にとっては'臥本経済の
高度成長と商社の伸介とによって'
大量の需要が保証されることが'資
源開発への最大のインセンチイヴに
なったのである。また新形態によっ
て所有権がホスト国の手中にとどま
ることは'資源ナショナ-ズムの強
いホスト国によって歓迎されたはず
である。
もう
1つ'
「グループ投資」とい
-特色がある。
「インドネシア・ア
サハン・アルミプ
ロジェクト」とか
「イラン・パンダル
・ホメイニ石油
化学プ
ロジェクト
(IJPC)」と
かの
「大壊模
経済協力プ
ロジェク
ト」について代表的にあらわれてい
るのだが、三井系とか三菱系とか'
それぞれに属する関連企業が多数出
資に参加する。総合商社がオーガナ
イザーにな-'対象資源産品のユー
ザーはl亨っまでもな-'資本財'原
材料、技術さらに建設'プロジェク
+
・コンサルタントなどプロジェク
ト創業関係の企業'それに商社'銀
行'船会社'航空、保険会社など'
われわれの言うビジネス・インフラ
の担い手まで参加する0そのうえ'
海外経済
協力
基金
(OECF)'日
本輸出入銀行など政府系金融機関か
らの低利出資や融資'海外経済協力
事業団からの技術協力なども加わる
のである.愚称
「ナシnナル・プロ
ジェクト」といわれる右のようなも
のに政府系機関の参加
・協力が目立
つのであるが'そうでないも
っと小
規模のものでも'政府系機関も参加
するグループ投資が普通になってい
る。か
かるグループ投資は'第
一に'
旧財閥とか系列とかいわれる日本独
得の企業組織の反映であるぞれによ
って-スクの分散
・分担をはかるこ
- 36-
- 総合商社と海外投資-
と'各種企業はそれぞれ多少とも自
社の活動拡大に役立つ
(商社にとっ
て商権の拡大になるのと同様に)こ
と'或いは別のプロジェクトについ
て他のグループ企業から協力を得な
ければならないから
「おっきあい」
で参加するtなどいくつかの理由が
あろうOtLJが基本的には'こうした
「城外生産」それ自体は独立の会社
を設立してやるが'それをとりまく
コング
71タIの協力がなければ'
成果が結実しないとのビジネスの認
識に立脚していよう。商社が参加す
る三人四戯型投資が生まれたのと全
-同じ原理である.もう
1つ第二に、
資源産品の安定的確保'低廉調達と
いう日本のマクロ経済的必要事だと
いうモーティベイションが強-働い
ていることを反映している。個々の
参加企業の利益採算だけにとらわれ
ずに
(それを軽視するわけではもち
ろんないが)、グループ投資
する
の
であり、さらに政府系機関の後押し
さえ加わるのである。
石油メジャーに代表される
「MN
C型DFI」とは明らかに異なるO
この型
では第
一に'城外生産という
上流活動から'輸送'精製'販売の
下流活動まで'
一つの巨大企業の手
中にとり入れ'その全活動から独占
.的内部化利益の獲得をはかる。第二
に、世界各地で生産し世界中に販売
して企業利益を極大にするという私
企業動機が優先され'投資母国のマ
クロ経済的必要といった要EEIは基本
的な動機になっていないのである。
白
ビジネ
ス
・インフラ投資
われわれは
「ビジネス・インフラ
(Lr))
ストラクチュア
」
なる概念を唱え出
し'それを重視している。第
一に'
潅概施設へ道路、港湾といった
「物
理的インフラ」が'第二に'教育'
医療'村づく-といった
「社会的イ
ンフラ」が'経済開発には必要だと
言われてきた。だが第三に'商社'
銀行、.陸海輸送会社'倉庫'保険な
どの
「ビジネス・インフラ」の整備
が'開発途上国でも必要になってき
た。単
に財を生産するだけではダメで
ある。先ず需要のあるへ消費者やユ
ーザーの好みに合-商品を'低廉コ
ストで生産できる工場をつ-らねば
ならない。さらに'生産された商品
を'いかに内列国に販売し'代金を
回収するかということこそ-つと大
切である。企業の資産をいかに運営
するか-重要であるOそういう機能
を果たすものを、
「生産」を創設し
その成果を結実させる
「ビジネス・
インフラ」と呼びたいのである。
総合商社は、既述の'製造業と資
源開発という主流の直接投資に参加
し'ビジネス・インフラ・サービス
を提供しているだけでなく'次のよ
うな広汎かつ多様なビジネス・イン
フラ・サービスを提供しており'ま
たそれを果たすために資本参加をし
た-'別会社を作っている。
川プラント輸出支援事業-建設作
業
'エンジニア-ング'コンサルテ
ィング-
。九大商社合計で三九の
海外合弁会社を設けている。これま
での分析と同様'三人四戯塾Dタイ
プが圧倒的に多-二五に達する。商
社自体の出資率はきわめて低い。
脚倉庫業
(穀物エレベーターや積
荷作業を含む)。九大商社合計で二
三の洛外倉庫会社をもっているO
川シッビングとチャーターリング.
