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瀬戸焼振興ビジョン ~陶都瀬戸の産地力向上に向けて~ <改定版> 平成29年3月

瀬戸焼振興ビジョン - Seto1 Ⅰ はじめに 1 瀬戸焼振興ビジョン改定の目的 本市では、やきものの歴史・文化をはじめとした地域資源の再評価を行い、これらを有効に活

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瀬戸焼振興ビジョン

~陶都瀬戸の産地力向上に向けて~

<改定版>

平成29年3月

瀬 戸 市

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目次

Ⅰ はじめに

1 瀬戸焼振興ビジョン改定の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

2 改定計画の位置付け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

3 計画期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

Ⅱ 陶磁器関連産業の概要

1 瀬戸市の陶磁器関連産業の成り立ちと特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

2 瀬戸市の陶磁器関連産業等の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

3 全国の陶磁器市場の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

Ⅲ 「ビジョン策定時の現状と問題点」に対して実施した事業の実績と課題・・・・・25

Ⅳ 瀬戸焼振興ビジョンの目標と基本方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30

Ⅴ 基本方針及び重点戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

Ⅵ 推進体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

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Ⅰ はじめに

1 瀬戸焼振興ビジョン改定の目的

本市では、やきものの歴史・文化をはじめとした地域資源の再評価を行い、これらを有効に活

用して他地域との差別化を図るとともに、強みを生かすことによって地域産業を活性化すること

を目的として、平成24年3月に瀬戸市地場産業振興ビジョンを策定し、テーブルウェア及びノ

ベルティを中心に振興施策を実施してきた。

本年度、計画期間の中間年にあたる5ヶ年目を迎え、社会・経済情勢や消費動向、ビジネス環

境などの変化に伴い、陶磁器関連事業者が抱える新たな課題も顕在化していると想定されるとと

もに、ビジョンに基づき推進してきた各種振興施策について、目標を達成するため進捗状況や成

果等を把握することが必要な時期を迎えている。

また、平成28年度には、上位計画である「第6次瀬戸市総合計画」や、陶磁器関連産業の振

興施策と連携が必要となる「せとまちブランディング戦略」や「瀬戸市歴史文化基本構想」が策

定された。

こうした状況を踏まえ、各種計画との整合を図るとともに、計画期間の後半における振興施策

の再構築や目標達成状況を測る評価指標の設定などを行い、陶都瀬戸の産地力向上を目標とした

振興政策を産地一体となって計画的かつ総合的に推進することを目的として、ビジョンの改定を

行う。

なお、今回の改定では、計画の対象を地域団体商標「瀬戸焼」の商品群であるテーブルウェア

及びノベルティと明確にし、計画名を瀬戸焼振興ビジョンと変更して策定する。

2 改定計画の位置付け

平成29年度(2017年度)からスタートする第6次瀬戸市総合計画(平成29~38年度)では、市民が

共有する10年先のビジョンとして「住みたいまち 誇れるまち 新しいせと」を将来像とし、そ

の実現のため「活力ある地域経済と豊かな暮らしを実感できるまち」を都市像の1つとして掲げて

いる。瀬戸焼の振興に関する取組みは、都市像を達成するための政策を構成する施策に幅広く位

置づけられていることから、改定計画は瀬戸市総合計画や関連する各種計画との整合性を持った

ものとする。

3 計画期間

ビジョンの計画期間は、平成24年度(2012年度)から平成33年度(2021年度)までの10ヶ年である。

改定計画では、平成29年度(2017年度)から平成33年度(2021年度)までの5ヶ年を計画期間とする。

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Ⅱ 陶磁器関連産業の概要

1 瀬戸市の陶磁器関連産業の成り立ちと特徴

(1)良質な陶土・多種多様な製品

瀬戸市の陶磁器関連産業の歴史は平安時代にまでさかのぼる。10世紀の後半に「やきもの」の

生産を開始したのが始まりである。日本六古窯の一つとして千年余の歴史を刻んでいる。特に12

世紀後半から15世紀後半頃には「古瀬戸」と呼ばれる中世唯一の国産施釉陶器が生産された。

瀬戸市が古くからやきもののまちとして栄え、発展した背景には、1,000万年前に形成されたと

みられる良質の陶土に恵まれたことが大きく関わっている。

また、江戸時代後期に磁器の開発に成功したことにより、国内有数の陶磁器産地として君臨し、

その後、器を中心としたやきものづくりで培われた造形、焼成等のノウハウを生かして、ノベル

ティ(陶磁器製の人形・置物や装飾品など)を始めとする海外向け製品に加え、碍子が い し

・ファイン

セラミックスに代表される工業製品など、新たなニーズに対応しつつ、あらゆる製品を供給して

きた。

瀬戸市の窯業・土石関連製品群

(2)分業化による高い技術の蓄積

良質で豊富な陶土が市内で採取されることを強みの一つとしている瀬戸市の陶磁器関連産業は、

粘土や釉薬などの原料から生産道具の製造に至るまで、ほぼ全てをメイドイン瀬戸で賄える全国

的にもまれな産地を形成している。

特に、やきもの分野においては、日用の食器から美術品、工芸品に至るまでの幅広い製品群を

生産しており、分業化された様々な業務領域の大小事業者が混在している。精度の高い専門技術

を分担する分業化が進む一方、赤津焼や瀬戸染付焼といった伝統的工芸品の指定を受けたものも

ある。

また、ファインセラミックス分野は、原材料確保や消費地近接性など立地を問わない業種であ

るにもかかわらず、本市には国内有数の集積が見られる。昭和50年代後半の新素材ブームにおい

て、それまでのやきものの技術を活用してファインセラミックス分野に進出した事業所が多く、

特に愛知県内に高い集積を誇る自動車産業や電子情報産業と深い関わりをもっている。

陶磁器関連製品群

和食器

洋食器

ノベルティ(人形・置物・装飾品等)

電磁器(碍子等)

建材品(タイル・舗装用ブロック等)

ファインセラミックス理化学用磁器

(るつぼ、乳鉢等)その他(神仏具、花器等)

原材料(粘土・珪砂・釉薬等)

セメント 耐火物(煉瓦等) 研削砥石原材料

(粘土・珪砂・釉薬等)セメント 耐火物(煉瓦等) 研削砥石

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工程別に見た瀬戸市の陶磁器関連産業の業種類型

製造 流通

窯屋 産地問屋

消費地問屋

小売店

ギャラリー

原材料等の供給

製土業

釉薬製造業

顔料製造業

転写銅版業

窯業用薬品製造業

製造用道具の供給

製型業

窯業製造設備機械業

用具製造業

匣鉢製造業

デザイン・意匠の供給

原型師

デザイナー

包装資材の供給

製函業

外注・下請

素地製造業(ろくろ、鋳込等)

絵付業

加工完成業(絵付・焼付)

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2 瀬戸市の陶磁器関連産業等の概要

(1)産業構造

①窯業・土石製品製造業の動向

工業統計調査によると、窯業・土石製品製造業の事業所数・従業者数は昭和53年以降減少を

続けており、平成20年(2008年)には事業所数で4割以下、従業者数で3割以下にまで落ち込ん

でいる。一方、製造品出荷額等は、平成5年(1993年)をピークに、平成15年(2003年)には5割程

度にまで落ち込み、回復していない。

単位あたりの製造品出荷額等を見ると、事業所ベースでは平成20年(2008年)が平成5年(1993

年)のピーク時を上回り、また、従業者数ベースでは概ね増加している。事業所が淘汰される中、

大きな成長を遂げた事業所が存在していることがうかがえる。

平成25年(2013年)から工業統計調査の対象が従業者4人以上事業所のみとなり経年分析はで

きないものの、事業所数・従業者数・製造品出荷額等はいずれも減少傾向に歯止めがかかって

いない。また、単位あたりの製造品出荷額等については、従業者ベースでは横ばいとなってい

る一方、事業所数ベースでは大きく増加しており、事業所が淘汰される中で、競争力のある事

業所が生き残ったと予想される。

事業所数及び従業者数

製造品出荷額等

資料:工業統計調査(全事業所対象年次)(数値は窯業・土石製品製造業+がん具製造業)

*従業者4人以上データは陶磁器製がん具を含まない。(陶磁器製がん具:2事業所以下で秘匿対象と

なるため除外)

*当初計画では平成20年までのデータを掲載、改定計画では、それ以降のデータを色を変えて追記

1,666 1,6421,511

1,308

1,099

861

649

273 189

14,69313,674

11,427

9,351

7,028

5,2203,981

3,2452,654

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

S53 S58 S63 H5 H10 H15 H20 H25

(人)(か所)

事業所数 事業所数(従業員4人以上) 従業者数 従業者数(従業員4人以上)

