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7 はいたっく2013-11 8 はいたっく2013-11 プラットフォーム & ソリューション・ケーススタディ J-オイルミルズは、長い歴史を持つホーネンコーポレーション、 味の素製油、吉原製油が2004年に合併し、誕生した製油メー カーです。「AJINOMOTO さらさら ® キャノーラ油」をはじめとし た家庭用油脂や、レストランなどの厨房を支える業務用油脂を はじめ、加工油脂、油糧、スターチ、健康食品など多岐にわたる 事業を展開しています。 同社は2011年、間近に迫っていたWindows ® XPのサポート 終了を契機に、グループ企業 約1,400ユーザーのクライアント環 境の更改プロジェクトに着手。その検討段階で重要なキーワード として浮上してきたのが「デスクトップ仮想化」だったと、シニア・ エグゼクティブ・マネージャーで情報システム部長の鳴釜 良夫 氏は振り返ります。 「クライアントの更改は4~5年に一度のタイミングでやって きます。言い替えれば、このチャンスを逃すと、仮想化やクラウ ドといった新しいIT環境へのチャレンジはできにくくなる。そこ で、かねてから災害対応やセキュリティ強化、モビリティの高 いデバイス活用につながる施策として注目していたデスクトッ プ仮想化に挑戦してみようと考えました。とはいえ、最初から 全ユーザーにシンクライアントを導 入するのは現 実 的ではあ りません。まずは一定数のユーザー向けに実システムを構築 し、業務や運用面での課題、新たなニーズの吸い上げを行 いながら、本格導入していく流れを作ることにしました」と鳴釜氏は 語ります。 複数ベンダーの提案の中から、同社がSIパートナーに選んだ のは日立でした。 「導入前の検証フェーズで日立さんのシステムを試してみまし たが、レスポンス、操作性、業務アプリケーションの動作、すべて において既存PCと遜色のない性能を示していました。専用のシ ンクライアントやサーバ、VDI ※2 アプリケーション、さらには基盤を 運用する高信頼のデータセンターから保守サービスまで、ワンス トップで提供していただける安心感、これまでの大規模システム の構築実績も大きなポイントとなりました」と、鳴釜氏は選定理由 を語ります。 日立が提案したのは、VDIでは業界標準ともいえるCitrix ® XenDesktop ® とProvisioning Services (PVS)を採用した プロビジョニング方式の仮想PCシステムでした。シンクライアン トには日立の「FLORA Seシリーズ」、サーバには拡張性の高 い統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」と、仮想 化機能Hyper-V ® を適用。同システムでは一つのOSイメージ をv D i s kと呼ばれるファイルに格 納し、ユーザー環 境をマス ター化できるため、ストレージ容量の削減につながります。ユー ザーのデスクトップ環境と実データをすべてサーバ側に集約し た運用管理の一元化により、運用工数とストレージ容量を大幅 に低減しながら、場所を選ばないセキュアなアクセスを実現す ることができます。 「本番導入では、まず万一の災害時に初動対策の指揮をと り、重要な意思決定を行う、当社のBCP対策本部のメンバーを 対象にシンクライアントを配備しました。メンバーとしては、社長を はじめ、部門長、拠点長など、上層部の役職が多いのですが、 いざというとき場所や時間を問わずネットワーク経由で通常業務 を遂行できるかどうかを試すには、最も適切だと判断したからで す」と語るのは、情報システム部 次長の宮前 重幸氏です。 オフィス内でのV D I 活 用は、これまでのP Cとまったく違 和 感のない使い心地とレスポンスのため、「デスクトップが仮想 化されていることに気づかず、“今までと何が変わったの?”と 質問されたほどです」と笑うのは、情報システム部 課長代理 の渡辺 恵一氏です。「さらに出張で地方の支店に行った 際 、そこにあるシンクライアントを借りて自分のデスクトップが 現れた時は、“なるほど、これは便利だ”と感嘆されました」と 渡辺氏は続けます。場所や端末に依存せず、どこからでもセ キュアに自分のデスクトップ環境が利用できること、移動中で もWiMAXやLTE ※3 などを経由して社内環境をフル活用で きることが証明され、「BCPとセキュリティ強化の目的は達成 されました」と鳴釜氏は高く評価します。 