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【フォローアップの意義】 『多摩川水系河川整備計画』【直轄管理区間編】は、約2 年の歳月をかけ て様々な立場の人々が議論を重ね、平成13年3 月に策定された、河川法に 基づく計画です。 多摩川の整備・維持管理は、この河川整備計画に沿って実施しており、 その状況については、これまでも、多摩川流域懇談会が主催する多摩川流 域セミナーや多摩川流域懇談会運営委員会での意見交換、ホームページを 利用した情報の提供と意見の収集等を通じて、随時、フォローアップして まいりました。 京浜河川事務所では、河川整備計画に対するフォローアップの意義とそ の仕組みを次項のように考えます。 1 河川整備計画が目指す目標を具体化する施策の達成度や達成の方法 等を点検することで、その達成に向け責任を持って進捗させていく 仕組みをつくる。 2 河川整備計画策定プロセス時と同様に、点検の結果を市民に対し幅 広く説明し透明性を確保するとともに、多摩川流域セミナーなどい ろいろな機会を通じ市民と意見交換し、さらに多摩川流域委員会で の意見を聴きながら点検することで、河川整備計画のよりよい達成 を進める仕組みをつくる。 3 洪水等防止軽減水準の向上状況、流域の社会状況、自然状況などの 変化や、新たな知見、技術の進捗等は、河川整備計画の内容そのも のにかかわるため、絶えず監視を行い、その変化によっては必要に 応じ河川整備計画の見直しにつなげる仕組みをつくる。 4 フォローアップは持続させてこそ意味があり、継続してフォローア ップすることで改善につながる仕組みをつくる。なお、フォローア ップはまだ完成されたものでないので、試行錯誤を重ねながらより よい仕組みをつくる。 5 フォローアップの成果を積み上げていくため、適宣「多摩川水系河 川整備計画フォローアップレポート」を、河川整備計画の策定者で ある河川管理者が、前項を踏まえて作成する。 このフォローアップは、市民と行政との活発な意見交換をすることで、 より充実したものになると考えます。 多摩川水系河川整備計画 フォローアップの意義 フォローアップの流れ ●フォローアップレポート(たたき台) 多摩川流域懇談会が主催する 流域セミナーでの意見交換 HP等での意見募集 流域委員会での意見 いろいろな機会を じて意見をフォローアップレポ ートの作成 フォローアップレポ ートの作成 ※ 洪水等防止軽減水準の向上状況、流域の社会状況、自然状況、新たな 知見、技術の進捗等を監視し、必要に応じて計画の見直しを行います。 ※段階的なフォ ローアップは もちろん、日々 の様々な意見 交換の場も、ひ とつひとつが フォローアッ プと考えてい ます。 整備計画に基づ く整備・維持管理 の実施 整備・維持管理へ の反映・実施 整備・維持管理へ の反映・実施 多摩川らしく 美しい心安らかな水系 の実現 フォローアップレポート作 成過程での情報 提供と意見交換 フォローアップレポート作 成過程での情報 提供と意見交換 ※1フォローアップレポートの構成 多摩川水系河川整備計画 フォローアップの意義 ・多摩川水系河川整備計画の背景 ・計画の内容 ・平成 15 年度における社会状況・自然状況の変化 ・平成 15 年度の実施状況 ・多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み ・多摩川水系河川整備計画の見直しの考え方 ・多摩川水系河川整備計画の今後の方向性 ・巻末資料 ●フォローアップレポート(案) ※流域セミナー 意見と対応(案) 【巻末に追加】 ●フォローアップレポート ※意見と対応 【巻末に追加】

多摩川水系河川整備計画 フォローアップの意義 - MLIT › ktr_content › content › 000050876.pdf【フォローアップの意義】 『多摩川水系河川整備計画』【直轄管理区間編】は、約2年の歳月をかけ

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Page 1: 多摩川水系河川整備計画 フォローアップの意義 - MLIT › ktr_content › content › 000050876.pdf【フォローアップの意義】 『多摩川水系河川整備計画』【直轄管理区間編】は、約2年の歳月をかけ

【フォローアップの意義】

『多摩川水系河川整備計画』【直轄管理区間編】は、約 2 年の歳月をかけ

て様々な立場の人々が議論を重ね、平成 13 年 3 月に策定された、河川法に

基づく計画です。

多摩川の整備・維持管理は、この河川整備計画に沿って実施しており、

その状況については、これまでも、多摩川流域懇談会が主催する多摩川流

域セミナーや多摩川流域懇談会運営委員会での意見交換、ホームページを

利用した情報の提供と意見の収集等を通じて、随時、フォローアップして

まいりました。

京浜河川事務所では、河川整備計画に対するフォローアップの意義とそ

の仕組みを次項のように考えます。

1 河川整備計画が目指す目標を具体化する施策の達成度や達成の方法

等を点検することで、その達成に向け責任を持って進捗させていく

仕組みをつくる。

2 河川整備計画策定プロセス時と同様に、点検の結果を市民に対し幅

広く説明し透明性を確保するとともに、多摩川流域セミナーなどい

ろいろな機会を通じ市民と意見交換し、さらに多摩川流域委員会で

の意見を聴きながら点検することで、河川整備計画のよりよい達成

を進める仕組みをつくる。

3 洪水等防止軽減水準の向上状況、流域の社会状況、自然状況などの

変化や、新たな知見、技術の進捗等は、河川整備計画の内容そのも

のにかかわるため、絶えず監視を行い、その変化によっては必要に

応じ河川整備計画の見直しにつなげる仕組みをつくる。 4 フォローアップは持続させてこそ意味があり、継続してフォローア

ップすることで改善につながる仕組みをつくる。なお、フォローア

ップはまだ完成されたものでないので、試行錯誤を重ねながらより

よい仕組みをつくる。 5 フォローアップの成果を積み上げていくため、適宣「多摩川水系河

川整備計画フォローアップレポート」を、河川整備計画の策定者で

ある河川管理者が、前項を踏まえて作成する。

このフォローアップは、市民と行政との活発な意見交換をすることで、

より充実したものになると考えます。

多摩川水系河川整備計画 フォローアップの意義

フォローアップの流れ

●フォローアップレポート(たたき台)】

多摩川流域懇談会が主催する

流域セミナーでの意見交換 HP等での意見募集

流域委員会での意見

いろいろな機会を

通じて意見を収集

フォローアップレポートの作成

フォローアップレポートの作成

※ 洪水等防止軽減水準の向上状況、流域の社会状況、自然状況、新たな

知見、技術の進捗等を監視し、必要に応じて計画の見直しを行います。

※段階的なフォ

ローアップは

もちろん、日々

の様々な意見

交換の場も、ひ

とつひとつが

フォローアッ

プと考えてい

ます。 整備計画に基づ

く整備・維持管理

の実施

整備・維持管理へ

の反映・実施

整備・維持管理へ

の反映・実施 多摩川らしく

美しい心安らかな水系

の実現

フォローアップレポート作成過程での情報提供と意見交換

フォローアップレポート作成過程での情報提供と意見交換

※1フォローアップレポートの構成 ・多摩川水系河川整備計画 フォローアップの意義 ・多摩川水系河川整備計画の背景 ・計画の内容 ・平成 15 年度における社会状況・自然状況の変化 ・平成 15 年度の実施状況 ・多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み ・多摩川水系河川整備計画の見直しの考え方 ・多摩川水系河川整備計画の今後の方向性 ・巻末資料

●フォローアップレポート(案) ※流域セミナー 意見と対応(案)【巻末に追加】

●フォローアップレポート ※意見と対応 【巻末に追加】

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1

【河川法の歴史】 平成 9 年の河川法改正によって、「治水」「利

水」「環境」を総合的にとらえた「河川整備計

画」を策定することが義務づけられました。 河川に関する法律である「河川法」は、それ

までは、右の図のように、治水のみを取り扱

っていた時代、治水に利水が加わった時代、

と変化していき、平成 9 年に現行の法律にな

りました。

【河川法改正のポイント】 河川法改正で、大きく変わった点が 2 点あり

ます。 ◆右の図のように、「河川環境の整備と保

全」を河川法の目的として位置づけたこ

とです。 ◆新しい河川整備の計画制度を創設することが定められたことです。これが

「河川整備計画」です。この計画を作るときには、「地域の意見を反映させ

ること」が義務づけられました。

【多摩川での河川法改正の意味】 多摩川における河川整備は、これまで治水、利水の河川工事についての基本的

事項を示した「工事実施基本計画」(法定計画)に基づき、工事が実施されてき

ました。また、環境面においては、昭和 55 年に策定された「多摩川河川環境管

理計画」に基づき、多摩川の自然環境の保全、秩序ある利用が図られてきました。 平成 9 年の河川法改正を受けて、行政と市民が約 2 年の歳月をかけて議論を重

ね、関東でトップを切って平成 13 年 3 月に策定されたのが「多摩川水系河川整

備計画」です。

多摩川では行政と住民が一体となり、よりよい川づくり、まちづくりを推進し

てきたという歴史があります。多摩川水系河川整備計画の策定にあたっては、こ

うした背景のもと、市民も参加しながら、計画づくりが始められました。 整備計画は、市民、行政、河川管理者など多摩川に関わる様々な立場の人たち

と情報を共有し、意見交換を重ねながら、ステップ バイ ステップで策定されま

した。 この計画は、多摩川を愛する多くの人々によって支えられ、つくられてきたも

のです。立場の違う人達が集まり、同じ目線で話し合う形式は多摩川が初めての

試みです。

多摩川水系河川整備計画の背景(1)

「治水」「利水」「環境」の調和を図った法定計画です ステップ バイ ステップ みんなで創った計画です

河川制度の流れ

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2

計画対象区間は、多摩川の中でも国(国土交通省)が管理を行っている「直轄

管理区間」としています。下の地図の濃いブルーで示している部分です。 ただし、上下水道、地下水、氾濫流など、多摩川水系の河川水が関わる地域も

計画対象区間としています。 計画の対象期間は、およそ 20 年~30 年としています。

※白丸ダムについては、平成 14 年 4 月に事業を完了し、管理を東京都に移管

しました。

計画対象区間と期間

計画の対象区間と期間

多摩川水系河川整備計画の背景(2)

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3

多摩川の自然な流れや環境、河川敷の利用状況等を考慮しつつ、洪水を安全に

流せるように整備を行う目安となるのが、河岸維持管理法線(防護ライン)です。 「水の流れる場所はできるだけ堤防から遠ざけて、川の中心にあるべきだ」とい

うこれまでの考え方にとらわれず、河道断面に洪水を安全に流せるだけの深さや

幅が確保できる場合は、多摩川の自然な流れを生かした計画にしています。

防護ラインは堤防に近寄っているところ、離れているところがありますから、

それぞれの状態に応じて「重要度」を定めています。 下の表のように、防護ラインの位置と併せて、河川敷の幅や河川敷の利用状況

など、その場所に応じて維持管理の重要度も示しています。

河岸維持管理法線(防護ライン)を設定し、自然な川の流れを最大限尊重しました

計画の特徴~point1

多摩川の自然な流れを生かします。 堤防の重要度に応じて整備を実施します。

A原則として堤防法尻から40m未満

○設定した防護ラインが堤防に近いため、計画的な防護が必要な場所○設定した防護ラインが堤防に近くはない(堤防からの距離が、40m以上の場合)が、堰や橋梁等の周辺で堤防の防護が必要な場所とその周辺●原則として早急に必要な防護を実施

(特A)原則として堤防法尻から20m未満

○設定した防護ラインが堤防により近いため、計画的に強固な防護が必要な場所○設定した防護ラインが堤防に近く(堤防からの距離が、20m以上で40m未満の場合)、堰、橋梁等の周辺でもあるため堤防への影響を勘案し計画的に強固な防護が必要な場所○規模の大きい水門や樋管の設置されている場所●原則として早急に強固な防護を実施

B堤防法尻から40m以上

○河川敷が公園・グラウンド等に利用されている場所○河川敷の利用はないが、治水上の観点から低水路平面形状を維持する必要のある場所(浅川合流点付近など)●原則として河岸が削られてきた場合に防護を実施

C堤防法尻から40m

○河川敷の利用がなく、当面は低水路平面形状を維持する必要がない場所●原則として河岸が削られてきた場合に対策を実施

堤防計画がない区間

河川敷がない場合は河岸の上部。

河川敷があり利用がある場合はその前面とし、利用がない場合は河岸の上部。

○侵食による河岸の崩落の防止及び崩落による河道埋塞等を回避するための維持が必要な場所●原則として河岸の侵食により崩落の危険性が発生した場合に対策

を実施

堤防計画区間

区分にあたってのその他の留意事項

○重要度が著しく変化する箇所では、短い区間での重要度設定を行わずに、連続する一連区間として重要度を設定する。

防護必要幅

強固な防護

防護必要幅

将来の計画の中で掘削及び防護を実施

公園・グランド等の利用

HWL

河岸維持管理法線

河岸維持管理法線

公園・グランド等の利用

防護必要幅 自由な流れの変化を許容

河岸が洗掘されてきた場合に防護を実施

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多摩川の“自然環境の保全”と“秩序ある利用”を規定したものが「多摩川河

川環境管理計画」(略称「環管か ん か ん

計画け い か く

」)です。自然環境の保全と利用の調和を目指し、

人と川とがよりよい関係を結ぶために、3 つの基本方針を定めています。 1. 多摩川と市民とのふれあいの場を提供する。 2. 多摩川らしさを維持する。 3. 多摩川らしさを活用する。

昭和 55 年に、市民のみなさんとの対話を経た「多摩川河川環境管理計画」が策

定されました。「環管か ん か ん

計画け い か く

」では、多摩川の河口から万年橋までの区間を 5 つのゾ

ーンに分け、さらにその地域ごとの特性や市民の要望によって 8 つの機能空間区

分に分けて、利用と保全のルールを定めています。 「環管計画」は、河川整備計画の策定にあたって、その内容を時代の変化に対応

したものに見直し、その内容が「環境」の基本として、法定計画である河川整備計

画の中に位置づけられました。従来 5:5 であった自然系空間と人工系空間の比

率は、6:4 と改められ、より自然を重視した空間区分となりました。また、下

流部について、水面、水際部を対象として管理区分を設定しました。

河口から調布橋の区間は

ボート遊びや釣りが盛んな

ので、利用する人の安全と自

然環境を守るために、水面と

水際についてそれぞれ区分

を設定しています。 河川敷については、河口から万年橋までの区間を 5 つのゾーン、8 つの機能空

間区分に分けて、利用と保全のルールを定めています。

河川敷、水面、水際の空間を、機能に応じて区分しました

5 つのゾーン 8 つの機能空間区分

A 人工整備ゾーン B 施設利用ゾーン C 整備・自然ゾーン D 自然利用ゾーン E 自然保全ゾーン

① 避難空間 ② 地先施設レクリエーション空間 ③ 広域施設レクリエーション空間 ④ 運動・健康管理空間 ⑤ 自然レクリエーション空間 ⑥ 文教空間 ⑦ 情操空間 ⑧ 生態系保持空間

河川敷の区分

水面・水際の区分

水面・水際の区分の設定図

「多摩川河川環境管理計画」の基本方針

4

機能空間区分を設定し、河川の利用と保全のルールを定めました 計画の特徴~point2

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多摩川水系河川整備計画には、施設の整備などの「ハード面」の対策だけでは

なく、日々の管理や利用のルールづくり、情報提供システムの構築などの「ソフ

ト面」の対策も含まれています。 川づくりは、整備したものがきちんと機能する必要があるからです。 そのために必要なことを継続してやっていくのが維持管理です。

水位、流量、雨量、水質、地震等の河川に関連する情報のデータ収集を行い、

その情報を地域の住民の方々に提供する情報収集・提供システムを整えていきま

す。

たとえば Point.2 でご説明した「機能空間区分」については、人工系空間、自然

系空間それぞれで、次のようなルールを作りました。

川づくり全般の計画を定めました 計画の特徴~point3

多摩川水系河川整備計画は、維持管理も含めた計画です 空間利用のルールづくり

河川に関連する情報の提供

人工系空間 自然系空間

人工系空間(②、③、④空間)については、施設の管理者に対して、次のような審査、指導を行います。 1)万人が使える日々が適切にあること 2)裸地化を極力避けること 3)生態系および水質への悪影響が懸念される化学物質等は極力使用しないこと 4)多くの市民の要望を受けていること

自然系空間(⑤、⑥、⑦、⑧空

間)については、人や車の出入

りについて、管理方針を指導し

ていきます。

この他にも秩序ある利用のために 1)不法利用 2)不法行為 3)秩序ある水面利用 4)水難事故 5)不法放置船舶等 6)ホームレス(河川敷の野宿生活者) などの対策を推進します。

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戦後最大級の洪水を安全に流せるような整備を行い、人々の生命・暮らし・財産

を守ります。

●堰対策 堰による流れの阻害で河床に溜まった土砂をさ

らい、本来の河道断面に戻す工事を行います。また

抜本的な対策として、堰そのものについても検討を

行っていきます。

●河道掘削 多摩川本川では、各堰の対処を行い、堰上流部の

河道を広げ、溜まった土砂をさらいます。

●築堤対策と陸閘の解消 堤防の必要な高さや幅が不

足している区間については、

それを確保するよう努めます。

陸閘については解消し、築堤

していきます。

●樋門対策 築堤整備が必要な箇所に樋門がある場合には、築

堤にあわせて、この樋門の機能を保持する樋門対策

を行います。

●床止め対策 浅川では老朽化した床止めが阻害となり、土砂が

溜まっている箇所などがあるため、床止めの改築・

撤去・新設を実施します。

●高潮対策 河口から六郷橋(大田区仲六郷)までの区間において、高潮に対応した堤

防の整備等を実施します。

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(1)

計画の内容~action1

洪水対策には、洪水の流量を安全に流すことのできる河道を

整備すること(ハード対策)と、洪水がおこった場合にも被害

を最小限に抑えるようなしくみをつくること(ソフト対策)の

2 つがあります。 整備計画を実施するにあたって、ハード対策とソフト対策の

両面をそれぞれバランスよく行うよう配慮しながら取り組んで

います。

①河道断面を確保します

⑤広域防災対策を行います

防護ライン

①河道断面を確保します

③総合的な治水対策 を行います

洪水対策のイメージ

②堤防等の安全性を向上させます

①河道断面を確保します

④超過洪水対策を行います

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●堤防強化対策

堤防等の安全性向上対策とし

て、流水により浸透・浸食に対し、

堤防等を保護します。

●漏水対策 漏水は堤防の決壊につながります。その

ため、漏水のおそれのある部分の補強を行

います。

●水衝部対策 堤防崩壊の危

険性があるので、

水衝部(水が直

接当る部分)に

浸透・浸食が見

られる箇所の補

強を行います。

流域の保水・遊水機能を増進するとともに、緊急時に被害を最小にするよ

うなソフト対策を行います。

⇒ action5 参照

震災発生時に防災施設や被災地域等との確実な連絡を図るための緊急的な

輸送路として、緊急河川敷道路の整備を行います。 また、震災時の拠点ともなる地域防災活動拠点(洪水・高潮災害時には、

水防拠点及び河川防災ステーションとして機能)を東西方向の主要道路と緊

急用河川敷道路に整備します。

②堤防の安全性を向上させます ③総合的な治水対策を行います

④超過洪水対策(高規格堤防)を行います

⑤広域防災対策を行います

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(2)

計画の内容~action1

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① 災害時の情報(国土保全管理情報)を的確に集めます。

② 河川巡視、モニタリング活動により、異常の早期発見に努め、機動的な維

持管理を行います。

③ 河川管理施設の適切な操作を行い、機能を維持していきます。

④ 被災時における二次災害の防止に努めるため、平常時は被害軽減のための

洪水、高潮体制の充実を図っていきます。

⑤ 関係機関と連携して広域防災機能を強化します。

⑥ 災害時の情報提供体制の充実を図っていきます。

○洪水、高潮等による災害を防止、または被害を最小限におさえ

るために~治水に関する維持管理

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(3)

計画の内容~action1

水位・流量観測施設 雨量観測所 水質自動監視装置

河川巡視

防災ステーションの

イメージ図

水防訓練の 様子

京浜河川事務所内の災害対策室の様子

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多摩川への理解を深め価値を共有するため、多摩川流域リバーミュージアム計画

を実現します。 多摩川流域リバーミュージアムは、多摩川に対する理解不足から発生する環境

や景観の破壊、利用者同士の揉め事等を防ぐ上で、自然の実態、生態系、川にま

つわる歴史や文化など、多摩川の持つ価値を広く啓発していくために、多摩川水

系全体を博物館ととらえ、万人が多摩川の持つ価値を学習し、認識ができるよう

にするものです。

多摩川の生態系を回復させることを目的にして、環境整備に取り組みます。

・ ワンドの整備 ・ 魚道の整備 ・ リバービオコリドーの整備

⇒ action4 参照 多摩川が人と自然、人と人とのコミュニケーション空間となるような環境整備

をすすめます。 ・ 水辺の楽校 ・ 水辺再発見プロジェクト ・ 岸辺の散策路 ・ 川の一里塚 ・ 水と緑のネットワーク ・ 渡し ・ TRM情報拠点

高齢者や障害者の方にも、気軽に多摩川に訪れてもらうため、バリアフリー化

を推進します。 ・ 緩傾斜坂路(スロープ)

多摩川の歴史文化を多くの方に知ってもらうために、多摩川や流域の歴史・文

化の情報を収集し、多摩川への来訪者などへ積極的に提供していきます。 ・河川環境の秩序ある保全と利用、人と川とのふれあい機能を維持していきま

す。 ・多摩川流域の各主体が連携を図り、きめ細やかな河川管理をめざします。 ・河川環境管理計画を尊重した河川管理を行います。

多摩川流域リバーミュージアム(TRM)の実現に向けて、

生態系の回復、人と川のふれあい、福祉、歴史文化などのそれ

ぞれの視点から、整備や支援を行っています。 TRMを進めるにあたっては、市民のみなさんや流域自治体

との連携により「多摩川らしさ」を共有し、ひとつひとつの取

り組みを協働の精神で行っていくことが大切と考えています。

①豊かな自然を守るために~生態系保全回復関連対策

②きれいな水、安全な水をもとめて~水環境関連対策

③憩い、遊び、学べる川をめざして~人と川のふれあい関連対策

④多摩川をバリアフリーに~福祉関連対策

⑤文化を育んできた川だから~歴史文化関連対策

「多摩川流域リバーミュージアム」を実現します

計画の内容~action2

河川環境を保全するために~河川環境に関する維持管理

3 つの柱

①多摩川を学習や活

動のフィールドに

②多摩川ともっとも

っとふれあいたい

③多摩川をもっと知

りたい、知らせたい

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行政と住民が協力しあい、自然豊かな川づくりをめざします

多摩川流域の自治体・市民団体などさまざまな主体をリンクアップしなが

ら市民参加を支援します。 河川管理者、関係機関、自治体、学識経験者、自治会及び市民団体等が、そ

れぞれの役割を認識して有機的な連携を図りながら、河川管理をしていきます。

整備計画の策定は、住民や流域自治体と河川管理者が「協働」

してつくりあげました。 維持管理も、多摩川のよき伝統である「協働」の精神で行っ

ています。 また、維持管理は、平常時・非常時ともに適切かつ機動的な

対応をとることを努めています。

協働の維持管理をめざします

計画の内容~action3

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多摩川流域の水の循環を解明するため「水流実態解明プロジェクト」を推進します。 現在の多摩川の水量・水質の変化や、水の利用状況等を調査・研究し、

その実態を明らかにする目的で行われるのが、「水流実態解明プロジェク

ト」です。 多摩川の水を今後も利用し続けていくためには渇水時の対策や、雨水の

地下への浸透による保水、地下水の保全、湧水の保全等が必要となってき

ます。それを円滑に行うには、森林保護・育成し、できる限り地面が水分

を吸収できる環境をつくらなくてはなりませんし、都市部や住宅地におい

ては、浸透舗装や浸透マス・浸透トレンチ等を設置することで、地下への

雨水の浸透を促す必要があります。 本プロジェクトでは次のような調査が予定されています。 ① 河川流量の挙動調査 ② 支川・水路の流量調査及び湧水実態把握 ③ 水利用の実態調査 ④ 地下水位の実態 ⑤ 本支川浄化機能の総合的評価調査 ⑥ 面源負荷状態挙動調査 ⑦ 有害化学物質、病原性微生物の実態調査 ⑧ 生物状態調査 ⑨ 処理水流下状態挙動調査 これらの調査結果に基づいて、多摩川や本来の豊かで清らかな流れに戻す

ための整備や管理が行われます。 また、「総合的流水管理対策」を、地域住民、関係自治体、関係機関等と一体となり、推進していきます。

流域の雨水浸透機能の保全・回復、地下水の保全、湧水の保全・回復、

異常渇水に対する備え、地震発生後における防災用水としての河川水の有

効利用、及び水路網の復活などを総合的に考慮して対策していきます。

「水流実態解明プロジェクト」では、水流の実態を明らかに

するとともに、多摩川の水に対する沿川住民のみなさんの要望

をできる限りかなえることも重要と考えています。 ここでも「協働」の精神にのっとり、流域の意向アンケート

や水流解明キャラバンなどの取り組みを市民のみなさんや流域

自治体と協力して行っています。

水流実態解明プロジェクトで水流の調査・研究を行います

計画の内容~action4

水流実態解明プロジェクトの進め方

水流実態の把握

目指す水量・水質の検討

自治体のすす

める現在の施

策を踏まえた

「流域の可能

性」の把握

各流域単位で

考えられる施

策メニューの

検討

長期目標

に必要な

施策メニ

ュー

20~30 年

後の目標に

必要な施策

メニュー

多摩川として有すべき 水量・水質の設定

長期

目標

20~30 年

後の目標

産・官・学・民一体となって取り組む

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超過洪水対策(高規格堤防)を行います。 超過洪水とは、計画の規模を上回る洪水のことで、これに対する対策とし

て高規格堤防(スーパー堤防)の整備があげられます。 首都圏を壊滅的な被害から守ることを目的としたスーパー堤防は、河口か

ら左岸・丸子橋、右岸・第三京浜多摩川橋梁付近までは推奨区間として、ス

ーパー堤防とまちづくりの一体的整備について提案や検討を進めていきます。

また、その上流から日野橋までは候補区間として、地域のまちづくりの機運

などを勘案し、検討を進めます。

平成 13 年 2 月に策定された『多摩川沿川整備基本構想』に

示されている「推奨区間」と「候補区間」で、洪水や地震に強

く、また水と緑に親しむことのできる水辺空間を創造すること

ができるスーパー堤防の整備を進めています。 すでに施工している区間もありますが、今後整備の必要な区

間では、市民のみなさんや関係者へのサポートを行うための

「まちづくりサポートシステム」の設置を行い、勉強会などを

実施しています。

スーパー堤防の整備を進めます

計画の内容~action5

第三京浜多摩川橋梁

丸子橋

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多摩川の流域は、東京都の 26 市区町村、神奈川県川崎市の 6 区、山梨県の 1

市 2 村にまたがっています。多摩川流域が含まれる市区町村の人口総数は、昭和

50 年までは急増しましたが、高度成長期が終わった昭和 50 年代以降は穏やかな

伸びになっています。多摩川水系河川整備計画が策定された平成 13 年 3 月から

平成 16 年 3 月までの 3 年間で、人口は約 2.7%増加しています。

平成 15 年 6 月に、著しい浸水被害が発生するおそれがある都市部を流れる河

川及びその流域について、総合的な浸水被害対策を講じるため、流域水害対策計

画の策定、河川管理者による雨水貯留浸透施設の整備、雨水の流出の抑制のため

の規制、都市洪水想定区域等の指定・公表等の新たな法制度「特定都市河川浸水

被害対策法」を施行しました。 京浜河川事務所では、管内の鶴見川について、この新法への対応について検

討を進めているところです。

平成 15 年度における社会状況・自然状況等の変化(1)