85,989

111,544

110,150

111,817

84,888

57,92755,530

52,999

41,499

5,1616,793 7,290

8,549 7,7246,728

8,556

585 816 964 1,196 1,208 1,110 1,395

19,413

21,957

1,633 1,564

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

S53 S58 S63 H5 H10 H15 H20 H25

(百万円) (万円)

製造品出荷額等 製造品出荷額等(従業員4人以上)

出荷額/事業所数 出荷額/従業者数

出荷額/事業所数(従業員4人以上) 出荷額/従業者数(従業員4人以上)

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5

②業種別動向

業種別の製造品出荷額等の動向を見ると、昭和58年(1983年)から昭和63年(1988年)にかけて

陶磁器製置物と陶磁器絵付が大きく落ち込んでいる。これは、昭和60年(1985年)のプラザ合意

により輸出主体であった分野において価格優位性が失われたものと思われる。さらに、陶磁器

製置物はその後も減少を続けている。

また、平成5年(1993年)から平成15(2003)年までの動きを見ると、電気用陶磁器、食卓用・ち

ゅう房用陶磁器、陶磁器製タイル、陶磁器用はい土、娯楽用具・がん具が大きく低下しており、

バブル崩壊に伴う家庭消費や建築需要の低迷が影響したものと推測される。

一方、平成15年(2003年)~平成20年(2008年)を見ると、電気用陶磁器、陶磁器製タイル、陶

磁器用はい土はほぼ横ばいで推移している。これらはファインセラミックスを含む工業用需要

に対応できた分野である。

工業統計調査の調査対象が異なるものの、この傾向は平成25年(2013年)も概ね変わらない。

ただし、陶磁器製タイルについては製造品出荷額等が大きく低下する傾向が見られる。

製造品出荷額等(産業中分類の主要分野)

資料:工業統計調査

*右図従業者4人以上データ

*当初計画では平成20年までのデータを掲載、改定計画では、それ以降のデータを追記

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

S53 S58 S63 H5 H10 H15 H20

(百万円)

食卓用・ちゅう房用陶磁器 陶磁器製置物

電気用陶磁器 陶磁器製タイル

陶磁器絵付 陶磁器用はい土

その他の耐火物(人造耐火材等) 娯楽用具・がん具

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

H20 H25

(百万円)

食卓用・ちゅう房用陶

磁器

陶磁器製置物

電気用陶磁器

陶磁器製タイル

陶磁器絵付

陶磁器用はい土

その他の耐火物(人造

耐火材等)

娯楽用具・がん具

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事業所数(産業中分類の主要分野)

従業者数(産業中分類の主要分野)

資料:工業統計調査

*右図従業者4人以上データ

*当初計画では平成20年までのデータを掲載、改定計画では、それ以降のデータを追記

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

S53 S58 S63 H5 H10 H15 H20

(か所)

食卓用・ちゅう房用陶磁器 陶磁器製置物

電気用陶磁器 陶磁器製タイル

陶磁器絵付 陶磁器用はい土

その他の耐火物(人造耐火材等) 娯楽用具・がん具

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

H20 H25

(か所)

食卓用・ちゅう房用陶

磁器

陶磁器製置物

電気用陶磁器

陶磁器製タイル

陶磁器絵付

陶磁器用はい土

その他の耐火物(人

造耐火材等)

娯楽用具・がん具

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

S53 S58 S63 H5 H10 H15 H20

(人)

食卓用・ちゅう房用陶磁器 陶磁器製置物

電気用陶磁器 陶磁器製タイル

陶磁器絵付 陶磁器用はい土

その他の耐火物(人造耐火材等) 娯楽用具・がん具

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

H20 H25

(人)

食卓用・ちゅう房用陶

磁器

陶磁器製置物

電気用陶磁器

陶磁器製タイル

陶磁器絵付

陶磁器用はい土

その他の耐火物(人

造耐火材等)

娯楽用具・がん具

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7

③業種別構成比の比較

これを構成比で見ると、製造品出荷額等では、食卓用・ちゅう房用陶磁器や陶磁器製置物の

合計は昭和53年(1978年)の36.5%から平成20年(2008年)では8.6%へと大幅に縮小しているが、

一方で電気用陶磁器やその他の耐火物が拡大し、陶磁器関連産業をけん引する事業分野が大き

く変化している。

事業所数では、食卓用・ちゅう房用陶磁器や陶磁器製置物の割合は昭和53年(1978年)の36.5%

から平成20年(2008年)の40.7%へと大きな変化はない。事業所数の構成比がほぼ同じであるに

もかかわらず製造品出荷額等の構成比が大きく減少しているが、この状況は②業種別動向で見

たように、この分野の製造品出荷額等の減少が事業所数の減少に比べ、他の分野と比較しても

大きいことを示している。

平成25年(2013年)において、製造品出荷額等では、食卓用・ちゅう房用陶磁器や陶磁器製置

物が縮小、電気用陶磁器が拡大する傾向に変化はない。一方、その他の耐火物が大幅に小さく

なっており、また、事業所数では、構成比の変化は概ね従来と同様な傾向が見られるが、工業

統計調査の調査対象変更の影響も大きく出ていると予想される。

製造品出荷額等の構成比

事業所数の構成比

資料:工業統計調査

*平成 25年は従業者4人以上データ

*当初計画では平成20年までのデータを掲載、改定計画では、それ以降のデータを追記

16.3

6.2

4.1

20.2

2.4

1.8

12.2

19.1

24.4

5.4

9.1

6.5

2.8

0.4

0.1

3.9

3.5

4.2

5.0

14.5

0.9

7.7

0.1

26.6

44.8

58.0

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

S53

H20

H25

食卓用・ちゅう房用陶磁器 陶磁器製置物 電気用陶磁器

陶磁器製タイル 陶磁器絵付 陶磁器用はい土

その他の耐火物 娯楽用具・がん具 その他

23.2

29.9

25.4

13.3

10.8

5.8

8.2

8.2

19.6

1.7

1.8

2.1

8.9

5.1

1.6

2.9

3.5

7.4

1.4

1.5

4.8

7.0

1.1

0.5

33.4

38.1

32.8

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

S53

H20

H25

食卓用・ちゅう房用陶磁器 陶磁器製置物 電気用陶磁器

陶磁器製タイル 陶磁器絵付 陶磁器用はい土

その他の耐火物 娯楽用具・がん具 その他

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④陶磁器・ガラス器の卸売業・小売業の動向

商業統計調査によると、陶磁器・ガラス器卸売業の事業所数、従業者数は昭和57年(1982年)

をピークに5割近くまで減少し、年間販売額は平成3年(1991年)をピークに減少している。特に、

平成19年(2007年)の販売額はピークの4割以下にまで落ち込み、食卓用・ちゅう房用陶磁器製

造業の製造品出荷額等とほぼ同じ動きになっている。

陶磁器・ガラス器卸売業の事業者数及び従業者数 陶磁器・ガラス器卸売業の年間販売額

資料:商業統計調査 資料:商業統計調査

*当初計画以降のデータは公表されていないため、改定計画ではデータを追記していない

小売業の事業所数、従業者数は平成 6年(1994年)から増加傾向で、年間販売額は平成 6年(1994

年)以降増減を繰り返している。規模に相違はあるが、従業者数、年間販売額ともに卸売業とは異

なる動きを見せている。

陶磁器・ガラス器小売業の事業者数及び従業者数 陶磁器・ガラス器小売業の年間販売額

資料:商業統計調査 資料:商業統計調査

*当初計画以降のデータは公表されていないため、改定計画ではデータを追記していない

189

237

211 202 201 200181

156

1321,133

1,3541,263 1,273 1,306

1,227

1,010

831

682

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

0

50

100

150

200

250

S54 S57 S60 S63 H3 H6 H9 H14 H19

(人)(か所) 事業所数 従業者数

20,685

30,86230,713

31,48233,793

32,323

25,91017,192

12,602

10,944

13,02214,556

15,58516,812

16,16114,315

11,0219,547

1,826 2,279 2,432 2,473 2,588 2,634 2,565 2,0691,848

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

S54 S57 S60 S63 H3 H6 H9 H14 H19

(百万円) (万円)

年間販売額 販売額/事業所数 販売額/従業者数

23

42

3438

35

27

3533

40

46

100 96 98 96

68

83

99

115

0

20

40

60

80

100

120

140

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

S54 S57 S60 S63 H3 H6 H9 H14 H19

(人)(か所) 事業所数 従業者数

365

744

826923

1,111

719

899

544 718

1,588 1,770

2,428 2,428

3,174

2,663 2,568

1,6471,796

794 744 860 9411,157 1,057 1,083

549 6250

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

S54 S57 S60 S63 H3 H6 H9 H14 H19

(百万円) (万円)

