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原子力発電に係る施策・事業の 概要について 平成22年12月10日 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力政策課 第1回 原子力発電に係る技術に関する施策・ 事業評価検討会 資料5

原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

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原子力発電に係る施策・事業の概要について

平成22年12月10日

資源エネルギー庁

電 力 ・ ガ ス 事 業 部

原 子 力 政 策 課

第1回原子力発電に係る技術に関する施策・

事業評価検討会

資料5

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目 次

1.技術に関する施策の概要1.1. 施策の目的・政策的位置付け1.2. 施策の構造

2.技術に関する事業の概要2.A. 発電用新型炉等技術開発委託費に係る事業2.B. 戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金に係る事業

B-① 世界最大650トン鋼塊の製造技術開発B-② 超大型蒸気発生器技術開発B-③ 主蒸気安全弁実用化開発B-④ 非常用炉心冷却システム用ポンプ実用化開発B-⑤ 原子炉大型構造部材製造技術開発

2.C. 全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金に係る事業2.D. 革新的実用原子力技術開発費補助金に係る事業

D-① 超臨界圧水冷却炉の開発D-② 4S炉における電磁ポンプ及び二重伝熱管蒸気発生器の開発

2.E. 次世代軽水炉等技術開発費補助金に係る事業

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1.技術に関する施策の概要

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○ 我が国エネルギー安全保障と地球温暖化問題への対応の観点から、原子力発電を今後とも基幹電源と位置付け、国として安定的な運転のために核燃料サイクルを含め国として全面的に推進することが必要。その際、原子力発電の推進には、その必要性及び安全性に鑑みると、国が事業環境の整備を図ることが必要。

○ 発電施設等の設置及び運転の円滑化については、電力需給の逼迫が国民生活及び経済活動に重大な支障を及ぼすこと、電源立地を推進するために必要な地元の理解促進は、事業者の力のみでは克服できないことから国の積極的な関与が必要。

○ エネルギー安定供給の確保及び地球温暖化問題に伴う温室効果ガスの削減等の公益的課題対しては、国の関与による継続的支援が必要。

1.1.施策の目的

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○原子力利用を長期にわたって安定的に推進していくため、

①原子力発電関連技術の開発

②放射性廃棄物対策を含む核燃料サイクル

③これを担う人材育成、技術・産業の維持・強化

④電源立地交付金の更なる改善・強化

⑤国際社会への対応の充実

を行うことが必要であるが、本検討会では①原子力発電関連技術について取り上げることとする。具体的には取り組みについては以下のとおり。

・ 高速増殖炉サイクル技術の実証・実用化に向けた技術開発

高速増殖炉実証炉及び関連サイクル実証施設の早期実現を図るため、文部科学省と連携し「高速増殖炉サイクル実用化研究開発」を推進する。

・ 次世代軽水炉の技術開発

2030年前後に見込まれる既設軽水炉の大規模な代替炉建設需要に対応するため、安全性、経済性、信頼性等に優れ、世界標準を獲得し得る次世代軽水炉の技術開発を官民一体となって実施する。

・ 全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発

我が国におけるプルトニウム利用の柔軟性を確保するため、全炉心にウラン-プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)を装荷することが可能となる全炉心MOX燃料原子炉に必要となる技術開発等を行う。

・ 革新的実用原子力技術開発

我が国の原子力利用技術の高度化と国際展開を図るため、核燃料サイクルを含む原子力発電の経済性・信頼性等を向上させることが可能な革新的実用原子力技術開発を行う。

・ 戦略的原子力技術利用高度化技術開発

我が国原子力産業の持続的発展に必要な原子力技術の実用化に向けた技術開発を実施し、我が国における原子力技術水準の高度化等を図る。

1.1.施策の目的・取組み

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○ 原子力政策大綱(抜粋)

・ 2030年前後から始まると見込まれる既設の原子力発電施設の代替に際しては、炉型としては現行の軽水炉を改良したものを採用する。原子炉の出力規模はスケールメリットを享受する観点から大型軽水炉を中心とする。

・ 高速増殖炉サイクルの適切な実用化像と2050年頃からの商業ベースでの導入に至るまでの段階的な研究開発計画について、2015年頃から国としての検討を行う。

・ 軽水炉核燃料サイクル事業の進捗や「もんじゅ」等の成果に基づいた実用化への取組を踏まえつつ、ウラン需給の動向等を勘案し、経済性等の諸条件が整うことを前提に、2050年ころから商業ベースでの導入を目指す。

・ 実用化候補技術システムの中から対象を選んで実用化するために計画・実施される研究開発は、原則としてそのシステムによる事業を行う産業界が自ら資源を投じて実施するべきである。国は、その技術システムの実用化が原子力に期待される公益の観点から重要と考えられる場合等に限って、その費用対効果を適宜適切に評価し、支援等を行うべきである。この段階の主要な取組としては、放射性廃棄物処分技術や改良型軽水炉技術、軽水炉の全炉心MOX利用技術等がある。

1.1.政策的位置付け(その1)

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○ 原子力立国計画(抜粋)

・ 「基本シナリオ」実現を目指して、国際的動向に十分注視しながら、遅滞することなく、技術開発等必要な取組を進めるべきである。(注 「基本シナリオ」: 実証炉及び関連サイクル施設の2025年頃までの実現、2050年より前に商業ベースでのFBRの導入を開始、等)

○ エネルギー基本計画(抜粋)

・ 2025年頃までの実証炉の実現、2050年より前の商業炉の導入に向けて、引き続き、経済産業省と文部科学省が連携して研究開発を推進する。

・ 我が国は、2030年前後に見込まれる既設炉のリプレース需要の本格化に対応し、安全性・経済性・信頼性等に優れた国際競争力のある次世代軽水炉の開発に、官民一体となって取り組んでいる。これまで行ってきた概念設計検討、要素技術開発等を踏まえ、次世代軽水炉の円滑な開発・導入を促進する。

○ 総合エネ調 原子力部会 国際戦略検討小委員会報告(抜粋)

・ 我が国原子力関連産業の強みは、原子炉メーカーのみならず、数多くの素材・部材メーカーによって支えられている。(中略)国は、我が国の産業力の維持に必要なコア技術を有する素材・部材メーカーについて、原子炉メーカーとも連携して、国際展開を目指す上で必要な技術開発等を支援するなど、厚みのある産業基盤の維持・発展を目指すべきである。

1.1.政策的位置付け(その2)

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○日本のエネルギー自給率は主要国中最低。○オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

各国のエネルギー自給率の比較

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発電電力量シェアの推移

原子力を輸入エネルギーと見た場合

原子力を国産エネルギーと見た場合

17.2% 15.8% 11.9% 9.6% 8.3%

4.7% 3.8% 9.7% 18.4% 24.9%2.4%

13.6%

22.2%

26.4%

29.4%

73.2% 52.5% 28.6% 10.7%

7.2%

2.6%

14.1%

27.3%34.3% 29.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1973 1979 1990 2000 2009

新エネ等

原子力

石油等

LNG

石炭

水力

0% 50% 100% 150% 200%

イタリ

日本

ドイツ

フラン

米国

英国

カナダ

1.1.エネルギー安全保障と原子力(参考)

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○ウランは特定地域への強い偏在がない

豪州 , 23%

カザフスタン ,15%

ロシア, 10%南アフリ

カ, 8%

カナダ , 8%

アメリカ, 6%

ブラジル, 5%

出典:OECD/NEA&IAEA, Uranium 2007

Total546万9千トン(2007年)

その他, 13%

ニジェール, 5%

ナミビア, 5%

ウズベキスタン, 2%

○可採年数が長い

○少ない燃料で発電が可能、輸送や貯蔵が容易

世界のエネルギー資源確認可採埋蔵量と可採年数世界の天然ウラン賦存量

100万KWの発電所を1年間運転するために必要な燃料

0

20

40

60

80

100

120

140

1兆2,379億バレル41.6年

8474.88億トン133年

177.36兆m60.3年

547万トン100年

石油 石炭 天然ガス ウラン

1.1.原子力発電の優れた特性① ~供給安定性(参考)

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※ 発電単価の幅は、設備利用率等の前提によるもの。

電源別発電コスト構成比(モデル試算)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

再処理・廃棄物処分等費用

0% 20% 40% 60% 80% 100%

○他電源に比べ発電単価が低い ○燃料費の割合が低く、資源価格の高騰の影響を受けにくい

電源 発電単価(円/kWh)

水力 8.2~13.3円

石油 10.0~17.3円

LNG 5.8~7.1円

石炭 5.0~6.5円

原子力 4.8~6.2円

太陽光 46円

風力 10~14円

出典:「総合資源エネルギー調査会電気事業分科会第9回コスト等小委員会」(電事連試算)(2004年1月)太陽光、風力については「総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会報告書」(2001年6月)

天然ウラン

水 力

石油火力

天然ガス

石炭火力

原子力

注)原子力のコストは再処理・廃棄物処分も含まれる。

燃料費

資本費

運転維持費

1.1.原子力発電の優れた特性② ~経済性(参考)

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135万kWの火力発電所1基が原子力発電所1基に置き換わると、年間約600万トンのCO2の削減が可能。

(1990年における我が国のCO2排出量の0.5%に相当)

出典:電力中央研究所

0 200 400 600 800 1000 1200

風力

太陽光

地熱

水力

原子力

天然ガス…

天然ガス…

石油火力

石炭火力

ライフサイクルCO2排出量(g-CO2/kWh(送電端))

975

742

608

519

22~25

11

15

53

29

平均的な火力発電所 原子力発電所

原発1基による置換で

日本の全CO2排出量の0.5%の削減が可能

少ない 多い

発電用燃料としての燃焼によるもの(直接)

その他(間接)

○発電過程において二酸化炭素を排出しない

各種電源の発電量当たりの温室効果ガス排出量(CO2換算)CO2排出削減効果【例】

1.1.原子力発電の優れた特性③ ~低炭素電源(参考)

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基数 合計出力(万kW)

運転中 54 4884.7

建設中 2 275.6

着工準備中 12 1655.2

合計 68 6815.5

○現在54基が運転中。14基の新設計画あり(建設中2基、着工準備中12基)。○安全確保と国民理解、地域共生が原子力推進の大前提。

1.1.原子力発電所の現状と新増設計画(参考)

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ウラン濃縮工場

○核燃料サイクルについては、「エネルギー基本計画」(本年6月閣議決定)でも、「『中長期的にブレない』確固たる国家戦略として、引き続き、着実に推進する。」とされている。

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分離・抽出したプルトニウムとウランを混合した燃料(MOX燃料)に加工

青森県六ヶ所村で2016年竣工予定

MOX燃料工場

原子力発電所

高レベル放射性廃棄物処分施設

(軽水炉)

(全国54基)

プルトニウム・ウラン

再処理工場

核燃料サイクル

使用済燃料からプルトニウム、ウランを分離・抽

出青森県六ヶ所村で最終試験段階

2012年竣工予定

MOX燃料を原子力発電所(軽水炉)で利用(プルサーマル)

2015年度までに全国16~18基で実施を目指す

ウラン燃料

ウラン

ウラン鉱山

使用済燃料を一時貯蔵

青森県むつ市で2012年竣工予定

ガラス固化体

中間貯蔵施設

高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター

ガラス固化体を30~50年間貯蔵

青森県六ヶ所村で1995年から操業

低濃縮ウランを製造

青森県六ヶ所村で1992年から操業 海外での再処理で発生し

た放射性廃棄物の返還

1.1.核燃料サイクルについて(参考)

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1.2.施策の構造(評価対象事業とその概要)A.発電用新型炉等技術開発委託費に係る事業

(1)事業名 発電用新型炉等技術開発委託費

(2)実施期間 平成19年度~平成27年度

(3)事業総額 185.58億円

(4)補助事業者 独立行政法人日本原子力研究開発機構

(5)事業概要

FBRサイクルの早期実用化に向け、2015年ごろにFBRサイクルの実用化像とその後の研究開発計画の提示を行うため、実証炉のプラント概念検討及び実証炉の設計・建設・運転の各段階で必要となる実プラント技術の規格基準及び技術整備に向けた研究開発を行う。

(6)成果等

実証施設の概念検討により、実用炉のプラント実現性を実証するプラント概念を構築した。その検討成果より、実証施設の出力及び基数は75万kWe×1基で必要な実証性を有すると評価。

技術開発では、各技術の個別目標を満足し技術の成立性を確認するとともに、設計評価に必要な手法・データの整備を行い、各技術を適用した機器・システムの設計成立性、製作性、運転保守性の評価に資することができた。

(1)新型炉等実証施設概念検討

(2)新型炉格納容器設計技術

(3)新型炉耐震性評価技術

(4)新型炉高温材料設計技術

(5)新型炉保守技術

(3)新型炉高クロム鋼製大型構造物

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1.2.施策の構造(評価対象事業とその概要)

B-①.戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金に係る事業

(1)事業名 世界最大650トン鋼塊の製造技術開発

(2)実施期間 平成21年度~平成23年度

(3)事業総額 14.08億円 (補助ベース)

(4)補助事業者 (株)日本製鋼所 室蘭製作所

(5)事業概要原発向け超大型部材の安定供給体制構築を目的とした世界最大650トン超大型鋼塊の製造技術を開発

(6)成果等650トン鋼塊試作に先立ち技術課題を解決した後鋳込みに成功.高出力化する原子力発電所主要部材の信頼性をより高められ,国内プラントメーカーとの共同開発により我が国の国際競争力を伸長できる。

製作した鋳型 温度分布解析 試作650t鋼塊

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1.2.施策の構造(評価対象事業とその概要)

B-②.戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金に係る事業

(1)事業名 超大型蒸気発生器技術開発

(2)実施期間 平成21年度~平成23年度

(3)事業総額 23.46億円(補助ベース)

(4)補助事業者 (株)IHI

(5)事業概要世界的に供給者が少なく、最先端技術の実用化が必要な超大型蒸気発生器の技術開発を目的として、各種要素試験ならびにフルスケールアップによる総合試験を実施し、当該製造技術の確立および実用化を図る。

(6)成果等伝熱管関連要素技術開発、一次冷却材ポンプケーシングの組立技術の開発、応力腐食割れ評価技術の開発、スケールモックアップ試験での組立て、溶接技術開発を実施し所要の成果を得た。

最新鋭型PWR原子炉系システム技術開発の適用部位

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1.2.施策の構造(評価対象事業とその概要)

B-③.戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金に係る事業

(1)事業名 主蒸気安全弁実用化開発

(2)実施期間 平成21年度~平成23年度

(3)事業総額 8.5億円 (補助ベース)

(4)補助事業者 岡野バルブ製造株式会社

(5)事業概要 世界規格に適合できる原子力用弁を製造する為の要素技術の開発

(6)成果等ASTM材で製作したばねの基本性能の確認、コバルトフリー材の開発、原子力用安全弁の基礎特性の確認、実際の製品の性能確認を行う為の蒸気試験設備の新設等を実施。

BWR用主蒸気逃がし安全弁PWR用主蒸気安全弁

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1.2.施策の構造(評価対象事業とその概要)

戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金に係る事業④

(1)事業名 非常用炉心冷却システム用ポンプ実用化開発

(2)実施期間 平成21年度~平成23年度

(3)事業総額 2.5億円

(4)補助事業者 株式会社 荏原製作所

(5)事業概要① ヒートショック試験装置の開発と試験② ECCSポンプ耐圧部品モックアップ品の設計製作

(6)成果等 ヒートショック試験装置の開発、ヒートショック試験供試ポンプの熱解析等を実施し、所要の成果を得た。

BARREL DISCHARGE HEAD

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1.2.施策の構造(評価対象事業とその概要)

B-⑤.戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金に係る事業

(1)事業名 原子炉大型構造部材製造技術開発

(2)実施期間 平成21年度~平成23年度

(3)事業総額 4.2億円(補助ベース)

(4)補助事業者 株式会社神戸製鋼所

(5)事業概要原子炉用大型鍛造品の製造技術確立のため、大型鋼塊製造技術および3次元異形鍛造技術を確立する。

(6)成果等小型モデルにより欠陥のない良好な鋼塊品質が得られたと同時に、異形状品の鍛造工程を決定した。

原子炉圧力容器部材①クロージャーヘッド,アッパーシェルコース

蒸気発生器部材②チャンネルヘッド ③トランジションコーン

製造技術開発対象部材 1/30小型モデル鍛造

例)クロージャーヘッド

鍛造状況 鍛造後外観

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1.2.施策の構造(評価対象事業とその概要)

C.全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金に係る事業

(1)事業名 全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金

(2)実施期間 平成8年度~平成23年度

(3)事業総額 326.84億円(補助ベース)

(4)補助事業者 電源開発株式会社

(5)事業概要既存の原子力発電所に比べ約3倍のプルトニウムを利用することができる

全炉心混合酸化物燃料原子炉施設の開発に必要な技術開発を行うとともに、実機プラントで特性確認を行い、技術の確立を図る。

(6)成果等

これまでの成果としては、必要な要素技術の開発を行うとともに、原子炉設置許可申請書の作成に必要な設計及び各種解析を行い、国の安全審査を受け、原子炉設置許可を取得し、また、工事計画認可を得て大間原子力発電所が着工した。

・高性能原子炉停止システム開発試験

・インターナルポンプシステム性能向上技術開発試験

・大容量逃がし安全弁開発試験

・燃料検査装置開発試験

《要素技術開発の概要》

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1.2.施策の構造(評価対象事業とその概要)

(1)事業名 GIFの国際協力による超臨界圧水冷却炉(SCWR) の開発(フェーズⅠ )

(2)実施期間 平成20年度~22年度

(3)事業総額 1.4億円(補助ベース)

(4)補助事業者 (株)東芝、(財)エネルギー総合工学研究所

(5)事業概要 第4世代原子力システムの一つであるSCWRを国際協力で開発する。

(6)成果等 GIFで設定した開発目標を基にSCWRの実現可能性を評価する。

超臨界圧水冷却炉(SCWR)

Turbineタービン

原子炉

発電機

SCWR目標 軽水炉タービン入口圧力(MPa) 25 約7.0タービン入口温度(℃) 510 約290炉心出力密度(MW/m3) 110 50 - 100プラント熱効率(%) 44 33 - 35

貫流型原子炉

直接サイクル

20

・簡素なシステム構成・建設コストを大幅に削減できる

ポテンシャルあり

D-①.革新的実用原子力技術開発費補助金に係る事業

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1.2.施策の構造(評価対象事業とその概要)

D-②.革新的実用原子力技術開発費補助金に係る事業

(1)事業名GNEPの中・小型炉に適合する大口径高温電磁ポンプとパッシブなフローコースト補償電源の研究開発GNEPの中・小型炉に適合する高信頼性ヘリカル二重伝熱管蒸気発生器の研究開発

(2)実施期間 平成20年度~平成22年

(3)事業総額 10.8億円(補助ベース)

(4)補助事業者 株式会社 東芝

(5)事業概要発展途上の国々、遠隔地域の電源として小規模なエネルギー源が切望されており、それらに適合した小型高速炉4Sに採用している革新技術(大口径電磁ポンプと二重伝熱管蒸気発生器)の開発を本件の事業としている。

(6)成果等

組み網線入り二重伝熱管の管-管溶接装置を開発し、溶接試験を実施し基本コンセプトを確立した(平成20~21年度)。最終年度では、長尺、ヘリカル伝熱管を製作することにより加工技術を確立し、実機適用可能な要素技術開発を完了見込み。

大口径電磁ポンプの開発では、4Sに対応した実機サイズのポンプを設計・試作し、ステータ機構の製作性の見通しを得た。さらに、液体ナトリウムによるポンプ特性試験を行い、定格流量10.6m3/min、定格揚程0.05MPaが得られることを確認し、実機への適用性の見通しを得た。

タービン発電機

蒸気発生器

原子炉

4Sの鳥瞰図

21

小型、簡素な構造高い安全性、保守・補修の軽減運転の単純さに優れる 30年間燃料無交換小さな初期投資

発展途上国や遠隔地域電源向け

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1.2.施策の構造(評価対象事業とその概要)

E.次世代軽水炉等技術開発費補助金に係る事業

(1)事業名 次世代軽水炉等技術開発費補助金

(2)実施期間 平成20年度~平成27年度(8年間)

(3)事業総額 51.3億円

(4)補助事業者 財団法人 エネルギー総合工学研究所

(5)事業概要2030年前後に見込まれる代替炉の建設需要に備え、高い安全性・経済性等を有し、世界標準を獲得できる次世代軽水炉を開発する。

(6)成果等H20,21年度の成果として、プラント概念構築、要素技術開発の技術成立性確認を行い、次世代軽水炉の実用化見通しを得た。

HP-ABWR HP-APWR

次世代軽水炉のプラント概念図

• 電気出力 180万kW級

• 建設単価・発電コスト低減の追求

• 世界最高水準の安全性

• 運転し易く使い易いプラント

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トップダウン ボトムアップ

出所:エネルギー基本計画、技術戦略マップ2009、原子力立国計画、原子力大綱、プロジェクト中間評価報告書、個別事業評価書

必要とされる施策

(Market)市場ニーズ

(背景)

実現上の課題

(Function)事業目標

技術(国の事業)

(Technology )

軽水炉・その他革新炉技術分野

事業(PRJ) 概要目標

エネルギーの長期安定確

保国際的にエネルギー需給が逼迫する中での資源小国である日本の長期的なエネルギー安定確保

が課題

ウラン資源の逼迫

中国などの原子力発電活動の進展による需要増大

施策

地球温暖化対策

エネルギーに係る地球温暖化対策の国際的責務

海外字世代炉開発状況• WH(AP-1000):NRCのDC取得済み第三世代次世代炉。設計の簡素化、パッシブ安全系による動

的機器削減により大幅な経済性向上を実現• AREVA(US-EPR);フランス、フィンランドで建設中の第三世代炉。炉心設計最適化でウラン使用量

の7%削減、オンラインメンテナンスによる95%以上の利用率達成による経済性向上を実現

海外での高速増殖炉開発状況フランス:原型炉25万kW(Phenix)2009年停止予定、第4世代原子炉のプロトタイプを2020年に運転開始計画中・ロシア:原型炉60万kW(BN-600)運転中、実証炉BN-800の建設を再開・インド:原型炉50万kW(PFBR)建設中、2020-2030年頃にFBRを商用化、2050年頃には200GWe程度を目指している・米国:2014年頃にナトリウム冷却高速炉の先進燃焼試験炉を、2023年頃に商用の燃焼炉を運転開始の計画

原子力発電の新・増設、リプレース投資の

実現

わが国原子力産業の国際展

開支援

現行水準以上の

原子力発電比率の維持

高速炉増殖炉

サイクルの実現 高速増殖炉サ

イクルの早期実用化

次世代軽水炉の開発

軽水炉の安全性・信

頼性・経済性向上

国際協力

革新的実用原子力技術開発支援

わが国の原子力利

用技術の高度化と

国際展開

基盤技術 大学研究者の確保

技術的成立性プラントの全体システム

設計

高速増殖炉の実証炉開発

高速増殖炉サイクル技術の

確立

経済的成立性

要素技術の確立

資本コスト低減

運転コスト低減

研究プロジェクト振興

最適プラント出力規模決定

基本的なシステム構成決定

機器・構造物の機能・性能評価

プラント構造物の材料評価

運転中の保守・検査技術

設計・建設費用の低減

O&Mコストの低減

次世代軽水炉等技術開発補助金事業

H20~H27

2030年前後に見込まれる大規模な代替炉建設需要に対応するため、安全性、経済性、信頼性等に優れ、世界標準を獲得し得る次世代軽水炉の技術開発を行う

革新的原子炉(第4世代炉)の技術開発支援

大学等での研究活動の活性化支援

中小型原子炉の技術開発支援

発電用新型炉等技術開発委託事業

H19~H22

実証炉の出力規模等の暫定、革新技術の採否判断

実プラント技術の成立性、適用可能性の試験データ取得

高クロム鋼の材料強度基準、高温構造設計指針の整備の

ための試験データ取得

保守・検査技術の確立

革新的実用原子力技術開発費補助金事業

H12~H22

第4世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF)や国際原子力エネルギーパートナーシップ(GNEP)等の国際協力枠組みにおける国際連携や我が国の原子力利用技術の国際的展開を図るための研究開発が提案されている技術分野、及び近年希薄化が懸念される原子力を支える基盤技術分野について産業界の参画やニーズ提示のもと各分野の目的に沿った革新的技術開発を推進する

高速増殖実証炉の概念検討を実施。また、設計・建設段階において必要となる実フ ラ゚ント技術として、格納容器設計技術、耐震性向上技術、高温材料設計技術、保守・補修技術、大型構造物製作技術の試験等を実施

相乗

核燃料サイクルの着実な実

ウラン燃料と同等の安全性確保 核特性の違いの考慮

フルMOX炉技術の実現

軽水炉の高度

化利用

フルMOXプラントに必要な主要技術開発

放射線影響の違いの考慮

原子炉が適正に制御できること

炉心の停止余裕が確保されること

公衆被ばく評価に影響しないこと

必要な要素技術が開発されること

全炉心混合酸化物原子炉施設技術開発補

助金事業

H8~H23大間原子力発電所建設に必要な主要要素技術の開発

MOX燃料装荷による核特性の変化の評価

制御材の反応度価値低下の評価

被ばく評価における核分裂収率の評価

既存の原子力発電所に比べ約3倍のプルトニウムを利用することができる全炉心混合酸化物燃料原子炉の開発に必要な要素技術開発を行い、実機プラントで特性確認を行い、技術の確立を図る

軽水炉サイクルの実

メンテナンス時の被ばく線量の大幅低減

建設工期の大幅低減

炉心溶融確率の低減

安全性・信頼性の向上

炉心安全の向上

経済性の向上

イニシャルコストの低減

ランニングコストの低減

建設費用の低減

メンテナンスコストの低減

設計・製造費用の低減

燃料利用率の向上

設備利用率の向上

設計寿命の延長

環境性の向上 廃棄物の減少 放射性廃棄物減少

プラント信頼性向上 計画外停止の減少

作業員被ばく量低減被ばく量低減

稼働率と安全性を同時に向上

使用済燃料の大幅削減

世界最高の稼働率実現

立地条件によらない免震標準化プラントの実現

プラント設計寿命80年の実現

世界最高水準の安全性・経済性の同時実現

原子力の平和利用推進

新興経済国への原子力拡大

GIF等の国際協力枠組みへの貢献(核不拡散の遵守、 原子炉安全性・信頼性向上)

希少材料の調達力維持

製造技術基盤の確立

材料調達・加工技術 実用化に必要な大規模確証試験の実施等費用の

一部補助

機器設計・製造技術

コア部材加工技術確立

重要機器設計技術確立

戦略的原子力技術利用高度化推進事業

H21~H23

我が国原子力産業の持続的発展に必要な枢要原子力技術の実用化に必要な研究開発を支援

相補

廃炉技術の確立

既存発電所の廃炉

経済性の向上 経済的な廃炉技術 経済的解体技術

廃炉工事の安全性確保解体物運搬・埋設技術

安全性の確保

公衆の安全性確保

廃炉技術の標準化

被ばく線量の管理技術

クリアランスレベルの明確化環境性の向上 埋設廃棄物低減

リサイクル利用技術確立

1.2.施策の構造(ロジックツリー)

Page 25: 原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

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インプット アクション カスタマー 直接アウトカム 中期のアウトカム・インパクト

電源開発株式会社

1/2補助

全炉心混合酸化物原子炉施設技術開発補助金事業

プロジェクトのアウトプット

電力事業者

:インプット(投入資源)

:アクショ ン(実施)

:アウトプット(成果)

:直接カスタマー

:アウトカム

:インパクト:必要な要員・阻害要因

①安全設計及び安全評価

②原子炉設備の開発 大間原子力発電所建設に必要な主要要素技術の開発

MOX燃料装荷による核特性の変化の評価

制御材の反応度価値低下の評価

被ばく評価における核分裂収率の評価

立地評価における被ばく評価の要否の評価

核設計手法の検証

フルM

OX

プラントの運

転開始

フルMOX-BWRの建設

2030

年以後も総発電電力量の

30~40%

程度以上の割合を原子

力発電が担う

プルトニウム需給バラン

スの適正化

2030年頃

2015年頃

• 事業期間H8~H23• H22年度予算案

23.8億円

1.2.施策の構造(ロジックモデル)

Page 26: 原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

インプット アクション カスタマー 直接アウトカム 中期のアウトカム・インパクトプロジェクトのアウトプット

新型炉実用化に必要な大規模確証試験

民間企業等

民間団体等

1/2

一部定額

補助

次世代軽水炉等技術開発補助金事業

①濃縮度5wt%超燃料を用いた原子炉系の技術開発

②免震技術による標準化プラントの技術開発

③構造部材の開発と炉内環境の最適化のための技術開発

④斬新な建設技術の適用のための技術開発

⑤安全システムの最適化のための技術開発

⑥プラントデジタル化技術の適用のための技術開発

使用済み燃料の大幅削減

世界最高の稼働率実現

プラント寿命80年の実現

メンテナンス時の被ばく線量の大幅低減

建設工期の大幅低減

免震技術の採用による立地条件によらない標準化プ

ラントの実現

世界最高水準の安全性・経済性の同時実現

稼働率と安全性を同時に向上

民間企業等

経済的解体技術確立

解体物運搬・埋設技術向上

廃炉技術の標準化

被ばく線量の管理技術確立

クリアランスレベルの明確化

リサイクル利用技術確立

民間企業等

廃炉の技術確立は、より発電規模が大き

く更なる安全性・経済性を確立した新規原子力発電プラントへの立替を促進する上

で必須となる

:インプット(投入資源)