社会情勢の変化

人口の推移 特定都市河川浸水被害対策法の施行

H12.9 東海豪雨で破堤した新川(西枇杷島町)

東海豪雨で水没した自動車

写真:内閣府防災担当のホームページ

多摩川流域が含まれる市区町村の人口の推移

資料:「全国市町村要覧」各年3月31日現在の値

5,382,625 5,422,675 5,464,789 5,529,305

0

1,000,000

2,000,000

3,000,000

4,000,000

5,000,000

6,000,000

H13.3 H14.3 H15.3 H16.3

流域

市町

村の

人口

合計

(人

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【平成 15 年度に実施した洪水対策の体制】

平成 15 年 8 月(台風 10 号)出水および平成 15 年 8 月(前線豪雨)出水の際、

京浜河川事務所が関係機関と連携を図った対応について紹介します。

● 平成 15 年 8 月台風 10 号 <雨の状況>

・ 8 月 8 日から降り始め、多摩川の檜原地点では総雨量 170mm となりました。

<出水の状況>

・ 多摩川の田園調布(上)観測所で、9 日 16 時に通常時より 1m程度高い A.P.+4.33mを

記録しました。

<洪水対策の体制>

・ 京浜河川事務所では、管理する多摩川等の河川の水位状況等を

監視するため、8月 8日 17:00 から注意体制に入り、対応にあ

たりました。

・ 各河川の水位が低下した 9 日 19:00 に注意体制を解除しまし

た。

<河川情報の提供>

・ 京浜河川事務所ホームページでは、台風 10 号に関する情報を

8 日 18:00 から雨量・水位・ライブカメラ画像等をリアルタ

イムで提供しました。

・ 八王子駅前の河川情報板でも、8 日 21:00 で通常放送から洪

水時の放送に変更し、出水に関する情報提供(ニュース、天

気予報、各観測所の水位など)を行いました。

●平成 15 年 8 月前線豪雨 <雨・出水の状況>

・ 8 月 14 日 0 時に降り始めた雨は、17 日朝まで降り続き、鶴見川流域での累加雨量は 283mm

を超えました。

・ この降雨により、多摩川の田園調布(上)観測所で、指定水位を上まわる出水となりまし

た。

<洪水対策の体制> ・ 京浜河川事務所では 15 日 5 時から注意体制に入り、8 時 20

分には警戒体制に移行し、出水状況の監視を行いました。

・ 監視を行う中で、水位の上昇した多摩川・鶴見川において水

防警報を発表し、水防管理団体への指示を行いました。

・ 15 日 15 時には、警戒体制から注意体制に移行し、各河川の

水位が低下した 16 日 3 時には体制を解除しました。

自然の状況

平成 15 年度における社会状況・自然状況等の変化(2)

京浜河川事務所のホームページでライブカメラの映像と、雨量・水位の

グラフをリアルタイムで確認できます。 事務所ホームページトップページアドレス

http://www.keihin.ktr.mlit.go.jp 災害情報ページアドレス

http://www.keihin.ktr.mlit.go.jp/calamity/index/index.html

国土交通省河川局のホームページ http://www.mlit.go.jp/river/においても水情報国土 川の防災情報 http://www.river.go.jp/ で全

国のリアルタイム雨量・水位などの情報を提供しています。

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【水質の状況】 ・これによると、近年はいずれの地点でも環境基準値を満足しています。

【動植物の状況】 ・ 多摩川での動植物の確認状況は、最新データ(平成 9 年度から平成 15 年度

の調査結果)では、次のとおり確認しております。

分類 確認種 魚類 61 底生動物 322 植物 917 鳥類 119 両生類 9 爬虫類 8 哺乳類 13 陸上昆虫等 988 ※ 巻末資料に、平成 15 年度の調査項目である 陸上昆虫等のデータを添付しております。

各調査の最新データ

カワラノギク カワラハハコ

カワラバッタ

平成 15 年度における社会状況・自然状況等の変化(3)

自然の状況

国土交通省河川局のホームページ http://www.mlit.go.jp/river/における、水情報国土 http://www.mlit.go.jp/river/IDC/index.htmlでは、 ・川の防災情報 http://www.river.go.jp/ で全国のリアルタイムの 水質も提供されています。

・水文・水質データベース http://www1.river.go.jp/ で、 雨量、水位、流量、水質、底質、地下水位、地下水質、積雪深、

ダム堰等の管理諸量、海象のデータを公表しております。 ・河川環境データベース

http://www.mlit.go.jp/river/IDC/database/databasetop.html では、河川水辺の国勢調査の調査結果について、調べることが できます

京浜河川事務所のホームページ http://www.keihin.ktr.mlit.go.jp でも、

動植物図鑑 http://www.keihin.ktr.mlit.go.jp/illustrated_book/index.htmにて、多摩川(鶴見川・相模川)の鳥類図鑑・魚類図鑑・植物図鑑を見る

ことができます。

主要地点水質経年変化図(BOD75%値) 水系名:多摩川

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

S34

S36

S38

S40

S42

S44

S46

S48

S50

S52

S54

S56

S58

S60

S62 H1

H3

H5

H7

H9

H11

H13

H15

[年]

BOD75%値

[mg/l]

多摩川-拝島橋(環境基準値A)多摩川-多摩川原橋(環境基準値B)多摩川-田園調布堰(上)(環境基準値B)多摩川-大師橋(環境基準値B)

← 環境基準値 B(3mg/l) ← 環境基準値 A(2mg/l)

(BOD75%値)

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平成15年度の実施状況

構成と記述内容について

平成 15 年度までの実施内容 整備計画における具体的なメニューである『第 2 章河川整備の実施に関す

る事項』の本文と、『多摩川水系河川整備計画』策定後の平成 13 年度から平

成 15 年度までの実施状況をとりまとめたものです。(平成 15 年度分は文字を

強調しています。)なお、実施項目の記述に当たっては、工事や業務の完成を

基本に取りまとめています。 また、整備計画が策定されてから未着手となっている項目については、『整

備に着手できない理由』を記入しています。

平成 15 年度までの実施項目一覧表 整備計画における具体的なメニューである『第 2 章河川整備の実施に関する

事項』に記載されている一覧表の部分について、『多摩川水系河川整備計画』

策定後の平成 13 年度から平成 15 年度までの実施状況をとりまとめたもので

す。

平成 15 年度の実施状況の評価 平成 15年度までの実施内容に記載されている平成 15年度の実施内容に関す

る主な取り組みについて、実施した内容をわかりやすく説明できるよう必要

性・重要性などを記載し、達成の状況や効果などについて詳細に説明し評価し

たものです。

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第2節 河川工事の目的、種類及び施行の場所並びに当該河川工事の施行により設置される河川管理施設等の機能の概要第1項 洪水、高潮等による災害の発生の防止又は軽減に関する事項

本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

  災害の発生の防止又は軽減のための河川整備については、流域の社会情勢、気候の変化を踏まえた継続的な流域と河道のモニタリングを実施しながら、その結果を踏まえて、要対策箇所や対処方策を見直しつつ、整備計画目標流量を安全に流下させるための対策及び高潮対策を実施する。

継続的なモニタリングの実施と整備計画流量の安全な流下への対策

・流域の社会的な情勢も把握する河川現況調査の実施

・河道内の形状をモニタリングするため直轄管理区間の縦横断測量の実施(平成13年度・平成15年度)

・空中写真による河道現況の把握(平成13,14,平成15年度)

 これらの対策にあたっては、地震防災のため構造物の耐震化等を図る。

地震災害に向けた対策 -

・整備計画では『整備計画目標流量を安全に流下させる』ことを優先的に整備することとし、構造物の耐震化等は、新たに構造物を設置する場合または、老朽化等による改築等を行う場合に考慮する予定。

  また、整備計画目標流量が安全に流下することが可能な河道断面積が確保されている場合については、原則として低水護岸等の河川工事は行わないこととする。

さらに必要に応じ、河川工事を行う場合については、水際の多様な環境に十分配慮した対策を行う。

環境に配慮した対策

・護岸工事などを実施する際には、かごマットや長尺土嚢群の採用や、現地の河床材料を利用した護岸の目隠しなどの多自然型川づくりに積極的に取り組んだ。 (平成15年度も引き続き取り組んだ。)

 加えて、堤防については、既設の堤防及び護岸の構造、質的状況等を調査するとともに、築堤や堤防強化対策が必要となる場合には、堤防法面を表のり裏のりとも一枚のりとし、浸透、侵食、越水及び地震に対する技術検討を加え、安全性を向上させた信頼性の高い構造とする。

現況施設の評価とその対策・河川堤防設計指針等の技術指針に基づき、現況堤防の安全性評価に取り組み、整備優先順序、対策工等を検討 (平成15年度も引き続き検討を実施)

 整備途上段階での安全度の向上を図るため、小河内ダム等の既存施設の有効利用を図るとともに、流域内の洪水調節施設の設置についても調査・検討を行う。

既存施設の活用と流域の総合的治水対策

-・整備計画の治水の目標である戦後最大規模の洪水を安全に流すための整備を優先的に行い、洪水調節施設等については今後検討を進める。

平成15年度までの実施状況

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(1)多摩川本川①河道断面の確保対策

本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 戦後最大規模(整備計画目標流量規模)の洪水を安全に流下させるため施設管理者と連携して堰の対処及び堰上流部の河道掘削・浚渫等を行う河道断面確保対策を推進する。

堰対策及び河道掘削・浚渫

・四谷本宿堰については、平成13年9月台風15号による出水で被災したため、応急復旧を実施(平成14年3月~平成14年6月)。引き続き、平成15年3月から河床安定対策として、当該施設を床止施設とし、併せて河道断面を確保。 平成15年度には、平成14年から施工している堰右岸側護岸の整備が完了し、堰左岸側護岸の整備に着手し、護岸整備が完了した。 ・多摩川全川の土砂移動を勘案した河道の計画・管理の観点から学識者や専門家を交え検討。 (平成15年度も引き続き検討)

特に、多摩川本川の中で、氾濫域が大きく、狭窄部で土砂の堆積により河道断面積が不足している石原地点周辺の流下能力を確保するために、直下流の二ヶ領上河原堰の対策を早急に行い、当該区間の河道掘削・浚渫等を行う。

二ヶ領上河原堰の対策及び当該区間の河道断面確保対策

・上記の(土砂移動を勘案した)検討において、早急に対策する必要がある二ヶ領上河原堰及び石原地区について先行して検討。 (平成15年度も引き続き検討)

また、その他の堰については、阻害率、治水効果、上下流のバランスを総合的に勘案し順次その対処を行う。

・多摩川全川の土砂移動を勘案した河道の計画・管理の観点から学識者や専門家を交え検討。

なお、予期しない災害が発生した場合には、その堰の対策を緊急に講じる。

・四谷本宿堰については、平成13年9月台風15号による出水で被災したため、応急復旧を実施(平成14年3月~平成14年6月)。引き続き、平成15年3月から河床安定対策として、床止施設を整備。(平成15年度床止施設完成予定)

・平成15年度には、平成14年から施工している堰右岸側護岸の整備が完了し、堰左岸側護岸の整備に着手し、護岸整備が完了した。

 堤防の必要な幅や高さが不足している調布市多摩川地先等の区間においては、河川管理施設等構造令等を踏まえて築堤を実施する。

河川管理施設等構造令を踏まえた築堤の実施

-・周辺の利用状況や緊急性を踏まえ、他の対策との優先順位などを考慮しつつ地域との調整を図りながら整備を行う予定。

 また、上丸子陸閘等の陸閘については、その解消を図る。 陸閘の解消

・丸子橋の整備に伴う坂路整備で川崎市の許可工事で上丸子陸閘を解消。

 洪水を安全に流下させる観点から著しく治水上の支障となる橋梁や、老朽化等により機能に不安のある樋門等については、施設管理者に対し適切な対処を行うよう指導する。

治水上の支障となる河川管理施設の改善の指導

・出水期前に従前どおり、占用者等と履行検査を行い、指導を行う。 (平成15年度も継続して実施)

 また、高潮の発生による災害の防止又は軽減のため、河口から六郷橋までの高潮区間において高潮堤防の整備等必要な対策を実施する。

高潮災害の防止・軽減に必要な対策

-・背後地の利用状況などを考慮し、他の対策との優先順位を考えながら整備を行う予定。

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②堤防等の安全性向上対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 河川の流況等により堤防防護に必要な河川敷幅が確保できない川崎市戸手地先や、高速流の発生により低水部の洗掘のおそれがある稲城市大丸地先等においては、水衝部・洗掘対策として強固な低水護岸等の対策を行う。

堤防防護に必要な水衝部・洗掘対策

・河川堤防設計指針等の技術指針に基づき、現況堤防の安全性評価に取り組み、整備優先順序、対策工等を検討。 (平成15年度も引き続き検討)

・多摩川全川の土砂移動を勘案した河道の計画・管理の観点から学識者や専門家を交え検討。 (平成15年度も引き続き検討)

・平成15年度より、多摩川堤防侵食集中対策として、多摩川でも特に被災が集中している中流部において侵食による破堤災害を防ぐための堤防と河岸を強化するプロジェクトをスタートし、日野市(右岸40k付近)の整備を実施。

・高津区久地(18.8k付近)稲城市大丸(30k付近)において水衝部対策を実施

また、国立市谷保地先など過去の洪水の実績等により漏水のおそれがある箇所及び浸透・侵食等に関した堤防の点検により対策が必要となる区間については、堤防強化対策や漏水対策を実施する。

漏水実績及び堤防点検結果を踏まえた堤防強化対策・漏水対策

・河川堤防設計指針等の技術指針に基づき、現況堤防の安全性評価に取り組み、整備優先順序、対策工等を検討。 (平成15年度も引き続き検討)

・多摩川全川の土砂移動を勘案した河道の計画・管理の観点から学識者や専門家を交え検討。 (平成15年度も引き続き検討)

・平成15年度より、多摩川堤防侵食集中対策として、多摩川でも特に被災が集中している中流部において侵食による破堤災害を防ぐための堤防と河岸を強化するプロジェクトをスタートし、日野市(右岸40k付近)の高水護岸整備を実施。

・稲城市大丸(右岸30k付近)では、築堤と併せて高水護岸を整備。

・災害復旧により、多摩市関戸(右岸35k付近)の高水護岸を整備。

 なお、堤防等の安全性向上にあたっては、全川にわたり、必要性、緊急性、利用面、景観及び環境面等を総合的に判断して必要な堤防強化対策を行う。

全川にわたる堤防強化対策の必要性の検討及び整備

・河川堤防設計指針等の技術指針に基づき、現況堤防の安全性評価に取り組み、整備優先順序、対策工等を検討 (平成15年度も引き続き検討)

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③総合的な治水対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

  人口、資産が極めて高度に集積し都市化の進展した本川流域の特性に鑑み、流域の保水・遊水機能の保全・改善対策の支援を行うとともに、警戒避難体制や情報伝達の充実、土地利用の適正化誘導、住まい方の工夫、越水しても被害を最小限にする対策及び防災教育等を関係機関や地域住民等と連携して推進する。

ソフト対策を含む総合的な治水対策

・出水時の情報伝達の手段として、二ヶ領宿河原堰(平成13年度)に河川情報板を設置、さらにホームページを充実。・平成15年5月、八王子駅前に河川情報板を設置 (平成16年11月、川崎駅でも河川情報板の運用を開始)

・平成13年度より出水時に河川情報等を自動的にメール配信するマルチコールのサービスを開始。

・平成14年度には多摩川浸水想定区域図を公表。

④超過洪水対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 破堤による流域の壊滅的な被害を回避するなど危機に備えたまちづくりを積極的に支援するため、超過洪水対策を推進する。

超過洪水対策の推進・超過洪水対策として、高規格堤防を促進。 (平成15年度も引き続き促進)

特に、首都圏の壊滅的な被害の防止のため設定した河口から日野橋までの高規格堤防整備対象区間(支川背水区間を含む)に関しては、河口から左岸・丸子橋、右岸・第三京浜多摩川橋梁付近までを「推奨区間」として、高規格堤防整備とまちづくりの一体的整備について、まちづくりの構想を提案や検討を進める。

高規格堤防整備推奨区間における整備構想の提案及び検討

・平成13年度及び平成14年度の高規格堤防の実施箇所については、4箇所(古市場地区・下丸子地区・大丸第2地区・矢野口地区)で整備を継続。このうち、古市場地区及び下丸子地区が推奨区間

・平成15年度は、古市場地区(平成16年9月完成)・下丸子地区・矢野口地区・大丸第2地区の整備を継続するとともに、大師河原地区・東町地区(平成16年12月完成)の整備に着手。このうち、大師河原・下丸子・古市場地区が推奨区間。

その上で、整備に向けての機運を高めていくとともに、関係者の合意が得られた地区について整備を推進する。

・高規格堤防に関するパンフレットを製作し配布。

・二子玉川地区においてサポートシステムを設置、地元での勉強会等を実施。

また、その上流から日野橋までは「候補区間」とし、地域のまちづくりの機運や諸動向を勘案し、まちづくりとの一体的な整備の検討を進める。

高規格堤防整備候補区間における整備構想の提案及び検討

・多摩川下流沿川の都市再生について検討委員会を開催し多摩川下流都市再生の構想を提案。

その上で、関係者の合意が得られた地区について整備を推進する。

高規格堤防整備候補区間における整備の推進

・平成13年度及び平成14年度の高規格堤防の実施箇所については、4箇所(古市場地区・下丸子地区・大丸第2地区・矢野口地区)で整備を継続。 このうち、古市場地区及び下丸子地区が推奨区間

・平成15年度は、古市場地区(平成16年9月完成),下丸子地区,矢野口地区,大丸第2地区の整備を継続すると伴に、大師河原地区,東町地区(平成16年12月完成)の整備に着手。 このうち、大師河原,下丸子,古市場地区が推奨区間。

 なお、高規格堤防の整備にあたっては、市街地整備との綿密な連携を図るために、計画づくりのための連絡調整を図る「多摩川沿川整備協議会」の設立運営やまちづくりボランティア活動との連携を図るとともに減災型まちづくり対策の支援を行う。

「多摩川沿川整備協議会」設立運営及び減災型まちづくり対策の支援

・多摩川下流都市再生構想で防災についての位置付け。

・大師河原地区において、河川防災ステーションの整備に着手。

20

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⑤広域防災対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 多摩川流域では、人口、資産等の集積が進んでいるために、ひとたび洪水等により破堤した場合には、甚大な被害が想定される。また、多摩川流域のほとんどは「南関東地域直下の地震により著しい被害を生じるおそれのある地域」に指定されており、大規模な地震による河川管理施設や流域市街地の被災が想定される。

このため、震災発生時に防災施設や被災地域等との確実な連絡を図るための緊急的な輸送路として、河川環境に配慮しつつ緊急用河川敷道路の整備を行う。

緊急河川敷道路の整備

・緊急用河川敷道路における緊急整備区間(左岸:多摩川大橋~是政橋 右岸:多摩川大橋~二子橋)の整備を推進。 緊急用河川敷道路の表面には土を被せ芝を張るなど、平常時における周辺環境に配慮し、平成13.14年度で1,140mを整備しました。 平成15年度も引き続き、約600mの整備を実施。

また、洪水、高潮時には氾濫被害を最小限に抑える活動拠点となり、震災時には被害の円滑な復旧・復興の支援拠点となる地域防災活動拠点(水防拠点及び河川防災ステーション)を整備する。

地域防災拠点の整備

・平成14年度より、大師地区スーパー堤防整備と併せて防災拠点の整備を検討。・平成15年3月末、大師河原河川防災ステーションが河川局長より承認される。これにより用地買収に着手。・大師河原地区スーパー堤防整備との一体整備を促進。

なお、地域防災活動拠点の整備にあたっては、関係自治体と連携を図るとともに、東西方向の主要道路と緊急用河川敷道路の結節点周辺部等を候補地とし、高規格堤防の整備等に併せた効率的な整備を推進する。

高規格堤防等の整備等に併せた効率的な地域防災活動拠点の整備

・平成14年度より、大師地区スーパー堤防整備と併せて防災拠点の整備を検討。・平成15年3月末、大師河原河川防災ステーションが河川局長より承認される。これにより用地買収に着手。・大師河原地区スーパー堤防整備との一体整備を促進。

 さらに、緊急車両が堤防上を往来可能とするための車両交換場所等の整備を推進するとともに、海上から多摩川を通じた物資の搬入・荷揚げを可能とする緊急用船着場の整備や、航空輸送を行うための河川敷ヘリポートなど陸上輸送の代替手段確保のための施設整備を推進する。

車輌交換場所の整備、緊急用船着場の整備、河川敷ヘリポートの整備

・平成14年度より、大師地区スーパー堤防整備と併せて防災拠点の整備を検討。・平成15年3月末、大師河原河川防災ステーションが河川局長より承認される。これにより用地買収に着手。・大師河原地区スーパー堤防整備との一体整備を促進。

 越水による洗堀の防止や氾濫流による破堤部の拡大防止など減災対策として、樹林帯を整備する。

減災対策としての樹林帯整備 -・堤防背後地の利用状況、他の対策との優先順序等を考慮しながら対策を行う予定。

また、八王子市高月地先及び羽村市羽中地先から羽村市羽地先においては、霞堤により遊水する地区として、遊水機能の確保を前提とした土地利用誘導等の施策を関係自治体と連携して行う。

遊水機能の確保を前提とした土地利用誘導

-・他の対策との優先順序等を考慮しながら、具体的な施策について検討を進める。

 河川情報を瞬時に把握し、防災活動の初期から的確かつ迅速な対応を可能とするため、光ファイバなどを用いた情報通信機能を整備するとともに高度情報機器を配備し、防災機関、沿川自治体等との双方向の情報交換も含めた情報収集提供体制の充実を図る。

情報通信機器の整備、高度情報機器の配備による情報収集提供体制の充実

・CCTVカメラ、情報コンセント及び水位データのリアルタイム観測の整備、二ヶ領宿河原堰に河川情報板設置。(平成13年度)

・浅川においてもCCTVカメラ、情報コンセント及び水位データのリアルタイム観測の増設。(平成14年度)

・CCTVカメラ、情報コンセントの増設

・平成15年5月、八王子駅前に河川情報板を設置し、運用開始。 (平成16年11月、川崎駅でも河川情報板の運用を開始)・無線LANによる情報提供の試験施工開始

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(2)浅川①河道断面の確保対策

本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 戦後最大規模(整備計画目標流量規模)の洪水を安全に流下させるため、石田床固や長沼床固等の河川管理施設の改築・撤去、及び長沼床固上流部等での河道掘削を行う。

床固め等の河川管理施設の改築・撤去及び河道掘削

【床固対策として】・百草床固の改築(平成12年度完了)・新井床固、石田床固の撤去(平成14年度完了)・長沼床固切り下げ(平成15年6月完了)、西平山床固切り下げ (平成16年3月完了)により、浅川緊急改修の床固対策の完了。

【湯殿川、山田川の合流点処理として】・湯殿川床固、山田川床固を設置(平成14年度完了)

【低水護岸整備として】・長沼床固~山田川合流点間の約1600mの低水護岸整備を一部完成。平成15年度に日野市西平山地先を整備し、浅川緊急改修の低水護岸整備が完了。・多摩川合流点~ふれあい橋下流までの約1600mの低水護岸(平成14年度完成)

【河道掘削として】・多摩川合流点~ふれあい橋下流までの河道掘削(平成14年度完了)長沼床固~山田川合流点間の河道掘削については、今後土砂の移動をモニタリングしながら必要に応じて実施。

また、流域の地層は上総層群の分布により、河道においていわゆる土丹の露出している箇所が見られるため、これを考慮した河床変動調査による将来河床の予測や侵食、剥離、水跳ね等を考慮した河床安定対策等を検討し、適切な対処を行う。

将来河床の変動状況の予測及び河床安定対策等の検討

・定期縦横断測量の実施(平成13年度,平成15年度)・空中写真による河道現況の把握(平成13年度,平成15年度)

  堤防の必要な幅や高さが不足している日野市新井地先等の区間においては、河川管理施設等構造令等を踏まえて築堤を実施するとともに、築堤に伴って改築が必要な樋門については、施設管理者と協議の上、新設、改築又は撤去する。

河川管理施設等構造令を踏まえた築堤とそれに伴う樋門の新設・改築・撤去

・日野市西平山と八王子市北野町の無堤区間の築堤(平成16年3月完了)

・日野市西平山地先の上村用水樋管を撤去し、八王子市北野町地先の川北用水樋管に統廃合し改築(平成16年3月完了)

 洪水を安全に流下させる観点から著しく治水上の支障となる橋梁や老朽化等により施設の安全性が確保できない樋門等については、施設管理者に対し適切な対処を行うよう指導 する。

治水上の支障となる河川管理施設の改善の指導

・出水期を前に従前どおり、占用者等と履行検査を行い、指導を行う。(平成15年度も継続して実施)

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②堤防等の安全性向上対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 高速流の発生により低水部の洗掘のおそれがある日野市石田地先等において、水衝部洗堀対策として強固な低水護岸等の対策を行う。

強固な低水護岸等による水衝部洗掘対策

・長沼床固~山田川合流点間の約1600mの低水護岸整備を一部完成。平成15年度に日野市西平山地先を整備し、浅川緊急改修の低水護岸整備が完了。・多摩川合流点~ふれあい橋下流までの約1600mの低水護岸整備を一部完成。(平成14年度完成)

また、築堤に伴い、日野市高幡地先等の区間において高水護岸の整備を行う。

築堤に伴う高水護岸の整備

・南平地先において、築堤及び高水護岸整備を実施。(平成13年度完了)

・元横山地先において、築堤及び高水護岸整備を実施。(平成16年6月完)

・日野市西平山,八王子市北野町の無堤区間の築堤と併せて高水護岸を整備。

 なお、堤防等の安全性向上にあたっては、全川にわたり、必要性・緊急性・利用面・景観及び環境面等を総合的に判断して必要な堤防強化対策を行う。

全川にわたる堤防強化対策の必要性の検討及び整備

・南平地先の高水護岸整備において、自治体の道路整備事業と連携を図ることにより利用面、環境面の向上と堤防強化を併せ持った整備を実施(平成13年度完了)

・八王子市元横山,日野市西平山,八王子市北野町の高水護岸、低水護岸の整備にあたっては、環境面の向上と堤防強化を併せ持った整備を実施。

 さらに、湯殿川合流点上流の特殊防御区間については、特に洪水時の堤防の安全性の確保が十分ではない箇所において、河川敷造成等必要な対策を行う。

河川敷造成等による堤防の安全性確保対策

・元横山地先において、特殊防護(二重防護)による安全性確保対策として低水護岸を実施。(平成16年6月完了)

③総合的な治水対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 急勾配で洪水が一気に流下するうえ、市街地が中・下流域に集中している浅川流域の特性に鑑み、上流域の開発に伴う土砂等の流出抑制対策や、雨水の保水・遊水機能の保全・改善対策の支援、土地利用の適正化誘導を行う。

土砂流出抑制対策及び雨水の保水・遊水機能の保全・改善対策支援、土地利用の適正化誘導

・沿川の自治体や関係機関等と連携を図りながら、具体的な対策について検討を進めていくとともに、それぞれの役割分担や支援方法等について調整を図っていく予定。

また、中・下流域においては、住まい方の工夫等、破堤・越水による被害を最小限にする対策、及び洪水到達時間が短いことを念頭に置いた警戒避難体制や情報伝達の充実等を関係機関や地域住民等と連携して行う。

破堤、越水被害を最小限にする対策及び警戒避難体制・情報伝達の充実

・出水時の情報伝達の手段として、ホームページを充実。・平成13年度より出水時に河川情報等を自動的にメール配信するマルチコールのサービスを開始。

・平成15年5月、八王子駅前に河川情報板を設置し、運用を開始。(平成16年11月、川崎駅でも河川情報板の運用を開始)・無線LANによる情報提供の試験施工開始

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④広域防災対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

