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香川県の生産、製造、流通・小売、商業・観光、技術、施策等 統計等で見る 香川県の特徴 地域資源を駆使した連携戦略の可能性とは 香川県の食や農にかかる生産、製造、商業・観光、行政施策等について整理を行うととも に、地域において先行する活動や取り組み、地域のブランドなどについて整理を行った。 第2章 「地域ポテンシャルの分析と戦略展開の可能性」へ 第1章 統計等で見る香川県の特徴 第1章 5

統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

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Page 1: 統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

香川県の生産、製造、流通・小売、商業・観光、技術、施策等

統計等で見る香川県の特徴

地域資源を駆使した連携戦略の可能性とは

香川県の食や農にかかる生産、製造、商業・観光、行政施策等について整理を行うとともに、地域において先行する活動や取り組み、地域のブランドなどについて整理を行った。

第2章 「地域ポテンシャルの分析と戦略展開の可能性」へ

第1章 統計等で見る香川県の特徴

第1章

5

Page 2: 統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

1.香川県の生産

 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生産に占めるシェアは1.0%となっています。 農業、畜産業、水産業、林業とも産出規模が小さいのが特徴です。水産(養殖)を除き全国平均を超えるものはなく、産出規模は四国で最も低い状況となっています。 県の産出額構成を見ると、農業が509億円で全体の49.7%を占めています。農業の中では、野菜の割合が高く237億円(全体の23.2%)、レタス、ブロッコリー、たまねぎ、金時にんじん、ニンニクなどが全国シェア上位の主要作物です。

 畜産業は246億円で全体の24.0%、牛・豚・鶏のうち特に鶏(採卵鶏)のウェイトが高く、156億円で全体の15.2%を占めています。 水産業は223億円で全体の21.8%、漁業に比べ養殖業の方が産出額は高く、全国シェアでも2.8%と他の区分に比べ高くなっています。 産出額の規模が小さい香川県の生産ではありますが、瀬戸内地域の温暖で安定した気候に恵まれ、農業では、いちご、温州みかん、アスパラガス、キウイ、オリーブ、茶、葉たばこなど、畜産業では牛、豚、鶏、水産業では海面漁業、養殖業など、少量多品種生産が一つの特徴となっています。

●香川県の生産の概況(農業産出額、水産・林業生産額ベース)

農林水産省:生産農業所得統計(平成21年)、漁業・養殖業生産統計(平成21年)、生産林業所得統計(平成21年)注)その他農業は工業農作物、種苗・苗木類。その他畜産は養蚕含む。水産は、捕鯨、内水面漁業は含んでいない。林業には「栽培きのこ類」は含んでいない。参考)周辺地域の産出額:徳島県(1,231億円)、愛媛県(2,149億円)、高知県(1,454億円)、岡山県(1,393億円)

日本一面積が小さい香川県。農業・漁業・林業の産出額合計は全国第34位でシェアは1%程度しかありません。しかし、香川県の生産は少量多品種、県内の各所には伝統的な食材や魅力的な原材料がそろっています。

合 計農業産出額

 米

 穀類・豆類

 野 菜

 果 実

 花 き

 その他農業

畜産業産出額

 肉牛・乳牛

 豚

 鶏

 その他畜産

加工農産物

栽培きのこ類

水産業

 漁 業

 養 殖

林 業

101,376

56,254

18,044

3,542

20,876

6,984

3,506

3,302

26,371

13,120

5,156

7,561

534

537

2,200

13,805

9,716

4,089

2,209

1,024

509

152

12

237

51

37

20

246

63

26

156

1

0

44

223

93

130

2

13,128

4,882

1,509

1,270

1,858

652

554

498

5,229

4,302

655

771

311

117

493

2,580

2,262

591

327

2,150

1,197

384

75

444

149

75

70

561

279

110

161

11

11

47

294

207

87

40

34位

38位

37位

38位

30位

36位

30位

32位

32位

36位

32位

18位

30位

39位

16位

20位

28位

14位

45位

100.0%

49.7%

14.8%

1.2%

23.1%

5.0%

3.6%

2.0%

24.0%

6.2%

2.5%

15.2%

0.1%

0.0%

4.3%

21.8%

9.1%

12.7%

0.2%

北海道

北海道

新潟県

北海道

北海道

青森県

愛知県

北海道

北海道

北海道

鹿児島県

鹿児島県

北海道

静岡県

長野県

北海道

北海道

愛媛県

北海道

1.0%

0.9%

0.8%

0.3%

1.1%

0.7%

1.1%

0.6%

0.9%

0.5%

0.5%

2.1%

0.2%

0.0%

2.0%

1.6%

1.0%

3.2%

0.1%

12.9%

8.7%

8.4%

35.9%

8.9%

9.3%

15.8%

15.1%

19.8%

32.8%

12.7%

10.2%

58.2%

21.8%

22.4%

18.7%

23.3%

14.5%

14.8%

農業産出額漁業生産額林業生産額 (億円) (億円) (億円)(b/a) (c/a) (億円)

