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社 会
人事制度の基本的な考え方
三井物産の人材育成
三井物産は、その長い歴史と伝統を通じて、人材育成を大切にしてきた会社であり、社会に役立つ人材を育成・輩出することを目指してきました。そのことから、当社はしばしば「人の三井」と呼ばれてきました。経営理念を実現し、たくさんの「良い仕事」を創出することによって世の中に貢献していくためには、人材育成を通じて個々の人材を磨くことが何よりも重要だと考えています。
三井物産は、旧三井物産の創立以来130年以上にわたり、「人材こそが最大の財産である」という思いを持ち続け、「自由闊達」「挑戦と創造」といった価値観や理念を掲げてきました。当社の人事制度は、これらを大切にしながら、「社員一人ひとりが生き生きと働ける会社」の実現を目指しています。そして、人事制度を「企業の使命、理念を実現するためのもの」と位置づけ、以下の3点を重点施策としています。
1三井物産の経営理念(MVV)の浸透
経営理念(MVV:Mission, Vision, Values)を広く社員に浸透させ、それを実現させるため、短期・定量的な業績のみならず、中・長期的にいかに貢献するかを重視する評価基準の採用。
2人材の育成
経営理念の実現を主導できるリーダーシップを備えた人材の育成。
3人材の適正任用・配置
部門間の人事情報の共有化および全社視点からの人材の適切な任用・配置の実施。
人材開発人材育成の考え方
「人材主義」を経営理念に掲げる当社にとって、「良い人材」を育てていくことは最大の使命です。「人が仕事を創り、仕事が人を磨く」という言葉の通り、「良い人材」が持続的に育つ「場」は、それぞれの仕事の現場です。社員一人ひとりが三井物産の経営理念(MVV)を自ら体現するため、日々、主体的・自律的な姿勢を持つことと、当社が標榜する「自由闊達」な姿勢・意識を持った先輩・上司による現場教育(OJT:On-the-Job Training)を人材育成の根幹としています。 OJTを通じた人材育成を支援・補完するために、人事総務部および各部門・本部で、派遣制度・各種研修などのOFF JT(Off -the-Job Training)を企画・実施しています。
人材開発プログラム
採用・初期教育から連結経営を担う経営人材の育成までを一連の「担当職研修」体系としています。そして、年間約90回、専門知識の向上のためのプロフェッショナル研修を加えると年間200回以上の研修を開催しています。その中には、明治24年からの伝統である海外研修員制度をはじめとした、国内外の大学、ビジネススクールへの留学、海外語学研修、異業種交流研修などの、グローバルに活躍するための多彩なプログラムも含まれています。社員が研修に自発的に参加できるように、当社の人材開発の考え方と概要をまとめた冊子を年1回配布するとともに、イントラネットで紹介しています。
33 CSRレポート20 0 9
グローバル・グループベースの経営を支える人材開発
グループ会社の人材育成は、当社連結経営を支える要であるとの考えから、グループ会社各社、各階層に向けても研修を提供し、段階的に毎年拡充しています。「物産アカデミー」や「財務会計講座」などは、グループ会社の社員の方々にも受講していただけるように、体制を整備しました。また、「マネジメント研修」「リーダーシップ研修」を通じて、それぞれのグループ会社を支える人材育成支援・人的ネットワークの構築を支援しています。 グローバル・グループベースの経営の推進を目指し、本店における海外採用社員の研修にも注力しています。海外地域本部から本店への1年以上の中長期研修員は過去4年間で20名以上になります。また、2002年から本格的に開始した1年未満の短期研修制度を活用した研修受け入れは300人以上になります。さらに、連結グローバル経営を担う海外拠点のリーダー育成のために、2007年度からはGlobal Managers Programを実施しています。
経営人材育成研修
● 新入担当職導入研修● 基幹業務講座(コア講座・基本用語試験)● 基礎業務講座(基礎知識)● 財務会計講座(2年目担当職対象)● 新任管理職向け研修● 新任部長職向け研修● M/Mリーダー研修(新人教育担当者研修)● 経験者採用導入研修● グループ会社役員研修● 異業種交流研修
プロフェッショナル研修 他
● 業務職スキルアップ研修● 担当職移行支援研修(集合研修)● 貿易実務研修● 業務プロセス基礎研修● 物産アカデミー● 財務会計講座● ライフプラン研修● 自己啓発支援プログラム(通信・通学講座)
主な人材開発プログラム
三井物産株式会社 34
社会/三井物産の人材育成
社 会
ダイバーシティへの取り組み グローバル総合力企業を目指す当社では、組織変革と新価値創造実現のための重要な企業戦略として、ダイバーシティ(多様性)マネジメント推進に取り組んでいます。
人材のグローバル化推進
グローバルな成長市場に活動領域を広げ、各国・地域に深く根を張ったビジネスを展開するには、世界各国・地域を熟知した人材の登用が必要です。また、常態化する経営環境の変化に対応し、「良い仕事」を継続的に推進していくために、多様な人材の総戦力化を推進しています。そして、世界中の優秀な人材がさまざまな分野で縦横無尽に活躍できるような風土、体制の実現に取り組んでいます。
女性の活躍推進
