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特集Ⅰ:当社技術の変遷と将来展望 86 (572) 山中秀昭 映像セキュリティーシステム部長 CCTV監視システム技術の変遷と今後の展望 1.ま え が き 安全・安心に対する意識が高まる社会環境の中,CCTV (Closed Circuit TeleVision)監視システムの利用が広が りを見せている。CCTV監視システムは,古くは監視カ メラ+モニタという閉じたシステムで構成されたことか ら,放送用テレビ網のオープンサーキット(広範囲)に対し てCCTVと呼ばれるようになった。現在では,監視カメラ の映像,音声を遠く離れた場所まで伝送する伝送システム, 伝送された映像・音声を記録するレコーダ,遠隔から監視 カメラを操作する制御システムを含む大規模なシステムに まで拡張されている。使用されている監視カメラ自体も撮 像デバイスが,白黒撮像管の時代からカラーCCD(Charge Coupled Device),CMOSセンサへと移り変わり,多画素 化が進んでいる。それに合わせて,解像度は高精細にな り,NTSCの解像度からSXVGA(Super eXtended Video Graphics Array),HD(High Definition)へと変化している。 信号もアナログからデジタルに変化し,デジタル映像信号 を伝送するために高能率符号化技術を利用するようになっ た。伝送用のケーブルも,特性インピーダンス75Ωの同軸 ケーブルからネットワークケーブルへ変化し,光ファイ バーを使用するシステムも構築されている。 三菱電機では,1954年に国産第1号の監視カメラ(炉内 監視に利用)を製品化して以来,先に述べた技術,部品 を取り込み,製品化,システム化し,約60年にわたって CCTVシステムの製造,販売実績を持ち,多くの顧客に利 用いただいている。 製 品 シ リ ー ズ も ア ナ ロ グ カ メ ラ で あ る“MELOOK, MELOOK Gシリーズ”を市場投入後,より暗いところを 監視したいという市場要求にこたえるため,高性能なシ リーズとして, “MELVISIONシリーズ”を投入した。ネッ トワークと高能率符号化技術の発達で市場がデジタルに 移行していくことに対して,ネットワークカメラ“Digital MELOOKシリーズ”を開発し,さらに高画素化の市場要 求を取り込んだ小規模監視向け“MELOOKμシリーズ” (1) 大規模監視向け“MELOOK DGシリーズ”を市場に投入し た。市場が急速なデジタル化に進む中でアナログからデジ タルに移行しやすい“MELOOKμ+(プラス)シリーズ”を 開発し,市場投入した。最近では,監視カメラの映像を監 視(モニタリング・記録)だけでなく,マーケティングや生 産管理に利用する要求も市場では高まっている(図1)。 本稿では,当社のCCTV監視システムについて述べ,使 用している技術及び今後の展望について述べる。 2.映像監視市場 2. 1 公 共設備 日本国内では,道路,河川,ダム,港湾など,様々な公 共設備で監視カメラが設置されている。これらの設備で撮 図1.CCTVの技術&製品動向 MELVISION 技術動向 デバイス 解像度 高能率 符号化方式 関連製品 製品動向 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2005 2010 2015 2020 (年) 白黒撮像管 カラー CCD CMOS センサ NTSC VGA SXVGA HD ベースバンド JPEG/MPEG-2 H.264 H.265 テレビカメラ ムービー デジタルカメラ/携帯電話/スマートフォン/タブレット  QSXGA 4K 20 万画素 38 万画素 25 万画素 国産 1 号 MELOOKμ+ MELOOK MELOOK G Digital MELOOK MELOOKμ 130 万画素 500 万画素 200 万画素 800 万画素 MELOOK DG PoE 投入 ロボティ(複合一体)投入 SFV 投入 HD 投入 同軸デジタル伝送投入 メガピクセル投入 デジタル増感投入 QSXGA 4K CMOS :Complementary Metal Oxide Semiconductor JPEG :Joint Photographic Experts Group MPEG2 :Moving Picture Experts Group phase 2 NTSC :National Television System Committee PoE :Power over Ethernet QSXGA :Quad Super eXtended Graphics Array SFV :Super Fine View コミュニケーション・ネットワーク製作所 三菱電機技報・Vol.88・No.9・2014 MITSUBISHI DENKI GIHO

