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©日本証券アナリスト協会 2011� 29
1.はじめに
わが国では、SRIファンドのパフォーマンスに
対して懐疑的な見方が根強く残っており、その主
な問題として、SRIスクリーニングという銘柄選
別が投資制約になって利用可能な投資機会を狭め
ていることが指摘されている。具体的には、SRI
スクリーンに基づいたスクリーニングは、リスク
とリターンの最適化を妨げることから、SRIファ
ンドのパフォーマンスに対してマイナスの影響を
本研究は、日本における社会的責任投資(SRI)ファンドのα(リスク調整後のリターン)が伝統的ファンド
よりも劣っているかどうかを明らかにするための検証を行った。その結果、SRIファンドのαは統計的に0から
有意に異ならないことや、同一運用機関の伝統的ファンドのαと比較しても統計的に有意に異ならないことが示
唆された。わが国ではSRIファンドのパフォーマンスへの懸念が根強いが、本稿の分析結果では、既存のSRIフ
ァンドのパフォーマンスが必ずしも伝統的ファンドに劣っていないことを示唆している。
1.はじめに
2.仮説
3.データとモデル
4.分析方法
5.分析結果
6.結論
目 次
社会的責任投資(SRI)ファンドのパフォーマンスに関する実証研究
浅 野 礼美子佐々木 隆 文 CMA
ESG投資
浅野 礼美子(あさの れみこ)
日本福祉大学経済学部非常勤講師。1991年同志社女子大学卒業、2008年名古屋市立大学
大学院経済学研究科博士前期課程修了、11年名古屋市立大学大学院経済学研究科博士後
期課程修了。博士(経済学)。現在名古屋市立大学大学院経済学研究科研究員。91年国際
証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社、04年退社。09年より現職。
佐々木 隆文(ささき たかふみ)
東京理科大学経済学部准教授。1990年東京理科大学理学部卒業、99年筑波大学大学院経
営政策科学研究科修了、2005年一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了。博士(商学)。
90年日興證券(現・SMBC日興証券)入社、日興リサーチセンター(現・日興フィナンシ
ャル・インテリジェンス)出向。07年3月同社退社、07年4月から10年3月まで名古屋
市立大学大学院経済学研究科准教授。10年4月より現職。