商
社の伸介による有利かつ機敏な配
船が運送費を大いに節約しているこ
とは周知の事実である。日本の船会
社との提携は言うまでもないが'そ
の他に海外に-'九大商社合計で五
五の子会社や合弁会社を設立してい
る。3
:銀行'株式会社'保険業.これ
にも三六の合弁会社
(ただしうち四
つは完全所有の子会社)を海外に設
けている。日本の銀行の海外進出に
対する
「おつきあい出資」が多い。
持株会社の場合は商社のイニシァテ
ィヴによる現地側との合弁形態が多
い。保険業の場合は'保険代理店程
度のものである。
糾以上のほかへ現地日本企業向け
の印刷サービス業'航空機
・コンテ
ナ
・建設機械などのリース会社、金
融
コンサルタント、市場調査'海外
進出
へのサービス・エージェントな
どへも'商社が参加している。
糊最後に'ビジネス・インフラと
は言えないかもしれないが、二三の
不動産業、
二
一のホテル、二つのゴ
ルフコース、ならびにいくつかのレ
ストランにも商社は手を差しのペて
いる。
以上のように'総合商社の貿易以
外のサービスへの参加も全く広汎に
多様化されていると驚-の外はない。
総合商社は'貿易と海外投資を促進
し能率化
す
る
「ビジネス・イ
ンフ
ラ
・ビルダー」でもあるのだ。
- 37-
四
おわ-に-
海外直接投資の基本方向を求めて
海外直接投資は転換期に突入した。
富
商社は
「冬の時代」に苦悩している
と言われる。いな'日本経済さらに
世界経済全体が重大な曲-角に来て
いるのだ。
一体、今後の見通しはど
うなるのか。どうしたらよいのか。
もとより性急
・軽薄な診断は危険で
あり、慎しまねばならない。ただ以
上の分析から導かれる若手の基本方
向を書きとどめておきたい。
H
「商社
斜陽論」と
か
「商
社
離
れ
」という議論は'自動車などの大
企業が生産だけでなくビジネス・イ
ンフラ機誰をも自社内にと-こんで'
米欧の
「MNC型DFI」に転身し
たことが'大きな原EEIであろ-.し
かし日本がやってきた
「新形態
DF
I」'と
-
に
「海外生産」と
「コン
グアークI機能」の企業間分業と協
力と
いうシステムは'能率的であ-~
いくたのメ-
ットをも
っている。商
社離れ産業の再考をうながしたい。
自動車など'アメ-カのごとき大市
場
への輸出と企業進出に関してはM
NC的企業内垂直統合が可能であろ
うが、それにも限度があるかも
っと
小さな市場
へ進出するためには、総
合商社とタイアップすることが不可.
欠であ-'よ-能率的であろう.
