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巻頭言: 2009年度の研究室 2009年度はD3 1名、M2 1名、M1 3名、卒論生4名の計10名(吉田も 含んで)と例年では比較的大所帯で過ごした一年でした。夏の建築学会に は院生4名を連れていきました。仙台で開催されたのですが、経費削減の ために福井から車で行きました。行きは片道8時間の長旅で同乗した皆さ んには苦労をかけました。学会当日、「質疑応答はできるだけ自分で考えな さい」と言ったものの、結局吉田が答えることになったのは大変残念でした。 もちろん皆さんの勉強不足が要因の一つではありますが、吉田が普段学生 が答えを出すのを待てないのも問題であることにも気付かされました。料理 と同じですね。「待つ」のもひと手間のうちです。来年は質疑応答が「苦痛」 から「楽しい時間」になると良いですね(井上君、篠塚君)? ゼミ旅行は安曇野に行きました。去年同様、初秋に差し掛かった10月初 旬の旅となり寒さが心配でしたが予想以上に好天に恵まれました。初日は ワイナリーを見学後コテージで鍋を食べ、夜はJENGAUNOで盛り上がりま した。UNOはゲームの進め方に個々の性格が良くも悪くも(別に岡君だけ じゃありませんよ())表れてたなぁ、と思いました。2日目には「大王わさび 農園」を見学後「リンゴ狩り」をしました。吉田は小さい時からリンゴが大好き なので(リンゴの話はまたいつの機会かします)、美味しいリンゴにありつ け大満足でした。帰り道で卒論生の車がルートを間違えるハプニングがあ り心配しましたが無事帰ってこれて何よりでした。今だから話しますが、吉 田自身は夏の実測と学会出張の疲れが出たのか旅行中の体調がすこぶる 悪く、結構ヘロヘロでした。内心「学会出張で豚インフルエンザに感染した のでは!?」と心配で、熱が上がったら、(遅いと思うけど)車を井上君に預 けて、富山辺りでリタイアしようと思っていた程です。途中から徐々に回復 したものの完調には程遠かったので、井上君の運転交替には感謝感謝で した。 最後の今年の一大ニュース(怒られますかねぇ)に、大橋さんがこの3 月に博士を取得されました!足掛け9年での目標達成です(現役生よりも OBの皆さんの方が馴染みがあるかと思います)。時間は掛かりましたけ ど、一度一線を退いてからの一念発起ですからね。自分がその立場なら 初志貫徹できたか疑問です。本当におめでとうございます。益々のご活躍 を期待しています。 吉田研ニュース 吉田です。元気に頑張っていますか? この冬は「暖冬」と言われて始まったものの、昨年12月後半から雪、雪、 と続き、ここ数年ではよく降りました。この雪で吉田は福井生活8年で初 めて「長靴」を買いました…()昨年末のOB会も雪の中での開催となりましたが、10名近くのOBの皆さん が来てくれました。次の日の帰りは雪で大変だったことでしょう(吉田は北海 道に帰るのに空港で足止めを喰らい8時間近く掛かりました)。忙しい中、 足を運んでくれて本当に感謝しています。そんなOB会の折に浜島君(2005 3月卒)に「研究室ニュースは新しいのは出ないんですか?」と聞かれ、 見てくれている方が居ることに大変嬉しく思いました。吉田が「筆まめ」なら ご期待に応えて年数回出せると思うんですが、書くスピードが追い付かない のとネタ切れも心配です。継続が大事ですので、亀の様に焦らずユッタリと 1回のペースを維持しつつ、研究室ニュース第2号をお送りします。 制作日 2010/03/23 2福井大学工学部 建築建設工学科 環境計画研究室(吉田研究室) ← 今年の宿泊先はこのペンション。 去年の合掌造りよりは温かでし た。 「大王わさび農園」のワサビのオブ ジェ。人が乗れる位に大きくて、 ちょっとグロテスクですねぇ…。 (ウルトラマンの怪獣みたい。) リンゴ園でのヒト コマ。帰り際には ブドウを貰うは、 ミョウガを貰うは 食べられなくなり ました…。 「大王わさび農園」にて。後ろ の風景は黒澤明の「夢」のロケ にも使われたそうです。

