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- 1 - 健康福祉・医療委員会行政視察概要 視察月日 平成29年7月3日(月)~7月5日(水) 視察先及び視察事項 (1)北海道小樽市 小樽市立病院の統合再整備について (2)北海道札幌市 さっぽろ未来医療プランについて (3)一般社団法人旭川市医師会(北海道旭川市) たいせつ安心i医療ネットについて (4)社会福祉法人ゆうゆう(北海道当別町) 共生型事業の取り組みについて 視察委員及び随行名簿 副委員長 俊之助 谷田部 竹野内

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健康福祉・医療委員会行政視察概要

1 視察月日 平成29年7月3日(月)~7月5日(水)

2 視察先及び視察事項

(1)北海道小樽市

小樽市立病院の統合再整備について

(2)北海道札幌市

さっぽろ未来医療プランについて

(3)一般社団法人旭川市医師会(北海道旭川市)

たいせつ安心i医療ネットについて

(4)社会福祉法人ゆうゆう(北海道当別町)

共生型事業の取り組みについて

3 視察委員及び随行名簿

委 員 長 今 野 典 人

副 委 員 長 山 下 正 人

同 望 月 康 弘

委 員 伊 波 俊之助

同 佐 藤 茂

同 中 山 大 輔

同 谷田部 孝 一

同 竹野内 猛

同 北 谷 ま り

同 白 井 正 子

同 豊 田 有 希

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視察概要

1 視察先

北海道小樽市

2 視察月日

7月3日(月)

3 対応者

病院局長兼病院事業管理者 (挨拶・説明)

病院局小樽市立病院事務部長 (説明)

病院局小樽市立病院事務部次長 (説明)

病院局小樽市立病院地域医療連携室次長 (説明)

病院局小樽市立病院事務部主幹 (説明)

病院局小樽市立病院経営企画課長 (進行等)

4 視察内容

小樽市立病院の統合再整備について

ア 統合新築の考え方

小樽市には、多様な診療科を備え結核病床を含む2 2 3の病床数を

有する市立小樽病院と、脳・神経疾患、心・血管疾患の救急に24

時間・3 6 5日対応する小樽市立脳・循環器・こころの医療センター

という2つの市立病院が存在していた。病床数を50床ほど削減し

た上でこの2病院を統合し、コンパクトで高機能な基幹病院として

平成26年12月に開院したのが小樽市立病院である。

イ 新市立病院における医療方針

(ア) 診療の3つの柱

診療における3つの柱として、がん診療、脳・神経疾患診療、

心・血管疾患診療を掲げている。特に、がん診療は新市立病院に

おける診療の柱の1つで、平成25年4月には北海道がん診療連

携指定病院の指定を受けている。旧病院時から後志2次医療圏唯

一のリニアックを保有し、地域のがん診療の中核を担っていたが、

新病院では最新の機能を有する機器を導入し、がんの標準的治療

はもとより、緩和ケア体制の構築やがん相談体制の充実に努め、

また、必要な人材の確保や設備の充実に取り組んでいる。

(イ) 2つの特性

他の医療機関で担うことのできない疾患の診療(専門外来や入

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院治療など)を担い、地域医療連携センター機能(地域医療連携

の調整や医師教育支援の取り組み、医療連携システムの活用など)

を有している。

ウ 施設概要

(ア) 建築概要

建築面積:7 3 4 2 . 6 1平方メートル

延床面積:3万8 6 2 . 5 2

階数:地下1階、地上7階、搭屋1階

構造種別:鉄筋コンクリート造、免震構造

(イ) 病院の概要

病床数:3 8 8床(一般3 0 2床、精神80床、結核4床、感染2

床)

診療科目:内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、神経

内科、外科、心臓血管外科、脳神経外科、整形外科、

形成外科、精神科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産

婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線診断科、放射線

治療科、病理診断科、麻酔科

エ 施設の特徴

(ア) 利用しやすく快適な病院

・外来待合や主な通路の先には開口部を設け、自然採光を取り入

れることで快適な空間とした。

・主な外来部門は1階に集約し、診療科と放射線・検査部門をわ

かりやすく配置した。

・ユニバーサルデザインの観点から段差解消や明快な案内サイン

とした。

・病室は3階から7階に配置し、ゆとりある広さで全室(一部個

室を除く)に洗面とトイレを設置するなど、快適な療養環境を

確保した。

・病院敷地に隣接した旧病院跡地に、約2 5 0台の駐車場を設置し

た。

(イ) 安全で安心な病院

・後志二次医療圏の基幹病院として高度・急性期医療を担うこと

から、救急部門、手術部門、ヘリポートを直結する縦の動線を

確保した。

・災害拠点病院として免震構造を採用するとともに、ヘリポート

や自家発電設備を整備することにより、災害時の安全性、機動

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性に富む搬送及び病院機能の維持を可能とした。

・病棟中央にスタッフステーション(看護師詰所)を配置し相互

の機能的な連携が可能なSSリンク(詰所をつなぐ業務用廊下)