  浅川流域でも本川流域同様、人口、資産等の集積が進んでいるために、ひとたび洪水等により破堤した場合には、甚大な被害が想定されるとともに、流域全体が「南関東地域直下の地震により著しい被害を生じるおそれのある地域」に指定されおり、大規模地震による河川管理施設や流域市街地の被災が想定される。

このため、洪水時には氾濫被害を最小限に抑える活動拠点となり、震災時には被害の円滑な復旧・復興の支援拠点となる地域防災活動拠点(水防拠点及び河川防災ステーション) を関係自治体と連携して整備を推進する。

地域防災活動拠点の整備 -・背後地の利用状況などを考慮し、他の対策との優先順位を考えながら整備を行う予定。

 また、緊急車両が堤防上を往来可能とするための車両交換場所等の整備を推進するとともに、越水による洗堀の防止や氾濫流による破堤部の拡大防止など減災対策として、樹林帯を整備する。

車輌交換場所等の整備及び樹林帯の整備

-・背後地の利用状況などを考慮し、他の対策との優先順位を考えながら整備を行う予定。

 さらに、河川情報を瞬時に把握し、防災活動の初期から的確かつ迅速な対応を可能とするため、光ファイバなどを用いた情報通信機能を整備するとともに高度情報機器を配備し、情報収集提供体制の充実を図る。

情報通信機器の整備、高度情報機器の配備による情報収集提供体制の充実

・CCTVカメラ、情報コンセント及び水位データのリアルタイム観測の整備、二ヶ領宿河原堰に河川情報板設置。(平成13年度)

・浅川においてもCCTVカメラ、情報コンセント及び水位データのリアルタイム観測の増設。(平成14年度)

・CCTVカメラ、情報コンセントの増設・平成15年5月、八王子駅前に河川情報板を設置し、運用を開始。(平成16年11月、川崎駅でも河川情報板の運用を開始)・無線LANによる情報提供の試験施工開始

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第2項 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の確保に関する事項

本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関しては、多摩川の流量の挙動や本支川浄化機能の総合的評価、面源負荷状態の挙動、地下水状態の挙動、雨水状態、有害化学物質・病原性微生物の実態、生物の生息・生育等の状況、下水道処理水の流下状態の挙動等について関係機関等と一体となって調査・研究を行う。

多摩川水流実態解明のための調査・研究

・関係機関の所有する水量、水質に関する情報収集整理し、水流解明プロジェクトを推進(平成13,14年度)

・多摩川流域の水循環系を再現するモデルを検討(平成13年度)。

・主要な水の出入りがある地点で同時流量観測を実施。

その結果を踏まえ、多摩川の水流として有すべき水量とその変動及び水質などを明らかにし、流域自治体、関係機関及び地域住民と連携を図りながら目標値の決定を行うとともに、河川整備計画の見直しを行って必要な施策を講じる。

水量・水質の目標値の決定及び河川整備計画の見直し

・水流の実態を把握するとともに、目標値決定のための住民意向把握の取り組みの1つとして流域自治体、流域市民、関係者と共に流域の実態を現地確認する「水流解明キャラバン」を平成13年度より実施(平成13年度1回開催、平成14年度3回開催、平成15年度5回開催)。

・目標値の設定に向け、流域住民(約2000件)を対象にアンケート調査を実施(平成13年度)。

・野川・浅川流域を対象に意識調査を実施。

 また、河川水の適正な利用を図るための技術・システムの研究・開発を行うとともに、水源の手当についても必要な調査を行うほか、異常渇水時や河川とのふれあい時も含めた河川水の利用価値や平常時の環境用水及び危機時の防災用水としての河川水の存在価値など水に関する経済的検討を含めた調査を行う。

河川水の適正利用に関する技術・システムの調査・研究及び水源手当のための調査

・小河内ダムの容量と羽村堰からの取水量との関係について、検討を実施。

 さらに、諸外国の流域における水循環系の管理実態を参考としつつ、健全な水循環系の実現に向けた統合的流水管理対策を立案し適切な施策を講じる。

健全な水循環系実現に向けた総合的流水管理対策の立案及びそれに係わる支援

・流域内での水循環に関する取り組み状況を調査(平成14年度)

・野川・浅川流域をモデル地域として検討に着手。

また、これにかかわる産・官・学・民の取組に対して積極的な支援を行う。

健全な水循環系実現に向けた総合的流水管理対策の立案及びそれに係わる支援

-健全な水循環系の実現に向けた検討に着手ところであり、そのなかで支援体制等についても今後検討を行う。

 多摩川は、都市化に伴う水問題に直面する諸外国への貴重な教訓がたくさんあることから、多摩川での水循環系の実態や各種の研究成果を世界に伝えていく。

水循環系の実態及び各種研究成果の広報

・世界水フォーラム(平成15年3月)で多摩川の諸政策をアピール

第3項 河川環境の整備に関する事項

本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 河川環境の整備に関しては、河川水辺の国勢調査等、継続的な環境モニタリングを実施し、生態系等の自然の営みについて知識を深め、新しい知見を踏まえながら、整備内容を見直しつつ対策を実施する。

河川水辺の国勢調査等の継続的な環境モニタリングの実施とそれによる整備内容の見直し

・平成13,14年度,15年度においても、水辺の国勢調査(平成13年:魚類・底生動物類、平成14年:両性類・爬虫類・哺乳類、H15:陸上昆虫)を実施し継続的なモニタリングを実施。

 また、「多摩川流域リバーミュージアム」の実現に向けて、自治体、市民団体等と連携し、川の一里塚等の人と川のふれあい関連施設、市民活動拠点及び情報伝達体制の整備 を行うとともに、自然学習や文化芸術活動等の支援、並びに自然、歴史・文化及び防災等の情報の収集・提供を可能とするシステムの構築を行う。

「多摩川リバーミュージアム」の実現に向けた各種対策の実施

・「多摩川流域リバーミュージアム」の実現に向け、人と川のふれあい関連施設の整備を促進するとともに、二ヶ領宿河原堰管理棟をTRM情報拠点としても利活用できるように施設や機器を整備。TRMの取り組みでは小学校の総合的学習や市民活動を支援するとともにITを活用した流域情報の収集・提供するシステムを構築。

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(1)生態系保全回復関連対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 多摩川らしい豊かな自然環境を保全・回復するため、河道内においては多自然型川づくりを推進する。

多自然型川づくりの推進・護岸工事などを実施する際には、かごマットや長尺土嚢群の採用や、現地の河床材料を利用した護岸の目隠しなどの多自然型川づくりに積極的に取り組んだ。

このため、ワンド等の整備や生物の生息・繁殖地となる瀬と淵及び河原などの確保に努める。

ワンドの整備及び瀬淵、河原等の生物の生息・繁殖地の確保

・平成14年度には、川崎市多摩区登戸地先で高水敷にビオトープ、昭島市大神地先にワンドを整備。・生態学術研究に取り組んで知る永田地区では、河原特有の生態系の保全を目的に礫河原の再生に取り組んだ。

また、魚類等の生息環境の連続性を確保するため、堰等において魚道の設置を行う。

魚道の設置による生物の生息環境の連続性確保

・平成13年度には、白丸ダムの魚道を整備完了。・平成14年度には、羽村取水堰に東京都水道局が魚道を設置、また日野用水堰右岸側の既設魚道の改築を東京都産業労働局が実施。

 さらに、グランド等が連続する人工系空間においては利用区域の境界部等にその場の潜在能力に対応した樹木や草木を植栽した連続的な緑地帯を創出し、生態系の回復を図る河川敷生態系回廊(以下、「リバービオコリドー」という。)の整備を占用者と一体となって実施する。

リバービオコリドーの整備・平成13年~15年度川崎市中原区上丸子地先で、平成14年度に世田谷区鎌田地先でリバービオコリドーの整備として潜在樹種を植樹。

 加えて、生態系保持空間においては、必要に応じ河川生態学術研究地区(福生市永田地先)のように、本来の生態系の回復に向けた対策を行う。

生態系回復対策

・永田地区において再生礫河原を造成(平成14年3月完了)・永田地区を対象に河川生態学術研究会による生態系、河川のモニタリング等を実施しており、平成15年度も引き続き実施。

 河川は流域の中で多様な生物を育む基軸を構成していることから、流域の森林田畑や「水と緑のネットワーク」等と有機的に結ぶビオトープネットワーク形成の支援を図ることによって、流域の生物多様性の回復を図る。

ビオトープネットワーク形成支援

・多摩川流域の都市域を良好な都市環境に保全・整備していく必要があり、計画実現までには推進体制の確保、管理方法の確立など様々な課題があるため、長期的な視点に立って努力していく。

その対策にあたっては、地域住民、関係自治体及び関連機関等と連携して行う。

関係住民等の連携・上記の整備にあたっては、地域住民や関係機関との意見交換をふまえ事業を推進。

(2)水環境関連対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 水環境関連対策については、多摩川が有すべき水量とその変動及び水質等の水流の実態を把握するよう努める一方、人と川がふれあえる多摩川を目指して、必要に応じ河川浄化施設や底泥浚渫等の水質改善対策及び水量確保対策を実施し、良好な水量とその変動及び水質(底質を含む)の実現を目指す。

水質改善対策及び水量確保対策の実施

・水流の実態を把握する取り組みの1つとして、水流解明キャラバンを実施。(平成13年度1回、平成14年度3回、平成15年度5回)・人と川のふれあいや生態系に係わる水質の要因について検討。

 また、内分泌攪乱化学物質やダイオキシン類等の人体及び生物に影響をおよぼす化学物質や病原性微生物等についても関係機関と連携して調査・研究を推進し、必要な対策を実施する。

人体及び生物に影響をおよぼす化学物質や病原性微生物等の調査・研究

・ダイオキシン類は、平成11年度、環境ホルモンは平成10年度から調査を継続実施。

 さらに、東京湾の汚濁対策として関係機関と協力し東京湾への流入負荷量の削減を図る。

東京湾への流入負荷量の削減 -・汚濁負荷の削減に向けて、下水道計画などの整備計画と調整・役割分担について効率的な役割分担について調整する。

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(3)人と川のふれあい関連対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 多摩川を訪れる人々の、水辺への経路を確保するため、「岸辺の散策路」を整備するとともに、約2km間隔で堤防上に緑陰や水洗トイレ等を有した平場を設け「川の一里塚」として整備を行う。

岸辺の散策路と川の一里塚の整備

・岸辺の散策路を進捗。【別表-1】参照

 「川の一里塚」については、平常時には来訪者の憩いの場として人と川のふれあい増進に資するだけでなく、洪水発生時などの緊急時には水防資材や関連機材の確保の場として利用する。

水防資機材の確保の場 -第二種側帯の整備と合わせ、関係自治体と連携を図り、必要に応じ整備を推進していく。

 また、「岸辺の散策路」や「川の一里塚」等を「水と緑のネットワーク」として位置づけ、流域内の公園・寺社等の緑地や水路等と有機的に結びつけることにより、中・下流域の都市部における自然豊かな環境と人のふれあいを増進する。

水と緑のネットワークの形成 -

・水と緑のネットワーク計画については、多摩川流域の都市域を良好な都市環境に保全・整備していく必要があり、計画実現までには推進体制の確保、管理方法の確立など様々な課題があるため、長期的な視点に立って努力していく。

 さらに、川によって隔てられた両岸を結び地域の交流に資するとともに、震災時の通行機能を確保する「渡し」の復活を支援する。

地域の交流 -・地域交流の観点から要請を受け検討の上、震災時の防災機能や維持管理体制を含め検討する。

 加えて、地元自治体等からの桜づつみの整備に関する要望に対しては、堤防の強化及び第二種・三種側帯整備とあわせて、良好な水辺環境の創出の観点から対処する。

良好な水辺環境の創出 -・関係自治体からの要請を受け、側帯整備と合わせ検討する。

 流域の都市化の進展等に伴い、多摩川は都市に残された貴重な散策、レクリェーションなどの場となっており、流域の内外を問わず多くの人々に利用されている。

首都圏に残された広大な水と緑の空間である多摩川に対する利用者のより一層の利便性を向上させるために、河道外において河川利用者用の駐車場(以下、河道外駐車場という。)の確保に努める。

河道外駐車場の確保 -・候補地については、関連機関や機能空間区分との整合を図りつつ場所の検討を行う。

 また、多摩川の自然環境や水辺を地域の子供たちや人々の遊びや自然学習の場として活用できるよう、極力自然を生かした水辺の整備を行うとともに、「水辺再発見プロジェクト」等の啓発活動をはじめとして、ふれあい増進に関わる市民活動の支援を行う。

自然環境の学習と市民活動の支援

・子供達の遊びや自然学習の場をして利活用できるように「水辺の楽校」を推進。

・プロジェクト登録は、平成12年度に狛江、川崎、日野(潤徳・滝合)の2箇所の計4箇所、平成13年度に昭島の1箇所を登録。

・平成13年度には、狛江。平成14年度には川崎、昭島の一部(ワンド)で施設整備を完了。

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(4)福祉関連対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 少子高齢化社会の到来を踏まえ、利用者、福祉関係機関、地元自治体等と連携調整を図りながら多摩川の諸施設に係る点検や利用実態モニタリングを行い、利用ニーズと合致したバリアフリー化を推進する。

バリアフリー化の推進

・平成13年度及び平成14年度には、大田区で緩傾斜坂路設置に伴う利用者及び地元自治体を交えた懇談会を実施し、これらの意見を設計に反映。

・平成14年度には、「癒しの川づくり」をテーマにシンポジウムを開催。

 特に、高齢者、障害者や車椅子利用者などが容易に川に近づけるよう緩傾斜坂路(スロープ)の整備を行うとともに、多摩川を訪れる全ての利用者が容易に利用できる構造の水洗トイレの整備や、河道外駐車場において高齢者、障害者等が優先して駐車できる区画を確保する。

高齢者・障害者・車椅子利用者への利便性向上

・平成13年度及び平成14年度の緩傾斜坂路(スロープ)の実施箇所については、【別表-1】のとおり

(5)歴史的文化関連対策本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 多摩川や流域に関する歴史・文化等に関連する様々な情報の収集・提供を行うとともに、現地において多摩川への来訪者が容易に情報を得ることが出来るよう歴史や文化を解説した看板等の整備を行う。

歴史文化情報の提供

・平成13年~平成15年度に地域史家の方をお呼びして、「多摩川シンポジウム」を実施。これらをとりまとめパンフレットで広報するとともに、京浜河川事務所のホームページでも公開。

 あわせて、多摩川誌やその他の流域に関わる様々な文献情報などを集めた電子図書館の構築を進めるとともに、技術革新が著しい高度情報機器を媒体として積極的にこれらの情報の提供を行う。

電子図書館の構築・京浜河川事務所のホームページで流域の様々な情報を収集・提供するとともに、多摩川流域リバーミュージアムのホームページも立ち上げ。

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第3節 河川の維持の目的、種類及び施行の場所

本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 河川の維持のうち、洪水、高潮等による災害の防止又は軽減にあたっては、国土保全管理情報を適確に収集する他、河道、河川敷、堤防及びその他の河川管理施設等を良好な状態に保ちその本来の機能が発揮されるよう、日頃からの河川巡視等やモニタリングにより異常の早期発見に努め機動的な維持管理を行うとともに、河川管理施設等の機能の維持更新を計画的に行う。

機能的な維持管理・平成15年度も引き続き、河川管理施設等を良好な状態に保つため、河川巡視を行う。

また、河川管理施設については、操作規則、操作要領等に基づき適切な操作を行い、機能の維持に努める。

河川管理施設の機能の維持・平成15年度も引き続き河川管理施設については、操作規則、操作要領に基づく管理を実施。

一方、洪水、高潮等の発生により堤防等の河川管理施設が被災した場合には、二次災害を防止するため、応急的に機能回復を図り出水期終了後に速やかに本復旧を行うとともに、平常時においても、被害の軽減のため洪水、高潮体制の充実に努めるほか、関係自治体と連携してハザードマップの作成・頒布等の情報提供体制の充実を図る。

災害復旧とハザードマップの作成

・平成13,14年度に【別表-2】の箇所で災害復旧工事を実施

・平成14年2月には、水防法に基づく浸水想定区域図を公表。

 また、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持並びに河川環境の保全にあたっては、現況の流水機能の劣化防止や渇水調整体制の維持に努めるとともに、河川敷の公有化などによる河川の秩序ある利用形態、河川のもつ人と川との豊かなふれあい機能等を維持する。

現況の流水機能対策

・引き続き流水の正常な機能を維持するための水量、水質については水流実態解明プロジェクトを推進。関係機関の所有する水量、水質に関する情報収集整理(平成13,14年度,15年度)。

・府中四谷本宿用水の法定化に向けた調査を実施。

 さらに、これまでの歴史的背景を踏まえ、河川管理者、関係機関、自治体、学識経験者、自治会及び市民団体等が、各々の責務を認識し、有機的に連携を図りながらきめ細かな河川管理を目指す。

有機的な連携・リバーシビックマネージャー制度を継続させ、全体会議を2回行うとともに、各出張所単位で、分科会を開催。

なかでも、川に関するモニター(監視)、レンジャー(警備)、レスキュー(災害時の救出)機能を担うボランティアを実施する市民に対して、その活動を支援する制度などを充実し、「協働の維持管理」を推進する。

各関係機関の責務の認識・連携

・リバーシビックマネージャー制度を継続させ、全体会議を2回行うとともに、各出張所単位で、分科会を開催。

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第1項 洪水、高潮等による災害の発生の防止又は軽減に関する事項(1)国土保全管理情報の収集・提供システム

本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 河川の維持を適切に行うため、河川現況台帳の整備・保管や水理、水文、水質等の情報をはじめとして、土地利用や土砂の移動状況などの国土保全管理に関するデータの収集を行う。

国土保全管理対策・平成15年度も引き続き、水理・水文・水質等のデータ観測を行う。

また、データの収集にあたっては、観測施設を適切に配置するとともに観測手法についても高度化を図る。

観測手法の高度化

・平成13年度から、伝送路の2重化(テレメータ・光ケーブル)を進め、より確実な水文データの収集ができるよう整備。

・平成14年度には、水文観測所の配置の見直しを行い、適正化を図る。

 さらに、人工衛星によるモニタリング等、高度化する技術を活用しつつ、時代に応じた収集提供システムを早急に整え、地域住民にこれらの情報を提供する。

情報収集提供システムの確立 -・高度化する技術等の変化を確認しながら、必要に応じたシステムの整備を行っていく。

(2)河川の形状機能本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 河川監理員等により、河川区域、河川保全区域、河川予定地及び高規格堤防特別区域における行為の状況等について、日々の巡視を行い状況把握をするとともに適宜モニタリングを実施する。

日常の巡視 ・平成15年度も引き続き、河川巡視を行う。 -

また、河川パトロールカーや河川巡視用バイク等の巡視用機材についても適切な管理を施す。

河川巡視 ・平成15年度も引き続き、河川巡視を行う。 -

なお、河川巡視にあたっては、河川監理員の補助を的確に行う資質を有する河川巡視員の確保に努める。

河川巡視 ・平成15年度も引き続き、河川巡視を行う。 -

 洪水発生等により河道内に堆積した土砂については、モニタリングの結果等により洪水の安全な流下に支障となる場合に瀬・淵など環境上の影響にも配慮して適正に掘削、浚渫を行う。

河道浚渫対策

・環境への配慮から、魚道や小水路等の堆積土砂の除去を実施(平成13年度)。・市民と協働で洪水攪乱後のモニター調査を実施(平成12,13年度)。

また、河道内の樹木については、その繁茂が洪水の安全な流下の支障となる場合においては、周辺の植生や生物の生息、生育環境に十分配慮した上で伐採を行う。

植生管理 -・新たな視点の取り組みの『土砂の移動に着目した河道管理の実現』に向け検討を進めており、二極化の解消などと合わせて必要に応じて対策を行う。

河床が安定していることから、河床の異常な低下を防止し環境を保全するため砂利採取規制を全川で継続する。

砂利規制 ・平成15年度も引き続き、砂利採取規制を継続。 -

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(3)河川管理施設の機能本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 堤防や水門等の河川管理施設については、洪水(内水を含む)及び高潮に対する所要の機能が発揮されるよう維持修繕及び補修を行うと共に、他の工作物の管理についても審査・指導を適切に行う。

河川管理施設の維持修繕対策

・平成15年度も引き続き、河川管理施設については、機能が発揮できるよう適切なメンテナンスを行う。

・許可工作物についても、履行検査等を行い適切管理が行われるよう指導。 (平成15年度も継続して実施)

さらに、堤防等の除草については、堤体の機能の維持等の観点から適宜作業を行う。

除草 ・平成15年度も堤防の除草を引き続き実施。 -

洪水、高潮及び地震等による災害に伴う河川管理施設の被害については適宜、復旧対策を行うとともに、災害後の適切なモニタリングを実施し必要に応じ河岸維持管理法線の見直し等を行う。

災害後の復旧対策とモニタリング

・平成13,14年度に【別表-2】の箇所で災害復旧工事を実施・出水後は、河川定期縦横断測量(平成13年度)を実施するとともに、航空写真を撮影。・市民と協働で洪水攪乱後のモニター調査を実施(平成12,13年度)

 加えて、旧来から受け継がれてきた伝統的河川工法により設置された河川管理施設については、必要性をその都度、吟味した上で適切に保全を行う。

伝統的河川工法の検討 -・保全の必要性が生じた場合に、歴史的価値を勘案のうえ対応を行う。

 河川管理施設の効果が最大限に発揮されるよう水位、流量、雨量等を確実に把握するとともに、的確かつ迅速に、操作規則・操作要領に定められた方法に基づく適切な操作 を行い、河川巡視による適切な操作の確認を実施する。他の工作物についても適切な操作を行うよう審査・指導を行う。

操作観測・要領の適切な実施

・二ヶ領宿河原堰など操作規則・操作要領が定められている河川管理施設はその方法に基づく適切な操作を行う。 (平成15年度も継続して実施)

・許可工作物についても、履行検査等を行い適切管理が行われるよう指導。 (平成15年度も継続して実施)

 また、施設操作にあたっては、的確に行う資質を有する操作員の確保に努めるとともに、その技能の保持向上を図る。

操作機能の保持向上・平成15年度も引き続き、十分な実務経験及び知識を有する操作員を確保し、また二ヶ領宿河原堰などについて操作講習を実施。

 さらに、情報機器の発達に伴って遠隔操作システムを補完的に整備する。

遠隔操作システムの確立

・平成14年度までで河川管理の補完的な役割を担うCCTVカメラを32箇所設置。・平成15年度においては事務所管内にある直轄河川管理施設(水門、堰、樋門等)20施設を光ケーブルなどのネットワークを利用して、出張所や事務所で広域管理(監視・操作)をする施設を設置。

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(4)洪水・高潮対策の体制本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 破堤等を未然に防止し河川管理施設の機能の維持に資するため、重要な水防必要箇所を定め、その箇所を水防管理者に周知し、毎年出水期前に合同巡視及び水防訓練等を実施するなど水防管理者と連携を図り、洪水・高潮対策の強化を行う。

水防必要箇所の強化と水防活動の実施

・平成15年度も引き続き重要水防箇所を定め、出水期前には合同巡視及び水防訓練を実施。・平成13年度は2回注意体制、そのうち1回警戒体制へ移行。・平成14年度には、3回注意体制に入り、そのうち2回警戒体制へ移行。・これらの対応は関係機関と連携を図りながら対応。

さらに、出水時には、洪水予報を気象庁と共同で発表するとともに、水防活動が必要と判断した場合には、基準水位観測所ごとに的確な水防警報を発令し、水防活動の実施を指示する。

水防必要箇所の強化と水防活動の実施

・平成13年度は洪水体制に2回入り、洪水予報を6回・水防警報を22回発令し関係機関へ指示。・平成14年度には、洪水体制に3回入り、水防警報を25回発令し関係機関に指示。・平成15年度の多摩川については、洪水体制に1回入りましたが、田園調布(上)観測所で指定水位を超えた程度で、洪水予報・水防警報の発令には至りませんでした。

(5)広域防災機能本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 河川敷の避難空間としての機能を維持するとともに、広域防災対策として整備する地域防災活動拠点(水防拠点及び河川防災ステーション)、樹林帯、緊急用河川敷道路、緊急用船着場等を平常時から関係自治体と連携し適正な維持管理を行う。

広域防災対策 - ・関係機関と適切な分担のもと行うよう、調整を図る。

 また、災害時の緊急用船着場への航路確保のため、河口から多摩川大橋の区間については、災害復旧に用いる船舶の規模にあわせ現状の河床形状を勘案し、必要な航路幅と維持管理河床高を適正に維持管理する。

緊急用船着場への航路確保 -・航路部分の河床を確認しながら必要に応じて対応を行う。

 さらに、地震発生後の防災用水として、関係機関と連携し、多摩川の河川水の有効活用に努める。

防災用水の活用 -・大規模な地震が発生した場合は、必要に応じて関係機関と連携し活用に努める。

 なお、関係機関と連携して防災救命技術・システムの開発、普及に向けた支援対策を行うともに、災害時に個人や地域の団体が自ら判断して互いに協力し活動できる自助互助システムの構築支援を図る。

自助互助システムの構築 -・平成16年度に川崎市幸区・神奈川県との情報共有を推進。

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(6)情報システム本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 所管専用通信網及び光ファイバネットワーク等を用いた情報通信機能を活用し、的確な水防、警戒避難及び復旧に資するため災害時の即時対応システムを構築し、維持更新していく。

情報通信機能の活用

・出水時の情報伝達の手段として、二ヶ領宿河原堰平成H13年度)に河川情報板を設置。・平成15年5月、八王子駅前に河川情報板を設置し、運用を開始。(平成16年11月、川崎駅でも河川情報板の運用を開始)

・光ファイバーネットワークについては、平成14年度末までに約97km整備が完了。・CCTVカメラについては、平成14年度末までに32基整備が完了。・情報コンセントについては、平成14年度末までに31基整備が完了。

・リアルタイム水位観測については、平成14年度末までに9箇所整備が完了。

・平成15年度は、CCTVカメラ43基整備、情報コンセントを47カ所整備。

なお、情報管渠等を通信事業者等に開放し、情報通信網の基盤整備に貢献する。

情報通信網の基盤整備に貢献・情報管路を多摩川で約48km、浅川で約12kmを一般に開放。・さらに、光ケーブルの芯線についても一部開放。

また、インターネット等を積極的に活用した多言語による防災情報提供システムを構築し、より多くの地域住民へ情報伝達を行う。

多言語による防災情報の提供・平成13年度より多言語(英語、フランス語など8カ国語)による防災情報提供を開始。

 さらに、関係機関や地域住民等に対して行われる災害時の避難方策等の防災教育を支援する。

防災教育支援 - ・各関係機関と調整を図りながら検討を進める。

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第2項 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持、並びに河川環境の保全に関する事項(1)流水機能

本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 流水機能については、現況の流水機能の劣化を防ぐために河川管理施設だけでなく他の工作物等も含めた既存の施設等を積極的に活用して適切な水量と水質(底質を含む)の確保とその維持保全を目指す。

流水機能の維持対策 -・施設管理者など各関係機関と調整を図りながら、効率的な確保・保全を踏まえ検討を進める。

 また、水質汚濁の改善のため、河川浄化施設の機能の維持に努め、必要に応じ施設更新を図っていく。

浄化施設の機能維持・河川浄化施設の適切なメンテナンスを実施。

一方、水質事故等の緊急時に迅速に対処するため、水質自動監視装置の増設や平常時の河川巡視員による日々の監視の徹底に努めるとともに、万一の油流出等の水質異常発生時には、「関東地方水質汚濁対策連絡協議会」に参加する都県、政令市等の関係機関と連携し、被害の拡大防止に努める。