:アクショ ン(実施)

:アウトプット(成果)

:直接カスタマー

:アウトカム

:インパクト

:必要な要因・阻害要因コア部材製造要件のクリア

2030

年以後も総発電電力

量の30~40%

程度以上の

割合を原子力発電が担

安全審査等プラント

建設要件の確立

2015年まで

次世代軽水炉プラントの詳細設計化

商用炉建設ベース

での導入

建設に向けた

希少なコア部材等製造

次世代炉の新規建設

廃炉の経済性・安全性の更なる向上

計画的な廃炉の実

スクラップアンドビ

ルドの促進

2030年頃

2020年頃 2025年頃

2025年頃2020年頃

• 事業期間H20~H27

• H22年度予算案19.4億円

戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金

①希少コア部材等開発費用の一部補助

民間団体等

2/3

一部定額

補助

1.2.施策の構造(ロジックモデル)

Page 27: 原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

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インプット アクション カスタマー 直接アウトカム 中期のアウトカム・インパクト

大学・研究機関、民間団

体等

革新的実用原子力技術開発費補助金事業

原子力研究開発活動の振興

• 事業期間H12~H22(見直し)

• H17~H20執行総額53.27億円

• H21~H22予算総額17.15億円

:インプット(投入資源)

:アクショ ン(実施)

:アウトプット(成果)

:直接カスタマー

:アウトカム

:インパクト:必要な要員・阻害要因

②基盤技術支援 大学での研究活動の活性化支援

中小型原子炉の技術開発支援

大学、研究機関等定額補助

①国際協力支援革新的原子炉(第4世代炉)の技術開発支援

原子力発電の経済性・信

頼性等の向上

2030

年以後も総発電電力量の

30~40%

程度以上の割合を原子力

発電が担う

わが国の原子力利用技

術の高度化と国際展開

2030年頃

1.2.施策の構造(ロジックモデル)

Page 28: 原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

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インプット アクション カスタマー 直接アウトカム 中期のアウトカム・インパクト

民間団体等

委託

発電用新型炉等技術開発委託事業

プロジェクトのアウトプット

• 事業期間H19~H22• H19~H20執行総額

76.06億円

• H21~H22予算総額109.7億円

:インプット(投入資源)

:アクショ ン(実施)

:アウトプット(成果)

:直接カスタマー

:アウトカム

:インパクト:必要な要員・阻害要因

民間団体等①プラント出力規模、革新技術の採用など実証プラントの概念設計

実証炉の出力規模等の暫定、革新技術の採否判断

②実証炉の格納容器設計

③実証炉の耐震評価技術開発

④高温材料設計技術開発

⑤プラント保守技術開発

実プラント技術の成立性、適用可能性の試験データ

取得

保守・検査技術の確立

⑥高クロム鋼製大型構造物試験

高クロム鋼の材料強度基準、高温構造設計指針の整備のための試験データ

取得

実証炉の概念設計へ反映できる技術的根拠

の取得

実証炉の実現

高速炉サイクルの実現によるウラン

資源の利用効率の飛躍的向上

商業ベースでの導入

2050年頃2025年頃

1.2.施策の構造(ロジックモデル)

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2.技術に関する事業の概要2.A.発電用新型炉等技術開発委託費に係る事業

資 源 エ ネ ル ギ ー 庁電 力 ・ ガ ス 事 業 部原 子 力 政 策 課

独立行政法人日本原子力研 究 開 発 機 構

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2.A.事業の概要

概 要

実施期間

予算総額

実 施 者

プロジェクト

リーダー

平成19年度~平成27年度(9年間)

186億円(平成22年度まで)(平成19年度:32億円 平成20年度:44億円平成21年度:54億円 平成22年度:56億円)

FBRサイクルの早期実用化に向け、2015年ごろにFBRサイクルの実用化像とその後の研究開発計画の提示を行うため、実証炉のプラント概念検討及び実証炉の設計・建設・運転の各段階で必要となる実プラント技術の規格基準及び技術整備に向けた研究開発を行う

独立行政法人日本原子力研究開発機構

青砥 紀身 (独)日本原子力研究開発機構次世代原子力研究開発部門 部門長代理

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2-1.目的

高速増殖炉サイクルの早期実用化に向けて、実証炉及び関連サイクル施設の2025年までの実現、2050年より前の商業ベースでの導入を目指して「高速増殖炉サイクル実用化研究開発」を実施。

2-2.政策的位置付け

●原子力政策大綱(平成17年10月、原子力委員会)

・高速増殖炉については、軽水炉核燃料サイクル事業の進捗や「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」、「もんじゅ」等の成果に基づいた実用化への取組を踏まえつつ、ウラン需給の動向等を勘案し、経済性等の諸条件等が整うことを前提に、2050年頃から商業ベースでの導入を目指す。

・高速増殖炉サイクルの適切な実用化像と2050年頃からの商業ベースでの導入に至るまでの段階的な研究開発計画について、2015年頃から国としての検討を行う。

2.A.事業の目的・政策的位置付け

Page 32: 原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

3

2-2.政策的位置付け

●原子力立国計画(平成18年8月、経産省「原子力部会」)

「基本シナリオ」実現を目指して、国際的動向に十分注視しながら、遅滞することなく、技術開発等必要な取組を進めるべきである。

(注 「基本シナリオ」: 実証炉及び関連サイクル施設の2025年頃までの実現、2050年より前に商業ベースでのFBRの導入を開始、等)

●エネルギー基本計画(平成22年6月 閣議決定)

2025年頃までの実証炉の実現、2050年より前の商業炉の導入に向けて、引き続き、経済産業省と文部科学省が連携して研究開発を推進する。

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4

3. A.目標

2010年に「実証炉の基数・出力」及び「革新技術の採否」の判断を行うため、実証炉のプラント概念検討及び実証炉の設計・建設・運転の各段階で必要となる実プラント技術の研究開発を行う。

要素技術目標・指標

(事後評価時点※)

目標・指標

(中間評価時点)妥当性・設定理由・根拠等

(1)新型炉

等実証施設

概念検討

●実証施設の概念検討とその技術的

成立性の評価を通じて、実証施設

の出力レベルが実用炉の機器・構

造の製作性確認、実現性に関する

リスク評価および革新技術の技術

実証性判断に及ぼす影響を明らか

にすること。

●実証施設の概念検討とその技術的

成立性の評価を通じて、実証施設

の出力レベルが実用炉の機器・構

造の製作性確認、実現性に関する

リスク評価および革新技術の技術

実証性判断に及ぼす影響を明らか

にするために、

・プラント基本条件が設定されているこ

・75万kWeプラント及び50万kWeプラ

ントの概念検討が行われていること

2025年頃運転を開始するとしている実証施設

の概念設計の開始(2011年)前までにその出力

規模や必要な基数を適切に暫定する。そのた

め、実証施設の出力規模が実用炉の機器・構

造の製作性確認、技術的実現性に関するリス

ク評価、革新技術の実証性判断に与える影響

を明らかにした上で、実証施設の出力や基数の

設定が的確に行える情報を整理、提示すること

を目標とする。

※事後評価時点については、高速増殖炉サイクル実用化研究開発フェーズⅠの最終年度である平成22年度時点。以下同じ

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53. A.目標

要素技術目標・指標

(事後評価時点)

目標・指標

(中間評価時点)妥当性・設定理由・根拠等

(2)新型炉格納容器設計技術

●建屋一体型矩形格納容器に適した鋼板コンクリート構造(SC)基本構造が提示されること。

●SC造格納容器(SCCV)の一般部位(壁一般部)特性把握試験7項目と特定部位(コーナー部と貫通部)特性把握試験2項目を実施すること 。

●上記試験結果を用いて、事故時および格納容器内での仮想的なNa燃焼条件下*1でのSCCVの機能維持を評価するための解析手法を開発すること 。

●上記解析手法を用いて、事故時および格納容器内での仮想的なNa燃焼条件下*1でのSCCVの機能が維持されることを確認すること。

*1:格納容器が持つ裕度を評価するために、仮想的な

Na燃焼を想定したもの

●SCCV技術規格骨子(案)の作成および整備方法の提案

●建屋一体型矩形格納容器に適したSC基本構造が暫定されること。

●SCCVの一般部位(壁一般部)特性把握試験7項目と特定部位(コーナー部)特性把握試験1項目を実施すること。

●上記試験結果を用いて、事故時および格納容器内での仮想的なNa燃焼条件下でのSCCVの機能維持を評価するための解析手法を整理すること。

●SCCV技術規格骨子(案)の作成

SC構造は、大型ユニット工法の採用により、大幅な建設工期短縮が期待される。

SC構造は、使用実績のある技術であるが、FBRの矩形格納容器として適用した例はない。また、技術指針類等に対象となるものがない。

高温の過酷な状況においても、強度を維持し、内側鋼板のバウンダリ機能をも維持しうるSC構造を開発する必要がある。

これらの背景から、SCCVの基本構造を明らかにするとともに、事故時および仮想的なNa燃焼条件下に特徴的な荷重を受けた際の健全性を評価する解析手法を開発し、本技術を実証施設の概念設計に使用できるレベルに整備する。並びに、技術規格の骨子案を明らかにするとともに、国際標準化を視野にいれた整備方法を提案すること。を目標とする。

(3)新型炉耐震性評価技術

●水平応答(変位、衝突荷重)、上下応答(飛上り量)の解析評価手法を開発・整備し、3次元群振動解析評価方針案を作成すること。

●このため、以下の4種類の試験を実施し3次元群振動の挙動データ(上記手法の検証用)を取得すること。

・実寸単体試験・群体系試験(1/1.5縮尺、最大37体)・列体系試験(1/1.5縮尺、最大32体)・多数体試験(1/2.5縮尺、300体程度)●中越沖地震を踏まえた強地震条件に

対して適正な耐震裕度を確保するための免震装置、原子炉建屋構造概念を提示すること。

●水平応答(変位、衝突荷重)、上下応答(飛上り量)の解析評価手法を開発・整備し、3次元群振動解析評価方針案を整理すること。

●このため、以下の3種類の試験を実施し3次元群振動の挙動データ(上記手法の検証用)を取得すること。

・実寸単体試験・群体系試験(1/1.5縮尺、最大37体)・列体系試験(1/1.5縮尺、最大32体)

●中越沖地震を踏まえて、強地震条件に対して適正な耐震裕度を確保するための免震装置、原子炉建屋の構造概念を検討し、耐震成立性評価に資すること。

炉心の耐震性として地震時に集合体飛び出し等を抑制する設計が必要である。地震発生時に炉心は燃料集合体同士が摩擦・衝突しながら振動するために、複雑な挙動を示す。安全裕度を確認するために集合体の群振動を把握し、評価方針案を作成することを目標とする。また、中越沖地震を踏まえて、強地震条

件に対して適正な耐震湯度を確保するための免震装置、原子炉建屋構造概念を提示する 。

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63. A.目標要素技術

目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

(4)新型

炉高温材

料設計技

●改良9Cr鋼の材料強度基準整備

・溶接部の材料強度を評価する手法を作成

し,長時間データにより妥当性を検証す

ること。また、最適な溶接施工方法を提案

する。

・改良9Cr鋼-ステンレス鋼異材溶接施工法

を提案し,長時間データによりその健全

性を示すこと。

・極厚鍛鋼品(実機:約100トン),薄肉小径

管および2重管(実機:約35m),SG主要

構造(管-管板接合,9Cr鋼CSEJ(Convoluted Shell Expansion Joint、熱膨張差による変位を吸収するための部

材))に関する試作を行い、その製作方

法・精度を確認すること。

・製品形状ごとに材料強度基準案を作成し,

設計評価への適用性を長時間データに

基づき示すこと。

●FBR用12Cr鋼の仕様選定と性能試験

・W-Mo,Nb-V添加量等の化学成分仕様な

らびに熱処理条件最適化の暫定案を長

時間データに基づいて提示すること。

●高温構造設計指針の整備

・実証施設で採用予定の改良9Cr鋼容器・

管および特殊構造の設計評価法を作成

し、各種試験により検証すること。

・改良9Cr鋼製配管のLBB(Leak Before Break: 破断前漏洩)評価法を作成し,そ

の適用可能性を示すこと。

●改良9Cr鋼の材料強度基準整備

・溶接部の材料強度を評価する手法を作成

し,妥当性検証のための長時間データを

取得すること。

・改良9Cr鋼-ステンレス鋼異材溶接施工法

を提案し,健全性を示すために長時間

データを取得すること。

・極厚鍛鋼品(実機:約100トン),薄肉小径

管および2重管(実機:約35m),SG主要

構造(管-管板接合,9Cr鋼CSEJに関す

る試作を行うこと。

・製品形状ごとに材料強度基準案を作成し,

設計評価への適用性を示すために長時

間データを取得すること。

●FBR用12Cr鋼の仕様選定と性能試験

・W-Mo,Nb-V添加量等の化学成分仕様な

らびに熱処理条件最適化の暫定案を提

示するために長時間データを取得するこ

と。

●高温構造設計指針の整備

・実証施設で採用予定の改良9Cr鋼容器・

管および特殊構造の設計評価法を作成

し、検証のための各種試験を実施するこ

と。

・改良9Cr鋼製配管のLBB評価法を作成し,

その適用可能性を検討すること。

FBRの実用化に向けては、冷却系

配管等にステンレス鋼に比べ熱膨張

率が低く,かつ高強度である高クロム

構造材を使用して配管の短縮化を図

り、建設・保守コストの低減を図る設計

としている。なお、両材料は、火力発

電所等では既に使用実績がある.そ

のために、FBR用12Cr鋼あるいは改

良9Cr鋼の高温における材料強度基

準を整備するとともに、最適な溶接施

工技術を確立する。また、高クロム鋼

の材料特性を十分に考慮したうえで、

高温構造設計指針の整備を図る。

高クロム鋼製の各種構造要素(大

型管板、大口径配管、等)の製作性お

よび長時間健全性を試験により確認

する。

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73. A.目標

要素技術目標・指標

(事後評価時点)

目標・指標

(中間評価時点)妥当性・設定理由・根拠等

(5)新型炉保守技術

●ナトリウム中検査・補修技術の開発・ナトリウム中での可視化装置の要素試験において、解像度0.3mm、体積検査装置の最小検出深さ5.0mmを達成すること。

・搬送装置について、水中で±10mmの精度で位置検出ができ、所定位置へ移動できること。また、ナトリウム中でも同等の位置検出性、制御性を確保できることを確認する

●2重管蒸気発生器伝熱管検査・補修装置の開発

・超音波検査(UT)及びガイドウェーブ法(超音波検査法の一種)センサの2重伝熱管検査への適用性を確認する

・リモートフィールド式渦電流探傷検査(RF-ECT)センサで伝熱管支持板部外管の強度上許容できる深さの減肉(20%深さの減肉など)を検出できることを確認する。

●ナトリウム中検査・補修技術の開発・水中での可視化装置の要素試験において、解像度0.2mm、体積検査装置の最小検出深さ5.0mmを達成すること。

・搬送装置について、水中で±10mmの精度で位置検出ができ、所定位置へ移動できること。また、ナトリウム中でも同等の位置検出性、制御性を確保できることを確認するための整備を行うこと。

●2重管蒸気発生器伝熱管検査・補修装置の開発

・UT及びガイドウェーブ法センサの2重伝熱管検査への適用性を確認するための試験を行いデータを取得する

・RF-ECTセンサで伝熱管支持板部外管の強度上許容できる深さの減肉(20%深さの減肉など)を検出できることを確認するための試験等を実施しデータを取得する。

目視による検査が困難である不透明なナトリウム中で検査するための超音波による可視化技術を開発するとともに、ナトリウム中を遊泳する搬送装置を開発する。多数の2重伝熱管による蒸気発生

器の保守作業の信頼性確保と検査期間短縮のため、検査速度及び検査精度の優れた保守・補修技術を開発する 。

(6)新型炉高クロム鋼製大型構造物

●蒸気発生器試験体及び付属品の基本設計を行い各種各部の基本仕様等を決定すること。

●各部の構造健全性、機器内のナトリウム及び水・水蒸気の流動伝熱について評価を実施するとともに、設計を最適化すること。

●詳細設計を実施し、各部の詳細仕様、製作方法等を決定する。

●蒸気発生器試験体の組み立て作業を実施し、その製作精度を評価すること。

●ナトリウム加熱器を製作すること。

●蒸気発生器試験体及び付属品の基本設計を行い各種各部の基本仕様等を決定すること。

●各部の構造健全性、機器内のナトリウム及び水・水蒸気の流動伝熱について評価を実施するとともに、設計を最適化すること。

●詳細設計を実施し、各部の詳細仕様、製作方法等を決定する。

●蒸気発生器試験体及び付属品を製作した上、製作された一部の高クロム鋼製大型構造物を評価すること。

●ナトリウム加熱器の部材等の設計・製作すること。

本試験においては、新型炉高温材料設計技術で技術開発を実施している高クロム鋼構造部材及び新型炉保守技術で技術開発を実施している検査技術の性能実証のためのデータ取得を目標とする。

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8

4. A.成果、目標の達成度

実証施設の概念検討により、実用炉のプラント実現性を実証するプラント概念を構築した。その検討成果より、実証施設の出力及び基数は75万kWe×1基で必要な実証性を有すると評価した。

技術開発では、各技術の個別目標を満足し技術の成立性を確認するとともに、設計評価に必要な手法・データの整備を行い、各技術を適用した機器・システムの設計成立性、製作性、運転保守性の評価に資することができた。

これらの評価結果は2010年の論点である、「実証炉の出力・基数」及び「革新技術の採否」判断に反映する計画である。これにより、2015年の高速増殖炉技術の基盤整備、並びに2025年の実証炉運転開始にむけて開発を推進することができる。

要素技術

目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果達成度

(1)新型炉等実証施設概念検討

●実証施設の概念検討とその技術的成立性の評価を通じて、実証施設の出力レベルが実用炉の機器・構造の製作性確認、実現性に関するリスク評価および革新技術の技術実証性判断に及ぼす影響を明らかにすること。

●実証施設の概念検討とその技術的成立性の評価を通じて、実証施設の出力レベルが実用炉の機器・構造の製作性確認、実現性に関するリスク評価および革新技術の技術実証性判断に及ぼす影響を明らかにするために、

・プラント基本条件が設定されていること

・75万kWeプラント及び50万kWeプラントの概念検討が行われていること

75万kWeのプラント概念について、プラント諸元を暫

定の上、炉心仕様、1次・2次主冷却系及び崩壊熱除去系の系統仕様、主要機器の仕様・構造(原子炉容器、炉内構造物、ポンプ組込型IHX、1次・2次主冷却系配管、

蒸気発生器)、主要機器周辺(電気計装設備、燃料取扱設備、タービン設備)の系統構成と機器仕様を定めた。プラントの運転制御方法、原子炉建屋とタービン建屋及び建屋内部の機器配置を設定した。さらに、設計評価により、プラント設計の成立性を確認した。また、比較評価の観点から電気出力を50万kWeとし

た場合のプラント概念の仕様を定めた。75万kWeプラントとの比較評価により、75万kWeプラントが実用炉のプラント実現性に対する実証性が高いと評価した。

達成

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94. A.成果、目標の達成度要素技術

目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果達成度

(2)新型炉格納容器設計技術

●建屋一体型矩形格納容器に適した鋼板コンクリート構造(SC)基本構造が提示されること。

●SC造格納容器(SCCV)の一般部位(壁一般部)特性把握試験7項目と特定部位(コーナー部と貫通部)特性把握試験2項目を実施すること 。

●上記試験結果を用いて、事故時および格納容器内での仮想的なNa燃焼条件下*1でのSCCVの機能維持を評価するための解析手法を開発すること。

●上記解析手法を用いて、事故時および格納容器内での仮想的なNa燃焼条件下*1でのSCCVの機能が維持されることを確認すること。

*1:格納容器が持つ裕度を評価するために、仮想的

なNa燃焼を想定したもの

●SCCV技術規格骨子(案)の作成および整備方法の提案

●建屋一体型矩形格納容器に適したSC基本構造が暫定されること。

●SCCVの一般部位(壁一般部)特性把握試験7項目と特定部位(コーナー部)特性把握試験1項目を実施すること。

●上記試験結果を用いて、事故時および格納容器内での仮想的なNa燃焼条件下でのSCCVの機能維持を評価するための解析手法を整理すること。

●SCCV技術規格骨子(案)の作成

●SC基本構造を暫定し た。

●評価条件を最高温度700℃、20分継続、最高圧力50kPaに暫定して、一般部位特性把握試験8項目を開始し、7項目について終了した。

●上記試験結果について、予備解析と事後解析を実施し、解析手法整備のデータベースとした。

●技術規格の骨子案を作成した。

達成

(3)新型炉耐震性評価技術

●水平応答(変位、衝突荷重)、上下応答(飛上り量)の解析評価手法を開発・整備し、3次元群振動解析評価方針案を作成すること。

●このため、以下の4種類の試験を実施し3次元群振動の挙動データ(上記手法の検証用)を取得すること。

・実寸単体試験・群体系試験(1/1.5縮尺、最大37体)・列体系試験(1/1.5縮尺、最大32体)・多数体試験(1/2.5縮尺、300体程度)

●中越沖地震を踏まえた強地震条件に対して適正な耐震裕度を確保するための免震装置、原子炉建屋構造概念を提示すること。

●水平応答(変位、衝突荷重)、上下応答(飛上り量)の解析評価手法を開発・整備し、3次元群振動解析評価方針案を整理すること。

●このため、以下の3種類の試験を実施し3次元群振動の挙動データ(上記手法の検証用)を取得すること。

・実寸単体試験・群体系試験(1/1.5縮尺、最大37体)・列体系試験(1/1.5縮尺、最大32体

●中越沖地震を踏まえて、強地震条件に対して適正な耐震裕度を確保するための免震装置、原子炉建屋の構造概念を検討し、耐震成立性評価に資すること。

●地震時の炉心の3次元振動挙動(群振動)に影響を及ぼす因子を抽出し、各因子の効果を把握するための試験計画を立案した。試験計画に基づき、4種類の試験体を設計・製作した。これまでに、3種類の試験を終了した。

●上記の影響因子を考慮した解析評価手法を整備をした。3種類の試験に対応する試験解析により、単体、群体系、列体系挙動までの解析評価手法の検証を進めた。これらの解析評価手法を実用炉及び実証施設の耐震性解析に適用可能とし、プラント耐震性評価に資することができた。

●中越沖地震を踏まえた強地震条件に対して適正な耐震裕度を確保するための免震装置の仕様を検討し、耐震成立性評価に資することができた。また、免震装置に関しては、実現性を検討し、構造概念を提示した。

達成

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104. A.成果、目標の達成度要素技術

目標・指標

(事後評価時点)

目標・指標

(中間評価時点)成 果

達成度

(4)新型炉高温材料設計技術

●改良9Cr鋼の材料強度基準整備・溶接部の材料強度を評価する手法を作成し,長時間データにより妥当性を検証すること。また、最適な溶接施工方法を提案する。

・改良9Cr鋼-ステンレス鋼異材溶接施工法を提案し,長時間データによりその健全性を示すこと。

・極厚鍛鋼品(実機:約100トン),薄肉小径管および2重管(実機:約35m),SG主要構造(管-管板接合,9Cr鋼CSEJ(Convoluted Shell Expansion Joint、熱膨張差による変位を吸収するための部材))に関する試作を行い、その製作方法・精度を確認すること。

・製品形状ごとに材料強度基準案を作成し,設計評価への適用性を長時間データに基づき示すこと。●FBR用12Cr鋼の仕様選定と性能試験

・W-Mo,Nb-V添加量等の化学成分仕様ならびに熱処理条件最適化の暫定案を長時間データに基づいて提示すること。

●高温構造設計指針の整備・実証施設で採用予定の改良9Cr鋼容器・管および特殊構造の設計評価法を作成し、各種試験により検証すること。

・改良9Cr鋼製配管のLBB(Leak Before Break: 破断前漏洩)評価法を作成し,その適用可能性を示すこと。

●改良9Cr鋼の材料強度基準整備・溶接部の材料強度を評価する手法を作成し,妥当性検証のための長時間データを取得すること。

・改良9Cr鋼-ステンレス鋼異材溶接施工法を提案し,健全性を示すために長時間データを取得すること。

・極厚鍛鋼品(実機:約100トン),薄肉小径管および2重管(実機:約35m),SG主要構造(管-管板接合,9Cr鋼CSEJに関する試作を行うこと。

・製品形状ごとに材料強度基準案を作成し,設計評価への適用性を示すために長時間データを取得すること。

●FBR用12Cr鋼の仕様選定と性能試験

・W-Mo,Nb-V添加量等の化学成分仕様ならびに熱処理条件最適化の暫定案を提示するために長時間データを取得すること。

●高温構造設計指針の整備・実証施設で採用予定の改良9Cr鋼容器・管および特殊構造の設計評価法を作成し、検証のための各種試験を実施すること。

・改良9Cr鋼製配管のLBB評価法を作成し,その適用可能性を検討すること。

●改良9Cr鋼の材料強度基準整備・溶接継手クリープ疲労強度評価に必要な試験(約3,000時間以上)を実施した.・改良9Cr鋼-ステンレス鋼異材溶接継手を試作し,クリープ(約7,000時間以上)およびクリープ疲労試験(約2,000時間以上)を実施した。

・極厚鍛鋼品は実機条件を評価可能な規模の鋼塊(約50トン)を製作した。薄肉小径管および2重管は、現状の鋼材メーカー設備で可能な最大規模の試作を実施することとし、これまで、それぞれ17mおよび10mまでの試作を完了した。・管-管板接合は狭隘部溶接装置を開発、CSEJは小型モデル(φ240mm)の試作と高温疲労試験を実施した。・製品形状ごとに、必要な材料特性試験の計画を策定したうえで、引張試験や約7,000時間以上のクリープ試験および初期の金属組織観察・分析を実施した。

●FBR用12Cr鋼の仕様選定と性能試験・W-Mo調整材およびNb-V調整材を製作し、引張試験や約7,000時間以上のクリープ試験および初期の金属組織観察・分析を実施した。

●高温構造設計指針の整備・容器の設計評価法の整備方針を設定し、構造不連続(IHXの容器と管板の接続部分など)試験体に対する試験(62体計画43体完了)等を実施した。・配管の設計評価法の整備方針を設定し,座屈試験(5体計画4体完了)および、配管繰り返し変位試験(7体計画4体完了)を実施した。・管板の設計評価法の整備方針を設定した。Na中熱過渡試験体(1体)を設計・製作し、試験を開始した。・材料と構造の特徴を的確に反映したLBB評価法を提案、配管LBB試評価に適用し、成立見通しを得た。・評価に使用する改良9Cr鋼の破壊靭性データを取得した(76体計画49体完了)。

達成

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4. A.成果、目標の達成度

要素技術目標・指標

(事後評価時点)

目標・指標

(中間評価時点)成 果

達成度

(5)新型炉保守技術

●ナトリウム中検査・補修技術の開発・ナトリウム中での可視化装置の要素試験において、解像度0.3mm、体積検査装置の最小検出深さ5.0mmを達成すること。

・搬送装置について、水中で±10mmの精度で位置検出ができ、所定位置へ移動できること。また、ナトリウム中でも同等の位置検出性、制御性を確保できることを確認する

●2重管蒸気発生器伝熱管検査・補修装置の開発

・超音波検査(UT)及びガイドウェーブ法(超音波検査法の一種)センサの2重伝熱管検査への適用性を確認する

・リモートフィールド式渦電流探傷検査(RF-ECT)センサで伝熱管支持板部外管の強度上許容できる深さの減肉(20%深さの減肉など)を検出できることを確認する。

●ナトリウム中検査・補修技術の開発・水中での可視化装置の要素試験において、解像度0.2mm、体積検査装置の最小検出深さ5.0mmを達成すること。

・搬送装置について、水中で±10mmの精度で位置検出ができ、所定位置へ移動できること。また、ナトリウム中でも同等の位置検出性、制御性を確保できることを確認するための整備を行うこと。

●2重管蒸気発生器伝熱管検査・補修装置の開発

・UT及びガイドウェーブ法センサの2重伝熱管検査への適用性を確認するための試験を行いデータを取得する

・RF-ECTセンサで伝熱管支持板部外管の強度上許容できる深さの減肉(20%深さの減肉など)を検出できることを確認するための試験等を実施しデータを取得する。

●ナトリウム中検査・補修技術の開発・試作した可視化装置の水中試験により0.2mmの解像度を確認しており、ナトリウム中に換算すると0.3mmの解像度になる。体積検査装置については、ナトリウム中試験により深さ5.0mmの傷を検出できることを確認した。