を確保するとともに、患者用と業務用のエレベーターを分離す

るなど看護管理の効率性を図った。

(ウ) 環境に配慮した病院

・外観について、温かみのある色合いとし小樽の町並み景観との

調和に配慮した。

・敷地高低差を利用した階構成と、高層部のセットバックで近隣

に配慮するとともに、以前敷地内にあった小学校の思い出や植

栽を配したメモリアルガーデンを整備した。

・外断熱工法(病棟階)、LED照明、節水型便器などを採用し

省エネルギーや環境負荷の低減に配慮した。

・太陽光発電や地中熱を利用した空調などで自然エネルギーを有

効利用した。

(エ) 医療環境の変化に対応可能な病院

・内部間仕切壁は乾式工法を採用し、将来の間取り変更に対応す

ることとした。

オ 配置

・メーンエントランスを前面道路(市道住吉線)の南西(国道5

号線)側に配置した。

・救急動線を前面道路の北東(JR側)に設け、メーンアプロー

チとの交差を避けた動線とした。

・エントランスに車寄せ・タクシー待機・車いす用駐車スペース

駐輪場を配置した。

・物品・給食等の搬出入口は、市道大通線から寄りつく地下1階

に配置した。

・建設コストを考慮した、整形・コンパクトな平面計画とした。

・量徳小学校の記憶を残すメモリアルガーデンを整備した。

・新病院の完成後、旧病院敷地を駐車場として整備した。

カ 質疑概要

Q 医者から選ばれる病院という話があったが、具体的にはどうい

うことか。

A 経営状況を改善するに当たり、安易に経費削減ということでは

なく、質のよい医療の提供が不可欠であり、そのためにはよい人

材に来てもらう必要がある。そして、よい人材に来てもらうため

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にはよい施設でなくてはならない。そのような意味で、医者から

選ばれるような病院でなくてはならないと考えてやってきた。

Q 人口が減少していく中で、人材の確保が非常に難しくなってく

ると思う。今後の人材の定着に向けて、どのような対応を検討し

ているのか。

A これまで大学で担っていた研修を小樽市立病院など各病院で行

えるようにし、そのかわりに研修生が在籍する大学から人材を派

遣してもらうというような仕組みを構築している。

そして、我々としてはこのような人材の教育が非常に重要と考

えている。当病院が一生懸命研修を行うことで、研修を希望する

人材が自然に集まってくると考えている。実際に、大学に戻って

何年か後に病院で働いているというケースも出ている。そういっ

た環境づくりが大切だと思っている。

Q 小樽市立市民病院では、どの大学から学生が来ることが多いの

か。

A 札幌医大、北海道大、旭川医大などから来る。加えて、本州の

学校へ行っていた学生が戻ってくるということもある。

Q 現在の場所へ移転するに当たり、周辺に済生会小樽病院や小樽

協会病院などがある中、小樽市立病院は主に急性期を担う病院だ

と思うが医療機能の部分でどのような調整を行ったのか。

A 移転時に周辺病院と各病院の特徴を出せるよう医療機能の部分

で調整の上、移転を行った。

Q 3 8 8の病床数のうち、精神の病床数が80となっており、多い

印象を受けるが、実際の稼働率はどのようになっているのか。

A 統合前の小樽市立脳・循環器・こころの医療センターにおいて

も全体の病床数2 2 2に対し、精神の病床数が1 0 0と非常に多かっ

た。新病院においても病床数については検討されたが、このあた

りで高度な精神科医療を担えるのはここしかないだろうというこ

とでこの病床数となっている。

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小樽市立病院にて説明聴取

小樽市立病院(屋上ヘリポート)にて

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1 視察先

北海道札幌市

2 視察月日

7月4日(火)

3 対応者

保健福祉局保健所医療政策課長 (挨拶及び説明)

保健福祉局保健所医療政策課医療企画係長 (説明)

保健福祉局保健所医療政策課医療企画係職員 (説明)