年間販売額 販売額/事業所数 販売額/従業者数

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9

⑤食卓用・ちゅう房用陶磁器及び陶磁器置物の付加価値額の推移

中小企業などでは、経営体質の改善が求められているが、それには付加価値額の向上が重要

とされている。

工業統計調査における食卓用・ちゅう房用陶磁器及び陶磁器置物の製造品出荷額等と付加価

値額の推移を見ると、昭和58年(1983年)から昭和63年(1988年)と、平成10年(1998年)から平成

15年(2003年)にともに大きくに低下しており、昭和60年(1985年)のプラザ合意により輸出主体

であった分野において価格優位性が失われたことと、バブル崩壊による景気後退期が影響した

ものと思われる。さらに、その後も減少を続け、平成26年度と昭和58年度を比較すると、製造

品出荷額等、付加価値額ともに約7%にまで落ち込んでいる。

食卓用・ちゅう房用陶磁器及び陶磁器置物の製造品出荷額等と付加価値額

資料:工業統計調査

*従業者4人以上データ

35,129

27,000

23,855

16,788

7,426

3,765 2,589

2,439 2,458

19,339

16,057

13,672

9,908

4,668 2,120 1,588 1,385 1,367 0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

S58 S63 H5 H10 H15 H20 H22 H25H26

製造品出荷額等 付加価値額 (百万円)

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(2)人材育成

①人材育成機関

市内及び周辺地域には、陶磁器関連産業の担い手を育成する5つの機関が設置されている。

これらは陶磁器に関わる基礎的な教育から、一定の知識・技能を有した人材を対象とした専門

性・技術性の高い履修プログラムまで、内容や設置目的などにおいてそれぞれに特徴を持ち、

幅広い人材育成が行われている。

現在の学生・研修生の中には、社会人経験者や他の研修機関の修了者なども多く、また、女

性の割合が非常に高い。

愛知県立瀬戸窯業高等学校では、平成29(2017)年度から学科改変を行い、デザイン科・セラ

ミック科から工芸デザイン科に名称変更もなされる予定である。

人材育成機関の概要(平成29年3月現在)

名称 愛知県立

瀬戸窯業高等学校 愛知県立

芸術大学 愛知県立

窯業高等技術専門校 新世紀工芸館 瀬戸染付工芸館

所在地 東権現町 長久手市 南山口町 南仲之切町 西郷町

設置者 愛知県 愛知県 愛知県 瀬戸市 瀬戸市

関連す

る課程

【全日制】

セラミック科

デザイン科

【専攻科】

【美術学部】

デザイン・工芸科

陶磁専攻

【陶磁器科】

製造コース

デザインコース

陶芸コース

ガラス工芸コース ―

対象 全日制は中学卒業

専攻科は高校卒業 高校卒業 中学卒業

専門的知識・

技能・経験

専門的知識・

技能・経験

35歳以下

定員

【全日制】

デザイン科

40名

【専攻科】

セラミック陶芸科

20名

10名 製造コース30名

デザインコース20名 若干名 若干名

履修・

研修

期間

【専攻科】2年 学部4年

修士課程2年 1年 2年 2年(最長4年)

窯業分

野への

進路

【全日制】

技能工

【専攻科】

技能工・作家

作家

デザイナー 技能工・作家 作家 作家

研修生

の特徴

専攻科は高校生

や若い年齢から

の進学者が非常

に少ない。仕事

を退職した高齢

者が多い。

県内出身者が半

数近くを占め

る。

約半数が大学院

進学。

例年、約半数が

県外からの入校

者で、卒業生の

約半数が県内に

就職。

窯業高校専攻科

修了生など、制

作の継続希望者

造形、絵付、焼

成などすべての

工程を1人で行

類似

施設の

状況

専攻科は岐阜県

立多治見工業高

等学校

東京藝術大学

金沢美術工芸大学

京都市立芸術大学

沖縄県立芸術大学

京都府立陶工高

等技術専門校

金沢卯辰山工芸

工房、富山市立

富山ガラス造形

研究所、とこな

め陶の森陶芸研

究所

染付専門の研修

機関は他にない

備考

平成29年度の学

科改変後の定員

― ― 自己課題を設定

し制作活動する

来館者への実演

や説明などの対

応も担う

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②学生・研修生の就職環

市内及び周辺地域の人材育成機関へのヒアリングによる就職環境の現状は以下のとおりであ

った。

■学生・研修生の意向

瀬戸窯業高校の専攻科、愛知県立芸術大学、窯業高等技術専門校には、作家志望者が多い。

当初から創作活動で生計を立てることは難しいが、産地問屋(卸売業)と契約して作品を販売

している人もいる。また、生計のために他の仕事をしながら、好きな陶芸に携わることができ

ればよいと考える人も少なくない。

瀬戸市では原料から道具、窯まで陶芸に関わるあらゆるものが揃うため、使用料の安価な工

房が確保できれば研修修了後も瀬戸市で創作活動を継続したいと考える学生・研修生は多い。

一方、創作発表の場の不足や住宅賃料の高さ、自立支援の仕組みが不十分なこと等を背景とし

て、近年は瀬戸市で作家活動をすることが難しいと判断する傾向が強くなってきている。その

結果、瀬戸窯業高校では卒業後に専攻科への進学を勧めにくいという状況も生じている。

■陶磁器関連産業との関わりと就職状況

瀬戸窯業高校の全日制は、技能工を養成する機関としての役割を担ってきた。窯元やセラミ

ックス関連企業から講師を招聘したり、インターンシップによる学生の受入を依頼するなど地

元産業界との関わりは深いが、陶磁器関連産業への就職を希望する学生は減少している。

また、瀬戸窯業高校専攻科の専攻学生は、電磁器、タイルなど市内の中小企業に技能工とし

て就職することが多かったが、景気悪化に伴いコンスタントな採用が減っている。

窯業高等技術専門校の製造コースは、ハンドメイド量産品の生産現場で活躍できる人材を育

成しているが、在籍中の陶磁器関連事業者との接点は少ない。財政的な事情により企業からの

講師の招聘が継続できなくなった。在学資格の関係から就職活動が9月以降に限られ大企業へ

の就職は難しい。また、デザインコースは絵付、商品企画等の就職希望者が多い。近年、求人

は増えているものの、東濃などの県外が多く瀬戸市は少ない。

■雇用の状況

愛知県立芸術大学では、学生が希望する企画開発やデザイン関係の職種について大企業から

の求人が減少しており、企業に就職することなく卒業後直ちに作家として活動しようと考える

学生が増えている。こうした状況から、大企業からの求人であっても職種が異なると希望者が

ないこともある一方、中小企業の場合には、給与や福利厚生で大企業と同等の待遇にならない

ことから、特に近年、労働力の不足傾向が強くなっているものの、就職希望者がないなど雇用

のミスマッチが生じやすい。また、実践教育の一環として市内事業者を講師とする研修やイン

ターンシップ事業などにも取り組んでいるが、学生が就職を希望する窯元がその受入先となる

ことは少ない。

■作家を志す学生・研修生の要望

瀬戸市で創作活動を行うために学生・研修生が期待することとして、以下の事項が挙げられた。

・地元での若手作家の発表の場や機会の増加(バイヤーによる評価・買付も期待)

・研修修了後に創作活動を続けていくための情報提供

・優れたデザインを地元で商品化する仕組み(代価よりも評価を重視)

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(3)観光事業との連携

①市内の主なやきもの関連イベント

瀬戸市の観光は、せともの祭をはじめとして、やきものに関連したイベントが中心になって

おり、販売、体験、展示会など、催事内容が多岐にわたるイベントが多い。催事内容が多岐に

渡ることで集客力は向上するが、一方でターゲットや目的を明確にしなければ、個々の催事の

魅力は低減してしまう。

市内の主なやきもの関連イベント

名称

(開催時期)

集客規模

(28年度)

廉売市・即売

体験

作品展・展示会

コンクール

窯元開放

備考

せと陶祖まつり

(4月第3日曜とそ

の前日)

約4.4万人

○ ○ ○

陶祖加藤四郎左衛門景正をしの

ぶ祭。廉売市。若手作家・ツクリ

テによる陶芸・ガラス作品の展示

販売会。

せとなつ

(7月中旬

~8月末)

約12万人

岩屋堂公園、中心市街地等で行う

瀬戸の夏を楽しむイベントの集

合体。新世紀工芸館及び瀬戸染付

研修所の研修生や修了生による

作品展。

せともの祭

(9月第2土曜とそ

の翌日)