CCTV監視システム技術の変遷と今後の展望...ステム,Digital MELOOKシリーズを市場投入して監視カ メラシステムのデジタル化を進めた。デジタル化によっ

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Page 1: CCTV監視システム技術の変遷と今後の展望...ステム,Digital MELOOKシリーズを市場投入して監視カ メラシステムのデジタル化を進めた。デジタル化によっ

特集Ⅰ:当社技術の変遷と将来展望

86 (572)

山中秀昭映像セキュリティーシステム部長

CCTV監視システム技術の変遷と今後の展望

1.ま え が き

 安全・安心に対する意識が高まる社会環境の中,CCTV(Closed Circuit TeleVision)監視システムの利用が広がりを見せている。CCTV監視システムは,古くは監視カメラ+モニタという閉じたシステムで構成されたことから,放送用テレビ網のオープンサーキット(広範囲)に対してCCTVと呼ばれるようになった。現在では,監視カメラの映像,音声を遠く離れた場所まで伝送する伝送システム,伝送された映像・音声を記録するレコーダ,遠隔から監視カメラを操作する制御システムを含む大規模なシステムにまで拡張されている。使用されている監視カメラ自体も撮像デバイスが,白黒撮像管の時代からカラーCCD(Charge Coupled Device),CMOSセンサへと移り変わり,多画素化が進んでいる。それに合わせて,解像度は高精細になり,NTSCの解像度からSXVGA(Super eXtended Video Graphics Array),HD(High Definition)へと変化している。信号もアナログからデジタルに変化し,デジタル映像信号を伝送するために高能率符号化技術を利用するようになった。伝送用のケーブルも,特性インピーダンス75Ωの同軸ケーブルからネットワークケーブルへ変化し,光ファイバーを使用するシステムも構築されている。 三菱電機では,1954年に国産第1号の監視カメラ(炉内監視に利用)を製品化して以来,先に述べた技術,部品

を取り込み,製品化,システム化し,約60年にわたってCCTVシステムの製造,販売実績を持ち,多くの顧客に利用いただいている。 製品シリーズもアナログカメラである“MELOOK,MELOOK Gシリーズ”を市場投入後,より暗いところを監視したいという市場要求にこたえるため,高性能なシリーズとして,“MELVISIONシリーズ”を投入した。ネットワークと高能率符号化技術の発達で市場がデジタルに移行していくことに対して,ネットワークカメラ“Digital MELOOKシリーズ”を開発し,さらに高画素化の市場要求を取り込んだ小規模監視向け“MELOOKμシリーズ”(1),大規模監視向け“MELOOK DGシリーズ”を市場に投入した。市場が急速なデジタル化に進む中でアナログからデジタルに移行しやすい“MELOOKμ+(プラス)シリーズ”を開発し,市場投入した。最近では,監視カメラの映像を監視(モニタリング・記録)だけでなく,マーケティングや生産管理に利用する要求も市場では高まっている(図1)。 本稿では,当社のCCTV監視システムについて述べ,使用している技術及び今後の展望について述べる。

2.映像監視市場

2. 1 公 共 設 備 日本国内では,道路,河川,ダム,港湾など,様々な公共設備で監視カメラが設置されている。これらの設備で撮

図1.CCTVの技術&製品動向

MELVISION

技術動向デバイス

解像度

高能率符号化方式

関連製品

製品動向

1950 1960 1970 1980 1990 2000 2005 2010 2015 2020 (年)

白黒撮像管 カラーCCD CMOSセンサ

NTSC VGA SXVGA HD

ベースバンド JPEG/MPEG-2 H.264 H.265

テレビカメラ ムービー デジタルカメラ/携帯電話/スマートフォン/タブレット 

QSXGA4K

20万画素 38万画素

25万画素

国産1号

MELOOKμ+

MELOOK

MELOOK G

Digital MELOOKMELOOKμ

130万画素 500万画素

200万画素 800万画素

MELOOK DG

PoE投入

ロボティ(複合一体)投入 SFV投入

HD投入

同軸デジタル伝送投入

メガピクセル投入 デジタル増感投入

QSXGA4K

CMOS :Complementary Metal Oxide SemiconductorJPEG :Joint Photographic Experts GroupMPEG-2 :Moving Picture Experts Group phase 2NTSC :National Television System CommitteePoE :Power over EthernetQSXGA :Quad Super eXtended Graphics ArraySFV :Super Fine View