全国合計産出額生産額(a)

産出額生産額 順位 都道府県 金額生産品の

構成割合産品の国産品シェア(b)

国産品シェア(C)

全国平均香川県 全国第1位

6

第1章 統計等でみる香川県の特徴

Page 3: 統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

香川県で生産される特徴的な品目

 香川県の野菜は、水田裏作を主体とした輸送園芸産地として発展し、野菜指定産地を中心に主産地が形成されています。主要品目は、レタス、ブロッコリー、たまねぎ、ねぎ、きゅうり、いちご、アスパラガス、ニンニクなどがあげられ、中でもニンニクは、生産量が少ないものの青森県に次いで2位となっています。県内では特産野菜も生産され、東洋系にんじんである「金時にんじん」の生産量は全国1位、そのほか、晩成品種で形に特徴のある「三豊なす」などが有名です。

香川の野菜

生産量全国2位のニンニク ※5 ホワイトアスパラガス ※5

 香川県は瀬戸内海に面する温暖な気候により、果実の生産が盛んな地域で、品目では、かんきつ類からりんごまで、国内で生産される品目の大部分が栽培されています。主要品目は、温州みかん、もも、ぶどう、かきの4品目ですが、そのほか、キウイでは「香緑」「讃緑」「香粋」「さぬきゴールド」を育成品種として登録、みかんに袋を掛け完熟させる「袋掛け栽培」など、生産県と比べ少量ではあるものの、多品種で特徴的な栽培が行われています。

キウイ(香緑) ※5 袋掛け越冬完熟みかん ※5

特産品 金時にんじん ※5 特産品 三豊なす ※5

【解説文の参考】 ※1:ポータルサイト「旬の県産品」 かがわ県産品振興協議会 ※2:「香川県産農産物の紹介」香川県庁ホームページ ※3:「統計で見る香川の農業・水産業」香川県庁ホームページ ※4:『みーとみゅーじあむ』 讃岐三畜銘柄化推進協議会HP【写真提供・写真引用】 ※5:ポータルサイト「旬の県産品」 かがわ県産品振興協議会 ※6:『みーとみゅーじあむ』 讃岐三畜銘柄化推進協議会HP

※1 ※2 ※3

 他県と同様に香川県においても米は地域の主要農産物です。麦は水田裏作の基幹作物として古くから生産されています。近年では地域品種として、「さぬきよいまい(酒米)」や「さぬきの夢(うどん用小麦)」などの新品種も開発されています。

麦、米

さぬきの夢 ※5 さぬき よいまい(酒米) ※5

※1 ※2 ※3

 香川県は昔から家畜の飼育が盛んに行われてきた地域で、肉乳用牛、豚、鶏卵・鶏肉とも盛んです。近年では、特産畜産物である「讃岐牛」「讃岐夢豚」「讃岐コーチン」を「讃岐三畜」と称したブランド化の活動も行われています。

香川の畜産品

讃岐夢豚 ※6 オリーブ牛 ※6

※4

 香川県では海域特性を活かしたカタクチイワシ(イリコ)、タコ類、エビ類などを対象とした漁業が盛んです。また海面養殖ではハマチを主とするブリ類、タイ類、カキ、ノリなど多岐にわたります。特に養殖ブリ類を中心としたブランド化の活動も活発に行われています。

香川の水産品

ひけた鰤 ※5 なおしまハマチ ※5

※3

 香川県の花きは、マーガレット、ヒマワリ、デルフィニウム、ラナンキュラス等の施設園芸が盛んで、多品目化も進んでいます。

香川の花き

ラナンキュラス ※5 マーガレット ※5

※2

香川の果実 ※1 ※2 ※3

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1.香川県の生産

Page 4: 統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

2.香川県の食品製造

 平成20年の香川県の食品製造業(飼料、たばこ等含む)の製造品出荷額等(以下「製造品出荷額」と略す)は3,201億円で全国32位、国産品の製造品出荷額34兆4千億円に占める香川県のシェアは0.9%となっています。四国地域では愛媛県とほぼ並んで上位を占めていますが、瀬戸内海を挟んだお隣の岡山県との比較では、およそ半分程度の出荷額規模となっています。 香川県における製造品出荷額の構成割合を見ると、その他の食料品が最も高く39.7%を占めています。表中に記していないものの、その他の食料品出荷額の内訳では、冷凍調理食品が主要を占め1,270億円のうち814億円(占有率64%)となっています。次いで、讃岐うどんをけん引役として麺・パン・菓子類が13.6%、伝統産品として定着している醤油や酢、味噌などの調味料・砂糖・油脂等12.0%と続きます。