・搬送装置推進用の小型電磁推進機構の試作及びナトリウムループ試験を実施し、必要な性能を有することを確認し、ナトリウム仕様の搬送装置を製作した。

●2重管蒸気発生器伝熱管検査・補修装置の開発

・回転方式及びマルチ方式のUTプローブ、2種類のガイドウェーブセンサを試作し、2重管試験により20%深さの減肉が検出できることを確認した。

・RF-ECTセンサについては、伝熱管外面の20%深さの減肉の検出性確認試験を実施し、検出可能であることを確認した。

達成

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4. A.成果、目標の達成度

要素技術目標・指標

(事後評価時点)

目標・指標

(中間評価時点)成 果

達成度

(6)新型炉高クロム鋼製大型構造物

●蒸気発生器試験体及び付属品の基本設計を行い各種各部の基本仕様等を決定すること。

●各部の構造健全性、機器内のナトリウム及び水・水蒸気の流動伝熱について評価を実施するとともに、設計を最適化すること。

●詳細設計を実施し、各部の詳細仕様、製作方法等を決定する。

●蒸気発生器試験体の組み立て作業を実施し、その製作精度を評価すること。

●ナトリウム加熱器を製作すること。

●蒸気発生器試験体及び付属品の基本設計を行い各種各部の基本仕様等を決定すること。

●各部の構造健全性、機器内のナトリウム及び水・水蒸気の流動伝熱について評価を実施するとともに、設計を最適化すること。

●詳細設計を実施し、各部の詳細仕様、製作方法等を決定する。

●蒸気発生器試験体及び付属品を製作した上、製作された一部の 高クロム鋼製大型構造物を評価すること。

●ナトリウム加熱器の部材等の設計・製作すること。

●蒸気発生器試験体及び付属品の基本設計を行い各種各部の基本仕様等を決定し、各部の構造健全性、機器内のナトリウム及び水・水蒸気の流動伝熱について評価を実施し設計を最適化した。

●さらに、詳細設計を実施し、各部の詳細仕様、製作方法等を決定し、高クロム鋼大型構造物試験体及び付属品を製作した。これらの試験体設計・製作データを、実機の機器設計の製作性評価に資することができた。

●また、2006年の五者協議会においては、プラント機器の実証試験に関して「早期に着手すべき項目」として合意されているが、本件で製作した大型構造物試験体は2012年度にJAEAにて蒸気発生器のナトリウム伝熱流動試験に供する計画であり、機器の実証試験に向けて準備を進めることができた。

達成

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13発電用新型炉等技術開発

●2006年に「高速増殖炉サイクル実証プロセスへの円滑移行に関する五者協議会」で論点として設定された、2010年度に実施する「高速増殖実証炉の基数・出力」、及び「革新技術の採否判断」に資するものであり、それら判断に必要十分な技術情報を得ることが求められている。

●具体的な研究開発目標は、以下のとおり。

・実証炉の出力規模の暫定:実用炉の機器・構造の製作性確認、期待されるプラント・パフォーマンスの実現性および革新技術の技術的実証性を評価ために必要な試験データ等の技術的根拠の集積

●実プラント技術開発:格納容器設計技術・耐震性評価技術・高温材料設計技術・保守技術のそれぞれについての技術的成立性及び実機への適用可能性を判断する上で必要となる試験データ等の技術的根拠の集積。

目的・方針(事業全体)

概念検討

概念設計 最適化設計

実証炉設計

革新技術開発

「高速増殖炉サイクル実用化研究開発」の開発計画

採否判断

201520102007

実用炉設計

機器開発試験機器開発試験・システム試験 システム試験

仕様と基数暫定

技術基盤の整備

概念設計 基本設計

仕様と基数確定

革新技術の開発(構造試作を含む)

本事業で実施

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14発電用新型炉等技術開発

○炉心安全性の向上

○ナトリウム取扱技術○建屋容積・物量の削減

①配管短縮のための高クロム鋼の開発

⑬大型炉の炉心耐震技術

④原子炉容器のコンパクト化

⑦高燃焼度化に対応した炉心燃料の開発

③1次冷却系簡素化のためのポンプ組込型中間熱交換器開発

② システム 簡素 化 のための冷却系2ループ化

⑫炉心損傷時の再臨界回避技術

⑧配管二重化によるナトリウム漏洩対策強化と技術開発

⑪受動的炉停止と自然循環による炉心冷却

⑨直管二重伝熱管蒸気発生器の開発

⑤システム簡素化のための燃料取扱系の開発

⑥物量削減と工期短縮のための格納容器のSC造化

⑩保守、補修性を考慮したプラント設計と技術開発

経済性に係る革新技術開発 信頼性向上に係る革新技術開発

安全性向上に係る革新技術開発

⑯機器開発試験・システム試験⑭実証炉の概念検討

○耐震性の向上○高燃焼度化による長期運転サイクル

の実現

①, ⑥, ⑩, ⑬, ⑭, ⑯を本事業で実施

設計研究と革新技術開発、大型Na試験は相互にフィードバックをかけつつ進める。革新技術開発については、本事業以外のものも含めて成果を抽出し設計へ反映する。設計の具体化に伴う試験条件の明確化、試験ニーズの明確化等を設計から革新技術開発へ反映する。

目的・方針(事業全体)

大型Na試験

⑮実用炉の概念検討

設計研究

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成果(事業全体)

発電用新型炉等技術開発●実証施設の概念検討により、実用炉のプラント実現性を実証するプラント概念を構築した。その検討成果より、実証施設の出力及び基数は75万kWe×1基で必要な実証性を有すると評価

●技術開発では、各技術の個別目標を満足し技術の成立性を確認するとともに、設計評価に必要な手法・データの整備を行い、各技術を適用した機器・システムの設計成立性、製作性、運転保守性の評価に反映

これらの評価結果は2010年の論点である、「実証炉の出力・基数」及び「革新技術の採否」判断に反映する計画。これにより、2015年の高速増殖炉技術の基盤整備、2025年の実証炉運転開始にむけて開発を推進

新型炉等実証施設概念検討実証施設に対する概念検討として、実証炉のプラント全体像に関する選択肢を構築した。

物量削減と工期短縮のための格納容器のSC造化

FBR実証炉の概念検討

FBR実証炉の設計・建設に必要となる実プラント技術の開発(革新技術開発)

大型炉の炉心耐震技術

配管短縮のための高クロム鋼の開発

保守、補修性を考慮したプラント設計と技術開発

○機器開発試験・システム試験

高クロム鋼製大型構造物試験蒸気発生器試験体及び付属品基本設計を行い各種各部の基本仕様等を決定、各部の評価を実施、設計を最適化詳細設計を実施。各部の詳細設計製作方法等を決定。試験体等を製作。設計・施策データを実機機器設計の製作性評価に反映

革新技術の採否暫定判断●安全性向上技術(SASS、再臨界回避技術)→採用●コンパクト化原子炉構造 →採用●9Cr鋼大口径配管を用いた2ループシステム→採用●ポンプ組込型中間熱交換器→採用 ●自然循環除熱式崩壊熱除去システム→採用●簡素化燃料取扱システム→採用 ●SC造格納容器→採用●高速炉用免振システム→採用●直管2重伝熱管蒸気発生器→代替技術(防護管付き伝熱管)を採用●高燃焼度炉心・燃料→2010年度末、2013年度末の2段階で再評価

[m/s]

入口プレナム部のナトリウム流速分布管板用鍛造材

原子炉容器 原子炉建屋

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Ⅰ.新型炉等実証施設概念検討16

1

2006 2007 2008 2009 2010

安全評価(異常な過渡変化、事故、設計基準を越える事象)

プラント基本条件の設定

炉心・NSSSの概念設計(系統と主要機器)

プラント熱過渡評価

BOPの概念検討

運転・制御、保守・補修性評価

プラント基本仕様の設定

設計条件、設計方針の設定

炉心、燃料仕様の設定(安全・熱過渡予備評価を含む)

炉心の核特性及び熱流動特性評価

主要機器の性能・構造設計と熱流動評価

遮へい設計についての解析評価

主要機器の耐震性、耐熱性及び流力振動等についての構造健全性評価

主要機器の製作性の検討

システムデータの作成

解析条件の設定

安全解析

安全解析

過渡時の熱流動解析

主要機器の詳細な多次元流動解析

水・蒸気・タービン系、電気・計装設備、燃料取扱設備、廃棄物処理設備等の系統・機器設計

プラント運転時の制御性の解析評価

保守・補修方法の検討

建屋・配置設計

原子炉建屋配置及び基本構造の設定(燃取、BOPシステム設定を含む)

建設工期、建屋工法の検討

経済性評価

耐震応答及び耐熱、耐圧性の解析評価

プラント物量の評価

建設費、発電単価の評価

まとめ

まとめ

まとめ

まとめ

まとめ

まとめ

原子炉構造設定

主冷却系の系統・機器構造設定(崩壊熱除去系、水蒸気系の系統構成を含む)(運転計画と電気・計装仕様設定を含む)

技術実証性の検討

50万kWe, 75万kWe, 150万kWeの比較により技術実証性に関する論点を整理

新型炉耐震性向上技術試験

新型炉保守技術試験

新型炉高温材料設計技術試験

新型炉格納容器設計技術試験

関係技術試験からの情報

75万kWeクラスの実現を目指して検討を行い、併せて50万kWeクラスの評価も実施

全体計画の策定と技術総括

2010年上期に予

定している実証炉仕様暫定のための議論に資する。

•機器・構造の製作性•技術的実現性のリスク•革新技術の実証性

H19 H20 及び H21 H22

○実証炉の仕様設定に資するため、出力75万kWeの実証施設の概念検討(プラント概念の成立性の見通しを明らかにするための設計)を実施しプラント像を構築するとともに、出力を50万kWeとした場合の影響評価を行う。

○本成果によりプラントの基本仕様を設定し、2011年以降のフェーズⅡにて実証炉の概念設計を実施する計画。

概念検討の概要

開発目標及びプラント基本条件等の設定

本格的設計検討による75万kWe及び50万kWeプラント

像の具体化

製作性、経済性、実証性等の観点から

比較評価

指針案、規格基準化方針の具体化

実証施設プラント像の具体化

FBR実証炉概念

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○「もんじゅ」の原子炉建屋は、従来の加圧水型軽水炉と同じく、非常時等の圧力・温度等に耐える鋼製の円筒型格納容器と、放射能遮蔽のための鉄筋コンクリート製建物による2層構造。

○このため、建設に長期間を要し、かつ建物の容積・物量が大きくなり、建設コスト増大の要因となっている。

Ⅱ.新型炉格納容器設計技術

技術の現状

○SC構造*1を格納容器に適用することにより、鋼製格納容器とコンクリート製外部遮蔽建物を一体化でき、また、現地作業を削減できるので、工期短縮が可能。

○さらに、一体構造のため格納容器の形状を矩形化することが可能となり、格納容器と建屋の大幅な縮小により、工期短縮と経済性向上に資する。

○SC構造は、一般的な建物には既に適用されているものの、実証炉格納容器への適用には、FBRの使用条件下において、非常時や地震時等の応力・温度等に耐えうる構造としての技術規格の策定が必須。

技術開発の概要

○従来の鋼板(S)とコンクリート(C)の2層構造を一体化し、建設工期を短縮。工期 約50%に短縮

○格納容器の矩形化により格納容器・建屋を大幅縮小高さ 約80m → 約40m

もんじゅ

高さ約80m

格納容器

(S:鋼

製)

外部遮蔽建物(C:コンクリート製)

2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度以降

スケジュール

設計、製作上の課題検討

部材特性把握試験

解析手法整備

技術規格整備に向けた検討

特定部位特性把握試験

解析手法整備

規格整備

基本的形状におけるSC構造の技術規格を概念設計に反映

SC造格納容器技術規格確立

全体特性把握試験

特定部材特性把握試験

*1 SC構造:鋼板コンクリート構造。表面の鋼板(S)とコンクリート(C)を一体とした構造。耐漏洩機能、遮へい機能、支持機能の3機能を1つの構造体で実現する。

高さ約40m

実用FBR概念

SC造格納容器

耐震特性把握試験

設計、製作上の課題検討

補強鋼板(外面)

コンクリート(遮蔽)

鋼製ライナ(内面,密閉)

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○まず、SC構造を格納容器に適用するにあたっての、設計・製作上の課題を検討(①)。FBRの使用条件下における構造の特性を把握するため、基本的形状(平板やコーナー部)を用いた試験を実施(②、③)また、耐震性に関わる特性を試験により把握(④)。

○次に、試験結果を用いて、基本的形状の構造設計に用いる強度解析手法を整備(⑤)。○以上のデータを用い、基本的形状における技術規格骨子案を整備(⑥)。整備された技術規格骨子案は、2011年度以降の実証炉の概念設計に反映。

地震

SC造格納容器

実証炉の概念設計(2011年度~)へ反映

① 設計、製作上の課題検討

⑤ 解析手法整備

③ 特定部位特性把握試験

② 部材特性把握試験

⑥ 技術規格骨子案を整備

△ △

急速加熱

断熱処理

SC試験体

圧力相当力

圧力・温度圧力

相当力SC試験体

部材特性試験(例)

特定部位特性試験 (コーナー部例)

開発の進め方と求められる成果 (2007~10年度)

④ 耐震特性把握試験

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○FBRにおいては、高燃焼度化や炉心の高温化に伴う燃料棒の伸縮を吸収するため、軽水炉と異なり燃料棒を炉心に強く固定していない。このため、地震発生時には、燃料集合体同士が摩擦・衝突しながら水平・上下に振動し、複雑な挙動を示す(群振動)こととなるが、この挙動を評価する手法は現在のところ確立されていない。

○「もんじゅ」においては、地震発生時でも燃料集合体を支える炉心支持構造物が大きく振動しないよう、比較的厚肉の原子炉容器、炉心支持構造物を採用。しかしながら、こうした構造では物量が大きくなるため、炉心が大型化する実証施設や実用炉では、大幅な建設コストの増加要因となる。

Ⅲ.新型炉耐震性評価技術

技術の現状

技術開発の概要

スケジュール

2007(H19) 2008(H20) 2009(H21) 2010(H22)

耐震性評価技術

3次元群振動試験

耐震設計方策の検討

3次元群振動解析評価手法の整備

2011以降

群振動の解析評価手法と根拠データの提示

群振動のイメージ

実証施設の概念設計に反映

○地震時における燃料集合体の群振動を正確に評価・解析する手法を開発し、群振動を考慮した原子炉構造設計を実現する。

○具体的には、まず燃料集合体の挙動に関するデータを取得するために、燃料集合体を模擬した試験体を製作し、三次元振動台を用いた群振動試験を実施。本データを用い、原子炉構造設計に用いる群振動の解析評価手法を整備。

○耐震裕度を確保するための設計方策を提示。

加振試験用入力地震波の検討

流体

衝突

摩擦

飛上り

上向きの流れ

水平地震動に対する挙動 鉛直地震動に対する挙動

落下

19

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1m

4m

5m1m

(3)列群振動試験

(2)群振動試験

(4)多数集合体による群振動試験

(1)単体試験

○燃料集合体単体での振動試験

→ 単体での挙動データを取得。

○列状に配置した集合体模型を用いて振動試験

→ 大きな応答変位が生じる場合の挙動データを取得し、解析手法の妥当性を確認。

○実機を模擬した小規模の集合体模型を用いて振動試験

→ 群振動時の挙動データを取得し、衝突の影響等に関するデータを取得。

○実機を模擬した多数の集合体模型を用いて振動試験

→ 実機状況に近い群振動時の挙動データを取得し、解析手法を確立。

○ 初めに、評価のための炉心仕様の検討を行うとともに、地震時における炉心の振動を正確に再現しうるよう、振動試験に用いる波の形状・強度を検討・決定(①)。また、振動試験に用いる集合体模型を設計・製作(②)。

○ これらと並行して、燃料集合体の群振動解析手法を整備(③)。○ 下の4タイプについて、振動試験を実施しデータを取得し、解析手法に順次反映(④)。これにより、

燃料集合体における群振動の解析評価手法を確立(⑤)し、2011年度以降の実証施設の概念設計に反映。

開発の進め方と求められる成果 (2007~10年度)

実証施設の概念設計(2011年度)へ反映

① 入力地震波の検討 ③ 群振動解析手法の整備

② 群振動試験体の設計・製作

群振動試験の概要

④ 群振動試験(4タイプ)試験結果を解析手法に反映

⑤ 技術総括:群振動の解析評価手法の確立

H22実施

2m

6m

2m

1m

4m

1.5m

2m

2.5m

20

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耐震裕度確保のための設計方策の検討

<経緯>(H19年度)加振試験用入力地震波の作成

H19年7月 中越沖地震発生 ⇒ 中越沖地震を考慮した暫定設計地震動の設定(H20年度)耐震裕度確保のための設計方策(地震荷重の緩和方策)の検討

免震装置の長周期化(やや厚肉積層ゴム)、大容量粘性減衰装置(オイルダンパー)を提案研究開発評価委員会(炉システム作業会)等において、耐震性について十分に検討すべきとの指摘

(H22年度)革新技術の採否判断 (実証施設の全体工程)成立が見込める免震システムを提示原子炉構造、主要機器および配管等の耐震裕度を算定

<実施内容>1.実証施設の水平免震システムの仕様検討○ 水平免震プラントの地震応答解析を実施し、プラント要求を

満足する水平免震システムの仕様を提示する。○ 積層ゴム免震装置、減衰装置の仕様を提示する。

2.積層ゴムのクリープ予備試験の実施○ ゴムの板厚をやや厚くした積層ゴム(小型モデルφ120㎜

×4体程度)のクリープ試験を実施し、クリープ予測式の予測精度の向上を図る。

積層ゴム

積層ゴム免震装置

オイルダンパー減衰装置 積層ゴムのクリープ試験

<必要性> 本技術課題の最終目標である実証施設の炉心の耐震性評価を実施するためには、炉心への入力地震動を決定する免震システムの具体化が必要。

21

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○「もんじゅ」においては、冷却系配管に熱膨張の比較的大きいステンレス鋼を使用。

○このため、熱膨張による変形を吸収するため、プラント内の配管系に曲がり部を多数設けることが必要。これが原子炉建物の容積増大を招き、建設コストの増加要因となっている。

Ⅳ.新型炉高温材料設計技術

技術の現状

○熱膨張率が低く高い強度を持つ高クロム鋼(改良9クロム鋼あるいは

12クロム鋼) をFBRに適用すれば、配管の大幅な短縮化が可能。

○改良9クロム鋼については、基本的な材料開発は完了。最新鋭の火力発電所の配管等では既に使用実績があるが、FBR実証炉への適用のためには、以下が必要;

・長時間データを取得し、FBR使用条件下での材料強度規格の整備

・高クロム鋼の材料特性を考慮した溶接施工法と、溶接部の強度評価

手法の整備

・高クロム鋼の材料特性を考慮した高温構造設計規格の整備

技術開発の概要

・高クロム鋼の適用範囲見通し・溶接施工法整備

・高温構造設計手法案作成

・高クロム鋼材料強度規格・溶接継手強度評価法

・高温構造設計手法の妥当性検証・改良

0.5

1.0

1.5

設計引張強さ 平均熱膨張係数

熱伝導率

SUS304の値で規格化した数値

SUS304 SUS316 Mod.9Cr-1Mo SUS410J3(12Cr鋼)

1次配管材料=ステンレス鋼長さ:39m 曲がり部:9ヶ所

1次配管材料=高クロム鋼長さ:12m 曲がり部:1ヶ所

高クロム鋼の優れた材料特性

高クロム鋼の採用による配管の短縮効果

(改良9クロム鋼)

(ステンレス鋼)(ステンレス鋼) (12クロム鋼)

スケジュール

2007 2008 2009 2010 2011~2015化学成分仕様・製造条件・熱処理条件の最適化、適用への課題摘出

高クロム鋼製容器・配管および特殊構造の設計評価法開発、検証試験の実施

仕様検討・課題整理

試験体製作・課題整理

仕様検討・継手試作 改良9Cr鋼実規模部材製造技術、長時間試験の実施、溶接施工法最適化

12Cr鋼の適用技術試験

9Cr鋼材料強度規格の整備

高温構造設計規格の整備

長時間組織安定性試験

材料強度規格整備

高温構造設計規格

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23

23

< 高クロム鋼の材料強度規格の整備>

○高クロム鋼について、商用規模で試験材を製造し、材料試験データを取得。さらに、取得データを用いて、実証炉における高クロム鋼の適用範囲を検討。

○高クロム鋼の材料特性を踏まえた溶接工法の選定のために、複数の溶接工法を用いて試験体を製作し、強度試験により各工法を評価。また、異種材料(高クロム鋼とステンレス)間の溶接についても最適な工法を検討。

<高温構造設計規格の整備>

○容器の設計法に関して、構造不連続モデルのクリープ疲労試験等を行い、高クロム鋼の特徴である高い降伏応力と繰り返し軟化特性を考慮した評価法の案を作成。

○配管設計法に関して、配管・管台モデルの崩壊・座屈試験等を実施し、高い降伏応力を考慮した評価法の案を作成。○特殊構造設計法に関して、管板モデルのNa中熱過渡強度試験を実施し、多孔形状の特徴を考慮した評価法の案を作成。

開発の進め方と求められる成果 (2007~10年度)

高クロム鋼の材料強度規格 高温構造設計規格

高クロム鋼の材料強度規格整備 溶接施工法の整備

試験体製作(鍛鋼品、伝熱管、配管)

材料試験(疲労、クリープ等)

高クロム鋼の適用範囲の決定

試験体製作(ジョイント部、溶接)

強度試験(引張、衝撃、クリープ等)

最適施工法確立2007-10実施

容器の設計法(一般規定) 特殊構造(管板)設計法配管設計法

試験体製作

(構造不連続モデル)

クリープ疲労試験等FEM解析

評価法開発

試験体製作(管板モデル)

Na中熱過渡試験FEM解析

評価法開発

試験体製作(配管、管台モデル)

崩壊座屈試験等FEM解析

評価法開発

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○ナトリウムのドレンを行わずに保守を行うため、200℃のナトリウム中で炉内構造物等の検査を行えるセンサ、及びナトリウム中でセンサを運搬する遊泳式搬送装置の開発を行う。

○高クロム鋼製の蒸気発生器2重伝熱管は、磁性体である等、軽水炉と

異なる検査条件となる。こうした条件下での高精度な欠陥(き裂、減肉;管支持部を含む)検出技術及び管-管板溶接部の検査技術の開発を行う。

○ナトリウムは水と異なり不透明なため、既存の光学系カメラによる目視検査では、炉容器内構造物等の検査に対応不可能。

○磁性体である高クロム鋼製かつ2重構造である蒸気発生器伝熱管に適用できる高精度な検査技術の確認はなされていない。既存技術の適用性確認と高精度な検査技術の開発が必要。

24

Ⅴ.新型炉保守技術

技術の現状

技術開発の概要

スケジュール

分 類 2007 2008 2009 20102011以

ナトリウム中検査装置の開発

蒸気発生器伝熱管検査技術の開発(き裂、減肉、管支持部、管-管板

溶接部の検査技術)

構造物の欠陥検査技術の開発(高精度欠陥検出技術)

ナトリウム中搬送装置の開発

ナトリウム中体積検査装置の開発組合せ試験

センサ試作及び基礎試験(単管)

管-管板溶接部の検出性確認試験

検査技術実証試験

検査技術の開発

容器、配管モニタリング技術開発

・ナトリウム中で検査可能なセンサと搬送装置を開発・蒸気発生伝熱管の検査技術を開発

・ナトリウム中検査技術の実証・ナトリウム中補修技術の開発・伝熱管検査技術の開発

補修技術開発

センサ試作・基礎試験 センサ試作及び二重管試験

探傷器の試作及び基礎試験

欠陥検出性確認試験(2重管)組合せ試験

24

FBR特有の保守・補修技術を要する部位

ナトリウム中検査箇所(炉心支持構造)

ナトリウム中検査装置

蒸気発生器伝熱管

伝熱管

欠陥

管検査素子

欠陥

検出信号炉心支持構造

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<ナトリウム中検査装置の開発>○不透明なナトリウム中を検査する装置(センサ)と遊泳式の搬送装置等を試作し、ナトリウム中試験を実施。<蒸気発生器伝熱管検査技術の開発>○FBRの蒸気発生器伝熱管のき裂、減肉(管支持部を含む)の検査技術を開発する。○FBRの蒸気発生器伝熱管の管-管板溶接部の検査技術を開発する。<原子炉容器等の構造物における欠陥検査技術の開発>○小さな欠陥の検出に優れる新型センサを開発し、欠陥検査性を確認し導入見通しを得る。

開発の進め方と求められる成果 (2007~10年度)

・ナトリウム試験槽の製作・高速光スイッチの検証

微小き裂等の欠陥検出性試験き裂、減肉(管支持部を含む)の欠陥検出試験

目視体積検査センサ

遊泳式搬送装置

(1)ナトリウム中検査装置の開発 (2)蒸気発生器伝熱管検査技術の開発 (3)構造物の欠陥検査技術の開発

・ナトリウム中搬送装置と目視体積検査センサを組合せたナトリウム中試験

ガイドウェーブプローブ

2重伝熱管試験体

実施内容(1) ナトリウム中検査装置の開発

小型電磁推進機構を6体と実機センサ(送信素子9ch、受信素子2500chから構成される目視・体積検査のハイブリッドセンサ)をナトリウム中搬送装置に搭載した。また、ナトリウム中搬送装置のスライド機構及びケーブル巻き取り装置等の製作を実施した。

(2) 蒸気発生器伝熱管検査技術開発

伝熱管を対象としたUT、ガイドウェーブ、RF-ECTとスタブ溶接部(伝熱管と管板の溶接部)を対象としたRT、UTを開発し、欠陥検出性確認試験を実施した。

(3) 構造物の欠陥検査技術の開発

マルチコイル型RF-ECTと磁気方式センサ及び探傷器を開発し、欠陥検出性確認試験を実施した。

マルチコイル型センサ

磁気方式センサ

コイル希土類磁石

25

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○現在、実証炉に向けた要素技術開発については、文部科学省との共同プロジェクトである「高速増殖炉サイクル実用化研究開発」において、2015年頃までの計画で実施中。

○こうした要素技術開発の成果を実証炉(2025年頃運開)の設計に盛り込むためには、実炉の使用環境を模擬できる大型ナトリウム試験により、実環境下でのデータ取得や、要素技術の機能実証を段階的に行っていくことが不可欠。しかしながら、こうした大型ナトリウム試験については、これまで内容の明確化は進んでいなかった。

○このため、2006年8月より経産省、文科省、電気事業者、メーカー、原子力機構及び学識経験者で構成される「高速増殖炉サイクル実証プロセス研究会」において、試験内容に関する技術的検討を行い、2007年4月、中間論点整理としてロードマップ(次頁)を策定、「五者協議会」で正式決定。この中で、「機器開発試験」「システム試験」等について、比較的早い時期に実施すべき項目として位置付けられたところ。

○現在実施中の「高速増殖炉サイクル実用化研究開発」による要素技術開発と実証炉設計をつなぐ大型ナトリウム試験のうち、第一段階となる「機器開発試験」を、文部科学省との共同プロジェクトとして実施。

○「機器開発試験」においては、①一次系ポンプの機能試験、②蒸気発生器(SG)の機能試験、③高温構造材料(高クロム鋼)による大型構造物の実用環境下でのデータ取得、の3つを一括して実施。このうち、当省が要素技術開発を担う分野である③について、試験機器の製作、試験実施を分担(分担イメージは次頁)。

○これにより、実証炉の概念設計に必要となる管-管板の設計評価データ等を取得する他、次の段階のナトリウム試験となる「システム試験」の試験機器設計に必要となるデータを取得・提供。

Ⅵ.新型炉高クロム鋼製大型構造物

試験の概要

背景と必要性

スケジュール

設計 製作・確認 据付・調整 試験

年 度 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

機器開発試験(第1段階)

(参 考)

システム試験(第2段階)

実証炉の設計 概念検討 概念設計

概念設計 設計・製作 据付・調整 試験

管-管板継手に関するデータ 等

C&R

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実証炉に向けたロードマップ(五者協議会の中間論点整理より抜粋)

比較的早い時期に実施すべき項目

○機器開発試験・システム試験(上図太線)、部分構造試作を実施

○当面の概念検討の対象とするサイズを50~75万kWの範囲とした上で、実証炉の概念検討を実施

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28

<開発試験評価項目:①高クロム鋼製伝熱管設計技術>○高クロム鋼製の長尺(最大30m)の薄肉(1~2mm)伝熱管について、実機条件(水側圧力190気圧、ナトリウム

温度550℃)での試験(40本規模)を実施し、熱膨張による変位等を試験よって確認する。また、構造物の温度分布を測定し、設計技術の成立性見通しを得る。

<開発試験評価項目:②管-管板継手設計技術>○管群が接続する蒸気ヘッダーの管板と伝熱管を溶接するための接続構造部は熱応力が最も集中する箇所で

あり、その健全性について実機条件(水側圧力190気圧、ナトリウム温度550℃)により確認する。また、伝熱管の温度分布等を測定し、伝熱管相互の熱膨張の相違によって生じる応力等に関する設計技術の検証、並びに、こうした設計手法に関連する高温構造設計指針等の適用性に関する確認を実施する。