「これまで外出先でのPC活用は、特定のアプリケーションや データ閲覧などに制限を設けていました。しかしVDIならデータ そのものが端末側に存在しないため、そのような心配がありませ ん。運用過程では、いくつかトラブルも発生しましたが、日立さん の迅速なサポートのおかげで、現在は高いレベルで安定稼働し ています」と宮前氏は喜びます。 「これからシンクライアントを段階的に増やし、VDIの活用が定 着していくと、しだいにシンクライアントだけでなくタブレットやス マートフォンといったマルチデバイスで使いたいという要求が出 てきます。実際に最近も役員から“タブレットで使いたい”という要 望を受けて対応したばかりです。XenDesktop ® はそういった要 求に柔軟に応えられる特徴を持っていますので、これからは社 員が個人で所有する多様なデバイスでも業務が行える BYOD ※4 にも対応できるよう、さらなる利便性や機動性の向上を 日立さんと一緒に実現していきたいですね」と鳴釜氏は語ります。 「さらにその先には、業務アプリケーションのWeb化とあわせた DaaS ※5 の活用や、本格的なクラウド化もJ -オイルミルズのロードマップ では構想しています。BCPやセキュリティの強化、TCO ※6 の削減と いった経営的観点からのメリットだけでなく、多様な働き方を実現す るワークライフバランスやオフィス改革も追求することで、社員の生産 性や満足度はさらに向上していくでしょう」と鳴釜氏は強調します。 付加価値の高いビジネス環境の構築に向けたJ -オイルミルズ の挑戦を、これからも日立は高信頼なデスクトップ仮想化ソリュー ションによって力強く支援していきます。 デスクトップ仮想化のさまざまな可能性に注目 プロビジョニング方式を採用した仮想PC環境を採用 これまでと違和感のない使い心地と利便性の向上 マルチデバイス活用に向け、さらなる進化を追求 株式会社J-オイルミルズ http://www.j-oil.com/ 将来的な環境変化も見据えた デスクトップ仮想化への挑戦 BCP ※1 強化や運用管理コスト削減などを目的にデスクトップ仮想化への動きが本格化しています。 製油業界の代表的メーカーである株式会社J-オイルミルズ(以下、J-オイルミルズ)は、 グループ企業 約1,400ユーザーのクライアント環境更改にあたり、 日立の「デスクトップ仮想化ソリューション」を導入。 モビリティの向上や将来のクラウド化も見据えた柔軟なIT環境の構築を実現しました。 1 株式会社J-オイルミルズ 情報システム部 課長代理 渡辺 恵一株式会社J-オイルミルズ シニア・エグゼクティブ・ マネージャー 情報システム部長 鳴釜 良夫株式会社J-オイルミルズ 情報システム部 次長 宮前 重幸お問い合わせ先 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/vdi/ HCAセンタ 0120-2580-12  利用時間 9:00~12:00、13:00~17:00(土・日・祝日を除く) 本  店 設  立 資本金 事業内容 東京都中央区明石町8-1 聖路加タワー 2003年4月 100億円(2012年3月31日現在) 株式会社J-オイルミルズ 油脂・油粕・澱粉の製造、加工、販売、各種食品の 製造、加工、販売、食品製造機器の販売など ※1 Business Continuity Plan ※2 Virtual Desktop Infrastructure ※4 Bring your own device:個人保有のデバイスを業務に使用する仕組み ※5 Desktop as a Service  ※6 Total Cost of Ownership ブレードシンフォニ ー J-オイルミルズに導入したシステムの概要 ※3 Long Term Evolution:携帯電話の高速通信規格 センターシステム 仮想PC環境 デスクトップ配信機能 端 末 高速画面転送 マスタ配信 シンクライアント Windows ® PC タブレット/スマートフォン Hyper-V ® BladeSymphony Provisioning Services CPU Hypervisor OS OS OS AP AP AP XenDesktop ® AD認証 (Active Directory ®