吉田研ニュース - 福井大学y-shinji/pdf/ogOg/2009.pdf · 島田 卓弥君(b4) 卒論作成お疲れ様でした。島田君は頭の回転が非 常に速く大変優秀ですね!県庁の☆になる島田君に

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Page 1: 吉田研ニュース - 福井大学y-shinji/pdf/ogOg/2009.pdf · 島田 卓弥君(b4) 卒論作成お疲れ様でした。島田君は頭の回転が非 常に速く大変優秀ですね!県庁の☆になる島田君に

巻頭言:

2009年度の研究室 2009年度はD3 1名、M2 1名、M1 3名、卒論生4名の計10名(吉田も

含んで)と例年では比較的大所帯で過ごした一年でした。夏の建築学会に

は院生4名を連れていきました。仙台で開催されたのですが、経費削減の

ために福井から車で行きました。行きは片道8時間の長旅で同乗した皆さ

んには苦労をかけました。学会当日、「質疑応答はできるだけ自分で考えな

さい」と言ったものの、結局吉田が答えることになったのは大変残念でした。

もちろん皆さんの勉強不足が要因の一つではありますが、吉田が普段学生

が答えを出すのを待てないのも問題であることにも気付かされました。料理

と同じですね。「待つ」のもひと手間のうちです。来年は質疑応答が「苦痛」

から「楽しい時間」になると良いですね(井上君、篠塚君)?

ゼミ旅行は安曇野に行きました。去年同様、初秋に差し掛かった10月初

旬の旅となり寒さが心配でしたが予想以上に好天に恵まれました。初日は

ワイナリーを見学後コテージで鍋を食べ、夜はJENGAとUNOで盛り上がりま

した。UNOはゲームの進め方に個々の性格が良くも悪くも(別に岡君だけ

じゃありませんよ(笑))表れてたなぁ、と思いました。2日目には「大王わさび

農園」を見学後「リンゴ狩り」をしました。吉田は小さい時からリンゴが大好き

なので(リンゴの話はまたいつの機会かします…)、美味しいリンゴにありつ

け大満足でした。帰り道で卒論生の車がルートを間違えるハプニングがあ

り心配しましたが無事帰ってこれて何よりでした。今だから話しますが、吉

田自身は夏の実測と学会出張の疲れが出たのか旅行中の体調がすこぶる

悪く、結構ヘロヘロでした。内心「学会出張で豚インフルエンザに感染した

のでは!?」と心配で、熱が上がったら、(遅いと思うけど)車を井上君に預

けて、富山辺りでリタイアしようと思っていた程です。途中から徐々に回復

したものの完調には程遠かったので、井上君の運転交替には感謝感謝で

した。

後の今年の一大ニュース(怒られますかねぇ…)に、大橋さんがこの3

月に博士を取得されました!足掛け9年での目標達成です(現役生よりも

OBの皆さんの方が馴染みがあるかと思います)。時間は掛かりましたけ

ど、一度一線を退いてからの一念発起ですからね。自分がその立場なら

初志貫徹できたか疑問です。本当におめでとうございます。益々のご活躍

を期待しています。

吉田研ニュース

吉田です。元気に頑張っていますか?

この冬は「暖冬」と言われて始まったものの、昨年12月後半から雪、雪、

雪…と続き、ここ数年ではよく降りました。この雪で吉田は福井生活8年で初

めて「長靴」を買いました…(笑)。

昨年末のOB会も雪の中での開催となりましたが、10名近くのOBの皆さん

が来てくれました。次の日の帰りは雪で大変だったことでしょう(吉田は北海

道に帰るのに空港で足止めを喰らい8時間近く掛かりました…)。忙しい中、

足を運んでくれて本当に感謝しています。そんなOB会の折に浜島君(2005

年3月卒)に「研究室ニュースは新しいのは出ないんですか?」と聞かれ、

見てくれている方が居ることに大変嬉しく思いました。吉田が「筆まめ」なら

ご期待に応えて年数回出せると思うんですが、書くスピードが追い付かない

のとネタ切れも心配です。継続が大事ですので、亀の様に焦らずユッタリと

年1回のペースを維持しつつ、研究室ニュース第2号をお送りします。

制作日 2010/03/23

第2号

福井大学工学部

建築建設工学科

環境計画研究室(吉田研究室)