4 視察内容

(1) さっぽろ医療計画2018について

ア 計画の位置づけ

医療法では都道府県において医療計画を策定することが義務づ

けられており、北海道でも医療計画が策定されている。この北海

道医療計画の基本的な方向性に沿いつつ、札幌市独自の課題や今

後の少子高齢化等に伴う市民の医療ニーズや疾病状況等の急速な

変化に対応すべく、市として目指すべき医療提供体制の実現に向

けて施策を体系化したものがさっぽろ医療計画(平成24年度か

ら平成29年度)である。さっぽろ医療計画は平成24年3月に

策定され、今年度までの計画となっていることから、この成果と

課題を踏まえた第二ステップの計画として、さっぽろ医療計画

2018(平成30年度から平成35年度)の策定に向けた準備が進

められている。

また、さっぽろ医療計画2018は、札幌市における他の保健福祉

関連計画(地域福祉社会計画、高齢者保健福祉計画、介護保険事

業計画、障がい者保健福祉計画、障がい福祉計画、健康づくり基

本計画など)と相互に整合性を図り、札幌市総合計画の基本的な

方向性に沿って策定される。

イ 基本理念と目標・施策内容

(ア) 基本理念

市民が生涯を通して健康で安心して暮らせる社会の実現に向け

た医療システムの確立

(イ) 目標と施策内容

a 目標1:安心を支える医療システムの構築

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市民が疾病状況に応じて必要な時に必要な医療を受けること

ができるよう、救急医療機能のさらなる充実や医療機関相互及

び介護施設との連携、医療安全対策等の強化を図り、安心を支

える医療システムの構築を推進する。また、大規模災害時の医

療体制の強化や広域的な医療連携の強化に取り組む。

(施策と取り組み内容の例)

①救急医療機能のさらなる充実と適切な利用の促進

・(仮称)救急安心センターさっぽろの設置・運営

・救急医療の適切な利用の普及啓発

②医療機関相互及び介護施設との連携

・地域医療室連携システムの活用・強化

・北海道が作成する連携ノートの普及

③医療安全対策の推進

・医療機関や薬事関係施設への立ち入り検査の充実

・医療安全相談窓口の運営

④災害時医療体制の強化・広域連携の推進

・札幌市地域防災計画における医療救援体制の充実

・札幌市新型インフルエンザ対策行動計画の推進

(求められる役割)

①医療機関

診療所と病院の連携、医療と介護の連携など、市民の疾病

に応じた医療を提供することのできる医療連携システムの構

築を行う。

②市民

身近なかかりつけ医や相談窓口などを通して、疾病や症状

などに応じた適切な医療機関を利用する。

③札幌市

・医療機関と協働で、医療連携システムの構築を推進する。

・救急医療や医療安全等の相談窓口を充実・強化する。

b 目標2:地域と結びついた医療の強化

市民が地域で安心して暮らし続けることができるよう、身近

なかかりつけ医などの普及促進、在宅医療の充実など、地域と

結びついた医療の強化を推進する。さらに、高齢者等の地域の

暮らしを支えるため、地域包括ケアにおける医療の充実・強化

に取り組む。

(施策と取り組み内容の例)

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①かかりつけ医などの普及促進と地域医療機関の連携

・かかりつけ医・歯科医・薬局の普及促進

・診療所の窓口機能や専門医療への振り分け機能の充実促

・進

②在宅療養を支える医療の強化

・入退院サポートシステムなどの活用・強化

・地域医療連携モデル事業の実施

③地域包括ケアにおける医療の充実と医療・介護の連携促進

・地域包括ケアにおける医療の充実

・自主的なネットワーク組織への医療機関の参加促進

④地域の医療を支える人材の育成・活用

・出産や育児等により職を離れた看護師や歯科衛生士の復

職支援セミナーの開催

・医療アドバイザー制度の創設

(求められる役割)

①医療機関

かかりつけ医の普及や在宅医療の充実、医療・介護連携サ

ービスの提供など、地域に身近な医療機能を強化する。

②市民

健康づくり、介護予防、高齢者世帯の見守りや生活支援活

動など市民が支え合う互助活動に取り組む。

③札幌市

地域における医療の充実に向けて、医療・保健・福祉分野

の多様な主体の連携や実践活動を支援・促進する。

c 目標3:市民の健康力・予防力の向上

市民が生涯を通して自身・家族の健康づくりや疾病予防・早

期発見等に自主的に取り組み、健康で生き生きとした暮らしを

維持していくことができるよう、疾病予防・健康増進を重視し

た情報発信や普及啓発、相談機能の強化等を推進する。

(施策と取り組み内容の例)

①医療・保健に関する情報発信と普及啓発の強化

・市民の健康診断受診の促進

・健康や疾病予防に関する普及啓発

②医療に関する相談機能の充実と広報の強化

・産婦人科救急相談電話等の各種相談窓口の運営

・さっぽろ医療ガイドの作成

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③医療・保健・福祉の相談窓口の連携強化

・地域包括支援センター等の医療・介護の相談体制の充実

・保健と医療が連携した育児支援ネットワーク事業の実施

④医療情報分析手法の構築と情報共有化

・医療情報分析手法の構築

・さっぽろ医療白書の作成

(求められる役割)