将来的な環境変化も見据えた デスクトップ仮想化へ …をvDiskと呼ばれるファイルに格納し、ユーザー環境をマス ター化できるため、ストレージ容量の削減につながります。ユー

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7 はいたっく2013-11 8はいたっく2013-11

プラットフォーム & ソリューション・ケーススタディ

  J-オイルミルズは、長い歴史を持つホーネンコーポレーション、味の素製油、吉原製油が2004年に合併し、誕生した製油メーカーです。「AJINOMOTO さらさら®キャノーラ油」をはじめとした家庭用油脂や、レストランなどの厨房を支える業務用油脂をはじめ、加工油脂、油糧、スターチ、健康食品など多岐にわたる事業を展開しています。 同社は2011年、間近に迫っていたWindows® XPのサポート終了を契機に、グループ企業 約1,400ユーザーのクライアント環境の更改プロジェクトに着手。その検討段階で重要なキーワードとして浮上してきたのが「デスクトップ仮想化」だったと、シニア・エグゼクティブ・マネージャーで情報システム部長の鳴釜 良夫氏は振り返ります。 「クライアントの更改は4~5年に一度のタイミングでやってきます。言い替えれば、このチャンスを逃すと、仮想化やクラウドといった新しいIT環境へのチャレンジはできにくくなる。そこで、かねてから災害対応やセキュリティ強化、モビリティの高いデバイス活用につながる施策として注目していたデスクトップ仮想化に挑戦してみようと考えました。とはいえ、最初から全ユーザーにシンクライアントを導入するのは現実的ではありません。まずは一定数のユーザー向けに実システムを構築し、業務や運用面での課題、新たなニーズの吸い上げを行いながら、本格導入していく流れを作ることにしました」と鳴釜氏は語ります。

 複数ベンダーの提案の中から、同社がSIパートナーに選んだのは日立でした。 「導入前の検証フェーズで日立さんのシステムを試してみましたが、レスポンス、操作性、業務アプリケーションの動作、すべてにおいて既存PCと遜色のない性能を示していました。専用のシンクライアントやサーバ、VDI※2アプリケーション、さらには基盤を運用する高信頼のデータセンターから保守サービスまで、ワンストップで提供していただける安心感、これまでの大規模システムの構築実績も大きなポイントとなりました」と、鳴釜氏は選定理由を語ります。 日立が提案したのは、VDIでは業界標準ともいえるCitrix® XenDesktop®とProvisioning Services(PVS)を採用したプロビジョニング方式の仮想PCシステムでした。シンクライアントには日立の「FLORA Seシリーズ」、サーバには拡張性の高い統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」と、仮想化機能Hyper-V®を適用。同システムでは一つのOSイメージをvDiskと呼ばれるファイルに格納し、ユーザー環境をマスター化できるため、ストレージ容量の削減につながります。ユーザーのデスクトップ環境と実データをすべてサーバ側に集約した運用管理の一元化により、運用工数とストレージ容量を大幅に低減しながら、場所を選ばないセキュアなアクセスを実現することができます。

 「本番導入では、まず万一の災害時に初動対策の指揮をとり、重要な意思決定を行う、当社のBCP対策本部のメンバーを対象にシンクライアントを配備しました。メンバーとしては、社長をはじめ、部門長、拠点長など、上層部の役職が多いのですが、いざというとき場所や時間を問わずネットワーク経由で通常業務を遂行できるかどうかを試すには、最も適切だと判断したからです」と語るのは、情報システム部 次長の宮前 重幸氏です。 オフィス内でのVDI活用は、これまでのPCとまったく違和感のない使い心地とレスポンスのため、「デスクトップが仮想化されていることに気づかず、“今までと何が変わったの?”と質問されたほどです」と笑うのは、情報システム部 課長代理の渡辺 恵一氏です。「さらに出張で地方の支店に行った際、そこにあるシンクライアントを借りて自分のデスクトップが現れた時は、“なるほど、これは便利だ”と感嘆されました」と渡辺氏は続けます。場所や端末に依存せず、どこからでもセキュアに自分のデスクトップ環境が利用できること、移動中でもWiMAXやLTE※3などを経由して社内環境をフル活用できることが証明され、「BCPとセキュリティ強化の目的は達成されました」と鳴釜氏は高く評価します。 「これまで外出先でのPC活用は、特定のアプリケーションやデータ閲覧などに制限を設けていました。しかしVDIならデータそのものが端末側に存在しないため、そのような心配がありません。運用過程では、いくつかトラブルも発生しましたが、日立さん