← 今年の宿泊先はこのペンション。

去年の合掌造りよりは温かでし

た。

「大王わさび農園」のワサビのオブ

ジェ。人が乗れる位に大きくて、

ちょっとグロテスクですねぇ…。

(ウルトラマンの怪獣みたい。)

リンゴ園でのヒト

コマ。帰り際には

ブドウを貰うは、

ミョウガを貰うは

食べられなくなり

ました…。

「大王わさび農園」にて。後ろ

の風景は黒澤明の「夢」のロケ

にも使われたそうです。

Page 2: 吉田研ニュース - 福井大学y-shinji/pdf/ogOg/2009.pdf · 島田 卓弥君(b4) 卒論作成お疲れ様でした。島田君は頭の回転が非 常に速く大変優秀ですね!県庁の☆になる島田君に

岸 由紀子さん(M2)

研究テーマ:屋外CFD解析手法の精度検証と

その改良に関する研究

修論作成お疲れ様でした。 後の数カ月は大

変だったと思いますが、よくまとめてくれました。

英語の発表力、マクロの作成力はじめ、ホントに

立派な修士として社会に送り出せます。強いて課

メンバー紹介

Page 2 吉田研ニュース

題を挙げるなら「正直の使い分け」でしょう。岸さんはホント素直な性格の持

ち主でそれは紛れもなく長所ですが、正直故に比較的あっさりと「無理」とも

言います。吉田は、成長には自己評価での能力の1.2倍位の仕事が必要と

思います。「若いうちの苦労は買ってでもする」気概を持って、たまには自分

に嘘をついて飛び込んで下さい。社会での一層の活躍を期待してます。

井上 理史君(M1)

研究テーマ:数値気候モデルによる局地気候

解析に関する研究

一年お疲れ様です。井上君は本当に真面目な性格

の持ち主ですね。吉田と話す時に兵隊の様に神妙な

面持ちで「はい!」としか言わない姿に調子が狂いま

す(吉田はそんなに怖いんかねぇ…)が、 近大分変

わってきましたね(たまにはリラックスして毒舌吐いて構いませんよ)。今

後の課題は「俯瞰する」でしょうか。研究室のTop学年になりますので、自

分とその周囲の行動・物事について、その意義を多面的に判断し進める

力が求められます。鳥が大地を見下ろしながら自分の進むべき方向を見

定めて飛び続けるのと同じです。益々の成長を期待しています。

篠塚 麻貴君(M1)

研究テーマ:簡易ルーフポンドの建物熱負荷削減

効果に関する研究

一年お疲れ様です。日頃の卒論生への気配り等

に感謝してます。入ってみて吉田研はどんな印象を

持ちましたか?篠塚君は「閃く」力は高い半面、持続

力に難があると思います。あと一息の「粘り」で、仕事

のムラも減るし、「分からない」と思う物事が理解できるはずです。粘ると「脳

に汗を掻く」様な感覚があり耐え難く逃避したくなります。そんな時、一旦逃

げるのは構いません。大事なのはできるだけ間を置かず(1日以内)再度考

える癖を付けることです。ボクシングのヒットアンドウェイと同じです。篠塚君

なら出来るはず。この1年での飛躍期待してます。

竹内 結さん(M1)

研究テーマ:数値気候モデルによる冬季の

屋外熱環境に関する研究

一年お疲れ様です。結ちゃんの強い意志力には

いつも感心してます。高い完成度の仕事の源はそ

の意志力です。逆に課題は「制御力」です。結ちゃ

んの強い意志(思い)は広く伝搬します(例えば結

ちゃんが機嫌が悪い時は一瞬でわかります(笑))。意図的なら良いですが

違う場合は客観的視野と制御力が必要です。当然これは社会で生きてく

上で大事ですが、特に公務員は批判されやすいため、些細な意志伝達の

ズレが大事件にも繋がります。意志力のON/OFFを上手に使い分けれると

結ちゃんの思いはもっと実現できる様になるはずです。期待してます!