食品製造の主要を占める「冷凍食品産業」

 香川県の冷凍食品産業は、昭和37年頃に、観音寺市を中心として、干し魚の低温貯蔵法を発展させたエビフライの冷凍製品化から始まりました(代表例:加ト吉水産株式会社)。その後、消費生活の変化や核家族化などの時代の風潮に乗り急成長し、今日では全国の主要産地の一つとなっています。製品も、フライ物やコロッケ、ギョーザなど多品目にわたっています。

平成21年工業統計表「産業中分類別及び産業細分類別統計表(都道府県別表)」(従業員4人以上)を一部加工製造品出荷額等は、製造品出荷額、加工賃収入額及びその他収入額の合計であり、消費税及び内国消費税額を含んだ額である。このため、産業部類別の製造品出荷額の合計は、工業統計表における合計の項の数値とは一致しない。参考)周辺地域の食料品製造出荷額:徳島県(1,744億円)、愛媛県(3,240億円)、高知県(862億円)、岡山県(6,297億円)

食品製造業の出荷額は全国32位で、国内のシェアは0.9%にとどまります。県出荷額の業種別構成では、地域の伝統や文化に支えられ、冷凍調理食品、麺類(讃岐うどん製造)、調味料(醤油、酢、味噌)などの割合が高いのが特徴です。

合 計畜産食料品

水産食料品

農産保存食品

調味料・砂糖・油脂等

精穀・製粉

めん・パン・菓子類

その他食料品

飲料

酒類

製氷・たばこ・飼料

344,414

50,575

30,878

7,561

27,161

11,460

54,723

49,553

26,810

21,445

12,436

3,201

350

250

30

385

54

434

1,270

0

0

259

22,495

5,683

6,629

633

3,081

1,100

5,314

3,493

5,559

2,689

2,071

7,328

1,076

657

161

578

244

1,164

1,054

570

456

265

32位

32位

25位

39位

18位

33位

31位

14位

45位

47位

14位

100.0%

10.9%

7.8%

0.9%

12.0%

1.7%

13.6%

39.7%

0.0%

0.0%

8.1%

静岡県

北海道

北海道

長野県

愛知県

千葉県

埼玉県

埼玉県

静岡県

茨城県

鹿児島県

0.9%

0.7%

0.8%

0.4%

1.4%

0.5%

0.8%

2.6%

0.0%

0.0%

2.1%

6.5%

11.2%

21.5%

8.4%

11.3%

9.6%

9.7%

7.0%

20.7%

12.5%

16.7%

食料品製造業製造出荷額等

(億円) (億円) (億円) (c/a) (億円)

全国合計製造品出荷額等(a)

製造品出荷額 順位 都道府県 金額出荷額

構成割合(b/a)

産品の国産品シェア(b)

国産品シェア(c)

全国平均香川県 全国第1位

香川県で産業の集積がみられる冷凍調理食品製造業

●香川県の食品製造の概況(製造出荷額等)

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第1章 統計等でみる香川県の特徴

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香川県で製造される特徴ある商品

 香川県のうどんは生産量、消費量とも日本一を誇っています。うどんが香川県に根差した背景には、気候や土壌の面で小麦の栽培に適していたことがあげられます。古くから塩や醤油の生産も盛んで、だしに使ういりこの一大産地でもありました。現在、県内に900店を超すうどん店があります。

讃岐うどん

うどんづくりの様子 ※2 ぶっかけうどん ※2

和三盆づくりの様子 ※2 和三盆 ※2

うどん店の行列の様子 ※2 釜玉うどん ※2

杉の大樽で一年半以上熟成する醤油作り ※2

醤油豆 ※2

佃煮づくりの様子 ※2 佃煮 ※3

オリーブ加工品の数々※2 ※3

そうめんづくりの風景 ※2

 200年にわたる伝統を持つ和三盆は、砂糖きびづくりから始まります。讃岐和三盆に向いている砂糖きびは、香川県の引田を中心としたごく限られたエリアだけで作られています。最近では、ケーキに和三盆を使用することも珍しくはなくなりました。和三盆ロールは、香川の新しい名物として定着しつつあります。

【解説文の参考】 ※1:ポータルサイト「かがわの県産品一覧」 かがわ県産品振興協議会【写真提供・写真引用】 ※2:『香川の観光写真集』 社団法人香川県観光協会 ※3:ポータルサイト「かがわの県産品一覧」 かがわ県産品振興協議会

※1 また地域では佃煮、醤油豆など、伝統的な醤油を使った加工品の製造も盛んで、地域の味として定着しています。

 手延べそうめんは、瀬戸内海に浮かぶ小豆島の特産品です。その始まりは、江戸時代の初め(慶長3年)に、当時島の人がお伊勢参りに出かけた道中、奈良県の三輪地方でそうめんづくりを見聞し、島へ持ち帰ったと言われています。以来、400年の伝統に支えられ、小豆島の特産品として技術が磨かれてきました。