水質汚濁・水質事故対策

・平成15年度も引き続き河川巡視による監視を徹底

・多摩川相談室に対しての一般からの通報により、早期に発見し迅速に対処した場合もある。

 さらに、水生生物の生息・繁殖環境の保全のため、水の流れ等の連続性を保つよう河川管理施設等の適切な維持管理に努めるとともに、他の工作物に関する河川法の許認可にあたっては、水の流れの連続性の確保について指導する。

生物保全の観点からの流水維持

- ・必要性が生じた場合には適切に指導する。

(2)渇水調整体制本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 河川流量が減少し渇水対策が必要となった場合の情報提供や情報伝達等について、関係機関や水利使用者等と連携して体制を構築し、被害の軽減に努める。

渇水調整体制づくり - -

  このため、平常時から河川管理者及び水利使用者等との間において、情報、意見交換を定期的に行うために設置された「多摩川水系利水関係者連絡会」を活用し、適切な低水管理及び円滑な水利使用について対処していく。

多摩川水系利水関係者連絡会の活用

- -

 また、渇水に強い社会をつくるため、水を大切にする節水型社会や水資源有効活用型社会に向けて関係機関等と一体となって取り組む。

渇水に強い社会に向けて - -

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(3)秩序ある利用形態本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 河川法に基づく占用許可に関しては、河川利用を計画的に行うために8つの機能空間の内容と性格を遵守し、施設管理者及び占用者に対して許認可時に適切な指導を行う。

占用者に対する適切な指導・占用者等に対し、許可申請時に河川環境管理計画の考え方を指導 (平成15年度も継続して実施)

人工系空間の占用許可に際しては、多摩川の自然環境に配慮した秩序ある利用を図っていくため、下記の4つの原則に従った審査・指導を行う。

・占用者等に対し、許可申請時に河川環境管理計画の考え方を指導するとともに、新たな許可については自然環境に配慮した秩序ある利用を図るための4つの原則に基づき、審査・指導を行う。 (平成15年度も継続して実施)

一方、自然系空間及び河岸維持管理法線より澪筋側の空間においては、河川法に基づき車両等の乗り入れを禁止若しくは大幅な制限措置を講ずるとともに、生態系保持空間においては、植生等の保全や学術研究目的等以外での人の出入りを規制する等の管理方針に基づき的確な利用に供するよう指導する。

秩序ある利用形態に向けた指導充実

・占用者等に対し、許可申請時に河川環境管理計画の考え方を指導するとともに、新たな許可については自然環境に配慮した秩序ある利用を図るための4つの原則に基づき、審査・指導を行う。 (平成15年度も継続して実施)・自然系空間は、自然空間の管理方針に基づき、自然環境を保ち、貴重生物種の保全対策を行う。

 また、自然系空間及び河岸維持管理法線より澪筋側の空間において占用許可し利用させる場合は、各占用者に対し自然環境への配慮を義務付けるとともに、状況に応じて代償措置や動植物の保全対策の条件を付す。

自然環境への配慮の義務付・河岸維持管理法線より澪筋側の空間における占用許可では、自然環境への配慮事項について指導。 (平成15年度も継続して実施)

 不法占用・不法行為については、洪水を安全に流下させる上での阻害となるなど防災上の観点も踏まえ関係機関と協力しつつ早期の是正に努める。また、水面の利用に当たっては、秩序ある利用を維持していくため、利用標識板の設置を含めた水面利用の調整を図るとともに、秩序ある水面利用の支障となる不法放置船舶等に対する対策を自治体、関係機関等と連携して推進する。

不法占用・不法行為に対する早期の是正

・大田区羽田地先における不法係留では、地元自治体、関係機関と連携を図り、協議会を設立し、早期是正に向けた協議を平成14年度より実施中。

 さらに、河川敷での野宿生活者(ホームレス)の増加に対しては、中央省庁、関係自治体が一体となって設立した「ホームレス問題連絡会議」での動向を踏まえながら、関係機関と協力し適切に対処していく。

ホームレス対策

・中下流部では、関係機関と合同で現地の確認を定期的に実施し、さらに多摩川下流部では、関係機関と意見交換を行いながら対応を検討中。(平成15年度も継続して実施)

 加えて、首都圏に残された広大な水と緑の空間である多摩川を利用する人々の増加に伴い水難事故が多発していることに対処するため、河川管理者並びに、沿川自治体、警察署、消防署等からなる「多摩川水難事故防止協議会」を設置運営し、防止に努める。

水難事故対策

・関係機関と多摩川下流水難事故防止協議会を設置し、その対応を検討。・さらに、パンフレットを作成配布し、市民への啓発活動を実施。

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(4)河川美化体制本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 河川美化のため、河川愛護月間やクリーン作戦等の河川美化活動を通してゴミの持ち帰りやマナー向上の啓発を行うとともに、ボランティアを活用した監視制度や反則金制度の導入、及び不法投棄を発見した場合の円滑な現状回復方策など不法投棄の未然防止のために関係自治体と連携して対策を検討していく。

河川美化活動の推進・沿川自治体と連携を図りながら、引き続きクリーン作戦を実施。 (平成15年度も継続して実施)

 近年河川敷における仮設小屋の設置や廃棄物の放置等が増えつつあり、流域住民からは、河川景観上、また衛生上の観点からその対策を求められているため、適切に対処していく。

廃棄物対策・河川敷に不法投棄されたゴミなどを引き続き処理。 (平成15年度も継続して実施)

(5)人と川のふれあい機能本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 多摩川を利用する人々が快適に河川を利用できるよう設置された「岸辺の散策路」、「川の一里塚」等をその機能が確保されるよう、自治体、市民団体等と連携し、適正に維持管理を行う。

人と川のふれあい機能の充実・快適に河川を利用できるよう設置された「岸辺の散策路」や「川の一里塚」が機能を確保されるよう維持管理を行う。

また、利用者施設標示にユニバーサルデザインを導入し、万人に利用しやすい多摩川ふれあい関連施設となるよう配慮する。

人と川のふれあい機能の充実・緩傾斜坂路では、手摺りに点字プレート及び出入り口に点字ブロックを使用したユニバーサルデザインの導入を図っている。

さらに、子供たちだけでなく地域の人々の多摩川の自然環境や水辺を利用した総合学習の支援を行うため、自然を生かした水辺や施設の維持・保全に努める。

人と川のふれあい機能の充実

・かわさき水辺の楽校とどろき校として活動中の魚らん川の堆積土砂の除去を実施。・平成15年度には狛江水辺の楽校において、ヤナギについて市民との協議を実施しながら保全。

 河川におけるふれあい活動を阻害している要因を除去するため、市民ボランティアによる河川利用者への助言・注意等を含めた方策について検討を行う。

阻害要因の除去 ・リバーシビックマネージャー制度の継続 -

(6)福祉関連施設の機能本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 高齢者・障害者や車椅子利用者などが容易に川に近づけるよう整備した緩傾斜坂路(スロープ)や水洗トイレなどの諸施設について、その機能を確保するため、適切な維持管理を図る。

福祉関係施設の機能の維持・緩傾斜坂路の機能を確保するための適切な維持管理を引き続き行う。 (平成15年度も継続して実施)

また、河道外駐車場に設置した高齢者、障害者等が優先して駐車できる区画の確保がなされるよう関係機関や市民ボランティア等と連携して対処する。

河道外の駐車場 -・周辺の利用状況等を考慮しながら、調整を図っていきたい。

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(7)河川環境モニター機能本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 環境モニタリングについては、これまでも「河川水辺の国勢調査」等により実施してきたが、今後も更なる調査の実施を行う。

河川管理データ収集と新たな手法の確立

・平成13,14年度,15年度においても、水辺の国勢調査(平成13年:魚類・底生動物類、平成14年:両性類・爬虫類・哺乳類、平成15年:陸上昆虫)を実施し継続的なモニタリングを実施。

特に、これまで調査実績が少ない内分泌攪乱化学物質等に対して、モニタリング手法などの検討を行い、環境データの収集に努める。

河川管理データ収集と新たな手法の確立

・環境ホルモン(内分泌撹乱科学物質等)の調査を平成10年度より実施。

 また、洪水発生後において、カワラノギクなどの貴重種を含めた自然環境の変化を把握するため、河川環境カルテによる点検を実施する。

河川管理データ収集と新たな手法の確立

・平成13,14年度,15年度においても、水辺の国勢調査(平成13年:魚類・底生動物類、平成14年:両性類・爬虫類・哺乳類、平成15年:陸上昆虫)を実施し継続的なモニタリングを実施。

 さらに、既存の河川管理施設、許可工作物に関して環境面から点検を実施し、生物の生息・生育環境に著しく阻害となる構造物については、必要に応じ施設管理者に対して適切な対処を行うよう指導する。

河川環境モニタリングの実施

・河川管理施設については、環境面からの点検を継続実施。・許可工作物については、出水期前に実施する履行検査でも環境面からの点検を実施。

加えて、市民ボランティアによる河川環境モニタリングの実施に向けた支援を行う。

河川環境モニタリングの実施・平成13年度には市民と合同で洪水攪乱後のモニター調査を実施。

 環境モニタリング等により得られた調査結果により、更なる環境データの充実を図るとともに、GIS化等によりデータベースの整備を行い、インターネット等を活用した情報提供体制を充実させる。

環境データの情報提供・多摩川流域リバーミュージアムのホームページで市民水辺発見情報を公開(平成13年7月~)。

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(8)河川環境本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 河川環境の保全のために、河岸維持管理法線及び河川敷や水面の区分の設定を適切に行う。

河岸維持管理法線、機能空間区分及び水面利用計画

なかでも、河川敷の自然環境の保全のため、人工系空間については、裸地化を極力さけるとともに、生態系及び水質へ悪影響を及ぼす化学物質等を極力使用しないよう必要な措置 を講じる。

生態系保持空間等の河川環境対策

・河川環境管理計画の機能空間区分に基づく管理方針で河川の環境管理を継続実施。

一方、自然系空間及び河岸維持管理法線より澪筋側の空間においては、車両等の乗り入れの防止や、生態系保持空間における多様な生物及びその生息・生息環境の保全や学術研究目的等以外での人の出入りを制限する等、地域住民や関係自治体と一体となって措置を講じる。

生態系保持空間等の河川環境対策

・河川環境管理計画の機能空間区分に基づく管理方針で河川の環境管理を継続実施。

このうち、生態系保持空間については、河川法に基づく「動植物の生息又は生育地として、特に保全する必要があると認めて河川管理者が指定した河川区域内の土地の区域」に指定するなどして、自然環境の保全を図る。

生態系保持空間等の河川環境対策

-・多摩川水系河川整備計画の見直しの考え方にも記載しているとおり、⑧空間のルールづくりなどの検討を行っていく。

なお、自然系空間及び河岸維持管理法線より澪筋側の空間において占用許可を行う場合は、各占用者に対し自然環境への配慮を指導するとともに、状況に応じて代償措置や動植物の保全対策等、環境保全上必要な措置の実施を求める。

生態系保持空間等の河川環境対策

・河川環境管理計画の機能空間区分に基づく管理方針で河川の環境管理を継続実施。

 さらに、学術上又は希少性の観点から重要な種・群落、注目すべき生息地を含めた生物の多様な生息・生育環境を保全するため、河道内において、シマドジョウ、アブラハヤ等の生息地となる瀬と淵及びカワラノギク、カワラバッタ等の生存する河原等が維持されるように努める。

貴重種の保全対策・魚道整備の推進と整備済み魚道の適正管理を指導。・永田地区では河原特有の生態系の保全を目的にレキ河原を再生。

一方、本川及び支川等において、魚類等の移動に配慮するなど良好な環境の保全を図る。

貴重種の保全対策・関係機関とともに魚道整備を推進。・昭島でワンド工事を実施(平成13,14年度)

このため、既存の堰等に設置された魚道やワンドなどについては、その機能が十分発揮されるよう適切に維持管理やその指導を行う。

貴重種の保全対策 ・魚道整備の推進と整備済み魚道の適正管理を指導。 -

 加えて、流域の良好な自然環境を保全するとともに生物多様性を保全していくため、地域住民の適切な活動を支援するとともに、流域の森林田畑や都市部に形成される「水と緑のネットワーク」の保全を支援する。

生物多様化の保全対策の支援

-・河川内の連続性を優先的に図りながら、周辺の利用状況とを考慮しながら調整を行う。

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(9)河川景観本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 多摩川らしい河川景観を継承していくため、多摩川の特徴を美しい調和の中に浮かびあがらせ、多摩川らしさの代表となっている多摩川八景、多摩川50景などの景観の保全に努める。

多摩川らしい景観の保全 -・新たな視点からの取り組み『多摩川の景観向上に向けた取り組み』で記載しているように、今後検討を行っていく。

 特に、下流部においては多摩川が都市景観の重要な構成要素であること、上流部においてはそのほとんどが秩父多摩甲斐国立公園区域であることに十分配慮する。

国立公園区域としての配慮 -・新たな視点からの取り組み『多摩川の景観向上に向けた取り組み』で記載しているように、今後検討を行っていく。

(10)多摩川の文化育成機能本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 多摩川と文化の関わり合いについては、万葉集に詠まれるなど人とのかかわりが古くから記されている。

流域文化 -

室町時代には、合戦場として軍記物語「太平記」に記され、江戸時代には、平賀源内が戯曲化した歌舞伎浄瑠璃「神霊矢口渡」の舞台となるとともに、安藤広重が描いた浮世絵「東海道五十三次」に登場している。

流域文化 -

また、東京都の無形民俗文化財に指定されている祭礼の「水止舞」が受け継がれている。さらに、現在においても多摩川において撮影された映画等も多く見受けられるなど多摩川は流域の文化と深く関わっている。

流域文化 -

 このため、「多摩川流域リバーミュージアム」や多摩川週間等を通じ、市民が多摩川の文化財としての価値を見いだすことが出来るよう啓発活動を推進し、多摩川を介した文化の育成支援を行うとともに、「有吉堤」等文化資産の発掘と継承を行う。

文化育成支援対策 ・多摩川誌を改訂増補した新多摩川誌を発行。 -

(11)住民等との協働システム本文 キーワード 平成13,14年度の実施項目,平成15年度実施項目 整備に着手できない理由

 市民団体等が多種多様な目的をもって活動している多摩川において、市民団体、非営利機関(NPO)、地域住民及び市民ボランティア等の協力を得て河川の維持管理を行うため、市民等の主体的活動を可能とする市民活動拠点施設の維持 に努める。

市民と協働するための活動拠点施設の維持

・二ヶ領宿河原堰の管理棟の一部を市民開放し、せせらぎ館とし運営するとともに、TRMの情報拠点としても利用できるよう施設の整備と機器の整備を行う。

 また、河川管理者と地域住民を繋ぎ多様な主体の自主的運営を司る人材育成の支援を図り、市民等の川での社会貢献活動を支援していくとともに、川の左右岸や源流から河口までの上下流の住民及び自治体間の交流活動及び上流部の清流や森林のみどりの保全活動等に対する支援を行う。

市民活動の支援 ・流域の市民活動について関係自治体とともに、支援。 -

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(別表ー1) (別表-2)

河川 左右岸 キロ標 左右岸 位置 地先名

左 岸 4.0km付近 東京都大田区南六郷一丁目地先

川崎市多摩区登戸 多摩川 右 22.6 右 岸 8.2km付近 神奈川県川崎市幸区小向地先

川崎市多摩区登戸 多摩川 右 22.4 右 岸 8.4km付近 神奈川県川崎市幸区小向仲野町地先

大田区南六郷二丁目地先 多摩川 左 5.0 左 岸 9.2km付近 東京都大田区矢口三丁目地先

大田区本羽田二丁目地先 多摩川 左 3.0 左 岸 9.5km付近 東京都大田区下丸子二丁目地先

川崎市多摩区宿河原地先 多摩川 右 22.0 右 岸 14.8km付近 神奈川県川崎市中原区宮内地先

大田区鵜の木三丁目 多摩川 左 12.2 左 岸 20.7km付近 東京都世田谷区喜多見一丁目地先

大田区田園調布四丁目地先 多摩川 左 13.8 左 岸 24.5km付近 東京都調布市染地三丁目地先

多摩市関戸三丁目地先 多摩川 右 34.1 右 岸 34.2km付近 東京都多摩市関戸地先

合  計 【8箇所】 右 岸 35.6km付近 東京都多摩市一の宮地先

右 岸 36.8km付近 東京都日野市落川地先

川崎市多摩区宿河原地先(604m) 多摩川 右 21.4-22.3 右 岸 39.3km付近 東京都日野市石田地先

大田区矢口地先(587m) 多摩川 左 8.2-8.5 右 岸 45.4km付近 東京都八王子市平町地先

大田区田園調布地先(93m) 多摩川 左 12.3

大田区玉堤地先(108m) 多摩川 左 14.6

大田区鵜の木三丁目地先(200m) 多摩川 左 12.2 左右岸 位置 地先名

世田谷区喜多見一丁目地先(108m) 多摩川 左 24.5 右 岸 3.6km付近 神奈川区川崎市川崎区中瀬一丁目地先

川崎市高津区二子一丁目地先(350m) 多摩川 左 18.2 右 岸 9.8km付近 神奈川区川崎市幸区古市場地先

川崎市宿河原五丁目地先(340m) 多摩川 右 21.6 右 岸 14.7km付近 神奈川県川崎市中原区宮内地先

合  計 【2,390m】 左 岸 16.6km付近 東京都世田谷区野毛三丁目地先

左 岸 20.0km付近 東京都世田谷区宇奈根一丁目地先

合  計 【0箇所】 右 岸 21.5km付近 神奈川県川崎市多摩区宿河原五丁目地先

左 岸 28.5km付近 東京都調布市下石原地先

狛江 多摩川 左 左 岸 33.6km付近 東京都府中市南町五丁目地先

かわさき 多摩川 右 右 岸 35.0km付近 東京都多摩市関戸二丁目地先

あきしま(H15.5開校) 多摩川 左 浅川右岸 4.7km付近 東京都日野市南平地先

合  計 【3箇所】

<未整備>

合  計 【0箇所】

川崎市中原区上丸子地先 多摩川 右

世田谷区鎌田一丁目地先 多摩川 左

合  計 【2箇所】

<未整備>

合  計 【0箇所】

平成14年10月出水被災箇所一覧表

平成13年9月出水被災箇所一覧表河川環境整備事業による平成13,14,15年度の実施項目

【水辺の楽校】

【水洗トイレ】

【リバービオコリドー】

【渡しの復活支援】

地   区

【緩傾斜坂路】

【岸辺の散策路】

【川の一里塚・緑陰】

40

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action1 戦後最大流量規模の洪水を治水の目標とする。

既存整備 平成13.14年実施 平成15年実施 備     考

①河道断面の確保対策多摩川

堰対策 5堰 -

河道掘削 5区間 - 0 0 (堰対策上流区間)築堤 右 13区間 - 0 11区間(一部施工) 稲城市大丸(30k付近)

左 11区間 - 0 0

陸閘対策 4箇所 -1箇所

(上丸子陸閘)0

樋門対策 左 18.0k(谷川排水樋管) - 0 0

高潮対策 右 5.6km(0.0k~5.6k) 0.2km(高さ確保済み) 0 0左 2.5km(3.1k~5.6k) 2.5km(高さ確保済み) 0 0

浅川床止対策 7箇所 1箇所(百草床固) 5箇所 1箇所(西平山床固の改築)  ※床止対策の完了

河道掘削 2区間 -1区間(下流部)完了

1区間(上流部)一部完0 残り 上流部(7.0k~8.2k)

築堤 右 7区間 -1区間(一部施工)

日野市南平(3.9k付近)0

  左 8区間 - 0 2区間完了 日野市西平山・八王子市北野町樋門対策 左 4箇所 - 0 2箇所完了 上村用水樋管・川北用水樋管

②堤防の安全性向上対策多摩川

堤防強化対策 -過去の洪水実績等により漏水のおそれのある箇所及び浸透・侵食等に関した堤防の点検により必要となる区間

高水護岸整備 右 19区間 9区間(一部完) 01区間(一部施工)

(1区間(一部施工))

稲城市大丸(30k付近)日野市(40k付近)【緊急対策特定区間】(災害復旧により多摩市関戸(35k付近))

左 15区間 8区間(一部完) 0 0漏水対策 左 2区間 - 0 0

水衝部対策 右 21区間 - (4区間(一部施工)) 3区間(一部施工)高津区久地(18.8k付近)・稲城市大丸(31k付近)日野市(40k付近)【緊急対策特定区間】 (災害復旧工事により、一部を施工)

左 21区間 - (4区間(一部施工))1区間(一部施工)

(3区間(一部施工))府中市南町(災害復旧工事により、一部を施工)

浅川

堤防強化対策 -必要性・緊急性・利用面・景観及び環境面等を総合的に判断して必要な対策を行なう

高水護岸整備 右 6区間 2区間(一部完)1区間(一部施工)

日野市南平(3.9k付近)0

左 7区間 1区間(一部完) 0 2区間完了 日野市西平山・八王子市北野町

水衝部対策 右 6区間 4区間(一部完)2区間(一部施工)

(日野市石田・八王子市長沼)1区間(一部施工) 日野市西平山

左 9区間 1区間(一部完)区間整備完了(石田-新井)

1区間(一部施工)2区間完了 日野市西平山・八王子市北野町

※今後の災害の発生や調査結果及び施設管理者との協議等により、新たに河川工事が必要となる場合がある。

高水護岸、緩傾斜等

高水護岸、緩傾斜等直轄管理区間

(必要に応じ対策)

項      目

直轄管理区間(対策が必要となる区間で実施)

整備目標

1堰(四谷本宿堰対策中)

平成15年度 多摩川水系河川整備計画の実施項目一覧表

41

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平成15年度 多摩川水系河川整備計画の実施項目一覧表

action1 戦後最大流量規模の洪水を治水の目標とする。

既存整備 平成13.14年実施 平成15年実施 備     考

③総合的な治水対策被害を最小限に抑える対策

  - -平成14年2月

浸水想定区域の公表-

 CCTVカメラ - -本川 27箇所浅川  5箇所

本川 39箇所浅川  4箇所

 河川情報板 - -2箇所

(二ヶ領せせらぎ館・八王子)2箇所で情報を提供

④超過洪水対策

⑤広域防災対策多摩川

防災ステーション  0箇所水防拠点  1箇所

0箇所

河川防災ステーション11箇所施工中(大師河原)鉄塔 1箇所

(多摩川上流出張所)

- 0箇所 0箇所

右左

0.1k~46.2k1.5k~46.3k

約12km約15km

1,140m 1,460m

川崎市 2箇所 0箇所 0箇所 施行の場所の詳細は今後検討

右左

0.1k~61.8k1.8k~61.8k

-光ケーブル 約42k

情報コンセント 26箇所情報コンセント 43箇所

- 0箇所 0箇所 高規格堤防整備完了区間は除く

浅川

- 0箇所 0箇所

- 0箇所 0箇所

- 情報コンセント 5箇所 情報コンセント 4箇所

- 0箇所 0箇所

広域防災機能

情報システム

※広域防災対策の整備目標については、平成12年度末の見込み

既存河川管理施設の維持管理

河川の形状機能

河川管理施設の機能

洪水・高潮対策の体制3回(注意)体制

そのうち1回警戒体制へ移行

洪水・高潮対策の復旧 0箇所

樹林帯整備

地域防災活動拠点整備

水防拠点 2箇所

直轄管理区間(必要に応じ整備を実施)

情報通信機能

二種側帯整備

地域防災活動拠点整備

情報通信機能

二種側帯整備直轄管理区間

(必要に応じ整備を実施)

直轄管理区間

平成13年 9 月 台風15号  多摩川13箇所平成14年10月 台風21号  多摩川9箇所  浅川1箇所

緊急船着き場2箇所、緊急用河川敷道路28kmの維持管理。

ホームページ・マルチコールなどITを活用した災害情報の提供。

水位、雨量、流量など水文データを継続して計測。また、インターネットなどを通じて計測結果も公表。

継続して河川巡視を行う。

河川管理施設の操作を行う。

緊急河川敷道路

緊急用船着き場

日野橋より上流

樹林帯整備直轄管理区間

(必要に応じ整備を実施)

情報伝達の充実

項      目 整備目標

  action5 スーパー堤防の整備 参照

施行の場所、設置される河川管理施設等については、流域住民、自治体等と調整を図る。

施行の場所、設置される河川管理施設等については、流域住民、自治体等と調整を図る。

河川防災ステーション 6箇所水防拠点   15箇所

○治水に関する維持管理

平成13年度 2回(注意)体制、そのうち1回警戒体制へ移行。平成14年度 3回(注意)体制、そのうち2回警戒体制へ移行。

国土保全管理情報の収集・提供

41

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平成15年度 多摩川水系河川整備計画の実施項目一覧表

action2 多摩川リバーミュージアムの実現

既存整備 平成13.14年実施 平成15年実施 備     考

①生態系保全回復関連対策

1箇所(上河原ワンド)

2箇所(あきしま・かわさき)

リバービオコリドー -2箇所

世田谷区 1箇所川崎市   1箇所

3箇所日野用水堰(右岸側)

羽村取水堰白丸ダム

魚道技術レポート作成(魚道の現状評価)

永田地区 -

②水環境関連対策 -action4 水流実態解明     プロジェクト参照

③人と川のふれあい関連対策・TRM研修実施(4回)・活動支援(21団体 54回)・多摩川ふれあい教室運営

多摩川での活動を支援するために活動プログラムの相談、講師の派遣、支機材貸出しを支援。

環境学習懇談会を開催(1回)

環境学習教材(事例集、プログラム集、環境学習マップの作成)検討作成

-1拠点

(二ヶ領せせらぎ館)-

- 2.0km,7区間(一部) 340m

0箇所 0箇所 0箇所- 0箇所 0箇所

0箇所 0箇所 0箇所

水辺の楽校基盤整備 -・2箇所整備完(狛江、かわさき)・3箇所登録済(滝合、潤徳、あきしま)

・2箇所(府中・福生)プロジェクト登録・あきしま基盤整備

④福祉関連対策- 0箇所 0箇所

- 8箇所 2箇所(稲城)

⑤歴史文化関連対策

歴史文化関連対策 -TRMや京浜河川事務所のホームページを通じての支援

多摩川シンポジウム「多摩川を歩く」

岸辺の散策路整備

数カ所54箇所

11拠点

64箇所

魚道の整備

川の一里塚整備

項      目 整備目標

実施主体及び施行の詳細な場所については、地域住民、自治体等と調整を図る。

        8箇所 他 直轄管理区間のうち、   対応等が必要となる箇所

直轄管理区間  グランド等が連続する人工系 空間において利用区域の空  隙部分 など

本来の生態系の回復生態系保持空間

(必要に応じ対策)

       直轄管理区間 ・自然環境の良好な保全,  回復が可能な場所 ・治水上問題のない場所 ・長期間保存可能な場所 など

ワンド

実施主体及び施行の詳細な場所については、流域住民、自治体等と調整を図る

実施主体及び施行の詳細な場所については、流域住民、関係福祉団体、自治体等と調整を図る84箇所

46km,33区間

緑陰整備

渡しの復活支援対策

TRM現地情報拠点

71箇所

16箇所

学校教育におけるTRMの浸透を図るため流域の学校教員との意見交換を開催。学校教育者の現地での活動教材を作成。

環境学習懇談会

環境学習活動支援

水洗トイレ

緩傾斜坂路(スロープ)

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平成15年度 多摩川水系河川整備計画の実施項目一覧表

action3 協働の維持管理

平成15年実施 備     考

秩序ある利用形態 ラジコン飛行場1箇所を移動。不法係留対策に関する協議会を立ち上げ。 -

河川美化体制 約96,000人の参加

人と川のふれあい機能

福祉関連施設の機能

河川環境モニター機能

・水辺の国勢調査(陸上昆虫)の実施・水生生物による簡易水質調査 (4校、1団体)・市民と協働で「川の通信簿」を実施

河川環境 魚道の維持管理

河川景観

多摩川の文化育成機能・夏休み多摩川教室・多摩川シンポジウム「多摩川を歩く」・源流見学会、河口域船上見学会

住民等との協働システム・水辺の楽校等の活動支援・RCMについては、各出張所毎に 分科会を開催

action4 水流実態解明プロジェクト

平成15年実施 備     考

河川の適正な利用及び流水の正常な機能の確保

アンケート野川・浅川流域を対象に約1,400人のアンケート

水流解明キャラバン 平成15年度 5回開催

水循環再現モデル・同時流量観測の実施・水循環再現モデルを用いた 水流の再現検討

action5 スーパー堤防の整備

既存整備 平成13.14年実施 平成15年実施 備     考

超過洪水対策

高規格堤防整備推奨区間

  右 河口~第三京浜1地区(一部完)