①医療機関

健康づくりや疾病予防に関するセミナーを開催するなど、

市民への情報提供に取り組む。

②市民

定期的な健康診断の受診、日ごろの健康づくりや生活習慣

の改善など、疾病の早期発見や予防に取り組む。

③札幌市

・各種相談機能の充実や、市民に対して疾病予防や健康診断

受診の促進を図る。

・医療の実態や将来予測などの医療情報分析手法を構築し、

・情報を発信する。

ウ 計画策定の進捗状況

(ア) 策定専門委員会の実施状況

計画の策定に当たり、策定専門委員会をこれまでに4回実施し

ており、計画の内容を協議した。専門委員会委員は、北海道・医

師会・歯科医師会・薬剤師会・看護協会・市民代表などで構成さ

れている。

(イ) 策定専門委員会の協議内容

①計画名称、基本理念、基本目標について

②構成内容について

・5疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞等の心血管疾患・糖尿病・精

神疾患(認知症含む))

・4事業(救急医療・災害医療・周産期医療・小児医療)

・在宅医療

・医療従事者の確保、医療安全の確保、保健医療施策の推進など

エ 今後の予定

(ア) 策定専門委員会による協議及び答申

・平成29年7月

各委員への計画素案の意見照会

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・平成29年8月

第5回策定専門委員会

・平成29年9月

保健所運営協議会への報告

保健所運営協議会からの答申

(イ) 議会への報告・パブリックコメント等

・平成29年10月から11月

保健福祉総合推進本部会議(他計画との調整)

・平成29年12月

議会(厚生委員会)への報告

・平成30年1月から2月

パブリックコメントの実施

・平成30年3月

計画策定・公表

オ 質疑概要

Q 今回の計画で肝となる部分はどこか。

A 在宅医療の推進という部分が中心になってくる。2025年を見据

え、在宅医療の充実というのは大きな課題となってくる。特に、

札幌は全国的に見て在宅医療を行っている医療機関の割合が少な

く、まずは最低でも全国平均レベルぐらいにまで押し上げていく

必要があると考えている。

Q 認知症の部分を精神疾患としたことについて、おそらくさまざ

まな議論があったと思うが、具体的にどのような取り組みをこの

計画に追記していくのか。

A 認知症を項目として入れることは決定している。具体的な検討

はまだこれからであるが、医師会からも要望があった。国の指針

でも精神疾患の中に含めるとされており、単体で項目出しするこ

とも検討したが、国の指針に合わせるという形にした。

Q # 7119の担い手はどのようになっているか。

A 民間企業に委託しており、オペレーターや看護師を雇用してシ

フトを組んだり教育したりしていただいている。この企業は奈良

県などでも実績のある企業である。また、医師については、札幌

市が北海道大学病院や札幌医科大学病院などに別途委託している。

Q # 7119の提供範囲について、一般的には札幌市内ということに

なると思うが、どのようになっているのか。

A 基本的には札幌市になるが、それ以外に近隣の数自治体が対象

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となっており、人口に応じて負担金を支払ってもらっている。

Q 医療連携パスについて、脳卒中やがんなどの部分の連携を行政

が何か関与されて取り組まれているのか、それとも例えば民間病

院と診療所のみで取り組まれているのか。

A 地域医療連携パスについては、北海道が主体で地域医療パスの

連携協議会を行っており、その中でパスの内容などが決められて

いる。ただ、それ以外にもそれぞれの民間病院で独自に地域の医

療機関と連携をするために、独自のパスを作成しているというと

ころも一部ある。市として、そういったところについて支援でき

るようにしていきたいと考えている。

Q 先ほど、在宅医療に力を入れていく必要があるとのことで、北

海道は比較的在宅で亡くなるケースより病院で亡くなるケースが

多いと思うが、在宅医・かかりつけ医が少ないという現状を改善

しつつ、クリティカルパスなども活用しながらこういった現状に

対して取り組んでいくということになるのか。

A かかりつけ医の普及啓発も行っており、市民への出前講座など

の取り組みを行っているところである。

Q 保健所は札幌市に何カ所あるのか。

A 保健所は1カ所。各区に保健センターがある。

Q 医療プランについて、横浜市では医療局が策定することになっ

ているが、札幌市では保健所ということで、組織の体制について

確認させてほしい。

A もともと、保健所はどちらかというと現場に出ていくような業

務をしており、本庁舎に医療計画を担当するような部署があった。

その部署が保健所に移ったため、保健所でありながら本庁と同じ

ような機能を持ち合わせている。そのため、一般の保健所のイメ

ージとはだいぶ違う部分があるかと思う。

Q 地域医療構想における必要病床数はどのようになっており、新

計画ではどのように反映されているか。

A 横浜市は単独で1つの医療圏かと思うが、札幌市は札幌圏とい

う形で周辺の市町村を含めた必要病床数となっている。札幌圏に

ついてもやはり病床数はふやすべきということで、約2000床の増

という数字が出ている。一方で機能分化について、高度急性期・

急性期・回復期・慢性期とあるが、急性期が過重なのに対し回復

期が不足しているという推計がなされており、本来であれば急性

期の病床を回復期の病床に回していく必要があるものの、今回の

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医療計画の中ではあまりその部分については触れない方がよいと