開発の進め方と求められる成果 (2008~10年度)

長尺薄肉伝熱管の設計・製作

(H20-22)

管ー管板継手の健全性

評価

開発試験評価項目:②管-管板継手設計技術

H20設計、H21,22製作

設計評価法の成立性見通し

開発試験評価項目:①高クロム鋼製伝熱管設計技術

規格品よりも薄肉の伝熱管を用いたSG(10MW規模)を製作

管-管板継手部

蒸気溶接部

実機条件データ

設計手法、施工方法等の検

径方向位置 / m[中心]

H20設計、H21,22製作実機条件データ

設計評価法の成立性見通し

0 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5 1.815

17

19

21

410

420

430

440

伝熱管平均温度

伝熱管温度

/ ℃

[胴側]

管束部高さ位置

/m

400

420

440

460

480

ナトリウム温度/ ℃

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295. A.事業化、波及効果

○得られた成果は2006年に五者協議会により論点と設定

された「実証炉の出力・基数」及び「革新技術の採否」判断に供し、高速増殖炉サイクルの開発工程を進める計画である。この判断結果により、2011年度以降の実証炉の

概念設計及び技術実証のプロセスを開始することが可能となり、当初の計画どおり高速増殖炉開発を次フェーズへと進展させることができる。

○本事業の結果、我が国の高速増殖炉開発は第4世代炉

の開発として世界のトップランナーとなり、それは高速増殖炉開発を進める諸外国にも認められている。波及効果として、仏国、米国より共同開発・研究の提案を受ける等が発生している。

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6. A.研究開発マネジメント・体制等

関係五者(経済産業省、文部科学省、電気事業者、メーカー、日本原子力研究開発機構)により、「高速増殖炉サイクル実証プロセスへの円滑移行に関する五者協議会」(五者協議会)を設置し、取り組んでいる高速増殖炉サイクル実用化研究開発プロジェクトの一部として、原子力機構を中心とした研究開発体制により実施している。

経済産業省

(独)日本原子力研究開発機構プロジェクトリーダー:

(次世代原子力システム研究開発部門 部門長代理)

民間団体等

文部科学省

電気事業者

メーカ

五者連絡協議会

試験体の製作、試験・解析の実施など

研究開発・評価委員会(FBRシステム検討会、構造・材料

技術専門委員会など)

外部評価

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2.技術に関する事業の概要2.B-①.戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金に係る事業

(世界最大650トン鋼塊の製造技術開発)

資 源 エ ネ ル ギ ー 庁電 力 ・ ガ ス 事 業 部原 子 力 政 策 課

株 式 会 社 日 本 製 鋼 所

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2.A.事業の概要

概 要

実施期間

予算総額

実 施 者

プロジェクト

リーダー

平成21年度~平成23年度(3年間)

14億円(平成22年度まで)(平成21年度:13億円 平成22年度:1.5億円)

株式会社日本製鋼所

小野 信市 ㈱日本製鋼所室蘭製作所(理事副所長)

最新鋭原子力発電所の高出力化要求から信頼性の高い超大型部材の安定供給体制の構築を目的に現行製造限界を大幅に超える650トンの超大型鋼塊の製造技術を確立すべく革新的造塊高度化プロセス技術を開発する。

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2-1.目的

エネルギー安定供給、地球温暖化等の観点から原子力発電の利用拡大が期待される中で、我が国における原子力技術水準の向上及び利用の高度化を図るため、原子力産業の持続的発展に必要な枢要原子力技術の実用化に向けた研究開発等を実施。

2-2.政策的位置付け

●総合資源エネルギー調査会原子力部会国際戦略検討小委員会報告(平成21年6月)

我が国原子力関連産業の強みは、原子炉メーカーのみならず、数多くの素材・部材メーカーによって支えられている。(中略)国は、我が国の産業力の維持に必要なコア技術を有する素材・部材メーカーについて、原子炉メーカーとも連携して、国際展開を目指す上で必要な技術開発等を支援するなど、厚みのある産業基盤の維持・発展を目指すべきである。

2.A.事業の目的・政策的位置付け

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3. A.目標

要素技術 目標・指標 妥当性・設定理由・根拠等

(1)650トン鋼塊用鋳型類に関する技術開発

従来の600t鋼塊用鋳型と比して,その重量や,鋼塊の内部性状がほぼ同様となる650t鋼塊用鋳型を設計・製造する.

超大型鋼塊の製造設備は鋳込みタンクやクレーンなどの能力的限界があり,それを超えず,かつ鋼塊内部性状が良好な鋳型の開発が必須である.

現行製造限界を大幅に超える650トンの超大型鋼塊の製造技術を確立を

目的に革新的な造塊高度化プロセス技術を開発する.

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3. A.目標

要素技術 目標・指標 妥当性・設定理由・根拠等

(2)650トン鋼塊の数値シミュレーション予測

650t鋼塊の成分分布や空隙発生域予測に加え,湯流れを考慮した凝固解析により,鋼塊の内部性状をより詳細に予測する.

現有プログラムによる鋼塊内部性状の数値計算に加え,最新鋭の鋳造シミュレーションにより,650t鋼塊の鋳込み条件の最適化をはかる.

現行製造限界を大幅に超える650トンの超大型鋼塊の製造技術を確立を

目的に革新的な造塊高度化プロセス技術を開発する.

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3. A.目標

要素技術 目標・指標 妥当性・設定理由・根拠等

(3)650トン

新鋼塊の試作と

評価

実機サイズの650t鋼塊の試作をとおして鋼塊内部の偏析や介在物,および空隙欠陥が従来の600t鋼塊と同様な世界最大の650t鋼塊の製造技術を確立する.

650t鋼塊の内部性状が従来の600t鋼塊と同様であれば品質的に優れたものであり,より高出力の原子力発電所用の大型部材の安定供給が可能となる.

現行製造限界を大幅に超える650トンの超大型鋼塊の製造技術を確立を

目的に革新的な造塊高度化プロセス技術を開発する.

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3. A.目標

要素技術 目標・指標 妥当性・設定理由・根拠等

(4)650トン新鋼塊による超大型鍛造品の鍛錬加熱処理技術開発

実機大型加熱炉を用いた超大型鋼塊の加熱試験により適正バーナーの選定や,配置,シール構造を決定.また,熱回収方法や燃料,空気の制御方法の検討により仕様を決定し,試験により検証.

本開発の超大型加熱炉は炉内容積が大きいため炉内温度の均熱性を実現することが鍛造品の品質確保に重要であり,実機加熱試験によりその方策を得る。

現行製造限界を大幅に超える650トンの超大型鋼塊の製造技術を確立を

目的に革新的な造塊高度化プロセス技術を開発する.

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3. A.目標

要素技術 目標・指標 妥当性・設定理由・根拠等

(5)650トン鋼塊による超大型鍛造品の特殊形状創製技術開発

フランジ一体型ノズルシェルの鍛錬のFEM解析により適正金敷および荒地形状を求め,1/3縮尺モデル鍛錬試験で成形精度を検証.また実機材鍛錬工程設計のため材料温度,成形荷重,圧下量,マニピュレータ位置,回転角などを実測する.

将来さらなる大型化が予想される原子炉圧力容器用フランジ一体型ノズルシェルを、650トン新鋼塊から製造する特殊鍛錬技術を開発する。これにより、原子炉圧力容器の構造健全性は更に向上することが期待できる。

現行製造限界を大幅に超える650トンの超大型鋼塊の製造技術を確立を

目的に革新的な造塊高度化プロセス技術を開発する.

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4. A.成果、目標の達成度

要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(1)650トン鋼塊用鋳型類に関する技術開発

従来の600トン鋼塊用鋳型に比較して,その重量や,鋼塊の内部性状がほぼ同様となる650トン鋼塊用鋳型を設計・製造する

鋳造工場の設備能力から鋳型の最大重量とサイズは現行600t鋼塊鋳型仕様を上限として設定.鋳込み量を50t増量させるために外径を変えずに内径を拡大させる対応策により鋳型内容積の増大を実現.凝固後の炭素分布や内部空隙の分布域も現行600t鋼塊とほぼ同様な内部品質が得られるよう鋳型が設計され製作できた.

達成

現行製造限界を大幅に超える650トンの超大型鋼塊の製造技術を確立を

目的に革新的な造塊高度化プロセス技術を開発する.

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4. A.成果、目標の達成度

要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(2)650トン鋼塊の数値シミュレーション予測

650t鋼塊の成分分布や空隙発生域予測に加え,湯流れを考慮した凝固解析により,鋼塊の内部性状をより詳細に予測する.

最新鋭解析ソフトを用いた650t鋼塊の湯流れを考慮した凝固解析により鋳造プロセスの最適化を実施.凝固過程における応力解析やトレーサ粒子を用いた液相移動追跡により初期流入流の最終凝固計算を行い,非金属介在物などの凝固欠陥の発生を予測.凝固過程から終了直後までの鋼塊内部の温度分布や凝固過程の固相率分布が求められ,押湯頭部外引けも妥当な結果を得た.凝固過程における鋳型内部の熱応力分布予測により鋼塊表面の熱応力割れの防止や鋳型内面形状の適正化が図られた.

達成

現行製造限界を大幅に超える650トンの超大型鋼塊の製造技術を確立を

目的に革新的な造塊高度化プロセス技術を開発する.

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4. A.成果、目標の達成度

要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(3)650トン

新鋼塊の試作と

評価

実機サイズの650t鋼塊の試作をとおして鋼塊内部の偏析や介在物,および空隙欠陥が従来の600t鋼塊と同様な世界最大の650t鋼塊の製造技術を確立する.

綿密な操業計画に基づき650t鋼塊の鋳込みが実施された.先ず電気炉で130tのスクラップを5回溶解.全ての溶鋼は取鍋精錬炉(LRF装置)に移され,成分調整や温度調整の後,真空下での攪拌により水素,窒素,および酸素が除去された.この真空脱ガス処理の後,鋳型が段取りされた650トン真空タンク内で真空炭素脱酸を利用した真空流滴脱ガス鋳造が無事に実施された.長時間冷却を経て溶鋼の完全凝固が確認されたうえで鋳型から引き抜かれた世界最初で最大の650t鋼塊には外表面の割れなどの欠陥もなく非常に良好な外観であった.鋼塊は内部性状調査のため直ちに切断されたが,現出した鋼塊内部の横断面にも異常はなく良好であった.

達成

現行製造限界を大幅に超える650トンの超大型鋼塊の製造技術を確立を

目的に革新的な造塊高度化プロセス技術を開発する.

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4. A.成果、目標の達成度

要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(4)650トン新鋼塊による超大型鍛造品の鍛錬加熱処理技術開発

実機大型加熱炉を用いた超大型鋼塊の加熱試験により適正バーナーの選定や,配置,シール構造を決定.また,熱回収方法や燃料,空気の制御方法の検討により仕様を決定し,試験により検証.

本開発で設置した超大型炉(2K-2加熱炉、5G-6焼鈍炉)は,目的とした仕様に合致した炉内温度分布が確保でき,超大型鍛造部材の高品質を確保する上で十分な炉であることが確認された. 達成

現行製造限界を大幅に超える650トンの超大型鋼塊の製造技術を確立を

目的に革新的な造塊高度化プロセス技術を開発する.

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4. A.成果、目標の達成度

要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(5)650トン鋼塊による超大型鍛造品の特殊形状創製技術開発

フランジ一体型ノズルシェルの鍛錬のFEM解析により適正金敷および荒地形状を求め,1/3縮尺モデル鍛錬試験で成形精度を検証.また実機材鍛錬工程設計のため材料温度,成形荷重,圧下量,マニピュレータ位置,回転角などを実測する.

新導入の鍛造解析ソフトDEFORM-3Dは成形シミュレーションには非常に有用であり,数値計算により求められた鍛錬成形条件は,後の1/3モデル試験によって650トン鋼塊を用いたフランジ一体型ノズルシェルの大型化を可能にすることが実証された.併せて,赤外線サーモグラフィによる鍛錬温度管理の適用性や,3次元レーザースキャナによる寸法測定の有効性も確認できた.

達成

現行製造限界を大幅に超える650トンの超大型鋼塊の製造技術を確立を

目的に革新的な造塊高度化プロセス技術を開発する.

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5. A.事業化、波及効果

【650トン鋼塊の製造技術開発】1.現状の設備能力範囲内で運用可能な650t鋼塊用の鋳型を設計した.

2.数値シミュレーションにより650トン鋼塊の鋳込み条件を最適化した.

3.650t鋼塊用の鋳型や押湯枠などを鋳造により製作した.

4.平成22年3月綿密な操業計画に則って650t鋼塊鋳込みが実施された.

5.世界最初で最大の650t鋼塊には外表面割れなどもなく良好であった.

世界最大の650t鋼塊製造の見通しが得られたことで原子力発電所のさらなる出力増大に資する超大型鍛鋼部材の製造技術の確立に目処がついた.

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5. A.事業化、波及効果

【超大型鍛造品の鍛錬加熱処理技術の開発】1.超大型加熱炉(加熱炉、焼鈍炉)は炉内温度の均熱性を確保できた.

2.熱応力割れの防止や製品性状の均質化を実現できる性能を確認できた.3.超大型鍛造部材の高品質化が達成に十分な炉であることが実証された.

【超大型鍛造品の特殊形状創製技術開発】1.新たに導入した鍛造解析ソフトDEFORM-3Dを用いた成形シミュレーション

により最適な鍛造条件が計算された.2.1/3モデル試験により650トン鋼塊を用いたフランジ一体型ノズルシェルの

大型化の可能性が実証された.3.3次元レーザースキャナによる寸法測定の有効性も確認できた.

現状より大型化した原子力発電所用部材の製造技術の確立に目処をつけることができた.

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6. A.研究開発マネジメント・体制等

プロジェクトリーダー:同所 理事副所長 小野信市

鉄鋼事業部 楠橋技監,出口部長

製鋼部柴田部長:製鋼G

プロジェクト補佐,連絡者

プロジェクト総括管理:㈱日本製鋼所室蘭製作所 取締役所長 村井悦夫

鋳型設計・製作,造塊技術

熱加工部工藤部長:鍛錬課,熱処理課

室蘭研究所伊藤所長:プロセス研究G

生産管理部中島部長:設備エネルギーG

電力製品部吉田部長:電力G

鍛錬,および熱処理技術

試作計画,および進行

各種の数値シミュレーション

試作計画,および進行

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2.技術に関する事業の概要2.B-②.戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金に係る事業

(超大型蒸気発生器技術開発)

資 源 エ ネ ル ギ ー 庁電 力 ・ ガ ス 事 業 部原 子 力 政 策 課

株 式 会 社 I H I

0

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2.A.事業の概要

概 要

実施期間

予算総額

実 施 者

プロジェクト

リーダー

平成21年度~平成23年度(3年間)

23億円(平成21年度:18億円 平成22年度:5億円)

株式会社 IHI

平成21年度~平成23年度、 緒方浩之

(株式会社IHI 原子力プラント技術部 部長)

世界的に供給者が少なく、最先端技術の実用化が必要な超大型蒸気発生器の技術開発を目的として、各種要素試験ならびにフルスケールアップによる総合試験を実施し、当該製造技術の確立および実用化を図る。

1

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2-1.目的

エネルギー安定供給、地球温暖化等の観点から原子力発電の利用拡大が期待される中で、我が国における原子力技術水準の向上及び利用の高度化を図るため、原子力産業の持続的発展に必要な枢要原子力技術の実用化に向けた研究開発等を実施。

2-2.政策的位置付け

●総合資源エネルギー調査会原子力部会国際戦略検討小委員会報告(平成21年6月)

我が国原子力関連産業の強みは、原子炉メーカーのみならず、数多くの素材・部材メーカーによって支えられている。(中略)国は、我が国の産業力の維持に必要なコア技術を有する素材・部材メーカーについて、原子炉メーカーとも連携して、国際展開を目指す上で必要な技術開発等を支援するなど、厚みのある産業基盤の維持・発展を目指すべきである。

2.A.事業の目的・政策的位置付け2

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3. A.目標

要素技術 目標・指標 妥当性・設定理由・根拠等

(1)伝熱管関連要素技術開発

伝熱管拡管技術開発、

伝熱管管端溶接技術開発

拡管施工条件の検討・設定と試験による施工性の確認する。

管端溶接条件の検討・設定と試験による施工性の確認する。

超大型蒸気発生器は従来に比べて伝熱管本数が非常

に多く、かつ伝熱管ピッチが狭い。当該条件においても高

品質の施工が可能であるか確認する必要がある。

(2)伝熱管関連要素技術開発

管板深孔加工技術開発

技術開発に必要な材料の入手および必要データの取得する。

管板厚さを模擬した孔明け試験体の準備を実施する。

技術開発に必要な装置類の入手と性能確認試験等の実施する。

従来より板厚が厚く、かつ径の小さな孔を精度良く加工

することが可能な施工条件を試験体を用いて確認・選定

する必要がある。

孔あけ試験、その評価を行うことにより選定した施工条

件の妥当性を確認するとともに、必要な計測技術も確立

することが可能となる。

(3)伝熱管関連要素技術開発

管支持板ブローチ穴明け加工

技術開発

大径の管支持板に穴間ピッチが狭い条件下で実施するブローチ加工の施工条件の検討・抽出を実施する。

従来より径が大きく、かつ穴間ピッチが狭い条件で多数

のブローチ穴を施工することが可能な施工条件を選定す

る必要がある。

施工した複数形状のブローチ穴の形状等の評価を実施

することが可能な計測技術を確立することが必要である。

3

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3. A.目標

要素技術 目標・指標 妥当性・設定理由・根拠等

(4)伝熱管関連要素技術開発

U字管振れ止め金具の組立て・溶接技術開発

管支持板の管穴芯と管板の管穴芯との芯合わせ手法の確立と試験による管支持板挿入性の確認を実施する。

管支持板の挿入位置の確認に必要な装置類の確認・導入を実施する。

U字形状の伝熱管と管振れ止め

金具の設置手法の確認試験、管振れ止め金具の溶接試験に資する試験体の製作を実施する。

従来より大径の管支持板を蒸気発生器内に精度良く設

置する技術、特に伝熱管の精度良い設置のために管支

持板の管穴と管板の管穴との芯を合わせる技術が確立

することを目標とする。

従来より多量で大径U字部曲げ半径構造を含む伝熱管、

および、それらを固定する管振れ止め金具を精度良く配

置し、管触れ止め金具を適切な条件で溶接することによ

り、伝熱管健全性を担保する製造技術を確立する必要が

ある。

(5)一次冷却材ポンプケーシングの組立技術の開発

技術開発に必要な材料の入手および必要データの取得を行う。

ノズルを模擬した鍛造材とポンプケーシングを模擬したステンレス鋳造材との溶接部を対象に、溶接性の基礎試験に着手する。

超大型蒸気発生器には、一次冷却材ポンプが直接設置される構造となっている。低合金鋼製のノズル部にステンレス鋳造材のポンプケーシングを設置する当該部は、比較的複雑な形状を溶接する必要があり、その後、機械加工等により高い精度のアライメントを確保する必要がある。

4

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3. A.目標

要素技術 目標・指標 妥当性・設定理由・根拠等

(6)応力腐食割れ評価技術の

開発

国内メーカが製作したAlloy690材を入手する。

入手したAlloy690材料の基礎特性試験を実施する。

溶接部等の基礎特性試験に必要な溶接継手の製作に着手する。

蒸気発生器の信頼性確保のために、Alloy690およびこれ

らの溶接部に対する応力腐食割れの評価をすることが必

要である。特に、国内メーカが製作したAlloy690材料、お

よび、その溶接部の健全性を確認することにより国内材

料の実プロジェクトへの適用に資する。

(7)スケールモックアップ試験で

の組立て、溶接技術開発

装置の開発・評価を実施する。

試験体を製作するのに必要な材料を入手する。

スケールモックアップ用の試験体の製作を着手する。

超大型蒸気発生器の製作には、各部品の組立て技術

(要素技術)に加え、それらの技術を組み合わせる能力を

確立するために、実機形状を模擬したスケールモックアッ

プ試験体を製作して評価を行う必要がある。

5

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要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(1)伝熱管関連要素技術開発

伝熱管拡管技術開発、

伝熱管管端溶接技術開発

拡管施工条件の検討・設定と試験による施工性を確認する

管端溶接条件の検討・設定と試験による施工性を確認する。

圧力・加圧時間等の拡管施工条件を設定し試験

により施工に問題ないことを確認した。

電流・溶接速度等の管端溶接条件を設定し試験

により施工に問題ないことを確認した。

達成

4. A.成果、目標の達成度

管端溶接施工試験伝熱管拡管施工試験

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要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(2)伝熱管関連要素技術開発

管板深孔加工技術開発

技術開発に必要な材料の入手および必要データの取得を実施する。

管板厚さを模擬した孔明け試験体の準備を実施する。

技術開発に必要な装置類の入手と性能確認試験等を実施する。

管板、溶接材料等技術開発に必要な材料を入手

し寸法確認等必要なデータを取得した。

クラッド溶接等、管板厚さを模擬した試験体の準

備を実施した。

深孔加工装置等技術開発に必要な装置類を導

入した。

達成

4. A.成果、目標の達成度

管板の入手、寸法検査 管板のクラッド溶接 深孔加工装置の導入

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要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(3)伝熱管関連要素技術開発

管支持板ブローチ穴明け加工

技術開発

大径の管支持板に穴間ピッチが狭い条件下で実施するブローチ加工の施工条件の検討・抽出を実施する。

ブローチ加工の施工条件を抽出し、小試験片に

て施工に問題無いことを確認した。

新規ブローチ工具と再研磨ブローチ工具で加工

した施工孔の比較評価を実施し、両者とも施工が

可能であることを確認した。

複雑形状のブローチ穴の必要な寸法を計測する

ことが可能な計測方法を選定した。

達成

4. A.成果、目標の達成度

ブローチ加工試験 ブローチ加工後の試験体 3次元計測器による寸法計測

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要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(4)伝熱管関連要素技術開発

U字管振れ止め金具の組立て・溶接技術開発

管支持板の管穴芯と管板の管穴芯との芯合わせ手法の確立と試験による管支持板挿入性の確認を実施する。

管支持板の挿入位置の確認に必要な装置類の確認・導入を実施する。

U字形状の伝熱管と管振れ止め

金具の設置手法の確認試験、管振れ止め金具の溶接試験に資する試験体を製作する。

管支持板の模擬板を試験体に挿入・設置する試

験を実施し、挿入性に問題無いことを確認した。

レーザ装置等を用いて挿入位置の確認が可能で

あることを確認した。

管支持板を挿入・設置した試験体にてU字形状

の伝熱管と管振れ止め金具の設置手法の確認

試験、管振れ止め金具の溶接試験を行うことが

可能であることを確認した。

達成

4. A.成果、目標の達成度

管支持板挿入試験 レーザ装置による管支持板位置確認試験

9

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要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(5)一次冷却材ポンプケーシングの組立技術の開発

技術開発に必要な材料の入手および必要データを取得する。

ノズルを模擬した鍛造材とポンプケーシングを模擬したステンレス鋳造材との溶接部を対象に、溶接性の基礎試験に着手する。

ケーシング材料等必要な材料の入手をし、データ

を取得した。

ノズルを模擬した鍛造材とポンプケーシングを模

擬したステンレス鋳造材との溶接部の溶接基礎

試験に着手した。

達成

4. A.成果、目標の達成度

ノズル部模擬チャンネルヘッド試験体準備

鍛造材、ステンレス鋳造材試験体準備

溶接基礎試験

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要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(6)応力腐食割れ評価技術の

開発

国内メーカが製作したAlloy690材を入手する。

入手したAlloy690材料の基礎特性試験を実施する。

溶接部等の基礎特性試験に必要な溶接継手の製作に着手する。

国内メーカが製作したAlloy 690材料を入手した。

入手したAlloy 690母材の基礎特性試験を実施し

た。

入手した材料の溶接を開始し、溶接部等の基礎

特性試験に必要な溶接継手の製作に着手した。

達成

4. A.成果、目標の達成度

Alloy690材料の入手 溶接継手試験体の製作Alloy690材の基礎特性試験(SEM観察結果)

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要素技術 目標・指標 成 果 達成度

(7)スケールモックアップ試験で

の組立て、溶接技術開発

装置の開発・評価を実施する。

試験体を製作するのに必要な材料を入手する。

スケールモックアップ用の試験体の製作を着手する。

スケールモックアップ試験を実施するのに必要な

各種装置を導入し、評価試験を実施した。

伝熱管等、試験体を製作するのに必要な材料を

入手し必要なデータを取得した。

ラッパー等スケールモックアップ試験に使用する

試験体の一部を製作した。

達成

4. A.成果、目標の達成度

管支持板挿入装置の開発 伝熱管の入手

外観検査、ECT検査の実施

ラッパー試験体の製作

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5. A.事業化、波及効果

「原子力ルネサンス」と称されるように世界的に原子力発電の採用が進んでおり、その動きは今後更に加速するものと推測される。本事業を実施することにより、超大型蒸気発生器を従来と同等以上の品質で製作することが可能となる。当該超大型蒸気発生器の採用を米国を始めとする世界各国の原子力発電所へ働きかけることによって、原子力ルネサンスの更なる発展を機器供給という立場から支えることが可能となる。

また、超大型蒸気発生器の製作に必要な技術的課題を解決し、その成果は世界市場への参入へと活用されることが期待できる。特に、高品質施工を目指した3次元計測技術や自動化設備を導入した施工・計測技術を確立することにより、他国メーカとの差別化を図ることが可能である。また、本プロジェクトで得られた技術や知見については、将来計画される高出力・大型蒸気発生器へ応用することが可能である。

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20102005 2020 2030本研究終了

波及効果各種発電プラント用 熱交換器の製作・供給

新設プラントへの蒸気発生器供給

① 伝熱管拡管技術、伝熱管管端溶接技術

② 管板深孔加工技術

③ 管支持板ブローチ穴明け加工技術

⑥ 応力腐食割れ評価技術

④ U字管振れ止め金具の組立て・溶接技術開発

⑤ 一次冷却材ポンプケーシングの組立技術

⑦スケールモックアップ試験での組立て、溶接技術

超大型蒸気発生器

製作技術の確立

交換プロジェクトへの蒸気発生器供給

世界的なエネルギ安定供給と地球温暖化対策に貢献

更なる製作技術の高度化

要素技術の高度化要素技術を組み合わせた技術の高度化

知見・経験の反映

高出力・大型蒸気発生器への応用

他産業用の熱交換器の製作・供給

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研究開発計画

事業は平成21年度から平成22年度の3年度で計画されている。研究開発計画及び内容について表6及び図6に示す。技術開発は

計画どおり進捗しており、平成22年9月時点において当初計画からの変更はない。予算についても、平成21年度確定予算において計画総額1,856,151,384円に対して、決定額1,802,857,105円であり、計画どおり推移している。

6. A.研究開発マネジメント・体制等

FY21 FY22 FY23

1)伝熱管拡管技術,伝熱管管端溶接技術

1.伝熱管関連要素技術開発

2)管板深孔加工技術

3) 管支持板ブローチ孔明け加工技術

4)U字管振れ止め金具の組立て、溶接技術

2.一次冷却材ポンプ・ ケーシングの組立技術開発

3.応力腐食割れ評価技術開発

4.スケールモックアップ試験での組立て,溶接技術開発

中項目

計画年度

事業対象範囲

技術開発実施項目

大項目

計画概要

項目 1. 1):伝熱管本数が非常に多く、かつ伝熱管ピッチが狭い条件下で高

品質を実現する伝熱管拡管及び管端溶接施工条件を確立する。

項目 1. 2):極厚かつ小径の孔を精度良く加工する施工条件、必要な計測技

術も確立する。

項目 1. 3):孔間ピッチが狭い条件で多数のブローチ穴を施工可能な施工条

件、複雑形状のブローチ孔の計測技術を確立する。

項目 1. 4):U字部曲げ半径構造を含む伝熱管を固定する管振れ止め金具の

高精度組立技術、必要な計測技術を確立する。

項目 2. :直接設置されるポンプケーシングの複雑形状・異材溶接技術、

高精度のアライメントを確保する機械加工技術等を確立する。 項目 3. :高耐腐食性材料 Alloy 690 の応力腐食割れ評価技術及び国産材の

健全性を確認する。 項目 4. :必要な要素技術を実機形状を模擬したフルスケールモックアッ

プ試験体を製作して一連の工程を総合的に確証する。

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実施体制本技術開発は、公募による選定審査手続きを経て、株式会社IHIが経済

産業省からの補助金を得て実施するものである。

本技術開発は多岐に渡る技術開発要素を含むため、補助事業者は、プロジェクトチームを中心にして、同社原子力部門のみならず、研究部門(技術開発本部)等を巻き込んだ横断的な全社体制としている。

