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無断複製・転載禁止 東京電力ホールディングス株式会社 柏崎刈羽原子力発電所6,7号機 における安全対策について 2020年 1月 東京電力ホールディングス株式会社 資料No.2-1

柏崎刈羽原子力発電所6,7号機 における安全対策について...柏崎刈羽原子力発電所6,7号機 における安全対策について 2020年1月 東京電力ホールディングス株式会社

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    柏崎刈羽原子力発電所6,7号機における安全対策について

    2020年 1月

    東京電力ホールディングス株式会社

    資料No.2-1

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    1. 福島第一原子力発電所事故の概要(1/2)

    原子炉冷却

    原子炉と格納容器への注水

    格納容器冷却

    『冷やす』機能を失う

    炉内の水が蒸発・減少

    地震で所外からの電源を失う

    非常用電源 配電盤 直流電源

    全ての電源を失う

    津波で所内の電源も失う

    開閉所・送電線

    地震発生後,原子炉の停止は成功したが,その後電源を喪失し『冷やす』機能・『閉じ込める』機能を失った。

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    2

    1. 福島第一原子力発電所事故の概要(2/2)

    放射性物質

    格納容器の温度・圧力が上昇

    炉心損傷 『閉じ込める』機能を失う

    炉心損傷

    原子炉建屋大規模な土壌汚染

    格納容器破損

    格納容器

    大量の放射性物質が環境へ放出

    過酷な事故で炉心が損傷した場合にも、原子炉格納容器から直接放射性物質が漏れることを防ぎ、大規模な土壌汚染と避難の長期化を防止することが重要

    水素爆発

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    3

    海水ポンプ

    配電盤

    蓄電池

    非常用

    発電機

    外部電源

    放射性物質放出

    炉心損傷

    【冷やす】・全ての電源を失った場合の原子炉などへの注水、冷却の手段が不十分・社員の対応力が不足

    【閉じ込める・減らす】炉心損傷後の影響緩和・放射性物質の放出への備えが不十分

    【防ぐ】津波に対する防護が脆弱で安全上重要な機能を一斉に失う

    地震後、原子炉は無事「止めた」が事故対応で混乱

    1.2 福島第一原子力発電所事故(まとめ)

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    1.3 東北地方太平洋沖地震による原子力プラントへの影響

    止める冷やす 閉じ

    込める電源

    高圧注水 減圧 低圧注水 結果

    福島第一原子力発電所※1

    1号機 〇スクラム

    ✕全て喪失

    ✕全て喪失

    ✕全て喪失

    ✕炉心損傷

    ✕放射性物質

    の放出

    ✕喪失

    2号機 〇スクラム

    〇⇒✕原子炉隔離時冷却系

    により注水するも停止

    ✕減圧のための主蒸気逃がし安全弁を速やかに

    開く事ができず注水が出来なかった

    ✕炉心損傷

    ✕放射性物質

    の放出

    ✕喪失

    3号機 〇スクラム

    〇⇒✕原子炉隔離時冷却系他により注水するも停止

    ✕減圧のための主蒸気逃がし安全弁を速やかに

    開く事ができず注水が出来なかった

    ✕炉心損傷

    ✕放射性物質

    の放出

    ✕喪失

    福島第二原子力発電所

    1号機~

    4号機

    〇スクラム

    〇原子炉隔離時冷却系

    による注水

    〇主蒸気逃がし安全弁

    による減圧

    〇残留熱除去系他

    による注水

    〇冷温停止

    〇成功

    〇外部電源

    女川原子力発電所※1,※2

    1号機3号機

    〇スクラム

    〇原子炉隔離時冷却系

    による注水

    〇主蒸気逃がし安全弁

    による減圧

    〇残留熱除去系他

    による注水

    〇冷温停止

    〇成功

    〇外部電源

    東海第二原子力発電所※2

    ― 〇スクラム

    〇原子炉隔離時冷却系他

    による注水

    〇主蒸気逃がし安全弁

    による減圧

    〇残留熱除去系による注水

    〇冷温停止

    〇成功

    〇非常用電源

    各プラントとも原子炉の停止には成功した。福島第一原子力発電所の1~3号機は電源(外部電源,非常用電源)が喪失したため,従前より配備していた設備が機能せず,炉心損傷・水素爆発(1号機,3号機)に至った。一方,他プラントは電源が確保されていたため設備が有効に機能し,冷温停止・閉じ込め機能確保に成功した。

