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23 Vol.51 2010No.10 SOKEIZAI 近年、環境保全をキーワードに様々な潤滑技術が提案されている。以下 に工業化されている冷間鍛造用潤滑技術の事例を紹介する。 冷間鍛造用潤滑技術 清 水 秋 雄 日本パーカライジング ㈱ 1.はじめに 冷間鍛造の現場で、「潤滑剤に何を使用していま すか?」と尋ねると、高い確率で「ボンデを使用し ています」と回答が帰ってくる。このボンデ処理と は、冷間鍛造業界ではたいていの場合、リン酸塩皮 膜+石鹸処理を意味している。潤滑剤にボンデを用 いる理由は、加工条件が厳しい冷間鍛造において極 圧油、樹脂、石灰、ボラックスなどでは潤滑性能が 不足しているためで、この業界の共通認識といって も過言ではない。 塑性加工に対してリン酸塩皮膜を用いる技術は、 第二次大戦中にドイツにて銃弾の薬きょうを作ろう として考案されたものと伝えられている。現在、工 業的に普及しているリン酸塩皮膜+石鹸処理の技術 は 1950年代に「ボンデライト・ボンダリューベ法」 として発明されたもので 1) 、半世紀以上経過した現 在でも厳しい加工に対して最も耐える潤滑剤として 位置づけられている。ボンデの名は、当時販売され ていた薬剤の商品名に由来するもので、リン酸塩処 理薬剤は「ボンデライト」、石鹸処理薬剤は「ボン ダリューベ」である。当社は、この商標で薬剤販売 はしておらず、「パルボンド」と「パルーブ」で販 売している。 このように高い潤滑性を有するボンデ処理も、環 境問題が大きく取りあげられる昨今、産業廃棄物の 発生やエネルギーコストが問題視されるようにな り、当社でも幾つかの環境対応技術を提案している。 以下に、「これまで冷間鍛造を支えてきたボンデ」 と現在実用化が進んでいる「これからの冷間鍛造を 支える潤滑技術」について概説する。 図1 にリン酸塩 / 石鹸処理の標準工程を示す。処 理方法としては、被処理物であるワーク形状によ り様々である。鍛造関係ではバレル処理やタクト・ ディップ処理などが一般的である。バレル処理は、 ワークを回転バレルにセットし回転させながら、順 次各処理槽に浸漬して処理を行っていく。脱脂工程 では、鋼材に付着した潤滑油、防錆油、また治具に 付着した反応型石けん潤滑剤、その他の汚れを除去 する。脱脂剤には、通常は強アルカリタイプを使用 する。ついで、酸洗工程でスケールを除去する。通 常 50~70℃に加温した10~15%濃度の硫酸、また は常温の 5 ~ 15 % 濃度の塩酸で酸洗する。化成処理 は通常 80 ~ 85℃の処理液に 5 ~ 10 分浸漬する。 リン酸塩処理は、素材の鉄をエッチング(溶解) させ(式1)、その際の界面のpH上昇を利用し結晶 性のリン酸塩、主にリン酸亜鉛(式2)とリン酸亜鉛 2.ボンデ処理

特集 日本パーカライジング 101014sokeizai.or.jp/japanese/publish/200706/201010shimizu.pdf · ルコードの連続伸線ラインでの実用化例である。本 技術の適用で処理剤、水、エネルギーなどを含むトー

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23Vol.51(2010)No.10 SOKEIZAI

近年、環境保全をキーワードに様々な潤滑技術が提案されている。以下に工業化されている冷間鍛造用潤滑技術の事例を紹介する。

冷間鍛造用潤滑技術

清 水 秋 雄日本パーカライジング㈱

1.はじめに

 冷間鍛造の現場で、「潤滑剤に何を使用していますか?」と尋ねると、高い確率で「ボンデを使用しています」と回答が帰ってくる。このボンデ処理とは、冷間鍛造業界ではたいていの場合、リン酸塩皮膜+石鹸処理を意味している。潤滑剤にボンデを用いる理由は、加工条件が厳しい冷間鍛造において極圧油、樹脂、石灰、ボラックスなどでは潤滑性能が不足しているためで、この業界の共通認識といっても過言ではない。 塑性加工に対してリン酸塩皮膜を用いる技術は、第二次大戦中にドイツにて銃弾の薬きょうを作ろうとして考案されたものと伝えられている。現在、工業的に普及しているリン酸塩皮膜+石鹸処理の技術は 1950年代に「ボンデライト・ボンダリューベ法」として発明されたもので1)、半世紀以上経過した現