技術開発の実施に当たっては、技術開発を統括するためのプロジェクトリーダー(原子力プラント技術部プロジェクトグループ 部長 緒方浩之)、並びに各々の技術開発項目の進捗管理等を調整・管理する4名のサブ

リーダーを選任している。また、プロジェクト全体の予算管理は、専任チームを設置してラインと切り離した体制とすることにより、管理の徹底を図っている。

6. A.研究開発マネジメント・体制等

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資金配分

本事業に係る事業予算(各年度予算)と個別要素技術開発への配分は下表に示すとおりである。

平成21年度は、計画総額1,856,151,384円に対して決定額1,802,857,105円であり、計画どおり推移している。平成22年9月時点においても、同年度予算の変更はない。

6. A.研究開発マネジメント・体制等

資金度配分 (単位:百万円)

H21

(1)伝熱管関連要素技術開発 747

(2)一次冷却材ポンプケーシングの組立て技術の開発 121

(3)応力腐食割れ評価技術の開発 29

(4)スケールモックアップ試験での組立て、溶接技術 906

合計 1,803

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変化への対応

エネルギー安定供給や地球温暖化対策等の必要性から我が国における戦略的原子力技術の向上及び利用の高度化を目的に、世界的に供給者が少なく最先端技術の実用化が必要な超大型蒸気発生器の技術開発として、本戦略事業は平成21年度から平成23年度までの計画で開始されたものである。

補助事業者であるIHIは、これら国内外の技術開発の動向を踏まえ、本

事業の当初計画である超大型蒸気発生器の模擬試験体の試作、ならびにその製造技術を確立するための総合確証試験等を計画通り実施している。

6. A.研究開発マネジメント・体制等

18

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0

2.技術に関する事業の概要2.B-③.戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金に係る事業

(主蒸気安全弁実用化開発)

資 源 エ ネ ル ギ ー 庁電 力 ・ ガ ス 事 業 部原 子 力 政 策 課

岡野バルブ製造株式会社

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1

2.A.事業の概要

概 要

実施期間

予算総額

実 施 者

プロジェクト

リーダー

平成21年度~平成23年度(3年間)

8.5億円(平成22年度まで)(平成21年度:4億円 平成22年度:4.5億円)

岡野バルブ製造株式会社

田中 孝治(技術部長)

世界規格に適合できる原子力用弁を製造する為の要素技術の開発

① ASTM材で製作したばねの基本性能の確認

② コバルトフリー材(シール面肉盛材)の開発

③ 原子力用安全弁の基礎特性の確認、実際の製品の性能確認を

行う為の蒸気試験設備の新設

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2

2-1.目的

エネルギー安定供給、地球温暖化等の観点から原子力発電の利用拡大

が期待される中で、我が国における原子力技術水準の向上及び利用の高

度化を図るため、原子力産業の持続的発展に必要な枢要原子力技術の

実用化に向けた研究開発等を実施。

2-2.政策的位置付け

●総合資源エネルギー調査会原子力部会国際戦略検討小委員会報告

(平成21年6月)

我が国原子力関連産業の強みは、原子炉メーカーのみならず、数多く

の素材・部材メーカーによって支えられている。(中略)国は、我が国の産

業力の維持に必要なコア技術を有する素材・部材メーカーについて、原

子炉メーカーとも連携して、国際展開を目指す上で必要な技術開発等を

支援するなど、厚みのある産業基盤の維持・発展を目指すべきである。

2.A.事業の目的・政策的位置付け

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3. A.目標現在、国を挙げて原子力発電所の海外輸出に向け活動中であるが、国内の実績で十分な信頼性が確認

された弁であっても、世界に通用する品質を満足したことにならない。

世界の品質のベースとなっている米国規格に適合するために必要な要素技術の開発を行う。

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

ばねの基本性能の確認

ASTM 51B60材の熱処理条件の確立と、国内の

原子力用安全弁に使用

しているJIS SUP10 材

と性能比較を行い、

ASTM材のばねが使用出来ることを判断する。

ASTM材ばねの性能確

認を行い、現在使用しているJIS材SUP10との比較し、ASME材が

使用出来ることを確認する。

国内の原子力用安全弁のばねは、JIS材が使用されている

が、海外の原子力発電所用の安全弁を製作する場合、

ASTM材が指定される。今回の要素技術の開発は、ばねを

ASTM材で製作した場合の熱処理条件の確立とJIS材の

ばねと比較しながら、ASTM材のばねが使用上問題ないこと

を確認する。安全弁としての最終的性能は、実機弁にばねを

組込み蒸気試験設備で確認する。

コバルトフリー材の開発

摺動に対する耐久性が

重要な仕切り弁と耐衝

撃性が重要な安全弁の

弁座シール面に使用す

るコバルトフリー材を開

発する

個別の要素試験で、コ

バルトフリー候補材の

絞込みが出来ること。

米国の原子力発電所用弁は被曝低減の目的により、コバルトフリー材の使用が義務付けられる。そのため、摺動時の耐

久性が問題となる仕切り弁のコバルトフリー材と弁閉時の衝

撃力が問題になる安全弁のコバルトフリー材について確性試

験を行い、現在使用しているステライトと同等のコバルトフリ

ー材を見つける。

蒸気試験設備の新設

原子力用安全弁の基本

性能が確認出来、製品

製作時の調整や作動試

験が出来ること。

必要機能を満足する

設計であり、決めら

れた工場スペース内

に設置できること。

原子力用安全弁は信頼性を確認するため、数多くの試験が

行われるが、それら試験に合格される為には事前に十分な調

整を行い、作動確認を行わなくてはならない。そのためには、

十分な容量を持った蒸気試験設備が必要である。

又本設備で、コバルトフリー実温試験、ASTMばねを使用し

た安全弁の性能試験も行う。

3. A.目標

Page 99: 原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

BWR用主蒸気逃がし安全弁 PWR用主蒸気安全弁

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【弁座シール面】弁体・弁座摺動面であるこの部分にコバルトフリー材を使用

弁体

弁座仕切り弁 安全弁安全弁は、弁座面の

みコバルトフリー材を使用

弁座

コバルトフリー材の使用位置

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6

4. A.成果、目標の達成度

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

ばねの基本性能

の確認

ASTM 51B60材の熱処理

条件の確立と、国内の原子

力用安全弁に使用している

JIS SUP10材と性能比較

を行い、ASTM材のばねが

使用出来ることを判断する。

安全弁としての最終性能確

認は蒸気試験設備で行う。

ASTM 51B60材の熱処理条件が

明らかになった。 ASTM 51B 60

材で製作されたばねは、JIS SUP

10に比べ、繰返し作動によるへたり

が若干多く出たが、実際の使用上問

題ないことが確認出来た。

達成

安全弁用ばね

素材(棒材)

製品〈コイルばね)

Page 102: 原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

ばねの基本性能確認試験手順

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要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

コバルトフリー材の開発

摺動に対する耐久性

が重要な仕切り弁と耐

衝撃性が重要な安全

弁の弁座シール面に

使用するコバルトフリー

材を開発する

仕切り弁用及び安全弁

用コバルトフリー材の絞

込みを行う。

仕切り弁及び安全弁に対し、候補材を選定

し、最終決定するための要素試験を継続実

施中。仕切り弁用コバルトフリー材に付いて

は、本年度中に候補材の絞込みが完了し、

来期に最終候補材による実機サイズの環

境模擬試験を実施し、性能の最終確認を行

い、コバルトフリー材を決定する。

達成

仕切り弁の環境模擬試験装置図 衝撃試験用安全弁

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仕切り弁・安全弁

コバルトフリー材

開発フロー

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要素技術目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

蒸気試験設備の新設

原子力用安全弁の基

本特性を把握する事

及び実製品の性能確

認試験(含む調整)を

行う為の、蒸気試験

設備を新設する。

計画通りに機器を搬

入し、組立てを完了

する。

必要機器の搬入が完了し、10月より組立て

に入り、本年度中に試運転を完了する。

達成

蒸気試験装置図

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11

5. A.事業化、波及効果

本補助事業は、国として推進している海外の原子力発電所建設を受注した場合の足かせとなると考えられる米国の規制を満足させる為に行ったもので本事業の一連の成果により、海外の原子力発電所建設を受注した場合に原子力用弁の供給が可能となる。

国内は、2000年以降2030年まで、新規原子力発電所建設は、極端な端境期に入るため、原子力用弁及び弁の部品を製作しているメーカは、技術を維持し行くだけの仕事量は確保出来ない。

その間、海外の原子力発電所建設に参加する事で、技術の維持及び発展が可能となる。

それにより、2030年以降の国内の原子力発電所のリプレース時代に問題なく対応出来る

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6. A.研究開発マネジメント・体制等

① 研究開発計画

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② 体 制

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0

2.技術に関する事業の概要2.B-④.戦略的原子力技術利用高度化推進補助金に係る事業

(非常用炉心冷却システム用ポンプ実用化開発)

資 源 エ ネ ル ギ ー 庁電 力 ・ ガ ス 事 業 部原 子 力 政 策 課

株 式 会 社 荏 原 製 作 所

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1

2.A.事業の概要

概 要

実施期間

予算総額

実 施 者

プロジェクト

リーダー

非常用炉心冷却システム(ECCS)用ポンプを、米国に事業展開を図るためには、

ASME基準に適合した設計製造技術を構築する必要があり、ECCSポンプ耐圧部品

モックアップ品の設計製作を行う。また規定する対象部材にはASME材を使用する。

ECCSポンプ運転にはヒートショックと呼ばれる極短時間の吸込温度が急上昇するモー

ドがあり、このモードを模擬できる試験装置を開発し、試験を実施する。

平成21年度~平成23年度(3年間)

2.5億円(平成22年度まで)(平成21年度:1.1億円 平成22年度:1.4億円)

株式会社 荏原製作所

開発統括部 製品開発室 吉川 成(室長)

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2

2-1.目的

エネルギー安定供給、地球温暖化等の観点から原子力発電の利用拡大が期待される中で、我が国における原子力技術水準の向上及び利用の高度化を図るため、原子力産業の持続的発展に必要な枢要原子力技術の実用化に向けた研究開発等を実施。

2-2.政策的位置付け

●総合資源エネルギー調査会原子力部会国際戦略検討小委員会報告(平成21年6月)

我が国原子力関連産業の強みは、原子炉メーカーのみならず、数多くの素材・部材メーカーによって支えられている。(中略)国は、我が国の産業力の維持に必要なコア技術を有する素材・部材メーカーについて、原子炉メーカーとも連携して、国際展開を目指す上で必要な技術開発等を支援するなど、厚みのある産業基盤の維持・発展を目指すべきである。

2.A.事業の目的・政策的位置付け

Page 112: 原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

3

3. A.目標

本プロジェクトは、非常用炉心冷却システム用ポンプ(ECCSポンプ)の

海外事業展開を図る際の信頼性向上のための、実用化技術開発を目的とする。ヒートショック試験装置の開発と、モックアップ品設計製作の2つに大別

される。前者は、ECCSポンプに要求される起動時の温度急上昇モード

を模擬できる試験装置を開発するもので、供試ポンプの熱解析技術を駆使することも合せ、ASME材料を用いて設計製作されるポンプの熱過渡時の信頼性の検証を行う。後者は、ECCSポンプ耐圧部品を模擬した モックアップ品の設計製作

を通じてASME準拠の解析設計技術と製造技術を構築し、ECCSポンプ国際事業展開のための技術力競争力構築をはかる。

Page 113: 原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

4

3. A.目標(1/3)

要素技術 目標・指標

(事後評価時点)

目標・指標

(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

(1)-1

ヒートショック試験装置の開発

・ヒートショック試験装置の構築

・ヒートショック運転手順の確立

・試験装置系統設計の完了

・配管図の作成

・配管材料の調達

・運転手順、試験方案の作成

・補機類、計装品類の仕様決定

ヒートショック運転モードを模擬できる試験装置を保有するメーカは世界的に見ても数少ないと思われる。ECCSポンプのヒートショック時の信頼性実証のため本試験設備を構築し、実機相当ポンプにて確認することは、ECCSポンプの信頼性向上と共に国際競争力を付けるために重要な開発研究テーマである 。

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5

3. A.目標(2/3)

要素技術 目標・指標

(事後評価時点)

目標・指標

(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

(1)-2

ヒートショック試験供試ポンプの熱解析

・予備解析

ECCSポンプのケーシング部分の温度解析

・ECCSポンプ本解析

ポンプ全体の熱流動解析、熱伝導解析、構造解析

・比較解析

23年度試験供試ポンプの熱解析

・ヒートショック状態での過渡的な温度変化の解析(20秒間)

・解析モデル定義方法の検討とメッシュ品質評価、解析結果の妥当性のチェック

ECCSポンプに国内実績のないASME規格材を採択するに伴い、当該ポンプに特有の吸込流体温度が極短時間で急激に上昇する運転モード(ヒートショック)において、耐圧部材であるASME規格材に支持された軸受やライナーリング等の静止部材と回転体との間の隙間の減少や熱変形に伴う接触現象が生じて焼きつくような不具合が生じず健全に運転できることを検証しなければならない。そこで、本要素技術は、ヒートショック試験の安全性の評価やポンプの設計に利用できる精度が高く、比較的短時間で実現できる解析技術の構築を目的としている。

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6

3. A.目標(3/3)

要素技術 目標・指標

(事後評価時点)

目標・指標

(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

(2)-1

モックアップ品の設計製作

・モックアップ品の設計

・モックアップ品の製作

ASME用品質保証プログラムに従ってモックアップ品の設計・製造を実施

設計にあたっては、ASME Sec.Ⅲに従ったデザインレポートを作成し設計の妥当性を評価する。

製造にあたっては、ASME Sec.Ⅱに定められた材料を購入し、ASME Sec.Ⅴに従った非破壊査を実施し、耐圧容器としての品質レベルを維持する。

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74. A.成果、目標の達成度(1/3)

要素技術

目標・指標

(事後評価

時点)

目標・指標

(中間評価

時点)

成 果 達成度

(1)-1

ヒートショック試験装置の開発

・ヒートショック試験装置の構築

・ヒートショック運転手順の確立

・試験装置系統設計の完了

・配管図の作成

・配管材料の調達

・運転手順、試験方案の作成

・補機類、計装品類の仕様決定

試験装置配管系統図を作成、試験装置配管系統の基本仕様の決定。試験装置配管図を作成、配管熱応力の確認。配管材料の発注と購入。

バルブ類の仕様、種類、開閉作動方法、等仕様書決定。

供試ポンプを冷却する冷却装置の仕様決定。監視計器類の仕様決定。

運転手順案、試験方案書を作成。

達成

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図1 .ヒートショック試験装置 概観図

加熱ポンプ

供試ポンプ

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図2.ヒートショック試験装置 系統図

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4. A.成果、目標の達成度(2/3)

要素技術 目標・指標

(事後評価

時点)

目標・指標

(中間評価

時点)

成 果 達成度

(1)-2

ヒートショック試験供試ポンプの熱解析

・予備解析

ECCSポンプのケーシング部分の温度解析

・本解析

ECCSポンプ全体の熱流動解析、熱伝導解析、構造解析

・比較解析

23年度試験供試ポンプの熱解析

・ヒートショック状態での過渡的な温度変化の解析(20秒間)

・解析モデル定義方法の検討とメッシュ品質評価、解析結果の妥当性のチェック

3D CADデータから解析モデル定義の手法を習得し、メッシュ品質を向上させつつ、解析時間の短縮化を実現した。回転軸を除くポンプ構造物内の20秒間の非定常熱流動解析と固体伝熱解析を実施し、ポンプ内部の流体及び固体の温度分布や流速分布を導出できた。

結果として、温度変化の上昇下降が見られる中胴ケーシングの壁面温度分布の妥当性を確認する点と解析時間の短縮化が必要な点が次年度に解決すべき問題点としてピックアップされた。

達成

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図3 .解析結果の例

ポンプ構造物内の速度分布ポンプ構造物の温度分布

ポンプ構造物の熱流動解析結果

解析用のメッシュ

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4. A.成果、目標の達成度(3/3)

要素技術 目標・指標

(事後評価

時点)

目標・指標

(中間評価

時点)

成 果 達成度

(2)-1

モックアップ品の設計製作

・モックアップ品の設計

・モックアップ品の製作

ASME用品質保証プログラムに従ってモックアップ品の設計・製造を実施

ASME Sec.Ⅲに従いモックアップ品の基本設計(板厚、応力)を完了。

ASME Sec.Ⅱに従いモックアップ品の材料手配に必要な発注仕様書を作成。同時に、耐圧部品の溶接作業に必要な発注仕様書をまとめ溶接作業及び、溶接部の非破壊検査を実施。

各作業は、ASME工認検査官の確認・立会いを経て実行した。

達成

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図4. モックアップ品の構造

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写真1.モックアップ品

BARREL DISCHARGE HEAD

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15

5. A.事業化、波及効果

5-1-A 事業化の見通し

ヒートショック試験の実施は、米国ABWR向けのECCSポンプ技術仕様

書に規定され、義務付けられる見通しであり、本プロジェクトにおいて当該試験装置を開発、試験運転手順を確立して、さらに解析により予め健全性を確認しておくことで、ECCSポンプを今後広く海外へ事業展開するための足がかりとなる。

また本プロジェクトにおいて、モックアップ品の設計製作を通じて,ASME準拠の解析設計技術と製造技術を構築することにより、 ECCSポンプの米国向け事業展開が可能となる。

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5. A.事業化、波及効果

5-2-A 波及効果

本試験装置を開発することで、ヒートショック運転条件のある他のポンプ

に対しても、同様にヒートショック時の健全性を確認することが可能となり、原子力ポンプの国際技術競争力向上のために有利となる。例えば、中国向けの案件で常用系給水ポンプに対してヒートショック試験を要求している事例があり、本事業で開発する試験装置またはその一部は、このポンプのヒートショック試験に使用することも可能である。

ヒートショック試験のデータを蓄積することにより、今後継続的に原子力ポンプの設計に反映することができ、国際展開を図るための、試験人材の教育や、技量維持向上に資することも可能と考える。

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17

波及効果

間接アウトカム

目的達成までのシナリオプロジェクトの目的 将来像

プロジェクトの成果目標

・ヒートショック試験装置の構築・ヒートショック

運転手順の確立

・予備解析ケーシング部分の温度解析・本解析ポンプ全体熱流動解析、熱伝導解析、構造解析

・モックアップ品の設計・モックアップ品の製作

ヒートショック試験装置開発

ヒートショック供試ポンプの熱解析

モックアップ品の設計製作

個別要素技術

プロジェクトのアウトカム(プロジェクトの成果が及ぼす効果等)

直接アウトカム(直接カスタマー)

非常用冷却システム用ポンプ実用化開発

事業化までのシナリオ。

プロジェクトの成果に基づく意図した効果、期待され

る効果。

米国ABWR向け

ECCSポンプ

(ヒートショック試験実施の規制規格仕様書へのスペックイン要求化

への対応)

技術力、信頼性の証明によるPWRや

米国以外の海外への原子力ポンプの

事業展開

・原子力ポンプの国際技術競争力向上

・原子力ポンプ試験の人材育成、技能維持向上

(原子力ポンプ事業の海外展開)

1)ヒートショッ

ク試験装置の開発

2)モックアップ品の設計

製作

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6-1研究開発計画

ヒートショック試験装置開発については、吸込温度の急上昇という過渡現象に対するポンプ運転試験を安全に行うために、慎重かつ十分な検討を必要とすることを考慮して、計画的な工程設定が行われている。また、ECCSポンプ耐圧部品模擬のモックアップ品の設計・製作に関しても、計画的な工程設定が行われている。

研究開発計画を次ページの表に示す。

6. A.研究開発マネジメント・体制等

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研究開発計画

実施項目/年度 21 22 23ヒートショック試験装置の開発

ヒートショック試験供試ポンプの熱解析

モックアップ品の設計製作

装置配管設計

計器・補機類の設計・調達

配管配線工事

運転手順・試験方案

予備試験

ヒートショック試験

予備解析(ECCSポンプ ケーシング)

本解析(ECCSポンプ全体)

設計

材料調達

製作組立試験

供試ポンプ部品製作

比較解析(試験供試ポンプの熱解析)

19

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6-1研究開発体制

荏原製作所は、我が国原子力発電所建設初期より原子力発電用ポンプの設計製造に携わり、国内BWR、ABWRプラントへECCSポン

プの豊富な納入実績を有しており、本プロジェクトの実施者として適切である。

プロジェクトリーダは、製品開発室長であり、プロジェクトの推進管理および適確な指示の出来る体制としている。

プロジェクトリーダの元に、原子力ポンプ設計技術者、解析技術者

、配管装置システム技術者、原子力ポンプ品質管理技術者、が本プロジェクトの実施研究者として登録され、各要素技術の研究項目の実施が適切に推進される体制としている。

本プロジェクトの実施体制を次ページの図に示す

20

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プロジェクトの実施体制

株式会社 荏原製作所

プロジェクトリーダ(全般管理)

モックアップ品設計・製作チーム

ヒートショック試験装置開発・設計・試験チーム(解析を含む)

原子力ポンプ技術室調達室生産技術室品質保証室検査グループ生産企画管理室

産業システム技術室原子力ポンプ技術室調達室生産企画管理室試験技術グループ

営業(対外連絡窓口)

生産企画管理室(工程管理)

技術・研究開発統括部管 理 グ ル ー プ(業務管理)

21

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2.技術に関する事業の概要2.B-⑤.戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金に係る事業

(原子炉大型構造部材製造技術開発)

資 源 エ ネ ル ギ ー 庁電 力 ・ ガ ス 事 業 部原 子 力 政 策 課

株 式 会 社 神 戸 製 鋼 所

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2.A.事業の概要

概 要

実施期間

予算総額

実 施 者

プロジェクト

リーダー

大型鍛造部材の製造技術開発として、素材品質に関わる大型鋼塊製造技術と形状付与に関する3次元異形鍛造技術の開発を実施する。大型鋼塊製造技術では、水素の濃縮を抑制する技術開発を行う。第一ステップとして110tonトン小型鋼塊で基礎技術を確立し、第二ステップとして360ton鋼塊で検証する。3次元異形鍛造技術については、小型プレスを用いた小型モデル実験で鍛造工程設計を行い、実機プレスによる縮尺モデルおよび実体モデルの試作を行い、所定形状が得られることを目標とする。形状については、今後量産が見込まれるAP1000用鍛造部材をターゲットとして実施する。

平成21年度~平成23年度(3年間)

4.2億円(平成22年度まで)(平成21年度:0.8億円 平成22年度:3.4億円)

株式会社神戸製鋼所

株式会社神戸製鋼所 鋳鍛鋼事業部技術開発部長

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2-1.目的

エネルギー安定供給、地球温暖化等の観点から原子力発電の利用拡大が期待される中で、我が国における原子力技術水準の向上及び利用の高度化を図るため、原子力産業の持続的発展に必要な枢要原子力技術の実用化に向けた研究開発等を実施。

2-2.政策的位置付け

●総合資源エネルギー調査会原子力部会国際戦略検討小委員会(平成21年6月)

我が国原子力関連産業の強みは、原子炉メーカーのみならず、数多くの素材・部材メーカーによって支えられている。(中略)国は、我が国の産業力の維持に必要なコア技術を有する素材・部材メーカーについて、原子炉メーカーとも連携して、国際展開を目指す上で必要な技術開発等を支援するなど、厚みのある産業基盤の維持・発展を目指すべきである。

2.A.事業の目的・政策的位置付け

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2.A.事業の概要(2)

現 状 改善内容

断熱ボード下堰

ストッパー

現 状 改善内容

断熱ボード下堰

ストッパー

ノズルAr吹き

溶鋼接触によりボイリングによる崩落が起こりやすい

↓押湯では低真空

↓介在物混入しやすく、水素も高くなる

れんが

ストッパー

ストッパー先端Ar吹き

初期~末期まで散らす技術の確立

介在物欠陥発生

構造が複雑で、リークしやすい

↓介在物発生や水素混入が起こりやすい

崩落防止↓

高真空維持可能↓

介在物混入なく、水素も低減

リークしにくい↓

介在物低減し、水素混入防止

散りが悪い

溶鋼流動大溶鋼流動小

大型鋼塊製造技術の開発内容

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2.A.事業の概要(3)3次元異形鍛造技術の開発内容

・段付き素材形状の最適化・孔拡げ工程での変形挙動・孔拡げ工程の金型設計(トランジションコーンでは、断面形状がテーパー状となる)

A:材料の変形挙動B:受け台の形状C:押し込み金型の形状

検討課題

プレス力量内での鍛造工程設計⇒ ・型鍛造素材形状の設計

・金型設計

(1) ヘッド類の鍛造工程と課題

(2) リング品の鍛造工程と課題(例示:アッパーシェルコース)

専用型鍛造鋼塊

熱間鍛造

AC

圧縮 鍛伸孔空け 孔拡げ・仕上段付鍛造

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3. A.目標

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

(1) 大型鋼塊製造技術

(2) 3次元異形鍛造技術

最大360tonトン鋼塊に

よる品質評価を行う。

・切捨量8%以下

・水素割れなし

縮尺モデル、実体モ

デルを試作し、形状

評価を行う。

・製品形状採取可

押湯保温材煉瓦化の

ための押湯枠および

溶鋼流中へのArガス

吹き込みのためのノ

ズルを試作し、110ton

鋼塊による品質評価

を行う。

・切捨量5%以下

・水素割れなし

小型モデルを用いて鍛造工程を決定し、1/2サイズのクロージャーヘッド、縮尺サイズのアッパーシェルコース、トランジションコーンの金型を作成する。

鍛鋼部材の素材品質確保のため、有害な介在物、水素を低減する必要がある。材料世界調達の流れの中、競争力確保するためには切り捨て量を低減し、材料歩留まりを向上させることは重要課題である。鋼塊サイズの増大にともない介在物、水素は多くなることから、実体での最大クラスの鋼塊での評価が必須となる。

形状付与のための鍛造工程設計は実体比1/30の小型モデルで検討し、確実に成形できる工程を決定する。実体では超重量物のため、ハンドリングやスケール発生量など小型モデルと大きく異なる部分があるため、最終的に実体相当サイズの試作評価を行う。

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要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

(1)大型鋼塊製造技術

(2) 3次元異形鍛造技術

最大360tonトン鋼塊による品質評価を行う。・切捨量8%以下・水素割れなし

縮尺モデル、実体モデルを試作し、形状評価を行う。・製品形状採取

押湯保温材煉瓦化のための押湯枠および溶鋼流中へのArガス吹き込みのためのノズルを試作し、110ton鋼塊による品質評価を行う。・切捨量5%以下・水素割れなし

小型モデルを用いて鍛造工程を決定し、1/2サイズのクロージャーヘッド、縮尺サイズのアッパーシェルコース、トランジションコーンの金型を作成する。

押湯枠、Arガス吹き込みストッパーノズルを製作し、110ton鋼塊での品質評価を実施した結果、介在物欠陥、水素性割れ欠陥ともになく、良好な結果が得られた。この結果を基に230ton用押湯枠を設計・製作し、リング品鍛造試作実験を開始した。

対象アイテム毎に基本的な鍛造工程、金型形状を決定し、縮尺モデルの金型を設計した。クロージャーヘッド、アッパーシェルコース、トランジションコーンについては縮尺モデル用金型を製作し、鍛造試作実験を開始した。特に、クロージャーヘッドについては1/2モデルの鍛造実験を行い、問題なく鍛造できることを確認した。

達成

達成

改良法鋳込み時の溶鋼散り状況

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4. A.成果、目標の達成度

押湯枠煉瓦施工状況

Arガス吹込ノズル付き新ストッパー

アッパーシェルコース1/30モデル外観

1/30小型モデル 1/2モデル(実機プレス)クロージャーヘッドの鍛造実験結果

Ar ガス吹込孔Ar ガス吹込孔

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5. A.事業化、波及効果

技術確立した時点からの生産開始を視野に入れ、製造技術確立に関し一定レベルの目処が得られた時点で、原子炉および蒸気発生器のファブリケーターに対し受注活動を開始する。量産のための生産体制整備には最短2年の期間が必要となるため、技術開発と平行して新規原子炉建設計画、部材取替え需要を精査し、生産設備整備を含む量産のための生産体制を整える。

需要が想定通りになく、生産体制整備に関わる資金回収が困難と判断される場合には、補助金で導入した金型類を含む現有設備で生産できる範囲での事業立ち上げとし、需要動向に応じ、生産体制を整備していく。

世界的な原子力発電所の新設、炉体延命化のための部材取替えが計画通りに進展すると原子炉用大型鍛鋼品の供給不足が起こる。本事業の実施により、㈱神戸製鋼所にて原子炉用大型鍛鋼品の製造が可能となれば、大型鍛鋼品の安定供給が実現できるとともに、世界市場における日本のプレゼンス向上が期待される。