(戸手地区)1地区 施工中(古市場地区)

2地区 施工中(大師河原地区・古市場地区)

古市場地区は平成16年9月完成

  左 海老取川~丸子橋1地区完成

(多摩川二丁目地区)1地区 施工中(下丸子地区)

1地区 施工中(下丸子地区)

高規格堤防整備候補区間

  右 第三京浜~日野橋1地区完成

(大丸第一地区)

2箇所 施工中矢野口地区

大丸第二地区

3箇所 施工中矢野口地区・大丸第二地区

東町地区東町地区は平成16年12月完成

  左 丸子橋~日野橋

1区間(一部完)(染地地区)1区間完成(鎌田地区)

- -

整備目標

項      目

多摩川の有すべき水流の目標値の設定に向け、広く一般流域住民の意向の把握を行なう。  ・流域内の全市区町村を対象に約2000件のアンケート

流域住民、河川管理者、流域自治体が一体となって、現地の確認により水流の問題・課題に対する共通認識を形成したうえで要望・意見等を聴取し、水流の改善に向けた討議を行なう場とする。  ・平成13年度に1回開催  ・平成14年度に3回開催

項      目

項      目

新多摩川誌の発行。多摩川週間などのイベントをとおして、啓発活動を推進。

平成 13 ・ 14 年 度 の 主  な  実  施  内  容 

水辺の国勢調査の実施、平成13年度には洪水攪乱後のモニター調査を市民と合同で実施。

魚道の維持管理、⑧空間では、行為の規制に対し、協力を求める看板を設置

流域の水循環系を再現するモデルを構築し、将来の施策検討を議論  ・基礎情報の収集(水文,水質,気象,地形地質,社会条件等)  ・物理分布型モデルによる流域再現モデルの検討

平成 13 ・ 14 年 度 の 主  な  実  施  内  容 

自治体の主催するクリーン作戦を支援。クリーン作戦は平成13年度約92,000人、平成14年度約94,000人の参加

  action2 人と川のふれあい関連対策欄の各施設の維持管理 参照

  action2 福祉関連対策欄の各施設の維持管理 参照

ホームページを通じて多摩川らしい風景のPRを積極的に行う。

TRMや水辺の楽校など、市民協働の各種施策を推進平成13年10月から毎月、RCM機関誌「川の市民情報」を発行

41

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平成 15 年度の実施状況の評価

このページは、それぞれの action や実施内容ごとに、次の 3 つの要素から構

成されています。

・ ・・・・平成 15 年度に実施した内容を記述しました。 可能な限り、位置図、必要性、重要性、完成後の状況など

の情報を昨年度よりも詳細に示しました。

・・・・目標に対する達成度を記述しました。 ① 整備率からの達成度

いわゆるアウトプット指標です。整備内容全体に対し

てどれだけ整備できたかを示しました。

② 効果から見た達成度 いわゆるアウトカム指標です。何をどれだけ整備した

かではなく、整備が進んだことによりどれだけ効果が出

たかを指標を用いて示しました。

※ ただし、維持管理の項目などのように、達成度を示すこと

が難しいものもあります。

・ ・・・・計画に対する進捗状況を記述します。 整備計画の全期間を対象とした年次計画に対して、どこま

で整備が進んだかを評価します。また、期間を限ったプロジ

ェクトについては、そのプロジェクトの期間を対象とした年

次計画に対して、どこまで整備が進んだかを評価します。 ※ ただし、維持管理の項目などのように、年次計画をたてる

ことが難しいものもあります。

構成と記述内容について

平成 15 年度の実施状況の評価

構成と記述内容について

実施

達成

進捗

平成 15 年度版

・整備計画の内容と取り組み

姿勢

・平成 15 年度の実施状況

・整備目標に対する達成度

・年次計画に対する進捗状況

詳細に

NEW

NEW

・整備計画の内容と取り組み

姿勢

平成 13・14 年度版

・平成 13・14 年度の実施状況

とその効果

2.計画の内容

に記載

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施工中の状況(平成 14 年 6 月)

施工中(平成 16 年 3 月)

● 被災した四谷本宿堰の堰対策を実施しています。 平成 14 年度に引き続き、四谷本宿堰の対策を行っています。

平成 15 年度は、右岸側の改築を行いました。

目標:整備計画の計画流量(4,500m3/s)を流せる河道断面を確保

すること。 ① 整備率:20%未満

② 効果:氾濫区域を指標した時、対策前と比べて下記の氾濫区域や

浸水深が減少する効果があります。

河道断面を確保します・堤防の安全性を向上させます

実施 達成

被災直後(平成 13 年 9 月)

石田大橋

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(1)

平成15年度の実施状況の評価~action1

平成 13 年 9 月台風 15 号の出水により、堰の中央部が流出し、河道中央

部で局所的な河床の洗掘が発生したため、河川整備計画に基づく河道断面

の確保対策として、流下能力不足の原因であった堰を撤去し、流下能力の

向上を図るとともに、河床の安定化を図るため、床固対策を実施しました。

実施にあたっては、本施設が農業用水の取水を目的とした施設であるた

め、利水者及びその関係機関である西府用水組合、府中市、東京都産業労

働局と河川管理者である京浜河川事務所との4者間で、四谷本宿堰のあり

方と適正な水利用について協議を行い、堰対策や取水施設の構造などにつ

いて決定しております。

この対策は、平成 17 年 3 月に完了する予定です。

石田大橋

施工中(平成 14 年 6 月)

石田大橋

堰対策の整備率

5堰

1堰~H15まで

整備目標

堰対策の整備率

(対策中)

対策前

対策後

:四谷本宿堰対策範囲

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① 堰対策の進捗状況は次の通りです。

② 四谷本宿堰の対策スケジュールは次の通りです。

四谷本宿堰の進捗状況

H13 H14 H15 H16 H17 以降 堰中央部改築 堰右岸改築 堰左岸改築 樋管改築 河道維持管理

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(2)

平成 15 年度の実施状況の評価~action1

進捗

堰対策の進捗状況

平成 13~15 年度 平成 16 年度以降

四谷本宿堰を実施中 四谷本宿堰の完成 残る二ヶ領上河原堰・大丸用水

堰・昭和用水堰・羽村取水堰の

うち、優先度の高い堰から着手

河道掘削などの維持管理とは

水衝部対策

生態系保持空間

河道整正範囲

低水路が安定的に維持

できる河道幅を確保する ための河道整正を実施

固定化した砂州を掘削

し、洗掘部を埋める

洗掘の進行 砂州の陸域化

実施にあたっては

市民の方と一緒に現地を

確認しながら、意見交換を

行い、実施に際しての留意

点などを設定していきま

す。

※ 四谷本宿堰周辺では、堤防際の洗掘が進行しているため、河道の状況を確認しな

がら河道掘削などの維持管理(河道整正)を実施して行きます。

河道幅拡幅

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●浅川の特長 ■急流な河川であり、雨が降ると浅川の水位はすぐに上昇し、洪水時には、流

れの速さが非常に速くなっています。

■浅川は経年的にみお筋の変化が激しく、侵食の被害を受けやすい河川です。

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(3)

平成 15 年度の実施状況の評価~action1

平成 11 年の被災箇所の改修と補強が目的。

平成 11 年度より 5~6 年後の完成を目標に洪水にも耐えうる低水護岸整備・

川の土砂を取り除く河道掘削・より安全性を高める床固の改築・撤去などを行

うものです。

●平成 11 年出水の概要 平成 11 年 8 月 14 日の出水は、堤防が破損するなど多大な損壊を引き起こし

ました。土砂の堆積や床固などの構造物によって流下能力が不足している箇所

で、川の水が計画高水位を超え、流れが非常に速くなったことが主な原因です。

浅川緊急改修

-10

0

10

20

30

40

50

60

70

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0

距離(k)

標高(A.P.m)

1/240~ 1/170

浅 川(H14.3測量)

多摩川(H14.3測量)

鶴見川(H16.3測量)

LEVEL~1/230

LEVEL~1/1,520

S49 末撮影

S59 末撮影

←浅川右岸 1.8km、高幡橋より下流、 堤防天端(上端)まで水かさが 増している状況

計画高水位を超える出水により百草床固に使用していた床固ブロックが流出している様

H13.9撮影

H6.3 撮影

昭和 57 年 8 月洪水 滝合橋上流左岸 堤防天端道路近くまで河岸侵食が進みました

↓浅川右岸 8.2km、中央線上流より、 橋梁付近まで水かさが増している状況

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平成 13・14 年度につづき浅川中流部の整備を行いました。 西平山床固の改築、日野市西平山・八王子市北野町の築堤護岸・

高水護岸・水衝部対策、上村用水・川北用水樋管の樋門対策を実施 し浅川緊急改修が完了しました。

目標:整備計画の計画流量を安全に流せる河道断面・堤防の質を確保す

ること。

① 整備率(主な対策):床固対策 完了、河道掘削対策 59%、水衝部対策 28%

今回の改修工事では、地下水脈

に対する配慮のひとつとして、工事

地区周辺において地下水位計を設

置し、工事の影響によって浅川の地

下水脈に変化があるかどうか、つね

に地下水の状況を調べながら工事

を進めています。

また、地下水によってできたワンド

に対してその位置や数などの調査

も行っています。工事前の平成 10

年度と工事後の平成 13 年を比較す

ると、位置は変わっているものの、

その総数はさほど変わらないことがわかりました。

また、地下水によって形成されるワンドは、出水後も残存しているケースが多く、

ガマやミクリなどの多年生の水生植物が生育していることも確認されました。

H15 年度完了

H14 年度完了

ただし、河道掘削は、今後土砂移動をモニタリングしながら実施するため、H15 年度は

実施していません。

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(4)

平成 15 年度の実施状況の評価~action1

実施

コラム~浅川の湧水の変化

達成

整 備 目 標

~ H 15

整 備 目 標

~ H 15

整 備 目 標

~ H 15 ( )は 緊 急 改 修 区 間

床 固 対 策

河 道 掘 削 対 策

水 衝 部 対 策

浅 川 の 治 水 対 策 の 整 備 率 (主 な も の )

7箇 所

2.9km

16.4km (4 .5km )

4 .8km (4 .5km )

7箇 所

モニタリンク ゙中1.7km

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50

効果:(2)氾濫区域を指標とした場合、対策前と比べて下記の氾濫区域が 減少する効果があります。

改修前 改修後

① 浅川緊急改修のスケジュールは次の通りです。

浅川緊急改修の進捗状況 年

項目 H12 以前 H13 H14 H15 H16 以降

床止対策

百草床固

西平山床固

河道掘削

低水護岸整備

合流点処理

築堤

維持管理

浅川緊急改修により、浅川では整備計画の目標である戦後最大規模の洪水

を概ね流すことができるようになりました。 今後は、それを「安全に」流せるように、特殊防護区間の水衝部対策など

の整備を行っていくことが必要と考えています。

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(5)

平成15年度の実施状況の評価~action1

進捗 ② 効果:(1)施工前に比べて、河道断面が広がり、洪水を流しやすくな

りました。

新井床固、石田床固、長沼床固

土砂の移動等を モニタリングしながら 維持管理を行って いきます

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

10.0

11.0

12.0

13.0

距離標(k)

流量(m

3/s)

整備後流下能力

H12.3流下能力

整備計画流量

1,100m3/s

950m3/s900m3/s

750m3/s

百草床固

平山床固

長沼床固

高幡橋

湯殿川合流点

西平山床固

元横山床固

山田川合流点川口川合流点

※ 中流部の整備後流下能力は、河道掘削の効果が含まれている。

浅川で施工した区間について、施工後から同じ場所の写真をとり、変化を記録す

るモニタリング調査を行っています。

コラム~景観のモニタリング調査

暁地区 平成 10 年初夏 平成 11 年初夏

平成 12 年初夏 平成 13 年初夏

平成 14 年初夏 平成 15 年初夏

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51

● 平成 15 年度から『多摩川堤防侵食集中対策プロジェクト』を始めました。

多摩川は関東の中でも比較的急勾配な河川であるため、水の流れも速く、過去

に多くの河岸侵食等の被災を受けています。

平成 13・14 年の出水でも被災しており、特に水衝部といわれる川の蛇行部分で

著しい被災を受けています。この水衝部は、河岸前面の局所洗掘が進む一方で、

対岸側が陸域化しており、さらなる河床洗掘を助長していきます。今後の洪水の

規模によっては河岸侵食だけではなく、堤防にまで被害がおよぶなど皆様の安全

を脅かす可能性も考えられます。

整備にあたっては、整備計画(水衝部対策)で「早急に強固な防護が必要」と

定められている河岸維持管理法線“特 A”の区間について、総合的な検討を行っ

たうえで順番を決め整備を行います。

まずは、特に被災が多く発生しており、人口や資産の集中している中流部の 10

箇所について 4 年間で完成を目指します。

具体的な整備方法としては、『堤防を強化するための高水護岸と高水敷の造成』

と『河岸を強化するための低水護岸と根固ブロックの設置』を行います。また、

みお筋の固定化や砂州の陸域化を解消するため、土砂移動の観点から必要に応じ

『対岸側の掘削と河床整正』を実施します。

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(6)

平成 15 年度の実施状況の評価~action1

そこで、被害を受けてから対処する

のではなく、事前に危険な箇所を強化

することで、最悪のケースとなる堤防

の崩壊を極力防ぐよう緊急的に整備

を実施します。

国土交通省において平成 15 年度から全国で新たに設定された『緊急対策特

定区間』のうちの一つで、緊急性の高い箇所に期間を定めて集中的に投資し、

投資効果の早期発現を図るものです。

このプロジェクトは

調布市石原地先 日野市石田地先

平成 14 年 9 月の出水による被害

このプロジェクトが完成することで、侵食に対する安全性が確保され、一度

の出水で堤防まで被害が及ぶ危険性のある箇所が減少します。

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52

平成 15 年度には、10 箇所の予定区間のうち、日野地区の施工を行い

ました。

■ 一度の洪水で堤防付近まで削られました。

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(7)

平成 15 年度の実施状況の評価~action1

実施 着手前の様子

工事完了直後の様子

日野橋

立日橋

多摩川橋(中央自動

日野地区

この区間では、川の流れによって堤防

が削られるのを防ぐために必要な河川敷

の幅を確保し、堤防と河岸の強化を図る

ために『低水護岸工事』と『高水護岸工

事』を実施しました。

整備にあたっては、安全性を向上させ、

川の自然な流れを尊重し、利用や環境に

配慮して行っています

H13.9撮影H13.3撮影

削られた河岸

洪水前 洪水後

堤防

H13.9撮影H13.3撮影

削られた河岸削られた河岸

洪水前 洪水後

堤防

H13.9撮影

一度の洪水で削られた部分堤防

H13.9撮影

一度の洪水で削られた部分一度の洪水で削られた部分堤防

着手中(H16.3 の様子)

設置した低水護岸の表面に

は、もともと現地にあった土を

戻し、実施前の環境へ近づける

ように配慮しています。

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目標:整備計画の計画流量を安全に流せる堤防の質を確保すること。

① 整備率:箇所数で 10%,延長で 13.9%

効果:氾濫区域を指標とした時、対策前と比べて下記の氾濫区域が

減少する効果があります。※

進捗率

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(8)

平成 15 年度の実施状況の評価~action1

平成 15 年度は1箇所で一部完

「多摩川堤防プロジェクト」の整備率

~H15まで

整備目標

~H15まで

整備目標

「多摩川堤防侵食集中対策プロジェクト」の整備率

10 箇所

1 箇所(10%)

7.9km

1.1km

箇所数

対策前対策後

※ 堤防強化対策実施箇所は、破堤しないという条件にて試算を行った。

「多摩川堤防侵食集中対策プロジェクト」の進捗状況は次の通りです。

達成

地先名 工種 延長(m) H15 H16 H17 H18

低水護岸 600

高水護岸 300

低水護岸 400

高水護岸 800

低水護岸 600

高水護岸 400

低水護岸 600

高水護岸 500

低水護岸 400

低水護岸 400

高水護岸 300

低水護岸 600

高水護岸 600

低水護岸 400

低水護岸 400

低水護岸 300

高水護岸 300

計 7900

事業費 約28億 約14億

「多摩川堤防侵食集中対策プロジェクト」の進捗状況

下布田

是政

約70億円 約28億

押立

四谷上流

住吉

錦町

元和泉

下石原

関戸

日野洪

凡例

    調査・設計等   工事の実施

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●河川情報板を八王子駅前に設置しました。

洪水時には、降雨や水位、河川映像をはじめ河川の出水状況や

気象情報などを表示します。 平常時には、ニュースや天気予報から防災啓発や地方自治体の

広報まで幅広く情報を提供しています。 平成 15 年度には八王子駅前に設置し、平成 13 年度に運用を開

始した二ヶ領せせらぎ館とあわせて、運用を開始しました。

実施

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(9)

平成 15 年度の実施状況の評価~action1

平常時の情報に台風情報が追加されます。

多摩川・鶴見川・相模川の水位雨量

自治体からの緊急情報など 多摩川・鶴見川・相模川の注

意報や警報

■ 洪水時 天気予報 河川情報 洪水情報

今日の天気/週間予報/ レーダー雨量

水位・雨量・CCTV画像など

流域照会・マルチコール・事業紹介など

イベント情報・防災情報など

天気予報 河川情報 京浜河川事務所の広報 市政情報 ■ 平常時

放送時間は、朝 7 時から夜 9 時までを基本としていますが(二ヶ領宿河原堰を除

く)、出水時などの緊急時には、時間を延長するなどその時の状況に応じて変更する

ことができます。

達成

駅前のような人の集まりやすい場所に設置

することで、この目的を達成しつつあります。 1 日平均約 8 万人が利用する八王子駅では、

より多くの方が情報を得られやすくなりまし

た。 八王子駅(平成 15 年度) 1日平均利用者数 81,273 人

達成

この河川情報板は、外出中の多くの市民に効率よく情報を提供できる

ツールとして、人の集まりやすい場所を選定し設置しています。災害時

には、天気予報・雨量・水位・ライブ映像などの大切な情報を提供する

と伴に、平常時には事務所の PR、多摩川・浅川の流域紹介や自治体の

情報などを提供し、情報交流の拠点となることが期待されます。

目的

川崎市は、平成 16 年 2 月、多摩

川・鶴見川の洪水ハザードマップ

(洪水避難地図)を作成しました。 多摩川流域に2日間で457mmの

雨(200 年に 1 度降る可能性のある

雨量)を想定して、浸水がおこる地

域を想定しました。 浸水のおこる可能性のある地域

の避難場所も示し、洪水時に市民の

皆様に活用していただきます。

トピックス~川崎市が洪水ハザードマップを作成

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55

⇒ action5 参照

洪水等の非常時に備える

ことを目的として、情報関

連施設や緊急河川敷道路や

防災ステーションなどの整

備を進めています。 ●河川防災ステーションを、大師河原地区(川崎市)に施工中です。

多摩川沿川における「防災に強いまちづくり」の第一歩として、川

崎市との共同により大師河原一丁目地区に洪水等による災害時には

水防拠点としての役割を果たす、河川防災ステーションの計画がス

タートしました。大師河原一丁目地区のステーションは、広域防災

拠点である「東扇島地区との連携を図ることで、川崎市を含め主要

部分の被災に対し、迅速・的確な復旧活動が可能になります。

整備率:16%未満

河川防災ステーションの進捗状況は次の通りです。

● 多摩川緊急用河川敷道路を、約 600m整備しました。 平成 15 年度には、約 600mの区間で整備しましたが、既に整備

されたものと合わせると、全体で約 26.3km のネットワークが出

来ました。

整備率:約 32%

平成 15 年度整備により、寸断されていた箇所(左岸稲城大橋

付近、左岸二ヶ領宿河原堰下流付近、圏道 1 号の左右岸からのア

クセス、左岸大田区多摩川 2 丁目船着場付近)が連続的となり、

災害時には迅速な復旧活動や緊急物資の輸送に役立ちます。

河川管理用光ファイバ

ー整備状況(平成 13・14

年度実施)

●多摩川:約 40km

●浅川:約 12im

(左右岸合わせた数字)

超過洪水対策を行います

広域防災対策を行います

実施

大師河原防災ステーションの災害時のイメージ 大師河原防災ステーションの平常時のイメージ

達成 河川防災ステーションの整備率

~H15まで

整備目標 6 箇所

1 箇所(施工中)

河川防災ステーションの整備率

進捗

進捗

H 1 7 基 盤 整 備

河 川 防 災 ス テ ー シ ョ ン の 進 捗 状 況

年 次 H 1 2  

H 1 8 建 物 整 備

大 師 河 原 地 区

H 1 4 用 地 買 収

H 1 5 盛 土

実施

達成

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(10)

平成 15 年度の実施状況の評価~action1

緊急河川敷道路の整備率

~H15まで

整備目標 90.9km

26.3km

多摩川緊急用河川敷道路の整備率

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56

● 情報コンセントを、多摩川で 43 箇所、浅川で 4 箇所整備しました。

都市部の河川敷は、地震などの 災害時には、沿川自治体の広域避難場所 に利用されます。情報コンセントは、パ ソコンやビデオカメラ、電話を光ファイ バネットワークに接続し、洪水による災 害時には被災状況等を間近にしたリアル タイム映像を送信、地震などの災害時に は広域避難場所の情報拠点としての機能 を果たします。

整備率:約 39%

●CCTVカメラを多摩川で 39 箇所、浅川で 4 箇所設置しました。

CCTV は、河川の監視を するためのカメラシステムです。 CCTV のとらえた映像は、一旦京浜 河川事務所へ集められ、さらに光ファ イバネットワークを通じて、自治体 (神奈川県横浜市、川崎市、平塚市) とテレビ神奈川、YOU テレビ(CATV) などの報道メディアへと伝送されてい ます。映像は、インターネットでも配 信されているため、平常時はもとより、 洪水時や災害発生時にも、一般の人でもリアルタイムで正確な情報を得るこ

とができます。

整備率:約 38%

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(11)

平成 15 年度の実施状況の評価~action1

実施

達成

実施

達成 浅川の治水対策の整備率

~H15まで

整備目標

CCTVカメラの整備率

200 台

75 台

情 報 コ ン セ ン トの 整 備 率

~ H 15ま で

整 備 目 標

情報コンセントの整備率

198 個(浅川含む)

78 個(浅川含む)

ビデオカメラで撮影意中

情報コンセント接続機器

接続している状態

カメラから送信された映像

カメラから送信された映像 (夜間)

CCTV カメラ本体

インターネットで発信 されているライブ映像

「重要水防箇所」とは、特に注意が必要な箇所のことです。 洪水の時には、地域の水防団の方々が、水防活動をして堤防を守っていますが、現在の堤防の高さ

や幅、過去の漏水などの実績などから、あらかじめ水防上重要な区間を決めておけば、より効率的な

水防活動を行うことができます。 このような考えから、毎

年「重要水防箇所」を定め

るとともに、洪水期(6 月

~9 月)の前に、関係者が

その年の「重要水防箇所」

を確認する合同巡視などを

行っています。

ホームページアドレス http://www.keihin.ktr.mlit.go.jp/disaster/flood_control_part/index.htm

トピックス~「重要水防箇所」をホームページに掲載しました

概略横断図 工作物A 昭和用水堰(S8 完成)老朽化

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57

●国土保全情報管理の収集・提供

水位、雨量、流量など水文データを継続して計測しています。また、イ

ンターネットなどを通じて計測結果も公表しています。 市民の洪水等に対する関心に応えることができるようになりました。

●河川の形状機能

継続して河川巡視を行っています。 日々の巡視で、多摩川の変化に素早く対応しています。

●河川管理施設の機能

河川管理施設の操作を行っています。 適切な操作が、河川の安全な維持管理につながっています。

●広域防災機能

緊急船着き場 2 箇所、緊急用河川敷道路 27km の維持管理をしてい

ます。 緊急時への備えを進めています。

● 洪水・高潮対策の体制

H15 年度に 3 回(注意)体制、そのうち 1 回警戒体制へ移行。 洪水・高潮時でも、関係機関と連携して迅速な体制を確保し、住民の

みなさんが安心して過ごせるようにしています。 ● 洪水・高潮対策の復旧 平成 15 年度は該当なし。

戦後最大規模の洪水を治水の目標にします(12)

平成 15 年度の実施状況の評価~action1

○洪水、高潮等による災害を防止、または被害を最小限におさえ

るために~治水に関する維持管理

実施

効果

実施

実施

実施

効果

効果

効果

実施

効果

京浜河川事務所のホームページでライブカメラの映像と、雨量・水位の

グラフをリアルタイムで確認できます。 事務所ホームページトップページアドレス

http://www.keihin.mlit.go.jp 災害情報ページアドレス

http://www.keihin.ktr.mlit.go.jp/calamity/index/index.html

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58

《現時点(H15.3)》

●「多摩川の魚がのぼりやすい川づくり・技術レポート」を作成しました。

多摩川では魚がのぼりやすい川づくりを進めてきました。平成 15 年度には今

まで実施してきたこの計画を検証する技術レポートを作成しました。

技術レポートの内容は次のとおりです。

〇事前調査・・・・・・・・・・・・・多摩川の河道特性、自然環境特性、水環境特性把握 ・魚類の遡上・分布の現状

〇事業計画策定・・・・・・・・・事業目標設定 ・事業計画(横断構造物の改善、モデル事業による改善) ・事業実施状況

〇事業の推進に係わる調整事項の整理 〇設計・施工・維持管理について 〇モデル事業の効果(魚道、全体評価)

■ モデル事業の効果

図- 施設数からみた改善状況

図‐ 距離からみた改善状況

豊かな自然を守るために~生態系回復関連対策

「多摩川流域リバーミュージアム」を実現します(1) 平成 15 年度の実施状況の評価~action2

モデル事業計画(実施計画)策定時から平成 15 年 3 月までに改善された施設

数は全 35 施設中 21 施設が改善されました。

42

23

19

35

20

155

14

9

0 10 20 30 40 50

合 計

多摩川

秋 川

全施設数

要改善施設数(実施計画策定時)

要改善施設数(H15.3時点)

改善済施設数(H15.3時点)

21

11

10

43.3

22.4

112.7

38.2

131.0

131.0

162.0

131.0

0 50 100 150 200

移動可能距離

溯上可能距離

距離(km)

実施計画時 現時点(H15.3時点) Ⅰ期完了時 Ⅱ期完了時

:当初より遡上が可能

:第1期計画対象(当面の事業展開)

:ハイダムのため魚道の検討必要

:第2期計画対象(小河内ダム~水源まで)

凡 例

凡例 1 は《現時点(H15.3)》に適用する

(河口からkm)0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

8 JR 中央線護床工

9 JR 八高線護床工

1調布取水堰

1

3.2k

2ニヶ領宿河原堰22.4k

4大丸用水堰

3

2.4k

5京王線護床工

3

5.1k

6四谷本宿堰

3

8.2k

10日野用水堰

4

5.2k

11昭和用水堰

47.8k

14羽村堰

53.8k

7日野橋護床工

3

9.9k

15小作堰

56.0k

16日向和田床固

63.0k

17川井堰

69.0k

18白丸ダム

7

9.0k

19小河内ダム

89.0k

20無名堰

100.1k

21帯工

118.5k

22落差工

118.6k

3ニヶ領上河原堰 2

5.8k

23落差工

118.6k

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59

〇〇地区

■ 各魚道の評価

調布取水堰 既設魚道はアユ等の遊泳魚の遡上には問題はないが、底生魚や小型魚の遡上状況

は良好ではない。 二ヶ領宿河原堰 二ヶ領宿河原堰魚道は良好に魚道機能が発揮されていると評価できる。 二ヶ領上河原堰 二ヶ領上河原堰魚道は、魚道に進入した魚の遡上は問題ないが、集魚状況に問題