岡 克志君(B4)

研究テーマ:緑のカーテンの日射遮蔽に関する研究

卒論作成お疲れさまでした。岡君はホントしっかり者

ですね。一年間朝早くから研究室に来て勉強・研究で

きたのは岡君だけです!そんな岡君に強いて課題を

挙げるなら「柔軟性」と思います。大学の職員には文

科省の顔色を窺って仕事する慣例通りの考えの硬直

した人が大変多いです。オリジナルを追求する教員の眼には時代錯誤も甚

だしく感じることも多々あります。型破りな教員を制御するのも事務の仕事

ですが、これからの事務員には変革著しい時代を生き抜くための柔軟な思

考が必要です。大学に新風を吹き込む職員の☆になって下さいね!

島田 卓弥君(B4)

研究テーマ:緑のカーテンの日射遮蔽に関する研究

卒論作成お疲れ様でした。島田君は頭の回転が非

常に速く大変優秀ですね!県庁の☆になる島田君に

強いて思う課題は「欲を持つ」でしょうか。(実は陰でも

のすごい努力をしてるかもしれないので間違いかもし

れませんが、)吉田は「島田君はフルパワー出さずと

も大概の事は出来ているのでは?」と思っています。公務員は及第点を

取れる成果を出すことが大事です。でも、自分に「欲」を持ってライフワー

ク的目標を見出だし、持続力が養成されれば、島田君はもっと大きなこと

ができるはず。自分の可能性を信じて惜しみなく力を発揮してください!

高橋 佑輔君(B4)

研究テーマ:CFD解析による文京キャンパスの

風環境評価に関する研究

卒論作成お疲れさまでした。高橋君は今、名大とい

う新しい環境に飛び込む事に期待と不安が同居して

いると思います。確かに新天地での 初の一年は苦

労するでしょう。でもそんな時、大事なのは自分を「信

じる」ことです。自分を信じれないと自分への投資(努力)する気概も失せる

ものです(それこそお酒を飲んで自暴自棄にもなります(笑))。自分を信じれ

るから惜しむ事の無い努力が可能となり、その努力が実力と自信に繋がり

ます。それに高橋君には「誠実さ」という長所があります。これは、君の周り

に良き理解者(先生、友達)を集め、道を切り拓く上での 大の武器になる

はずです。だから、心配御無用。新天地でのご活躍を期待していますよ!

村田 聡君(B4)

研究テーマ:学校エコ改修の熱負荷削減効果の

評価に関する研究

卒論作成お疲れ様でした。村田君を一言で評す

ると「努力家」に落ち着きます。空調の教科書を

PowerPointにまとめたり、TRANCOMの操作に遅

くまで取り組む姿には感心しました。運動神経も

良いし「好青年」って感じがピッタリです!村田君の課題は「執着」。仕事

に対する及第点をやや高めにする(結果に執着する)様に心掛けて、努力

の歯車を動かすと、もっと物事への深い理解と高い完成度の仕事が出来

ると思います。でも、これは適切な及第点のラインの把握が前提ですか

ら、社会でのある程度の修練が必要でしょう。ここ数年の下積み時代に

「自分がトップなら?」という視点を持って社会に飛び出してください!

Page 3: 吉田研ニュース - 福井大学y-shinji/pdf/ogOg/2009.pdf · 島田 卓弥君(b4) 卒論作成お疲れ様でした。島田君は頭の回転が非 常に速く大変優秀ですね!県庁の☆になる島田君に

研究紹介:

Page 3 吉田研ニュース

実は、2pで止めようと思っていたのですが、全部見渡してみると、「研究室

ニュース」なのに研究の事殆んど何も書いてないなぁ、と思い当たりました。

そこで、ホントに触りだけですが、OB向けに研究内容も紹介したいと思いま

す。仕事の話のタネになれば幸いです。でも、研究室ニュースなので飽くま

で気楽な雰囲気で分かりやすくをモットーに進めますので、ご安心を(笑)。

今回の話題は「お風呂の話」。これは一昨年修士を修了された寺井君の

修論テーマです。ところで皆さんは「お風呂、入浴」にはどんなイメージを連

想しますか?おそらく、リラクゼーション、デトックス、温泉、等々良いイメー

ジの連想が並ぶと思うんです。ところが、入浴には「溺死による不慮の事

故」というリスクもあります。これは福井県の場合、不慮の事故死の中でも3

番目に多くて、交通事故死の約2/3に相当する死者が毎年出ています。交

通事故現場は凄惨ですからクローズアップされますが、それと同じ位の

オーダーの死亡リスクが「住まい」にあるという事です。しかも、福井県はこ

の死者数(人口10万人あたりで換算)がここ10年位TOP5に常にランクイン

しており、その大多数が高齢者という問題があります。数年前福井県は男

性の平均寿命が全国2位になって「なぜか長寿 ふくい」というPRが行われ

ましたが、こんな事実を知ると「なぜか」と「長寿」の間に「!?」を付けたくなり

ます(でも、そんなことはうちの知事が許すわけありません…(笑))。

この問題は一般的に「ヒートショック(以下、HS)」と呼ばれています。これ

は、入浴のための部屋の移動、脱衣に伴う身の回りの熱環境の急激な変

化が、血圧の急激な変化、心疾患、脳疾患を発症させることを言います。つ

まり、浴室や脱衣室は普通暖房しないので、冬季は居室との温度差が大き

くなることが要因の一つと考えられ、「温度のバリアフリー」化が必要と言わ

れています。これは、まさしく吉田研のテーマである「建築環境工学」の領域

ですから、検討してみましょうと取り組み始めたのがこの研究です。

ここでは、熱回路網解析手法(説明すると長くなるので簡単に言うと、建物

の期間熱負荷を計算するのに使われる手法)を使って、中部・近畿地方各

冬期の浴室内の温熱環境と安全性に関する研究

地域に建つ戸建住宅のHSの発症危険度を検討しています。図1は縦軸に

HSの発症危険度の評価尺度「HSデグリアワー」の地域毎の算出値と各地

域の冬季入浴時間帯の平均気温との関係を表したものです。全体的に気

温が低いと「HSデグリアワー」が大きいのは、外が寒い影響を浴室・脱衣

室も受けるためで信越・北陸地方が高い値になります。でも、札幌の値は

確かに外気温は低いのですが、信越地方の同程度の外気温の地点より

も値が小さくなっています。これは、本州の家がいかに寒い造りになってい

るか(逆に札幌の家は暖かいか)、を表しており、ヒートショックの発症危険

度が高いことが分かるわけです(現に北海道の溺死による死者数は全国

で45位)。その様な結果をマッピングしたものが図2です。長野・飛騨地

域、福井ですと旧和泉村の辺りが高いことが分かります。

住宅の断熱性は省エネの観点からしか普段考えませんが、健康にも大

きな影響を与えることが分かります。皆さんも歳を取った時に風呂場で死

んで恥ずかしい姿を曝したくなかったら(でも死装束に自分で着替えるの

は無理か…)、家の壁にも惜しみなく断熱材を入れるべきです(笑)。

図1 冬季入浴時の平均外気温とHS発症危険度(HSデグリア

ワー)の関係

0

1000

2000

3000

4000

5000

-4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0冬季平均気温[℃]

HSデ

グリ

アワ

ー[℃

・時]