約37万人

○ ○ ○

磁祖加藤民吉の遺徳をたたえる

産業祭。廉売市。瀬戸染付をテー

マに展示・販売・ワークショップ

実施。新世紀工芸館及び瀬戸染付

研修所の研修生や修了生による

作品展。窯業高校出展。

来る福招き猫まつり

in瀬戸

(9月下旬土日)

約7.5万人

○ ○ ○ ○

創作招き猫の公募展をはじめ、招

き猫をテーマとしたイベントを

中心市街地一帯で展開。

ゆるり秋の窯めぐり

(11月第2土日)

約7千人

○ ○ ○ ○

赤津、水野、品野地区の窯元が工

房・ギャラリーを開放し、それぞ

れの地区においておもてなしイ

ベントを実施。

陶のまち瀬戸のお雛

めぐり

(2月上旬

~3月上旬)

約8.2万人

○ ○

瀬戸蔵をはじめ、市内各ギャラリ

ーにて創作雛を展示・販売、市内

飲食店にてお雛ランチ、お雛スイ

ーツを提供。

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②やきもの関連イベントのポジションマップ

市内で開催されるやきもの関連イベントを、本格的やきものファン向け、一般観光客向けと

いう視点から分類すると、窯元と交流できる場として高く支持されている秋の「ゆるり秋の窯

めぐり」がファン向けの代表格といえるが、全般的には一般観光客向けのイベントが依然とし

て多く、販売促進、展示鑑賞という視点と合わせて評価すると、本格的なやきものファンを対

象とした買い物も可能な展示鑑賞イベントが少ない傾向にある。

やきもの関連イベントのポジションマップ

来る福招き猫

まつり in 瀬戸

せと陶祖まつり

せともの祭

ゆるり秋の窯めぐり

せとなつ

陶のまち瀬戸のお雛めぐり

販売促進

展示鑑賞

一般観光客向け

本格的やきものファン向け

やきものファンに対する

買い物も可能な

展示鑑賞イベントが少ない

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③主要観光施設とやきものとの結びつき

瀬戸市で集客力が大きい観光施設は、岩屋堂鳥原渓谷と定光寺公園であるが、いずれも中心

部や産地と離れており、やきものとの結びつきは弱い。また、平成23年(2011年)3月にオープ

ンした道の駅「瀬戸しなの」は、瀬戸市への大きな誘客を実現しており、新たな顧客獲得の機

会が生まれ、隣接する品野陶磁器センターでは、、コーディネーターのアドバイスを得て陳列や

ラッピングの技術向上を図ることで、新たなリピーターの増加を目指し、センターの認知度向

上と瀬戸焼のPRを行っている。

市内の主な観光施設

※平成 28年度集客数

名称 集客規模

(平成28年) やきものとの関わり

岩屋堂鳥原渓谷 約15.3万人

多くの来場者があるが、市内中心部や窯元へ周遊するに至

っていない。道の駅「瀬戸しなの」が中継拠点となり回遊

が促進されることが期待される。 定光寺公園 約6万人

瀬戸蔵セラミックプラザ 約2.2万人 瀬戸蔵は、やきもの関連イベントの拠点になっており、セ

ラミックプラザは市内のやきものの展示・購入の代表的な

施設としての役割を担っている。従来の展示販売に加え

て、作り手と使い手を融合できるような展示やイベントを

開催し、瀬戸焼のブランド化に努めている。

道の駅「瀬戸しなの」

品野陶磁器センター

約56万人※

これまで瀬戸市を訪れる機会のなかった新たな観光客を

掘り起こす役割が期待される。せとめし食堂では地元のや

きものを食器に使用、市内の主なイベント時には関連イベ

ントを開催している。また、隣接する品野陶磁器センター

では、コーディネーターのアドバイスを得ながら陳列やラ

ッピングの技術向上を図ることで、新たなリピーターの増

加を目指し、センターの認知度向上と瀬戸焼のPRを行っ

た。

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3 全国の陶磁器市場の動向

(1)陶磁器製品の需要

①国内の窯業・土石製品製造業の動向

平成20年(2008年)における全国の窯業・土石製品製造業の製造品出荷額等は約8.2兆円で、ピ

ークである平成5年(1993年)よりも約2割少ないものの、瀬戸市の半減に比べると、落ち込みは

小さい。

平成25年(2013年)は平成20年(2008年)に比べて1兆円以上低下している。これは平成21年

(2009年)のトヨタショックや平成23年(2011年)の東日本大震災に伴う消費の落ち込みが影響し

ていると考えられる。

窯業・土石製品製造業の製造品出荷額等

資料:工業統計調査

*従業員4人以上データ

*当初計画では平成 20年までのデータを掲載、改定計画では、それ以降のデータ

を色を変えて追記

8.69.6

10.39.4

7.48.2

7.1

0

2

4

6

8

10

12

S58 S63 H5 H10 H15 H20 H25

(兆円)

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②国内の陶磁器・ガラス小売業の動向

商業統計調査によると、陶磁器・ガラス器小売業の年間販売額は、平成3年(1991年)をピーク

として、平成19年(2007年)は約4割にまで減少している。また、家計調査による世帯あたり食

器(茶わん・皿・鉢)支出金額は、平成22年(2010年)が年間約1,200円であり、平成17年(2005

年)年からの5年間で2割以上減少している。

年間販売額が大幅に減少した理由としては、安価な輸入陶磁器の増加による商品販売価格の

下落、核家族化や婚礼スタイルの変化などによるまとめ買いや贈答向け需要の低下などが考え

られる。

その一方で、女性を中心に自分のための消費や商品購入などプチ贅沢意欲が高まりを見せて

おり、高級商品を購入する人も増えている。

その後、陶磁器・ガラス器小売業の年間販売額は、大幅に下落し、平成19年(2007年)年から

平成25年(2013年)は更に半減している。一方、家計調査による世帯あたり食器(茶わん・皿・

鉢)支出金額は、景況の影響を受けることなく、ほぼ横ばいで推移しており、消費低迷の傾向

は見られない。

陶磁器・ガラス器小売業の年間販売額

資料:商業統計調査

*当初計画では平成19年までのデータを掲載、改定計画では、それ以降のデータを色を変

えて追記

茶わん・皿・鉢の支出金額(平成17年基準)

資料:家計調査

*平成17年基準とは、平成17年の消費者物価指数に併せて支出金額を実質値にしたもの。

*当初計画では平成22年までのデータを掲載、改定計画では、それ以降のデータを色を

変えて追記

2,8922,717 2,769

3,3913,056

2,736

2,115

1,398

688 683

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

S57 S60 S63 H3 H6 H9 H14 H19 H24 H26

(億円)

1,627

1,438 1,457 1,476

1,3081,213

1,074

1,3161,170 1,181 1,154

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

(円)

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③陶磁器輸出金額の動向

貿易統計によると、国内の陶磁器輸出金額は、1990年(平成2年)の765億円をピークに減少し、

2010年(平成22年)には73億円と1割にまで減少している。もともと欧米需要に支えられていた

が、急速に減少し、2008年(平成20年)年以降はアジアが最大の輸出先となっている。

2010年(平成22年)以降、世界同時株安の影響を受け、輸出金額は低迷を続けていたものの、

円安進行や経済成長などを反映してアジアが急速に増加し、2015年(平成27年)には2010年(平

成22年)比で2倍以上の規模にまで増加している。

陶磁器輸出額

地理圏別の陶磁器輸出金額

資料:財務省貿易統計

*当初計画では2010年までのデータを掲載、改定計画では、以降のデータ

を色を変えて追記

70

80

90

100

110

120

130

140

150

160

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

(円)(億円) 陶磁器輸出額 ドル・円為替相場

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

(億円) アジア 西欧 北米

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国籍別では、2010年(平成22年)第5位の輸出先であった中華人民共和国は、著しい経済成長

とともに富裕層が大きく増加していることから、2015年(平成27年)には第3位の輸出国となり、

増加率も大きく、将来的に最大の輸出国となる可能性が高い。独立行政法人日本貿易振興機構

(JETRO)の「中華人民共和国における陶磁器製品の市場動向調査(2009年)」によれば、中華

人民共和国の陶磁器製品の輸入は国内消費に比して非常に小さいものの、日本製品の占める割

合(金額ベース)は年々増加し、中華人民共和国が輸入する陶磁器製品全体の約2割に達して

いる。アジア諸国においては、今もなおメイドインジャパン製品の品質やデザインが高く評価

されており、他国製品と十分に競争できる土壌がある。

2010年(平成22年)において、最大の輸出先であるアメリカ合衆国をはじめ、フランス、オラ

ンダ、ドイツなどの欧米諸国に対しては、2015年(平成27年)においても一定量の輸出実績があ

る。これらの国では、日本の食や文化を理解するアイテムとして陶磁器が利用されている事例

や、現地に滞在する日本人向け市場が形成されているなど、各国で固有の需要が存在している。

また、香港が2010年(平成22年)比で約270%増加となり、アメリカ合衆国を上回って第1位

となった他、中華人民共和国が約350%増加して第3位、タイが約740%増加して第9位、ベトナ

ム、フィリピン、台湾などでも高い増加率を示していることから、アジア諸国の増加が顕著と

なった。

輸出金額(2015年)