があると言える。 大丸用水堰 機能を果たしていると言えるが、ハーフコーン型魚道の評価については意見が分

かれている。 京王線護床工 京王線護床工の魚道は、遡上は可能であるが、より遡上しやすくするための改築

が望ましいと言える。 四谷本宿堰 改善の必要性が強く指摘されている。 八高線護床工 現状では、平常時の魚の遡上は困難である。 日野用水堰 遡上が可能な魚道と思われるが、今後も調査を継続した上で評価することが望ま

しい。 昭和用水堰 遡上調査結果からは、改善の効果は見られないが、スジエビやトウヨシノボリの

遡上が確認されていることから、小型魚、底生魚、甲殻類が遡上できる可能性は

ある。 羽村第三床固 機能を果たしていると言えるが、早急な改善が望まれる。 羽村第二床固 機能を果たしていると言えるが、潜孔の状態を管理する必要がある。 羽村堰 今後追跡調査を継続して行った上で評価する。 小作堰 魚道自体の遡上は可能である。ただし、魚道自体についても小型魚や底生魚への

対応を向上させることが望ましい。 白丸ダム 今後追跡調査を行った上で評価するが、現時点では下流端に落差が生じており、

魚の遡上は不可能である。 action4.水流実態解明プロジェクト参照

●岸辺の散策路を 1 箇所約 340m 整備しました

川崎市宿河原五丁目地先において、水辺に近づけるように、河川

敷に小路を設けました。 散策路の表面はクレイ舗装(砂などを固め

た舗装)を施してあり、歩きやすくかつ自然

にも配慮しています。 また、維持管理もあわせて行っており、河

川巡視などで補修の必要な箇所を見つけ、修

理を行っています。

① 整備率:延長で約 6%

② 効果:沿川の人々に散策等で利用されています。今後は、流

域セミナー等の場でご意見を聞き、より良い整備に反映させ

ます。

進捗の考え方①: スーパー堤防事業、緩傾斜坂路(スロープ)整備などとあわせて、

岸辺の散策路を整備することが効果的であり、効率的であると考えま

す。よって、他の関連事業の進捗と合わせて整備を進めます。 進捗の考え方②: 岸辺の散策路を整備する優先順位は、既存施設の整備状況や堤内側

の施設(小学校、福祉施設など)の状況を見て決めることが重要と考

えます。今後の進め方として、これら周辺状況を考慮して整備の優先

順位を決めていきます。

きれいな水、安全な水を求めて~水環境関連対策

実施

憩い、遊び、学べる川をめざして~人と川のふれあい関連対策

達成

この技術レポートをもとにして、今後の魚道の計画・設計・施工・維持管

理に配慮を行うとともに、既設魚道の改善などに取り組んでいきます。

進捗

技術レポートで、既往調査(水辺の国勢調査、遡上調査、漁獲量調査)、

学識者などへのヒアリング、新聞等から総合的に評価しました。

「多摩川流域リバーミュージアム」を実現します(2) 平成 15 年度の実施状況の評価~action2

岸辺の散策路の整備率

46km

約 2.8km~H15まで

整備目標

岸辺の散策路整備率

宿河原 5 丁目地先の岸辺の散策路

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60

●水辺の楽校として H15 年度に府中と福生の 2 箇所を登録、及びあきしま水辺の

楽校の基盤整備を行いました。

また、活動中の水辺の楽校についての支援も自治体・市民の方々と連携して実

施しています。

<府中水辺の楽校(H16.3.30 登録)>

府中水辺の楽校は、平成 15 年度に登録を行い、現在は、水辺の楽校推進協議

会を立ち上げ、整備方針などについて協議しているところです。 ●実施方針

JR 府中本町駅、西武是政

駅から徒歩圏内の場所にあ

り堤防上部は「府中多摩川

かぜのみち」として多くの

市民に散策やサイクリング

で利用されています。

この場所に、ワンドを設け、

自然環境を活かした子ども

たちの学習および体験のス

ペースをつくります。また、

間近にある市立郷土の森博物館とも連携できることが強みとなります。

<福生水辺の楽校(H16.3.30 登録)>

福生水辺の楽校は、平成 16 年 1 月に運営協議会が設立され、現在は、自然観

察路や看板の設置等の整備方針などについて協議がされているところです。 ●実施方針

福生市に面した多摩川の大部分を、4つの

区域に区切って水辺の楽校とする予定です。

予定区間内には、福生かに坂公園、多摩

川中央公園、福生南公園と 3 つの公園があ

り、現在でも市民に親しまれています。

この場所を使って、多摩川でのそれぞれ

の季節ごとの遊びをテーマに水辺の楽校を

企画しています。多摩川で遊ぶことを通し

て、川の仕組み、生き物たちとの関係、ひ

との生活と川との関わりを理解し、よいよ

い環境を創り出すことを学ぶ場とします。

福生水辺の楽校では、現在でも「多摩川カッパまつり」「多摩川で作ろう」「ど

んど焼きに参加しよう」など、年間を通じて多くのイベントが行われており、市

民の方々も、水辺の楽校として整備されることを楽しみにしています。

<あきしま水辺の楽校>

あきしま水辺の楽校の基盤整備として、ワンドの掘削、木道の整備、園路や伝

統的土木工法の粗朶そ だ

工を整備しました。

また、あきしま水辺の楽校では、市民の方々にご協力いただいて、植生調査、

池の水位観測、鳥類観察、観察ノートの記録、貴重種の移植情報提供などの環境

調査も行っています。

実施

水辺

の楽

校活

動位

J R 五 日 市 線

新 多 摩 橋

永 田 橋

福 生 市 街

多摩

川↓

福生緑地公園

水辺

の楽

校活

動位

J R 五 日 市 線

新 多 摩 橋

永 田 橋

福 生 市 街

多摩

川↓

福生緑地公園

多摩川カッパまつりの様子(出典:自然環境アカデミーホームページより)

←水位観測

鳥類観察→

「多摩川流域リバーミュージアム」を実現します(3) 平成 15 年度の実施状況の評価~action2

ワンド掘削

木道整備

園路整備

粗朶工

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61

<狛江水辺の楽校>

・ 平成 13 年に開校した「狛江水辺の楽校」は平成 15 年度が 3 年目となりました。平成

15 年度の主催行事は 27 回、参加児童数は 599 名、地域の学校の総合学習支援は 18 回、

1285 名の児童の参加がありました。

・ 平成 16 年 5 月には、少し上流にある「五本松楽校」も正式にオープンしました。

<かわさき水辺の楽校・とどろき水辺の楽校>

・ 平成 13 年に宿河原校の開校、平成 14 年にはとどろき校が開校し、とどろき校は平成

16 年 4 月に名称が「とどろき水辺の楽校」になりました。

・ 平成 15 年度の活動では、13 回の行事に合計 1539 名の参加がありました。

・ 平成 16 年度の活動の一部を写真で紹介します。(とどろき水辺の楽校ホームページより)

① 整備率:約 20%(基盤整備済・中)、約 25%(登録済)

② 効果: 水辺の楽校の登録をしたところでは、協議会を立ち上げ、

その事業の推進や運営について地域を巻き込んだ議論が行

われています。 基盤整備を行ったところでは、様々な活動を実施し自発

的で活発な利用が図られています。 進捗の考え方①:

現在の進捗状況は次のとおりです。

進捗の考え方②: • 基盤整備は、それぞれの水辺の楽校の自然環境を活かせるように、

最低限の整備におさえています。 • 基盤整備のような施設的整備だけでなく、運営が継続的に行える

ような、ソフト的な支援を重視して進めています。

水辺の楽校の進捗状況 内 容 平成 13,14,15 年度 平成 16 年度以降

基盤整備 かわさき、狛江、あきしま

登録 潤徳、滝合、府中、福生

「子供の水辺再発見プロジェクト」に登録

かわさき・とどろき(H14)、府中・福生(H15)、 世田谷・潤徳(H16)

各自治体と市民の方々と連携しながら、各自治体 1箇所以上の設置を目指します。

「多摩川流域リバーミュージアム」を実現します(4)

平成 15 年度の実施状況の評価~action2

開校式 開校式(野草の天ぷら) 開校式(下水処理水の勉強)

植生調査 ストーンアート

狛江(H15 開校式) 五本松(H15 開校式)

出典:狛江水辺

の楽校運営協議

会ホームページ

より

達成

進捗

(登録済)

3箇所

16箇所

4箇所~H15まで

整備目標

水辺の楽校の整備率

(基盤整備済・中)

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62

●環境学習支援の活動を行いました。

<TRM 研修実施(4 回)>

多摩川を舞台とした様々な市民活動を推進する目的で、活動を支援する人材を

育成するため、多摩川に関する自然、歴史文化に関する知識や観察技術の習得、

水辺の安全管理に対する理解を深める研修を実施しています。 <多摩川ふれあい教室運営>

多摩川の河川環境に関する啓発を目的に、多摩川に関する情報の展示や来館者

からの質問の回答などを行い市民と多摩川を通じたふれあい活動を実施してい

ます。

定期的に自然観察会を行い、多摩川の自然を使用した遊びの体験も行っていま

す。

平成 15 年度には、約 9,000 人の来場者が多摩川とふれあいました。

<述べ 21 団体、58 回の市民活動支援>

平成 15 年度には、58 件のTRM活動に対する支援を行いました。内訳は、次

の通りです。

支援内容 支援対象 支援回数

小学校 16 回

中学校 4 回

(1)総合的な活動支援

社会教育施設 7 回

小学校 13 回

市民団体 2 回

(2)現地活動支援

その他 2 回

市民団体 13 回 (3)器材貸し出し

その他 1 回

<環境学習懇談会を開催>

多摩川流域内の小中学校の総合学習支援を目的とした、学校の先生や水辺の楽

校等の市民学習リーダーの交流の場として、「多摩川環境学習懇談会」を開催し

ました。 この会を通じて、環境学習を実践している学校の先生と河川管理者のコミュニ

ケーションが深まっています。

「多摩川流域リバーミュージアム」を実現します(5) 平成 15 年度の実施状況の評価~action2

実施

ふれあい教室の室内の様子 多摩川の魚を観察する子どもたち

定期観察会でのミミズクづくり 定期観察会での魚の観察

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63

●緩傾斜坂路を 2 箇所設置しました。

稲城市大丸地先・多摩川右岸 31.0km 付近(2 箇所)に、堤防から

河川敷への勾配の緩やかな通路(スロープ)を設置しました。

平成 13・14 年度は、利用者数が多く、現存施設の連続性及びスロープ化の要

望が強く市民からあげられていた地区に設置をしました。 平成 15 年度は、関連事業(スーパー堤防など)とあわせて、今後の展開を考

えた場合に、効果的・効率的な地区を選んで整備を進めました。

① 整備率:約 12%

② 効果:沿川の人々に散策等で利用されています。

今後は、流域セミナー等の場でご意見を聞き、より良い整備

に反映させます。

進捗の考え方①:

現在の進捗状況は次のとおりです。

進捗の考え方②:

効果的・効率的な進捗を図るために関連事業とあわせた整備を行

っていきます。 下の絵は、スーパー堤防整備とあわせて緩傾斜坂路等の整備、更

に水辺の整備を行おうとしている事例です。

緩傾斜坂路の進捗状況 H13・14 H15 今後

川崎市多摩区登戸(右岸 22.6k) 川崎市多摩区登戸(右岸 22.4k) 大田区南六郷二丁目地先(左岸 5.0k) 大田区本羽田二丁目地先(左岸 3.0k) 川崎市多摩区宿河原地先(右岸 22.0k) 大田区鵜の木三丁目(左岸 12.2k) 大田区田園調布四丁目地先(左岸 138.k) 多摩市関戸三丁目地先(右岸 34.1k)

稲城市大丸地先 (2 箇所)

74 箇所

多摩川をバリアフリーに~福祉関連対策

「多摩川流域リバーミュージアム」を実現します(6) 平成 15 年度の実施状況の評価~action2

達成

実施

進捗

緩傾斜坂路の整備率

84箇所

10箇所~H15まで

整備目標

緩傾斜坂路の整備率

緩傾斜坂路

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64

● 多摩川シンポジウム「多摩川を歩く」を開催しました。

平成 15 年 11 月 15 日(土)、下丸子、六郷地区を対象に、多摩川

の自然環境や流域の歴史文化について認識を高めてもらうため、シ

ンポジウムを開きました。 午前中から午後にかけて、下丸子から六郷、そしてディスカッシ

ョン会場の川崎まで歩いた後、2 時間のディスカッションを行いまし

た。 参加者は 110 名を越える盛況でした。

矢口渡し跡 岸辺の散策路

参加した方からは、楽

しかった、多摩川について

関心を持った、新しい発見

があったなど、好評をいた

だきました。

多摩川シンポジウムを毎年継続して開催することで、多摩川の

歴史・文化を多くの人に知ってもらう機会を提供しています。 今後も、引き続きシンポジウムを行い、より多くの人に多摩川

の歴史・文化を広めていきます。

文化を育んできた川だから~歴史文化関連対策

「多摩川流域リバーミュージアム」を実現します(7) 平成 15 年度の実施状況の評価~action2

実施

達成

進捗

多摩川流域リバーミュージアムでの取

り組みを紹介するホームページを開い

ています。 http://www.tamariver.net/index.htm 「TRM 活動の案内と紹介」「スタジオ

多摩川」「多摩川情報館」「河川管理情報」

など様々な情報を提供しています。 また、水辺の楽校などは、それぞれの

持つホームページにリンクされていて、

自治体や関連団体との連携を図ってい

ます。

コラム~多摩川流域リバーミュージアムの ホームページを開いています。

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65

●不法占用や不法行為などに対しては、市民や地元自治体、関係機関と連携し、

協議会などの話し合いの場を持ちながら取り組んでいます。

<河川美化体制> 自治体等が主催し、市民が参加する「多摩川クリーン作戦」を支援

しています。平成 15 年度は、のべ約 96,000 人の参加がありました。 この運動により、約 140 トン(2t トラック約 70 台分)のゴミが回収

されました。市民や自治体と連携する体制が整いつつあります。 多摩川・浅川でのゴミの現状は次の通りです。

リサイクル法対応家電の不法投棄数(多摩川・浅川での合計)

0

25

50

75

100

テレビ 冷蔵庫 洗濯機 エアコン

H13年度

H14年度

H15年度

<水面等利用者協議会>

協働の維持管理をめざします(1) 平成 15 年度の実施状況の評価~action3

協働の取り組み 達成

実施

「多摩川クリーン作戦」は、自治体・市民と河川管理者が共に河川美化に取り

組むもので、まさに「協働の維持管理」が目的のイベントです。

目的

実は、クリーン作戦の歴史は古く、昭和 40 年代後半から続いているものです。

このイベントを通じて、市民の中に河川愛護の意識が芽生え、今日の活発な 市民活動にもつながっていると評価できます。

達成

実施

多摩川下流部においては、不法な桟橋の設置、不法係留等無秩序な利用形

態となっております。 これらの無秩序な状態は、洪水、高潮等自然災害に対する安全性は言うに

及ばず、オープンスペースとしての河川の適切な利用活用を妨げ、良好な河

川景観、自然生態系等にも重大な影響を及ぼしています。 そこで、多摩川の果たす多種多様な機能を保持しつつ、秩序ある水面・水

際利用の実現に向けて、学識者、水面利用関係者、関係行政機関から構成さ

れる「多摩川下流部水面等利用者協議会」を設立し、不法係留問題の解決策

について協議し、提言を行っています。

調布市での活動状況

多摩川クリーン作戦参加者の推移

96,000人

94,000人

92,000人

89,000人

71,000人H11

H12

H13

H14

H15

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66

この協議会により次の対応方針が決定されました。

●市民と協働で、河川環境モニタリングを行いました。(河川環境モニター機能)

<川の通信簿> 「川の通信簿」は、市民と河川管理者が、河川空間の点検をし、評価

するものです。平成 14 年度の試行に続き、平成 15 年度は、5 箇所で

「川の通信簿」を実施しました。

兵庫島河川公園 福生南公園 滝合水辺の楽校予定地 <水生生物による簡易水質調査> 流域の小・中・高校生のみなさんや、市民団体の方々と京浜河川事

務所が毎年実施している調査で、平成 15 年度は、多摩川では 7 箇所

で行いました。

協働の維持管理をめざします(2) 平成 15 年度の実施状況の評価~action3

拝島橋での調査の様子 採取した生物を調べます 多摩川原橋での調査の様子

実施 達成

平成 16 年 6 月 15 日京浜河川事務所は、

多摩川の河口から1.5k~2.4k付近の左岸

(東京都大田区羽田 3 丁目・6 丁目地先に)

不法係留してある船舶 30 隻を撤去しまし

た(簡易代執行)。 撤去は、主に所有者の認識できなかった

船舶に前もって公示をし、期限までに撤去

されなかった船舶に対して行いました。

トピックス~多摩川に不法係留している船を 撤去しました。

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●市民との協働で多摩川を見守っています(住民等との協働システム)

<リバーシビックマネージャー制度(RCM)> 住民ボランティア活動の一環として、河川管理の一部を支援してい

ただく、日本で初めてのシステムです。その活動内容は RCM の方の

機関紙「川の市民情報」を通じて公開されています。現在、京浜管内

で 132 名の方がリバーシビックマネージャーとして登録しており、う

ち 100 名が多摩川で活動しています。 また、平成 15 年度には、各出張所ごとに分科会を開催し、意見交

換を行いました。

川の市民情報の表紙 リバーシビックマネージャーによる対応記録の例

リバーシビックマネー

ジャーには、多摩川の河川

管理に関する気づいた点

を日々FAX やメール等で

報告していただいていま

すが、直接顔を合わせての

会合も年に一度行っています。 事務所職員とリバーシビックマネージャーが意見交換す

ることで、様々な話題が活発に話し合われています。 リバーシビックマネージャーからの提案により「ゴミ持

ち帰り運動」が実現しました。ポスターとチラシを作成し、

リバーシビックマネージャーの

方々や沿川自治体、占用者等に協

力を呼びかけ、各種団体や商店街、

学校等に配布しています。平成

15年現在 49の団体に協力をいた

だいています。 また、河原でバーベキューを楽

しむ人たちに、リバーシビックマ

ネージャー自らがチラシを配布

することもあり、ゴミ持ち帰りに

効果を発しています。

分科会 開催日 RCM の 参加人数

多摩川上流分科会 H16.2.20 開催 15 名 多摩川中流分科会 H16.1.20 開催 8 名 多摩川下流分科会 H16.2.3 開催 18 名

浅川分科会 H16.1.21 開催 7 名

リバーシビックマネージャーの成果~ゴミ持ち帰り運動 実施

達成

市民と協働で河川環境モニタリングを継続的に行うことで、河川環

境管理に役立てることを目的としています。

目的

平成 13 年度の洪水かく乱後のモニター調査や川の通信簿、水生生

物による簡易水質調査などを今までに実施しましたが、専門的な

調査を市民が体験していくことで、多摩川の河川環境に対する理

解が深まり、協働の河川環境管理につながっていくものと期待で

きます。

達成

リバーシビックマネージャー分科会

協働の維持管理をめざします(3) 平成 15 年度の実施状況の評価~action3

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68

<多摩川河川相談室> 広報公聴事業の一環として、多摩川の河川事業に対する沿川住民の

ニーズを直接把握し河川行政に反映させる仕組みとして平成 11 年 8月 2 日に開設されました。

住民から寄せられた相談(問い合わせ、意見、要望、苦情、通報、

提言など)を電話(フリーダイヤル)、FAX、インターネットで受付け、

流域自治体とも連携しながら迅速な対応を図ることとしています。

住民が一つの窓口に一度だけ相談することにより、いわゆる「たら

い回し」をなくし、総合的な窓口として機能しています。

平成 15 年度には 281 件のご意見、ご要望、ご質問がありました。

協働の維持管理をめざします(4) 平成 15 年度の実施状況の評価~action3

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69

達成 日常的に市民と協働して河川管理を行うしくみをつくることを目

的としています。

目的

平成 12 年にリバーシビックマネージャー制度が発足して 4 年、そ

の発案が具体化され効果を発するなど、活動の幅も広まってきま

した。現在、第 3 期のメンバーを募集しており、リバーシビック

マネージャー経験者も増えつつあります。

達成

国土交通省では、全国で「新しい河川巡視」を試行しています。その

中で、「流域関係機関との役割分担」もあげられており、京浜河川事務

所では、リバーシビックマネージャーの方々と共に歩く巡視を実施し

ました。今後は、出されたご意見を「新しい河川巡視」の具体的な方

法に反映させていきます。

新しい河川巡視

協働の維持管理をめざします(5) 平成 15 年度の実施状況の評価~action3

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70

● 水流解明キャラバンを 5 回行いました。 <水流解明キャラバン> 水流解明キャラバンは、市民と行政で一緒に水流に関する現地を

確認し、意見交換を行うものです。これにより、それぞれの地域

における水流の問題・課題を共通認識としてとらえようとしてい

ます。 平成 15 年度には、浅川 part3、昭島、羽村、奥多摩&水源域、秋

川&平井川の 5 回のキャラバンを行いました。

日 時:平成 15 年 10 月 5 日(日) 参加者:約 50 名 □視察ポイント:①小沢緑地 ②七生~百草 ③さかい公園 ④南平九丁

目丘陵地高台 ⑤黒川清流公園 □参加者の意見

・ 都市化に伴い森や農地が減少していることが認識できた。 ・ 湧水の保全、飲める湧水に。 ・ 今後の浅川流域として、水循環を健全化するためのプランが必要。

日 時:平成 15 年 10 月 18 日(土) 参加者:約 30 名 □視察ポイント:①九ヶ村取水堰跡~昭和用水堰・霞堤 ②拝島補給ポン

プ所・ハケの下 ③拝島大師・おねいの井戸 ④成隣小

学校 ⑤諏訪神社 ⑥阿弥陀寺~わさび田 ⑦多摩川上

流処理場 ⑧玉川上水・こはけ橋 □参加者の意見

・ 涸れかけている湧水の涵養が昭島市の緊急の課題。 ・ 多摩川の水量と水質に関係する市民と行政の連携確立の一歩とした

い。 日 時:平成 15 年 11 月 16 日(日) 参加者:約 30 名 □視察ポイント:①まいまいず井戸 ②羽村取水堰 ③羽村市郷土博物館

④小作取水堰 □参加者の意見

・ 利水はやむを得ない。しかし、羽村堰後の多摩川のみすぼらしさは、

放置すべき問題ではない。 ・ 羽村取堰からの毎秒 2m3 放流は、そろそろ新しい段階に入る議論や

問題提起ができないだろうか

①流域の意向把握

水流実態解明プロジェクトで水流の調査・研究を行います(1) 平成 15 年度の実施状況の評価~action4

実施

③⑤④

⑨⑫

③⑤④

⑨⑫

開催日 対象地域平成14年 3月19日 野川流域 小金井市、国分寺市平成14年 8月31日 平瀬川&二ヶ領用水 川崎市平成14年10月19日 浅川下流部 日野市平成14年11月17日 浅川上流部 八王子市平成15年10月 5日 浅川下流域 日野市平成15年10月18日 多摩川 昭島市域 昭島市平成15年11月16日 多摩川 羽村堰周辺 羽村市平成15年11月23日 多摩川 水源域 奥多摩町平成15年11月29日 秋川、平井川流域 あきる野市

平成16年 9月11日多摩川水質水量現地感覚調査

府中市、昭島市、あきる野市、羽村市、青梅市

平成16年 9月12日多摩川水質水量現地感覚調査

府 中 市 、 日 野 市 、 狛 江市、世田谷区、大田区

平成16年11月20日 残堀川流域瑞穂町、武蔵村山市、立川市

H15 は 5 回開催

<浅川 Part3>

<昭島>

<羽村>

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71

日 時:平成 15 年 11 月 23 日(火・祝) 参加者:約 10 名 □視察ポイント:①峰谷川源流域・わさび田 ②峰谷川源流域・養魚場 ③

峰地区・水源涵養林 ④奥多摩湖(小河内ダム) □参加者の意見

・ 水源地域で水質にたいへん気を使っていることに感心した。 ・ 流域の源流から河口まで、それぞれの地域の課題を整理し、相互理解、

相互支援ができるようなしくみができると良い。 日 時:平成 15 年 11 月 29 日(月) 参加者:約 30 名 □視察ポイント:①養沢川源流 ②中の沢浄化施設 ③秋川橋河川公園 ④

白瀧神社 ⑤第 3 水辺公園付近 ⑥八雲神社 ⑦二宮神

社 ⑧草花公園付近 □参加者の意見

・ 秋川と平井川は多摩川の水質・水量にとって、重要な支川である。 ・ どのようにして人々が川に関心を持ち、具体的に行動できるかが、水

環境保全の鍵になると思う。

水流解明キャラバンは、平成 16 年度にも 3 回が行われ全 12 回

の開催となりました。この 12 回をもって、第一ステップである各

地域での水流の現状を把握し、問題点について認識することがほぼ

できたと考えます。 今後は次のステップに向かって新たなキャラバンを行っていく

予定です。

<奥多摩湖&水源域>

<秋川&平井川>

達成

流域の市民が、それぞれの地域での水流の現状を把握し、問題

点、課題を共有すること。

キャラバンを行った地域では、参加者の意見交換からも、その

目的を達しつつあることが確認できた。 今後は、多摩川流域の水流はどうあるべきか、それに向かって

どのような対策をとっていくのかを明らかにすることが、次の

目的となる。

進捗 キャラバンの第一ステップ 現状の把握、問題点の共有

キャラバンの第ニステップ 問題の要因と対策方向性の

把握・認識の共有化

平成 13,15,16 年度

のキャラバンでこ

こまで進捗

キャラバンの第三ステップ 対策効果の確認・認識の

共有化

水流実態解明プロジェクトで水流の調査・研究を行います(2) 平成 15 年度の実施状況の評価~action4

目的

達成

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72

●多摩川流域の水の流れを解明するために、情報やデータの収集や水の

流れを再現する水循環モデルづくりに取り組んでいます。 <同時流量観測>

本来多摩川には、どんな水が、どれくらい、どういう形で流れ

ていればいいのか?をあきらかにするのために『水流実態解明プ

ロジェクト』のとりくみの一つとして多摩川の流量観測を行いま

した。

今回は、非灌漑期の多摩川全体の水の量を把握するため、2 時

間おきに 12 回 24 時間かけて、同時に約 50 箇所の流量を観測し

ました。

冬 夏

<水質調査> 多摩川では、直轄区間において定期的に水質調査を行っています。縦断的

な水質の変化状況は次のとおりです。

平成 15 年度には、すべての地点で環境基準値を満足しました。

②水流実態の解明

水流実態解明プロジェクトで水流の調査・研究を行います(3) 平成 15 年度の実施状況の評価~action4

実施

主要河川別水質経年縦断図(BOD75%値) 水系名:多摩川 河川名:多摩川

0.0

5.0

10.0

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0

河口からの距離[km]

BOD75%値(mg/l)

平成13年

平成14年

平成15年

環境基準値(~H13.3)

環境基準値(H13.4~)