コミュニケーション・ネットワーク製作所

映像/セキュリティ

三菱電機技報・Vol.88・No.9・2014

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特集Ⅰ:当社技術の変遷と将来展望

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影した映像は,各設備の管理所に伝送され,集中監視されることによって,各種業務に有効活用されている。 道路では,交通状況の把握や落石などの災害発生状況の監視を行い,使用車の安全確保や設備保全を行っている

(図2)。河川では,降雨時の増水状況を監視し,氾濫など危険認知による住民避難の情報として利用している。その他,トンネル防災用途や砂防状況監視など,様々な場面で監視カメラが使用されている。 現場からの映像は画像伝送装置で符号化し,広域ネットワークを介し管理所に伝送される。管理所ではモニタに現場映像を表示し,正確な状況把握をすることで,災害発生を事前に回避したり,災害発生時の対応を決定したりする。 近年の自然災害の増加に対し,初動の迅速化が課題であり,より正確な状況監視のため,映像の高精細化が求められている。この要求にこたえるため,テレビ放送の地上デジタル化を背景として,カメラのハイビジョン化(HD化)が進んでいる。これに伴い,伝送の効率化や映像記録化も進められている。一方で監視の自動化のため,画像処理による土石流検知や河川水位検知なども導入されており,今後は監視システムの一層のインテリジェント化が促進され,監視業務の効率化が進むと考えられる。2. 2 店舗・マンション スーパー,コンビニなどの店舗では,万引きなどの犯罪抑止を目的に映像記録が行われてきた。最近では犯罪抑止だけでなく,顧客とのトラブル発生時の早期解決をはじめ,従業員教育によるサービス改善などにも利用されている。さらに,顧客の来店状況や,商品陳列棚やバックヤードや倉庫などの状況をモニタリングすることによって,マーケティング面でも活用されるようになってきた。また,近年のネットワーク型監視システムでは,複数店舗を経営するオーナーが自宅から各店舗の状況を把握できるようになり,経営の一助となっている。

 マンションでは,エントランスやエレベーターかご内,建物周辺や駐車場・駐輪場にカメラが設置され,犯罪抑止に使用されることが一般的である。ストーカー,空き巣,駐車場・駐輪場での車・自転車へのいたずらや盗難防止,迷惑行為防止などの犯罪を抑止している。最近では,エレベーターかご内での事件・事故発生時の状況確認,ゴミ出しなどの住民のマナー向上,他所からのゴミの持込み抑止,法令・条例違反となる不法投棄の抑止などに役立っている。2. 3 大規模ビル オフィス・商用などの大規模ビルでは,フロア数が多く監視エリアが広いことやエントランス,ホール,地下街,ビル外周等監視対象が多いことから設置運用するカメラの台数が多い。これらのカメラ映像は,ビル設備を管理する防災センターでの24時間一括監視が求められる一方,ビルの駐車場管理室での映像監視など,複数拠点での監視業務に使用されている。最近では,火報設備との連携,入退室システムとの連携(2)等,監視カメラシステムとビル設備との連携による監視業務の効率化,高機能が求められ,防災センターでの一括監視業務に役立っている。 加えて監視カメラの映像をパソコンや専用装置で画像処理を行って入館・退館の人数をカウントするシステムや,フロアの混雑具合を監視するシステム,不審物の滞留を自動で検出する滞留検知システム等があり,目視による監視用途以外にも使用され始めている。

3.映像監視システム

3. 1 アナログCCTVシステム 公共用途の市場ではMELVISIONのブランド名で主に官公庁に納入してきた。納入開始時は,カメラ,カメラケース,回転台,レンズを組み合わせてシステム構築を行っていたが,1995年に業界初の複合一体型カメラ(図3)を市場