札幌市

東京都

信越地方

北陸地方

中部・東海地方

近畿地方

福岡市

札幌市

上田市

図2 地域別高齢者人口で重み付け

されたHSDHの分布

信越・北陸地方が気温が低く、家の断

熱性も低いのでHS危険度(HSデグリ

アワー)も高くなります。

参考文献 吉田伸治

冬期の浴室内の温熱環境と安全性に関す

る研究(その2) 中部・近畿地方を対

象とした浴室の温熱環境評価

日本建築学会大会学術講演梗概集、

2007、D2、113-114

長野と飛騨が高いです。福井だと旧和

泉村が高いですね。うちのOBは今の

所この辺りには居ませんが、転居され

る時は頭に入れておいてくださいね。

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吉田のボヤキ

Page 4 吉田研ニュース

吉田研2009年度(第8期)漸く終わりを迎えました。28歳の秋に福井に

来たので、気がつくと「アラサー」から「アラフォー」に変わっている事実に仕

方無いけれど、改めて驚いてます。時の経つのは早いものです。

「吉田研ニュース」2報目はいかがでしたか?これから数年は試行錯誤を

続けていくつかコーナーを設けてみようと思っています。ホントは今年は

「OB・OGのページ」を作ろうと思っていました。OB・OGが今どんなことをして

いるのか、仕事の事、昔の思い出等なんでも良いので写真込で半ページ位

書いてもらいたいなぁ、思っていたのですが、今回は実現しませんでした。

この研究室ニュースはOB、現役双方のためにと思って書いています。OB・

OGの近況や苦労話、何気ない話でも、現役生には刺激になるはずです。ぜ

ひ、来年吉田から声をかけられた際には気軽に快諾頂けると嬉しいです。

研究紹介を書いて3pまで膨らみましたが、印刷するなら4p無いと格好つ

かないです。 後のページは吉田の「ボヤキ」ページにします。実は吉田は

「動物占い(古い!!)」では「ひつじ」になります。「ひつじ」の特性をネットで

調べると、①沈着冷静(本心を見せない、客観的判断が得意)、②さみしが

り屋、③相談に乗るのが好き、④助け合いの精神(和を尊ぶ)、⑤約束にう

るさい、⑥愚痴っぽい、⑦情報集めが好き、と書かれています。当たってい

る所とそうでないのがありますが、「⑥愚痴っぽい」は当たっていると思いま

す。吉田自身そんなに怒らない性格と思うのですが、不満は「ボヤキ」で発

散している所が多いんですね。皆さんの中にも、研究室で吉田の「ボヤキ」

で帰りたいのに帰れないなぁ、と思ったことも多々あるでしょうねぇ(笑)。そん

な「ボヤキ」を交えつつ、自由な話題を書いていこうと思います。

1回目の「ボヤキ」は吉田の家族、父親の事にしましょう。吉田は父親が

31歳の時の子供(次男で末っ子)です。今年で68歳で、学科の先生ですと

本多先生と同い年です。北海道の帯広の出身で、室蘭工業大学(夜間)へ

の入学を契機に室蘭に住み始めました。その後、新日鉄に入り吉田が大学

院生になる頃まで勤めていて、その後独立してコンサルタントを開いていま

す。大変努力家で、技術士(金属)、溶接技術士などなど、いっぱい資格を

持っています。十数年位前は、毎年なんかの資格を受けるための勉強をし

ていて「資格マニア」ではないかと、影で思っていましたが…(笑)。

性格は、息子が言うのも問題ですが、ホントに変わっています。別に吉田

は占いマニアでは無いのですが、父親の血液型はAB型です。ホントに一日

の中でも性格がコロコロ変わります。さっきまで怒っていたと思ったら、10分

くらい経つとニコニコしながら「どこかに行こう」と誘ってくる、なんてのは日

常茶飯事です。お店の対応が少しでも悪いとコンビニの店員にもすぐ怒鳴

ります。息子的には「そんなにカッカするから血圧上がるんだよねぇ…」と

思ってしまい、半分諦めの境地で眺めています。

好物はアイスクリームと帆立貝柱の干したやつです。特にアイスクリーム

には目が有りません。この年末年始に帰郷した折も、帰りの飛行機に乗る

のに千歳空港まで送ってくれたのですが、その途中にある「ウトナイ湖」の

道の駅に寄ろうと提案されました。何しろ、その道の駅では美味しいコー

ヒーが飲めるとのこと。それを聞いてそのコーヒーを楽しみにして到着して