小豆島そうめん ※1

 明治41年に苗木を植えた国内オリーブは、地中海の気候に似た小豆島の木だけに残りました。以来、小豆島は「日本のオリーブ栽培発祥の地」として有名になり、オリーブオイルをはじめ、オリーブの実、葉などをもとにした数多くの商品が開発されています。

オリーブ加工品 ※1

和三盆 ※1

 香川県での醤油づくりが始まったのは、400年以上も前のことです。桶仕込みという独自製法による醤油づくりを守り続けています。4~5か月から1年以上もの間、人為的な温度調整を行わず、自然のままに育てることで、まろやかでコクのある味わいと芳醇な香りが生まれます。

醤油、醤油を使った加工品 ※1

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2.香川県の食品製造

Page 6: 統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

3.香川県の流通小売業と観光産業

 平成19年の香川県の飲食料品卸売業の年間販売額は6,806億円で27位、四国の流通拠点である香川県の地理的状況を反映し、生産、製造に比べ、全国順位は上位に位置していますが、同じく四国の窓口である愛媛県と比較すると310億円の開きが見られます。

 卸売販売額の内訳では、食料・飲料卸売業の全国順位が18位となっており、他の生産、製造、流通に比べ上位に位置しています。

平成19年商業統計確報 第2巻産業編(都道府県表) 第2表 都道府県別、産業分類細分類別の販売額を加工参考)周辺地域の飲食料品卸売業販売額:徳島県(3,561億円),愛媛県(7,115億円),高知県(3,500億円),岡山県(8,068億円)

香川県の飲食料品卸売業販売額は6,806億円で全国27位、飲食料品小売業販売額は3,285億円で同40位。全国シェアは卸売業、小売業とも1%未満となっていますが、そのうち、食料・飲料卸売業の全国順位は18位となっており、生産、製造に比べ上位に位置しています。

飲食料品卸売業

農畜産物・水産物卸売業

食料・飲料卸売業

756,490

349,513

406,977

6,806

2,425

4,382

186,706

73,463

113,244

16,096

7,436

8,659

27位

35位

18位

100.0%

35.6%

64.4%

東京都

東京都

東京都

0.9%

0.7%

1.1%

24.7%

21.0%

27.8%

飲食料品卸売業販売額

(億円) (億円) (億円) (c/a) (億円)

全国合計販売額(a) 販売額

(b)販売額(c)順位 都道府県販売額

構成割合(b/a)

全国シェア 全国シェア全国平均

香川県 全国第1位

飲食料品小売業販売額

(億円) (億円) (億円) (c/a) (億円)

全国合計販売額(a) 販売額

(b)販売額(c)順位 都道府県販売額

構成割合(b/a)

全国シェア 全国シェア全国平均

香川県 全国第1位

平成19年商業統計確報 第2巻産業編(都道府県表) 第2表 都道府県別、産業分類細分類別の販売額を加工※1 百貨店・総合スーパーは飲食良品以外も含む※2 コンビニは飲食料品を中心とするものに限る。参考)周辺地域の飲食料品小売業販売額:徳島県(2,045億円),愛媛県(4,192億円),高知県(2,631億円),岡山県(6,231億円)

小売業

百貨店・総合スーパー ※1

飲食料品小売業

 各種食料品小売業

 酒小売業

 食肉小売業

 鮮魚小売業

 野菜・果実小売業

 菓子・パン小売業

 米穀類小売業

 その他の飲食料品小売業

  うち コンビニ ※2

1,347,054

151,555

408,133

171,072

24,896

6,557

8,581

9,976

20,722

4,460

161,871

68,562

11,073

927

3,285

1,774

131

37

38

80

157

23

1,045

395

172,789

28,372

46,812

14,632

2,557

696

844

1,354

2,899

547

23,283

9,772

28,661

3,225

8,684

3,640

530

140

183

212

441

95

3,444

1,459

39位

33位

40位

32位

47位

41位

43位

36位

38位

40位

40位

42位

 

 

100.0%

54.0%

4.0%

1.1%

1.2%

2.4%

4.8%

0.7%

31.8%

12.0%

東京都

東京都

東京都

東京都

東京都

東京都

東京都

東京都

東京都

東京都

東京都

東京都

0.8%

0.6%

0.8%

1.0%

0.5%

0.6%

0.4%

0.8%

0.8%

0.5%

0.6%

0.6%

12.8%

18.7%

11.5%

8.6%

10.3%

10.6%

9.8%

13.6%

14.0%

12.3%

14.4%

14.3%

●香川県の飲食料品卸売業の概況(年間卸売販売額)

●香川県の飲食料品小売業の概況(年間商品販売額)

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第1章 統計等でみる香川県の特徴

Page 7: 統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

 平成19年の香川県の飲食料品小売業の年間商品販売額は3 , 285億円、全国の商品販売額40兆8,133億円に占めるシェアは0.8%となっています。 業種別の構成割合では、各種及びその他の飲食料品小売業が全体の85.8%と、スーパー、量販店等が主要を占めていることがわかります。