31過去数
カ年
「冬の時代」であっ
たのは何-商社に限られない。素材
産業をはじめ'ご-
一部のハイテク
部門を例外として、日本産業のすべ
てが
「冬の時代」を苦しんできたの
だ。今や春が訪れつつあるか'既に
「春の時代」に入ったのだC総合商
社は常に創造的であり'柔軟性に富
み'讃力に満ちている.必ずや新し
い活動方向を開拓してい-であろう。
白総合商社の有望な活動分野とし
〕「れエ
てはへ
一つは三国間貿易の拡大があ
る。二つには'工業化がここまで世
界的に普及し'さらにもう
一段と進
むと'資源の稀少性と'資源開発の
重要性はいっそう高まるであろ-0
三つには'
ハイテク部門をどう商社
がこなすかはむつかしい問題だが、
もうしばらくすれば技術と製品が標
準化する時期が来よう。その時に大
量取教いができる準備を現段階では
ととのえるべきであろ-。最後に'
細かなテイストの差にミートする'
中小企業の多塩小量製品が重要性を
増してこよう。それらについてはこ
れまでの過当競争による低
コミッシ
ョンでなく'そのマージンを高くし
てよいから'商社がも
つとよくめん
どうを見るべきであろ-。
紳海外直接投資は戦後これまでに
かな-世界中に行きわた-、飽和の
感さえ出てきた。海外進出企業の撤
退が増えてきてさえいる。
米欧の
「MNC型DFI」の有望
な投資対象
は、資源開発でも製造業
分野でも少-なってきたLtMNC
型行動は開発途上国では歓迎
されな
くな
ってきている。これにくらペ'
日本の
「新形態D
FI」は対象開発
途上地域を広げ'対象業種を高度化
することによ
って、なお
一段と増加
させうる余地が大きいLtそれはホ
スト国から歓迎されもしよう。
㈲開発途上国としては
「生産」能
力はかなり構
ってきた。それを支え
る商社'銀行、倉庫'運輸へ保険な
どのビジネス
・インフラを拡充整備
することが緊急に必要な段階に来て
いる。そういう整備を日本の企業へ
政府'それにADB
(アジア開発銀
行)など国際
機関が1体とな
って'
助ける必要があろう。
(1)小島清
『多国籍企業の直鐘投資』
ダイヤモンド社、初版
一九七七'増補
新版
l九八T。
DirectFore山gnlnve・
stment:AJapaneseModetofMulti・
nationalBusinessOperatio.ns.Croon
Helm.London.)978.
(2)
この
言葉
は次
で
公
式
に用いられた.
TerutomoO2:aWa.(.TheRoleofTra・
n
snationa]Corporations
intheEco・
nomic
DevetopmentoftheESCAP
R
egion;SomeAvai)ableEvidence
fromRecentExperience'.,ESCAPJ
UNCTC
Pubtication
SeriesB.Not
2.Bangkok.1982.p.821
(
3
)
井
上
宗迫氏
は、その著
『糸合有社
-
情報戦略と全体像』TBSブリタ
ニカ
'一九八三、九八貢において'企
業間の契約的統合
(contractintegral
tion)と表現され
ている。われわれ
と
同じ意味であろう。
(4)
次を参殿.小島清
「対開発途上国
投資の新形態」輸銀海外投資研究所報'
1九八1・一〇。同'「海外直接投資
〝新形闇″の進展」同所報'八二・九。
(5)
Kiyos
hiKojima.JFDevetopment
OrientedDirectFore山gnlnvestment
andtheRoteofADB.一.AsianDevelo・
pmentBank.Economi
cOfhceRe・
portSeries,Report.No14.Aprilt982,
「発展志向的海外直接投資
を提
案す
る」世界蓮済評論'一九八二・六。
(6)
日産ビジネス編
『商社・冬の時代l
日本経済新聞社'一九八三。
(
7)
日本貿易会
『わが国における三国
間貿易の1考察』
一九八三・五。
(小溝氏の葉音略歴は57巧へつづく)
- 38-
(38巧からつづく)
おざOてるとも
葦昔時歴-
小港輝智
l九三五
横浜市に生まれる。
一九五八
東京外国語大学卒業。
1九六二
コロンビア大学経営学修
士。
1九六六
コロンビア大学経済学博
士。
現在
コロラド州立大学経済学部教
授。
マサチューセッツ工科大学'政策
オールタナティブ研究所招
へい研
究員
(一九七五~七六)
サンプリッヂ大学客員学者
(7九
八二~八三)。
OECD.UNITAR.
E
SCAP.UN・
CTADなどにコンサ
ルタ
ント。
主な
著
書
JaLlan.S
TecJmoEogical
ChalleJ1gelo
the
West.
]951・
)974(MET
Press.1974)
M
u
liinalionalismJ
A
Jap
anease
StyterPrincetonUnivesityPress.
79797
- 57-