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①大型鋼塊製造技術

20112010 2012 2013~2009

開発終了

波及効果

AP1000原子炉用大型鍛造部品の量産化

既存原子炉延命化のための鍛造部品の供給

②3次元異形鍛造技術

本技

技術評価

量産設備検討 量産設備投資

未検討アイテムの製造工程確認

他型炉用部材の鍛造設計

量産化

原子炉用大型鍛造部品の安定供給

鍛造設計指針を展開

量産化検討

対象品の拡大

(株)神戸製鋼所・独自事業

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96. A.研究開発マネジメント・体制等

鋳鍛鋼事業部技術開発部長

大型鋼塊製造技術

製鋼鋳造技術室

製鋼室

技術開発本部材料研究所

鉄鋼部門技術開発センター製銑・製鋼研究部

実機設備における設備・技術検討

実機操業

理論体系構築

小型実験設による基礎検討 鍛圧室

技術開発部開発室

鍛圧技術室

実機操業

実機設備における設備・技術検討

小型実験による基礎検討・金型設計

3次元異形鍛造技術

運営調整

経済産業省

㈱神戸製鋼所

鋳鍛鋼事業部製鋼鋳造部長

プロジェクト推進室

鋳鍛鋼事業部鍛圧部長

技術開発本部材料研究所

小型実験による基礎検討・金型設計および理論体系構築

実施主体は、鍛鋼品を事業として実施している鋳鍛鋼事業部であるが、技術開発を迅速に進めるため、技術開発本部および鉄鋼部門技術開発センターが参画する、プロジェクト体制で事業を実施している。プロジェクトリーダーは鋳鍛鋼事業部技術開発部長とし、個別技術開発課題の開発責任者として、大型鋼塊製造技術は鋳鍛鋼事業部製鋼部長、3次元異形鍛造技術開発は鋳鍛鋼事業部鍛圧部長を設定し、実施状況、結果を収集判断し、実施計画修正を含めて的確な指示の出来る体制で運営している。現時点、技術開発は当初計画に沿って進捗している。

研究開発体制

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106. A.研究開発マネジメント・体制等

研究開発計画

実施項目/年度 21 22 23

(1)大型鋼塊製造技術 溶鋼流粒状化のためのストッパーノズルの設計・製作

Ar吹き込み技術の確立

煉瓦化のための押湯枠設計・製作

110ton小型鋼塊評価

改良中間鍋の製作・評価

230ton中型鋼塊による有効性評価

360ton中型鋼塊による有効性評価

(2) 3次元異形鍛造技術 小型1/30モデルによる鍛造工程設計

クロージャーヘッド1/2モデルの試作・評価

クロージャーヘッド実体モデルの試作・評価

チャンネルヘッド1/2モデルの試作・評価

チャンネルヘッド実体モデルの試作・評価

リング品縮尺モデルの試作・評価

金型製作を含む

技術開発は本初計画に沿って順調に進捗している。

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2.技術に関する事業の概要2.C.全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金に係る事業

資 源 エ ネ ル ギ ー 庁電 力 ・ ガ ス 事 業 部原 子 力 政 策 課

電 源 開 発 株 式 会 社

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2.A.事業の概要

概 要

実施期間

予算総額

実 施 者

プロジェクト

リーダー

既存の原子力発電所に比べ約3倍のプルトニウムを利用することが

できる全炉心混合酸化物燃料原子炉施設の開発に必要な技術開発を行うとともに、実機プラントで特性確認を行い、技術の確立を図る。

平成8年度~平成23年度(16年間)

327億円(平成22年度まで)(平成 8年度:17億円 平成 9年度:14億円 平成10年度: 8億円平成11年度: 5億円 平成12年度:16億円 平成13年度:16億円平成14年度:15億円 平成15年度:16億円 平成16年度:24億円平成17年度:40億円 平成18年度:38億円 平成19年度:34億円平成20年度:30億円 平成21年度:30億円 平成22年度:24億円)

電源開発株式会社

平成8年度~平成10年6月 中神 尚男(電源開発株式会社 原子力部長)平成10年7月~平成12年6月 濱 輝雄(電源開発株式会社 原子力部長)平成12年7月~平成16年6月 日野 稔(電源開発株式会社 執行役員原子力事業部長)平成16年7月~平成18年3月 林 耕四郎(電源開発株式会社 執行役員原子力事業部長)平成18年4月~平成22年6月 永島 順次(電源開発株式会社 常務執行役員原子力建設部長)平成22年7月~ 佐藤 真治(電源開発株式会社 原子力建設部長)

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2-1.目的

我が国のプルトニウム利用の柔軟性を拡げ、プルサーマルを含む核燃料サイクルの着実な推進を図るため、既設軽水炉に比べて約3倍のプルトニウムを利用することができる、全炉心混合酸化物燃料原子炉の技術開発を実施。

2-2.政策的位置付け

●原子力政策大綱(平成17年10月)

実用化候補技術システムの中から対象を選んで実用化するために計画・実施される研究開発は、原則としてそのシステムによる事業を行う産業界が自ら資源を投じて実施するべきである。国は、その技術システムの実用化が原子力に期待される公益の観点から重要と考えられる場合等に限って、その費用対効果を適宜適切に評価し、支援等を行うべきである。

この段階の主要な取組としては、放射性廃棄物処分技術や改良型軽水炉技術、軽水炉の全炉心MOX利用技術等がある。

2.A.事業の目的・政策的位置付け

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3. A.目標

要素技術 目標・指標(事後評価時点※1)

妥当性・設定理由・根拠等

(1)大容量逃がし安全弁開発試験

格納容器内の配置制約を満足するとともに、保守作業増加を抑制するために、既存技術及び構造をベースに460t/h

級の大容量主蒸気逃がし安全弁(以下、「SRV」という。)を開発する。

フルMOX-ABWRの高燃焼度MOX燃料炉心では、負のボイド反応度係数の絶対値が増加し、加圧過渡事象発生時の原子炉圧力の上昇が大きくなるため、SRVの総吹出し容量を増加する必要がある。弁数増加は、格納容器内の配置制約より難しく、また運転開始以降の保守作業増加となるため、大容量SRVを開発する。

460t/h級のSRVにより、先行炉の18弁から16弁に弁数を削減でき、格納容器内の配置制約を満足するとともに、保守作業を削減できる。

全炉心にMOX燃料を装荷することに伴う、135万kW級全炉心混合酸化物燃料原子炉施設の原子炉系、原子炉冷却系及び燃料取扱設備等に係る技術開発項目について、設計・解析等を実施するともに、実機に設備を設置し試験を行い実規模での年間約1.1トンのプルトニウム利用が図れるフルMOX-ABWRの技術を確立する。

フルMOX-ABWRは世界でも初めてであり、フルMOX-ABWRの特性等を勘案して基本仕様を定め、必要な要素試験を行うとともに、実機にこれを反映し、実際に設備を設置してプラントの特性試験等を行うことによりその技術を確立する。

※1 要素技術開発は、全て終了しているため、事後評価時点の目標・指標のみ記載した。

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要素技術 目標・指標(事後評価時点※1)

妥当性・設定理由・根拠等

(2)インターナルポンプシステム性能向上技術開発試験

最大炉心流量を先行ABWRの111%から120%に増加するため、炉心流量120%に対応した誘導電動機と発電機のセット(以下、「MGセット」という。)、静止型可変電圧可変周波数電源装置(以下、「ASD」という。)及び原子炉冷却材再循環ポンプ(以下、「RIP」という。)を組み合わせた特性確認試験を実施し、制御切替特性、ASD1台トリップ時特性等を確認し、既存技術

と同等の特性を有する、最大炉心流量120%に対応したRIP電源装置を開発する。

フルMOX-ABWRでは、計画外の燃料装荷遅れ等が生じた場合のPuの崩壊、Am生成による余剰反応度の低下に対応するため、ウラン燃料以上に反応度の補償を考慮する必要がある。

計画外の燃料装荷遅れを1年と想定すると反応度補償のために約5%の炉心流量制御幅の追加が必要になる。フルMOX-ABWRでは、先行ABWRの最大炉心流量111%に、上述の装荷遅れと運転裕度確保を考慮し、最大炉心流量を120%に拡大する。

(3)燃料検査装置開発試験

MOX新燃料検査作業員の被ばく低減を

図るため、MOX新燃料の取扱い及び検査作業を遠隔・自動化したMOX燃料検査装置を開発する。

MOX燃料検査装置は、検査時間短縮の観点から複数のMOX新燃料を連続して取扱えるようにし、MOX新燃料の取扱い及び受取検査の目標体数を8時間当たり6体とするとともに作業員の被ばく線量を手作業の1/10程度とする。

現行のウラン燃料検査台を用いて、フルMOX化に対応するため、多数のMOX新燃料の受入検査を実施する場合には、MOX新燃料は、ウラン燃料に比べ表面線量率が高いことから、作業員の被ばく低減対策が必要となる。

MOX燃料検査装置で行う燃料体の取扱い・検査時の作業員の被ばく量については、現行のウラン燃料検査と同等の人員で対策できるよう、手作業時の被ばく量に対して約1/10とすることを目標とした。

※1 要素技術開発は、全て終了しているため、事後評価時点の目標・指標のみ記載した。

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要素技術 目標・指標(事後評価時点※1)

妥当性・設定理由・根拠等

(4)高性能原子炉停止システム開発試験

ボロンカーバイド型制御棒として10Bを50%まで濃縮したボロンカーバイドを用い、制御棒価値を約10%増加させた高価値制御棒を開発する。

高価値制御棒を実機条件において健全に使用することができることを確認するため、原子炉の運転中に制御棒を挿入した状態と同一の条件が得られるように設定した高価値制御棒の供試体を試験炉で照射し、照射後の供試体から得られる試験データに基づいて高価値制御棒の機械的健全性を確認する。

MOX燃料はウラン燃料に比べて燃料自身による熱中性子吸収が大きいことから、ウラン燃料に替えてMOX燃料を用いた場合には、炉心の熱中性子割合が小さくなり、制御棒の中性子を吸収する能力が低下して制御棒価値が減少する傾向がある。また、この傾向は、MOX燃料の高燃焼度化に伴い大きくなる。

したがって、原子炉停止系としての制御棒には、全炉心にMOX燃料を装荷し、さらに将来燃料の高燃焼度化を図ることを前提とした場合にも、ウラン炉心と同等の制御棒価値を持たせ、適切な原子炉停止余裕が確保できるようにする必要がある。

※1 要素技術開発は、全て終了しているため、事後評価時点の目標・指標のみ記載した。

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4. A.成果、目標の達成度

本技術開発の最終成果は、全炉心にMOX燃料を装荷可能な原子炉施設の技術を確立することであり、最終的には特性確認試験により評価を行う。

これまでの成果としては、必要な要素技術の開発を行うとともに、原子炉設置許可申請書の作成に必要な設計及び各種解析を行い、国の安全審査を受け、平成20年度に原子炉設置許可を取得し、また、工事計画認可を得て大間原子力発電所が着工した。現在は、要素技術開発を踏まえ、最終目的である特性確認試験に向けて詳細設計、一部機器の製作、据付を実施中である。

研究開発計画

8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26原子炉設備の設計・製作等

基本設計

基本工事計画

原子炉設備の開発

要素技術開発

大容量逃がし安全弁開発試験

インターナルポンプシステム性能向上技術開発試験

燃料検査装置開発試験

高性能原子炉停止システム開発試験

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要素技術 目標・指標(事後評価時点※1)

成 果 達成度

(1)大容量逃がし安全弁開発試験

格納容器内の配置制約を満足するとともに、保守作業増加を抑制するために、既存技術及び構造をベースに460t/h級の大容量SRVを開発する。

SRV1弁当たりの容量を増加させた大容量SRVを開発した。

開発に当たっては、大容量SRVの設計、試作、試験を行い、大容量SRVが必要な容量を持つこと、現行のSRVと同等以上の機能及び供用中の信頼性を有していることを確認した。

達成

(2)インターナルポンプシステム性能向上技術開発試験

最大炉心流量を先行ABWRの111%から120%に増加するため、炉心流量120%に対応したMGセット、ASD及びRIPを組み合わせた特性確認試験を実施し、制御切替特性、ASD1台トリップ時特性等を確

認し、既存技術と同等の特性を有する、最大炉心流量120%に対応したRIP電源装置を開発する。

炉心流量120%に対応したMGセット、ASD

及びRIPを組み合わせた特性確認試験を行い、電源装置を開発した。さらに、最近のインバータ素子の開発動向を踏まえた、RIP電源装置の最適化を検証するとともに、実機への適用性が評価できた。

達成

(3)燃料検査装置開発試験

MOX新燃料検査作業員の被ばく低減を

図るため、MOX新燃料の取扱い及び検査作業を遠隔・自動化したMOX燃料検査装置を開発する。

MOX燃料検査装置は、検査時間短縮の観点から複数のMOX新燃料を連続して取扱えるようにし、MOX新燃料の取扱い及び受取検査の目標体数を8時間当たり6体とするとともに作業員の被ばく線量を手作業の1/10程度とする。

MOX新燃料の取扱い及び検査作業を遠隔・自動化したMOX燃料検査装置を開発した。

開発に当たっては、燃料検査装置の設計、試作及び模擬燃料を用いた全体組合せ試験を実施するとともに最適な運転手順を確立した。これにより8時間当たり6体の受入検査及び手作業に比べた作業員の被ばく量を約1/10とできる見通しが得られた。

達成

※1 要素技術開発は、全て終了しているため、事後評価時点の目標・指標のみ記載した。

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要素技術 目標・指標(事後評価時点※1)

成 果 達成度

(4)高性能原子炉停止システム開発試験

ボロンカーバイド型制御棒として10Bを50%まで濃縮したボロンカーバイドを用い、制御棒価値を約10%増加させた高価値制御棒を開発する。

高価値制御棒を実機条件において健全に使用することができることを確認するため、原子炉の運転中に制御棒を挿入した状態と同一の条件が得られるように設定した高価値制御棒の供試体を試験炉で照射し、照射後の供試体から得られる試験データに基づいて高価値制御棒の機械的健全性を確認する。

新たにB4C型制御棒として10Bを50%まで濃縮したB4Cを用い、制御棒価値を約10%増加させた高価値制御棒を開発した。

開発に当たっては、供試体の製作、照射試験、照射後試験等を行い、実機条件での高価値制御棒の機械的健全性を確認することができた。

達成

※1 要素技術開発は、全て終了しているため、事後評価時点の目標・指標のみ記載した。

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全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金に係る要素技術開発

(1)大容量逃がし安全弁開発試験

目的フルMOX-ABWRの高燃焼度MOX燃料炉心では、負のボイド反応度係数の絶対値が増加し、

加圧過渡事象発生時の原子炉圧力の上昇が大きくなる傾向にあるため、SRVの総吹出し容量を増加させることとした。実施内容

SRVの総吹出し容量増加に伴い、格納容器内の配置制約を満足するとともに、保守点検作業の増加を抑制するため、SRV1弁当たりの容量を増加させた大容量SRVを開発し、大間原子力発電所に適用した。開発に当たっては、大容量SRVの設計、試作、試験を行い、大容量SRVが必要な容量を持つ

こと、現行のSRVと同等以上の機能及び供用中の信頼性を有していることを確認した。

図 大容量SRV試作弁の外観 図 実流量吹出し試験結果

主蒸気逃がし安全弁(SRV)の総吹出し容量の増加

・保守性の向上を考慮して弁個数を低減18個 → 16個

・1個当たりの安全弁容量を増加(+16%)395t/h → 460t/h

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全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金に係る要素技術開発

(2)インターナルポンプ性能向上技術開発試験

目的フルMOX-ABWRでは、計画外の燃料装荷遅れ等が生じた場合のPuの崩壊、Am生成によ

る余剰反応度の低下に対応するため、ウラン燃料以上に反応度の補償を考慮する必要がある。実施内容計画外の燃料装荷遅れを1年と想定すると反応度補償のために約5%の炉心流量制御幅の追

加が必要になる。フルMOX-ABWRでは、先行ABWRの最大炉心流量111%に、上述の装荷遅れと運転裕度確保を考慮し、最大炉心流量を120%に拡大する。MGセット及びASDについては、炉心流量120%に対する検証がなされていないことから電源容

量を増加し、炉心流量120%に対応したMGセット、ASD及びRIPを組み合わせた特性確認試験を行い電源装置を開発し、大間原子力発電所に適用した。開発に当たっては、最新のインバータ素子技術を反映し、RIP電源装置を最適化(小型化)した。

主ループ

RIP

電気品室

計測制御室

模擬負荷(リアクトル)

模擬負荷(抵抗)

RFC模擬盤

ASD制御盤、ASD主回路盤、出力変圧器 遮断器盤

入力変圧器

電源装置の基本性能及びプラント運転中における外乱発生時の過渡特性を確認した

ASD組合せ試験

ASD +RIP組 合 せ試 験

ASD +RIP組 合せ異 常摸擬試験

MGセット+ASD +RIP組合せ試験

ASD主回路

ASD制御盤

入力変圧器

出力変圧器

<基本性能確認試験> <過渡特性確認試験>

RIP MGセット

図 試験装置 図 炉心流量120%に対する試験結果

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全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金に係る要素技術開発

(3)燃料検査装置開発試験

目的MOX燃料は、ウラン燃料に比べ表面線量率が高いことから、現在のウラン燃料検査台を用いて、

フルMOX化に対応するため多数のMOX新燃料の受入検査を実施する場合には、作業員の被ばく低減対策が必要となる。実施内容このため、MOX新燃料の取扱い及び検査作業を遠隔・自動化したMOX燃料検査装置を開発し、

大間原子力発電所に適用した。開発に当たっては、燃料検査装置の設計、試作及び模擬燃料を用いた全体組合せ試験を実施

するとともに最適な運転手順を確立した。これにより8時間当たり6体の受入検査及び手作業に比べた作業員の被ばく量を約1/10とできる見通しが得られた。

単体性能試験

各ユニット単独で、模擬燃料体、試験用制御装置等を用いて実施。

⇒各ユニットの所要の性能・機能を満足することを確認。

全体組合試験

模擬燃料体等を用いて、試験用制御装置によるプログラム運転で遠隔・自動により実施。

⇒検査装置全体としての機能を確認

図 試験装置

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全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金に係る要素技術開発

(4)高性能原子炉停止システム開発試験

目的MOX燃料はウラン燃料に比して燃料自身による熱中性子吸収が大きいことから、ウラン燃料に

替えてMOX燃料を用いた場合には、炉心の熱中性子割合が小さくなり、制御棒の中性子を吸収する能力が低下し制御棒価値が減少する傾向を持つ。また、この傾向は、MOX燃料の高燃焼度化に伴い大きくなる。したがって、原子炉停止系としての制御棒には、全炉心にMOX燃料を装荷し、さらに将来燃料の高燃焼度化を図ることを前提とした場合にも、ウラン炉心と同等の制御棒価値を持たせ、適切な原子炉停止余裕が確保できるようにする必要がある。実施内容このため、新たにB4C型制御棒として10Bを50%まで濃縮したB4Cを用い、制御棒価値を約

10%増加させた高価値制御棒を開発した。開発に当たっては、供試体の製作、照射試験、照射後試験等を行い、実機条件での高価値制

御棒の機械的健全性を確認することができた。

中性子吸収棒下端部

中性子吸収棒上端部

供試体

図 外観検査結果

図 表層10B燃焼密度とHe放出率の関係

B4C粉末領域

供試体カプセル

Heガス充てん部

スチールウール

エンドプラグ

モニタリング計装へ

図 照射試験体

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5. A.事業化、波及効果

本技術開発の事業化には、フルMOXの技術開発に加え、実機において技術を確立するため、国の指針・基準などへの適合性の確認が必要であり、また技術の普及の観点から、経済性も重要な要素となる。

本技術開発は、電源開発㈱の大間原子力発電所計画と整合しつつ着実に進めていることから、フルMOXの技術開発のみならず、実機での技術確立、技術の普及の観点からも事業化は確実なものである。

本技術開発によりフルMOX-ABWRの技術が確立することになり、大間原子力発電所以外でもフルMOX-ABWRの設置が可能となる。

また、発電所の運転により蓄積される各種データは、軽水炉におけるMOX燃料利用の更なる拡大の可能性にも繋がる貴重なデータである。

要素技術開発では機器の性能向上等が図られておりこの成果は、フルMOXのみならず、通常のABWRプラントにおいても活用されることが期待できる。

実際、要素技術開発にて実施された大容量逃がし安全弁開発試験及びインターナルポンプシステム性能向上技術開発試験の成果が他のABWRにおいても活用もしくは採用予定となっている。

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本技術開発では、下図に示すとおり、電源開発㈱が実施主体となり、推進と運営を行っている。また、実際の設計や試験等は、大間原子力発電所の供給者(メーカ)である日立GEニュークリア・エナジー㈱に外注して進めている。更に電力会社各社からの協力も得つつ進めている。

電源開発㈱はフルMOX-ABWRの開発以前から全炉心でMOX燃料が利用できる重水炉である新型転換炉実証炉の設計、技術確証試験を行うなどMOX燃料利用の知見を有していたことから、平成7年の原子力委員会決定において電源開発㈱がフルMOX-ABWRの開発を行うことが妥当と報告されている。

6. A.研究開発マネジメント・体制等

1/2補助

外注 設計管理

協力

経済産業省 資源エネルギー庁

電力・ガス事業部 原子力政策課

電源開発株式会社

原子力建設部他電力会社

日立GEニュークリア・エナジー㈱

・原子炉設備の設計・製作等

・要素技術開発

他BWRメーカ

成果の開示

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2.技術に関する事業の概要2.D.革新的実用原子力技術開発費補助金に係る事業

① GIFの国際協力による超臨界圧水冷却炉(SCWR)の開発(フェーズⅠ)

資 源 エ ネ ル ギ ー 庁電 力 ・ ガ ス 事 業 部原 子 力 政 策 課

(株) 東 芝(財)エネルギー総合工学研究所

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2.D.事業の概要

概 要

実施期間

予算総額

実 施 者

プロジェクト

リーダー

平成20年度~平成22年度(3年間)

1.4億円(平成20年度:0.4億円 平成21年度:0.5億円 平成22年度:0.5億円)

株式会社 東芝、財団法人 エネルギー総合工学研究所、国立大学法人 東京大学、国立大学法人 九州大学、国立大学法人 京都大学、独立行政法人 日本原子力研究開発機構、日立GEニュークリア・エナジー株式会社、株式会社 日立製作所

松井 秀樹 京都大学教授

第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)において開発を推進している超臨界圧水冷却炉(SCWR)の研究開発に国内関係機関でコンソーシアムを組んで参加し、国際協力により研究開発を促進して、SCWRの実現可能性を評価する。

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2

2-1.目的

我が国が積極的に参加している国際協力枠組みにおいて国際連携による研究開発が提案されている技術分野を対象として、国内民間企業及び研究機関で行われ実用化が見込まれる技術開発を公募し、そのうち優れた提案に対してその技術開発のための経費の補助を行う。

2-2.政策的位置付け

我が国は、原子力産業の国際競争力強化を図るとともに、我が国の核燃料サイクルを確かなものとする観点から、GIFや日米共同行動計画等の国際協力の枠組みに積極的に参加しているところ。近年、世界の原子力市場は大幅な拡大が見込まれており、世界市場や国際協力の場でのプレゼンスを確保できるかどうかが、我が国原子力産業の競争力強化の鍵となっている。革新的な実用技術の開発を国際協力の下で実施することは、我が国原子力産業の国際展開に資するものと期待される。

2.D.事業の目的・政策的位置付け

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3.D.目標(1/4)

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

GIF活動による研究開発協力の推進

GIF活動への参画(情報の提供と入手)

GIF の SCWR開発会議への出席及びGIF活動全体の動向調査

本事業では、GIFの国際協力を通してSCWR開発を推進するため、GIF会議に代表者を送り、日本として貢献をする。また、GIF開発目標達成度評価方法等を調査し、国内関係機関に伝達する。

日本型SCWR(JSCWR) 概念の実現可能性の客観的評価

JSCWR 概 念のチェック&レ ビ ュ ー(C&R)会議の計画立案

本事業の目的であるJSCWR概念の実現可能性評価の客観性を高めるため、GIFメンバーによるC&Rを受ける計画とした。

GIFの国際協力を通してSCWRの研究開発を促進し、その実現可能性を評価する。

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3.D.目標(2/4)

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

システム統合・

評価に関する

技術開発

高機能炉心の

技術的成立性

評価

ロバスト性を

考慮した炉心

・燃料仕様を

決定し、安全

評価及び燃

料挙動評価

により、技術

的成立性を

確認

GIFの開発目標である経済性向上

を達成するためには、高機能炉心(高出口温度/高出力密度炉心)の

成立性が必須である。

設定した炉心・燃料仕様により、

・プラント安全性が確保できること

・燃料被覆管の健全性が寿命中

保てること

を示す必要がある。

GIFの国際協力を通してSCWRの研究開発を促進し、その実現可能性を評価する。

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3.D.目標(3/4)

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

伝熱流動・安全

に関する技術

開発

JSCWR概念

設計に必要な伝熱流動相関式の選定

公開文献及び国 内 機 関 のデータを基にデータベースを構築し、最適な相関式を選定

超臨界圧流体の試験データ間のばらつきが大きいため、設計に用いる相関式を提供するためには、信頼性の高い試験データベースを構築する必要がある。

燃料内熱流動現象の把握とスペーサ効果の評価

超臨界圧水の流動解析に適した乱流モデルを比較検討し、予備解析を実施

数値流体力学(CFD)により高温・高圧条件の試験を補完し、コストと時間を節約する。将来、CFDによる炉心熱設計を可能にする準備として、炉心内熱流動解析の予測精度を評価する。

GIFの国際協力を通してSCWRの研究開発を促進し、その実現可能性を評価する。

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3.D.目標(4/4)

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

材料・水化学に関する技術開発

JSCWR候補材料の選定

既存の材料・水化学データの整理及び評価

これまでに取得されたデータを整理してデータベースを構築し、そこから候補材料の適用性を評価して選定する。

材料データの充実及び評価手法の精度向上

候補材料の長時間腐食特性評価

これまでのデータでは長時間の腐食特性を評価できるデータがないため、短時間試験結果の外挿で評価している。この妥当性を検証するため、長時間腐食特性試験を実施する。

GIFの国際協力を通してSCWRの研究開発を促進し、その実現可能性を評価する。

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4.D.成果、目標の達成度(1/4)

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

GIF活動による研究開発協力の推進

GIF活動への参画(情報の提供と入手)

GIF の SCWR開発会議への出席及びGIF活動全体の動向調査

GIFのSCWR開発会議へ代表者を派遣し、日本の開発方針・意見を提示した。GIFのWG活動状況を調査し、国内関係機関に情報を伝達した。経済性評価手法については、WGメンバーによる説明会を開催した。

達成

日本型SCWR(JSCWR) 概念の実現可能性の客観的評価

JSCWR 概 念のチェック&レ ビ ュ ー(C&R)会議の計画立案

C&R会議の基本計画を作成し、GIFステアリング会議メンバーの協力を取り付けた。

達成

GIFのSCWR開発において、各分野の協力が進んだ。日本型SCWR(JSCWR)概念がまとまりつつある。

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8

4.D.成果、目標の達成度(2/4)

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

システム統合・

評価に関する

技術開発

高機能炉心の

技術的成立性

評価

ロバスト性を

考慮した炉心

・燃料仕様を

決定し、安全

評価及び燃

料挙動評価

により、技術

的成立性を

確認

炉心設計を改良し、目標仕様

を満足する概念を構築した。

統計評価により被覆管温度

のロバスト性向上を図った。

JSCWRプラントの安全評価

解析モデルを構築し、事故

・異常過渡時の挙動を解析

した。

定常運転時及び異常過渡時

の燃料挙動を評価した。

達成

GIFのSCWR開発において、各分野の協力が進んだ。日本型SCWR(JSCWR)概念がまとまりつつある。

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炉心・燃料仕様の設定

炉心断面図と燃料装荷パターン

燃料集合体断面図

燃料集合体の装荷パターン・燃料棒の出力分布等を最適化して、目標を満足する炉心・燃料の仕様を設定した。

Gd入り燃料棒

Gdなし燃料棒

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JSCWRプラントの安全評価結果

600

700

800

900

1000

1100

1200

1300

600

700

800

900

1000

1100

1200

1300

小破断LOCA

大破断LOCA

事故の判断基準

異常な過渡変化の判断基準

高温待機中の

制御棒の落下

出力運転中の

制御棒の落下

原子炉冷却材

ポンプの軸固着

原子炉冷却材

流量の全喪失

圧力制御系の故障

冷却材流量制御系の

誤動作高

温待機中の

制御棒引き抜き

出力運転中の制御棒の

異常な引き抜き

主蒸気隔離弁の誤閉止

負荷喪失(タ

ービン

バイパス不作動)

外部電源喪失

原子炉冷却材

流量の部分喪失

補助給水系の

誤起動

給水加熱喪失

被覆

管表

面最

高温

度[℃

]

異常な過渡変化事象 事故事象

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11

4.D.成果、目標の達成度(3/4)