資料:財務省貿易統計

* 当初計画では2010年までの上位を掲載、改定計画では、当該国の2015年データ及び

2015年輸出金額上位10か国データについて掲載

1990年 2000年 2010年

順位 金額(千円)

陶磁器合計 76,545,160 17,997,836 7,277,140 12,397,587

1 アメリカ合衆国 42,022,463 8,898,844 2,350,138 2 2,553,063

2 香港 1,455,551 1,021,539 979,398 1 2,635,970

3 大韓民国 4,083,588 1,062,147 680,351 5 750,648

4 台湾 1,724,581 2,461,489 623,404 4 1,334,895

5 中華人民共和国 41,980 105,509 551,001 3 1,936,887

6 英国 2,952,980 536,759 225,203 7 400,677

7 アラブ首長国連邦 679,878 241,902 194,060 6 531,694

8 シンガポール 1,253,068 304,350 157,560 11 205,869

9 オーストラリア 2,665,583 364,731 143,371 10 222,455

10 フランス 1,162,138 370,075 117,428 13 134,566

11 オランダ 1,559,633 125,906 115,072 8 302,958

- タイ 128,415 74,101 33,420 9 247,574

金額(千円)

2015年順位

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輸出金額の変化率上位(2010年、2015年)

資料:財務省貿易統計

*当初計画では2010/2000年の変化率上位10か国を掲載、改定計画では、該当国の2015/2010年の変

化率及び変化率上位10か国データについて掲載。なお、2015/2010年変化率の順位付け対象は2015

年輸出金額の上位20か国とした。

2000年 2010年2010年/2000年

2010年 2015年2015年/2010年

変化率 変化率

陶磁器合計 17,997,836 7,277,140 40.4% 7,277,140 12,397,587 170.4%

1 中華人民共和国 105,509 551,001 522.2% 3 551,001 1,936,887 351.5%

2 インドネシア 8,052 36,189 449.4% - 36,189 11,889 32.9%

3 オマーン 6,765 26,984 398.9% - 26,984 11,624 43.1%

4 ヨルダン 9,801 32,526 331.9% - 32,526 - -

5 マレーシア 15,939 50,903 319.4% - 50,903 42,128 82.8%

6 ラトビア 38,349 67,861 177.0% - 67,861 - -

7 香港 1,021,539 979,398 95.9% 6 979,398 2,635,970 269.1%

8 スイス 70,720 67,029 94.8% 10 67,029 134,343 200.4%

9 オランダ 125,906 115,072 91.4% 7 115,072 302,958 263.3%

10 アラブ首長国連邦 241,902 194,060 80.2% 5 194,060 531,694 274.0%

18 111 タイ 74,101 33,420 45.1% 1 33,420 247,574 740.8%

- 110 ベトナム 921 12,601 1368.2% 2 12,601 57,158 453.6%

14 117 フィリピン 60,289 34,522 57.3% 4 34,522 108,035 312.9%

- 234 トルコ 11,898 9,392 78.9% 8 9,392 22,135 235.7%

- 106 台湾 2,461,489 623,404 25.3% 9 623,404 1,334,895 214.1%

金額(千円)金額(千円)

順位 順位

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20

④陶磁器輸入金額の動向

貿易統計によると、2010年(平成22年)における海外からの陶磁器輸入金額は約260億円で輸出

の約3.5倍となっている。最近では、1997年(平成9年)をピークに一旦落ち込むが、その後、緩

やかに回復し、2008年(平成20年)に再び落ち込んでいる。1997年(平成9年)がアジア通貨危機を

契機に落ち込み、2008年(平成20年)がリーマンショックによる影響と思われる。

地理圏別では、2004年(平成16年)にアジアが西欧を上回り増加傾向にあったが、2006年(平成

18)年をピークに2009年(平成21年)まで減少したが、2010年(平成22年)以降回復傾向を見せて

いる。

2013年(平成25年)以降、輸入額は回復しつつあるものの、リーマンショック前2007年(平成19

年)の水準にまで回復していない。地理圏別では、アジアは回復しているものの、北米の落ち込

みが大きい。

陶磁器輸入額

地理圏別の陶磁器輸入金額

資料:財務省貿易統計

*当初計画では 2010 年までのデータを掲載、改定計画では、それ以降のデータを色を

変えて追記

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

(億円)

0

50

100

150

200

250

300

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

(億円) アジア 西欧 北米

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21

⑤陶磁器輸出入額の比較

陶磁器輸出入額の関係を見ると、1988 年(昭和 63 年)の陶磁器輸出金額は約 690 億円、輸入

金額は約 144億円で、輸出額が輸入額の約 4.8倍となっている。1995年(平成 7年)以降輸入額

が輸出額を上回る状況となっており、2004 年(平成 16 年)以降は、輸入額が輸出額の 3.5 倍程

度で推移していたが、2011年(平成 23年)以降、輸出と輸入ともに増加傾向にあるものの、輸

出の伸びが若干大きく、輸入額は輸出額の 2.5倍程度となっている。

陶磁器輸出入額の推移

資料:財務省貿易統計

*当初計画では2010年までのデータを掲載、改定計画では、それ以降のデータを色を変えて追

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

(億円) 輸出額 輸入額

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(2)国内における産地間競争の状況

①東海3県の陶磁器産業

本市の他にもこの地域には、美濃焼、常滑焼、萬古焼等の陶産地があるが、東海3県の食卓

用・ちゅう房用陶磁器製造業の製造品出荷額等が国内の5割以上を占めており、工業用製品を

含めて全国一の陶磁器産業集積地を形成している。そのため、当地域には競合相手となる事業

者が多数立地し、競争が激しい状況となっている。

平成26年では、東海3県の全国シェアは食卓用・ちゅう房用陶磁器製造業、陶磁器製置物製

造業ともに増加しているが、食卓用・ちゅう房用陶磁器製造業においては、岐阜県のシェアが

増加し、愛知県のシェアが減少している。

東海3県の全国シェア

(平成20年)

(平成26年)

資料:工業統計調査

*当初計画では平成20年のデータを掲載、改定計画では、最新年次平成26年のデータを

追記

愛知県

5.5%

愛知県

21.4%

岐阜県

37.9%

岐阜県

5.7%

三重県

6.9%

三重県

3.5%

東海三県以外

49.7%

東海三県以外

69.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

食卓用・ちゅう房用

陶磁器製造業

陶磁器製置物製造業

東海三県 50.3%

東海三県 30.7%

愛知県

4.6%

愛知県

27.8%

岐阜県

40.3%

岐阜県

6.0%

三重県

7.4%

三重県

3.2%

東海三県以外

47.7%

東海三県以外

63.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

食卓用・ちゅう房用

陶磁器製造業

陶磁器製置物製造業

東海三県 52.3%

東海三県 37.0%

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23

②地域ブランド化の状況

近年、地域ブランド化を推進する傾向が強まっており、陶磁器産業にも産地を強調すること

により付加価値を高めようとする動きが活発になっている。首都圏などでは、比較的陶磁器に

関心があると思われる人でも有田焼(佐賀県有田町)や九谷焼(石川県加賀地域)、益子焼(栃

木県益子町)の認知度が高い一方で、瀬戸焼はそれらに及ばない。

なお、陶磁器分野における地域団体商標の取得については、平成22年末時点で、17団体が商

標を取得済みとなっており、瀬戸焼についても平成24年1月に出願を果たしたところである。

陶磁器として連想するもの

資料:陶磁器に関するアンケート(平成23年12月:瀬戸市実施)

*東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に在住する30~50歳代の女性のうち、過去

1年間に陶磁器を5点以上、もしくは2,000円以上購入した412人を対象。複数

回答あり。

81.6

60.4 55.6

42.2 34.0 32.0 30.3

23.1 22.3 13.1 9.0 8.5

3.9 3.4 2.9 0.7 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90

有田焼

九谷焼

益子焼

信楽焼

美濃焼

備前焼

萩焼

清水焼・京焼

瀬戸焼

唐津焼

笠間焼

常滑焼

萬古焼

伊賀焼

薩摩焼

丹波焼

(%)