考えている。というのも、行政主導で機能分化を進めるというこ

とはあまり好ましいことではなく、病院間や地域での話し合いに

よって機能分化を進めていくべきだと考えているため、この現状

を載せるにとどめている。

Q 地域別の疾病・疾患で何か特徴的なところはあるか。

A がんで言うと、肺がんが全国平均よりも多い。原因としては、

全国で比較して喫煙率が高い数値となっており、それに伴って肺

がんの割合がおそらく高くなっているのだと考えられる。そのた

め、別の部署にはなるが、禁煙に対する取り組みなどについて、

力を入れて行っていく必要がある。

Q この医療計画の中に、小児医療に関してはどのように記載され

ているのか。

A 小児医療に関しては、主に救急の関係がメーンになってくる。

札幌市の課題として、小児救急の部分が弱いというところがあり、

小児科の2次救急がこれ以上減らないようにカバーしていく必要

がある。日中であればかなり医療機関が充実しており問題はなく、

また初期救急に関しても夜間救急センターに小児科が入っており

問題はないので、2次救急について強化をしていく必要がある。

Q この計画は議会承認事項ではないのか。

A 必須事項ではないが、12月に議会へ報告をさせていただいた

上で、パブリックコメントを実施していく。

Q さっぽろ医療計画2018も対象期間が6年間と長いと思うが、途

中3年ほどで見直しをするのか。また、他の複数の計画の更新期

間が重なっているため、各計画においてパブリックコメントなど

を実施する際に、市民の皆さんがわかりにくいのではないかと思

うがどうか。

A 進捗状況の確認を中間の3年後に行う予定である。そこで、大

きな状況の変化等があれば、それに合わせて修正する必要が出て

くる可能性も当然にあると思う。また、パブリックコメント実施

における危惧についてはそのとおりであり、各計画にどのような

違いがあるのかなど、市民の皆様への周知について今後よく検討

をしていく必要があると考えている。

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札幌市保健所にて説明聴取

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1 視察先

一般社団法人旭川市医師会(北海道旭川市)

2 視察月日

7月4日(火)

3 対応者

旭川市医師会会長 (挨拶)

旭川赤十字病院院長 (説明)

旭川市医師会事務局長 (進行)

4 視察内容

たいせつ安心i医療ネットについて

ア 旭川における病院医療の特徴

急性期(高度)医療は旭川市にある5つの公的病院のいずれかで

行われており、神経科は旭川赤十字病院、消化器科は旭川厚生病院

などのように、それぞれに得意分野がある。患者も公的病院を使い

分け、複数の公的病院を受診している場合も少なくない。また、検

査や急性期医療の情報の多くがいずれかの公的病院にある。回復期

から療養については、主に民間病院が担っている。

イ 地域医療連携ネットワークシステム

(ア) 概要

地域医療連携ネットワークシステムとは、医療機関の電子化さ

れた診療情報についてセキュリティーを確保したインターネット

網を利用し、地域の他の医療機関でも利用できるようにするため

のシステムである。これにより、他の医療機関で実施した検査結

果や画像情報、カルテなどを確認することができるようになる。

たいせつ安心i医療ネットは、旭川市医師会が事業主体となっ

て運用している地域医療連携ネットワークシステムで、5つの公

的病院が全て情報提供病院となっている。また、従来旭川赤十字

病院において構築されていた旭川クロスネットと同様に、富士通

社製のHu m a n B r i d g eを採用しており、他病院の一部で使用のあっ

たN E C社製の電子カルテシステムからはS S - M I X 2にて連携してい

る。

(イ) 特徴

・患者がネットワークへの参加を同意すると、5つの公的病院が

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その患者の電子カルテ情報をネットワーク上に提供する(ネッ

トワークで利用できるよう公開操作を行う)

・提供された情報は同一画面で時系列で参照することが可能(複

数の公的病院の診療情報が時系列で表示される)

・医療機関(医師)が患者から情報利用同意をもらうことにより

ネットワーク上のその患者の情報を閲覧することができる(休

日・夜間でも公的病院では救急時ただちに閲覧が可能)