 香川県の県外からの観光入込客数は、平成18年の799万人から年々増加を続け、平成22年現在881万人と5年間で80万人の増加が見られます。平成22年の数値では日帰り客が697万人でおよそ80%を占めていますが、過去5年間をみると宿泊客の増加傾向が見られます(平成18年対比35%増)。 入込み客数の増加が見られる一方、観光消費金額は減少を続け、平成18年の1,223億円から922億円に縮小しています。これに伴い、観光消費における客単価も大幅な減少を続け、宿泊客では平成18年の37,317円から平成22年には25,147円(平成18年対比33%減)、また日帰り客でも10,735円から6,535円(平成18年対比40%減)となっています。

香川県の観光産業

県外からの観光入込客数は平成22年で880万人。宿泊客を中心に年々増加の傾向が見られます。一方、観光消費金額は減少傾向が見られ、平成22年で922億円、客単価の減少が課題となっています。

【写真提供・写真引用】 ※1:『香川の観光写真集』 社団法人香川県観光協会  【グラフ】 ※2:香川県観光客動態調査報告書(香川県観光交流局、かがわ観光推進協議会調べ)を加工

JR 高松駅前 ※1

瀬戸大橋 ※1

小豆島 エンジェルロード ※1

金毘羅街道 ※1

高松市内 丸亀町商店街 ※1

県外からの観光入込客数※2

0

2,000

4,000

6,000

8,0007,990

6,6286,9697,1436,7366,553

1,362 1,523 1,8401,5761,408

8,076 8,144 8,719 8,80910,000(千人) 宿泊客 日帰り客

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

10,7856,5857,5796,947

9,550

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

観光客単価(県外からの入込客対象)※2

37,317

10,7856,5857,5796,947

9,550

25,14729,378

32,94632,686

(円) 宿泊客 日帰り客

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

観光消費金額(県外からの入込客対象)※2

714.8

458.9541.3468.0625.8

508.3 462.7463.0463.9497.8

1,223.11,123.6

931.91,004.3

921.6

(億円) 宿泊客 日帰り客

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

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3.香川県の流通小売業と観光産業

Page 8: 統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

4.香川県の農や食に関連するその他整理

香川県の地域連携、ブランドづくり

多種多様な生産資源、地域の特徴ある加工技術の集積などがみられる香川県。技術や研究以外に加え、地域を基盤とした食や農、さらにそれにかかわる各種のセクターが連携した種々の活動など、新たな取組が進められる「食農連携」の先進地となっています。

【文とロゴの引用】 ※1:『年明けうどん』 讃岐うどん振興協議会

讃岐うどん ~古くから地域に根好き、地域が誇る全国ブランド~

小豆島のオリーブ~植樹から100年を超える歴史、生産・加工以外にも多くの連携活動を展開~

 香川県は誰もが認めるうどんの先進地域。「讃岐うどん」は、国内にも類を見ない地域の食文化を形成し、先のうどんブームでもみられるとおり、県外からも多くの観光客がうどん目当てに訪れます。 県内には行列ができる有名店も多く、店舗数は県内で900店以上にのぼります。行政機関や組合組織等のバックアップも多く実施され、香川県を「うどん県」と呼んだ特産品サイトや、うどんの食べ歩きなど観光と連携したポータルサイトなども、県庁のホームページから入ることができます。また、さらなるうどんの発展を目的とし、讃岐うどん振興協議会による「年明けうどん」の活動なども実施されています。 古くから食されている讃岐うどんは、昭和30年ごろから主に外国産小麦を原料として製造されてきましたが、1991年から香川県農業試験場で「讃岐うどん」用の小麦品種の育成にとりかかり、県と製粉業者、製麺業者、さらには生産者や消費者が協力して香川県産うどん向け小麦「さぬきの夢2000」が

開発されています。現在ではさらなる品種改良が行われ、収量性が高く、うどんは滑らかで粘弾性があり食味評価も上回る後継品種「さぬきの夢2009」が開発されています。

 うどんは、太くて長いことから、古来より長寿を祈る縁起物として食べられてきました。「年明けうどん」は、純白で清楚なうどんを年の初めに食べることにより、その年の人々の幸せを願うものです。「年明けうどん」とは、元旦から1月15日までに食べるうどんのことで、メニューとしてうどんに紅いトッピングなどを添えます。※1

商標登録されている「年明けうどん」のロゴ ※1

【写真の提供・引用】 ※1:『香川の観光写真集』 社団法人香川県観光協会 ※2:ポータルサイト「かがわの県産品一覧」 かがわ県産品振興協議会 ※3:香川オリーブガイナーズのご協力