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(3)製造過程・流通構造の変化

①販売チャネルの多様化

陶磁器産業における従来の販売チャネルは、生産者から産地問屋(卸売業)、消費地問屋(卸

売業)を経て、販売店や飲食店などに至るのが一般的であった。しかし、安価な輸入陶磁器の

の増加やインテリアショップをはじめとする陶磁器取扱店の多様化、産地問屋・消費地問屋の

経営悪化などにより、従来の流通だけでなく、生産者自らが消費者や飲食店などに直接販売す

る新たなチャネルの確立を模索する動きが増加している。このような販売においては、商品化、

顧客獲得、販売等に関するノウハウの習得が必要となる。

②プライベートブランド化の進展

陶磁器産業においても、これまでは、ナショナルブランド、デザイナーズブランド等による

OEM生産あるいはライセンス契約による生産が多くを占めていたが、他の業界と同様に、ショッ

ピングセンターや百貨店によるプライベートブランド(PB)商品が増加している。PB商品は、

メーカーにおいては安定受注、大手流通業においてはコストダウンと両者の思惑が合致するも

のとなっている。

③系列化の進展

ファインセラミックスなどの工業品の大手メーカーでは、機密保持のため製品開発の内製化

や系列化を志向する傾向がある。中小企業においても、新規営業先に対する情報不足や営業ノ

ウハウ不足から新規顧客の開拓には消極的になりがちで、既存顧客との連携強化、系列化が進

行している。

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25

Ⅲ 「ビジョン策定時の現状と問題点」に対して実施した事業の実績と課題

平成 23年度のビジョン策定時に整理した現状と問題点に対して、実施してきた事業の実績及び

ビジョン改定委員会・ワーキンググループでの意見を踏まえ、ビジョン改定に向けて課題の整理

を行う。

(1)「せともの=廉価品」イメージ

①現状と問題点

「せともの」ということばは陶磁器の総称として全国的に知られているが、そこからイメー

ジされるのは、その由来となった陶産地としての「瀬戸」や「瀬戸のやきもの」ではなく、一

般的な日用雑器となっている。また、瀬戸の象徴的なイベントである「せともの祭」は、廉売

市のイメージが強く、高品質あるいは高付加価値の製品が正当に評価されにくい一因となって

いる。

同様にノベルティという呼称は、他地域では販売促進用の景品の意味で使われることが多く、

貴重なもの、高度な技術を要するものという理解が得られにくい。

②実施した事業の実績と課題

□ビジョン策定後に実施した主な関連事業

・地域団体商標「瀬戸焼」PR事業(愛知県陶磁器工業協同組合等)

・商標登録「セトノベルティ」の PR活動(瀬戸陶磁器工業協同組合)

・陶都瀬戸復活のための瀬戸焼ブランドにおける企業(組合員)リストの作成及び整備(愛知

県陶磁器工業協同組合)

・陶祖 800年祭 瀬戸・藤四郎トリエンナーレ

・瀬戸焼検定(瀬戸商工会議所)

・瀬戸焼 PRプロジェクト<セトリエ発行>(瀬戸焼振興協会) 等

□関連事業実施による実績と課題

地域一体となったブランド化を推進するため平成 24年 12月に地域団体商標「瀬戸焼」を登

録し、展示会など産地として出展する事業において一体的な広告宣伝が可能となったことで、

首都圏及び名古屋などにおいて知名度向上につながる活動を実施してきた。

しかし、日常における地域団体商標の使用は事業者の判断に委ねられているため、業界全体

で積極的な活用はなされていない。また、瀬戸焼の持つ多様性によりコンセプトやターゲット

を統一することが依然として難しく、産地全体を包含するイメージやブランドが形成できてい

ない。

また、「瀬戸焼」の魅力を広く浸透させる手段として、瀬戸焼の価値、魅力を伝える担い手

や市民などある程度の知見を有する人を対象とした「瀬戸焼検定」や、新たな需要創出をねら

いとした「瀬戸焼 PRプロジェクト(セトリエ発行)」などを実施するとともに、瀬戸・藤四郎

トリエンナーレでは、瀬戸市内の良質な粘土で作品を制作した展示会を開催することで、産地

のイメージ向上を図ってきた。

しかし、コンテンツ自体について一定の評価がなされているものの、事業が広く普及するに

は至っておらず、一部の事業については目的も不明確になっている。

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(2)ユーザーニーズの把握に乏しい、自社製品に対する認識不足

①現状と問題点

瀬戸の陶磁器関連事業者の多くは、OEM 生産に代表されるように大企業(製造業)や産地

問屋(卸売業)の下請的な事業展開により成長を遂げてきた。そのため、最終消費者と接す

る機会が極めて少なく、ニーズを把握するノウハウが蓄積されていない事業者が多い。

また、やきもの分野では、新たな販路を確保するため、事業者から産地問屋(卸売業)や

消費者への働きかけが不可欠となっている。

工業分野では、特定の大企業の系列に入ることで安定的な受注を確保している企業がある

一方で、自社製品の潜在的な需要を把握できていない企業も少なからず見られる。

販路開拓にあたっては自社製品の技術や強みを把握し、顧客のニーズとのマッチングを図

る必要があるが、その強み自体を的確に把握できていない事業者もある。

②実施した事業の実績と課題

□ビジョン策定後に実施した主な関連事業

・「瀬戸焼」ブランド発信のための展示会等出展事業(瀬戸焼振興協会)

○テーブルウェア・フェスティバル出展事業

○ドームやきものワールド出展事業

○首都圏の百貨店における PR

・瀬戸染付焼 PR及び市場調査におけるブランド力及び創造力・提案力の強化事業

(瀬戸染付焼工業協同組合)

・瀬戸染付焼伝統工芸士会展出展事業(瀬戸染付焼伝統工芸士会)

東京インターナショナル・ギフトショー秋出展(瀬戸陶磁器工業協同組合)

瀬戸焼ブランド発表会 made in Seto(瀬戸焼振興協会)

と協同実施した海外バイヤーマッチング 等

□関連事業実施による成果と課題

ユーザーニーズの把握や販路開拓、展示・提案ノウハウの習得、他産地の出展動向の情報収

集、自社の強みの再認識など様々な目的で、名古屋や東京などで消費者あるいはバイヤー向け

の展示会に出展もしくは自主開催し、知見・ノウハウの習得が図られた。

しかし、販売が主な目的に留まっている事業も多く、習得された知見やノウハウを還元する

仕組みがないため、公的支援の是非について検討が必要である。

円高基調やアジア諸国の経済成長に伴い海外販路の開拓を志向する事業者が増加している。

海外マーケットに可能性は感じられるものの、ニーズ把握や輸出に関する基本的な知識不足な

どから、事業に結び付くケースが少ない。

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(3)企画デザインが不得意

①現状と問題点

やきもの分野では、徹底した分業化が進んだことにより、生産者には高い生産技術が確立

される一方、新商品の企画は産地問屋(卸売業)が行うことが多く、商品企画やデザインも

担うことのできる生産者が少ない。

工業分野では、取引先から示される製品仕様に基づく生産が多くなっている。そのため、

新商品・新技術開発のための研究開発や、ユーザーニーズを自ら形にしたり、独自の商品企画

によって新たな価値を生み出すことが得意でない事業者が多い。

②実施した事業の実績と課題

□ビジョン策定後に実施した主な関連事業

・瀬戸焼ランデヴープロジェクト、瀬戸焼デザインプロジェクト

(愛知県陶磁器工業協同組合・瀬戸焼振興協会)

・瀬戸織部新商品開発プロジェクト(瀬戸織部新商品開発 PT)

・品野地域の特長を活かした新商品開発及び販売力強化に関わる事業

<セトヤキ リ ブランディング プロジェクト>(品野陶磁器工業協同組合)

和食器製造者による瀬戸焼イタリア料理用食器の新商品開発・販路開拓事業

(愛知県陶磁器工業協同組合)

異業種コラボレーションによる瀬戸焼の魅力発信事業

<「イタリア料理×setoyaki style」の実施>(瀬戸焼振興協会) 等

□関連事業実施による実績と課題

バイヤー、デザイナー、テーブルコーディネーター、有名料理店といった事業者が単独で連

携することが難しいパートナーと新商品を開発し、販路につながるネットワークが形成され

た。また、パートナーと共同した事業を通じて、事業者に商品開発や事業展開の新たな発想が

生まれたことから、事業者の企画力、経営力の向上につながった。

一方で、販売まで意識した取組みになっていないこと、事業者の直接的な利益につながる事

業に対して行政がどこまで支援するべきかなど、事業内容や実施方法、支援制度の在り方につ

いての検討が必要である。

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(4)人的資源の流出・減少

①現状と問題点

業界全体の低迷による新規採用の抑制、また、若手職人を地域で育む風土が醸成されてい

ないことから、質の高い研修を受けた有望な人材が地域に定着しづらい状況にある。

工業分野では、徹底した省人化や研究開発費の削減により、人材ニーズは低下傾向にある。

その結果、担い手の高齢化が進み、新規事業が創出されにくい悪循環が見られる。

②実施した事業の実績と課題

□ビジョン策定後に実施した主な関連事業

・せと陶祖まつり「瀬戸の若手作家市」の開催(瀬戸焼振興協会)