田園調布堰上B

大師

六郷

二子

多摩

多摩

是政

日野

拝島

永田

調布

関戸

結果

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73

<アンケート調査> 多摩川流域の中で、水流に対する関心度が異なる 2 つの支川流域、野川と

浅川でアンケート調査を行いました。約 1,400 名の方から回答がありました。 ■関心度

■水量への興味

■水質への興味

<水流解明プラン> 個別の流域の特性にあった水流の将来像を実現するために、「水流解明プラ

ン」の策定を考えています。平成 15 年度には、野川と浅川でモデル的に検

討を行いました。内容の一部を紹介します。

水流実態解明プロジェクトで水流の調査・研究を行います(4) 平成 15 年度の実施状況の評価~action4

野川

5.5 33.1 40.4 20.8 0.2

非常に関心を持っている

ある程度関心を持っている

それ程関心を持っていない

全く関心を持っていない

無回答

浅川

7.1 43.4 37.0 12.4 0.0

非常に関心を持っている

ある程度関心を持っている

それ程関心を持っていない

全く関心を持っていない

無回答

水流に対する関心は、野川より浅川のほうが若干多いようでした。

水量・水質の現状などの資料を読ん

でもらった後に再び聞きました。

野川

18.4 55.4 20.55.7

0.0

とても興味が持てる

やや興味が持てる

あまり興味が持てない

全く興味が持てない

無回答

浅川

18.6 61.6 17.72.1

0.0

とても興味が持てる

やや興味が持てる

あまり興味が持てない

全く興味が持てない

無回答

野川

18.3 60.9 18.6 2.2

とても興味が持てる

やや興味が持てる

あまり興味が持てない

全く興味が持てない

浅川

23.2 61.6 13.3 1.9

とても興味が持てる

やや興味が持てる

あまり興味が持てない

全く興味が持てない

情報提供を行えば、関心度は飛躍的に向上することが分かりました。

結果の一部紹介 野川の水収支

浅川の水収支

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74

●高規格堤防の整備を進めています。 ◆平成 13・14 年度に施工をはじめた区間 <推奨区間> ・古市場地区 ・大師河原地区(H15 着手) ・下丸子地区 <候補区間> ・矢野口地区

・大丸第二地区 ・東町地区(H15 着手)

<推奨区間>

「スーパー堤防」の事業は、世代を越えて粘り強く取り組んでいくべき、息の長い

事業です。 よりよい街づくりとより安全な川づくりを目指し、地域の合意が得られた地区から

事業を進めています。 現在事業の進んでいる地区を紹介します。

スーパー堤防の整備を進めます(1) 平成 15 年度の実施状況の評価~action5

実施

着工前 平成 15 年 完成予想図

■古市場地区

着工前 平成 15 年 完成予想図

■大師河原地区

着工前 平成 15 年 完成予想図

■下丸子地区

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75

<候補区間>

平成 15 年度までに、2,170m の区間で高規格堤防事業を進めて

います。

事業の実施は、よりよい街づくりと安全な川づくりを目指して、

地域との合意が得られた地区から進めています。

現在着工している地区における、事業の進捗状況は以下の通り

です。 平成 16 年度には、古市場地区、下丸子地区、大丸第二地区、

東町地区で事業が完了する予定です。

スーパー堤防の整備を進めます(2) 平成 15 年度の実施状況の評価~action5

達成

進捗

■矢野口地区

着工前 平成 15 年 完成予想図

■大丸第二地区

着工前 平成 15 年 完成予想図

■東町地区

着工前 平成 15 年 完成予想図

平成9年度

平成10年度

平成11年度

平成12年度

平成13年度

平成14年度

平成15年度

平成16年度

平成17年度

平成18年度

古市場地区 (完了)

大師河原地区 (完了予定)

下丸子地区 (完了予定)

矢野口地区 (完了予定)

大丸第二地区 (完了予定)

東町 (完了)

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76

市民の活動と調査の状況

今後、市民からの情報を受け、作成していきます。

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77

●土砂の移動に着目した「河道管理」の実現 多摩川では、社会経済活動上必要な堰を設置したことにより、二ヶ領上河原

堰上流部で見られるように土砂の堆積に起因して、整備計画目標流量を安全に

流下させるための河道断面が不足している箇所があります。 また、ダムや堰などによって、土砂の移動に阻害が生じ、下流まで土砂が供

給され難くなることにより、みお

筋が固定化し、河床の深掘れと砂

州の陸域化・樹林化が進行すると

いう現象が顕著に見られていま

す。 この現象が進行すると平成

13,14 年の被災でもみられるよう

に、洪水時の流れが集中し、河岸

に強く当たる箇所では、河岸の侵

食や局所的な洗掘を受けるなど

深刻な問題となっており、特に堤

防に近い場所での被災は、破堤に

つながりかねない、非常に危険な

状況です。

さらに環境面でも、従来、玉石

で覆われた河原には、カワラノギ

クやカワラバッタなど河原特有

の生物が見られていましたが、樹

林化が進んだところでは、その姿

を確認することも少なくなって

いる状況にあります。 このように、今の多摩川の状態

は、水や土砂の流れ、環境の面で

も決して健全な状態にあるとは

いえません。

■現状の課題 1)固定堰による土砂移動への影響

堰対策が必要な固定堰(二ヶ領上河原堰、大丸用水堰、昭和用水堰、羽

村取水堰(四谷本宿堰は平成13年9月洪水による被災により既に対策中))

は、その敷高が高く洪水の度に砂礫が頻繁に移動するという通常の土砂移

動が固定堰によって阻害されたため以下の問題が生じています。 ・河道断面を阻害する。さらに堰上流の土砂堆積を招くため河道断面不

足を顕著にしている。 ・堰下流の河床が低下し、護岸や橋脚などの機能維持が懸念される。

問題の解消のためには、土砂移動に着目した以下のような堰対策が必要

です。 ①上流の河道断面積を確保する(土砂が堆積しないようにする) ②下流の河床低下を緩和する(護岸や橋脚の基礎への悪影響を防ぐ)

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(1-1)

S22撮影

S36.4撮影 四谷本宿堰

みお筋

砂州

みお筋

四谷本宿堰

低水

高水敷⑧(生態系保持空間)

H13.9撮影

 昭和36年当時は低水路幅が広く、現在の⑧(生態系保持空間)は砂州であった。

 S49.9出水後、みお筋の固定化が顕著に。

【河床の深掘れと砂州の陸域化・樹林化】

距離標(km)

羽村堰

秋川合流点

昭和用水堰

日野用水堰

65

70

75

80

85

90

95

100

105

110

115

120

125

130

135

140

145

41.043.045.047.049.051.053.055.057.059.0

標高(

A.P.m)

調布取水堰

野川合流点

二ヶ領宿河原堰

二ヶ領上河原堰

石原

大丸用水堰

京王線鉄橋護床工

浅川合流点

四谷本宿堰

-5

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

60

65

70

75

13.015.017.019.021.023.025.027.029.031.033.035.037.039.041.0

S49.3低水路平均河床高

H 3.3低水路平均河床高

H14.3低水路平均河床高

セグメント 2-1セグメント 1

代表粒径 30.8mm~81.3mm 代表粒径 25.9mm~30.0mm

河床勾配 1/230

1/250

1/310

1/300

1/420

1/510

1/480

1/590セグメント 1

堰対策実施

図-1 多摩川低水路平均河床高縦断図

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78

2)みお筋の洗掘進行と砂州上植生の樹林化(二極化現象)

従来、多摩川では砂礫の河原が至るところにありましたが、近年、固定堰

等の影響により土砂移動の不均衡が拡大した結果、みお筋の洗掘が進行する

と同時に砂州上植生が樹林化するという二極化現象が顕著に現れてきまし

た(図-2 参照)。この二極化現象により以下の問題が発生しています。 ・堤防際の洗掘箇所では護岸の維持補修が適宜必要 ・砂州上植生の樹林化により洪水時水位が上昇 ・砂礫の河原を有する水辺環境が消失(カワラノギクの減少等)

河川整備にあたり「河岸維持管理法線内では自然な川の流れを最大限尊重し、

低水路の安定化を図る」ことを基本としています。 この二極化現象は一方向に進行するため放置したままでは決して元の状態

に戻りません。したがって、低水路の安定化を図るためには、河床を整正する

など少し手を加えることによって、砂礫の河原や元々の土砂移動状況を復元す

ることが必要となります。

■二ヶ領宿河原堰の改築事例を踏まえて 1)二ヶ領宿河原堰の改築後の土砂移動

河口から約 22.4km 地点において昭和 24 年に設置された旧二ヶ領宿河

原堰は、昭和 49 年の狛江災害や施設老朽化に鑑み、洪水の安全な流下と

その維持のため全面改築され、現在の二ヶ領宿河原堰は平成 11 年 3 月に

竣工しました。この改築によって、敷高の高い固定堰に起因する河道断面

不足(土砂堆積)ならびに堰周辺右岸側の堤防安全性の問題は解消されま

した(図-3~5 参照)。

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(1-2)

S49.12撮影 H13.10撮影

砂州上植生の樹林化

礫河原の消失 澪筋部の洗掘進行

図-3 砂州上植生の樹林化 と澪筋部の洗掘進行    (二極化現象)

図-2 みお筋の洗掘進行と

砂州上植生の樹林化

(二極化現象) 22.0k

5

10

15

20

25

-100 0 100 200 300 400 500

横断距離(m)

標高(A.P.m)

改築前(H7.3)

改築後(H11.3) 局所洗掘

高水敷造成

10

15

20

25

30

-100 0 100 200 300 400 500

横断距離(m)

標高

(A.P.m)

改築前

改築後

約2mの敷高切下げ

(全面可動化)

起伏式

A.P.17.0m

引上式

A.P.16.5m

河積の増大魚道 魚道

図-3 宿河原堰の改築断面図

図-4 高水敷造成による局所洗掘の解消

改築前(H4撮影)

改築後(H11.3撮影)

固定部

可動部

22.2k22.4k 22.0k22.6k22.8k

22.0k22.2k22.4k

22.6k22.8k

土丹の露出

局所洗掘

流れ

高水敷造成高水敷造成

22.2k22.4k 22.0k22.6k22.8k

22.0k22.2k

22.4k

22.6k22.8k

魚道設置

魚道設置

引上式ゲート

起伏式ゲート

図-5 宿河原堰の改築平面図

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79

堰竣工後、平成 11 年 8 月と平成 13 年 9 月に中規模の洪水が発生し、堰

周辺の河床が大きく変化しました。河床変化の特徴は、以下のとおりです。 ① 堰上流では、旧堰により堆積した土砂の流出等により河道断面が

増大しつつあり、治水上好ましい傾向にあるといえます(図-6 参

照)。 ② 堆積土砂流出の結果、堰直下流で広く露出していた土丹が砂礫で

覆われ始めており、砂礫河床を基本とする生態系の再生が期待さ

れます。 ③ 堰下流では、洗掘箇所が埋め戻される傾向にあり、護岸等施設の

機能維持にとって好ましいものといえます(図-7 参照)。 以上のように、堰敷高の切下げを契機として土砂移動が活発になること

によって、好ましい河道状況が現れ始めたといえます。

2)改築事例を踏まえた堰対策の実施

このように敷高の高い固定堰を切下げて全面可動堰とした結果、堰上流

の河道断面不足(土砂堆積)を解消できるだけでなく、洪水の度に土砂が

頻繁に移動する河川環境が再生されつつあることが分りました。 今後、二ヶ領宿河原堰の周辺河道のモニタリングを継続してさらなる知

見を集積するとともに、その知見を他の堰対策検討に反映させて、治水と

河川環境の双方にとって好ましい堰対策を行っていきます。

■二極化現象の解消 1)水衝部対策(堤防侵食集中対策)と一体となった対策の実施

水衝部における護岸等の施設維持を図るうえで、局所洗掘の抑制や、緩

和が課題であり、護岸等の施設による対策だけではなく、二極化現象の解

消も併せて行うことが必要な状況となっています。 今後、水衝部対策を実施する際に二極化現象が顕著に認められる箇所

(例えば、四谷上流の対岸)については、護岸等の対策施設の機能維持と

ともに砂礫の河原の復元を図るため、固定化した砂州を掘削し洗掘部埋め

戻すなど、二極化現象を解消する整備を併せて行うよう検討していきます。

影響範囲

5

10

15

20

25

30

181920212223242526

距離標

標高

(A.P.m

H11.3

H12.3

H14.3

二ヶ領宿河原堰

二ヶ領上河原堰

平均河床高

最深河床高

低下

上昇

図-6 平均河床高・最深河床高縦断図

19.8k

5

10

15

20

25

-100 0 100 200 300 400 500

横断距離(m)

標高

(A.P.m)

H11.3

H12.3

H14.3局所洗掘

の緩和

20.4k

5

10

15

20

25

-100 0 100 200 300 400 500

横断距離(m)

標高(A.

P.m)

H11.3

H12.3

H14.3局所洗掘

の緩和

図-7 宿河原堰改築後の洗掘箇所の変化

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(1-3)

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80

H13.9洪水で被災

砂州の固定化、樹林化

二極化の進行

36

.0k

京王線鉄橋府中四谷橋浅川合流点

35.035.235.435.635.836.036.236.436.636.837.00

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

距離標(km)

川幅(m)

低水路幅

堤間幅

2)検討例

治水上の目的に加え、多摩川らしい広い砂礫の河原や瀬と淵を保全する

ことを目的として、次のように整備内容を検討します。 ① 河床が砂礫からなる河道区間を対象として、横断測量成果、航空写

真を用いて、砂州の固定化状況や澪筋の洗掘状況を調べ、二極化現

象により治水上の問題が顕著に生じている箇所を特定します(図-9参照)。

②近年の平均的な洪水(平均年最大流量)を対象として、河床砂礫の動

きやすさ(掃流力※)と河床幅(低水路幅)の縦断分布を描きます。

③前述の①、②を基に、二極化現象が顕著に生じている箇所において、

河床洗掘の受けやすさと低水路幅の狭さの度合いを明らかにしま

す(図-10~11 参照)。

局所洗掘

砂州の発達(固定化)

図-9 二極化現象の進行

図-10 掃流力縦断図

図-11 川幅縦断図

flowS49.12 撮影

H13.10 撮影

低水路幅が狭い

※掃流力は河床砂礫の動きやすさを表し、掃流力が大きいほど砂礫が動きやすい。

従って、掃流力が上流側と比べて大きいと、河床は洗掘されやすいといえます。

浅川合流点 府中四谷橋 京王線護床工

0.01

0.1

1

35.035.235.435.635.836.036.236.436.636.837.0

距離標

無次元掃流力 τ

*

河床洗掘を受けやすくなっている

0.05 無次元限界掃流力

二極化進行箇所

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(1-4)

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81

航空写真:H13.10撮影

150m

H13.9洪水で被災

170m200m

200m

flow

④一般に低水路幅の狭い箇所を広げると河床洗掘の受けやすさは軽

減されますので、広げる幅をいくつか設定してその軽減の度合い(掃

流力分布の改善状況)を把握します(図-12~14 参照)。

⑤ 前述④の検討結果を基に、上下流の河床への影響、瀬と淵の再生、

周辺環境への影響等を勘案し、低水路を広げる幅を設定します(実

際には、固定化した砂州を所要の低水路幅まで掘削し、その掘削

土砂を洗掘部に投入して埋め戻すような河道整正を行います)

(図-15 参照)。

⑥ 河道整正によって二極化現象が解消され、やがては多摩川らしい

砂礫の河原や瀬と淵が再生されることが期待されます。しかし、

その姿が維持されるかどうかが重要となりますので、モニタリン

グを行っていきます。

150

m 110

m

固定化した砂州を掘削し、洗掘部を埋める(表土は除去する)

現況の河川敷への

すり付けが課題

浅川合流点 府中四谷橋 京王線護床工

0.01

0.1

1

35.035.235.435.635.836.036.236.436.636.837.0

距離標

無次

元掃流

力 

τ*

現況河道

河道整正(幅150m)

河道整正(幅170m)

河床低下傾向の緩和

0.05 無次元限界層流力

図-14 掃流力縦断図

図-12 川幅設定

図-13 川幅縦断図

図-15 河道整正のイメージ図

幅 150m で 36.0k のピークが概ね解消される

低水路幅 150m に決定

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(1-5)

京王線鉄橋府中四谷橋浅川合流点

35.035.235.435.635.836.036.236.436.636.837.00

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

距離標(km)

川幅(m)

低水路幅堤間幅低水路拡幅(150m)低水路拡幅(170m)

上下流へのすりつけを考えて拡幅幅を設定

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82

●今まで以上に、流域全体を視野に入れた取り組み 多摩川水系河川整備計画では、健全な水循環系の実現に向けた流域対策等に

ついて必要な施策を講じるため上下水道、地下水、氾濫流など多摩川水系の河

川水が関わる地域についても計画対象区間としています。 「水流実態解明プロジェクト」では、支川流域での水流解明キャラバンを実

施するなど流域を視野に入れながら取り組んでいます。 また、「多摩川流域リバーミュージアム」では、多摩川水系全体を博物館と

とらえ、万人が多摩川の持つ価値を学習し認識することが計画に位置づけられ

ています。 これら取り組みのより一層の拡充を図るには、さらに流域全体を視野に入れ、

次のような観点で、積極的な取り組みが必要不可欠と考えます。 ● 「水流実態解明プロジェクト」では健全な水循環系の解明のため、これま

で以上に、流域の概念を基本とした調査・研究を進めること。 ● 「多摩川流域リバーミュージアム」では現在も行われている源流域との

交流や支川での様々な取り組みを流域全体に広げ、これらの活動がより活

発化・ネットワーク化するための支援を積極的に行うこと。 そのために、京浜河川事務所だけでなく、流域内の都県、自治体はもとより、

流域住民のみなさんと、セミナーなどによる意見交換を積極的に行っていきな

がらお互いの情報を共有し、パートナーシップでよりよい川づくりを進めてい

くため、より一層の協力・協働体制を築いていくことが必要であると考えてい

ます。

■多摩川流域リバーミュージアム TRM部会幹事会の設置について

1.設置目的

多摩川流域リバーミュージアム(以下「TRM」という)に関する課

題等や行政間の具体的な役割分担について協議し、TRM部会で意見交

換するために提案することを目的とする。

2.幹事会の構成(案)

3.TRM部会幹事会の役割(案)

1)TRM部会の進め方について 2)TRMにおける行政の役割分担について 3)市民と行政の協働のあり方について 4)TRMの充実化に向けた課題について

多摩川源流大学構想について

多摩川リバーミュージアム活動に連動し、源流再生の上下流交流・連携

のシンボルプロジェクトとして、多摩川源流大学設立について検討を進め

ます。

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(2-1)

TRM部会 幹事会

多摩川流域 リバーミュージアム部会

多摩川流域協議会

水環境部会 行政連絡部会

水と緑のネットワーク部会

幹事会構成(案) 東京都、小菅村(源流)、福生市(上流)、府中市(中流)、川崎市(下流)、

日野市(支川)、京浜河川事務所(事務局)

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83

平成 16 年 12 月 11 日(土)~12 日(日)に、「源流再生・上下流連

携と流域パートナーシップ」~山(森)と川と海をつなぐ命のネット

ワークをテーマに山梨県小菅村において第15回多摩川流域セミナーが

開催されました。

源流域の諸課題を共通認識し、源流再生に向けた意見交換が行われま

した。 意見交換会で出された意見の一部を紹介します。

• 流域の学校では教えられないことを学べる"源流大学"をつくりたい。 • 源流のすばらしさ、源流の良さそのものを味わってもらう"源流ライフ"を子供たちに

経験してもらいたい。 • 今までの枠組みを打ち破り、すそ野を広げていきたい。 • 今の川は人間がつくったもの。歴史の見えるまちづくり、歴史の見える川づくりをし

てほしい。 • 本来、人間が自然に身につけてきた技術が今の子供たちには欠けている。多摩川の魅

力を再発見し、魅力的な人間を育てていきたい。 • 村の人は気づかないが、外から訪れる人にとっての魅力を探そう。 • 流域の川の工事で、間伐材を利用してはどうか。 • 源流域に来た人を素通りさせない工夫が必要。

■支川との連携 東京都が管理している多摩川支川の河川整備計画

多摩川水系河川整備基本方針は、平成12年12月に策定されてい

ます。この基本方針は、多摩川流域における長期的な治水・利水・環境

に関する計画を定めております。 多摩川水系河川整備計画【直轄管理区間編】は、この多摩川水系基

本方針に沿って計画的に河川の整備を実施すべき区間について、当該整

備に関する計画を定めたものです。 支川の整備計画策定についても、多摩川水系河川整備基本方針方針

に沿って、また、多摩川水系河川整備計画とも調整を図りながら進めて

いくもので、東京都が策定作業中の野川・残堀川・浅川圏域については

調整を図っております。この他の各支川でも策定作業を進めております

ので、今後も連携を図っていきます。

トピックス~第 15 回多摩川流域セミナーを源流で開催しました

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(2-2)

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84

各流域ブロックにおける水流再生方策(事務局案)

■水流実態解明プロジェクト

関係機関(水環境部会)による検討

流域の行政機関で構成する多摩川流域協議会の1組織水環境部会内に

新たにワーキングと称する検討組織を構築し、関係する流域自治体により、

「多摩川の有すべき水流」について検討を開始しました。 この中では

・水流改善に向けた施策実施状況 ・多摩川流域内各地域における水流の歴史的変遷 ・有すべき水流の整理

を行い、関係機関により「多摩川が有すべき水流」について整理を行っ

て行きます。

水流の実態と課題について整理 有すべき水流の考え方整理

目標設定の考え方整理

対策メニューの考え方整理

水流の実態と課題 有すべき水流の考え方 目標設定の考え方

対策メニューの考え方

分科会

学識者等による助言

目標の検討

対策メニューの検討 (総合的な水環境改善計画)

流域セミナー

有識者による方向性の確認と、助言

を得る場

市民への情報提供と意見聴取の場

対策の設定

水流実態解明プロジェクトの進め方イメージ(案)

水環境部会

長期的(基本方針レベル) 短期的(整備計画レベル)

目標の設定

意見聴取

情報提供

ワーキング

水環境部会

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(2-3)

関 連 自 治 体

多摩川源流域 塩山市、丹波山村、小菅村、奥多摩町、青梅市

多摩川上流域 羽村市、福生市、昭島市

多摩川中流域 国立市、多摩市、府中市、稲城市、川崎市(麻生区のみ)

多摩川下流域 狛江市、川崎市、世田谷区、大田区

秋川・平井川流域 あきる野市、日の出町、檜原村

浅川流域 日野市、八王子市

残堀川流域 瑞穂町、武蔵村山市、立川市

野川・仙川流域 国分寺市、小金井市、三鷹市、調布市、小平市、武蔵野市

流 域 分 割

多摩川源流域

多摩川上流域 残堀川流域

多摩川中流域

野川・仙川流域

浅川流域 (上流域) 浅川流域

(下流域)

秋川・平井川流域

多摩川下流域 (汽水域)

多摩川下流域 (順流域)

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85

■多摩川の景観への取り組み

・多摩川河川環境管理計画(S55 策定)により、河川空間の秩序ある保

全と利用がなされており、多摩川の景観形成の一翼を担っています。 ・昭和 59 年には、住民の意見を参考に多摩川八景・50 景が選定され、

住民に親しまれているとともに、河川整備基本方針及び河川整備計画

において多摩川八景・50 景などの保全に努めることが位置づけられて

います。

■多摩川景観計画の検討

平成15年に「美しい国づくり大綱」、平成 16 年には「景観法」、「景

観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(景観法整備法)」及

び「都市緑地保全法等の一部を改正する法律」のいわゆる「景観緑三

法」が施行され景観を取り巻く法制度面も一層充実が図られておりま

す。

この様な近年における景観を取り巻く情勢からも、多摩川において

人と自然を生かした川づくりを行うためには、多摩川の持つ自然的特

性や長い人的関わりから生じた地域特性を基本とする望ましいと考え

られる景観の方向性及びそれに基づく河川整備の方向性を示す「多摩

川景観計画」について検討を行う必要があると考えます。

このため、景観、都市計画、河川及びまちづくりの専門家からなる検

討会を設立し、以って多摩川水系河川整備計画に反映させるための基本

的な考え方をとりまとめるものです。

1) 景観計画の位置づけ

・景観計画は、多摩川水系河川整備計画に位置づける。 ・河川事業者は、本計画に基づき、河川区域内については、河川の治水・

利水・環境の 3 機能を尊重しつつ良好な河川景観の形成のための施策

を積極的に行う。 ・沿川自治体に対しては、景観形成の方針および施策案を提案し、連携

を図りながら、街づくり計画への反映を促す。 2) 景観計画の構成

・計画は基本方針とゾーニングおよびゾーンにおける景観保全・形成の

方針、景観保全・形成の施策からなる。

3) 検討の進め方

本検討のための作業を右図のように 進め、各段階において検討会でたたき台 から案を作成するものとする。

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(3)

●多摩川の景観の向上にむけた取り組み

多摩川景観計画

基本方針

ゾーニング

ゾーンにおける 景観保全・形成の方針・施策

(関連計画の基本方針が前提に)

(各地域・地点の特徴を踏まえたもの)

(有効かつ現実的な景観保全・形成施策)

・ゾーニング案(たたき台) ・ゾーンの方針

・基本方針(たたき台)作成 ・資料整理

・ 景観保全・形成施策案(たたき台) ・代替案(たたき台)

・景観保全・形成施策案(修正) ・課題の整理

・最終取りまとめ

多摩川景観計画

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86

■全国的な今年の災害の特徴

今年の水害、土砂災害、高潮災害の様相は、自然的状況、社会 的状況の変化による新たな災害対策の課題を明らかにしました。 1,社会的状況 2,自然的状況

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(4―1)

●全国的な災害を受けての多摩川の対応

住家被害

※一部損壊・床下浸水

0-5,000棟

5,000-10000棟

10,000-15,000棟 15,000-20,000棟

20,000棟以上

今年日本に上陸した台風の経路図

台風16号

台風4号

台風6号

台風10号

台風11号

台風15号

台風18号

台風21号

台風22号

台風23号

・・流流域域がが比比較較的的小小ささいい中中小小河河川川ででのの洪洪水水やや 土土砂砂災災害害のの増増大大 ・・情情報報ををははじじめめ迅迅速速なな警警戒戒避避難難体体制制がが必必要要

自自然然のの外外力力はは施施設設能能力力をを超超ええるる可可能能性性がが 常常ににああるるここととをを踏踏ままええたた備備ええがが必必要要

・・災災害害現現象象のの急急激激なな変変化化ががなないいよよううなな施施設設 ととすするる必必要要

・・災災害害現現象象のの急急激激なな変変化化をを念念頭頭ににおおいいたた 避避難難警警戒戒体体制制がが必必要要

局所的な集中豪雨が多発

これまでの記録を超える降雨量、 高潮の波高・波力などが各地で 発生

破堤が多数発生するなどにより ダメージが大きいだけではなく、 事後対応も大変

地域コミュニティの衰退、水防団員の減少と高齢化などの地域の共助 体制が弱体化

避難勧告の発令や伝達の遅れ や勧告が伝達されても避難しな い人が多数

地下鉄・地下街など地下空間 利用が増大しているなかでの 地下空間の浸水

被被災災経経験験がが減減少少しし、、危危機機意意識識がが低低下下ししてて いいるるななかかででのの災災害害時時にに的的確確なな認認識識やや行行動動 ががななさされれるるよよううににすするるたためめののししくくみみがが必必要要

都都市市のの地地下下空空間間のの浸浸水水にに対対すするる的的確確なな 避避難難誘誘導導体体制制のの構構築築

高齢者や保育児などの災害弱者 の被災が特徴的

少少子子高高齢齢化化にに対対応応ししたた警警戒戒避避難難体体制制がが必必要要

現現在在のの社社会会的的状状況況にに即即ししたた共共助助体体制制のの再再 構構築築がが必必要要

今年度の風水害による被害

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87

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(4―2)

■豪雨災害対策緊急アクションプラン

11..送送りり手手情情報報かからら受受けけ手手情情報報へへのの転転換換をを通通じじたた災災害害情情報報のの提提供供のの充充実実

22..平平常常時時かかららのの防防災災情情報報のの共共有有のの撤撤退退 33..迅迅速速かかつつ効効率率的的なな防防災災施施設設のの機機能能のの維維持持向向上上 44..地地域域のの防防災災対対応応力力のの再再構構築築