図2.公共設備(道路)監視例

複合一体型カメラ

公共機関や一般家庭への映像配信

映像提供箇所道路防災センタ

NetCam

NetCam

災害発生

除雪ステーション

SS無線伝送

SS無線伝送

SS:Spread Spectrum

出張所光ネットワーク

工事事務所

CATV送出装置画像Webサーバ

大型映像表示装置

所内 LANによる映像配信・蓄積

ルータ操作端末

トンネル管理室

落石地区の監視落石地区の監視

映像/セキュリティ

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特集Ⅰ:当社技術の変遷と将来展望

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に投入し,新たなカメラのカテゴリーを創設した。現在では,この分野の標準的なカメラ仕様となっている。 コンビニなどの流通業界を主なターゲットとする民需向けアナログCCTVシステムとして,1976年にMELOOKシリーズを投入した。その後,1997年にMELOOK Gシリーズ(図4)を投入し,次のような高機能化を図っている。⑴ 暗い部分をより明るく見せる機能 ①電子増感 ②白黒切換え⑵ 逆光下でも視認性を向上させる機能 ワイドダイナミックレンジ(Super Fine View:SFV)⑶ プライバシー保護機能 プライバシーマスキング(マスク表示は旋回停止時のみ)3. 2 デジタルCCTVシステム 当社は,2001年にネットワーク型のデジタルCCTVシステム,Digital MELOOKシリーズを市場投入して監視カメラシステムのデジタル化を進めた。デジタル化によって高画質化と同時にパソコンとの親和性が高くなり,GUI

(Graphical User Interface)で操作できるシステムへと進化した。現在は,最大512台のカメラをコントロールできる“MELOOK−DGⅡシリーズ(3)”を始め小規模監視システムに適した“MELOOKμⅡ(4)・MELOOKμ+(プラス)シリーズ”をラインアップしている。MELOOKμ+(5)シリーズ(図5)は,独自のデジタル伝送,カメラへの電源供給を行い,既設アナログシステムの同軸ケーブルを流用して高解像度,高機能のデジタルシステムを構築することが可能である。 デジタルシステムでは次の高機能化を図っている。⑴ 暗い部分をさらに明るく見せる機能 デジタル増感(+電子増感)⑵ 逆光下でも視認性をさらに向上させる機能 ワイドダイナミックレンジ(SFVⅡ)

⑶ プライバシー保護機能 プライバシーマスキング(旋回時もマスク表示可能)⑷ 監視補助機能 モーションディテクト(動き検知) また,デジタルシステムとしての拡張性を生かし,通信ゲートウェイ“smartstar”を活用してセキュアな遠隔監視機能を持たせることも可能である(6)(7)。3. 3 画像処理システム 近年,防犯・防災意識の向上に伴い,監視対象の多様化と,監視範囲の広域化が進んでいる。 当社ではその対応として,ビデオフロントエンドプロセッサ“FX−8100シリーズ”を市場ニーズに合わせて投入した。FX−8100シリーズ搭載の画像処理機能の一部を次に示す。⑴ 侵入監視(エリアへの侵入者を検知)⑵ 追尾監視装置(侵入者をカメラをパンチルトして追尾)⑶ 水位監視装置(河川水位を映像から算出)⑷ 流速監視装置(河川流速を映像から算出)⑸ 雪除去機能(画像中の降雪を消去)(図6) 主な納入先は,道路/河川管理等の公共関連であり,カメラ映像の視認性を向上させ,監視業務の効率化の目的で利用される。

4.今後の展望

4. 1 CCTVシステムの進化 CCTVシステムの進化として,3つの方向が考えられる。第1はシステム形態の進化であり,ネットワーク化による多地点分散型システム,ストレージやシステム制御のクラウド化,スマートフォンやタブレットのシステム適用などが挙げられる(図7)。第2は映像技術の進化であり,視認性を高める解像度や感度の向上,ダイナミックレンジの拡大,効率的な伝送や長時間記録を可能にするHEVC(High