・空き工房の情報提供(瀬戸市)

・せとしごと塾(瀬戸市) 等

□関連事業実施による結果と課題

新世紀工芸館、瀬戸染付工芸館及び愛知県立芸術大学など、市内、近隣で陶磁器について学

んだ人材の定着に向けて、空き工房の情報提供や創業支援、発表機会の提供などの支援を実施

した。

しかしながら、市内空き工房の老朽化、作品を発表・販売する場が十分にないといった設備

的な理由のほか、家賃や工房の賃借料が高い、就職先がないなどの経済的な理由から、市内定

住を希望してもできていない実態があり、十分な成果は得られていない。

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(5)技術の消失

①現状と問題点

経営悪化や後継者不足により廃業や業態転換が進んでおり、技術継承の途絶が危惧される。

とりわけ、ノベルティや量産磁器の生産低下に伴い、原型や石膏型の需要が減少しており、

これまで培われてきた本市の陶磁器関連産業が誇る技術の消失が懸念されている。

②実施した事業の実績と課題

□ビジョン策定後に実施した主な関連事業

・瀬戸の伝統技術・技法の伝承事業実施(愛知県陶磁器工業協同組合)

・石膏型製造の技術継承・後継者育成及び情報発信事業

(瀬戸石膏型有限責任事業組合) 等

□関連事業実施による結果と課題

陶磁器関連産業への就職希望者に対して技術継承の講習を継続的に実施し、技術習得の機会

を提供した。

しかし、技術を習得する人材は一定数いるものの、即戦力となる人材の育成を希望している

現場の実情と、講習の内容が合致していないことや、市内育成機関の卒業生が希望する職種と

事業所が求める人材のミスマッチの発生、事業所に雇用体制が整っていないため、後継者とし

て定着するまでに至っておらず、市内育成機関卒業生・修了生の市内事業所への就職実績も少

ないのが現状である。

(6)ビジョンの推進方法の課題

ビジョンの推進は、計画の進捗管理を目的に設置した陶都瀬戸躍進会議が主に行ってきた。

具体的には、構成メンバーである陶磁器関連団体等が主体となって、基本方針や重点戦略に

沿った販路開拓、商品開発、技術継承などの事業を実施することで目標である「陶都瀬戸の

産地力向上」を目指してきた。なお、事業に係る費用については、負担金要綱を定めて、陶

都瀬戸躍進会議の予算から一部補助している。

しかし、事業に複数の目的を設定したことにより目的が不明瞭になってしまった取組みも

あり、また、事業終了後の効果検証についての議論が不十分であった。そのため、具体的な

成果や課題を把握し、評価をおこなったうえで改善を図るマネジメントの徹底が必要である。

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Ⅳ 瀬戸焼振興ビジョンの目標と基本方針

陶都瀬戸の産地力とは、器からノベルティなどにわたる陶磁器産業の産地としての強みとその

総合力をいう。

瀬戸焼の産地として原材料の産出、高効率の生産を支えてきた分業体制、多種多様の製品を生

産する加工技術、これらを礎とした新技術、そしてこれらを守り、引き継いできた職人たち、更

には自然、文化、産業などの観光資源とこれを活かす市民のおもてなしの心、瀬戸焼を愛する多

くの市民、これらのひとつひとつの力を結集し、より高い効果を引き出すことによって産地力を

飛躍的に高めていく。

基本方針① 稼ぐ力の強化

商・工、陶磁器関連団体間など産地のネットワーク強化を進めるとともに、事業者等の主体的

な開発力・営業力を強化する取組みを支援することで、付加価値を生み出す産業への展開を図り、

国内外の市場を拡大していく。

評価指標 陶磁器等の付加価値額 ※1

(平成26年)13.7億円→(平成33年)15.9億円 ※2

※1 工業統計における産業分類2142食卓用・ちゅう房用陶磁器・2143陶磁器置物の合計額

※2 ビジョン策定前の平成 22年度数値

基本方針② 技術・伝統の継承、育成

現場に必要な技術・人材を行政、陶磁器関連団体、教育機関等と連携して受け継ぎ、育てると

ともに、ツクリテ・若手作家の創業・経営などの支援を包括的に行い市内への定着を図ることで、

テーブルウェア・ノベルティを中心とした陶磁器産業を今後も産業として維持できる体制を整え

ていく。

評価指標 新たに市内に定着した若手作家・ツクリテの人数 ※3

(平成29年度から平成33年度の累計)80人

※3 瀬戸市及び瀬戸市周辺の人材育成機関で学ぶなどして、瀬戸市に所在地を置く陶磁器関連事業

所に就職又は工房で制作活動を行う人数。

基本方針③ 瀬戸焼の価値・魅力の訴求

市内外の人に、瀬戸焼が有する歴史や高い技術力といった価値・魅力に対する理解を深めても

らうとともに、活動を通じて市民の瀬戸焼に対する誇りを育んでいくことで、販路拡大、ブラン

ド化につながる土壌をつくっていく。

評価指標 瀬戸焼の認知割合 ※4

(平成23年度)22.3%→(平成33年度)50.0%

※4 ビジョン策定時(平成 23 年度)に実施した、陶磁器に関するアンケート結果。東京都、神奈

川県、埼玉県、千葉県に在住する30歳~50歳代の女性のうち、過去1年間に陶磁器を5点

以上、もしくは2,000円以上購入した412人を対象。

目標

陶都瀬戸の産地力向上

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Ⅴ 基本方針及び重点戦略

陶都瀬戸の産地力向上

①稼ぐ力の強化

②技術・伝統の継承、育成

③瀬戸焼及び産地の

価値・魅力の訴求

■付加価値を高める

■海外販路開拓の機会・情報の提供

■陶磁器関連団体、教育機関等と連携した

技術継承

■若手作家・ツクリテの育成

■瀬戸焼の価値に対する理解醸成

■瀬戸焼の知名度向上

■産地の魅力向上・PR

目標

基本方針 重点戦略

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基本方針① 稼ぐ力の強化

重点戦略

(1) 付加価値を高める

消費者ニーズに応える商品開発、製品のセールスポイントにマッチした販売先

の開拓及びプレゼンテーション力の強化など、事業者主体の取組みに対して支援

を行うことや、地域連携による新たなビジネスモデルを構築することで、製品、

企業、産地としての付加価値を高めていく。

事 業 例 ○産業支援センターの機能強化を図り、コーディネーター、商工

会議所及び金融機関等と連携した包括的な支援体制を構築

○商・工など産地のネットワーク強化

○近郊の窯業関連施設、研究機関及び教育機関と連携したビジネ

スモデルの構築

○製品開発力、販売力の強化を目的とした講座の実施

○付加価値を高める事業活動に対する補助

(2) 海外販路開拓の機会・情報の提供

海外バイヤーとのビジネスマッチングの機会づくりを支援し、得られた知見・

ノウハウを広くフィードバックすることで、海外進出を円滑にサポートする。

事 業 例 ○JETRO、国及び県と共同した海外バイヤーマッチングの検討

○事業者等が得たノウハウを、次に海外販路開拓に取り組む事業

者に還元する仕組みづくり

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基本方針② 技術・伝統の継承、育成

重点戦略

(1) 陶磁器関連団体、教育機関等と連携した技術継承

瀬戸市及び近郊でやきものについて学んだ者が、陶磁器関連産業を職業の選択

肢にできるように、行政、陶磁器関連団体、教育機関等が連携しながら技術保存

事業やインターンシップなど人材育成事業を検討・実施するとともに、育てた人

材と事業者のマッチングを行うことで、製品生産全体の流れ(産地サプライチェ

ーン)を維持していく。

事 業 例 ○現場に必要とされる技術保存事業及び人材育成事業の実施

○育成した人材と事業者の就職マッチング

○育てた人材の定着化に対する補助

(2) 若手作家・ツクリテの育成

瀬戸市及び近郊で陶磁器について学んだ若手作家・ツクリテに対して、活動場

所の紹介、発表の場の提供及び創業・経営に関する支援を行い市への定着を図

ることで、技術の継承と同時に産地を活性化していく。

事 業 例 ○創作活動、事業活動及び交流ネットワークの構築を支援するツ

クリテ支援センターの設置

○空き工房の情報提供

○販路開拓につなげる製品発表の場の提供

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基本方針③ 瀬戸焼及び産地の価値・魅力の訴求

重点戦略

(1) 瀬戸焼の価値に対する理解醸成

事業者・バイヤーなど瀬戸焼を取扱う人や消費者などに、瀬戸焼の歴史的・文

化的な価値、魅力を認識してもらい、魅力を周囲に伝達してもらうことで瀬戸焼

ファンの確保に努める。 事 業 例 ○瀬戸焼検定

○瀬戸焼の価値、魅力を伝える担い手の育成

○インターネット・SNSを活用した情報発信

○瀬戸焼を活用したライフスタイルの提案

○瀬戸焼を使用して料理を提供する飲食店や取扱店の確保と PR

(2) 瀬戸焼の知名度向上

展示会や商談会などに出展する際には、瀬戸焼を象徴するシンボルマークを産

地一体となって積極的に使用していくことで、首都圏をはじめ全国での産地と瀬

戸焼の知名度を高める。 事 業 例 ○地域団体商標「瀬戸焼」の使用(シール、ポスター、のぼり

等)