 植樹から100年の歴史を誇る小豆島のオリーブ生産、香川県の県旗にもオリーブの葉がイメージされています。小豆島ではオリーブの生産以外にも、オリーブオイル、漬物、アイス、パスタ、スキンケアなど多くの加工品が製造され、オリーブを中心とした産業集積やクラスターの形成がみられます。最近では「食べるオリーブオイル」なども商品化され、メディア等で取り上げられています。 2009年には、地域あげて「オリーブ百年祭」が開催され、オリーブや園地の品評会、レシピ作り・料理教室、オリーブマイスター検定、キャラクター作り・ネーミングコンテストなど、各種の催しが実施されました。 また、地域にはオリーブ公園、小豆島オリーブ園、オリーブハウス、オリーブマラソンなど観光や催事とのマッチング、四国アイランドリーグで香川県がフランチャイズの球団「香川オリーブガイナーズ」など、まさにオリーブづくしです。近年では、オリーブを餌にした「オリーブ牛」や「オリーブハマチ」など、その用途はさらに広がりを見せています。

小豆島で生産されるオリーブ ※1 オリーブハマチ ※2

小豆島 オリーブ公園 ※1 香川オリーブガイナーズ ※3

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第1章 統計等でみる香川県の特徴

Page 9: 統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

【解説文の参考】 ※1:伊吹島漁業協同組合ホームページ

伊吹いりこ~讃岐うどんのだしには欠かせない地域ブランド~

 香川県と言えば「讃岐うどん」、この讃岐うどんのだしに欠かせないのが「いりこ(煮干し)」です。香川県では毎年6月~9月にかけてカタクチイワシ漁が盛んに行われます。このカタクチイワシをボイルし、乾燥させたものが「いりこ」です。その中でも国内のトップブランドとして有名なのが、観音寺市沖の瀬戸内海に浮かぶ伊吹島付近で漁獲され、水揚げ後直ぐに加工される「伊吹いりこ」です。 伊吹いりこは、伊吹島の沖合で漁獲されたカタクチイワシを用い、伊吹島で加工された煮干魚類で、伊吹漁業協同組合が取り扱うものをいいます。サイズにより種々の銘柄がありますが、「伊吹いりこ」とはこれらを総称した名称です。 県内、特に観音寺市周辺では、観光物産として販売されているほか、小売向け、業務向けなど、いりこを取扱う業者が

集積しています。伊吹漁業協同組合では「伊吹いりこ」のブランド化を図るため、平成21年2月に特許庁に地域団体商標(地域ブランド)の申請を行い、平成23年9月30日に登録されました。

トップブランド『伊吹いりこ』 ※1 観音寺市内の乾物問屋 ※1

【解説文の参考】 ※1:『みーとみゅーじあむ』 讃岐三畜銘柄化推進協議会HP

讃岐三畜 ~新たな地域ブランドの創出を目指して地域が連携~

 香川県は古くから家畜の飼育が盛んな地域です。香川県では、「讃岐牛」「讃岐夢豚」「讃岐コーチン」をまとめ、讃岐の特産品であった「綿」「塩」「砂糖」の「讃岐三白」になぞらえて、平成10年に「讃岐三畜」と呼び、一体的に普及推進するための活動を推進しています。 活動を推進する基盤として地域の事業者等からなる「讃岐三畜銘柄化推進協議会」を設置し行政機関等との連携のもと、広く普及・啓発が行われています。 また、近年では、讃岐牛の一つのブランドとして、新たにオリーブオイル搾油後の果実を飼料化し、品質向上を図った「オリーブ牛」の取組も進められています。

『讃岐三畜』 ※1 『オリーブ牛』 ※1

琴平町 ~ニンニクで地域がまとまり、地域を元気に~

 香川県は青森県についで全国第2位のニンニク生産量を誇ります。琴平町では県内のニンニク生産量の多くを占めており、このニンニクをもちいた地域活性化のプロジェクトが進められています。 琴平町商工会では、「平成21年地域資源∞全国展開プロジェクト」を活用し「アートな門前町活性化プロジェクト」をテーマに地域活性化の活動を推進しています。このプロジェクトのコンテンツとして、現地で生産されるニンニクに着目し、地域のみやげもの店や飲食店など琴平町内に販売を限定した商品「ガーリック侍」を開発しました。商品はみそ、しょうゆ、ごまふりかけの3種類がラインナップされています。 また、地域のJA香川県象郷支店と社会福祉協議会、オリーブオイル加工業者(高橋商店:小豆島町)などが連携し、かが

わ農商工連携ファンド事業を活用して、ガーリックオイル「ガァリック娘」を開発しています。 両商品とも、ラベルのデザインと商品のネーミングを善通寺第一高等学校の生徒から募集、地域を挙げた取組が推進されています。

『ガーリック侍』 『ガァリック娘』

活動の詳細と取り組む人を第3章で紹介!

活動の詳細と取り組む人を第3章で紹介!