    〇:成功,✕:失敗※1:福島第一原子力発電所4,5,6号機,女川原子力発電所2号機は定期検査中※2:「女川原子力発電所 及び 東海第二原子力発電所 東北地方太平洋沖地震及び津波に対する対応状況について」(平成25年8月)原子力安全推進協会 より

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    ✖現実に津波が襲来すると想定せず

    ✖全ての電源を長時間失う可能性は低いと考えており、電源車や蓄電池の準備が不足

    事故を 防ぐ

    津波遡上高さ以上に配置断層の活動性評価、基準地震動の保守性向上等、事故を防ぐための検討及び設備増強を実施電源車、消防車等の緊急配備及び原子力安全改革プラン※への取り組みを開始

    ※「福島原子力事故の総括および原子力安全改革プラン」(2013年3月29日、東京電力株式会社)

    2. 福島原子力事故の教訓と柏崎刈羽の取り組み

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    ✖地震発生後、原子炉の停止には成功したものの、津波襲来後の事故対応が混乱

    ✖過酷事故や複数号機同時被災を考えていなかったため訓練が形骸化

    災害時現場指揮システム(ICS)を導入

    過酷な状況を想定し、さまざまなシナリオによる訓練を継続的に実施し、技術的能力を向上

    ■原子炉の停止には成功したが、「冷やす」「閉じ込める」に対する対応は混乱

    止める2.福島原子力事故の教訓と柏崎刈羽の取り組み

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    ✖電源を失ったことで、原子炉を冷却する機能を持つ全ての設備の機能を喪失

    ✖障害物撤去、電源確保などに必要な技能を持つ社員が少なく、復旧作業に手間取った

    電源喪失にも原子炉の冷却が可能となるよう、高圧代替注水設備の設置、消防車・大容量送水車、代替熱交換器車の配備等、冷やす機能を多様化、多重化

    社員だけで初期対応ができるよう、技能を身につけ、訓練継続

    冷やす2.福島原子力事故の教訓と柏崎刈羽の取り組み

    高圧代替注水設備 代替熱交換器車

    大容量送水車 消防車

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    ✖原子炉格納容器からの熱除去ができず、放射性物質が漏えい

    ✖水素爆発の影響で原子炉建屋で閉じ込めができず、大量の放射性物質が空間中に飛散

    ベントの回避または延伸を可能とする新除熱システムを設置

    万が一のベントに備え、放射性物質の放出を大幅に低減するフィルタベント装置を設置

    閉じ込める放射性物質を ・減らす2.福島原子力事故の教訓と柏崎刈羽の取り組み

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    3. 柏崎刈羽原子力発電所6,7号機の安全対策

    報告書類(一例)

    ・福島第一原子力事故に関して複数の調査報告書が提出・各報告書の教訓・提言を踏まえ、柏崎刈羽原子力発電所の安全

    対策を検討・反映

    〇東京電力(株)福島原子力事故調査報告書

    〇東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(政府事故調)中間報告書,最終報告書

    〇東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)最終報告書

    〇福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)調査・検証報告書

    〇一般社団法人日本原子力学会福島第一原子力発電所事故のその全貌と明日に向けた提言―学会事故調 最終報告書―

    〇原子力安全・保安院東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について

    〇新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会・福島第一原子力発電所を踏まえた課題 ~平成24年度の議論の整理~・福島事故検証課題別ディスカッション

    ○東京電力HD・新潟県合同検証委員会

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    3.1 柏崎刈羽原子力発電所6,7号機の主な安全機能を有する設備

    止める冷やす 閉じ込める

    電源高圧注水 減圧 低圧注水水源 使用済み燃料プール

    制御棒駆動機構(2)

    ほう酸水注入系(2)