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

伝熱流動・安全

に関する技術

開発

JSCWR概念

設計に最適な伝熱流動相関式の選定

公開文献及び国 内 機 関 のデータを基にデータベースを構築し、最適な相関式を選定

公開の試験データ及び国内の関係機関で得られた試験データを整理・統合したデータベースを作成し、JSCWRの設計に最適な

熱伝達率相関式及び圧力損失相関式を選定した。

達成

燃料内熱流動現象の把握とスペーサ効果の評価

超臨界圧水の流動解析に適した乱流モデルを比較検討し、予備解析を実施

乱流モデルについて検討し、最も適切な解析結果が得られる乱流モデルを選定した。乱流熱伝達率予測手法の開発に目途をつけた。

達成

GIFのSCWR開発において、各分野の協力が進んだ。日本型SCWR(JSCWR)概念がまとまりつつある。

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伝熱流動・安全に関する技術開発の概要とこれまでの成果

設計コードへ反映

データベースの構築公開文献、国内機関のデータ

最適な伝熱流動相関式の選定熱流動解析技術の整備

評価解析結果評価解析を実施スペーサ評価機能を確認

検証データ

乱流熱伝達率予測手法の開発最も適切な解析結果が得られる乱流モデルを選定

最適な熱伝達率相関式、圧力損失相関式を選定

12

これまでの成果

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4.D.成果、目標の達成度(4/4)

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

材料・水化学に関する技術開発

JSCWR 候 補材料の選定

既存の材料・水化学データの整理及び評価

既存のデータを収集・整理し、 JSCWR候補材として適用性を評価した。

達成

材料データの充実及び評価手法の精度向上

候補材料の長時間腐食特性評価の準備・開始

長時間の腐食挙動の経時変化データを取得するため、長時間腐食特性試験を開始した。

達成

GIFのSCWR開発において、各分野の協力が進んだ。日本型SCWR(JSCWR)概念がまとまりつつある。

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5.D.事業化、波及効果

成果の事業化のシナリオ

1.事業化(実用化)までを4つのフェーズに分ける。Ⅰ.実現可能性評価⇒Ⅱ.性能最適化⇒Ⅲ.実証⇒Ⅳ.実用化

2.フェーズⅠ/Ⅱは、GIFを通した国際協力で基盤技術(伝熱流動、材料等)の研究開発を進める。

3.フェーズⅢは、GIFの延長として、または別の枠組みを構築して、多国間協力として実施する。

波及効果

1.超臨界圧流体の伝熱流動解析技術が進み、他の技術開発への適用が可能になる。

2.超臨界圧水中で使用できる材料が開発され、他の分野(化学プラント等)への応用ができる。

3.連携機関の大学で学生の学位論文等のテーマになり、原子力分野の人材育成につながる。

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目標:高機能炉心の成立性を示す

①高機能炉心の技術的成立性が示せること。

②経済性でGIF開発目標達成の目処がついていること、または最新軽水炉に対して優位である可能性が示せること

フェーズⅠ(実現可能性)

SCWR開発におけるフェーズⅠ/Ⅱ/Ⅲの位置付け

フェーズⅡ(性能最適化)目標:プラント全体の課題を解決する

①詳細設計・許認可に必要な技術的課題が解決されていること

②経済性等のGIF開発目標値の達成、または最新軽水炉と比較して優位であることが確認されていること

フェーズⅢ(実証)

目標:プラント建設の課題を解決

①各種実証試験・機器試作により設計の実証ができること

②原型炉の建設・運転・試験等によりプラント性能が確認できること

実用炉の建設・運転

2008年度~2010年度(本事業) 2011年度~2016年度

2017年度~2030年度

2030年代

(参考)

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6.D.研究開発マネジメント・体制等

GIFシステム統合・評価PMB代表燃料内サブチャンネル解析システム特性解析

伝熱流動試験データの評価

GIF伝熱流動・安全PMB代表

熱流動解析技術の評価

材料・水化学に関する技術開発取りまとめ

システム統合・評価に関する技術開発

GIF材料・水化学PMB代表

材料・水化学データベース構築

GIFシステムステアリング会議代表

材料・水化学データの評価

プロジェクト管理/計画立案システム統合・評価に関する技術開発伝熱流動・安全に関する技術開発

総括代表機関:株式会社 東芝

総括代表機関:エネルギー総合工学研究所 GIF活動全体の動向調査・情報伝達、助言GIF/SCWRプロジェクト取決め(PA)署名機関

連携機関:九州大学

連携機関:日本原子力研究開発機構

連携機関:日立GEニュークリア・エナジー(株)

連携機関:株式会社 日立製作所

連携機関:京都大学

連携機関:東京大学

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2.技術に関する事業の概要2.D.革新的実用原子力技術開発費補助金に係る事業

② GNEPの中・小型炉に適合する大口径高温電磁ポンプとパッシブなフローコースト補償電源の研究開発

③ GNEPの中・小型炉に適合する高信頼性ヘリカル二重

伝熱管蒸気発生器の研究開発

資 源 エ ネ ル ギ ー 庁電 力 ・ ガ ス 事 業 部原 子 力 政 策 課

(株) 東 芝

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1

2.D.事業の概要

概 要

実施期間

予算総額

実 施 者

プロジェクト

リーダー

平成20 年度~平成22 年度 (3年間)

10.8億円(平成20年度:3.5億円 平成21年度:5.6億円 平成22年度:1.7億円)

株式会社 東芝

株式会社 東芝 原子力開発設計部

FBR・新型炉システム担当 有江 和夫 (担当部長)

国際協力の一環として、米国エネルギー省が推進するGNEPにおける日米協力の一環として、核拡散抵抗性が高く、発展途上国、電力送電網等のインフラが十分に整っていない地域等にも適用できる小型原子炉4Sを提案している。本補助事業は、4Sの早期実現に向けた技術課題の解決を目的として、高い信頼性を有するヘリカル二重伝熱管蒸気発生器とNa浸漬型高温電磁ポンプの開発を推進する。

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外管

内管

組網線層(0.4mm)

Heを充填(漏洩検出用)水・蒸気

2次Na

組網線入り二重伝熱管断面

水・蒸気

2次Na

外/Na

He層に流入した湿分を検出

Na層に流入し

たHeを検出

内管破損時 外管破損時

二重伝熱管

伝熱管破損モニタリング

Na中に流入したHeを検出

外/Na

He層に流入した湿分を検出

Na層に流入し

たHeを検出

内管破損時 外管破損時

二重伝熱管

伝熱管破損モニタリング

外/Na

He層に流入した湿分を検出

Na層に流入し

たHeを検出

内管破損時 外管破損時

二重伝熱管

伝熱管破損モニタリング

Na中に流入したHeを検出

組網線入り二重伝熱管蒸気発生器

リーク検出機能により水・ナトリウム反応を防止

2

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コイル鉄心

ダクト

ナトリウム電磁ポンプ

Na流路

大口径電磁ポンプ

電磁ポンプの構成

可動部がない

(信頼性が高い)

回転部品が不用

(メンテナンス性が高い)

無液面

(設置自由度が高い)

浸漬型

(熱回収可能)

電磁ポンプの特徴

4S断面図と大口径電磁ポンプ

3

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2-1.目的

我が国が積極的に参加している国際協力枠組みにおいて国際連携による研究開発が提案されている技術分野を対象として、国内民間企業及び研究機関で行われ実用化が見込まれる技術開発を公募し、そのうち優れた提案に対してその技術開発のための経費の補助を行う。

2-2.政策的位置付け

我が国は、原子力産業の国際競争力強化を図るとともに、我が国の核燃料サイクルを確かなものとする観点から、GIFや日米共同行動計画等の国際協力の枠組みに積極的に参加しているところ。近年、世界の原子力市場は大幅な拡大が見込まれており、世界市場や国際協力の場でのプレゼンスを確保できるかどうかが、我が国原子力産業の競争力強化の鍵となっている。革新的な実用技術の開発を国際協力の下で実施することは、我が国原子力産業の国際展開に資するものと期待される。

2.D.事業の目的・政策的位置付け

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3.D.目標

GNEP中・小型炉へ適合する高信頼性ヘリカル二重伝熱管蒸気発生器の研究開発

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

設定理由・根拠等

(1)管―管継ぎ手の開発 組網線入り二重伝熱管の管-管溶接に関して、

内/外管各々の溶接装置を開発、試験を行い、組網線部を閉塞しない良好な溶接断面を製作する技術を確立する。

平成22年9月まででは、

内外管溶接装置(長尺管用ヘッド・送り装置、連絡管用ヘッド・送り装置)を開発し溶接試験から条件検討を完了する。さらに、通気率試験装置の製作を完了する。

組網線入り二重伝熱管の管-管溶接では、組網線部を閉塞している内管同士、外管同士の溶接技術開発が必要。また、内管同士の溶接は、長尺管同士の溶接とするため、遠隔での実施が必要である。従って、開発の重要課題として選定した。

(2)二重伝熱管蒸気発生器組み立てプロセス開

溶接後のヘリカル加工によって通気性があることで、溶接継ぎ手の健全性を確認する。

平成22年9月まででは、二重伝熱管の3次元ヘリ

カル加工のための要素技術として、単管でのヘリカル加工、実機製作時を考慮した現地加工が可能なポータブル開先加工装置の開発・試験を完了した。

実機形状であるヘリカルコイル形状において、溶接部が通気性を有した良好なものであると確認することは、重要であり研究項目として選定した。

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GNEP中・小型炉へ適合する大口径電磁ポンプと

パッシブなフローコースト補償電源の開発研究

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

設定理由・根拠等

(3)大口径電磁ポンプの開発

4Sに対応した実規サイズの大口径電磁ポンプのステータ機構の製作性と高温状態の電気特性を確認し、設計定格の確認、ポンプ特性の取得、運転制御性を把握することを目標とする。

平成22年度9月まででは、大口径電磁ポンプのステータ機構の製作性、高温状態の電気特性と設計定格を確認することを目標とする。

大口径電磁ポンプの実現において外径が大きいステータの健全性は重要である。さらに、設計定格の確認、ポンプ特性取得、運転制御性の把握は、プラントの運転に反映することができる。

(4)バックアップ電源システムの開発

バックアップ電源としてフライホイール付同期機のフローコーストダウン特性を把握し、フライホイール付同期機の適用性を評価することを目標とする。

平成22年度9月まででは、フライホイール付同期機の設計を行うことを目標とする。

電磁ポンプ電源喪失時のフローコーストダウン特性は、被覆管などの健全性を確保する観点から非常に重要であり、本研究の結果がプラントへ反映できる。

(5)長期間メンテナンスフリーの開発

コイル絶縁や電磁コイル間に設置する接続線のロウ付け部の要素レベルを対象とした加速寿命試験を行い、寿命を評価することを目標とする。

平成22年度9月まででは、試験体及び加速寿命試験装置の設計を目標とする。

30年間の長期メンテナンスフリーの実現へ反映ができる。

6

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4.D.成果、目標の達成度

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成果

(1)管―管継ぎ手の開発

組網線入り二重伝熱管の管-管溶接に関し

て、内/外管各々の溶接装置を開発、試験を行い、組網線部を閉塞しない良好な溶接断面を製作する技術を確立する。

平成22年9月までで

は、内外管溶接装置(長尺管用ヘッド・送り装置、連絡管用ヘッド・送り装置)を開発し溶接試験から条件検討を完了する。さらに、通気率試験装置の製作を完了する。

伝熱管長尺化のための継ぎ手構造の製造技術確立に向け、開先加工、溶接方法・条件等のデータを採取し、条件検討を完了した。また、溶接には内外管の個別接合が必須であるため、内管溶接用の小型溶接ヘッド溶接装置及び外管溶接用の溶接装置の設計・検討を実施した。さらに、組網線部の通気率測定装置を製作した。

GNEP中・小型炉へ適合する高信頼性ヘリカル二重伝熱管蒸気発生器の研究開発

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(従来型)内外管とも外側から溶接

課題

・外管の埋戻が必要・溶接部が大きくなり均一性の確保が困難

(改良型)外管は外側から、

内管は内管内側から溶接

課題

・内管に挿入可能なヘッ

ドの小型化が必要・内管ヘッドの遠隔操作と精密な制御が必要

内管溶接 外管溶接 完成

溶接ヘッド 溶接ヘッド

(従来型)内外管とも外側から溶接

課題

・外管の埋戻が必要・溶接部が大きくなり均一性の確保が困難

(改良型)外管は外側から、

内管は内管内側から溶接

課題

・内管に挿入可能なヘッ

ドの小型化が必要・内管ヘッドの遠隔操作と精密な制御が必要

内管溶接 外管溶接 完成

溶接ヘッド 溶接ヘッド

溶接プロセスの改良

内管の溶接は内側から実施することで溶接金属部を小型化

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組網線入り二重管断面(mod.9Cr-1Mo)

組網線層0.4mm

二重管溶接の概念図(mod.9Cr-1Mo)

組網線層(0.4mm)

外側からレーザ照射して溶接

レーザ内部に溶接ヘッドを挿入して溶接

回転

外管

内管

組網線入り二重管断面(mod.9Cr-1Mo)

組網線層0.4mm

二重管溶接の概念図(mod.9Cr-1Mo)

組網線層(0.4mm)

外側からレーザ照射して溶接

レーザ内部に溶接ヘッドを挿入して溶接

回転

外管

内管

組網線層(0.4mm)

外側からレーザ照射して溶接

レーザ内部に溶接ヘッドを挿入して溶接

回転

外管

内管

内管溶接ビード溶接後の二重伝熱管断面

組網線入り二重伝熱管断面と継ぎ手溶接技術

組網線入り二重伝熱管の製造技術開発

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要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成果

(2)二重伝熱管蒸

気発生器組み立てプロセス開発

溶接後のヘリカル加工によって通気性があることで、溶接継ぎ手の健全性を確認する。

平成22年9月まで

では、二重伝熱管の3次元ヘリカル加

工のための要素技術として、単管でのヘリカル加工、実機製作時を考慮した現地加工が可能なポータブル開先加工装置の開発・試験を完了する。

内管用、外管用溶接装置を設計・製作し、良好な伝熱管継ぎ手部の溶接が出来る設備を設計・製作した。また、ポータブルな開先加工装置の開発・試験を完了した。

GNEP中・小型炉へ適合する高信頼性ヘリカル二重伝熱管蒸気発生器の研究開発

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組網線入り二重伝熱管溶接部の断面組織・強度

溶接継ぎ手の強度は母材レベルを確保

ビッカース硬さ評価

溶接後強度確認

・引張試験:溶接領域外で破断強度692-719MPa

・740℃/8.4hrの熱処理効果を確認

内管溶接部引張強度評価

母材強度(規格値)

溶接部の断面組織

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GNEP中・小型炉へ適合する大口径電磁ポンプと

パッシブなフローコースト補償電源の開発研究

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成果

(3)大口径電磁ポンプの開発

4Sに対応した実規

サイズの大口径電磁ポンプのステータ機構の製作性と高温状態の電気特性を確認し、設計定格の確認、ポンプ特性の取得、運転制御性を把握することを目標とする。

平成22年度9月ま

ででは、大口径電磁ポンプのステータ機構の製作性、高温状態の電気特性と設計定格を確認することを目標とする。

大口径電磁ポンプの実現において外径が大きいステータの健全性は重要である。さらに、設計定格の確認、ポンプ特性取得、運転制御性の把握は、プラントの運転に反映することができる。

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大口径電磁ポンプの開発

Φ3.3m

電磁ポンプ

ナトリウム流動試験装置

1.8m

4S実機サイズの大口径電磁ポンプ及び流動試験装置の完成

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0

20

40

60

80

100

0 2 4 6 8 10 12 14流量 [m3/min]

揚程

[kPa

]

5[Hz]

9[Hz]

15[Hz]

ナトリウム温度 356 ℃ 電圧/周波数=一定

10.6

計測結果

設計定格点

50

18[Hz]

大口径電磁ポンプの開発(ポンプ特性試験)

計測結果は、4Sで要求される設計定格が満足することを確認

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GNEP中・小型炉へ適合する大口径電磁ポンプと

パッシブなフローコースト補償電源の開発研究

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成果

(4)バックアップ電源システムの開発

バックアップ電源としてフライホイール付同期機のフローコーストダウン特性を把握し、フライホイール付同期機の適用性を評価することを目標とする。

平成22年度9月まででは、フライホイール付同期機の設計を行うことを目標とする。

本開発により、電磁ポンプとフライホイール付同期機を並列駆動できる電源制御システムを検討した。フライホイール付同期機の設計が完了した。フローコーストダウン特性の動特性解析では、要求半減時間が満足することを確認した。

(5)長期間メンテナンスフリーの開発

コイル絶縁や電磁コイル間に設置する接続線のロウ付け部の要素レベルを対象とした加速寿命試験を行い、寿命を評価することを目標とする。

平成22年度9月まででは、試験体及び加速寿命試験装置の設計を目標とする。

本開発より、加速寿命試験計画と加速寿命試験装置の設計が完了した。

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電磁ポンプとフライホイール付同期機の電源構成

バックアップ電源システムの開発

フライホイール付同期機の概略構造

動特性解析によるフローコーストダウン特性

フライホイール付同期機の設計が完了動特性解析では要求半減時間が満足することを確認

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5.D.事業化、波及効果

(1)成果の高度化等に関する波及効果の事例・大型炉への電磁ポンプ、蒸気発生器合体機器への応用・2次系削除型タンク型炉への応用

・大型炉への組網線二重伝熱管蒸気発生器への応用(内管/外管の常時リーク監視が可能。)

(2)当初想定していなかった波及効果の事例特に無し。

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本プロジェクトは、小型高速炉4Sに適用する革新技術の設計に反映する

ことから、計画的に重要要素試験、製作性の確認などが行われている。二重管蒸気発生器及び大口径電磁ポンプの研究開発は、それぞれ要素技術ごとに達成すべき具体的な目標、設計方針、試験内容を設定して、計画的に試作や試験などを実施している。このことから、各要素技術の開発内容、スケジュールは妥当である。

また、この成果は、今後我が国が海外の遠隔地、砂漠化地域等へのエネルギー安全保障と地球温暖化問題解決のため適用可能な小型炉高速炉4Sに用いられ、我が国の原子力利用技術の高度化と国際展開につながる。

本研究開発は、公募による選定審査手続きを経て、(株)東芝が経済産業省からの補助を受けて実施した。また、研究開発の実施に当たっては、研究開発を統括するためのプロジェクトリーダー((株)東芝 原子力開発設計部 FBR・新型炉システム担当 有江 和夫)を設置した。

6.D.研究開発マネジメント・体制等

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(株)東芝 原子力事業部 原子力開発設計部

○全体取りまとめ○機器・システム仕様策定○試験計画策定○蒸気発生器要求仕様策定

(株)東芝 電力・社会システム技術開発センター

機械システム開発部○内管溶接装置設計試作○外管溶接装置設計試作○レーザ溶接装置動作検証

(株)東芝 電力・社会システム技術開発センター

金属材料開発部○レーザ溶接試験○二重管管ー管継ぎ手溶接部の材料評価○二重管特性(通気率測定、熱伝導測定)試験

○外管溶接装置設計・試作○連絡管溶接装置設計・試作○レーザ溶接装置制御盤改造

外注メーカー

GNEP中・小型炉へ適合する

高信頼性ヘリカル二重伝熱管蒸気発生器の研究開発の実施体制図

19

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(株)東芝 原子力事業部 原子力開発設計部○全体取りまとめ○機器・システム仕様策定○試験計画策定○電磁気解析評価

(株)東芝 原子力事業部 機器装置部○FW同期機の設計○FW試作○FW組立○FW+電動機の機能確認試験

○ポンプの健全性、外観検査

(株)東芝 原子力事業部 原子力計装設計部

○電源制御システム・計装の検討

(株)東芝 電力・社会システム技術開発センター

○電源制御システム・計装の検討

(株)東芝 電力・社会システム技術開発センター

機械システム開発部○Na流動試験装置の購入○Na試験実施要領書の作成○Na実流ポンプ特性試験実施

○組み合わせ試験

○電源・計測制御装置の設計・製作○FW据付工事○FW同期機電気工事○FW電源制御装置

外注メーカー

GNEP中・小型炉へ適合する大口径高温電磁ポンプとパッシブなフローコースト補償電源の研究開発の実施体制図

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0

2.技術に関する事業の概要2.E.次世代軽水炉等技術開発費補助金に係る事業

資 源 エ ネ ル ギ ー 庁電 力 ・ ガ ス 事 業 部原 子 力 政 策 課

財団法人エネルギー総合工 学 研 究 所

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1

2.A.事業の概要

概 要

実施期間

予算総額

実 施 者

プロジェクト

リーダー

平成20年度~平成27年度(8年間)

51.3億円(平成20年度:12.5億円 平成21年度:19.4億円 平成22年度:19.4億円)

財団法人 エネルギー総合工学研究所

(財)エネルギー総合研究所 原子力工学センター 笠井滋

2030年前後に見込まれる代替炉の建設需要に備え、高い安全性・経済性等を有し、世界標準を獲得できる次世代軽水炉を開発する。

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2

2-1.目的

2030年前後に見込まれる代替炉の建設需要に備え、高い安全性・経済性等を有し、世界標準を獲得できる次世代軽水炉を開発する。

2-2.政策的位置付け原子力発電に係る施策については、原子力政策大綱において、「2030年前後

から始まると見込まれる既設の原子力発電施設の代替に際しては、炉型としては現行の軽水炉を改良したものを採用する。原子炉の出力規模はスケールメリットを享受する観点から大型軽水炉を中心とする。」とされている。

また、エネルギー基本計画において、「我が国は、2030年前後に見込まれる既設炉のリプレース需要の本格化に対応し、安全性・経済性・信頼性等に優れた国際競争力のある次世代軽水炉の開発に、官民一体となって取り組んでいる。これまで行ってきた概念設計検討、要素技術開発等を踏まえ、次世代軽水炉の円滑な開発・導入を促進する。」と評価されている。

この原子力政策大綱、エネルギー基本計画に基づき合理的な範囲内で原子力発電の自主性を確保することを目指し、施策の取組が行われてきている。

2.A.事業の目的・政策的位置付け

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3

3. A.目標全体の目標設定

目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

設定理由・根拠等

2015年の基本設計終了時における目標としては以下を設定・国際市場で検討が進められている各種プラントに対し、安全性、経済性等に関して十分な優位性があること・建設地域の不安感を可能な限り排除し、社会に受け入れられやすいこと・国際的な標準炉となりうるものであること・対応する指針、規格・基準が整備されていること

2010年度以降の開発計画への反映・見直しを判断するための判断基準を設定・安全性、経済性、社会受容性、運営・運転・保全、国際標準に対する設計目標を達成の見通しが得られていること・各要素技術について、それぞれ設定している判断基準を満足していること

開発にあたっては、大規模かつ長期に亘るプロジェクトであることから、2010年度上期までに中間評価のための全体ホールドポイント(以下「HP」と略す。)を設け、当初2年間の成果及び進捗状況等を多面的かつ総合的に評価することとした。

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4

個別要素技術の目標設定(1/4)

プラント概念

目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

1.基本条件 ・電気出力: 170~180万kW・共通技術を採用し、標準化効果を阻害せずに

80~100万kWにも対応可能

左記目標の達成

見通しを得ること

スケールメリット追求と電力系統への影響を考慮した。

国内外において、中型炉に対する需要を考慮した。

2.安全性 ・国際的に遜色のない水準の炉心損傷頻度及び

格納容器機能損失頻度

・シビアアクシデント対策を設計上考慮

左記目標の達成

見通しを得ること

これまでに達成してきた安全性を確保しつつ、シビアアクシデント

対策に加えたプラントが世界的に望まれていることを考慮した。

3.経済性 ・建設単価(成熟機):約13万円/kW・建設期間: 30ヶ月以下(岩盤検査~運転開始)

かつ建設工期が遵守できること

・時間稼働率: 97%(寿命平均)、24ヶ月運転サイ

クル

・設計寿命: 80年

・発電コストは他電源に対し競争力を有すること

左記目標の達成

見通しを得ること

経済性に関し、国内外ユーザ共に炉型選定の際、最も着目するの

は建設費である。また、発電コストは、特に海外において他電源に

対する競争力の指標として原子力建設の意志決定における重要

な因子であることを考慮した。建設期間は建設費低減、時間稼働

率、設計寿命は発電コスト低減に寄与することを考慮した。

目標、根拠等については、プラント概念と要素技術に分けて、記載する。

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5

プラント概念

目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

4.社会的

受容性

・環境への放射性物質の大規模放出の確率

を十分に低くできる設計であること

・地震・津波に関する残余のリスクへの裕度を

確保

・米欧の航空機落下とセキュリティ対策に対応可

・従事者線量: 現行水準を十分に下回るもの

であること

左記目標の達成見通しを

得ること

周辺住民への影響を十分低減させること、航空機落下、地震

や津波などの外的事象やセキュリティに対する裕度を向上し

たプラントが世界的にも望まれていることを考慮した。 また、プ

ラントの運用上、従事者の被ばく低減を考慮した。

5.運営・

運転・保全

・保守物量: 現行最新プラントの50%・保守性の向上、保守負荷の平準化

・炉心設計: 取出平均燃焼度70GWd/t、全炉心MOX対応可

・新技術はプラント導入時までに十分な成熟度

を有すること

左記目標の達成見通しを

得ること

国内ユーザの豊富なプラントの運営や運転経験を反映し、保

守性をさらに向上させた設計は、国内外のユーザに受け入れ

られやすいことを考慮した。

炉心・燃料については、より効率的なウラン消費を考慮した。

新技術については、実運用前の実証性が重要との観点から、

設定した。

6.国際標準 ・米欧の許認可・規格基準類へ対応可能

・立地条件によらずに標準的な設計が可能

左記目標の達成見通しを

得ること

海外展開に対し、当該国の許認可対応は必須であること、国

内外の立地に際し、標準的な設計を行うことで、国際的な競争

力の強化につながることを考慮した。

個別要素技術の目標設定(2/4)

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要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

経済性(建設単価・発電コスト低減)

BWR/PWR共通

・次世代軽水炉燃料の開発

(ウラン濃縮度10%未満)

・免震装置の実証

BWR・BWR次世代燃料の開発

・スペクトルシフト燃料の開発

・高性能炉心燃料気液二相流挙動解明

試験技術開発

・原子炉内流動試験及び解析手法開発

・SC構造格納容器の開発

PWR・PWR次世代燃料の開発

・高度化炉心の開発

・高性能蒸気発生器伝熱管材料の開発

・高性能蒸気発生器の開発

・船殻構造格納容器の開発

使用済み燃料削減、燃料経済

性向上

立地条件によらないプラントの

標準化

高燃焼度化に対する被覆管の

健全性向上

省ウラン化

燃料設計の自由度拡大による

燃料サイクルコスト低減

大型燃料適用時の、炉内構造

物健全性確保

建設工期の大幅短縮

高燃焼度化、冷却材の高温化

に対する被覆管の健全性向上

炉心特性最適化による発電コ

スト低減

長寿命化と放射性腐食生成物

低減

プラント効率向上

建設工期の大幅短縮

成立性確認

成立性確認

候補材選定

成立性確認、省ウラン

効果確認

研究計画が策定されていること(平成22年度開始)

研究計画が策定されてい

ること(平成23年度開始)

成立性確認

候補材選定

研究計画が策定されてい

ること(平成23年度開始)

候補材選定

研究計画が策定されてい

ること(平成23年度開始)

同上

要素技術については、プラント概念成立に必要な技術、

特長を伸ばす技術を選定している。

・炉心・燃料技術はウラン燃料を効率的に燃焼させ、発

電コスト低減、燃料健全性を確保し、発電コスト、稼

働率向上を図る。

・免震装置は標準化効果による建設費低減を図る

・格納容器建設技術は工期短縮による建設費低減を図

る。

・PWRの蒸気発生器伝熱管材料技術は表寿命化による

稼働率向上、また、高性能蒸気発生器開発はプラント

効率向上による発電コスト低減を図る。

要素技術は、経済性、安全性、運営・運転・保全の分野に分類して記載する。

個別要素技術の目標設定(3/4)

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7

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

妥当性・設定理由・根拠等

安全性

BWR

・静的格納容器冷却系のシステム挙動試験

・静的デブリ冷却システムの除熱特性試験

・大口径ベント管動荷重試験

PWR

・自律安全系の開発

・炉心溶融デブリ対策(IVR)の研究

運営・運転・保全

BWR/PWR共通

・プラントデジタル化技術開発

BWR

・炉内j構造部材開発

・材料・水化学技術高度化

PWR

・二次系水化学技術の開発

シビアアクシデント対策

シビアアクシデント対策

事故時格納容器の健全性

確保

プラントの安全性向上

シビアアクシデント対策

ヒューマンエラー防止、保守

物量削減、運転中保守の適

用拡大による保守物量の平

準化

長寿命化による保守性向上、

放射性廃棄物低減

従事者被ばく低減

二次系設備合理化による保

守性向上

研究計画が策定されてい

ること(平成23年度開始)

同上

同上

同上

同上

システム概念構築

候補材選定

候補技術選定

研究計画が策定されてい

ること(平成23年度開始)