在でも厳しい加工に対して最も耐える潤滑剤として位置づけられている。ボンデの名は、当時販売されていた薬剤の商品名に由来するもので、リン酸塩処理薬剤は「ボンデライト」、石鹸処理薬剤は「ボンダリューベ」である。当社は、この商標で薬剤販売はしておらず、「パルボンド」と「パルーブ」で販売している。 このように高い潤滑性を有するボンデ処理も、環境問題が大きく取りあげられる昨今、産業廃棄物の発生やエネルギーコストが問題視されるようになり、当社でも幾つかの環境対応技術を提案している。以下に、「これまで冷間鍛造を支えてきたボンデ」と現在実用化が進んでいる「これからの冷間鍛造を支える潤滑技術」について概説する。

 図 1にリン酸塩 /石鹸処理の標準工程を示す。処理方法としては、被処理物であるワーク形状により様々である。鍛造関係ではバレル処理やタクト・ディップ処理などが一般的である。バレル処理は、ワークを回転バレルにセットし回転させながら、順次各処理槽に浸漬して処理を行っていく。脱脂工程では、鋼材に付着した潤滑油、防錆油、また治具に付着した反応型石けん潤滑剤、その他の汚れを除去

する。脱脂剤には、通常は強アルカリタイプを使用する。ついで、酸洗工程でスケールを除去する。通常 50~70℃に加温した10~15%濃度の硫酸、または常温の 5~15%濃度の塩酸で酸洗する。化成処理は通常 80~85℃の処理液に 5~10分浸漬する。 リン酸塩処理は、素材の鉄をエッチング(溶解)させ(式 1)、その際の界面のpH上昇を利用し結晶性のリン酸塩、主にリン酸亜鉛(式 2)とリン酸亜鉛

2.ボンデ処理

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鉄(式 3)を皮膜として表面に析出させる化成反応であり、下記に皮膜生成反応を示す。(鉄の溶解) Fe+2H3PO4 → Fe(H2PO4)2+H2 ↑ (式 1)(ホパイトの析出) 3Zn(H2PO4)2 →  Zn3(PO4)2(皮膜成分)+4H3PO4 (式 2)(フォスホフィライトの析出) Fe(H2PO4)2 + 2Zn(H2PO4)2 →  Zn2Fe(PO4)2(皮膜成分)+4H3PO4 (式 3)(酸化・スラッジの生成) Fe(H2PO4)2 + NO2-+H+ →  FePO4(スラッジ成分)+H3PO4+H2O+NO-

(式 4)

 式 4に示すように、この工程では反応副生成物としてリン酸鉄がスラッジとして発生するため、生産ラインでは定期的にタンク清掃を実施して取り除いている。 生成するリン酸塩皮膜の重量は通常 5~15g/m2、厚みに換算すると 3~10 µm程度である。写真 1に皮膜のSEM像を示す。結晶サイズは大きなもので100 µmを超える。 化成処理の後は、十分水洗して中和する。中和は、次工程の石鹸処理液のpH変動を防ぎ、金属石鹸の生成量を安定させるために重要な工程である。リン酸塩皮膜は、それのみでは十分な摩擦低減効果がないため、上層に潤滑剤を付与する。一般的には、ス

テアリン酸ナトリウムをベースとした反応型石鹸潤滑剤が用いられる。石鹸皮膜の生成は皮膜のリン酸亜鉛の一部を溶解させて、金属石鹸を生成させるものである(式 5)。

 Zn3(PO4)2+6C17H35COONa →  3Zn(C17H35COO)2+2Na3PO4 (式 5)

 図 2に石鹸処理液のpHと金属石鹸の生成量の関係を示す。処理液の適切なpHは 9 付近で、pHが高くても、低くても生成量は減る。一般的には、金属石鹸、未反応石鹸ともに 3 ~ 8g/m2で使用される。また、石鹸処理後は十分な乾燥が必要で、乾燥が不十分であると最良の潤滑性が得られない。石鹸処理は通常75~85℃で 1~3 分浸漬するため自己保有熱で乾燥する品物もあるが、強制乾燥する場合は170℃以下で行う。

図1 ボンデ処理の標準プロセス 写真1 リン酸塩皮膜のSEM像

低← pH →高

低← pH →高

← 生

成量

 →

低← pH →高

低← pH →高

← 生

成量

 →

図 2 処理 pHと付着量の関係

 前記、工程で形成したボンデ皮膜の概念図を図 3に示す。 リン酸塩皮膜の上に金属石鹸、その上に未反応石鹸(ステアリン酸ナトリウム)が形成した三層構造である。最も下層のリン酸塩は素材との密着性に優れ、大変形する素材に追随して、金型とワークとの