図5.MELOOKμ+シリーズのシステム構成

同軸ケーブル

アナログシステム

同軸ケーブル

カメラコントローラ,デジタルレコーダ

メルックμ+システム レコーダ

NC-8000

NC-8000

NC-8600

図4.MELOOK Gシリーズのシステム構成

屋外複合一体型カメラCIT-7350

屋内複合一体型カメラCIT-7550

ドームカメラCIT-8711M

固定カメラCIT-8510M

カメラコントローラS-9520SA

カメラコントローラS-9520SA

デジタルレコーダDX-TL2500

カメラコントローラ映像スルー出力

21型モニタ

図3.複合一体型カメラ

カメラケースカメラ+レンズ+

回転台

複合一体型カメラ

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特集Ⅰ:当社技術の変遷と将来展望

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Efficiency Video Coding)/H.265など圧縮符号化技術の発達がある。第3は映像情報活用の進化であり,顔認証や河川の状態検知など映像分析・認識技術の適用拡大である。4. 2 監視カメラの広がりによる課題と解決策 監視カメラが至る所に設置されることによって,映像がプライバシー侵害として扱われる可能性が出てきた。監視の目的が安全・安心であっても,映像を個人情報保護の観点で適切に管理することが課題となっている。 現行のシステムでは,蓄積される情報やネットワーク経由で伝送される情報は暗号化やアクセス制限を必須とし,映像の特定部分を一定のパターンでぬりつぶすプライバシーマスキングが実用化されている。今後,個人を特定し難くする加工(例えば,人物だけをぬりつぶす)を施し,社会的に受容され必要かつ適切な場合は,加工された映像を復元可能とする技術及び製品の開発が必要となっている。4. 3 防犯以外への監視カメラの活用 今後,映像分析・認識技術によって高度化したCCTVシステムでは防犯・防災以外の用途の例として,マーケティング,生産管理への適用が挙げられる。 マーケティングへの適用では,店舗を訪れる人々の属性,動線,商品を見たり手に取ったりする行為の分析から,商品の仕入れや配置,欠品補充,案内表示の改善につなげて売上を向上させることへの期待がある。 生産管理への適用では,ラインを流れる機器や作業者の動きから,製造効率の要因分析,または不具合発生原因の追跡を行って効率を向上させることへの期待がある。 これらの活用例では,販売管理や生産管理のシステムにおけるIT化が進行し,監視カメラがほかのセンサとともに組み込まれることが想定される。監視カメラには拡張性や柔軟なインタフェースが求められ,防犯・防災以外の用途へカメラを進化させるための検討が必要となっている。

5.む す び

 当社におけるCCTVシステム開発と製品の歴史を述べ,適用してきた技術と今後の展望について述べた。今後とも,安心・安全かつ高効率な社会に貢献するCCTV機器及びシステムを開発していく所存である。

参 考 文 献

⑴ 上田智弘,ほか:三菱デジタルCCTVシステム“ME LOOKμ”,三菱電機技報,82,No.9,557 〜 560(2008)

⑵ 野口光一,ほか:“MELOOKμ”レコーダと“MEL SAFETY−P”の連携,三菱電機技報,83,No.9,531〜 534(2009)

⑶ 岡部正治,ほか:デジタルCCTVシステム,三菱電機技報,85,No.6,357 〜 360(2011)

⑷ 上田智弘,ほか:“MELOOKμⅡ”システム,三菱電機技報,86,No.6,331 〜 334(2012)

⑸ 寺内弘典,ほか:“メルックμ+”システム,三菱電機技報,87,No.5,285 〜 288(2013)

⑹ 川村秀男,ほか:メルックμⅡスマートフォン連携,三菱電機技報,88,No.6,375 〜 378(2014)

⑺ 三菱電機ニュースリリース:三菱通信ゲートウェイ「smartstar(スマートスター)」発売のお知らせ

  http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2014/ 0312-a.html

図6.画像処理例(雪除去機能)

⒜ 原画

⒝ 雪除去 処理後

図7.知的映像監視システム

ローカル監視・蓄積(従来のCCTV)

-従来-【人による監視】

-今後-【自動監視・検出】

映像監視クラウド

監視 記録

メガピクセル監視カメラ

監視員

メガピクセル ローカル監視・蓄積

レコーダ

HD化

データベース

仮想レコーダ 画像処理・認証センター

膨大な監視映像

絞り込みインテリジェント

フィルタ

HD監視カメラセンサ

レコーダレス カメラ連動

連動

HD化

HD監視カメラセンサ

レコーダレス カメラ連動

連動

顔検出・認証

動き検知

人物検知

選択 検索

協調 短縮

可視化

人物動線追跡

特定物体検出

利用される技術

ユーザーに提供されるサービス

監視映像データ 監視映像データ店舗,事務所 公共エリア(河川,道路)

見ること支援

認識 検知

計数

自動化

警察・警備会社

企業本社,自治体

自宅

記録

監視

監視 記録

メガピクセル監視カメラ

監視員

メガピクセル ローカル監視・蓄積

レコーダ

動体検出 状況検知

サービス

監視

監視

監視

映像/セキュリティ

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