要素技術については、プラント概念成立に必要な技術、特

長を伸ばす技術を選定している。

・シビアアクシデント対策として、BWRは静的格納容器冷

却系により、格納容器の健全性維持、デブリ冷却システ

ムにより、溶融炉心冷却を行う。

・大口径ベント管試験は、大出力化に伴う事故時の格納容

器健全性を確認し、安全性を確保する。

・自律安全系は、原子炉停止や冷却方式を最適化してお

り、システムの検証を実施し、安全性を確保する。

・シビアアクシデント対策として、原子炉容器の外側から冷

却するIVRにて溶融炉心冷却を行う。

・プラントライフを通し、電気事業者とプラントメーカが有す

るデータベースのネットワーク化を図るとともに、収集・蓄

積された情報の共有化により、運営・運転・保守性向上

を図る。

・炉内構造材開発はプラント寿命80年中、取替不要な材

料開発を行うことで、保守性向上、廃棄物低減を図る。

・水化学技術高度化は炉水浄化、放射性物質付着・発生

抑制等により、線源低減を行い、従事者の被ばく低減

を図る。

・高温浄化システムにより、設備合理化をはかり、保守性

向上を図る。

個別要素技術の目標設定(4/4)

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84. A.成果、目標の達成度(1/8)

国内及び海外のユーザにとって魅力的なプラント概念がBWR及びPWRそれぞれ1炉型構築され、その概念の成立性の見通しを得た。また、プラント概念の成立に必要な要素技術についても開発及び検討を進め、その実用化の見通しが得られ、早期実用化を踏まえた今後の開発計画を策定した。さらに、プラントの実用化と特長を活かす観点から安全規制及び規格基準の整備に係る検討を進め、今後必要となる取り組みに関しロードマップを策定し、関係者と協議を開始した。

建設地点の地震条件に依

存しない設計と耐震安全

性を強化する免震装置

航空機落下にも耐えら

れる原子炉格納容器/

原子炉建屋

ウラン燃料の長期燃焼

と燃焼効率を向上した

原子炉

規制要求を超える原子

炉炉心の溶融事故にも

対応した安全設備

新材料によりプラント

寿命80年に対応した

大型機器

優れた経済性 世界最高水準の安全性

• スケールメリット(大電気出力)を確保

• 高い稼働率(目標 97%)

• 燃料の長期燃焼と燃焼効率を向上した原子炉

• 建設期間を現行最新プラントから約 4 割削減 (30 ヶ月←約 50 ヶ月)

• 建設地点の地震条件に依存しない設計 • 国際的な安全規制や規格等に対応

• 原子炉冷却のための放熱先を多様化(大気 • 航空機落下にも耐えられる原子炉格納容器 • 規制要求を超えるような万一の事故も考慮 • 実績ある現行最新プラントの安全設備を更

• 大規模地震に対する安全性を強化

安全性とセキュリティの強化 発電コストの低減

耐震安全性 建設期間短縮と工程遵守

プラント標準化

人と環境に優しいプラント

• 使用済燃料を 30%以上低減 • 放射性廃棄物を大幅低減 • 新材料により大型機器を長寿命化(プラント寿命 80 年対応)

• 現行最新プラントに比べメンテナンス物量を大幅低減 • 最新 IT 技術の活用によりメンテナンスを合理化

環境への負荷低減

メンテナンス性の向上

次世代 BWR

次世代 PWR (HP-ABWR) (HP-APWR)

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9

プラント概念

目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

1.基本条件 ・電気出力: 170~180万kW

・共通技術を採用し、標準化

効果を阻害せずに80~100万kWにも対応可能

左記目標の達成

見通しを得ること

BWR: 176万kW級炉心熱出力増、機器容量増加と高性能化

PWR: 178万kW級炉心熱出力はAPWRと同等ながら熱効率向上、

機器容量増加と高性能化

BWR: 主機の基数や容量削減(RIP6台構成等)により標準化効果

を阻害せず94万kW級に対応

PWR: 2ループ化による主機基数削減により標準化効果を阻害せず

85万kW級に対応

達成

2.安全性 ・国際的に遜色のない水準の

炉心損傷頻度及び格納容器

機能損失頻度

・シビアアクシデント対策を設計上

考慮

左記目標の達成

見通しを得ること

・外的事象を含め、最終ヒートシンク多様化など現行最新プラ ントより信

頼性が向上されており、左記水準を達成見通 し

・シビアアクシデント対策として以下を設計上考慮

BWR: デブリ冷却設備、静的格納容器冷却系

PWR: IVR、1次系減圧、最終ヒートシンク多様化

達成

3.経済性 ・建設単価(成熟機):約13万円

/kW

・建設期間: 30ヶ月以下(岩盤

検査~運転開始)かつ建設

工期遵守できること

・時間稼働率: 97%(寿命平均)

、24ヶ月運転サイクル

・設計寿命: 80年

・発電コストは他電源に対し競

争力を有すること

左記目標の達成

見通しを得ること

・目標まで達成していないが海外最新炉に比べ十分に低く競争力が

ある。

・モジュール化工法採用 (BWR:SC構造格納容器、PWR:船殻構造格納

容器)により建設現場環境や労働者資質の影響の排除が可能

・定検期間を燃料交換中心や機器保守を中心とする短期/中期/

長期に最適化しプラントライフ中に振り分け実施

・長寿命材料の採用、適切な保守管理により達成可能

・現行の原子力発電コストは、OECDによると、石炭火力や天然ガス燃

焼複合サイクルプラント等の他電源に比較し、割引率5%で競争力を有し

、割引率10%では北米や欧州で拮抗するが、建設単価、保守物量大

幅削減、燃料サイクルコスト削減効果により、競争力を確保できる見通し

一部未達成

(建設単価のみ未達成)

4. A.成果、目標の達成度(2/8)

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プラント概念 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

-社会的受容性 ・環境への放射性物質の大規模放

出の確率を十分に低くできる設計

であること

・地震・津波に関する残余のリスクへ

の裕度を確保

・米欧の航空機落下とセキュリティ対策

に対応可能

・従事者線量: 現行水準を十分に

下回るものであること

左記目標の達成

見通しを得ること

・シビアアクシデント対策を設計上考慮しており、かつ、安全

系トレン分離等の設計強化により要件を達成可能

・免震により基準地震動の2倍以上の裕度を確認、並び

にヒートシンク多様化(大気)により海水冷却系使用不可時

でも安全に停止可能

・格納容器及び原子炉建屋壁にて航空機衝突を防護、

並びに安全設備の物理的分離配置による対策強化

により達成可能

・保守物量の削減、保守性の向上、保守作業の合理化

により達成可能

達成

-運営・運転・保全 ・保守物量: 現行最新プラントの50%・保守性の向上、保守負荷の平準化

・炉心設計: 取出平均燃焼度

70GWd/t、全炉心MOX対応可

・新技術はプラント導入時までに十分な

成熟度を有すること

左記目標の達成

見通しを得ること

・50%程度削減(単位発電電力量あたり)・メンテナンスフリーや保守性の良い機器採用、信頼性重視

保全(RCM)やオンライン保守による平準化等を図る。

・BWR: 70GWd/t、PWR: 70~90GWd/t、BWR/PWRともに全炉心MOX対応可能

・開発段階における確証試験等の実施、早

期技術導入により成熟度を高める

達成

-国際標準 ・米欧の許認可・規格基準類へ対応

可能

・立地条件によらずに標準的な設計

が可能

左記目標の達成

見通しを得ること

・米欧のユーザ要件並びに安全規制に適合可能

・免震設計導入により標準化した設計

達成

4. A.成果、目標の達成度(3/8)

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4. A.成果、目標の達成度(4/8)要素技術 目標・指標

(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

経済性

BWR/PWR共通

・次世代軽水炉

燃料の開発

(ウラン濃縮度

10%未満)

・免震装置の実証

BWR・BWR次世代燃料

の開発

・スペクトルシフト燃料

の開発

使用済み燃料削減

、燃料経済性向上

立地条件によらな

いプラントの標準化

高燃焼度化に対す

る被覆管の健全性

向上

省ウラン化

成立性確認

成立性確認

候補材選定

成立性確認、省

ウラン効果確認

ウラン濃縮度5~10%を使用する次世代燃料の実用化の課題は、技術的成立性、安全規制適合性、調達性、燃料サイクル施設への影響、燃料サイクルコストである。

この約2年間で、調達性や技術課題に関し解決不能な課題がないこと、経済的なメリットや規制上の課題などを確認し、実用化に対する課題について明確化できた。特に、調達については海外依存度が高いため欧米の調査を行い、課題を明確化した。

また、規制上の課題対応については、規制機関とも意見交換を行いながら進めている。今後、実用化を目指して、調達性見通しの更なる明確化、規制上の課題対応や海外関係機関と連携した活動を進めると共に、燃料加工施設等の許認可等に必要な臨界データの整備を行う。

BWR/PWR共に建屋免震(水平免震)を適用する。格納容器を含む原子炉建屋は、約30万tonに及ぶ超重量構造物であり、建屋免震適用性や設計基準を上回る地震に対する残余のリスクの評価が課題である。また、早期の実機導入も視野に、設計成立性を確認する必要がある。この約2年間にて免震装置の特性データ取得、入力地震動の検討、免震プラントの試設計等を実施し、免震プラント成立性や物量低減効果を確認できた。今後、免震プラントの解析手法を確立し、民間規格等への反映に必要な免震装置特性データを取得する。

BWR燃料被覆管については、更なる高燃焼度化に伴う水素吸収量の増加による機械特性への影響が課題となる。そこで、既往の技術・知見を結集し、Zrをベースに組成及び熱処理方法を変えた合金を設計した。各種スクリーニング試験を実施し、水素吸収特性が現行材以上で、耐食性、機械特性、製造性が現行材と同等の材料を選定した。今後、長期の試験炉照射により、照射環境下での水素吸収特性、腐食特性を確証する。

BWRスペクトルシフト燃料(SSR)の実用化には、BWR実機条件下での熱水力特性、材料健全性の確認が必要となる。模擬試験装置により熱水力試験を実施し、SSR内水位が炉心流量により制御可能であり、安定に形成されることを確認した。また炉心の詳細解析により約5%の省ウラン効果が得られることを確認した。今後、照射炉での腐食・強度試験や限界出力試験を行い実機適用時の健全性を確証する。

達成

達成

達成

達成

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4. A.成果、目標の達成度(5/8)

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

・高性能炉心燃

料気液二相流

挙動解明試験

技術開発

・原子炉内流動

試験及び解析

手法開発

・SC構造格納容

器の開発

PWR・PWR次世代燃

料の開発

燃料設計の自由度

拡大による燃料サイ

クルコスト低減

大型燃料適用時の、

炉内構造物健全

性確保

建設工期の大幅短

高燃焼度化、冷却材

の高温化に対する被

覆管の健全性向上

(候補材選定)

研究計画が策定され

ていること

(平成22年度開始)

研究計画が策定され

ていること

(平成23年度開始)

成立性確認

候補材選定

プラント概念検討にて研究計画を策定した。

BWRの革新的な炉心燃料開発を可能とするためには、燃料集合体内の気液

二相流動特性の把握が必須となる。このため、燃料集合体内の液膜挙動やク

ロスフロー効果を三次元的に把握するための熱水力試験を体系的に実施する。

試験によりBWR実機条件下での集合体内の二相流挙動に関する詳細なデー

タを採取し、試験データベースを構築して、解析手法の確立に資する。

プラント概念検討にて研究計画を策定した。

BWR大型燃料の採用に伴い、制御棒案内管が十字型となり炉心下部構造が

大幅に変わるため、自励振動等に対する健全性を確認する必要がある。その

ため、流動による炉内機器の自励振動の発生限界及びその裕度を試験により

確認し、解析での実機評価手法を確立すると共に、実機初号機における流動

試験計画に反映する。

BWRは、建設工期を短縮するため格納容器へSC構造を適用するが、事故時に

熱荷重及び圧力荷重を受けるため、高温条件下での耐震・耐圧性能を見極め

る必要がある。これまでの2年間で、熱圧縮・座屈試験等の基礎試験や解析を

実施し、事故時の耐熱・耐圧性能、高温条件下での耐震性能が、鉄筋コンク

リート製格納容器と同等以上との結果を得て、基本的な成立性を確認した。今

後、設計手法の確立、規格化に不可欠な基部・隅角部、全体構造等に係る試

験・解析を進める。

PWR燃料被覆管については、更なる高燃焼度化と1次冷却材温度上昇に伴い、

耐照射特性と耐腐食特性を大幅に改良した材料が必要である。この約2年間

で、高耐腐食性が期待できるステンレス鋼の適用性について設計評価を行い、

機械特性・耐食性試験を実施し候補を選定した。また、現行炉向け次期被覆管

材として開発中のZr系合金を評価し候補を選定した。今後、これら次世代被覆

管の候補材料について長期の試験炉照射を実施し、その腐食特性や照射特

性を確認する。

達成

達成

達成

達成

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4. A.成果、目標の達成度(6/8)

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

PWR・高度化炉心の

開発

・高性能蒸気発生

器伝熱管材料の

開発

・高性能蒸気発生

器の開発

・船殻構造格納容

器の開発

炉心特性最適化に

対し、炉内構造物等

の信頼性確証

長寿命化と放射性腐

食生成物低減

プラント効率向上

建設工期大幅短縮

研究計画が策定さ

れていること

(平成23年度開始)

候補材選定

研究計画が策定さ

れていること

(平成23年度開始)

研究計画が策定

されていること

(平成23年度開始)

プラント概念検討にて研究計画を策定した。

PWR炉心は、高燃焼度化とそれに伴う初期ウラン濃縮度の増加にもかかわら

ず1960年代の導入からその基本的な設計は変わっておらず、炉心特性を大幅

に改善できる余地がある。この約2年間のプラント概念設計検討の結果、炉心

燃料ピッチ拡大により炉心特性を最適化し、さらにケミカルシム用ほう素濃度を

大幅に低減できる高度化炉心の成立性見通しを得た。今後、この炉心概念を

採用した炉内構造物に対し、熱流動試験や制御棒挿入試験等を実施し、その

信頼性等を確証する。

PWR蒸気発生器については、基本性能の向上と共に1次冷却材温度上昇に伴

う伝熱管材料の更なる耐腐食特性改善が課題である。この約2年間で、伝熱管

新材料の設計評価、試作、耐食性試験等を実施し、現行材料より耐食性改善

が期待できる候補材を選定した。今後は、候補材について長期の実環境模擬

試験等によりその健全性を確認する。

プラント概念検討にて研究計画を策定した。

PWR蒸気発生器の基本性能に関しては、プラント熱効率向上のための伝熱効

率の向上が課題である。この約2年間のプラント概念設計検討の結果、伝熱管

配列の稠密化とエコノマイザの設置によりその高性能化の見通しを得た。今後

は、これらの設計変更に伴う熱流動特性等を試験により確認する。

プラント概念検討にて研究計画を策定した。

PWRプラント全体の建設工期は、現在、プレストレスト・コンクリート製格納容器

(PCCV)建設が則律速となっており、大モジュール化工法の適用が必要である。

この約2年間の概念設計検討の結果、超大型モジュール化が可能となる船殻

構造鋼板コンクリート構造を格納容器に適用することにより30ヶ月工期目標達

成の見通しを得た。今後、この船殻構造格納容器の耐内圧及び耐震等の確証

試験を実施し、民間規格への反映等を行う。

達成

達成

達成

達成

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144. A.成果、目標の達成度(7/8)要素技術 目標・指標

(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

安全性

BWR

・静的格納容器冷

却系のシステム

挙動試験

・静的デブリ冷却

システムの除熱

特性試験

・大口径ベント管

動荷重試験

PWR

・自律安全系の

開発

・炉心溶融デブリ

対策(IVR)の

研究

シビアアクシデント

対策

シビアアクシデント

対策

事故時格納容器の

健全性確保

安全系の信頼性

確認

シビアアクシデント

対策

研究計画が策定さ

れていること

(平成23年度開始)

研究計画が策定さ

れていること

(平成23年度開始)

研究計画が策定さ

れていること

(平成23年度開始)

研究計画が策定さ

れていること

(平成23年度開始)

研究計画が策定さ

れていること

(平成23年度開始)

プラント概念検討にて研究計画を策定した。

シビアアクシデント発生時に静的格納容器冷却系(PCCS)にて崩壊熱除去を行う

が、非凝縮性ガスを含んだ格納容器雰囲気での過渡的な除熱性能の確認が必

要である。今後、各種事故シーケンスにおけるシステム応答解析を基に、設定し

た雰囲気条件での除熱挙動を検証すると共に性能評価手法を確立する。

プラント概念検討にて研究計画を策定した。

シビアアクシデント対策として、主要な格納容器破損要因である高温デブリによるコン

クリート侵食を抑制する必要があり、デブリ接触部分に高融点の耐熱材を張るととも

に、静的な注水手段を設ける。今後、高温の溶融ジェットによる耐熱材の侵食確認と

融点近傍までの耐熱材の熱物性データを基に、評価モデルを確立し実機性能評価を

行う。

プラント概念検討にて研究計画を策定した。

現行ABWRに比べて出力が増大するため、ベント管口径を拡大することで事故時

の格納容器内ピーク圧力を低減する。このため、大口径ベント管を対象に、蒸気

凝縮時の振動荷重について、格納容器設計用の動荷重条件を設定する必要が

ある。今後、実規模ベント管1本を含むセクタ形状の試験装置を製作し、動荷重試

験、試験後解析を実施して設計用の動荷重条件を整備する。

プラント概念検討にて研究計画を策定した。

原子炉の停止や冷却に係る機構を最適化し、直接大気を最終ヒートシンクとする

自律安全系を採用した。今後、この自律安全系による1次系冷却系の熱流動試

験や空気冷却器の耐震安全性試験等によりその信頼性等を確認する。

プラント概念検討にて研究計画を策定した。

シビアアクシデント対策としてIVRを採用するにあたり、原子炉容器の健全性と外

表面の冷却性能が課題となる。今後、事故シナリオに基づく原子炉容器の健全性

を確認すると共に限界熱流速の向上対策を検証しIVRの成立性を確認する。

達成

達成

達成

達成

達成

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4. A.成果、目標の達成度(8/8)

要素技術 目標・指標(事後評価時点)

目標・指標(中間評価時点)

成 果 達成度

運営・運転・保全

BWR/PWR共通

・プラントデジタル化技術開発

BWR

・炉内j構造部材

開発

・材料・水化学

技術高度化

PWR

・二次系水化学

技術の開発

ヒューマンエラー防

止、保守物量削減、

運転中保守の適

用拡大による保守

物量の平準化

長寿命化による保

守性向上、放射性

廃棄物低減

従事者被ばく低減

二次系設備合理化

による保守性向上

システム概念構築

候補材選定

適用技術選定

研究計画が策定さ

れていること

(平成23年度開始)

BWR/PWR共通課題であるプラント運営・運転・保全性の更なる改善のために

は、設計から廃炉までの各種情報について、先進のデジタル化技術を駆使して

一元管理し運用していく必要がある。これまでの約2年間で、ニーズ調査を実施し

システムに必要な機能要素と要素間を流れるデータ種別を明確化してシステム概

念を構築した。また運用高度化に寄与できることを確認した。さらにシステム実現

に必要なシーズ技術を抽出した。今後2010年度にシステム概念の具体化と電力・

メーカ間のデータインタフェース仕様を整理し、基本設計段階に移行する。

BWR炉内構造部材については、累積中性子照射量が最大、現行炉の約2倍と想

定される厳しい環境下でも、IASCC感受性の発現しない材料開発が課題となる。

そこで、4つの耐IASCC向上コンセプトを基に、成分と組織を調整した候補材を

設計した。これまでの約2年間で製造性の確認、機械特性試験、腐食試験、イオ

ン照射試験を実施し、候補材を絞り込むと共に、期待通りの粒界腐食特性、照射

誘起粒界偏析特性等を有することを確認した。今後、溶接性試験、SCC試験で、

さらに鋼種を絞り込んだ後、中性子照射試験により最終的に1鋼種を選定する。

BWR材料・水化学技術については、長期サイクル運用による放射性腐食生成物

の増加に対し、水質浄化、配管・機器への放射性腐食生成物の付着抑制、運転

時タービン系線量低減が課題である。この2年間で、高温浄化系、材料表面改質

、燃料へのCo付着制御技術、N-16移行低減技術に関して、実現性と実機適用性

の観点から検討し、基礎試験に進める技術を選定した。今後は基礎試験にて検

証し、実機条件での適用技術のシステム検討を行う。

プラント概念検討にて研究計画を策定した。

PWR2次系設備合理化のため、給水及び蒸気発生器水中の不純物を高温のま

ま除去できる高温脱塩器と高温フィルタを開発する。今後、基礎試験にて検証し、

実機システム設計及び大規模試験により廃液処理も含めた技術を確立する。

達成

達成

達成

達成

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5. A.事業化、波及効果

事業化シナリオ

本開発の目的である2030年前後からのリプレースの円滑化、原子力産業の国際展開と競争力の確保等や、許認可や建設の遅延リスクの低減、運転保守トラブルなどのリスク低減が重要との市場調査結果を踏まえ、市場への導入シナリオの基本的な考え方を次のとおりとした。

次世代軽水炉の初号機のプラント運転開始は2030年頃までを目標とする。

2号機以降は標準化効果により、許認可、建設及び運転保守に係るコストとリスクを低減し、導入促進を図る。

適用する新技術は、安全性・信頼性を確保するため確証試験等を実施し、知見や経験を蓄積すると共に、実機への先行適用等により技術の成熟化を図る。

期待される効果

次世代軽水炉開発により、我が国の原子力産業の国際展開を進めるために必要な技

術力の維持・向上が期待できるとともに、我が国のエネルギー安定供給、低炭素社会実

現、経済成長に貢献できる。

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次世代軽水炉の導入計画

– 2015年迄に基本設計完了、詳細設計と個別・製作設計を2025年迄に完了させ、2026年から安全審査、工認、建設・試運転を経て2030年に運転開始

• 技術開発と同時に、実用化に必要な規制と規格基準の整備を一体的に進める

– 標準プラントに相応しい安全規制制度などの整備を進め、許認可リスクの低減と共に、習熟効果などによるコスト低減をはかりつつ2号機以降の導入を進める

– 新技術は、メーカが蓄積してきた知見や経験等を踏まえ、実用化に向けた確証試験等を計画的に実施すると共に、導入条件が整った要素技術は、順次、早期の実機適用を図る

– 米国及び欧州を海外展開における重要市場と設定し、これら市場での許認可取得も含め、開発スケジュールを変更することなく2030年に運転開始可能なものとする

– アジア等の新規原子力導入国は、国内や米欧における取組を踏まえ、各国の原子力開発計画等を考慮し柔軟に進める

• 規制制度や規格基準及びプラント運用技術等を一体として導入される場合は、国、電気事業者、メーカが一体となり取組む

(参考)

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次世代軽水炉 実用化スケジュール

• 開発要素技術が全て揃う次世代軽水炉の運転開始は2030年頃

• 開発に長期を要する燃料や炉心等一部の技術を除いたものについては、プレ次世代軽水炉の形で5年程度早めた導入が可能

'31 '32 '33

Ⅰ. 次世代軽水炉

■国内初号機

■米国初号機

Ⅱ. 早期の導入シナリオ

■プレ次世代軽水炉

項    目 '21'20

(H27)

'25 '30'29'27 '28'26'24'17 '19 '22 '232015 '18'16

(H24)(H20) (H21) (H22) (H23) (H25) (H26)2011 2012 2013 20142008 2009 2010

プラント運開

プラント運開

プラント運開

安全審査

工認

プラント概念検討

概念設計

基本設計

詳細設計

サイト固有設計等

安全審査

工認

建設/試運転 運転

サイト固有設計等

事前審査 DC[USA]

COL[USA]

建設/試運転 運転

概念設計

基本設計

詳細設計・サイト固有設計等 建設/試運転 運転

(参考)

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要素技術開発計画とロードマップ(BWR)▼ プラント運開

規制及び規格基準の整備

規制及び規格基準の整備

技術開発

技術開発

技術開発

規制及び規格基準の整備

技術開発

技術開発

(H20) (H21) (H22) (H23)2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(H24) (H25) (H26) (H27)'23'16 '17 '19'18 '40'26 '27 '28 '29 '30

全体工程

建設/試運転 次世代軽水炉

 プレ次世代軽水炉 (早期の導入シナリオ)

燃料・炉心

技術開発

規制及び規格基準の整備

詳細設計 製作設計・サイト固有設計概念設計検討

技術開発

概念設計 基本設計

電気計装

原子炉一次系

規制及び規格基準の整備

技術開発

技術開発

建屋・建設

安全設備

技術開発

項   目'31 '35'24 '25'20 '21 '22

事前審査  DC[USA] COL[USA]

安全審査 工認

次世代燃料の開発

被覆管材料の開発

炉心技術開発

炉内構造物の開発

材料・水化学技術の開発

大口径ベント管の開発

シビアアクシデント対策技術の開発

免震装置の開発

プラントデジタル化技術の開発

(材料規格)

SC構造格納容器の開発

建設/試運転

(維持規格)

工認安全審査

建設/試運転 ▼ プラント運開

(参考)

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要素技術開発計画とロードマップ(PWR)▼ プラント運開

規制及び規格基準の整備

技術開発

技術開発

安全設備

技術開発

'35

(H20) (H21) (H22) (H23) (H24) (H25) (H26) (H27)'28 '29 '30 '31'24 '25 '26 '27'19 '20 '21 '222015 '16 '17 '182011 2012 20132008 2009 2014

事前審査

概念設計検討 概念設計 基本設計

2010

規制及び規格基準の整備

技術開発

技術開発

規制及び規格基準の整備

COL[USA]

製作設計・サイト固有設計

技術開発

規制及び規格基準の整備

規制及び規格基準類の整備

技術開発

規制及び規格基準の整備

電気計装

建屋・建設

技術開発

技術開発

技術開発

技術開発

二次系

規制及び規格基準の整備

原子炉冷却系

燃料・炉心

詳細設計 建設/試運転

 DC[USA]

'23

全体工程

項   目

 次世代軽水炉

 プレ次世代軽水炉 (早期の導入シナリオ)

'40

次世代燃料の開発

被覆管材料の開発

炉心技術開発

蒸気発生器伝熱管材料開発

高性能蒸気発生器の開発

免震装置の開発

船殻構造格納容器の開発

二次系水化学技術の開発

プラントデジタル化技術の開発

安全審査 工認 設置許可変更/製造

シビアアクシデント対策技術の開発

自律安全系の開発

Zr系被覆管 ステンレス鋼系被覆管

建設/試運転建設/試運転

工認安全審査

建設/試運転 ▼ プラント運開

(参考)

Page 216: 原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

安全規制及び規格基準の整備ロードマップ

▼ プラント運開

(A) 新技術の適用

基本計画/ロードマップ案作成

基本計画/ロードマップ案作成

(B) 運営・運転・保全性の改善 課題の整理

課題の整理

'35 '40

全体工程

 次世代軽水炉

必要データの調整及び規格基準類の策定

建設/試運転

項   目'31'21 '27'22

安全規制及び規格基準の整備

(C) 国際標準炉として相応しい   安全規制体系

概念設計検討 概念設計

 プレ次世代軽水炉 (早期の導入シナリオ)

基本設計 詳細設計

(H27)

COL[USA]

(H26)

製作設計・サイト固有設計

(H21) (H22) (H23) (H24)'30'28

(H25)'24'23'17 '18 '19 '292014

(H20)'252008 2009 2010 2011 '20 '262015 '162012 2013

事前審査  DC[USA]

関係機関との調整

関係機関との調整

必要データの調整及び規格基準類の策定

技術開発

技術開発

安全審査 工認

・燃料関係

・新技術

工認安全審査

建設/試運転

工認

関係機関との調整及び次世代軽水炉への適用に係る対応検討

建設/試運転

関係機関との調整及び国際標準炉として相応しい安全規制体系の検討

工認安全審査

建設/試運転

工認安全審査

建設/試運転 ▼ プラント運開

(参考)

Page 217: 原子力発電に係る施策・事業の 概要について€¦ · 日本のエネルギー自給率は主要国中最低。 オイルショック以降、準国産の石油代替エネルギーとして、原子力発電を推進。

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6. A.研究開発マネジメント・体制等

経済産業省

学識経験者、関係行政機関、

中立機関

評価委員会

財団法人 エネルギー総合工学研究所

原子力工学センター

中核機関

株式会社 東芝

日立GEニュークリア・エナジー株式会社

三菱重工業株式会社

プラントメーカ

電気事業者

連携

(次世代軽水炉等開発事業費補助金)

燃料メーカ、材料メーカ、ゼネコン等

原子力関連産業

調査、製造、試験委託 等

原子力関連研究

大学、日本原子力研究開発機構、電力中央研究所

安全規制

原子力安全・保安院

原子力委員会

原子力安全基盤機構

規格基準整備

原子力学会、日本機械学会、など

国際標準化

OECD/NEA、EPRI など

中核機関、プラントメーカ及び電気事業者の協働体制を確立し、規制機関、大学や研究機関の有識者等の参画を得た我が国の総力を挙げた取組により開発を実施してきた。