(ウ) 効果

・診療の質を高めることができる

・必要な医療の範囲の把握(特に救急医療)ができる

・医療経済上の無駄をなくすことができる

ウ 質疑概要

Q 登録患者数が約3万人ということだが、この人数はどれくらい

カバーしていることになるのか。

A 旭川市民を母数とすると、10%を切る程度である。高齢化率

が30%程度と考えると、7万人程度まで登録数が伸びれば、救

急車で搬送される方のほとんどがカバーできるという状況に近づ

くのではないかと思う。

Q このようなシステムを導入するには、どうしてもそれなりにコ

ストがかかるのでなかなか難しいところがあると思う。また、シ

ステムはやはり専門家でないとわからない部分が多く、行政側の

人間では対応できず問題になるということも起こると思うが、こ

のたいせつ安全 i 医療ネットのようなシステムを構築できるとい

うのは、医師会の中にこのようなシステムに精通していた方がい

たのか。

A もともとこのシステムのプロトタイプとして、平成20年から

旭川赤十字病院が旭川クロスネットというものを立ち上げており、

同病院と関連医療機関との間で地域連携システムを運用していた

という実績があったので、ノウハウはあった。

Q 救急の際など、このシステムを運用するメリットは特に大きい

と思うが、意思表示ができない場合の対応策やフォローできる仕

組みは何かあるのか。

A 意思表示できる場合は当然その場で確認をとるが、意思表示が

困難な場合、該当患者のデータを見るには通常とは違う形で閲覧

を行う必要があり、閲覧理由が適正であったかどうかについて運

営委員会で検証される。

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Q この医療ネットワークは、マイナンバーカードとの連携も視野

に入れながら稼働しているのか。

A システムとしては連携できるようにしてある。

Q このシステムに対する道や市などの各自治体からの支援につい

て、どのように評価されているか。

A システム構築の際には道が絡んでいるし、月1回の運営協議会

にもオブザーバーとして出席している。

Q そのような支援ももちろんだが、財政面での支援がやはり非常

に重要だと思う。そのあたりはどうなのか。

A ネットワークの初期投資については基金を活用することができ

たが、更新時にはまだ活用できるようになっていない。その部分

を変えてもらいたいという働きかけは行っている。

Q 実際のところ、患者が同意しない場合もあるのか。

A 医師が呼びかければほぼ1 0 0%同意が取れると思うが、事務職

員が説明・呼びかけを行っていることもあり、1割ほどは同意が

取れないケースもある。

Q この医療ネットワークに参加している医療機関について、何か

表示等はされるのか。

A 参加施設はポスターで掲示されている。

Q このようなネットワークで自身の情報を利用されるに当たり、

いざ救急搬送されたときなどは、より正確に自身の情報が伝わる

ようにしておきたい。そこで、毎年受けている健康診断の検査結

果などについて、今後この医療ネットワークとリンクさせる考え

があるのか伺いたい。

A 健診データについてももちろんあった方がよい。医師会の健診

センターで受診された方のデータは載せる、もしくはその他の場

所での受診結果についても載せられるようにするなど、そのあた

りの整理が必要になってくる。

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旭川市医師会にて説明聴取

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視察概要

1 視察先

社会福祉法人ゆうゆう(北海道当別町)

2 視察月日

7月5日(水)

3 対応者

企画事業部長 (挨拶・説明)

4 視察内容

共生型事業の取り組みについて

ア 沿革

・平成14年

北海道医療大学ボランティアセンターとしての機能設置

文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム」選定

・平成17年

NPO法人取得「当別町青少年活動センターゆうゆう24」

・平成18年

当別町ノーマライゼーションセンターにょきにょき創設

江別市に新たな拠点k a e d e創設

当別町障害者相談支援事業委託

当別町ファミリー・サポートセンター事業委託

夕張市での取り組み

・平成20年

当別町共生型地域福祉ターミナルみんなのうた創設

当別町共生型地域オープンサロンG a r d e n

・平成22年

江別市共生型地域複合サロンよるのにじ創設

・平成23年

NPO法人ゆうゆうに名称変更

当別町共生型コミュニティー農園ぺこぺこのはたけ創設

・平成24年

ゆうゆうのいえ創設

夕張支部が一般社団法人取得により独立運営

・平成25年

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NPO法人ノーマライゼーションセンターにょきにょきに名称変

社会福祉法人ゆうゆうを設立

・平成26年

北海道医療大学にて渋谷ダブルトールカフェを運営開始

日本財団の助成を受け清瀬マンションをグループホームとして改

修・運営開始

G a r d e n、よるのにじを社会福祉法人ゆうゆうに移籍

・平成27年

業務を社会福祉法人ゆうゆうに統合

イ 事業概要

社会福祉法人ゆうゆうではさまざまな事業を展開している。

(以下は当別町で展開する事業)

(ア) 共生型地域オープンサロン(ガーデン)