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4.香川県の農や食に関連するその他整理

Page 10: 統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

 香川大学が中心となり推進している糖質バイオクラスターは、1991年、同大学農学部において、微生物による糖代謝と酵素研究を行ってきた何森健氏によるD-タガトース3-エピメラーゼ(DTE)の発見に端を発します。この酵素の発見はD-グルコースやD-フラクトースなど自然界に豊富に存在する単糖からD-プシコースやL-タガトースなどの希少糖を安価に生産する技術の可能性を示唆するものでした。 従来、高価な単糖であるD-プシコースやL-タガトースなどの産業利用の可能性を示唆するDTEの発見は、その後1994年D-プシコース生産の成功、2001年には大量生産技術の成功により、これまでの基礎研究から実際の産業利用を目指した研究に発展しています。この発展の経緯において、香川大学農学部と香川医科大学(現、香川大学医学部)との連携により、D-アロースやD-プシコースの生理機

香川県の技術・研究機関

県内には、生産から製造・加工を支える各公設試験場や大学・研究独法などの集積がみられます。また、連携のための中核拠点等を配置し、地域の特徴を活かした研究が推進されています。

 農や食に関連した香川県内の技術・研究機関は、生産に関する公設試験研究機関として、農業試験場[本場・病害虫防除所(綾川町)、園芸総合センター(高松市)、府中果樹研究所(坂出市)、小豆オリーブ研究所(小豆島町)]、畜産試験場(三木町)および水産試験場(高松市)が配置され、また、製造・加工に関する機関として香川県産業技術センターに食品研究所(高松市)、発酵食品研究所(小豆島町)、さらに食品衛生に関する機関として香川県環境保健研究センター(高松市)が配置され、各機関の役割に応じた研究活動が推進されています。 また、学術研究機関である大学は県内に5校あり、このうち、食や農などに関連する研究を行う機関として、香川大学[農学部(三木町)、医学部(三木町)、工学部(高松市)]、香川県立保健医療大学(高松市)、徳島文理大学[薬学部・理工学部(さぬき市)]があります。 さらに、国の独立行政法人として(独)産業技術総

合研究所四国センター(高松市)、(独)農業・食品産業技術総合研究機構近畿中国四国農業研究センター四国研究センター(善通寺市)が配置されるなど、四国地域内ではもっとも、技術・研究拠点の集積がみられます。 これらの各技術・研究機関との産業支援を目的とした拠点として(公財)かがわ産業支援財団(高松市)が設置され、各種支援事業の実施や情報の収集・提供、観光・物産や地域連携に係る窓口業務などを実施しています。 また同機関では「香川地域基盤的技術産業集積活性化計画」に基づいた地域のインキュベーション施設として「香川県新規産業創出支援センターネクスト香川」や、香川大学工学部をはじめとする産学官の研究開発機能が集積する香川インテリジェントパークに、先端技術産業分野の研究開発を産学官で行うための中核施設「香川県科学技術研究センターFROM香川」も設置しています。

香川県で進められる医農連携 ~ 「糖質バイオクラスター」のユニークな活動~

能の研究が並行して実施され、これらの物質において特徴的な生理機能の発見に至っています。 2013年現在、これら取り組みの成果は、香川大学希少糖研究センターの設置(三木町)をはじめ、同大学を中心とした国際的な研究戦略の推進および企業との連携による複数の知的財産の取得など、大きな成果を得ており、今後さらに、大きな産業創出が期待される状況となっています。

トピックTopic

香川大学 希少糖研究センターの外観 大量生産が可能となったD-プシコース

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第1章 統計等でみる香川県の特徴

Page 11: 統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

香川県の関連施策

香川県では「せとうち田園都市香川創造プラン」を平成23年度から平成27年度までの5年間の基本指針とし、各種行政戦略が展開されるとともに、民間企業との業務連携が進められています。

 香川県では、2011年10月に策定された「せとうち田園都市香川創造プラン」を平成23年度から平成27年度までの5年間の基本指針とし、生産に係る分野では、同年10月に「香川県農業・農村基本計画(担当:農政課)」、「香川県水産業基本計画(水産課)」、同年11月に「かがわ県産品販路開拓プラン(県産品振興課)」、12月には平成30年を目標にした「香川県果樹農業振興計画書(農業生産流通課)が策定されています。 一方、食品の製造・加工分野に係る施策では、2010年3月に「かがわ次世代ものづくり産業振興プラン(産業政策課)」策定されるなど、地域の生産、製

造・加工などに関連する施策や計画が改定され、現在から将来を見据えた種々の関連施策の考えが示されています。 香川県では、民間企業との包括的な連携・協力も進めており、これまでコンビニエンスストアとの包括協定のほか、2011年5月にイオン㈱との間で包括協定(関連事項は「県産品の販路拡大、観光振興など様々な分野」)を締結し、2012年1月には、NEXCO西日本との間で、包括的相互協力協定(関連事項は「観光・文化・産業の振興など地域社会の活性化に関すること」)を締結するなど、香川県と民間企業との連携による地域産業の振興が進められています。