の迅速なサポートのおかげで、現在は高いレベルで安定稼働しています」と宮前氏は喜びます。

 「これからシンクライアントを段階的に増やし、VDIの活用が定着していくと、しだいにシンクライアントだけでなくタブレットやスマートフォンといったマルチデバイスで使いたいという要求が出てきます。実際に最近も役員から“タブレットで使いたい”という要望を受けて対応したばかりです。XenDesktop®はそういった要求に柔軟に応えられる特徴を持っていますので、これからは社員が個人で所有する多様なデバイスでも業務が行えるBYOD※4にも対応できるよう、さらなる利便性や機動性の向上を日立さんと一緒に実現していきたいですね」と鳴釜氏は語ります。 「さらにその先には、業務アプリケーションのWeb化とあわせたDaaS※5の活用や、本格的なクラウド化もJ-オイルミルズのロードマップでは構想しています。BCPやセキュリティの強化、TCO※6の削減といった経営的観点からのメリットだけでなく、多様な働き方を実現するワークライフバランスやオフィス改革も追求することで、社員の生産性や満足度はさらに向上していくでしょう」と鳴釜氏は強調します。 付加価値の高いビジネス環境の構築に向けたJ-オイルミルズの挑戦を、これからも日立は高信頼なデスクトップ仮想化ソリューションによって力強く支援していきます。

デスクトップ仮想化のさまざまな可能性に注目 プロビジョニング方式を採用した仮想PC環境を採用

これまでと違和感のない使い心地と利便性の向上

マルチデバイス活用に向け、さらなる進化を追求

株式会社J-オイルミルズ▶http://www.j-oil.com/

将来的な環境変化も見据えたデスクトップ仮想化への挑戦

BCP※1強化や運用管理コスト削減などを目的にデスクトップ仮想化への動きが本格化しています。製油業界の代表的メーカーである株式会社J-オイルミルズ(以下、J-オイルミルズ)は、グループ企業 約1,400ユーザーのクライアント環境更改にあたり、日立の「デスクトップ仮想化ソリューション」を導入。モビリティの向上や将来のクラウド化も見据えた柔軟なIT環境の構築を実現しました。

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株式会社J-オイルミルズ 情報システム部 課長代理渡辺 恵一氏

株式会社J-オイルミルズ シニア・エグゼクティブ・マネージャー 情報システム部長鳴釜 良夫氏

株式会社J-オイルミルズ 情報システム部 次長宮前 重幸氏

お問い合わせ先

■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/vdi/

HCAセンタ   0120-2580-12 利用時間 9:00~12:00、13:00~17:00(土・日・祝日を除く)

本  店設  立資 本 金事業内容

東京都中央区明石町8-1 聖路加タワー2003年4月100億円(2012年3月31日現在)

株式会社J-オイルミルズ

油脂・油粕・澱粉の製造、加工、販売、各種食品の製造、加工、販売、食品製造機器の販売など

※1 Business Continuity Plan

※2 Virtual Desktop Infrastructure

※4 Bring your own device:個人保有のデバイスを業務に使用する仕組み※5 Desktop as a Service ※6 Total Cost of Ownership

ブレードシンフォニー

J-オイルミルズに導入したシステムの概要

※3 Long Term Evolution:携帯電話の高速通信規格

センターシステム仮想PC環境

デスクトップ配信機能

端 末

高速画面転送 マスタ配信

シンクライアント

Windows® PC

タブレット/スマートフォン

Hyper-V®

BladeSymphony

ProvisioningServices

CPUHypervisor

OS OS OSAP AP AP

XenDesktop®

AD認証(Active Directory®)