    復水貯蔵槽

    高圧炉心注水系(2)

    原子炉隔離時冷却系

    残留熱除去系(3)

    燃料プール冷却浄化系(2)

    格納容器破損防止 水素制御

    可燃性ガス処理系(2)

    外部電源耐圧強化ベント

    貯水池

    海水

    高圧代替注水系

    主蒸気逃がし安全弁

    代替逃がし安全弁駆動装置

    復水移送系(3)

    直流電源消防車

    燃料プール代替注水系

    代替循環冷却系

    格納容器圧力逃し装置

    静的触媒式水素再結合装置

    非常用ディーゼル発電設備(3)

    ガスタービン発電機

    電源車

    ディーゼル駆動消火ポンプ

    福島原子力事故以降設置した設備

    重大事故時にも運転できるよう改造を実施した設備

    福島原子力事故以前から有している設備

    ( ) は系統数

    原子炉建屋

    格納容器

    代替制御棒挿入機能

    太枠

    サプレッション・チェンバ

    代替格納容器スプレイ

    号機間融通ケーブル(常設)

    除熱

    残留熱除去系(3)

    代替熱交換器

    格納容器圧力逃し装置

    燃料プールスプレイ

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    3.2 事故を防ぐ設備

    教訓(反省)想定を超える自然現象に対する防護が脆弱だったことが原因で,共通要因故障が発生

    事故を 防ぐ

    問題(津波対策)津波対策が海水ポンプの嵩上げなど限定的であり,敷地高さを超える津波への対策や影響緩和策が考慮されていなかった

    問題厳しいハザードを想定出来ていなかった

    問題共通要因故障に対する備えが不足していた

    <異常の発生防止>

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    3.2 事故を防ぐ設備

    ①津波遡上高さ以上の高さに設置・建屋設置高さ 12.0m・遡上高さ 8.3m

    <対策>浸水防護

    事故を 防ぐ

    ②原子炉建屋の浸水防護・万一敷地に津波が流入した場合でも,重要機器

    が浸水により機能喪失に至らないよう対策を実施

    問題(津波対策)津波対策が海水ポンプの嵩上げなど限定的であり,敷地高さを超える津波への対策や影響緩和策が考慮されていなかった

    水密扉

    止水措置(電路貫通部)

    止水措置(ハッチ) 重要エリアに設置した排水設備

    止水措置(配管貫通部)

    海抜約15m

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    3.2 事故を防ぐ設備

    ①厳しいハザードの設定(地震,竜巻)・基準地震動の策定において,長岡平野西縁断層帯と十

    日町断層帯西部の連動を考慮・76m/sの竜巻を基準竜巻として設定し、92m/sの竜

    巻にも耐えることができるよう設計。

    <対策>地震、竜巻,火災対策(例)

    事故を 防ぐ問題共通要因故障に対する備えが不足していた。

    問題厳しいハザードを想定出来ていなかった

    敷地への影響が大きい活断層(震源)

    ②共通要因故障に対する備え(火災の例)・火災により、複数の系統が同時に機能を失うことの

    ないように、火災発生防止、早期の火災感知・消火、影響軽減対策を実施

    竜巻防護ネットイメージ

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    3.3 原子炉を冷やす設備(電源)

    教訓(反省)全交流電源喪失時の対策が不十分であった(電源)

    問題D/G※1及び電源盤が被水し,電源供給機能が喪失した結果,必要な設備・機器への給電が出来なくなった。

    <炉心損傷防止>

    冷やす

    ※1:非常用ディーゼル発電設備

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    3.3 原子炉を冷やす設備(電源)

    問題D/G及び電源盤が被水し、電源供給機能が喪失した結果、必要な設備・機器への給電ができなかった。

    <対策>電源の強化、多様化、位置的分散

    冷やす

    ①空冷式ガスタービン発電機(GTG)の設置・1台で事故対応に必要な容量を担保・プラント脇に2台,荒浜側高台に2台(予備)