焼付き(金属接触)を防止する。中間の金属石鹸層は摩擦係数を低減する働きを有している。上層の未反応石鹸は鍛造時に金型との離型性を向上させる他、皮膜処理後のワークがブロッキングするのを防止する作用がある。しかし、未反応石鹸層は脱落しやすく、型を詰まらせる原因にもなり易い。図 4は、

3.ボンデ皮膜の構造とその役割

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特集 潤滑プロセス最前線

リン酸塩 /石鹸皮膜の各層の効果を確認するために各層を除去して後方穿孔試験を行った結果である。潤滑性は穿孔深さと加工後の引き抜き荷重の関係で評価した。引抜き荷重が高くなった点で焼付きが発生したと判断する。金属石鹸層がない場合や未反応石鹸層がないと穿孔深さが浅い段階で焼き付きが発

生する。このように、リン酸塩 /金属石鹸 /未反応石鹸の3層全てが形成された皮膜構造が最も優れる。

図 3 ボンデ皮膜の構造と役割

図 4 石鹸皮膜の各層の効果

 抜本的な問題点としては、環境負荷が大きいということである。具体的には、①ゴミが多い、②エネルギーが多く必要ということである。昨今の環境保全の観点からは、時代遅れと言われても過言ではない。各工程から、実に多くの廃棄物(ゴミ)が排出される。ボンデ(化成)槽からは前述のスラッジが排出される。また、工程毎に水洗が必要であり、この水洗水にはリンや亜鉛等が含まれるため、そのまま放流することはできず、廃水処理が必要となる。昨今では排水も大きな廃棄物として考えなければならない。排水は、消石灰を用いた凝集沈殿にて清浄な

液と汚泥(これも一般にスラッジと呼ばれる)となる。清浄化した液は、河川や下水等に放流されるが、汚泥は産業廃棄物として投棄される。これら投棄されるスラッジを再利用する方法も検討され、一部、実用化しているが、産廃物の削減は環境保全の側面およびコスト低減の面からも大きな課題である。石鹸処理液も定期的に廃棄更新しなければならない。 また、現代の他の表面処理と比較すると処理温度が 80℃前後と高く、処理槽が大きいためにエネルギーコストはかなりのものである。

4.ボンデ処理の課題

 電解リン酸塩処理 e-Phos は、化成処理工程におけるスラッジの発生がない、革命的な技術である。電解リン酸塩は素材の鉄を溶解させずに皮膜を形成させるため、スラッジをなくすことができる。 図5に示すように材料を陰極とした電解法により、リン酸塩皮膜を析出させる。この方法では材料を陰極として電解処理するため、スラッジの発生原因である鉄は溶出しない。また、従来の反応型リン酸塩処理の課題の一つである、皮膜が形成し難い素材(難化成材)の上にも容易に皮膜を析出させることができる。更に、反応型では成し得ない緻密な皮膜を数

5.電解リン酸塩処理

図 5 電解リン酸塩皮膜の析出機構

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秒で形成でき、皮膜量は電気量で任意にコントロールできるなどの特徴がある。図 6、写真 2は、スチールコードの連続伸線ラインでの実用化例である。本

技術の適用で処理剤、水、エネルギーなどを含むトータルコストで35%の削減効果があったと報告されている2)。

 近年、地球環境の保護を目的にCO2 の排出規制及び人体、自然界に悪影響を与える化学物質の規制が強まっており、注目されている技術である。一工程型潤滑剤 PULS は、水系塗布型非反応タイプの潤滑剤で、皮膜は塗料のように簡便な塗布のみで形成させることができるため、潤滑処理工程でのスラッジを発生しない。図 7は部品の加工実績からボンデとPULS で加工可能な範囲を比較したものである。2000年当時と比較すると、現在では、その範囲を拡大しつつある3)。今後は、海外も含めて PULS が広く利用されるものと考える。 図 8には PULS の処理工程をボンデと比較して示

図 6 連続伸線ラインでの実用化例(ライン構成) 写真 2 連続伸線ラインでの実績

6.一工程型潤滑剤PULS

図 7 潤滑剤の適用範囲

図 8 潤滑処理工程の比較

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特集 潤滑プロセス最前線

す。従来実施していた脱脂や酸洗はショットブラストへ代替することで、常時廃水がなくなり、廃棄物の量は激減する。また、従来は潤滑処理済みのワークを中間在庫として常時保管する必要があったが、PULSは、ライン長が短く潤滑処理工程をプレスに直結できるため、リードタイムを短縮でき、中間在庫を不要にする。そして、これまでリン酸塩処理を行うための廃水処理や処理装置の設置スペースが確保できなかった工場においても潤滑処理が可能になる。 PULS は水溶性の処理液にワークを浸漬し、その後、付着させた潤滑剤の水分を揮発させることで成膜させる。図 9は成膜過程の概念図である。形成した皮膜は、素材側にベース成分が多く含まれ、外側は潤滑成分が多く含まれた傾斜型二層構造になる。ベース成分は素材との密着性が良く耐熱性に優れた無機物が主成分である。 写真 3に、ボール通し試験の結果をボンデと比較して示す。ボンデが12%の減面率から焼き付きを起こしているのに対して、PULS が焼き付き始める減面率は14%であり優れた耐焼付き特性を有していることが分かる4)。