女性社員は社員全体の約25%にあたり、性別による区別なく、職務と能力・適性に応じた配属・登用を行っています。新卒採用では、1992年度から基幹的業務を担当する女性総合職も継続的に入社しています。また、人事ローテーションや職場交流の促進、研修などにより、女性社員がさらに活躍できる環境を整えています。 一方で、女性が働き続ける上ではまだ課題もあり、その解消のために「ダイバーシティ推進室」が中心となって、サポート体制の整備や組織風土改革に取り組んでいます。
障害者雇用の促進
身体障害者雇用促進法(当時)の制定を受け、1981年に障害者雇用特例子会社の先駆けとして三井物産ビジネスサポート株式会社を設立しました。印刷・郵便業務からシステム開発、データ入力・処理、旅行代理店業務などに業務範囲を拡大し、20年以上にわたり法定雇用率を上回っています。2009年4月現在の雇用率は2 . 21%となっています。
働きやすい職場環境づくり 「良い仕事」を生み出すには、その担い手である社員一人ひとりが、仕事と生活をバランスよく両立させ、生き生きと安心して働くことのできる職場環境づくりが大切であると考えています。 社員とその家族・家庭には、それぞれのライフステージや取り巻く環境に伴い、家庭人、社会人として欠かせない役割があります。生活にちなんだ多様な要請や、役割と仕事を両立させることのできる職場づくりに向けて、ワーク・ライフ・バランスに配慮した制度の整備とともに、イントラネットや社内報を通じた情報提供を行っています。
長時間労働の改善
社員の長時間労働(残業)について健康管理などの観点から討議する労使委員会を設置し、残業の実態把握やその改善に努めています。 適正な時間管理を行うために、各部署における残業実態を把握する資料や、時間外労働に関する社内マニュアルを作成し、遵守すべき法律や規則を社内に周知・指導し、長時間労働の改善に役立てています。また、総労働時間縮減や健康障害防止のため、計画休暇制度の利用を含めた年次有給休暇の取得を促進しています。さらに労働安全衛生法に基づき、長時間労働をしている社員を産業医と面接するよう指導し、改善策を示すなどの対応を行っています。
新価値創造を実現する真のグローバル企業を目指して
当社の目指すダイバーシティ・マネジメント
多様な人材の総戦力化による企業競争力の向上事業活動のグローバル化・領域拡大に柔軟に対応できる適応力・変革力の強化人材を惹きつけ、その一人ひとりの個性と能力を最大限に活かす会社の実現
幅広い人材プールからの人材獲得
多様な人材の育成、活用による組織の活性化
多様な個性を活かす企業風土の醸成と意識改革
多様性を支える制度の構築と継続的見直し
経営理念の共有
35 CSRレポート20 0 9
育児・介護への支援
育児・介護のために、休業制度のほか、短時間勤務・時差出勤制度を導入しています。育児に関しては、2007年度より、育児休業の一部を有給化したり、取得対象者を拡大し配偶者が専業主婦でも取得できるようにするなど、女性社員に加え男性社員も利用しやすい環境を整えました。またスムーズな復職を支援するために、企業内保育施設「かるがもファミリー保育園」を開設しました。こうした一連の施策によって、2008年度に厚生労働大臣より子育て支援に積極的に取り組んでいる企業として認定されました。
健康増進への取り組み
定期健康診断および35歳以上の社員に人間ドックの受診を勧奨し、疾病の早期発見・予防に努めています。また、健康増進に向けたさまざまなプログラムを企画・実施しています。2008年度は社員の健康管理基本方針を定め、「自分の健康は自分で守る。会社は諸施策を通じて環境を整え、社員を支援する」とのメッセージを発信し、セミナー開催を通じて、社員のさらなる健康管理意識向上への啓発を行いました。
メンタルヘルス
健康管理室に設置されている相談窓口を通じ、メンタル不調者、ストレス過剰状態にある社員あるいは職場の上司・管理者などを対象に、産業医、専門医、看護職による指導・支援を行っています。また、新人やラインマネージャーなどを対象に、メンタルヘルス研修を継続的に実施しています。さらに、社外相談窓口を設置し、社員のみならず家族からの相談にも対応できる体制を整えています。
労働組合との協働
社員が働きやすい環境づくりに対する協議を目的として、2005年に労使委員会を設置し、長時間労働の削減、制度の拡充などについて継続的に検討を進めています。
雇用の状況
くるみんマーク厚生労働省の認定を受けた事業主が、商品などに付けることができる認定マーク。 赤ちゃんが大事に包まれる「おくるみ」と、「職場ぐるみ・会社ぐるみ」で子どもの育成に取り組もう、との意味が込められています。
三井物産の男女別社員数(2009年3月31日現在)2009年3月31日現在の単体従業員数 5,886 名(業務スタッフ職、嘱託を含まず)
男性4,571名(77.7%)
女性1.315名(22.3%)
育児休業・介護休業制度の利用実績
2006年度 2007年度 2008年度
育児休業男性 0 3 5
女性 24 32 40
介護休業男性 1 0 0
女性 0 5 1
育児のための短時間勤務
男性 2 6 9
女性 47 84 75
(名)
0
50
100
150
2005年度 2006年度 2007年度 2009年度2008年度
92
26
122
13
113
17
104
24
89
23
三井物産の新卒担当職男女別採用実績■ 男性 ■ 女性
(名)
10
20
30
2005年度 2006年度 2007年度 2008年度
17
28
22
16
三井物産の中途採用実績
0
※2009年度より、業務職の採用を再開し、39名の業務職を採用しました。
三井物産株式会社 36
社会/三井物産の人材育成