    ②電源車の高台配備・事故対応に必要な台数9台,予備15台の計24台

    を配備・津波の影響を受けないように高台に分散配置

    電源車配置場所

    GTG設置場所

    空冷式ガスタービン発電機(荒浜側高台)

    電源車

    荒浜側高台 大湊側高台

    プラント脇

    荒浜側高台 大湊側高台

    プラント脇

    荒浜側高台

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    3.4 原子炉を冷やす設備

    教訓(反省)全ての電源が喪失した場合や,その後の手段(高圧注水,減圧,低圧注水,除熱等)が十分に準備されていなかった。

    問題(高圧注水)SBO※1により電動駆動の原子炉注水設備が機能を喪失した。また,蒸気駆動のRCIC※2等についても,直流電源喪失により機能を喪失し,最終的にはすべての原子炉注水手段を喪失した。

    <炉心損傷防止>

    ※1:全交流電源喪失

    ※2:原子炉隔離時冷却系

    冷やす

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    高圧代替注水系(HPAC)の設置・電源がなくとも手動で弁を操作することにより、原子炉の蒸気だけでタービンとポンプを駆動可能・完全に水没した状況でも動作可能

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    3.4 原子炉を冷やす設備

    問題(高圧注水)SBOにより電動駆動の原子炉注水設備が機能を喪失した。また,蒸気駆動のRCIC等についても,直流電源喪失により機能を喪失し,最終的にはすべての原子炉注水手段を喪失した。

    <対策>高圧注水機能の強化

    冷やす

    高圧代替注水ポンプ蓄電池容量の増強(8時間→24時間)

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    3.4 原子炉を冷やす設備

    教訓(反省)全ての電源が喪失した場合や,その後の手段(高圧注水,減圧,低圧注水,除熱等)が十分に準備されていなかった。

    問題(低圧注水)AMG※4の機器も含めて,事故対応時に作動が期待されていた機器・電源がほぼすべて機能を喪失した。このため現場では消防車を原子炉への注水に利用するなど,臨機の対応を余儀なくされた

    問題(除熱)交流電源を用いるすべての冷却機能が失われ,冷却用海水ポンプも冠水し,原子炉除熱機能を喪失した

    <炉心損傷防止>

    ※4:アクシデントマネジメントガイドライン

    冷やす

    問題(減圧)SRV※3の操作に必要な直流電源が不足し,原子炉減圧に時間がかかり,低圧注水ができない状態であった

    ※3:主蒸気逃がし安全弁

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    3.4 原子炉を冷やす設備

    問題(減圧)SRVの操作に必要な直流電源が不足し,原子炉減圧に時間がかかり,低圧注水ができない状態であった

    <対策>SRVの駆動源の信頼性向上

    冷やす

    ②代替逃がし安全弁駆動装置の設置・電源や窒素ガスが使えなくなった場合でも、逃がし

    安全弁を操作し、確実に減圧できる方法を整備

    ①駆動源の多様化・圧力容器から蒸気を逃がして確実に減圧できる方法を

    整備

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    3.4 原子炉を冷やす設備

    問題(低圧注水)AMGの機器も含めて,事故対応時に作動が期待されていた機器・電源がほぼすべて機能を喪失した。このため現場では消防車を原子炉への注水に利用するなど,臨機の対応を余儀なくされた

    <対策>低圧注水機能の多様化

    冷やす

    ①消防車の高台の配備・事故対応に必要な台数19台,予備23台の計42台

    を配備・津波の影響を受けないように高台に分散配置

    貯水池

    ②水源の多様化・貯水池(約2万トンの淡水)を設置。・万一に備え,海水を利用する手順も整備

    消防車 貯水池

    消防車配置場所(荒浜側高台)

    消防車配置場所(大湊側高台)

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    ③低圧代替注水系(常設)の設置・復水移送ポンプにより復水貯蔵槽の水を残留熱除去系を経由して原子炉圧力容器へ注水することで炉心を冷却・消防車を用いた低圧代替注水系(可搬型)も整備・復水補給水系バイパス流防止のためタービン建屋負荷遮断弁を設置すると共にその手順を整備