 写真 4はプレス直結型のインライン型塗布装置である。例示の処理装置は、幅860mm×長さ1,600mm、総重量 200kg 以下で、複数のプレス間を簡単に移動できるようにキャスターが装備されている。

図 9 PULSの皮膜形成イメージ

写真 3 ボール通し試験結果

減面率,% 10 12 14加工荷重,kN 110 137 230内面焼付き面積率,% 0 20 40

ボール外観

ボンデ

加工荷重,kN 106 128 183内面焼付き面積率,% 0 0 10

ボール外観

PLUS

 潤滑処理は次のような流れで行われる。写真 5、図10は装置の構造を上から見たもので、ます、ベルト搬送式のインストッカーからワークが供給され、湯洗槽に入る。湯洗槽には六個のパレットが配備されており、3対のパレットが交互に昇降する。パレット 1、3、5 が上昇する時、パレット 2、4、6 は下に留まっており、この動作によりワークは次のパレットに送られる。次の動作はその逆になり、この繰り

7.一工程型潤滑剤の処理装置

写真 4 インライン型塗布装置 写真 5 装置概観

素材素材

薬剤塗布

素材

乾燥過程 完成皮膜

二層構造皮膜

水分揮発潤滑成分潤滑成分

無機系ベース成分

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返しで、ワークは 1から 6のパレットへと送られる。パレット 6でワークは 60℃まで加温され、パレット7の潤滑処理槽に入る。なお、ワークが各パレットに留まる時間は 5秒程度である。その後、液切りステージで余剰の潤滑液を切り、乾燥ステージで熱風により乾燥する。本装置のインストッカーへの投入数量は 1個~ 5個で、ワーク重量は500gまで対応可能であり、処理能力は月産20万個程度である。

 鍛造技術も進化し、ネットシェイプ化が進められている。ネットシェイプでは、潤滑剤のカスが金型に付着すると寸法不良の原因になるため、基本的な潤滑性を維持したまま潤滑剤のカスが金型に堆積しない潤滑剤が求められる。この課題はボンデ皮膜も同様に抱えている。図11は、型への付着性を評価する方法である。試験片を据え込み加工することで、

図10 装置の構造 5)

8.新たな技術課題への取り組み

下型

上型

試験片

潤滑剤付着カス

図11 潤滑剤付着試験

0

1

2

3

4

5

一工程型潤滑剤

潤滑

剤付

着量

[mg]

潤滑剤-A 開発薬剤潤滑剤-B

図12 金型への潤滑剤カスの付着量

熱と圧力を実際の加工環境に合わせることができる。評価は型に付着した皮膜重量で評価した。 図12に評価結果を示す。開発皮膜は型への皮膜成分の付着が極めて少ないことが分かる3)。この開発剤は実ラインでもその効果が確認されている。

日本パーカライジング株式会社 製品事業本部マーケティング部 塑性グループ     〒103-0027 東京都中央区日本橋 1-15-1     TEL. 03 -3278 -4357  FAX. 03 -4357 -4328   http://www.parker.co.jp/         

 環境問題が叫ばれる昨今、潤滑技術にも大きな変革が求められている。半世紀にも渡り、使い続けられて来たボンデ処理(リン酸塩皮膜 +石鹸処理)も代替の時期を迎えている。前述のように、環境負荷が少なく、生産コスト低減を可能にする技術が多々開発されているが、いずれの技術にも一長一短がある。いち早く生産に結びつけるためには各技術の特性を十分に理解した上で、求める加工に適切な方法を選定し、その技術に適した工程設計をすることであろう。

 参考文献1 )特許 235411 号,公告昭 32-3711

2 ) 小林直行,森山敦志,吉田昌之:日本パーカライジング技報,17(2000)3-9

3 ) 清水秋雄:日本パーカライジング技報,20(2008)33 -39

4 ) 吉田昌之,今井康夫,山口英宏,永田秀二:日本パーカライジング技報,15(2003)3-9

5 ) 浅野孝男:日本パーカライジング技報,21(2009)60 -62

9.まとめ