公益財団法人かがわ産業支援財団高松市林町2217-15

香川県新規産業創出支援センター『ネクスト香川』高松市林町2217-44

香川県科学技術研究センター『FROM香川』高松市林町2217-16

地域共同研究部研究施設『RISTかがわ』高松市林町2217-43

 このように研究機関等の集積がみられる香川県では、地域の特徴を活かしたユニークな機関連携による研究活動やクラスター事業が展開されています。 技術を中心とした連携事業のトピックとしては、香川大学を中心とした「希少糖」研究の活動があげられます。この活動では、文部科学省の地域イノベーションクラスタープログラム【都市エリア型】などを活用し、希少糖や糖質の機能を活用した機能性食品、スキンケア製品、診断薬、医薬品中間体等に係わる研究開発と事業化を集中的に行うことで、地域に集積する食品産業等へ展開し、今後の高齢化社会を見据えた健

康バイオ産業の創出を目指しています(前ページ下段にトピックとして詳細を記載)。 また、2011年9月、香川大学では㈱百十四銀行、野村證券㈱、野村アグリプランニング&アドバイザリー㈱との連携により、農業・アグリビジネスに関連する地域産業の活性化と地域経済の発展に寄与することを目的として、研究コンソーシアム(『かがわアグリイノベーションズ』)を設立するなど、技術を基盤として地域と研究機関、民間企業との連携による活動も推進され始めています。

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4.香川県の農や食に関連するその他整理

Page 12: 統計等で見る 香川県の特徴kagawa-isf.jp/jouhou/design/files/chapter1.pdf1.香川県の生産 平成21年の香川県の農業、畜産業、水産業、林業 の産出額合計は1,024億円で全国34位、国産品の生

 国内では地域ポテンシャルに基づいた新たな連携戦略として、各種の展開が講じられています。 そのような中、多種多様な生産原料を持ち、冷凍加工や発酵など製造技術の集積も見られ、「讃岐うどん」や「小豆島オリーブ」など全国的に知られるブランドと観光による連携戦略、さらに「ひけた鰤」や「伊吹いりこ」などの地域団体商標を取得している香川県は、既に食農連携を推進する先進地といっても過言ではありません。 また、琴平町のように、ニンニクなどの地域特産品を利活用した地域おこしの動きなど、さらなる展開も見られます。 このように香川県は、地域原料やこれを支える地域の食品産業、さらにはブランド、連携を推進する人や組織、技術など多くの潜在的な地域ポテンシャルを有しているとも言えます。

 普段、地域の内側にいるとそのポテンシャルの高さに気づかず、課題だけが目につくことがよくあります。香川県も、もしかするとそのような状況にあるのではないかと思います。むしろ、有り余る地域ポテンシャルに気づかず、新たなビジネス展開を発揮できないなどということも考えられます。

 このような食農連携の先進地である香川県において、これからの展開を整理し、客観的な視点から、その可能性を見つめるためには、一度、第三者的な視点にたち、地域ポテンシャルを抽出・整理してみるのも一つの方法です。

 『第2章 地域ポテンシャルの分析と戦略展開の可能性』では、このような考えから、香川県における地域ポテンシャルについて、SWOT分析を用いた整理、検討、分析を行うとともに、その中で抽出された課題に関して、どのような戦略を講じてゆくべきかという事項について、県内の関係者にご参集いただきフードチェーンおよびその周辺領域も踏まえた食農連携の展開の可能性について検討を行うこととしました。 昨今の国や都道府県における施策などを背景にした地域の食農連携の活動や民間主導による新たなビジネスの展開は、既存のフードチェーンにおいて多様な可能性を生み出す結果となっています。 このような事象をもって香川県の地域ポテンシャルの背景とし、俯瞰的な視点や自由な発想・アイデアなどから、展開の可能性について広く分析・検討を行いました。

 全国に知られる「讃岐うどん」や「小豆島オリーブ」これらに続く『地域ブランドや地域戦略は、はたしてどのような品目で、どのような可能性があるのか』など、これからの香川県における食農連携やその他の連携の可能性について、何をキーワードに、どのような方法を用いるべきであるのかといった視点で整理を行っています。 その検討の先にあるのは、既に陳腐化している食農連携のその先の戦略です。食農連携の先進地である香川県だからこそ、他に類を見ない差別性の創出に向けた検討が必要とされています。

 『第1章統計等で見る香川県の特徴』では、香川県における生産、製造、流通・小売、観光および地域特産品や地域ブランド、技術、施策等についての概要をまとめてきました。 さて、このような地域ポテンシャルに対し、香川県における食農連携の推進について、今後、どのような展開を講じてゆくべきでしょうか。

『第1章 統計等で見る香川県の特徴』のまとめ

食農連携の先進地~香川県~地域ポテンシャルをさらに活かすには

他に類のない、これからの戦略を講じるために  

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第1章 統計等でみる香川県の特徴