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    3.4 原子炉を冷やす設備

    問題(低圧注水)AMGの機器も含めて,事故対応時に作動が期待されていた機器・電源がほぼすべて機能を喪失した。このため現場では消防車を原子炉への注水に利用するなど,臨機の対応を余儀なくされた

    <対策>低圧注水機能の多様化

    冷やす

    低圧代替注水系(常設)概略図

    残留熱除去系(A)注入配管からの低圧代替注水(7号機)

    電動弁を追加設置

    適切な地震荷重との組合せを考慮した上でバウンダリ機能が喪失しない設計とする

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    3.4 原子炉を冷やす設備

    問題(除熱)交流電源を用いるすべての冷却機能が失われ,冷却用海水ポンプも冠水し,原子炉除熱機能を喪失した

    <対策>

    冷やす

    ■代替原子炉補機冷却系による除熱機能の強化・移動式の代替熱交換設備を配備・既設の除熱設備が使用できない状況でも除熱機能を確保・事故対応に必要な台数5台,予備2台の計7台を配備

    代替熱交換設備

    使用できない状況を想定

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    ②燃料プールの状態把握のための対策・燃料プールの状態が監視できるようカメラを設置・使用済み燃料プールの底部付近まで計測可能な

    水位・温度計の設置

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    3.4 燃料プールを冷やす設備

    <対策>

    ①燃料プール注水対策・消防車による使用済み燃料プールへの注水及び

    スプレイ

    スプレイの試験状況

    燃料プール水位・温度計

    冷やす問題(燃料プール対策)・電源を喪失した場合の燃料プールへの注水手段がなかった・燃料プールの水位,水温を把握できる手段がなかった

    消防車による注水

    7号機燃料プール監視設備

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    教訓(反省)炉心損傷後の影響緩和の手段が整備されていなかった。(水素処理,格納容器破損防止,放射性物質放出抑制)

    問題(水素処理)炉心損傷後に発生する水素の検知・処理手段がなかった

    問題(格納容器破損防止)炉心損傷後の格納容器破損防止対策が不十分であった

    <炉心損傷防止>

    閉じ込める放射性物質を ・減らす3.5 放射性物質を閉じ込める・減らす設備

    問題(放射性物質放出の低減)炉心損傷後の放射性物質放出の低減手段が不十分であった

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    3.5 放射性物質を閉じ込める・減らす設備

    問題(水素処理)炉心損傷後に発生する水素の検知・処理手段が不十分であった

    <対策>格納容器外への水素漏えい防止

    閉じ込める放射性物質を ・減らす

    ①格納容器の閉じ込め機能の強化・シビアアクシデントのような過酷な温度・圧力環境

    (200℃,620kPa)が長時間継続しても漏えいが生じないよう改良EPDM製シール材を採用

    ・更なる安全性の向上としてバックアップシール材を塗布

    ②原子炉格納容器頂部注水系(自主対策設備)・原子炉格納容器頂部を冷却し,格納容器外への水素

    ガスの漏えいを防止・消防車を用いて、格納容器頂部に注水

    格納容器頂部水張り設備系統イメージ図

    シール材に改良EPDM材を採用

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    3.5 放射性物質を閉じ込める・減らす設備

    問題(水素処理)炉心損傷後に発生する水素の検知・処理手段が不十分であった

    <対策>水素が漏えいした場合の対策

    ④水素処理手段の確保・原子炉建屋4階に滞留した水素を触媒の働きで水素

    を酸素と再結合させ水蒸気に変える静的触媒式水素再結合装置(PAR)を設置(計56台)

    ・運転員による起動操作,電源が不要

    ③水素検知手段の確保・各フロアに水素濃度計を設置(計8個)・原子炉建屋内への水素濃度を検出し、格納容器外へ

    の水素漏えいを検知・水素濃度は中央制御室で確認可能

    閉じ込める放射性物質を ・減らす

    静的触媒式水素再結合装置原子炉建屋最上階

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    ①代替格納容器スプレイ系(常設)の設置・復水移送ポンプにより復水貯蔵槽の水を残留熱除去系を経由して格納容器スプレイ・ヘッダからドライウェル