みるとコーヒーショップはありません。さて、父親はと言うとソフトクリーム

コーナに一直線。そう、道の駅のソフトクリームが食べたくて、僕が同意し

そうな「美味しいコーヒー」を飲むのを提案したんです。まぁ、オーダーする

と豆挽きから始める自販機にしては豪華版のコーヒーは飲めたんですが、

「はめらた…」感はありますよねぇ。それ位アイスが大好きです。

そんな父親ですが、尊敬する所がひとつあります。自分の可能性を信じ

て疑わない所です。吉田が高校生の頃「伸ちゃんは良いよねぇ、可能性が

無限だもん」と散々言われました。確かに吉田は中学生までは成績もトッ

プクラスで分からない所等皆無で順風満帆だったのですが、高校で弓道

部で弓ばっかり引いてたこともあって、成績は決して良くなかったんです

(まぁ弓道で学んだ事も一杯ありますが…)。模試の合格判定もそんなに高

く無い現実を直視するととても「無限」だなんて思えるはずはない。17歳頃

特有の父親への反抗意識もあるし、その言葉をとても素直に受け止める

ことはできませんでした。でも、それから20年近く経た今、その言葉の意

味が吉田なりに理解出来る様になりました。というのは、例えば高橋君に

も名大受験の前にも言いましたが、オリンピックでも高校野球でも参加者

の大半は優勝したいと思って望むものです。そこで大事なのは「優勝した

いと思う者が負ける」事は多々ありますが、「優勝しなくて良いと思う者が

優勝する」事は皆無であるという事です。「無欲の勝利」という言葉があり

ますが、それでも全く「勝ちたい」と思っていない事はありえない。「勝ちた

い」と思うからチェックメイトとなる 後の一手を為し得る訳です。それは、

『欲求は実現ための 低限のパスポートであり、何事を為す上でも「自分

はそれができる」と信じることはその第一歩である』と結論付けられます。

とは言え、信じていても結果に結びつかず裏切られると自尊心が傷つけら

れます。その挫折を味わうのは嫌だから 初から手軽に実現しそうな目

標を掲げるという事が数多くあります。でも、オリンピックの金メダリストが

一人であることを考えてみてください。自分の思いを実現できない人が大

半です。でも、そんな敗者は格好悪い存在でしょうか?一生懸命その思い

に忠実に励む姿には当の本人も含め誰も文句は言わないはずです。だか

らこそ、自分の可能性は無限であると信じると同時に大きな目標を掲げる

ことは、「運を動かす」第一歩であることを心に留めるべきと言えます。

初は心の中だけでも良いんです(歳を取って恥じらいが無くなると自然と

出てくる様になることもあります)。若いうちにそう思えないと歳を取ってか

らではなおさら無理です。まさしく「少年よ、大志を抱け」ですね。

近は学会が北海道で開かれることが無いので、親に年1回しか会わな

い年が続いています。北海道と福井は非常に離れているから何かあると

心配です。でもまぁ、頻繁に会うと喧嘩になるだろうから、ちょっと離れたと

ころで元気暮らしてくれると良いんですけどね。あと、親が北海道から離れ

ると北海道の美味しいお菓子にありつく機会が無くなりますねぇ。難しい所

です。尤もコンビニで喧嘩する元気があるうちは要らぬ心配かもしれませ

ん…(むしろ喧嘩でも起こして警察に拘束されるかどうかが心配です(笑))。

編集後記 (皆さんは当然ご存じですが)吉田研のメインテーマは都市・屋外の熱・空気環境に関する研究であるため、吉田にとって夏はその現状や対策技術

の効果分析のための実験・実測に追われて過ごす日々となります。昨年は7月下旬~8月上旬の天候が冷涼だったため、有意なデータを得るためお

盆中も実測を続けました。学生(篠塚君、岡君、島田君)も帰省し一人黙々と計測する自分に熱い視線を送る方々が現れました。カラスです。彼等

がこちらの目の離れた隙に現場を荒らし始めたため、普段中々体験できないカラスとの「知恵比べ」を満喫しました。対決を通じてカラスの悪知恵

には敵ながら感心しました。もしかしたら、人間の文明の終焉後のこの星の王者はカラスなのかもしれませんね(笑)(尤も、カラス(鳥類)の祖先

は恐竜ですから、復権というべきでしょうが)。

今の人間の姿をカラスがどんな気持ちで眺めているかはわかりませんが、カラスの天下となった時にいじめられない様に、地球号の一員として地

球に優しい生活を心掛ける必要があるようです。