55..河河川川管管理理者者のの防防災災体体制制のの総総点点検検とと改改善善

■災害情報普及支援室の設置

役割・機能

・ハザードマップの作成に関する市町村への技術支援

・「災害情報協議会(仮称)」(注1)の運営

・その他、災害ポテンシャル情報に関する普及・啓発活動 等

(注1):ハザードマップの普及に関する関係市町村の一体的な取り組みを支援するために、

本年4月に設置する予定の協議会。上記各事務所単位で設置し、国・関係都県・関

係市町村等により構成される予定。

((11))中中小小河河川川等等ににおおけけるる洪洪水水予予測測等等のの高高精精度度化化 ((22))受受けけ手手のの判判断断・・行行動動にに役役立立つつ河河川川等等情情報報のの提提供供 ((33))受受けけ手手にに情情報報がが確確実実にに伝伝わわるるたためめのの体体制制整整備備 →→河河川川管管理理者者がが保保有有すするるCCCCTTVV等等にによよるる画画像像情情報報のの 自自治治体体・・報報道道機機関関等等へへのの積積極極的的なな提提供供

((11))浸浸水水想想定定区区域域等等のの区区域域指指定定のの拡拡大大 ((22))洪洪水水ハハザザーードドママッッププのの全全国国的的緊緊急急配配備備 →→主主要要なな中中小小河河川川ににかかかかるる洪洪水水ハハザザーードドママッッププのの 作作成成・・公公表表のの義義務務付付けけ ((33))水水害害時時にに適適合合ししたた避避難難場場所所のの総総点点検検へへのの支支援援

((11)) 防防災災施施設設のの整整備備状状況況のの調調査査・・評評価価・・公公表表 ((22)) 堤堤防防のの質質的的評評価価 ((33)) 防防災災機機能能をを一一層層向向上上ささせせるるたためめのの既既存存施施設設のの有有効効活活用用

((11)) 災災害害時時のの要要援援護護者者へへのの対対応応 ((22)) 水水防防活活動動等等のの体体制制強強化化 ((33)) 地地下下空空間間ににおおけけるる避避難難誘誘導導体体制制のの構構築築

多摩川における平成16年の出水状況 【台風22号】 非常に強い台風 22 号は 10 月 9 日 16 時ごろ、静岡県・伊豆半島に上陸した。首都圏などを風速

25 メートル以上の暴風域に巻き込んで北東へ進み、9日 20 時ごろ茨城県沖の太平洋に抜けました。

多摩川の小河内観測所では降り始めからの雨量が 188mm、鶴見川の長津田観測所では 305mm、相

模川の道志観測所では 360mm を記録し、多摩川・鶴見川・相模川では三河川とも警戒水位を上回り、

平成 14 年 10 月以来の大きな出水となりました。

台風の経路図

2004年10月9日 14時 ●位置 御前崎の南南西 70km 北緯 34 度 0 分 東経 137 度 55 分 ●強さ 非常に強い ●中心気圧 940hpa ●最大風速 中心付近で 45m/s ●進行方向 北北東 ●進行速度 60km/h

10 月 9 日 17 時 40 分頃

多摩川

台風経路詳細図

■水防に関するボランティア活動についての検討 水防法の一部改訂により、水防管理者が、水防団又は消防機関が行う水防活動に協

力する法人、NPO法人を水防協力団体として指定することができるようになること

から、水防活動とボランティア活動の仕組み等について検討をおこなう。

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88

多摩川水系河川整備計画の新たな視点からの取り組み(4―3)

-2

0

2

4

6

8

10

12(m)

警戒水位(6.00m)

危険水位(7.00m)

10/8

田 園 調 布 (上) 地 点 水 位

平水位(3.27m)

10/1010/9

今回水位S49. 9水位S57. 8水位H11. 8水位H13. 9水位H14.10水位

ピーク水位:6.99m10/9 20:00

計画高水位(10.35m)

0

10

20

30

40

  6:00   12:00   18:00   24:00    6:00   12:00   18:00   24:00  6:00 

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

時間雨量

累加雨量

(mm/h) (mm)小 河 内

10/8 10/9 10/10

出水状況(台風22号)田園調布(上)水位観測所では、危険水位(A.P. +7.00m)にせまる水位(10/9 20:00 A.P. +6.99m)と

なりました。

-2

0

2

4

6

8

10

02.2

2317

822.4

5017

642.7

0876

712.7

2631

853.1

4755

233.5

1028

133.5

3953

373.9

8416

934.2

0648

714.5

3411

345.2

4787

065.3

5317

96.7

2218

888.7

8155

3811

.039

835

13.2

6301

315

.064

957

15.6

9680

815

.907

425

17.9

1998

620

.037

856

22.2

7273

524

.449

1126

.371

574

27.3

9540

628

.372

434

(m)

警戒水位(4.30m)

危険水位(5.30m)

石 原 地 点 水 位

平水位(0.84m)

*S49.9水位については、その後基準の高さを 変更しており、補正を加えている。

10/8 10/1010/9

計画高水位(5.94m)

ピーク水位:4.55m10/9 19:00

今回水位S49. 9水位*S57. 8水位H11. 8水位H13. 9水位H14.10水位

多摩川 田園調布(上)水位観測所付近(10月9日20時頃)

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89

多摩川水系河川整備計画の見直しの考え方

多摩川を取り巻くさまざまなことがらは、時とともに変化していきま

す。これらの変化はどの項目にあてはまるのか、また変化に対応するに

は、どんな検討が必要なのかを考えていきます。 変化の度合いが大きく、大きな対策が必要な場合には、整備計画を見

直すことを考えます。

本計画の対象期は、概ね20年から30年間とする。

なお、洪水等防止軽減水準の向上状況、流域の社会状況、自然状況などの

変化や、新たな知見、技術の進捗等により対象期間内であっても必要に応じ

て本計画の見直しを行う。

<整備計画本文より>

■ 洪水等防止軽減水準の向上 ■ 流域の社会状況の変化 ■ 流域の自然状況の変化 ■ 新たな知見 ■ 技術の進捗 等

変化をモニタリングし、必要に応じて見直しを行う。

項目 小項目 課題・変化 視点の関連 検討の視点

・洪水等防止軽減水準の向上

洪水 最近の異常的な集中豪雨 ハードとソフトの減災対策

土砂 土砂堆積による流下能力不足 河道管理(縦断的な土砂管理)

二極化による河床低下と陸域化 河道管理(横断的な土砂管理)

・流域の社会状況の変化

流域圏管理 上下流交流 TRMの推進(源流部域との連携)

河川水 水流実態の把握 水流実態解明プロジェクトの更なる推進(目標の設定)

自然環境 保全への要求 人工系空間での生態系の連続性

⑧空間のルール

維持管理 維持管理の時代 維持管理計画

  河川管理施設の維持管理   維持管理水準(コスト縮減)

  河川巡視の重点化   RCMの活用

  モラルの低下(ごみ問題など)   河川利用のルール

・流域の自然状況の変化

動植物 樹木の成長 河道管理(樹木管理)

・新たな知見

法・制度 景観法 景観ゾーニング検討

研究 生態学術研究 再生区域の拡張を検討(自然再生)

 など

大きな対策が必要な場合

に、整備計画を直すことに

なります

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90

多摩川水系河川整備計画の今後の方向性

●様々な状況の変化を確認しながら 河川整備計画を着実に推進していきます。

平成 13 年 3 月に多摩川水系河川整備計画が策定されてから、その間におこ

った流域の社会状況、自然状況などの変化や新たな知見、技術の進捗などを監

視しながら、多摩川の整備・維持管理を河川整備計画に基づいて進めておりま

す。平成 15 年度までのところは、河川整備計画の内容を見直さなければなら

ないようなこれらの状況の変化は無いと考え、河川整備計画に記載されている

実施内容を着実に推進してまいりました。 今後は、昨年度のフォローアップで取り上げたの 2 つの課題『土砂移動に着

目した「河道管理」の実現』、『今まで以上に、流域全体を視野に入れた取り組

み』について、前述の新たな視点からの取り組みで記載した具体的な取り組み

に積極的に対処するほか、今回、新たな視点からの取り組みに記載した『多摩

川の景観の向上に向けた取り組み』、『ソフト対策のより一層の取り組み』につ

いても積極的に対応し、前述の整備計画の見直しの考え方で記載しているよう

に、これら景観法を含めた新たな取り組みが整備計画にどの様な影響を与える

かの検討も行いながら、整備計画を着実に推進していきます。 これからも整備計画に則った取り組

みについては、過去の出水被害や規模

を検証し、治水事業の歴史的背景をお

知らせするなど、広報活動や情報提供

を積極的に取り組み、流域住民にご理

解、ご協力が得られるよう進めていき

たいと考えています。 さらに、必要に応じて環境調査を実

施し、自然環境への影響を極力少なくするよう検討・実施していきます。また、

工事に関する情報は、適宜流域の市民にも提供し、環境への影響を把握するた

めに、工事実施後も継続して、生物調査などを実施するモニタリングも行って

いきます。

●フォローアップの仕方を工夫しながら継続して実施することで、 よりよい川づくりを目指します。 フォローアップレポートの基礎的な情報提供と、評価を充実することにより

『正確な認識』が可能となり、加えて流域セミナーにおけるグループワークの

導入と、今後の市民の方との現地確認を増やすことなどにより『活発な意見交

換』が可能となり、整備計画が目指す目標を具体化する施策の達成度や達成の

方法を点検しながら、整備計画のよりよい推進のための仕組みにつながること

と考えています。

○具体的には ・フォローアップレポートの充実

実施した内容をわかりやすく説明できるよう必要性・重要性などを可能

な限り記載するとともに、達成の状況や効果などの評価についても詳細に

記載できるように工夫しました。さらに、モニタリングによるデータ等に

ついて、利用者にとって有効となる水位,雨量などの水文データや水質,

水辺の国勢調査データについても、入手先のアドレスを記載するとともに、

年度内に調査した環境に関するデータ等についてもレポートの巻末に添

付するように努めました。 ・セミナー形式の工夫 グループワークによる意見交換の場を設けて、興味のある内容について

より詳細な意見交換、より多くの意見をお聞きできるよう工夫しました。

○ 今後は、 ・市民の方との現場確認を充実

今後は現地を点検する機会を増やし、『正確な認識』、『活発な意見交換』

を図っていきます。 ・様々な意見のフォローアップ リバーシビックマネージャーや多摩川相談室などに寄せられたご意見も

フォローアップにつなげていきます。

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巻末-1

● 水質の調査項目について 京浜河川事務所では、多摩川水系の水質調査を毎年継続して行っています。平

成 15 年度の主な調査項目は次の通りです。

● 定期水質調査の結果概要について

【生活環境項目】 表-主要地点の生活環境項目水質概要

平成 15 年 地点 項目(平均値)

大師橋 田 園 調布堰

多摩川 原 橋

拝島橋 兵庫橋 報恩橋 高幡橋

pH(-) 7.5 7.6 7.4 8.0 7.5 8.0 7.5 DO(mg/l) 7.6 9.5 8.9 10.6 8.8 9.9 9.1

BOD(mg/l) 1.5 1.2 2.6 0.9 2.3 1.2 1.5 COD(mg/l) 4.4 3.6 5.2 1.6 4.5 2.7 3.2 SS(mg/l) 9 7 10 7 6 9 9 大腸菌群数

(MPN/100ml) 1.2E+4 1.1E+4 3.3E+4 1.7E+3 3.0E+4 2.2E+4 2.1E+4

総窒素(mg/l) 4.45 5.19 6.39 1.62 7.65 2.25 4.76 総リン(mg/l) 0.276 0.347 0.627 0.020 0.122 0.069 0.239

1. 平成 15 年の水質を BOD75%値でみると、全ての地点において環境基準値を

満足しています。 2. 経月変化をみると、多摩川原橋において、1、2 月に BOD が高い濃度を示し

ていますが、これはアンモニウム態窒素の増加により、N-BOD が高くなっ

たことが原因と考えられます。8 月にも BOD が高い濃度を示しましたが、採

水時に雷雨があったことが原因と考えられます。 3. 過去 5 年の水質と比較すると、平成 15 年の水質は本川、支川ともにほぼ同様

の濃度でした。 4. BOD 以外の生活環境項目については、SS が河川内工事や降雨により高くな

った月がありましたが、その他の項目については特に問題は見られませんで

した。 【その他の項目】 1. 健康項目は、大師橋においてホウ素が環境規準を超えていましたが、海水の

影響と考えられます。その他の地点、項目においては環境基準に適合してい

ました。 2. 排水基準項目は、特に問題は見られませんでした。 3. 窒素・リンは、特に問題は見られませんでした。 4. 要監視項目は、特に問題は見られませんでした。 ● 谷地川浄化施設の水質調査の概要について

浄化施設の機能を流入前と流

入後の水質を比較することでチ

ェックしています。 SS、BOD、D-BOD もそれぞ

れ除去されており、機能に問題

ないことがわかりました。 ● 底質調査の概要について 単位 mg/kg 乾泥

重金属類の健康項目について

は、水質や水生生物への影響を

勘案して除去対象となる底質暫

定除去基準の PCB(10mg/kg 乾

泥)、総水銀(25mg/kg 乾泥)を

越える地点はありませんでした。

項目 礫槽 全体 SS除去率(%) 78.1 49.0 BOD 除去率(%) 54.4 26.3 D-BOD 除去率(%) 45.9 6.4

測定項目 測定範囲 平均値 総水銀 0.01~0.58 0.13 アルキル水銀 0.00 0.00 カドミウム 0.07~0.68 0.22 鉛 6.1~33.9 15.9 総クロム 42.1~95.5 62.8 六価クロム 0.0 0.0 砒素 1.9~8.8 4.3 PCB 0.00 0.00

平成 15 年度の水質調査

平成 15 年度の環境データ(概要版)(1)

定期水質調査(BOD などの生活環境項目、排水基準項目、

富栄養化関連項目、健康項目、水道関連項目など) 浄化施設水質調査 底質調査 農薬調査 地下水調査 など

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巻末-2

● 河川水辺の国勢調査とは 河川水辺の国勢調査は、河川環境の基礎情報の収集整理を目的として、多摩川

では平成 2 年度から始められました。生物関係の調査の今までの実施状況は下記

の通りです。 表-多摩川水系での生物調査実施状況

調査内容 実施年 魚介類 H2、H4、H7、H13 底生動物 H4、H7、H13 植物 H6 鳥類 H5 両生類・爬虫類・哺乳類 H4、H8、H14 陸上昆虫類等 H4、H9、H15

● 平成 15 年度 陸上昆虫類等調査

平成 15 年度に多摩川では、陸上昆虫類等の調査を行いました。

現地調査により、18 目 187 科 988 種の陸上昆虫類が確認されました。そのう

ち特定種は 5 目 25 科 70 種でした。調査地点ごとの確認状況は次の通りです。 表-確認種数および特定種数

【特定種の生息環境】 現地調査で確認された特定種 70 種の生息環境は、 ・ 多摩川下流域のヨシ原 ・ 多摩川下流~中流域の乾性草本地 ・ ヤナギ等の低木林 ・ ワンド、溜池等の止水環境 ・ 流水環境 ・ 多摩川中流域の礫地

の 6 つの場所でした。

地点 項目

多多京1

多多京2

多多京3

多多京4

多多京5

多多京6

多多京7

多多京8

多多京9

多多京10

多多京11

多浅京1

確認種数 98 161 265 248 294 323 233 320 366 244 213 186

特定種 4 8 15 12 24 23 17 19 27 12 6 7

平成 15 年度の環境データ(概要版)(2)

平成 15 年度の河川水辺の国勢調査

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巻末-3

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巻末-4

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巻末-5

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巻末-6

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巻末-7

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巻末-8

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巻末-9

多摩川・浅川の横断工作物に

設置されている魚道を対象に、

魚類の遡上状況を把握するため

に調査を行いました。 調査は、平成 15 年度の 3 月~

6 月に、多摩川の 12 の施設およ

び浅川の 3 つの施設で実施しま

した。

対象魚 多摩川の重点対象種 8種 ウナギ、ヤマメ、サク

ラマス、アユ、マルタ、

ギンブナ、ボラ、ヌマ

チチブ 調査方法 ① 日 4回定置網による

捕獲、魚種の同定、

数量計測 ② 10 日間連続調査(二

ヶ領上河原堰 2 回、

大丸用水堰 1 回)

平成 15 年度の環境データ(概要版)(3)

魚類の遡上状況の調査

単位:尾 図-平成 15 年度 魚道遡上調査結果

その他 ウナギ ギンブナ マルタ アユ サクラマス ヤマメ ボラ ヌマチチブ

凡 例

30尾

以下 50 尾100尾

調査箇所

遡上個体総数の

日平均

3 月~6 月

100 尾

調査期間

調布取水堰

69.5 0.5

2.5

65.5

0.5

0.5

その他

マルタ

ギンブナ

ボラ

ヌマチチブ

5月~6月

アユ4151.5

4221.0尾

二ヶ領宿河原堰

6.0

46.0

0.5

11.5

129.0

サクラマス

その他

アユ

ギンブナ

マルタ

193.0尾

4月,6月

二ヶ領上河原堰

42.7

67.9

0.9

その他

ギンブナ

アユ

111.4尾

4月~5月

大丸用水堰

9.0

31.5その他

アユ

5月,7月

40.5尾

京王線床固

2.5

9.0 その他

アユ

11.5尾

6月~7月

四谷本宿堰

1.540.0

その他

アユ

6月,8月

41.5尾日野用水堰

58.5 1.0その他

アユ

7月

59.5尾

昭和用水堰

2.0 アユ

2.0尾

7月

羽村第2床固

108.5

3.0

その他

アユ

111.5尾

7月

羽村第3床固

0.5

144.5

その他

ヤマメ

145.0尾

7月~8月

羽村取水堰

14.0

1.0

アユ

15.0尾

7月

その他

小作堰

3.51.5

126.5

その他

ヤマメアユ

131.5尾

7月~8月

百草床固

119.0

0.51.0

その他

ギンブナアユ

120.5尾

7月~8月

平山床固

13.5その他

13.5尾

7月~8月

長沼床固

92.5

その他

92.5尾

7月~8月

単位:尾/日

注:各グラフの尾数は、調査日1日あたりの平均値。

(調査地点により調査日数が異なるので、1日あたりの

平均値で示した。)

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巻末-10

第 14回 多摩川流域セミナー 意見と対応

項目 ご意見 対応

Action1

Action2

Action3

Action4

整備計

画に関

する意

見 Action5

・それぞれのアクションで分類された取り組みについて、了解が得られた。 ・今後も河川整備計画を着実に推進していきます。

【フォローアップとは?】

・フォローアップでは、計画を超える出水などの自然現象や源流域を含めた流域の概念など、整

備計画の中で想定していなかったことについても、具体的に考えていくべきだ。

・フォローアップでは、洪水等防止軽減水準の向上状況、流域の社会状況、自然状況などの変化

や新たな知見、技術の進捗等の監視を絶えず行い、その変化によっては必要に応じ河川整備計画

の見直しにつなげる仕組みを作っていきます。

【環境に対するフォローアップ】

・外来種に関する問題も含め、川を生物の生息環境として捉え、こういった視点からもフォロー

アップして欲しい。

・水辺の国勢調査など環境に対するモニタリングについては、今後も継続して取り組んでいきま

す。

・整備計画の中にうたわれている(特に環境)精神をフォローアップして欲しい。

・京浜河川事務所では、河川整備計画に基づいて、取り組みの姿勢や事業の進捗を図っていま

す。また、流域セミナーなどで皆さんとの意見交換を通じて、河川整備計画の精神についてもそ

の都度、しっかり確認していきます。

こうした作業もフォローアップの一つと考えます。

【パートナーシップ】

・行政の温度差の違いや横の連携など、まだまだ足りないが、市民も努力していく必要がある。

市民がどのように行動していけばよいのか教えて欲しい。

・フォローアップについてもそのひとつですが、セミナーなどを通じた、意見交換を積極的に行

っていきながら、お互いの情報を共有し、パートナーシップでよりよい川づくり進めていきたい

と考えます。

【現場での確認】

フォローアップの

方法に関する意見

・河川整備計画を策定してきたときのように、机上だけでなく、地元の方々の意見や現場を把握

しながら進めるべき。

・現地の様子を確認し、共通の認識を持つことは非常に重要です。今後とも、様々な機会を通じ

て市民の方と現場で共通の認識ができるようにします。

【過去の出水被害と治水事業】

・明治 43年の出水は、恐らく過去最大で、こうした予想を超える出水に対する備えという観点

でもスーパー堤防の発想は重要。

・スーパー堤防のように完成までに相当時間がかかる事業については、過去の出水について、キ

チンと検証しておく必要がある。

・過去の出水被害や規模を検証し、治水事業の歴史的背景をお知らせしながら、取り組んで行く

ことは非常であると考えます。これらのPRになどにも積極的に取り組むと同時にスーパー堤防

の整備についても確実に進捗させていきます。

【事業の進め方】

・スーパー堤防上の住む人たちにも、多摩川らしさや川への畏敬の念を伝えていってほしい。

・スーパー堤防の整備にあたっては、工事を請け負う施工業者も含め、誇りを持って進めてほし

い。

・流域の市民が多摩川らしさや川への畏敬の念をいだけるようなPRを積極的に取り組んでいき

たいきます。また、スーパー堤防の工事に限らず、施工業者が、地域の方々と一番身近に接する

との認識をもって、作業員の教育についても指導していきます。

その他の意見

・浅川の緊急改修では急激に工事が施工された。河道の変遷や、湧水量などを含めた環境調査な

どを実施しながら、ゆっくり進めることはできないのか。

・平成 11年 8月の出水は、堤防が破損するなど大きな被害を引き起こすとともに、計画高水位

を超える非常に大きな出水でした。このような状況を速やかに改善すべく、緊急的に改修工事を

実施しています。環境への影響を把握するために、工事実施後も継続して、生物調査などを実施

するなどモニタリングも行っています。

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巻末-11

(つづき)

項目 ご意見 対応

【環境】

・カワラノギクのような絶滅が危惧される生物を復元することの意味や復元方法について議論を

進めて欲しい。

・永田地区生態学術研究では、市民や学識者の方々とも連携しながら、ご指摘の研究を行ってい

ます。今後これらの知見を活かしながら、多摩川の川づくりに取り組んでいきたいと考えます。

・カワウの増加でアユ・コブナ等の小魚が減っている。アユが遡上できない堰もある。

・カワウの影響については、河川管理者が対応するには難しい課題ですが、関係機関とも連携を

図りながら検討していきます。また、今後とも魚道の整備については施設の管理者と協力しなが

ら進めて行きます。

・新設の四谷本宿床固めには、本宿用水への導水するためにポンプを設置すると聞いているが、

魚がポンプに迷入する問題を検討して欲しい。

・被災した四谷本宿堰は河床安定化対策として、堰を撤去し、床固めを設置しています。このた

め、用水へ導水するための水位確保ができなくなりますが、利水者とも協議しながら、ポンプを

設置することとしています。魚の迷入に関する問題についても利水者と検討していきます。

【環境】(つづき)

・多摩川本川と用水の環境に連続性を持たせて欲しい。 ・用水の管理者とも調整が必要になるため、河川管理者だけでは解決できる問題ではありませ

ん。今後、用水の管理者と連携して現状把握するなどしていきたいと考えます。

・河道掘削、水衝部対策、高規格堤防等の大規模な改修の際には、事前に市民への情報提供を行

うとともに動植物調査を行い、自然環境への影響を最小限に抑え、自然環境が損なわれた場合に

は回復する措置をとるようしてほしい。(ホームページでの募集意見)

・必要がある場合には環境調査を実施し、自然環境への影響を極力少なくするよう検討・実施し

ていきます。また、工事に関する情報は、適宜、流域の市民にも提供していきます。

【子ども達と水辺】

・子ども達が魚釣りなどで川に親しめるような川になって欲しい。

・多摩川では、自然への配慮多摩川を自然体験、自然学習の場として活用するための施策、『水

辺の楽校』が流域に拡大拡充できるよう積極的に取り組んでいます。 ・TRMの取り組みを通じて、指導者の育成や活動を支援する体制を整えて行きたいと考えます。

【自由使用】

・河川空間の自由使用の原則について、どう考えていくべきか。河川整備計画に盛り込まれた多

摩川河川環境管理計画をどう捉えていくか、市民でも議論をしていくべきだ

・⑧空間(生態系保持空間)は、自然保護の場所であることを意識、認識する取り組みをして欲

しい。

・自由使用の原則については、機能空間区分の考え方を尊重した河川管理を行うため、例えば、

⑧生態系保持空間では学術研究を含む河川敷の利用全てに一時使用の申請・許可を行うなど具体

的な河川管理について検討します。(管理課・占用調整課確認)

【流域と源流】

・直轄管理区間だけでなく、源流を視野に入れて取り組んで欲しい ・健全な水循環系や多摩川流域リバーミュージアムの実現は流域全体を視野に入れることが課題

と認識して、積極的に取り組んでいきます。

【自治体との連携】

・国と都県・自治体との連携をさらに図ってほしい。 ・行政間の連携の重要性を認識して、更なる連携の強化に努めます。

【その他】

・セミナーのチラシタイトル『多摩川をどう変える?!』は違和感がある。 ・タイトルについては、「今後の多摩川をよりよく変えていくためにどう行動すべきか。」とい

う意味から、多摩川流域懇談会運営委員会で決定しましたものです。

その他の意見

・資料は、再生紙を利用し、両面コピーにして欲しい。 ・地球環境へも配慮し、今後、再生紙の利用や両面印刷さらに、ホームページの活用なども検討

します。

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巻末-12

第 6回 多摩川流域委員会 意見と対応

項目 ご意見 対応

Action1

Action2

Action3

Action4

整備計

画に関

する意

見 Action5

・それぞれのアクションで分類された取り組みについて、了解が得られた。

【分科会】

・水流実態解明プロジェクトなど、わかっていないことが多い項目については、分科会を開催

し、深く議論することが必要ではないか。 ・特定テーマの検討は、その進め方について検討したい。

【パートナーシップ】

・学識者や市民で行っている調査・研究などもあるので、これらの連携を図りながらフォローア

ップを進めても良いのではないか。 ・今後のセミナーなどを通じて、より連携して進めていきたい。

・国と自治体に温度差があるので、密な連携をお願いしたい。 ・流域協議会の中で、共通の認識を持って進めていきたい。

【フォローアップ】

・整備計画のフォローアップは全国で初の試みであると考えられる。このような仕組みが動き出

すことは良いことだ。 ・今後も改善を図りながらフォローアップを進めたい。

【フォローアップレポート】

フォローアップ

の方法に関する

意見

・フォローアップのポイントは、施策・事業の効率的な実施であり、特に実施状況の評価が重要

である。

さらに、整備計画にうたわれている基本的概念の確認、評価を行うことが重要である。

・フォローアップレポートに実施状況とその効果を記述している。今後のフォローアップではさ

らに充実を図っていきたい。

【資料】

・整備計画策定後に開かれた流域懇談会やセミナーでの意見についても、整理し公開してほし

い。

・整備計画の実施に関わる意見については整理し、公開するフォローアップレポートの参考資料

として添付する。

【土砂移動】

・堰の対策にあたっては、構造物だけを見るのではなく、河床の状況など縦断的な視点で対策を

行って欲しい。

・土砂の移動に着目した土砂管理を水系全体で行うことが重要であると認識している。堰の対策

を行う際も同様で、土砂移動にも着目した整備を進めて行きたい。

【環境学習】

その他の意見

・多摩川は、貴重な自然が保全され、特に地質や化石等の宝庫であり、環境教育の教材として恵

まれた川である。その一方でそれを教える講師などが不足している。 ・多摩川リバーミュージアム(TRM)は大きな課題。今後TRMの整備を図っていきたい。