    内及びサプレッション・チェンバ内にスプレイすることで,原子炉格納容器内の圧力及び温度を低下させる・消防車を用いた代替格納容器スプレイ系(可搬型)も整備

    27

    3.5 放射性物質を閉じ込める・減らす設備

    <対策>格納容器破損防止

    代替格納容器スプレイ冷却系(常設)系統概略図(7号機)

    問題(格納容器破損防止)炉心損傷後の格納容器破損防止対策が不十分であった。

    閉じ込める放射性物質を ・減らす

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    3.5 放射性物質を閉じ込める・減らす設備

    問題(格納容器破損防止)炉心損傷後の格納容器破損防止対策が不十分であった。

    <対策>格納容器破損防止対策

    ①代替循環冷却系(新除熱システム)の設置・サプレッションプール水を冷却・循環させて格納容器内の熱を除去(除熱)し,圧力の上昇を抑制する。・放射性物質を可能な限り放出せずに安定的な状態に導くことが可能。

    閉じ込める放射性物質を ・減らす

    代替熱交換器

    接続訓練

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    ②格納容器圧力逃し装置(FV設備)の設置・原子炉格納容器内で発生する熱を大気へ放出することで除去・放射性物質を含んだ気体をフィルタを通して大気に放出することで,格納容器から放射性物質が直接漏れることを防ぎ,

    大規模な土壌汚染と避難の長期化を防止する・ベントに必要な弁は電源が無い場合でも、壁を隔てた箇所から操作可能・地上式FVと同等の性能を有する地下式FVは,耐震Sクラス設備として現在詳細設計中

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    3.5 放射性物質を閉じ込める・減らす設備

    <対策>格納容器破損防止対策

    閉じ込める放射性物質を ・減らす

    問題(放射性物質放出の低減)炉心損傷後の放射性物質放出の低減手段が不十分であった

    フィルタ装置遠隔操作装置(イメージ)

    ハンドル

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    3.6 その他(支援機能の強化)

    教訓(反省)複合災害,複数プラント同時被災時に長期・24時間対応できる態勢が整っていなかった。

    問題(指揮命令系統)・発電所本部の情報共有と指揮命令系統が混乱した

    <支援機能の強化>

    止める

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    3.6 その他(支援機能の強化)

    問題(指揮命令系統)・発電所本部の情報共有と指揮命令系統が混乱した

    ■ICS(災害時現場指揮システム)の導入・直属の部下は3~7名の範囲で収まる構造とする・「本部長の管理人数を減らし確実な意思決定を行い」「号機単位で統括者を配置」することなどにより,

    厳しい事故対応も可能な組織に改善

    <対策>

    止める

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    免震重要棟に係る経緯■2009年 12月免震重要棟竣工

    ・国の議論を反映して設計・新潟県中越沖地震(2007年)クラスへの耐震性確保・東日本大震災(2011年)では福島第一・福島第二で有効に機能

    ■2013年 9月 免震重要棟を緊急時対策所として申請・2014年11月審査会合

    「免震重要棟は新規制基準の耐震要件を満たすのは困難」■2015年 2月 3号機原子炉建屋に追加設置(免震重要棟との併用)

    ・2016年7月審査会合荒浜側防潮堤の基礎の液状化の影響

    ■2016年 10月 5号機原子炉建屋に設置する方針変更

    32

    3.6 その他(支援機能の強化)

    ■「緊急時対策所」の整備(1)目的

    ・重大事故等の環境下における緊急時対策所の居住性の確保・運転員,現場作業員,緊急対策要員の被ばく低減対策

    (2)広さ・対策本部 270m3

    ・収容人数 最大180名(3)設備

    ・1F事故相当の線量でも居住できるような遮蔽の設置・陽圧化空調(ボンベ)の設置 等

    止める

    5号機原子炉建屋内 (設置工事中)

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    3.7 その他(パラメータの監視機能の強化)