(3) 産地の魅力向上・PR

商品である瀬戸焼を、瀬戸焼を育んてきた歴史・文化や技術を受け継ぎ発展さ

せてきた作家・ツクリテと合わせたストーリーとして産地の魅力を広く PR して

いく。また、都市に近い産地としての強みを活かし、やきもののまちを目的に訪

れた人たちや観光客が自分の気に入った瀬戸焼を見つけられるように、魅力的な

販売店へ転換していく。 事 業 例 ○せとまちブランディング戦略や瀬戸市歴史文化基本構想が実

施する事業と連携し、せともの祭など観光客の集客力が高い市

内外のイベント等を活用した産地の PR

○瀬戸・藤四郎トリエンナーレ

○商品構成の見直し、展示方法の改善支援

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Ⅵ 推進体制 現在、ビジョンに掲げる重点戦略の具体的な取組みについては、瀬戸商工会議所、瀬戸金融協

会、愛知県陶磁器工業協同組合を始めとする陶磁器関連団体など 20団体により構成する陶都瀬戸

躍進会議が主体となって推進している。

改定計画は、現在の陶都瀬戸躍進会議と瀬戸焼振興協会の名称変更も含めて、設置目的や構成

団体を見直し、地元陶磁器産業関連団体を中心とした団体が主体となって推進していく。改定計

画を推進していくことで陶都瀬戸の産地力の向上を図り、それにより活力ある地域経済を実現し

ていく。

また、取組みの実施に当たっては、目的及び目標をより明確に絞り込むとともに、事業終了後

に手法・効果の検証を徹底し、事業で得た成果を産地として広く活用できるようフィードバック

する。

推進体制(案)

陶都瀬戸躍進会議

【設置目的】

地域の産業全般の振興を図る立場

から必要な施策を検討・実現する。

【構成団体】

地元産業関連団体

外部有識者等

行政

瀬戸焼振興協会

【設置目的】

瀬戸焼振興ビジョンを推進するた

めに必要な施策を検討・実現する。

【構成団体】

地元陶磁器産業関連団体

観光協会

行政

連携

支援

推進

活力ある地域経済の実現

瀬戸焼振興ビジョンに基づく

振興施策

陶都瀬戸の産地力向上

事業者

市民

協力団体

参画

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資料編

改定委員会及び改定ワーキンググループの開催実績

開催日 会議名 出席

委員数

議題

12月 22日(木) 改定委員会 12名 (1)瀬戸市地場産業振興ビジョンの改定に

ついて

(2)進めてきた取組みについて

①取組みの概要について

②取組みの評価・課題について

1月 17日(火) 改定ワーキンググループ 9名 (1)これまでに実施した瀬戸市地場産業振

興ビジョン推進事業の評価

(2)ビジョン改定に向けた課題の整理及び

検討

1月 27日(金) 改定委員会 9名 (1)瀬戸市地場産業振興ビジョン改定方針

(案)について

3月 1日(水) 改定ワーキンググループ 8名 (1)瀬戸市地場産業振興ビジョン改定案の

検討

3月 16日(木) 改定委員会 11名 (1)瀬戸市地場産業振興ビジョン改定案に

ついて

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瀬戸市地場産業振興ビジョン改定委員会設置要綱

(目的)

第1条 瀬戸市地場産業振興ビジョン改定委員会(以下「委員会」という。)は、瀬

戸市が平成23年度に策定した「瀬戸市地場産業振興ビジョン」の改定作業の一環

として、陶磁器産業に関連する団体等から幅広く助言を得ることを目的として設置

する。

(構成)

第2条 委員会は、市長が委嘱する別表に掲げる委員により構成する。

2 委員は、委員が指名する者を代理として委員会に出席させることができる。

(組織)

第3条 委員会は、委員長及び委員をもって組織する。

2 委員長は、瀬戸市副市長をもって充てる。

3 委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、あらかじめ委員長の指定

する委員が委員長の職務を代理する。

4 委員長は策定委員会を総括し、その進行にあたる。

5 委員長は、必要に応じ、委員以外の者の参加を求めることができる。

(会議)

第4条 委員会は、委員長が招集する。

(庶務)

第5条 委員会に関する庶務は、瀬戸市交流活力部産業課において処理する。

(その他)

第6条 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、別に定め

る。

附則

1 この要綱は、平成28年11月1日から施行し、「瀬戸市地場産業振興ビジョン」

の改定をもって廃止する。

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別表

瀬戸市地場産業振興ビジョン改定委員会 委員名簿

団 体 名 職 名 氏 名

1 瀬戸市 副市長 青山 一郎

2 瀬戸商工会議所 会 頭 成田 一成

3 愛知県陶磁器工業協同組合 理事長 丹 羽 誠

4 瀬戸陶磁器工業協同組合 理事長 池田 洋幸

5 瀬戸陶磁器卸商業協同組合 理事長 加藤 睦彦

6 瀬戸陶芸協会 会 長 加藤 令吉

7 瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会 会 長 鈴木 政成

8 瀬戸信用金庫 理事長 水野 和郎

9 日本貿易振興機構名古屋貿易情報センター 所 長 三根 伸太郎

10 名古屋大学大学院経済学研究科 教 授 山田 基成

11 愛知県立芸術大学美術学部デザイン・工芸科 教 授 太田 公典

12 あいち産業科学技術総合センター瀬戸窯業技術センター センター長 三輪 幸弘

13 愛知県立窯業高等技術専門校 校 長 小林 増男

14 愛知県立瀬戸窯業高等学校 講 師 松山 真梨

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瀬戸市地場産業振興ビジョン改定ワーキンググループ設置要綱

(設置目的)

第1条 瀬戸市地場産業振興ビジョン改定(案)の作成を目的として、瀬戸市地場産

業振興ビジョン改定ワーキンググループ(以下「ワーキンググループ」という。)

を設置する。

(事務局)

第2条 ワーキンググループの事務局は、瀬戸市交流活力部産業課(以下「産業課」

という。)内に置く。

(所掌事務)

第3条 ワーキンググループの所掌事務は、次の各号に掲げるとおりとする。

⑴ 目標の達成状況の分析に関すること

⑵ 施策進捗状況の点検及び施策の効果検証に関すること

⑶ アクションプログラムの作成に関すること

⑷ その他瀬戸市地場産業振興ビジョン改定(案)の作成に関すること

(構成員)

第4条 ワーキンググループの構成員は、過去実施してきた施策に参加した事業者を

中心に、年齢、性別及び製造品の種類を万遍なく網羅するものとする。

(会議)

第5条 ワーキンググループの会議は、必要に応じて瀬戸市地場産業振興ビジョン改

定業務委託事業者(以下「委託事業者」という。)が招集し、主催する。

(その他)

第6条 この要綱に定めるもののほか、ワーキンググループの運営に関し必要な事項

は、委託事業者及び産業課双方の協議により決定することとする。

附則

この要綱は、平成28年11月1日から施行し、「瀬戸市地場産業振興ビジョン改

定(案)」の策定をもって廃止する。

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瀬戸市地場産業振興ビジョン改定ワーキンググループ メンバー名簿

団 体 名 等 氏 名

1 瀬戸商工会議所 小 野 利 明

2 愛知県陶磁器工業協同組合 山 本 寛 将

3 愛知県陶磁器工業協同組合 林 栄 治

4 愛知県陶磁器工業協同組合 水 野 博 之

5 瀬戸陶磁器工業協同組合 古 池 寿 浩

6 瀬戸陶磁器卸商業協同組合 水 野 勝 治

7 瀬戸陶磁器卸商業協同組合 寺 田 康 孝

8 瀬戸陶芸協会 岩 渕 幸 治

9 Seto Mappen 加 藤 真 雪

10 瀬戸市(新世紀工芸館)で窯業を学び開窯 穴 山 大 輔

11 瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会 野 杁 晃 輔