障害のある方が地域住民の行き交う場所で人と触れ合いながら、

自分らしく成長することができる就労活動の拠点を目指している。

地域住民と一緒にランチを提供する1日コックさんの取り組みや

認知症を理解し話し合うDカフェの開催、高齢ボランティア活動

などとのかかわりを通し、社会の一員としての役割を持ち、人と

人とが相互に理解し支え合うことを経験しながら地域で自立した

生活を送れるよう支援している。

(イ) 共生型コミュニティ農園(ぺこぺこのはたけ)

当別町の基幹産業である農業を通じて、子供から高齢者、障害

者、学生などあらゆる住民が集い、活動できる交流拠点となって

いる。具体的には、障害者が施設内にあるレストランで従業員と

してや併設されている農園で農業従事者として働き、また高齢者

が経験を生かした社会参加活動や農園就労する場となっている。

さらに、このレストランでは有名ホテル等で料理長を務めた料理

人が顧問アドバイザーとしてメニューの監修を行っており、地産

地消をコンセプトとした本格レストランとして、地域住人からの

人気も高い施設となっている。

(ウ) グループホーム(ゆうゆうのいえ)

ここで生活する方々が、一住民として地域で活動し暮らす場で

あり、自立した社会生活を営むことができるよう、個々の状態や

環境に応じて共同生活住居において入浴や食事といった日常生活

上の援助を適切かつ効果的に行う拠点となっている。各部屋は風

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呂・トイレが完備され、自立した生活をイメージしたつくりとな

っており、人の行動・感覚特性を考慮し自在に光量を調整できる

ダウンライトの設置など、入居される方々が安心し落ち着いて暮

らせるよう配慮されている。

(エ) 共生型地域福祉ターミナル(みんなのうた)

・当別町のボランティア資源を有効活用するため、高齢者と学生

ボランティアの点在情報を集約し、有機的に連携・連動させて

いる。(総合ボランティアセンター)

・当別町教育委員会・北海道医療大学及び各種学校機関と連携し

地域福祉計画の理念である「福祉を文化に」すべく、幼少期か

ら成人期、高齢期に至るまでのライフステージを通じた生涯学

習プログラムの構築をめざしている。(福祉教育の推進拠点)

(オ) ヘルパーステーション(アジサイ)

・移動支援事業

障害者自立支援法に基づいた外出支援を行い、個別支援型・グ

ループ支援型・移送車両型と個々のニーズに合わせた外出を組

み立てている。

・居宅支援事業

居宅において自立した生活ができるよう、利用者の状況・環境

に応じて生活全般にわたる相談・助言・援助を行っている。

・訪問介護事業

高齢者宅へのヘルパー派遣、入浴・排泄・食事等の介護等の支

援を実施し、日常生活をサポートしている。

(カ) 放課後等デイサービスセンター(アマリリス)

子供一人一人に合わせた支援の提供、さまざまな体験を通じた

余暇サービスの充実に取り組み、一人一人に個別支援計画に基づ

いた支援を行っている。施設では、社会福祉士・介護福祉士・ホ

ームヘルパー等の専門員が子どもたちの支援を行い、また学校と

情報を共有することで支援の統一を図っている。また、関係機関

と連携し将来の自立に向けた適切な療育を行うとともに、就労に

向けゆうゆうの拠点を利用した仕事体験なども実施している。

(キ) 当別町障がい者総合相談支援センター(ナナカマド)