    <対策>プラント状態監視機能の強化①原子炉水位計測の強化

    ・直流電源の強化と予備電池の配備・水位計の凝縮槽に温度計を設置(指示値の信頼性

    の確認が可能)・基準面器への水の補給手段を追加

    ②プラントパラメータの推定手段の整備・重要なパラメータの計測が困難となった場合に

    おいても,可搬型計測器を用いる等,代替手段によってプラントの状態を推定できるよう手順を整備

    重要パラメータ(一例)

    原子炉圧力容器内の温度

    原子炉圧力容器内の圧力

    原子炉圧力容器内の水位

    原子炉圧力容器への注水量

    原子炉格納容器への注水量

    原子炉格納容器内の温度

    原子炉格納容器内の圧力

    原子炉格納容器内の水素濃度

    教訓(反省)プラントパラメータの監視が出来ない状態が発生した。

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    3.7 その他(訓練)

    <対策>対応手順の整備,訓練の継続的な実施■総合訓練

    ・シナリオ非公開(ブラインド)■個別訓練

    ・机上訓練及び実起動訓練の実施

    がれき撤去や道路の段差を埋める訓練

    教訓(反省)・想定を超える津波に襲われた場合にどうなるかについて,十分に検討し,必要な対策を講じるという姿勢が

    不足していた。・シビアアクシデントに対する備え(手順,訓練)が不足していた。

    ■対応手順の整備・事故時運転操作手順書(シビアアクシデント)

    の見直し事象が進展し炉心損傷に至った際に,事故の拡大を防止し影響を緩和するために必要な対応操作を定めた手順書

    (例)RPV制御

    ・AM設備別操作手順書の新規制定自然現象や大規模損壊等により,多数の恒設の電源設備・注水設備等が使用できない場合に,可搬型設備等の操作内容を定めた手順書

    (例)電源確保戦略:第一ガスタービン発電機起動 等Rx注水戦略 :RCIC現場起動,MUWCによる原子炉注水等

    総合訓練(2017年9月)

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    3.7 その他(柏崎刈羽原子力発電所における訓練)

    2019年度第2四半期報告(2019年11月12日)

    力量維持のための主な取り組み・訓練等の頻度,時間の見直し

    年間計画として,最低実施回数と実施時期を定める・技術・技量の習得と維持

    事前に設定する基準時間内に完了できる技術・技能が維持されていることの確認

    個別訓練項目災害を考慮した必要人数

    力量保持者数

    ①瓦礫撤去訓練使用重機ホイールローダ

    14名 33名

    ②6,7号機代替熱交換器による補機冷却水確保訓練

    52名 62名

    ③ 大容量送水による送水訓練 56名 100名

    2019年度訓練実績(第2四半期まで)

    ① ② ③

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    3.5 その他(モニタリング設備の強化)

    <対策>

    ①モニタリングポストの強化・モニタリングポストについてはバックアップ用

    発電機を設置・発電所構内にバッテリー式可搬型モニタリング

    ポストを確保

    モニタリングポスト電源バックアップ用発電機

    バッテリー式可搬型モニタリングポスト

    ②放射線防護資機材・緊急時に使用するAPD(警報付き個人線量計)

    の追加配備・作業員を被ばくから守るために様々な装備品

    を準備

    緊急時用APD 遮蔽板(タングステン含有素材)を装着するベスト

    教訓(モニタリング設備)・モニタリング設備の電源喪失により,放射線管理に支障を来した。・複数プラントにおける過酷事故を想定した要員,装備が十分に整っていなかった。

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    4. 原子力安全の継続的な向上

    福島原子力発電所事故の解明(不定期に更新)

    福島第一原子力発電所1~3号機の炉心・格納容器の状態と未解明問題に関する検討

    「安全性の向上のための評価」(再稼働後の定期検査から6ヶ月以内)

    原子力事業者が、施設の安全性について定期的に自ら評価した結果を原子力規制委委員会に届出、公表

    1.安全規制によって法令への適合性が確認された範囲2.安全性の向上のため自主的に講じた措置3.安全性の向上のため自主的に講じた措置の調査及び分析4.総合的な評価

    安全性の向上に効果的な新たな知見を,柏崎刈羽原子力発電所の安全対策へ適宜反映していく