障害者が住みなれた地域で安心して暮らせるよう、障害の種別

や年齢を問わず、支援を必要とされている方のサポートを行って

いる。また、本人だけではなく、家族や関係機関及び地域で支え

る住民からも幅広く相談を受け付け、営業時間外も24時間相談

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を受け付けている。

ウ 質疑概要

Q この当別町の町民は、主にどのようにして生計を立てられてい

るのか。

A 基幹産業は農業、外に出て行かれる方が比較的少なく、町内で

働いている方が多い。逆に、石狩太美駅の方に行くと住宅街が広

がっており、こちらは札幌市などに出ていく人が多くなっている。

Q 幅広く事業展開をされているが、運営に当たっての財源はどの

ようになっているのか。

A 基本的に、運営の財源になっているのは総合支援法に基づく障

害福祉サービス提供による報酬である。

Q 人口規模が大きくない町なので人材の確保やその継続性につい

て、難しいところもあると思うがどのように取り組まれているの

か。

A 良くも悪くも、初めの5年くらいは医療大学の卒業生がほとん

どであり、学生のうちからボランティアとして働いてそのまま社

員として雇用するなど、そのつながりを通じて人材の確保が行え

ていた。また、全員が同じ方向を向いており意思疎通がスムーズ

であったなど、この時期の良さはそのようなところにあった。し

かし、この10年でほぼ毎年事業所が1、2カ所ふえていくなど

事業が展開していくにつれ、それだけでは足りない部分も出てき

ており、4年前あたりから北海道社会福祉協議会が開催している

就職合同説明会に参加し、その後独自の説明会も開催するなどし

て人材の確保に取り組んでいる。現状として、新卒の応募状況も

良好で今年度は3人、また新たに始めた地域包括支援センターに

は経験者を配置したいということから中途採用で3人雇用してい

る。

Q 障害者に対する就労支援について、関連施設以外への就労支援

は行っているのか。

A もともとは、就労移行支援という形で取り組んでいた。やはり

自分たちの中だけで利用者の方々を就労させていくということで

はなく、積極的に外へ仕事に出ていけるように支援しようという

ところから始まっている。しかし、何分この町に就労先がなく、

今でも農家への施設外就労の支援などはしているが、移動手段の

確保や利用者が困ったときに対応できる環境の整備など、1人で

働けるようになるまでまだまだ難しいことが多く、課題の1つと

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して認識している。ただ、平成26年から北海道医療大学内で、

渋谷に本店のあるダブルトールカフェという人気カフェの協力の

もとその運営を担っており、障害者の就労の場となっている。実

際にそこで働いていた障害のある方が、北海道医療大学への就職

やこの近くにある太美温泉の清掃員の就職が決まるなどのさらな

る実績も出てきているところではあるが、そこまで多くの実績を

毎年積み上げられているわけではないというのが現状としてある。

Q 行政とはこれまでどのようなやりとりをされているのか。

A まだボランティアセンターのころから、当別町役場とはだいぶ

つながりがあった。当初は福祉のつながりからではなく、町で行

うイベントなどに学生のボランティアとして参加し、そこでさま

ざまな方々とのつながりを持たせてもらった。実際に、役場で福

祉部長や教育部長であった人に、退職後法人の役員になっていた

だいたり、現役の福祉部長とも10年来の付き合いをさせていた

だいたり、そのような長い付き合いがいろいろとあるので、福祉

や教育分野などで行政とも連携をとりやすくなっている。

また、共生型の事業というのは通常市町村から申請を行う必要

があり、一法人がやりたいからやるということではなく、市町村

から許可をもらい、市町村が申請するという流れとなっている。

ちなみに、最初の共生型事業として申請したのは、共生型地域福

祉ターミナルと共生型地域オープンサロンの2つであった。特に

共生型地域福祉ターミナルの方は、代表の大原が当時、当別町の

地域福祉計画の委員となっており、役場の建物以外に福祉の情報

がしっかり集まるような場所があった方がいいのではないかとい

う構想があった中で、それを当別町としても地域福祉計画の中で

目指していこうということになり、翌年にちょうどこの共生型の

募集があったので手を挙げ、当別町の補助を得てこの共生型事業

をスタートさせたという経緯がある。行政とはさまざまなところ

で連携して取り組みを進めている。

Q 当別エリアにはほかにも放課後等デイサービスを行っていると

ころはあるのか。

A 発達支援センターが昔からあり、そこでも一応放課後等デイサ

ービスを行っている。しかし、小学校3年までの限定で、療育的

なやり方をしているため、あまり放課後等デイサービスとして機

能はしていない。よって、実質我々の1カ所ということになる。

Q 送迎サービスは行っているのか。

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A 送迎サービスもしている。

Q 放課後等デイサービスによっては、利用者が知的障害のある子

供が中心であったり医療的ケアが必要な子供が中心であったりと

いうような特徴がある施設も少しふえてきているように思うが、

そもそもの受け入れ皿が少ないと一緒に受け入れざるを得ないと

思う。そのあたり運営サイドとしてやはり困難な部分もあるのか。

A 正直なところ全くないとは言えない。当別エリアはそうはいか

ないが、江別の放課後等デイサービスについては、もともと平成

27年度まで2カ所で実施をしていた。分けた最初の理由が、高

校生も受け入れていたりすることもあり、高校生と小学生が同じ

スペースで過ごすというのはやはり危険が伴う、また遊びも全く

違うということもあり、そういう年齢層や障害の程度で分けるこ

とでそれぞれの施設としての特徴を出そうしていた。また、最初

の施設を整備した際に、定員がすぐに埋まってしまい、ニーズの

高さを非常に強く感じたということも我々が2カ所整備した理由

であった。しかし、今は施設がふえてきたため待機の方もいない

くなり、施設を1カ所にせざるを得なくなったという背景がある。

当別に関しては、利用者がほぼ発達障害の小学生となっている

ためそこまで問題はないが、今後医療的ケアが必要な方や重度の

知的障害の方が利用された場合に、やはり配慮が必要になってく

るのではないかと思っている。ちなみに、現在は高校生が1人利

用されており、その方については個別的な配慮を行っているが、

土曜のみの利用となっている。

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社会福祉法人ゆうゆう(共生型コミュニティ農園)にて説明聴取

施設外観